(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】弁付きカニューレ組立体
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61F9/007 130E
A61F9/007 130F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574636
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 IB2022056299
(87)【国際公開番号】W WO2023002286
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ワイ.チョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル チッチェラ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェフリー ホン
(72)【発明者】
【氏名】グレイス チョアン リャオ
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ シンハ
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、眼科手術中の器具交換のためのデバイス、システム及び方法を提供する。より具体的には、本開示は、弁付きカニューレ組立体及びその使用方法に関する。弁付きカニューレ組立体は、カニューレであって、カニューレの基端におけるヘッドと、ヘッドからカニューレの先端に延在する中空ロッドとを有するカニューレを含む。弁付きカニューレ組立体は、ヘッドに結合された弁付きハブであって、器具のための開口を提供するように構成された2つ以上の湾曲したフラップを有する隔壁を含む弁付きハブを含む。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁付きカニューレ組立体であって、
カニューレであって、
前記カニューレの基端におけるヘッドと、
前記ヘッドから前記カニューレの先端に延在する中空ロッドと
を含むカニューレと、
前記ヘッドに結合された弁付きハブであって、器具のための開口を提供するように構成された2つ以上の湾曲したフラップを有する隔壁を含む弁付きハブと
を含む弁付きカニューレ組立体。
【請求項2】
前記隔壁は、前記弁付きハブの頂面に対して凹形を有する、請求項1に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項3】
前記隔壁は、約0.13mm(約0.005インチ)以上の距離だけ前記弁付きハブの頂面から凹んでいる、請求項1に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項4】
前記中空ロッドの壁は、前記カニューレの前記先端において、第1の厚さであって、前記中空ロッドの残りの部分の第2の厚さ未満の第1の厚さを有する、請求項1に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項5】
前記弁付きハブは、
第1の色を含むハウジングと、
前記ハウジングに配置され、且つ第2の色を含む弁と
を含む、請求項1に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項6】
前記弁付きハブの頂面は、前記頂面から上向きに延在する隆起したリングを含み、前記隔壁は、前記隆起したリングの上縁から、第1の距離であって、前記弁付きハブの前記頂面からの第2の距離より大きい第1の距離だけ凹んでいる、請求項1に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項7】
前記カニューレの前記ヘッドは、前記弁付きハブの外面の少なくとも一部を囲む、請求項1に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項8】
カニューレであって、
前記カニューレの基端におけるヘッドと、
前記ヘッドから前記カニューレの先端に延在する中空ロッドであって、前記中空ロッドの壁は、前記カニューレの前記先端において、第1の厚さであって、前記中空ロッドの残りの部分の第2の厚さ未満の第1の厚さを有する、中空ロッドと
を含むカニューレ。
【請求項9】
前記カニューレの前記ヘッドは、弁付きハブの外面の少なくとも一部を囲むように構成される、請求項8に記載のカニューレ。
【請求項10】
前記カニューレの前記ヘッドの内面は、前記弁付きハブの前記外面に形成された凸凹のプロファイルに適合するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項9に記載のカニューレ。
【請求項11】
弁付きカニューレ組立体であって、
カニューレであって、
前記カニューレの基端におけるヘッドと、
前記ヘッドから前記カニューレの先端に延在する中空ロッドと
を含むカニューレと、
前記カニューレの前記ヘッドに結合された弁付きハブであって、ハウジングと、前記ハウジングに配置された弁とを含み、前記カニューレの前記ヘッドは、前記弁付きハブの前記ハウジングの外面の少なくとも一部を囲む、弁付きハブと
を含む弁付きカニューレ組立体。
【請求項12】
前記カニューレの前記ヘッドの内面は、前記弁付きハブの前記ハウジングの前記外面に形成された凸凹のプロファイルに適合するように構成された1つ又は複数の突出部を含む、請求項11に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項13】
前記凸凹のプロファイルは、前記弁付きハブの前記ハウジングの前記外面の周りで円周方向に実質的に360°延在する、請求項12に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項14】
前記カニューレの前記ヘッドの前記内面と、前記弁付きハブの前記ハウジングの前記外面との間の締まり嵌めは、それらの間に気密及び水密シールを形成するように構成される、請求項12に記載の弁付きカニューレ組立体。
【請求項15】
前記弁は、器具のための開口を提供するように構成された2つ以上の湾曲したフラップを有する隔壁を含む、請求項11に記載の弁付きカニューレ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、発明者がJames Y.Chon、Joel Cicchella、Robert Jeffrey Heng、Grace Chuang Liao及びAshish Sinhaである、2021年7月20日に出願された「VALVED CANNULA ASSEMBLY」という名称の米国仮特許出願第63/223,672号明細書の優先権の利益を主張し、この仮特許出願は、あたかもその全体が本明細書に十分且つ完全に記載されたかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、眼科手術中の器具交換のためのインターフェイスを提供するデバイス、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、弁付きカニューレ組立体及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
後眼部外科手術は、眼底、例えば加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症及び糖尿病性硝子体出血、黄斑孔、網膜剥離、網膜上膜、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎などの疾患を治療するために実施される。
【0004】
眼底に影響を及ぼす特定の問題は、眼の中心を充填し、眼に形状を提供するのに役立つ、通常透明なゲル状物質である硝子体の硝子体茎切除術又は外科的除去を必要とし得る。例えば、瘢痕組織を取り除くか又は網膜の牽引を軽減するために、眼から血液及びデブリを取り除くために硝子体茎切除術が実施され得る。
図1Aは、例示的な眼科手術、例えば硝子体茎切除術中の眼100の概略断面図である。弁付きカニューレ組立体110を挿入するために、弁付きカニューレ組立体110に取り外し可能に結合されたトロカールブレードの先端は、眼球壁102、例えば扁平部106において微細な切開を作り出す。弁付きカニューレ組立体110は、次いで、トロカールブレードにより作られた眼球壁102の微細な切開を通して完全に挿入される。弁付きカニューレ組立体110が挿入された後、トロカールブレードは、眼球壁102における微細な切開を通して引き出され、弁付きカニューレ組立体110は、眼球壁102を通して配置されたまま残される。弁付きカニューレ組立体110は、器具交換のためのインターフェイスを提供すると同時に、眼100の内側及び外側からの流体及び圧力連通を受動的に制御するためにセルフシールの弁を提供する。
図1Aは、トロカールブレードが引き出された後の、眼球壁102に挿入された弁付きカニューレ組立体110の例を示す。
【0005】
図1Bは、
図1Aの弁付きカニューレ組立体110の分離された上面等角図である。弁付きカニューレ組立体110は、眼100内に延在するように構成された先端を有するカニューレ112を含む。本明細書で説明される際、コンポーネントの先端又は先端部分は、その使用中に患者の体により近い端又は部分を指すことに留意されたい。他方で、コンポーネントの基端又は基端部分は、患者の体からさらに離れて遠ざかっている端又は部分を指す。特定の場合、カニューレ112の先端は、トロカールブレードにより作り出された微細な切開を通した挿入に抵抗する厚さを有し、望ましくないほど高い挿入力がカニューレ112にかけられることが求められるときもある。弁付きハブ114は、カニューレ112の基端に結合され、且つ眼100の外側に眼球壁102の外面に接触した状態で配置される(
図1Aに示される)。特定の場合、弁付きカニューレ組立体110の組立ては、困難であり得る。弁付きカニューレ組立体110の組立て中、弁付きハブ114をカニューレ112と正確に整列させるために弁付きハブ114のクロッキングが必要である。
【0006】
弁隔壁116は、弁付きカニューレ組立体110のチャネル118(
図1Bにおける想像線で示されている)への開口をブロックする。弁隔壁116を介して形成されるスリット120は、眼100への及び眼100からの流体及び圧力連通を調整するためのチャネル118へのアクセスを可能にする。特定の場合、弁隔壁116は、弁付きハブ114の頂面124と同一平面にある平らな頂面122を有する。平らな弁隔壁116は、スリット120を通した器具挿入に抵抗することがあり、望ましくないほど高い挿入力が器具にかけられることを求めるときもある。眼圧が環境圧力を超えると、平らな弁隔壁116は、漏れる可能性もある。さらに、弁隔壁116の平らな頂面122、弁付きハブ114の頂面124と同じレベルにある弁隔壁116の頂面122及び弁隔壁116の半透明の外観は、器具を弁隔壁116の中心に案内することを困難にし、器具挿入を複雑にすることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、眼科手術中の器具交換のためのインターフェイスを提供する改良されたデバイス、システム及び方法に対する必要性があり、上述の欠点の少なくともいくつかに対処する改良された弁付きカニューレ組立体及びその使用方法に対する特定の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、概して、眼科手術中の器具交換のためのインターフェイスを提供するデバイス、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、弁付きカニューレ組立体及びその使用方法に関する。
【0009】
特定の実施形態において、弁付きカニューレ組立体は、カニューレであって、カニューレの基端におけるヘッドと、ヘッドからカニューレの先端に延在する中空ロッドとを有するカニューレを含む。弁付きカニューレ組立体は、ヘッドに結合された弁付きハブであって、器具のための開口を提供するように構成された2つ以上の湾曲したフラップを有する隔壁を含む弁付きハブを含む。
【0010】
特定の実施形態において、カニューレは、カニューレの基端におけるヘッドと、ヘッドからカニューレの先端に延在する中空ロッドとを含む。中空ロッドの壁は、カニューレの先端において、第1の厚さであって、中空ロッドの残りの部分の第2の厚さ未満の第1の厚さを有する。
【0011】
特定の実施形態において、弁付きカニューレ組立体は、カニューレであって、カニューレの基端におけるヘッドと、ヘッドからカニューレの先端に延在する中空ロッドとを有するカニューレを含む。弁付きカニューレ組立体は、カニューレのヘッドに結合された弁付きハブを含む。弁付きハブは、ハウジングと、ハウジングに配置された弁とを含む。カニューレのヘッドは、弁付きハブのハウジングの外面の少なくとも一部を囲む。
【0012】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態の詳細な特定の例示的特徴を説明する。
【0013】
添付図面は、1つ又は複数の開示される実施形態の特定の態様を示し、したがって本開示の範囲を限定するものとみなされない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A-1B】
図1Aは例示的な眼科手術中の眼の先行技術の概略断面図であり、
図1Bは
図1Aの弁付きカニューレ組立体の分離された上面等角図である。
【
図2A】本開示の特定の実施形態による、例示的な弁付きカニューレ組立体のそみ立てられた上面等角図である。
【
図2B】本開示の特定の実施形態による、例示的な弁付きカニューレ組立体の分解された上面等角図である。
【
図2C】
図2Aの組み立てられた弁付きカニューレ組立体の断面図である。
【
図3A】本開示の特定の実施形態による、別の例示的な弁付きカニューレ組立体の組み立てられた面等角図である。
【
図3B】本開示の特定の実施形態による、別の例示的な弁付きカニューレ組立体の分解された上面等角図である。
【
図3C】
図3Aの組み立てられた弁付きカニューレ組立体の断面図である。
【
図4】本開示の特定の実施形態によるさらに別の弁付きカニューレ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
理解を円滑にするために、図面間で共通の同一要素を示すために、可能な場合、同一の参照符号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる列挙なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが想定される。
【0016】
本明細書に開示される実施形態は、眼科手術中の器具交換のための改良されたデバイス、システム及び方法を提供する。
【0017】
例えば、本明細書における特定の実施形態は、先端により大きい壁厚さを有する従来のカニューレとは対照的に、カニューレの先端に薄い壁セクションを有するカニューレを開示する。より大きい壁厚さは、より薄い壁厚さに比べて、弁付きカニューレ組立体を、微細な切開を通して挿入するときのより大きい量の挿入抵抗に対応する。したがって、そのような特定の実施形態において、カニューレは、カニューレにかける必要のある挿入力がより少なく、それにより使用の容易さを増し、また眼球壁の損傷の可能性を低減させる。
【0018】
さらに、本明細書における特定の実施形態は、弁付きハブをカニューレと正確に整列させるために弁付きハブのクロッキングが必要とされる従来の弁付きカニューレ組立体とは対称的に、弁付きハブをカニューレに圧入することにより組み立てられる、開示される弁付きカニューレ組立体を開示する。したがって、そのような特定の実施形態において、弁付きカニューレ組立体は、組み立てることがより容易である。
【0019】
追加的に、本明細書における特定の実施形態は、平らな隔壁を有する従来の弁付きハブとは対照的に、湾曲した隔壁を有する弁付きハブを開示する。したがって、そのような特定の実施形態において、弁付きハブは、隔壁を貫通するために器具にかける必要のある挿入力がより少なく、且つ漏れにより耐える。さらに、本明細書における特定の実施形態は、隔壁が頂面と同一平面である従来の弁付きハブとは対照的に、弁付きハブの頂面から凹んでいる隔壁を有する弁付きハブを開示する。そのような特定の実施形態において、弁付きハブは、半透明の隔壁を有する従来の弁付きハブとは対照的に、隔壁であって、弁付きハブの残りの部分との視覚的コントラストを提供する隔壁を有する。したがって、そのような特定の実施形態において、弁付きハブは、器具を隔壁の中心に物理的及び視覚的に案内することを支援し、器具挿入をより容易にする。
【0020】
図2A~2Bは、例示的な弁付きカニューレ組立体200のそれぞれ組み立てられた及び分解された上面等角図である。
図2Cは、
図2Aの組み立てられた弁付きカニューレ組立体200の断面図である。
図2A~2Cは、したがって、明確にするために本明細書において一緒に説明される。弁付きカニューレ組立体200は、概して、カニューレ210と、カニューレ210に結合された弁付きハブ250とを含む。カニューレ210は、カニューレ210の基端214のヘッド212と、ヘッド212からカニューレ210の先端218に延在する中空ロッド216とを含む。合せて、ヘッド212及び中空ロッド216は、作業チャネルであって、それを通して様々な器具が挿入され得る作業チャネルを形成する。特定の実施形態において、ヘッド212は、例えば、器具を中空ロッド216内に案内するのに役立つように、中空ロッド216のより小さい内径に合致する下方に先細になっている内径を有する。
【0021】
図2A~2Cの例において、1つ又は複数の翼236は、ヘッド212から半径方向に外向きに延在する。弁付きカニューレ組立体200が組み立てられると、ヘッド212は、弁付きハブ250の内部に配置され、1つ又は複数の翼236は、弁付きハブ250における対応する窓264を通して配置されて、弁付きハブ250をヘッド212に結合する。また、組み立てられると、ヘッド212の頂面238は、弁付きハブ250に配置された下向きの環状シール292に接して、カニューレ210と弁付きハブ250との間の気密及び液密シールをもたらす。
【0022】
カニューレ210は、カニューレ210の基端214から先端218まで長手方向軸222に沿って形成されたチャネル220を有する。チャネル220は、カニューレ210を通した器具挿入及び流体フローを可能にする。カニューレ210の壁226は、チャネル220を囲む内面224を有する。壁226の厚さは、壁226の内面224から外面228まで半径方向に測定される。カニューレ210は、先端218に薄い壁セクション230を有する。薄い壁セクション230は、従来のカニューレの先端に比べて薄い。したがって、薄い壁セクション230は、カニューレ210を、眼球壁102を通して挿入するのに必要とされる挿入力を減少させ、これは、眼球壁102に対する損傷の可能性を低下させる。
【0023】
特定の実施形態において、長手方向軸222に沿って測定される薄い壁セクション230の長さは、カニューレ210の全長の最大で約20%、例えば約5%~約15%、例えば約10%であり得る。薄い壁セクション230の壁厚さ232は、カニューレ210の残りの部分(薄い壁セクション230より上にある中空ロッド216の残りの部分を含む)の壁厚さ234未満である。壁厚さ232は、約0.038mm(約0.0015インチ)以下、例えば約0.023mm(約0.0009インチ)~約0.033mm(約0.0013インチ)、例えば約0.028mm(約0.0011インチ)であり得ることが想定される。特定の実施形態において、壁厚さ232は、壁厚さ234の最大で約40%、例えば約10%~約40%、例えば約25%小さくてよい。薄い壁セクション230より上にある壁226の内面224は、薄い壁セクション230に沿った内面224と同一平面にある。薄い壁セクション230に沿った壁226の外面228は、薄い壁セクション230より上にある外面228に対して凹んでいる。いくつかの他の実施形態において、薄い壁セクション230に沿った壁226の内面224は、薄い壁セクション230より上にある内面224に対して凹み得る。いくつかの他の実施形態において、内面及び外面224、228は、両方とも薄い壁セクション230において凹み得る。
【0024】
弁付きハブ250は、一般に、ハウジング252と弁270とを含む。弁付きカニューレ組立体200が組み立てられると、ハウジング252は、カニューレ210のヘッド212を部分的に及び半径方向に囲む。一般に、ハウジング252は、頂部254(頂面256を含む)と円筒形側壁258とを備えた円筒形本体を有する。ハウジング252は、カニューレ210のヘッド212を受けるために底部に開口260と、弁270を受けるために頂部254により小さい開口262とを有する。ハウジング252は、円筒形側壁258に形成された1つ又は複数の窓264を含む。窓264は、上述のとおり、カニューレ210の1つ又は複数の翼236を受けるように構成される。特定の実施形態において、ハウジング252は、射出成形により形成される。特定の実施形態において、ハウジング252は、剛性ポリマー又はプラスチック材料、例えばポリカーボネート又はポリプロピレンを含む。
【0025】
弁270は、ハウジング252に配置される。一般に、弁270は、頂部フランジ272と円筒形側壁274とを備えた円筒形本体を有する。弁270の形状は、ハウジング252の頂部254のプロファイル(開口260の形状を含む)に従う。弁270は、器具のための開口280を提供するように構成された2つ以上の湾曲したフラップ278を備えた隔壁276を有する。隔壁276は、ハウジング252の頂面256に対して凹形を有する。特定の実施形態において、隔壁276の頂面282に沿った最高点と最低点との差として測定される凹形の深さは、約0.076mm(約0.003インチ)~約0.13mm(約0.005インチ)、例えば約0.10mm(約0.004インチ)である。平らな隔壁を有する従来の弁付きハブとは対照的に、湾曲したフラップ278及び隔壁276の凹形は、器具を、開口280を通して挿入するのに必要とされる挿入力を低減させ、それにより器具挿入をより容易にする。さらに、湾曲したフラップ278は、隔壁276を、従来の平らな隔壁と比べてより漏れないようにする。
【0026】
隔壁276の頂面282は、ハウジング252の頂面256から距離284だけ凹んでいる。距離284は、長手方向軸222に沿った隔壁276の半径方向中心でハウジング252の頂面256から隔壁276の頂面282まで測定される。距離284は、約0.13mm(約0.005インチ)以上、例えば約0.13mm(約0.005インチ)~約0.51mm(約0.02インチ)、例えば約0.25mm(約0.01インチ)であり得る。隔壁が頂面と同一平面である従来の弁付きハブとは対照的に、弁付きハブ250の凹んだ隔壁276は、器具を隔壁276の中心の開口280に物理的に案内するのに役立ち、器具挿入をより容易にする。
【0027】
隆起したリング286は、弁270の頂部フランジ272から上向きに延在する。隆起したリング286は、ハウジング252の頂面256を越えて延在する上縁288を有する。隆起したリング286は、隔壁276の頂面282が上縁288から距離290だけ凹むことをもたらし、距離290は、距離284より大きい。距離290は、長手方向軸222に沿った隔壁276の半径方向中心で上縁288から隔壁276の頂面282まで測定される。距離290は、約0.23mm(約0.009インチ)以上、例えば約0.23mm(約0.009インチ)~約0.61mm(約0.024インチ)、例えば約0.36mm(約0.014インチ)であり得る。
【0028】
環状シール292は、ハウジング252の頂部254の下面に配置される。シール292は、本例において、
図2Cに示されるとおり、弁付きカニューレ組立体200が組み立てられると、円筒形側壁258の内面266の内部に適合するカニューレ210のヘッド212と接触するために、円筒形側壁258の内面266の内部に配置される。シール292は、弁付きカニューレ組立体200が組み立てられると、ヘッド212の頂面238に接する。
図2A~2Cの例において、シール292は、弁270と一体になっている。いくつかの他の実施形態において、シール292は、弁270とは別個に形成され、ハウジング252にオーバーモールド又は結合される。
【0029】
特定の実施形態において、弁270は、弾性ポリマー、例えばシリコーンを含む。弁270の材料は、約10mmHg(水銀柱ミリメートル)~約25mmHgの眼圧を維持するのに役立つように構成される。特定の実施形態において、弁270は、ハウジング252にオーバーモールドされる。いくつかの他の実施形態において、弁270は、別個に形成され、続いてハウジング252と一緒に結合される。
【0030】
特定の実施形態において、ハウジング252と弁270との間の視覚的コントラストを提供するために、ハウジング252の色は、弁270の色と異なる。例えば、ハウジング252は、着色されなくてもよく、例えば天然ポリカーボネートの色であり得る一方、弁270は、着色され得る。特定の実施形態において、ハウジング252は、弁270よりも半透明の外観を有し得る。半透明の隔壁を有する従来の弁付きハブと比べて、弁270の色により提供された視覚的コントラストは、隔壁276の中心の開口280への視覚的誘導を提供するのに役立ち、器具挿入をより容易にする。
【0031】
図3A~3Bは、別の例示的な弁付きカニューレ組立体300のそれぞれ組み立てられた及び分解された上面等角図である。
図3Cは、
図3Aの組み立てられた弁付きカニューレ組立体300の断面図である。
図3A~3Cは、したがって、明確にするために本明細書において一緒に説明される。弁付きカニューレ組立体300は、
図2A~2Cの弁付きカニューレ組立体200と同様であり、その説明の態様は、本明細書に組み込まれ得る。弁付きカニューレ組立体300は、概して、カニューレ310と、カニューレ310に結合された弁付きハブ350とを含む。カニューレ310は、カニューレ310の基端314のヘッド312と、ヘッド312からカニューレ310の先端318に延在する中空ロッド316とを含む。
図3Cを参照すると、ヘッド312は、ヘッド212(
図2Cに示される)の対応する内径より大きい内径を有する。特定の実施形態において、ヘッド312の内径は、例えば、器具を中空ロッド316内に案内するのに役立つように、中空ロッド316のより小さい内径に合致するように下方に先細になっている。カニューレ310は、
図2Cに示された薄い壁セクション230と同様に、先端318に薄い壁セクション330を有し、その説明の態様は、本明細書に組み込まれ得る。
【0032】
図3A~3Cの例において、1つ又は複数の突出部336は、ヘッド312の内面340から半径方向に内部に延在する。弁付きカニューレ組立体300が組み立てられると、ヘッド312は、弁付きハブ350の少なくとも一部を囲み、1つ又は複数の突出部336は、弁付きハブ350内の対応するプロファイル364内に配置されて、弁付きハブ350をヘッド312に結合する。同様に、組み立てられると、ヘッド312の頂面338は、弁付きハブ350に配置された下向きの環状シール392に接して、カニューレ310と弁付きハブ350との間の気密及び液密シールをもたらす。
【0033】
弁付きハブ350は、一般に、ハウジング352と弁370とを含む。
図3A~3Cの例において、弁付きカニューレ組立体300が組み立てられると、ハウジング352は、ヘッド312がハウジング352の外面の少なくとも一部を囲むようにヘッド312内部に配置される。一般に、ハウジング352は、頂部354(頂面356を含む)と円筒形側壁358とを備えた円筒形本体を有する。ハウジング352は、チャネル360を有する。ハウジング252が、ヘッド212を収容するための開口260と、弁270を受けるためのより小さい開口262とを有する
図2A~2Cの例とは対照的に、ハウジング352は、頂部354及び円筒形側壁358を通して形成された単一の連続的なチャネル360を有する。チャネル360は、カニューレ310のチャネル320と整列され、且つ弁370を受けるように構成される。
【0034】
ハウジング352は、円筒形側壁358の外面368に形成されたプロファイル364を含む。プロファイル364は、内部に延在する凹部が、上述のとおり、カニューレ310の1つ又は複数の突出部336を受けるための外面368に形成されるように、外面368に対して凹んでいる。プロファイル364は、弁付きハブ350のハウジング352の外面368の周りで円周方向に実質的に360°延在する。
図3A~3Cの例において、弁付きハブをカニューレと正確に整列させるために弁付きハブのクロッキングが必要とされる従来の弁付きカニューレ組立体とは対称的に、弁付きカニューレ組立体300は、弁付きハブ350をカニューレ310に圧入することにより組み立てられる。したがって、弁付きカニューレ組立体300は、従来の弁付きカニューレ組立体と比べて組み立てるのがより単純である。弁付きカニューレ組立体300が組み立てられると、ヘッド312の内面340とハウジング352の外面368との間に締まり嵌めが形成される。この締まり嵌めは、ヘッド312の頂面338と上述のシール392との間の接触により形成されたシールに加えて、カニューレ310と弁付きハブ350との間の気密及び水密をもたらす。
【0035】
弁370は、ハウジング352に配置される。一般に、弁370は、頂部フランジ372と円筒形側壁374とを備えた円筒形本体を有する。弁370は、ハウジング352(チャネル360の形状を含む)の頂部354のプロファイルに従う。
図2Cに示されるとおり、ハウジング252の頂部254内にのみ配置される弁270とは対照的に、弁370の円筒形側壁374は、頂部354及び円筒形側壁358内に配置され、且つ頂面356からハウジング352の反対側底面362に連続的に延在する。弁370の隔壁376及び隆起したリング386(その寸法及び凹部深さを含む)は、
図2Cに示された弁270の隔壁276及び隆起したリング286と同様であり、その説明の態様は、限定なしに本明細書に組み込まれ得る。
【0036】
環状シール392は、ハウジング352の頂部354の下面に配置される。
図2Cに示されたシール292とは対照的に、シール392は、本例において、弁付きカニューレ組立体300が
図3Cに示されるとおり組み立てられると、円筒形側壁358の外面368の周りに適合するカニューレ310のヘッド312に接触するために、円筒形側壁358の外面368の外側に配置される。シール392は、弁付きカニューレ組立体300が組み立てられると、ヘッド312の頂面338に接触する。
図3A~3Cの例において、シール392は、弁370と一体になっている。いくつかの他の実施形態において、シール392は、弁370とは別個に形成され、且つハウジング352にオーバーモールド又は結合される。
【0037】
弁付きハブ350(ハウジング352及び弁370を含む)の材料及び製造は、
図2A~2Cの弁付きハブ250と同様であり、その説明の態様は、限定なしに本明細書に組み込まれ得る。
【0038】
図4は、さらに別の例示的な弁付きカニューレ組立体400の断面図である。弁付きカニューレ組立体400(弁付きハブ450のカニューレ410及びハウジング452を含む)は、
図3A~3Cの弁付きカニューレ組立体300と同様であり、その説明の態様は、限定なしに本明細書に組み込まれ得る。
図3A~3Cの例とは対照的に、弁付きカニューレ組立体400は、弁470の頂部フランジ472から延在する隆起したリングを有しない。代わりに、ハウジング452の頂面456は、弁470の頂部フランジ472と同一平面にある。隔壁476の頂面482は、長手方向軸422に沿って隔壁476の半径方向中心で測定されるハウジング452の頂面456からの距離484だけ凹んでいる。隔壁476の凹部深さだけ延在している隆起したリングがないと、距離484は、
図3Cに示された対応する距離384より大きい。例えば、距離484は、約0.25mm(約0.01インチ)以上、例えば約0.25mm(約0.01インチ)~約0.51mm(約0.02インチ)、例えば約0.38mm(約0.015インチ)であり得る。
【0039】
結果的に、眼科手術中の器具交換のための改良されたデバイス、システム及び方法が提供される。
【0040】
前述の説明は、当業者が、本明細書で説明された様々な実施形態を実施することを可能にするように提供された。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者に容易に明らかとなり、本明細書で定義された一般原理は、他の実施形態にも適用可能であり得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の言語と合致する全範囲に一致する。
【国際調査報告】