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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】超伝導磁石用超伝導スイッチ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240705BHJP
   H01F 6/04 20060101ALI20240705BHJP
   H10N 60/20 20230101ALI20240705BHJP
【FI】
A61B5/055 331
A61B5/055 ZAA
H01F6/04
H10N60/20 Z
A61B5/055 360
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575705
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2021036982
(87)【国際公開番号】W WO2022260677
(87)【国際公開日】2022-12-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーミリヤ,マーク・アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】ウー,アンボー
(72)【発明者】
【氏名】三根 進
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ミンフェン
【テーマコード(参考)】
4C096
4M114
【Fターム(参考)】
4C096AD08
4C096CA02
4C096CA15
4C096CA48
4C096CA54
4M114AA19
4M114BB03
4M114BB04
4M114BB07
4M114BB08
4M114CC03
4M114CC16
4M114DA32
4M114DA35
4M114DB22
4M114DB48
4M114DB53
(57)【要約】
超伝導磁石は、冷却媒体を収容する冷却タンクと、磁場を発生させるために構成された1以上の超伝導回路とを含む。超伝導磁石は、1以上の超伝導回路に通電するため1以上の超伝導回路に接続した電源と、1以上の超伝導回路の端部と電気的に接続した超伝導スイッチとをさらに備える。超伝導スイッチは、超伝導巻線と、超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び冷却タンク内の冷却媒体に熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材とを含む。熱伝導部材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含む。第1の層は、第1の熱伝導率を有する金属材料で構成されている。第2の層は、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体を収容する冷却タンクと、
磁場を発生させるために構成された1以上の超伝導回路と、
前記1以上の超伝導回路に通電するため前記1以上の超伝導回路に接続した電源と、
前記1以上の超伝導回路の端部と電気的に接続した超伝導スイッチと
を備える超伝導磁石であって、前記超伝導スイッチが、
超伝導巻線と、
前記超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び前記冷却タンク内の冷却媒体に熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、前記熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が、第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材と
を備える、超伝導磁石。
【請求項2】
前記超伝導スイッチの超伝導巻線がバイファイラ巻超伝導巻線である、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項3】
第2の層の熱膨張率(CTE)が第1の層の熱膨張率(CTE)と実質的に等しい、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項4】
第2の層が、第1の層よりも高い引張強さを有する、請求項3に記載の超伝導磁石。
【請求項5】
第2の層が、エポキシ樹脂を用いて第1の層に接合されている、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項6】
第1の層の金属材料が、純度99.99%超の高純度金属材料からなる、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項7】
前記高純度金属材料が、焼鈍高純度アルミニウムを含む、請求項6に記載の超伝導磁石。
【請求項8】
第1の層がタングステン又は白金のいずれかで構成されている、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項9】
第2の層の材料が、第1の層の金属材料の合金である、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項10】
40K未満の第1の温度域での第1の層の第1の熱伝導率が、50K超の第2の温度域での第1の層の第1の熱伝導率よりも3倍以上大きい、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項11】
第2の温度域が、磁石励磁プロセスの初期段階で当該超伝導スイッチが電気抵抗性を保つ状態にあるときの温度を含む、請求項10に記載の超伝導磁石。
【請求項12】
第1の温度域が、第2の温度域の約3分の1~2分の1に等しい温度を含む、請求項10に記載の超伝導磁石。
【請求項13】
前記超伝導スイッチが、電流リード線で電気的に接続した1本以上のリード線を含み、前記電流リード線が、励磁プロセス時に電源と電気的に接続される、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項14】
当該超伝導磁石が、磁気共鳴イメージング(MRI)装置又は発電機のいずれかの一部である、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項15】
超伝導磁石の1以上の超伝導回路の端部に電気的に接続するための超伝導スイッチであって、当該超伝導スイッチが、
超伝導巻線と、
前記超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び冷却タンクに熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、前記熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材と
を備える超伝導スイッチ。
【請求項16】
超伝導スイッチを有する超伝導磁石を励磁する方法であって、前記超伝導スイッチが、超伝導巻線と、前記超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び前記超伝導磁石の冷却タンクに熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、前記熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材とを備えており、当該方法が、
前記超伝導スイッチの臨界温度よりも高い目標温度に前記超伝導スイッチを加熱するステップと、
前記超伝導磁石を励磁するため前記超伝導スイッチに電圧を印加するステップであって、前記超伝導スイッチの自己ジュール発熱によって目標温度を維持する、ステップと、
前記超伝導磁石の励磁中に前記超伝導スイッチの温度が徐々に低下するように、前記超伝導スイッチの電圧を徐々に下げるステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記超伝導スイッチの電圧を非線形又は段階的制御によって調整することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第2の層の熱膨張率(CTE)が第1の層のCTEと実質的に等しく、第2の層が、第1の層よりも高い引張強さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
40K未満の第1の温度域での第1の層の第1の熱伝導率が、50K超の第2の温度域での第1の層の第1の熱伝導率よりも3倍以上大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第2の温度域が、磁石励磁プロセスの初期段階で前記超伝導スイッチが電気抵抗性を保つ状態にあるときの温度を含み、第1の温度域が、第2の温度域の約3分の1~2分の1に等しい温度を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超伝導磁石に関するものであり、さらに具体的には、超伝導磁石のための改良超伝導スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導磁石は、超伝導回路のコイルから作られた電磁石である。超伝導回路はその超伝導状態では電気抵抗がないので、通常の線材よりも格段に大きな電流を流すことができ、強い磁場を発生させる。したがって、超伝導磁石は、ほとんどの最も強力な非超伝導磁石の磁場よりも大きな磁場を発生させることができ、巻線内でエネルギーが熱として放散されないので運転コストが下がる。そのため、超伝導磁石は、磁気共鳴イメージング(MRI)装置、並びに核磁気共鳴(NMR)分光器、発電機、質量分析計、核融合炉、粒子加速器のような科学機器に常用されている。
【0003】
動作中、超伝導磁石巻線は臨界温度(巻線材料が通常の抵抗状態から変化して超伝導体になる温度)未満に冷却する必要がある。通例、巻線はその臨界温度よりも大幅に低い温度まで冷却されるが、これは温度が低いほど超伝導巻線の動作が向上する(その非超伝導状態に戻らずに維持することができる電流及び磁場が高まる)からである。そこで、超伝導を維持するのに十分な温度に磁石巻線を維持するために2通りの冷却方式(すなわち液体冷却及び機械的冷却)が常用される。液体冷却では、液体ヘリウムが冷却剤として用いられるが、その沸点は4.2Kであり、大半の巻線材料の臨界温度を大幅に下回る。そこで、超伝導磁石及び液体ヘリウムは、クライオスタットと呼ばれる断熱容器内に収容される。別法として、超伝導磁石は二段式機械冷凍を用いて冷却することもできる。
【0004】
超伝導磁石のある動作モードでは、いったん磁石が励磁されたら、巻線を超伝導材料で短絡させることができる。短絡はスイッチ(永久スイッチとも呼ばれる)によって行われるが、これは一般に、巻線の両端に接続され、かつ小型ヒータに取り付けられた磁石内の超伝導材料片をいう。こうして、巻線は超伝導閉ループとなり、電源を切り離すことができて、磁場を維持しながら長時間永久電流が流れる。この永久モードの利点は、最良の電源で達成できるものよりも磁場の安定性が優れており、巻線に電力供給するためのエネルギーを必要としないことである。
【0005】
したがって、磁石を最初にオンする際に、スイッチはその転移温度超まで加熱され、スイッチは抵抗性となる。永久モードで動作させるため、所望の磁場が得られるまで供給電流を調整してから、ヒータは切られる。永久スイッチはその超伝導温度まで冷却されて、巻線を短絡させる。しかる後、電源を切ることができる。
【0006】
ただし、液体ヘリウムが充填された管を用いて巻線を冷却する従来の冷凍冷却では、スイッチのランプアップ及び保持時の液体ヘリウムの利用量が液体冷却よりも格段に多い。
【0007】
そこで、本開示は、液体ヘリウム回路への伝導によって冷却される超伝導回路のための改良超伝導スイッチに関する。具体的には、スイッチは、磁石のランプアップ及び保持段階での液体ヘリウムの沸騰量を最小限に抑制するため、所望のスイッチ動作温度について最適化した熱伝導特性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/116555号明細書
【発明の概要】
【0009】
本開示技術の態様及び利点について、以下の詳細な説明に記載するが、以下の詳細な説明から自明となるものもあろうし、或いは本開示技術の実施を通して習得できるものもあろう。
【0010】
一態様では、本開示は超伝導磁石に関する。超伝導磁石は、冷却媒体を収容する冷却タンクと、磁場を発生させるために構成された1以上の超伝導回路とを含む。超伝導磁石は、1以上の超伝導回路に通電するため1以上の超伝導回路に接続した電源と、1以上の超伝導回路の端部と電気的に接続した超伝導スイッチとをさらに備える。超伝導スイッチは、超伝導巻線と、超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び冷却タンク内の冷却媒体に熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材とを含む。熱伝導部材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含む。第1の層は、第1の熱伝導率を有する金属材料で構成される。第2の層は、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成される。
【0011】
一実施形態では、超伝導スイッチの超伝導巻線は、バイファイラ巻超伝導巻線であってもよい。別の実施形態では、第2の層の熱膨張率(CTE)は、第1の層の熱膨張率(CTE)と実質的に等しく、例えば±10%以内である。
【0012】
追加の実施形態では、第2の層は、第1の層よりも高い引張強さを有する。別の実施形態では、第2の層は、エポキシ樹脂を用いて第1の層に接合される。
【0013】
追加の実施形態では、第1の層の金属材料は、純度99.99%超の高純度金属材料からなる。例えば、一実施形態では、高純度金属材料は、焼鈍高純度アルミニウムであってもよい。別の実施形態では、第1の層はタングステン又は白金からなる。
【0014】
別の実施形態では、第2の層の材料は、第1の層の金属材料の合金である。
【0015】
ある実施形態では、40K未満の第1の温度域での第1の層の第1の熱伝導率は、50K超の第2の温度域での第1の層の第1の熱伝導率よりも3倍以上大きい。かかる実施形態では、第2の温度域は、磁石励磁プロセスの初期段階で超伝導スイッチが電気抵抗性を保つ状態にあるときの温度を含む。別の実施形態では、第1の温度域は、第2の温度域の約3分の1~2分の1に等しい温度を含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、超伝導スイッチは、1以上の超伝導回路と直列に電気的に接続される。
【0017】
追加の実施形態では、超伝導スイッチは、電流リード線と電気的に接続した1以上のリード線をさらに含んでいてもよい。かかる実施形態では、電流リード線は、励磁プロセス時に電源と電気的に接続される。
【0018】
さらに別の実施形態では、超伝導磁石は、磁気共鳴イメージング(MRI)装置又は発電機の一部である。
【0019】
別の態様では、本開示は、超伝導磁石の1以上の超伝導回路の端部に電気的に接続するための超伝導スイッチに関する。超伝導スイッチは、超伝導巻線と、超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び冷却タンクに熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材とを含む。熱伝導部材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含む。第1の層は、第1の熱伝導率を有する金属材料で構成される。第2の層は、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成される。
【0020】
さらに別の態様では、本開示は、超伝導スイッチを有する超伝導磁石を励磁する方法に関する。超伝導スイッチは、超伝導巻線と、超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び冷却タンクに熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材とを含む。熱伝導部材は、少なくとも第1の層及び第2の層を含む。第1の層は、第1の熱伝導率を有する金属材料で構成される。第2の層は、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成される。本方法は、超伝導スイッチの臨界温度よりも高い目標温度に超伝導スイッチを加熱するステップを含む。また、本方法は、超伝導磁石を励磁するため超伝導スイッチに電圧を印加するステップであって、超伝導スイッチの自己ジュール発熱によって目標温度を維持する、ステップを含む。さらに、本方法は、超伝導磁石の励磁中に超伝導スイッチの温度が徐々に低下するように、超伝導スイッチの電圧を徐々に低下させるステップを含む。
【0021】
一実施形態では、本方法は、超伝導スイッチの電圧を非線形又は段階的制御によって調整することを含んでいてもよい。
【0022】
本開示技術の上記その他の特徴、態様及び利点については、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって理解を深めることができよう。添付の図面は、本明細書の内容の一部をなすものであり、本開示技術の様々な実施形態を例示するとともに、発明の詳細な説明と併せて本技術の原理を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示技術について、以下の詳細な説明において、添付の図面を参照して、当業者に対して、最良の形態を含めて、実施できるように十分に開示する。
図1】本開示技術に係る超伝導磁石の一実施形態の斜視図を示す。
図2図1の超伝導磁石の一実施形態の透視斜視図を示し、特に超伝導磁石の内部部品を示す。
図3】本開示技術に係る超伝導磁石の超伝導スイッチの一実施形態の斜視図を示す。
図4図3の超伝導スイッチの詳細な斜視図を示し、特に超伝導スイッチの超伝導巻線及び熱伝導部材を示す。
図5図4の超伝導スイッチの詳細な斜視図を示し、特に伝導性ロッドに熱結合した超伝導スイッチの超伝導巻線及び熱伝導部材を示す。
図6】本開示技術に係る超伝導スイッチの別の実施形態の詳細な斜視図を示し、特に管に電気的に結合した超伝導スイッチの超伝導巻線及び熱伝導部材を示す。
図7図5の超伝導スイッチの詳細な斜視図を示し、特に超伝導スイッチの熱伝導部材の詳細を示すために冷却タンクを取り外した状態で示す。
図8図7の超伝導スイッチの熱伝導部材の8-8矢視断面図示す。
図9図5の超伝導スイッチの別の詳細な斜視図を示し、特に超伝導スイッチの各種リード線を示す。
図10】本開示技術に係る超伝導スイッチを有する超伝導磁石を励磁する方法の一実施形態の流れ図を示す。
図11】本開示技術に係る各種金属材料の熱伝導率(y軸)対温度(x軸)の一実施形態のグラフを示す。
図12】本開示技術に係る各種金属材料の冷凍能力(y軸)対高温端温度(x軸)の一実施形態のグラフを示す。
図13】本開示技術に係るスイッチ温度(y軸)対時間(x軸)のグラフを示す。
図14】本開示技術に係る磁石ランプ(y軸)時の各種パラメータ対ランプ時間(x軸)のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の様々な実施形態について詳細に説明し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本技術を限定するものではなく、例示のためのものである。実際、特許請求の範囲に記載された技術的範囲及び技術的思想を逸脱することなく、本技術に様々な修正及び変更をなし得ることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、別の実施形態と共に用いてさらに別の実施形態とすることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲に属する修正及び変更を包含する。
【0025】
一般に、本開示は、最小インダクタンスを達成するためにバイファイラ巻きモードの超伝導回路で巻回した超伝導磁石のための超伝導スイッチに関する。一実施形態では、例えば、超伝導スイッチの熱伝導部材の一端がスイッチの本体に熱結合し、熱伝導部材の他端が極低温冷却ヒートシンクに熱結合している。さらに、熱伝導部材は、少なくとも2層からなり、1層は熱伝導性金属シートであり、もう1層は熱伝導性が低く、剛性の高い材料であって、金属シートの機械的支持体として機能する。2つの層の熱膨張率(CTE)は比較的近い。こうして、超伝導スイッチは、超伝導磁石の至適化された非線形励磁を可能にし、この励磁プロセス中の寒剤の総消費量を最小限に抑制することもできる。
【0026】
ここで図面を参照すると、図1図3は本開示技術に係る超伝導磁石10の一実施形態の斜視図を示す。かかる超伝導磁石は、限定されるものではないが、磁気共鳴イメージング(MRI)装置、NMR分光器、発電機、質量分析計、核融合炉、粒子加速器、浮上、誘導、推進などを始めとする様々な用途で有用である。具体的には、図1は、本開示技術に係る超伝導磁石10の一実施形態の全体斜視図を示し、図2は、本開示技術に係る超伝導磁石10の一実施形態の透視斜視図を示し、図3は、本開示技術に係る超伝導磁石10の一実施形態の内部斜視図を示す。
【0027】
具体的には、図2に示すように、超伝導磁石10は、一般にクライオスタットと呼ばれる断熱容器12を備える。本明細書では、クライオスタットという用語は、極低温システムを収容する容器をいう。さらに、図3に示すように、超伝導磁石10の断熱容器12は、断熱容器12の内部に内部構造29で支持された1以上の超伝導回路16又はコイルを含んでいる。したがって、かかる実施形態では、断熱容器12は、線材を絶対零度近くまで(例えば10K、好ましくは4Kまで)冷却できるように、1以上の超伝導回路16を遮熱する。例えば、図3に示すように、断熱容器12は、液体ヘリウムをタンク15から内部構造29へ及び/又は断熱容器12の外壁全体に搬送する複数の導管21を含んでいてもよい。さらに、一実施形態では、断熱容器12の外側部分は、外部環境と断熱容器12内の低温部品との間に配置された熱シールドを提供して、輻射伝熱も最小限にするする真空容器である。
【0028】
さらに具体的には、図に示すように、1以上の超伝導回路16はコイル状に配置することができ、磁場を発生させるために構成することができる。特に図1に示すように、超伝導磁石10は、超伝導回路16に通電するため超伝導回路16に接続される電源18をさらに備える。
【0029】
こうして、1以上の超伝導回路16はその超伝導状態では電気抵抗がないので、通常の線材よりも格段に大きな電流を流すことができ、強い磁場を発生させる。さらに、動作中、1以上の超伝導回路16は、それらの臨界温度(すなわち線材が通常の抵抗状態から変化して超伝導体になる温度)未満に冷却しなければならない。通例、温度が低いほど超伝導巻線の動作が向上する(その非超伝導状態に戻らずに維持することができる電流及び磁場が高まる)ので、1以上の超伝導回路16は、それらの臨界温度よりも大幅に低い温度に冷却される。
【0030】
そこで、図1図3の実施形態に示すように、超伝導磁石10は、1以上の超伝導回路16を冷却するための液体冷却をもたらす冷却システム14をさらに含んでいてもよい。さらに具体的には、図に示すように、冷却システム14は、冷却媒体17又は冷却剤を収容する1以上の冷却タンク15を含んでいてもよい(図3)。例えば、一実施形態では、冷却媒体17は、線材の臨界温度をはるかに下回る4.2Kの沸点を有する液体ヘリウムである。
【0031】
超伝導磁石10のある動作モードでは、超伝導回路16は、磁石が励磁されたら、超伝導材料片で短絡することができる。かかる実施形態では、例えば、短絡は、永久スイッチとも呼ばれる超伝導スイッチ20によって行うことができる。換言すると、超伝導スイッチ20は、一般に、超伝導磁石10の内部の超伝導材料片であって、1以上の超伝導回路16の巻線端に接続され、その温度を線材の転移温度を超える温度に上昇させることができるヒータを備える。かかる実施形態では、図9に示すように、超伝導スイッチ20のリード線23,25,27は、励磁プロセス時に電源18と電気的に接続される電流リード線と電気的に接続してもよい。さらに具体的には、図に示すように、リード線23は主巻線に接続され、リード線27は超伝導スイッチ20に接続され、リード線25は電源に接続され、スイッチ20は主巻線と電気的に並列となる。
【0032】
さらに、図4に示すように、超伝導スイッチ20を液体ヘリウムで冷却できるようにするため、フィン型銅熱交換器のような熱交換器30を備えていてもよい。こうして、熱交換器30をオフにして、超伝導スイッチ20がその転移温度未満に冷却されると、1以上の超伝導回路16は超伝導閉ループとなるので、電源18を切り離すことができ、磁場を維持しながら長時間永久電流が流れる。したがって、この永久モードの利点は、最良の電源で達成できるものよりも磁場の安定性が優れており、巻線に電力を供給するためのエネルギーを必要としないことである。
【0033】
さらに、超伝導磁石10を最初にオンにする際に、超伝導スイッチ20はその転移温度超まで加熱され、超伝導スイッチ20は抵抗性となる。所望の磁場が得られるまで供給電流を調整してから、ヒータは切られる。超伝導スイッチ20は、その超伝導温度まで冷却されて、1以上の超伝導回路16を短絡させる。しかる後、電源18を切ることができる。
【0034】
次に図4図7を参照すると、超伝導スイッチ20は、超伝導巻線22と熱伝導部材24とを含む。例えば、一実施形態では、超伝導巻線は、最小インダクタンスを達成するためのバイファイラ巻超伝導巻線であってもよい。さらに、一実施形態では、熱伝導部材24は、超伝導巻線22に熱結合した第1の端部26と、冷却タンク15に熱結合した第2の端部28とを含む。例えば、図4に示すように、熱交換器30は、冷却タンク15内に装着され、冷却タンク15のタンク壁19に例えばろう付けによって固定された銅ロッドのような熱伝導性ロッド32によって超伝導スイッチ20に熱接続してもよい。さらに、図4及び図5に示すように、追加の支持構造34を、例えばはんだ付けによって伝導性ロッド32に取り付けてもよく、それに熱伝導部材24の第2の端部28を固定することができる。別の実施形態では、図6に示すように、熱伝導部材24は、導管21の1つに取り付けてもよい。かかる実施形態では、熱伝導部材24は、1以上の銅編組ストラップを用いて導管21に取り付けてもよく、銅編組ストラップは熱伝導部材24及び導管21に固定し得る。
【0035】
次に図8を参照すると、熱伝導部材24の8-8矢視断面図を示す。特に、図に示すように、熱伝導部材24は、少なくとも第1の層36及び第2の層38を含む。第1の層36は、第1の熱伝導率を有する金属材料からなる。さらに、図に示すように、第2の層38は、第1の層36を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成される。なお、図に示すように、第2の層38は、エポキシ樹脂40を用いて第1の層36に接合してもよい。
【0036】
さらに、一実施形態では、第2の層38の熱膨張率(CTE)は、第1の層36のCTEと実質的に等しく、例えば±10%以内である。さらに、一実施形態では、第2の層38は、第1の層36よりも高い引張強さを有する。追加の実施形態では、第1の層36の金属材料は、純度99.99%超の高純度金属材料からなるものであってもよい。例えば、一実施形態では、高純度金属材料は、焼鈍高純度アルミニウムであってもよい。別の実施形態では、第1の層36は、タングステン又は白金からなるものであってもよい。別の実施形態では、第2の層38の材料は、第1の層36の金属材料の合金であってもよい。
【0037】
したがって、一実施形態では、40K未満の第1の温度域(約15K~約30Kなど)での第1の層36の第1の熱伝導率は、50K超の第2の温度域(約50K~約60Kなど)での第1の層36の第1の熱伝導率よりも3倍以上大きくてもよい。かかる実施形態では、第2の温度域は、磁石励磁プロセスの初期段階で超伝導スイッチ20が電気抵抗性を保つ状態にあるときの温度を含む。別の実施形態では、第1の温度域は、第2の温度域の約3分の1~2分の1に等しい温度を含む。
【0038】
次に図10を参照すると、本開示技術に係る超伝導スイッチを有する超伝導磁石の励磁方法100の一実施形態の流れ図が示してある。一般に、本明細書では、図1図9を参照して上記で説明した超伝導磁石10及び超伝導スイッチ20を参照して方法100について説明する。ただし、当業者には明らかであろうが、方法100は、一般に、適切な構成を有するあらゆる超伝導磁石で利用することができる。さらに、図10は、例示及び説明のため特定の順序で実行されるステップを示しているが、本方法は、特定の順序又は構成に限定されるものではない。当業者には自明であろうが、本願の開示内容を用いて、本方法の様々なステップを、本開示技術の範囲から逸脱せずに、様々に、省略、再配置、組合せ及び/又は適合させることができる。
【0039】
符号102で示すように、本方法100は、超伝導スイッチ20の臨界温度よりも高い目標温度に超伝導スイッチ20を加熱するステップを含む。符号104で示すように、本方法100は、超伝導磁石10を励磁するため超伝導スイッチ20に電圧を印加するステップであって、超伝導スイッチ20の自己ジュール発熱によって目標温度を維持するステップを含む。符号106で示すように、本方法100は、超伝導磁石10の励磁中に超伝導スイッチ20の温度が徐々に低下するように、超伝導スイッチ20の電圧を徐々に低下させるステップを含む。一実施形態では、本方法100は、超伝導スイッチの電圧を非線形又は段階的制御によって調整することを含んでいてもよい。
【0040】
したがって、本開示の超伝導スイッチ20は、超伝導磁石10の至適化された非線形励磁を可能にし、この励磁プロセス中の寒剤の総消費量を最小限に抑制することもできる。特に、図11図14に示すように、本開示技術の利点をさらに例示するため、様々なグラフを示す。図11は、本開示技術に係る各種金属材料の熱伝導率(y軸)対温度(x軸)のグラフ200を示す。特に、図に示すように、焼鈍高純度アルミニウムからなる超伝導スイッチ20は、他の材料に比べて(例えば、204,206,208)、非線形ランププロセス(例えば、曲線202)でスイッチを徐々に冷却する。さらに、かかる実施形態では、スイッチ冷却のためにラッチ極低温バルブは不要である。
【0041】
図12は、本開示技術に係る各種金属材料の冷凍能力(y軸)対高温端温度(x軸)のグラフ300を示す。特に、図に示すように、焼鈍高純度アルミニウムからなる超伝導スイッチ20(曲線302)は、銅(曲線306)よりも、特にスイッチを閉じて磁石10を保持するための低温域(約15K~約30K)で、高い積分冷凍能力を有する。曲線304、308及び310は、それぞれタングステン、白金及びアルミニウムとの比較のために示してある。
【0042】
図13は、本開示技術に係るスイッチ温度(y軸)対時間(x軸)のグラフ400を示す。特に、図に示すように、グラフ400は、電圧404の非線形ランププロファイルをスイッチ温度402と対比して示す。図14は、本開示技術に係る磁石ランプ時の様々なパラメータ(y軸)対ランプ時間(x軸)のグラフ500を示す。特に、図に示すように、グラフ500は、コイル電流502、使用した液体ヘリウム体積504及び液体ヘリウム温度506を示す。
【0043】
本発明の様々な態様及び実施形態は、以下の実施態様項によって定義される。
[実施態様項1]
冷却媒体を収容する冷却タンクと、
磁場を発生させるために構成された1以上の超伝導回路と、
1以上の超伝導回路に通電するため1以上の超伝導回路に接続した電源と、
1以上の超伝導回路の端部と電気的に接続した超伝導スイッチと
を備える超伝導磁石であって、超伝導スイッチが、
超伝導巻線と、
超伝導巻線に熱結合した第1の端部、及び冷却タンク内の冷却媒体に熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が、第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材と
を備える、超伝導磁石。
[実施態様項2]
超伝導スイッチの超伝導巻線がバイファイラ巻超伝導巻線である、実施態様項1に記載の超伝導磁石。
[実施態様項3]
第2の層の熱膨張率(CTE)が第1の層の熱膨張率(CTE)と実質的に等しい、実施態様項1又は実施態様項2に記載の超伝導磁石。
[実施態様項4]
第2の層が、第1の層よりも高い引張強さを有する、実施態様項3に記載の超伝導磁石。
[実施態様項5]
第2の層が、エポキシ樹脂を用いて第1の層に接合されている、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の超伝導磁石。
[実施態様項6]
第1の層の金属材料が、純度99.99%超の高純度金属材料からなる、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の超伝導磁石。
[実施態様項7]
高純度金属材料が、焼鈍高純度アルミニウムを含む、実施態様項6に記載の超伝導磁石。
[実施態様項8]
第1の層がタングステン又は白金のいずれかで構成されている、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の超伝導磁石。
[実施態様項9]
第2の層の材料が第1の層の金属材料の合金である、実施態様項1乃至実施態様項8のいずれか1項に記載の超伝導磁石。
[実施態様項10]
40K未満の第1の温度域での第1の層の第1の熱伝導率が、50K超の第2の温度域での第1の層の第1の熱伝導率よりも3倍以上大きい、実施態様項1乃至実施態様項9のいずれか1項に記載の超伝導磁石。
[実施態様項11]
第2の温度域が、磁石励磁プロセスの初期段階で超伝導スイッチが電気抵抗性を保つ状態にあるときの温度を含む、実施態様項10に記載の超伝導磁石。
[実施態様項12]
第1の温度域が、第2の温度域の約3分の1~2分の1に等しい温度を含む、実施態様項10に記載の超伝導磁石。
[実施態様項13]
超伝導スイッチが、電流リード線と電気的に接続した1以上のリード線を含んでおり、電流リード線が、励磁プロセス時に電源と電気的に接続される、実施態様項1乃至実施態様項12のいずれか1項に記載の超伝導磁石。
[実施態様項14]
超伝導磁石が、磁気共鳴イメージング(MRI)装置又は発電機のいずれかの一部である、実施態様項1乃至実施態様項13のいずれか1項に記載の超伝導磁石。
[実施態様項15]
超伝導磁石の1以上の超伝導回路の端部に電気的に接続するための超伝導スイッチであって、当該超伝導スイッチが、
超伝導巻線と、
超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び冷却タンクに熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材と
を備える、超伝導スイッチ。
[実施態様項16]
超伝導スイッチを有する超伝導磁石を励磁する方法であって、超伝導スイッチが、超伝導巻線と、超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び超伝導磁石の冷却タンクに熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材とを備えており、当該方法が、
超伝導スイッチの臨界温度よりも高い目標温度に超伝導スイッチを加熱するステップと、
超伝導磁石を励磁するため超伝導スイッチに電圧を印加するステップであって、超伝導スイッチの自己ジュール発熱によって目標温度を維持する、ステップと、
超伝導磁石の励磁中に超伝導スイッチの温度が徐々に低下するように、超伝導スイッチの電圧を徐々に下げるステップと
を含む方法。
[実施態様項17]
超伝導スイッチの電圧を非線形又は段階的制御によって調整することをさらに含む、実施態様項16に記載の方法。
[実施態様項18]
第2の層の熱膨張率(CTE)が第1の層のCTEと実質的に等しく、第2の層が第1の層よりも高い引張強さを有する、実施態様項16又は実施態様項17に記載のの方法。
[実施態様項19]
40K未満の第1の温度域での第1の層の第1の熱伝導率が、50K超の第2の温度域での第1の層の第1の熱伝導率よりも3倍以上大きい、実施態様項16乃至実施態様項18のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様項20]
第2の温度域が、磁石励磁プロセスの初期段階で超伝導スイッチが電気抵抗性を保つ状態にあるときの温度を含み、第1の温度域が、第2の温度域の約3分の1~2分の1に等しい温度を含む、実施態様項19に記載の方法。
【0044】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0045】
10 超伝導磁石
12 断熱容器
14 冷却システム
15 冷却タンク
16 超伝導回路
17 冷却媒体
18 電源
20 超伝導スイッチ
21 導管
22 超伝導巻線
23 リード線
24 超伝導部材
25 リード線
26 熱伝導部材の第1の端部
27 リード線
28 熱伝導部材の第2の端部
29 断熱容器の内部構造
30 熱交換器
32 熱伝導性ロッド
34 追加の支持構造
36 熱伝導部材の第1の層
38 熱伝導部材の第2の層
40 エポキシ樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体を収容する冷却タンクと、
磁場を発生させるために構成された1以上の超伝導回路と、
前記1以上の超伝導回路に通電するため前記1以上の超伝導回路に接続した電源と、
前記1以上の超伝導回路の端部と電気的に接続した超伝導スイッチと
を備える超伝導磁石であって、前記超伝導スイッチが、
超伝導巻線と、
前記超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び前記冷却タンク内の冷却媒体に熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、前記熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が、第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材と
を備える、超伝導磁石。
【請求項2】
前記超伝導スイッチの超伝導巻線がバイファイラ巻超伝導巻線である、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項3】
第2の層の熱膨張率(CTE)が第1の層の熱膨張率(CTE)と実質的に等しい、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項4】
第2の層が、第1の層よりも高い引張強さを有する、請求項3に記載の超伝導磁石。
【請求項5】
第2の層が、エポキシ樹脂を用いて第1の層に接合されている、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項6】
第1の層の金属材料が、純度99.99%超の高純度金属材料からなる、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項7】
前記高純度金属材料が、焼鈍高純度アルミニウムを含む、請求項6に記載の超伝導磁石。
【請求項8】
第1の層がタングステン又は白金のいずれかで構成されている、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項9】
第2の層の材料が、第1の層の金属材料の合金である、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項10】
40K未満の第1の温度域での第1の層の第1の熱伝導率が、50K超の第2の温度域での第1の層の第1の熱伝導率よりも3倍以上大きい、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項11】
第2の温度域が、磁石励磁プロセスの初期段階で当該超伝導スイッチが電気抵抗性を保つ状態にあるときの温度を含む、請求項10に記載の超伝導磁石。
【請求項12】
第1の温度域が、第2の温度域の約3分の1~2分の1に等しい温度を含む、請求項10に記載の超伝導磁石。
【請求項13】
前記超伝導スイッチが、電流リード線で電気的に接続した1本以上のリード線を含み、前記電流リード線が、励磁プロセス時に電源と電気的に接続される、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項14】
当該超伝導磁石が、磁気共鳴イメージング(MRI)装置又は発電機のいずれかの一部である、請求項1に記載の超伝導磁石。
【請求項15】
超伝導スイッチを有する超伝導磁石を励磁する方法であって、前記超伝導スイッチが、超伝導巻線と、前記超伝導巻線に熱結合した第1の端部及び前記超伝導磁石の冷却タンクに熱結合した第2の端部を有する熱伝導部材であって、前記熱伝導部材が、少なくとも第1の層及び第2の層を備えており、第1の層が第1の熱伝導率を有する金属材料で構成され、第2の層が、第1の層を支持し、かつ第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する材料で構成されている、超伝導部材とを備えており、当該方法が、
前記超伝導スイッチの臨界温度よりも高い目標温度に前記超伝導スイッチを加熱するステップと、
前記超伝導磁石を励磁するため前記超伝導スイッチに電圧を印加するステップであって、前記超伝導スイッチの自己ジュール発熱によって目標温度を維持する、ステップと、
前記超伝導磁石の励磁中に前記超伝導スイッチの温度が徐々に低下するように、前記超伝導スイッチの電圧を徐々に下げるステップと
を含む方法。
【国際調査報告】