(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】発進過程についての準備において電気式に駆動される車両を動作させる方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/14 20200101AFI20240705BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240705BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240705BHJP
B60W 10/04 20060101ALI20240705BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240705BHJP
B60W 10/184 20120101ALI20240705BHJP
【FI】
B60W50/14
B60L15/20 J
B60L3/00 N
B60W10/00 120
B60W10/08
B60W10/184
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574813
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2022064841
(87)【国際公開番号】W WO2023274648
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102021116668.3
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】アスペ・オイエル
(72)【発明者】
【氏名】シェドラー・パトリック
【テーマコード(参考)】
3D241
5H125
【Fターム(参考)】
3D241AB01
3D241AC01
3D241AC26
3D241AD41
3D241AE02
3D241BA58
3D241BB04
3D241CA08
3D241DA12Z
3D241DA39Z
3D241DD11Z
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125CA01
5H125CD02
5H125DD01
5H125DD06
5H125EE41
5H125EE42
5H125EE44
(57)【要約】
【課題】電気式に駆動される車両の発進過程を準備する準備段階を効率的に提供する。
【解決手段】車両100の発進についての準備において車両100の電気式の駆動機械114を動作させる装置101であって、該装置101が、
-発進過程の準備のための車両100の準備モードがアクティブであることを特定するように、及び
-これに応答して、停止状態において駆動機械114によって車両100の振動を車両100の運転者に対する触覚的な応答としてもたらすために、発進過程のための準備段階において電気式の駆動機械114を時間的に調節される目標駆動トルクで動作させるように
構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の発進についての準備において車両(100)の電気式の駆動機械(114)を動作させる装置(101)であって、該装置(101)が、
-発進過程の準備のための車両(100)の準備モードがアクティブであることを特定するように、及び
-これに応答して、停止状態において駆動機械(114)によって車両(100)の振動を車両(100)の運転者に対する触覚的な応答としてもたらすために、発進過程のための準備段階(232)において電気式の駆動機械(114)を時間的に調節される目標駆動トルク(201)で動作させるように
構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
装置(101)が、
-車両(100)の静止状態で、車両(100)の1つ又は複数のブレーキ(113)を制御するブレーキ制御手段(103)、特にブレーキペダルと、駆動機械(114)を制御する駆動制御手段(104)、特にアクセルペダルとが同時に操作されることを検出するように、及び
-これに基づき、車両(100)の準備モードがアクティブであることを特定するように
構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(101)。
【請求項3】
装置(101)が、
-準備モードが車両(100)の発進過程の準備に用いられるべきことが車両(100)のユーザインタフェース(102)を介して設定されたことを検出するように、及び
-これに基づき、車両(100)の準備モードがアクティブであることを特定するように
構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(101)。
【請求項4】
時間的に調節される目標駆動トルク(201)が、
-目標駆動トルク(201)の一定成分と、
-目標駆動トルク(201)の交番成分と
で構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項5】
装置(101)が、
-交番成分の振幅(203)を時間に沿って変化させるように、
-交番成分の周波数及び/又は周期継続時間(204)を時間に沿って変化させるように、及び/又は
-交番成分の振幅を時間時沿って変化させる速度を変更するように
構成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置(101)。
【請求項6】
装置(101)が、
-車両(101)の1つ又は複数のブレーキ(113)によってもたらされるブレーキトルクについてのブレーキ情報を検出するように、及び
-駆動機械(114)によって提供されるべき時間的に調節される目標駆動トルク(201)が、ブレーキ情報に依存して、特に、時間的に調節される目標駆動トルク(201)が準備段階(232)におけるブレーキトルクを上回らないように検出するように
構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項7】
装置(101)が、
-車両(100)の1つ又は複数のブレーキ(113)を制御するブレーキ制御手段の操作についての、特に操作の規模についての、特に運転者によって要求されるブレーキトルクを示す操作情報を検出するように、
-駆動機械(114)によって提供されるべき時間的に調節される目標駆動トルク(201)、特に時間的に調節される目標駆動トルク(201)の一定成分(202)を、操作情報に依存して、特に時間的に調節される目標駆動トルク(201)の一定成分(202)が要求されブレーキトルクの増大に伴って増大するように特定するように
構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項8】
装置(101)が、
-駆動機械(114)駆動制御手段(104)の操作についての、特に操作の規模についての、特に運転者によって要求される駆動トルクを示す操作情報を検出するように、、
-駆動機械(114)によって提供されるべき時間的に調節される目標駆動トルク(201)、特に時間的に調節される目標駆動トルク(201)の交番成分を、操作情報に依存して、特に駆動機械(114)によってもたらされる車両(100)の振動の規模が要求される駆動トルクの増大に伴って増大するように特定するように
構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項9】
-車両(100)が少なくとも1つのアクティブ振動減衰部(122)を含んでおり、該アクティブ振動減衰部が、車両(100)の運転者位置への駆動機械(114)の振動の伝達を減衰するように設定されており、及び
-装置(101)が、
-準備段階(232)においてアクティブ振動減衰部(122)を非作動にするように、及び/又は
-準備段階(232)において、車両(100)の運転者位置への駆動機械(114)の振動の伝達を減衰しないように、及び/又は強めるようにアクティブ振動減衰部(122)を動作させるように
構成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項10】
-車両(100)が、該車両(100)を操舵するための操舵手段、特にステアリングホイールを含んでおり、
-装置(101)が、準備モードにおいて、操舵手段アクチュエータによって、車両(100)の運転者に対する触覚的な応答として操舵手段の振動をもたらすように構成されている
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項11】
-車両(100)が、車両の第1のアクスル用の第1の電気式の駆動機械(114)と、車両の第2のアクスル用の第2の電気式の駆動機械(114)とを含んでおり、
-装置(101)が、準備段階(232)において、
-第1の駆動機械(114)を第1の調節された目標駆動トルク(201)で動作させるように、
-第2の駆動機械(114)を第2の調節された目標駆動トルク(201)で動作させるように、
-車両(100)の振動が時間に沿って位置的に変位するように、第1及び第2の調節された目標駆動トルク(201)が時間に沿って互いに対して変更されるように
構成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項12】
装置(101)が、
-準備段階(232)が終了していること、及び/又は発進過程が開始されることを特定するように、及び
-これに応答して、電気式の駆動機械(114)によって提供されるべき目標駆動トルク(201)の調節を終了し、及び駆動制御手段(104)を介して運転者によって設定される駆動トルクに従い駆動機械(114)を動作させるように
構成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項13】
-電気式の駆動機械(114)の駆動軸が準備段階(232)では回転せず、及び/又は
-電気式の駆動機械(114)の駆動軸の位置が、提供されるべき調節された目標駆動トルク(201)に基づいて、時間に沿って変更され、特に中央位置周辺で変動する
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項14】
時間的に調節される目標駆動トルク(201)、特に時間的に調節される目標駆動トルク(201)の交番成分が、車両(100)の車体の共振周波数に依存することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の装置(101)。
【請求項15】
車両(100)の発進についての準備において車両(100)の電気式の駆動機械(114)を動作させる方法(300)であって、該方法(300)が、
-発進過程の準備のための車両(100)の準備モードがアクティブであることを特定すること(301)、及び
-これに応答して、停止状態において駆動機械(114)によって車両(100)の振動を車両(100)の運転者に対する触覚的な応答としてもたらすために、発進過程のための準備段階(232)において電気式の駆動機械(114)を時間的に調節される目標駆動トルク(201)で動作させること(302)
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両の発進時間を短出させることが可能な発進過程のための準備モードにおいて、電気式に駆動される車両を動作させることが可能な方法及びこれに対応する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンを有する車両は、静止状態において、例えば車両レースのスタート前に、発進の瞬間に車両の高められた加速のために用いられることが可能な高められた駆動トルクを内燃エンジンが有するように、車両の運転者によって動作されることが可能である。この目的のために、車両を静止状態に維持するよう、運転者は、車両のブレーキ、特にブレーキペダルを操作する。さらに、運転者は、車両の内燃エンジンによって(アイドリング回転数に対して高められた)駆動トルクを設定するために、車両の駆動制御手段、例えば車両のアクセルペダルを操作する。運転者は、車両の発進のために、車両のブレーキを解除することができ、その結果、車両の高められた加速のために高められた駆動トルクが提供される。
【0003】
車両の加速する発進のための上述の準備段階中には、車両の運転者は、内燃エンジンによってもたらされる車両の振動を介して、運転者によってもたらされる内燃エンジンの高められた駆動トルクについての触覚的な応答を得る。当該触覚的な応答により、運転者は、駆動制御手段の操作によって高められる駆動トルクを精確に調整(設定)することが可能となる。また、運転者の当該触覚的な応答は、しばしばポジティブな感情として、及び運転体験として体験される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、特に、高められた駆動トルクをもった、及び/又は車両の運転者にとっての高められた走行の楽しみをもった発進過程を可能とするために、電気式に駆動される車両の発進過程を準備する準備段階を効率的に提供するという技術的な課題に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該課題は、各独立請求項によって解決される。有利な実施形態は、とりわけ従属請求項に記載されている。独立請求項に従属する請求項の追加的な特徴は、独立請求項の特徴なしに、又は独立請求項の特徴の一部との組合せにおいてのみでも、固有の、及び独立請求項の全ての特徴の組合せから独立した発明を形成することができ、当該発明は、独立請求項、分割出願又は後出願の対象に対して行われ得ることを指摘しておく。このことは、独立請求項の特徴のうち1つから独立した発明を形成し得る、明細書に記載された技術的な示唆についても同様に当てはまる。
【0006】
1つの態様によれば、車両の発進についての準備において車両の電気式の駆動機械を動作させる装置が記載される。車両は、バッテリ式電動車両(BEV)であってよい。特に車両は、1つ又は複数の電気式の駆動機械のみによって駆動される用に形成されることが可能である。
【0007】
装置は、発進過程の準備のための車両の準備モードがアクティブであることを特定するように構成されている。このとき、準備モードは、車両の運転者によって作動(アクティブ化)されることが可能である。特に、装置は、車両の停止状態において、車両の1つ又は複数の(摩擦)ブレーキを制御するブレーキ制御手段、特にブレーキペダルと、駆動機械を制御する駆動制御手段、特にアクセルペダルとが(運転者によって)同時に操作されることを検出するように構成されることが可能である。そして、当該情報に基づいて、車両の準備モードがアクティブであることを特定することが可能である。したがって、車両の運転者は、(車両が静止状態にある間の)発進過程への準備において、車両の準備モードを作動させるためにブレーキペダルとアクセルペダルを同時に操作することが可能となる。
【0008】
車両は、(例えば操作要素を有する)ユーザインタフェースを含むことができ、当該ユーザインタフェースにより、車両の運転者は、発進過程において準備モードを用いるべきか否かを設定することが可能となる。例えば、運転者は、発進過程における準備モードの使用が可能な車両のスポーツモードを作動させることが可能となる。そうでない場合には、場合によっては、準備モードの使用が阻止され得る。
【0009】
したがって、装置は、車両の発進過程の準備のために準備モードが用いられるべきであることが車両のユーザインタフェースを介して(例えば操作要素を介して)設定されたことを検出するように構成されることが可能である。そして、当該設定に基づいて、車両の準備モードがアクティブであることを特定することが可能である。
【0010】
車両のユーザインタフェースを介して準備モードの許可あるいはブロックによって、車両の特にフレキシブルで快適な動作を可能とすることができる。
【0011】
また、装置は、準備モードがアクティブであることが検出されたことに応答して、時間的に調節された目標駆動トルクでの発進過程についての準備段階において電気式の駆動機械を動作させるように構成されている。換言すれば、発進過程のための準備段階(車両がひきつづき静止状態にある)において、駆動機械によって要求される目標駆動トルクの時間的な調節(すなわち時間的な変更)をもたらすことが可能である。このとき、目標駆動トルクは、一定成分と、一定成分に重ねられる交番成分とで構成されることが可能である。ここで、少なくとも交番成分は、時間に沿って変更されることが可能である。交番成分は、例えば、1つ又は複数の正弦状の振動で構成されることが可能である。
【0012】
特に、装置は、交番成分の振幅を時間に沿って変更するように構成されることが可能である。したがって、交番成分の振幅調節(振幅変調)を行うことが可能である。これに代えて、又はこれに補足して、装置は、交番成分の周波数及び/又は周期継続時間を時間に沿って変更するように構成されることが可能である。したがって、交番成分の周波数調節(周波数変調)を行うことが可能である。これに代えて、又はこれに補足して、装置は、交番成分の振幅を時間に沿って変更する速度を変更するように構成されることが可能である。
【0013】
このとき、駆動機械によって要求される目標駆動トルクの調節は、車両の振動をもたらす振動に駆動機械がさらされるように行われることが可能である。特に、車両の静止状態において、駆動機械によって、車両の振動が車両の運転者に対する触覚的な応答としてもたらされるように、目標駆動トルクの調節を行うことが可能である。
【0014】
駆動機械によって要求される目標駆動トルクによって、特に目標駆動トルクの一定成分によって、駆動機械の駆動軸、特にロータは、所定の中央位置にセット(例えば予負荷)されることが可能である。このとき、典型的には駆動軸の(完全な)回転が行われない(なぜなら、車両が静止状態にあるとともに、駆動軸は車両の静止した車輪によってブロックされるためである)。むしろ、電気式の駆動機械の駆動軸(特にロータ)の位置は、提供されるべき調節される目標駆動トルクに基づき時間に沿って変更されることが可能である。このとき、特に、駆動軸の振動は、中央位置周辺においてもたらされ得る。駆動軸の振動は、目標駆動トルクの交番成分に対応し得る。駆動軸の中央位置は、目標駆動トルクの一定成分に依存し得る。
【0015】
したがって、車両の発進過程についての準備段階では、車両の(車体の)(振動(変動)する目標駆動トルクに対応する)振動を準備段階中に触覚的な応答としてもたらすために、振動時間的に変動及び/又は振動する目標駆動トルクが車両の電気式の駆動機械によって要求される。したがって、車両の運転者にとっての走行体験を効果的に改善することができる。また、触覚的な応答によって、運転者は、加速的な発進過程を可能とするために、発進過程の開始時に所望の駆動トルクを特に精確に設定することが可能となる。
【0016】
装置は、車両の1つ又は複数の(摩擦)ブレーキによってもたらされるブレーキトルクについてのブレーキ情報を検出するように構成されることが可能である。ブレーキ情報は、ブレーキトルクの値及び/又はブレーキ制御手段、特にブレーキペダルの変位(偏向)を示すことが可能である。これに代えて、又はこれに補足して、ブレーキ情報は、運転者がブレーキ制御手段を操作する力を示すことが可能である。
【0017】
駆動機械によって提供される時間的に調節される目標駆動トルクは、ブレーキ情報に依存して特定及び/又は調整(設定)されることが可能である。目標駆動トルクは、時間的に調節される目標駆動トルクが準備段階(全体)におけるブレーキトルクを上回らないように特定及び/又は調整されることが可能である。他方で、目標駆動トルクは、目標駆動トルクの最大値がブレーキトルクの値の少なくとも90%に対応するように特定及び/又は調整されることが可能である。したがって、車両の静止状態を保証するできる限り大きな目標駆動トルクが要求され得る。したがって、(発進過程及び/又は走行体験についての目標駆動トルクの設定の質を更に高めるために)車両の運転者に対するできる限り強い触覚的な応答をもたらすことが可能である。
【0018】
装置は、車両の1つ又は複数のブレーキを制御するブレーキ制御手段(特にブレーキペダル)の操作についての、特に操作の規模についての操作情報を検出するように構成されることが可能である。操作情報(本明細書ではブレーキ情報ともいう。)は、例えばブレーキペダルセンサによって検出されることが可能である。操作情報は、運転者によって要求されるブレーキトルク及び/又はブレーキペダルの変位を示すことができる。
【0019】
駆動機械によって提供されるべき時間的に調節される目標駆動トルク、特に時間的に調節される目標駆動トルクの一定成分は、操作情報に依存して特定及び/又は調整されることが可能である。特に、時間的に調節される目標駆動トルクの一定成分は、要求されるブレーキトルクの増大に伴って増大されることが可能である(あるいはブレーキトルクの減少に伴って低減されることが可能である)。したがって、発進過程についての目標駆動トルクの設定の質を更に向上させることが可能である。したがって、特に、運転者によって調整可能な目標駆動トルクについての調整範囲をフレキシブルに向上させることが可能である。
【0020】
装置は、駆動機械を制御する駆動制御手段(特にアクセルペダル)の操作についての、特に操作の規模についての操作情報を検出するように構成されることが可能である。操作情報は、運転者によって要求される駆動トルク及び/又はアクセルペダルの変位を示すことができる。
【0021】
駆動機械によって提供されるべき時間的に調節される目標駆動トルク、特に時間的に調節される目標駆動トルクの交番成分は、駆動制御手段の操作についての操作情報に依存して特定及び/又は調整されることが可能である。特に、時間的に調節される目標駆動トルクは、駆動機械によってもたらされる車両の振動の規模が要求される駆動トルクの増大に伴って増大する(あるいは要求される駆動トルクの低下に伴って低下する)ように適合されることが可能である。触覚的な応答のこのような適合によって、発進過程についての目標駆動トルクの設定の質を更に向上させることが可能である。
【0022】
車両は少なくとも1つのアクティブ振動減衰部を含むことができ、当該アクティブ振動減衰部は、(車両の運転者が着座する)車両の運転者位置への駆動機械の振動の伝達を減衰するように設定されている。1つ又は複数のアクティブ振動減衰部は、駆動機械によってもたらされる振動をできる限り包括的に減衰させるために、車両の走行中に動作されることが可能である。したがって、特に快適な走行を可能とすることができる。
【0023】
装置は、アクティブ振動減衰部を準備段階(全体)において非作動とするように構成されることが可能である。これに代えて、又はこれに補足して、装置は、駆動機械から車両の運転者位置への振動の伝達が減衰されないように、及び/又は場合によってはむしろ強められるように、アクティブ振動減衰部を準備段階(全体)において動作させるように構成されることが可能である。
【0024】
1つ又は複数のアクティブ振動減衰部の非作動及び/又は振動増幅する動作によって、触覚的な応答の強さを更に向上させることが可能である。したがって、発進過程についての目標駆動トルクの走行体験及び/又は設定の質を更に向上させることが可能である。
【0025】
典型的には、車両は、車両を操舵する操舵手段、特にステアリングホイールを含んでいる。装置は、準備モード及び/又は準備段階において、操舵手段アクチュエータによって、車両の運転者に対する(追加的な)触覚的な応答として操舵手段の振動をもたらすように構成されることが可能である。このとき、操舵手段の振動、特に振動の振幅は、ブレーキ情報に依存して、及び/又は駆動制御手段の操作情報に依存して適合されることが可能である。追加的な触覚的な応答を提供することで、発進過程についての目標駆動トルクの走行体験及び/又は設定の質を更に向上させることが可能である。
【0026】
車両は、(全輪駆動のために)車両の第1のアクスル(例えばリヤアクスル)用の第1の電気式の駆動機械と、車両の第2のアクスル(例えばリヤアクスル)用の第2の電気式の駆動機械とを含むことができる。
【0027】
装置は、準備段階において、第1の駆動機械を第1の調節された目標駆動トルクで動作させ、第2の駆動機械を第2の調節された目標駆動トルクで動作させるように構成されることが可能である。さらに、装置は、車両の振動が時間と共に位置的に(車両の車体内で)変位するように、第1及び第2の調節された目標駆動トルクを時間に沿って互いに対して相対的に変更するように構成されることが可能である。したがって、車両における異なる箇所に配置された電気式の駆動機械の動作によって、走行体験を更に改善するために空間的な触覚的な応答を効果的に生成することが可能である。
【0028】
時間的に調節される目標駆動トルク、特に時間的に調節される目標トルクの交番成分は、車両の車体の共振周波数に依存し得る。特に、時間的に調節される目標駆動トルクは、車両の車体の共振周波数とは最大で30%又は最大で20%だけ異なる車両の車体の振動を励起するように形成されることが可能である。したがって、車両の運転者にとっての触覚的な応答を効果的にもたらすことが可能である。
【0029】
装置は、準備段階が終了していること、及び/又は発進過程が開始される(したがって車両が発進すべき)ことを特定するように構成されることが可能である。例えば、運転者がブレーキ制御手段の操作を低減又は終了することを検知することが可能である。
【0030】
これに応答して、電気式の駆動機械により提供されるべき目標駆動トルクの調節は、(突然又は所定の時間にわたってスムーズに)終了されることが可能である。また、駆動機械は、駆動制御手段を介して運転者によって設定される駆動トルクに従って動作されることが可能である。したがって、発進過程への直接的な移行が可能となり得る。したがって、発進過程の快適性を更に向上させることが可能である。
【0031】
また、装置は、例えば準備モードが車両のユーザインタフェースを介さず許可されたことにより、発進モードが所定の発進過程についてアクティブでないことを特定するように構成されることが可能である。この場合、ブレーキ制御手段と駆動制御手段の同時の操作は、電気式の駆動機械によって、
・目標駆動トルクが要求されない、又は
・時間的に調節される目標駆動トルク(例えば目標駆動トルクの一定成分のみで交番成分なし)が要求される
ことにつながり得る。
【0032】
したがって、(準備モードがアクティブでない場合に)車両の振動と、車両の運転者に対する触覚的な応答とがもたらされないことがあり得る。
【0033】
別の一態様によれば、本明細書で記載される装置を含む(道路車両)原動機付き車両(特に自家用車又は貨物自動車又はバス又は自動二輪車)が記載される。車両は、電気的に駆動される車両のみであってよい。
【0034】
別の1つの態様によれば、車両の発進についての準備において車両の電気式の駆動機械を動作させる方法が記載される。方法は、発進過程の準備のために車両の準備モードがアクティブであることを特定することを含む。方法は、これに応答して、停止状態において駆動機械によって車両の振動を車両の運転者に対する触覚的な応答としてもたらすために、発進過程のための準備段階において電気式の駆動機械を時間的に調節される目標駆動トルクで動作させることを更に含む。
【0035】
別の一態様によれば、ソフトウェア(SW)プログラムが記載される。ソフトウェアプログラムは、プロセッサにおいて(例えば車両の制御装置において)実行されるように、及びこれにより本明細書で記載される方法を実行するように設置されることが可能である。
【0036】
別の一態様によれば、記憶媒体が記載される。記憶媒体は、プロセッサにおいて実行されるように、及びこれにより本明細書で記載される方法を実行するように設置されるソフトウェアプログラムを含むことが可能である。
【0037】
本明細書に記載される方法、装置及びシステムは、単独でも、また本明細書に記載される他の方法、装置及びシステムとの組合せにおいても用いられることができることに留意すべきである。さらに、本明細書に記載される方法、装置及びシステムの各態様は、様々に互いに組み合わせられることが可能である。特に、請求項の特徴を様々に組み合わせることが可能である。
【0038】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1a】電気式の駆動機械を有する例示的な車両を示す図である。
【
図1b】電気式の駆動機械を有する例示的な車両を示す図である。
【
図2】発進操縦についての準備段階中に電気機械によって調整されるべき目標駆動トルクの例示的な時間推移を示す図である。
【
図3】発進操縦についての準備段階中に電気機械を動作させる例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
冒頭で説明したように、本明細書は、発進操縦(発進操作)のための準備段階の効率的な提供に関するものであり、当該提供によって、発進操作のための高められた駆動トルク及び/又は車両の運転者のための改善された走行体験(運転体験)が可能となる。これに関連して、
図1a及び
図1bには、電気によって駆動される(場合によっては電気のみによって駆動される)車両100、特にバッテリ式電動車両(BEV)の異なる図が示されている。
【0041】
車両100は少なくとも1つの電気機械114を含んでおり、当該電気機械は、車両100の電気的なエネルギー貯蔵部(不図示)からの電気エネルギーによって動作され、車両100を駆動するように構成されている。車両100は、例えば、電気式の全輪駆動を提供するために、車両の第1のアクスル(例えばリヤアクスル)用の第1の電気機械114と、車両の第2のアクスル(例えばフロントアクスル)用の第2の電気機械114とを含んでいる。第1及び/又は第2の機械114は、それぞれ同期モータ又は非同期モータであってよい。
【0042】
車両100は、更に、典型的には、車両100を減速させるよう構成されたブレーキ113、特にホイールブレーキ及び/又は摩擦ブレーキを含んでいる。この目的のために、ブレーキ113は、車輪106を制動するために、車両100の車輪106に作用することが可能である。
【0043】
さらに、車両100はブレーキ制御手段103、例えばブレーキペダルを含んでおり、車両100を制動するために、ブレーキ制御手段によって車両100の1つ又は複数のブレーキ113を操作することが可能である。ここで、典型的には、1つ又は複数のブレーキ113によって、1つ又は複数の車輪106に駆動トルクが作用していても車両100を静止状態に維持することをもたらすことも可能である。特に、1つ又は複数のブレーキ113によって、車両100の駆動トルクに抗して作用することが可能なブレーキトルクをもたらすことが可能である。このとき、ブレーキトルクの大きさは、場合によっては、運転者によってブレーキ制御手段103を介して、例えば、ブレーキペダルに作用する力を介して、及び/又はブレーキペダルの変位(偏向)を介して調整されることが可能である。ブレーキトルクの大きさは、典型的には、運転者がブレーキペダルを強く操作すればするほど、及び/又は運転者がブレーキペダルを大きく変位させればさせるほど増大する。
【0044】
車両100は、駆動制御手段103、例えばアクセルペダルを更に含んでおり、当該駆動制御手段によって、1つ又は複数の電気機械114によってもたらされる駆動トルクを調整することが可能である。特に、運転者は、アクセルペダルの変位を大きくすることで駆動トルクを高めることが可能である。
【0045】
車両100の(制御)装置101は、駆動制御手段104及び/又はブレーキ制御手段103に関する操作情報を(例えば駆動制御手段104あるいはブレーキ制御手段103における各センサに基づいて)検出するように構成されることが可能である。さらに、装置101は、
・駆動制御手段104の操作情報に基づき目標駆動トルクを検出し、及び/又は
・ブレーキ制御手段103の操作情報に基づき目標ブレーキトルクを算出する
ように構成されることが可能である。
【0046】
また、特に、1つ又は複数の電気機械114によって目標駆動トルクが設定されるように、装置101は、駆動制御手段104の操作情報に依存して、特に算出された目標駆動トルクに依存して1つ又は複数の電気機械114を動作させるように構成されることが可能である。対応して、特に、1つ又は複数のブレーキ103によって目標ブレーキトルクが設定されるように、1つ又は複数のブレーキ103は、ブレーキ制御手段103の操作情報に依存して、特に算出された目標ブレーキトルクに依存して動作されることが可能である。
【0047】
図1bに図示されているように、車両100は、1つ又は複数の電気機械114によって(特に運転者位置において)生じる振動を低減する少なくとも1つのアクティブ振動減衰部122を更に備えることが可能である。ここで、アクティブ振動減衰部122は、車両100の車台121における電気機械114のマウント部に作用することができる。
【0048】
冒頭で説明したように、例えば車両レースのスタートについての準備において、及び/又は発進操縦時に作用する駆動トルクを高めるために、車両を、静止状態において、差し迫った発進過程に対して車両100が準備される準備モードで動作させることを車両100の運転者が望むことがある。発進過程への車両100の準備のために、1つ又は複数のブレーキ113によってブレーキトルクが生じるとともに車両100が静止したままであるように、運転者100は、同時にブレーキ制御手段103を操作することが可能である。さらに、作用するブレーキトルクにより車両の発進に至らない駆動トルクが1つ又は複数の電気機械114によってもたらされるように、駆動制御手段104が運転者100によって操作されることが可能である。運転者100は、実際の発進過程を開始するためにブレーキ制御手段103の操作を解除することができるため、車両100は、1つ又は複数の電気機械114によってもたらされる駆動トルクによって駆動される。
【0049】
電気的に駆動される車両100においては、1つ又は複数の電気機械114によってもたらされる駆動トルクは、典型的には、車両100の運転者への知覚可能な触覚的な応答につながらず、このことは、運転者が、静止状態において駆動制御手段104の操作により所望の駆動トルクを設定することを困難にするものである。
【0050】
車両100の(制御)装置101は、準備モードにおいて、1つ又は複数の電気機械114によって車両100の運転者位置において触覚的な応答がもたらされるように車両100の1つ又は複数の電気機械114を動作させるように構成されることが可能である。このとき、もたらされる触覚的な応答は、駆動制御手段104の操作、特に操作情報に依存し得る。特に、触覚的な応答は、運転者から駆動制御手段104を介して要求される目標駆動トルクに依存して適合されることが可能である。したがって、車両100の運転者は、車両100を発進過程に対して精確に準備することが可能となる。
【0051】
(制御)装置101は、運転者位置における知覚可能な触覚的な応答につながる振動へ1つ又は複数の電気機械114を励起するために、1つ又は複数の電気機械114により要求される目標トルクを調節あるいは変更するように構成されることが可能である。
【0052】
また、装置101は、1つ又は複数の電気機械114の振動をできる限り良好に車両100の運転者位置へ伝達させるために、1つ又は複数のアクティブ振動減衰部122を1つ又は複数の電気機械114の振動を減衰させるように動作させる(あるいは動作させない)ように構成することが可能である。
【0053】
したがって、装置101は、車両100が準備モードにおいて発進過程の準備のために動作されるべきか否かを検出するように構成されることが可能である。この目的のために、例えば、
・車両100が静止状態にあるかどうか、
・準備モードが車両100のユーザインタフェース102を介して作動されたかどうか、及び/又は
・ブレーキ制御手段103及び駆動制御手段104が同時に操作されるかどうか
をチェックすることが可能である。
【0054】
上述の(特に上述の全ての)条件が満たされれば、車両100が準備モードで動作されることを特定することが可能である。他方で、車両100が準備モードで動作されないことを場合によっては特定することができる。
【0055】
車両100が準備モードで動作されないことが特定されると、ブレーキ制御手段103が操作されるときに(場合によっては同時に駆動制御手段104が操作されるときにも)、装置101は、駆動トルク及び/又は車両100の運転者に対する触覚的な応答が1つ又は複数の電気機械114によってもたらされないようにすることが可能である。
【0056】
他方で、車両100が準備モードで動作されることが特定されると、1つ又は複数の電気機械114は、所定の目標トルク201(
図2参照)を設定するように制御(作動)されることが可能である。このとき、目標駆動トルク201は、平均目標駆動トルク202あるいは一定成分202と、目標駆動トルク201を調節する調節成分とで構成されることが可能である。
【0057】
平均駆動トルク202(すなわち目標駆動トルク201の一定成分)は、
・駆動制御手段104の操作についての操作情報、特に駆動制御手段104の変位、
・ブレーキ制御手段103の操作についての操作情報、特にブレーキ制御手段103の変位及び/又はブレーキ制御手段103に作用する力、及び/又は
・1つ又は複数のブレーキ103によってもたらされるブレーキトルク
とに依存し得る。
【0058】
平均目標駆動トルク202は、平均目標駆動トルク202に関する調節時にも有効目標駆動トルク201がブレーキトルクを上回らないような物であり得る。したがって、車両100の不意の発進を信頼性をもって防止することが可能である。
【0059】
図2には、要求される目標駆動トルク201の例示的な時間経過200が図示されている。時点222では、車両100が準備モードで動作されるべきであることが特定される。時点222の前の第1の段階231では、典型的には、1つ又は複数の電気機械114によって目標駆動トルク202の要求はなされない。時点222から、準備段階232において、平均目標駆動トルク202に関して変動及び/又は変更される時間的に調節された目標駆動トルク201が要求される。このとき、目標駆動トルク201の調節は、1つ又は複数の電気機械114の振動を励起し、当該振動は、車両100の運転者位置おける触覚的な応答につながる。
【0060】
要求される目標駆動トルク201の調節は、平均目標駆動トルク202についての変更あるいは振動(すなわち目標駆動トルク201の交番成分)の振幅203の振幅調節を含むことができる。このとき、振幅203は時間と共に変化し得る。振幅203の変更は、連続的に、又は段階的に(例えば周期的に)行われることが可能である。
図2に図示された例では、要求される目標駆動トルク201の第3の周期は、第1及び第2の周期よりも小さな振幅203を有している。
【0061】
これに代えて、又はこれに補足して、要求される目標駆動トルク201の調節は、調節される目標駆動トルク201の周期の周期継続時間204が時間と共に変化する周波数調節(周波数変調)を含むことができる。周期継続時間204の変更は、連続的に、又は段階的に(例えば周期的に)行われることが可能である。
【0062】
これに代えて、又はこれに補足して、調節される目標駆動トルク201の振幅203を変更する周波数及び/又は速度を変更することが可能である。
【0063】
したがって、要求される目標駆動トルク201の調節を準備段階232の間に行うことができ、1つ又は複数の電気機械114(典型的にはその駆動軸は回転しない)が当該調節によって振動へ励起されることができ、振動は、ここでも、車両100の運転者位置における知覚可能な触覚的な応答につながる。
【0064】
要求される目標駆動トルク201の調節は、もたらされる触覚的な応答が駆動制御手段104の操作に関する操作情報、特に駆動制御手段104の変位に依存するように、特に、運転者にとって知覚可能な振動の規模が駆動制御手段104の変位の増大に伴って増大するように行われることが可能である。このようにもたらされる触覚的な応答によって、車両100の運転者は、後続の発進過程についての所望の駆動トルクを正確に調整することが可能となる。また、このような触覚的な応答によって、車両100の運転者にとっての走行体験を強めることが可能である。
【0065】
発進過程は、特に運転者がブレーキ制御手段103の操作を終了することによって、運転者によって開始されることが可能である。その結果、車両100は、駆動制御手段104を介して要求される目標駆動トルク201で発進する。このとき、目標駆動トルク201の調節は(突然又はスムーズに)終了される。
【0066】
図2に図示された例では、車両100の運転者は、時点223において(例えばブレーキペダルを離すことで)発進過程を開始する(作動させる)。これにより準備段階232は終了し、発進段階233がつづく。発進段階233では、特に時点223において、目標駆動トルク201の調節が終了する。また、運転者によって駆動制御手段104を介して要求される目標駆動トルク201は、1つ又は複数の電気機械114によって設定されることとなる。
【0067】
準備段階232の間、及び/又は準備モードでの車両100の動作の間には、触覚的な応答の一部としてステアリングホイールに振動をもたらすために、車両100のステアリングホイール(一般的には操舵手段)におけるアクチュエータを補足的に制御する(作動させる)ことが可能である。したがって、運転者にとっての走行体験を更に改善することができる。
【0068】
これに代えて、又はこれに補足して、車両100が準備モード及び/又は準備段階232にある場合に、車両100のユーザインタフェース102を適合させることが可能である。例えば、車両100が準備モード及び/又は準備段階232にあることを運転者に表示するために、ユーザインタフェース102を色彩において適合させることが可能である。これに代えて、又はこれに補足して、車両100が準備モード及び/又は準備段階232にあることを運転者に表示するために、ユーザインタフェース102を介して所定のシンボルを示すことが可能である。したがって、運転者にとっての快適性及び走行体験を更に改善することができる。
【0069】
したがって、運転者につっての走行体験を改善するために、及び/又は車両100の政治状態において既に運転者に準備された駆動トルクの知覚を可能とさせるために、準備段階232中(特にいわゆるローンチコントロール準備中)に車両100の比較的強い振動が生成される措置が説明される。ステアリングホイール振動機能は、触覚的な応答を強めるために、ローンチコントロールシーケンスに関連付けられることが可能である。
【0070】
これに代えて、又はこれに補足して、準備段階232中には、発進過程を演出する1つ又は複数の別の措置を実行することが可能である。車両100は、音響的な信号を生成するオーディオシステムを含むことが可能である。オーディオシステムは、準備段階232中に、車両100の運転者に対する走行体験を更に改善する音響的な信号(例えば特別な音響効果)を生成させることが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、車両100の駆動部の熱発生の印象を車両100の運転者に与えるために、準備段階232中に、運転者シートのシートヒータを選択的に動作させることが可能である。
【0071】
準備段階232中には、1つ又は複数の電気機械114を有するドライブトレーンは、車両100の静止状態において予負荷されることができるため、車両100のドライブトレーンは、振幅及び周波数において変動し、これにより、車両100の運転者によって触覚的な応答として知覚される、車両100の相応の振動がもたらされる。
【0072】
図3には、車両100の発進過程への準備において車両100の電気式の駆動機械114を動作させる、例示的な(場合によってはコンピュータ実装される)方法300が示されている。車両100は、電気的にのみ駆動される車両であってよい。特に、車両100は、当該車両100が内燃エンジンを備えていないように形成されることが可能である。
【0073】
方法300は、発進過程の準備のために車両100の準備モードがアクティブであることを特定すること301を含む。準備モードを作動させるために、車両100の運転者は、場合によっては車両100のユーザインタフェース102を介して、発進過程についての準備において準備モードを用いるべきことを設定することが可能である。また、運転者は、車両100の静止状態において、車両100の準備モードを作動させるために、ブレーキ制御手段103(特にブレーキペダル)及び駆動制御手段104(特にアクセルペダル)を同時に操作することができる。
【0074】
方法300は、準備モードがアクティブであることが検出されたことに応答して、時間的に調節された目標駆動トルク201での発進過程についての準備段階232において電気式の駆動機械114を動作させること302を更に含む。換言すれば、駆動機械114によって目標駆動トルク201が要求されることができ、目標駆動トルク201は、時間的に調節されている。特に、要求される目標駆動トルク201は、一定成分の周辺で変動する。
【0075】
このとき、要求される目標駆動トルク201の調節は、車両100の静止状態において、駆動機械114によって車両100の振動(特に車両100の運転者位置における振動)が車両100の運転者に対する触覚的な応答としてもたらされるように行われることが可能である。したがって、運転者にとっての走行体験を更に向上させることができる。また、運転者は、発進過程の開始時に提供されるべき駆動トルクを精確に調整することが可能となり得る。
【0076】
本発明は、示された実施例に限定されているものではない。特に、明細書及び図面は、提案される方法、装置及びシステムの原理を例示的にのみ説明するものとなっていることに留意すべきである。
【国際調査報告】