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特表2024-525285イメージング及び追跡により脊椎弯曲の矯正を検証するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】イメージング及び追跡により脊椎弯曲の矯正を検証するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240705BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20240705BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B17/70
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573217
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2022055780
(87)【国際公開番号】W WO2023285894
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/056309
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515314867
【氏名又は名称】ネオ・メディカル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レファウコニアー, ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL42
4C160LL63
(57)【要約】
外科的切開部における椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることにより、各椎弓根ねじに対するロッド装着位置を検出するステップと、データ処理デバイスによって矯正されていない脊柱の第1のパラメータを特定するステップと、所望の矯正された脊柱の所望の配置の第2のパラメータを入力するステップと、矯正脊椎ロッドが椎弓根ねじに装着されたときに所望の矯正された脊柱を実現するための矯正脊椎ロッドを特徴付けるデータを計算するステップであって、データが、ロッド装着位置と第2のパラメータとに基づいて計算される、ステップとを含む、生物の脊柱の弯曲を矯正するための脊椎ロッドを特定するための方法。
【選択図】 図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓根ねじを使用して生物の脊柱の弯曲を矯正するための脊椎ロッドを特定するための方法であって、前記方法が、
外科的切開部における前記脊柱の椎骨に装着された前記椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることにより各椎弓根ねじに対するロッド装着位置を検出するステップと、
データ処理デバイスによって、前記矯正されていない脊柱の第1のパラメータを特定するステップと、
所望の矯正された脊柱の所望の配置の第2のパラメータを入力するステップと、
矯正脊椎ロッドが前記椎弓根ねじに装着されたときに前記所望の矯正された脊柱を実現するための矯正脊椎ロッドを特徴付けるデータを計算するステップであり、前記データが、前記ロッド装着位置と前記第2のパラメータとに基づいて計算される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
医療イメージングを実施して、前記矯正されていない脊柱の医療イメージングデータをキャプチャするステップを更に含み、
前記第1のパラメータを特定する前記ステップが、キャプチャされた前記医療イメージングデータに基づいて前記第1のパラメータを計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のパラメータを特定する前記ステップが、検出する前記ステップの前記椎弓根ねじの前記ロッド装着位置に基づいて、又は、前記椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることにより前記椎弓根ねじの位置を検出するステップからのデータに基づいて、前記第1のパラメータを計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
検出する前記ステップが、
それぞれの前記椎弓根ねじに装着されたねじ伸張器の位置を検出することにより、光学マーカーの位置を検出することにより、椎弓根マーカーの位置を検出することにより、又は、Kワイヤの位置を検出することにより、及び、前記ねじ伸張器の前記位置から、前記光学マーカーの前記位置から、前記椎弓根マーカーの前記位置から、又は、前記Kワイヤの前記位置から前記ロッド装着位置を計算することにより、前記ロッド装着位置を検出するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データを計算する前記ステップの前記データに基づいて前記矯正脊椎ロッドを製造するステップと、
それぞれの椎弓根ねじに装着された前記ねじ伸張器をスキャンする、及び検出するステップであって、前記矯正脊椎ロッドが前記椎弓根ねじに装着された後に前記椎弓根ねじが矯正された脊柱の椎骨に次に固定される、ステップと、各椎弓根ねじに対するロッド装着位置を特定するステップと、
前記矯正された脊柱の第3のパラメータを特定するステップと、
ディスプレイデバイスに前記所望の矯正された脊柱の第2のパラメータと前記矯正された脊柱の前記第3のパラメータとを表示するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のパラメータが、前記脊柱の前記椎骨の位置及び/又は配向情報、並びに、矯正を外れる前の前記脊柱のパラメータ化情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメータ化情報が、コブ角、矢状角、冠状角、軸角のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
スキャンする及び検出する前記ステップにより特定された前記ロッド装着位置を、特定する前記ステップの前記第1のパラメータとマッチングさせるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のパラメータと前記第2のパラメータとに基づいて、前記矯正されていない脊柱の前記ロッド装着位置を、前記所望の矯正された脊柱の新しいロッド装着位置に変換するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータコードが記録された非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータコードが、コンピュータデバイスのデータ処理デバイスにおいて実行されたとき、生物の脊柱の弯曲を矯正するための脊椎ロッドを特定するための方法を実施するように構成されており、前記方法が、
外科的切開部における椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることにより各前記椎弓根ねじに対するロッド装着位置を検出するステップと、
前記データ処理デバイスによって、前記矯正されていない脊柱の第1のパラメータを特定するステップと、
前記コンピュータデバイスに動作可能に接続されたデータ入力デバイスを使用して、所望の矯正された脊柱の所望の配置の第2のパラメータを入力するステップと、
矯正脊椎ロッドが前記椎弓根ねじに装着されたときに前記所望の矯正された脊柱を実現するための矯正脊椎ロッドを特徴付けるデータを計算するステップであって、前記データが、前記ロッド装着位置と前記第2のパラメータとに基づいて計算される、ステップと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記方法が、医療イメージングを実施して、前記矯正されていない脊柱の医療イメージングデータをキャプチャするステップを更に含み、
前記第1のパラメータを特定する前記ステップが、キャプチャされた前記医療イメージングデータに基づいて前記第1のパラメータを計算する、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記第1のパラメータを特定する前記ステップが、検出する前記ステップの前記椎弓根ねじの前記ロッド装着位置に基づいて、又は、前記椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることにより前記椎弓根ねじの位置を検出するステップの前記データに基づいて、前記第1のパラメータを計算する、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
検出する前記ステップが、
それぞれの前記椎弓根ねじに装着されたねじ伸張器の位置を検出することにより、又は、Kワイヤに装着された光学マーカーの位置を検出することにより、及び、前記ねじ伸張器の前記位置又は前記光学マーカーの前記位置から前記ロッド装着位置を計算することにより、前記ロッド装着位置を検出するステップを更に含む、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記方法が、
前記データを計算する前記ステップの前記データに基づいて前記矯正脊椎ロッドを製造するステップと、
それぞれの椎弓根ねじに装着された前記ねじ伸張器をスキャンする、及び検出するステップであって、前記矯正脊椎ロッドが前記椎弓根ねじに装着された後に前記椎弓根ねじが矯正された脊柱の椎骨に次に固定される、ステップと、各椎弓根ねじに対するロッド装着位置を特定するステップと、
前記矯正された脊柱の第3のパラメータを特定するステップと、
ディスプレイデバイスに前記所望の矯正された脊柱の第2のパラメータと前記矯正された脊柱の前記第3のパラメータとを表示するステップと、
を更に含む、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
生物の脊柱の弯曲を矯正するための脊椎ロッドを特定するためのコンピュータシステムであって、前記コンピュータシステムが、
データ入力デバイスをもつデータ処理デバイスと、
前記データ処理デバイスに動作可能に接続された画像キャプチャデバイスと、
を備え、
前記データ処理デバイスが、
前記生物の外科的切開部を介して椎骨に装着された椎弓根ねじからの、前記画像キャプチャデバイスによる画像データのキャプチャを命令することと、
キャプチャされた前記画像データから各椎弓根ねじに対するロッド装着位置を検出することと、
前記データ処理デバイスによって、前記矯正されていない脊柱の第1のパラメータを特定することと、
前記データ処理デバイスに、前記データ入力デバイスを使用して、所望の矯正された脊柱の所望の配置の第2のパラメータを入力することと、
矯正脊椎ロッドが前記椎弓根ねじに装着されたときに前記所望の矯正された脊柱を実現するための矯正脊椎ロッドを特徴付けるデータを計算することであって、前記データが、前記ロッド装着位置と前記第2のパラメータとに基づいて計算される、計算することと、
をするように構成された、コンピュータシステム。
【請求項16】
前記矯正されていない脊柱の医療イメージングデータをキャプチャするために、前記生物の医療イメージングを実施するように構成された、前記データ処理デバイスに動作可能に接続された医療イメージングデバイスを更に備え、
前記第1のパラメータを前記特定することにおいて、前記データ処理デバイスが、キャプチャされた前記医療イメージングデータに基づいて前記第1のパラメータを計算する、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記第1のパラメータを前記特定することにおいて、前記データ処理デバイスが、前記検出した前記椎弓根ねじの前記ロッド装着位置に基づいて、又は、前記画像キャプチャデバイスによる前記椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることによる前記椎弓根ねじの位置の検出からのデータに基づいて、前記第1のパラメータを計算する、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本発明は、2021年7月13日に出願された国際出願PCT/IB2021/056309に基づく優先権を主張し、この参照文献の内容全体が本明細書に全体として参照により組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は更に、2021年3月1日に出願された国際出願PCT/IB2021/051694、2021年7月12日に出願された国際出願PCT/IB2021/056242、及び、2022年3月1日に出願された国際出願PCT/IB2022/051805に関連しており、これらの全体を参照により組み込む。
【発明の分野】
【0003】
[0003]本発明は、手術を実施するために、例えば脊柱の椎骨の位置を特定するために、執刀医又はオペレーターを補助するための画像データ処理を使用した整形外科手術の分野に関する。加えて、本発明は、脊柱の弯曲が十分に矯正されたか否かを検証するために整形外科手術を実施する執刀医に補助又は円滑化を提供するために画像データ処理を使用するための方法、システム、及びデバイスに関する。
【背景】
【0004】
[0004]整形外科、及び、整形外科手術のための、より詳細には脊柱に対する脊椎固定手術のための、及び脊柱の弯曲を矯正するためのインプラント工具及びシステムの分野において、複数の椎弓根ねじが、患者の背中の皮膚における切開部位置を通して、骨留め部材とともに異なる椎骨に装着されるために使用され得る。幾つかの椎弓根ねじが異なる椎骨に装着された後、これらの椎弓根ねじの頭部がロッドタイプ又はバータイプデバイスと一緒に接続され得、及び、脊椎ロッドとも呼ばれるロッドタイプ又はバータイプデバイスが、止めねじとともに椎弓根ねじの頭部に装着される。例として、各椎骨に対する椎骨固定のために幾つかの隣り合った椎骨に対して、通常、2つの椎弓根ねじが椎弓根ねじの骨留め部材とともにねじ的にそれに装着された後、これらの椎弓根ねじが、椎弓根ねじの頭部の溝又はU字形開口に位置する脊椎ロッドの使用により互いに機械的に固定され、脊柱に沿った接続された椎弓根ねじの列を形成する。これは、患者又は生物における脊椎固定のための脊椎の安定化に必要な機械的支持を提供すること、及び更に脊椎変形を矯正するために脊柱に対する特定の弯曲から外れることを可能にする。
【0005】
[0005]しかし、脊柱の弯曲を矯正するために、整形外科医は依然として、ロッド形状、弯曲、及び長さを特定することに対する一切のサポートを伴わずに、経験に基づいて矯正脊椎ロッドの形状及び弯曲を特定することにより、脊椎矯正及び安定化のためのいくぶん非公式のアプローチに依存する。したがって、背景技術のこれらの不備を考慮すると、脊椎ロッドを特定するための、及び、矯正された脊柱の事後矯正を分析するための、及び比較するための大幅に改善された新規な方法が強く所望される。
【概要】
【0006】
[0006]本発明の一態様によると、生物の脊柱の弯曲を矯正するための脊椎ロッドを特定するための方法が提供される。本方法は、外科的切開部における椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることにより各椎弓根ねじに対するロッド装着位置を検出するステップと、データ処理デバイスによって、矯正されていない脊柱の第1のパラメータを特定するステップと、所望の矯正された脊柱の所望の配置の第2のパラメータを入力するステップと、矯正脊椎ロッドが椎弓根ねじに装着されたときに所望の矯正された脊柱を実現するための矯正脊椎ロッドを特徴付けるデータを計算するステップであって、データが、ロッド装着位置と第2のパラメータとに基づいて計算される、ステップとを含むことが好ましい。
【0007】
[0007]変形例において、本方法は、矯正されていない脊柱の医療イメージングデータをキャプチャするために医療イメージングを実施するステップを更に含むことが好ましく、第1のパラメータを特定するステップは、キャプチャされた医療イメージングデータに基づいて第1のパラメータを計算し得る。別の変形例において、第1のパラメータを特定するステップは、検出するステップの椎弓根ねじのロッド装着位置に基づいて、又は、椎弓根ねじからの画像データをキャプチャすることにより椎弓根ねじの位置を検出するステップからのデータに基づいて、第1のパラメータを計算し得ることが好ましい。
【0008】
[0008]更に、本発明の別の一態様によると、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、非一時的なコンピュータ可読媒体が、記録されたコンピュータ命令を含み、コンピュータ命令がデータ処理デバイスにおいて実行されたとき、コンピュータ命令が、生物の脊柱の弯曲を矯正するための脊椎ロッドを特定するための方法の異なるステップを実施するように構成されている、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0009】
[0009]加えて、本発明の更に違う別の一態様によると、システムであって、システムが、データ処理デバイスとデータ処理デバイスに動作可能に接続された少なくとも1つのカメラとを含み、データ処理デバイスが、生物の脊柱の弯曲を矯正するための脊椎ロッドを特定するための方法のステップを実施するように構成された、システムが提供される。
【0010】
[0010]本発明の上述の、及び他の目的、特徴、及び利点、及び、それらを実現する手法が更に明確になり、本発明自体は、本発明の幾つかの好ましい実施形態を示す添付図面を参照しながら、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を学ぶことにより最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011]本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付図面が、本発明の現時点で好ましい実施形態を示し、及び、上述の概説及び以下の詳細な説明と一緒に、本発明の特徴を説明する役割を果たす。
【0012】
図1A】[0012]図1Aは、本発明の一態様による、例示的なフローチャートを含む、脊椎矯正ロッドRを特定するための、及び、脊柱SCに加えられた矯正を検証するための方法300のステップの概略図である。
【0013】
図1B】[0013]図1Bは、例えば医療イメージングの1つ又は複数のステップ、整形外科手術のステップ、及び、ポータブルデータ処理デバイス100による手術位置のスキャニングのステップを実施するための方法300を実施するためのシステム400の斜視図及び簡略図であり、システム400は、本発明の別の一態様による、オペレーター又は執刀医Oにより動作させられ得る医療イメージングデバイス310、データ処理デバイス320、及びポータブルデータ処理デバイス100を含む。
【0014】
図1C】[0014]図1Cは、手術後にコブ角βの矯正がより小さくなる、矯正背骨手術の前及び後における脊柱SCの7つの例示的な椎骨の簡略化された概略背面図である。
【0015】
図2A】[0015]図2A-2Eは、例示的な数である7つの椎骨V1~V7を示す脊柱SC、及び、脊柱矯正のためのロッドR1、R2の簡略化された概略背面図又は正面図であり、図2Aは、医療イメージングのデータによりもたらされる表示である、不健康な大きいコブ角βをもつ手術前の脊柱SC1の例示的なセクションを示す図であり、図2Bは、方法300のスキャニングステップM40によりもたらされる、矯正されていない脊柱SC1の異なる椎骨Vの装着点APのペアの位置の表示を示す図であり、図2Cは、例えばコブ角βがゼロである、執刀医、ユーザー、又はオペレーターOが実現することを望む脊椎パラメータ化値PAR2に基づく所望の呼吸脊柱SC2を示す図であり、図2Dは、ユーザー又はコンピュータにより規定されたパラメータ化値PAR2に基づいて図2Cに示されているように新しい矯正された位置に脊柱SCを移動させるために特定された例示的な脊椎矯正ロッドR1、R2のペアを示す図であり、図2Eは、ディスプレイデバイス120、330において1:1の縮尺でロッドテンプレートRTを表示するグラフィカルユーザーインターフェースGUIの例示的な図である。
図2B】同上
図2C】同上
図2D】同上
図2E】同上
【0016】
図3】[0016]図3は、例えばステップM50によりディスプレイデバイス120、330に表示された実際の脊柱SC1、及び、手術による矯正後の所望の脊柱SC2の例示的で簡略化されたグラフィカル表示を示す図であり、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oが所望の脊柱SC2を特徴付けるデータを入力することを可能にし、及び、所望の脊柱SC2のグラフィカル表示を可能にする。
【0017】
図4A】[0017]図4A-4Bは、例示を目的として例示的な数である3つの椎骨を含む脊柱SCのセクションを示す図であり、図4Aは、不健康なコブ角βをもつ矯正されていない屈曲した元の脊柱SC1を示す図であり、図4Bは、コブ角がゼロである所望の矯正された脊柱SC2を示す図である。
図4B】同上
【実施形態の詳細な説明】
【0018】
[0018]本明細書では、図に共通した同一の要素を指し示すために、可能な場合、同一の参照符号が使用される。更に、図面における図は例示を目的として簡略化されており、一定の縮尺で描かれていない場合がある。
【0019】
[0019]図1Aは、方法300により実施され得る異なるステップの概略図を示し、方法300は、本発明の一態様による、ユーザー、執刀医、又はオペレーターOにより実施される脊椎矯正手術を補助するステップを含む。方法300は、脊柱SCに対する脊椎矯正から外れるように脊椎矯正ロッドRを特徴付けるデータを特定するために使用され得、及び、例えばこれらに限定されないが脊柱SC1に互いに平行に装着され得るロッドR1、R2のペアに対する脊椎ロッドデータRD1、RD2といった、矯正されていない脊柱SC1の一連の椎弓根ねじPSに装着され得る提案された脊椎矯正ロッドRの影響を検証するために更に使用され得る。図1Bは、方法300を実施するために使用され得る例示的なシステム400の図を示し、システム400は、医療イメージングデバイス310、医療イメージングデータを受信するために医療イメージングシステム310に動作可能に接続されたデータ処理デバイス320、及び、カメラ110又は他の画像キャプチャデバイスとディスプレイスクリーン120とを含むポータブルデータ処理デバイス100を含むことが好ましい。方法300の異なるデータ処理ステップが、医療イメージングシステム310において、データ処理デバイス320において、又は、ポータブルデータ処理デバイス100において、又は、例えばサーバーといった例えばクラウドベースのデータ処理デバイスといった、ネットワークを通してアクセス可能な別のリモートデータ処理デバイスにより、又は、異なるデータ処理デバイス310、320、及び100のうちの1つ又は組み合わせにより実施され得る。最小の構成では、システム400は、例えばポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又は他の種類のポータブルデータ処理デバイスといった、ディスプレイスクリーン120を含むポータブルデータ処理デバイス100と、方法300の1つ又は複数のステップを実施するためのポータブルデータ処理デバイス100に画像データを提供するための、例えば外部カメラデバイスといったポータブルデータ処理デバイス100に組み込まれた、又は動作可能に装着された画像キャプチャデバイス110とを含むに過ぎないものであり得る。
【0020】
[0020]方法300のステップM10により、脊椎矯正手術を受ける患者又は生物Lが医療イメージングデバイス310によりスキャンされ、その結果、手術前の矯正されていない状態におけるその者の脊柱SC又はその一部が、画像として、又は印刷物により見られ得、又は、例えば医療イメージングデバイス310からデータ処理デバイス320に、矯正されていない脊柱SCの医療イメージングの結果に関するデータを送信することによりデジタル化されてコンピュータスクリーンに表示され得、及び、ディスプレイスクリーン330に表示される。脊柱SCの個々の椎骨Vが特定され得る患者又は生物Lの脊柱SCに関するイメージング情報を含むイメージングデータを以下のものが提供することが可能である限り、例えばこれらに限定されないが、放射線医学デバイス、コンピュータ断層撮影(CT)、マルチディテクターCT(MDCT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波スキャニング、例えばこれらに限定されないが、脊椎ソノグラフィ又は超音波検査、蛍光透視イメージング、外科X線イメージングデバイス、例えばこれらに限定されないが、直立シリアル放射線撮影、2D又は3Dイメージングによる直立二平面スロットスキャナを使用した画像キャプチャリングといった、異なる種類の医療イメージングデバイス310によりステップM10が実施され得る。このステップにおいて、矯正されていない脊柱SCの画像データを含む医療イメージングデバイス310によりキャプチャされた画像データは伝達され、データ処理デバイス320により更に処理され得、データ処理デバイス320は、図1Bに例示的に示されるようにディスプレイスクリーン330を備える。矯正されていない脊柱SCの画像データは、例えば背面ビュー及び側面ビューといった脊柱SCの異なる方向のビューを含む1つ又は複数の放射線撮影画像を包含し得、脊柱SCの画像スライスデータを含み得、又は、脊柱SCの三次元イメージングデータを含み得るがこれらに限定されない。ここまでに示されているように、例えば限定されないがポータブルデータ処理デバイス100といった他のデータ処理デバイスが、矯正されていない脊柱SCの画像データを受信するために更に使用され得る。
【0021】
[0021]ステップM20によると、データ処理デバイス320と動作可能に関連し得るディスプレイスクリーン330に矯正されていない脊柱SC1の画像データが表示され得、医療イメージングデバイス310からのこの画像データに基づいて、例えば矯正されていない脊柱SC1の異なる椎骨Vを検出すること、及び、矯正されていない脊柱SC1の異なる椎骨Vの幾何学的位置及び配向を検出することを可能にする画像処理アルゴリズムを使用することによる、コンピュータ命令によって、脊柱SC1の異なるパラメータ及び値、及び次に説明するように他のパラメータが計算され得る。以下、矯正されていない脊柱がSC1と呼ばれるのに対し、矯正された脊柱はSC2と呼ばれる。
【0022】
[0022]例えば、ステップM20によると、データ処理デバイス320は、図2Aに示されているように、7という数字は例示に過ぎないが、例えば7つの例示的な椎骨V1~V7に対する7つのデータ集合VP1~VP7といった、例えば各椎骨Vに対する三次元(3D)位置及び配向情報VPを計算するために、ステップM10からのイメージングデータに基づいて各椎骨Vに対するポーズデータ情報PDI_Vを計算し得る。例えば各椎骨V1~V7に対する三次元座標データ、及び、各椎骨V1~V7に対する例えばベクトルといった配向又は方向情報を含む、例えば座標及び配向情報が、三次元デカルト座標空間を基準として生成され得、及び、各椎骨V1~V7に対して計算され得る。
【0023】
[0023]椎骨Vに対する配向及び位置データVPは、例えば医療イメージングデバイス310の配置により与えられる位置又は場所における基準点RP、例えば患者又は生物Lの体に配置された動的な基準座標系(「DRF」)といった、医療イメージングデバイス310のイメージングエリアの視野内にあることにより、キャプチャされた医療画像において視認可能な、又は検出可能な放射線不透過性マーカーにより提供される基準点RP、例えば尻、椎骨のうちの1つ、又は頭蓋における位置といった患者又は生物Lの骨又は他の体の位置に基づくことにより患者又は生物Lに内在する基準点を使用した基準点RPといった選択された、又は所与の基準点RPを基準とし得る。患者又は生物Lの体に固定された、又は別様に提供された基準点RPが使用されることが好ましい。例えば人工知能ネットワークの助けを受けて例えば基準点RPを表す光学マーカー又は他のパターンを検出するためにパターンマッチング及び追跡によりステップM10のイメージングデータに対してデータ処理を実施するとき、基準点RPの検出、及びその幾何学的座標位置の特定がステップM20の一部として画像データ処理により実行され得る。これは、データ処理デバイス320のデータプロセッサにより、又は、医療イメージングデバイス310のデータプロセッサにより、又は、例えばクラウド又はリモートサーバーに動作可能に接続されたものといった別のデータ処理デバイスにより実施され得る。
【0024】
[0024]各椎骨Vに対する配向情報が、単に空間における対応する椎骨Vの配向の方向であり得るのに対し、位置情報は、例えば椎骨Vの重心、質量中心、回転中心のボリュメトリック三次元特定といった椎骨Vの重心であり得、又は、二次元画像情報に基づく場合、重心又は幾何学的中心又は面積中心の二次元特定に基づく簡略化された計算結果に更に基づき得る。位置情報に対する座標位置VPは、対応する椎骨Vの回転中心に対応していること、又は近いことが好ましい。
【0025】
[0025]加えて、ステップM20によると、データ処理デバイス320は、元の矯正されていない脊柱SC1の脊椎曲線データSCD1を特定するように構成され得る。これは、例えば補間により、又は、回帰分析を使用した平滑化曲線を使用することにより、各椎骨Vに対するポーズデータ情報PDI_Vを使用して以前に特定された異なる椎骨V1~Vnの異なる三次元座標位置VP1~VPnにフィットした曲線の近似を使用することにより実施され得る。変形例において、脊椎曲線データSCD1は、ポーズデータ情報PDI_Vを最初に使用する、又は特定することもせずに、例えば医療イメージング装置310からのX線画像に基づいて画像データから直接的に脊椎曲線データSCD1のパラメータを特定するために、例えば訓練されたニューラルネットワーク又は他の種類の人工知能を使用することにより、医療イメージングデバイス310のスキャンの画像データから直接計算され得る。
【0026】
[0026]加えて、ステップM20によると、データ処理デバイス320は、本明細書では脊柱SC1に対する異なるパラメータ化値PAR1と呼ばれる、脊柱SC1を特徴付ける異なるパラメータを特定するために、矯正されていない脊柱SC1の画像情報を処理するように構成され得、これらは、例えばこれらに限定されないが、脊柱側弯、脊椎前弯、脊柱後弯といった、例えば異なる種類の脊椎変形を説明するパラメータといった、生物又は患者Lの脊椎変形を特徴付けるパラメータを含むことが好ましい。パラメータ化値PAR1は、冠状角、コブ角、軸角、矢状角、子宮頸部、胸、腰パラメータ、骨盤形態角(PI)、骨盤傾斜角(PT)、仙骨傾斜角(SS)、腰椎前弯、胸椎後弯、矢状面脊柱軸線、矢状脊椎弯曲、ファーガソン角、グリーンスパンインデックス、TRALL角、重心法を包含し得るが、これらに限定されない。例えば以下の科学刊行物、すなわち、Zhangら、「Computer-Aided Cobb Measurement Based on Automatic Detection of Vertebral Slopes using Deep Neural Network」、International Journal of Biomedical Imaging 2017、Rajnicsら、「Computer-Assisted Assessment of Spinal Sagittal Plane Radiographs」、Clinical Spine Surgery、Vol.14、No.2、year 2001、135~142ページ、又は例えば、Horngら、「Cobb Angle Measurement of Spine from X-ray Images Using Convolutional Neural Network」、Computational and Mathematical Methods in Medicine、2019、Thalengalaら、「Computerized Image Understanding System for Reliable Estimation of Spinal Curvature in Idiopathic Scoliosis」、Scientific Reports、Nature、Vol.11、No.1、2021年,1~11ページ、Vrtovecら、「A Review of Methods for Quantitative Evaluation of Spinal Curvature」、European Spine Journal、Vol.18、No.5、2009年、593~607ページに示されているように、例えば人工知能を使用することにより、異なる脊椎パラメータ化値PAR1を自動的に計算するために、ステップM10により提供された医療イメージングデータを分析するために、異なるコンピュータアルゴリズムが使用され得る。これらの計算は、例えば基準軸線として縦軸線を使用して更にここまでに説明されているように特定され得る、又は、医療イメージングデバイス310からの2D又は3D画像から画像処理により更に直接計算され得る、脊椎曲線データSCD1を使用した矯正されていない脊柱SC1の三次元座標に基づき得る。
【0027】
[0027]しかし、矯正されていない脊柱SC1をイメージングするステップM10の後に、脊柱SCのパラメータが、例えば脊柱側弯の文脈において次の刊行物において、すなわち、Malfairら、「Radiographic Evaluation of Scoliosis」、American Journal of Roentgenology、Vol.194、No.3_Supplement、2010年、S8~S22ページにおいて説明されている、例えばディスプレイスクリーン330に表示された放射線撮影イメージングデータに基づいてステップM20により手動で特定されることも可能である。脊柱SC1のパラメータ化に関するこのデータは、次に、例えばキーボードを使用して、又は、グラフィカルユーザーインターフェースのグラフィカル要素の使用により、ユーザー又はオペレーターOによりデータ処理デバイス320に入力され得る。
【0028】
[0028]加えて、ステップM20によると、データ処理デバイス320は、例えばそれが頸椎C1~C7のうちの1つであるか否か、それが胸椎T1~T12のうちの1つであるか否か、それが腰椎L1~L5又はL6のうちの1つであるか否か、又は、それが仙椎S1~S5のうちの1つであるか否かを判定するために、どのタイプの、及び何番の椎骨Vが検出されたかを特定することを可能にする特定アルゴリズムを実施するように更に構成され得る。このデータはポーズデータ情報PDI_Vの一部であり得、その結果、検出された椎骨Vの各々がそのタイプ及び個数に関して特定され、このデータはポーズデータ情報PDI_Vに提供され、空間における座標及び配向データに関連付けられる。ステップM20のこの部分は、異なる種類の人工知能及び訓練されたネットワークを使用し得、例えば以下の科学刊行物、すなわち、Lecronら、「Heterogeneous Computing for Vertebra Detection and Segmentation in X-ray Images」、International Journal of Biomedical Imaging、2011年、Benjellounら、「Spine Localization in X-ray Images Using Interest Point Detection」、Journal of Digital Imaging、Vol 22、No.3、2009年、309~318ページ、Lecronら、「Fully Automatic Vertebra Detection in X-Ray Images based on Multi-Class SVM」、In Medical Imaging 2012:Image Processing、col.8314、p.83142D.International Society for Optics and Photonics、2012年、Ebrahimiら、「Vertebral Corners Detection on Sagittal X-Rays Based on Shape Modelling,Random Forest Classifiers and Dedicated Visual Features」、Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering:Imaging & Visualization、Vol.7、No.2、2019年、132~144ページ、Dongら、「Automated Vertebra Identification from X-ray Images」、In International Conference Image Analysis and Recognition、1~9ページ、Springer、Berlin、Heidelberg、2010を例えば参照されたく、https://nursinganswers.net/essays/algorithms-for-pre-processing-and-processing-stages-of-x-ray-images.php?vref=1で入手可能な、All Answers Ltd.Algorithms for pre-processing and processing stages of x-ray images[Internet]、2018年11月、[2021年6月16日に参照]を更に参照されたい。椎骨の特定に関するこのデータは、異なる椎骨タイプ及び個数を可視化するために、例えばグラフィカルプリミティブ又は他のグラフィカル要素と一緒に、図2Aにおける元の矯正されていない脊柱SC1の簡略化された例示的な表現を使用して可視化され得る。
【0029】
[0029]この例では、ポーズデータ情報PDI_Vを抽出するために、7つの椎骨が検出され、又は選択され、及び処理されるが、この数字は例示に過ぎず、例えばn個の位置VP1~VPnといった、より少ない又はより多くの椎骨Vが存在してもよく、nは2から理論的な最大数である33の間の数であり、33はヒトの椎骨Vの数である。脊椎矯正目的では、選択された椎骨Vの数は33ではなく、その理由は、この数字は脊椎変形矯正目的で矯正されない5つの仙椎、4つの尾椎、及び、7つの頸椎を含むからであり、矯正脊椎ロッドRが脊柱SCの全ての椎骨Vに装着されているわけでないのでより少ない数となる。ほとんどの手術に対して、特定の数である12個の胸椎及び特定の数である5個の腰椎のみが使用される。ここまでに示されているように、このデータPDI_Vは、どのタイプの及び何個の生物Lの脊柱SCの椎骨Vが属するかを特定するための特定情報を更に含み得る。
【0030】
[0030]ステップM10及びM20のイメージングデータを表示すること、及び処理することに基づいて、ステップM25が実施され得、データ処理デバイス320は、関心のある椎骨Vとして椎弓根ねじPSが装着される椎骨Vを選択するために、入力デバイスを使用して、例えばコンピュータマウス、キーボード、タッチパッド、タッチスクリーン、又は他の種類のデータ入力デバイスを使用して、ディスプレイスクリーン330に表示された異なる椎骨Vをユーザー、執刀医、又はオペレーターOが手動で選択することを可能にする例えばグラフィカルユーザーインターフェースといったユーザーインターフェースを提供するように構成され得る。例えばテキストエディタ又はコマンドプロンプトを介して異なる関心のある椎骨Vを選択するための特定情報を手動で入力することも可能である。この目的のために、椎骨が、タスクを円滑化するために、ステップM20によりそれらのタイプ及び数を使用してグラフィック的にラベル付けされ得る。基本的に、執刀医又はオペレーターOは、矯正背骨手術を実施するために脊椎矯正ロッドRにどの椎骨Vが装着される必要があるかを特定することを必要とし、及び執刀医又はオペレーターOは、脊柱SC1の表示されたイメージングデータに基づいてこの発見を実施し得る。したがって、執刀医又はオペレーターOは、脊椎変形矯正のための脊椎矯正ロッドRを最終的に装着するために執刀医又はオペレーターOが椎弓根ねじPSのペアを装着することを望む特定の数の関心のある椎骨Vを選択する。関心のない選択されていない椎骨に対するポーズデータ情報は方法300の残りのステップに必要ではないので、ポーズデータ情報PDI_Vの計算は選択された椎骨Vに低減され得る。以て、執刀医又はオペレーターOは、どの椎骨Vが脊椎矯正ロッドRによる矯正のために使用されるかに関する情報を提供する。
【0031】
[0031]イメージングデータにおいて椎骨Vをより良く示す、又は強調表示するために、例えばグラフィカルオーバーレイとして椎骨Vを強調表示するために、又は別様に示すためにグラフィカルプリミティブ又は他のグラフィカル要素を生成することにより、例えば脊柱SC1のセクションをグラフィック的に選択することにより異なる椎骨Vを表す異なるグラフィカルプリミティブに触れること又は別様にグラフィック的に選択することにより、例えばグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用してディスプレイスクリーン330において個々の椎骨Vをグラフィック的に選択することにより、椎骨Vの選択が実施され得る。このステップM20は、国際出願PCT/IB2021/051694において説明されているステップC70と同様であり、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。次の科学刊行物、すなわち、Grigorievaら、「The Construction of an Individualized Spinal 3D Model Based on the X-Ray Recognition」、In 2018 23rd Conference of Open Innovations Association(FRUCT)、143~149ページ、IEEE、2018年、及び、Manniら、「Towards Optical Imaging for Spine Tracking Without Markers in Navigated Spine Surgery」、Sensors、Vol.20、No.13、2020年、3641ページを更に参照されたい。
【0032】
[0032]矯正されていない脊柱SC1の異なる椎骨Vのグラフィカルなラベル付け又は強調表示はステップM20の一部であり得、例えば個々の椎骨Vを表すグラフィカルプリミティブとともに、グラフィカルオーバーレイを使用して、ステップM10のイメージングデータからの脊柱SCの医療イメージングデバイス310からの医療画像、脊柱SCのグラフィカルモデル、又は、元の医療画像を表示することが可能である。例えば、ステップM20は、例えばX線画像といった脊柱SC1の1つの2D画像に基づいて実施され得、又は、例えば背部又は前部X線画像及び側面ビューX線画像といった脊柱SC1の2つ以上の2D画像に基づき得る。変形例において、例えばこれらに限定されないが短TI反転回復磁気共鳴(STIR-MRI)又は三次元CTスキャニングといった、例えば磁気共鳴又はコンピュータ断層撮影画像といった、元の矯正されていない脊柱SC1のポーズデータ情報PDI_Vを抽出するために、このデータ処理ステップのために3D画像が使用されることも可能である。
【0033】
[0033]例えば、ステップM20によると、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oが、手術前の矯正される前の脊柱SC1に関連して、データ処理デバイス320により異なる計算を実行し得る可能性がある。例えば、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の使用により、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oは、2つの異なる椎骨Vi及びVjを選択し得、その後、これらの2つの椎骨Vi、Vjの間の異なるパラメータを計算するために、データ処理デバイス320のソフトウェア機能又はモジュールを使用し得る。例えば、図2Aに可視化されているように、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oは、椎骨V3及びV6をタッチスクリーン、コンピュータマウス、キーボード、タッチパッド、又は他の種類のユーザー入力デバイスによりグラフィック的に選択した可能性があり、その後、アプリケーションソフトウェアは、例えば上述のように列記された脊柱SC1に対するパラメータ化値PAR1といった、例えばその間における相対的配向βの角度、脊椎曲線SCD1に沿ったこれらの2つの椎骨V3及びV6の間の距離、及び、脊柱SCの他のパラメータ、値、又は特徴的なデータといった、これらの2つの椎骨V3及びV6の間の異なるパラメータを計算し得る。
【0034】
[0034]要するに、ステップM20は、ステップM25と併せて、ユーザー、執刀医、又はオペレーターOが矯正されていない脊柱SC1を可視化するための、及び分析するためのユーザーインターフェースを提供し得、及び、椎骨Vのポーズデータ情報PDI_V、例えばこれらに限定されないがコブ角といった矯正されていない脊柱SC1のパラメータ化値PAR1に関するデータ、及び、脊椎曲線データSCD1である脊柱SC1の弯曲に関するデータを包含する、矯正されていない元の脊柱SC1を特徴付けるために、異なる種類のデータを計算するための、及び特定するためのツールを更に提供し得、及び、データ処理デバイス320のディスプレイ330に矯正されていない元の脊柱SC1及び他のデータを表示することを可能にする。
【0035】
[0035]次に、整形外科手術の第1のステージは、ステップM30により実施され得る。このステップにおいて、ユーザー、執刀医又はオペレーターOは、脊柱SCに沿って生物又は患者Lの背中に外科的切開部SIを形成し、例えば組織伸延ツールを使用して椎骨Vへのアクセスのために外科的切開部SIを開け得、及び、例えば穿孔器又は突き錐、タッピングねじを使用することにより、Kワイヤ、ピン、又はキルシュナー鋼線の使用、及び、椎弓根ねじPSを最終的に配置すること、及び装着することにより、又は、椎弓根ねじPSを装着するための他の外科的手法により、脊椎ロッドを保持するためのねじ頭部SHをもつ椎弓根ねじPSのペアが該当する椎骨Vに装着される。例えば、椎弓根ねじPSはねじ伸張器SCの使用により装着され得、ねじ伸張器SCは外科的切開部SIから外に向き、例えばこれらに限定されないが米国特許第10,058,355号において説明されているものであり、この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。この段階において、ねじ伸張器SCは椎弓根ねじPSの頭部から取り外されない。ステップM30では、椎弓根ねじPSが、ステップM25によりユーザー、執刀医又はオペレーターOにより選択された関心のある椎骨とも呼ばれる椎骨Vのうちの選択されたものに装着されることが好ましい。
【0036】
[0036]ステップM30は、手術工程の少なくとも一部のための、例えば生物又は患者Lの背中に外科的切開部SIを形成するための、椎弓根ねじPSの配置のための手術部位を開けるための、Kワイヤ及び椎弓根ねじPSのために指定された位置に椎骨Vに穴及び骨構造物を穿孔するための、椎骨に椎弓根ねじPSをねじ的に又は別様に装着するための、例えばロボット支援型手術のためのロボット手術デバイス又はロボットデバイスといったロボットROの動作を更に含み得る。これら手術タスクの少なくとも一部は、ロボット手術デバイスにより、例えばこれらに限定されないが、Intuitive Surgical Inc.製のダビンチ手術システム、Medtronic製のMazor X Stealth Editionロボットガイダンスシステム、Medtech製のROSAロボット、Globus Medical製のExcelsiusGPSロボット、及び、ともにTransEnterix製のSurgiBot及びALF-X手術ロボットシステムの使用により、部分的に、又は完全に実施され得る。ステップM10及びM20により提供された情報に基づいて、椎骨Vの位置の座標データがポーズデータ情報PDI_Vとして利用可能であり、加えてロボットによりローカライズされ得る基準座標系を基準とし、使用され得る。例えば次の科学刊行物、すなわち、Liebermanら、「Robotic-Assisted Pedicle Screw Placement During Spine Surgery」、JBJS Essential Surgical Techniques、Vol.10、No.2、2020年、Wangら、「Robot Assisted Navigated Drilling for Percutaneous Pedicle Screw Placement:a Preliminary Animal Study」、Indian Journal of Orthopaedics、Vol.49、2015年、452~457ページを参照されたい。ロボット手術が実施され得るこのステップM30では、ステップM10からの医療イメージングデバイス310からの医療イメージングデータとしてのCT画像が、ステップM20から生成されたデータを含んで、ロボットROの制御装置にアップロードされ得、その結果、椎弓根ねじの配置の計画が、例えば、矯正されていない脊柱SC1の3D仮想モデルに基づいて行われ得る。次に、ロボットROが、穿孔及び異なる椎弓根ねじのねじ式の装着を実施し得ることも可能である。
【0037】
[0037]ステップM30は、データ処理デバイス100のディスプレイスクリーン120に、グラフィカルプリミティブとして、又は、レンダリングされたグラフィカルモデルとして脊柱の椎骨Vを示すための拡張現実を使用すると同時に、カメラ110を使用して生物又は患者Lの背中のライブビデオフィードを撮影する、又は提供するステップを更に含み得る。これは、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oが椎骨Vをより正確に配置することを可能にし得、及び、より正確な位置に脊椎手術のための外科的切開部SIを形成することを更に可能にする。例えば、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oは、組み込まれたカメラ110を使用して生物又は患者Lの外科的切開部SIのエリアの周囲の画像を撮影するために、又はキャプチャするために、及び、ディスプレイスクリーン120におけるグラフィカルユーザーインターフェースにライブビデオフィードとしてこれらの画像を同時に表示するために、特別なアプリケーションソフトウェアを含むデータ処理デバイス100を使用し得る。加えて、アプリケーションソフトウェアは、グラフィカルユーザーインターフェースのライブビデオフィードにグラフィカル要素を重ね合わせるように構成され得、グラフィカル要素は、患者又は生物Lの背中のライブ撮影を伴って拡張現実ビデオフィードを生成するための、生物又は患者Lの1つ又は複数の椎骨V又は脊柱SC全体のレンダリングされたグラフィカル表示である。
【0038】
[0038]ステップM30によると、ライブビデオフィードにグラフィカルプリミティブの拡張現実投影を適切にマッチングさせるために、プリミティブのグラフィックレンダリングの間の基準位置、及び椎骨Vの現実世界での位置が使用される必要がある。これは、例えば患者又は生物又は患者Lの背中に配置されたものであり得る動的な基準座標系(「DRF」)といった基準座標系又はマーカー、例えば、医療イメージングデバイス310によりキャプチャされた医療画像からの検出のために放射線不透過性の特性をもつ、及び、カメラ110によりキャプチャされた画像からの検出のために視認性の特性をもつ、複数のマーカー点、定規、又は他のグラフィカル要素の使用により行われ得る。これは、脊柱SC1のグラフィカルモデルの幾何学的三次元データが基づき得る医療イメージングデバイス310からの医療画像と、更にライブビデオフィードとの両方に対して基準座標系を視認可能にすることを可能にし、以て、画像処理アルゴリズムにより検出可能にすることを可能にし、及び、拡張現実レンダリングのために使用されることを可能にする。例えば、基準座標系は、放射線不透過性の特性と視認可能な特性との両方をもつ、脊柱SC1に平行に患者又は生物Lの皮膚に脊柱SC1に沿って配置された、異なる識別可能なマーカーをもつ長手方向の定規の形態であり得る。
【0039】
[0039]次に、画像キャプチャデバイス110を含むデータ処理デバイス100によって、脊椎固定ロッドRが装着される位置又は幾何学的位置を検出することを目的として、ステップM40により、ねじ伸張器の位置を検出するために、外科的切開部SI及びねじ伸張器SEが撮影され、スキャンされ得、又は、画像がキャプチャされ得る。例えば、データ処理デバイス100又はデータ処理デバイス320は、外科的切開部SOのエリアから画像をキャプチャするために、例えばフレームグラッパーを含む内部カメラ要素又は外部カメラといった画像キャプチャデバイス110に命令し得、以て、キャプチャされた画像は以てデータ処理デバイス110、320のデータメモリに提供される。これは、例えば適切なアプリケーションソフトウェアを含む、及び、カメラ又は他の種類の画像キャプチャデバイス110を備えるスマートフォンといったデータ処理デバイス100を使用し、外科的切開部SIの位置を撮影するためにデータ処理デバイス100にインストールされたアプリケーションを有効化し、以て、ねじ伸張器SEの画像をキャプチャして、オペレーター若しくは執刀医O又は補助者により実施され得、又は、データ処理デバイスに動作可能に接続された固定して設置されたカメラ又は複数のカメラを有効化することにより実行され得る。このステップは、ステップM45に関連して以下で更に説明されるように、基準点RPの画像をファイリングすること、スキャンすること、又は別様にキャプチャすることを更に含み得る。このステップM40は、国際出願PCT/IB2021/051694の方法200のステップU30及びC10を含む。方法200のステップD25により、例えばねじ伸張器SEを強調表示するために、又はねじ頭部SHを強調表示するために、又はその両方のために、グラフィカルプリミティブGPが表示される拡張現実機能により、このステップが更に強化され得る。この計算は、例えばデータ処理デバイス310、又は例えばデジタルカメラといった画像キャプチャ手段を含む他の電子デバイスといった、別のデータ処理デバイスにより更に実施され得る。このステップM40では、椎骨Vに対する椎弓根ねじPSの位置を特定するために医療イメージングデバイスを使用する必要がないが、単純なイメージングデータキャプチャリング及び処理ステップが実施され得、以て、医療イメージングデバイス310の更なる放射線に対する患者又は生物Lの曝露を回避する。国際出願PCT/IB2021/056242において説明されているように、このステップC10は、例えばねじ伸張器SE、又は椎弓根ねじPSのねじ頭部SHに装着されたRFIDタグ、ねじ伸張器SE又はねじ頭部SHに取り外し可能に装着された、又は、ねじ伸張器SE又はねじ頭部SHに直接提供された光学マーカーデバイス、部分的にカバーされた光学マーカー又は更にはねじ頭部SH自体を検出するためのパターンマッチング、外科的切開部SIの周辺組織及び骨の内部のねじ頭部SHをより簡単に発見するための熱イメージングの使用を伴う検出技術により、ねじ頭部SHがねじ伸張器SEに接続されていない状態で外科的切開部SIにおけるねじ頭部SHの検出、又はそれらの組み合わせを更に含み得る。変形例では、更に、方法600のステップU230及びC210により国際出願PCT/IB2022/051805に示されるものと同様に、例えば椎骨に装着された異なるKワイヤ、ピン、又はキルシュナー鋼線を検出すること、Kワイヤ又はキルシュナー鋼線に装着された椎弓根マーカー、又は、椎弓根マーカーに、又はKワイヤ又はキルシュナー鋼線に直接的に位置する特別な光学マーカーを検出することにより、椎弓根ねじPSが異なる関心のある椎骨Vに装着される前に、このステップが実施される。Kワイヤ、キルシュナー鋼線、ピン、椎弓根マーカー、又は他の特定の光学マーカーの検出された位置に基づいて、Kワイヤの位置に装着される対応する椎弓根ねじPSに対するそれぞれの装着点APの位置を計算すること、又は少なくとも推定することが可能である。以て、この変形例では、例えば、ロッドR又はロッドR1、R2のペアが矯正のために椎弓根ねじに装着される必要があるステップM70が実施される前の任意の時点で、スキャニングステップM40後に椎弓根ねじPSの装着のステップM30が実施され得る。
【0040】
[0040]次に、更にステップM40によると、脊柱SCの位置及び形状の計算のために、及び、選択インターフェースがユーザー、オペレーター、執刀医Oに示されて、方法200のユーザー入力ステップU40により選択が行われるステップD30の使用によりロッドR1、R2のペアに対する脊椎ロッドデータRD1、RD2を提案するために、考慮され得る異なるねじ伸張器SEをユーザー、オペレーター、又は執刀医Oが選択することが可能であり得る。方法200の変形例では、国際出願PCT/IB2021/051694のステップD30及びU40により異なるねじ伸張器SEを選択するためにユーザーフィードバックを要求する代わりに、対応するロッドRの脊椎ロッドデータRDを提案するために、全ての検出されたねじ伸張器SEが自動的に選択され得る。
【0041】
[0041]加えて、方法300は、矯正されていない脊柱SC1を特徴付けるデータの基準点RPに対する、例えば、ステップM10において検出された、及び、脊椎曲線データSCD1を計算するために、及び参照するために、及び、矯正されていない脊柱SC1の椎骨Vの三次元(3D)位置及び配向情報VP1~VP7のポーズデータ情報PDI_Vを計算するためにステップM20により使用される、基準点RPに対する、装着点APn.1及びAPn.2の幾何学的位置を計算する、再計算する、又は変換する、ステップM40のサブステップM45でもあり得るステップM45を含み得る。例えば、ステップM40は、異なる装着点APの座標データの計算のために第1の基準点を最初に使用し得、その後、ステップM20の第2の異なる基準点RPに基づくように装着点APの座標データが再計算され、又は幾何学的に変換されるステップM45が実施され得る。この変形例では、第1の、及び第2の基準点RPの幾何学的配置は、幾何学的変換を直接実施するために知られたものであり得る。例えば骨、骨部品、又は放射線不透過性マーカーを医療イメージングするステップM10の医療イメージングデータにとって第1の基準点RPが可視状態のものであるとともに、ステップM40の画像キャプチャリングのための第2の基準点RPとして異なる光学的に視認可能なマーカーが使用される場合、これが当てはまり得る。変形例において、ねじ伸張器SE、又は任意選択的に椎弓根マーカー、Kワイヤ、光学マーカーの撮影又はスキャニング中、異なる装着点APの座標データに対する座標基準として機能するように、ステップM20の基準点RPが光学的にキャプチャされ、及び検出され得、以て、異なる基準点RPに対する更なる幾何学的変換が必要とされず、以て、ステップM45は必要ない。例えば距離次元又は他のタイプの次元により基準とされるデカルト座標系に基づいて実際の物理的次元において脊椎曲線データSCD1及びポーズデータ情報PDI_Vが写像される、又は変換されることを確実なものとするために、ステップM45が正規化及び校正のステップを含むことも可能であり、これは、知られた配置及び互いからの距離をもつ更なる2つの基準点RPの使用、例えば定規タイプの基準マーカーといった予め定められた基準スケールの形態をとる基準点RPの使用により実施され得る。矯正前の装着点APのデータが図2Bにおいて可視化されており、この例の場合、nはステップM30において7つの異なる椎骨V1~V7に装着された椎弓根ねじPSの1つから7つのペアであり、椎骨V1~V7は各椎骨V1~V7に2つの脊椎矯正ロッドR1、R2の装着を可能にするためのグラフィカルプリミティブとして示され、例えば光学マーカーとして提供される基準点AP2を基準とした座標系を使用して、第1の列AP1.1~AP7.1と第2の列AP1.2~AP7.2とを含む脊柱SCに沿った2つの列に14個の異なる装着点が配置されている。ステップM40は、国際出願PCT/IB2021/051694の方法200のステップC20を含み得る。
【0042】
[0042]ステップM45によると、それは、装着点ペアAPn.1及びAPn.2の幾何学的位置の座標データが同じ基準座標系にあること、又は、対応する椎骨Vnの三次元(3D)位置及び配向情報VP1~VPnの幾何学的位置と同じ基準点APを基準とすることを把握し得る。これは、位置及び配向情報VPの基準座標系における対応する位置をマッチングさせるために装着点ペアAPの幾何学的変換を使用して行われ得、又はその逆も同様である。変形例において、ステップM45は、対応する椎骨Vnの位置及び配向情報VP1~VPnに基づく、例えば対応する椎骨Vnの各々に対する予め記憶された幾何学的関連性に基づく、理想的な仮想装着点APVの特定、及びその後の、仮想的な理想的な装着点APVの位置と検出された装着点APとの間の差の全体的な誤差を最小化することによる、この位置への検出された装着点ペアペアAPのマッチングを伴い得る。例えば機械学習アルゴリズムの訓練として履歴データを使用することにより、検出された装着点APの座標データを、対応する椎骨Vnの検出された位置及び配向情報VP1~VPnの座標基準に変換するために、機械学習アルゴリズムによりマッチングが更に行われ得る。以て、装着点ペアペアAPn.1及びAPn.2と各椎骨Nの幾何学的位置又は配置VPnとの間の幾何学的関連性が、数学的に規定される。
【0043】
[0043]椎骨Vの位置及び配向情報VP1~VPnに対する、又は、ステップM10により医療イメージングデバイス310によりキャプチャされた医療画像によりもたらされる脊椎曲線データSCD1に対する、又はその両方に対する、画像キャプチャデバイス100の画像によりもたらされる装着点ペアAPn.1及びAPn.2の幾何学的位置のマッチング変換を発見するためのステップM45に対する変形例では、例えば医療イメージングデバイス310によりキャプチャされた画像と、及び、データ処理デバイス100の画像キャプチャデバイス110によりキャプチャされた画像との両方によりキャプチャされ、及び特定され得る要素として具現化された基準点RPといった、1つ又は複数の基準点が使用され得る。以て、1つ又は複数の幾何学的位置が、医療イメージングデバイス310の画像と画像キャプチャデバイス110のビデオフィード又は画像との両方において特定され得、したがって、異なる座標データが互いにマッチングさせられ、及び写像され得る。例えば、上述のように、基準点RPとして基準座標系が使用され得、例えばこれらに限定されないが放射線不透過性の、及び視認可能なArUcoマーカーシンボルといった、例えば位置検出のための特定のシンボルをもつ放射線不透過性マーカー、定規、又は他のシンボルRMが検出され得、及び、例えばX線といった医療イメージングデバイス310と、画像キャプチャデバイス110の画像との両方により検出され得る座標位置が特定され得る。このマーカーRMは、ステップM10、M20、M30、及びM40の実施中にマーカーRMが動かされることを防ぐために、例えば一時的な接着剤を使用して、患者又は生物Lの体に位置し、又は別様に装着され得る。
【0044】
[0044]別の変形例では、椎骨Vの履歴データに基づく対応する椎骨Vのそれぞれの位置及び配向情報VP1~VPnの装着点ペアAPn.1及びAPn.2の座標と、結果として特定の椎骨Vに対する椎弓根ねじPSの場所、配向、及び挿入深さにより規定される装着点APの位置との間の写像関数を形成するために、機械学習及び人工知能が使用され得る。装着点ペアの異なる位置及び対応する椎骨Vの位置を写像することを可能にする畳み込みニューラルネットワークを訓練するために、このような訓練データが使用され得る。
【0045】
[0045]方法300の変形例では、医療イメージングデバイス310を使用してスキャンするステップM10は実施されず、例えば国際出願PCT/IB2021/051694において説明されているように、元の矯正されていない脊柱SC1を特徴付ける異なるデータが、ステップM40及びM45により検出された装着点APから直接集められる。以て、ステップM10からの医療イメージングデータを一切使用せずに、ステップM40は更に、装着点APの座標におけるデータに基づいて、矯正されていない脊柱SC1の椎骨Vのポーズデータ情報PDI_V、矯正されていない脊柱SC1に対するパラメータ化データPAR1、及び、矯正されていない脊柱SC1の脊椎曲線データSCD1を計算し、又は推定し得る。
【0046】
[0046]次に、ステップM50が実施され得、ステップM50では、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oが、例えば、その者が背骨手術後に実現することを望む患者又は生物Lの所望の矯正された脊柱SC2のその者の所望のパラメータ化値PAR2に関するデータを入力することにより、脊椎矯正手術の所望の結果を特徴付ける情報をコンピューティングデバイス320に入力し得る。例えば、図3に例示的に示されるように、例えばディスプレイデバイス120に表示されたグラフィカルユーザーインターフェース450を使用することにより、ユーザー、執刀医、又はオペレーターOは、例えばその者が脊椎矯正整形外科手術により実現することを望む所望のコブ角、所望の矢状角、所望の軸角、ファーガソン角、グリーンスパンインデックス、又は脊柱SC2の他のパラメータを提供することにより、その者が手術後に実現することを望んだ所望の形状の脊柱SC2の異なるパラメータ化値PAR2を入力し、又は別様に規定し得る。このステップにおいて、執刀医又はオペレーターOは、例えばステップM20により表示された、また現在表示されている、パラメータPAR1に対する現在利用可能な値に基づいて、その者の所望のパラメータ集合PAR2を規定することができる。例えば、現在存在する既存の脊椎変形又は損傷が与えられたとき、選択されたPAR2は、理想的な健康な脊椎形状に対応した脊椎特性値ではない場合があり、むしろ、健康な脊椎形状に近似したものであり得る。ステップM50は、患者又は生物Lの現在存在する脊柱SC1のパラメータ化値PAR1のグラフィカル表現又は他の表現の生成及び表示を更に含み得、これらのパラメータはステップM20から結果として得られる。これは図3の左側に例示的に示されており、図において、ステップM10の医療イメージングスキャニングによりもたらされてステップM20により計算された、又は、例えば異なる椎骨V及びそれらの構成又はポーズを表すグラフィカルプリミティブを使用することにより、医療イメージング及びそのグラフィカル表示を使用せずにステップM40により計算された、手術前の脊柱SC1が表示エリア405においてディスプレイデバイス120に示されている。更に、グラフィカルユーザーインターフェース450は、例えば画像処理及び深層学習を使用する異なるアルゴリズムによりステップM20により特定されたものであり得る手術前の脊柱SC1からの異なるパラメータ化値PAR1を更に示す。
【0047】
[0047]図3のグラフィカルユーザーインターフェース450の右側に、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oが、例えばテキストボックスを選択することにより、及び、キーボード又は他の種類のデータ入力デバイスを使用して数値を入力することにより、矯正された所望の脊柱SC2に対する異なる所望のパラメータ化値PAR2を入力し得る異なるテキストボックスが配置されており、これらのパラメータは、手術後の脊柱SC2の所望の弯曲及び配置を設定する。更に、矯正整形外科手術がまだ実施されていないとき、グラフィカルモデル化及び仮想表現としてこのような矯正された所望の脊柱SC2のグラフィカル表示を示す表示エリア410が表示され得る。例えば、椎骨412を表すグラフィカルプリミティブに基づいてグラフィック的に表された所望の脊柱SC2が示され得、矯正を可視化するために中心線414を示す。グラフィカルプリミティブは単純な長方形ブロックであり得、又は、例えば幾何学的モデルの投影として、及び、次の科学刊行物、すなわち、Dlugoszら、「Realistic Model of Spine Geometry in the Human Skeleton in the Vicon System」、Bio-Algorithms and Med-systems、Vol.8、No.1、2012年、123ページ、及び、Huynhら、「Development of a Detailed Human Spine Model with Haptic Interface」、Haptics Rendering and Applications、2012年、194ページにおいて説明されているグラフィカルレンダリングにより、実際の骨の椎骨の2D又は3D表現又は他の種類のグラフィカル表示をグラフィカルに示すグラフィカル要素であり得る。所望の矯正された脊柱SC2に対するデータがアルゴリズムに基づいてコンピュータにより生成されることも可能である。例えば、元の矯正されていない脊柱SC1の重量、高さ、及び変形に応じて、例えば所望のパラメータ化値PAR2といった所望の矯正された脊柱に対するデータが、コンピューティングデバイス320により提案され得る。
【0048】
[0048]更に、グラフィカル要素が、例えばこれらに限定されないが、所望のコブ角、所望の矢状角、所望の軸角、グリーンスパンインデックスなどの脊柱SC2を構成する異なるパラメータ化値PAR2を変更するためにグラフィカルユーザーインターフェース450に示され得る。例えば、これは、パラメータ化値PAR2のうちの対応する1つに対するテキスト又は数値ボックスにおいて所与の値をインクリメントする、又はデクリメントするように構成されたグラフィカル要素として矢印PP3を使用して行われ得る。変形例として、これらのパラメータは、グラフィカルユーザーインターフェース450の表示エリア410において直接可視化され得、ユーザー対話により、例えば、1つ又は複数の椎骨又は脊柱SCのセクションの配向を表すグラフィック的に表示された線によりグラフィック的に変更され得る。同時に、パラメータ化値PAR2のうちの1つの変更時に、グラフィカル表示がリアルタイムに更新され得、したがって、例えば、短い時間遅延で所望の脊柱SC2の任意のパラメータの変更時に、更新された幾何学的モデルを計算することにより、及び、表示エリア410における所望の脊柱SC2のレンダリングにより、ユーザーは脊柱SC2のグラフィカル可視化結果により変更をすぐに視認し得る。これは、ユーザー、執刀医、又はオペレーターOに即時の視覚フィードバックを与えることを可能にする。更に、例えば、所望の脊柱SC2に対する入力されたパラメータPAR2に基づいて、ステップM50は、以て、例えば矯正された脊柱SC2の椎骨Vのポーズデータ情報PDI_V、所望の矯正された脊柱SC2の脊椎弯曲データSCD2、及び、まだ特定されていない脊椎ロッドRによる修正後における装着点ACの座標におけるデータを計算するために、脊柱SC2を特徴付ける他のデータを計算し得る。
【0049】
[0049]方法300は次にステップM60に進み得、ステップM60において、矯正脊椎ロッドデータRD1、RD2のためのデータが計算され、RD1、RD2のデータは、脊椎ロッドデータRD1、RD2により提案された寸法及び弯曲をもつように製造された2つの実際のロッドR1、R2が、例えば以下で更に説明されるようにステップM70により椎弓根ねじペアPSのねじ頭部に装着された場合に、矯正された脊柱SC2をもたらすようにされている。以て、ステップM60によると、特定の脊椎変形課題を解決するために患者に特有のロッドペアR1、R2を製造すること、又は別様に提供することができるように必要なデータを提供することが可能である。ステップM60は、矯正脊椎ロッドデータRD1、RD2を特定するために異なるデータを使用し得る計算ステップである。例えば、ステップM60は、矯正されていない元の脊柱SC2の現在のパラメータ化値PAR1に基づいて、異なる選択された椎骨Vのポーズデータ情報PDI_Vに基づいて、椎骨VPの位置情報のデータに基づいて、矯正されていない脊柱SC1の脊椎曲線データSCD1であって、このデータがステップM20から結果として得られる、脊椎曲線データSCD1に基づいて、矯正された脊椎曲線データSCD2、矯正された椎骨位置VCとしての異なる選択された椎骨のポーズデータ情報PDI_Vを包含するがこれらに限定されないステップM50により入力された、又は別様に提供された所望の脊柱SC2に関連したデータに基づいて、矯正脊椎ロッドデータRD1、RD2を計算し得、及び、装着点APの位置のデータに更に基づき得る。
【0050】
[0050]ステップM60は、例えば所望の矯正された脊柱SC2の対象データ及びパラメータ化PAR2を使用することにより、例えば以下の科学刊行物、すなわち、Kokabuら、「Identification of Optimized Rod Shapes to Guide Anatomical Spinal Reconstruction for Adolescent Thoracic Idiopathic Scoliosis」、Journal of Orthopaedic Research、Vol.36、No.12、2018年、3219~3224ページにおいて説明されているアルゴリズムに基づいて、例えば図2C及び図4Bに示される装着点APの所望の位置、矯正された装着点APにマッチングするように、繰り返しの最近接点ベースの最良フィットアルゴリズムを使用することにより、異なる種類のロッド形状分析及び設計アルゴリズムを使用し得、例えばSollaら、「Patient-Specific Rods for Surgical Correction of Sagittal Imbalance in Adults」、Clinical Spine Surgery、Vol.32、No.2、2019年、80~86ページを参照されたい。ロッドRに印加された機械的応力を考慮する例えば有限要素ベースのものといった別のアルゴリズムが使用され得、例えばAgarwalら、「Towards a Validated Patient-Specific Computational Modeling Framework to Identify Failure Regions in Traditional Growing Rods in Patients with Early Onset Scoliosis」、North American Spine Society Journal(NASSJ)Vol.5、2021年、100043ページを参照されたい。新しいロッドデータRD1、RD2の計算は、更に、例えば人工知能の使用による、例えば異なる背骨手術患者から脊椎矯正に関する履歴データに基づく知識ベースのものであり得る。更に、ステップM60のロッド計算が、提案されたロッドタイプ、ロッド厚さ、ロッド長さ、及びロッド形状、ロッドカテゴリを示す、ロッドR1、R2を提供するためのガイドラインとしてユーザー、オペレーター、又は執刀医Oに特定のパラメータを提供することも可能であり、ユーザー、オペレーター、又は執刀医OがステップM68によりロッドを製造するために、この情報を使用することも可能である。この情報は、例えばグラフィカルユーザーインターフェースGUIのウィンドウといったディスプレイスクリーン330、120において提供され得る。
【0051】
[0051]この点について、ステップM68の最終結果は、ステップM70により執刀医、オペレーター、又はユーザーOによる装着のために1つ又は複数の外科的切開部SIを介してアクセス可能なねじ頭部SHに接続されるように位置し得る実際のロッドRであり得るが、ロッドRを準備するための、提案するための、及び手動で、又は自動的に製造するための、ステップM68の一部であり得る多くの異なる態様が存在し得る。例えば、ステップM68は、例えば使用されるロッドRの直径に対応したライン幅又は他のグラフィカル表現をもつ、輪郭、陰影の付いた線、又は塗りつぶされた線を示すグラフィカル要素として、図2Eに例示的に示されるようにロッドデータRD1、RD2に基づいてディスプレイデバイス120、330のグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)に一定の縮尺(1:1の縮尺)でロッドテンプレートRTDを表示するステップを含み得る。更に、グリッドGRIのグラフィカル表示は、例えば数センチメートル又は数インチぶん間隔を空けられた線のマトリックスとして、表示されたロッドテンプレートRTDの表示エリアに重ね合わされ得る。更に、表示ウィンドウは、例えばロッドRの弯曲した線に沿った全長、絶対長さ、最大屈曲半径といった、表示されたロッドテンプレートRTDによりもたらされるロッドRを特徴付ける異なるデータを含み得、執刀医、オペレーター、又はユーザーO、又は技術者がロッドRを製造するときに検証するために使用し得る幾つかの重要なデータを提供することを可能にする。簡潔化のために、及び実用的目的のために、ロッドRは三次元的に形作られた屈曲及び弯曲を含み得るが、表示されたロッドテンプレートRTDは、例えば椎弓根ねじの頭部SHに配置されたとき背中に向かって患者又は生物Lの背中に直交した方向におけるロッドRのビューを表す1つ又は複数の二次元ビューにより表示され得る。しかし、第2の表示されたロッドテンプレートRTDを使用してロッドRの別の側面図を表示することも可能である。ステップM68が例えば1枚の紙又は殺菌可能プラスチックシートに1:1の縮尺のロッドRの1つ又は複数のビュー、例えばディスプレイデバイス120、330のGUIに提供された同じビュー又は2つのビューを印刷し得るプリンター、又は、ロッドRを印刷するための三次元プリンター、例えば3Dチタンプリンター、例えばチタン粉末床融合、例えばレーザー粉末床融合又は電子ビーム粉末床融合に基づく3Dプリンター、又は、他のチタン3D印刷工程、例えば直接エネルギー堆積(DED)、急速プラズマ堆積(RPD)、及び結合剤噴射といった別の媒体にロッドテンプレートRTDを提供するためにデータ出力ステップを含むことも可能である。簡潔化のために、及び例示目的のために、ステップM68の文脈では、ただ1つのロッドRが言及されているが、ロッドR1、R2は一般的に同一ではなく、脊柱SCの左側に、又は右側にコラムを形成する一連の装着位置APに依存するので、一般的には、例えば2つの異なるロッドテンプレートRTD1、RTD2を表示することにより、2つのロッドR1、R2が特定され、表示され、印刷され、及び製造され得る。
【0052】
[0052]ディスプレイ120、330に1:1の縮尺で表示されたロッドテンプレートRTD、又は1枚の紙に印刷されたバージョンに基づく、ステップM68によるロッドRの手動製造に関連して、執刀医、オペレーター、ユーザーO、又は手術技術者は、例えば、国際特許WO2020/095262(この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に示されているように、後でロッド再現技術を使用して実際のロッドRを製造するために、例えば鋳造可能な、及び簡単に屈曲可能なテンプレートロッドを使用することにより、例えば異なる種類のツールを使用して、又は他のタイプのロッド屈曲器及びロッド切断ツールを使用することにより、例えばディスプレイデバイス120において直接的に表示された形状に切断され、及び屈曲され得る屈曲可能なロッドサンプルの使用により一定の縮尺でロッドRを製造し得る。例えば、ロッドR又は2つのロッドR1、R2は、ディスプレイ120、330に提供されたロッドテンプレートの情報に基づいて、ロッド屈曲及び処理ツールの使用により、除菌された直線ロッドから直接的に、及び術中に執刀医、オペレーター、又はユーザーOにより屈曲させられ、及び切断され得る。RD1、RD2のデータに基づいてパーソナライズされたロッドを製造するために、例えば外部医療デバイス製造業者といったロッド製造施設に脊椎ロッドデータRD1、RD2が送信されることも可能である。ロッドRは、積層造形方法により、例えば3次元印刷により更に製造され得る。
【0053】
[0053]この段階において、ねじ伸張器SEがスキャンされて手術前に検出された、及び、所望の矯正された位置SC1に脊柱を移動させるためにロッドR1、R2のペアに対するデータを計算するために図2Bに例示的に示されるように装着点APの位置が手術前に特定されたステップM40に基づいて、本方法は、例えばステップM50によりユーザー又はオペレーターOにより入力されたパラメータPAR2といった、所望の矯正された脊柱SC2のデータに基づいて、それらが手術後にどのようになると想定されるかを、矯正された装着点APの位置において計算し、又は推定し得る。
【0054】
[0054]したがって、ステップM60、又は、パラメータPAR2を入力するステップM50及びスキャニングステップM40の後の別のステップにおいて、ステップM55が実施され得、ステップM55では、例えばPAR2といった所望の矯正された脊柱SC2のステップM50から取得された情報に基づいて、矯正された装着点APの位置におけるデータが計算される。これは図4A及び図4Cにより可視化されており、3つの例示的な椎骨V1~V3の背面図を示し、図4Aは手術前の変形した脊椎SC1を示し、図4Bは手術後のものとして望まれる矯正された所望の脊椎SC2を示す。各椎骨Vに対し、ステップM20により、各椎骨Vの配向及び各椎骨Vの幾何学的位置VPを含むポーズデータ情報PDI_Vが各椎骨Vに対して利用可能である。例えば、ステップM55は、健康なヒトからのデータに基づくが、例えば患者又は生物Lの重量、高さ、体の形状、及び他の特性に基づいて矯正された脊柱SC2のデータを考慮するために、及び校正するために、矯正されていない脊柱SC1の現在存在する装着点APに適応された、又は再校正された理想的な脊椎弯曲の予め記憶されたデータに基づいて装着点APを特定し得る。これは、結果的に、矯正された脊椎SC2の理想的な弯曲を元の脊椎SC1の実際の寸法及び構成に矯正するために、又は調節するために、矯正されていない脊椎SC1を特徴付けるデータを使用することにより、例えば、ステップM20からのパラメータPAR1の一部であり得る例えば高さ、幅、直径など、隣り合った椎骨間の距離といった異なる椎骨Vの寸法を使用することにより実施され得る。
【0055】
[0055]脊柱SCに対して外された動き及び矯正が対応する椎骨Vに対する装着点ペアAPの位置を変更しなかった、又はわずかにのみ変更したと仮定して、ステップM50からの新しい所望の矯正された脊椎曲線データSCD2のデータ、及び、手術前の位置VPから矯正された椎骨位置VCへの各椎骨Vの位置及び配向の結果的な変化に基づいて、装着点ペアAPn.1及びAPn.2に対する新しい位置がステップM55により計算される。例えば、椎弓根ねじPSの異なるねじ頭部SHの多軸方向性がロックされたときに、これが可能である。この点について、全ての新しい所望の矯正された椎骨位置VCnが図4Bに例示的に示されているように新しい所望の矯正された脊椎曲線データSCD2に沿って存在するように、ステップM55は、図4Aに示されている手術前の装着点のペアAPn.1及びAPn.2の集合を、手術後の対応する所望の新しい装着点のペアAPn.1及びAPn.2に幾何学的に変換するステップを含み得る。図4Bでは例を示すために、脊椎曲線データSCD2が直線的な垂線により表されるように示されている。ステップM20からの各椎骨Vの検出された位置VPnを、新しい所望の矯正された位置VCnに変換するために、患者又は生物Lの脊柱SCは圧縮も伸張もされておらず、又はわずかにのみ圧縮された、又は伸張されたので、隣り合った椎骨V間の距離が変化しないこと、又は、隣り合った位置VPn及びVPn+1又はVPn-1の間の元の及び矯正された脊椎曲線データSCD1及びSCD2のセクションの弯曲の長さが変化しないことが仮定され得る。これらの幾何学的変換を使用して、ステップM20により特定されたデータ、及びステップM50の所望の脊椎矯正データのみに基づいて、矯正された装着点のペアAPn.1及びAPn.2に対する位置データが計算され得る。
【0056】
[0056]次に、ステップM60によると、選択された椎骨V、又は、椎弓根ねじPSのペアが装着された状態の全ての椎骨Vに対する矯正された装着点APn.1及びAPn.2のペアに対する位置データに基づいて、図2Dに例示的に示されるように2つのロッドR1、R2が椎弓根ねじのねじ頭部PSのU字形溝に位置し得るように、2つの脊椎ロッドデータ集合RD1、RD2が例えば一連の個別の位置として、又は幾何学的関数又は曲線として計算され得る。ロッドデータ集合RD1、RD2は、提案されたロッドR1、R2の長さを更に含み得る。この計算は、例えば円柱ステンレス鋼又はチタンといったロッドR1、R2を形成する材料の最大屈曲半径又は弯曲を考慮し得る。提案されたロッドデータセットRD1、RD2は、脊柱SCを所望の弯曲SCD2に矯正するための理想的な形状をもつロッドR1、R2を生成するために使用され得る。
【0057】
[0057]次に、ステップM68によると、ロッドデータセットRD1、RD2は、例えばコンピュータ支援設計(CAD)データとして脊椎ロッドのための製造データに変換され得、及び、製造データを計算する、及びロッドR1、R2を製造するステップM68により、ロッドデータセットRD1、RD2において説明されている弯曲及び長さをもつようにロッドR1、R2のペアが製造され得る。これは、例えばロッド屈曲機械又はデバイス及びロッド切断装置を使用することによりロッドR1、R2を製造する手動の、半自動の、又は完全に自動化されたステップであり得る。
【0058】
[0058]ステップM70によると、方法の手術部分が、ユーザー、オペレーター、又は執刀医Oにより実施され続け得、その場合に、製造された2つのロッドR1、R2が、例えばロッド縮小特徴及びねじ伸張器SEのスリット形開口、及び、ねじ頭部SH内部にロッドRを保持するためにねじ頭部SHに締め付けられた止めねじを使用することにより、椎骨Vに装着された椎弓根ねじPSのペアのねじ頭部SHのU字形溝に位置し得る。このステップにおいて、オペレーター、執刀医、又はユーザーOは、ロッドR1、R2ねじ頭部SHに適合するように、椎骨Vを再配置するために患者又は生物Lの脊柱SCを再配置し得る。これは、オペレーター、執刀医、又はユーザーOがステップM50において特定された所望の新しい矯正された脊椎曲線データSCD2に近くなるように、又は近似するように脊柱SCを再配置することを可能にする。
【0059】
[0059]方法300は、ねじ頭部SHに依然として装着されているねじ伸張器SEの位置がスキャンされ、及び検出され得るステップM80に続き得、このステップはステップM40と同様のステップであるが、この段階では、椎弓根ねじPSに装着されたロッドR1、R2を使用する。このステップは、データ処理デバイス100及びカメラ110を使用することにより実施され得、したがって、患者又は生物Lを放射線に曝露させる医療イメージングステップを必要とせずに、ロッドが装着された後に脊柱SC3の位置を検証することを可能にする。このステップにより、ねじ伸張器SEのポーズ情報に基づいて実際の装着位置APが検出され得、その後、装着位置AP及び椎骨Vの実際の位置又は場所VRの間の知られた幾何学的関連性に基づいて、例えばこれらに限定されないがコブ角、矯正された脊椎曲線データSCD3に関するデータ、矯正された位置/場所及び配向情報VRといった、例えば矯正された脊柱SC3に対する現在存在するパラメータ化値PAR3といった、矯正された脊柱SC3の他のパラメータ及びデータが計算され得る。
【0060】
[0060]理想的な場合において、脊柱SC2の所望の配置を特徴付けるデータ、及び、実際の矯正された脊柱SC3を特徴付けるデータは同じであるか、又は非常に近似している。しかし、外科的切開部SIを閉じる前に手術の結果を検証するオペレーター、執刀医、又はユーザーOのためにステップM90が実施され得、ステップM90では、ステップM50及びM80からのデータが、例えばデータ処理デバイス320のディスプレイデバイス330といったディスプレイスクリーン120、330に、又はポータブルデータプロセッサ100のディスプレイデバイス120に所望の及び矯正された脊椎曲線データSCD2、SCD3の値又は曲線を表示する例えばステップM100により比較され得る。これは、図3に示されているものと同様だがこのタイミングではPAR2、PAR3を使用して、所望の脊柱SC2の異なるパラメータ化値PAR2、及び、矯正された又は矯正後の脊柱SC3のパラメータ化値PAR3を表示することにより、グラフィカルユーザーインターフェース及び所望の脊椎曲線SC2及び実際に実現された矯正された脊椎曲線SC3のグラフィカル表示により行われ得る。更に、比較のための脊柱の3つの異なるビューを示すために、比較のための元の矯正されていない脊椎曲線SC1、及び、元の矯正されていない脊椎曲線の異なるパラメータ化値PAR1を表示することも可能である。グラフィカルユーザーインターフェースを使用した表示のためにグラフィカルプリミティブ又はグラフィカルモデル化及びレンダリングが、コンピュータにより生成された脊椎表現を表示するために使用され得る。
【0061】
[0061]比較するステップM90の後に、又は表示するステップM100の後に、又はその両方において、ロッドデータRD1、RD2を使用して矯正ロッドを計算するステップM60、新しいロッドR、好ましくはロッドR1、R2のペアを製造するステップM68、椎弓根ねじPSに新しいロッドR1、R2を配置する、及び装着するステップM70、及び、椎弓根ねじPSの新しい位置を検出し、以て椎骨Vの新しい位置を検出するスキャンのステップM80を実施するステップf、及び、その後の比較する新しいステップM90、表示する新しいステップM100の反復を実施することが可能である。このようなループでは、まず、現在配置されている、及び装着されているロッドR1、R2は、ステップM95により椎弓根ねじPSから取り外され得る。例えば、スキャニングステップM80、及び脊椎PAR3を特徴付ける実際の矯正されたパラメータの計算により、例えばPAR2をPAR3と比較した後に、又は外科的切開部SIのエリアの単純な目視検査により、ユーザー又はオペレーターOが結果に満足していないことにユーザー又はオペレーターOが気付くことが可能であり得る。例えば、ステップM60により計算された、及びステップM68により製造されたロッドペアR1、R2が脊椎SC1に対する所望の矯正を外れなかった可能性がある。したがって、比較するステップM90、又は表示するステップM100、又はその両方が、ユーザー又はオペレーターOがステップM50を実施することに戻って脊柱SC1の所望の形状及び配置のための新しいパラメータ集合PAR2を入力することを可能にするグラフィカル要素又は他のデータ入力デバイスを含み得る。方法300は、元々入力されたパラメータPAR2が維持されてステップM50により再度入力されないが、装着点APの位置を再度特定するためにロッドR1、R2が除去された後に患者又は生物Lの外科的切開部SIが再度スキャンされるステップM40に戻り得ることも可能である。例えば、ステップM70によりロッドペアR1、R2を装着する最初の試行後に、脊椎SC1の位置、配置、及び配向が新しい位置に動いた可能性があり、又は更には、手術中の患者又は生物Lの取り扱い中、ステップM30による椎弓根ねじPSの装着後、椎骨Vが動かされ、脊柱SC3の不十分な矯正をもたらし、したがってPAR2に対する新しい値を使用せずにステップM40、M55による装着点APの位置の新しい特定を必要とする可能性があり得る。
【0062】
[0062]方法300及びシステム400の本明細書において提示される態様によると、実施される必要のある医療イメージングの数を減らすこと、矯正背骨手術のコスト及び侵襲性を減らすことが可能であり、以て、放射線に対する患者の体の曝露を減らし、及び、患者又は生物Lの放射線イメージングのコスト及び時間を抑えることができる。医療イメージングは、脊柱を特徴付ける異なる位置及び場所を特定するために画像処理アルゴリズムを使用することにより従来のイメージング及びビデオキャプチャにより実質的に置換され得る。上述のように、脊椎矯正を特定するために外科的切開部SIにおいて取得された画像に基づいて、ステップM40、M80のビデオキャプチャ及びデータ処理に依存するために、医療イメージングが実施されないこと、又は、医療イメージングが補助ステップとして実施されるに過ぎないことが更に可能である。加えて、外部での製造及び脊椎ロッド設計ステップを必要とせずに、手術のちょうどその場所において矯正脊椎ロッドR1、R2を直接提案すること、及び製造することが可能である。
【0063】
[0063]本発明が特定の好ましい実施形態を参照しながら開示されているが、添付の請求項及びそれらと均等なものにおいて規定されるように、本発明の領域及び範囲から逸脱せずに、説明されている実施形態に対する多くの変更、代替、及び変形が可能である。したがって、本発明が説明されている実施形態に限定されず、本発明が後述の特許請求の範囲の文言により規定される全範囲を含むことが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】