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特表2024-525292重要電力アプリケーションに使用される制御システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】重要電力アプリケーションに使用される制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240705BHJP
   H02J 9/04 20060101ALI20240705BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20240705BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J9/04
H02J15/00 H
H02K7/18 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574403
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022072830
(87)【国際公開番号】W WO2022261651
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,381
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/805,859
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523134037
【氏名又は名称】ケリ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コールナー、マシュー ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】マクダニエル、ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ムシッリ、ジュニア、ジョン エー.
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
5H607
【Fターム(参考)】
5G015GB01
5G015GB05
5G015JA52
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB08
5G066JA02
5G066JB02
5G066JB06
5H607BB02
5H607CC07
5H607EE42
5H607FF30
5H607HH05
(57)【要約】
タービン(203)の下流に直列に配置された複数のコイル(212~214)を含む電力供給システム(200)内の複数の温度センサからの温度測定値を受信すること(251)を含む方法であって、各コイルはタービンから排出される空気流(204)がデータセンタ(216)に向かって移動するときにその空気流からの熱エネルギを受け取るように構成され、各コイルは少なくとも1つの流体ループに関連する。この方法はまた複数のコイルの第1コイル(212)における所定の流出流体温度を得るために、一次流体経路と加熱流体貯蔵器(208)からの混合流体の混合比の決定に温度測定値の第1サブセットを使用すること(253)も含む。この方法は、所定の混合流体混合比を達成するために、一次流体経路及び加熱流体貯蔵器に関連する1以上のバルブの位置を制御すること(254)をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン(203)の下流に直列に配置された複数のコイル(212~214)を含む電力供給システム(200)内の複数の温度センサからの温度測定値を受信するステップであって、各コイルは前記タービンから排出される空気流(204)がデータセンタ(216)に向かって移動するときに該空気流からの熱エネルギを受け取るように構成され、各コイルは少なくとも1つの流体ループに関連する、温度測定値の受信ステップ(251)と、
前記複数のコイルの第1コイル(212)における所定の流出流体温度を得るために、一次流体経路と加熱流体貯蔵器(208)からの混合流体の混合比の決定に温度測定値の第1サブセットを使用するステップ(253)と、
前記所定の混合流体混合比を達成するために、前記一次流体経路及び前記加熱流体貯蔵器に関連する1以上のバルブの位置を制御するステップ(254)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1コイルは、前記データセンタに関連する密着冷却(CCC)コイル(222)を含む第1流体ループの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2コイルにおける所定の流出流体温度を得るために、前記複数のコイルの前記第2コイル(213)を通過する更新された流体流量の決定に前記温度測定値の第2サブセットを使用するステップ(262)と、
現在の流体の流量を前記更新された流体流量へ変更するために、前記第2コイルに関連する1以上のポンプ又はバルブ位置を制御するステップ(263)と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2コイルは、前記データセンタに関連する1以上のエアハンドラ(220)を含む第2流体ループの一部である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のコイルの第3コイル(214)における所定の流出流体温度を得るために、前記加熱流体貯蔵器からの流体流量の決定に前記温度測定値の第3サブセットを使用するステップ(272)であって、前記第3コイルは前記複数のコイルの内の前記タービンから最下流にある、ステップと、
前記加熱流体貯蔵器からの現在の流体流量を前記所定の流体流量に変更するために、前記加熱流体貯蔵器に関連する1以上のポンプ又はバルブ位置を制御するステップ(273)と、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記第1コイルに入る前の流体温度と、(ii)地域熱戻り水(234)の温度との間の差が閾値温度差より大きいかどうかを判定するために、前記温度測定値の第4サブセットを使用するステップ(241)と、
前記差が前記閾値温度差よりも大きいという判定に応答して、前記流体の少なくとも一部を熱交換器へ迂回させて前記地域熱戻り水を用いた熱移動を行うために、前記熱交換器(224)に関連する1以上のバルブを開くように制御するステップ(242)と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
所定の条件セットの中の1以上が満たされたという判定(243)に応答して、前記熱交換器に関連する前記1以上のバルブを閉じるように制御するステップ(244)をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
命令を格納するように構成されたメモリ(730)と、
前記メモリに動作可能に接続されたプロセッサ(710)と、
を含む装置であって、
前記プロセッサは、前記命令を実行するときに、
タービン(203)の下流に直列に配置された複数のコイル(212~214)を含む電力供給システム(200)であって、前記コイルのそれぞれは前記空気流がデータセンタ(216)に向かって流れるときに前記タービンから排出された空気流(204)からの熱エネルギを受け取るように構成され、かつ前記コイルの各々は少なくとも1つの流体ループに関連している電力供給システム(200)において、複数の温度センサからの温度測定値を受信(251)し、
前記複数のコイルの第1コイル(212)における所定の流出流体温度を得るために、一次流体経路と加熱流体貯蔵器(208)からの混合流体の混合比の決定に温度測定値の第1サブセットを使用(253)し、
前記所定の混合流体混合比を達成するために、前記一次流体経路及び前記加熱流体貯蔵器に関連する1以上のバルブの位置を制御(254)する、
ように構成された、装置。
【請求項9】
前記第1コイルは、前記データセンタに関連する密着冷却(CCC)コイル(222)を含む第1流体ループの一部である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
第2コイル(213)における所定の流出流体温度を得るために、前記複数のコイルの前記第2コイルを通過する更新された流体流量の決定に前記温度測定値の第2サブセットを使用(262)し、
現在の流体流量を前記更新された流体流量に変更するために、前記第2コイルに関連する1以上のポンプ又はバルブ位置を制御(263)する、
ようにさらに構成された、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第2コイルは、前記データセンタに関連する1以上のエアハンドラ(220)を含む第2流体ループの一部である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記複数のコイルの内の前記タービンから最下流にある、前記複数のコイルの第3コイル(214)における所定の流出流体温度を得るために、前記加熱流体貯蔵器からの流体流量の決定に前記温度測定値の第3サブセットを使用(272)し、
前記加熱流体貯蔵器からの現在の流体流量を前記更新された流体流量に変更するために、前記加熱流体貯蔵器に関連する1以上のポンプ又はバルブ位置を制御(273)する、
ようにさらに構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
(i)前記第1コイルに入る前の流体温度と、(ii)地域熱戻り水(234)の温度との間の差が閾値温度差より大きいかどうかを判定するために前記温度測定値の第4サブセットを使用(241)し、
前記差が前記閾値温度差よりも大きいという判定に応答して、前記流体の少なくとも一部を熱交換器へ迂回させて前記地域戻り水を用いた熱移動を行うために、前記熱交換器(224)に関連する1以上のバルブを開くように制御(242)する、
ようにさらに構成された、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、所定の条件セットの中の1以上の条件が満たされたという判定(243)に応答して、前記熱交換器に関連する前記1以上のバルブを閉じるように制御(244)するようにさらに構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
複数の命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体(715、730、735)であって、
前記複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサ(710)によって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに対して、
タービン(203)の下流に直列に配置された複数のコイル(212~214)を含む電力供給システム(200)であって、該コイルのそれぞれは前記空気流がデータセンタ(216)に向かって流れるときに前記タービンから排出された空気流(204)からの熱エネルギを受け取るように構成され、かつ前記コイルの各々は少なくとも1つの流体ループに関連している電力供給システム(200)において、複数の温度センサからの温度測定値を受信(251)させ、
前記複数のコイルの第1コイル(212)における所定の流出流体温度を得るために、一次流体経路と加熱流体貯蔵器(208)からの混合流体の混合比の決定に温度測定値の第1サブセットを使用(253)させ、
前記所定の混合流体混合比を達成するために、前記一次流体経路及び前記加熱流体貯蔵器に関連する1以上のバルブの位置を制御(254)させる、
ように構成された、非一時的コンピュータ可読媒体(715、730、735)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、重要電力供給アプリケーションに関し、特に重要電力供給システムに使用される制御システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力要求の高いアプリケーションを稼動させる設備では、その電力要求の高いアプリケーションを常時稼動可能であることを保証する、一定又はほぼ一定な電力供給が要求される。通常これらの設備は一次電力供給源として公共電力網を使用し、その一次公共電力網に電力喪失が発生した場合にそのアプリケーションへの電力供給を、一つ以上の無停電(又はほぼ無停電の)電力供給システム又は発電システムに依存する。そのような設備で使用する電力の発電には、複数の構成要素(例えば、加熱器、タービン、ファン、ポンプなど)があり、システム全体の適切な運転を確保するために、その運転は注意深く調整・制御されなければならない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、重要電力供給システムに使用される制御システム及び方法を提供する。
【0004】
第1の実施形態において、方法が、タービンの下流に直列に配置された複数のコイルを含む電力供給システム内の複数の温度センサからの温度測定値を受信することを含む。各コイルはタービンから排出される空気流がデータセンタに向かって移動するときにその空気流からの熱エネルギを受け取るように構成され、各コイルは少なくとも1つの流体ループに関連する。この方法はまた、複数のコイルの第1コイルにおける所定の流出流体温度を得るために、一次流体経路と加熱流体貯蔵器からの混合流体の混合比の決定に温度測定値の第1サブセットを使用することも含む。この方法はさらに、所定の混合流体混合比を達成するために、一次流体経路及び加熱流体貯蔵器に関連する1以上のバルブの位置を制御することを含む。
【0005】
第2の実施形態において、装置が、命令を格納するように構成されたメモリとそのメモリに動作可能に接続されたプロセッサとを含む。そのプロセッサは、前記命令を実行するときに、タービンの下流に直列に配置された複数のコイルを含む電力供給システム内の複数の温度センサからの温度測定値を受信するように構成される。ここで、コイルのそれぞれは空気流がデータセンタに向かって流れるときにタービンから排出された空気流からの熱エネルギを受け取るように構成され、また各コイルは少なくとも1つの流体ループに関連している。プロセッサはまた、複数のコイルの第1コイルにおける所定の流出流体温度を得るために、一次流体経路と加熱流体槽からの混合流体の混合比の決定に温度測定値の第1サブセットを使用するように構成され、また、所定の混合流体混合比を達成するために、一次流体経路及び加熱流体貯蔵器に関連する1以上のバルブの位置を制御するように構成される。
【0006】
第3の実施形態において、非一時的コンピュータ可読媒体が複数の命令を含み、それが少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに対して、タービンの下流に直列に配置された複数のコイルを含む電力供給システム内の複数の温度センサからの温度測定値を受信させるように構成される。ここで、コイルのそれぞれはタービンから排出された空気流がデータセンタに向かって流れるときに空気流からの熱エネルギを受け取るように構成され、また各コイルは少なくとも1つの流体ループに関連している。また、複数のコイルの第1コイルにおける所定の流出流体温度を得るために、一次流体経路と加熱流体槽からの混合流体の混合比の決定に温度測定値の第1サブセットを使用させるように構成され、また、所定の混合流体混合比を達成するために、一次流体経路及び加熱流体貯蔵器に関連する1以上のバルブの位置を制御させるように構成される。
【0007】
このほかの技術的特徴は、以下の図、説明、及び特許請求の範囲から、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の様々な実施形態による1以上の制御システムを採用可能な例示的電力供給及び冷却システムを示す。
図1B】本開示の様々な実施形態による電力供給及び冷却システムに使用する電力供給システムの例を示す。
図2A】本開示の様々な実施形態による電力供給及び冷却システムに使用する熱伝達システムの例を示す。
図2B】本開示の様々な実施形態による、図2Aの熱伝達システムで使用するための例示的圧縮空気減圧加熱サイクルの部分を示す。
図2C】本開示の様々な実施形態による、電源供給及び冷却システムにおける制御動作実行の例示的方法を示す。
図2D】本開示の様々な実施形態による、電源供給及び冷却システムにおける制御動作実行の例示的方法を示す。
図2E】本開示の様々な実施形態による、電源供給及び冷却システムにおける制御動作実行の例示的方法を示す。
図2F】本開示の様々な実施形態による、電源供給及び冷却システムにおける制御動作実行の例示的方法を示す。
図3A】本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムに使用する熱伝達システムの別の例を示す。
図3B】本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムにおける制御動作実行のための例示的方法を示す。
図3C】本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムにおける制御動作実行のための例示的方法を示す。
図3D】本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムにおける制御動作実行のための例示的方法を示す。
図4A】本開示の様々な実施形態による、ハイブリッド型の圧縮空気/液体空気電力供給及び/冷却システムの一例を示す。
図4B】本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法を示す。
図5】本開示の様々な実施形態による、タービン排気を使用した発電のための例示的システムを示す。
図6A】本開示の様々な実施形態による、原動機排気調整のために空気誘導を使用する例示的システムを示す。
図6B】本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムにおける制御動作実行のための例示的方法を示す。
図7】本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムにおける計算装置の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で議論する図面及び本特許文書における本開示の原理の説明に使用される様々な実施形態は説明のためだけのものであり、いかなる場合にも本開示の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。当業者であれば本開示の原理は任意の適切に構成されたシステム又は装置において実行され得ることが理解されるであろう。
【0010】
簡単かつ明瞭とするために、いくつかの特徴及び構成要素は、他の図に関連して示されるものも含めて、すべての図に必ずしも明示的に示されるものではない。図に示されるすべての特徴は説明される実施形態のいずれにおいても使用され得ることが理解されるであろう。特定の図における特徴や構成要素の省略は、簡単かつ明瞭とするためのものであり、その特徴及び構成要素がその図に関して説明される実施形態において使用できないことを示すことを意味するものではない。本開示の実施形態は、本明細書に記載の特徴のいずれか1つ、1以上又はすべてを含み得ることが理解されるであろう。また、本開示の実施形態は、本明細書に挙げられていない他の特徴を追加的又は代替的に含み得る。
【0011】
上記のように、無停電電力供給システムは、公共電力網に電力喪失が生じた場合に、電力が重要なアプリケーションを動作させる設備に電力を提供するように使用されることが多い。これらの設備は通常、電力の一次供給源として公共電力網を使用し、かつその一次公共電力網に電力喪失が発生した場合にそのアプリケーションへの電力供給を、一つ以上の無停電、又はほぼ無停電の電力供給システム、又は発電システムに依存する。そのような設備で使用する電力の発電には、複数の構成要素(例えば、加熱器、タービン、ファン、ポンプなど)があり、システム全体の適切な運転を確保するために、その運転は注意深く調整・制御されなければならない。
【0012】
これら及びその他の問題に対処するために、本開示の実施形態は、無停電電力供給システム、ほぼ無停電の電力供給システム、あるいは発電システムにおいて動作する複数の構成要素を制御する制御システム及び制御方法を提供する。そのような制御システム及び方法は、全体システムが効果的に、かつ重要なアプリケーションへの送電を確保する形で動作することを保証する。その他の利点は当業者には明らかであろう。
【0013】
図1Aは、本開示の様々な実施形態による1以上の制御システムが使用可能な例示的電力供給及び冷却システム100を示す。図1Aに示すシステム100の実施形態は説明のためだけのものである。システム100の他の実施形態も本開示の範囲から乖離することなく使用可能である。
【0014】
システム100は、電気エネルギを生成又は受け取る電源101を含み得る。電源101は、再生可能エネルギ源から電気エネルギを生成又は受け取ることができる。電源101は、風力、太陽光、潮力/波力、又はその他の任意の再生可能エネルギ源から電気エネルギを生成又は受け取ることが可能である(公共電力網もまた同様の入力によって電力供給が可能である)。システム100は公共電力網から電気エネルギを受け取ることも可能である。公共電力網及び電源101はシステム100の同一入力部を介してシステム100に電気エネルギを供給可能である。
【0015】
システム100は計量装置103を含むことができる。計量装置103は、電源101によって生成されたあるいは受け取られた電気エネルギを、例えば電気エネルギが容易に利用可能であるか、費用効率が高い期間中に受け取り、そのエネルギをシステム100内の別の場所へ分配することが可能である。例えば、システム100には、システム100全体動作を制御するための計算装置が含まれる。計算装置104は、電気エネルギの利用可能性、信頼性、及び/又は価格の監視のために、計量装置103及び/又は電源101に接続可能である。例えば、1以上の基準値又は閾値水準に対する電気エネルギの利用可能性、信頼性、及び/又は価格の比較に基づいて、計算装置104が電気エネルギを潜在的な機械エネルギとして貯蔵するように変換することを決定する。いくつかの実施形態において、計算装置104は個人又は法人などの第三者によって運用されるサービスであってもよい。計算装置104はシステム100のその他の部分がある場所とは異なる場所に収納されて運用されてもよい。つまり、計算装置104は特定の場所に拘束されない。
【0016】
計量装置103は電気負荷120に対して電力を供給可能である。電気負荷120については後で詳細を議論する。計量装置103は、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105へ電気エネルギを供給可能である。計量装置103は電気網への接続も可能であり、計量装置103はそこへ電源101で生成された電気エネルギを提供し、あるいは電気負荷120又は電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105へ供給するための電気エネルギを受け取ることが可能である。
【0017】
電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105は、計量装置103から電気エネルギを受け取り、また電気エネルギを機械エネルギに変換することが可能である。例えば、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105は、気体-液体変換システムを備えてもよい。気体-液体変換システムは、気体を液体に変換するために電気エネルギを使用するように構成され得る。気体-液体変換システムは既知の任意の気体液化システムを組み込み可能である。例えば、気体-液体変換システムは気体の液体への変換に、リンデ-ハンプソンサイクル(Linde-Hampson cycle)を作動させることが可能である。気体-液体変換システムは、気体の圧縮、冷却、及び膨張のサイクルを繰り返し実行して気体温度を下げて気体を液体に変換することが可能である。したがって、気体-液体変換システムは圧縮機、冷却器、熱交換器、分離器、膨張器、及び気体を液体に変換するのに必要なその他の機器を含み得る。気体-液体変換システムは、多数の気体の任意のものを液体に変換するために使用し得る。様々な実施形態において、気体-液体変換システムはシステム100の周囲空気を液体空気に変換するために使用される。
【0018】
他の実施形態において、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105は電気エネルギを使用して、空気を圧縮して大気圧より大きな圧力を有するように構成される空気圧縮機を備えることが可能である。
【0019】
電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105は気体-液体変換システムや空気圧縮機に限るものではない。電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105の他の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0020】
例えば、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105で製造又は貯蔵されるエネルギは、エネルギ市場で売買可能な独立したエネルギ源として、計量装置103を介して上流の公共電力網又はその他のエネルギ配給インフラストラクチャに分配することが可能である。特定のシナリオにおいて、システム100が電力網からのエネルギ価格に基づいて、公共電力網にエネルギを売り戻すことは利点となり得る。例えば、公共電力網からのエネルギ価格が高いとき、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105で製造あるいは貯蔵されたエネルギを電力網に売る及び/又は提供することは有利となり得る。
【0021】
具体的な例として、リアルタイム電力の終値の監視が定期的に(例えば5分ごとに又は他の任意の適切な間隔ごとに)実行され得る。そのような監視は、計算装置104により自動的に、あるいは1人以上のシステムオペレータ、エンジニア又はアナリストの助力により遂行可能である。電力コストの急激又は大幅な上昇は、公共電力網に追加的な電力が必要である可能性を示すことができる。そのような場合、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105からのエネルギを売って計量装置103を介して、上流の電力網に送電することができる。いくつかの実施形態では、計量装置103は双方向計量装置として機能可能であり、システム100は全体として、公共電力網に対して機械的及び/又は熱的電池として動作する。
【0022】
いくつかの実施形態では、空気液化工程は空気を少なくとも酸素と二酸化炭素(CO)成分に分離する、分離工程を含むことができる。空気分離工程で製造される酸素は、化学元素(例えば鉄(Fe)床における酸化剤として使用して、システム100における加熱に使用可能な熱エネルギを生成することができる。酸化工程における炭素の隔離は、急激に酸化する化学元素床内に発熱化学反応を生じることができる。いくつかの実施形態において、酸化による熱エネルギを、天然ガス又は他の炭素依存の熱源の代わりに使用可能である。
【0023】
いくつかの実施形態では、空気分離工程には複数のフェーズが含まれ得る。1つのフェーズで、空気が濾過され、圧縮されて、モレキュラーシーブを通される。これにより水蒸気が除去され、COが分離される。別のフェーズで、COが捕捉され、圧縮された空気が圧縮システム内に送られる。この工程は、エネルギ的にはほぼ中立で、COを捕捉し、圧縮システムを動作させ得る。CO捕捉の廃棄流により、圧縮システムが第2の圧縮段階へ到達するのに要するエネルギが取り除かれる。これによって、システム100の総運転コストの低減、炭素捕捉コストの低減、あるいはその両方が可能となる。
【0024】
いくつかの実施形態では、空気圧縮工程には複数の段階が含まれ得る。1つの段階で、空気が濾過され、圧縮されて、水蒸気を除去し、COを分離するモレキュラーシーブを通される。別の段階で、COが捕捉され、圧縮空気が圧縮システム内に送られる。この工程は、エネルギ的にはほぼ中性で、COを捕捉し、圧縮システムを動作させ得る。CO捕捉の廃棄流は圧縮システムが第2段階の圧縮に到達するのに要するエネルギを除去する。このことはまた、システム100の総運転コストの低減、カーボン捕捉コストを低減、あるいはその両方を可能とする。
【0025】
システム100は、熱電池107(又はエネルギ貯蔵装置)をさらに含む。熱電池107は電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105で生成されたエネルギを貯蔵可能である。例えば、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105が気体-液体変換システムを備える場合、熱電池107は気体-液体変換システムで生成された液体ガスを収容可能な断熱容器であってよい。容器は液化ガスの収容に適する任意の容器であってよい。熱電池107は、気体-液体変換システムで生成された液化ガスを所望の温度に保持するように断熱、冷却された貯蔵槽であってよい。電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105が空気圧縮機である実施形態では、熱電池107は加圧空気を収容するように構成された貯蔵槽であってよい。いくつかの実施形態では、熱電池107は液化空気と圧縮空気の両方を収容するように構成された貯蔵槽であってよい。いくつかの実施形態では、熱電池107は、電気エネルギ-機械エネルギ変換装置105からの(又はそれで使用するための)熱エネルギを熱化学的に貯蔵(熱貯蔵又は冷却貯蔵)可能な、1以上の液体又は固体の材料(例えば、液体CO、ドライアイス、ゼオライト結晶等)を含み得る。熱電池107の他の実施形態も本開示の範囲から乖離することなく使用可能である。
【0026】
システム100は加熱器又は熱交換器108(以下単に「加熱器」と呼ぶ)を含み得る。加熱器108は、熱電池107から加熱器108に送達される空気を加熱可能である。例えば、熱電池107が液化空気を貯蔵する実施形態において、加熱器108は熱電池107からの液化空気を加熱して気化させて液化空気を気体状態に戻すことが可能である。加熱器108は、空気が電力供給システム109に入る前に熱電池107からの液化空気の気化を改善することにより、システム100をより効率的にするように構成される。様々な実施形態において、熱電池107に貯蔵された液化空気の気化には、加熱器108を必要としない場合がある。これらの実施形態においては、液化空気が熱電池107から電力供給システム109に移動する間に作用する大気熱が、液化空気を気体状態に変換するのに十分な場合がある。例えば、液化空気は、液化空気が気体状態に変換する温度未満(例えば、大気圧又はそれに近い圧力において華氏(F)約-320度)で熱電池107内に貯蔵可能である。周囲の大気からの熱が液化空気を気体状態に変換可能である。この例では、加熱器108は液化ガスの液体から気体への変換を加速するように構成される。したがって、当業者であれば、加熱器108はシステム100に必須ではないが、システム100の運転をより効率的にさせるように構成されることを理解するであろう。
【0027】
加熱器108は、複数の異なる熱源の任意のものを用いて空気を加熱可能である。加熱器108は、特に空気を加熱するための熱を発生可能である。いくつかの実施形態において加熱器108は、熱電池107からの空気を加熱するように構成されたガス燃焼加熱器又は電気加熱器であってよい。他の実施形態においては、加熱器108はシステム100の熱源122から熱を供給されてもよい。システム100の熱源122については後でさらに詳細に議論する。加熱器108が熱源122で生成された熱を使用する場合、加熱器はその他の場合には無駄となるエネルギを活用する。後でさらに詳細を述べるように、熱源122は動作中に熱を出力するデータセンタのサーバ、計算機システム、及びその他の電子装置であってよい。そのような熱源による熱出力は通常、データセンタの稼働中に失われる。加熱器108は熱源122によって生成された熱を用いて液化空気を加熱して液化空気を気体状態に変換するか、又は減圧中に圧縮空気を加熱することが可能である。このように、加熱器108は、そうでなければ失われるシステムのエネルギ(例えば電力供給システム109により生成される熱)を効果的に利用することにより、システム100をより効率的にするように構成される。
【0028】
熱電池107が液化空気を貯蔵する実施形態において、液化空気の気化は、液体が気体状態に膨張するために気体空気の圧力上昇をもたらす。熱電池107から放出される空気は、ほぼ大気圧で液化空気として放出される。液化空気は次いで、大気熱のみで、又は加熱器108を用いて気体状態に変換すべく加熱される。この加熱工程中に、液化空気は気体状態に変化し、大気圧以上に加圧される。加圧された、あるいは圧縮された気体空気が次に電力供給システム109に供給される。
【0029】
電力供給システム109は熱電池107から機械エネルギを受け取り、その機械エネルギを電気エネルギに変換することができる。様々な実施形態において、電力供給システム109は電気負荷120に対して、無停電又はほぼ無停電の電力供給を提供する。本明細書で使用するように、無停電又はほぼ無停電という語、及びその派生語は、バックアップの電源が必要とされ、及び/又は起動されてからミリ秒のオーダの期間内で一定の電力レベルを提供する電源を指す。様々な実施形態において電力供給システム109は一貫した電力を負荷120に提供し、例えば電力喪失時に無停電又はほぼ無停電の電力供給又は発電を提供するためのほぼ瞬間的な電力のバックアップ事例として、フライホイール又は化学電池などが組み合わせとなった、あるいはそれ単独の、機械エネルギ貯蔵機構を含む。いくつかの実施形態において、電気エネルギがすぐに手に入らない、及び/又はコスト効率的でない期間の間、あるいは一次エネルギ源に故障がある場合、計算装置104は熱電池107に貯蔵された機械エネルギを放出して電気エネルギに変換し、電気負荷120に電力投入する(及びいくつかの実施形態では冷却する)ことを決定可能である。例えば、計算装置104は、1以上の基準値又は閾値水準に対する、利用可能性、信頼性、及び/又は電気エネルギの価格の比較に基づいて、貯蔵された潜在的機械エネルギを電気エネルギに変換して負荷120に電力供給することを決定可能である。例えば、計算装置104は電力供給システム109に接続されて、電力供給システム109を放電させて機械エネルギを電気エネルギに変換して負荷120に供給することが可能である。
【0030】
様々な実施形態において、電力供給システム109には、圧縮空気を使用して電気エネルギを生成するように構成された、圧縮空気を動力とする発電ユニットが含まれる。様々な実施形態において、電力供給システム109には、発電機に結合されたターボエクスパンダあるいは膨張タービンが含まれ、圧縮空気の機械エネルギを電気エネルギに変換する。電力供給システム109は上述の実施形態に限らない。電力供給システム109の他の実施形態(ガス燃焼あるいは炭素ベースの燃料を含む)が、本開示の範囲から逸脱することなく使用可能である。
【0031】
電気負荷120は、電力供給システム109からの電気エネルギを供給され得る。前述したように、電気負荷120は、計量装置103からの、あるいは公共電力網からの電源101によって直接生成される電気エネルギを供給することも可能である。電気負荷120は電気エネルギを消費する任意の構成要素であってよい。電気負荷120は、データセンタなどの、電子装置を収容する建物であってもよい。電気負荷120の他の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0032】
熱源122は、熱を出力する電力密度の高い環境であってもよい。電力密度の高い環境は、電気負荷120の一部であってもよい。例えば、電気負荷120がデータセンタである場合、前述したように、熱源122は、動作時に熱を出力し、適正な動作を保証するためには冷却を必要とし得る、サーバ、コンピュータシステム、及びデータセンタの他の電子装置であり得る。熱源122の他の実施形態が本開示の範囲から逸脱することなく使用可能である。
【0033】
熱源122は電力供給システム109の排気で冷却可能である。例えば、電力供給システム109が前述したように圧縮空気を動力とするタービンである場合、タービンは熱電池107からの圧縮空気を電気エネルギに変換する。圧縮空気を電気エネルギに変換する工程において、タービンは冷たい空気を排出する。タービンにより排出された冷たい空気は、熱源122に供給されて熱源122を冷却し得る。冷却は直接又は間接的に実行可能である。直接冷却の例は、タービンの排出空気を、1以上のエアダクトを介してデータセンタに単純に注入することである。間接冷却の例は、データセンタの冷却システムにポンプ注入される流体をコイルを介して冷却することである。これが、タービン排出空気から液体熱交換器に循環する流体の冷却により既存のファンを使用してデータセンタを冷却する。いくつかの実施形態では、流体は例えば-220度~-6度(華氏)の温度での不凍液である。データセンタの温通路空気からの熱エネルギが不凍液へ伝達可能である。こうして、流体を熱導管として使用可能である。熱源122を冷却する熱伝達システムの更なる詳細は、以下でさらに詳しく述べる。
【0034】
図1Bは、本開示の様々な実施形態による電力供給及び冷却システムに使用する電力供給システム150の例を示す。電力供給システム150は、図1Aの電力供給システム109の1つの例示的実装形態である。図1Bに示す電力供給システム150の実施形態は説明のためだけのものである。電力供給システム150の他の実施形態が、この開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0035】
図1Bに示すように、電力供給システム150は、タービン152、発電機又はオルタネータ154(ここでは単純に「発電機」と称する)とフライホイール156を含み、電力をデータセンタに供給する。以下でより詳細を議論するように、貯蔵槽168からの圧縮空気又は貯蔵槽164からの液体空気が供給配管を通してタービン152に供給可能である。タービン152は圧縮空気又は液体空気により動力が与えられて、発電機154に結合したシャフト158を回転させる。発電機154はタービン152で生成された機械エネルギを電気エネルギに変換するように構成される。具体的には、発電機154のロータがタービン152のシャフト158に結合されており、電気エネルギを発生させることが可能である。タービン152に供給される機械エネルギは回転フライホイール156の運動量に蓄積することができる。
【0036】
様々な実施形態において、タービン152、発電機154、フライホイール156の回転要素は、磁気軸受又は他の低摩擦軸受によって回転支持可能である。磁気軸受は、従来の軸受に比較すると、構成要素の効率を向上させ、また構成要素に必要な保守を低減する。例えば、電力供給システム150がデータセンタ用の電源として使用中であるか否かに拘わらず、タービン152及びフライホイール156は(またいくつかの実施形態では発電機154も)、一次電源(例えば電源101)の故障の際、あるいはそれからの切り替えの際、瞬間的又はほぼ瞬間的なバックアップ電力を提供するために回転し続けることが可能である。これらの実施形態において磁気軸受の使用により、保守費用を低減した形でこの一定した回転が達成可能となる。
【0037】
いくつかの実施形態では、少量の電気エネルギ又は少量の圧縮空気若しくは液体空気で、タービン152、発電機154、フライホイール156の回転を保持可能である。本明細書ではこれを回転予備と呼ぶ。より詳細を後で述べるように、タービン152が万一発電機154への機械エネルギの提供を停止した場合、あるいは電源101のような代替電源が故障するか、切断することが望まれる場合に、回転フライホイール156の運動量に貯蔵された機械エネルギを使用して発電機154に動力を供給して、タービン152が動作してない場合、あるいは例えば始動又は切替時に速度を落として動作している場合にも、発電機154の電気エネルギ生成を継続可能とする。つまり、フライホイール156はタービン152を再スタートさせるのに十分なだけシャフト158を回転させ続けて、タービン152が再び電力を供給してシャフト158を回転させることができるようにする。追加又は代替として、いくつかの実施形態においてはシステム150が回転予備モータ160を含み、これが非生産期間中もシャフト158を回転させて、より詳細を後で述べるように、最小回転速度で回転のソフトスタートができるようにする。
【0038】
回転予備は、高圧の空気若しくはガス、回転予備モータ160、又はこれらの組み合わせにより維持可能である。回転予備モータ160は、タービン152のブレードの下流でシャフト158に結合されたベルト式又は歯車式の電気モータである。運転中に、回転予備モータ160はタービン152が最小回転速度(例えば1000RPM)で24時間/日回転することを保証する。追加又は代替として、システム150には回転予備のための高圧貯蔵槽170が含まれる。貯蔵槽170は、乾燥圧縮空気、圧縮窒素ガス、液体空気、又はこれらの組み合わせを高圧(例えば3000psi)で貯蔵する。回転予備を維持するために、貯蔵槽170は常に空気を放出し、これがタービン152に送達されてタービン152を最小速度(例えば1000RPM)で24時間/日回転させる。勿論、最大速度ではタービン152は10,000RPM~30,000RPM程度で回転する。いくつかの実施形態において、貯蔵槽170は大容量の圧縮空気又は圧縮ガスの分離された貯蔵槽であり、タービン152及び発電機154への独立した送達経路と貯蔵能力とを有し、上流の貯蔵槽164、液体空気流バルブ162、又は上流の貯蔵槽168の圧縮空気制御バルブ166若しくは複数のバルブの組み合わせ、及び送達システムが特定の燃料をタービン入口にもたらすのに必要な所定の時間の間、タービン152の始動及び運転を可能とする。
【0039】
システム150には、シャフト158の回転速度(RPM単位)を測定する速度センサ172、タービン152内の潤滑油の温度を測定する温度センサ174、タービン152の潤滑システム内の圧力を測定する圧力センサ176、タービン152のターボエクスパンダに入る空気又はガスの圧力を測定する圧力センサ178、及び貯蔵槽168内の空気の圧力を測定する圧力センサ180、を含む複数のセンサが含まれる。
【0040】
いくつかの実施形態においてシステム150には、システム150の1以上の構成要素の運転を制御するために提供される少なくとも1つの計算装置190が含まれる。例えば計算装置190は以下に述べる任意の操作を実行可能である。いくつかの実施形態において、計算装置190は、個人又は法人などの第三者によって運用されるサービスであってもよい。計算装置190はシステム150のその他の部分がある場所とは異なる場所に収納及び運転されてもよい。つまり、計算装置190は特定の場所又は構成に拘束されない。図1Bには1つの計算装置190しか示されていないが、システム150には、それぞれがシステム150の別々の部分への制御を提供する、複数の計算装置190が実際には含まれ得る。
【0041】
運転の一態様において、センサ172~180と計算装置190が通信、連携して、回転予備が維持され、タービン152が所定の時間以内に重要負荷を受けることができるように保証される。いくつかの実施形態において、センサ172~180と計算装置190は、液体空気流バルブ162を監視・調節し、あるいはセンサアレイからの可変周波数駆動装置(VFD)を介して回転予備モータ160を監視・調節して、シャフト158の所定のRPMを維持するようにプログラムされる。本明細書において、所定のRPMは、タービン152の潤滑油が動作温度にある場合、発電機154が所定の速度で回転し、フライホイール156が所定の速度で回転する回転数である。
【0042】
いくつかの実施形態において、重要な階層は潤滑油温度と潤滑油システム圧力(センサ174、176で測定されるような)である。計算装置190で実行される1以上の予めプログラムされたアルゴリズムは、シャフト158の回転速度(RPM単位)を液体空気流バルブ162を介する空気流(空気ポンド/秒単位)に相関付け、潤滑油温度と潤滑油システム圧力をシステム150のその他の部分の作動を保証するための代理として使用可能である。追加又は代替として、計算装置190で実行される1以上は、シャフト158の回転速度(RPM単位)を回転予備モータ160の回転速度(RPM単位)に相関付け、潤滑油温度と潤滑油システム圧力をシステム150のその他の部分の作動を保証するための代理として使用可能である。
【0043】
運転の一態様において、上流で(例えば1以上の電力感知メータ又は他の機器によって)入力電力障害が検出されると、計算装置190が発電機154に対して全速度及び全能力で動作するように信号を送る。これによりプログラムされた一連のイベントが開始される。
【0044】
第1に、回転予備モータ160が切り離され、及び/又は貯蔵槽170が閉鎖されて、少量の空気流がもはやタービン152に送達されないようにする。これはタービン152の速度が上昇する前に行われる。フライホイール156が重要な電気負荷を受け取る。次に、圧縮空気バルブ166(これは空気放出弁であってもよい)を全開して、タービン152と発電機154のラインを全速度にまで上昇させる。タービン152と発電機154が適正な速度及び周波数になると、重要な電気負荷が発電機154に伝達される。
【0045】
図2Aは本開示の様々な実施形態による電力供給及び冷却システムに使用する熱伝達システム200の例を示す。説明を簡単にするために、熱伝達システム200を、図1Aの電力供給及び冷却システム100と共に使用されるものとして説明する。勿論これは単なる一例である。熱伝達システム200は他の任意の適切なシステムと共に使用され得る。また、図2Aに示す熱伝達システム200の実施形態は説明のためだけのものである。熱伝達システム200の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱することなく使用することが可能である。
【0046】
図2Aに示すように、熱伝達システム200には、図1Aの電力供給システム109などのような、発電システムのタービン203からの低温排出空気流204が含まれる。例えば、電力供給システム109が圧縮空気エネルギシステムの一部である場合、空気流204は約+320度~-150度(華氏)の温度であり得る。ただしこれより高いか低い温度も本開示の範囲内である。コイル212~214を含む複数のコイルが空気流204内に直列に配置される。コイル212~214は、この空気流204が通過する大きな空気ダクト内に配置可能である。いくつかの実施形態では、ダクトは差し渡し8~10フィートである。ただし、これより大きいか小さいダクト寸法も本開示の範囲内である。コイル212~214のそれぞれには、その空気流204よりも高温の流体が貫通する。したがって、コイル212~214は、コイル212~214を貫通する流体からの熱エネルギがその空気流204に熱エネルギを付加する熱交換器として作用し、その結果空気流204を各コイル212~214において暖める。暖められた空気流204はその後、冷却空気としてデータセンタ216に供給される。データセンタ216は、図1Aの電気負荷を表す(又は電気負荷120として表示される)ことができる。この熱交換プロセスをここで詳細に説明する。
【0047】
コイル212は空気流204が最初に遭遇するコイルである。したがってコイル212は、空気流204の流入温度(EAT)を示すその最も低い温度、例えば-150度(華氏)で空気流204を受ける。コイル212を貫通するのは、密着冷却(CCC)コイル222から出力する流体である。いくつかの実施形態において流体にはグリコール混合物又は他の適切な流体が含まれる。CCCコイル222は、データセンタ216内部の巻線コイルを表す。いくつかの実施形態において、コイル212に流入する流体の温度(すなわち流入流体温度(EFT))は、約120度(華氏)である。比較的温かい流体がコイル212を貫通するために、その流体からの熱エネルギが(例えば、伝導、対流、又はその組み合わせにより)空気流204に伝達され、それによって空気流204がより暖かくなり、流体がより冷たくなる。いくつかの実施形態において、コイル212から出てゆく流体の温度(すなわち流出流体温度(LFT)は約80度(華氏)である。いくつかの実施形態において、流体は流体貯蔵部210に出力され、これが流体貯蔵槽として作用する。以下で議論するように、流体貯蔵部210内の流体は、コイル213への(またコイル213を介しての)送達が可能となる。コイル212での空気の加温のために、空気流204の流出空気温度(LAT)は-150度(華氏)のEATよりも著しく高い。例えば、コイル212から出てゆく空気流204のLATは約-50度(華氏)となり得る。
【0048】
コイル213が空気流204が次に遭遇するコイルである。すなわち、空気流204がコイル212を通過又は貫通した後、空気流204がコイル213に達する。コイル213における空気流204のEATは、コイル212における空気流204のLATとほぼ同じであり、例えば約-50度(華氏)である。コイル213を通るのは、流体貯蔵部210から出た流体である。コイル213における流体のEFTは約80度(華氏)である。比較的温かい流体がコイル213を貫通するために、その流体からの熱エネルギが空気流204に伝達され、それによって空気流204がさらに暖かくなり、流体はより冷たくなる。いくつかの実施形態において、コイル213から出る流体のLFTは約40度~60度(華氏)である。したがって、コイル213から出る流体は冷却された流体とみなされ、データセンタ216の冷却に使用可能である。いくつかの実施形態において、冷却された流体は冷却流体貯蔵部218(例えば、貯蔵槽)に出力され、これが冷却流体貯蔵槽として作用する。コイル213での空気の加温のために、空気流204のLATは-50度(華氏)のEATよりも著しく高い。例えば、コイル213から出てゆく空気流204のLATは約10度(華氏)であり得る。
【0049】
コイル214は、空気流204がコイル213を通過又は貫通した後に遭遇する次のコイルである。コイル214における空気流204のEATは、コイル213における空気流204のLATとほぼ同じであり、例えば約10度(華氏)である。コイル214を貫通するのは、加熱流体貯蔵器208から出た流体である。コイル214における流体のEFTは環境温度よりもはるかに温かい(例えば約200度(華氏))。比較的温かい流体がコイル214を貫通するために、その流体からの熱エネルギが空気流204に伝達され、それによって空気流204がさらに暖かくなり、流体はより冷たくなる。いくつかの実施形態において、コイル214から出る流体のLFTは約130度(華氏)である。いくつかの実施形態において、流体は1以上の加熱器206に出力され、これが流体を再加熱する。コイル214での空気の加温のために、空気流204のLATは10度(華氏)のEATよりも著しく高い。例えば、コイル214を出る空気流204のLATは,約70度~104度(華氏)であり、データセンタ216への送達に適切な温度範囲である。データセンタ216に入力された後、空気流204はデータセンタ216の直接冷却に提供可能である。例えば空気流204はデータセンタ216内の1以上の発熱構成要素(例えばサーバ)の周りを循環させることができる。
【0050】
コイル214を貫通する流体は、コイル214、加熱流体貯蔵器208、加熱器206を含む加熱流体ループの一部である。いくつかの実施形態において、加熱器206は、太陽から受けた熱エネルギを使用して流体を(例えば約200度(華氏)に)加熱する、太陽光流体加熱器である。そのような太陽光流体加熱器には、1以上の太陽光パネル、熱交換器などが含まれ得る。いくつかの実施形態において、加熱器206の動作は、集光ミラー、反射面、又は反射井戸で強化して流体温度を上昇させることが可能である。勿論(太陽光以外の)他の加熱方法、例えば水素燃料加熱器などを加熱器206で使用可能である。流体はまず加熱流体貯蔵器208に貯蔵され、その後コイル214に送達される。次いで流体がコイル214を貫通する際に、流体が空気流204によって冷却される。コイル214から出た後、流体は加熱器206に戻される。加熱器206は、流体の加熱に適切な、任意の数及び構成の太陽光加熱器を含み得る。いくつかの実施形態では、加熱流体貯蔵器208の流体は、随時又は定期的に加熱器206を通して循環させて、流体温度を上昇又は維持させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、コイル212に流入する流体がまだ適切に加熱されていない場合には、加熱流体貯蔵器208からの流体の一部を使用してコイル212に流入する流体を加熱することも可能である。例えば、CCCコイル222を出る流体が110度(華氏)でしかなく、コイル212での望ましいEFTが120度(華氏)である場合、加熱流体貯蔵器208からの加熱流体を使用して、CCCコイル222からの流体を、その流体がコイル212に入る前に所望の120度(華氏)EFTに加温することが可能である。
【0052】
コイル212、213を貫通する流体は、コイル212、213、流体貯蔵部210、流体貯蔵部218、及びデータセンタ216に関連する1以上のエアハンドラ220を含む別の流体ループの一部である。前述したように、流体はコイル212で約80度(華氏)LFTに冷却され、流体ループの異なる部分の流量が一貫していない可能性があるために、一時的に流体貯蔵部210に貯蔵される。流体の一部は後でコイル213に入力され、冷却されて40度~60度(華氏)の冷却流体となる。冷却流体は流体貯蔵部218に一時貯蔵され、エアハンドラ220に出力可能である。これがデータセンタ216を直接空冷するか、あるいは直接空冷への液体を提供するように動作する。エアハンドラ220において、冷却流体はエアハンドラ220を貫通する温かい空気を冷却するように作用する。これが次に冷却流体をより高温(例えば100度~120度(華氏))に加熱する。その後流体はCCCコイル222からの流体と混合して、混合された流体がコイル212に送達される。
【0053】
CCCコイル222を貫通する流体は、コイル212、流体貯蔵部210、及びCCCコイル222を含む追加流体ループの一部である。前述したように、流体はコイル212で約80度(華氏)LFTに冷却されて、流体貯蔵部210に一時的に貯蔵される。流体貯蔵部210の流体の一部はその後CCCコイル222に送達され、そこで流体がデータセンタ216の冷却に使用される。CCCコイル222における熱伝達工程により、CCCコイル222から出る流体のLFTはより高くなる(例えば100度~120度(華氏))。加熱された流体はその後コイル212に戻る。
【0054】
空気流を加熱する任意の適切な方法又は工程が、タービン203に入る前に貯蔵された圧縮空気の送達経路に適用可能である。例えば図2Bは、本開示の様々な実施形態による、熱伝達システム200と共に使用するための例示的圧縮空気減圧加熱サイクル235の部分を示す。いくつかの実施形態において、加熱サイクル235は熱伝達システム200のタービン203の質量流量の効率改善に使用可能である。
【0055】
図2Bに示すように、加熱サイクル235には、圧縮空気貯蔵部237からの圧縮空気と、熱源238からの熱エネルギ(熱)とを受け取る熱交換器236が含まれる。圧縮空気貯蔵部237は、図1A及び図1Bの(加圧空気又は加圧ガスを含むように構成された貯蔵槽の形態をした)機械式電池107を表す(又はそれによって表せられる)。熱源238には、任意の適切な熱エネルギ源、例えば水素燃焼加熱器、太陽光加熱器、他の可燃性燃料加熱器、内燃エンジン排気及び/又は冷却システムからの熱伝達などが含まれ得る。いくつかの実施形態において、熱源238は図1A及び1Bの加熱器108を表す(あるいは表される)ことができる。熱交換器236は、加温空気をタービン203に提供する前に、熱源238からの熱エネルギを使用して圧縮空気貯蔵部237からの減圧空気の温度を上昇させる。これにより、32度(華氏)より高温の空気を用いてタービン203の運転を高効率化することが可能である。
【0056】
いくつかの実施形態において、熱伝達システム200は地域冷暖房システム202も含む。地域冷暖房システム202には、水を使用する設備(例えば発電設備)に提供され得る公共温水及び/又は冷水、及び設備から戻る調整水が含まれる。地域冷暖房システム202には、いくつかの実施形態では周囲温度(例えば約60度(華氏))であり得る地域生活用水231、約40度~50度(華氏)であり得る地域冷水232、約180度(華氏)であり得る地域熱供給水233、及び約90度~120度(華氏)であり得る地域熱戻り水234が含まれる。勿論これらの温度は単なる例示であり、他の実施形態ではより高いかより低い温度が含まれ得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、地域冷暖房システム202は熱伝達システム200内のヒートシンク又は熱源として使用可能である。例えば、CCCコイル222からの流体の熱エネルギが、熱交換器224を用いて地域熱戻り水234に提供可能である。図2Aに示すように熱交換器224の片側には、地域熱戻り水234と熱交換器224の間の流体ループが含まれる。熱交換器224の反対側には、熱交換器224と、CCCコイル222-コイル212間の流体配管との間の流体ループが含まれる。CCCコイル222からの流体は地域熱戻り水234の温度より高温であるので(例えば、約90度~120度(華氏)に対して約120度(華氏))、熱交換器224はCCCコイル222からの流体から地域熱戻り水234へ熱エネルギを伝達するように動作可能である。
【0058】
いくつかの実施形態において、熱交換器224の入出力熱量はセンサデータをコンピュータアルゴリズムに入力することで計算される。熱交換器224は地域冷暖房システム202及び/又は熱交換器224の1以上のセンサを用いて監視して、1以上のバルブ及びアクチュエータの自動コンピュータ制御を介して地域冷暖房システム202への熱量の正確な送達を行うことが可能である。
【0059】
いくつかの実施形態では、システム200には、システム200の1以上の構成要素の動作を制御するように提供された少なくとも1つの計算装置230が含まれる。例えば計算装置230は、1以上のコイル212~214におけるEAT、EFT、空気流量及び流体流量を決定し、所望のLAT、LFTを決定し、所望のLAT又はLFTを達成するための1以上の流量の変更を計算し、及び/又は流量を変更させるために1以上のバルブ、三方バルブ、アクチュエータ、ダンパ、マニホールドなどを制御することが可能である。いくつかの実施形態において、計算装置230は、個人又は法人などの第三者によって運用されるサービスであってもよい。計算装置230はシステム200のその他の部分がある場所とは異なる場所に収納及び運転されてもよい。つまり、計算装置230は特定の場所又は構成に拘束されない。図2Aには1つの計算装置230しか示されていないが、システム200には、それぞれがシステム200の別々の部分への制御を提供する、複数の計算装置230が実際には含まれ得る。
【0060】
図2Cは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法240を示す。説明を簡単にするために、この方法240は図1A及び図2Aのシステム100、200を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法240は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図2Cに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法240の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0061】
操作241において、計算装置230がセンサT1とT3からの温度指示値を受信して、センサT3の流体温度(すなわちコイル212に入る前の流体温度)がセンサT1での地域熱戻り水234の温度より少なくとも5度(華氏)は高いかどうかを判定する。
【0062】
操作242において、T3がT1の温度より少なくとも5度(華氏)高ければ、計算装置230はバルブV1(これには三方バルブが含まれる)を制御して開き、それにより熱交換器224を介した熱伝達を可能とする。これにより流体を地域熱戻り水234の方向へ移動させる。流体は一次流体経路(これはエアハンドラ220、CCCコイル222、又はその両者からの出力を含む)の戻りと熱交換器224の間の閉ループ構成内の熱交換器224へ向けられる。いくつかの実施形態では、計算装置230が1以上の上流のシステムから原動機が稼働中であるという信号を受信する。
【0063】
操作243において、計算装置230が以下の条件、(1)上流の原動機が動作していない、(2)T1とT3のセンサの温度指示値が5度(華氏)未満である、(3)ユーザ定義の条件が満たされていない、のいずれかに該当するかどうかを判定する。
【0064】
操作244において、操作243の条件の1つに該当する場合、計算装置230はバルブV1を制御して閉じ、それにより熱交換器224への流体流を閉鎖する。
【0065】
操作245において、計算装置230は関係者又は監視システムに対して1以上の通知を提供する。
【0066】
図2Dは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法250を示す。説明を簡単にするために、この方法250は図1A及び図2Aのシステム100、200を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法250は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図2Dに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法250の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0067】
操作251において、計算装置230が温度センサT3、T4、T5、T8、T9からの温度測定値を受信する。
【0068】
操作252において、計算装置230はその温度測定値を用いて計算を行い、一次流体経路と加熱流体貯蔵器208からの混合流体がコイル212において80度(華氏)のLFTを満たすために必要であるかどうかを判定する。
【0069】
操作253において、計算装置230が適切な混合流体を決定する。いくつかの実施形態において、混合流体は一次流体経路のみ(すなわち100%一次流体経路)からの流体であってもよい。いくつかの実施形態において、混合流体は加熱流体貯蔵器208のみ(すなわち100%加熱流体貯蔵器)からの流体であってもよい。いくつかの実施形態において、混合流体はxx%の流体が一次流体経路からであり、yy%の流体が加熱流体貯蔵器208からであってもよい。ここでxx及びyyは0と100の間の数であって、リアルタイムで決定可能である。
【0070】
操作254において、計算装置230が制御バルブV1、V2(これは三方バルブであってよい)を制御して、操作253で決定された混合流体が達成できるように適切な位置に開く。
【0071】
いくつかの実施形態において、操作251~254を繰り返して所定の混合流体を調節する。
【0072】
図2Eは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法260を示す。説明を簡単にするために、この方法260は図1A及び図2Aのシステム100、200を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法260は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図2Eに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法260の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0073】
操作261において、計算装置230が温度センサT5、T6、T10、T11からの温度測定値を受信する。
【0074】
操作262において、計算装置230はその温度測定値を用いて計算を行い、一次流体経路と加熱流体貯蔵器213から更新流体がコイル213において40度から60度(華氏)の間のLFTを満たすための更新した流量を決定する。
【0075】
操作263において、計算装置230はコイル213に関連する1以上のポンプ又はバルブ位置を制御して、現在の流体流量を操作262で決定された更新流体流量に変更する。
【0076】
いくつかの実施形態において、操作261~263を繰り返して所定の混合流体量に調節することができる。
【0077】
図2Fは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法270を示す。説明を簡単にするために、この方法270は図1A及び図2Aのシステム100、200を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法270は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図2Fに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法270の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0078】
操作271において、計算装置230が温度センサT6、T7、T12からの温度測定値を受信する。いくつかの実施形態において、温度センサT7はデータセンタ216への制御入力である。
【0079】
操作272において、計算装置230はその温度測定値を用いて計算を行い、コイル214で70度から104度(華氏)の間のLATを満たすための加熱流体貯蔵器208からコイル214を通る流体流量を決定する。
【0080】
操作273において、計算装置230は加熱流体貯蔵器208に関連する1以上のポンプ又はバルブ位置を制御して、流体流量を操作272で決定された流体流量に変更する。
【0081】
いくつかの実施形態において、操作271~273を繰り返して所定の流体流量に調節することができる。
【0082】
図2Cから図2Fに関連して上述した方法は、本開示の原理に従って実施可能な例示的操作を示す。本明細書で示した方法は様々な変更が可能である。例えば、一連のステップとして示されているが、各図面の様々なステップは重複して、並行して、異なる順序で、又は複数回にわたり、行ってもよい。別の例では、ステップは省略したり、あるいは他のステップで置き換えることが可能である。また、図2Cから図2Fに関して上述した方法の複数又はすべてを、システム200において一緒に遂行できることも理解されたい。
【0083】
図3Aは本開示の様々な実施形態による電力供給及び冷却システムに使用する別の熱伝達システム300の例を示す。説明を簡単にするために、熱伝達システム300を、図1Aの電力供給及び冷却システム100と共に使用されるものとして説明する。勿論これは単なる一例である。熱伝達システム300は、他の任意の適切なシステムと共に使用され得る。また、図3Aに示す熱伝達システム300の実施形態は説明のためだけのものである。熱伝達システム300の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱することなく使用することが可能である。
【0084】
図3Aに示すように、熱伝達システム300には、図1Aの電力供給システム109などのような、発電システムのタービン303からの高温排出空気流304が含まれる。例えば、電力供給システム109が液体空気エネルギシステムの一部である場合、空気流は約150度(華氏)の温度であり得る。ただしこれより高いか低い温度も本開示の範囲内である。コイル312~314を含む複数のコイルが空気流304内に直列に配置される。コイル312~314は、この空気流304が通過する大きな空気ダクト内に配置可能である。いくつかの実施形態では、ダクトは差し渡し8~10フィートである。ただし、これより大きいか小さいダクト寸法も本開示の範囲内である。コイル312~314のそれぞれには、空気流304よりも低温の流体が貫通する。したがって、コイル312~314は熱交換器として作用し、空気流304からの熱エネルギがコイル312~314を貫通する流体に熱エネルギを付加して、各コイル312~314において空気流304を冷却する。冷却された空気流304はその後、冷却空気としてデータセンタ316に供給可能である。データセンタ316は、図1Aの電気負荷を表す(又は電気負荷120として表示される)ことができる。この熱交換プロセスをここで詳細に説明する。
【0085】
コイル312は空気流304が最初に遭遇するコイルである。したがってコイル312は、空気流304の流入温度(EAT)である、例えば150度~320度(華氏)の最も高い温度で空気流304を受ける。コイル312を通るのは、流体貯蔵部320、及び/又は冷却器322から受ける流体である。いくつかの実施形態において、コイル312に入る流体のEFTは約120度(華氏)である。相対的に冷たい流体がコイル312を貫通するので、温かい空気流304からの熱エネルギが(例えば、伝導、対流、又はその組み合わせにより)流体に伝達され、それによって空気流304がより冷たくなり、流体がより暖かくなる。いくつかの実施形態において、コイル312から出る流体のLFTは約140度~300度(華氏)である。いくつかの実施形態において、流体は貯蔵槽として作用する流体貯蔵部320に出力されて戻る。貯蔵槽内の流体は貯蔵槽の頂部近くでは底部近くよりより温かいので、温かい流体は流体貯蔵部320の頂部に入力され、コイル312に向けられるより冷たい流体は流体貯蔵部320の底部から取り出すことができる。コイル312での空気の冷却により、空気流304のLATは、150度~320度(華氏)のEATより低い。例えば、コイル312から離れる空気流304のLATは約140度(華氏)であり得る。
【0086】
コイル313が空気流304が次に遭遇するコイルである。すなわち、空気流304がコイル312を通過又は貫通した後、空気流304がコイル313に達する。コイル313における空気流304のEATは、コイル312における空気流304のLATとほぼ同じであり、例えば約140度(華氏)である。コイル313を通るのは、熱交換器306から出力した流体である。コイル313における流体のEFTは空気流304のEATより低い。いくつかの実施形態において、流体のEFTは約90度(華氏)であり得る。相対的に冷たい流体がコイル313を貫通するので、より温かい空気流304からの熱エネルギが流体に伝達され、それによって空気流304が冷やされ、流体が温められる。いくつかの実施形態において、コイル313から出る流体のLFTは約110度(華氏)である。いくつかの実施形態において、流体は、以下で詳細を説明するように別の流体ループである熱交換器306に出力されて戻る。コイル313での空気の冷却により、空気流304のLATは、140度(華氏)のEATより低い。例えば、コイル313から離れる空気流304のLATは約130度(華氏)であり得る。
【0087】
コイル314が空気流304が次に遭遇するコイルである。コイル314における空気流304のEATは、コイル313における空気流304のLATとほぼ同じであり、例えば約130度(華氏)である。コイル314を貫通するのは、熱交換器308から出る流体である。コイル314における流体のEFTは空気流304のEATより低い。いくつかの実施形態において、流体のEFTは約60度~70度(華氏)であり得る。相対的に冷たい流体がコイル314を貫通するので、より温かい空気流304からの熱エネルギが流体に伝達され、それによって空気流304が冷やされ、流体が温められる。いくつかの実施形態において、コイル314から出る流体のLFTは約90度(華氏)である。いくつかの実施形態において、流体は、以下で詳細を説明するように別の流体ループである熱交換器308に出力されて戻る。コイル314での空気の冷却により、空気流304のLATは、130度(華氏)のEATより低い。例えば、コイル314を離れる空気流304のLATは,約70度~104度(華氏)であり、データセンタ316に送達するのに適切な温度範囲である。データセンタ316に入力された後、空気流304はデータセンタ316の直接冷却に提供可能である。例えば空気流304はデータセンタ316内の1以上の発熱構成要素(例えばサーバ)の周りを循環させることができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、熱伝達システム300は地域冷暖房システム202も含む。これは地域生活用水231、地域冷水232、地域熱供給水233、及び地域熱戻り水234を含む。いくつかの実施形態では、地域冷暖房システム202は熱伝達システム300内のヒートシンク又は熱源として使用可能である。
【0089】
例えば、図3Aに示すように、熱交換器306の片側には地域熱戻り水234と熱交換器306の間の流体ループが含まれる。熱交換器306の反対側には、熱交換器306と、コイル313の間の流体ループが含まれる。CCCコイル313からの流体は地域熱戻り水234の温度より高いので(例えば、約90度(華氏)に対して約110度(華氏))、熱交換器306はCCCコイル313の流体から地域熱戻り水234へ熱エネルギを伝達するように動作可能である。
【0090】
別の例として、熱交換器308の片側は地域生活用水231、熱交換器308、及び地域熱戻り水234の間の流体ループを含む。熱交換器306の反対側には、熱交換器308とコイル314の間の流体ループが含まれる。反対側では、熱交換器308が地域水231から(例えば約60度(華氏)の)相対的に冷たい水を受けることができる。前述したように、熱交換器308はコイル314から相対的に暖かい(例えば約90度(華氏)の)流体を受け取る。熱交換器308で熱エネルギが交換された後、地域冷暖房システム202に戻る水は地域水231よりも温かい。こうして、より温かい水が、地域熱戻り水234又は地域水231ループに少しだけ高い温度で戻ることができる。
【0091】
熱交換器308と地域冷暖房システム202の間の流体ループに加えて、あるいはその代替として、熱交換器308と地域表流水310との間の流体ループを使用可能である。表流水310(これは例えば川、湖、海、あるいは人工池などであり得る)は熱交換器308で使用される比較的冷たい水を提供可能である。いくつかの実施形態では、熱交換器326は地域熱戻り水234とコイル312を通る流体ループとの間に使用可能である。
【0092】
前述したように、コイル312を貫通する流体は少なくとも部分的に冷却器322から受け取ることが可能である。冷却器322は、データセンタ316に関連する1以上のエアハンドラ324に送達される冷却流体を生成するように動作する。エアハンドラ324は、冷却器322からの冷却流体を用いて、データセンタ316に直接的に空気冷却を提供するか、空気直接冷却への液体を提供するように動作する。冷却器322には流体冷却のための任意の適切な装置又はシステムが含まれる。いくつかの実施形態では、冷却器322には吸収冷却器、吸着冷却器又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0093】
いくつかの実施形態では、システム300には、システム300の1以上の構成要素の動作を制御するように提供された少なくとも1つの計算装置330が含まれる。例えば計算装置330は、1以上のセンサからの指示値を受信して、1以上のコイル312~314におけるEAT、EFT、及び流量を決定し、所望のLAT、LFTを決定し、1以上の流量の変更を計算して所望のLAT又はLFTを達成し、及び/又は1以上のバルブ、アクチュエータ、マニホールドなどを制御して流量を変化させることが可能である。いくつかの実施形態において、計算装置330は、個人又は法人などの第三者によって運用されるサービスであってもよい。計算装置330はシステム300のその他の部分がある場所とは異なる場所に収納及び運転されてもよい。つまり、計算装置330は特定の場所又は構成に拘束されない。図3Aには1つの計算装置330しか示されていないが、システム300には、それぞれがシステム300の別々の部分への制御を提供する、複数の計算装置330が実際には含まれ得る。
【0094】
図2A及び図3Aは、電力供給及び冷却システムに使用される熱伝達システムの例と関連する詳細を示すが、図2A及び図3Aに様々な変更を加えることが可能である。例えば、図2A及び図3Aで記述される様々な温度は単なる例であり、他の実施形態は異なる温度を含み得る。また、コイル及び他の構成要素の数及び配置もまた単なる例である。熱伝達システム200、300の様々な構成要素は、組み合わせ、更なる分割、複製、再配置又は省略が可能であり、追加の構成要素を特定の必要性によって追加することも可能である。
【0095】
さらに、様々な熱源を単一経路又は段階の任意の組み合わせに使用して、システム200、300の1以上の部分(例えば熱交換器224、306、308の1つ)に対して利用可能な総熱量を向上させることも可能である。そのような熱源の例としては、液化プラントからの圧縮熱、空気圧縮からの圧縮熱、水素又は他の可燃性燃料の燃焼、内燃エンジンからの排気、内燃エンジン冷却システムからの排熱、外気気化器、可燃性燃料容器からの排気、などがある。
【0096】
いくつかの実施形態において、燃料電池からの廃熱を捕捉して再利用することが可能である。例えば、そのような廃熱は、タービン203、303に入る空気、タービン203、303の1以上の中間段階における空気、又はタービン203、303から出る排気空気に対して適用可能である。タービンの中間段階にある空気を温めることは、早期の機器故障を防止し、機器効率を向上させ、あるいはこれらの組み合わせを行うことができる。そのような廃熱は炭素ベースの燃料を燃焼させる代わりとなり得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、水素を非炭素可燃性燃料熱源として液体又は気体の形態で使用して、圧縮空気を直接又は減圧中に熱交換器を介して加熱することが可能である。そのような工程は空気流の高効率利用をもたらし、流入空気温度を上げて熱衝撃による内部部品の劣化及び/又は損傷を低減し、又はそれらの組み合わせをもたらすことが可能である。水素は、タービンサイクル中に液体空気を直接又は熱交換器を介して加熱して、ターボエクスパンダ及びタービン段の間に流入する液体空気の利用効率をより高くすることも可能である。
【0098】
1以上の既存のディーゼル発電機を含むいくつかの実施形態において、発電機遠隔ラジエータを熱源として使用可能である。例えば、ラジエータを、液体空気エネルギシステム内の液体から液体への変換における熱源として使用することができる。別の例では、ラジエータを、圧縮空気エネルギシステム内の液体から空気への変換における熱源として使用することができる。発電機の排気もまた同じように使用可能である。いくつかの実施形態では、排気筒の炭素捕捉を使用して二酸化炭素の生成を低減又は除去することができる。
【0099】
図3Bは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法340を示す。説明を簡単にするために、方法340は図1A及び図3Aのシステム100、300を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法340は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図3Bに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法340の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0100】
操作341において、計算装置330がセンサT1とT3からの温度指示値を受信して、センサT3のLFTがセンサT1での地域熱戻り水234の温度より少なくとも5度(華氏)は高いかどうかを判定する。
【0101】
操作342において、T3温度がT1温度より少なくとも5度(華氏)高ければ、計算装置330はバルブV1を制御して開き、それにより熱交換器326を介した熱伝達を可能とする。これにより流体を地域熱戻り水234の方向へ移動させる。流体は、コイル312と熱交換器326の間の閉ループ構成内の熱交換器326へ向けられる。いくつかの実施形態では、計算装置330が1以上の上流のシステムから原動機が稼働中であるという信号を受信する。
【0102】
操作343において、計算装置330が以下の条件、(1)上流の原動機が動作していない、(2)T1とT3のセンサの温度指示値の差が5度(華氏)未満である、(3)ユーザ定義の条件が満たされていない、(4)冷却器322への需要がある、のいずれかに該当するかどうかを判定する。
【0103】
操作344で、冷却器322への需要がある場合(操作343で決定されるように)、計算装置330がバルブV1とV2の位置を制御してコイル312と貯蔵槽320の間のループを開放し、かつ熱交換器326とのループを閉鎖する。いくつかの実施形態において、需要期間中は冷却器322が他のセンサで制御、監視される。
【0104】
操作345において、計算装置330は関係者又は監視システムに対して1以上の通知を提供する。
【0105】
図3Cは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法350を示す。説明を簡単にするために、この方法350は図1A及び図3Aのシステム100、300を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法350は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図3Cに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法350の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0106】
操作351において、計算装置330がセンサT1とT4からの温度指示値を受信して、センサT4のLFTがセンサT1での地域熱戻り水234の温度より少なくとも5度(華氏)は高いかどうかを判定する。
【0107】
操作352において、T4温度がT1温度より少なくとも5度(華氏)高ければ、計算装置330はバルブV3を制御して開き、それにより熱交換器306を介した熱伝達を可能とする。これにより流体を地域熱戻り水234の方向へ移動させる。流体は、コイル313と熱交換器306の間の閉ループ構成内の熱交換器306へ向けられる。いくつかの実施形態において、計算装置330は、原動機が作動中であるという信号を1以上の上流システムから受信する。
【0108】
操作353において、計算装置330が以下のいずれかの条件、(1)上流の原動機が動作していない、(2)T1とT4のセンサの温度指示値が5度(華氏)未満である、(3)ユーザ定義の条件が満たされていない、に該当するか否かを判定する。
【0109】
操作354において、計算装置330は関係者又は監視システムに対して1以上の通知を提供する。
【0110】
図3Dは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法360を示す。説明を簡単にするために、方法360は図1A及び図3Aのシステム100、300を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法360は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図3Dに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法360の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0111】
操作361において、計算装置330が温度センサT1、T2、T5、T7からの温度測定値を受信する。いくつかの実施形態において、温度センサT7はデータセンタ316への制御入力である。計算装置330が、センサT5のLFTがセンサT1での地域熱戻り水234の温度より少なくとも5度(華氏)は高いかどうかを判定する。
【0112】
操作362において、T5温度がT1温度より少なくとも5度(華氏)高ければ、計算装置330がバルブV5を制御して開き、それにより熱交換器308と地域との間の移動を可能とする。このことが、コイル314を通過する空気を、センサT7で測定されるデータセンタ316に対する既定の空気温度に冷却する効果も有する。
【0113】
操作363において、データセンタ316に対する既定の空気温度が満たされない場合、計算装置330はバルブV6を制御して開き、それにより冷たい表流水を熱交換器308へ供給する。これによりセンサT7で測定されるデータセンタ316の空気温度を既定値に合わせるためにコイル314を通過する空気流から熱を除去する。
【0114】
図3Bから図3Dに関連して上述した方法は、本開示の原理に従って実施可能な例示的操作を示す。本明細書で示した方法は様々な変更が可能である。例えば、一連のステップとして示されているが、各図の様々なステップは重複して、並行して、異なる順序で、又は複数回にわたり、行ってもよい。別の例では、ステップは省略したり、あるいは他のステップで置き換えることが可能である。また、図3Bから図3Dに関して上述した方法の複数又はすべてを、システム300において一緒に遂行できることも理解されたい。
【0115】
図4Aは本開示の様々な実施形態による、ハイブリッド型の圧縮空気/液体空気電力供給及び冷却システム400の一例を示す。説明を簡単にするために、システム400を、図1Aの電力供給及び冷却システム100と共に使用されるものとして説明する。勿論これは単なる一例である。システム400は、他の任意の適切なシステムと共に使用可能である。また、図4Aに示すシステム400の実施形態は説明のためだけのものである。システム400の他の実施形態も本開示の範囲から逸脱することなく使用可能である。
【0116】
図4Aに示すように、システム400は2つの原動機(すなわちタービン)402、404を含む。タービン402、404のそれぞれは、図1Aの電力供給システム109を表す(又はそれによって表せられる)ことができる。タービン402は圧縮空気エネルギシステムの一部であり、温度が30度(華氏)未満の比較的冷たい排気を生成する。いくつかの実施形態において、タービン402の排気流は約-150度(華氏)の温度である。冷排気流は最初に、余剰排気を放出する高圧廃棄ゲート410を含むダクト406を流れる。ダクト406に関連するセンサには、ダクト406内の冷排気流の温度、圧力、流量をそれぞれ測定する、温度センサ414、圧力センサ416、及び流量センサ418が含まれる。
【0117】
タービン404は液体空気エネルギシステムの一部であり、温度が30度(華氏)超の比較的温かい排気を生成する。いくつかの実施形態において、タービン402の排気流は約150度(華氏)の温度である。温排気流は最初に、余剰排気を放出する高圧廃棄ゲート412を含むダクト408を流れる。ダクト408に関連するセンサには、ダクト408内の温排気流の温度、圧力、流量をそれぞれ測定する、温度センサ420、圧力センサ422、及び流量センサ424が含まれる。
【0118】
ダクト406、408の経路は1本のダクト425に合流して、‘Y”形配置を構成する。ダクト425では、ダクト406からの冷排気流とダクト408からの温排気流が混合して単一排気流を形成する。ダクト406とダクト425の間の界面、及びダクト408とダクト425の間の界面にあるダンパ438は、ダクト406、408のそれぞれからダクト425へ入る空気流を制御するように作用できる。ダクト425内に配置された1以上の翼426とバッフル428が空気流を乱し、さらに冷排気流と温排気流とを混合させる。ダクト425に関連するセンサには、ダクト425内の複合排気流の温度、圧力、流量をそれぞれ測定する、温度センサ430、圧力センサ432、及び流量センサ434が含まれる。測定された特性(すなわち温度、圧力、あるいは流量)のいずれかが所望範囲内にない場合には、ダンパを操作して温排気と冷排気の比率を変えることができる。さらに、廃棄ゲート436を操作して、仕様外の廃棄物排気をダクト425から放出することができる。所望の温度、圧力、及び流量の範囲にある排気空気は排出口440を介して出力され、データセンタ(例えば図1Aの電気負荷120)を冷却するために送達される。
【0119】
いくつかの実施形態においてシステム400には、システム400の1以上の構成要素の動作を制御するために提供される少なくとも1つの計算装置450が含まれる。例えば、計算装置450は、1以上のセンサ414、416、418、420、422、424、430、432、434から測定値を取得し、所望の温度及び/又は空気流量を決定し、1以上のダンパ、廃棄ゲートなどの動作を制御して、所望の変更を実行することができる。いくつかの実施形態において、計算装置450は、個人又は法人などの第三者によって運用されるサービスであってもよい。計算装置450はシステム400のその他の部分がある場所とは異なる場所に収納及び運転されてもよい。つまり、計算装置450は特定の場所又は構成に拘束されない。図4Aには1つの計算装置450しか示されていないが、システム400には、それぞれがシステム400の別々の部分の制御を提供する、複数の計算装置450が実際には含まれ得る。
【0120】
いくつかの実施形態では太陽光流体加熱器(例えば図2Aの加熱器206に類似のもの)をタービン404の1以上の液体-液体熱交換器に接続して、液体空気をタービン404の各段において及び/又は段と段の間で加熱して、原動機効率を改善することができる。
【0121】
図4Bは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法460を示す。説明を簡単にするために、この方法460は図1A及び図2Aのシステム100、400を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法460は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図4Bに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法460の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0122】
操作461において、公共電力メータの1以上のエネルギセンサにより、公共電力網の電力障害が識別される。このことが、タービン402、404の起動の信号として使われる。
【0123】
操作462においてタービンの始動プロセスが初期化される。これには、例えば、タービン回転予備空気タンクの放出、回転モータの解放、又はこれらの組み合わせが含まれる。また、システムは電気出力の同期化及び並列化を行い、重要負荷を発電機に移す。各タービン402、404には、回転フライホイール及び/又は蓄電池(図示せず)が含まれ、これが各タービン402、404の始動サイクル中の重要負荷を維持する。
【0124】
操作463において、計算装置450は温度センサ414、圧力センサ416、及び流量センサ418から受信するデータを使用して、ダクト406内の(あるいはその出口における)冷排気流温度、圧力、質量流量をそれぞれ感知する。
【0125】
操作464において、計算装置450は温度センサ420、圧力センサ422、及び流量センサ424から受信するデータを使用して、ダクト408内の(あるいはその出口における)温排気流温度、圧力、質量流量をそれぞれ感知する。
【0126】
操作465において、計算装置450は温度センサ430、圧力センサ432、及び流量センサ434から受信するデータを使用して、ダクト425内の(あるいはその出口における)混合空気流の温度、圧力、及び質量流量をそれぞれ感知する。
【0127】
操作466において、計算装置450はデータセンタの既定温度に対する、冷空気流と温空気流の適切な混合比を計算する。ここで、既定の温度は70度(華氏)~104度(華氏)である。
【0128】
操作467において、計算装置450は廃棄ゲート410、412を制御して、既定温度に対する質量流量及び温度を修正するために、余剰空気を放出する。最初は、空気流量及び温度が安定化する間、空気は廃棄ゲート436を介して大気放出される。
【0129】
操作468において、計算装置450は、空気流及び温度が規定時間の間、安定化されたことを判定する。それに応答して、計算装置450は廃棄ゲート436を制御して閉鎖し、排出口440を制御して開放する。空気流は次に、冷却要件に適切な温度及び圧力でデータセンタに入る。時間経過とともに、計算装置450はデータセンタへの空気流を監視を継続し、必要に応じて調整することができる。
【0130】
図5は、本開示の様々な実施形態による、タービン排気を使用した発電のための例示的システムを示す。説明を簡単にするために、システム500を図1Aから図4Aまでの1以上のシステムと共に使用されるものとして説明する。勿論これは単なる一例である。システム500は、他の任意の適切なシステムと共に使用され得る。また、図に示すシステム500の実施形態は説明のためだけのものである。システム500の他の実施形態も本開示の範囲から逸脱することなく使用可能である。
【0131】
図5に示すように、システム500にはタービン502が含まれる。タービン502は、図1Aの電力供給システム109を表す(又はそれによって表せられる)ことができる。いくつかの実施形態において、タービン502は、図4Aのタービン402と同様に圧縮空気エネルギシステムの一部である。他の実施形態において、タービン502は、図4Aのタービン404と同様に液体空気エネルギシステムの一部である。運転中に、タービン502は排気流506を生成し、それがダクト504を通って流れる。システムの種類によるが、排気流506は、時速50マイル(MPH)を超える速度であり、また絶対圧力が平方インチ当たり20ポンド(psia)を超える圧力であり得る。勿論これらの値は単なる例であり、他の値はこれよりも高いことも低いこともあり、これらは本開示の範囲内である。
【0132】
ダクト504の内部及び排気流506の経路に、1以上の風車発電機508及び1以上のタービン発電機510を含む複数の発電装置がある。排気流506が発電機508、510のそれぞれのそばを流れる際に、発電機508、510が回転して少量の電力を発生させる。そのような電力は、アクチュエータ、バルブ、センサなどの少量の電力しか必要としない制御装置の運転に使用できる。更なる利点としては、発電機508、510が障害物として作用して、排気流506の速度と圧力を低下させることができる。このことは、(例えば図2A及び図3Aコイル212~214,312~314などの)コイルを貫通する流れや、(図4Aのダクト406、408、425などの)1以上の下流ダクトを通過する流れなどの、圧力及び空気流を所望範囲内に変更するのに有効であり得る。追加又は代替として、ダクト504には排気流506の運動により移動、振動あるいは回転する、1以上のホイール、ベーン、翼などが含まれ得る。そのようなホイール、ベーン、翼などが次に、1以上のシャフト、ギア、ポンプや他の運動可能な装置を作動又は運転することができる。例えば、ダクト504内の回転ベーンは、図2A及び図3Aで説明した1以上の流体を運動させる油圧ポンプを運転することができる。
【0133】
図6Aは本開示の様々な実施形態による、原動機排気調整のために空気誘導を使用する例示的システム600を示す。データセンタ冷却のための適切な空気温度の供給を達成するために、共通流体を使用する空気から流体への熱移動によって原動機空気流を加熱又は冷却することなく、ベンチュリ効果による空気誘導を利用することが可能である。以下で説明するように、利用可能なデータセンタの戻り空気を、計算された比率で周囲外気と混合することで、システム600からデータセンタへの既定LATを生成可能である。
【0134】
説明を簡単にするために、システム600を、図1Aの電力供給及び冷却システム100と共に使用されるものとして説明する。勿論これは単なる一例である。システム600は、他の任意の適切なシステムと共に使用され得る。また、図6Aに示すシステム600の実施形態は説明のためだけのものである。システム600の他の実施形態も本開示の範囲から逸脱することなく使用可能である。
【0135】
図6Aに示すように、システム600は原動機(すなわちタービン)602を含む。タービン602は、図1Aの電力供給システム109を表す(又はそれによって表せられる)ことができる。実施形態によっては、タービン602は圧縮空気システム又は液体空気エネルギシステムの一部であってよい。タービン602が圧縮空気エネルギシステムの一部である場合、タービン602は30度(華氏)未満の温度の比較的冷たい排気を生成する。いくつかの実施形態において、タービン602の排気流は約-150度(華氏)の温度である。タービン602が液体空気エネルギシステムの一部である場合、タービン602は30度(華氏)超の温度の比較的温かい排気を生成する。いくつかの実施形態において、タービン602の排気流は約150度(華氏)の温度である。
【0136】
排気流は最初に、余剰排気を放出する高圧廃棄ゲート606を含む第1ダクト604を貫通する。いくつかの実施形態において、廃棄ゲート606は重力によって開位置に偏っていて、必要な時に動力を与えて閉じることができる。排気流は次に第2ダクト608に入り、そこで排気が以下で述べるように他の空気と混合される。第2ダクト608の入り口近くに配置された1以上のベーン又はバッフル610が空気流を絞って流体圧力の低下と流体速度の増加(すなわち、ベンチュリ効果)を生じさせる。第2ダクト608の入り口近くに配置されたセンサには、第2ダクト608に流入する排気流の、温度、圧力、及び流量をそれぞれ測定する温度センサ612、圧力センサ614、及び流量センサ616が含まれる。
【0137】
追加的な空気が誘導流を介して第2ダクト608に導入される。すなわち、タービン602からの排気流は高圧、高速であるので、追加の空気を第2ダクト608内に引き込む(すなわち誘導する)ことが可能である。この追加の空気源としては、データセンタの戻り空気618及び周囲外気620が含まれる。いくつかの実施形態では、それぞれの空気源618と620は、対応するダクト622と624を流れてから第2ダクト608に流入する。それぞれのダクト622と624内のダンパ626と628は、各ダクト622、624から第2ダクトへの空気流608を制御するように動作させることができる。各ダクト622、624を通る空気流内に配置されるセンサには、ダクト622、624内の空気流の温度、圧力、流量をそれぞれ測定するための、温度センサ630、636、圧力センサ632、638、及び流量センサ634、640が含まれる。
【0138】
第2ダクト608では、第1ダクト604からの排気流、データセンタ戻り空気618、及び周囲外気620が混合して単一空気流を形成する。タービン602が圧縮空気エネルギシステムの一部である場合、冷排気流の温度は、相対的に温かいデータセンタ戻り空気618と周囲外気620との混合により上がる。逆に、タービン602が液体空気エネルギシステムの一部である場合、温排気流の温度は、相対的に冷たいデータセンタ戻り空気618と周囲外気620との混合により下がる。第2ダクト内に配置された1以上のベーン又はバッフル648は、空気流を絞るか乱して、排気流をデータセンタ戻り空気618と周囲外気620にさらに混合させる。
【0139】
第2ダクト608に関連するセンサには、第2ダクト608内の複合空気流の温度、圧力、流量をそれぞれ測定する、温度センサ642、圧力センサ644、及び流量センサ646が含まれる。測定された特性(すなわち温度、圧力、あるいは流量)のいずれかが所望範囲内にない場合には、1以上のダンパ626、628を操作して(例えばセンサ制御のダンパとして)空気流の比率を変えることができる。さらに、廃棄ゲート650を操作して、仕様外の廃棄空気を第2ダクト608から放出することができる。いくつかの実施形態において、廃棄ゲート650は重力によって開位置に偏っていて、必要な時に動力を与えて閉じることができる。所望の温度、圧力、及び流量の範囲にある排気空気は排出口652を介して排出され、データセンタ(例えば図1Aの電気負荷120)を冷却するために送達される。
【0140】
いくつかの実施形態では、システム600には、システム600の1以上の構成要素の動作を制御するように提供された少なくとも1つの計算装置660が含まれる。例えば、計算装置660は、1以上のセンサ612~616、630~646から測定値を取得し、所望の温度及び/又は空気流量を決定し、1以上のダンパ、廃棄ゲートなどの操作を制御して、所望の変更を実行することができる。いくつかの実施形態において、計算装置660は、個人又は法人などの第三者によって運用されるサービスであってもよい。計算装置660はシステム600のその他の部分がある場所とは異なる場所に収納及び運転されてもよい。つまり、計算装置660は特定の場所又は構成に拘束されない。図6Aには1つの計算装置660しか示されていないが、システム600には、それぞれがシステム600の別々の部分への制御を提供する、複数の計算装置660が実際には含まれ得る。
【0141】
システム600は、空気誘導を使用する従来の機械システムに比べて有利な利点を提供する。そのような従来システムは、通常高出力ファンを使用して、別の空気源をその空気流中に誘導するために、必要な高圧で大量の空気流を生成する。これに対し、システム600は高出力ファンを必要としない。エネルギ用途は主として制御システム(例えば計算装置660)と動力駆動ダンパとに限られる。
【0142】
図6Bは本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムの制御動作実行のための例示的方法670を示す。説明を簡単にするために、この方法670は図1A及び図6Aのシステム100、600を用いて実行されるものとして記述する。ただし、方法670は他の任意の適切な装置又はシステムで使用可能である。図6Bに示す実施形態は説明のためだけのものである。方法670の他の実施形態を本開示の範囲から逸脱せずに使用することが可能である。
【0143】
方法670は、廃棄ゲート606、650が開放された状態で開始される。操作671において、計算装置660が複数の温度、圧力、及び流量センサ612~616、630~646から測定値を受信する。
【0144】
操作672において、計算装置660が操作671において取得された測定値に計算を行い、データセンタの既定の空気温度及び空気圧力要件を満たすために、必要とするデータセンタ戻りと周囲空気源からの所要空気流を決定する。
【0145】
操作673において、計算装置660はダンパ626、ダンパ628、及び廃棄ゲート606を制御して、所定の空気流量が達成されるまで開放する。例えば、ダンパ626の位置は、原動機排気が周囲温度より高いか、低いか、同じであるかに基づいて決定可能である。
【0146】
操作674において、計算装置660がセンサ642~646から測定値を受信して、廃棄ゲート650における供給空気値を決定する。
【0147】
操作675において、計算装置660が操作674において決定された供給空気値が既定の範囲内であると判定した場合、計算装置660が廃棄ゲート650を制御して閉じ、かつ排出口652を制御して開いて、調整された空気をデータセンタに送達する。
【0148】
操作676において、計算装置660が操作674において決定された供給空気値が仕様外であると判定した場合、計算装置660は再計算を行って、ダンパ626、ダンパ628、及び廃棄ゲート606の位置を再設定する。
【0149】
方法670は、本開示の原理に従って実施可能な例示的操作を示す。方法670に対して様々な変更が可能である。例えば、一連のステップとして示されているが、様々なステップは重複して、並行して、異なる順序で、又は複数回にわたり、行ってもよい。別の例では、ステップは省略したり、あるいは他のステップで置き換えたりすることが可能である。
【0150】
いくつかの実施形態では、発電所で使用するエネルギは、コストの観点からその購入が有利となる場合に仮想的に購入可能である。最低短期限界原価(SRMC)に対するエネルギのスポット価格は、自動的に、又は1人以上のオペレータ、技術者、又は他のユーザによって手動で監視可能である。そのような購入をすれば、図1Aの電力供給及び冷却システム100のような電力供給及び冷却システムの運用がより経済的となる。
【0151】
1以上の圧力監視入力により、任意の地上又は地下の貯蔵容器の空気圧を充填又は満杯にする必要があるかどうかを明らかにすることができる。低圧状態が存在する場合、圧縮機の始動手順が自動始動に変更される。エネルギコストが、監視機能ごとのコスト目標要求を満たすかそれを超える場合、低圧又は目標とするエネルギ価格ポイント条件が存在すれば、圧縮機は(例えば即座に、又はユーザ定義の遅延時間の後に)自動始動可能である。
【0152】
いくつかの実施形態では、低圧及び値段の目標条件が存在し、そのため所定時間(例えば10分)後に自動始動が起きるという通知が(例えばモバイルアプリを介して)現場のオペレータに送られる。そうして現場のオペレータは制御コンソール又はモバイルアプリから応答することができる。例えば、現場のオペレータは圧縮機及び充填工程を開始する、自動始動を確認することができる。いくつかの実施形態では、現場のオペレータは自動始動を中止することができる。あるいは現場オペレータは始動時間を変更する(例えば30分又は1時間遅らせる)ことができる。
【0153】
システムはオペレータの応答を記録する。オペレータが中止した場合、すべての始動システムはリセットするのに手動介入が必要となり得る。オペレータが自動始動を確認するか又は自動始動時間を変更すれば、システムは充填工程を開始し、容器を既定の圧力まで充填する。いくつかの実施形態では、充填サイクル中の既定圧力は、圧力と温度の組み合わせである。いくつかの実施形態では、1以上の圧力センサ又は温度センサからの指示値がシステム入力として提供可能である。それに応答してシステムは、プログラムされた圧力の温度表に基づいて最終圧力を調整可能である。設計圧力が満たされた場合、あるいはエネルギコストがプログラムされた入力を超えた場合、システムは停止する。いくつかの実施形態では、システムの停止が、運転又は事業目的を満たすための圧縮機運転を継続するオペレータ能力を超えたエネルギ価格によるものであるかどうかを示す通知がオペレータに送られる。
【0154】
図7は、本開示の様々な実施形態による、電力供給及び冷却システムにおける計算装置700の例を示す。計算装置700は、図1A図6Aで前述した計算装置104、190、230、330、450、660の任意のものであり得る。計算装置700は、上記の方法における操作を含む、本明細書に記載の任意の操作を制御するように構成可能である。
【0155】
図7に示すように、計算装置700には、バスシステム705が含まれ、これがプロセッサ710、憶装置715,通信インタフェース(又は回路)720、及び入出力(I/O)ユニット725の間の通信をサポートする。プロセッサ710は、メモリ730にロードされた命令を実行する。プロセッサ710には、任意の適切な数及び種類のプロセッサ又は他のデバイスが任意の適切な構成で含まれ得る。プロセッサ710の種類の例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、及びディスクリート回路が含まれる。
【0156】
メモリ730及び永続的記憶装置735が記憶装置715の例であり、これは情報(データ、プログラムコード、及び/又は一時的又は永続的な他の適切な情報など)を記憶し、その読み出しを容易とし得る任意の構造体を表す。メモリ730は、ランダムアクセスメモリ又は他の任意の適切な揮発性又は不揮発性の記憶装置であり得る。永続的記憶装置735は、読み出し専用メモリ、ハードディスク、フラッシュメモリ、又は光ディスクなどの、データの長期保存をサポートする1以上のコンポーネント又はデバイスを含み得る。例えば、永続的記憶装置735は、データベース、標準データ、結果、データ、クライアントアプリケーションなどの1以上を格納可能である。
【0157】
通信インタフェース720は、他のシステム又はデバイスとの通信をサポートする。例えば通信インタフェース720には、システム200又はシステム100を介した通信を容易にするネットワークインタフェースカード又は無線トランシーバが含まれ得る。通信インタフェース720は、任意の適切な物理的又は無線の通信リンクを介する通信をサポート可能である。I/Oユニット725は、データの入出力を可能とする。例えば、I/Oユニット725は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン、又はその他の適切な入力デバイスを介するユーザ入力のための接続を提供可能である。I/Oユニット725は、ディスプレイ、プリンタ、又はその他の適切な出力装置への出力の送信も可能である。
【0158】
図7は計算装置700の一例を示すが、図7に対して様々な変更を加えることができる。例えば、図7の様々な構成要素を組み合わせること、さらに細分化すること、あるいは省略することが可能であり、そして特定の必要性に応じて追加の構成要素を加えることも可能である。具体的な例として、計算装置700は1つのシステムとして表示されているが、遠隔配置され得る複数の計算システムが含まれてもよい。別の例では、計算装置700は、電話、タブレット、又はラップトップなどのパーソナル電子デバイスであってもよいし、あるいは、計算装置700及び/又は本明細書に開示したシステムの任意の態様に対する制御、管理、情報、及び/又はアクセスのために、パーソナル電子デバイスへ、例えばソフトウェアアプリケーション又は他の通信インタフェースを介して、ユーザインタフェースを提供又は更新してもよい。
【0159】
本明細書の様々な図及び部分には、例示的な温度又は温度範囲が列挙されていることに留意されたい。これらは例示としてのみ提供されているものであり、本開示の実施形態には任意の適切な代替温度又は温度範囲が使用され得る。
【0160】
本発明文書を通じて使用される特定の語句の定義を説明しておくことが有利であろう。用語「結合する」及びその派生語は、2つ以上の要素間において、それらの要素が互いに物理的に接触しているか否かに拘わらず、直接又は間接的な任意の通信を指す。用語「送信する」、「受信する」及び「通信する」は、それらの派生語と共に、直接及び間接の通信を包含する。用語「含む」、「備える」は、それらの派生語と共に、限定なしの包含を意味する。用語「又は」は包括的であって、及び/又はを意味する。語句「関連する」はその派生語と共に、含む、その中に含まれる、相互接続する、内包する、内包される、接続する、結合する、連通可能である、協働する、挟む、並置する、近接する、結ばれる、有する、所有する、関係する、などを意味する。語句「などのような」は、用語間で使用される場合には後者の用語が例示であり、前者の用語を限定するものではないことを意味する。「少なくとも1つの」という語句は、アイテムのリストと共に使用される場合、リストされたアイテムの1つ以上の異なる組み合わせが使用可能であって、かつリスト内の1つのアイテムのみが必要とされ得ることを意味する。例えば、「A、B及びCの内の少なくとも1つ」は、次の組合せ:A、B、C、AとB、AとC、BとC、並びにAとBとC、の任意のものを指す。
【0161】
さらに、本明細書で述べる様々な機能は、1以上のコンピュータプログラムによって実装若しくはサポートすることが可能である。そのそれぞれはコンピュータ可読プログラムコードで形成され、かつコンピュータ-可読媒体に具体化される。用語「アプリケーション」及び「プログラム」は、適切なコンピュータ可読プログラムコードへの実装に適合された、1つ以上のコンピュータプログラム、ソフトウェアコンポーネント、命令セット、手順、関数、オブジェクト、クラス、インスタンス、関連データ、又はそれらの一部を指す。「コンピュータ-可読プログラムコード」という語句は、ソースコード、オブジェクトコード及び実行可能コードを含む任意の種類のコンピュータコードを含む。「コンピュータ-可読媒体」という語句は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク装置、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)又はその他の任意の種類のメモリなどの、コンピュータによってアクセス可能な任意の種類の媒体を含む。「非一時的」コンピュータ可読媒体は、一時的な電気信号又は他の信号を伝送する、有線、無線、光、又は他の通信リンクを除外する。非一時的コンピュータ可読媒体には、データを永続的に格納可能な媒体、及び書き換え可能光ディスク又は消去可能なメモリデバイスなどのデータを格納し後でオーバライト可能な媒体が含まれる。
【0162】
その他の特定の語句の定義は本特許文書を通じて提供される。当業者であれば、ほとんどでないとしても多くの場合には、そのような定義は、そのように定義された語句の以前及び将来の使用に適用されることを理解するであろう。本開示は、例示的な実施形態を用いて説明したが、当業者には様々な変更及び修正が示唆されるであろう。本開示は、そのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲内にあるものとして包含することが意図されている。本出願のいかなる記述も、特定の要素、ステップ又は機能が特許請求の範囲に含まれるべき必須の要素であることを暗示するものとして読まれてはならない。特許対象の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】