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特表2024-525312コモンパス光干渉断層撮影を用いた口腔内スキャナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】コモンパス光干渉断層撮影を用いた口腔内スキャナ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240705BHJP
   A61B 1/24 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575679
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 US2022035778
(87)【国際公開番号】W WO2023278736
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,901
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513097067
【氏名又は名称】デンタル・イメージング・テクノロジーズ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】マ, シユ
(72)【発明者】
【氏名】タオ, シャオドン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ヴィクター シー.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161BB08
4C161CC07
4C161FF40
4C161FF46
4C161MM10
4C161NN01
4C161QQ09
4C161RR01
4C161RR04
4C161RR17
(57)【要約】
口腔内サンプルを画像化するための光干渉断層撮影スキャナは、一定の範囲の波長を有する走査光を生成するように構成された波長可変光源と、走査ヘッドを有する走査プローブと、を有する。光サーキュレータが、サンプルに光を伝達するために少なくとも第1の光ファイバを有する第1のサンプルアームに走査光を送り、サンプルからの散乱光及び反射光を有するサンプル信号を第1の光ファイバから逆に検出器に送り、走査ヘッドにおける部分反射面から第1の光ファイバに沿って反射して戻った光を有する基準信号を検出器に送るように構成されている。検出器は、結合されたサンプル信号及び基準信号の干渉を示すデジタル出力信号を形成する。ディスプレイが、デジタル出力信号によりサンプル特徴の画像を形成するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内サンプルを画像化するための光干渉断層撮影スキャナであって、前記スキャナは、
a)一定の範囲の波長を有する走査光を生成するように構成された波長可変光源と、
b)前記サンプルに光を送る走査ヘッドを有する走査プローブと、
c)光サーキュレータであって、
(i)前記走査ヘッドに光を伝達するために少なくとも第1の光ファイバを通して前記走査光を送り、
(ii)前記サンプルからの散乱光及び反射光を有するサンプル信号を、少なくとも前記第1の光ファイバを通して検出器に送り、
(iii)部分反射装置から反射して戻った光を有する基準信号を、少なくとも前記第1の光ファイバを通して前記検出器に送るように構成され、
d)前記検出器は、前記結合されたサンプル信号及び基準信号の干渉を示すデジタル出力信号を形成する、光サーキュレータと、
e)前記デジタル出力信号によりサンプル特徴の画像を形成するように構成されたディスプレイと、
を含む、光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項2】
前記部分反射装置は、少なくとも前記第1の光ファイバからの光を反射するように配置される、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項3】
前記部分反射装置は、窓またはプレートの部分反射面によって設けられる、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項4】
前記窓または前記プレートはウェッジである、請求項3に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項5】
前記部分反射装置はビームスプリッタ及びミラーからなる、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項6】
前記部分反射装置は、前記光の一部を後方反射するミラーである、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項7】
前記部分反射装置は、前記光の一部を後方反射ミラーに導くミラーからなる、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項8】
導かれる前記光の一部は中央付近の光である、請求項7に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項9】
前記走査ヘッドは口腔内走査用に構成される、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項10】
前記走査ヘッドは、前記光を1次元または2次元で走査する、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項11】
前記光サーキュレータ及び第1の光ファイバは、前記走査プローブの内部に収容される、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項12】
前記検出器も前記走査プローブの内部に収容される、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項13】
前記波長可変光源は前記走査プローブの内部に収容される、請求項12に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項14】
前記走査プローブは手持ち式プローブとして構成される、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項15】
前記光サーキュレータは、2つ以上のチャネルに対して走査光を送るように構成される、請求項1に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項16】
口腔内サンプルを画像化するための光干渉断層撮影スキャナであって、前記スキャナは、
a)一定の範囲の波長を有する走査光を生成するように構成された波長可変光源と、
b)前記サンプルに光を送る走査ヘッドを有する走査プローブと、
c)複数のチャネルとの間で光を送るように構成された光サーキュレータであって、各チャネルは、
(i)信号検出器と、
(ii)前記検出器及び前記光源と光通信し、前記光源からの前記走査光を前記走査ヘッドに伝達して、部分反射装置から反射された前記走査光を前記サンプルからの散乱光及び反射光と結合させるための光ファイバと、を有し、
d)前記検出器は、前記複数のチャネルのそれぞれからの前記結合された光の干渉を示すデジタル出力信号を形成する、光サーキュレータと、
e)前記デジタル出力信号によりサンプル特徴の画像を形成するように構成されたディスプレイと、
を含む、光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項17】
前記部分反射装置は、前記光ファイバから光を受け取る、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項18】
前記部分反射装置は、窓またはプレートの部分反射面によって設けられる、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項19】
前記窓または前記プレートはウェッジである、請求項18に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項20】
前記部分反射装置はビームスプリッタ及びミラーからなる、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項21】
前記部分反射装置は、前記光の一部を後方反射するミラーである、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項22】
前記部分反射装置は、前記光の一部を後方反射ミラーに導くミラーからなる、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項23】
導かれる前記光の一部は前記ミラーの中央付近の光である、請求項22に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項24】
前記光サーキュレータは、前記走査プローブの内部に前記走査ヘッドとともに収容される、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項25】
前記走査ヘッドは、前記光を1次元または2次元で走査する、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項26】
前記走査プローブは手持ち式プローブである、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【請求項27】
前記走査ヘッドは口腔内走査用に構成される、請求項16に記載の光干渉断層撮影スキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、米国仮出願第63/216,901号(2021年6月30日に出願)からの優先権を主張する。なおこの文献は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は全般的に、手持ち式の口腔内光干渉断層撮影(OCT)画像化に関し、より詳細には、コモンパスOCT原理を用いて走査するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光干渉断層撮影(OCT)は、干渉原理を用いてサンプルの深さ構造を特徴付ける高解像度の断面断層画像を得る非侵襲的画像化技術である。ヒト組織のインビボ画像化にとって特に好適であり、OCTは、その有用性を、生物医学研究及び医用画像化用途の範囲で、たとえば、眼科、皮膚科、腫瘍学、その他の分野、ならびに耳鼻咽喉科(ENT)及び歯科画像化において、示している。
【0004】
OCTは、生体組織内からの反射エネルギーを画像化して断面データを得る「光超音波」の種類として説明されている。OCT画像化システムでは、スーパールミネッセントダイオード(SLD)または他の光源などの広帯域幅供給源からの光は、2つの異なる光路に沿って送られる。すなわち、基準アームまたは既知の光路長の経路、及びサンプルアームまたは研究中の組織または他の対象を照射する経路である。そして、基準アーム及びサンプルアームからの反射光及び後方散乱光はOCT装置において再結合され、干渉効果を利用してサンプルの表面及び表面付近の下層構造の特性を決定する。干渉データを、サンプル全体にわたる照射を素早く走査することによって取得することができる。サンプル表面に沿った数千の点のそれぞれにおいて、OCT装置は干渉プロファイルを得る。干渉プロファイルを用いて、主として光源コヒーレンスの要因となる材料内への軸方向深さについてのAスキャンを再構成することができる。ほとんどの組織画像化の応用において、OCTは広帯域の照明源を使用し、最大で数ミリメートル(mm)の深さにおける画像コンテンツを提供できる。
【0005】
口腔内画像化の問題に適用されている種々の技術及びアプローチに対して著しい制限がある。カメラ及びスキャナサイズ及びフォームファクタに対する制約ならびに口腔内画像化環境の狭いスペース要件によって、口腔内表面を正確に特徴付けることが困難である。個々の表面特徴に正確に焦点を合わせること、好適な解像度及び焦点で患者の歯列の広い領域の画像コンテンツを提供すること、及び診断目的用に十分な照明を提供することは難しい可能性がある。
【0006】
歯及び他の口腔内構造の正確な画像化は、流体の影響により損なわれる可能性がある。歯の上及び周囲に溜まる可能性がある水、唾液、血液、及び他の流体によって、OCTだけでなく反射画像化システムに対して困難が生じる可能性がある。いくつかの照明装置において、投影光の一部のみが歯の表面、サンプルS上に当たる。同様に、歯の表面からの後方散乱光が、流体と空気の界面において再び屈折して、他の角度においてカメラによって取り込まれる。投影ビーム及び取り込まれた光ビームの逆光線追跡によって、画像化システムに向かってシフトされて画像歪みを引き起こす交点の位置が特定される。
【0007】
寸法の不正確に加えて、口内の流体からの反射によって、高い反射レベルによって飽和した、光るスポットが画像上に生成される可能性がある。口腔内画像化に対して特に顕著となる可能性があるさらなる他の問題としては、たとえば、厳しいスペース制約、曇り、血液/唾液/水からの湿り、歯の半透明性、歯肉/頬/舌による高レベルの光吸収及び散乱、及び患者の咽頭反射が挙げられる。これらなどの理由により、口腔内画像化は、動作、環境、及び画質に関して他のほとんどの生物医学的画像化用途について遭遇する問題の他に考慮すべき課題を示す。
【0008】
従来のOCTシステムでは、干渉計のアーキテクチャを適合させる。干渉計のアーキテクチャは通常、ファイバベース及びフリースペースの光学系と、そのサンプリングアーム及び基準アームとの間で光を送るための機械部品(たとえば、1つ以上のファイバカプラ、ファイバサーキュレータ、レンズ、及びミラー)との両方からなる。信頼性が高くて正確な干渉信号を取得するためには、サンプリングアーム及び基準アームの光路を正確に一致させる必要がある。調整可能な機械式基準アームが、最適な光路長を実現するために使用されることが多い。しかし、この要件は、以下を含むいくつかの固有の難しさを示す。
a.走査装置に対するサイズ、重量、及びコストの増加。調整可能な機械式基準アームは、複数の光学マウント、並進ステージ、キネマティックマウント、及び光学部品を使用することが多い。ミラーまたはレンズ素子の汚染を防止するために、光学システムは、特別にデザインされた筐体を必要とすることが多く、システムにさらなるコスト、重量、及び体積が追加され、臨床用または歯科用の椅子の設定への適応が不十分になる。
b.振動及び機械的ドリフトに対する感度。基準アームは、フリースペースのファイバカプラを含む多数のコンポーネントを含むことが多いため、環境振動に非常に敏感である可能性がある。また温度変化によって、基準アームに機械的ドリフトが生じて、画質が潜在的に損なわれ得る。
c.メンテナンス及びダウンタイムのコストが高い。高いファイバ結合効率を維持するために、年単位または月単位などの定期的な再調整が必要とされることが多い。この種の調整は、専門家が行う必要がある場合が多く、メンテナンスコスト及びダウンタイムコストが増加する。
d.製造コストの増加。高いファイバ結合効率を実現するためには、基準アームを調整するために特別な調整を行う必要があり、最終組立て及びテストに必要な時間が延びる。
e.基準アームの挿入損失が高い。従来のフリースペース基準アームは、フリースペースのファイバカプラの結合効率が低いために挿入損失が高くなることが多い。
【0009】
これらの問題は、複数の走査チャネルを使用するOCT走査デバイスにおいては、ますます複雑になる。サイズとコストを減らし、機械的ドリフト及び感度の原因をなくすのに役立つ改良は、OCT画像化をより使用可能で、頑強で、手頃な価格にするために有用である。
【発明の概要】
【0010】
本開示の目的は、口腔内OCT画像化の技術を進歩させることである。本開示の実施形態は特に、コモンパス光干渉断層撮影を使用したOCTデザインを能率化するための改善された方法の必要性に対処するものである。
【0011】
本出願の他の目的は、従来技術における少なくとも前述及び他の欠陥に全体的または部分的に対処することである。
【0012】
少なくとも本明細書に記載の利点を全体的または部分的に提供することは、本出願の関連する目的である。
【0013】
これらの目的は、単に説明のための例として与えており、このような目的は本出願の1つ以上の実施形態の典型であり得る。開示した装置及び方法によって本質的に達成される他の望ましい目的及び利点は、当業者が想到し得るかまたは明らかであり得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0014】
本開示の一態様によれば、口腔内サンプルを画像化するための光干渉断層撮影スキャナであって、スキャナは、
一定の範囲の波長を有する走査光を生成するように構成された波長可変光源と、
サンプルに光を送る走査ヘッドを有する走査プローブと、
光サーキュレータであって、
走査ヘッドに光を伝達するために少なくとも第1の光ファイバを通して走査光を送り、
サンプルからの散乱光及び反射光を有するサンプル信号を、少なくとも第1の光ファイバを通して検出器に送り、
部分反射装置から反射して戻った光を有する基準信号を、少なくとも第1の光ファイバを通して検出器に送るように構成され、
検出器は、結合されたサンプル信号及び基準信号の干渉を示すデジタル出力信号を形成する、光サーキュレータと、
デジタル出力信号によりサンプル特徴の画像を形成するように構成されたディスプレイと、を含む光干渉断層撮影スキャナが提供される。
【0015】
本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付図面に例示したように、本開示の実施形態の以下のより詳しい説明から明らかである。図面の要素は、互いに対して必ずしも一定の比率ではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施形態による典型的な掃引源OCT(SS-OCT)装置を示す概略図である。
【0017】
図2A】Bスキャンを取得するための走査動作の概略図である。
【0018】
図2B】Cスキャン取得のためのOCT走査パターンを示す図である。
【0019】
図3A】複数のチャネルを有する本開示の高速口腔内OCTシステムを示す概略図である。
【0020】
図3B】各チャネルからの光をコリメートし、集束し、及び走査するコンポーネントを示す概略図である。
【0021】
図3C】画像化されたサンプルを見るためのさらなるカメラを備えたチャネルを示す概略図である。
【0022】
図4A】複数のチャネルから出力ビームをもたらすために1次元アレイを使用する装置に対する概略図である。
【0023】
図4B】複数のチャネルから出力ビームをもたらすために2次元アレイを使用する装置に対する概略図である。
【0024】
図5A】基準アーム及び信号アームにコモンパスを使用する単一チャネル用の口腔内プローブコンポーネントの配置を示す概略図である。
【0025】
図5B】複数のチャネルに対する光循環を含む口腔内プローブに対する概略図である。
【0026】
図5C】光ガイドの端部において部分反射面を使用した口腔内プローブに対する概略図である。
【0027】
図5D】ビームスプリッタ及びミラーを部分反射装置として使用する口腔内プローブに対する概略図である。
【0028】
図5E】ミラーを部分反射装置として使用する口腔内プローブに対する概略図である。
【0029】
図5F】2つのミラーを部分反射装置として使用する口腔内プローブに対する概略図である。
【0030】
図6図5のファイバ光ガイドに対して使用可能な種々の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は、典型的な実施形態の詳細な説明であり、図面について参照がなされている。図面では、同じ参照数字は、いくつかの図のそれぞれにおける構造の同じ要素を特定する。
【0032】
それらが本開示の文脈において使用される場合、用語「第1の」、「第2の」などは、必ずしも何らかの順序関係、連続的な関係、または優先度の関係を示すものではなく、他に特に規定がない限り、単純に、1つのステップ、要素、または要素の組を別のものとより明らかに区別するために使用される。
【0033】
一般用語「スキャナ」は、表面のOCT画像化に使用される基準アームからの光との干渉を測定するために、光の走査された光ビーム(たとえば、サンプルアームを通して歯の表面に送られ、サンプルアームにおいて戻される反射光及び散乱光として取得される広帯域近赤外(BNIR)光)を投影するように作動できる光学システムに関する。用語「スキャナ」はまた、たとえば、作動可能なMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)スキャナ、ミラー、またはミラーアレイなどの走査光学素子を指すことができる。用語「ラスタースキャナ」は、後でより詳細に説明するように、サンプルに沿って等間隔で配置された場所に向けて光を順次走査するハードウェアコンポーネントの組み合わせに関する。
【0034】
本開示の文脈において、語句「画像化範囲」は、OCT測定が利用できる有効距離(一般的には、Z軸またはAスキャン方向において考えられる)に関する。OCTビームは、画像化範囲にわたって焦点内にあると考えられる。画像の深度は、画像化範囲に関するが、サンプルの歯または他の組織を通る信号の透過に関連するさらなる要素もある。
【0035】
一例として、図1の簡略化した概略図に、1つのタイプのOCT装置、ここでは従来の掃引源OCT(SS-OCT)装置100のコンポーネントを示している。装置100は、レーザ、スーパールミネッセント発光ダイオード(LED)、スーパーコンティニウム光源、または他の種類の広帯域光源とすることができる、調整されたレーザ源50の一部である波長フィルター10によって与えられる波長可変光源を備えたマッハツェンダー干渉計(MZI)システムを使用している。たとえば、口腔内OCTの場合、レーザ50は、約400と1600nmとの間の波長に対応する周波数(波数kの形で表される)の範囲にわたって調整可能とすることができる。本開示の実施形態によれば、約1300nmを中心とする約60nmの帯域幅の調整可能な範囲が、口腔内OCTに使用される。
【0036】
図1のデバイスでは、可変の調整されたレーザ50の出力が、カプラ38を通ってサンプルアーム40及び基準アーム42に向かう。サンプルアーム40の信号は、サーキュレータ44を通って、ハンドピースまたはプローブ46からのサンプルSの画像化のために送られる。サンプリングされた信号は、サーキュレータ44を通して戻されて、カプラ58を通して検出器60に送られる。基準アーム42の信号は、基準34(ミラーまたは光ガイドとすることができる)によって、カプラ58を通して検出器60に送られる。検出器60は、コモンモードノイズをキャンセルするように構成された一対のバランス型光検出器を使用してもよい。
【0037】
制御ロジック回路プロセッサ(制御処理ユニットCPU)70は、調整されたレーザ50及びそのプログラマブルフィルター10、ならびに検出器60と信号通信する。プロセッサ70は、プローブ46の走査機能を制御して、走査信号に対する線形応答を得るために任意の必要な較正データを記憶することができる。プロセッサ70は、検出器60からの出力を取得して処理する。CPU70はまた、コマンド入力及びOCT結果表示のためにディスプレイ72と信号通信する。
【0038】
図1の掃引源アーキテクチャは、構成の一例にすぎず、掃引源OCT画像化を得るために干渉計のコンポーネントを配置できる多くの方法があることに注意されたい。
【0039】
OCTシステムにおいてより高い画像取得速度を得るために提案された戦略の中には、単に高掃引速度の波長可変光源を使用することがある。しかし、背景技術のセクションにおいてすでに注目したように、問題はより複雑である。より速い掃引速度で動作させようとすると、コストの増加につながっており、診断上の利点とOCT画像コンテンツの全体的品質とに関して失望させる結果が生じる可能性がある。
【0040】
さらなる背景として、図2A及び2Bに、プローブ46によって実行されるOCT走査パターンの概略を示す。走査シーケンスにおける各点において、OCTデバイスはAスキャンを行う。そして、Aスキャンの線状に連続したものが、図示したように、x軸方向に対応するBスキャンを形成する。そして、並んでいる連続的なBスキャン行が、Cスキャンを形成して、サンプルSに対する3DのOCT画像コンテンツが得られる。
【0041】
図2Aに、各Aスキャンの間に取得された情報を概略的に示す。図示した例において、各Bスキャン画像を取得するための走査信号は2つの直線部分を有する。走査部分92(走査ミラーを駆動して、サンプリングビームを開始位置から終了位置まで送る)と、逆走査93(走査ミラーがその開始位置に戻される)である。干渉信号88(DC信号の内容を取り除いて示す)が、各点82に対して時間間隔にわたって取得される。信号は、掃引に必要な時間間隔の関数であり、取得される信号は、干渉計の基準アーム及びフィードバックサンプルアーム(図1)からの光を結合することによって生成されるスペクトル干渉縞を示す。フーリエ変換FFTによって、Aスキャンごとに変換Tが生成される。Aスキャンに対応する1つの変換信号を、図2Aにおいて一例として示す。
【0042】
上述の説明から、単一のBスキャンシーケンスにわたって著しい量のデータが取得されることが理解できる。このデータを効率的に処理するために、高速フーリエ変換(FFT)が使用されて、時間ベースの信号データを対応する周波数ベースのデータに変換する。このデータから、画像コンテンツをより容易に生成することができる。
【0043】
フーリエドメインOCTでは、Aスキャンは、深さ(Z軸)分解のOCT信号のラインを生成するスペクトル取得の1本のラインに対応する。Bスキャンデータは、対応する走査線に沿って2DのOCT画像を生成する。
【0044】
ラスタースキャンを使用して、複数のBスキャンデータを、ラスタースキャナ90の取得をCスキャン(y軸)方向に増分することによって得る。これは、図2Bに概略的に示されている。図2Bでは、3Dのボリューム情報が、A、B、及びCスキャンデータを使用してどのように生成されるかを示している。
【0045】
各Aスキャン点82において使用される波長または周波数掃引シーケンスは、通常使用される昇順または降順の波長シーケンスから変更することができる。任意の波長シーケンシングを交互に使用できる。OCTのいくつかの特定の実施態様に対して有用であり得る任意の波長シーケンシングの場合、利用可能な波長の一部のみが各掃引の結果として与えられる。任意の波長シーケンシングにおいて、各波長を任意の連続する順序で無作為に選択して、単一の掃引の間にOCTシステムにおいて使用することができる。Aスキャン点82をx軸に関して互いから等間隔に配置して、任意のBスキャン画像に沿った隣接点82間で実質的に等しいx軸距離をもたらすことができる。同様に、各Bスキャンに対する走査点82のライン間の距離を、y軸に関して均一にすることができる。x軸の間隔はy軸の間隔と異なっていてもよい。あるいは、走査面のこれらの直交軸に沿った間隔は等しくてもよい。
【0046】
従来のOCTアプローチでは、画像取得速度は、掃引速度及びデジタイザ能力の要因に関連する。掃引速度が速くなると、その結果、Aスキャン周波数を向上させられるが、ノイズが高くなるという犠牲を伴う。取得速度が高くなると高速デジタル化コンポーネントも必要となり、必要な性能に対する部品コストが著しく増加する。したがって、走査速度及び全体的なOCT性能に対していくつかの実際的な制限があり、チェアサイドでの診断及び処置にOCTを使用することが制限される可能性がある。
【0047】
本開示の実施形態(図3Aに概略的に示す)では、歯科OCT走査及びデータ取得に多チャンネルアプローチを使用することによって、画像取得速度の問題及び画像化範囲の拡大の必要性に対処する。図3Aの概略図を参照して、複数のチャネルを有する本開示の典型的な高速口腔内OCTシステム150を示す。複数のチャネルは、コリメーションレンズ、MEMSスキャナ、及び集束レンズからなる共通の走査ヘッド120を共有する。走査速度の量を増加させるために、チャネル数Nは、2、3、または4とすることができ、たとえば、図3Aに示したように、走査ヘッド120に至る4つのチャネル20a、20b、20c、及び20dとすることができる。加えて、本明細書で4つのチャネルに対して説明する全体のパターンに従って、5つ以上のチャネルを使用することができる。プローブ46内のスキャナ90は、複数のチャネルにおける波長掃引レーザ源50から発生した光を、歯または他のサンプルSに送る。
【0048】
図3Aに例示したように、ファイバカプラ27はレーザ光線のごく一部を分割して、マッハツェンダー干渉計MZI28に送る。MZIからの干渉光は、光検出器及びさらなる回路30によって収集されて、Kクロック(Kトリガ)信号をもたらす。これは、時間的に規定された等しい波数間隔を有するタイミング制御トリガである。これらの信号の間隔が等しいとすると、KクロックタイミングでサンプリングされたOCT信号は波数空間において線形である。あるいは、OCT信号を、MZI28からの干渉信号を使用して、線形波数空間内にリサンプリングすることができる。(マッハツェンダー干渉(MZI)信号のゼロ交差を使用してKトリガ信号を生成し、SS-OCT信号の取得を促すことができる。)掃引光源レーザ50の光出力の大部分は、PLC(平面光波回路)スプリッタなどのスプリッタ32を通して、OCT画像化用の多チャンネルシステム内に供給される。各チャネルにおいて、光は、サーキュレータ44と、光を基準アーム及びサンプルアーム42、40に分割する90/10ファイバカプラ38(図1)とを有する光ファイバ干渉計を照射する。システムは、偏光感応型光干渉断層撮影をもたらすためのさらなる検出器及び光学部品を、任意選択で含むことができる。各チャネルは、プローブ46を通して走査ヘッド120に光を送る。
【0049】
図3Bに、4つのチャネル20a、20b、20c、及び20dのそれぞれからの光をコリメートし、収束させ、及び走査するプローブ46のコンポーネントを示す。図3Bの概略図に示すように、多チャンネルサンプリングアームは、スキャナハンドピース、プローブ46の内部でファイバアレイ54と接続されており、これは、口腔内または口腔外の画像化に使用することができる。可変の波長の光の接続は、リボンファイバ(図示せず)を介して行うことができる。ファイバアレイ54は、光ファイバコアを所望のピッチで正確に位置合わせする。ファイバアレイからの光は、コリメーションレンズL1を通って、1次元または2次元で走査するように作動可能なMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)スキャナ52に至る。そして、走査された光は、図3Bに示したように集束レンズL2を通る。この集束された光は、第1のフォールディングミラー表面56及び第2のフォールディングミラー表面86から反射して、サンプルSに送られる。複数のスポットが、所望の間隔でサンプルS表面上に集束される。各スポットは、複数のチャネル20a、20b、20c、及び20dのうちの1つからである。
【0050】
図3Cの概略図に示すように、プローブ46は、たとえば、色情報を取得するためまたはプローブの移動を支援するためのカメラ62などの他のコンポーネントを、任意選択で含むことができる。カメラ62を使用する場合、表面56は、OCT走査に使用されるIR光を反射し、可視光線をカメラ62に伝達するように処理された2色性表面とすることができる。あるいは、カメラを光軸0Aに関して斜めの角度で設けることができる。一例として、カメラ62’(第2のカメラまたは唯一のカメラとすることができる)の代替的な位置を図4に示す。
【0051】
プローブ46内のファイバアレイ54は、多くの異なる構成を有することができる。図4Aに、各チャネル20a、20b、20c、及び20dから出力ビームを同時に発する1次元(1D)アレイとして一列に配列されたファイバアレイ54を示す。1Dアレイ構成を使用して、走査されたビームを、ターゲットサンプルS上に位置合わせされた複数のスポットに送ることができる。このように数Nの照明ビームを走査することを用いて、数Nの隣接するサブ画像(図4Aの4チャネル例において、サブ画像76a、76b、76c、及び76dとして示す)を生成することができる。次に、処理ソフトウェアを使用して、走査線に沿って存在するN個の隣接する画像を互いにつなぎ合わせることができる。
【0052】
図4Aの配置を使用して1次元の光学アレイによって走査する場合、視野(FOV)がある数のストリップに分割される。チャネルからの各集束スポットは、FOVの小さいサブ領域のみを走査する。サンプルにおける各集束スポットからの反射光は、プローブ46の光学系によって収集されて、各チャネルのサンプリングアームに導かれる。サンプルアーム及び基準アーム40及び42(図1)からの光ビームは、50/50カプラ58を通して検出アームにおいて再結合される。形成された干渉縞は、検出器60内のバランス型光検出器または他のメカニズムによって検出される。バランス型光検出器60からのアナログ信号は、データ取得カードによってデジタル化することができる。各チャネルからの画像ボリュームを、OCT再構成アルゴリズムを使用して生成することができる。最終的に、完全な走査画像ボリュームの再構成を、異なるサブ画像ボリュームを互いにつなぎ合わせることによって形成することができる。
【0053】
図4Bに、FOVを走査するために2x2ファイバアレイ54を使用する代替的な配置を示す。この配置により、つなぎ合わせるための画像のアレイとしてサブ画像コンテンツが生成される。
【0054】
各チャネルは視野の一部のみを走査するため、多チャンネルシステムは、単一チャネルシステムと比べてはるかに速い速度を達成することができる。N個の複数のチャネルを使用して、同時に走査すると、完全なFOVを、従来の単一チャネル配置に必要な時間の1/Nの割合で走査することができる。
【0055】
供給源レーザ出力はN個のチャネル間で分割されるため、多チャンネルOCT画像化機能を得るためにはレーザ出力のある程度の増加が必要である。本開示の実施形態によれば、40mWレーザを使用して4つのチャネルを駆動し、出力パワーは細分割されて各チャネルにおいて10mWを提供する。
【0056】
全般的に、同じ走査速度を達成するために、Nチャネルシステムにおける掃引レーザ源は、単一チャネルシステムにおいて使用される掃引速度の1/Nのみが必要である。それに応じて掃引速度を下げると、データ取得カードのデジタル化速度の要件が低くなり、システムコストを劇的に減らすことができる。
【0057】
同じ画像化範囲を達成するために、OCT信号の周波数fOCTは、単一チャネルシステムにおいて使用される周波数fOCTよりも、多チャンネルシステムにおいてはるかに低くすることができる。この周波数は以下のように表現し得る。
Δλはレーザスペクトルの帯域幅である。
λは中心波長である。
Zは画像化範囲である。
αはレーザのデューティサイクルである。
は掃引レーザ源の周波数である。
【0058】
Nチャネルシステムでは、OCT信号の周波数は、単一チャネルシステムにおいて使用される周波数のわずか1/Nであるため、デジタイザはより低いサンプリングレートで動作することができる。したがって、Nチャネルデザインにより、コスト及びシステムノイズの両方を削減できる。あるいは、単一のスキャナOCTプローブに使用されるものと同じ高速デジタイザをNチャネルシステムにおいて使用した場合、画像化範囲の最大でN倍、性能を向上させることができる。
【0059】
各チャネルに対する従来の干渉法システム内では、基準アーム42は通常、ある種のミラーまたは他の反射面を含んでいる。光が反射面に向かって及び反射面から戻って移動する距離(すなわち、基準アームに対する光路遅延)は、サンプリングされる材料内の特定の範囲に直接関係する。したがって、反射性または後方散乱材料と干渉結合コンポーネントとの間の光学距離を調整することによって、サンプル内の可変深度からの戻り光が検出信号に寄与する。
【0060】
従来の口腔内スキャナ実施形態では、前述した単一チャンネルデバイス及び多チャンネルデバイスに対するデザインの慣行に従って、使用可能なOCT画像データを提供することができるが、依然として改善の余地がかなりある。背景セクションで前述した要因に関しては次の通り。
a.多チャンネルデバイスに関しては、サイズ、重量、及びコストの考慮がさらに重要になる。
b.振動及び機械的ドリフトに対する感度は、多チャンネル解決策によってさらに明白な問題のままであり、継続使用または継続衝撃は、機器の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
c.基準アームとサンプルアームとの間の光路長の差に関して調整を行う必要がある場合、高いメンテナンス及びダウンタイムコストが生じる可能性がある。
d.製造コストの増加が、多チャンネルスキャナに対する基準アーム及びサンプルアームコンポーネントの較正及びパッケージ化の必要性から生じる可能性がある。
e.分散ミスマッチなどの問題によって複雑になった個々の基準アームそれぞれの挿入損失は、対応する補償または調整を必要とするか、または1つ以上のチャネルに対する画質を損なう可能性がある。
【0061】
確度、精度、及び画質に関して口腔内スキャナの性能を向上させて、コンポーネント数を減らすことを助け、特にチャネル間のばらつきに関する多数の問題を単純化または排除する必要性に応じて、本開示の実施形態では、コモンパスOCTデザインアプローチを適合させる。
【0062】
別個のサンプル光路及び基準光路を使用する従来のマイケルソン干渉計デザインとは異なり、コモンパスOCTでは、サンプルアーム及び基準アームのほとんどに対して同じ光路を使用する。プローブと画像化されるサンプルとの間のサンプル光路の部分だけが異なっている。
【0063】
内視鏡検査及び歯科画像化などにおいてコモンパスOCTを使用するための種々の構成が提案されており、これには、サンプル光路と基準光路とを結合し得る解決策、検知機器とサンプルとの間に置かれたガラスプレート表面からの部分反射を用いること、たとえばボールレンズを使用する特殊化された光学システムを使用することが含まれる。コモンパス構成は、たとえば歯列矯正用アライナの使用及び調整を支援するために言及されている。しかし、従来のシステムでは、コモンパスOCT技法を用いて、単一チャネルまたはマルチチャンネル口腔内走査を支援し、このアプローチを用いた小型の手持ち式口腔内プローブを提供し、また歯科分野及び関連する分野を支援するために必要な使いやすさ、柔軟性、及び性能をもたらす好適な解決策が提供されていない。
【0064】
図5Aの概略図に、コモンパスOCT用に構成されたプローブ46のコンポーネントを示す。光源510が、広帯域光源の光を光循環サブシステム550に与える。図5Bでは、光循環サブシステム550を多チャンネル構成で拡張する。光は最初、マルチチャンネル構成に対する対応する循環サブシステム550に入る前に、ビーム分割サブシステム530を通して個々のチャネルに対して分割される。各チャネルに対するサンプル経路及び基準経路の両方に対する結合された光が、ファイバ光ガイド552によって運ばれる。ファイバ光ガイド552は、単一チャネルのための単一の光ファイバとすることができる。複数のチャネルの場合、ファイバ光ガイド552は、多チャンネル画像化装置における各チャネルのための光ファイバを有する光ファイバ束とすることができる。光ガイド552内を伝達された光は、走査ヘッド120の一部であるコリメータ554に進む。コリメータの出力は、スキャナ560に送られる。スキャナ560は、集光光学系564を通して、光をビームステアリング装置568まで走査する。ビームステアリング装置568は、光570を、プローブ46の出力付近の部分反射面590に向けて、そして、サンプルSに向けて反射する。部分反射面590は、部分反射装置592の一部とすることができる。部分反射装置592は、プレート、窓、光学ウェッジ、もしくは他のコンポーネント、またはサンプルを含むことができる。サンプル光路は、部分反射装置592を通して光570を伝達する。基準光路は、部分反射面590からの反射光を含む。この光は、サンプルSから戻った散乱光とともに光学システムを通って戻る。光循環サブシステム550は、信号光を、画像コンテンツを有するOCT信号を生成するための信号検出及び処理装置520に送る。複数のチャネルが使用される場合、信号検出及び処理装置520は、複数の検出器からなることができ、各検出器は、循環サブシステム550内のその各チャネルから信号を受け取る。そして、パーソナルコンピューターPC、たとえば、ラップトップまたは他のポータブルコンピューターまたは専用の制御ロジック回路プロセッサ装置が、処理されたOCT画像をディスプレイ596に供給することができる。
【0065】
部分反射装置592は、部分反射面、たとえば、プレート、ミラーを有するビームスプリッタ、1つ以上のミラー、または他の少なくとも部分的に反射する面を使用することができる。反射コンポーネントは、ファイバ光ガイド552に従って、光路内の任意の好適な位置に位置決めすることができる。図5A及び5Bに、部分反射装置がプローブ46の出力またはその付近に位置決めされる一実施形態を示す。図5Cに示す他の典型的な解決策は、光ガイド552の端部において部分反射表面を使用している。
【0066】
図5Dに、コリメータに続く部分反射装置592の位置を示す。コリメータには、限定することなく、ビームスプリッタ及び後方反射ミラーが含まれる。基準アームの光路長は、ミラーの場所を調整することによって調整及び微調整することができる。
【0067】
図5Eに、部分反射装置592としてのミラーを示す。この位置におけるミラーは、ビームの一部を切り取って後方反射して、基準信号をもたらす(説明を目的として、図におけるビームのサイズは誇張されている)。基準光パワーは、光路を横切ってミラーを平行移動させることによって調整することができる。
【0068】
あるいは、図5Fに示したように、ミラーをある角度で傾けることができ、導かれたビームを他のミラーによって後方反射することができる。基準光のパワー及び光路長の両方が調整可能である。加えて、サンプルビームは、画像化品質を改善するためまたは特別な要求に応えるために、空間的に再成形することができる。たとえば、ビームの中央部分を基準ビームとして導いて、ドーナツ状のサンプルビームを形成することができ、その結果、画像化中に大きな被写界深度をもたらすことができる。ミラーの表面は、平坦とすることも、湾曲とすることも、またはその他の特徴を有することもできる。ミラー表面の全体または一部は反射性とすることができる。表面の1つ以上の部分を、透明または半透明とすることができる。
【0069】
部分反射面590は、コーティングまたは他の好適な界面(第2の媒体の屈折率が第1の媒体の屈折率よりも低い)を使用して形成することができる。
【0070】
図6に、図5のファイバ光ガイド552に使用することができる種々の配置を示す。上部には、単一のファイバヘッド610の断面を示す。中央には、ファイバヘッド610の1つ以上の行及び列を有するファイバアレイ620の断面を示す。底部には、ファイバ束630を示す。
【0071】
代替的な実施形態では、光源510をプローブ46の内部に配置することができる。他の代替的な実施形態では、信号検出器520ならびに関連する検出及び制御エレクトロニクスも、プローブ46の内部に配置することができる。
【0072】
本発明を、現時点で理解されている典型的な実施形態を特に参照して詳細に説明してきたが、変形及び変更を本開示の趣旨及び範囲内で行うことができることを理解されたい。
【0073】
たとえば、制御ロジック回路プロセッサ70は、多くの種類のロジック処理デバイス、たとえば、コンピューターまたはコンピューターワークステーション、専用ホストプロセッサ、マイクロプロセッサ、ロジックアレイ、または他のデバイスであって、記憶されたプログラムロジック命令を実行するものの何れかとすることができる。前述の構成例においてマッハツェンダー干渉計の一種として説明された、1つ以上のチャネルに使用される干渉計は、代替的に、適切なコンポーネント再配列によって、たとえば、マイケルソン干渉計などの他の適切な種類とすることができる。
【0074】
したがって、本開示の典型的な実施形態は、すべての点で例示的であって、限定的ではないと考えられる。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって示され、その均等物の意味及び範囲に入るすべての変更は、そこに包含されることが意図されている。
【0075】
少なくとも1つの典型的な実施形態と一致して、典型的な方法/装置は、電子メモリからアクセスされた画像データ上で行う記憶された命令によってコンピュータープログラムを使用することができる。画像処理技術における当業者によって理解できるように、本明細書の典型的な実施形態のコンピュータープログラムは、パーソナルコンピューターまたはワークステーションなどの好適な汎用コンピューターシステムによって利用することができる。しかし、たとえば、1つまたはネットワーク化プロセッサの配置を含む、他の多くの種類のコンピューターシステムを用いて、説明した典型的な実施形態のコンピュータープログラムを実行することができる。
【0076】
本明細書で説明した特定の典型的な実施形態の方法を行うためのコンピュータープログラムを、コンピューター可読記憶媒体に記憶してもよい。この媒体としては、たとえば、磁気記憶媒体、たとえば磁気ディスク、たとえばハードドライブ、またはリムーバブルデバイス、または磁気テープ;光記録媒体、たとえば光ディスク、光テープ、または機械可読な光学エンコーディング;固体電子記憶デバイス、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)、または読み出し専用メモリ(ROM);またはコンピュータープログラムを記憶するために使用される任意の他の物理デバイスもしくは媒体、を含み得る。説明した実施形態の典型的な方法を行うためのコンピュータープログラムはまた、インターネットまたは他のネットワークまたは通信媒体によって画像処理装置に接続されるコンピューター可読記憶媒体上に記憶してもよい。当業者であればさらに容易に理解するように、このようなコンピュータープログラム製品の均等物もハードウェアにおいて構築してもよい。
【0077】
用語「メモリ」(本出願のコンテキストでは「コンピューターアクセス可能なメモリ」と同等である)は、画像データを記憶し画像データ上で動作するために使用され、コンピューターシステムにアクセス可能である任意の種類の一時的またはさらに永続的なデータ記憶作業空間(たとえば、データベースを含む)を指すことができることに注意されたい。メモリは、たとえば、磁気または光記憶装置などの長期記憶媒体を使用する不揮発性とすることができる。あるいは、メモリは、マイクロプロセッサまたは他の制御論理プロセッサデバイスによって一時的なバッファまたは作業空間として使用されるランダムアクセスメモリ(RAM)などの電子回路を使用して、より揮発性の性質とすることができる。表示データは、たとえば、ディスプレイデバイスと直接関連付けることができる一時記憶バッファに通常は記憶され、表示されたデータを提供するために必要に応じて定期的にリフレッシュされる。この一時記憶バッファも、この用語が本出願で使用されるときには、メモリであると考えることができる。メモリはまた、計算及び他の処理の中間及び最終結果を実行及び記憶するためのデータ作業空間として使用される。コンピューターアクセス可能なメモリは、揮発性、不揮発性、または揮発性及び不揮発性の種類のハイブリッドな組み合わせとすることができる。
【0078】
本明細書の典型的な実施形態に対するコンピュータープログラム製品は、良く知られた種々の画像操作アルゴリズム及び/またはプロセスを利用してもよいことが理解される。さらに、本明細書の典型的なコンピュータープログラム製品の実施形態は、実装に有用な、本明細書に具体的に図示も説明もされていないアルゴリズム及び/またはプロセスを具体化し得ることも理解される。このようなアルゴリズム及びプロセスには、画像処理技術の通常の技術の範囲内である従来のユーティリティが含まれ得る。このようなアルゴリズム及びシステム、及び画像の製作及びその他の処理のための、または本出願のコンピュータープログラム製品と共同するためのハードウェア及び/またはソフトウェアのさらなる態様は、本明細書には具体的に図示も説明もされておらず、当該技術分野で知られたアルゴリズム、システム、ハードウェア、コンポーネント、及び要素から選択され得る。
【0079】
本出願による典型的な実施形態には、本明細書に記載の種々の特徴を(個別にまたは組み合わせて)含めることができる。
【0080】
本発明を1つ以上の実施態様に関して例示してきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変更及び/または修正を例示した例に加えることができる。加えて、本発明の特定の特徴を、いくつかの実施態様/典型的な実施形態のうちのただ1つに関して開示することができるが、そのような特徴を、任意の所与または特定の機能について望ましくて有利である可能性がある特徴として、他の実施態様/典型的な実施形態のうちの1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。
【0081】
用語「1つの(冠詞の「a」)」または「少なくとも1つの」は、列挙した用語のうちの1つ以上を選択できることを意味するために使用される。用語「約」は、変更によって、例示された典型的な実施形態に対するプロセスまたは構造の不適合が生じない限り、列挙した値をある程度変更できることを示す。最後に、「典型的な」は、説明が理想的であることを暗示するのではなく、それが一例として使用されることを示す。
【0082】
本発明の他の実施形態は、明細書を考慮すること及び本明細書で開示した発明を実行することから、当業者には明らかである。明細書及び例は典型的にすぎないと考えられることが意図され、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
【国際調査報告】