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  • 特表-一液型ポリウレタン接着剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】一液型ポリウレタン接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240705BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240705BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240705BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J11/06
C09J11/04
C09J5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575715
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2021100331
(87)【国際公開番号】W WO2022261855
(87)【国際公開日】2022-12-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】324005606
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ(シャンハイ)リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials(Shanghai)Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ウェイグオ
(72)【発明者】
【氏名】チュー、フイドー
(72)【発明者】
【氏名】フェルトパウシュ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】オービル、タイラー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、リーロン
(72)【発明者】
【氏名】ソフィア、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EF111
4J040EF131
4J040EF281
4J040JA12
4J040JB04
4J040KA14
4J040KA28
4J040KA29
4J040KA36
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA06
4J040LA08
4J040MA02
4J040NA16
(57)【要約】
本発明では、優れた機械的特性、垂れ防止性能、製品貯蔵安定性、並びに難燃性を示す一液型ポリウレタン接着剤組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー;
(B)少なくとも1種のアミン触媒及び任意選択的な有機金属触媒;
(C)難燃剤/相乗剤である水酸化アルミニウム、ポリリン酸メラミン、及びジエチルホスフィン酸アルミニウム;並びに
(D)任意選択的な接着促進剤、フィラー;
を含む、一液湿気硬化性ポリウレタン接着剤。
【請求項2】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリイソシアネートの存在下で1種以上のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを重合することによって製造される、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリエーテルポリオールがポリ(C~C-アルキレンオキシド)ジオールである、請求項2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリエーテルポリオールがポリ(C~C-アルキレンオキシド)ジオールである、請求項2又は3に記載の接着剤。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリエーテルポリオールが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)トリオール、及びこれらの混合物から選択される、請求項2、3、又は4に記載の接着剤。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリエーテルポリオールベースのプレポリマーとポリエステルポリオールベースのプレポリマーとの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項7】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールと、ポリ(プロピレンオキシド)トリオールと、ジイソシアネートとを反応させることによって製造される、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項8】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールと、ポリ(プロピレンオキシド)トリオールと、ジイソシアネートとを反応させることによって製造されるプレポリマーと、脂肪族ポリエステルジオールをジイソシアネートと反応させることによって製造されるプレポリマーと、の混合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項9】
前記ジイソシアネートが、IPDI、MDI、及びこれらの混合物から選択される、請求項7又は8に記載の接着剤。
【請求項10】
前記ポリウレタンプレポリマーが、前記接着剤組成物の総重量を基準として20~70重量%、より好ましくは35~40重量%のポリウレタンプレポリマーで存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項11】
MDIと反応した、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)と、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)とを含み、1.25重量%のイソシアネート含有量を有するポリウレタンプレポリマーを、前記接着剤組成物の総重量を基準として20~70重量%、より好ましくは35~40重量%含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項12】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、脂肪族ポリエステルジオールをジイソシアネートと反応させることによって製造されたプレポリマーを、前記接着剤の総重量を基準として0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.0重量%含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項13】
前記アミン触媒が脂肪族環状及び非環状三級アミンから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項14】
前記アミン触媒が、N,N-ジメチルシクロヘキサンアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、ジ(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、及び2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルから選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項15】
前記アミン触媒が、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルである、請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項16】
前記アミン触媒が、前記接着剤組成物の総重量を基準として0.1~1重量%で使用される、請求項1~15のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項17】
前記水酸化アルミニウムが2.6ミクロンのメジアン粒径を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項18】
前記ポリリン酸メラミンが、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロンのD50、好ましくは15ミクロンのD50、より好ましくは5ミクロンのD50を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項19】
前記ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、好ましくは、40ミクロン以下のD50、及び/又は10ミクロン以下のD95(アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される体積%)を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項20】
前記水酸化アルミニウムが、前記接着剤の総重量を基準として15~30重量%で存在する、請求項1~19のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項21】
前記水酸化アルミニウムが、前記接着剤の総重量を基準として20~28重量%で存在する、請求項1~20のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項22】
前記水酸化アルミニウムが、前記接着剤の総重量を基準として25重量%で存在する、請求項1~21のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項23】
前記ポリリン酸メラミンが、前記接着剤の総重量を基準として10~20重量%で存在する、請求項1~22のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項24】
前記ポリリン酸メラミンが、前記接着剤の総重量を基準として12~15重量%で存在する、請求項1~23のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項25】
前記ポリリン酸メラミンが、前記接着剤の総重量を基準として13重量%で存在する、請求項1~24のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項26】
前記ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、前記接着剤の総重量を基準として2~10重量%で存在する、請求項1~25のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項27】
前記ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、前記接着剤の総重量を基準として2.5~5重量%で存在する、請求項1~26のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項28】
前記ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、前記接着剤の総重量を基準として3.5重量%又は4.5重量%で存在する、請求項1~27のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項29】
カーボンブラックをさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項30】
前記接着剤組成物の総重量を基準として1~20重量%、より好ましくは2~10重量%のカーボンブラックをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項31】
炭酸カルシウムをさらに含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項32】
ヒュームドシリカをさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項33】
クロロシラン、ジクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン、又はポリジメチルシロキサンで表面処理されたヒュームドシリカをさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項34】
クイックナイフ接着試験(本明細書に記載)において、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、90%を超える凝集破壊(CF)、より好ましくは95%を超える凝集破壊、より特に好ましくは100%凝集破壊である破壊モードを示す、請求項1~33のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項35】
重ねせん断試験(本明細書に記載)において、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、360psi以上、より好ましくは370psi以上の重ねせん断強度を示す、請求項1~34のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項36】
重ねせん断試験(本明細書に記載)において、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、90%を超える凝集破壊、より好ましくは95%を超える凝集破壊、より特に好ましくは100%凝集破壊である破壊モードを示す、請求項1~35のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項37】
本明細書に記載の垂直燃焼試験を使用した場合、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、2秒未満、より好ましくは1秒未満、特に好ましくは0秒の、最初の10秒間の燃焼後の消火時間を示す、請求項1~36のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項38】
本明細書に記載の垂直燃焼試験を使用した場合、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、6秒未満、より好ましくは4秒以下の、2回目の10秒間の燃焼後の消火時間を示す、請求項1~37のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項39】
本明細書に記載の垂れ試験を使用して、製造直後に試験した場合、2mm未満、より好ましくは1mm未満、より特に好ましくは0mmの垂れを示す、請求項1~38のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項40】
本明細書に記載の垂れ試験を使用して、湿気のない条件で54℃で3日間熱老化させた後に試験した場合、3mm未満、より好ましくは2mm以下の垂れを示す、請求項1~39のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項41】
本明細書に記載の抵抗率試験を使用した場合、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、10Ωより大きい抵抗率を示す、請求項1~40のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項42】
V0のUL94評価を示す(23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後)、請求項1~41のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項43】
2つの基材を接着するための方法であって、
(1)請求項1~42のいずれか一項に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤を供給する工程;
(2)前記接着剤を第1の基材、第2の基材、又はその両方に塗布する工程;
(3)前記第1の基材と第2の基材を接着接触状態に配置し、それによって前記接着剤をそれらの間に挟む工程;
(4)前記接着剤を硬化させる工程;
を含む方法。
【請求項44】
前記第1及び第2の基材が金属から独立して選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1及び第2の基材が、コーティングされた鋼及びアルミニウムから独立して選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
硬化が室温で行われる、請求項43、44、又は45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一液型ポリウレタン接着剤は、自動車産業で広く使用されている。市販の接着剤は、強い接着性能及び良好な物理的特性の両方を提供するように設計されている。電気自動車の出現により、そのような接着剤の電池アセンブリの要素において果たす役割はますます高まっている。
【0003】
難燃性は、自動車用途、特に接着剤が高電圧及び高電流に直接さらされる電池アセンブリにおいて重要である。
【0004】
優れた機械的特性及び難燃性を提供することができる一液型ポリウレタン接着剤が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物であって、
(A)少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー;
(B)少なくとも1種のアミン触媒及び任意選択的な有機金属触媒;
(C)難燃剤/相乗剤である水酸化アルミニウム、ポリリン酸メラミン、及びジエチルホスフィン酸アルミニウム;並びに
(D)任意選択的な接着促進剤、フィラー;
を含む組成物を提供する。
【0006】
第2の態様では、本発明は、2つの基材を接着するための方法であって、
(1)本発明による一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤を供給する工程;
(2)接着剤を第1の基材、第2の基材、又はその両方に塗布する工程;
(3)第1の基材と第2の基材を接着接触状態に配置し、それによって接着剤をそれらの間に挟む工程;
(4)接着剤を硬化させる工程;
を含む方法を提供する。
【0007】
第3の態様では、本発明は、
(1)第1の基材;
(2)第2の基材;
(3)本発明による一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤;
を含む接着されたアセンブリであって、
第1及び第2の基材がそれらの間に挟まれた接着剤と接着接触している、アセンブリを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例で使用した垂れを測定する方法を示しており、1は接着剤ビード、2はパネル、3はベンチである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、
(A)少なくとも1種のウレタンプレポリマー樹脂;
(B)少なくとも1種のアミン触媒及び任意選択的な有機金属触媒;
(C)難燃剤/相乗剤である水酸化アルミニウム、ポリリン酸メラミン、及びジエチルホスフィン酸アルミニウム;並びに
(D)任意選択的な接着促進剤、フィラー;
を含む組成物が、優れた難燃性(UL94 V0燃焼試験に合格)、優れた接着特性、高い電気抵抗率、及び垂れ防止性能を示すことを見出した。
【0010】
定義及び略語
ATH:水酸化アルミニウム、Al(OH)
MDI:4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
MPP:ポリリン酸メラミン
PU:ポリウレタン
SEC:サイズ排除クロマトグラフィー
RH:相対湿度
【0011】
本明細書で報告されるポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される数又は重量平均分子量としてダルトン(Da)単位で報告される。
【0012】
ポリウレタンプレポリマー(A)
本発明の組成物はポリウレタンプレポリマーを含有する。
【0013】
ポリエーテルプレポリマーとしては、ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートの存在下で1種以上のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを重合することによって製造されるポリマーが挙げられる。
【0014】
本発明において有用なポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール及びそれらの混合物が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、当技術分野で周知であり、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン及びポリテトラメチレンエーテルジオール及びトリオールが含まれ、これらは、無置換又はハロゲン置換又は芳香族置換のエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを、水、アンモニア、多価アルコール又はアミンなどの活性水素基を2つ以上含む開始剤化合物と反応させることによって調製される。通常、ポリエーテルポリオールは、活性水素含有開始剤化合物の存在下でアルキレンオキシドを重合することによって調製することができる。好ましいポリエーテルポリオールは、ポリオールの主鎖中に1つ以上のアルキレンオキシド単位を含む。好ましいアルキレンオキシド単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合物である。好ましくは、ポリオールは、プロピレンオキシド単位、エチレンオキシド単位又はそれらの混合物を含む。アルキレンオキシド単位の混合物がポリオール中に含まれる実施形態では、異なる単位がランダムに配置され得るか、又はそれぞれのアルキレンオキシドのブロックで配列され得る。好ましい一実施形態では、ポリオールは、ポリオールをキャップするエチレンオキシド鎖と共にプロピレンオキシド鎖を含む。好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールは、ポリエーテルジオールとポリエーテルトリオールとの混合物である。好ましくは、ポリエーテルポリオール又は混合物は、少なくとも約1.5、より好ましくは少なくとも約1.8、最も好ましくは少なくとも約2.0の官能価を有し;これは、好ましくは、約4.0以下、より好ましくは約3.5以下、最も好ましくは約3.0以下である。好ましくは、ポリエーテルポリオール混合物の当量は、少なくとも約200、より好ましくは少なくとも約500、より好ましくは少なくとも約1,000であり;好ましくは約5,000以下、より好ましくは約3,000以下、最も好ましくは約2,500以下である。
【0015】
ポリエステルポリオールには、ヒドロキシル末端ポリエステルが含まれる。特に好ましいものは、ヒドロキシル末端脂肪族ポリエステルである。
【0016】
ポリエステルプレポリマーは、一級ヒドロキシル官能基を有する1種以上の直鎖コポリエステルをポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートと反応させることによって製造されたポリマーを含む。3,000~4,000Da、好ましくは3,500Daの分子量を有するコポリエステルが特に好ましい。
【0017】
ポリエステルプレポリマーを製造するために使用され得るジイソシアネートは、特に限定されない。脂肪族及び芳香族ジイソシアネートが使用され得る。好適なジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビス-シクロヘキシルイソシアネート(HMDI)(水素化MDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられ、MDIが特に好ましい。
【0018】
好ましい実施形態では、ポリエステルプレポリマーは、3,500Daの分子量のコポリエステルをMDIと反応させることによって製造される。
【0019】
好ましい実施形態では、ポリエステルプレポリマーは、3,500Daの分子量の脂肪族ポリエステルをMDIと反応させることによって製造される。特に好ましい実施形態では、ポリエステルプレポリマーは、65~80重量%のポリエステルジオールと5~15重量%のMDIとを反応させることによって製造される。
【0020】
ポリエーテルポリオールのより具体的な例としては、以下のものが挙げられる:
1.アルキレン基がC~Cである、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールなどの二官能性ポリオール(ジオール)、特にポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールであり、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールが特に好ましい。特に好ましい実施形態では、ポリエーテルプレポリマーは、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)を含む。
2.アルキレン基がC~Cである、トリメチロールプロパンなどの三官能性ポリオールで開始されたアルキレンオキシドをベースとするものなどの三官能性ポリオール(トリオール)、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラメチレンオキシド及びブチレンオキシドであり、プロピレンオキシドが特に好ましい。特に好ましい実施形態では、ポリエーテルプレポリマーは、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を含み;ポリマーは、反応性を変更するためにエチレンオキシドでキャップされていても又はキャップされていなくてもよい。
3.1と2との混合物。特に好ましいものは、1と2との混合物であり、より特に好ましいものは、a)56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)と、b)36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)との、特に1:2~2:1の重量比b)/a)での混合物である。
【0021】
少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーは、ポリエーテルポリオールベースのプレポリマーとポリエステルベースのプレポリマーとの混合物を含み得る。
【0022】
特に好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、ポリエーテルジオール及びポリエーテルトリオールをベースとするプレポリマーと、ポリエステルジオールをベースとするプレポリマーとの混合物である。
【0023】
ポリエーテルプレポリマーを製造するために使用され得るジイソシアネートは、特に限定されない。脂肪族及び芳香族のジイソシアネートを使用することができる。適切なジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビス-シクロヘキシルイソシアネート(HMDI)(水素化MDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられ、MDIが特に好ましい。
【0024】
特に好ましい実施形態では、ポリエーテルプレポリマーは、MDIと反応した、名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)と、名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)とを含む。
【0025】
特に好ましい実施形態では、ポリエーテルプレポリマーは、MDIと反応した、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)と、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)とを含む。
【0026】
ポリエーテルプレポリマーは、NCO基とヒドロキシル基との反応を触媒することができる触媒を使用して、少なくとも1種のポリエーテルポリオールをポリイソシアネートと反応させることによって製造される。そのような触媒の例としては、三級アミン触媒、アルキルスズカルボキシレート、酸化物、及びメルカプチドが挙げられる。具体例としては、トリエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、及びビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズが挙げられ、オクタン酸第一スズが特に好ましい。
【0027】
重合は、高沸点のエステル又はジエステル、例えばフタル酸ジアルキルなどの可塑剤の存在下で行うことができる。フタル酸ジイソノニルが特に好ましい。
【0028】
ポリウレタンプレポリマーの製造方法の一例は、以下の工程を含んでいた:
1.少なくとも1種のポリエーテルポリオールを、不活性雰囲気下(例えば窒素又はアルゴン)、任意選択的には可塑剤(例えばフタル酸ジイソノニル)の存在下で45~65℃に加熱する;
2.ポリイソシアネートを添加する;
3.触媒を添加する;
4.反応後、必要に応じて、第2の量の可塑剤(例えばフタル酸ジイソノニル)、及びマロン酸ジアルキル(例えばマロン酸ジエチル)などの安定剤を添加することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーの製造方法は以下の工程を含む:
1.ポリエーテルジオール及びポリエーテルトリオールを、不活性雰囲気下(例えば窒素又はアルゴン)、任意選択的には可塑剤(例えばフタル酸ジイソノニル)の存在下で45~65℃に加熱する;
2.MDIを添加し、混合物を均一になるまで撹拌する;
3.触媒であるオクタン酸第一スズを、ゆっくりと、好ましくは滴下で添加する;
4.混合物を75~85℃に保ち、フタル酸ジイソノニルをマロン酸ジエチルと一緒に添加する。
【0030】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの総重量を基準として18~30重量%、より好ましくは19~25重量%、より特に好ましくは22~23重量%のポリオールジオールを含む。
【0031】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの総重量を基準として25~40重量%、28~35重量%、より特に好ましくは32~33重量%のポリオールトリオールを含む。
【0032】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの総重量を基準として5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、より特に好ましくは9~11重量%のジイソシアネートを含む。
【0033】
特に好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの総重量を基準として22~23重量%のポリオールジオール、32~33重量%のポリオールトリオール、及び9~11重量%のジイソシアネートを含む。
【0034】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)を、プレポリマーの総重量を基準として18~30重量%、より好ましくは19~25重量%、より特に好ましくは22~23重量%含む。
【0035】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を、プレポリマーの総重量を基準として25~40重量%、28~35重量%、より特に好ましくは32~33重量%含む。
【0036】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの総重量を基準として5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、より特に好ましくは9~11重量%のMDIを含む。
【0037】
特に好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの総重量を基準として、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)を22~23重量%、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を32~33重量%、MDIを9~11重量含む。
【0038】
好ましい実施形態では、ポリエーテルプレポリマーは1.25重量%のイソシアネート含有量を有する。
【0039】
好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、米国特許第5,922,809号明細書において列12、行38~49に記載されている手順に従って測定される23℃で16,000cpsの粘度を有する。
【0040】
特に好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、1.25重量%のイソシアネート含有量と、米国特許第5,922,809号明細書において列12、行38~49に記載されている手順に従って測定される23℃で16,000cpsの粘度とを有する。
【0041】
特に好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの総重量を基準として、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)を22~23重量%、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を32~33重量%、MDIを9~11重量含み、また、1.25重量%のイソシアネート含有量と、米国特許第5,922,809号明細書において列12、行38~49に記載されている手順に従って測定される23℃で16,000cpsの粘度とを有する。
【0042】
ポリウレタンプレポリマーは、好ましくは、一液型ポリウレタン接着剤中に、接着剤の総重量を基準として20~70重量%、より好ましくは30~55重量%、より特に好ましくは35~40重量%で存在する。
【0043】
特に好ましい実施形態では、本発明の接着剤組成物は、MDIと反応した、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)と、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)とを含み、且つ1.25重量%のイソシアネート含有量を有するポリウレタンプレポリマーを、接着剤組成物の総重量を基準として20~70重量%、より好ましくは35~40重量%含む。
【0044】
使用される場合、ポリエステルプレポリマーは、接着剤の総重量を基準として0.5~5重量%、より好ましくは0.75~1.5重量%で存在する。
【0045】
好ましくは、ポリエーテルに基づくプレポリマー又はプレポリマー混合物は、少なくとも6,000センチポアズ又は少なくとも約8,000センチポアズ、及び30,000センチポアズ又は20,000センチポアズほどの大きさのブルックフィールド粘度を有する。粘度が高すぎる場合、最終接着剤をポンプ送液することが困難であろう。粘度が低すぎる場合、最終接着剤は、余りにも流れやすく、且つ/又は垂れるであろう。
【0046】
ポリエーテルプレポリマーは、5重量%のNCO含有量に対応する少なくとも840のイソシアネート当量を有する。プレポリマーのイソシアネート当量は、少なくとも1050(NCO含有量4%)、少なくとも1400(NCO含有量3%)又は少なくとも1680(NCO含有量2.5%)であり得、例えば10,000(NCO含有量0.42%)以下、8400(NCO含有量0.5%)以下、7000(NCO含有量0.6%)以下、5000(NCO含有量0.84%)以下であり得る。
【0047】
ポリエーテルプレポリマーは、少なくとも約2.0の平均イソシアネート官能価及び少なくとも約2,000の分子量(重量平均)を有する。好ましくは、プレポリマーの平均イソシアネート官能価は、少なくとも約2.2であり、より好ましくは少なくとも約2.4である。好ましくは、イソシアネート官能価は、約3.5以下、より好ましくは約3.0以下、最も好ましくは約2.8以下である。好ましくは、プレポリマーの重量平均分子量は、少なくとも約1,000であり、好ましくは少なくとも約2,500であり、より好ましくは少なくとも約3,000であり;好ましくは約40,000以下、さらに一層好ましくは約20,000以下、より好ましくは約15,000以下であり、最も好ましくは約10,000以下である。プレポリマーは、対応するプレポリマーを形成するのに十分な反応条件下において、少なくとも2つのイソシアネート反応性が高い、活性水素含有基を含有するイソシアネート反応性化合物を、化学量論より過剰のポリイソシアネートと反応させることによるなど、任意の好適な方法によって調製され得る。
【0048】
プレポリマー当量及び分子量は、参照により本明細書に援用される米国特許第5,922,809号明細書において列12、行50~64に開示されている手順に従って測定される。
【0049】
アミン及び/又は有機金属触媒(B)
本発明の一液型ポリウレタン接着剤は、少なくとも1種のアミン触媒と、任意選択的な少なくとも1種の有機金属触媒とを含む。触媒は、イソシアネートと湿気との反応を触媒できるものである。
【0050】
アミン触媒は、イソシアネートと湿気との反応を触媒することができる任意のアミン触媒である。三級アミン、例えばN,N-ジメチルシクロヘキサンアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、ジ(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルなどの脂肪族環状及び非環状三級アミンが好ましい。
【0051】
2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルが特に好ましい。
【0052】
アミン触媒は、接着剤の総重量を基準として好ましくは0.05~2重量%、より好ましくは0.1~1重量%で使用される。
【0053】
好ましい実施形態では、アミン触媒は、接着剤組成物の総重量を基準として0.1~1重量%で使用される2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルである。
【0054】
有機金属触媒が使用される場合、それは、イソシアネートと少なくとも1つの反応性水素を有する官能基との反応を触媒することができる任意の有機金属触媒である。例としては、カルボン酸スズ及びカルボン酸亜鉛などの金属カルボン酸塩が挙げられる。金属アルカノエートには、オクタン酸スズ(II)、オクタン酸ビスマス又はネオデカン酸ビスマスが含まれる。好ましくは、少なくとも1種の有機金属触媒は、有機スズ触媒である。例としては、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、ジネオデカン酸ジメチルスズ、ジメチルスズメルカプチド、カルボン酸ジメチルスズ、ジオレイン酸ジメチルスズ、ジチオグリコール酸ジメチルスズ、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズビス(チオグリコール酸2-エチルヘキシル)、硫化ジブチルスズ、ジチオグリコール酸ジオクチルスズ、ジオクチルスズメルカプチド、ジオクタン酸ジオクチルスズ、ジネオデカン酸ジオクチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズが挙げられる。特に好ましい実施形態では、これはジネオデカン酸ジオクチルスズである。有機金属触媒は、接着剤の総重量を基準として好ましくは0.001~2重量%、より好ましくは0.005~1重量%、特に好ましくは0.01~0.5重量%で存在する。
【0055】
難燃剤/相乗剤
本発明の一液型ポリウレタン接着剤は、難燃剤/相乗剤である水酸化アルミニウム、ポリリン酸メラミン、及びジエチルホスフィン酸アルミニウムを含有する。
【0056】
水酸化アルミニウムは、好ましくは2.6ミクロンのメジアン粒径を有する。
【0057】
水酸化アルミニウムは、接着剤の総重量を基準として好ましくは15~30重量%、より好ましくは20~28重量%、特に好ましくは25重量%で存在する。
【0058】
ポリリン酸メラミンは、好ましくは、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下、より特に好ましくは10ミクロン以下の平均粒径を有する。特に好ましい実施形態では、ポリリン酸メラミンは、3~10ミクロン、より好ましくは5ミクロンのD50を有する。
【0059】
ポリリン酸メラミンは、接着剤の総重量を基準として好ましくは10~20重量%、より好ましくは12~15重量%、特に好ましくは13重量%で存在する。
【0060】
ジエチルホスフィン酸アルミニウムは、好ましくは、40ミクロン以下のD50(アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される体積%)、及び/又は10ミクロン以下のD95を有する。
【0061】
ジエチルホスフィン酸アルミニウムは、接着剤の総重量を基準として好ましくは2~10重量%、より好ましくは2.5~5重量%、特に好ましくは3.5又は4.5重量%で存在する。
【0062】
好ましい実施形態では、接着剤は、40ミクロン以下のD50(アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される体積%)、及び/又は10ミクロン以下のD95を有するジエチルホスフィン酸アルミニウムを2.5~5重量%含有する。
【0063】
好ましい実施形態では、接着剤は、接着剤の総重量を基準として20~28重量%の水酸化アルミニウムと、12~15重量%のポリリン酸メラミンと、2.5~5重量%のジエチルホスフィン酸アルミニウムとを含有する。
【0064】
特に好ましい実施形態では、接着剤は、接着剤の総重量を基準として、2.6ミクロンのメジアン粒径を有する水酸化アルミニウム20~28重量%と、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン以下、より特に好ましくは10ミクロン以下の平均粒径を有するポリリン酸メラミン12~15重量%と、40ミクロン以下のD50(アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される体積%)及び/又は10ミクロン以下のD95を有するジエチルホスフィン酸アルミニウム2.5~5重量%と、を含有する。
【0065】
任意選択的な成分(D)
本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量を基準として1~20重量%、より好ましくは2~10重量%のカーボンブラックを含み得る。
【0066】
カーボンブラックは、特に限定されない。好ましいカーボンブラックは、ASTM D-2414-09に準拠して測定されるカーボンブラック100gあたりのフタル酸ジブチルの、少なくとも80、好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも95cmの吸油量を示す。加えて、カーボンブラックは、望ましくは、ASTM D1510-11に従って測定される少なくとも80のヨウ素価を有する。
【0067】
本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量を基準として0~20重量%、より好ましくは5~15重量%、特に好ましくは9~10重量%の炭酸カルシウムを任意選択的に含む。炭酸カルシウム粒子は、未処理であってもよく、或いは有機酸又や有機酸のエステルなどの化学物質による処理によって表面改質されていてもよい。
【0068】
本発明の接着剤組成物は、接着剤の総重量を基準として0~1.5重量%、より好ましくは0.5~1重量%のヒュームドシリカを任意選択的に含み得る。
【0069】
ヒュームドシリカが使用される場合、粒子は、未処理であってもよく、或いはクロロシラン、ジクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン、若しくはポリジメチルシロキサンなどの化学物質による処理によって表面改質されていてもよい。
【0070】
その他の任意選択的な成分
本発明の接着剤組成物は、例えば、1種以上の可塑剤(フタル酸ジイソノニルなど)、1種以上の安定剤、例えば熱、可視光及びUV安定剤などの他の成分をさらに含み得る。
【0071】
熱安定剤の例としては、アルキル置換フェノール、ホスファイト、セバケート及びシンナメートが挙げられる。存在する場合、好ましい熱安定剤は、有機ホスファイト、より具体的には参照により本明細書に援用される米国特許第6,512,033号明細書に開示されているようなトリスノニルフェニルホスファイトである。熱安定剤は、接着剤組成物の全重量を基準として少なくとも0.01重量パーセント又は少なくとも0.3重量パーセント、最大でも5重量パーセント、2重量パーセント以下又は1.0重量パーセント以下を構成し得る。接着剤組成物は、そのような熱安定剤を含んでいなくてもよい。
【0072】
UV光安定剤に関して、それらには、ベンゾフェノン類及びベンゾトリアゾール類が含まれる。具体的なUV光吸収剤には、TINUVIN(商標) P、TINUVIN(商標) 326、TINUVIN(商標) 213、TINUVIN(商標) 327、TINUVIN(商標) 571、TINUVIN(商標) 328などのBASF製のもの並びにCYASORB(商標) UV-9、CYASORB(商標) UV-24、CYASORB(商標)UV-1164、CYASORB(商標) UV-2337、CYASORB(商標) UV-2908、CYASORB(商標) UV-5337、CYASORB(商標) UV-531、及びCYASORB(商標) UV-3638などのCytec製のものが含まれる。これらの中で、TINUVIN(商標) 571が好ましい。1種以上のUV光吸収剤は、接着剤組成物の重量の少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント又は少なくとも0.3重量部を構成し得、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下又は1重量パーセントを構成し得る。
【0073】
本発明の接着剤組成物は、1種以上の可視光安定剤をさらに含み得る。好ましい可視光安定剤には、Cytecから入手可能なTINUVIN(商標) 144、TINUVIN(商標) 622、TINUVIN(商標) 77、TINUVIN(商標) 123、TINUVIN(商標) 765、CHIMASSORB(商標) 944;全てCiba-Geigyから入手可能な、CYASORB(商標) UV-500、CYASORB(商標) UV-3581、CYASORB(商標) UV-3346などのヒンダードアミン可視光安定剤が含まれる。これらの中で、TINUVIN(商標) 765が好ましい選択である。可視光安定剤は、接着剤組成物の少なくとも0.1重量パーセント、少なくとも0.2重量パーセント又は少なくとも0.3重量パーセントを構成し得、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下又は1.5重量パーセント以下を構成し得る。
【0074】
好ましい実施形態では、安定剤は、トリスノニルフェニルホスファイト、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)及びセバシン酸メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル、2-(2H-ベンゾトリアゾ-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-フェノール並びにこれらの混合物を含み、これらの混合物を使用することが特に好ましい。
【0075】
NCO安定剤、例えばマロン酸ジエチルなどのマロン酸ジエステルも添加することができる。
【0076】
製造方法
本発明の接着剤組成物は、不活性且つ乾燥した条件下及び/又は真空下において、均一な混合物が得られるまで成分を混合することによって製造される。
【0077】
得られる接着剤組成物は、包装することができ、例えば気密性の高いチューブなどの気密容器に包装することができ、これは、窒素充填された密封アルミニウムバッグ内で保管される。
【0078】
使用方法
第2の態様では、本発明は、2つの基材を接着するための方法であって、
(1)本発明による一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤を供給する工程;
(2)接着剤を第1の基材、第2の基材、又はその両方に塗布する工程;
(3)第1の基材と第2の基材を接着接触状態に配置し、それによって接着剤をそれらの間に挟む工程;
(4)接着剤を硬化させる工程;
を含む方法を提供する。
【0079】
前述したように、本発明の接着剤を供給する好ましい方法は、気密性の高いチューブなどの気密容器内に入れることである。容器は使用の直前に開封される。
【0080】
本発明の接着剤は、例えばノズルを通して加圧フローガンを用いてビードの形態で塗布することを含む、任意の塗布方法によって塗布することができる。これは、手で又はロボットで塗布することができる。
【0081】
好ましい実施形態では、第1と第2の基材の一方又は両方は、金属、特にコーティングされた又はコーティングされていない鋼又はアルミニウムである。特に好ましい実施形態では、両方の基材が電気的にコーティングされた鋼である。
【0082】
硬化は、接着剤を大気中の湿気にさらすことによって行われる。硬化は、室温で、又は高温、例えば、50℃以上又は70℃以上で起こり得る。典型的な硬化条件には、23℃且つ50%RHで3~7日間、及び80℃で7~14日間が含まれる。
【0083】
発明の効果
本発明の接着剤は優れた接着特性を示す。実施例に記載のクイックナイフ接着試験を使用すると、本発明の接着剤は、23℃、50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは90%を超える凝集破壊、より好ましくは95%を超える凝集破壊、より特に好ましくは100%凝集破壊である破壊モードを示す。
【0084】
実施例に記載の重ねせん断強度試験を使用すると、本発明の接着剤は、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは360psi以上、より好ましくは370psi以上の重ねせん断強度を示す。同じ試験を使用すると、本発明の接着剤は且つ50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは90%を超える凝集破壊、より好ましくは95%を超える凝集破壊、より特に好ましくは100%凝集破壊である破壊モードを示す。
【0085】
実施例に記載の重ねせん断強度試験を使用すると、本発明の接着剤は、23℃且つ50%RHで7日間に加えて80℃で14日間硬化させた後、好ましくは400psi以上、より好ましくは410psi以上の重ねせん断強度を示す。 同じ試験を使用すると、本発明の接着剤は、23℃且つ50%RHで7日間に加えて80℃で14日間硬化させた後、好ましくは90%を超える凝集破壊、より好ましくは95%を超える凝集破壊、より特に好ましくは100%凝集破壊である破壊モードを示す。
【0086】
本発明の接着剤は優れた難燃性を示す。実施例に記載の垂直燃焼試験を使用すると、本発明の接着剤(23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後)は、好ましくは2秒未満、より好ましくは1秒未満、特に好ましくは0秒の、最初の10秒間の燃焼後の消火時間を示す。本発明の接着剤は、好ましくは、6秒未満、より好ましくは4秒以下の、2回目の10秒間の燃焼後の消火時間を示す。
【0087】
本発明の接着剤は、好ましくは、V0のUL94評価を示す(23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後)。
【0088】
本発明の未硬化接着剤は、低減された垂れ性も示す。実施例に記載の垂れ試験を用いると、本発明の接着剤は、好ましくは、接着剤調製直後に試験した場合、2mm未満、より好ましくは1mm未満、より特に好ましくは0mmの垂れを示す。本発明の接着剤は、好ましくは、湿気のない条件で54℃で3日間熱老化させた後に試験した場合、3mm未満、より好ましくは2mm以下の垂れを示す。 このことは、本発明の接着剤が、湿気のない条件で保管された場合、高温であっても比較的貯蔵安定性を有していることを示している。
【0089】
本発明の接着剤は高い電気抵抗率を示す。実施例に記載の抵抗率試験を使用すると、本発明の接着剤は、好ましくは、10Ωより大きい抵抗率を示す(23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後)。
【0090】
使用
本発明の接着剤組成物は、難燃性能が必要とされる環境において基材を接着するのに特に適している。具体例としては、内燃機関自動車の燃料タンク近傍領域、及び電池アセンブリにおける接合及びシーリング用、特に難燃性が必要とされる電池ボックス周辺領域が挙げられる。
【0091】
特に好ましい実施形態
以下は、本発明の接着剤組成物の特に好ましい実施形態である。
1.
(A)少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー;
(B)少なくとも1種のアミン触媒及び任意選択的な有機金属触媒;
(C)難燃剤/相乗剤である水酸化アルミニウム、ポリリン酸メラミン、及びジエチルホスフィン酸アルミニウム;並びに
(D)任意選択的な接着促進剤、フィラー;
を含む、一液湿気硬化性ポリウレタン接着剤。
2.少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリイソシアネートの存在下で1種以上のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールを重合することによって製造される、実施形態1に記載の接着剤。
3.少なくとも1種のポリエーテルポリオールがポリ(C~C-アルキレンオキシド)ジオールである、実施形態2に記載の接着剤。
4.少なくとも1種のポリエーテルポリオールがポリ(C~C-アルキレンオキシド)ジオールである、実施形態2又は3に記載の接着剤。
5.少なくとも1種のポリエーテルポリオールが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)トリオール、及びこれらの混合物から選択される、実施形態2、3、又は4に記載の接着剤。
6.少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリエーテルポリオールベースのプレポリマーとポリエステルポリオールベースのプレポリマーとの混合物である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の接着剤。
7.少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールと、ポリ(プロピレンオキシド)トリオールと、ジイソシアネートとを反応させることによって製造される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の接着剤。
8.少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールと、ポリ(プロピレンオキシド)トリオールと、ジイソシアネートとを反応させることによって製造されるプレポリマーと、脂肪族ポリエステルジオールをジイソシアネートと反応させることによって製造されるプレポリマーと、の混合物である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の接着剤。
9.ジイソシアネートが、IPDI、MDI、及びこれらの混合物から選択される、実施形態7又は8に記載の接着剤。
10.ポリウレタンプレポリマーが、接着剤組成物の総重量を基準として20~70重量%、より好ましくは35~40重量%のポリウレタンプレポリマーで存在する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の接着剤。
11.MDIと反応した、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)と、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)とを含み、1.25重量%のイソシアネート含有量を有するポリウレタンプレポリマーを、接着剤組成物の総重量を基準として20~70重量%、より好ましくは35~40重量%含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の接着剤。
12.少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、脂肪族ポリエステルジオールをジイソシアネートと反応させることによって製造されたプレポリマーを、接着剤の総重量を基準として0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2.0重量%含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の接着剤。
13.アミン触媒が脂肪族環状及び非環状三級アミンから選択される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の接着剤。
14.アミン触媒が、N,N-ジメチルシクロヘキサンアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、ジ(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、及び2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルから選択される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の接着剤。
15.アミン触媒が、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルである、実施形態1~14のいずれか1つに記載の接着剤。
16.アミン触媒が、接着剤組成物の総重量を基準として0.1~1重量%で使用される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の接着剤。
17.水酸化アルミニウムが2.6ミクロンのメジアン粒径を有する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の接着剤。
18.ポリリン酸メラミンが、アセトン中で、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される、20ミクロンのD50、好ましくは15ミクロンのD50、より好ましくは5ミクロンのD50を有する、実施形態1~17のいずれか1つに記載の接着剤。
19.ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、好ましくは、40ミクロン以下のD50、及び/又は10ミクロン以下のD95(アセトン中、Malvern Mastersizer 2000粒度分析装置を用いてレーザー回折技術を使用して測定される体積%)を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の接着剤。
20.水酸化アルミニウムが、接着剤の総重量を基準として15~30重量%で存在する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の接着剤。
21.水酸化アルミニウムが、接着剤の総重量を基準として20~28重量%で存在する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の接着剤。
22.水酸化アルミニウムが、接着剤の総重量を基準として25重量%で存在する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の接着剤。
23.ポリリン酸メラミンが、接着剤の総重量を基準として10~20重量%で存在する、実施形態1~22のいずれか1つに記載の接着剤。
24.ポリリン酸メラミンが、接着剤の総重量を基準として12~15重量%で存在する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の接着剤。
25.ポリリン酸メラミンが、接着剤の総重量を基準として13重量%で存在する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の接着剤。
26.ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、接着剤の総重量を基準として2~10重量%で存在する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の接着剤。
27.ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、接着剤の総重量を基準として2.5~5重量%で存在する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の接着剤。
28.ジエチルホスフィン酸アルミニウムが、接着剤の総重量を基準として3.5重量%又は4.5重量%で存在する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の接着剤。
29.カーボンブラックをさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の接着剤。
30.接着剤組成物の総重量を基準として1~20重量%、より好ましくは2~10重量%のカーボンブラックをさらに含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の接着剤。
31.炭酸カルシウムをさらに含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の接着剤。
32.ヒュームドシリカをさらに含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の接着剤。
33.クロロシラン、ジクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン、又はポリジメチルシロキサンで表面処理されたヒュームドシリカをさらに含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載の接着剤。
34.クイックナイフ接着試験(本明細書に記載)において、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、90%を超える凝集破壊(CF)、より好ましくは95%を超える凝集破壊、より特に好ましくは100%凝集破壊である破壊モードを示す、実施形態1~33のいずれか1つに記載の接着剤。
35.重ねせん断試験(本明細書に記載)において、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、360psi以上、より好ましくは370psi以上の重ねせん断強度を示す、実施形態1~34のいずれか1つに記載の接着剤。
36.重ねせん断試験(本明細書に記載)において、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、90%を超える凝集破壊、より好ましくは95%を超える凝集破壊、より特に好ましくは100%凝集破壊である破壊モードを示す、実施形態1~35のいずれか1つに記載の接着剤。
37.本明細書に記載の垂直燃焼試験を使用した場合、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、2秒未満、より好ましくは1秒未満、特に好ましくは0秒の、最初の10秒間の燃焼後の消火時間を示す、実施形態1~36のいずれか1つに記載の接着剤。
38.本明細書に記載の垂直燃焼試験を使用した場合、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、6秒未満、より好ましくは4秒以下の、2回目の10秒間の燃焼後の消火時間を示す、実施形態1~37のいずれか1つに記載の接着剤。
39.本明細書に記載の垂れ試験を使用して、製造直後に試験した場合、2mm未満、より好ましくは1mm未満、より特に好ましくは0mmの垂れを示す、実施形態1~38のいずれか1つに記載の接着剤。
40.本明細書に記載の垂れ試験を使用して、湿気のない条件で54℃で3日間熱老化させた後に試験した場合、3mm未満、より好ましくは2mm以下の垂れを示す、実施形態1~39のいずれか1つに記載の接着剤。
41.本明細書に記載の抵抗率試験を使用した場合、23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後、10Ωより大きい抵抗率を示す、実施形態1~40のいずれか1つに記載の接着剤。
42.V0のUL94評価を示す(23℃且つ50%RHで7日間硬化させた後)、実施形態1~41のいずれか1つに記載の接着剤。
43.2つの基材を接着するための方法であって、
(1)実施形態1~42のいずれか1つに記載の一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤を供給する工程;
(2)接着剤を第1の基材、第2の基材、又はその両方に塗布する工程;
(3)第1の基材と第2の基材を接着接触状態に配置し、それによって接着剤をそれらの間に挟む工程;
(4)接着剤を硬化させる工程;
を含む方法。
44.第1及び第2の基材が金属から独立して選択される、実施形態43に記載の方法。
45.第1及び第2の基材が、コーティングされた鋼及びアルミニウムから独立して選択される、実施形態43に記載の方法。
46.硬化が室温で行われる、実施形態43、44、又は45に記載の方法。
【実施例
【0092】
【表1】
【0093】
プレポリマーの調製
プレポリマー1及びプレポリマー2は、表2に列挙されている成分を使用して調製した。
【0094】
【表2】
【0095】
プレポリマー1
1.ジオール、トリオール、及びフタル酸ジイソノニル(1回目の分)を、乾燥した反応フラスコ入れ、混合し、窒素中で54℃まで加熱した。
2.温度が54℃に達したときにMDIを添加した。
3.オクタン酸第一スズを2分間かけて滴下した。
4.温度が上昇し、80℃で30分間保持した。
5.温度を60℃まで下げた。フタル酸ジイソノニル(2回目の分)及びマロン酸ジエチルを添加し、混合物を30分間撹拌した。NCOのサンプルを得た。
6.プレポリマーを窒素中で包装した。
【0096】
プレポリマー2
1.フタル酸ジイソノニルを、乾燥した反応フラスコに入れ、N中で50℃まで加熱した。
2.温度が50℃に達したときにMDIを添加した。
3.溶融ポリエステルジオール(Dynacol l7381)を上記混合物にゆっくりと添加した。
4.混合物を、窒素中で80℃~90℃の温度で40分間反応させた。
5.プレポリマーを乾燥したガラス容器(気密)に保管した。
【0097】
接着剤組成物の調製
表3に列挙した成分を、湿気のない雰囲気(真空)で均一になるまで混合し、気密チューブの中に包装し、窒素を充填した密封アルミニウム袋の中に保管した。
【0098】
本発明の実施例は「E1」及び「E2」で示され、比較例は「CE1」及び「CE2」で示される。
【0099】
試験方法
クイックナイフ接着試験(QKA)
クイックナイフ接着試験(QKA)は、6mm(幅)×6mm(高さ)×100mm(長さ)のサイズのビードを試験基材上に分配することによって行った。クイックナイフ試験は、23℃且つ50%RH(相対湿度)下でのビードの特定の期間の初期硬化並びに任意の追加の環境暴露後に行った。試験の際、基材と接着剤ビードの端部との間にスリット(20~40mm)をカットした。硬化した接着剤ビードを、次いで>90°の角度でビードの端部を引き戻しながら、60°の角度で試験基材までカミソリの刃でカットした。基材上で約3~5mm毎にノッチをカットした。接着の程度は、接着破壊(AF)、薄膜破壊(TF)、及び/又は凝集破壊(CF)として評価した。AFの場合、硬化したビードは試験基材表面から分離することができる一方、CFでは、分離は、カット及び引張の結果として接着剤ビード内で起こり、TFは、カット及び試験後に基材上に残った硬化した接着剤の薄膜があるCFの特殊な場合である。
【0100】
実施例1及び2についての結果は表4に記載されている。
【0101】
プレスフロー粘度
接着剤サンプルに関するプレスフロー粘度は、特に明記しない限り、20gの接着剤組成物が23℃で552kPaの印加圧力の条件下において4.0mmオリフィスを通過するための時間(秒単位)を記録することによって決定した。
【0102】
結果は表5に記載されている。
【0103】
垂れ
垂れ性能は、以下の方法によって評価した。高さ10cm及び長さ30cmの金属パネルをその長さ方向に垂直に置いた。接着剤組成物は、新たに調製したもの、又は窒素を充填したアルミニウム袋の中で54℃で3日間熱老化させた後のいずれかで、パネルの上端に沿って直角三角形のビードとして、高さ1.8cm、底辺0.6cmで吐出した[図1に示すように、(1)が接着剤ビード、(2)がパネル、(3)がベンチである]。30分後、接着剤ビードの先端の元の位置からの滴又は垂れの量をミリメートル単位で測定した。ビード先端からの垂れがなかった場合、垂れ試験結果はゼロミリメートルとして報告された。
【0104】
結果は表5に記載されている。
【0105】
重ねせん断試験
重ねせん断試験は、以下に記載されるSAE J1529試験手順に従って行った。およそ底辺7mm、高さ9mmの接着剤組成物の三角形のビードを、25mm×100mmの規定試験片の幅に沿って且つ試験片端部から約6mm離して塗布した。コーティングされた金属試験片であってよい第2の基材を接着剤ビード上にすぐに押し付けて、中間にある組成物について6mmの最終高さにした。サンプルを、特に明記しない限り23℃且つ50パーセントの相対湿度(RH)の条件下で7日間硬化させた。その後、サンプルを、直ちに、或いはさらに環境にさらした後に、Instron Testerを用いて50mm/分の速度で引っ張った。サンプル面積(in)で割ったサンプル破壊荷重(ポンド)が重ねせん断接着強度(psi)を与える。接着度は、接着破壊(AF)、薄膜破壊(TF)及び/又は凝集破壊(CF)として評価する。AFの場合、硬化ビードは、試験基材表面から分離することができる一方、CFでは、分離は、シーラント接着剤内で起こり、TFは、試験後に基材上に残った硬化接着剤の薄膜があるCFの特別な場合である。
【0106】
結果は表6に記載されている。
【0107】
引張及び伸び特性
接着剤サンプルを2枚の剥離紙の間に吐出し、その後プレスして厚さ3mmの丸いパティを形成した。これらの丸いパティを23℃且つ相対湿度(RH)50%の条件で7日間硬化した。試験片をこれらの硬化サンプルパティからカットし、全てASTM D412(Die C)に従って、Instron Testerを用いて引張強さ、伸び、及びヤング率(1~10%歪み)に関して試験した。
【0108】
結果は表7に記載されている。
【0109】
【表3】
【0110】
電気抵抗率
2枚の銅ストリップ(長さ50mm、幅12mm)を、ボール紙などの非導電性表面上に50mm間隔で平行に配置した。三角形の接着剤ビード(底辺6mm、高さ12mm)を、2枚の銅ストリップに垂直に、銅ストリップの中央を通るように吐出した。ビードを、23℃、相対湿度50%で3日間(又は所定の時間)硬化させた。ビードの抵抗率は、電気マルチメーターを用いて、その2つのプローブを2本の銅ストリップに接触させることによって決定した。
【0111】
結果は表8に記載されている。
【0112】
垂直燃焼試験法
接着剤サンプルを2枚の剥離紙の間に吐出し、次いでプレスして厚さ4mm(又所定)の丸いパティを形成した。パティを23℃且つ相対湿度(RH)50%の条件で7日間硬化させた。硬化した丸いパティから幅13mm、長さ125mmの3つの試験片を切り取った。垂直燃焼試験では、最初の試験片を垂直に配置し、その上端をクリップで固定する。プロパントーチに点火し、炎を約25mmの高さに調整する。トーチの炎は垂直に設定しれ、試験片の下端の下に約12mm重なるように置く。10秒間燃やした後、炎を素早く取り除き、タイマーを開始して試験片から炎が消えるまでの時間をカウントする(これを最初の燃焼後の消火時間と定義する)。同じ試験片を同じ方法で2回目に10秒間燃やし、炎が消えるまでの時間を再度記録する(2回目の燃焼後の消火時間)。1つの接着剤サンプルから合計3つの試験片を試験した。1回目と2回目の燃焼の両方で全体的に消火時間が短いことは、試験サンプルの難燃性が優れていることを示す。
【0113】
結果は表9に記載されている。
【0114】
UL94 V0燃焼試験
接着剤サンプルを2枚の剥離紙の間に吐出し、次いでプレスして厚さ4mmの(又は所定の)丸いパティを形成した。パティを23℃且つ相対湿度(RH)50%の条件で7日間硬化させた。硬化した丸いパティから幅13mm、長さ125mmの10個の試験片を切り取った。最初の5個の試験片の組はUL94 V0の条件に従って試験した。2組目の5個の試験片は、さらに70℃で168時間コンディショニングした後、UL94 V0の条件に従って試験した。両方の試験片の組の試験結果がUL94 V0の基準を満たした場合、その接着剤サンプルはUL94 V0の要件に合格したと評価した。
【0115】
結果は表10に記載されている。
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】
【0122】
【表10】
【0123】
結果の考察
クイックナイフ接着(QKA)、表4。
実施例1及び2は、共に、試験条件で100%の凝集破壊を示す。これは、難燃剤/相乗剤の存在が接着強度に悪影響を及ぼさないことを示している。
【0124】
プレスフロー粘度及び垂れ、表5。
実施例1及び2は、共に、調製直後に許容可能な粘度を示し、このことから、ノズルを介した加圧ディスペンサーなど多くの方法による塗布に適している。
【0125】
熱老化後の粘度の増加は、分子量の低下及び/又は増加を示唆する。実施例1及び2は、共に、気密容器内で54℃で3日間保管した後、許容可能な粘度の増加を示す。比較例2は、熱老化後に2倍を超える粘度の許容できない増加を示す。
【0126】
接着剤ビードを基材に塗布する際、理想的には、接着剤ビードはあまり動かず、硬化する前に所定の位置にとどまる必要がある。垂れは、塗布後に生じる動きの程度を示す。比較例1及び2は、共に調製直後にかなりの垂れを示すが、本発明の実施例は垂れを示さない。比較例1は熱老化させた材料の試験から7mmの垂れを示した一方で、比較例2で最初に熱老化した後に垂れを試験したが、非常に悪く、垂れたビードは完全に崩壊していた。対照的に、実施例1及び2は、熱老化後にわずか2mmの垂れしか示さなかった。
【0127】
重ねせん断強度、表6。
本発明の実施例1及び2は、鋼試験片上で優れた重ねせん断強度を示す。さらに、両方のサンプルは、両方の試験条件で100%の凝集破壊を示す。
【0128】
引張強さ、破断点伸び、及びヤング率、表7。
本発明の実施例1及び2は、許容可能な引張強さ、破断点伸び、及びヤング率を示す。
【0129】
電気抵抗率、表8。
実施例1と2は共に10Ωを超える抵抗率を示し、そのため優れた接着に加えて電気絶縁が必要な用途に適している。
【0130】
垂直燃焼試験、表9。
本発明の実施例1及び2は、優れた難燃性を示し、1回目及び2回目の燃焼後の消火時間はいずれも10秒未満であった。対照的に、比較例は、1回目と2回目の両方の燃焼後の消火時間が比較的長いことを示している。
【0131】
UL94燃焼試験評価、表10。
本発明の実施例1及び2は、共に最も低い燃焼性評価であるV0のUL94評価を有する。
図1
【国際調査報告】