(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】霧化加熱モジュール及びその霧化加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240705BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240705BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20240705BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/46
A24F40/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573302
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 CN2021131915
(87)【国際公開番号】W WO2023087279
(87)【国際公開日】2023-05-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521528698
【氏名又は名称】深▲ゼン▼市華誠達精密工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳平
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AC16
4B162AC18
4B162AC27
4B162AC41
(57)【要約】
霧化加熱モジュール及びその霧化加熱装置において、霧化加熱モジュールは、多孔質導液体(100)及び多孔質磁性加熱体(200)を含む。多孔質導液体(100)は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体である。多孔質磁性加熱体(200)は、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体である。多孔質磁性加熱体(200)は、少なくとも多孔質導液体(100)の表面に嵌接されるか貼り付けられる。且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体(200)の露出表面には霧化面(21)が形成される。当該霧化加熱モジュールは、電磁加熱方式を用いることで、アトマイザーの構造をよりシンプル且ついっそう低コストとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質導液体(100)及び多孔質磁性加熱体(200)を含み、前記多孔質導液体(100)は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体であり、前記多孔質磁性加熱体(200)は、100接剤を高温焼結することでなる多孔質磁性構造体であり、前記多孔質磁性加熱体(200)は、少なくとも多孔質導液体(100)の表面に嵌接されるか貼り付けられ、且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体(200)の露出表面には霧化面(21)が形成されることを特徴とする霧化加熱モジュール。
【請求項2】
前記多孔質磁性加熱体(200)は、磁性金属粉体50~100部、セラミック粉体0~30部、助燃剤0~40部及びパラフィン0~30部を原料としてなることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項3】
前記磁性金属粉体は、純鉄、低炭素鋼、鉄アルミ合金、鉄シリコン合金、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、フェライト、金属ニッケル、金属コバルトのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項2に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項4】
前記バインダーはガラス粉末又はフリットであり、前記バインダーの融点は600~1300℃であることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項5】
前記多孔質導液体(100)の表面とシール部材との接触部分には多孔質磁性加熱体(200)が存在しないことを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項6】
前記多孔質導液体(100)の厚さ>多孔質磁性加熱体(200)の厚さとすることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項7】
霧化面(21)が設けられている前記多孔質磁性加熱体(200)の厚さは、その他の位置の多孔質磁性加熱体(200)の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項8】
前記多孔質磁性加熱体(200)の霧化面(21)には、気流の方向に沿って気流を案内し、且つ霧化面(21)積を増大させる導気部材(300)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項9】
前記導気部材(300)は、気流の方向に沿って複数列設けられ、複数の列の間に隙間が保持されることを特徴とする請求項8に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項10】
気流の方向において、同一列の前記導気部材(300)は、間欠的に配置されるか、連続的に配置されることを特徴とする請求項9に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項11】
前記導気部材(300)は、平行に並べられるか、放射状に並べられるか、交錯するように並べられることを特徴とする請求項8に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項12】
前記導気部材(300)の横断面形状は、多角形、曲面形又はそれらの組み合わせとすることを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項13】
前記導気部材(300)は、導気溝、導気リブ、導気突起のうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項14】
前記多孔質導液体(100)は、プレート式の構造、ボウル状構造、溝体構造又は筒状構造であり、
前記多孔質磁性加熱体(200)は、多孔質導液体(100)の側壁の中央部に嵌接されるプレート式の構造であり、或いは、前記多孔質磁性加熱体(200)は、多孔質導液体(100)の内側壁の中央部又は外側壁の中央部に嵌接される筒状構造であり、
前記多孔質磁性加熱体(200)の霧化面(21)は、多孔質導液体(100)の側壁面から張り出しているか、多孔質導液体(100)の側壁面と面一であることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項15】
前記多孔質導液体(100)に設けられる給液面(11)は、平面、曲面、溝面のうちの少なくとも1種類であり、
前記霧化面(21)は、平面、曲面のうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項14に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項16】
前記多孔質導液体(100)の給液面(11)には導液孔(12)又は導液溝(13)が開設されていることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項17】
ケーシング(10)、マウスピース(20)、リキッドタンク(30)を含む霧化加熱装置であって、
前記リキッドタンク(30)の下方には、請求項1~16のいずれか1項に記載の霧化加熱モジュールが設けられており、前記霧化加熱モジュールとリキッドタンク(30)の間にはシール部材(50)が設けられていることを特徴とする霧化加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の技術分野に関し、特に、霧化加熱モジュール及びその霧化加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気加熱霧化技術は、近年登場した新型の霧化技術である。原理としては、抵抗の熱作用により熱エネルギーを発生させ、熱エネルギーがリキッドを加熱により霧化させて霧化蒸気にするというものである。これは、現在、医療、スマート家電、コンシューマーエレクトロニクスに幅広く応用されている。電気加熱の方式は、抵抗加熱のほか、電磁加熱としてもよい。電磁誘導加熱の原理では、電子回路基板の構成部分に交番磁界を発生させることで、磁性の金属材料を交番磁界内に置いたときに、磁性体材料の表面に交番電流と渦電流が発生する。渦電流は磁性体内のキャリアを高速且つ無規則に運動させるため、キャリアと原子が衝突し合う。そして、その摩擦により熱エネルギーが発生する。一方、抵抗加熱の場合には、発熱体の抵抗値の大きさの制限を受けるため、往々にして材料の選択が制限される。また、発熱体が発生させる熱と導電体の断面積等の要因には大きな関連がある。且つ、外部電源を必要とすることが多く、発生する熱は製品の抵抗値の制限を受ける。加えて、更に、導液材料や多孔質材料と密着又は嵌め合わせることでようやく使用可能となる場合が多く、発熱時に発熱体が離脱した場合にはコアの焦げ付きの問題が容易に発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における欠点に対し、電磁加熱方式を用いることで、使用が比較的容易な導液及び発熱体を供与し、導液及び発熱体の機能を1つに集約することで、アトマイザーの構造をよりシンプル且ついっそう低コストとする霧化加熱モジュール及びその霧化加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
霧化加熱モジュールは、多孔質導液体及び多孔質磁性加熱体を含む。前記多孔質導液体は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体である。前記多孔質磁性加熱体は、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体である。前記多孔質磁性加熱体は、少なくとも多孔質導液体の表面に嵌接されるか貼り付けられる。且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体の露出表面には霧化面が形成される。
【0006】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体は、磁性金属粉体50~100部、セラミック粉体0~30部、助燃剤0~40部及びパラフィン0~30部を原料としてなる。
【0007】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記磁性金属粉体は、純鉄、低炭素鋼、鉄アルミ合金、鉄シリコン合金、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、フェライト、金属ニッケル、金属コバルトのうちの少なくとも1種類である。
【0008】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記バインダーは、ガラス粉末又はフリットである。また、前記バインダーの融点は600~1300℃である。
【0009】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体の表面とシール部材との接触部分には多孔質磁性加熱体が存在しない。
【0010】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体の厚さ>多孔質磁性加熱体の厚さとする。
【0011】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、霧化面が設けられている前記多孔質磁性加熱体の厚さは、その他の位置の多孔質磁性加熱体の厚さよりも大きい。
【0012】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体の霧化面には、気流の方向に沿って気流を案内し、且つ霧化面積を増大させる導気部材が設けられている。
【0013】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材は、気流の方向に沿って複数列設けられ、複数の列の間に隙間が保持される。
【0014】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、気流の方向において、同一列の前記導気部材は、間欠的に配置されるか、連続的に配置される。
【0015】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材は、平行に並べられるか、放射状に並べられるか、交錯するように並べられる。
【0016】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材の横断面形状は、多角形、曲面形又はそれらの組み合わせとする。
【0017】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材は、導気溝、導気リブ、導気突起のうちの少なくとも1種類である。
【0018】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体は、プレート式の構造、ボウル状構造、溝体構造又は筒状構造である。
【0019】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体は、多孔質導液体の側壁の中央部に嵌接されるプレート式の構造である。或いは、前記多孔質磁性加熱体は、多孔質導液体の内側壁の中央部又は外側壁の中央部に嵌接される筒状構造である。
【0020】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体の霧化面は、多孔質導液体の側壁面から張り出しているか、多孔質導液体の側壁面と面一である。
【0021】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体に設けられる給液面は、平面、曲面、溝面のうちの少なくとも1種類であり、前記霧化面は、平面、曲面のうちの少なくとも1種類である。
【0022】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体の給液面には導液孔又は導液溝が開設されている。
【0023】
霧化加熱装置は、ケーシング、マウスピース、リキッドタンクを含む。前記リキッドタンクの下方には上記の霧化加熱モジュールが設けられている。前記霧化加熱モジュールとリキッドタンクの間にはシール部材が設けられている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0025】
本発明は、多孔質導液体及び多孔質磁性加熱体を含む霧化加熱モジュールを提供する。多孔質導液体は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体である。多孔質磁性加熱体は、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体である。多孔質磁性加熱体は、少なくとも多孔質導液体の表面に嵌接されるか貼り付けられる。且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体の露出表面には霧化面が形成される。電磁加熱方式を用いることで、使用が比較的容易な導液及び発熱体を供与し、導液及び発熱体の機能を1つに集約することで、アトマイザーの構造をよりシンプル且ついっそう低コストとする。
【0026】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第1実施形態の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第2実施形態の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第3実施形態の立体構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第3実施形態の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第4実施形態の立体構造の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第4実施形態の平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第5実施形態の立体構造の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2における霧化加熱装置の分解図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例2における霧化加熱装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0029】
部材が別の部材に「固定される」或いは「設けられる」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材上に位置し得る。また、1つの部材が別の部材に「接続される」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材に接続され得る。
【0030】
「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置は、図示する方向又は位置に基づいている。
【0031】
「軸方向」、「径方向」との用語については、装置又は部材全体の長さ方向を「軸方向」とし、軸方向と垂直な方向を「径方向」とする。
【0032】
「第1」、「第2」等の用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。また、「複数」とは、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、2つ又は2つ以上であることを意味する。
【0033】
上記の用語は記載の便宜上のものにすぎず、本技術方案を制限するものと解釈すべきではない。
【0034】
実施例1において、
図1~
図7に示すように、霧化加熱モジュールは、多孔質導液体100及び多孔質磁性加熱体200を含む。多孔質導液体100は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体である。無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結したあとに形成されるミクロンレベルの孔によって、霧化用リキッドを通過させる経路を提供可能となる。且つ、多孔質導液体100は高い強度を有するため、構造のサポートや断熱作用を提供可能である。多孔質磁性加熱体200は、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体である。即ち、多孔質磁性構造体には、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結する方式と、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結する方式という2種類の実現方式があり、いずれであってもミクロンレベルのマイクロ孔が形成される。この場合に形成される多孔質磁性構造体は、電磁誘導により熱を発生可能なだけでなく、ミクロンレベルのマイクロ孔により導液機能も有し得る。多孔質磁性加熱体200は、少なくとも多孔質導液体100の表面に嵌接されるか貼り付けられる。理解し得るように、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の任意の表面に嵌接又は貼り付け可能である。多孔質磁性加熱体200は、間隔を置いて複数設けてもよいし、1つを連続的に設けてもよい。複数の多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の1つの表面に嵌接するか貼り付けてもよい。また、複数の多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の異なる表面に嵌接するか貼り付けてもよい。
図2に示すように、本発明における上記の嵌接とは、部分的な嵌接であってもよい。即ち、多孔質磁性加熱体200の一部が多孔質導液体100内に埋め込まれ、一部が多孔質導液体100の表面の外側に張り出してもよい。また、
図1に示すように、嵌接とは全体的な嵌接であってもよい。即ち、多孔質磁性加熱体200の全てが多孔質導液体100内に設けられてもよい。つまり、多孔質磁性加熱体200の表面が多孔質導液体100と面一になってもよい。多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の表面に連続的に設けてもよいし、非連続的に設けてもよい。また、多孔質導液体100の全ての表面に設けてもよい。この場合には、多孔質導液体100の各面に設ける場合が含まれるが、多孔質導液体100の一部の表面に設けてもよいし、多孔質導液体100の任意の面に部分的に設けてもよい。且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体200の露出表面には霧化面21が形成される。理解し得るように、霧化経路内には多孔質磁性加熱体200が設けられており、この多孔質磁性加熱体200の露出表面が霧化面21となる。多孔質磁性加熱体200は加熱層として、多孔質であるとの特徴を有する。よって、その内部の磁性金属粒子が電磁誘導により熱を発生させる一方、多孔質であるとの特徴から、リキッドの十分な供給と、マイクロ孔からの霧化蒸気の円滑な吐出が保証される。従って、この加熱層は、1つの面全体が発熱するとの効果を発揮可能であり、同等面積での熱効率が高い。また、その他の位置の多孔質磁性加熱体200も導液機能及び加熱機能を有する。更に、その他の位置の多孔質磁性加熱体200は、加熱・予熱部材として、貼り付け箇所又は嵌接箇所における多孔質導液体100の霧化用リキッドを予熱し、霧化させることで、霧化効果を高めて霧化蒸気の吸い心地を向上させることが可能である。霧化加熱モジュールの動作時に、多孔質導液体100は、霧化させるタバコ用リキッドを多孔質磁性加熱体200の霧化面21まで案内する。多孔質磁性加熱体200は、電磁誘導により熱を発生させ、タバコ用リキッドを霧化させることで霧化蒸気を形成する。霧化蒸気は空気とともにエアロゾルを形成し、最終的には使用者によって吸入される。
【0035】
多孔質磁性加熱体200が多孔質導液体100の表面に嵌接されるか貼り付けられる以外にも、多孔質磁性加熱体200は、リキッドを予熱して流動速度を向上させ、霧化面21への案内を加速させるために、多孔質導液体100内に埋設されてもよい。
【0036】
好ましくは、シール部材50との接触部分には多孔質磁性加熱体200を設けない。シール部材50の多くはゴムやプラスチック等からなるため、多孔質導液体100の表面とシール部材50との接触箇所に多孔質磁性加熱体200を設けないことで、多孔質磁性加熱体200の持続的な発熱によりシール部材50が焼けて変形したり焼損したりする結果、シール部材50の密封効果に影響を及ぼすとの事態を防止する。
【0037】
多孔質導液体100の厚さ>多孔質磁性加熱体200の厚さとする。多孔質導液体100の気孔率は30~70%の間であり、マイクロ孔の直径は5~100μmで分布する。また、多孔質導液体100の厚さは多孔質磁性加熱体200の厚さよりも大きくなければならない。これは、タバコ用リキッドの霧化温度が一般的には180~260℃とされており、多孔質磁性加熱体200の温度が霧化温度に達した際には高温となるが、体積の大きな或いは分厚い多孔質導液体100は昇温が遅くなるからである。多孔質導液体100は霧化装置の貯液タンクに接続されるが、一般的に、貯液タンクの材質の耐熱温度は120℃程度である。よって、この場合、やや分厚い多孔質導液体100を断熱材とする必要がある。
【0038】
そのほか、霧化面21が設けられている多孔質磁性加熱体200の厚さは、その他の位置の多孔質磁性加熱体200の厚さよりも大きい。これにより、霧化面21における多孔質磁性加熱体200の単位面積あたりの加熱温度は、その他の位置の多孔質磁性加熱体200の温度よりも高くなる。霧化面21における多孔質磁性加熱体200は加熱霧化作用をより多く発揮するため、単位面積あたりの加熱温度を高くする必要がある。従って、より分厚くしておかなければならない。一方、その他の位置の多孔質磁性加熱体200は霧化用リキッドを予熱する作用を奏し得るため、単位面積あたりの加熱温度はやや低くてもよい。従って、厚さが霧化面21における多孔質磁性加熱体200より小さくてもよい。
【0039】
多孔質磁性加熱体200の霧化面21には、気流の方向に沿って気流を案内し、且つ霧化面積を増大させる導気部材300が設けられている。多孔質磁性加熱体200は電磁加熱を利用するため、従来の加熱体とは異なり、抵抗は関係せず、透磁率及び電磁切換周波数のみが関係する。加熱霧化過程において、多孔質磁性加熱体200は加熱時間が延びるにつれて温度が上昇し続ける。しかし、霧化には相対的に一定の温度を維持する必要があるため、多孔質磁性加熱体200には迅速な放熱が求められる。そこで、多孔質磁性加熱体200の霧化面21には導気部材300が設けられていることが好ましい。導気部材300を設けることで、気流の案内を補助し得るとともに、霧化面積の増大も可能となる。霧化面積を増大させれば、霧化量を増加させられるほか、加熱面と空気との接触面積もより大きくなるため、多孔質磁性加熱体200の放熱に有利となり、空気が霧化蒸気を迅速に搬送するようになる。これにより、霧化蒸気が霧化室に滞るとの事態が回避されるとともに、高温に起因して焦げ付きが生じるとの問題も回避される。
【0040】
導気部材300は、導気溝、導気リブ、導気突起のうちの少なくとも1種類である。
図2に示すように、導気部材300は導気溝であってもよい。導気溝における溝の向きは気流の方向と同一である。導気溝は導気経路を形成する。また、導気溝は複数設けてもよく、導気溝と導気溝の間に隙間が保持される。気流は、導気溝に沿って流れるため、気流の流動速度を加速可能となる。また、
図3に示すように、導気部材300は導気リブであってもよい。導気リブは複数設けられており、導気リブと導気リブの間には、導気経路を形成するよう隙間が保持される。気流は導気経路に沿って流動するため、ガスの流動速度が加速される。また、導気部材300は導気突起であってもよい。導気突起は複数設けられており、導気突起と導気突起の間には、導気経路を形成するよう隙間が保持される。気流は導気経路に沿って流動するため、ガスの流動速度が加速される。また、導気部材300は気流の方向に沿って複数列設けられる。複数の列の間には、導気経路を形成するよう隙間が保持される。気流の方向において、同一列の導気部材300は間欠的に配置されてもよいし、連続的に配置されてもよいが、気流の案内効果がより良好となるよう、連続的に配置することが好ましい。配置方式において、導気部材300には複数の実施例が存在する。即ち、導気部材300は平行に並べられてもよい。つまり、導気部材300と導気部材300の間を平行としてもよい。また、導気部材300は放射状に並べられてもよい。この放射状に並べられるとは、複数の導気部材300が多孔質磁性加熱部材の一方の側から他方の側に向かって放射状であることを意味し、その放射方向もまた気流の方向に沿っている。或いは、導気部材300は交錯するように並べられる。導気部材300と導気部材300の間が交錯するように並べられる場合、形成される導気経路は気流の方向に沿っていればよい。導気部材300の横断面形状は、多角形、曲面形又はそれらの組み合わせとする。
【0041】
多孔質導液体100には複数の実施形態が存在する。
図1に示すように、多孔質導液体100はプレート式の構造である。この場合、多孔質導液体100に設けられる給液面11は平面構造となる。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の側壁の中央部に嵌接されるプレート式の構造となる。或いは、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の側壁の中央部に貼り付けられるプレート式の構造となる。また、霧化面21は平面構造となる。或いは、
図3~
図6に示すように、多孔質導液体100は筒状構造である。この場合、多孔質導液体100に設けられる給液面11は曲面構造となる。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の内側壁の中央部に嵌接されるか貼り付けられる筒状構造となる。或いは、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の外側壁の中央部に貼り付けられるか嵌接される筒状構造となる。この場合、霧化面21は曲面構造となる。加えて、
図2に示すように、多孔質導液体100は溝体構造であってもよく、理解し得るように、多孔質導液体100は導液溝13を有する。この場合、多孔質導液体100に設けられる給液面11は溝面構造となる。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体200は、給液溝に対応する多孔質導液体100上に嵌接されるか貼り付けられる。或いは、
図7に示すように、多孔質導液体100はボウル状構造としてもよい。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体200多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100のボウル底又は外側壁に嵌接されるか貼り付けられる。多孔質導液体100に設けられる給液面11は、平面であってもよいし、曲面であってもよいし、ひいては溝面であってもよく、その他の構造であってもよい。よって、ここでは具体的に限定しない。また、霧化面21は、平面であってもよいし、曲面であってもよいし、斜面であってもよいし、上記を複数組み合わせてもよい。よって、ここでは具体的に限定せず、実際の必要性に応じて設計する。
【0042】
図1~
図2に示すように、多孔質導液体100の給液面11には、給液効果をより良好とすべく、導液孔12又は導液溝13が開設されている。多孔質構造の導液体にとって、導液溝13又は/及び導液孔12の設計はとりわけ重要である。導液溝13又は/及び導液孔12を設けることで、多孔質導液体100の給液面11の表面積が増大するため、給液速度を調節して給液の安定性を向上させるのに有利となる。特に、多孔質導液体100の給液面11を傾斜させて設ける場合には、給液面11全体のリキッド保持時間が平面構造やボウル状構造の場合よりも短くなる。また、導液溝13又は/及び導液孔12を増加させることで、全体の給液効率及び給液の安定性を向上させられる。
【0043】
霧化加熱モジュールの製造方法:無機系非金属骨材及びバインダーから多孔質導液体100のペーストを調製する。また、磁性材料の粒子、或いは、磁性材料の粒子及びバインダーから、多孔質磁性加熱体200のペーストを調製する。次に、金型を用いて多孔質磁性加熱体200のペーストをホットダイカスト成形することで多孔質磁性加熱体200を取得する。続いて、多孔質磁性加熱体200が冷却されて固定されたあと、多孔質導液体100のペーストを注入し、金型で成形することで霧化加熱モジュールのブランク材を取得する。そして、ブランク材を高温焼結炉内に置いて高温焼結することで霧化加熱モジュールを取得する。
【0044】
無機系非金属骨材として一般的に使用される材料には、溶融石英砂、珪藻土、タルク、ゼオライト、セピオライト、麦飯石、コーディエライト、酸化ケイ素、ジルコニア等の耐熱性で溶融しにくいセラミック粉体がある。また、バインダーは、ガラス粉末又はフリットである。バインダーの融点は600~1300℃である。
【0045】
多孔質磁性加熱体200は、磁性金属粉体50~100部、セラミック粉体0~30部、助燃剤0~40部及びパラフィン0~30部を原料としてなる。磁性金属粉体は、純鉄、低炭素鋼、鉄アルミ合金、鉄シリコン合金、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、フェライト、金属ニッケル、金属コバルトのうちの少なくとも1種類である。これらの金属は、初透磁率の周波数変化に対し良好な安定性を有しており、磁気感度に優れ、高透磁率である。理解し得るように、磁性金属粉体は、これらの金属粉体のいずれかとしてもよいし、いずれか2種類又は2種類以上の金属粉体の組み合わせとしてもよい。多孔質磁性加熱体200の製造方法:磁性金属粉体を数部、セラミック粉体を数部、助燃剤を数部及びパラフィンを数部取り、原料を混合して高温焼結する。焼結温度は600~1300℃とし、多孔質磁性構造体を形成する。下記の表は、いくつかの具体的実施例及び性能試験の結果である。
【0046】
【0047】
実施例2において、
図8~
図9に示すように、霧化加熱装置は、ケーシング10、マウスピース20、リキッドタンク30を含む。リキッドタンク30の下方には実施例1の霧化加熱モジュール40が設けられている。霧化加熱モジュール40は、多孔質導液体100及び多孔質磁性加熱体200を含む。霧化加熱モジュール40とリキッドタンク30の間にはシール部材50が設けられており、リキッドタンク30とマウスピース20の間にもシール部材50が設けられている。シール部材50とマウスピース20の間には気流経路が保持されている。シール部材50の排気端には、更に、霧化されなかったタバコ用リキッドを吸着するためのリキッド吸着綿60が設けられているため、使用者の吸入体験が向上するリキッドタンク30内にはタバコ用リキッドが貯えられている。リキッドタンク30は、霧化加熱モジュール40にリキッドを供給する。シール部材50は霧化加熱モジュール40を密封して、霧化加熱モジュール40の液漏れやリキッドの滲出を防止する。霧化加熱装置の動作時には、空気がケーシング10から霧化加熱モジュール40に進入する。また、リキッドタンク30が霧化加熱モジュール40にリキッドを供給し、多孔質導液体100がタバコ用リキッドを多孔質磁性加熱体200へと案内する。多孔質磁性加熱体200は、電磁誘導により熱を発生させ、タバコ用リキッドを霧化させることで霧化蒸気を形成する。霧化蒸気は空気と混合されてエアロゾルを形成する。エアロゾルは、気流経路に沿ってマウスピース20へと流れ、最終的に使用者によって吸い込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の技術分野に関し、特に、霧化加熱モジュール及びその霧化加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気加熱霧化技術は、近年登場した新型の霧化技術である。原理としては、抵抗の熱作用により熱エネルギーを発生させ、熱エネルギーがリキッドを加熱により霧化させて霧化蒸気にするというものである。これは、現在、医療、スマート家電、コンシューマーエレクトロニクスに幅広く応用されている。電気加熱の方式は、抵抗加熱のほか、電磁加熱としてもよい。電磁誘導加熱の原理では、電子回路基板の構成部分に交番磁界を発生させることで、磁性の金属材料を交番磁界内に置いたときに、磁性体材料の表面に交番電流と渦電流が発生する。渦電流は磁性体内のキャリアを高速且つ無規則に運動させるため、キャリアと原子が衝突し合う。そして、その摩擦により熱エネルギーが発生する。一方、抵抗加熱の場合には、発熱体の抵抗値の大きさの制限を受けるため、往々にして材料の選択が制限される。また、発熱体が発生させる熱と導電体の断面積等の要因には大きな関連がある。且つ、外部電源を必要とすることが多く、発生する熱は製品の抵抗値の制限を受ける。加えて、更に、導液材料や多孔質材料と密着又は嵌め合わせることでようやく使用可能となる場合が多く、発熱時に発熱体が離脱した場合にはコアの焦げ付きの問題が容易に発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における欠点に対し、電磁加熱方式を用いることで、使用が比較的容易な導液体及び発熱体を供与し、導液体及び発熱体の機能を1つに集約することで、アトマイザーの構造をよりシンプル且ついっそう低コストとする霧化加熱モジュール及びその霧化加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
霧化加熱モジュールは、多孔質導液体及び多孔質磁性加熱体を含む。前記多孔質導液体は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体である。前記多孔質磁性加熱体は、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体である。前記多孔質磁性加熱体は、少なくとも多孔質導液体の表面に嵌接されるか貼り付けられる。且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体の露出表面には霧化面が形成される。
【0006】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体は、磁性金属粉体50~100部、セラミック粉体0~30部、助燃剤0~40部及びパラフィン0~30部を原料としてなる。
【0007】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記磁性金属粉体は、純鉄、低炭素鋼、鉄アルミ合金、鉄シリコン合金、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、フェライト、金属ニッケル、金属コバルトのうちの少なくとも1種類である。
【0008】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記バインダーは、ガラス粉末又はフリットである。また、前記バインダーの融点は600~1300℃である。
【0009】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体の表面とシール部材との接触部分には多孔質磁性加熱体が存在しない。
【0010】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体の厚さ>多孔質磁性加熱体の厚さとする。
【0011】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、霧化面が設けられている前記多孔質磁性加熱体の厚さは、その他の位置の多孔質磁性加熱体の厚さよりも大きい。
【0012】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体の霧化面には、気流の方向に沿って気流を案内し、且つ霧化面積を増大させる導気部材が設けられている。
【0013】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材は、気流の方向に沿って複数列設けられ、複数の列の間に隙間が保持される。
【0014】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、気流の方向において、同一列の前記導気部材は、間欠的に配置されるか、連続的に配置される。
【0015】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材は、平行に並べられるか、放射状に並べられるか、交錯するように並べられる。
【0016】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材の横断面形状は、多角形、曲面形又はそれらの組み合わせとする。
【0017】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記導気部材は、導気溝、導気リブ、導気突起のうちの少なくとも1種類である。
【0018】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体は、プレート式の構造、ボウル状構造、溝体構造又は筒状構造である。
【0019】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体は、多孔質導液体の側壁の中央部に嵌接されるプレート式の構造である。或いは、前記多孔質磁性加熱体は、多孔質導液体の内側壁の中央部又は外側壁の中央部に嵌接される筒状構造である。
【0020】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質磁性加熱体の霧化面は、多孔質導液体の側壁面から張り出しているか、多孔質導液体の側壁面と面一である。
【0021】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体に設けられる給液面は、平面、曲面、溝面のうちの少なくとも1種類であり、前記霧化面は、平面、曲面のうちの少なくとも1種類である。
【0022】
更に、前記加熱霧化モジュールにおいて、好ましくは、前記多孔質導液体の給液面には導液孔又は導液溝が開設されている。
【0023】
霧化加熱装置は、ケーシング、マウスピース、リキッドタンクを含む。前記リキッドタンクの下方には上記の霧化加熱モジュールが設けられている。前記霧化加熱モジュールとリキッドタンクの間にはシール部材が設けられている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0025】
本発明は、多孔質導液体及び多孔質磁性加熱体を含む霧化加熱モジュールを提供する。多孔質導液体は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体である。多孔質磁性加熱体は、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体である。多孔質磁性加熱体は、少なくとも多孔質導液体の表面に嵌接されるか貼り付けられる。且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体の露出表面には霧化面が形成される。電磁加熱方式を用いることで、使用が比較的容易な導液体及び発熱体を供与し、導液体及び発熱体の機能を1つに集約することで、アトマイザーの構造をよりシンプル且ついっそう低コストとする。
【0026】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第1実施形態の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第2実施形態の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第3実施形態の立体構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第3実施形態の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第4実施形態の立体構造の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第4実施形態の平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1における霧化加熱モジュールの第5実施形態の立体構造の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2における霧化加熱装置の分解図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例2における霧化加熱装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0029】
部材が別の部材に「固定される」或いは「設けられる」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材上に位置し得る。また、1つの部材が別の部材に「接続される」と記載されている場合には、直接的又は間接的に当該別の部材に接続され得る。
【0030】
「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置は、図示する方向又は位置に基づいている。
【0031】
「軸方向」との用語については、装置又は部材全体の長さ方向を「軸方向」とし、軸方向と垂直な方向を「径方向」とする。
【0032】
「第1」、「第2」等の用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。また、「複数」とは、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、2つ又は2つ以上であることを意味する。
【0033】
上記の用語は記載の便宜上のものにすぎず、本技術方案を制限するものと解釈すべきではない。
【0034】
実施例1において、
図1~
図7に示すように、霧化加熱モジュールは、多孔質導液体100及び多孔質磁性加熱体200を含む。多孔質導液体100は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体である。無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結したあとに形成されるミクロンレベルの孔によって、霧化用リキッドを通過させる経路を提供可能となる。且つ、多孔質導液体100は高い強度を有するため、構造のサポートや断熱作用を提供可能である。多孔質磁性加熱体200は、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体である。即ち、多孔質磁性構造体には、磁性材料の粒子をそのまま高温焼結する方式と、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結する方式という2種類の実現方式があり、いずれであってもミクロンレベルのマイクロ孔が形成される。この場合に形成される多孔質磁性構造体は、電磁誘導により熱を発生可能なだけでなく、ミクロンレベルのマイクロ孔により導液機能も有し得る。多孔質磁性加熱体200は、少なくとも多孔質導液体100の表面に嵌接されるか貼り付けられる。理解し得るように、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の任意の表面に嵌接又は貼り付け可能である。多孔質磁性加熱体200は、間隔を置いて複数設けてもよいし、1つを連続的に設けてもよい。複数の多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の1つの表面に嵌接するか貼り付けてもよい。また、複数の多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の異なる表面に嵌接するか貼り付けてもよい。
図2に示すように、本発明における上記の嵌接とは、部分的な嵌接であってもよい。即ち、多孔質磁性加熱体200の一部が多孔質導液体100内に埋め込まれ、一部が多孔質導液体100の表面の外側に張り出してもよい。また、
図1に示すように、嵌接とは全体的な嵌接であってもよい。即ち、多孔質磁性加熱体200の全てが多孔質導液体100内に設けられてもよい。つまり、多孔質磁性加熱体200の表面が多孔質導液体100と面一になってもよい。多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の表面に連続的に設けてもよいし、非連続的に設けてもよい。また、多孔質導液体100の全ての表面に設けてもよい。この場合には、多孔質導液体100の各面に設ける場合が含まれるが、多孔質導液体100の一部の表面に設けてもよいし、多孔質導液体100の任意の面に部分的に設けてもよい。且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体200の露出表面には霧化面21が形成される。理解し得るように、霧化経路内には多孔質磁性加熱体200が設けられており、この多孔質磁性加熱体200の露出表面が霧化面21となる。多孔質磁性加熱体200は加熱層として、多孔質であるとの特徴を有する。よって、その内部の磁性金属粒子が電磁誘導により熱を発生させる一方、多孔質であるとの特徴から、リキッドの十分な供給と、マイクロ孔からの霧化蒸気の円滑な吐出が保証される。従って、この加熱層は、1つの面全体が発熱するとの効果を発揮可能であり、同等面積での熱効率が高い。また、その他の位置の多孔質磁性加熱体200も導液機能及び加熱機能を有する。更に、その他の位置の多孔質磁性加熱体200は、加熱・予熱部材として、貼り付け箇所又は嵌接箇所における多孔質導液体100の霧化用リキッドを予熱し、霧化させることで、霧化効果を高めて霧化蒸気の吸い心地を向上させることが可能である。霧化加熱モジュールの動作時に、多孔質導液体100は、霧化させるタバコ用リキッドを多孔質磁性加熱体200の霧化面21まで案内する。多孔質磁性加熱体200は、電磁誘導により熱を発生させ、タバコ用リキッドを霧化させることで霧化蒸気を形成する。霧化蒸気は空気とともにエアロゾルを形成し、最終的には使用者によって吸入される。
【0035】
多孔質磁性加熱体200が多孔質導液体100の表面に嵌接されるか貼り付けられる以外にも、多孔質磁性加熱体200は、リキッドを予熱して流動速度を向上させ、霧化面21への案内を加速させるために、多孔質導液体100内に埋設されてもよい。
【0036】
好ましくは、シール部材50との接触部分には多孔質磁性加熱体200を設けない。シール部材50の多くはゴムやプラスチック等からなるため、多孔質導液体100の表面とシール部材50との接触箇所に多孔質磁性加熱体200を設けないことで、多孔質磁性加熱体200の持続的な発熱によりシール部材50が焼けて変形したり焼損したりする結果、シール部材50の密封効果に影響を及ぼすとの事態を防止する。
【0037】
多孔質導液体100の厚さ>多孔質磁性加熱体200の厚さとする。多孔質導液体100の気孔率は30~70%の間であり、マイクロ孔の直径は5~100μmで分布する。また、多孔質導液体100の厚さは多孔質磁性加熱体200の厚さよりも大きくなければならない。これは、タバコ用リキッドの霧化温度が一般的には180~260℃とされており、多孔質磁性加熱体200の温度が霧化温度に達した際には高温となるが、体積の大きな或いは分厚い多孔質導液体100は昇温が遅くなるからである。多孔質導液体100は霧化装置の貯液タンクに接続されるが、一般的に、貯液タンクの材質の耐熱温度は120℃程度である。よって、この場合、やや分厚い多孔質導液体100を断熱材とする必要がある。
【0038】
そのほか、霧化面21が設けられている多孔質磁性加熱体200の厚さは、その他の位置の多孔質磁性加熱体200の厚さよりも大きい。これにより、霧化面21における多孔質磁性加熱体200の単位面積あたりの加熱温度は、その他の位置の多孔質磁性加熱体200の温度よりも高くなる。霧化面21における多孔質磁性加熱体200は加熱霧化作用をより多く発揮するため、単位面積あたりの加熱温度を高くする必要がある。従って、より分厚くしておかなければならない。一方、その他の位置の多孔質磁性加熱体200は霧化用リキッドを予熱する作用を奏し得るため、単位面積あたりの加熱温度はやや低くてもよい。従って、厚さが霧化面21における多孔質磁性加熱体200より小さくてもよい。
【0039】
多孔質磁性加熱体200の霧化面21には、気流の方向に沿って気流を案内し、且つ霧化面積を増大させる導気部材300が設けられている。多孔質磁性加熱体200は電磁加熱を利用するため、従来の加熱体とは異なり、抵抗は関係せず、透磁率及び電磁切換周波数のみが関係する。加熱霧化過程において、多孔質磁性加熱体200は加熱時間が延びるにつれて温度が上昇し続ける。しかし、霧化には相対的に一定の温度を維持する必要があるため、多孔質磁性加熱体200には迅速な放熱が求められる。そこで、多孔質磁性加熱体200の霧化面21には導気部材300が設けられていることが好ましい。導気部材300を設けることで、気流の案内を補助し得るとともに、霧化面積の増大も可能となる。霧化面積を増大させれば、霧化量を増加させられるほか、加熱面と空気との接触面積もより大きくなるため、多孔質磁性加熱体200の放熱に有利となり、空気が霧化蒸気を迅速に搬送するようになる。これにより、霧化蒸気が霧化室に滞るとの事態が回避されるとともに、高温に起因して焦げ付きが生じるとの問題も回避される。
【0040】
導気部材300は、導気溝、導気リブ、導気突起のうちの少なくとも1種類である。
図2に示すように、導気部材300は導気溝であってもよい。導気溝における溝の向きは気流の方向と同一である。導気溝は導気経路を形成する。また、導気溝は複数設けてもよく、導気溝と導気溝の間に隙間が保持される。気流は、導気溝に沿って流れるため、気流の流動速度を加速可能となる。また、
図3に示すように、導気部材300は導気リブであってもよい。導気リブは複数設けられており、導気リブと導気リブの間には、導気経路を形成するよう隙間が保持される。気流は導気経路に沿って流動するため、ガスの流動速度が加速される。また、導気部材300は導気突起であってもよい。導気突起は複数設けられており、導気突起と導気突起の間には、導気経路を形成するよう隙間が保持される。気流は導気経路に沿って流動するため、ガスの流動速度が加速される。また、導気部材300は気流の方向に沿って複数列設けられる。複数の列の間には、導気経路を形成するよう隙間が保持される。気流の方向において、同一列の導気部材300は間欠的に配置されてもよいし、連続的に配置されてもよいが、気流の案内効果がより良好となるよう、連続的に配置することが好ましい。配置方式において、導気部材300には複数の実施例が存在する。即ち、導気部材300は平行に並べられてもよい。つまり、導気部材300と導気部材300の間を平行としてもよい。また、導気部材300は放射状に並べられてもよい。この放射状に並べられるとは、複数の導気部材300が多孔質磁性加熱部材の一方の側から他方の側に向かって放射状であることを意味し、その放射方向もまた気流の方向に沿っている。或いは、導気部材300は交錯するように並べられる。導気部材300と導気部材300の間が交錯するように並べられる場合、形成される導気経路は気流の方向に沿っていればよい。導気部材300の横断面形状は、多角形、曲面形又はそれらの組み合わせとする。
【0041】
多孔質導液体100には複数の実施形態が存在する。
図1に示すように、多孔質導液体100はプレート式の構造である。この場合、多孔質導液体100に設けられる給液面11は平面構造となる。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の側壁の中央部に嵌接されるプレート式の構造となる。或いは、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の側壁の中央部に貼り付けられるプレート式の構造となる。また、霧化面21は平面構造となる。或いは、
図3~
図6に示すように、多孔質導液体100は筒状構造である。この場合、多孔質導液体100に設けられる給液面11は曲面構造となる。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の内側壁の中央部に嵌接されるか貼り付けられる筒状構造となる。或いは、多孔質磁性加熱体200は、多孔質導液体100の外側壁の中央部に貼り付けられるか嵌接される筒状構造となる。この場合、霧化面21は曲面構造となる。加えて、
図2に示すように、多孔質導液体100は溝体構造であってもよく、理解し得るように、多孔質導液体100は導液溝13を有する。この場合、多孔質導液体100に設けられる給液面11は溝面構造となる。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体200は、給液溝に対応する多孔質導液体100上に嵌接されるか貼り付けられる。或いは、
図7に示すように、多孔質導液体100はボウル状構造としてもよい。また、これに合わせて、多孔質磁性加熱体
200は、多孔質導液体100のボウル底又は外側壁に嵌接されるか貼り付けられる。多孔質導液体100に設けられる給液面11は、平面であってもよいし、曲面であってもよいし、ひいては溝面であってもよく、その他の構造であってもよい。よって、ここでは具体的に限定しない。また、霧化面21は、平面であってもよいし、曲面であってもよいし、斜面であってもよいし、上記を複数組み合わせてもよい。よって、ここでは具体的に限定せず、実際の必要性に応じて設計する。
【0042】
図1~
図2に示すように、多孔質導液体100の給液面11には、給液効果をより良好とすべく、導液孔12又は導液溝13が開設されている。多孔質構造の導液体にとって、導液溝13又は/及び導液孔12の設計はとりわけ重要である。導液溝13又は/及び導液孔12を設けることで、多孔質導液体100の給液面11の表面積が増大するため、給液速度を調節して給液の安定性を向上させるのに有利となる。特に、多孔質導液体100の給液面11を傾斜させて設ける場合には、給液面11全体のリキッド保持時間が平面構造やボウル状構造の場合よりも短くなる。また、導液溝13又は/及び導液孔12を増加させることで、全体の給液効率及び給液の安定性を向上させられる。
【0043】
霧化加熱モジュールの製造方法:無機系非金属骨材及びバインダーから多孔質導液体のペーストを調製する。また、磁性材料の粒子、或いは、磁性材料の粒子及びバインダーから、多孔質磁性加熱体のペーストを調製する。次に、金型を用いて多孔質磁性加熱体のペーストをホットダイカスト成形することで多孔質磁性加熱体200を取得する。続いて、多孔質磁性加熱体200が冷却されて固定されたあと、多孔質導液体のペーストを注入し、金型で成形することで霧化加熱モジュールのブランク材を取得する。そして、ブランク材を高温焼結炉内に置いて高温焼結することで霧化加熱モジュールを取得する。
【0044】
無機系非金属骨材として一般的に使用される材料には、溶融石英砂、珪藻土、タルク、ゼオライト、セピオライト、麦飯石、コーディエライト、酸化ケイ素、ジルコニア等の耐熱性で溶融しにくいセラミック粉体がある。また、バインダーは、ガラス粉末又はフリットである。バインダーの融点は600~1300℃である。
【0045】
多孔質磁性加熱体200は、磁性金属粉体50~100部、セラミック粉体0~30部、助燃剤0~40部及びパラフィン0~30部を原料としてなる。磁性金属粉体は、純鉄、低炭素鋼、鉄アルミ合金、鉄シリコン合金、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、フェライト、金属ニッケル、金属コバルトのうちの少なくとも1種類である。これらの金属は、初透磁率の周波数変化に対し良好な安定性を有しており、磁気感度に優れ、高透磁率である。理解し得るように、磁性金属粉体は、これらの金属粉体のいずれかとしてもよいし、いずれか2種類又は2種類以上の金属粉体の組み合わせとしてもよい。多孔質磁性加熱体200の製造方法:磁性金属粉体を数部、セラミック粉体を数部、助燃剤を数部及びパラフィンを数部取り、原料を混合して高温焼結する。焼結温度は600~1300℃とし、多孔質磁性構造体を形成する。下記の表は、いくつかの具体的実施例及び性能試験の結果である。
【0046】
【0047】
実施例2において、
図8~
図9に示すように、霧化加熱装置は、ケーシング10、マウスピース20、リキッドタンク30を含む。リキッドタンク30の下方には実施例1の霧化加熱モジュール40が設けられている。霧化加熱モジュール40は、多孔質導液体100及び多孔質磁性加熱体200を含む。霧化加熱モジュール40とリキッドタンク30の間にはシール部材50が設けられており、リキッドタンク30とマウスピース20の間にもシール部材50が設けられている。シール部材50とマウスピース20の間には気流経路が保持されている。シール部材50の排気端には、更に、霧化されなかったタバコ用リキッドを吸着するためのリキッド吸着綿60が設けられているため、使用者の吸入体験が向上する
。リキッドタンク30内にはタバコ用リキッドが貯えられている。リキッドタンク30は、霧化加熱モジュール40にリキッドを供給する。シール部材50は霧化加熱モジュール40を密封して、霧化加熱モジュール40の液漏れやリキッドの滲出を防止する。霧化加熱装置の動作時には、空気がケーシング10から霧化加熱モジュール40に進入する。また、リキッドタンク30が霧化加熱モジュール40にリキッドを供給し、多孔質導液体100がタバコ用リキッドを多孔質磁性加熱体200へと案内する。多孔質磁性加熱体200は、電磁誘導により熱を発生させ、タバコ用リキッドを霧化させることで霧化蒸気を形成する。霧化蒸気は空気と混合されてエアロゾルを形成する。エアロゾルは、気流経路に沿ってマウスピース20へと流れ、最終的に使用者によって吸い込まれる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質導液体(100)及び多孔質磁性加熱体(200)を含み、前記多孔質導液体(100)は、無機系非金属骨材とバインダーを高温焼結して形成されるミクロンレベルの孔を有する多孔質構造体であり、前記多孔質磁性加熱体(200)は
磁性材料の粒子をそのまま高温焼結するか、磁性材料の粒子にバインダーを配合して高温焼結することでなる多孔質磁性構造体であり、前記多孔質磁性加熱体(200)は、少なくとも多孔質導液体(100)の表面に嵌接されるか貼り付けられ、且つ、霧化経路内に位置する多孔質磁性加熱体(200)の露出表面には霧化面(21)が形成されることを特徴とする霧化加熱モジュール。
【請求項2】
前記多孔質磁性加熱体(200)は、磁性金属粉体50~100部、セラミック粉体0~30部、助燃剤0~40部及びパラフィン0~30部を原料としてなることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項3】
前記磁性金属粉体は、純鉄、低炭素鋼、鉄アルミ合金、鉄シリコン合金、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、フェライト、金属ニッケル、金属コバルトのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項2に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項4】
前記バインダーはガラス粉末又はフリットであり、前記バインダーの融点は600~1300℃であることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項5】
前記多孔質導液体(100)の表面とシール部材との接触部分には多孔質磁性加熱体(200)が存在しないことを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項6】
前記多孔質導液体(100)の厚さ>多孔質磁性加熱体(200)の厚さとすることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項7】
霧化面(21)が設けられている前記多孔質磁性加熱体(200)の厚さは、その他の位置の多孔質磁性加熱体(200)の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項8】
前記多孔質磁性加熱体(200)の霧化面(21)には、気流の方向に沿って気流を案内し、且つ
霧化面積を増大させる導気部材(300)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項9】
前記導気部材(300)は、気流の方向に沿って複数列設けられ、複数の列の間に隙間が保持されることを特徴とする請求項8に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項10】
気流の方向において、同一列の前記導気部材(300)は、間欠的に配置されるか、連続的に配置されることを特徴とする請求項9に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項11】
前記導気部材(300)は、平行に並べられるか、放射状に並べられるか、交錯するように並べられることを特徴とする請求項
9に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項12】
前記導気部材(300)の横断面形状は、多角形、曲面形又はそれらの組み合わせとすることを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項13】
前記導気部材(300)は、導気溝、導気リブ、導気突起のうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項14】
前記多孔質導液体(100)は、プレート式の構造、ボウル状構造、溝体構造又は筒状構造であり、
前記多孔質磁性加熱体(200)は、多孔質導液体(100)の側壁の中央部に嵌接されるプレート式の構造であり、或いは、前記多孔質磁性加熱体(200)は、多孔質導液体(100)の内側壁の中央部又は外側壁の中央部に嵌接される筒状構造であり、
前記多孔質磁性加熱体(200)の霧化面(21)は、多孔質導液体(100)の側壁面から張り出しているか、多孔質導液体(100)の側壁面と面一であることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項15】
前記多孔質導液体(100)に設けられる給液面(11)は、平面、曲面、溝面のうちの少なくとも1種類であり、
前記霧化面(21)は、平面、曲面のうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項14に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項16】
前記多孔質導液体(100)の給液面(11)には導液孔(12)又は導液溝(13)が開設されていることを特徴とする請求項1に記載の霧化加熱モジュール。
【請求項17】
ケーシング(10)、マウスピース(20)、リキッドタンク(30)を含む霧化加熱装置であって、
前記リキッドタンク(30)の下方には、請求項1~16のいずれか1項に記載の霧化加熱モジュールが設けられており、前記霧化加熱モジュールとリキッドタンク(30)の間にはシール部材(50)が設けられていることを特徴とする霧化加熱装置。
【国際調査報告】