(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】位置または移動検知システム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/34 20060101AFI20240705BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20240705BHJP
H03K 17/95 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G10H1/34
G06F3/02 B
H03K17/95 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575756
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022065008
(87)【国際公開番号】W WO2022258474
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222597
【氏名又は名称】ソナス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ジェームス ヘイスティングス
【テーマコード(参考)】
5B020
5D478
5J050
【Fターム(参考)】
5B020CC02
5D478BC24
5J050AA02
5J050AA12
5J050BB22
5J050CC20
5J050FF22
(57)【要約】
【要約】位置または移動検知システム。本開示は、共振回路と、ドライバと、駆動イネーブル回路と、サンプルアンドホールド回路と、測定回路とを備えるセンサに関する。共振回路は、受動負荷と能動回路とを備え、能動回路および受動負荷のうちの少なくともいずれかが共振周波数で共振するように調整される。ドライバは、能動回路を駆動して共振周波数のRF信号を出力するように構成される一方、駆動イネーブル回路は、ドライバをイネーブルおよびディセーブルする制御信号を生成する。サンプルアンドホールド回路は、振幅信号のピークレベルを保持するように構成され、測定回路は、保持されたピークレベルに基づいて、受動負荷と能動回路との相対位置および/または相対移動を検出する。対応するシステム、方法および装置についても記載されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動負荷と能動回路とを備え、前記能動回路および前記受動負荷のうちの少なくとも1つは、共振周波数で共振するように同調される、共振回路と、
前記能動回路を駆動して前記共振周波数のRF信号を出力するドライバと、
前記ドライバをイネーブルおよびディセーブルするための制御信号を生成する駆動イネーブル回路と、
前記受動負荷または前記能動回路のいずれかから出力されるRF信号の振幅を示す振幅信号用のサンプルアンドホールド回路であって、前記ドライバがイネーブルされている期間における、前記振幅信号のピークレベルを保持する、サンプルアンドホールド回路と、
前記保持したピークレベルに基づいて、前記受動負荷と前記能動回路との相対位置および/または相対移動を検出する測定回路であって、前記保持したピークレベルを、前記ドライバが前記駆動イネーブル回路によってディセーブルされた場合に測定することにより前記検出を実行する、測定回路と、
を備えるセンサ。
【請求項2】
前記測定回路は、前記受動負荷と前記能動回路との相対速度を検出する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記サンプルアンドホールド回路は、振幅高感度復調を実行して前記振幅信号を生成するように構成されるピーク検出入力回路を備える、先行するいずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項4】
前記ピーク検出入力回路は、コンデンサを充電して前記ピークレベルに対応する電圧を生成するように構成されたダイオードを含む、請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記サンプルアンドホールド回路は、前記受動負荷または前記能動回路のいずれかから前記RF信号に応じた入力信号を受信し、前記入力信号が閾値電圧を上回る場合に、前記入力信号に基づいて前記振幅信号を生成する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記ドライバは、前記ドライバがイネーブルされている前記期間において、所定数のRFパルスで前記能動回路を駆動する、先行するいずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記ドライバは、前記RFパルスをカウントするカウンタを有し、
前記駆動イネーブル回路は、前記カウントが所定数に達した場合に、前記ドライバをディセーブルする、先行するいずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記サンプルアンドホールド回路は、前記測定の後、かつ、前記駆動イネーブル回路による前記ドライバの、次の再イネーブルの前に、リセットされるように構成される、先行するいずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記測定回路は、前記ドライバがディセーブルされる停止期間の経過後に、前記測定を実行する、先行するいずれかの請求項に記載のセンサ。
【請求項10】
複数の前記共振回路を同時または異なるタイミングで駆動することを可能にし、好ましくは、前記複数の共振回路を順次に駆動することを可能にするマルチプレクサであって、前記駆動イネーブル回路により前記ドライバによる前記能動回路の各々の駆動がディセーブルされる期間において、各測定回路が前記測定を実行することを可能にするマルチプレクサを備える、先行するいずれかの請求項に記載の複数のセンサを備えたシステム。
【請求項11】
前記ドライバによる前記能動回路の各々の駆動がディセーブルされている前記期間において、それぞれの測定回路による前記測定を同時に実行可能とするように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
楽器用キーボード、コンピュータキーボード、コンピュータタッチパッド、好ましくは楽器用のフットペダル、またはドラムである装置であって、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の少なくとも1つのセンサを備えるか、または請求項10または請求項11に記載のシステムを備える装置であって、好ましくは、前記楽器は、電子またはアコースティックの、ピアノ、オルガン、ギターまたはドラムである、装置。
【請求項13】
前記装置は楽器またはコンピュータ用のキーボードであって、前記キーボードは少なくとも1つの鍵またはキーと、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のセンサとを備え、前記鍵または前記キーは、前記受動負荷または前記能動回路のいずれか一方を備える可動部分を有し、前記キーボードは、前記受動負荷または前記能動回路の他方を備える基準部分を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記受動負荷は、前記能動回路が前記ドライバによって駆動されると前記共振周波数で共振するように構成された共振回路を備える、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のセンサ、または請求項10または請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記受動負荷が導電性ターゲットである、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のセンサ、または請求項10または請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記能動回路は、前記共振周波数で共振するように構成された共振回路である、請求項14または請求項15に記載のセンサ。
【請求項17】
前記能動回路は、前記共振周波数とは異なる周波数で共振するように構成された共振回路である、請求項14に記載のセンサ。
【請求項18】
前記サンプルアンドホールド回路は、前記能動回路の出力に結合され、前記能動回路から出力される前記RF信号の振幅を示すように構成される、請求項14または請求項15に記載のセンサ。
【請求項19】
前記サンプルアンドホールド回路は前記受動負荷の出力に結合され、前記受動負荷の前記出力から出力される前記RF信号の前記振幅を示すように構成される、請求項14または請求項17に記載のセンサ。
【請求項20】
位置または移動を検出する方法であって、
ドライバをイネーブルして、能動回路または受動負荷の共振周波数である周波数のRF信号で前記能動回路を駆動し、
前記ドライバがイネーブルされている期間を通して、前記能動回路または前記受動負荷からのRF出力の振幅を指示する信号をサンプリングし、前記サンプリングされた指示信号のピークレベルを保持し、
前記ドライバがディセーブルされる後続の期間のうちの少なくとも一部の間、前記指示信号の前記ピークレベルを保持し続け、
前記ドライバがディセーブルされている期間のうちの前記一部の期間において、前記保持されているピークレベルを測定することによって、前記能動回路および前記受動負荷のいずれか一方の、前記能動回路および前記受動負荷の他方に対する移動または位置を検出する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ、複数のセンサを備えるシステム、および、位置または移動を検出する方法に関する。いくつかの実施形態では、例えば、音楽キーボードの鍵またはコンピュータキーボードのキーの速度または移動を検出する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、英国特許出願公開第2494230号における共振回路ベースのセンサ、および英国特許出願公開第2570533号におけるキーボードセンサシステムを以前記載している。より一般的には、英国特許出願番号1115184.2(英国特許出願公開第2494183号)、英国特許出願番号1721448.7(英国特許出願公開第2569578号)、英国特許出願番号1812826.4(英国特許出願公開第2570533号)、英国特許出願番号1909213.9(英国特許出願公開第2576610号)、英国特許出願番号1909214.7(英国特許出願公開第2578346号)、英国特許出願番号2017797.8、および英国特許出願1208162.6(英国特許出願公開第2494230号)の各明細書を参照する。
【0003】
検知に誘導コイルを採用する共振センサ、特に位置センサおよび検知システムは、その信頼性、精度、正確さ、および低コストのために多くの使用事例がある。しかしながら、そのような検知システムは、センサの誘導コイルの駆動に必要な電力が高すぎる場合があるため、多くの適用例に適していない。例えば、無線接続および/またはバッテリ電力を必要とするシステムにおいて高電力は不利である。
【0004】
さらに、誘導コイルは、一般に、例えば1MHzを超える周波数の高周波駆動信号によって励起される。この駆動信号は、多くの場合、基本周波数および、数十または数百MHzまで拡張可能な高調波周波数から構成され、他のシステムと干渉する可能性がある望ましくない電磁波の放射を引き起こす。したがって、当技術分野で知られている共振センサは、例えば、速度を正確に計算することが望ましい高精度位置センサのような、低レベルの電磁干渉(EMI)を必要とするあらゆるシステムにとって不利または不適切となり得る。
【0005】
望ましくない電磁放射および/またはEMIを低減するために、高調波周波数を含まない正弦波駆動信号を採用することが考えられる。しかし、これは、追加のコスト、複雑さを増大させる可能性があり、しかも、高電力要求の課題を解決するものではない。
【0006】
多数の共振位置センサを含むシステム、特にこれらのセンサが同時に動作するシステムでは、電力要件および望ましくない電磁放射がさらに増大する。例えば、88個の位置センサが、音楽(ピアノ)キーボード上の鍵の位置を検知するために必要とされ、または104個以上の位置センサが、コンピュータキーボード上のキーの位置を検知するために必要とされる可能性がある。コンピュータキーボードは、ユーザの便宜のためにワイヤレスであることが多く、よって、ローカルでのバッテリ供給を必要とするため、コンピュータキーボードにおける電力消費を低減することは、さらに有利となる。
【0007】
したがって、誘導性検知技術を採用し、特に、電力要求およびEMI放射が低減され、精度がより高く、センサ出力の再現性がより高く、および/または、例えばより高速の走査速度を可能とするために、センサ速度がより速い位置および/または移動検知システムを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0008】
一態様によると、受動負荷と能動回路とを備え、能動回路および受動負荷のうちの少なくとも1つが共振周波数で共振するように同調される共振回路と、能動回路を駆動して、共振周波数のRF信号を出力するドライバと、ドライバをイネーブルおよびディセーブルするための制御信号を生成する駆動イネーブル回路と、受動負荷または能動回路のいずれかから出力されるRF信号の振幅を示す振幅信号用のサンプルアンドホールド回路とを備えるセンサであって、サンプルアンドホールド回路は、ドライバがイネーブルされる期間における、振幅信号のピークレベルを保持する、センサが提供される。センサは、保持されたピークレベルに基づいて、受動負荷と能動回路との相対位置および/または相対移動を検出するための測定回路であって、保持されたピークレベルを、駆動イネーブル回路によってドライバがディセーブルされたときに測定することにより検出を実行する、測定回路をさらに備える。
【0009】
能動回路および/または受動負荷は、同調電子回路に組み込まれた誘導コイルを備えてもよく、同調電子回路は、共振周波数fRに共振するように構成される。したがって、能動回路または受動負荷の一方または両方は、好ましくは、同調共振回路を備える。能動回路または受動負荷の一方は、ドライバからの駆動信号によって励起されてもよい。この場合、ドライバは、概して、fRと同等かそれに近い周波数のRF信号を出力する。一般に、受動負荷(別称「ターゲット」)は、例えば、同調回路の共振周波数および/または品質係数を変化させることによって、あるいは能動回路からターゲット/受動負荷への電気エネルギーの伝達によって、受動負荷素子の能動回路への近接度が、受動負荷または能動回路のいずれかの状態変化を引き起こすように選択される。能動回路とターゲットとの相対的位置、および/または、相対移動、および/または相対速度(velocity)(例えば速さ(speed))は、このような変化を、例えば同調回路の共振状態において検出することによって検知することができる。
【0010】
いくつかの例では、サンプルアンドホールド回路は、測定回路による検出の期間中にドライバから効果的に絶縁されるように(例えば、接地によって)構成されてもよい。例えば、サンプルアンドホールド回路は、サンプルアンドホールド回路への入力が閾値電圧を下回る場合に、サンプルアンドホールド回路が保持したピークレベルが、入力におけるノイズおよび/または他の信号によって影響されないように、閾値電圧を有してもよい。サンプルアンドホールド回路は、デジタル的に実行されるか、またはアナログ回路が設けられる。いずれの場合も、有利には、測定回路がセンサ内の相対位置および/または相対移動を検出するために、ドライバがアクティブ/イネーブルのままである必要はない。このようにして、サンプリング回路は、能動回路が駆動されていた時点からのピーク振幅を保持することができる。したがって、相対位置または相対移動は、ドライバがディセーブルされた後に、間接的に検出/測定され得る。これにより、検知に必要な電力を低減することができる。追加的または代替的に、当該システムよれば、電磁干渉(EMI)の低減が可能となる。検知中にセンサドライバがアクティブである必要がないからである。
【0011】
一般に、測定回路は、能動回路または受動負荷によって出力される共振信号の変動を検出して、能動回路と受動負荷との相対位置および/または相対移動を決定してもよい。
【0012】
ドライバの制御信号は、好ましくは(すなわち、任意選択で)、測定回路による測定/検出と同時にドライバが能動回路を駆動しないように、ドライバを繰り返し、および/または、周期的にイネーブルおよびディセーブルにするように構成されるか、あるいは時間調整され得る。
【0013】
いくつかの実施態様では、測定回路は、受動負荷と能動回路との相対速度を検出してもよい。この点に関し、能動回路と受動負荷との相対速度を決定/計算するために、複数の連続する相対位置を検出してもよい。
【0014】
いくつかの実施態様では、サンプルアンドホールド回路は、ピーク検出入力回路を備える。ピーク検出入力回路は、振幅高感度復調を行って振幅信号を生成するように構成される。さらに、ピーク検出入力回路は、コンデンサを充電してピークレベルに対応する電圧を生成するように構成されたダイオードを備え得る。有利には、ダイオードにより、電気的ノイズまたはEMIノイズからの保護を強化することができる。
【0015】
上記に開示した実施態様のいずれにおいても、さらに、サンプルアンドホールド回路が、受動負荷または能動回路のいずれかからRF信号に応じた入力信号を受信し、入力信号が閾値電圧を上回る場合に入力信号に基づいて振幅信号を生成してもよい。
【0016】
そのような構成によれば、サンプルアンドホールド回路がドライバから効果的に隔離される場合に、サンプルアンドホールド回路がいずれの入力信号からも効果的に接地され得るため、ドライバの状態にかかわらず、EMIがさらに低減され得るという、さらなる利点がある。
【0017】
いくつかの実施態様では、ドライバは、ドライバがイネーブルされている期間において、所定数のRFパルスで能動回路を駆動することができる。ドライバの駆動信号は、一連のパルス、例えば方形波や正弦波のようなパルス列であってもよい。一般に、パルス列は、任意のデューティサイクルを有することができるが、受動負荷または能動回路のいずれかを共振させる際の電力消費と効率との間の良好なバランスを提供するには、約50%が好ましい。
【0018】
一般に、サンプルアンドホールド回路は、一定数のパルスに応じてピークレベルおよび/または定常状態に到達する。したがって、パルス数は、当該定常状態/最大値の達成に十分なように選択されてもよい。この定常状態を達成した後に、ドライバをディセーブルしてもよい。したがって、ドライバは、サンプリング回路が定常状態に達するのに十分な時間だけ能動的に駆動されてもよい。すなわち、駆動信号は継続的にアクティブである必要はなく、および/または、駆動信号がイネーブルされる期間を正確に制御することができるので、消費電力を大幅に低減することができる。
【0019】
上述のいずれの実施態様にかかるセンサにおいても、ドライバが、RFパルスをカウントするカウンタを有し、駆動イネーブル回路が、カウントが所定数に達した場合に、ドライバをディセーブルにするように構成してもよい。これにより、固有の共時性(synchronicity)が実現可能である。つまり、RFパルスの数をカウントすることにより駆動信号が再現可能なものとなり、よって、能動回路または受動負荷のいずれかからの共振応答も、概ね再現可能となる。よって、より正確かつ/または信頼性のある位置および/または移動の検出が可能となる。
【0020】
いくつかの実施態様においては、サンプルアンドホールド回路は、測定後、かつ、駆動イネーブル回路によるドライバの、次の再イネーブルの前に、リセットされるように構成されてもよい。これにより、駆動信号をさらにイネーブルした後にさらなるピークレベルをサンプリングすることができるように、以前保持された振幅信号のピークレベルを、例えば容量素子の放電によって直ちにリセットすることが可能となる。
【0021】
あるいは、リセット機能を有さない実施形態では、サンプルアンドホールド回路は、保持されたピークレベル信号を(例えば指数関数的に)減衰させることができる。測定回路は、この減衰期間中に検出を実行してもよい。このような例では、リセットスイッチは不要である。いくつかの実施態様では、測定回路は、ドライバがディセーブルされる停止時間(settling period)の経過後に測定を実行する。
【0022】
停止期間または待機期間の存在により、例えば、ドライバや、能動回路あるいは受動負荷からの、あらゆる残留ノイズまたはRF周波数を、測定回路による検出の前に消失させることが可能となる。したがって、さもなければEMIノイズによって発生する誤差が減少するため、測定の信頼性および/または精度を改善することができる。
【0023】
さらなる態様によれば、マルチプレクサを備えるシステムが提供される。マルチプレクサは、複数の共振回路を、同時または異なるタイミングで駆動可能にし、好ましくは、複数の共振回路を順次に駆動可能にし、ドライバによる各能動回路の駆動がディセーブルされる期間において、各測定回路が測定を行うことを可能にする。このシステムは、ドライバによる能動回路の各々の駆動がディセーブルされている期間中において、それぞれの測定回路が同時に測定を実行することが可能なように構成し得る。
【0024】
したがって、能動共振器の全てがディセーブルされた場合、複数の測定を同時に実行することができる。いくつかの実施形態では、これにより、マルチプレクサによって制御される複数のセンサの走査速度を高速化することができる。これは、高走査速度が一般的に望まれる、例えば、88鍵で構成される音楽キーボード、および/または100個を超えるキーで構成されるコンピュータキーボードにおいて有益である。
【0025】
さらに有利には、サンプルアンドホールド回路は、ドライバが継続的にアクティブである必要がないようにピークレベルを保持するように構成され得るため、複数のセンサが並列駆動、例えば、正確に位相が合うように、またはわずかに位相がずれて駆動されてもよい。すなわち、複数のサンプルアンドホールド回路についての測定回路による検出が、同じ測定スロットにおいて取得可能となる。これは、測定サイクルまたは測定タイムスロットにつき1つのセンサについて測定すること、例えば、能動回路を駆動し、その後、測定回路による検出を一度に1つのセンサについて実行すること(一般的には効率が低い)とは対照的である。
【0026】
したがって、相対位置および/または相対移動の検出を、複数のセンサについて同時にまたは順次に実行すること、好ましくは、能動回路のすべてのドライバ(1または複数)がディセーブルされている期間中に各検出を実行することができる。そして、複数のセンサの各測定回路による検出を、単一の測定サイクル内で行うことが可能となり、多重化システムにおいて、より速い走査速度が可能となる。
【0027】
さらなる関連する態様によれば、楽器用のキーボード、コンピュータキーボード、コンピュータタッチパッド、好ましくは楽器用のフットペダル、またはドラムである装置が提供される。当該装置は、上述のセンサにかかる少なくとも1つのセンサを備えるか、または、好ましくは上記のようなシステムの実施態様を備え、楽器は、電子またはアコースティックのピアノ、オルガン、ギター、またはドラムである。
【0028】
いくつかの実施態様では、受動負荷は、能動回路がドライバに駆動されると、共振周波数で共振するように構成された共振回路を備えてもよい。このような実施態様では、能動回路は、共振周波数とは異なる周波数で共振するように構成された共振回路を備えることができる。
【0029】
代替的に、いくつかの実施態様において、受動負荷は、導電性のターゲットであってもよい。
【0030】
上述の受動負荷のいずれかを有するいくつかの実施態様において、能動回路は、共振周波数で共振するように構成された共振回路であってもよい。例えば、受動回路および能動回路の両方が、同調共振回路(複数)であってもよい。例えば、複数の同調共振回路は、任意選択で複数の誘導コイルであり、各誘導コイルが、8の字コイルを形成するように直列に配列された、逆巻方向の、より小さな2つの一次コイルを備える。
【0031】
いくつかの実施態様において、サンプルアンドホールド回路は、能動回路の出力に結合され、能動回路から出力されるRF信号の振幅を示すように構成される。他のいくつかの実施態様において、サンプルアンドホールド回路は、受動負荷の出力に接続されてもよく、受動負荷の出力から出力されるRF信号の振幅を示すように構成され得る。言い換えれば、能動回路または受動負荷のいずれかのRF信号出力をサンプリングして測定し、能動回路と受動負荷との相対的な分離(relative separation)を決定することができる。
【0032】
受動負荷が、例えば、共振コイルを有さない金属オブジェクトのような、導電性のターゲットである構成は、例えば、位置のごく小さな変化のみを検出する必要がある場合、および/または、ターゲット/受動負荷が、例えばコンピュータのタッチパッドにおいて能動回路に非常に近くなる可能性がある場合に有益であり得る。このような例では、受動負荷は、タッチに応答して撓み、撓み量がセンサによって測定される導電性のフィンガーパッドである。さらに、導電性のフィンガーパッドの撓みに応答する複数の能動センサによれば、複数の能動センサの各々の測定位置出力の内挿によって、タッチの位置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下に、添付図面を参照して、本発明の上述のおよび他の態様をさらに説明する。
【
図1】
図1は、当該技術分野で知られる誘導性位置検知システムのブロック図を示す。
【
図2】
図2は、誘導性位置センサの能動回路として使用するための電子回路の一例を示す。
【
図3】
図3は、誘導性検知システムにおける受動ターゲットとして使用する電子回路の一例を示す。
【
図4】
図4は、誘導性位置検知システムの能動回路または受動負荷の出力を検出するための位相感応検出器の一例を示す。
【
図5】
図5は、誘導性位置検知システムの能動回路または受動負荷の出力を検出するための振幅高感度復調器の一例を示す。
【
図6a】
図6aは、能動回路の同調共振回路の実施形態として、PCB設計の一例の拡大図を示す。
【
図6b】
図6bは、受動負荷の同調共振回路の実施形態として、PCB設計の一例の拡大図を示す。
【
図7】
図7は、音楽キーボードの鍵の断面図を示す。鍵の位置は、システムの例示的な実施態様を使用して決定される。
【
図8】
図8は、
図5にかかる回路を備えた単一の位置センサに対する、連続的駆動信号を用いた測定処理のタイミング図の一例を示す。
【
図9】
図9は一実施形態にかかる誘導性位置検知システムのブロック図を示す。
【
図11】
図11は、振幅高感度復調をサンプルアンドホールド機能と組み合わせた電子回路の一例を示す。
【
図12】
図12は、一実施形態にかかる測定処理のフローチャートを示す。
【
図13】
図13は、単一の位置センサの測定処理のタイミング図の一例を示す。
【
図14】
図14は、複数の例示的なセンサの複数の測定に対応する、多重化方式のタイミング図の一例を示す。
【
図15a】
図15aは、連続的駆動信号および対応するセンサ応答の電圧走査の一例を示す。
【
図15b】
図15bは、パルスバーストの実施形態にかかる、駆動信号およびセンサ応答の電圧走査の一例を示す。
【
図16a】
図16aは、一実施形態にかかる、駆動信号、センサ応答、およびタイミング信号の電圧走査の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、位置/移動センシング素子として誘導コイルを採用した検知システムのブロック図を示す。ブロック図は、コイルセンサ1と、受動負荷すなわちターゲット2との間の分離3の変動に応じて変化する出力10を有する誘導性コイルセンサ1としての能動回路を示す。センサ1は、駆動信号を生成するドライバ4によって駆動/励起される。センサ1の出力10は、検出器5(別称、測定回路)によって処理される。
図1は、測定回路6が、センサ1とターゲット2との間の分離を表す値、または分離に応じた値の生成に使用されることを示す。一般に、センサ1またはターゲット2のいずれか一方の、他方に対する位置を測定することができる。代替的にまたは追加的に、センサ1および/またはターゲット2の相対移動および/または相対速度を測定することができる。
【0035】
図2は、
図1の検知システムにおいて使用するセンサ1としての能動回路を示す。センサ1は、センサ誘導コイル7と、センサ誘導コイル7とともに共振電子回路を形成する1または複数の容量素子8と、好適な駆動信号が印加される駆動入力9と、センサの出力が検出される出力10とを備える。共振電子回路は、容量素子8のキャパシタンスおよび/またはセンサ誘導コイル7のインダクタンスを選択または同調させることにより、共振周波数f
Rに同調させてもよい。正弦波や、パルス列(方形波など)のような好適な時変駆動信号が、周波数f
Rまたはそれに近い周波数で駆動入力9に印加されると、一般に、好適なターゲット2との近接度に応じてセンサの検知出力が反応する。
【0036】
図3は、
図1の検知システムにおけるターゲット2としての使用に好適な同調共振回路を示す。一般に、好適なターゲット2は、金属などの任意の導電性材料を含むか、または、かかる導電性材料から構成されてもよい。ターゲット2は、図示のように共振回路(任意選択でで同調回路)をであってもよい。導電性ターゲットは、必ずしも共振回路でなくてもよい。単なる例示であるが、
図3は、ターゲット容量素子12に接続されて、能動回路の共振周波数f
Rに同等かそれに近くなるように同調され得る共振周波数の共振回路を形成するターゲット誘導コイル11を示す。
【0037】
いくつかの例では、センサ出力10は、直接測定に適していない。このような場合、
図1に示すような検出器5を使用して、センサ1の出力を処理し、直接測定に適した形に変換することができる。
【0038】
図4は、このような検出器の1つの好適な構成を示しており、該検出器は、センサ出力10に接続された信号乗算器15と、センサ駆動信号に同期した基準信号に接続された基準入力13と、基準信号を位相シフトする位相シフト素子14と、信号乗算器15の出力をフィルタリングするローパスフィルタ16と、および/または位相高感度検出器出力が得られる出力17とを備えている。
【0039】
図5は、振幅高感度復調器である、好適な検出器構成の別の例を示す。これは、センサ出力10が、容量素子19および抵抗素子20を備えたピークホールド回路を形成するダイオード18によって整流されることを示す。ピークホールド回路の出力は、出力17に示される。
図5のピークホールド回路の時定数は、容量素子19のキャパシタンスおよび抵抗素子20の抵抗によって決定され得る。例えば、τ=RCである。ここで、Rは抵抗素子20の抵抗であり、Cは容量素子19のキャパシタンスである。
【0040】
しかし、一般に、
図5のピークホールド回路は、検出器が出力17で出力を測定することを可能とするために、連続的駆動信号によって駆動されてもよい。連続的駆動信号がない場合でも、信号を測定することは可能であるが、しかしながら、その場合、出力17からの信号は、抵抗器20を介して(例えば、指数関数的に)減衰する。したがって、いくつかの例において、高時定数(例えば抵抗器20を高抵抗とすることで達成される)を選択することで、
図5のピークホールド回路からの信号を読み取りできるようにしてもよい。これにより、非連続的駆動信号を使用可能となり、有利には電力を節約することができる。この点に関し、広義には、RC時定数の減衰時間は、測定時間に対して長いことが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、駆動信号のディセーブルに続く電圧降下によって引き起こされる誤差が減少することになる。しかしながら、RC減衰時間もまた、保持された信号が次の測定の前に実質的にまたは完全に減衰し得るように、サイクル時間に対して十分に短いことが好ましい。
【0041】
この意味では、
図5の回路は、(例えば
図11に提供されているような)サンプルアンドホールド回路に近似するものとみなすことができ、低電力化を実現し得る。測定の精度は、一般に、駆動信号がアクティブである時間を正確に制御することによって、例えばパルス数をカウントすることによって、達成されてもよい。
【0042】
図4のローパスフィルタ16の時定数および/または
図5のピークホールド回路の時定数は、検知システム測定6(
図1)で現れるf
Rと同等かそれに近いセンサ駆動信号の周波数成分のレベルを、(一般に検知システムへの適用に許容できるレベルまで)減少させるのに十分な大きさになるように選択してもよい。このような周波数成分は、さもなければ、測定6に誤差をもたらす可能性がある。検知システムの適用の要件にしたがって、例えば、センサとターゲットとの分離の急速な変化を検知できるように、時定数は、センサの素早い動きに反応するのに十分に小さいことが好ましい。したがって、時定数を選択する際には、センサ駆動信号の周波数成分のレベルを低減することによって測定誤差を最小化することと、検知システム測定6の応答速度を最大化することとの間に妥協点が存在し得る。
【0043】
図4または
図5の検出器を含む検知システムの態様は、改善の余地がある。例えば、センサ駆動信号がアクティブである間に測定が実行されるのであれば、測定誤差が直接導入され得る。フィルタリングによって除去されないセンサ駆動信号の周波数成分が、センサの測定において望ましくない変動を引き起こす可能性があるため、直接的な誤差が発生する可能性がある。同様に、連続的にアクティブな駆動信号は、間接的な誤差を生じさせ、および/または信頼性を低下させることがある。例えば、センサ駆動信号から生じる回路電圧および回路電流の変動が、例えばアナログ-デジタル変換器によって測定要素中に結合されるからである。言い換えれば、連続的にアクティブな駆動信号は、望ましくない追加の電磁干渉(EMI)を引き起こす可能性がある。
【0044】
図6は、本開示の測定回路および/または検出回路のいずれかと併せて使用され得る例示的なセンサの誘導コイル構成成分を示す。
図6aおよび
図6bは、それぞれ、センサドライバ4によって駆動されるセンサ誘導コイル7を含む能動同調共振回路および、ターゲット2に使用されるコイルインダクタ11の一例を示す。いずれの回路もプリント回路設計である。
【0045】
図6aを参照すると、単一の導電層または複数の導電層を含むプリント回路基板上に、能動同調共振回路を形成してもよく、ここに、連続した螺旋状のトラックでコイル1’が形成される。トラックの電気的導通は、接続ビア53’を介して、接続ワイヤまたは他の導電層上の他の螺旋トラックまたはプリント回路基板の複数の導電層上の複数の螺旋トラックに電気的に接続することによって維持される。容量素子2’および3’(例えば
図2の容量素子8に対応)ならびに抵抗素子4’および5’は、近接配置される。接続点6’および7’は、それぞれ駆動電子回路と読出電子回路用に設けられる。
【0046】
同様に、
図6bを参照すると、受動同調共振回路(ターゲット2を形成)は、単一の導電層または複数の導電層を含むプリント回路基板上に形成されてもよく、ここに、連続した螺旋状トラックでコイル8’が形成される。トラックの電気的導通は、接続ワイヤまたは他の導電層上の他の螺旋トラックまたはプリント回路基板の複数の導電層上の複数の螺旋トラックに、接続ビア(複数)54’を介して電気的に接続することによって維持される。容量素子9’は、基端方向に位置する。
【0047】
他の実施形態では、能動回路のセンサ誘導コイル7は、複数の電気的に接続された一次小コイルから形成することができる。これら一次小コイルの巻線方向は、一次小コイル(複数)から放射される遠方電磁界の合計が実質的にゼロになるように選択される。特に好適であるが非限定的な例として、誘導コイル7は、2つの一次小コイルが8の字コイルを形成するように、逆巻方向で直列に配線接続される。このような配置では、8の字コイルの第1の半分から放射される遠方電磁界と8の字コイルの第2の半分から放射される遠方電磁界とは、大きさが等しいが逆極性を有するようにしてもよい。したがって、8の字コイルから放射される遠方電磁界は実質的にゼロである。
【0048】
このような配置では、受動同調共振回路であるターゲット2は、受動同調共振回路の誘導コイルが能動同調共振回路の8の字コイルのいずれかの半分のみに主として誘導結合されない限り、非効率的となる可能性がある。位置センサの出力信号を最大化するために、受動同調共振回路の誘導コイルも同様に、8の字誘導コイルで形成されることが好ましい。8の字誘導コイルは、逆巻方向で直列に配線接続された2つの二次小コイルを備える。各二次小コイルは、能動回路の8の字コイルの、別々の一次小コイルに主として誘導結合される。
【0049】
図7は、音楽キーボードにおける共振センサの一実施例を示す。鍵機構センサは、ピボット・ポイント17’を中心に回転し、ばね16’または他の機械的連結機構により移動が抑制される可動上部部材15’と、固定底部部材14’と、上部部材の移動を制限する変形可能エンドストップ18’と、位置センサとを備える。位置センサは、電気的リアクティブ素子11’(以下ターゲットと呼ばれる)に誘導結合された能動同調共振回路10’と、能動同調共振回路に接続される駆動電子回路と能動同調共振回路に接続される読出電子回路とを備える。位置センサは、能動同調共振回路とターゲットとの相互分離の変化に応じて変動する信号を出力する。
【0050】
図1に示されるように、概して、ターゲット(例えば、受動同調共振回路)は、回路に電気的結合されておらず(例えば、直接配線されておらず)、能動共振センサ1の出力のみが測定されてもよい。ここでの出力は、センサの近接度に起因する能動共振センサへの負荷に基づいて変化する。ただし、能動的に駆動される共振器によって受動負荷回路が駆動される強さの程度に基づいて受動負荷回路の出力を測定することを可能としてもよい。この場合、受動回路のみを測定すればよいので、能動回路の変動出力は無関係としてもよい。一般的には、
図1において、検出器5に結合されているセンサ出力10の代わりに、ターゲットの出力を検出器5に直接結合することができる(この場合、ドライバおよびセンサは、システムの残りの部分から導電的に絶縁される)。
【0051】
さらに、いくつかの例では、受動回路のみが同調共振を有し、能動回路は共振周波数に同調されていなくてもよい。この点に関し、能動回路は、非同調送信コイルであってもよく、この場合、受動回路が、駆動信号の周波数で共振するように同調される受信コイルとなる。要約すると、本明細書で開示される測定スキームで使用する共振センサとして、少なくとも以下の回路の組合せが可能である。
能動回路の出力が測定される場合において、
i. センサ1が共振能動回路であり、かつ、ターゲット2が導電性(金属)ターゲットである、または、
ii. センサ1が共振能動回路であり、かつ、ターゲット2が共振受動回路である。
受動回路の出力が測定される場合において、:
iii. センサ1が共振能動回路であり、かつ、ターゲット2が共振受動回路である、または、
iv. センサ1が非共振(非同調)能動回路であり、ターゲット2が共振受動回路である。
【0052】
図8は、
図4または
図5の回路に適合するセンサの駆動および測定方法を説明するタイミング図の一例を示す。上述のように、連続的駆動信号38を使用することができる。タイミング図は、センサ駆動信号38がイネーブルされ29、(任意選択の)初期停止期間39(例えば、信号43の安定化が可能)のあと、連続的な一連のパルスがセンサに印加され、センサからの検出出力43が、センサとターゲット間の検出分離を表す値に近づく様子を示す。この検出出力の値は、駆動信号38の周波数成分を含んでもよい。周波数成分の振幅は、検出出力を生成する検出器(図示せず)において適用されたフィルタリングの時定数に依存する。図示されている駆動信号は方形波であるが、任意のパルス列(例えば、50%以外のデューティサイクルを有するもの)や、正弦波駆動信号も好適に採用され得る。測定42は、期間40のあいだに行われる。ここで、測定は、駆動信号の周波数成分の振幅を減少させる付加的なフィルタリングまたは処理を含み得る。
【0053】
したがって、測定の速度と駆動信号の周波数成分の除去量との間にトレードオフが存在し得る。例えば、時定数が高いと、駆動信号内の望ましくない周波数成分を減少させることができる一方で、より長い停止期間を必要とする場合がある。任意選択で、第1の測定の完了に続いて期間41が経過した後に第2の測定を実行してもよい(したがって、期間41はゼロであってもよい)。
【0054】
再び
図5を参照すると、前述の直接誤差および間接誤差は、検出器において長い時定数を採用することで低減することができるが、応答速度を低下させる可能性がある。これは、例えば、センサの高走査速度が必要とされる場合には望ましくない。さらに、センサ駆動信号がアクティブな時間を増加させること(例えば、連続信号を用いて)は、検知システムが必要とする総電力を増加させ得る。これは、低電力検知システムにとって望ましくない。さらに、電力要求が増大する結果、センサ駆動信号の基本周波数および高調波周波数において検知システムによって放射される電磁放射のレベルをさらに増大させる可能性があり、一般に望ましくない。
【0055】
したがって、必要電力およびEMI放出が低減されたシステムを提供することによって、
図5のピークホールド回路および/または
図8の測定レジームをさらに改良することが有利であり得る。
【0056】
図9は、改良された検知システムのブロック図を示す。
図1と比較すると、検出器5と測定回路6との間にサンプルアンドホールド回路27が介在し、センサ駆動信号4とサンプルアンドホールド回路27と測定回路6のそれぞれを制御する制御部28が追加されている。
図5のピークホールド回路は、例えば大きな時定数が存在するいくつかの例において、サンプルアンドホールド回路27としての使用に適している。
【0057】
図10は、
図9のシステムにおける改良された実施形態における使用に適したサンプルアンドホールド回路27を示す。サンプルアンドホールド回路27は、入力21、サンプル/ホールドスイッチ22、電圧蓄積容量素子23、任意選択の信号バッファ24および/または出力25で構成される。サンプリングモードで動作する場合(例えば入力21に示される信号をサンプリングする場合)、電圧蓄積容量素子23が入力21の(ピーク)電圧に一致する電圧レベルに向かって充放電するように、スイッチ22が閉じる。サンプルアンドホールド回路がホールドモードで動作する場合、サンプル/ホールドスイッチ22が開放されて、サンプリングの間、容量素子23は、充電または放電されたサンプリング電圧を維持することが可能となる。有利には、このような回路では、アクティブな信号がない場合でも、サンプルされたピーク信号を維持することができ、非連続的な信号駆動が可能となる。これにより、概して、大幅な電力の節約および/またはEMIの低減が可能となり得る。
【0058】
好ましくは、サンプルされた電圧を保持期間のあいだ確実に維持するように、電圧蓄積容量素子23のアクティブ側(非接地側)に高インピーダンス回路経路が設けられる。これは、サンプル/ホールドスイッチがオフ状態において確実に高インピーダンスを有するようにし、かつ任意選択で、出力25を高インピーダンス測定装置に接続するか、および/または、信号バッファ24を追加して電圧蓄積容量素子23を測定装置のインピーダンスから隔離することによって達成されてもよい。加えて、容量素子23のアクティブ側に高インピーダンス回路経路を設けることで、伝導電気ノイズを防止し、ひいては、サンプリングされた電圧をより安定的に維持することが可能となる。
【0059】
図11は、
図9のシステムにおける使用される、さらに改良されたサンプルアンドホールド回路およびリセット可能なピーク検出器を示す。これには、抵抗素子20を必要とせずに、振幅高感度復調(例えば、
図5を参照して説明)を実行するという利点がある。したがって、サンプルアンドホールド回路は、実質的に「無限」の時定数を持つものとみなすことができる。したがって、
図11のサンプルアンドホールド回路は、物理時定数が存在しないという利点を有する。よって、駆動信号内の望ましくない周波数成分の除去とセンサ速度との間で妥協する必要性を回避しつつ、サンプルホールド動作の効果的な実行を可能とすることができる。したがって、驚くべきことに、かかるサンプルアンドホールド回路を備える共振センサからは、駆動速度の向上、EMI放射の低減、および/または電力の低減の3つのすべてが実現される余地がある。
【0060】
リセット可能なピーク検出器は、センサ出力10への接続と、センサ出力における電圧での容量素子19の充電を可能にするダイオード18と、容量素子を放電するリセットスイッチ26と、および/または測定装置に接続された出力25とを備えることができる。任意選択で、信号バッファ24を設けて、容量素子19を測定装置のインピーダンスから絶縁するようにしてもよい。サンプリングは、リセットスイッチ26が開放されている場合、かつ、センサ駆動信号がアクティブである場合に実行することができ、これにより、センサ出力10に信号が供給される。容量素子19は、センサ出力10における電圧が閾値電圧Vth=VC+VDを上回るときに充電される。ここで、VCは容量素子19に蓄積された電圧であり、VDはダイオード18の両端の電圧降下である。ホールドは、センサ入力10における電圧が閾値電圧Vthを下回るときに行われる。ただし、容量素子19は、ダイオード18を介した逆放電をすることはできない。新たなサンプルアンドホールド動作を実行して、新たなセンサとターゲットとの分離を測定するために、好ましくはセンサ駆動信号が非アクティブ/非イネーブルの際に、リセットスイッチ26を閉じることによって容量素子19を放電してもよい。
【0061】
好ましい実施形態では、そして
図8とは対照的に、センサ駆動信号は非連続である。例えば、センサドライバは、検知システムが実行する各測定の間、ある期間t
driveだけアクティブであってもよい。t
driveは予め決定されてもよい。例えば、検知システムの設計時、または時間ごとに実行されるキャリブレーション処理の期間中に、最適値が決定されてもよい。t
driveの期間は、特定の駆動信号が、レスト位置にある共振センサを定常状態(例えば、
図15bの33a参照)に駆動するのに必要な時間に基づいて決定されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、センサ駆動信号は一連のパルス(例えば矩形波などのパルス列)から成る。連続する複数のパルスの開始時間の間隔t
periodは1/f
Rと同等かそれに近い値となるように設定され、一連のパルスにおけるパルス数は整数値である。したがって、一連のパルスにおけるパルス数は、N
driveとなる。ここで、
【数1】
である。これは、任意のデューティサイクルのパルス列に適用される。
【0063】
図12は、例示的な測定処理のフローチャートを示す。フローチャートにおけるステップの順序は、図示の順序に限定されないことを理解されたい。例えば、ステップS100、S102、S104の順番は、並べ替えることができ、または、好ましくは並行して実行可能である。ステップS106およびステップS108において、再現性のある出力信号を確保するために、パルスがカウントされる。好ましくは、後述するように、パルス列信号の位相は、整数のパルス数が毎回提供されるように、駆動信号の起動S102と同期している。ステップS110において、所定のパルスカウント数(例えば、パルス数を出力するために必要な時間t
driveに対応)に達すると、駆動信号がディセーブルされる。なお、ステップS112は特に任意選択であることがさらに理解されるべきである。例えば、走査速度が速い場合には、駆動信号のディセーブルの直後での測定が可能である。しかしながら、いくつかの例では、望ましくない信号および/または望ましくないEMIを、駆動信号から、さらに低減するために、駆動信号が非アクティブな停止期間を設けることが好ましい。検出回路および/または測定回路は、S114において保持されたピーク信号を測定し、その後、S116においてサンプルアンドホールド回路がリセットされる(例えば、
図11の回路内では、スイッチ26を一時的に閉じることによりリセットされる)。
【0064】
図13は、
図12のフローチャートに対応する、例示的な測定処理のタイミング図を示す。
図13の処理は、センサ駆動信号29の出力をイネーブルにし、信号29を一連のパルス32としてセンサに印加することによって開始される。サンプルアンドホールド回路は、期間37のあいだ、駆動信号のピークレベルをサンプリングし、保持するように動作可能である。例えば、
図11に示される回路では、リセットスイッチ26が開放されて容量素子19が電荷を蓄積することが可能となる。センサからの検出出力33は、一連のパルス32のうちのアクティブ時間t
driveの期間において安定値に近づくことができ、その後、サンプルアンドホールド回路によってピークホールドされる(検出器出力33の安定値に示される)。一般に任意の発振駆動信号(例えば、正弦波、非対称デューティサイクルを有するパルス列など)が適しており、(パルス32に対する)反転駆動信号も可能であることが理解されるであろう。一般に、共振センサの誘導コイルに共振を発生させる任意の発振信号が適している。
【0065】
パルスの所定数N
driveがセンサに印加された後、センサの出力電圧がさらに変動することでサンプルアンドホールド回路によって保持される電圧が影響を受けないように、好ましくは、センサの出力電圧がV
thを下回るようにセンサ駆動信号29の出力が(例えば、駆動イネーブル回路、またはデジタルコントローラによって)ディセーブルされる。任意選択の停止期間(例えば、周期34と周期35との間のインターバル)の後に測定30が開始されてサンプルアンドホールド回路によって保持される電圧を測定し、期間35にわたって実行される。最後に、サンプルアンドホールド回路は、期間36のあいだ、(例えば、
図11のサンプルアンドホールド回路の場合にはリセットスイッチ26を閉じることにより)リセットされる31。その後、
図13に示すサンプリングおよび測定処理を、その後の測定のために繰り返してもよい。周期35と周期36との間の時間インターバルも任意であり、明確性のために図示するに過ぎない。例えば、有利に速い走査速度を提供するために、サンプルアンドホールド回路を、測定35の後に直ちにリセットしてもよい。
【0066】
図13のサンプリングおよび測定処理には、
図11のような回路の使用が好ましい。有利には、
図8の測定処理と比較すると、サンプルアンドホールド回路の保持信号33は、
図8で使用されるピークホールド回路の信号43よりも、かなり安定していることが分かる。この安定性は、駆動信号がないこと、および/または
図11で用いたRC時定数がないことに起因する。これにより、検出出力におけるEMIノイズ/誤差を実質的に減少させることが可能となる。
【0067】
さらに、センサ駆動信号32(例えば、パルス列信号の位相)が、センサ駆動信号の起動および停止29(例えば、駆動イネーブル回路による駆動信号のイネーブルおよびディセーブル)のタイミングと同期することが有利である。このようにして、センサ駆動信号32の形状および位相は、センサが駆動されるたびに実質的に同様となるため、好ましくは、センサおよび検出器出力33からの出力は再現可能な出力となり、ひいては、高い再現性および/または低い誤差で、検知システムから測定値を出力することが可能となる。さらに、そのような再現可能な信号は、一般に、長い時定数による平均化またはフィルタリングを必要とせず、より速いセンサ走査速度を可能にする。詳細には、所定の測定性能に対して、この共時性を課すことで、センサ駆動信号の起動/停止のタイミングでセンサ駆動信号が同期していない場合よりもtdriveを短縮できる。tdriveの長さを短縮することで、有利には、検知システムの電力要求を低減させることができ、および/または、検知システムからの測定をより頻繁に実行することができる。したがって、実施形態によれば、より高速な位置変化の測定、より速いセンサ走査速度、より正確なセンサ速度測定、および/または、多重化センサシステムにおいて実質上走査できるセンサ数の増加、のうちの任意の1または複数を実現することが可能となる。
【0068】
いくつかの実施形態においては、当該システムの例示的な実施態様によって、時分割多重システム(例えば、回路または好適なデジタルコントローラによって制御)を使用することにより、複数の能動同調共振回路を多重化して、複数のセンサの相対位置または相対移動を判定してもよい。鍵ごとに1つのセンサを備える音楽キーボードは、例示的な実施態様である。そのような実施態様では、位置センサ(複数)のサブセットが、どの時点でもイネーブルされる。一般に、多重化システムは、多数のセンサが必要とされる場合に、コスト、複雑さ、電力消費および電磁放射を低減する利点を有する。
【0069】
一般に、複数の(隣接する)センサを同時に、または立て続けに順次駆動すると、望ましくないEMIが発生し、測定誤差が発生する。例えば、どの共振センサも、隣接する共振センサの信号によって駆動される可能性があるため、センサの位置を正確に測定する際に問題が生じる可能性がある。この点に関し、多重システムでは、一般に、ノイズ/EMIの量を低減する目的で、1または複数の緩和システムを含んでもよい。そのような緩和方法には、例えば、位置センサの出力を同期復調して干渉成分を除去する、隣接センサ(複数)を異なる共振周波数で駆動する、隣接または近くのセンサを同時に駆動しないようにマルチプレクサの駆動を設計する、および/または、互いに隣接するセンサの位置を物理的にオフセットする、等が含まれ得る。そのようなシステムによれば、公知の多重化システムがさらに複雑となる可能性がある。にもかかわらず、センサ速度の点においては、多重システムには実質的な改善の余地がある。例えば、同期復調において使用されるローパスフィルタの時間応答によって、位置センサの応答速度が制限される可能性があり、これは望ましくない。
【0070】
有利には、本開示のサンプルアンドホールド技術および実施態様によれば、より高速な多重化システムが実現される。このシステムでは、例えば、複数のセンサの駆動および測定を、好ましくはEMI放射について妥協することなく、並列に、あるいは、はるかに高速に順次連続して、効率的に実行することができる。例えば、
図11の回路、特にダイオード18に固有の閾値電圧により、サンプリング回路/検出回路と、任意の直接接続または隣接する駆動信号/共振センサとの間を事実上電気的に絶縁することができる。
【0071】
図14は、一実施形態による多重化方式のタイミング図を示す。ここでは、単一のセンサの測定処理(例えば、
図13の処理)が、複数のセンサに適用される。有利には、図示される、改良された多重化方式では、複数のセンサの各センサが、一タイムスロットN内で少なくとも1回測定される。これは、各タイムスロットにつき最大で1つのセンサを測定する多重化システムと対照的である。
【0072】
各タイムスロット内において、複数のセンサの各センサに対して、駆動信号32が一連のパルスとして印加される。各センサの検出出力33は有効期間30内に少なくとも1回測定され、検出器のサンプルアンドホールド回路がリセットされる31。好ましくは、複数のセンサのうちのいずれかのセンサ用の、複数の駆動信号のうちの単一の駆動信号のみが、ある時間においてアクティブとなるようにタイミングが構成され得る。これにより、測定システムに必要なピーク電力が低減され、ひいては、望ましくない電磁放射のピークレベルを低減するという利点を提供し得る。各タイムスロット内に、複数のセンサの全てのセンサを同時にまたは順次に測定可能な期間44を設けてもよい。任意選択で、
図12のS112と同様に、最後にイネーブルされるセンサ駆動と測定との間に、任意選択の停止期間を設けてもよい。しかしながら、そのような停止期間は、概して、不要としてもよい。
図14に示されるように駆動信号を順次にイネーブルすることで、図示される少なくともセンサ1およびセンサ2に対して固有の停止期間を提供し得るからである。
【0073】
それにもかかわらず、複数の駆動信号を同時にイネーブル(そしてその後にディセーブル)することも可能であり、例えば、多重化走査速度がさらに高速化される。このような並列駆動スキームにおいては、いずれの駆動信号も存在しない状態で測定期間44が発生するため、EMIの低減という利点はここでも達成可能である。
【0074】
図15aは、連続測定処理(例えば、
図8に示す)による、多重化キーボードにおける位置センサの電圧走査の一例を示す。連続的駆動信号38は、パルス列(個々のパルスは図示せず)から構成される。多重化システムは、8個の位置センサのグループの検知を駆動する。その検出器出力信号43は、グラフの下部に示されている。検出器信号43aはレスト位置にあるキーに対応し、信号43bは押下げされたキー(例えば、この例では、ターゲット2とセンサ1とが互いに接近している)に対応する。駆動信号のギャップは、8個の多重化駆動の周期の間に介在する温度補正ステップに対応する。このステップでは、位置センサの出力に影響を及ぼさない直流が供給される。なお、このような温度補償ステップは、任意であることに留意されたい(例えば、決定されたセンサ出力に影響を及ぼし得るセンサ温度のバラツキを考慮するものである)。
【0075】
図15bは、
図15aと同様の位置センサに対する電圧走査を示し、ここでの駆動信号は、例えば
図13に関連して説明したように、パルス(複数)の「バースト」34を使用する。ここでも8個のキーの多重化が、温度安定化ステップとともに図示される。検出器出力33aはレスト位置のキーを示し、33bは押下げされたキーの検出器出力を示す。有利には、大幅に短縮された期間のあいだにイネーブルされる駆動信号によって同じ信号応答が達成可能である。これにより、電力要件を大幅に低減することができる。
【0076】
図16aは、多重化キーボード用位置センサの電圧走査のさらなる例を示す。ここでは、反転非連続的駆動信号34がセンサの駆動に使用される。検出器出力信号45が直流駆動信号に応答して増加する箇所に温度補償ステップが示される。ここでも、駆動信号34を形成するパルスのバーストは図示されない。さらに、グラフの下部には、各複数サイクルを制御するために使用される、タイミング信号46が示される。具体的には、9個のタイムスロットが示されている(このうち8個は、8個のセンサのグループのそれぞれを駆動するために使用され、1つは温度補償ステップを駆動するために使用される)。
【0077】
図16bは
図16aの拡大バージョンを示す。同図ではパルス列駆動信号34の個々のパルスが図示される。
【0078】
タイミング信号46は、9個のタイムスロットの各測定サイクルの開始を示すために使用される。したがって、駆動信号と測定タイミングとの間の同期に関し、起動信号46、および/または駆動イネーブル回路のタイミングのいずれかを、駆動信号34の基礎となる周波数と同期させることが有利である。これにより、パルス列の開始が確実に一致するという利点がある。
【0079】
いくつかの例では、最初のパルスが(例えば、パルスの途中ではなく)毎回同時に開始する場合には、単にパルスをカウントすることで本質的に同期する。いくつかの例では、例えば、測定サイクルの各周期の制御にフリーランクロックが用いられる場合、パルスカウンタは、毎回同じパルス総数を数えればよい。ただし、割り当ては一様でなくてもよい。例えば、一のサイクルでは開始時に1/4のパルスが発生し、終了時に3/4のパルスが発生してもよい。他のサイクルでは開始時と終了時に1/2のパルスが発生する。これらのパルス列の各々は、共振センサを異なる態様で駆動することとなるため、出力がわずかに異なる。したがって、好ましくは、駆動信号のクロックおよび/または周波数を、タイマー信号46のクロックおよび/または周波数に整合させるかまたは一致させ、再現可能なパルスの組が各回に提供されるようにする。一般的に言えば、いずれのシナリオにおいても、駆動信号34に対する第1のパルス32の開始が、各タイムスロット時間において同じになることが有利である。
【0080】
本明細書に開示されるセンサ、および対応する多重化システムは、様々なシステムおよび製品に適用できることが理解されよう。例えば、ピアノキーボード(完全に電気的、またはアコースティックピアノに一体化されているもの)、コンピュータキーボード(例えば、メカニカルキーボード、有線または無線)、コンピュータゲームコントローラ、コンピュータタッチパッドまたは電子描画タブレット、電子ドラム、ペダル、例えば、ギターペダル、電子ピアノのペダル(複数)のうちのいずれか、およびオルガンペダル等である。本明細書に記載する実施形態の低電力要件は、特に、装置(例えば、コンピュータキーボードまたはゲームコントローラといった無線装置)がバッテリ電力に依存することができるため、有用である。
【0081】
一般に、関連する実施態様において、上述の技術およびセンサは、事実上、圧力を検知するために採用され得る。ここで、センサは、受動共振回路および能動共振回路の一方または両方の下方および/または間にある、変形可能な要素(例えば、ゴムのブロックまたは層)を含む。このような構成は、例えば、ピアノキーボードまたはコンピュータキーボードのアフタータッチを検知するためのセンサとして採用することができる。例えば、キーが既に押された後に、ユーザが加えたアフタータッチ(例えば、さらなるキー圧力)は、変形可能なゴム要素を有する圧力センサによって検知可能である。
【0082】
変形不可能な底部部材に設置された変形可能なドラムヘッドまたはドラムパッドを備える電子ドラムの場合、本明細書に開示されたセンサの受動負荷または能動回路のいずれか一方を、ドラムヘッドまたはドラムパッドに設置または機械的に結合してもよく、センサの受動負荷または能動回路の他方を、底部部材に設置してもよい。よって、底部部材に対するドラムヘッドまたはドラムパッドの相対位置および相対速度を検知することができる。さらに、ドラムに設置した複数のセンサによって、ドラムヘッドまたはドラムパッドへの打撃の空間位置を、例えば、補間または他の信号処理によって求めることができる。
【0083】
当業者であれば、疑いなく、多くの他の有効な選択肢に思い至るであろう。本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、本明細書に添付される特許請求の範囲内において、当業者にとって明らかな変更を包含するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】