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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】乾式電池極板及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240705BHJP
   H01M 4/75 20060101ALI20240705BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20240705BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240705BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240705BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20240705BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/75 Z
H01M4/74 Z
H01M4/66 A
H01M4/139
H01M4/133
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574120
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2022105666
(87)【国際公開番号】W WO2023284818
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202121615791.0
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】胡屹▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】郭姿珠
(72)【発明者】
【氏名】潘▲儀▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼建昌
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017BB08
5H017BB16
5H017CC05
5H017CC18
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H017HH03
5H050AA12
5H050AA14
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA04
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA16
(57)【要約】
乾式電池極板及び電池を開示する。乾式電池極板は、金属集電体と、自己支持電極膜とを含み、金属集電体に孔が形成され、自己支持電極膜は、第1電極膜及び第2電極膜を含み、第1電極膜は、金属集電体の一側に設けられ、第2電極膜は、金属集電体の第1電極膜から離れる側に設けられ、第1電極膜及び第2電極膜は、外力により圧着接続されるように構成され、第1電極膜及び第2電極膜は、金属集電体に貼り合わせられ、孔に対応する位置で互いに接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属集電体(1)と、自己支持電極膜(2)とを含む乾式電池極板であって、
前記金属集電体(1)に孔(12)が形成され、
前記自己支持電極膜(2)は、第1電極膜及び第2電極膜を含み、前記第1電極膜は、前記金属集電体(1)の一側に設けられ、前記第2電極膜は、前記金属集電体(1)の前記第1電極膜から離れる側に設けられ、
前記第1電極膜及び前記第2電極膜は、外力により圧着接続されるように構成され、
前記第1電極膜及び前記第2電極膜は、前記金属集電体(1)に貼り合わせられ、前記孔(12)に対応する位置で互いに接続される、乾式電池極板。
【請求項2】
前記金属集電体(1)の表面に炭素層が設けられる、請求項1に記載の乾式電池極板。
【請求項3】
前記金属集電体(1)の表面に金属リチウム層が設けられる、請求項1又は2に記載の乾式電池極板。
【請求項4】
前記金属集電体(1)は、複数の金属線(11)を含み、複数の前記金属線(11)は、アレイ状に配列され、隣接する前記金属線(11)の間に間隔を置いて設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の乾式電池極板。
【請求項5】
前記金属線(11)は、交互に網状構造として設けられ、複数の前記金属線(11)の間に隙間が形成されて前記孔(12)を構成し、前記孔(12)が多角形を呈す、請求項1~4のいずれか一項に記載の乾式電池極板。
【請求項6】
前記孔(12)の辺長は、5μm~500μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の乾式電池極板。
【請求項7】
複数の前記金属線(11)は、平行に設けられ、任意の隣接する2つの前記金属線(11)の間に前記孔(12)が形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の乾式電池極板。
【請求項8】
隣接する前記金属線(11)の間の距離は、5μm~500μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の乾式電池極板。
【請求項9】
前記金属線(11)の直径は、1μm~100μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の乾式電池極板。
【請求項10】
前記金属集電体(1)及び前記自己支持電極膜(2)は、熱間圧延により固定接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の乾式電池極板。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の乾式電池極板を含む、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年7月15日に中国国家知識産権局に提出された、名称が「乾式電池極板」である中国特許出願第202121615791.0号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池の分野に関し、具体的には、乾式電池極板及び電池に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の電池極板の製造プロセスにおいて、電極材料と導電剤などの原料とを混合して電極膜を成形し、次に集電体の表面に接着剤を塗布するか又は集電体と電極膜との間に接着剤を挟むことなどにより電極膜と集電体とを接着させて、電極極板を形成する。
【0004】
接着剤層の存在により、集電体と電極膜との間の接触面積を減少させ、電池極板の導電能力を低下させる一方、不活性物質の割合を増加させ、エネルギー密度を低下させるとともに、電池極板の加工工程を増加させ、製造コストを増加させる。
【0005】
しかしながら、接着剤による接着を用いないと、電極膜と集電体との間の接続が緊密ではなく、電極膜が集電体から分離しやすく、それにより電池極板の構造安定性に影響を与える。
【0006】
したがって、電池極板の構造を改良する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施例の1つの目的は、乾式電池極板及び電池の新しい技術手段を提供することである。
【0008】
本開示の第1態様に係る乾式電池極板は、金属集電体と、自己支持電極膜とを含み、
前記金属集電体に孔が形成され、
前記自己支持電極膜は、第1電極膜及び第2電極膜を含み、前記第1電極膜は、前記金属集電体の一側に設けられ、前記第2電極膜は、前記金属集電体の前記第1電極膜から離れる側に設けられ、
前記第1電極膜及び前記第2電極膜は、外力により圧着接続されるように構成され、
前記第1電極膜及び前記第2電極膜は、前記金属集電体に貼り合わせられ、前記孔に対応する位置で互いに接続される。
【0009】
好ましくは、前記金属集電体の表面に炭素層が設けられる。
【0010】
好ましくは、前記金属集電体の表面に金属リチウム層が設けられる。
【0011】
好ましくは、前記金属集電体は、複数の金属線を含み、複数の前記金属線は、アレイ状に配列され、隣接する前記金属線の間に間隔を置いて設けられる。
【0012】
好ましくは、前記金属線は、交互に網状構造として設けられ、複数の前記金属線の間に隙間が形成されて前記孔を構成し、前記孔が多角形を呈す。
【0013】
好ましくは、前記孔の辺長は、5μm~500μmである。
【0014】
好ましくは、前記金属線は、平行に設けられ、任意の隣接する2つの前記金属線の間に前記孔が形成される。
【0015】
好ましくは、隣接する前記金属線の距離は、5μm~500μmである。
【0016】
好ましくは、前記金属線の直径は、1μm~100μmである。
【0017】
好ましくは、前記金属集電体及び前記自己支持電極膜は、加熱及び圧延により固定接続を実現するように構成される。
【0018】
本開示の実施例の技術的効果は、電池極板の加工工程を追加する必要がない条件で、電池のエネルギー密度と電池極板の導電能力を向上させることである。
【0019】
本開示の第2態様に係る電池は、第1態様に記載の乾式電池極板を含む。
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施例を詳細に説明することにより、本開示の他の特徴及びその利点は、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
明細書に組み込まれ、明細書の一部となる図面は、本開示の実施例を示し、かつその説明と共に本開示の原理を解釈する。
【0022】
図1】本開示の実施例に係る乾式電池極板の実施例1の具体的な概略構成図である。
図2】本開示の実施例に係る乾式電池極板の実施例2の具体的な概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本開示の様々な例示的な実施例を詳細に説明する。なお、特に具体的に説明しない限り、これらの実施例において記載された部品及びステップの相対的配置、数式及び数値は、本開示の範囲を限定するものではない。
【0024】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、決して本開示及びその適用又は使用を限定するものではない。
【0025】
当業者が公知の技術、方法及び装置を詳細に説明しない場合があるが、これらの技術、方法及び装置は、適宜、明細書の一部とみなされるべきである。
【0026】
ここで示され検討された全ての例では、いかなる具体的な値は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有してもよい。
【0027】
なお、類似した符号及びアルファベットが以下の図面において類似した要素を表すため、いずれか1つの要素が1つの図面において定義された場合、後続図面においてそれをこれ以上検討する必要がない。
【0028】
乾式電池極板は、金属集電体1と、自己支持電極膜2とを含む。
【0029】
金属集電体1は、例えば、Cu、Al、Ni、Feなどの金属材料を用いる。金属集電体1には、金属集電体1を貫通する孔12が形成され、孔12は、固体、気体及び液体が金属集電体1を通過するように構成される。
【0030】
金属集電体1は、完全な1枚の金属材料に孔12が形成されてもよく、金属材料がアレイ状に配列され、金属材料の間に密閉された孔12が形成されてもよい。
【0031】
金属集電体1の両側にいずれも自己支持電極膜2が設けられる。自己支持電極膜2は、第1電極膜及び第2電極膜を含み、第1電極膜は、金属集電体1の一側に設けられ、第2電極膜は、金属集電体1の第1電極膜から離れる側に設けられ、第1電極膜と第2電極膜の金属集電体1に近接する側とは、いずれも金属集電体1に貼り合わせられる。
【0032】
第1電極膜及び第2電極膜は、外力により圧着接続されるように構成され、第1電極膜及び第2電極膜が力を受けて押圧された後、両者の金属集電体1に貼り合わせられる側は、対応する孔12の位置で互いに接続される。金属集電体1が第1電極膜と第2電極膜との間に位置することにより、第1電極膜、第2電極膜及び金属集電体1の接続を実現する。
【0033】
金属集電体1に設けられた孔12は、自己支持電極膜2が力を受けて圧着するとき、第1電極膜及び第2電極膜が変形して孔12を貫通して接続されることに有利であり、また、第1電極膜の厚さと第2電極膜の厚さが同じであるか否かを考慮する必要がなく、圧着過程において、第1電極膜及び第2電極膜は、孔12により均一に分散する。
【0034】
自己支持電極膜2は、乾式プロセスにより加工される。まず、電極材料、導電剤、バインダーなどの原料を混合し、分散させて、生地状の複合ペーストを形成し、次に、該複合ペーストを押し出し圧延して、連続した自己支持電極膜2を形成する。
【0035】
電極材料は、正極材料と負極材料とに分類される。正極材料は、LiCoO、LiNiO、LiCoNi1-x(0≦x≦1)、LiCoNi1-x-yAl(0≦x≦1、0≦y≦1)、LiMn、LiFeMn(Mは、Al、Mg、Ga、Cr、Co、Ni、Cu、Zn又はMoのうちの少なくとも1種であり、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)、Li1+x1-y-z(L、M、Nは、それぞれ独立して、Li、Co、Mn、Ni、Fe、Al、Mg、Ga、Ti、Cr、Cu、Zn、Mo、F、I、S、Bのうちの少なくとも1種であり、-0.1≦x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦y+z≦1)、LiFePO、Li(PO、Li(PO、LiVPOF、LiCuO、LiFeO、金属硫化物(例えば、TiS、V、FeS、FeS、LiMS(Mは、Ti、Fe、Ni、Cu、Moなどの遷移金属元素のうちの少なくとも1種であり、1≦x≦2.5))、及び酸化物(例えば、TiO、Cr、V、MnO)などから選ばれる少なくとも1種である。
【0036】
負極材料は、炭素材料、Si、SiO(0.1≦x≦1.5)、Si-C、SiO-C(0.1≦x≦1.5)、LiTi12、スズ合金、シリコン合金、シリコン、スズ、ゲルマニウム、インジウムから選ばれる1種又は2種以上である。以上の材料は、本分野においてリチウムを吸蔵及び放出可能な負極活物質である。
【0037】
導電剤は、カーボンブラック、導電性黒鉛、カーボンナノチューブ、炭素繊維、グラフェンから選ばれる少なくとも1種である。
【0038】
バインダーは、以下の材料から選ばれる少なくとも1種である。
【0039】
1、フッ素ポリマー(PTFE)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の共重合体及び/又は混合物)、
2、PTFE、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエーテル前駆体、ポリシロキサン、ポリシロキサン及びそれらの共重合体;PTFE、分岐ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びそれらの共重合体;PTFE、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリフェニレンエーテル(PPO)、ポリエチレンブロックポリ(エチレングリコール)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリジメチルシロキサン-コアルキルメチルシロキサン及びそれらの組み合わせを含む複合バインダー、
3、高分子共重合体、オレフィンオキシド、ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、フッ素重合体などを含む熱可塑性材料。
【0040】
本開示では、金属集電体1に孔12を設け、また、乾式プロセスにより自己支持電極膜2を製造し、第1電極膜、金属集電体1、第2電極型を積層した後、外力により三者を圧着し、第1電極膜及び第2電極膜が金属集電体1の孔12を貫通して互いに接続されて、電池極板を得る。
【0041】
本開示における電池極板は、金属集電体1に孔12が形成されるため、電池極板全体に占める金属集電体1の割合がより小さく、電極材料で製造された自己支持電極膜2の割合がより大きく、電池極板全体のエネルギー密度が向上する。
【0042】
湿式成形プロセスにおいて、溶媒を使用し、溶媒とバインダーがバインダー層を形成し、導電剤粒子全体がバインダー層に囲まれるため、導電剤粒子間の接触、及び導電剤粒子と電極材料粒子との接触が阻害され、電池極板の導電性が低い。また、電池極板に残した溶媒と電解液とが副反応を起こすため、容量の低下、ガスの発生、耐用年数の低下などの電池性能の低下を引き起こす。
【0043】
乾式成形プロセスにおいて、溶媒を使用せず、バインダーが繊維状態で存在し、導電剤粒子間の接触、及び電極材料粒子と導電剤粒子との接触がより緊密であり、電池極板のエネルギー密度が大きく、導電性が高く、容量が高い。また、乾式プロセスにおいて製造された電池極板は、高温電解液の存在下で、粘着力及び付着力性能がより高い。
【0044】
電池極板を湿式加工する場合、ペースト調製、ペースト塗布、極板圧延、極板スリット、極板乾燥の5つのステップを含む。極板圧延は、電池集電体の表面に塗布された電極材料を圧密するために用いられる。極板圧延過程において、ペースト層が伸びて応力を発生させることにより、圧延後に集電体が伸び、極板が巻きやすくなる。
【0045】
本開示に係る乾式電池極板は、高強度の外力により圧着する場合、自己支持電極膜2がより多くの圧力を受けるため、箔材の伸び及びしわの問題を考慮する必要がなく、より高い圧密密度を実現し、さらに電池極板の構造安定性を向上させることができる。
【0046】
さらに、第1電極膜及び第2電極膜は、外力により圧着接続され、接着剤による接着を必要とせず、加工工程を省略し、加工効率を高める。
【0047】
好ましくは、金属集電体1の表面に炭素層が設けられる。炭素層は、非黒鉛化炭素、黒鉛又はポリアセチレン系高分子材料を高温酸化して得られた炭素又は熱分解炭素、コークス、有機高分子焼結物、活性炭のうちの1種又は複数種を用いる。
【0048】
金属集電体1の表面に炭素層を塗布し、炭素層が金属集電体1の表面全体を覆うことにより、金属集電体1と自己支持電極膜2との間の電気的接触に有利であり、さらに電池極板の過電流能力を向上させる。
【0049】
好ましくは、金属集電体1の表面に金属リチウム層が設けられる。
【0050】
通常、電池極板を負極とする場合、金属集電体1の表面に一層の金属リチウムをメッキし、金属リチウムが金属集電体1の表面全体を覆い、電解液を注入した後、金属リチウムが負極に埋め込まれ、電池極板のプレリチウム化を実現する。
【0051】
好ましくは、金属集電体1は、複数の金属線11を含み、複数の金属線11は、アレイ状に配列され、隣接する金属線11の間に間隔を置いて設けられる。
【0052】
本開示に係る乾式電池極板において、金属集電体1は、複数の金属線11がアレイ状に配列され、隣接する金属線11の間に間隔を置いて設けられ、隣接する金属線11の間に隙間が形成されて孔12を構成する。金属線11をアレイ状に配列して金属集電体1を構成する方式は、金属集電体1に孔12を形成する方式に比べて、金属線11が占める体積がより小さく、形成された金属集電体1が電池極板全体に占める体積がより小さく、自己支持電極膜2が占める体積の割合がより大きく、電池極板のより高いエネルギー密度を実現する。
【0053】
好ましくは、図2に示すように、金属線11は、交互に網状構造として設けられ、横方向と縦方向の2種類に分けて織り交ぜられ、横方向の金属線11と縦方向の金属線11は、編み方法を用いて交互に網状構造を形成するように設けられてもよく、積層法を用いて交互に網状構造を形成するように設けられてもよい。
【0054】
図2に示すように、複数の金属線11の間に密閉された孔12が形成され、孔12が多角形を呈する。本実施例において、金属集電体1は、複数の横方向金属線11と縦方向金属線11とを網状に織り交ぜたものであり、2本の横方向の金属線11と2本の縦方向の金属線11との間に隙間が形成されて孔12を構成し、孔12が四角形を呈する。2つの異なる方向の金属線11の間の夾角は、10°~90°である。金属線11の夾角が10°~90°である場合、孔12は、平行四辺形構造である。
【0055】
好ましくは、孔12の辺長は、5μm~500μmであり、即ち、孔12を構成する横方向の金属線11と縦方向の金属線11の長さの範囲は、5μm~500μmである。
【0056】
好ましくは、孔12の辺長は、5μm~200μmである。
【0057】
孔12の面積の大きさは、第1電極膜と第2電極膜との間の接続面積に関連付けられ、孔12の辺長が5μm~200μmの範囲にある場合、第1電極膜と第2電極膜との間に有効な接続面積を有することができ、さらに第1電極膜と第2電極膜との間の接続安定性を保証することができる。
【0058】
また、孔12の辺長が5μm~200μmの範囲にある場合、孔12を囲む複数の金属線11の間の距離が小さく、即ち、孔12を囲む複数の金属線11が緻密な配置構造を保持することができ、単位面積当たりの自己支持電極膜に接続された金属線11の数により、金属集電体1の構造安定性を保証することができる。
【0059】
好ましくは、図1に示すように、金属線11は、平行に設けられ、任意の隣接する2つの金属線11の間に孔12が形成される。金属集電体1は、互いに平行な複数の金属線11からなり、このとき、隣接する金属線11の間の隙間は、孔12であり、複数の金属線11は、第1電極膜と第2電極膜との間に並んで配置され、外力により圧着されて電池極板を形成する。
【0060】
好ましくは、隣接する金属線11の距離は、5μm~500μmである。
【0061】
好ましくは、隣接する金属線11の距離は、5μm~200μmである。
【0062】
隣接する平行な金属線11の間の距離が該範囲内にある場合、金属集電体1の強度を保証するだけでなく、金属集電体1の電池極板に対する体積占有率を減少させ、自己支持電極膜2の体積占有率を増加させ、それにより電池極板のエネルギー密度を向上させることができる。
【0063】
好ましくは、金属線11の直径は、1μm~100μmである。
【0064】
好ましくは、金属線11の直径は、5μm~50μmである。
【0065】
金属線11の直径が該範囲内にあることにより、優れた力学的性能を有する一方、金属線11からなる金属集電体1の電池極板に対する体積占有率を減少させ、自己支持電極膜2の体積占有率を増加させ、それにより電池極板のエネルギー密度を向上させることができる。
【0066】
好ましくは、金属集電体1及び自己支持電極膜2は、加熱及び圧延により固定接続を実現するように構成される。第1電極膜、金属集電体1、第2電極膜をこの順に積層した後、圧延機によって熱間圧延を行い、冷却して乾式電池極板を得る。
【0067】
熱間圧延方式を用いて乾式電池極板を得ることにより、以下の利点を有する。
【0068】
1、加熱過程において、自己支持電極膜2中の水分が減少することにより、自己支持電極膜2と金属集電体1とを圧着接続した後、電池極板材料が反発し、電池極板の性能に影響を与えることを低減する。
【0069】
2、自己支持電極膜2の表面は、加熱過程において、バインダー分子の振動が強化され、分子間の距離がより小さくなり、接着力が向上し、自己支持電極膜2と金属集電体1との接続がより緊密になるため、熱間圧延方式を用いると、自己支持電極膜2と金属集電体1との間の接着力を向上させることができる。
【0070】
電池は、前記乾式電池極板を含む。
【0071】
具体的には、本開示に係る電池の乾式電池極板は、高強度の外力により圧着する場合、自己支持電極膜2がより多くの圧力を受けるため、箔材の伸び及びしわの問題を考慮する必要がなく、より高い圧密密度を実現し、電池極板の構造安定性を向上させ、さらに上記電池の容量及び安定性を保証することができる。
【0072】
例を挙げて本開示のいくつかの特定の実施例を詳細に説明したが、当業者であれば、以上の例が説明するためのものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨から逸脱しない場合、以上の実施例を修正できることを理解すべきである。本開示の範囲は、添付した特許請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0073】
1 金属集電体
11 金属線
12 孔
2 自己支持電極膜
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属集電体(1)と、自己支持電極膜(2)とを含む乾式電池極板であって、
前記金属集電体(1)に孔(12)が形成され、
前記自己支持電極膜(2)は、第1電極膜及び第2電極膜を含み、前記第1電極膜は、前記金属集電体(1)の一側に設けられ、前記第2電極膜は、前記金属集電体(1)の前記第1電極膜から離れる側に設けられ、
前記第1電極膜及び前記第2電極膜は、外力により圧着接続されるように構成され、
前記第1電極膜及び前記第2電極膜は、前記金属集電体(1)に貼り合わせられ、前記孔(12)に対応する位置で互いに接続される、乾式電池極板。
【請求項2】
前記金属集電体(1)の表面に炭素層が設けられる、請求項1に記載の乾式電池極板。
【請求項3】
前記金属集電体(1)の表面に金属リチウム層が設けられる、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項4】
前記金属集電体(1)は、複数の金属線(11)を含み、複数の前記金属線(11)は、アレイ状に配列され、隣接する前記金属線(11)の間に間隔を置いて設けられる、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項5】
前記金属線(11)は、交互に網状構造として設けられ、複数の前記金属線(11)の間に隙間が形成されて前記孔(12)を構成し、前記孔(12)が多角形を呈す、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項6】
前記孔(12)は複数の辺を有し、複数の辺のうちの一つの辺長は、5μm~500μmである、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項7】
複数の前記金属線(11)は、平行に設けられ、任意の隣接する2つの前記金属線(11)の間に前記孔(12)が形成される、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項8】
隣接する前記金属線(11)の間の距離は、5μm~500μmである、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項9】
前記金属線(11)の直径は、1μm~100μmである、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項10】
前記金属集電体(1)及び前記自己支持電極膜(2)は、熱間圧延により固定接続されている、請求項に記載の乾式電池極板。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の乾式電池極板を含む、電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
好ましくは、前記孔は複数の辺を有し、複数の辺のうちの一つの辺長は、5μm~500μmである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
1、フッ素ポリマー(例えばPTFE)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の共重合体及び/又は混合物)、
2、PTFE、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエーテル前駆体、ポリシロキサン及びそれらの共重合体;PTFE、分岐ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びそれらの共重合体;又はPTFE、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリフェニレンエーテル(PPO)、ポリエチレンブロックポリ(エチレングリコール)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリジメチルシロキサン-コアルキルメチルシロキサン及びそれらの組み合わせを含む複合バインダー、
3、高分子共重合体、オレフィンオキシド、ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、フッ素重合体などを含む熱可塑性材料。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本開示では、金属集電体1に孔12を設け、また、乾式プロセスにより自己支持電極膜2を製造し、第1電極膜、金属集電体1、第2電極を積層した後、外力により三者を圧着し、第1電極膜及び第2電極膜が金属集電体1の孔12を貫通して互いに接続されて、電池極板を得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
好ましくは、孔12は複数の辺を有し、複数の辺のうちの一つの辺長は、5μm~500μmであり、即ち、孔12を構成する横方向の金属線11と縦方向の金属線11の長さの範囲は、5μm~500μmである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
好ましくは、孔12の複数の辺のうちの一つの辺長は、5μm~200μmである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
孔12の面積の大きさは、第1電極膜と第2電極膜との間の接続面積に関連付けられ、孔12の複数の辺のうちの一つの辺長が5μm~200μmの範囲にある場合、第1電極膜と第2電極膜との間に有効な接続面積を有することができ、さらに第1電極膜と第2電極膜との間の接続安定性を保証することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
また、孔12の複数の辺のうちの一つの辺長が5μm~200μmの範囲にある場合、孔12を囲む複数の金属線11の間の距離が小さく、即ち、孔12を囲む複数の金属線11が緻密な配置構造を保持することができ、単位面積当たりの自己支持電極膜に接続された金属線11の数により、金属集電体1の構造安定性を保証することができる。
【国際調査報告】