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特表2024-525296有害品の構成要素にアクセスし、及びそれを分解するための流体ジェットシステム及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】有害品の構成要素にアクセスし、及びそれを分解するための流体ジェットシステム及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 5/04 20060101AFI20240705BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20240705BHJP
   B24C 7/00 20060101ALI20240705BHJP
   B24C 11/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B24C5/04 A
B24C9/00 Z
B24C7/00 D
B24C11/00 G
B24C5/04 B
B24C9/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574799
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022035297
(87)【国際公開番号】W WO2023278430
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,307
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523393405
【氏名又は名称】シェイプ テクノロジーズ グループ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハシシ,モハメド,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウズ,ディラン
(57)【要約】
本明細書では、有害品の構成要素にアクセスし、及びそれを分解するための構成要素、システム及び方法が開示される。流体ジェットシステムの切断ヘッドは、流体ジェットによって切断されるワークピースに向かって出口から出る流体ジェットを生成する。流体ジェットシステムのシュラウドは、出口を径方向に取り囲み、及び不活性物質であって、それを通して流体ジェットが出口とワークピースとの間を移動する不活性物質を収容する。流体ジェットシステムは、流体ジェットとワークピースとの衝突の音響パラメータを捕捉するためのセンサを含み、及び音響パラメータの変化の検出時に流体ジェットの生成を中止する。流体ジェットシステムは、ワークピースの様々な領域の厚さを測定するためのセンサと、測定された厚さに基づいて、ワークピースを切断するための経路を選択するためのプロセッサとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ジェットシステムの切断ヘッドであって、
流体ジェットを生成するために流体が通過するオリフィスを含むノズルであって、前記流体ジェットによって切断されるワークピースに向かって前記流体ジェットが前記切断ヘッドから出る出口を更に含むノズルと、
シュラウドであって、前記シュラウドが前記出口を径方向に取り囲むように前記出口が位置決めされる領域を前記ワークピースとの組み合わせで少なくとも部分的に囲むシュラウドと
を含み、前記領域は、不活性物質であって、それを通して前記流体ジェットが前記出口と前記ワークピースとの間を移動する不活性物質を収容する、切断ヘッド。
【請求項2】
前記シュラウドは、前記切断ヘッドが前記ワークピースに対して移動するとき、前記シュラウドも前記ワークピースに対して移動するように前記ノズルによって支持される、請求項1に記載の切断ヘッド。
【請求項3】
前記シュラウドは、前記領域への入口であって、それを通して前記不活性物質が移動する入口を含む、請求項1に記載の切断ヘッド。
【請求項4】
前記シュラウドは、前記不活性物質が入る前に前記領域内の非不活性物質が排出される出口を含む、請求項3に記載の切断ヘッド。
【請求項5】
前記シュラウドは、前記不活性物質が入る前に前記領域内の非不活性物質が排出される出口を含む、請求項1に記載の切断ヘッド。
【請求項6】
前記シュラウドは、隙間によって前記ワークピースから隔てられる、請求項1に記載の切断ヘッド。
【請求項7】
前記シュラウドは、前記ワークピースに接触して液密バリアを形成する、請求項1に記載の切断ヘッド。
【請求項8】
前記流体ジェットは、流体と研磨材粒子との混合物であり、前記研磨材粒子は、前記流体ジェットの15体積%未満を構成する、請求項1に記載の切断ヘッド。
【請求項9】
前記研磨材は、ポンプによる前記流体の加圧前に前記流体と予め混合され、及び前記ポンプは、前記流体が前記オリフィスを通過する前に前記流体及び研磨材混合物を加圧する、請求項8に記載の切断ヘッド。
【請求項10】
前記研磨材が入って、前記流体ジェットと混合して研磨材流体ジェットを形成する研磨材入口ポートを有する混合チャンバを更に含む、請求項8に記載の切断ヘッド。
【請求項11】
流体ジェットシステムを動作させる方法であって、
シュラウドをワークピースに対して、前記シュラウドが前記ワークピースとの組み合わせで領域を少なくとも部分的に囲むように位置決めすることと、
前記領域を不活性物質で少なくとも部分的に満たすことと、
流体ジェットを生成することと、
前記流体ジェットシステムの出口を通して前記流体ジェットを放出することであって、前記出口は、前記領域内に位置決めされ、及び前記シュラウドによって径方向に取り囲まれる、放出することと、
前記放出された流体ジェットを、前記不活性物質を通して導くことと、
前記ワークピースを前記流体ジェットと衝突させることと
を含む方法。
【請求項12】
前記ワークピースの少なくとも一部及び前記シュラウドの少なくとも一部を流体の体積中に浸すことを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シュラウドを前記ワークピースに対して位置決めすることは、前記シュラウドの底部と前記ワークピースの上部との間に隙間を形成することを含み、前記シュラウドの少なくとも一部を前記流体の体積中に浸すことは、前記隙間を前記流体で満たし、それにより前記領域内の不活性ガスのポケットを捕捉することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
研磨材粒子を流体と混合してスラリーを形成することと、
前記スラリーを加圧することと
を更に含み、前記流体ジェットを生成することは、オリフィスを通して前記加圧スラリーを通過させて、研磨材スラリージェットを生成することを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
流体を加圧することと、
研磨材粒子を前記加圧流体と混合してスラリーを形成することと
を更に含み、前記流体ジェットを生成することは、オリフィスを通して前記スラリーを通過させて、研磨材スラリージェットを生成することを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
流体ジェットシステムを動作させる方法であって、
前記流体ジェットシステムで流体ジェットを生成することと、
前記流体ジェットシステムの切断ヘッドからワークピースに向かって前記流体ジェットを放出することと、
前記流体ジェットで前記ワークピースに穴を開けることと、
前記穴を開けている間、前記流体ジェットが前記ワークピースに前記穴を開けることによって生じる少なくとも1つの音響パラメータを監視することと、
前記少なくとも1つの音響パラメータの変化の検出時に前記流体ジェットの生成を中止することと
を含む方法。
【請求項17】
前記穴は、前記ワークピースの第1の材料に開けられ、及び前記少なくとも1つの音響パラメータの前記変化は、前記流体ジェットがもはや前記第1の材料に接触しなくなるときに生じる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの音響パラメータの前記変化は、前記少なくとも1つの音響パラメータが対象範囲に入ることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの音響パラメータの前記変化は、前記少なくとも1つの音響パラメータが対象範囲から出ることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの音響パラメータは、前記流体ジェットと前記ワークピースとの衝突によって発生する音の周波数、振幅又は両方を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記流体ジェットを生成する前に、前記ワークピースの有害な構成要素を特定することと、
前記流体ジェットを放出する前に、前記有害な構成要素を、前記流体ジェットが放出される前記切断ヘッドの出口と位置合わせすることと
を更に含み、前記流体ジェットで前記ワークピースに前記穴を開けることは、前記有害な構成要素を囲むハウジングを貫通して穴を開けることを含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記流体ジェットの生成を中止する前に、前記ハウジングを穿孔し、それにより前記有害な構成要素を露出させることを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記流体ジェットを生成する前に、前記ワークピースの有害な構成要素を特定することと、
前記流体ジェットを放出している間、前記有害な構成要素を、前記流体ジェットが放出される前記切断ヘッドの出口に位置合わせされていない状態に保つことと
を更に含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記有害な構成要素を特定することは、前記ワークピースに関する技術情報を調べることを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
流体ジェットシステムを動作させる方法であって、
ワークピースを走査して、前記ワークピースの複数の領域の厚さを決定することと、
前記ワークピースの残りの部分から分離される対象領域を特定することと、
前記ワークピースを切断する経路を計画することであって、前記経路は、前記対象領域の周囲のより短い経路よりも、前記ワークピースのより厚い領域を回避することを優先する、計画することと、
前記流体ジェットシステムの切断ヘッド内で流体ジェットを生成することと、
前記切断ヘッドが前記経路を辿る間、前記切断ヘッドから前記流体ジェットを放出して、前記ワークピースの前記残りの部分から前記対象領域を分離することと
を含む方法。
【請求項26】
前記経路は、前記ワークピースの第1の材料及び前記ワークピースの第2の材料の両方と交差し、前記方法は、
前記第1の材料を貫通して切断するのに十分なパワー及び前記第2の材料を貫通して切断するのに不十分なパワーを有する前記流体ジェットを生成すること
を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ワークピースを走査することは、前記ワークピースの超音波画像を生成することを含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
流体ジェットシステムを動作させる方法であって、
ワークピースを流体の体積中に少なくとも部分的に浸すことと、
前記流体の体積の温度を第1の温度まで低下させることと、
前記温度を前記第1の温度まで低下させた後、流体ジェットを生成することと、
前記流体ジェットシステムの出口を通して前記流体ジェットを放出することと、
前記ワークピースを、前記放出された流体ジェットと衝突させることと、
前記ワークピースを、前記放出された流体ジェットと衝突させている間、前記流体の体積を前記第1の温度に維持することと
を含む方法。
【請求項29】
前記流体ジェットを生成するために使用される前記流体の温度を低下させることを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
スラリージェットシステムを動作させる方法であって、
研磨材と流体とを混合して研磨材スラリーを形成することと、
切断ヘッドのオリフィスを通して前記研磨材スラリーを通過させて、研磨材スラリージェットを生成することと、
有害な構成要素を囲むワークピースの内部空間内に前記切断ヘッドの出口を位置決めすることと、
前記出口を通して前記研磨材スラリージェットを放出し、及び前記研磨材スラリージェットを、前記内部空間内に囲まれた前記ワークピースの一部と衝突させることと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
技術分野
本開示は、流体ジェットシステム及び関連する方法に関し、より詳細には、有害品の構成要素へのアクセス及びその分解を容易にする流体ジェットシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連する技術分野の説明
ウォータージェット又は研磨材ウォータージェット切断システムは、石、ガラス、セラミック及び金属を含む多様な材料の切断に使用される。典型的なウォータージェット切断システムでは、ワークピース上に切断ジェットを導くノズルを有する切断ヘッドを通して高圧水が流れる。システムは、高圧ウォータージェット中に研磨媒体を引き込むか又は供給して、高圧研磨材ウォータージェットを形成し得る。次に、必要に応じてワークピースを切断するために、切断ヘッド及びワークピースの一方又は両方を切断ヘッド及びワークピースの他方に対して制御可能に移動させ得る。例えば、Flow International Corporationによって製造されたMach 4の5軸ウォータージェット切断システムなど、高圧ウォータージェットを生成するためのシステムが現在利用可能である。ウォータージェット切断システムの他の例は、Flow社の米国特許第5,643,058号に示され、記載されている。
【0003】
研磨材ウォータージェット切断システムは、有利には、厳しい基準を満たすために特に硬質の材料で作られたワークピースを切断する際に使用される。しかしながら、研磨材の使用は、複雑さを伴い、研磨材ウォータージェット切断システムには、使用済みの研磨材を収容及び管理する必要性を含む他の欠点があり得る。既知の研磨材ウォータージェット切断システムは、特に、熱及び/又は酸素暴露の影響を受けやすい構成要素を含み得る、電池などの一部の種類の有害品の切断又は機械加工にあまり適さない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、有害品の構成要素へのアクセス、その分解及び再利用を可能にするシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単な概要
電池(特にリチウムイオン電池)などの一部の有害品は、故障するか、又は使用後に廃棄される。これらの物品は、構成要素の再利用又は安全な廃棄を可能にするために、物品の残りの部分にアクセスし、それから分離することが望ましい構成要素を含み得る。本開示は、物品を開いて、後に再利用され得る特定の構成要素、特に有価金属にアクセスし、及びそれを分離するための流体ジェットシステム及びその使用方法を提供する。
【0006】
一実施形態によれば、流体ジェットシステムの切断ヘッドは、ノズル及びシュラウドを含む。ノズルは、流体ジェットを生成するために流体が通過するオリフィスを含み、ノズルは、流体ジェットによって切断されるワークピースに向かって流体ジェットが切断ヘッドから出る出口を更に含む。シュラウドは、シュラウドが出口を径方向に取り囲むように出口が位置決めされる領域をワークピースとの組み合わせで少なくとも部分的に囲み、領域は、不活性物質であって、それを通して流体ジェットが出口とワークピースとの間を移動する不活性物質を収容する。
【0007】
本明細書で説明する追加の実施形態は、流体ジェットシステムを動作させる方法を提供する。方法は、シュラウドをワークピースに対して、シュラウドがワークピースとの組み合わせで領域を少なくとも部分的に囲むように位置決めすることと、領域を不活性物質で少なくとも部分的に満たすことと、流体ジェットを生成することと、流体ジェットシステムの出口を通して流体ジェットを放出することであって、出口は、領域内に位置決めされ、及びシュラウドによって径方向に取り囲まれる、放出することと、放出された流体ジェットを、不活性物質を通して導くことと、ワークピースを流体ジェットと衝突させることとを含む。
【0008】
本明細書で説明する追加の実施形態は、流体ジェットシステムを動作させる方法であって、流体ジェットシステムで流体ジェットを生成することと、流体ジェットシステムの切断ヘッドからワークピースに向かって流体ジェットを放出することと、流体ジェットでワークピースに穴を開けることと、穴を開けている間、流体ジェットがワークピースに穴を開けることによって生じる少なくとも1つの音響パラメータを監視することと、少なくとも1つの音響パラメータの変化の検出時に流体ジェットの生成を中止することとを含む方法を提供する。
【0009】
本明細書で説明する追加の実施形態は、流体ジェットシステムを動作させる方法であって、ワークピースを走査して、ワークピースの複数の領域の厚さを決定することと、ワークピースの残りの部分から分離される対象領域を特定することと、ワークピースを切断する経路を計画することであって、経路は、対象領域の周囲のより短い経路よりも、ワークピースのより厚い領域を回避することを優先する、計画することと、流体ジェットシステムの切断ヘッド内で流体ジェットを生成することと、切断ヘッドが経路を辿る間、切断ヘッドから流体ジェットを放出して、ワークピースの残りの部分から対象領域を分離することとを含む方法を提供する。
【0010】
本明細書で説明する追加の実施形態は、流体ジェットシステムを動作させる方法であって、ワークピースを流体の体積中に少なくとも部分的に浸すことと、流体の体積の温度を第1の温度まで低下させることと、温度を第1の温度まで低下させた後、流体ジェットを生成することと、流体ジェットシステムの出口を通して流体ジェットを放出することと、ワークピースを、放出された流体ジェットと衝突させることと、ワークピースを、放出された流体ジェットと衝突させている間、流体の体積を第1の温度に維持することとを含む方法を提供する。
【0011】
図面のいくつかの図の簡単な説明
図面において、同一の参照番号は、同様の要素又は動作を特定する。図面における要素の大きさ及び相対位置は、必ずしも原寸に比例していない。例えば、様々な要素の形状及び角度は、必ずしも原寸に比例しておらず、これらの要素の一部は、図面の読みやすさを向上させるために任意に拡大され、位置決めされている。更に、描かれているような要素の特定の形状は、必ずしも特定の要素の実際の形状に関する任意の情報を伝えるように意図されておらず、図面における認識の容易さのためにのみ選択されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による流体ジェットシステムの斜視図である。
図2】別の実施形態による、図1に図示する流体ジェットシステムの切断ヘッド組立体の側断面図である。
図3】一実施形態による、図2に図示する使用中の切断ヘッド組立体の一部の側断面図である。
図4】一実施形態による流体ジェットシステムの概略図である。
図5】一実施形態による、ある時点での使用中の流体ジェットシステムの切断ヘッド組立体及びセンサの側断面図である。
図6】一実施形態による、別の時点での使用中の、図5に図示する切断ヘッド組立体及びセンサの側断面図である。
図7図5に図示するセンサによってある期間中に捕捉された少なくとも1つの音響パラメータのグラフである。
図8図5に図示するセンサによってある期間中に捕捉された少なくとも1つの音響パラメータの別のグラフである。
図9】一実施形態による、ワークピースを走査して様々な物理的特性の領域を特定するセンサの概略図である。
図10】別の実施形態による、図1に図示する流体ジェットシステムの切断ヘッド組立体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
以下の説明では、開示される様々な実施形態の詳細な理解を与えるために、特定の具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細の1つ若しくは複数なしに又は他の方法、構成要素、材料などを用いて、実施形態が実施され得ることを認識するであろう。他の場合、高圧ウォータージェットシステムに関連する周知の構造は、実施形態の説明を不必要に分かりにくくすることを避けるために、詳細に示されていないか又は説明されていない。
【0014】
文脈上別段の求めがない限り、以下の本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたり、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる」などの変化形は、限定のない包括的な意味において、すなわち「含むが、限定されない」として解釈されるべきである。
【0015】
本明細書全体にわたる「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所での「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得る。例えば、別個の実施形態との関連で本明細書において説明する本開示の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせでも提供され得る。逆に、単一の実施形態との関連で説明する本開示の様々な特徴は、個別に又は任意の部分組み合わせでも提供され得る。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈上別段の明確な定めがない限り、複数の指示物を含む。文脈上別段の明確な定めがない限り、用語「又は」は、概して、最も広義の意味において、すなわち「及び/又は」を意味するものとして用いられることにも留意されたい。本明細書における互い「に面する」又は「の方に面する」2つの要素への言及は、介在する固体構造に接触することなく、一方の要素から他方の要素に直線を引くことができることを示す。
【0017】
値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲の記述された端を含む範囲に含まれる各々の別個の値に個別に言及する簡単な方法としての役割を果たすことを単に意図し、各々の別個の値は、あたかも本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0018】
ここで、別段の指定がない限り、類似の参照番号が類似の要素を指す図面を参照して、本開示の態様を詳細に説明する。以下の説明では、特定の用語は、単に便宜上使用されるに過ぎず、限定的なものではない。本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2つ以上を意味する。構造の「一部」及び「少なくとも一部」という用語は、構造全体を含む。構造を「貫通して切断する」という用語は、切断装置の衝突方向、例えばウォータージェットがワークピースの表面に当たる直前のウォータージェットの進行方向に沿って構造の厚さ全体にわたって材料を完全に除去することを指す。
【0019】
本明細書で提供する見出し及び本開示の要約は、便宜上のものであり、実施形態の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0020】
図1を参照すると、流体ジェットシステム10(例えば、ウォータージェット切断システムなど、流体ジェットを生成してワークピースを加工(切断、穴開け、仕上げなど)するシステム)は、システム10によって加工されるワークピース14を支持するように構成されたワーク支持面13(例えば、スラットの配列)を有するキャッチャタンク組立体11を含み得る。流体ジェットシステム10は、基部レール16の対に沿って移動可能であり、及びキャッチャタンク組立体11を跨ぐブリッジ組立体15を更に含み得る。動作中、ブリッジ組立体15は、ワークピース14を加工するシステム10の切断ヘッド組立体12を位置決めするために、並進軸Xに関して基部レール16に沿って前後に移動し得る。
【0021】
工具キャリッジ17は、前述の並進軸Xに対して垂直に位置合わせされる別の並進軸Yに沿って前後に並進するように、ブリッジ組立体15に移動可能に結合され得る。工具キャリッジ17は、切断ヘッド組立体12をワークピース14に向かって及びワークピース14から離れる方向に(及び並進軸Xと並進軸Yとの両方に対して垂直に)移動させるために、切断ヘッド組立体12を更に別の並進軸Zに沿って上昇及び下降させるように構成され得る。1つ又は複数の操作可能なリンク又は部材も、追加の機能を提供するために切断ヘッド組立体12と工具キャリッジ17との中間に設けられ得る。
【0022】
例として、流体ジェットシステム10は、回転軸を中心に切断ヘッド組立体12を回転させるように工具キャリッジ17に回転可能に結合された前腕部18と、前述の回転軸に非平行である別の回転軸を中心に切断ヘッド組立体12を回転させるように前腕部18に回転可能に結合された手首部19とを含み得る。組み合わせると、前腕部18の回転軸と手首部19の回転軸とは、例えば、複雑なプロファイルの切断を容易にするために、切断ヘッド組立体12がワークピース14に対して広範囲の向きで操作されることを可能にし得る。一実施形態によれば、システム10は、切断ヘッド組立体12を支持すると共に、必要に応じて切断ヘッド組立体12をワークピース14に対して位置決めするように移動可能であるロボットアーム(図示せず)を含み得る。
【0023】
回転軸は、いくつかの実施形態では、切断ヘッド組立体12のノズル構成要素の端部又は先端からずらされ得る焦点で集束し得る。切断ヘッド組立体12のノズル構成要素の端部又は先端は、加工されるワークピース14又は加工面から所望のスタンドオフ距離に位置決めされ得る。スタンドオフ距離は、ウォータージェットの切断性能を最適化するために、所望の距離に選択又は維持され得る。例えば、いくつかの実施形態では、スタンドオフ距離は、約0.20インチ(5.1mm)以下又はいくつかの実施形態では約0.10インチ(2.5mm)以下に維持され得る。他の実施形態では、スタンドオフ距離は、トリミング動作の過程にわたって又は例えばワークピースを穿孔するときなどの切断手順中に変化し得る。
【0024】
他の場合、ウォータージェット切断ヘッドのノズル構成要素は、とりわけ、最小スタンドオフ距離でのワークピースに対するノズル構成要素の傾斜(例えば、約0.5インチ(12.7mm)以下のスタンドオフ距離で30度の傾斜)を可能にするために、特に細い又は細長いものであり得る。
【0025】
動作中、並進軸及び1つ又は複数の回転軸のそれぞれに対する切断ヘッド組立体12の移動は、様々な従来の駆動構成要素及び適切な制御システム20によって達成され得る。制御システム20は、概して、非限定的に、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ又は複数のコンピューティング装置を含み得る。情報を記憶するために、制御システムは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの1つ又は複数の記憶装置も含み得る。1つ又は複数のバスにより、記憶装置をコンピューティング装置に結合することができる。
【0026】
制御システムは、1つ又は複数の入力装置(例えば、ディスプレイ、キーボード、タッチパッド、コントローラモジュール又はユーザ入力のための任意の他の周辺装置)と、出力装置(例えば、表示画面、光インジケータなど)とを更に含み得る。制御システム20は、様々な切断ヘッド移動命令に従って任意の数の異なるワークピースを加工するための1つ又は複数のプログラムを記憶し得る。制御システム20は、例えば、本明細書で説明する純ウォータージェット切断ヘッド組立体及び構成要素に結合された2次流体源、真空装置及び/又は加圧ガス源などの他の構成要素の動作も制御し得る。
【0027】
制御システム20は、一実施形態によれば、汎用コンピュータシステムの形態で提供され得る。コンピュータシステムは、CPU、様々なI/Oコンポーネント、ストレージ及びメモリなどの構成要素を含み得る。I/Oコンポーネントは、ディスプレイ、ネットワーク接続、コンピュータ可読媒体ドライブ及び他のI/O装置(キーボード、マウス、スピーカなど)を含み得る。制御システムマネージャプログラムは、CPUの制御下など、メモリ内で実行することができ、特に本明細書で説明するウォータージェット切断システムを通して高圧水の経路を指定すること、放出された流体ジェットのコヒーレンスを調整若しくは修正するために2次流体の流れを提供すること、及び/又は繊維強化ポリマー複合ワークピースの妨げられない純ウォータージェット切断を行うために加圧ガス流を提供することに関する機能を含み得る。
【0028】
例えば、CNC機能を含み、本明細書で説明するウォータージェット切断システムに適用可能である、ウォータージェット切断システムのための更なる例示的な制御方法及びシステムは、Flow社の米国特許第6,766,216号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。通常、コンピュータ支援設計(すなわちCADモデル)を使用して生成されたワークピースの2次元又は3次元モデルを使用して機械を駆動するためのコードを生成することを可能にすることなどにより、指定された経路に沿ってウォータージェット切断ヘッドを効率的に駆動又は制御するために、コンピュータ支援製造(CAM)工程が使用され得る。例えば、いくつかの場合、様々な並進軸及び/又は回転軸を中心に切断ヘッドを操作して、CADモデルに反映されるようにワークピースを切断又は加工するため、ウォータージェット切断システムの適切な制御及びモータを駆動するための命令を生成するためにCADモデルが使用され得る。
【0029】
しかしながら、ウォータージェット切断システムに関連する制御システム、従来の駆動構成要素及び他の周知のシステムの詳細は、実施形態の説明を不必要に分かりにくくすることを避けるために、詳細に示されていないか又は説明されていない。ウォータージェット切断システムに関連する他の既知のシステムは、例えば、切断ヘッド組立体12に高圧流体を供給するための高圧流体源(例えば、約60,000psi~110,000psi以上の範囲の圧力定格を有する直接駆動ポンプ及び増圧ポンプ)を含む。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、流体ジェットシステム10は、少なくとも10,000psi(例えば、約10,000psi~約110,000psi)の動作圧力で加圧流体(例えば、水)を選択的に提供するための、例えば直接駆動ポンプ又は増圧ポンプ(図示せず)などのポンプを含み得る。流体ジェットシステム10の切断ヘッド組立体12は、ポンプによって供給された加圧流体を受け入れ、加圧流体ジェット(例えば、ウォータージェット)を生成して、ワークピースを加工するように構成され得る。ポンプから切断ヘッド組立体12に加圧流体を送ることを補助するために、ポンプ及び切断ヘッド組立体12と流体連通する流体分配システム(図示せず)が設けられ得る。
【0031】
図2を参照すると、切断ヘッド組立体12は、ノズル22を含み得る。ノズル22は、超高圧流体(例えば、約80,000psi(551MPa)以上)、高圧流体(例えば、約50,000psi(345MPa)~約80,000psi(551MPa))、中圧流体(例えば、約30,000psi(206MPa)~約50,000psi(345MPa))、低圧流体(例えば、約10,000psi(69MPa)~約30,000psi(206MPa))又はこれらの組み合わせを用いて動作可能であり得る。
【0032】
供給源(例えば、ポンプ)からの加圧流体24は、ノズル22内に進む。システム10は、流体ジェット28を生成するジェット生成組立体26を含み得る。ジェット生成組立体26は、オリフィス取付部30及び宝石オリフィス32を含み得る。いくつかの実施形態では、ノズル22は、シール組立体34を含み得る。シール組立体34は、宝石オリフィス32内に及び宝石オリフィス32を通して加圧流体24を導くように、下流方向に内向きに先細りとなる通路36を有し得る。
【0033】
図示のように、ジェット生成組立体26は、ノズル22の供給導管37を通して流れる加圧流体24から流体ジェット28を生じさせ得る。宝石オリフィス32は、ノズル22の研磨材ポート40を通して流れる研磨材38が混合領域42(例えば、混合チャンバ)において同伴される流体ジェット28を生じさせ得る。一実施形態によれば、切断ヘッド組立体12は、純ウォータージェット(すなわち研磨材のないもの)を生じさせ得るため、システム10に研磨材ポート40がない場合がある。
【0034】
流体ジェット28の所望の流量特性を達成するために、様々な種類の宝石オリフィス又は他の流体ジェット生成装置を使用することができる。オリフィス取付部30は、切断ヘッド本体44に対して固定され、宝石オリフィス32を受け入れて保持するような寸法にされた凹部(例えば、円盤状の凹部)を含み得る。
【0035】
オリフィス取付部30の構成及び大きさは、宝石オリフィス32の所望の位置に基づいて選択され得る。一実施形態によれば、オリフィス取付部30は、円盤状であり、切断ヘッド本体44によって取り外し可能に保持され、オリフィス取付部30がそのライフサイクルの終わりに近づいたときのオリフィス取付部30の取り外し及び交換を可能にし得る。
【0036】
ノズル22は、第2の物質を導入するための通路を提供するか、或いは加圧源(例えば、真空源、ポンプなど)又は1つ若しくは複数のセンサ(例えば、圧力センサ)にノズル22が接続されることを可能にする補助ポート46を含み得る。米国特許出願公開第2003/0037650号並びに米国特許第6,875,084号及び米国特許第5,643,058号は、ポート40、46と共に使用できる方法及び装置を開示している。米国特許出願公開第2003/0037650号並びに米国特許第6,875,084号及び米国特許第5,643,058号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
切断ヘッド本体44は、機械加工工程(例えば、射出成形工程)を通して形成された一体構造を有し得る。切断ヘッド本体44は、その全体又は一部において、一実施形態によれば、1種又は複数の金属(例えば、鋼、アルミニウム、チタンなど)又は金属合金で作製され得る。一体構造を有する切断ヘッド本体44により、切断ヘッド本体44が誤動作しにくくなり得る。
【0038】
図示のように、切断ヘッド本体44の内面48は、混合領域42と、研磨材ポート40の研磨材入口50と、補助ポート46の補助入口52とを画定し得る。研磨材入口50を通過した研磨材38は、流体ジェット28が混合領域42を通過するときに流体ジェット28に同伴され得る。同伴は、非限定的に、2つ以上の異なる物質を混合すること、組み合わせること又は他の方法で一緒にすることを含み得る。例えば、研磨材は、流体ジェットが研磨材を混合管54内に及び混合管54を通して搬送し、それにより研磨材流体ジェット55を形成するように、流体ジェットを形成する流体と部分的に又は完全に混合され得る。一実施形態によれば、研磨材38は、研磨材流体ジェット55の15体積%未満を構成し得る。
【0039】
切断ヘッド本体44は、混合管54を受け入れるような大きさにされた凹部を含み得る。一実施形態によれば、ポンプからの加圧流体24は、ジェット生成組立体26に送出され得る。宝石オリフィス32は、混合領域42を通過する流体ジェット28を生じさせる。研磨材流体ジェット55を形成するために、研磨材ポート40を通して及び研磨材入口50を経て混合領域42内に送出された研磨材38は、混ぜ合わされ、混合管54の流路53を通して送出され得る。研磨材38及び流体ジェット28は、混合管54内で更に混合され、ノズル22の出口56(例えば、混合管54の遠位端)から出て、ワークピース14を加工するためにワークピース14に導かれる研磨材流体ジェット55を生じさせ得る。
【0040】
混合管、宝石オリフィス及びオリフィス取付部など、切断ヘッド組立体12の構成要素は、作動圧力、切断動作などの動作パラメータに基づいて選択され得る。システム10は、ノズル22内への加圧流体24の流れを選択的に制御する弁組立体を含み得る。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0037650号は、例示のノズル22と共に使用できる様々な種類の弁組立体を開示している。他の種類の弁組立体を必要又は所望に応じてノズル22と共に使用することもできる。
【0041】
一実施形態によれば、切断ヘッド組立体12は、領域62を少なくとも部分的に囲むシュラウド60を含み得る。図示のように、シュラウド60は、ノズル22の出口56が領域62内に位置決めされるように位置決めされ得る(例えば、切断ヘッド本体44によって支持され得る)。例えば、混合管54の遠位端は、混合管54の長手方向軸に関してシュラウド60によって径方向に取り囲まれ得る。
【0042】
システム10の動作中、シュラウド60は、シュラウド60及びワークピース14が協働して領域62を囲むようにワークピース14に対して位置決めされ得る。一実施形態によれば、シュラウド60及びワークピース14は、協働して領域62を囲むように直接接触し得る。シュラウド60とワークピース14との直接接触境界面は、領域62内にガス(例えば、不活性ガス)のポケット又は液体(例えば、水)のポケットを保持し、領域62内への大気の流入を防止するか又は実質的に妨げるのに十分であり得る。
【0043】
一実施形態によれば、シュラウド60及びワークピース14は、協働して領域62を囲むために、隙間64(例えば、径方向隙間)がワークピース14に最も近接し、及びワークピース14に面するシュラウド60の表面(例えば、「底部」)とワークピース14との間に位置決めされるように近接し得る。シュラウド60は、システム10の動作中におけるシュラウド60と物体(例えば、ワークピース14の隆起部分)との衝突時、シュラウド60が(例えば、弾性)変形して衝撃を吸収し、システム10の継続動作を可能にするような可撓性材料(例えば、ゴム)を含み得る。
【0044】
シュラウド60は、シュラウド60とノズル22との相対移動が防止されるか又は少なくとも抑制されるように、切断ヘッド組立体12(例えば、ノズル22)によって支持され得る。一実施形態によれば、シュラウド60とノズル22の出口56との相対移動は、隙間64の大きさを変化させるためにシュラウドを「上昇」及び「下降」させることを可能にするために、上下方向(すなわちワークピース14に向かう方向及びワークピース14から離れる方向)において許容される。例えば、システム10がワークピース14の感受性構成要素を切断しており、不活性ポケットが領域62内に確立されるとき、隙間64の大きさを減少させるか又はなくすためにシュラウド60を下降させ得る。感受性構成要素を切断した後、シュラウド60を上昇させ、それにより隙間64の大きさを増加させ得る。
【0045】
したがって、一実施形態によれば、シュラウド60は、ノズル22がワークピース14に対して移動すると、シュラウド60も一体となってワークピース14に対して移動するように切断ヘッド組立体12によって支持され得る。シュラウド60及び出口56のこの配置により、領域62の迅速及び選択的な制御が可能となる。「通常」動作中(すなわちワークピース14の非感受性構成要素を加工するとき)、領域62内に大気が存在し得る。切断ヘッド組立体12がワークピース14の感受性構成要素の加工を開始しようとするとき、以下に詳細に説明するように、領域62内の空気は、不活性環境に置き換えられ得る。ワークピース14の感受性構成要素を加工した後、不活性環境が領域62内で弱まって再び空気が戻り、「通常」動作が再開し得る。
【0046】
シュラウド60は、領域62への入口66であって、それを通して不活性物質が移動して不活性環境を形成する入口66を含み得る。入口66は、第1のシュラウドポート68によって形成され得る。第1のシュラウドポート68は、ガス(例えば、窒素、二酸化炭素などの不活性ガス)、流体(例えば、不活性流体、例えば水又は長鎖ポリマーなどの添加剤を加えた水)又は両方を領域62内に搬送する管状部材であり得る。一実施形態によれば、第1のシュラウドポート68は、不活性物質を領域62に供給する供給源(例えば、不活性ガスの供給源)と連通し得る。
【0047】
シュラウド60は、領域62内の物質が排出され得る出口70を含み得る。出口70は、第2のシュラウドポート72によって形成され得る。第2のシュラウドポート72は、領域62内に存在するガス(例えば、窒素、二酸化炭素などの不活性ガス)、流体又は両方を搬送する管状部材であり得る。一実施形態によれば、第2のシュラウドポート72は、領域62内の物質の除去を補助する供給源(例えば、真空源)と連通し得る。
【0048】
一実施形態によれば、シュラウド60は、ポートを1つのみ含み得(例えば、第1のシュラウドポート68のみを含み、第2のシュラウドポート72を含まない)、その1つのポートは、領域62のための入口66及び出口70の両方として機能し得る。例えば、弁は、1つのポートに結合され得、弁の制御は、1つのポートを、入口66としての機能するポートから、出口70として機能するポートに又はその逆に移行させ得る。一実施形態によれば、隙間64は、物質が入口66を通して領域62に入るとき、物質が入る前に領域62内に存在していた物質が隙間64から出るように出口70を形成し得る。
【0049】
一実施形態によれば、シュラウド60にポートがない場合がある。代わりに、ノズル22の出口56が入口66として機能し、隙間64が出口70として機能し得る。不活性環境は、出口56を通して領域62に入る物質(例えば、不活性ガス)によって形成され得る。一実施形態によれば、研磨材38は、物質によって混合領域42に搬送され、次いで、物質は、混合管54を通して移動し、出口56を通して領域62に入る。
【0050】
有害品(例えば、リチウムイオン電池などの電池)を加工する際の潜在的な危険性の1つは、感受性構成要素の熱暴走(例えば、電池セルの温度と、電池の電解質の導電率との間の正のフィードバックによって生じる、電池の制御できない急速な加熱)である。熱暴走によって物品の発火が生じ得る。有害品の発火を防止する1つの解決策は、生成された流体ジェット(例えば、研磨材流体ジェット55)がノズル22から出てワークピース14を加工する不活性環境(例えば、領域62内)を形成することである。不活性環境は、ワークピース14の発火が防止又は少なくとも阻止される環境である。一実施形態によれば、不活性環境は、酸欠状態であり得る(例えば、周囲雰囲気よりも酸素を含む割合が低い)。一実施形態によれば、不活性環境は、領域62内に位置決めされた不活性ガス(例えば、窒素、二酸化炭素など)、流体(例えば、不活性流体)又は両方を含み得る。
【0051】
他の有害品は、軍需物資(例えば、推進剤を含むロケット)及び有害ガスを収容するタンク(例えば、溶接及び建設中に使用される)を含むが、これらに限定されない。有害品は、火花に反応し、結果として爆発又は燃焼する材料又は物質を含有し得る。不活性環境は、火花発生の可能性を防止するか若しくは低下させ得、及び/又は発火が防止若しくは少なくとも阻止される酸素欠乏環境を提供し得る。
【0052】
一実施形態によれば、流体ジェットシステム10を動作させる方法は、シュラウド60をワークピース14に対して、シュラウド60がワークピース14との組み合わせで領域62を(例えば、少なくとも部分的に)囲むように位置決めすることを含む。方法は、(例えば、入口66を通して)領域62を不活性材料で少なくとも部分的に満たすことを更に含み得る。方法は、流体ジェット(例えば、研磨材流体ジェット55)を生成することと、出口56が領域62内に位置決めされた状態で、ノズル22の出口56を通して流体ジェットを放出することとを含み得る。方法は、放出された流体ジェットを、不活性物質を通して導くことと、ワークピース14を流体ジェットと衝突させることとを含み得る。
【0053】
図3を参照すると、キャッチャタンク組立体11は、流体74(例えば、水)で満たされ得る。一実施形態によれば、方法は、ワークピース14の少なくとも一部及びシュラウド60の少なくとも一部を流体74に浸すことを含み得る。方法は、領域62内の不活性物質(例えば、不活性ガス)のポケットを捕捉することを更に含み得る。隙間64は、流体74によって占有され、それにより不活性物質のポケットが隙間64から出ることを防止し得る。一実施形態によれば、シュラウド60は、ワークピース14に直接接触して、シュラウド60とワークピース14との境界面を通して不活性物質が領域62の外に出ることを防止するバリアを形成し得る。
【0054】
キャッチャタンク組立体11は、流体74の温度に影響を及ぼす冷却器76を含み得る。流体ジェットシステム10の動作(例えば、流体74中への研磨材流体ジェット55の放出)は、流体74の温度の上昇をもたらし得る。特定の有害品を加工する際、作業環境の温度上昇を防止することにより、有害品の感受性構成要素が発火する可能性が低減され得る。一実施形態によれば、システム10を動作させる方法は、流体74の温度をその周囲温度よりも低下させるように冷却器76を作動させることを含み得る。
【0055】
一実施形態によれば、システム10を動作させる方法は、流体74の所望の温度を維持するように冷却器76を周期的に作動させることを含み得る。例えば、流体74の所望の温度は、周囲温度(すなわち休止温度又はシステム10の動作の影響が全くない温度)であり得る。したがって、冷却器76は、流体74の周囲温度を維持するように動作可能であり得る。システム10の動作中、熱が徐々に生じ/流体74に加えられ、冷却器76は、流体74から熱を除去して所望の温度を維持するように作動する。
【0056】
冷却器76は、ヒートシンクとして動作し、流体74とは依然として別のものである別個の冷媒によって流体74から熱を除去し得る。一実施形態によれば、冷却器76は、キャッチャタンク組立体11からの流体74を、熱が流体74から除去される熱交換器に循環させ、次にここで冷却された流体74をキャッチャタンク組立体11に戻るように循環させ得る。ワークピース14は、冷却流体がビームの内部を通して循環する1つ又は複数の中空ビームなど、能動的に冷却される構造上に支持され得る。
【0057】
図4を参照すると、流体ジェットシステム10は、少なくとも10,000psi(例えば、約10,000psi~約110,000psi)の作動圧力で加圧流体24(例えば、水)を切断ヘッド組立体12に選択的に提供するための、例えば直接駆動ポンプ又は増圧ポンプなどのポンプ78を含み得る。流体分配システム80は、流体の供給源82(例えば、タンク)をポンプ78及び切断ヘッド組立体12に流体接続し得る。
【0058】
システム10は、供給源82と切断ヘッド組立体12との間に上流側冷却器84を含み得る。上流側冷却器84は、切断ヘッド組立体12に到達する前に流体の温度を低下させ得る。一実施形態によれば、上流側冷却器84は、流体が加圧された後に上流側冷却器84が流体の温度を低下させるように、図示のようにポンプ78と切断ヘッド組立体12との間に位置決めされ得る。例えば、加圧水を凍結させずに加圧水を冷却するために、液体窒素が使用され得る。
【0059】
一実施形態によれば、上流側冷却器84は、上流側冷却器84が流体の加圧前に流体の温度を低下させるように、供給源82とポンプ78との間に位置決めされ得る。一実施形態によれば、システム10は、複数の上流側冷却器84(例えば、1つは、ポンプ78と切断ヘッド組立体12との間に位置決めされ、もう1つは、供給源82とポンプ78との間に位置決めされる)を含み得る。
【0060】
図示のように、システム10の切断ヘッド組立体12は、純流体ジェット57(すなわち研磨材のない流体ジェット)を生じさせ得る。したがって、システム10に研磨材ポート40及び補助ポート46の一方又は両方がない場合がある。同様に、切断ヘッド組立体12にシュラウド60がない場合がある。システム10は、冷却器76若しくは上流側冷却器84のいずれかを含み得るか、冷却器76と上流側冷却器84との両方を含み得るか、又は冷却器76も上流側冷却器84も含まない場合がある。
【0061】
図5図8を参照すると、システム10は、ワークピース14の加工中にシステム10の音響パラメータ92を捕捉するセンサ90(例えば、マイクロフォン)を含み得る。音響パラメータ92は、切断ヘッド組立体12によって生じた流体ジェット(例えば、研磨材流体ジェット55又は純流体ジェット57)とワークピース14との衝突によって生成され得る。一実施形態によれば、音響パラメータ92は、流体ジェットとワークピース14との衝突によって生じる周波数、振幅又は周波数と振幅との両方を含み得る。
【0062】
ワークピース14における異なる材料は、流体ジェットの影響を受けたときに異なる音響パラメータ92を生じさせ得る。一実施形態によれば、システム10は、センサ90によって捕捉された音響パラメータ92を解析するプロセッサ94を含み得る。所望の材料(例えば、再利用される貴重な材料)に影響を及ぼす流体ジェットを特定すると、システム10のコントローラ96は、流体ジェットの生成を停止し得る。
【0063】
例示の実施形態に示すように、純流体ジェット57は、ワークピース14を加工し得る(例えば、穴開けし得る)。ワークピース14は、2つの異なる材料(第1の材料98及び第2の材料100)を含み得る。この例では、第2の材料100は、再利用される貴重な材料(例えば、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、グラファイト、マンガン、リチウム)であり、第1の材料98は、スクラップ材料である。
【0064】
流体ジェットが第1の材料98に衝突すると、少なくとも1つの音響パラメータ92がセンサ90によって捕捉される。図6に示すように、流体ジェットが第2の材料100に衝突すると、音響パラメータ92は、図7に示すように、時間tで対象範囲102に入り得る。(例えば、読取値が異常でないことを確実にするための設定されたサイクル数にわたって)音響パラメータ92が対象範囲102に入ったことを検出すると、コントローラ96は、時間t’で流体ジェットの生成を停止する。一実施形態によれば、停止は、加圧流体24の流れを止めることによって(例えば、遮断弁の作動によって)達成され得る。
【0065】
コントローラ96は、複数の対象範囲の1つに入る音響パラメータ92により、複数の所望の材料のいずれかとの流体ジェットの衝突を特定し、かかる特定時に流体ジェットの生成を停止し得る。したがって、一実施形態によれば、システム10は、様々な材料に衝突する流体ジェットの様々な組み合わせに対応する複数の対象範囲102を用いてプログラムされ得る。例えば、第1の対象範囲102は、60,000psiの圧力での純ウォータージェットとコバルトとの衝突を示し得、第2の対象範囲102は、60,000psiの圧力での研磨材ウォータージェットとコバルトとの衝突を示し得る。動作パラメータ(例えば、流体ジェットの種類、研磨材の使用、動作圧力など)が選択されると、動作パラメータに対応する対象範囲102の組が特定され得る。一実施形態によれば、センサ90は、領域62の内側に位置決めされ得る。
【0066】
センサ90は、穴開け手順についての上記の説明と同様に切断手順中に使用され得る。流体ジェット(例えば、純流体ジェット57)がワークピース14の第1の材料98を貫通して切断するとき、音響パラメータ92は、第1の範囲内(例えば、対象範囲102の外)にある。流体ジェットがワークピース14の第2の材料100に衝突すると、音響パラメータ92が変化して対象範囲102に入る。音響パラメータ92が対象範囲102に入ったことを検出すると、コントローラ96は、流体ジェットを停止し、したがって第2の材料100を維持し得る。
【0067】
図8に示すように、システム10は、対象範囲102が、ワークピース14の第1の既知の材料に衝突する流体ジェットの音響パラメータ92に対応するように動作し得る。例えば、システム10は、電池の外側ケーシングを穿孔して電池の内部構成要素にアクセスするために使用され得る。外側ケーシングの材料は、既知であり得るため、外側ケーシング、ワークピース14に衝突する流体ジェットの音響パラメータ92によって対象範囲102が定められる。外側ケーシングが穿孔され、流体ジェットが外側ケーシング以外の材料に影響を及ぼした時点で音響パラメータ92が対象範囲102から出て、音響パラメータ92が対象範囲102から出たことを特定すると、コントローラ96が流体ジェットを停止し得る。
【0068】
一実施形態によれば、流体ジェットとワークピース14の材料の1つとの衝突によって生じる周波数は、22.5kHz~23.5kHzであり得る。一実施形態によれば、ワークピース14の別の材料の衝突時、流体ジェットとワークピース14の別の材料との衝突によって生じる周波数は、少なくとも5パーセント変化し得る。
【0069】
一実施形態によれば、流体ジェットとワークピース14の1つの材料との衝撃による音響パラメータ92の振幅は、88~92dBであり得、流体ジェットとワークピース14の別の材料との衝突は、少なくとも5パーセント(例えば、98~102dBになるように)変化し得る。
【0070】
システム10を動作させる方法は、流体ジェット(例えば、研磨材流体ジェット55又は純流体ジェット57)を生成することと、流体ジェットをノズル22からワークピース14に向かって放出することとを含み得る。方法は、流体ジェットでワークピースに穴を開けることと、穴を開けている間、流体ジェットがワークピースに衝突することによって生じる少なくとも1つの音響パラメータ92を監視することとを更に含み得る。方法は、少なくとも1つの音響パラメータ92の変化を検出した時点で流体ジェットの生成を終了することを更に含み得る。一実施形態によれば、少なくとも1つの音響パラメータ92の変化は、対象範囲102に入る音響パラメータ92の値を含む。一実施形態によれば、少なくとも1つの音響パラメータ92の変化は、対象範囲102から出る音響パラメータ92の値を含む。
【0071】
図9を参照すると、システム10は、ワークピース14の1つ又は複数の物理的特性(例えば、厚さ、密度など)を測定するセンサ110を含み得る。一実施形態によれば、センサ110は、超音波撮像装置である。センサ110は、異なる物理的特性を有するワークピースの領域を特定し得る。図示のように、センサ110は、ワークピース14の異なる厚さの領域を特定し得る。
【0072】
例えば、センサ110は、ワークピース14を走査した後、1つ又は複数のより厚い厚さの領域112、1つ又は複数のより薄い厚さの領域114及び1つ又は複数の中間厚さの領域116を特定し得る。一実施形態によれば、センサ110は、ワークピース14の残りの部分から分離される構成要素又は材料を有する対象領域118も特定し得る。
【0073】
システム10(例えば、プロセッサ)は、ワークピース14の物理的特性に関するデータを解析し、ワークピース14の残りの部分から対象領域118を分離するためにワークピース14を切断する経路120を特定し得る。図示のように、経路120は、1つ又は複数のより厚い厚さの領域112を回避し、1つ又は複数のより厚い厚さの領域112を通過することを回避するために、対象領域118の周囲の最短経路から逸脱し得る。一実施形態によれば、経路120は、1つ又は複数のより薄い厚さの領域が有害又は貴重な材料を含み得るため、1つ又は複数のより薄い厚さの領域114(又は1つ若しくは複数の一定厚さの領域)を回避し、1つ又は複数のより薄い厚さの領域114を通過することを回避するために、対象領域118の周囲の最短経路から逸脱し得る。
【0074】
同様に図示のように、経路120は、1つ又は複数の中間厚さの領域116を横切る距離を最小化し、1つ又は複数の中間厚さの領域116の幅狭部分122を通過するために、対象領域118の周囲の最短経路から逸脱し得る。
【0075】
システム10を動作させる方法は、ワークピース14を(例えば、センサ110、例えば超音波撮像装置を用いて)走査して、ワークピース14の様々な領域の厚さを決定することを含み得る。方法は、ワークピース14を切断する経路120を特定することを更に含み得、経路120は、ワークピース14の厚肉部よりもワークピース14の薄肉部を優先することによって決定される。例えば、部分(例えば、T字状部)を切断することは、流体ジェットが厚肉側を貫通して切断する代わりにT字状部の薄肉側を切断するように、支持面13上のワークピース14の位置及び/又は向きを調整することを含み得る。
【0076】
方法は、流体ジェットシステム10の切断ヘッド組立体12内で流体ジェットを生成することと、経路120を辿る間、ノズル22から流体ジェットを放出して、ワークピース14を切断することとを更に含み得る。一実施形態によれば、方法は、対象領域118を特定することを含み得、経路120は、ワークピース14の残りの部分から対象領域118を分離するように選択される。
【0077】
システム10は、切断ヘッド組立体12によって生成される流体ジェットのパラメータの1つ又は複数が調整可能であるように調整可能であり得る。例えば、流体ジェットの圧力、研磨材の使用/研磨材の種類などは、経路120に沿って位置するワークピース14の1つ又は複数の物理的特性に基づいて選択され得る。一実施形態によれば、切断ヘッド組立体12によって生成される流体ジェットの1つ又は複数のパラメータは、流体ジェットが、ワークピース14の第1の材料(例えば、プラスチック製のハウジング又はブラケット)を貫通して切断するのに十分なパワーを有し、及び(流体ジェットに対して)第1の材料「よりも下に」位置する第2の材料(例えば、貴金属)を貫通して切断するのに十分なパワーがないように選択され得る。したがって、経路120は、第2の材料を貫通して切断することなく、ワークピース14の残りの部分から対象領域118内の第2の材料を分離する一方、対象領域118と重なるように選択され得る。
【0078】
一実施形態によれば、切断ヘッド組立体12によって生成される流体ジェットは、厚さ6インチの金属を貫通して切断するのに不十分なパワーを有するが、厚さ0.5インチの金属を貫通して切断するのに十分なパワーを有するように、供給速度1ポンド/分でガーネットを研磨材として使用している間、60,000の動作圧力を有し得る。
【0079】
図10を参照すると、システム10は、研磨材スラリージェット130を生成してワークピース14を加工し得る。研磨材スラリージェット130を生じさせるために、スラリー132がジェット生成組立体26に送出されるように、研磨材は、加圧流体と予め混合されてスラリー132を形成し得る。スラリー132が宝石オリフィス32を通過すると、研磨材スラリージェット130が生成される。研磨材が予め混合されるため、混合領域42及び研磨材ポート40などの構成要素は、宝石オリフィス32の下流側には必要ない。これにより、ノズル22が薄型(例えば、研磨材スラリージェット130の進行方向に垂直な平面において測定された狭い断面寸法D1、例えば0.5インチ未満)を有し得る。
【0080】
次に、薄型ノズル22は、ワークピース14の内部134に挿入され得る。一実施形態によれば、内部134は、ノズル22の出口56がワークピース14の内部134に位置決めされたとき、研磨材スラリージェット130によって加工され得る有害な構成要素136を含み得る。一実施形態によれば、内部134は、ガス状の有害な構成要素136を収容し得る。研磨材スラリージェット130は、前述の実施形態で説明したように、出口54がシュラウド60の領域62内に位置決めされたとき、研磨材流体ジェット55及び純流体ジェット57と同様に出口54を通して放出され得る。
【0081】
2021年6月29日に出願された米国仮特許出願第63/216,307号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
要約書に記載した内容を含む、例示の実施形態についての上記の説明は、網羅的であるか又は開示した正確な形態に実施形態を限定するように意図されるものではない。本明細書では、具体的な実施形態及び例が例示の目的で説明されているが、当業者によって認識されるように、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な均等な修正形態がなされ得る。更なる実施形態を提供するために、上で説明した様々な実施形態を組み合わせることができる。
【0083】
本明細書で説明する方法の多くは、変更を加えて実行することができる。例えば、方法の多くは、追加の動作を含み、いくつかの動作を省略し、及び/又は例示若しくは説明されるものと異なる順序で動作を行い得る。
【0084】
上で詳述した説明に照らして、実施形態に対するこれら及び他の変更形態がなされ得る。概して、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、本明細書及び特許請求の範囲に開示した具体的な実施形態に特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に全ての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】