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特表2024-525271車両電気駆動システムの加熱制御方法、装置及び加熱システム並びに車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】車両電気駆動システムの加熱制御方法、装置及び加熱システム並びに車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 9/16 20060101AFI20240705BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20240705BHJP
【FI】
B60L9/16
B60L58/27
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569601
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2022122450
(87)【国際公開番号】W WO2023051667
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111153776.3
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】徐▲魯▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】徐相▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】任少朋
(72)【発明者】
【氏名】杜智勇
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125BA01
5H125BC19
5H125CD09
5H125DD00
5H125EE08
5H125EE09
5H125EE42
5H125EE52
(57)【要約】
車両電気駆動システム(11)の加熱制御方法、装置(100)及び加熱システム(1)並びに車両(10)を開示し、電気駆動システム(11)は、モータコントローラ(111)及びモータ(112)を含み、方法は、車両(10)が走行状態にあると決定するステップと、加熱指令に応答して、モータ(112)の回転速度値及びトルク制御値を取得し、前記モータコントローラ(111)のキャリア指令値を取得するステップと、回転速度値及びトルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつトルク制御値及び第1電流指令値に基づいて、第2電流指令値を取得するステップと、第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラ(111)の制御信号を調整するステップと、調整された制御信号に基づいて、モータ(112)を制御して動作させることにより、電気駆動システム(11)が熱を発生させるステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータコントローラ及びモータを含む車両電気駆動システムの加熱制御方法であって、
車両が走行状態にあると決定するステップと、
加熱指令に応答して、前記モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、前記モータコントローラのキャリア指令値を取得するステップと、
前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつ前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得し、及び/又は、前記キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、前記第1キャリア周波数に基づいて、前記第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得するステップと、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップと、
調整された前記制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、前記車両電気駆動システムが熱を発生させるステップと、を含む、車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項2】
前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得するステップは、
前記加熱指令に基づいて、加熱電流値又は加熱電力値を含む加熱需要パラメータ値を取得するステップと、
前記加熱需要パラメータ値に基づいて、回転速度補正値を取得するステップと、
前記回転速度補正値及び前記回転速度値に基づいて、回転速度基準値を取得するステップと、
前記回転速度基準値に基づいて、走行電流指令曲線テーブルをルックアップして目標走行電流指令曲線を決定するステップと、
前記トルク制御値及び前記目標走行電流指令曲線に基づいて、前記第1電流指令値を取得するステップと、を含む、請求項1に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項3】
前記加熱需要パラメータ値に基づいて、回転速度補正値を取得するステップは、
下記式に従って前記回転速度補正値を計算するステップを含み、
Δn=k*Is
ここで、Δnは前記回転速度補正値であり、kはキャリブレーション値であり、Isは加熱需要パラメータ値である、請求項1又は2に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項4】
前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、第2電流指令値を取得するステップは、
前記トルク制御値をそのまま保持し、前記走行電流指令曲線テーブルをルックアップして、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい電流指令値を前記第2電流指令値として取得するステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項5】
前記第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、
前記第1d軸電流及び前記第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、
前記第1キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項6】
前記第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、
前記第1d軸電流及び前記第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、
前記第2キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項7】
前記第1電流指令値は、第2d軸電流及び第2q軸電流を含み、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、
前記第2d軸電流及び前記第2q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、
前記第2キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項8】
決定モジュールと、パラメータ取得モジュールと、加熱制御可能指令値取得モジュールと、制御信号取得モジュールと、制御モジュールと、を含み、
前記決定モジュールは、車両が走行状態にあると決定し、
前記パラメータ取得モジュールは、加熱指令に応答して、前記モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、前記モータコントローラのキャリア指令値を取得し、
前記加熱制御可能指令値取得モジュールは、前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつ前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得し、及び/又は、前記キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、前記第1キャリア周波数に基づいて、前記第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得し、
前記制御信号取得モジュールは、前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整し、
前記制御モジュールは、前記制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、前記電気駆動システムが熱を発生させる、車両電気駆動システムの加熱制御装置。
【請求項9】
電気駆動システムと、熱交換システムと、電気駆動制御装置と、を含み、
前記電気駆動システムは、モータコントローラ及びモータを含み、
前記熱交換システムは、前記電気駆動システムによって発生された熱を吸収し、
前記電気駆動制御装置は、前記電気駆動システムに接続され、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法で前記電気駆動システムを制御して熱を発生させる、車両加熱システム。
【請求項10】
動力電池と、車両コントローラと、請求項9に記載の車両加熱システムと、を含み、
前記車両コントローラは、動力電池に加熱需要があると決定した場合、加熱指令を送信し、
前記車両加熱システムは、前記車両コントローラに接続され、前記加熱指令に応答して前記動力電池を加熱する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両電気駆動システムの加熱制御方法、装置及び加熱システム並びに車両に関する。
【0002】
本開示は、2021年9月29日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202111153776.3で、出願名称が「車両電気駆動システムの加熱制御方法、装置及び加熱システム並びに車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、電気自動車には、PTCヒーターなどの独立した加熱機器が設けられ、加熱機器は、放熱装置における液体媒体を加熱して、動力電池に熱を供給することにより、電池が急速に昇温してその通常の動作温度区間に達し、それにより、電気自動車駆動システムの駆動能力又は充電システムの充電能力を確保する。
【0004】
従来技術において、独立した加熱機器を用いて動力電池又は車室内を加熱する場合、加熱効率が低く、省エネルギーではなく、部品コストが高く、車両の体積空間に制限され、取付方式も柔軟性に欠けている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、従来技術における技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。このため、本開示の第1目的は、車両の通常走行状態において、駆動システムによって動力電池及び車室内を加熱し、独立した加熱機器を設ける必要がなく、コストを節約し、動力電池を加熱する効率を向上させることができる、車両電気駆動システムの加熱制御方法を提供することである。
【0006】
本開示の第2目的は、車両電気駆動システムの加熱制御装置を提供することである。
【0007】
本開示の第3目的は、車両加熱システムを提供することである。
【0008】
本開示の第4目的は、車両を提供することである。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の第1態様の実施例に係る、モータコントローラ及びモータを含む車両電気駆動システムの加熱制御方法は、車両が走行状態にあると決定するステップと、加熱指令に応答して、前記モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、前記モータコントローラのキャリア指令値を取得するステップと、前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつ前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得し、及び/又は、前記キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、前記第1キャリア周波数に基づいて、前記第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得するステップと、前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップと、調整された前記制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、前記電気駆動システムが熱を発生させるステップと、を含む。
【0010】
本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法によれば、車両の通常走行状態において、動力電池に加熱需要がある場合、モータの回転速度値、トルク制御値及びモータコントローラのキャリア指令値に基づいて、第2電流指令値及び第2キャリア周波数を取得し、かつ第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してモータを制御して動作させることにより、電気駆動システムが熱を発生させる。即ち、車両の通常走行状態において、ヒーターとするために、高損失状態で動作するように電気駆動システムを制御することにより、大量の熱を放出し、動力電池及び車室内を加熱することができ、他の加熱機器を設ける必要がないため、動力電池を加熱する効率を向上させる。
【0011】
本開示のいくつかの実施例では、前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得するステップは、前記加熱指令に基づいて、加熱電流値又は加熱電力値を含む加熱需要パラメータ値を取得するステップと、前記加熱需要パラメータ値に基づいて、回転速度補正値を取得するステップと、前記回転速度補正値及び前記回転速度値に基づいて、回転速度基準値を取得するステップと、前記回転速度基準値に基づいて、走行電流指令曲線テーブルをルックアップして目標走行電流指令曲線を決定するステップと、前記トルク制御値及び前記目標走行電流指令曲線に基づいて、前記第1電流指令値を取得するステップと、を含む。
【0012】
本開示のいくつかの実施例では、前記加熱需要パラメータ値に基づいて、回転速度補正値を取得するステップは、下記式に従って前記回転速度補正値を計算するステップを含み、Δn=k*Isここで、Δnは前記回転速度補正値であり、kはキャリブレーション値であり、Isは加熱需要パラメータ値である。
【0013】
本開示のいくつかの実施例では、前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、第2電流指令値を取得するステップは、前記トルク制御値をそのまま保持し、前記走行電流指令曲線テーブルをルックアップして、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい電流指令値を前記第2電流指令値として取得するステップを含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施例では、前記第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、前記第1d軸電流及び前記第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、前記第1キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む。
【0015】
本開示のいくつかの実施例では、前記第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、前記第1d軸電流及び前記第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、前記第2キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施例では、前記第1電流指令値は、第2d軸電流及び第2q軸電流を含み、前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、前記第2d軸電流及び前記第2q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、前記第2キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む。
【0017】
上記目的を達成するために、本開示の第2態様の実施例に係る、車両電気駆動システムの加熱制御装置は、決定モジュールと、パラメータ取得モジュールと、加熱制御可能指令値取得モジュールと、制御信号取得モジュールと、制御モジュールと、を含み、前記決定モジュールは、車両が走行状態にあると決定し、前記パラメータ取得モジュールは、加熱指令に応答して、前記モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、前記モータコントローラのキャリア指令値を取得し、前記加熱制御可能指令値取得モジュールは、前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつ前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得し、及び/又は、前記キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、前記第1キャリア周波数に基づいて、前記第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得し、前記制御信号取得モジュールは、前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整し、前記制御モジュールは、前記制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、前記電気駆動システムが熱を発生させる。
【0018】
本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御装置によれば、決定モジュール、パラメータ取得モジュール、加熱制御可能指令値取得モジュール、制御信号取得モジュール及び制御モジュールのアーキテクチャに基づいて、車両の通常走行状態において、動力電池に加熱需要がある場合、モータの回転速度値、トルク制御値及びモータコントローラのキャリア指令値に基づいて、第2電流指令値及び第2キャリア周波数を取得し、かつ第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してモータを制御して動作させるように車両電気駆動システムの加熱制御装置を制御することにより、電気駆動システムを高損失状態で動作させ、大量の熱を放出し、動力電池及び車室内を加熱することができ、他の加熱機器を設ける必要がないため、動力電池を加熱する効率を向上させる。
【0019】
上記目的を達成するために、本開示の第3態様の実施例に係る、車両加熱システムは、電気駆動システムと、熱交換システムと、電気駆動制御装置と、を含み、前記電気駆動システムは、モータコントローラ及びモータを含み、前記熱交換システムは、前記電気駆動システムによって発生された熱を吸収し、前記電気駆動制御装置は、前記電気駆動システムに接続され、上記いずれか一項の請求項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法で前記電気駆動システムを制御して熱を発生させる。
【0020】
本開示の実施例に係る車両加熱システムは、従来の電気駆動システム及び熱交換システムのアーキテクチャに基づいて、電気駆動制御装置を設けることにより、車両の走行状態において、加熱指令に応答してモータコントローラの制御信号を調整し、かつ調整された制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、電気駆動システムが大量の熱を発生させて電気駆動システムにおける放熱媒体を加熱し、放熱媒体が熱交換システムと熱交換し、熱交換システムが電気駆動システムによって発生された熱を取得して動力電池及び/又は車室内を加熱することができる。当該車両加熱システムは、外付けの加熱機器を必要とせず、部品コストを節約し、体積空間を節約し、取付方式がより柔軟であり、更に、動力電池を加熱する効率を向上させることができる。
【0021】
上記目的を達成するために、本開示の第4態様の実施例に係る車両は、動力電池と、車両コントローラと、上記第3態様の実施例に記載の車両加熱システムと、を含み、前記車両コントローラは、動力電池に加熱需要があると決定した場合、加熱指令を送信し、前記車両加熱システムは、前記車両コントローラに接続され、前記加熱指令に応答して前記動力電池を加熱する。
【0022】
本開示の実施例に係る車両によれば、走行状態において、車両コントローラは、動力電池の加熱需要に応じて、加熱指令を車両加熱システムに送信し、車両加熱システムは、加熱指令に応答してモータコントローラの制御信号を調整し、調整された制御信号に基づいてモータを制御して動作させることにより、電気駆動システムが熱を発生させ、電気駆動システムをヒーターとして動力電池を加熱することにより、既存のハードウェア機器により直接実現することができ、外付けの加熱機器を必要とせず、部品コストを節約し、体積空間を節約し、かつ取付方式がより柔軟であり、更に、動力電池を加熱する効率を向上させることができる。
【0023】
本開示の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり理解されやすくなる。
【0025】
図1】本開示の一実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートである。
図2】本開示のいくつかの実施例に係る車両の通常走行状態での電流指令値の概略図である。
図3】本開示の一実施例に係るキャリア周波数と時間との関係の概略図である。
図4】本開示の他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートである。
図5】本開示の一実施例に係る走行電流指令曲線テーブルの概略図である。
図6】本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートである。
図7】本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートである。
図8】本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートである。
図9】本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートである。
図10】本開示の一実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御装置のブロック図である。
図11】本開示のいくつかの実施例に係る車両加熱システムのブロック図である。
図12】本開示の一実施例に係る車両のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、以下、本開示の実施例を詳細に説明する。
【0027】
以下、図1図9を参照して、本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法を説明する。
【0028】
本開示のいくつかの実施例では、図1は、本開示の1つの実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートであり、図1に示すように、電気駆動システムは、モータコントローラ及びモータを含み、車両電気駆動システムの加熱制御方法は、以下のステップS1~S5を含み、具体的には、以下のとおりである。
【0029】
S1では、車両が走行状態にあると決定する。
【0030】
車両の速度信号及びアクセル踏み込み信号などの信号データを取得し、かつ検出された信号データに基づいて、車両が走行状態にあると決定するために、速度センサ、アクセルセンサなどの装置を設けてもよい。
【0031】
S2では、加熱指令に応答して、モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、モータコントローラのキャリア指令値を取得する。モータの回転速度値を取得するために、モータに回転速度センサなどを設けてもよい。
【0032】
具体的には、車両の走行状態において、動力電池に加熱需要があるか、又はユーザが運転室を加熱する需要がある場合、BMS(Battery Management System、電池管理システム)又はVCU(Vehicle Control Unit、電気自動車コントローラ)などの上位コンピュータは、加熱指令を電気駆動システムに送信し、電気駆動システムは、加熱指令に応答してモータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、モータコントローラのキャリア指令値を取得する。
【0033】
S3では、回転速度値及びトルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつトルク制御値及び第1電流指令値に基づいて、振幅が第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得し、及び/又は、キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、第1キャリア周波数に基づいて、第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得する。
【0034】
第1電流指令値は、車両の通常走行状態での電流指令値であり、第2電流指令値は、調整された電流指令値である。図2は、本開示のいくつかの実施例に係る車両の通常走行状態での電流指令値の概略図であり、図2に示すように、電流指令値は、d軸電流及びq軸電流を含み、それぞれId及びIqで表される。モータの出力トルクが変化しないように制御することを前提として、第1電流指令値の振幅よりも大きくなるように第2電流指令値の振幅を制御してもよく、電流指令値の振幅を大きくすることにより、電気駆動システムを制御して高エネルギー消費の低効率モードで動作させ、大量の熱を発生させることにより、動力電池を加熱することを実現することができる。
【0035】
第1キャリア周波数は、車両の通常走行状態でのキャリア周波数であり、第2キャリア周波数は、調整されたキャリア周波数である。第1キャリア周波数よりも大きくなるように第2キャリア周波数を制御してもよく、車両の通常走行状態でのキャリア周波数が5Hzであることを例として、車両が通常走行状態から走行加熱状態に入る場合、モータコントローラにおけるスイッチングトランジスタのスイッチング周波数を適切に高めてキャリア周波数を高めることができ、例えば、キャリア周波数を5Hzから15Hzに高めることができる。図3は、本開示の一実施例に係るキャリア周波数と時間との関係の概略図であり、図3に示すように、fpwm_1は、車両の通常走行状態での第1キャリア周波数を表し、fpwm_2は、調整された第2キャリア周波数を表し、第2キャリア周波数fpwm_2は、実際のテストに基づいて設定することができ、第2キャリア周波数fpwm_2は、第1キャリア周波数fpwm_1よりも大きい。
【0036】
S4では、第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整する。
【0037】
なお、車両の走行加熱時に、車両の通常走行状態での電流指令値を変更せず、車両の通常走行状態でのキャリア周波数のみを変更し、かつ車両の通常走行状態での電流指令値及び調整されたキャリア周波数に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してもよい。或いは、車両の通常走行状態でのキャリア周波数を変更せず、車両の通常走行状態での電流指令値のみを変更し、かつ車両の通常走行状態でのキャリア周波数及び調整された電流指令値に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してもよい。或いは、車両の通常走行状態での電流指令値及びキャリア周波数を同時に変更し、かつ調整された電流指令値及びキャリア周波数に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してもよい。
【0038】
実施例では、3相モータを例として、モータコントローラは、3相モータの動作状態をそれぞれ制御するための6つのスイッチングトランジスタを含んでもよく、制御信号は、モータコントローラにおける6つのスイッチングトランジスタの導通状態を制御するための6つの変調信号であってもよい。
【0039】
S5では、調整された制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、電気駆動システムが熱を発生させる。
【0040】
モータは、3相モータであってもよく、モータコントローラは、制御信号を受信した後、モータを駆動して低効率モードで動作させ、モータが低効率モードで動作する場合、電気駆動システムは、高損失状態にあり、大量の熱を放出することができ、熱を放出してシステムにおける放熱媒体を加熱することにより、当該熱を車両に必要な熱に変換することができる。
【0041】
電気駆動システムによって直接発生された熱により動力電池を加熱し、熱伝達効率が高く、動力電池が急速に昇温して、通常の動作温度区間に達することができる。
【0042】
本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法によれば、車両の通常走行状態において、動力電池に加熱需要がある場合、モータの回転速度値、トルク制御値及びモータコントローラのキャリア指令値に基づいて、第2電流指令値及び第2キャリア周波数を取得し、かつ第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してモータを制御して動作させることにより、電気駆動システムが熱を発生させる。即ち、車両の通常走行状態において、ヒーターとするために、高損失状態で動作するように電気駆動システムを制御することにより、大量の熱を放出し、動力電池及び車室内を加熱することができ、他の加熱機器を設ける必要がないため、動力電池を加熱する効率を向上させる。
【0043】
本開示のいくつかの実施例では、図4は、本開示の他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートであり、図4に示すように、上記ステップS3における、回転速度値及びトルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得するステップは、ステップS31~ステップS35を含み、トルク制御値及び第1電流指令値に基づいて、第2電流指令値を取得するステップは、ステップS36を含み、具体的には、以下のとおりである。
【0044】
S31では、加熱指令に基づいて、加熱電流値又は加熱電力値を含む加熱需要パラメータ値を取得する。
【0045】
実施例では、車両動力電池に加熱需要がある場合、上位コンピュータは、加熱需要パラメータ値を含む加熱指令を送信し、加熱需要パラメータ値は、加熱電流値によって特徴付けられてもよく、加熱電力値によって特徴付けられてもよい。
【0046】
S32では、加熱需要パラメータ値に基づいて、回転速度補正値を取得する。
【0047】
実施例では、式(1-1)に基づいて、回転速度補正値を計算することができ、ここで、Δnは回転速度補正値であり、kはキャリブレーション値であり、Isは加熱需要パラメータ値である。式(1-1)におけるk値の大きさは、実際のベンチに応じてキャリブレーション処理を行うことができる。
Δn=k*Is 式(1-1)
【0048】
S33では、回転速度補正値及び回転速度値に基づいて、回転速度基準値を取得する。
【0049】
具体的には、上位コンピュータが加熱指令を送信すると、車両は、走行加熱状態に入り、モータの回転速度値N_cmdに回転速度補正値Δnを加えて、回転速度基準値N_refを取得する。
【0050】
S34では、回転速度基準値に基づいて、走行電流指令曲線テーブルをルックアップして目標走行電流指令曲線を決定する。
【0051】
具体的には、図5は、本開示の一実施例に係る走行電流指令曲線テーブルの概略図であり、図5に示すように、Idは、d軸電流を表し、Iqは、q軸電流を表し、曲線L1、L2及びL3は、いずれもモータが正常に駆動されて高効率で動作する場合の電流指令曲線であり、曲線Te1及び曲線Te2は、モータの出力トルク曲線である。電流指令曲線は、モータ回転速度に関連し、即ち、L1/L2/L3=f(speed)であり、モータ回転速度が増加すると、電流指令曲線は、L1、L2、L3の順に増加し、モータ回転速度が異なると、電流指令曲線が異なる。
【0052】
実施例では、車両が走行加熱状態から車両の通常走行状態に入る場合、モータの出力トルクが変化しないように制御するため、車両は、走行加熱状態と車両の通常走行状態において、同一の走行電流指令曲線テーブルを適用することができる。取得された回転速度基準値N_refに基づいて、走行電流指令曲線テーブルをルックアップして目標走行電流指令曲線を決定し、例えば、車両が通常走行状態にある場合、走行電流指令が曲線L1にあり、車両が走行加熱状態に入った後、走行電流指令は、依然として曲線L1にあり、曲線L1は、即ち、目標走行電流指令曲線である。
【0053】
S35では、トルク制御値及び目標走行電流指令曲線に基づいて、第1電流指令値を取得する。
【0054】
実施例では、車両が通常走行状態から車両走行加熱状態に入る場合、電流指令振幅を大きくして、電気駆動システムの損失量を向上させることにより、熱を増加させる目的を達成する。車両が走行加熱状態で動作する場合、モータの出力トルクが変化しないように制御し、走行電流指令が所在する走行電流指令曲線は、依然として変化せず、トルク制御値及び目標走行電流指令曲線に基づいて、第1電流指令値を取得する。
【0055】
例えば、図5に示すように、車両が通常走行状態にあり、走行電流指令が曲線L1にある場合、モータ出力トルクがTe1であり、電流指令がp1であり、対応する座標が(Id1,Iq1)であり、第1電流指令値がp1(Id1,Iq1)であると決定する。また、例えば、車両の通常走行状態において、走行電流指令が曲線L1にあり、モータの出力トルクがTe2であり、電流指令がp2であり、対応する座標が(Id2,Iq2)であり、第1電流指令値がp2(Id2,Iq2)であると決定する。
【0056】
S36では、トルク制御値をそのまま保持し、走行電流指令曲線テーブルをルックアップして、振幅が第1電流指令値の振幅よりも大きい電流指令値を第2電流指令値として取得する。
【0057】
例えば、図5に示すように、車両が通常走行状態にあり、モータの出力トルクがTe1である場合、走行電流指令が曲線L1にあり、第1電流指令値がp1(Id1,Iq1)である場合、このときの電流振幅がIs1であることを記録する。車両が走行加熱状態に入る場合、走行電流指令が曲線L3にスライドでき、電流指令がp3であり、対応する座標が(Id3,Iq3)であり、第2電流指令値がp3(Id3,Iq3)であると決定する。また、このときの電流振幅をIs3とし、かつIs3>Is1であり、即ち、モータの出力トルクがいずれもTe1であることを満たす場合、電流指令p3の振幅が大きくなる。
【0058】
また、例えば、車両の通常走行状態において、モータ出力トルクがTe2である場合、走行電流指令が曲線L1にあり、第1電流指令値がp2(Id2,Iq2)である場合、このときの電流振幅がIs22であることを記録し、車両走行加熱状態に入る場合、走行電流指令が曲線L3にスライドでき、電流指令がp4であり、対応する座標が(Id4,Iq4)であり、第2電流指令値がp4(Id4,Iq4)であると決定する。また、このときの電流振幅をIs4とし、かつIs4>Is2であり、即ち、モータの出力トルクがいずれもTe2であることを満たす場合、電流指令p4の振幅が大きくなる。
【0059】
本開示のいくつかの実施例では、第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、車両の走行加熱時に、車両の通常走行状態での第1電流指令値を第2電流指令値に増加させ、出力トルクが変化しないことを満たす場合、電流振幅を大きくし、第2電流指令値を電気駆動システムに適用し、即ち、第2電流指令値は、電気駆動システムを制御して低効率で動作させる電流指令であり、第2電流指令値の第1d軸電流は、Id_lowで表され、第1q軸電流をIq_lowで表される。
【0060】
図6は、本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートであり、図6に示すように、第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整するステップ、即ち、上記ステップS4は、ステップS41及びステップS42を含み、具体的には、以下のとおりである。
【0061】
S41では、第1d軸電流及び第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得する。
【0062】
具体的には、モータは、3相モータを含んでもよく、3相駆動電圧信号は、3相モータに適応し、第1d軸電流Id_low及び第1q軸電流Iq_lowに基づいて、3相駆動電圧信号を取得する。
【0063】
S42では、第1キャリア周波数に基づいて、3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得する。
【0064】
実施例では、モータコントローラは、モータの動作状態を制御し、3相モータを例として、モータコントローラは、3相モータの動作状態をそれぞれ制御するための6つのスイッチングトランジスタを含んでもよく、第1キャリア周波数は、車両の通常走行状態でのキャリア周波数であり、車両の通常走行状態でのキャリア周波数に基づいて、3相駆動電圧信号を周波数変調して、モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得する。つまり、車両の走行加熱時に、車両の通常走行状態での電流指令値のみを変更し、車両の通常走行状態でのキャリア周波数を変更せず、調整された電流指令値及び車両の通常走行状態でのキャリア周波数に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してもよい。パルス幅変調信号は、モータコントローラにおける6つのスイッチングトランジスタの導通状態を制御するための6つの変調信号であってもよい。第2電流指令値と第1キャリア周波数との組み合わせをモータコントローラに出力して、より良好な加熱状態になるようにモータを制御する。
【0065】
本開示のいくつかの実施例では、第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、車両の走行加熱時に、車両の通常走行状態での第1電流指令値を第2電流指令値に増加させ、出力トルクが変化しないことを満たす場合、電流振幅を大きくし、第2電流指令値を電気駆動システムに適用する。
【0066】
図7は、本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートであり、図7に示すように、第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整するステップ、即ち、上記ステップS4は、ステップS43及びステップS44を更に含み、具体的には、以下のとおりである。
【0067】
S43では、第1d軸電流及び第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得する。
【0068】
具体的には、モータが3相モータであることを例として、車両の走行加熱時に、第1d軸電流Id_low及び第1q軸電流Iq_lowに基づいて、3相駆動電圧信号を取得する。
【0069】
S44では、第2キャリア周波数に基づいて、3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得する。
【0070】
実施例では、3相モータを例として、モータコントローラは、3相モータの動作状態をそれぞれ制御するための6つのスイッチングトランジスタを含んでもよい。第2キャリア周波数は、車両の通常走行状態でのキャリア周波数よりも大きく、第2キャリア周波数に基づいて、3相駆動電圧信号を周波数変調して、モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得する。つまり、車両の走行加熱時に、車両の通常走行状態での電流指令値及びキャリア周波数を同時に変更し、かつ調整された電流指令値及びキャリア周波数に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してもよい。パルス幅変調信号は、モータコントローラにおける6つのスイッチングトランジスタの導通状態を制御するための6つの変調信号であってもよい。第2電流指令値と第2キャリア周波数との組み合わせをモータコントローラに出力して、より良好な加熱状態になるようにモータを制御する。
【0071】
本開示のいくつかの実施例では、第1電流指令値は、第2d軸電流及び第2q軸電流を含み、車両の通常走行状態での電流指令は、第1電流指令値であり、車両が走行加熱動作状況に入ると、出力トルクが変化しないことを満たす場合、依然として第1回路指令値を電気駆動システムに適用することができ、第1電流指令値の第1d軸電流は、Id_refで表され、第1q軸電流は、Iq_refで表される。
【0072】
図8は、本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートであり、図8に示すように、第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整するステップ、即ち、上記ステップS4は、ステップS45及びステップS46を更に含み、具体的には、以下のとおりである。
【0073】
S45では、第2d軸電流及び第2q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得する。
【0074】
具体的には、モータは、3相モータを含んでもよく、3相駆動電圧信号は、3相モータに適応する。第1d軸電流Id_ref及び第1q軸電流Iq_refに基づいて、3相駆動電圧信号を取得する。
【0075】
S46では、第2キャリア周波数に基づいて、3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得する。
【0076】
実施例では、3相モータを例として、モータコントローラは、3相モータの動作状態をそれぞれ制御するための6つのスイッチングトランジスタを含んでもよい。第2キャリア周波数は、車両の通常走行状態でのキャリア周波数よりも大きく、第2キャリア周波数に基づいて、3相駆動電圧信号を周波数変調して、モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得する。つまり、車両の走行加熱時に、車両の通常走行状態での電流指令値を変更せず、車両の通常走行状態でのキャリア周波数のみを変更し、かつ車両の通常走行状態での電流指令値及び調整されたキャリア周波数に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してもよい。パルス幅変調信号は、モータコントローラにおける6つのスイッチングトランジスタの導通状態を制御するための6つの変調信号であってもよい。第2電流指令値と第2キャリア周波数との組み合わせをモータコントローラに出力して、より良好な加熱状態になるようにモータを制御する。
【0077】
本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法によれば、車両の走行動作状況において、動力電池に加熱需要がある場合、車両が通常走行状態から走行加熱状態に入り、車両の通常走行状態での電流指令値及び/又はキャリア周波数を相応に調整し、調整された電流指令値及び/又はキャリア周波数に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整することにより、電気駆動システムを制御して高損失状態で動作させて、大量の熱を発生させ、動力電池を加熱する需要を実現し、他の加熱機器を設ける必要がないため、動力電池を加熱する効率を向上させる。
【0078】
本開示のいくつかの実施例では、図9は、本開示の更に他の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法のフローチャートであり、図9に示すように、車両電気駆動システムの加熱制御方法は、ステップS101~S110を含み、具体的には、以下のとおりである。
【0079】
S101では、車両が走行状態にある。
【0080】
S102では、加熱指令を検出した。
【0081】
S103では、モータコントローラが故障を報告していないことを満たすか否かを判断し、判断結果が「Yes」であれば、ステップS104を実行し、判断結果が「No」であれば、ステップS110を実行し、終了して警報を行う。
【0082】
S104では、電気駆動システムは、走行加熱モードを実行する。
【0083】
S105では、モータコントローラが故障を報告したか否かを判断し、判断結果が「Yes」であれば、ステップS106を実行し、判断結果が「No」であれば、ステップS104を実行し続ける。
【0084】
S106では、終了して警報を行う。
【0085】
S107では、上位コンピュータからの終了指令を受信したか否かを判断し、判断結果が「Yes」であれば、ステップS108を実行し、判断結果が「No」であれば、ステップS109を実行する。
【0086】
S108では、走行加熱モードを終了する。
【0087】
S109では、走行加熱モードを実行し続ける。
【0088】
本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法によれば、車両が走行状態にあり、動力電池に加熱需要があるか、又はユーザが運転室を加熱する需要がある場合、走行加熱モードを実行するように電気駆動システムを制御し、電気駆動システムの損失量を向上させて大量の熱を発生させ、電気駆動システムをヒーターとすることにより、車両の走行状態での動力電池及び/又は車室内への加熱機能を実現する。
【0089】
本開示のいくつかの実施例では、図10は、本開示の一実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御装置のブロック図であり、図10に示すように、車両電気駆動システムの加熱制御装置100は、決定モジュール101と、パラメータ取得モジュール102と、加熱制御可能指令値取得モジュール103と、制御信号取得モジュール104と、制御モジュール105とを含む。
【0090】
決定モジュール101は、車両が走行状態にあると決定する。決定モジュール101は、速度センサ、アクセルセンサなどの装置を含んでもよく、車両の速度信号及びアクセル踏み込み信号などを取得することにより、検出された信号データに基づいて、車両が走行状態にあると決定することができる。
【0091】
パラメータ取得モジュール102は、加熱指令に応答して、モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、モータコントローラのキャリア指令値を取得する。車両動力電池に加熱需要がある場合、上位コンピュータは、加熱需要パラメータ値Isを含む加熱指令を送信する。パラメータ取得モジュール102は、モータの回転速度値N_cmdを取得するために、回転速度センサなどを含んでもよく、車両が走行加熱状態から車両の通常走行状態に入る場合、モータの出力トルクが変化しないように制御するため、車両の通常走行状態及び走行加熱状態時のトルク制御値Te_cmdが変化しない。
【0092】
加熱制御可能指令値取得モジュール103は、回転速度値及びトルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつトルク制御値及び第1電流指令値に基づいて、振幅が第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得し、及び/又は、キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、第1キャリア周波数に基づいて、第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得する。
【0093】
具体的には、式(1-1)に示すアルゴリズムに基づいて、加熱需要パラメータ値Isから回転速度補正値Δnを取得し、かつモータの回転速度値N_cmd、回転速度補正値Δn、走行電流指令曲線テーブル、及びトルク制御値Te_cmdに基づいて、第1電流指令値及び第2電流指令値を取得する。キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、第1キャリア周波数に基づいて、第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得する。
【0094】
制御信号取得モジュール104は、第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整する。制御モジュール105は、制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、電気駆動システムが熱を発生させる。3相モータを例として、制御信号は、6つの駆動信号であってもよい。
【0095】
具体的には、車両の走行動作状況において、車両が通常走行状態から走行加熱状態に入る場合、車両の通常走行状態での電流指令値及び/又はキャリア周波数を相応に調整し、調整された電流指令値及び/又はキャリア周波数に基づいて、モータコントローラの制御信号を調整し、モータコントローラが調整された制御信号に基づいて、モータの動作状態を制御することにより、電気駆動システムを制御して高損失状態で動作させて、大量の熱を発生させ、動力電池を加熱する需要を実現することができる。
【0096】
なお、本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御装置100の具体的な実現形態は、本開示の上記任意の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法の具体的な実現形態と類似し、具体的には、当該方法部分の説明を参照し、冗長性を低減するために、ここでは説明を省略する。
【0097】
本開示の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御装置100によれば、決定モジュール101、パラメータ取得モジュール102、加熱制御可能指令値取得モジュール103、制御信号取得モジュール104及び制御モジュール105のアーキテクチャに基づいて、車両の通常走行状態において、動力電池に加熱需要がある場合、モータの回転速度値、トルク制御値及びモータコントローラのキャリア指令値に基づいて、第2電流指令値及び第2キャリア周波数を取得し、かつ第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、モータコントローラの制御信号を調整してモータを制御して動作させるように車両電気駆動システムの加熱制御装置100を制御することにより、電気駆動システムを高損失状態で動作させ、大量の熱を放出し、動力電池及び車室内を加熱することができ、他の加熱機器を設ける必要がないため、動力電池を加熱する効率を向上させる。
【0098】
本開示のいくつかの実施例では、図11は、本開示のいくつかの実施例に係る車両加熱システムのブロック図であり、図11に示すように、車両加熱システム1は、電気駆動システム11と、熱交換システム12と、電気駆動制御装置13と、を含み、電気駆動システム11は、モータコントローラ111及びモータ112を含む。
【0099】
電気駆動制御装置13は、電気駆動システム11に接続され、上記いずれか1つの実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法で電気駆動システム11を制御して熱を発生させる。熱交換システム12は、電気駆動システム11によって発生された熱を吸収する。電気駆動制御装置13は、ソフトウェアによって様々なパラメータ信号の処理及び計算を実現することができ、複数の処理素子及びモジュールを含むハードウェア装置に統合することもできる。
【0100】
具体的には、車両の走行状態において、動力電池に加熱需要があるか、又はユーザが運転室を加熱する需要がある場合、電気駆動制御装置13は、調整された制御信号を電気駆動システム11に送信することができ、それにより、電気駆動システム11の損失量を向上させて電気駆動システム11における放熱媒体を加熱し、電気駆動システム11によって発生された熱を放熱媒体に移動させ、放熱媒体は、車両における、プレート熱交換器などの熱交換システム12と熱交換し、熱交換システム12は、当該熱の一部を収集して動力電池又は車室内に伝達し、車両の動作に必要な動力を満たすとともに、電気駆動システム11をヒーターとして、動力電池及び車室内を加熱する。
【0101】
本開示の実施例に係る車両加熱システム1は、従来の電気駆動システム11及び熱交換システム12のアーキテクチャに基づいて、電気駆動制御装置13を設けることにより、車両の走行状態において、加熱指令に応答してモータコントローラ111の制御信号を調整し、かつ調整された制御信号に基づいて、モータ112を制御して動作させることにより、電気駆動システム11が大量の熱を発生させて電気駆動システム11における放熱媒体を加熱し、放熱媒体が熱交換システム12と熱交換し、熱交換システム12が電気駆動システム11によって発生された熱を取得して動力電池及び/又は車室内を加熱することができる。当該車両加熱システム1は、外付けの加熱機器を必要とせず、部品コストを節約し、体積空間を節約し、取付方式がより柔軟であり、更に、動力電池を加熱する効率を向上させることができる。
【0102】
本開示のいくつかの実施例では、図12は、本開示の1つの実施例に係る車両のブロック図であり、図12に示すように、車両10は、動力電池2と、車両コントローラ3と、上記第3態様の実施例に係る車両加熱システム1と、を含む。
【0103】
車両コントローラ3は、動力電池2に加熱需要があると決定した場合、加熱指令を送信し、車両コントローラ3は、上位コンピュータであり、BMS又はVCUなどを含んでもよい。車両加熱システム1は、車両コントローラ3に接続され、加熱指令に応答して動力電池2を加熱する。
【0104】
具体的には、動力電池2に加熱需要がある場合、車両コントローラ3は、加熱指令を車両加熱システム1に送信し、車両加熱システム1は、車両10が走行状態にあることを検出し、加熱指令に応答してモータコントローラ111の制御信号を調整し、調整された制御信号に基づいてモータ112を制御して動作させることにより、電気駆動システム11が熱を発生させ、電気駆動システム11自体の消費熱を増加させることにより、電気駆動システム11における放熱媒体を加熱し、放熱媒体が動力電池2を流れる場合、熱を動力電池2に伝達することにより、車両10が走行する場合に動力電池2を加熱する機能を実現する。ユーザが車室内を加熱する需要がある場合、関連指令を車両コントローラ3に送信してもよく、車両コントローラ3は、当該指令に応答して、加熱指令を車両加熱システム1に送信して、車両加熱システム1を制御して上記任意の実施例に係る車両電気駆動システムの加熱制御方法に従って動作させて、車室内に熱を供給する。
【0105】
本開示の実施例に係る車両10によれば、走行状態において、車両コントローラ3は、動力電池2の加熱需要に応じて、加熱指令を車両加熱システム1に送信し、車両加熱システム1は、加熱指令に応答してモータコントローラ111の制御信号を調整し、調整された制御信号に基づいてモータ112を制御して動作させることにより、電気駆動システム11が熱を発生させ、電気駆動システム11をヒーターとして動力電池2を加熱することにより、既存のハードウェア機器により直接実現することができ、外付けの加熱機器を必要とせず、部品コストを節約し、体積空間を節約し、かつ取付方式がより柔軟であり、更に、動力電池2を加熱する効率を向上させることができる。
【0106】
本開示の実施例に係る車両10の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0107】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照した説明は、当該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料又は特点が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるわけではない。
【0108】
本開示の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本開示の原理及び目的を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 車両
1 車両加熱システム、
2 動力電池、
3 車両コントローラ、
11 電気駆動システム、
12 熱交換システム、
13 電気駆動制御装置、
111 モータコントローラ、
112 モータ、
100 車両電気駆動システムの加熱制御装置、
101 決定モジュール、
102 パラメータ取得モジュール、
103 加熱制御可能指令値取得モジュール、
104 制御信号取得モジュール、
105 制御モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータコントローラ及びモータを含む車両電気駆動システムの加熱制御方法であって、
車両が走行状態にあると決定するステップと、
加熱指令に応答して、前記モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、前記モータコントローラのキャリア指令値を取得するステップと、
少なくとも以下のいずれか一つのステップを含むステップであって、前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつ前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得するステップ又は、前記キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、前記第1キャリア周波数に基づいて、前記第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得するステップと、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップと、
調整された前記制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、前記車両電気駆動システムが熱を発生させるステップと、を含む、車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項2】
前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得するステップは、
前記加熱指令に基づいて、加熱電流値又は加熱電力値を含む加熱需要パラメータ値を取得するステップと、
前記加熱需要パラメータ値に基づいて、回転速度補正値を取得するステップと、
前記回転速度補正値及び前記回転速度値に基づいて、回転速度基準値を取得するステップと、
前記回転速度基準値に基づいて、走行電流指令曲線テーブルをルックアップして目標走行電流指令曲線を決定するステップと、
前記トルク制御値及び前記目標走行電流指令曲線に基づいて、前記第1電流指令値を取得するステップと、を含む、請求項1に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項3】
前記加熱需要パラメータ値に基づいて、回転速度補正値を取得するステップは、
下記式に従って前記回転速度補正値を計算するステップを含み、
Δn=k*Is
ここで、Δnは前記回転速度補正値であり、kはキャリブレーション値であり、Isは加熱需要パラメータ値である、請求項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項4】
前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、第2電流指令値を取得するステップは、
前記トルク制御値をそのまま保持し、前記走行電流指令曲線テーブルをルックアップして、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい電流指令値を前記第2電流指令値として取得するステップを含む、請求項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項5】
前記第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、
前記第1d軸電流及び前記第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、
前記第1キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む、請求項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項6】
前記第2電流指令値は、第1d軸電流及び第1q軸電流を含み、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、
前記第1d軸電流及び前記第1q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、
前記第2キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む、請求項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項7】
前記第1電流指令値は、第2d軸電流及び第2q軸電流を含み、
前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整するステップは、
前記第2d軸電流及び前記第2q軸電流を変換して3相駆動電圧信号を取得するステップと、
前記第2キャリア周波数に基づいて、前記3相駆動電圧信号をパルス幅変調して、前記モータコントローラを駆動するパルス幅変調信号を取得するステップと、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法。
【請求項8】
決定モジュールと、パラメータ取得モジュールと、加熱制御可能指令値取得モジュールと、制御信号取得モジュールと、制御モジュールと、を含み、
前記決定モジュールは、車両が走行状態にあると決定し、
前記パラメータ取得モジュールは、加熱指令に応答して、前記モータの回転速度値及びトルク制御値を取得し、前記モータコントローラのキャリア指令値を取得し、
前記加熱制御可能指令値取得モジュールは、前記回転速度値及び前記トルク制御値に基づいて、第1電流指令値を取得し、かつ前記トルク制御値及び前記第1電流指令値に基づいて、振幅が前記第1電流指令値の振幅よりも大きい第2電流指令値を取得し、及び/又は、前記キャリア指令値に基づいて、第1キャリア周波数を取得し、前記第1キャリア周波数に基づいて、前記第1キャリア周波数よりも大きい第2キャリア周波数を取得し、
前記制御信号取得モジュールは、前記第2電流指令値及び第2キャリア周波数のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モータコントローラの制御信号を調整し、
前記制御モジュールは、前記制御信号に基づいて、モータを制御して動作させることにより、前記電気駆動システムが熱を発生させる、車両電気駆動システムの加熱制御装置。
【請求項9】
電気駆動システムと、熱交換システムと、電気駆動制御装置と、を含み、
前記電気駆動システムは、モータコントローラ及びモータを含み、
前記熱交換システムは、前記電気駆動システムによって発生された熱を吸収し、
前記電気駆動制御装置は、前記電気駆動システムに接続され、請求項1~のいずれか一項に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法で前記電気駆動システムを制御して熱を発生させる、車両加熱システム。
【請求項10】
動力電池と、車両コントローラと、請求項9に記載の車両加熱システムと、を含み、
前記車両コントローラは、動力電池に加熱需要があると決定した場合、加熱指令を送信し、
前記車両加熱システムは、前記車両コントローラに接続され、前記加熱指令に応答して前記動力電池を加熱する、車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
従来技術において、電気自動車には、PTCヒーター(正の温度係数を持つヒーター)などの独立した加熱機器が設けられ、加熱機器は、放熱装置における液体媒体を加熱して、動力電池に熱を供給することにより、電池が急速に昇温してその通常の動作温度区間に達し、それにより、電気自動車駆動システムの駆動能力又は充電システムの充電能力を確保する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
上記目的を達成するために、本開示の第3態様の実施例に係る、車両加熱システムは、電気駆動システムと、熱交換システムと、電気駆動制御装置と、を含み、前記電気駆動システムは、モータコントローラ及びモータを含み、前記熱交換システムは、前記電気駆動システムによって発生された熱を吸収し、前記電気駆動制御装置は、前記電気駆動システムに接続され、上記いずれか一の実施例に記載の車両電気駆動システムの加熱制御方法で前記電気駆動システムを制御して熱を発生させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
本開示のいくつかの実施例では、第1電流指令値は、第2d軸電流及び第2q軸電流を含み、車両の通常走行状態での電流指令は、第1電流指令値であり、車両が走行加熱動作状況に入ると、出力トルクが変化しないことを満たす場合、依然として第1電流指令値を電気駆動システムに適用することができ、第1電流指令値の第1d軸電流は、Id_refで表され、第1q軸電流は、Iq_refで表される。
【国際調査報告】