(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】注入用の圧力調節コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240705BHJP
A61M 39/24 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61M5/142
A61M39/24 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571889
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022034988
(87)【国際公開番号】W WO2023278274
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジャニス アール.
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066HH01
4C066QQ15
(57)【要約】
医療用流体の制御された送達のためのシステムは、エラストマーポンプと、医療用流体を患者に送達するために、一方の側でエラストマーポンプに流体結合され、反対側でカテーテルに流体結合された弁部材と、エラストマーポンプと弁部材を流体結合するチューブとを含むことができる。エラストマーポンプは、エラストマー膜、およびエラストマー膜を取り囲むシェルを含むことができる。医療用流体の圧力は、静脈を開いた状態に保つために静脈の圧力よりも大きくすることができる。弁部材は、初期閉位置と、医療用流体が所定の流体流量で患者の静脈に送達される全開位置と、医療用流体が所定の流体流量を下回る流量で患者の静脈に送達される少なくとも1つの中間開流位置との間で移動可能とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用流体の制御された送達のためのシステムであって、
前記医療用流体を収容するエラストマーポンプであって、前記エラストマーポンプは、前記医療用流体を収容するチャンバを画定するエラストマー膜、および前記エラストマー膜を取り囲むシェルを備えるエラストマーポンプと、
前記医療用流体を患者の静脈に選択的に送達するために、一方の側で前記エラストマーポンプに流体結合され、反対側でカテーテルに流体結合された弁部材であって、
前記医療用流体の圧力は、前記静脈を開いた状態に保つために所定の値だけ前記静脈の圧力よりも大きく、
前記弁部材は、初期閉位置と、前記医療用流体が所定の流体流量で前記患者の前記静脈に送達される全開位置と、前記医療用流体が前記所定の流体流量を下回る流量で前記患者の前記静脈に送達される少なくとも1つの中間開流位置との間で移動可能である
弁部材と、
前記エラストマーポンプと前記弁部材との間に介在し、前記エラストマーポンプと前記弁部材を流体結合するチューブと
を備える、システム。
【請求項2】
前記弁部材が、逆止弁を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記弁部材が、ストップコック弁を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ストップコック弁が、
ベース部分であって、前記ベース部分の少なくとも一部を通って長手方向に延びる管腔を有する長手方向に延びる本体を備えるベース部分と、
ハンドル、および前記ハンドルから長手方向に延び、前記管腔に少なくとも部分的に配置されたステムを備える本体部分と
を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ベース部分が、外面と、前記管腔を画定する内面と、前記内面と前記外面との間に画定された側壁とを有する円筒状に延びる長手方向本体を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記円筒状に延びる長手方向本体が、前記側壁を通って延びる入口開口と、前記ベース部分の前記側壁の反対側を通って延びる出口開口とを備え、前記入口開口および前記出口開口が、前記ベース部分を前記チューブの管腔に流体結合する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ステムが、前記本体を通って横方向に延びる複数の流路を含む本体を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の流路が、前記本体の円周に沿って互いに長手方向に離間している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の流路が、異なるサイズを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の流路が、第1の直径を有する第1の流路と、第2の直径を有する第2の流路と、第3の直径を有する第3の流路とを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ベース部分の前記内面が、複数のねじ山を備え、前記ステムが、その外面に複数の相補的なねじ山を備え、
前記相補的なねじ山の係合構成において、前記本体部分が、前記管腔内で近位および遠位に前記本体部分を並進させるために前記ベース部分の中心軸を中心に回転可能である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の流路が、第1の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列され、前記第2の流路が、第2の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列され、前記第3の流路が、第3の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列される、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
医療用流体の制御された送達のためのシステムであって、
第1の圧力で前記医療用流体を収容するエラストマーポンプであって、前記エラストマーポンプは、前記医療用流体を収容するチャンバを画定するエラストマー膜、および前記エラストマー膜を取り囲むシェルを備えるエラストマーポンプと、
(i)内腔、入口開口、および出口開口を含むベース部分、ならびに(ii)前記内腔内に少なくとも部分的に配置され、ハンドルを含むステムを含む本体部分であって、前記ステムは、前記ステムを通って延び、異なるサイズの流体経路を画定する複数の流路を備える本体部分を備える弁部材であって、
前記弁部材は、前記医療用流体を、患者の静脈を開いた状態に保つために所定の値だけ前記第1の圧力よりも低い第2の圧力を有する前記患者の静脈に選択的に送達するために、前記流路の各々を介して前記エラストマーポンプとカテーテルを流体結合する
弁部材と、
前記エラストマーポンプと、前記弁部材と、前記カテーテルとの間に介在し、前記エラストマーポンプと、前記弁部材と、前記カテーテルを流体結合するチューブと
を備える、システム。
【請求項14】
前記弁部材が、(i)前記ステムが前記ベース部分の前記内腔を閉塞し、前記エラストマーポンプと前記カテーテルとの間の流体連通を遮断する初期閉位置と、(ii)前記医療用流体が前記患者の静脈を開いた状態に保つために所定の流体流量で前記患者の静脈に送達されるように、前記流路の各々が前記エラストマーポンプと前記カテーテルを選択的に流体結合する複数の開位置との間で移動可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の流路が、前記ステムの円周に沿って互いに長手方向に離間している、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の流路が、異なるサイズを有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ベース部分の内面が、複数のねじ山を備え、前記ステムが、その外面に複数の相補的なねじ山を備え、
前記相補的なねじ山の係合構成において、前記本体部分が、前記内腔内で近位および遠位に前記本体部分を並進させるために前記ベース部分の中心軸を中心に回転可能である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の流路が、第1の直径を有する第1の流路と、第2の直径を有する第2の流路と、第3の直径を有する第3の流路とを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の流路が、第1の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの管腔と同軸に整列され、前記第2の流路が、第2の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列され、前記第3の流路が、第3の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の流量条件が、第1の所定の流体流量を備え、前記第2の流量条件が、第2の所定の流体流量を備え、前記第3の流量条件が、第3の所定の流体流量を備え、前記第2の所定の流体流量が、前記第1の流体の所定の流量よりも大きく、前記第3の所定の流体流量が、前記第2の所定の流体流量よりも大きい、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エラストマーポンプによる患者への医療用流体の投与に関し、特に、エラストマーポンプおよび開静脈維持血管ライン補助装置(keep-vein-open vascular line assist device)を含む、医療用流体の制御された送達のための改良されたシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、一般に、様々な注入療法に使用される。例えば、カテーテルは、生理食塩水、様々な薬剤、および完全非経口栄養などの流体を患者に注入するために使用され得る。カテーテルはまた、患者から血液を採取するために使用されてもよい。
【0003】
一般的なタイプのカテーテルは、オーバーザニードル末梢静脈(「IV」)カテーテルである。その名称が示すように、オーバーザニードルカテーテルは、鋭い遠位先端を有するイントロデューサ針の上に装着されてもよい。カテーテルアセンブリは、カテーテルハブを含むことができ、カテーテルは、カテーテルハブから遠位に延び、イントロデューサ針は、カテーテルを通って延びる。カテーテルおよびイントロデューサ針は、イントロデューサ針の遠位先端がカテーテルの遠位先端を越えて延び、針のベベルが患者の皮膚から離れて上を向くように組み立てることができる。カテーテルおよびイントロデューサ針は、一般に、皮膚を通して患者の血管系内に浅い角度で挿入される。
【0004】
血管内のイントロデューサ針および/またはカテーテルの適切な載置を検証するために、臨床医は、一般に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバ内に血液の「フラッシュバック」があることを確認する。針の載置が確認されると、臨床医は血管系内の流れを一時的に閉塞し、針を取り除き、将来の採血または流体注入のためにカテーテルを所定の位置に残すことができる。
【0005】
背景技術のセクションで提供される説明は、単に背景技術のセクションで言及されているか、または背景技術のセクションに関連付けられているという理由で、従来技術であると仮定されるべきではない。背景技術のセクションは、主題技術の1つまたは複数の態様を記述する情報を含むことができる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の様々な実施形態によれば、医療用流体の制御された送達のためのシステムは、医療用流体を収容するエラストマーポンプと、医療用流体を患者の静脈に選択的に送達するために、一方の側でエラストマーポンプに流体結合され、反対側でカテーテルに流体結合された弁部材と、エラストマーポンプと弁部材との間に介在し、エラストマーポンプと弁部材を流体結合するチューブとを含むことができる。エラストマーポンプは、医療用流体を収容するチャンバを画定するエラストマー膜、およびエラストマー膜を取り囲むシェルを含むことができる。医療用流体の圧力は、静脈を開いた状態に保つために所定の値だけ静脈の圧力よりも大きくすることができる。弁部材は、初期閉位置と、医療用流体が所定の流体流量で患者の静脈に送達される全開位置と、医療用流体が所定の流体流量を下回る流量で患者の静脈に送達される少なくとも1つの中間開流位置との間で移動可能とすることができる。
【0007】
本開示の様々な実施形態によれば、医療用流体の制御された送達のためのシステムは、第1の圧力で医療用流体を収容するエラストマーポンプと、エラストマーポンプとカテーテルを流体結合する弁部材と、エラストマーポンプと、弁部材と、カテーテルとの間に介在し、エラストマーポンプと、弁部材と、カテーテルを流体結合するチューブとを含むことができる。エラストマーポンプは、医療用流体を収容するチャンバを画定するエラストマー膜、およびエラストマー膜を取り囲むシェルを含むことができる。弁部材は、(i)内腔、入口開口、および出口開口を含むベース部分、ならびに(ii)内腔内に少なくとも部分的に配置され、ハンドルを含むステムを含む本体部分を含むことができる。ステムは、ステムを通って延び、異なるサイズの流体経路を画定する複数の流路を有することができる。弁部材は、医療用流体を、患者の静脈を開いた状態に保つために所定の値だけ第1の圧力よりも低い第2の圧力を有する患者の静脈に選択的に送達するために、流路の各々を介してエラストマーポンプとカテーテルを流体結合することができる。
【0008】
主題技術の他の構成は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになることが理解され、ここで主題技術の様々な構成は例示として示され説明される。理解されるように、主題技術は、他のおよび異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて主題技術の範囲から逸脱することなく、様々な他の点で修正が可能である。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【0009】
以下の図は、実施形態の特定の態様を説明するために含まれ、排他的な実施形態と見なされるべきではない。開示される主題は、当業者が想到し、本開示の利益を有するように、形態および機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、および均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、エラストマーポンプおよび開静脈維持血管ライン補助装置を含む医療用流体の制御された送達のためのシステムを示す図である。
【
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、開静脈維持血管ライン補助装置の断面図である。
【
図1C】本開示のいくつかの実施形態による、開静脈維持血管ライン補助装置の分解断面図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、初期閉条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、第1の流量条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、第2の流量条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、第3の流量条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載される詳細な説明は、主題技術の様々な構成を説明するものであり、主題技術が実践され得る構成のみを表すことを意図するものではない。詳細な説明は、主題技術の完全な理解を提供する目的のために特定の詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な例として特定の態様について提供され得る。しかし、主題技術がこれらの特定の詳細なしに実践され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの例では、主題技術の概念を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造および構成要素がブロック図形式で示されている。
【0012】
本開示は、主題技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないことを理解されたい。ここで、主題技術の様々な態様が、特定であるが非限定的な例に従って開示される。本開示に記載される様々な実施形態は、異なる方法および変形で、所望の用途または実施態様に従って実行することができる。
【0013】
カテーテルが患者の静脈に載置された後に患者の静脈を開いた状態に保つために、患者に制御された速度で長期間にわたって医療用流体を静脈内供給することがしばしば必要である。現在、カテーテルが載置された後に静脈を開いた状態に保つために、手動シリンジフラッシュが投与されている。しかし、これは多くの場合、臨床医にとって困難な作業であり、血管アクセスラインの連続的なフラッシングがないため、必ずしも静脈を開いた状態に保つとは限らない。フラッシュが投与される頻度は患者にも依存し、外来患者は定期的なフラッシュを受けないため、潜在的な閉塞および感染を引き起こす可能性がある。
【0014】
本開示の様々な実施形態は、医療用流体の制御された送達のためのシステムおよび装置を提供することを対象とする。医療用流体の制御された送達のためのシステムおよび装置は、エラストマーポンプと、開静脈維持血管ライン補助装置とを含むことができる。開静脈維持血管ライン補助装置(本明細書では弁部材、逆止弁、またはストップコック弁とも呼ばれる)は、有利には、連続使用していないときに血管アクセスラインを開いた状態に保つことが可能である。本明細書に記載の様々な実施形態の開静脈維持血管ライン補助装置は、有利には、エラストマーポンプが空になるまで、制御された圧力下で血管アクセスラインの連続的なフラッシングを提供することができる。したがって、カテーテル閉塞およびカテーテル感染に関連する患者に対する潜在的な害を低減または回避することができる。開静脈維持血管ライン補助装置はまた、血管アクセス維持規制へのコンプライアンスを高め、医療従事者がシリンジでラインを手動でフラッシングするのに費やす時間の量を短縮するのに役立ち得る。さらに有利には、開静脈維持血管ライン補助装置はまた、特に流体の蓄積に対してより敏感であり得る患者のために、制御された量の流体を患者に提供することができる。
【0015】
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、エラストマーポンプおよび開静脈維持血管ライン補助装置を含む医療用流体の制御された送達のためのシステムを示している。本開示の様々な実施形態によれば、医療用流体の制御された送達のためのシステム100は、エラストマーポンプ110と、エラストマーポンプ110に流体結合された開静脈維持血管ライン補助装置140(本明細書では弁部材140とも呼ばれる)とを含むことができる。図示のように、弁部材140は、チューブ165、場合によってはルアーコネクタを介して一方の側でエラストマーポンプ110に結合されてもよい。弁部材140は、医療用流体を患者50の静脈55に選択的に送達するために、反対側でカテーテル170にさらに結合されてもよい。
【0016】
本開示の様々な実施形態によれば、医療用流体の制御された送達のためのシステム100と共に使用するためのエラストマーポンプ110は、拡張可能かつ収縮可能であり、医療用液体、気体、酸素、または液体と気体の組み合わせなどの一定量の医療用流体を受け入れて収容するためのチャンバ111を内部に画定するエラストマー膜112を含む。動作中、チャンバ111は、内部に収容された医療用流体に対して圧力を加えて医療用流体をエラストマー膜112から押し出し、カテーテル170を通して医療用流体を治療を受けている患者に分配することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、エラストマー膜は、エラストマーポンプ110を充填するためのシリンジまたは同様の装置に接続するための入口ポート114をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテル170に接続してエラストマーポンプから医療用流体を分配するために、チャンバ111および弁部材140と流体連通する出口ポート116がエラストマー膜112内に形成されている。
【0018】
本開示の様々な実施形態によれば、エラストマーポンプ110は、エラストマー膜112が位置する内部空間122を画定するシェル120を含むことができる。可撓性の医療グレードのチューブの形態であり得るIVチューブ165は、エラストマー膜112および弁部材140に結合されてもよく、弁部材140ならびにエラストマー膜112の出口ポート116およびチャンバ111と連通する流体通路または管腔167を画定してもよい。
【0019】
本開示の様々な実施形態によれば、拡張可能エラストマー膜112は、入口ポート114に対応する第1の開放軸方向端部と、第1の開放軸方向端部の反対側の、出口ポート116に対応する第2の開放軸方向端部とを有する円筒管の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、エラストマー膜112は、医療グレードの低デュロメータシリコーン材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、シリコーンは、そのエラストマー性質のための材料として使用され得る。エラストマー膜112は、好ましくはシリコーン材料から形成されてもよいが、ポリマーまたは合成ゴムまたはラテックス材料などの他のエラストマーおよび材料を使用してもよい。
【0020】
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、(本明細書では弁部材140とも呼ばれる)開静脈維持血管ライン補助装置の断面図を示している。
図1Cは、本開示のいくつかの実施形態による、(本明細書では弁部材140とも呼ばれる)開静脈維持血管ライン補助装置の分解断面図を示している。いくつかの実施形態では、弁部材140は、逆止弁の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、
図1A~
図1Cに示されるように、弁部材140は、ストップコック弁であってもよい。例えば、本開示の様々な実施形態によれば、ストップコック弁140は、内腔144と、入口開口146と、出口開口148とを含むベース部分142を含んでもよい。
【0021】
図示のように、ベース部分142は、外面143と、管腔144を画定する内面145と、内面145と外面143との間に画定された側壁147とを有する円筒状に延びる長手方向本体の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、円筒状に延びる長手方向本体は、ベース部分142をIVチューブ165の管腔167に流体結合するために、ベース部分142の側壁147の対向する側を通って長手方向に延びる開口を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ベース部分142の側壁147の対向する側を通って長手方向に延びる開口は、IVチューブ165の第1のセグメントに結合された入口開口146と、IVチューブ165の第2のセグメントに結合された出口開口とを含んでもよい。入口開口146および出口開口148は、ベース部分142の円筒状に延びる長手方向本体上の互いに鏡像反転する位置に軸方向に整列され得る。
【0022】
本開示の様々な実施形態によれば、弁部材140は、管腔144内に少なくとも部分的に配置されたステム152と、ハンドル154とを含む本体部分150をさらに含むことができる。図示のように、ステム152は、本体を通って横方向に延びる少なくとも1つの流路を含む本体の形態であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、弁ステム152は、本体を通って横方向に延びる複数の流路を含むことができる。特に、ステム152は、ステム152を通って延びる複数の流路160、162、および164を含むことが可能である。各流路160、162、164は、ベース部分142の入口開口146および出口開口148と整列されると、弁部材140を通る流体経路を画定することができる。図示の実施形態では、ステム152は、第1の流路160と、第2の流路162と、第3の流路164とを含むが、本開示の様々な実施形態は上述の構成に限定されない。いくつかの実施形態では、ステム152は、複数の流路を含んでもよく、他の実施形態では、ステム152は、2つ以下の流路を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、流路160、162、164は、異なるサイズを有することができ、それによって弁部材140を通る異なるサイズの流体流路を画定する。例えば、いくつかの実施形態では、第1の流路160は、第1の直径を有してもよく、第2の流路162は、第2の直径を有してもよく、第3の流路は、第3の直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、流路160、162、164のサイズまたは直径は、異なっていてもよい。例えば、第2の直径は、第1の直径よりも大きくてもよく、第3の直径は、第2の直径よりも大きくてもよい。本明細書では、第2の流路162のサイズまたは直径が第1の流路160のサイズまたは直径よりも大きく、第3の流路のサイズまたは直径が第2の流路のサイズまたは直径よりも大きい流路160、162、および164について説明したが、本開示の様々な実施形態は上述の構成に限定されない。いくつかの実施形態では、第1の流路160が第2の流路162よりも大きく、第2の流路162が第3の流路164よりも大きくなるように順序を逆にしてもよい。
【0024】
図2~
図5に関してさらに詳細に説明するように、異なる直径を有する第1、第2、および第3の流路160、162、および164は、弁部材を通って患者の静脈55に流れる医療用流体の異なる流量を可能にすることができる。例えば、最小の直径を有する第1の流路は、第2の流路よりも遅い流体流量を可能にすることができ、第2の流路162は、第3の流路164よりも小さい流量であるが第1の流路160よりも大きい流量を可能にすることができ、第3の流路は、3つの流路160、162、および164の中で最大の流量を可能にすることができる。
【0025】
異なるサイズを有する複数の流路を有する上述の構成は、有利には、(i)流路160、162、および164のいずれも入口開口146および出口開口148と整列されない初期閉位置と、(ii)第3の流路164が入口開口146および出口開口148ならびにチューブ管腔167と整列され、医療用流体が第1の(最大の)流体流量および/または圧力で患者の静脈に送達される全開位置と、(iii)第1の流路160が入口開口146および出口開口148ならびにチューブ管腔167と整列され、第2の流路162が入口開口146および出口開口148ならびにチューブ管腔167と整列され、それにより医療用流体が、静脈55を開いたままにするために第1の流体流量よりも低い第2および第3の流量で患者の静脈に送達される中間流位置との間で弁部材140を回転可能にすることを可能にすることができる。
【0026】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、初期閉条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。本開示の様々な実施形態によれば、複数の流路160、162、および164は、ステム152の円周に沿って互いに長手方向に離間していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、流路160、162、および164の各々は、ステム152の長さに沿って異なる高さに位置決めされてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、ベース部分142の内面145は、複数のねじ山149Aを含むことができ、ステム152はまた、その外面に複数の相補的なねじ山149Bを含むことができる。相補的なねじ山149Aおよび149Bは、弁部材140のベース部分142と本体部分150を回転可能に結合するために互いに係合することができるように設計することができる。例えば、相補的なねじ山149Aおよび149Bの係合構成において、本体部分150は、ベース部分142の管腔144内で近位および遠位に本体部分150を並進させるためにベース部分142の中心軸Xを中心に回転可能であってもよい。
【0028】
本開示の様々な実施形態によれば、弁部材140は、開静脈維持血管ライン補助装置のいくつかの状態または流量条件を画定することができる。
図2は、開静脈維持血管ライン補助装置の初期閉条件または流量条件なしの状態を図示する。閉条件または流量条件なしの状態では、第1、第2、または第3の流路160、162、および164のいずれも、ベース部分142の入口開口146および出口開口148(本明細書では開口対とも呼ばれる)と整列していない。したがって、ステム152は、ベース部分142の内腔144を閉塞し、エラストマーポンプ110とカテーテル170との間の流体連通を遮断する。例えば、ステム152は、医療用流体(例えば、IV流体)がカテーテル170および患者に送達されないように、入口開口146におけるIVチューブ165の第1のセグメントと出口開口148におけるIVチューブ165の第2のセグメントとの間の流体連通を遮断することができる。
【0029】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、第1の流量条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。
図3に図示されるように、第1の流量条件では、第1の流路160は、ベース部分142の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と同軸に整列されてもよい。したがって、ステム152は、第1の流路160を介してエラストマーポンプ110とカテーテル170を流体連通させる。例えば、第1の流量条件では、第1の流路160は、入口開口146におけるIVチューブ165の第1のセグメントと出口開口148におけるIVチューブ165の第2のセグメントを流体連通させることができ、それにより医療用流体(例えば、IV流体)は、第1の流路のサイズまたは直径に部分的に基づき得る第1の所定の流体流量でカテーテル170および患者に送達することができる。第1の流路160のサイズまたは直径は第2の流路162および第3の流路164のサイズまたは直径よりも小さくてもよいので、第1の所定の流体流量は、第2の流路162および第3の流路164を通る流体流量よりも少なくなり得る。
【0030】
上述の構成は、患者の静脈を開いた状態に保つ目的で、減少したまたは最小流量の医療用流体が患者に投与されることが望ましい場合、弁部材140を第1の流量条件に回転させることができるという点で有利であり得る。例えば、
図3に図示されるように、弁部材140のハンドル154を時計回りに回転させ、本体部分150を上方または近位に並進させ、第1の流路160をベース部分の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と整列させることができる。したがって、第1の流量条件は、
図4および
図5に関して以下に説明する第2および第3の流量条件と比較して減少した流量で医療用流体を患者に送達することが可能である。
【0031】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、第2の流量条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。
図4に図示されるように、第2の流量条件では、第2の流路162は、ベース部分142の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と同軸に整列されてもよい。したがって、ステム152は、第2の流路160を介してエラストマーポンプ110とカテーテル170を流体連通させる。例えば、第2の流量条件では、第2の流路162は、入口開口146におけるIVチューブ165の第1のセグメントと出口開口148におけるIVチューブ165の第2のセグメントを流体連通させることができ、それにより医療用流体(例えば、IV流体)は、第2の流路162のサイズまたは直径に部分的に基づき得る第2の所定の流体流量でカテーテル170および患者に送達することができる。第2の流路162のサイズまたは直径は第1の流路160のサイズまたは直径よりも大きく、第3の流路164のサイズまたは直径よりも小さくてもよいので、第2の所定の流体流量は、第1の所定の流体流量よりも大きく、第3の流路164を通る流体流量よりも少なくなり得る。
【0032】
上述の構成は、患者の静脈を開いた状態に保つ目的で、減少したまたは最小流量の医療用流体が患者に投与されることが望ましい場合、弁部材140を第2の流量条件に回転させることができるという点で有利であり得る。例えば、
図3に図示されるように、弁部材140のハンドル154をさらに時計回りに回転させ、本体部分150をさらに上方または近位に並進させ、第1の流路160をベース部分の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と整列させることができる。したがって、第1の流量条件は、上述の第1の流量条件における第1の所定の流体流量よりも大きいが、後述する第3の流量条件よりも少ない中間流量で医療用流体を患者に送達することができる。したがって、第2の流量条件は、有利には、医療用流体を敏感な静脈または静脈を有する患者に送達するように作動させることができ、この場合、
図5に関して以下に説明する第3の流量条件の大きさに対する医療用流体の流量または圧力に対処することが不可能である。
【0033】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、第3の流量条件にある開静脈維持血管ライン補助装置の等角図である。
図5に図示されるように、第3の流量条件では、第3の流路164は、ベース部分142の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と同軸に整列されてもよい。したがって、ステム152は、第3の流路164を介してエラストマーポンプ110とカテーテル170を流体連通させる。例えば、第3の流量条件では、第3の流路164は、入口開口146におけるIVチューブ165の第1のセグメントと出口開口148におけるIVチューブ165の第2のセグメントを流体連通させることができ、それにより医療用流体(例えば、IV流体)は、第3の流路164のサイズまたは直径に部分的に基づき得る第1の所定の流体流量でカテーテル170および患者に送達することができる。第3の流路164のサイズまたは直径は第1の流路160および第2の流路162のサイズまたは直径よりも大きくてもよいので、第3の所定の流体流量は、第1の流路160および第2の流路162を通る流体流量よりも大きくなり得る。
【0034】
上述の構成は、例えば医療用流体を投与する通常の過程の間、最大流量の医療用流体が患者に投与されることが望ましい場合、弁部材140を第3の流量条件に回転させることができるという点で有利であり得る。したがって、第3の流量条件は、弁部材140の全開位置であり得る。例えば、
図5に図示されるように、弁部材140のハンドル154をさらに時計回りに回転させ、本体部分150をさらに上方または近位に並進させ、第3の流路164をベース部分142の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と整列させることができる。したがって、第3の流量条件は、
図3および
図4に関して上述した第2および第3の流量条件と比較して増加した流量で医療用流体を患者に送達することが可能である。
【0035】
本開示の様々な実施形態によれば、エラストマーポンプ110は、エラストマー膜に含まれる医療用流体の圧力を使用して、医療用流体をIVチューブ165内に注入する。エラストマーポンプは、患者の静脈に損傷/傷のリスクを引き起こすことなく、安全限界内で血管圧を超える設定圧力まで生理食塩水/滅菌流体で予め充填されてもよい。エラストマーポンプ110が充填されると、エラストマー膜は、医療用流体圧力下で伸張する。エラストマー膜112が伸張し続けると、エラストマー膜112のチャンバ111は、内部に収容された医療用流体に対して圧力を加えて医療用流体をエラストマー膜112から押し出し、IVチューブ165を通して医療用流体を駆動することができる。いくつかの実施形態では、IVチューブ165は、カテーテル170および関連する患者血管ラインに接続する前にプライミングされてもよい。患者血管ラインに接続した後、弁部材は、医療用流体を分配し、かつ血管ラインを安全に開いた状態に保つために、第1、第2、または第3の流量条件のいずれかに回転させることができる。第1、第2、または第3の流量条件のいずれかで医療用流体を患者に投与している間、エラストマーポンプ110内の医療用流体の圧力は、有利には、患者の静脈55を開いて明確な状態に保つために血管圧の閾値を超えたままである。
【0036】
動作中、完全な流量の医療用流体の所望される場合(例えば、第3の流量条件)、弁部材140の本体部分150は、第3の流路164がベース部分142の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と同軸に整列され得るように回転させることができる。したがって、ステム152は、医療用流体を患者に分配するために、第3の流路164を介してエラストマーポンプ110とカテーテル170を流体連通させることが可能である。
【0037】
様々な実施形態によれば、減少した流量の医療用流体の所望される場合(例えば、第2の流量条件)、弁部材140の本体部分150は、第2の流路162がベース部分142の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と同軸に整列され得るように回転させることができる。したがって、ステム152は、第3の流量条件よりも小さい流量および/または圧力で医療用流体を患者に分配するために、第2の流路162を介してエラストマーポンプ110とカテーテル170を流体連通させることが可能である。
【0038】
さらなる動作中、エラストマーポンプ内の医療用流体が枯渇し、患者の静脈を開いた状態に保つために患者への医療用流体の投与を継続することが望ましいとき、弁部材140の本体部分150は、有利には、第1の流路160がベース部分142の入口開口146および出口開口148ならびにチューブ165の管腔167と同軸に整列され得るように回転させることができる。したがって、ステム152は、最小直径またはサイズを有する第1の流路160を介してエラストマーポンプ110とカテーテル170を流体連通させることが可能である。したがって、医療用流体は、第2および第3の流量条件よりも小さい流量および/または圧力で患者に分配されてもよく、患者の静脈55は、有利には、臨床医が患者にさらに対応する準備ができるまで開いた状態に保つことができる。
【0039】
したがって、本明細書に記載の様々な実施形態の医療用流体送達システムは、IVラインを介して薬物を投与するために典型的にはエラストマーポンプを組み込む、現在存在する医療用流体送達システムを超える様々な利点を提供する。
【0040】
現在、カテーテルが載置された後に静脈を開いた状態に保つために、手動シリンジフラッシュが投与されている。しかし、これは臨床医にとって困難な作業であり、血管アクセスラインの連続的なフラッシングがないため、必ずしも静脈を開いた状態に保つとは限らない。フラッシュが投与される頻度は患者にも依存し、外来患者は定期的なフラッシュを受けないため、潜在的な閉塞および感染を引き起こす可能性がある。
【0041】
本明細書に記載の様々な実施形態の医療用流体送達システムは、有利には、連続使用していないときに血管アクセスラインを開いた状態に保つことが可能である開静脈維持血管ライン補助装置(本明細書では弁部材またはストップコック弁と呼ばれる)を組み込む。本明細書に記載の様々な実施形態の開静脈維持血管ライン補助装置は、エラストマーポンプが空になるまで、制御された圧力下で血管アクセスラインの連続的なフラッシングを提供する。したがって、カテーテル閉塞およびカテーテル感染に関連する患者に対する潜在的な害を低減または回避することができる。開静脈維持血管ライン補助装置はまた、血管アクセス維持規制へのコンプライアンスを高め、医療従事者がシリンジでラインを手動でフラッシングするのに費やす時間の量を短縮するのに役立ち得る。さらに有利には、開静脈維持血管ライン補助装置はまた、特に流体の蓄積に対してより敏感であり得る患者のために、制御された量の流体を患者に提供することができる。
【0042】
本明細書に記載の様々な実施形態の医療用流体送達システムは、有利には、エラストマーポンプによって加えられる自然圧力が経時的に減少する場合であっても、ユーザまたは医療従事者が医療用流体を分配することができる流量を調節および/または調整することを可能にする、開静脈維持血管ライン補助装置(本明細書では弁部材またはストップコック弁と呼ばれる)を組み込む。例えば、ユーザまたは医療従事者は、最初に弁部材の本体部分を最小の直径の流路を通る高圧/高流量条件に設定することができ、エラストマーポンプによって加えられる自然圧力が経時的に減少すると、ユーザは、ポンプによって加えられる自然圧力の経時的な減少を補償するために、弁部材の本体部分をより大きな直径を有する流路に回転させることによって流量を調整することができる。
【0043】
本開示は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実践することを可能にするために提供される。本開示は、主題技術の様々な例を提供し、主題技術はこれらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになり、本明細書で定義される包括的な原理は、他の態様に適用され得る。
【0044】
主題技術は、例えば、以下に説明する様々な態様によって例示される。主題技術の態様の様々な例は、便宜上、番号付きの条項(1、2、3など)として説明される。これらは例として提供されており、主題技術を限定するものではない。従属条項のうちのいずれも、任意の組み合わせで組み合わされ、それぞれの独立した条項、例えば、条項1または条項5に置かれる得ることに留意されたい。他の条項もまた、同様に提示されることができる。
【0045】
条項1.医療用流体の制御された送達のためのシステムであって、前記医療用流体を収容するエラストマーポンプであって、前記エラストマーポンプは、前記医療用流体を収容するチャンバを画定するエラストマー膜、および前記エラストマー膜を取り囲むシェルを備えるエラストマーポンプと、前記医療用流体を患者の静脈に選択的に送達するために、一方の側で前記エラストマーポンプに流体結合され、反対側でカテーテルに流体結合された弁部材であって、前記医療用流体の圧力は、前記静脈を開いた状態に保つために所定の値だけ前記静脈の圧力よりも大きく、前記弁部材は、初期閉位置と、前記医療用流体が所定の流体流量で前記患者の前記静脈に送達される全開位置と、前記医療用流体が前記所定の流体流量を下回る流量で前記患者の前記静脈に送達される少なくとも1つの中間開流位置との間で移動可能である弁部材と、前記エラストマーポンプと前記弁部材との間に介在し、前記エラストマーポンプと前記弁部材を流体結合するチューブとを備える、システム。
【0046】
条項2.前記弁部材が、逆止弁を備える、条項1に記載のシステム。
【0047】
条項3.前記弁部材が、ストップコック弁を備える、条項2に記載のシステム。
【0048】
条項4.前記ストップコック弁が、ベース部分であって、前記ベース部分の少なくとも一部を通って長手方向に延びる管腔を有する長手方向に延びる本体を備えるベース部分と、ハンドル、および前記ハンドルから長手方向に延び、前記管腔に少なくとも部分的に配置されたステムを備える本体部分とを備える、条項3に記載のシステム。
【0049】
条項5.前記ベース部分が、外面と、前記管腔を画定する内面と、前記内面と前記外面との間に画定された側壁とを有する円筒状に延びる長手方向本体を備える、条項4に記載のシステム。
【0050】
条項6.前記円筒状に延びる長手方向本体が、前記側壁を通って延びる入口開口と、前記ベース部分の前記側壁の反対側を通って延びる出口開口とを備え、前記入口開口および前記出口開口が、前記ベース部分を前記チューブの管腔に流体結合する、条項5に記載のシステム。
【0051】
条項7.前記ステムが、前記本体を通って横方向に延びる複数の流路を含む本体を備える、条項6に記載のシステム。
【0052】
条項8.前記複数の流路が、前記本体の円周に沿って互いに長手方向に離間している、条項7に記載のシステム。
【0053】
条項9.前記複数の流路が、異なるサイズを備える、条項8に記載のシステム。
【0054】
条項10.前記複数の流路が、第1の直径を有する第1の流路と、第2の直径を有する第2の流路と、第3の直径を有する第3の流路とを備える、条項9に記載のシステム。
【0055】
条項11.前記第2の直径が、前記第1の直径よりも大きく、前記第3の直径が、前記第2の直径よりも大きい、条項10に記載のシステム。
【0056】
条項12.前記ベース部分の前記内面が、複数のねじ山を備え、前記ステムが、その外面に複数の相補的なねじ山を備え、前記相補的なねじ山の係合構成において、前記本体部分が、前記管腔内で近位および遠位に前記本体部分を並進させるために前記ベース部分の中心軸を中心に回転可能である、条項11に記載のシステム。
【0057】
条項13.前記第1の流路が、第1の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列され、前記第2の流路が、第2の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列され、前記第3の流路が、第3の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列される、条項12に記載のシステム。
【0058】
条項14.前記第1の流量条件が、第1の所定の流体流量を備え、前記第2の流量条件が、第2の所定の流体流量を備え、前記第3の流量条件が、第3の所定の流体流量を備え、前記第2の所定の流体流量が、前記第1の流体の所定の流量よりも大きく、前記第3の所定の流体流量が、前記第2の所定の流体流量よりも大きい、条項13に記載のシステム。
【0059】
条項15.医療用流体の制御された送達のためのシステムであって、第1の圧力で前記医療用流体を収容するエラストマーポンプであって、前記エラストマーポンプは、前記医療用流体を収容するチャンバを画定するエラストマー膜、および前記エラストマー膜を取り囲むシェルを備えるエラストマーポンプと、(i)内腔、入口開口、および出口開口を含むベース部分、ならびに(ii)前記内腔内に少なくとも部分的に配置され、ハンドルを含むステムを含む本体部分であって、前記ステムは、前記ステムを通って延び、異なるサイズの流体経路を画定する複数の流路を備える本体部分を備える弁部材であって、前記弁部材は、前記医療用流体を、患者の静脈を開いた状態に保つために所定の値だけ前記第1の圧力よりも低い第2の圧力を有する前記患者の静脈に選択的に送達するために、前記流路の各々を介して前記エラストマーポンプとカテーテルを流体結合する弁部材と、前記エラストマーポンプと、前記弁部材と、前記カテーテルとの間に介在し、前記エラストマーポンプと、前記弁部材と、前記カテーテルを流体結合するチューブとを備える、システム。
【0060】
条項16.前記弁部材が、(i)前記ステムが前記ベース部分の前記内腔を閉塞し、前記エラストマーポンプと前記カテーテルとの間の流体連通を遮断する初期閉位置と、(ii)前記医療用流体が前記患者の静脈を開いた状態に保つために所定の流体流量で前記患者の静脈に送達されるように、前記流路の各々が前記エラストマーポンプと前記カテーテルを選択的に流体結合する複数の開位置との間で移動可能である、条項15に記載のシステム。
【0061】
条項17.前記複数の流路が、前記ステムの円周に沿って互いに長手方向に離間している、条項15に記載のシステム。
【0062】
条項18.前記複数の流路が、異なるサイズを有する、条項15に記載のシステム。
【0063】
条項19.前記ベース部分の内面が、複数のねじ山を備え、前記ステムが、その外面に複数の相補的なねじ山を備え、前記相補的なねじ山の係合構成において、前記本体部分が、前記内腔内で近位および遠位に前記本体部分を並進させるために前記ベース部分の中心軸を中心に回転可能である、条項15に記載のシステム。
【0064】
条項20.前記複数の流路が、第1の直径を有する第1の流路と、第2の直径を有する第2の流路と、第3の直径を有する第3の流路とを備える、条項15に記載のシステム。
【0065】
条項21.前記第2の直径が、前記第1の直径よりも大きく、前記第3の直径が、前記第2の直径よりも大きい、条項20に記載のシステム。
【0066】
条項22.前記第1の流路が、第1の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの管腔と同軸に整列され、前記第2の流路が、第2の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列され、前記第3の流路が、第3の流量条件において前記入口開口および前記出口開口ならびに前記チューブの前記管腔と同軸に整列される、条項20に記載のシステム。
【0067】
条項23.前記第1の流量条件が、第1の所定の流体流量を備え、前記第2の流量条件が、第2の所定の流体流量を備え、前記第3の流量条件が、第3の所定の流体流量を備え、前記第2の所定の流体流量が、前記第1の流体の所定の流量よりも大きく、前記第3の所定の流体流量が、前記第2の所定の流体流量よりも大きい、条項22に記載のシステム。
【0068】
単数形の要素への言及は、特に明記しない限り、「1つおよび1つだけの」を意味するものではなく、「1つまたは複数」を意味することを意図している。特に明記しない限り、「いくつか」という用語は、1つまたは複数を指す。男性代名詞(例えば、彼の)は、女性および中性(例えば、彼女の、およびその)を含み、その逆も同様である。見出しおよび小見出しがある場合、それらは便宜上使用されているにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0069】
「例示的な」という語句は、本明細書では「例または例示としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的な」として説明される態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有用であると解釈されるものではない。1つの態様では、本明細書で説明される様々な代替の構成および動作は、少なくとも均等物であると見なされ得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、一連の事項に続く「の少なくとも1つ」という句は、その事項の任意のものを分離するための「または」という用語を伴うとき、列挙されたものの各事項ではなく、全体として最初のものを修飾する。「の少なくとも1つ」という句は、少なくとも1つの事項を選択する必要はなく、むしろ、この句は、事項の任意の1つの少なくとも1つ、および/または事項の任意の組み合わせの少なくとも1つ、および/または事項の各々の少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、またはCの少なくとも1つ」という句は、Aのみ、Bのみ、もしくはCのみ、またはA、B、およびCの任意の組み合わせを指し得る。
【0071】
「態様」などの句は、このような態様が主題技術に必須であることも、このような態様が主題技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。態様に関する開示は、すべての構成、または1つまたは複数の構成に適用され得る。態様は、1つまたは複数の例を提供することができる。1つの態様などの句は、1つまたは複数の態様を指すことができ、その逆も同様である。「実施形態」などの句は、このような実施形態が主題技術に必須であることも、このような実施形態が主題技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。実施形態に関する開示は、すべての実施形態、または1つまたは複数の実施形態に適用され得る。実施形態は、1つまたは複数の例を提供することができる。実施形態などの句は、1つまたは複数の実施形態を指すことができ、その逆も同様である。「構成」などの句は、このような構成が主題技術に必須であることも、このような構成が主題技術のすべての構成に適用されることも示唆しない。構成に関する開示は、すべての構成、または1つまたは複数の構成に適用され得る。構成は、1つまたは複数の例を提供することができる。「構成」などの句は、1つまたは複数の構成を指すことができ、その逆も同様である。
【0072】
1つの態様では、他の方法で明記しない限り、続く特許請求の範囲を含む本明細書に記載されているすべての測定値、値、格付け、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、近似的であり、正確ではない。1つの態様では、それらは、それらが関連する機能、およびそれらが属する当技術分野で慣用的なものと一致する合理的な範囲を有することを意図している。
【0073】
開示されたプロセスまたは方法におけるステップまたは動作の特定の順序または階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。実施態様の選好またはシナリオに基づいて、ステップ、動作、またはプロセスの特定の順序または階層が再配置され得ることが理解される。ステップ、動作、またはプロセスのいくつかは、同時に実施されてもよい。いくつかの実施態様の選好またはシナリオでは、特定の動作が実施されてもされなくてもよい。ステップ、動作、またはプロセスの一部またはすべては、ユーザの介入なしに自動的に実施されてもよい。添付の方法の請求項は、サンプル順序で様々なステップ、動作、またはプロセスの要素を提示し、提示された特定の順序または階層に限定されることを意味しない。
【0074】
当業者に知られているまたは後に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的均等物および機能的均等物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることを意図している。さらに、本明細書で開示されたものには、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に専用であることを意図するものは何もない。請求項のいかなる要素も、要素が「~するための手段」という句を使用して明確に列挙されておらず、または方法請求項の場合には、要素が「~するためのステップ」という句を使用して列挙されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。さらに、「含む」、「有する」などの用語が使用される限りにおいて、そのような用語は、特許請求の範囲において移行語として「備える」という用語が使用される場合に「備える」が解釈されるように同様に包括的であることを意図している。
【0075】
本開示の名称、背景技術、概要、図面の簡単な説明、および要約は、本明細書によって本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な例として提供される。それらが特許請求の範囲の範囲または意味を限定するようには使用されないことを理解して提出される。加えて、発明を実施するための形態では、説明が例示的な例を提供し、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な実施形態において合わせて群化されていることが理解できよう。この開示の方法は、特許請求される主題が、各請求項に明確に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するとは解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された構成または動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。以下の特許請求の範囲は、本明細書によって発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求される主題として独立している。
【0076】
特許請求の範囲は、本明細書で説明された態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲が与えられるべきであり、すべての法的均等物を包含するべきである。それにもかかわらず、特許請求の範囲のいずれも、米国特許法第101条、第102条、または第103条の要件を満たさない主題を包含することを意図しておらず、また、そのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】