(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】エポキシ-シランによる無水物官能化ポリマーの硬化
(51)【国際特許分類】
C08J 3/24 20060101AFI20240705BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20240705BHJP
C08K 5/5435 20060101ALI20240705BHJP
C08F 8/46 20060101ALI20240705BHJP
C08F 8/42 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C08J3/24 A CES
C08L23/26
C08K5/5435
C08F8/46
C08F8/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575638
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2021103383
(87)【国際公開番号】W WO2023272543
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チャオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユ
(72)【発明者】
【氏名】マー、ワンフー
(72)【発明者】
【氏名】オーヤン、ウーイェ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダン、ヨーゼフ ジェイ.アイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクレナハン、アラン ウォルター
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AB03
4F070AB22
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4F070AB24
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4J100CA31
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4J100HC30
4J100HC39
4J100HC78
4J100HE17
4J100JA03
(57)【要約】
「無水物官能化オレフィン系ポリマー」から誘導された架橋オレフィン系ポリマーを含む組成物を形成するプロセスであって、該プロセスが、少なくとも以下の工程A)及びB):
A)少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」及び
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物、
を一緒に混合して、第1の組成物を形成する工程と、
B)前記第1の組成物を湿分に曝露して、前記架橋オレフィン系ポリマーを形成する工程と、
を含む、プロセス。また、関連する第1の組成物及び架橋組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
「無水物官能化オレフィン系ポリマー」から誘導された架橋オレフィン系ポリマーを含む組成物を形成するプロセスであって、前記プロセスが、少なくとも以下の工程A)及びB):
A)少なくとも以下の成分a及びb:
a)前記「無水物官能化オレフィン系ポリマー」及び
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物、
を一緒に混合して、第1の組成物を形成する工程と、
B)前記第1の組成物を湿分に曝露して、前記架橋オレフィン系ポリマーを形成する工程と、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e1)又はe2):
【化1】
(式中、Rは、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X1、X2及びX3は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X1、X2若しくはX3のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)又は
【化2】
(式中、R’は、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X4、X5及びX6は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X4、X5若しくはX6のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)
から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1の組成物が、空気雰囲気中、22℃、50%RHで7日後に、70℃~170℃のSAFT値を有する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
組成物が、無水物官能化エチレン系ポリマーから誘導された架橋エチレン系ポリマー、又は無水物官能化プロピレン系ポリマーから誘導された架橋プロピレン系ポリマーのいずれかを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
組成物が、無水物官能化エチレン系ポリマーから誘導された架橋エチレン系ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第1の組成物が、1.0%~25%の120℃における溶融粘度の増加パーセント(120℃における%Δη2)を有し、120℃における%Δη2=[(η2-η1)/η1]×100であり、式中、η2は、120℃で2時間後の溶融粘度であり、η1は、120℃で1時間後の溶融粘度である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の組成物が、
粘着付与剤(成分c)を更に含む。請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスから形成された架橋組成物。
【請求項9】
少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」、
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物、
を含む、第1の組成物。
【請求項10】
前記エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e1)又はe2):
【化3】
(式中、Rは、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X1、X2及びX3は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X1、X2若しくはX3のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)又は
【化4】
(式中、R’は、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X4、X5及びX6は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X4、X5若しくはX6のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)
から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e11)、e12)、e21)、e22)、e23)、e24)、e25)、e26)、e27)又はe28):
【化5】
から選択される、請求項9又は請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
成分aが、無水物官能化エチレン系ポリマー、又は無水物官能化プロピレン系ポリマーである、請求項9~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
成分aが、無水物官能化エチレン系ポリマーである、請求項9~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記第1の組成物が、粘着付与剤(成分c)を更に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1の組成物が、1.0%~25%の120℃における溶融粘度の増加パーセント(120℃における%Δη2)を有し、120℃における%Δη2=[(η2-η1)/η1]×100であり、式中、η2は、120℃で2時間後の溶融粘度であり、η1は、120℃で1時間後の溶融粘度である、請求項9~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記第1の組成物が、10%~35%の177℃における溶融粘度の増加パーセント(177℃における%Δη2)を有し、177℃における%Δη2=[(η2-η1)/η1]×100であり、式中、η2は、177℃で2時間後の溶融粘度であり、η1は、177℃で1時間後の溶融粘度である、請求項9~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記第1の組成物が、空気雰囲気中、22℃、50%RHにおいて7日後に、70℃~135℃のSAFT値を有する、請求項9~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項9~17のいずれか一項に記載の組成物から形成された架橋組成物。
【請求項19】
以下の構造CL1、CL2、CL3、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む架橋組成物であって、
【化6】
独立して、CL1)、CL2)、CL3)の各々について、
各
【化7】
は、独立して、前記架橋組成物の別のポリマー鎖の一部を表し、
各
*は、独立して、上記のそれぞれの-CH2-CHZ-基に結合された残りのポリマー鎖の一部を表し、Zは、上記のそれぞれのペンダント架橋部位であり、
Xは、Yに結合されている炭素原子を含有するC3~C8環構造の残りの部分であり、又は、Xは、存在せず、Yは「-CH(OH)-CH
2-0-」架橋の末端炭素原子に結合されており、Yは、独立して、ヒドロカルビレン基又はヘテロヒドロ-カルビレン基であり、各Rは、独立して、OH基、アルコキシ基又はアルキル基である、架橋組成物。
【請求項20】
請求項8~19のいずれか一項に記載の組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
熱可塑性樹脂は、通常は、硬化させてからでないと、高温耐性を必要とする用途において効率よく使用できない。なぜならば、そのようなポリマーは、温度がそれらの溶融温度よりも高いと溶融するからである。硫黄硬化、過酸化物硬化、湿分硬化など、ポリマーに関する多くの硬化化学が、過去数十年開発されてきた。しかしながら、これらの硬化化学は、ポリマー配合物の調製中及び/又はポリマー配合物の加工中に早期架橋に悩まされる可能性がある。例えば、押出プロセスにおいて、硫黄、過酸化物、又は湿分を使用して架橋された熱可塑性樹脂の押出では、早期硬化(スコーチ)を回避するために、押出温度は、高すぎてはならず、滞留時間は長すぎてはならない。これらの硬化剤を含有するポリマー配合物は、典型的には、当面のプロセスを完了するのに必要な時間の間、高温で安定していない。したがって、広い処理ウィンドウ(高温での長時間作動ウィンドウ)を有する硬化プロセス及び関連する配合物が必要とされている。
【0002】
また、ホットメルト接着剤(hot melt adhesive、HMA)では、高い使用温度に耐える高熱耐性のポリマー配合物が必要とされている。既存の硬化化学は、NCO化学を使用するポリウレタン反応性(POLYURETHANE REACTIVE、PUR)である。しかしながら、NCOの毒性は、作業者への曝露リスクを増大させ、NCOの高い反応性は、早期硬化をもたらす。したがって、PURを、より良好に制御された硬化プロセスを提供するより環境に優しいポリマー配合物で置き換える必要がある。
【0003】
米国特許第5,210,150号は、n-アルキルアクリレート及び注意深く限定された量のカルボン酸を含有するある種のエチレンコポリマーを、化学量論量のエポキシ-シランと反応させることによって得られる湿分硬化性溶融加工性接着剤を開示している(要約参照)。しかしながら、本発明のデータ(実験の項を参照)に示したように、酸は、エポキシと容易に反応する傾向があり、シランの縮合を触媒して、特に高温でポリマー系において架橋を形成する。
【0004】
追加の硬化性ポリマー配合物は、次の参考文献に開示されている:米国特許第8399571号、米国特許第8569417号及び米国特許出願公開第2020/0216730号。しかしながら、上述したように、広い処理ウィンドウ(高温での長時間作動ウィンドウ)を有する硬化プロセス及び関連する配合物は依然として必要とされており、また硬化プロセスのより良好な制御を提供するより環境に優しいポリマー配合物が必要とされている。これらのニーズは、以下の発明によって満たされた。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、「無水物官能化オレフィン系ポリマー」から誘導される架橋オレフィン系ポリマーを含む組成物を形成するプロセスであって、当該プロセスは、少なくとも以下の工程A)及びB):
A)少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」及び
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物
を一緒に混合して、第1の組成物を形成する工程と、
B)第1の組成物を湿分に曝露して、架橋オレフィン系ポリマーを形成する工程と、
を含む。
【0006】
第2の態様では、第1の組成物は、少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」及び
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物
を含む。
【0007】
第3の態様では、少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物
を含む、第1の組成物から形成された、架橋組成物。
【0008】
第4の態様では、架橋組成物は、以下の構造CL1、CL2、CL3、又はそれらの任意の組み合わせ:
【0009】
【化1】
のうちの少なくとも1つを含み、独立して、CL1)、CL2)、CL3)の各々について、
各
【0010】
【化2】
は、独立して、架橋組成物の別のポリマー鎖の一部を表し、
各
*は、独立して、上記のそれぞれの-CH2-CHZ基に結合された残りのポリマー鎖の一部を表し、Zは、上記のそれぞれのペンダント架橋部位であり、
Xは、Yに結合されている炭素原子を含有するC3~C8環構造の残りの部分であり、又は、Xは、存在せず、Yは「-CH(OH)-CH
2-0-」架橋の末端炭素原子に結合されており、
Yは、独立して、ヒドロカルビレン基又はヘテロヒドロカルビレン基であり、
各Rは、独立して、OH基、アルコキシ基又はアルキル基である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】「AFFINITY GA 1000R酸」のFTIRプロファイルである。
【
図2】「AFFINITY GA 1000R無水物」のFTIRプロファイルである。
【
図3】調製直後の第1の組成物のFTIRプロファイルである。
【
図4】
図3の第1の組成物から形成された架橋組成物のFTIRプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
良好な熱安定性を有する低粘度配合物を提供し、かつ優れた高温作動ウィンドウ(例えば、177℃で3時間後の粘度<20,000mPa・s又は<15,000mPa・s)、及び空気中、85℃/85%RHにおいて、7日間硬化させた後、高い剪断接着破壊温度(Shear Adhesion Failure Temperature、SAFT)>125℃又は>150℃を提供する、新規組成物、及びそれを使用する架橋プロセスを発見した。特に、耐高温性ホットメルト接着剤(hot melt adhesive、HMA)が、その硬化プロセスと共に発見された(例えば、以下のスキーム1を参照されたい)。
【0013】
予期せぬことに、エポキシ-シランを無水物官能化ポリマーと高温で混合すると、無水物形態は、二酸形態よりも非常に有利であり、無水物は、エポキシ-シランと有意な程度には反応しないことを発見した。このように、ポリマー組成物の粘度は、高温で長時間安定である。組成物(物理的ブレンド)の調製後、それを、制御された様式で湿分硬化させることができる。予期せぬことに、湿分の存在下で、無水物は、二酸形態に変換し、一方の酸基は、エポキシと反応してポリマーとエポキシ-シランとの間に化学結合を形成し、他方の酸基は、インサイツ触媒として作用してシランの加水分解/縮合反応を触媒して架橋部位を形成することを発見した。更に、ジブチル錫ジラウレートなどのいくつかの湿分硬化触媒を添加して、硬化を改善することができる。硬化性能を改善するために、ジイソプロピルサリチル酸クロムなどの酸及びエポキシ反応触媒を組成物に添加してもよい。
【0014】
上述のように、第1の態様では、「無水物官能化オレフィン系ポリマー」から誘導された架橋オレフィン系ポリマーを含む組成物を形成するためのプロセスが提供され、当該プロセスは、上述のように、少なくとも次の工程A)及びB)を含む。第2の態様では、第1の組成物は、上述したように、少なくとも次の成分a及びbを含む。第3の態様では、上述したように、第1の組成物から形成された架橋組成物は、少なくとも次の成分a及びbを含む。第4の態様では、上述したように、架橋組成物は、以下の構造CL1、CL2、CL3のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0015】
本発明のプロセスは、本明細書に記載のように、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。本発明の組成物は、本明細書に記載のように、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。各成分a及びbは、独立して、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0016】
特に指定しない限り、以下の実施形態は、本発明の第1、第2、第3及び第4の態様に適用する。
【0017】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせにおいて、第1の態様では、工程Aは、≧120℃、又は≧130℃、又は≧140℃、又は≧150℃、≧160℃、≧165℃、又は≧170℃、又は≧175℃、又は≧180℃、かつ/又は≦220℃、又は≦215℃、又は≦210℃、又は≦205℃、又は≦200℃、又は≦195℃、又は≦190℃の温度で行われる。
【0018】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、エポキシ-シラン化合物は、以下の構造e1)又はe2):
【0019】
【化3】
(式中、Rは、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X1、X2及びX3は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X1、X2若しくはX3のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)、又は
【0020】
【化4】
(式中、R’は、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X4、X5及びX6は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X4、X5若しくはX6のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)から選択される。なお、本明細書で使用される場合、エポキシ-シラン化合物に関して、X1=X
1、X2=X
2、X3=X
3などであることに留意されたい。
【0021】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、エポキシ-シラン化合物は、以下の構造e11)、e12)、e21)、e22)、e23)、e24)、e25)、e26)、e27)又はe28):
【0022】
【0023】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、無水物官能化エチレン系ポリマーから誘導される架橋エチレン系ポリマー、又は無水物官能化プロピレン系ポリマーから誘導される架橋プロピレン系ポリマーのいずれかを含む。
【0024】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、無水物官能化エチレン系ポリマー、更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーから誘導される架橋エチレン系ポリマーを含む。更なる実施形態では、無水物は、ポリマー、更にインターポリマー、更にコポリマー上にグラフトされる。
【0025】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、無水物官能化プロピレン系ポリマー、更に無水物官能化プロピレン/エチレンインターポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化プロピレン/エチレンコポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーから誘導される架橋プロピレン系ポリマーを含む。更なる実施形態では、無水物は、ポリマー、更にインターポリマー、更にコポリマー上にグラフトされる。
【0026】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、成分aは、無水物官能化エチレン系ポリマー、又は無水物官能化プロピレン系ポリマーである。
【0027】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、成分aは、無水物官能化エチレン系ポリマー、更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。更なる実施形態では、無水物は、ポリマー、更にインターポリマー、更にコポリマー上にグラフトされる。
【0028】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、成分aは、無水物官能化プロピレン系ポリマー、更に無水物官能化プロピレン/エチレンインターポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化プロピレン/エチレンコポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。更なる実施形態では、無水物は、ポリマー、更にインターポリマー、更にコポリマー上にグラフトされる。
【0029】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせにおいて、第1の態様では、工程Bは、≧20℃、又は≧21℃、又は≧22℃、又は≧24℃、又は≧26℃、又は≧28℃、又は≧30℃、又は≧32℃、又は≧34℃、かつ/又は≦100℃、又は≦95℃、又は≦90℃、又は≦26℃、又は≦88℃、又は≦86℃、又は≦85℃、又は≦80℃、又は≦75℃、又は≦70℃、又は≦65℃、又は≦60℃、又は≦55℃、又は≦50℃、又は≦45℃、又は≦40℃の温度で行われる。
【0030】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせにおいて、第1の態様では、工程Bは、≧40%、又は≧42%、又は≧44%、又は≧46%、又は≧48%、又は≧50%、かつ/又は≦100%、又は≦95%、又は≦90%、又は≦88%、又は≦86%、又は≦85%の相対湿度(RH%)で行われる。
【0031】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、第1の組成物は、粘着付与剤(成分c)を更に含む。更なる実施形態では、成分cに対する成分aの重量比は、≧1.00、又は≧1.20、又は≧1.40、又は≧1.60、又は≧1.80、又は≧2.00、又は≧2.10、又は≧2.20、かつ/又は≦3.00、又は≦2.80、又は≦2.60、又は≦2.50、又は≦2.40、又は≦2.35、又は≦2.30である。
【0032】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、第1の組成物は、≦25%、若しくは≦20%、若しくは≦18%、若しくは≦16%、若しくは≦14%、かつ/又は≧1.0%、若しくは≧2.0%、若しくは≧3.0%、若しくは≧4.0%の120℃における溶融粘度の%増加(120℃における%Δη2)を有し、120℃での%Δη2=[(η2-η1)/η1]×100であり、式中、η2は、120℃における2時間後の溶融粘度であり、η1は、120℃における1時間後の溶融粘度である。
【0033】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、第1の組成物は、≦35%、若しくは≦30%、若しくは≦28%、若しくは≦26%、若しくは≦24%、かつ/又は≧8.0%、若しくは≧10%、若しくは≧12%、若しくは≧15%の177℃における溶融粘度の%増加(177℃における%Δη2)を有し、177℃での%Δη2=[(η2-η1)/η1]×100であり、式中、η2は、177℃における2時間後の溶融粘度であり、η1は、177℃における1時間後の溶融粘度である。
【0034】
各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは第1の組成物は、空気雰囲気中、22℃、相対湿度50%で7日間では、≧70℃、若しくは≧72℃、若しくは≧74℃、若しくは≧76℃、若しくは≧78℃、若しくは≧80℃、又は≧83℃、若しくは≧85℃、かつ/又は≦170℃、若しくは≦165℃、若しくは≦160℃、若しくは≦155℃、若しくは≦150℃、若しくは≦145℃、若しくは≦140℃、若しくは≦135℃、若しくは≦130℃、若しくは≦125℃、若しくは≦120℃のSAFT値を有する。
【0035】
また、各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせの組成物から形成された架橋組成物も提供される。
【0036】
また、各々本明細書に記載される、一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせのプロセスから形成された架橋組成物も提供される。
【0037】
また、各々本明細書に記載の任意の一実施形態又は2つ以上の実施形態の組み合わせの組成物を含む物品も提供される。
【0038】
各々本明細書に記載される、任意の1つの実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせの組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む、物品も提供される。
【0039】
無水物官能化オレフィン系ポリマー
「無水物官能化オレフィン系ポリマー」は、オレフィン系ポリマー鎖に結合された無水物部分(例えば、エチレン/α-オレフィンインターポリマー、又はプロピレン/エチレンインターポリマーにグラフトされた無水物部分)を有するオレフィン系ポリマーである。好適な無水物の非限定的な例としては、無水マレイン酸(MAH)、並びに無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ブロモマレイン酸、無水クロロマレイン酸、無水ナド酸、無水メチルナド酸、及び無水アルケニルコハク酸が挙げられる。
【0040】
好適なエチレン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及びエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーが挙げられる。好適なアルファ-オレフィンの非限定的な例としては、C3~C20アルファ-オレフィン、又はC3~C10アルファ-オレフィン、又はC3~C8アルファ-オレフィンが挙げられる。代表的なアルファ-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテンが挙げられる。
【0041】
好適な塩基プロピレン系ポリマーの非限定的な例としては、プロピレンホモポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、及びプロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーが挙げられる。好適なアルファ-オレフィンの非限定的な例としては、C4~C20アルファ-オレフィン、又はC4~C10アルファ-オレフィン、又はC4~C8アルファ-オレフィンが挙げられる。代表的なアルファ-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン及び1-オクテンが挙げられる。
【0042】
追加の無水物官能化オレフィン系ポリマーとしては、無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー及びコポリマー、無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー及びコポリマー、無水物官能化プロピレン/エチレンインターポリマー及びコポリマー、無水物官能化オレフィンブロックコポリマー(無水物-fn-OBC)、無水物で官能化されたEVA(例えば、グラフト化MAH)、無水物で官能化されたAPAO(非晶質ポリアルファ-オレフィン)(例えば、グラフト化MAH)、無水物で官能化されたEMA(エチレンメチルアクリレート)(例えば、グラフト化MAH)、無水物で官能化されたEBA(エチレンブチルアクリレート)(例えば、グラフト化MAH)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0043】
粘着付与剤
粘着付与剤は、当該技術分野で既知であり、室温で固体、半固体、又は液体であり得る。粘着付与剤としては、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素、変性炭化水素、及びそのような炭化水素の水素化バージョンが挙げられる。
【0044】
ワックス
ワックスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:パラフィンワックス;マイクロクリスタリンワックス、高密度低分子量のポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックス、熱分解ワックス、副生成物ポリエチレンワックス;及びフィッシャー・トロプシュワックス。ワックスは、第1の組成物の重量に基づいて、5~40重量%の量で存在し得る。
【0045】
添加剤及び適用
第1の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤としては、硬化触媒、充填剤、顔料、UV安定剤、酸化防止剤、加工助剤、溶媒、並びに更なる硬化触媒、UV安定剤、及び酸化防止剤が挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、添加剤は、第1の組成物の重量に基づいて、≧0.01重量%、若しくは≧0.02重量%、若しくは≧0.05重量%、若しくは≧0.10重量%、若しくは≧0.20重量%、かつ/又は≦2.0重量%、若しくは≦1.5重量%、若しくは≦1.0重量%、若しくは≦0.90重量%、若しくは≦0.80重量%、若しくは≦0.70重量%、若しくは≦0.60重量%、若しくは≦0.50重量%、若しくは≦0.40重量%、若しくは≦0.30重量%の量で存在する。
【0046】
第1の組成物は、無水物官能化オレフィン系ポリマー(成分a)とは異なる1つ以上のポリマー(複数可)を含み得る。例えば、アクリレート及び酢酸ビニルとエチレンとの極性コポリマーなどのポリマー、又は極性コポリマーと非極性オレフィン系ポリマーとのポリマーブレンドである。一実施形態では、追加のポリマー又はポリマーブレンドは、第1の組成物の重量に基づいて、≧0.5重量%、若しくは≧1.0重量%、若しくは≧2.0重量%、若しくは≧3.0重量%、若しくは≧4.0重量%、かつ/又は≦10重量%、若しくは≦9.0重量%、若しくは≦8.0重量%、若しくは≦7.0重量%、若しくは≦6.0重量%、若しくは≦5.0重量%の量で存在する。
【0047】
第1の組成物の成分は、ホットメルト接着剤産業では典型的であるように、押出機又は混合容器では高温で混合され得る。成分の添加順序は、最も安定な配合結果を確実にするために更に最適化することができる。例えば、全ての成分を1つの混合容器に添加することができ、又はより適切であれば、無水物官能化ポリマー及びエポキシ-シランを最初に別々に混合し、別の工程で、残りの成分と混合することができる。
【0048】
優れた安定性及び架橋特性により、本発明の組成物は、接着剤用途において十分に好適となる。組成物は、木工又は製本用途のような長いオープンタイムが必要とされる用途に好適である。多くの他の用途は、組成物の遅延硬化から利益を得ることになる。
【0049】
定義
相反する記載があったり、文脈から暗示的であったり、又は当該技術分野において慣習的であったりしない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づいており、全ての試験方法は、本開示の出願日の時点で現行のものである。
【0050】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物、並びに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を含む材料の混合物を含む。あらゆる反応生成物又は分解生成物が、典型的には、微量又は残留量で存在する。
【0051】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、同じタイプ又は異なるタイプに限らず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、1タイプのみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び本明細書で以下に定義されるようなインターポリマーという用語を含む。触媒残留物などの微量の不純物は、ポリマー中に及び/又はポリマー内に組み込まれ得る。典型的には、ポリマーは、非常に少量(「ppm」量)の1つ以上の安定剤で安定化される。
【0052】
本明細書で使用される「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという用語は、コポリマーという用語(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び2つを超える異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0053】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系ポリマー」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)50重量%又は過半重量パーセントの、エチレン又はプロピレンなどのオレフィンを含み、任意選択的に1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。オレフィン系ポリマーとしては、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー及びコポリマー、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー及びコポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー及びコポリマー、オレフィンブロックコポリマー(OBC)、EVA、APAO(非晶質ポリアルファ-オレフィン)、EMA(エチレン/メチルアクリレート)、及びEBA(エチレン/ブチルアクリレート)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0054】
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」という用語は、50重量%又は過半重量パーセントのエチレン(ポリマーの重量に基づく)を、重合形態で含み、かつ任意選択的には、1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、重合形態で、ポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のエチレンを含む。
【0055】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)50重量%又は過半重量パーセントのエチレンと、アルファ-オレフィンと、を含む、ランダムインターポリマーを指す。一実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、重合形態で、インターポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のエチレンを含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態で、(コポリマーの重量に基づいて)50重量%又は過半重量パーセントのエチレンモノマーと、アルファ-オレフィンとを2つのみのモノマータイプとして含むコポリマーを指す。一実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、重合形態で、コポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のエチレンを含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、重合形態で(ポリマーの重量に基づいて)過半重量パーセントのプロピレンを含み、任意選択的に1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、重合形態で、ポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のプロピレンを含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半重量パーセントのプロピレンと、アルファ-オレフィンとを含むランダムインターポリマーを指す。一実施形態では、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、重合形態で、インターポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のプロピレンを含む。
【0059】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半重量パーセントのプロピレンと、アルファ-オレフィンとを2つのみのモノマータイプとして含むランダムコポリマーを指す。一実施形態では、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、重合形態で、コポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のプロピレンを含む。
【0060】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンインターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半重量パーセントのプロピレンと、エチレンとを含むランダムインターポリマーを指す。一実施形態では、プロピレン/エチレンインターポリマーは、重合形態で、インターポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のプロピレンを含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語は、重合形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半重量パーセントのプロピレンと、エチレンとを2つのみのモノマータイプとして含むランダムコポリマーを指す。一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、重合形態で、コポリマーの重量に基づいて、≧60重量%、又は≧65重量%、又は≧70重量%、又は≧75重量%、又は≧80重量%、又は≧85重量%、又は≧90重量%のプロピレンを含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「無水物官能化オレフィン系ポリマー」という用語は、無水物基を含むオレフィン系ポリマーを指す。そのような無水物基は、無水マレイン酸又は他の無水物化合物から誘導され得る。無水物基は、水との反応によってカルボン酸基に変換され得る。一実施形態では、無水物は、オレフィン系ポリマー上にグラフトされる。
【0063】
ポリマー(又はインターポリマー若しくはコポリマー)に関して本明細書で使用される「過半重量パーセント」という語句は、ポリマー中に最大量で存在するモノマーの量を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「架橋オレフィン系ポリマー」という語句は、当業者によって理解されており、ポリマー鎖間の化学結合の形成に起因するネットワーク構造を有するポリマーを指す。
【0065】
「無水物官能化オレフィン系ポリマー」から誘導された「架橋オレフィン系ポリマー」という語句は、本明細書で使用される場合、「無水物官能化オレフィン系ポリマー」を、少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物で架橋(又は硬化)して、「架橋オレフィン系ポリマー」を形成することを指す。
【0066】
「エポキシシラン化合物」という用語は、本明細書で使用される場合、1つのエポキシ基のみを含む化合物(例えば、
【0067】
【化6】
)及び少なくとも1つのシラン基(例えば、Si-R、式中、R=アルキル基、アルコキシ基、又はヒドロキシ(OH)基、及び更にアルキル基又はアルコキシ基)を含む化合物を指す。例えば、以下の構造e11)、e12)及びe21)~e28)を参照されたい。
【0068】
「相対湿度パーセント(RH%)」という用語は、空気中に存在する水蒸気の量であり、同じ温度で飽和に必要とされる量に対する百分率として表される。RH%は、空気中の相対湿度を測定する湿度計及び湿度ゲージなどの湿度メーターを使用して測定することができる。
【0069】
「第1の組成物を湿分に曝露する」という語句は、本明細書で使用する場合、第1の組成物を、典型的には気体状態の水を含有する雰囲気に接触させることを指す。そのような曝露は、例えば、空気中又は特定のRH%に設定されたエアオーブン中で行うことができる。
【0070】
「ヘテロ原子」という用語は、水素又は炭素以外の原子を指す(例えば、O、N、又はP、典型的にはO)。
【0071】
「ヘテロ原子基」という用語は、ヘテロ原子又は1つ以上のヘテロ原子を含有する化学基を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「炭化水素」、「ヒドロカルビル基」という用語、及び類似の用語は、炭素原子及び水素原子のみを含有する化合物又は化学基それぞれを指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ炭化水素」、「ヘテロヒドロカルビル基」及び類似の用語は、それぞれ、本明細書で使用される場合、炭素、水素を含有する化合物又は化学基などを指し、その場合、1つ以上の炭素原子は、独立して、ヘテロ原子基(例えば、O、N又はP)で置き換えられる。
【0074】
「ヒドロカルビレン」、「ヒドロカルビレン基」という用語、及び本明細書で使用される類似の用語は、それぞれ、二価炭化水素、又は二価炭化水素基などを指す。
【0075】
「ヘテロヒドロカルビレン」、「ヘテロヒドロカルビレン基」という用語、及び本明細書で使用される類似の用語は、それぞれ、二価のヒドロカルビレン又はヒドロカルビレン基を指し、その場合、1つ以上の炭素原子は、独立して、ヘテロ原子基で置き換えられる。
【0076】
「ヘテロアルキレン」、「ヘテロアルキレン基」という用語、及び本明細書で使用される類似の用語は、それぞれ、二価のアルキレン又はアルキレン基を指し、その場合、1つ以上の炭素原子は、独立して、ヘテロ原子基で置き換えられる。
【0077】
第1の組成物に関して本明細書で使用される「熱処理された」、「熱処理」という語句、及び同様の語句は、例えば、熱又は放射線の適用によって組成物の温度を上昇させることを指す。熱処理が行われる温度は、組成物の温度(例えば、組成物の溶融温度)を指すことに留意されたい。典型的には、組成物の温度は、加熱デバイス(例えば、オーブン)の温度に対して比較的短時間で平衡する。
【0078】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、工程、又は手順の存在を排除することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、例えば、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除外し、任意の後続の詳述の範囲から、任意の他の成分、工程、又は手順を排除する。「からなる」という用語は、具体的に規定又は列挙されていない任意の成分、工程、又は手順を排除する。
【0079】
いくつかのプロセス及び組成物の特徴の列挙
A]「無水物官能化オレフィン系ポリマー」から誘導される架橋オレフィン系ポリマーを含む組成物を形成するプロセスであって、当該プロセスは、少なくとも以下の工程A)及びB):
A)少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」及び
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物
を一緒に混合して、第1の組成物を形成する工程と、
B)第1の組成物を湿分に曝露して、架橋オレフィン系ポリマーを形成する工程と、
を含む、プロセス。
B]工程Aが、≧120℃、又は≧130℃、又は≧140℃、又は≧150℃、≧160℃、≧165℃、又は≧170℃、又は≧175℃、又は≧180℃、かつ/又は≦220℃、又は≦215℃、又は≦210℃、又は≦205℃、又は≦200℃、又は≦195℃、又は≦190℃の温度で行われる、上記A]に記載のプロセス。
C]工程Aが、≧10%、若しくは≧15%、又は20%以下、若しくは≧25%、若しくは≧30%以、若しくは≧35%、かつ/又は≦60%、若しくは≦55%、若しくは50%、若しくは≦45%、若しくは≦40%の相対湿度(RH%)で行われる、上記A]又はB]に記載のプロセス。
D]エポキシ-シラン化合物上のエポキシ基に対する「無水物官能化オレフィン系ポリマー」上の無水物基のモル比が、≧0.20、若しくは≧0.25、若しくは≧0.30、若しくは≧0.35、若しくは≧0.40、若しくは≧0.42、若しくは≧0.44、若しくは≧0.46、若しくは≧0.48、若しくは≧0.50、若しくは≧0.55、若しくは≧0.60、かつ/又は≦100、若しくは≦50.0、若しくは≦20.0、若しくは≦10.0、若しくは≦5.00、若しくは≦4.00、若しくは≦3.00、若しくは≦2.00、若しくは≦1.50、若しくは≦1.20、若しくは≦1.15、若しくは≦1.10、若しくは≦1.05、若しくは≦1.00である、上記A]~C](A]~C])のいずれか1つに記載のプロセス。
E]エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e1)又はe2):
【0080】
【化7】
(式中、Rは、アルキレン基又はCH
20-アルキレン基、X1、X2であり、
X3は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)、又は
【0081】
【化8】
(式中、R’は、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X4、X5及びX6は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X4、X5若しくはX6のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)から選択される、上記A]~D]のいずれか1つに記載のプロセス。
F]構造e1)について、X1、X2及びX3が、各々独立して、C1~C5アルコキシ基又はC1~C5アルキル基、更にC1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキル基、及び更にC1~C2アルコキシ基又はC1~C2アルキル基であり、構造e2)について、X4、X5及びX6が、それぞれ独立して、C1~C5アルコキシ基又はC1~C5アルキル基、更にC1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキル基、及び更にC1~C2アルコキシ基又はC1~C2アルキル基である、上記E]に記載のプロセス。
G]エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e11)、e12)、e21)、e22)、e23)、e24)、e25)、e26)、e27)又はe28):
【0082】
【化9】
から選択される、上記A]~F]のいずれか1つに記載のプロセス。
H]工程Bが、≧20℃、又は≧21℃、又は≧22℃、又は≧24℃、又は≧26℃、又は≧28℃、又は≧30℃、又は≧32℃、又は≧34℃、かつ/又は≦100℃、又は≦95℃、又は≦90℃、又は≦26℃、又は≦88℃、又は≦86℃、又は≦85℃、又は≦80℃、又は≦75℃、又は≦70℃、又は≦65℃、又は≦60℃、又は≦55℃、又は≦50℃、又は≦45℃、又は≦40℃の温度で行われる、上記A]~G]のいずれか1つに記載のプロセス。
I]工程Bが、≧20℃、若しくは≧30℃、若しくは≧40℃、若しくは≧50℃、若しくは≧60℃、若しくは≧70℃、若しくは≧80℃、かつ/又は≦150℃、若しくは≦140℃、若しくは≦130℃、若しくは≦120℃、若しくは≦110℃、若しくは≦100℃、若しくは≦90℃の温度で行われる、上記A]~G]のいずれか1つに記載のプロセス。
J]工程Bが、
≧40%、若しくは≧42%、若しくは≧44%、若しくは≧46%、若しくは≧48%、若しくは≧50%、かつ/又は≦
100%、若しくは≦95%、若しくは≦90%、若しくは≦88%、若しくは≦86%、若しくは≦85%の相対湿度(RH%)で行われる、上記A]~I]のいずれか1つに記載のプロセス。
K]組成物が、架橋エチレン系ポリマー、更に架橋エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に架橋エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、又は架橋プロピレン系ポリマー、更に架橋プロピレン/エチレンインターポリマー若しくは架橋プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に架橋プロピレン/エチレンコポリマー若しくは架橋プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーのいずれかを含む、上記A]~J]のいずれか1つに記載のプロセス。
L]組成物が、無水物官能化エチレン系ポリマー、更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーから誘導される架橋エチレン系ポリマーを含む、上記A]~J]のいずれか1つに記載のプロセス。
M]組成物が、無水物官能化プロピレン系ポリマー、更に無水物官能化プロピレン/エチレンインターポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化プロピレン/エチレンコポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーから誘導される架橋プロピレン系ポリマーを含む、上記A]~J]のいずれか1つに記載のプロセス。
N]上記A]~M]のいずれか1つに記載のプロセスから形成される架橋組成物。
【0083】
A2]少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」、
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物
を含む、第1の組成物。
B2]エポキシ-シラン化合物上のエポキシ基に対する「無水物官能化オレフィン系ポリマー」上の無水物基のモル比が、≧0.20、若しくは≧0.25、若しくは≧0.30、若しくは≧0.35、若しくは≧0.40、若しくは≧0.42、若しくは≧0.44、若しくは≧0.46、若しくは≧0.48、若しくは≧0.50、若しくは≧0.55、若しくは≧0.60、かつ/又は≦100、若しくは≦50.0、若しくは≦20.0、若しくは≦10.0、若しくは≦5.00、若しくは≦4.00、若しくは≦3.00、若しくは≦2.00、若しくは≦1.50、若しくは≦1.20、若しくは≦1.15、若しくは≦1.10、若しくは≦1.05、若しくは≦1.00である、上記A2]に記載の第1の組成物。
C2]エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e1)又はe2):
【0084】
【化10】
(式中、Rは、アルキレン基又はCH
20-アルキレン基、X1、X2であり、
X3は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキルであり、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)、又は
【0085】
【化11】
(式中、R’は、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X4、X5及びX6は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキルであり、X4、X5若しくはX6のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)から選択される、上記のA2]又はB2]の第1の組成物。
D2]構造e1)について、X1、X2及びX3が、各々独立して、C1~C5アルコキシ基又はC1~C5アルキル基、更にC1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキル基、及び更にC1~C2アルコキシ基又はC1~C2アルキル基であり、構造e2)について、X4、X5及びX6が、各々独立して、C1~C5アルコキシ基又はC1~C5アルキル基、更にC1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキル基、及び更にC1~C2アルコキシ基又はC1~C2アルキル基である、上記C2]に記載の第1の組成物。
E2]エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e11)、e12)、e21)、e22)、e23)、e24)、e25)、e26)、e27)又はe28)から選択される、上記A2]~D2]のいずれか1つに記載の第1の組成物。
F2]成分aが、無水物官能化エチレン系ポリマー、又は無水物官能化プロピレン系ポリマーである、上記A2]~E2]のいずれか1つに記載の第1の組成物。
G2]成分aが、無水物官能化エチレン系ポリマー、更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上記A2]~F2]のいずれか1つに記載の第1の組成物。
H2]成分aが、無水物官能化プロピレン系ポマー、更に無水物官能化プロピレン/エチレンインターポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化プロピレン/エチレンコポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上記A2]~F2]のいずれか1つに記載の第1の組成物。
I2]上記A2]~H2]のいずれか1つに記載の第1の組成物から形成された架橋組成物。
J2]少なくとも以下の成分a及びb:
a)「無水物官能化オレフィン系ポリマー」と、
b)少なくとも1つのエポキシ-シラン化合物と、
を含む、第1の組成物から形成された架橋組成物。
K2]「無水物官能化オレフィン系ポリマー」(成分a)上の無水物基に対するエポキシ-シラン化合物(成分b)上のエポキシ基のモル比が、≧0.20、若しくは≧0.25、若しくは≧0.30、若しくは≧0.35、若しくは≧0.40、若しくは≧0.42、若しくは≧0.44、若しくは≧0.46、若しくは≧0.48、若しくは≧0.50、かつ/又は≦2.00、若しくは≦1.90、若しくは≦1.80、若しくは≦1.70、若しくは≦1.65、若しくは≦1.60、若しくは≦1.55、若しくは≦1.50、若しくは≦1.40、若しくは≦1.30、若しくは≦1.25、若しくは≦1.20、若しくは≦1.15、若しくは≦1.10、若しくは≦1.05、若しくは≦1.00である、上記J2]の架橋組成物。更なる実施形態では、無水物官能化オレフィン系ポリマーは、無水物官能化エチレン系ポリマーである。
L2]エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e1)又はe2):
【0086】
【化12】
(式中、Rは、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X1、X2及びX3は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X1、X2若しくはX3のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)、又は
【0087】
【化13】
(式中、R’は、アルキレン基若しくはCH
20-アルキレン基であり、X4、X5及びX6は、各々独立して、アルコキシ基又はアルキル基であり、X4、X5若しくはX6のうちの少なくとも1つは、アルコキシ基である)から選択される、上記のJ2]又はK2]の架橋組成物。
M2]構造e1)について、X1、X2及びX3が、各々独立して、C1~C5アルコキシ基又はC1~C5アルキル基、更にC1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキル基、及び更にC1~C2アルコキシ基又はC1~C2アルキル基であり、構造e2)について、X4、X5及びX6が、各々独立して、C1~C5アルコキシ基又はC1~C5アルキル基、更にC1~C3アルコキシ基又はC1~C3アルキル基、及び更にC1~C2アルコキシ基又はC1~C2アルキル基である、上記L2]に記載の架橋組成物。
N2]エポキシ-シラン化合物が、以下の構造e11)、e12)、e21)、e22)、e23)、e24)、e25)、e26)、e27)又はe28)から選択される、上記J2]~M2]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
O2]第1の組成物が、≧20℃、若しくは≧21℃、若しくは≧22℃、若しくは≧24℃、若しくは≧26℃、若しくは≧28℃、若しくは≧30℃、若しくは≧32℃、若しくは≧34℃、かつ/又は≦100℃、若しくは≦95℃、若しくは≦90℃、若しくは≦26℃、若しくは≦88℃、若しくは≦86℃、若しくは≦85℃、若しくは≦80℃、若しくは≦75℃、若しくは≦70℃、若しくは≦65℃、若しくは≦60℃、若しくは≦55℃、若しくは≦50℃、若しくは≦45℃、若しくは≦40℃の温度で熱処理される、上記J2]~N2]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
P2]第1の組成物が、≧20℃、若しくは≧30℃、若しくは≧40℃、若しくは≧50℃、若しくは≧60℃、若しくは≧70℃、若しくは≧80℃、かつ/又は≦150℃、若しくは≦140℃、若しくは≦130℃、若しくは≦120℃、若しくは≦110℃、若しくは≦100℃、若しくは≦90℃の温度で熱処理される、上記J2]~O2]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
Q2]第1の組成物が、≧40%、若しくは≧42%、若しくは≧44%、若しくは≧46%、若しくは≧48%、若しくは≧50%、かつ/又は≦100℃、若しくは≦95%、若しくは≦90%、若しくは≦88%、若しくは≦86%、若しくは≦85%のパーセント相対湿度(RH%)で熱処理される、上記J2]~P2]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
R2]成分aが、無水物官能化エチレン系ポリマー、又は無水物官能化プロピレン系ポリマーである、上記J2]~Q2]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
S2]成分aが、無水物官能化エチレン系ポリマー、更には無水物官能化エチレン/α-オレフィンインターポリマー、更には無水物官能化エチレン/α-オレフィンコポリマーである、上記のJ2]~R2]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
T2]成分aが、無水物官能化プロピレン系ポマー、更に無水物官能化プロピレン/エチレンインターポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化プロピレン/エチレンコポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上記J2]~S2]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
【0088】
A3]成分aが、≧0.860g/cc、若しくは≧0.862g/cc、若しくは≧0.864g/cc、若しくは≧0.866g/cc、若しくは≧0.868g/cc、若しくは≧0.870g/cc、若しくは≧0.872g/cc、かつ/又は≦0.920g/cc、若しくは≦0.915g/cc、若しくは≦0.910g/cc、若しくは≦0.905g/cc、若しくは≦0.900g/cc、若しくは≦0.890g/cc、若しくは≦0.888g/cc、若しくは≦0.886g/cc、若しくは≦0.884g/cc、若しくは≦0.882g/cc、若しくは≦0.880g/cc、若しくは≦0.878g/cc(1cc=1cm3)の密度を有する、上記A]~M]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]若しくはI2]~T2]のいずれか1つの架橋組成物。
B3]成分aが、≦100,000MPa・s、若しくは≦90,000MPa・s、若しくは≦80,000MPa・s、若しくは≦70,000MPa・s、若しくは≦60,000MPa・s、若しくは≦50,000MPa・s、若しくは≦45,000MPa・s、若しくは≦40,000MPa・s、若しくは≦35,000MPa・s、若しくは≦30,000MPa・s、若しくは≦25,000MPa・s、若しくは≦22,000MPa・s、若しくは≦20,000mPa・s、若しくは≦18,000MPa・s、若しくは≦16,000MPa・s、若しくは≦14,000MPa・s、かつ/又は≧1,000MPa・s、若しくは≧2,000MPa・s、若しくは≧3,000MPa・s、若しくは≧4,000MPa・s、若しくは≧5,000MPa・s、若しくは≧6,000MPa・s、若しくは≧8,000MPa・s、若しくは≧10,000mPa・s、若しくは≧12,000MPa・sの溶融粘度(177℃)を有する、上記のA]~M]若しくはA3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]若しくはA3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又はN]、I2]~T2]若しくはA3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
C3]成分aが、≧20、若しくは≧50、若しくは≧100、若しくは≧200、若しくは≧300、若しくは≧400、若しくは≧500、若しくは≧550dg/分、かつ/又は≦2,000、若しくは≦1,500、若しくは≦1,000、若しくは≦900、若しくは≦800、若しくは≦700、若しくは≦600dg/分のメルトインデックス(I2)を有する、上記のA]~M]、A3]若しくはB3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、A3]若しくはB3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、A3]若しくはB3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
D3]成分aが、≧50℃、若しくは≧55℃、若しくは≧60℃、若しくは≧65℃、若しくは≧70℃、若しくは≧75℃、若しくは≧80℃、若しくは≧85℃、かつ/又は≦150℃、若しくは≦145℃、若しくは≦140℃、若しくは≦135℃、若しくは≦130℃、若しくは≦125℃、若しくは≦120℃、若しくは≦115℃、若しくは≦110℃、若しくは≦105℃、若しくは≦100℃の融点(Tm)を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~C3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~C3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~C3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
E3]成分aが、≧-70℃、若しくは≧-68℃、若しくは≧-66℃、若しくは≧-64℃、若しくは≧-62℃、若しくは≧-60℃、若しくは≧-59℃、かつ/又は≦-40℃、若しくは≦-42℃、若しくは≦-44℃、若しくは≦-46℃、若しくは≦-48℃、若しくは≦-50℃、若しくは≦-52℃、若しくは≦-54℃、若しくは≦-56℃のガラス転移温度(Tg)を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~D3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~D3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~D3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
F3]成分aが、≧10%、若しくは≧12%、若しくは≧14%、若しくは≧16%、若しくは≧18%、若しくは≧19%、かつ/又は≦80%、若しくは≦60%、若しくは≦40%、若しくは≦35%、若しくは≦30%、若しくは≦28%、若しくは≦26%、若しくは≦24%、若しくは≦22%、若しくは≦21%のパーセント結晶化度を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~E3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~E3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~E3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
G3]成分aが、≧10,000、若しくは≧15,000、若しくは≧20,000、若しくは≧25,000、若しくは≧30,000、若しくは≧32,000、若しくは≧34,000、若しくは≧35,000かつ/又は≦100,000、若しくは≧80,000、若しくは≧60,000、若しくは≧55,000、若しくは≧50,000、若しくは≧48,000、若しくは≧46,000、若しくは≧44,000、若しくは≧42,000、若しくは≧40,000g/molの重量平均分子量Mwを有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~F3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~F3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~F3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
H3]成分aが、≧6,000、若しくは≧8,000、若しくは≧10,000、若しくは≧12,000、かつ/又は若しくは≧70,000、若しくは≦60,000、若しくは≧50,000、若しくは≧40,000、若しくは≧30,000、若しくは≧28,000、若しくは≧26,000、若しくは≧24,000、若しくは≧22,000、若しくは≧20,000、若しくは≧18,000g/molの数平均分子量Mnを有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~G3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~G3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~G3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
I3]成分aが、≧2.00、若しくは≧2.10、若しくは≧2.20、若しくは≧2.30、若しくは≧2.40g/mol、かつ/又は≦3.50、若しくは≦3.40、若しくは≦3.30、若しくは≦3.20、若しくは≦3.10、若しくは≦3.00、若しくは≦2.90、若しくは≦2.80、若しくは≦2.70、若しくは≦2.60、若しくは≦2.50の分子量分布(Mw/Mn)を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~H3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~H3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~H3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
J3]成分aが、無水物官能化オレフィン系ポリマーの重量に基づいて、≧0.5重量%、若しくは≧0.6重量%、若しくは≧0.7重量%、若しくは≧0.8重量%、若しくは≧0.9重量%、若しくは≧1.0重量%、若しくは≧1.1重量%、かつ/又は≦20重量%、若しくは≦15重量%、若しくは≦10重量%、若しくは≦5.0重量%、若しくは≦4.0重量%、若しくは≦3.5重量%、若しくは≦3.0重量%、若しくは≦2.5重量%、若しくは≦2.0重量%、若しくは≦1.8重量%、若しくは≦1.6重量%、若しくは≦1.4重量%の無水物基を含む、上記のA]~M]、若しくはA3]~I3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~I3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~I3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
K3]成分aが、無水物官能化エチレン系ポリマー、更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、更に無水物官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上記のA]~M]、若しくはA3]~J3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~J3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~J3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
L3]成分aが、無水物グラフト化エチレン系ポリマー、更にグラフト化無水物エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物グラフト化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上記のA]~M]、若しくはA3]~K3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~K3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~K3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
M3]アルファ-オレフィンが、C3~C20アルファ-オレフィン、更にC3~C10アルファ-オレフィンであり、更に、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン又は1-オクテン、及び更にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン又は1-オクテン、更にプロピレン、1-ブテン又は1-オクテン、及び更にプロピレン、1-ブテン又は1-オクテン、更に1-ブテン又は1-オクテン、及び更に1-オクテンから選択される、上記のK3]若しくはL3]に記載のプロセス、又は上記のK3]若しくはL3]に記載の第1の組成物、又は上記のK3]若しくはL3]に記載の架橋組成物。
N3]無水物官能化オレフィン系ポリマーの無水物が、無水マレイン酸から誘導される、上記のA]~M]、若しくはA3]~M3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~M3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~M3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
O3]第1の組成物が、粘着付与剤(成分c)を更に含む、上記のA]~M]、若しくはA3]~N3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~N3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~N3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
P3]成分cに対する成分aの重量比が、≧1.00、若しくは≧1.20、若しくは≧1.40、若しくは≧1.60、若しくは≧1.80、若しくは≧2.00、若しくは≧2.10、若しくは≧2.20、かつ/又は≦3.00、若しくは≦2.80、若しくは≦2.60、若しくは≦2.50、若しくは≦2.40、若しくは≦2.35、若しくは≦2.30である、上記O3]のプロセス、又は上記O3]の第1の組成物、又は上記O3]の架橋組成物。
Q3]成分cが、炭化水素樹脂、更に水素化炭化水素樹脂である、上記のA]~M]、若しくはA3]~P3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~P3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~P3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
R3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≧15重量%、若しくは≧20重量%、若しくは≧30重量%、若しくは≧40重量%、若しくは≧50重量%、若しくは≧55重量%、若しくは≧60重量%、若しくは≧65重量%、かつ/又は≦95重量%、若しくは≦90重量%、若しくは≦85重量%、若しくは≦80重量%、若しくは≦75重量%の成分aを含む、上記のA]~M]、若しくはA3]~Q3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~Q3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~Q3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
S3]組成物が、成分aとcとの合計100当たり、≧0.80、若しくは≧0.90、若しくは≧1.00、かつ/又は≦5.00、若しくは≦4.50、若しくは≦4.00、若しくは≦3.50、若しくは≦3.00、若しくは≦2.80、又は≦2.60、若しくは≦2.50部の成分bを含む、上記A]~M]、若しくはA3]~R3]のいずれか1つのプロセス、又は上記A2]~H2]、若しくはA3]~R3]のいずれか1つの第1の組成物、又は上記N]、I2]~T2]、若しくはA3]~R3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
T3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≧15重量%、若しくは≧20重量%、若しくは≧22重量%、若しくは≧24重量%、若しくは≧26重量%、若しくは≧28重量%の成分c、かつ/又は≦50重量%、若しくは≦45重量%、若しくは≦40重量%、若しくは≦38重量%、若しくは≦36重量%、若しくは≦34重量%、若しくは≦32重量%、若しくは≦30重量%の成分cを含む、上記のA]~M]、若しくはA3]~S3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~S3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~S3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
U3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≧80.0重量%、若しくは≧90.0重量%、若しくは≧92.0重量%、若しくは≧94.0重量%、若しくは≧96.0重量%、若しくは≧98.0重量%、若しくは≧99.0重量%、若しくは≧99.2重量%、若しくは≧99.5重量%、かつ/又は≦100.0重量%、若しくは≦99.9重量%、若しくは≦99.8重量%、若しくは≦99.7重量%、若しくは≦99.6重量%の成分a、b及びcの合計を含む、上記のA]~M]、若しくは、A3]~T3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~T3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~T3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
V3]第1の組成物が、120℃における1時間後に、≧5,000、若しくは≧10,000、若しくは≧15,000、若しくは≧20,000、若しくは≧25,000、若しくは≧30,000、若しくは≧35,000、若しくは≧40,000mPa・s、かつ/又は≦60,000、若しくは≦65,000、若しくは≦55,000、若しくは≦50,000、若しくは≦45,000mPa・sの溶融粘度(η1)を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~U3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~U3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~U3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
W3]第1の組成物が、177℃における1時間後に、≧1,000、若しくは≧2,000、若しくは≧3,000、若しくは≧4,000、若しくは≧4,500、若しくは≧5,000、若しくは≧5,500mPa・s、かつ/又は≦10,000、若しくは≦9,000、若しくは≦8,000mPa・sの溶融粘度(η1)を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~V3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~V3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~V3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
X3]第1の組成物が、120℃において、≦35%、若しくは≦30%、若しくは≦28%、若しくは≦26%、若しくは≦25%、若しくは≦24%、かつ/又は≧1.0%、若しくは≧5.0%、若しくは≧8.0%、若しくは≧10%の溶融粘度の増加パーセント(120℃における%Δη3)を有し、120℃における%Δη3=[(η3-η1)/η1]×100であり、式中、η3は、120℃で3時間後の溶融粘度であり、η1は、120℃で1時間後の溶融粘度である、上記のA]~M]、若しくはA3]~W3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~W3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~W3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
Y3]第1の組成物が、120℃において、≦45%、若しくは≦40%、若しくは≦38%、若しくは≦36%、かつ/又は≧10%、若しくは≧15%、若しくは≧20%の溶融粘度の増加パーセント(120℃における%Δη4)を有し、120℃における%Δη4=[(η4-η1)/η1]×100であり、式中、η4は、120℃で4時間後の溶融粘度であり、η1は、120℃で1時間後の溶融粘度である、上記のA]~M]、若しくはA3]~X3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~X3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~X3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
Z3]第1の組成物が、177℃において、≦75%、若しくは≦72%、若しくは≦70%、若しくは≦69%、若しくは≦65%、若しくは≦62%、若しくは≦60%、若しくは≦58%、若しくは≦55%、かつ/又は≧12%、若しくは≧14%、若しくは≧16%の溶融粘度の増加パーセント(177℃における%Δη3)を有し、177℃における%Δη3=[(η3-η1)/η1]×100であり、式中、η3は、177℃で3時間後の溶融粘度であり、η1は、177℃で1時間後の溶融粘度である、上記のA]~M]、若しくはA3]~Y3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~Y3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~Y3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
【0089】
A4]第1の組成物が、22℃、50%RHにおいて3日後に、≧70℃、若しくは≧72℃、若しくは≧74℃、若しくは≧76℃、若しくは≧78℃、若しくは≧80℃、若しくは≧83℃、若しくは≧85℃、若しくは≧90℃、かつ/又は≦170℃、若しくは≦165℃、若しくは≦160℃、若しくは≦155℃、若しくは≦150℃、若しくは≦145℃、若しくは≦140℃、若しくは≦135℃、若しくは≦130℃、若しくは≦125℃、若しくは≦120℃のSAFT値を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~Z3]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~Z3]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~Z3]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
B4]第1の組成物が、35℃、85%RHにおいて7日後に、≧80℃、若しくは≧85℃、若しくは≧88℃、若しくは≧90℃、若しくは≧92℃、若しくは≧94℃、若しくは≧96℃、若しくは≧98℃、若しくは≧100℃、若しくは≦102℃、若しくは≦104℃、かつ/又は≦200℃、若しくは≦190℃、若しくは≦180℃、若しくは≦175℃、若しくは≦170℃、若しくは≦160℃、若しくは≦150℃、若しくは≦140℃、若しくは≦135℃、若しくは≦130℃、若しくは≦125℃のSAFT値を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~A4]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~A4]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~A4]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
C4]第1の組成物が、空気中、85℃、85%RHにおいて7日後に、≧100℃、若しくは≧115℃、若しくは≧118℃、若しくは≧120℃、若しくは≧122℃、若しくは≧124℃、若しくは≧126℃、若しくは≧128℃、かつ/又は≦200℃、若しくは≦190℃、若しくは≦185℃、若しくは≦180℃、若しくは≦175℃のSAFT値を有する、上記のA]~M]、若しくはA3]~B4]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~B4]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~B4]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
D4]第1の組成物が、少なくとも1つの添加剤、更に少なくとも1つの抗酸化剤を更に含む、上記のA]~M]、若しくはA3]~C4]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~C4]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~C4]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
E4]第1の組成物が、第1の組成物が、モノマー(複数可)タイプ、モノマー分布、溶融粘度(177℃)、密度、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の特徴において成分aとは異なるポリマーを更に含む、上記のA]~M]、若しくはA3]~D4]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~D4]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~D4]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
F4]第1の組成物が、≦0.50ppm、又は≦0.20ppm、又は≦0.10ppm、又は≦0.05ppm、又は≦0.02ppm、又は≦0.01ppmの過酸化物を含み、及び更に、第1の組成物が、過酸化物を含まない、上記のA]~M]、若しくはA3]~E4]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~E4]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~E4]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
G4]架橋組成物が、CL1、CL2、CL3又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの構造を含み、
【0090】
【化14】
式中、独立して、
CL1)、CL2)、CL3)の各々について、
各
【0091】
【化15】
表記は、独立して、架橋組成物の別のポリマー鎖の一部を表し、
各アスタリスク(
*)は、独立して、上記のそれぞれの-CH2-CHZ-基に結合された残りのポリマー鎖の一部を表し、Zは、上記のそれぞれのペンダント架橋部位であり、
Xは、Yに結合されている炭素原子を含有するC3~C8、更にC4~C7、更にC5~C6環構造の残りの部分であり、又は、Xは、存在せず、Yは、「-CH(OH)-CH
2-0-」架橋の末端炭素原子に結合されており、
Yは、独立して、ヒドロカルビレン基又はヘテロヒドロカルビレン基であり、
各Rは、独立して、OH基、アルコキシ基又はアルキル基である、上記のA]~M]、若しくはA3]~F4]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、若しくはA3]~F4]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、若しくはA3]~F4]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
【0092】
A5]以下の構造CL1、CL2、CL3又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む架橋組成物であって、式中、CL1、CL2及びCL3は、各々上記されている(G4]を参照されたい)、架橋組成物。
B5]第1の組成物が、接着剤であり、更にホットメルト接着剤である、上記A2]~H2]又はA3]~G4]のいずれか1つに記載の第1の組成物。
C5]上記のA2]~H2]、A3]~G4]若しくはB5]のいずれか1つの第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、A3]~G4]若しくはA5]のいずれか1つの架橋組成物を含む少なくとも1つの成分を含む物品。
D5]上記のA2]~H2]、A3]~G4]若しくはB5]のいずれか1つの第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、A3]~G4]若しくはA5]のいずれか1つの架橋組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品。
E5]組成物が、物品の2つの表面を一緒に接着させる、上記D5]のC5]に記載の物品。
F5]物品が、家具、本又は容器である、上記C5]又はD5]に記載の物品。
G5]成分aが、無水物官能化プロピレン系ポリマー、更に無水物官能化プロピレン/エチレンインターポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、及び更に無水物官能化プロピレン/エチレンコポリマー又は無水物官能化プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上記のA]~M]、A3]~J3]若しくはN3]~G4]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、A3]~J3]若しくはN3]~G4]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、A3]~J3]若しくはN3]~G4]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
H5]成分aが、無水物グラフト化プロピレン系ポリマー、更には無水物グラフト化プロピレン/エチレンインターポリマー又は無水物グラフト化プロピレン/α-オレフィンインターポリマー、更には無水物グラフト化プロピレン/エチレンコポリマー又は無水物グラフト化プロピレン/α-オレフィンコポリマーである、上記A1]~M1]、A3]~J3]、N3]~G4]若しくはG5]のいずれか1つの方法、又は上記A2]~H2]、A3]~J3]、N3]~G4]若しくはG5]のいずれか1つの第1の組成物、又は上記N1、I2]~T2]、A3]~J3]、N3]~G4]若しくはG5]のいずれか1つの架橋組成物。
I5]アルファ-オレフィンが、C4~C20アルファ-オレフィンであり、及び更にC4~C10アルファ-オレフィンであり、更に、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン又は1-オクテン、及び更に1-ブテン、1-ヘキセン又は1-オクテン、及び更に1-ブテン又は1-オクテン、及び更にプロピレン、1-ブテン又は1-オクテン、及び更に1-オクテンから選択される、上記のG5]若しくはH5]に記載のプロセス、又は上記のG5]若しくはH5]に記載の第1の組成物、又は上記のG5]若しくはH5]に記載の架橋組成物。
J5]第1の組成物が、少なくとも1つのワックスを更に含む、上記のA]~M]、A3]~G4]若しくはG5]~I5]のいずれか1つに記載のプロセス、又は上記のA2]~H2]、A3]~G4]若しくはG5]~I5]のいずれか1つに記載の第1の組成物、又は上記のN]、I2]~T2]、A3]~G4]若しくはG5]~I5]のいずれか1つに記載の架橋組成物。
【0093】
試験方法
ポリマー及び第1の組成物の溶融粘度
溶融粘度は、ASTM D 3236に従って、Brookfield粘度計(Model DV0III、バージョン3)、及びSC-31ホットメルト粘度計スピンドルを使用して、以下の温度で、すなわち、a)無水物官能化オレフィン系ポリマー(成分a)については177℃、b)第1の組成物については120℃、150℃又は177℃で測定した。この方法を使用して、(160℃における)粘着付与剤の溶融粘度を測定することもできる。試料を、アルミニウム製の使い捨てのチューブ型チャンバに注ぎ、これをBrookfield Thermoselに挿入し、所定の位置に固定した。試料チャンバは、Brookfield Thermoselの底部に適合するノッチを底部に有しており、スピンドルを挿入して回転させているときに、チャンバが回転しないようにした。溶融した試料が試料チャンバの最上部よりも1インチ下方になるまで、試料(約8~10グラム)を必要な温度に加熱した。粘度計装置を下降させ、スピンドルを試料チャンバの中央に沈めた。スピンドルはチャンバの側面に触れないようにした。粘度計上のブラケットがThermosel上に整列するまで、下降を続けた。粘度計の電源を入れ、粘度計のrpm出力に基づいて、全トルク容量の40~60パーセントの範囲内のトルク読み取りをもたらす定常剪断速度で作動するように設定した。15分毎に読み取りを取得するか、又は値が安定するまで読み取りを取得し、その時点で最終読み取りを記録した。
【0094】
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)
別途明記しない限り、下記のように、示差走査熱量測定(DSC)を使用して、エチレン系(PE)試料及びプロピレン系(PP)試料におけるTm、Tc、Tg、及び結晶化度を測定する。各試料(0.5g)を、190℃で10~15秒間にわたって25000psiで圧縮成形してフィルムにした。約5~8mgのフィルム試料を秤量し、DSCパンの中に入れる。密閉された環境を確保するために受皿に蓋を圧着する。試料のパンをDSCセルに入れ、約10℃/分の速度でPEについて180℃(PPについて230℃)の温度まで加熱する。この温度で試料を3分間保持する。次いで、試料を、10℃/分の速度で、PEについては-90℃(PPについては-60℃)まで冷却し、その温度で3分間等温に保持する。次に、完全に溶融するまで、10℃/分の速度で試料を加熱する(第2の加熱)。別途明記しない限り、各ポリマー試料の融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)は、第2の熱曲線から決定し、結晶化温度(Tc)は第1の冷却曲線から決定した。Tgと、Tmのそれぞれのピーク温度とを記録した。結晶化度百分率を、第2の熱曲線から決定した融解熱(heat of fusion、Hf)を、PEの場合は292J/gの理論融解熱(PPの場合は165J/g)で除し、この量に100を乗じることによって計算することができる(例えば、結晶化度%=(Hf/292J/g)×100(PEの場合))。
【0095】
密度
ポリマーの密度は、ASTM D1928に従ってポリマー試料を調製し、次いで、試料プレスの1時間以内にASTM D792、方法Bに従って密度を測定することによって測定される。
【0096】
ゲル浸透クロマトグラフィーーエチレン系ポリマー
クロマトグラフィーシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC-IR(Valencia,Spain)の高温GPCクロマトグラフからなる。オートサンプラーのオーブンコンパートメントは、160℃に設定し、カラムコンパートメントは、150℃に設定する。カラムは、4つのAGILENT「Mixed A」30cm、20ミクロンの直線状混床式カラムであった。クロマトグラフィー溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する、1,2,4-トリクロロベンゼンである。溶媒源に窒素をスパージする。注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分である。
【0097】
GPCカラムセットの較正は、580~8,400,000g/molの範囲の分子量を有する21の狭分子量分布ポリスチレン標準を用いて行い、それらの標準は、個々の分子量の間が少なくとも10倍離れた6つの「カクテル」混合物として準備する。標準品は、Agilent Technologiesから購入する。1,000,000以上の分子量については溶媒「50ミリリットル中0.025グラム」で、1,000,000未満の分子量については溶媒「50ミリリットル中0.05グラム」で、ポリスチレン標準を調製する。ポリスチレン標準物質を、80℃で穏やかに撹拌しながら、30分間溶解させる。ポリスチレン標準ピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換する(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり)。
Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)B (式1)
(式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい)。
【0098】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン等価較正点にあてはめる。Aに対して小さな調整(約0.375~0.445)を行い、直鎖状ホモポリマーポリエチレン標準が120,000Mwで得られるように、カラム分解能及びバンド拡張効果を補正する。
【0099】
GPCカラムセットの合計プレート計数は、デカン(50ミリリットルのTCB中の0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて行う。プレート計数(式2)及び対称性(式3)を、次式によって200マイクロリットルの注入で測定する。
【0100】
【数1】
(式中、RVは、ミリリットル単位の保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットル単位であり、ピーク最大は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大の1/2高さである)、及び
【0101】
【数2】
(式中、RVはミリリットル単位での保持体積であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大はピークの最大位置であり、1/10高さはピーク最大の1/10高さであり、後ピークとはピーク最大よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前ピークとはピーク最大よりも前の保持体積でのピーク前を指す)。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は18,000超になるべきであり、対称性は0.98~1.22になるべきである。
【0102】
試料をPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動で調製し、2mg/mLを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有している)を添加する。「低速」振盪下で、160℃で2時間、試料を溶解する。
【0103】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアと、等間隔の各データ収集点(i)においてベースラインを差し引いたIRクロマトグラフと、方程式1からの点(i)における狭い標準較正曲線から得られたポリエチレン等価分子量とを使用して、方程式4~6に従うPolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャンネル)を使用して、GPC結果に基づいて計算する。式4~6は、以下のとおりである:
【0104】
【0105】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入する。この流量マーカー(FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))のRVを、狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれと整合することによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に補正するために使用する。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、実行の全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当てはめる最小二乗適合ルーチンが使用される。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に関して)有効流量を、式7のように計算する:流量(実効)=流量(見かけ)*(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(式7)。流量マーカーピークの処理を、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行う。許容される流量補正は、有効流量が、見かけの流量の+/-0.7%以内のものである。
【0106】
メルトインデックス
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)は、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される。プロピレン系ポリマーのメルトフローレート(melt flow rate、MFR)は、特に記載のない限り、ASTM D-1238、条件230℃/2.16kgに従って測定される。
【0107】
剪断接着破壊温度(SAFT)
剪断接着破壊温度(SAFT)は、
Chem instruments OSI-8プログラム可能なオーブンを使用して、重さ500グラムでASTM D4498に従って測定される。各試験試料を、最初にオーブンにおいて40℃で10分間平衡化し、オーブン温度を0.5℃/分の平均速度で上昇させる。接着結合が破壊した温度を記録する。各試験試料は、500グラムの重りを使用する剪断モード構成である。
【0108】
「60g/m2」のクラフト紙の2枚のシートを使用して、各SAFT試験試料を調製する。各シートの寸法は、6インチ×12インチ(152mm×305mm)である。底部のシート上において、マスキングテープなどの片面感圧テープの「1.75インチ又は2インチ(45mm又は51mm)」幅の2つのストリップを、長さ方向に、1インチ(25mm)の隙間を開けて、平行に接着させる。「1インチの隙間」が底部シートの中央を長さ方向に走行するように、テープの2つのストリップを配置する。
【0109】
試験する接着剤組成物(第1の組成物)を、170℃(338°F)に加熱し、次いで、テープの2つのストリップの間に形成させた「1インチの隙間」の中央に均等になるように垂らす。次いで、組成物が過度に厚くなり得る前に、次のようにして、結合紙テンプレートを迅速に形成させる。ロッドによって、底部シートを直接押さえ付け、隙間内の接着剤組成物を平らにした。このロッドには、隙間の両側で、同じテープのストリップでシムが設けられる。この第1のロッドの通過後に、クラフト紙の第2のシートを底部シートに位置合わせして、底部シートの上に置き、第2のロッドによってこの上部シートを直接押さえ付けて、結合紙テンプレートを形成させる。全体として、第1のロッドは、テープストリップ間の隙間にある組成物を均等に広げ、第2のロッドは、隙間の上部及びテープストリップの上部を覆っている第2のシートを均等に圧縮する。結合紙テンプレート内で、接着剤組成物の単一の1インチ(25.4mm)幅のストリップは、底部紙シート及び上部紙シートを結合する。紙テンプレートは、横方向に切断して、幅「1インチ(25.4mm)」及び長さ「3インチ(76.2mm)」のストリップにし、試験試料を形成させる。各試験試料は、中央に「1インチ×1インチ」の接着剤結合領域を有し、結合厚さは約8~10ミル(0.008~0.010インチ)であった。各試験試料を、特定の時間、温度及びRH%において、空気中で硬化させる。次いで、試験試料を、上記したようにSAFT試験で使用する。各組成物について、2つの試験試料を、試験し、平均破壊温度を記録した。
【0110】
実験
試薬及びポリマー
試薬及びポリマーを表1に示す。
【0111】
【0112】
以下のエポキシ-シラン化合物を使用することもできる:
【0113】
【0114】
AFFINITY GA 1000Rポリマーについては、空気中での長い貯蔵時間の後、通常は、FTIRによって見られるように、無水物基の全て又はほとんどが酸基に変換する。したがって、AFFINITY GA 1000Rを、撹拌しながら、180℃で15~20分間熱処理して、酸基を無水物基に完全に変換した(無水物処理)。変換は、FTIRによってモニターすることができる。本明細書では、以下の表2の「AFFINITY GA 1000R酸」は、無水物処理なしのAFFINITY GA 1000Rを示しており、「AFFINITY GA 1000R-無水物」は、無水物処理後のポリマーである。
【0115】
研究1-架橋反応のFTIR分析
FTIR試験
硬化前後の第1の組成物を、ダイヤモンド結晶を備えた単一反射ATRアタッチメントを使用して、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって調べた。ATR分析中の浸透深さは、2ミクロンであると推定された。Thermo Electron Nicolet 5700 Optical Benchを使用して、4cm-1の分解能で、32回の走査によってスペクトルを収集した。
【0116】
FTIRフィルムの調製
第1の組成物
架橋剤を除く組成物成分(70gのAFFINITY GA 1000R無水物、30gのTackifier ESCOREZ 5400及び0.5gのIRGANOX 1010)を、250mLのステンレス鋼容器に入れた。次いで、この容器を、空気循環オーブンに入れ、温度を180℃(オーブン温度)に上昇させ、組成物を、完全に溶融するまで熱処理した(30~60分)。次いで、組成物を、180~200℃で15分間、機械的撹拌器で撹拌した。次に、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチル-トリメトキシシラン、CAS:3388-04-3(1.25g)を添加し、得られた混合物を、180~200℃で4~7分間撹拌した。次いで、その最終混合物を、厚さ1mmのフィルムモールドに注ぎ、冷却して、FTIR試験用のフィルムを得た。
【0117】
架橋組成物
上記フィルムを、以下の条件下で硬化させた:35℃/85%RH、空気循環オーブン、7日間。
【0118】
データの分析
AFFINITY GA 1000R酸及び無水物のFTIRスペクトルを、それぞれ
図1及び
図2に示す。酸のC=Oシグナルは、約1711cm
-1であり、無水物シグナルは、約1785cm
-1である。混合直後の第1の組成物のFTIRを、
図3に示す。このFTIRプロファイルは、混合組成物中にエステル(1735~1740cm
-1)シグナル及びシリコーン(1030~1050cm
-1)シグナルが存在しないことを明確に示している。無水物からの信号(1786cm
-1)は存在し、それは、混合工程(物理的ブレンド)中にMAH-g-ポリマーの無水物基とエポキシ-シランとの間に感知できるほどの反応がないことを示している。
【0119】
硬化後の組成物のFTIRを、
図4に示す。無水物のシグナルは、消失し、一方、OH(3598cm
-1)、エステル結合(1735cm
-1)、酸(1723cm
-1)及びシリコーン(1039cm
-1)の新たなシグナルが出現している。これらの結果は、以下のスキーム1に記載の提案された機構を強く実証している。スキーム1では、各
【0120】
【化17】
表記は、独立して、架橋組成物の別のポリマー鎖の一部を表し、各アスタリスク(
*)は、独立して、下記のそれぞれの-CH2-CHZ-基に結合された残りのポリマー鎖の一部を表し、式中、Zは、下記のそれぞれのペンダント架橋部位である。
【0121】
【0122】
試験2-熱安定性及び接着性
第1の組成物の調製
「AFFINITY GA 1000R-無水物」を含有する第1の組成物
各組成物について、表2に示したように、架橋剤(エポキシ-シラン又はアミノ-シラン)を除く対応する成分を秤量してステンレス鋼容器(250mL)に入れ、それをオーブンに配置し、組成物が溶融するまで180℃の温度(オーブン温度)で30~60分間加熱した。次いで、90~150回転/分(rpm)で稼働する「Paravisc style」混合ヘッドを用いて、その組成物を、180~200℃の温度で、15分間、溶融ブレンドした。架橋剤を添加し、組成物を180~200℃で10分間撹拌した。比較第1組成物(CE2~CE4)は、各々、混合段階中にゲル化した。
【0123】
各第1の組成物(IE1~IE8)の粘度安定性を、組成物の溶融粘度を経時的に測定することによって調べた。結果を表3に示す。
【0124】
「AFFINITY GA 1000R-酸」を含有する第1の組成物
表2に示した組成物(CE5)の成分を、秤量してステンレス鋼容器に入れ、90~150回転/分(rpm)で稼働する「Paravisc style」混合ヘッドを用いて、180~200℃の温度で、15分間、溶融ブレンドした。組成物は、この混合段階中にゲル化した。
【0125】
第1の組成物の硬化(表4、CE1、CE6及びIE1~IE8を参照されたい)
SAFT試験試料を、各組成物のために作製した。上記の試験方法の項を参照されたい。各第1の組成物を、以下のように、空気中又は空気循環オーブン内で、3つの硬化プロファイルのうちの1つを使用して硬化させた:a)22℃、50%RHで1、3、5若しくは7日間硬化、b)35℃、85%RHで1、2、3、4若しくは7日間の硬化、又はc)85℃、85%RHで7日間の硬化。各架橋組成物の凝集力は、SAFT試験を使用して測定した。結果を表4に示す。上記の硬化プロファイルについて、オーブン温度は、35℃及び85℃で代表するが、試験試料は、10分未満でオーブン温度に迅速に平衡化した。また、22℃の温度は、制御された実験室環境における空気の温度であった。オーブン内のRH%は、内蔵湿度モニター装置によって制御し、22℃でのRH%も同様のデバイスによって制御した。
【0126】
【表2】
A)無水物又は酸の重量%は、酸塩基滴定によって測定することができる。例えば、I.Rahayu,Maleic Anhydride Grafted onto High Density Polyethylene with an Enhanced Grafting Degree via Monomer Microencapsulation,Heliyon,6,2020,1-6に記載の滴定法を参照されたい。
B)MAH=マレイン酸無水物(グラフト化)
C)XL=架橋剤(エポキシ-シラン又はアミノ-シラン)
【0127】
【表3】
ゲル-粘度は無限大に近づいた。粘度安定性なし
【0128】
【0129】
結果の要約-研究2
表3に見られるように、本発明の実施例の第1の組成物(IE1~IE4及びIE6~IE8)は、優れた熱安定性を有していた。例えば、120℃で4時間後、溶融粘度の増加は、36%未満であった(IE1、IE3、IE4、及びIE7)。177℃で3時間後、溶融粘度の増加は、69%未満であった(IE1~IE3及びIE6)。一方、各々アミノシランを含有する比較例(CE2~CE4)は、調製時にゲル化(架橋)した。これらの比較組成物は、本発明の組成物と比較して、無水物基に対する架橋剤の有意に低いモル比を含んでおり、比較組成物では架橋度が低いことが予想されることから、この結果は予想外である(表2参照)。「酸コポリマー」を含有する比較組成物(CE5)も、調製時にゲル化した。
【0130】
接着結果に関して、本発明の実施例は、表4に見られるように、それぞれの比較対照よりも有意に高いSAFT値を有していた。例えば、22℃及び50%RHにおいて7日間の硬化後に、本発明の実施例(IE1~IE4、IE6及びIE7)は、約82℃~約124℃のSAFT値を有していたが、比較対照(CE1)は、約73℃のSAFT値を有していた。35℃及び85%RHにおいて7日間の硬化後に、本発明の実施例(IE2、IE4及びIE6)は、約100℃~約110℃のSAFT値を有していたが、比較対照(CE1)は、約73℃のSAFT値を有していた。85℃及び85%RHにおいて7日間の硬化後に、本発明の実施例(IE1~IE4、IE6及びIE7)は、約128℃~>170℃のSAFT値を有していたが、比較対照(CE1)は、約73℃の値を有していた。
【0131】
22℃及び50%RHにおいて「7日間硬化」後に、本発明の実施例IE5は、約119℃のSAFT値を有していたが、比較対照(CE6)は、約83℃のSAFT値を有していた。35℃及び85%RHにおいて7日間の硬化後に、実施例IE5は、約122℃のSAFT値を有していたが、比較対照(CE6)は、約83℃のSAFT値を有していた。85℃及び85%RHにおいて「7日間硬化」後に、実施例IE5は、約132℃のSAFT値を有していたが、比較対照(CE6)は、約83℃のSAFT値を有していた。本発明の実施例IE8は、表4に見られるように、高いSAFT値(≧154℃)を有していた。
【0132】
上述したように、本発明の組成物は、優れた高温安定性及び硬化性能を有することが発見された。データは、無水物及びエポキシ-シランが、高温での物理的ブレンドの形成中に、感知できる程度に反応しないことを立証している。これは、高温での第1の組成物の優れた粘度安定性をもたらし、長期の安定した加工ウィンドウを提供する。湿分硬化中に、無水物は、加水分解して二酸を形成し、1つの酸基は、エポキシと反応し、残りの酸基は、硬化反応を触媒する。
【国際調査報告】