(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】少なくとも2つの層を含む平らなタバコ物品及びそのような物品を備えたエアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240705BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20240705BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575812
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022067847
(87)【国際公開番号】W WO2023275121
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 康洋
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC06
4B162AC13
4B162AC17
4B162AC18
4B162AC22
4B162AC27
4B162AD32
(57)【要約】
本発明は、平行な外側表面の対を画定する平らな形状のタバコ物品であって、前記外側表面の少なくとも一方は、エアロゾル生成装置の平らなヒータによって加熱されるように意図され、平らな形状のタバコ物品は、タバコ基材を含む基材層(81)と、基材層(81)の面と接触し、且つ蒸気形成剤が含浸された形成剤保持体を含む少なくとも1つの保持体層(82)とを含み、少なくとも1つの保持体層は、蒸気形成剤が含浸された形成剤保持体のみを含み、形成剤保持体は、いかなるタバコ又はニコチン含有基材も含まず、前記層(81、82)は、前記外側表面と平行に配置される、平らな形状のタバコ物品に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な外側表面(14A、14B)の対を画定する平らな形状のタバコ物品(12)であって、前記外側表面(14A、14B)の少なくとも一方は、エアロゾル生成装置(11)の平らなヒータ(47)によって加熱可能であり、前記平らな形状のタバコ物品(12)は、
- タバコ基材を含む基材層(81)、
- 前記基材層(81)の面に接触し、且つ蒸気形成剤が含浸された形成剤保持体を含む少なくとも1つの保持体層(82、83)であって、蒸気形成剤が含浸された形成剤保持体のみを含み、前記形成剤保持体は、いかなるタバコ又はニコチン含有基材も含まない、少なくとも1つの保持体層(82、83)
を含み、前記層(81、82、83)は、前記外側表面と平行に配置される、平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項2】
前記形成剤保持体は、
- 不織布、
- 綿、
- 紙
からなる群において選択される、請求項1に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項3】
前記蒸気形成剤は、
- ソルビトール、グリセロールなどのポリオール、
- プロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール、
- 1価アルコール、
- 乳酸、グリセロール誘導体などの酸、
- トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、グリセリン又は植物性グリセリンなどのエステル、
- 前記要素の任意の混合物
からなる群において選択される、請求項1又は2に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項4】
前記保持体層(82、83)は、前記基材層(81)の前記面全体に沿って延びる、請求項1~3の何れか一項に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項5】
2つの保持体層(82、83)を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項6】
前記保持体層(82、83)は、前記基材層(81)の両面に接触する、請求項5に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項7】
前記保持体層(82、83)は、異なる厚さを有する、請求項5又は6に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項8】
前記保持体層(82、83)は、異なる蒸気形成剤を含む、請求項5~7の何れか一項に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項9】
前記異なる蒸気形成剤は、加熱されている間の応答時間における差異を有し、蒸気形成剤は、蒸気の生成を提供するために異なる時間を必要とする、請求項8に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項10】
前記保持体層(82、83)は、異なる形成剤保持体を含む、請求項5~9の何れか一項に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項11】
前記層の延長部に配置されたフィルタ部分(16)を更に含む、請求項1~10の何れか一項に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項12】
前記層(81、82、83)を一緒に包む包装体を更に含む、請求項1~11の何れか一項に記載の平らな形状のタバコ物品(12)。
【請求項13】
エアロゾル生成アセンブリ(10)であって、
- 平らなヒータ(47)を含むエアロゾル生成装置(11)、
- 前記平らなヒータ(47)によって加熱されてエアロゾルを生成するように意図された平らな形状のタバコ物品(12)であって、請求項1~12の何れか一項に記載のものである平らな形状のタバコ物品(12)
を含むエアロゾル生成アセンブリ(10)。
【請求項14】
前記保持体層(82、83)は、前記平らなヒータ(47)まで異なる距離を形成するように配置される、請求項13に記載のエアロゾル生成アセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの保持体層を含む平らな形状のタバコ物品に関する。
【0002】
本発明は、そのような物品及びこの物品と共に動作するように構成されたエアロゾル生成装置を含むエアロゾル生成アセンブリにも関する。タバコ物品は、例えば、加熱されるとエアロゾルを形成することができる固体基材を含む。従って、加熱非燃焼式装置としても知られる、物品と共に動作するように構成されたエアロゾル生成装置は、伝導、対流及び/又は放射により、基材を燃やすのではなく加熱して、吸入のためのエアロゾルを生成するように適合される。
【背景技術】
【0003】
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃やすのとは対照的に、気化可能物質を加熱又は加温する様々な装置及びシステムが入手可能である。
【0004】
一般的に入手可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、基材加熱式エアロゾル生成装置又は加熱非燃焼式装置である。このタイプの装置は、そのようなタイプの装置で使用可能なタバコ物品に含まれるエアロゾル基材を加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を生成する。エアロゾル基材は、通常、典型的には150℃~350℃の範囲の温度までの湿った葉タバコ又は他の好適な気化可能材料を含む。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。更に、タバコ又は他の気化可能材料を加熱することによって生成されるエアロゾルは、典型的には、ユーザにとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まない。従って、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりのよいものにするためにそのような材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0005】
従って、ベイピングセッション全体を通して基材からエアロゾルを生成することは、難しい問題を提示することが明らかである。例えば、場合により、エアロゾル基材は、セッションの開始時に蒸気を生成することができ、終了時に使い果たされる場合がある。従って、セッション中に生成される蒸気の量が大幅に変化し得、これにより望ましくないユーザエクスペリエンスが引き起こされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ベイピングセッション全体中によりよいユーザエクスペリエンスを提供することができる加熱非燃焼式装置と共に使用するためのタバコ物品を提案することを目的とする。特に、本発明は、タバコ物品が加熱非燃焼式装置と共に使用されるとき、タバコ物品により保証されるエアロゾルの生成を強化し、ベイピングセッション全体にわたって生成を継続させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、平行な外側表面の対を画定する平らな形状のタバコ物品に関し、前記外側表面の少なくとも一方は、エアロゾル生成装置の平らなヒータによって加熱されるように意図され、平らな形状のタバコ物品は、
- タバコ基材を含む基材層、
- 基材層の面に接触し、且つ蒸気形成剤が含浸された形成剤保持体を含む少なくとも1つの保持体層
を含み、前記層は、前記外側表面と平行に配置される。
【0008】
これらの特徴のため、加熱されている間に異なる応答時間を有するタバコ物品の異なる層を得ることが可能になる。特に、「応答時間」という用語により、加熱されたときに所望の効果を提供するために、対応する層にとって必要な時間が理解されるべきである。所望の効果とは、蒸気の生成であり得る。応答時間が異なることは、ベイピングセッションの少なくとも幾つかの時点において、対応する層の温度が異なることを含意する。これらの層を使用して、タバコ基材から蒸気形成剤の少なくとも一部分を離して貯蔵することができる。これらの層の特性、組成及びそれぞれの配置を適合させることにより、ベイピングセッションの異なる時点における蒸気の生成を強化することが可能になる。例えば、ベイピングセッションの早い段階(即ち予熱段階)又は対照的にベイピングセッションの終了時の蒸気生成を強化することが可能である。
【0009】
有利には、形成剤保持体は、いかなるタバコ又はニコチン含有基材も含まない。換言すると、形成剤保持体には、いかなるタバコ又はニコチン含有基材も存在しない。
【0010】
幾つかの実施形態によれば、形成剤保持体は、不織布、綿及び紙からなる群において選択される。
【0011】
これらの特徴のため、蒸気形成剤を保持し、ベイピングセッションの適切な時点において適切な温度まで蒸気形成剤を加熱するように適合された適切な形成剤保持体を選択することができる。
【0012】
幾つかの実施形態によれば、蒸気形成剤は、以下からなる群において選択される:
- ソルビトール、グリセロールなどのポリオール、
- プロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール、
- 1価アルコールなどの非ポリオール、
- 乳酸、グリセロール誘導体などの酸、
- トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、グリセリン又は植物性グリセリンなどのエステル、
- 上記の要素の任意の混合物。
【0013】
これらの特徴のため、ベイピングセッションの適切な時点において適切な温度まで加熱されたときに蒸気を放出するように適合された適切な蒸気形成剤を選択することができる。
【0014】
幾つかの実施形態によれば、保持体層は、基材層の前記面全体に沿って延びる。
【0015】
これらの特徴のため、タバコ物品の前記層間で均一な熱伝達を行うことが可能になる。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、物品は、2つの保持体層を含む。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、これらの保持体層は、基材層の両面と接触する。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、これらの保持体層は、平らな形状のタバコ物品がエアロゾル生成装置と共に使用されるとき、平らなヒータまで異なる距離を形成するように配置される。
【0019】
これらの特徴のため、保持体層をエアロゾル生成装置のヒータまで異なる距離で配置することが可能になる。従って、これらの層は、ヒータによって加熱されている間に異なる応答時間を示し、ベイピングセッションの異なる時点に蒸気を生成することができる。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、保持体層は、異なる厚さを有する。
【0021】
これらの特徴のため、対応する層間の熱伝達を更に制御し、従って各層の応答時間を制御して、ベイピングセッションの異なる時点において蒸気を生成することが可能になる。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、保持体層は、異なる蒸気形成剤を含む。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、前記異なる蒸気形成剤は、加熱されている間の応答時間における差異を有する。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、保持体層は、異なる形成剤保持体を含む。
【0025】
これらの特徴のため、ベイピングセッションの異なる時点における保持体層の応答時間を更に制御することが可能になる。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、物品は、前記層の延長部に配置されたフィルタ部分を含む。
【0027】
これらの特徴のため、基材層及びその保持体層又は各保持体層によって形成されたエアロゾルを、ユーザに送達する前にフィルタリングすることができる。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、物品は、前記層を一緒に包む包装体を含む。
【0029】
これらの特徴のため、それらの間に物品の異なる層を取り付けることが可能になる。
【0030】
本発明は、エアロゾル生成アセンブリであって、
- 平らなヒータを含むエアロゾル生成装置、
- ヒータによって加熱されてエアロゾルを生成するように意図された平らな形状のタバコ物品
を含むエアロゾル生成アセンブリにも関する。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、保持体層は、それらの間に異なる蒸気形成剤を含む。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、複数の保持体層の1つの保持体層の蒸気形成剤は、他の保持体層の蒸気形成剤と異なる。
【0033】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、添付の図面を参照して記述される以下の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によるエアロゾル生成アセンブリの斜視図であり、エアロゾル生成アセンブリは、エアロゾル生成装置及び平らな形状のタバコ物品を含む。
【
図2】
図1の平らな形状のタバコ物品の斜視図である。
【
図3】
図1のエアロゾル生成装置の加熱チャンバの斜視図であり、加熱チャンバは、平らな形状のタバコ物品を受け入れている。
【
図4】平面IVに沿った
図2の一部分の断面図であり、平らな形状のタバコ物品は、本発明の第1の実施形態によるものである。
【
図5】平面Vに沿った
図2の一部分の断面図であり、平らな形状のタバコ物品は、本発明の第2の実施形態によるものである。
【
図6】平面VIに沿った
図2の一部分の断面図であり、平らな形状のタバコ物品は、本発明の第3の実施形態によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明について説明する前に、本発明は、以下の説明で記述される構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明が、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行され得ることは、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0036】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル生成装置」又は「装置」という用語は、以下で更に詳細に解説するヒータ要素を用いて、ベイピングのためのエアロゾルを含めて、ユーザにエアロゾルを送達するためのベイピング装置を含み得る。装置は、携帯用であり得る。「携帯用」とは、ユーザが保持しながら使用する装置を指し得る。装置は、例えば、可変の時間量にわたってヒータ要素を作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生させるように適合され得、その発生は、トリガによって制御することができる。トリガは、ベイピングボタン及び/又は吸入センサなど、ユーザが作動させるものであり得る。吸入センサは、(タバコ、葉巻又はパイプなどの従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にするために、吸入強度及び吸入継続時間に対する感度が高いものであり得る。装置は、ヒータ及び/又は加熱されたエアロゾル生成物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、その温度をエアロゾルの効率的な生成を可能にするその目標温度に維持するための温度調節制御部を含み得る。
【0037】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体の1つ以上として気化性材料の浮遊物を含み得る。前記浮遊物は、空気を含む気体の状態であり得る。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指し得る/含み得る。エアロゾルは、気化性材料の1つ以上の成分を含み得る。
【0038】
本明細書で使用する場合、「気化性材料」又は「前駆体」という用語は、例えば、ニコチン又はタバコ及び蒸気形成剤を含み得る喫煙可能材料を指し得る。タバコは、様々な材料の形態、例えば刻みタバコ、粒状タバコ、タバコ葉及び/又は再構成タバコなどの形態を取り得る。気化性材料は、ゲル化剤、結合剤、安定剤及び湿潤剤の少なくとも1つも含み得る。
【0039】
本明細書で使用する場合、「蒸気形成剤」、又は「エアロゾル形成剤」、又は「エアロゾルフォーマ」という用語は、ソルビトール、グリセロールなどのポリオール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール、一価アルコールなどの非ポリオール、乳酸、グリセロール誘導体などの酸、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、グリセリン又は植物性グリセリンなどのエステルを指し得る。幾つかの実施形態では、エアロゾル生成剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であり得る。蒸気形成剤は、上記の要素の任意の混合物を指し得る。
【0040】
図1は、エアロゾル生成装置11と、エアロゾル生成装置11に挿入された平らな形状のタバコ物品12とを含むエアロゾル生成アセンブリ10を示す。この平らな形状のタバコ物品12は、
図2により詳細に示されている。
【0041】
図2を参照すると、以降ではタバコ物品12と呼ばれる、平らな形状のタバコ物品12は、例えば、長手方向軸Xに沿って延び、且つ外形寸法がL×W×Dである平らな形状の直方体である。典型的な例では、長手方向軸Xに沿った物品の長さLは、実質的に33mmに等しく、幅W及び深さDは、実質的にそれぞれ12mm及び1.2mmに等しい。異なる例によると、値L、W及びDは、例えば、±40%の範囲内で選択することができる。しかしながら、一般的な場合、本発明の平らな形状のタバコ物品12の寸法は、特定の範囲に限定されない。タバコ物品12の深さDは、以降では物品側壁13A、13Bと呼ぶ平行な壁13A、13Bの対によって形成され、タバコ物品12の幅Wは、以降では物品接触壁14A、14Bと呼ぶ平行な壁14A、14Bの対によって形成される。物品壁13A、13B、14A、14Bは、タバコ物品12の外側表面の2つの平行な対を形成する。本発明の他の例によれば、タバコ物品12は、任意の他の適切な平らな形状及び/又は外形寸法を有することができる。一般的な場合、タバコ物品の平らな形状とは、長手方向の寸法及び/又は横方向の寸法の各々よりも、例えば、少なくとも5倍、有利には少なくとも10倍、より有利には少なくとも15倍小さい深さを有する形状として理解されるべきである。
【0042】
タバコ物品12は、長手方向軸Xに沿って配置されたヒータ部分15及びマウスピース部分16を含む。一部の実施形態では、タバコ物品12は、ヒータ部分15のみを含み得る。ヒータ部分15は、例えば、マウスピース部分16よりもわずかに長くてもよい。例えば、長手方向軸Xに沿ったヒータ部分15の長さL2は、実質的に18mmに等しくてもよく、長手方向軸Xに沿ったマウスピース部分16の長さL1は、実質的に15mmに等しくてもよい。ヒータ部分15は、物品12の当接端部18を画定し、マウスピース部分16は、物品12の口端部20を画定する。ヒータ部分15及びマウスピース部分16は、長手方向軸Xの周りに延びる唯一の包装体によって互いに固定され得る。他の実施形態では、部分15、16は、異なる包装体によって巻かれ、任意の他の適切な手段によって互いに固定され得る。包装体又は各包装体は、例えば、紙、及び/又は不織布、及び/又はアルミニウムを含み得る。包装体又は各包装体は、多孔性又は空気不透過性であり得る。包装体又は各包装体は、当接端部18と口端部20との間で物品12の内部に延びる複数の空気流チャネルを形成する。
【0043】
ヒータ部分15は、(この例では加熱チャンバを使用して)ヒータによって加熱されるように意図され、上記で定義したような気化性材料を含む。気化性材料は、2つ以上の異なる層を形成するように配置され得る。これらの層については、本発明の異なる実施形態による、
図4~
図6に示すヒータ部分15の断面図を参照してより詳細に説明する。
【0044】
図1の例によれば、マウスピース部分16は、エアロゾル生成装置11のマウスピースの内部に受け入れられるように意図される。本発明の他の例によれば、マウスピース部分16は、それ自体で、ユーザの口及び/又は唇に接触するように意図されたマウスピースを形成する。マウスピース部分16は、例えば、フィルタのように機能するコア17を含む。コア17は、例えば、発泡体又は束ねられたより糸若しくは繊維であり得る。コア17は、押し出し及び/又は圧延プロセスによって安定した形状に形成され得る。物品は、1つ以上の空気流チャネルを提供するように成形され得る。
図2の特定の例では、マウスピース部分16は、例えば、長手方向軸Xに垂直な2つの軸に沿ってマウスピース部分16の全周に沿って配置された複数の通気孔22を画定する。換言すると、この例によれば、通気孔22は、物品側壁13A、13B及び物品接触壁14A、14Bの中の物品の各壁上に配置される。別の例によれば、通気孔22は、物品接触壁14A、14Bの上にのみ又は好ましくは物品接触壁14A、14Bの一方の上にのみ配置される。両方の例において、通気孔22は、タバコ物品12の対応する壁又は各対応する壁上に長手方向軸Xに対して垂直に整列され得、同じ距離だけ離間され得る。通気孔22により、新鮮な空気がタバコ物品12の内部に入って特定のベイピング効果/味覚効果を実現することができる。
【0045】
再び
図1を参照すると、エアロゾル生成装置11は、少なくとも1つの側壁40を形成する装置ボディ30を含む。装置ボディ30は、
図1に示す軸Yに従って連続的に配置されたマウスピース32及びハウジング34を含む。本発明の異なる例によれば、マウスピース32及びハウジング34は、2つの異なる部品か又は単一の部品を形成することができる。特に、2つの異なる部品の場合、マウスピース32は、ハウジング34の端部の1つに形成された挿入開口部に固定されるか、又は挿入開口部内に受け入れられるように設計される。
【0046】
各断面において、ハウジング34は、例えば、縁が丸みを帯びた実質的に矩形の形状を形成し得る。この場合、マウスピース32を有するハウジング34は、少なくとも4つの側壁40を形成する。他の例によれば、ハウジング34は、丸い断面形状を有し得る。この場合、ハウジング34は、マウスピース32と共に、1つの側壁40のみを形成することができる。ハウジング34は、アルミニウム又はプラスチックのような任意の適切な材料でできた単一部品又は複数の組み立てられた部品から形成することができる。幾つかの実施形態では、ハウジング34の材料は、熱伝導性の材料であり得る。幾つかの他の実施形態では、この材料は、熱絶縁性の材料であり得る。一部の実施形態では、ハウジング34は、装置側壁40の対応する部分に、制御要素及び/又は視覚的要素を配置するのに適した1つ又は複数の開口部を形成することができる。例えば、そのような要素は、制御ボタン、タッチパネル、スクリーン、LED等を含み得る。特に、
図1の例では、ハウジング34は、例えば、装置11の少なくともON状態を示すLEDを受け入れるスロット開口部42を形成する。これは、例えば、バッテリーの規定状態、エラー状態等も示すことができる。
【0047】
幾つかの例では、ハウジング34及び/又はマウスピース32は、装置11の内部の空気流路と流体連通する空気入口43を形成し得る。
図1に示すように、この空気入口43は、例えば側壁40上において、例えばマウスピース32とハウジング34との間の移行ゾーン内に形成され得る。別の例によれば、空気入口は、ハウジング34の挿入開口部とは反対側のハウジング34の底壁に形成され得る。
【0048】
マウスピース32は、装置11内部の空気流路と流体連通する空気出口44を形成する。特に、空気出口44は、装置11内部で形成されたエアロゾルをユーザに送達するように構成される。幾つかの例では、空気出口44は、タバコ物品12を装置11内部に装填するためにも使用され得る。幾つかの他の例では、タバコ物品12は、マウスピース32がハウジング34から取り外されたときに装置11の内部に装填され得る。
【0049】
ハウジング34は、装置11の異なる機能を実行するように設計された様々な要素を受け入れる装置11の内部空間を区切る。この内部空間は、例えば、装置11に給電するための電池、装置11の動作を制御するための制御モジュール、タバコ物品12を加熱するための加熱チャンバ45及び加熱チャンバ45を加熱するための少なくとも1つの加熱要素47を受け入れることができる。これらの要素の中でも、加熱チャンバ45及び加熱要素47についてのみ、
図3を参照して更に詳細に説明する。
【0050】
この
図3を参照すると、加熱チャンバ45は、近位端部70と遠位端部71との間で軸Yに沿って延びるカップ状の加熱チャンバを形成する。加熱チャンバ45は、タバコ物品12のヒータ部分15を受け入れるように設計される。この目的のために、加熱チャンバ45は、タバコ物品12と実質的に同じ断面形状を画定する。特に、
図3の例では、加熱チャンバ45は、2つの平行なチャンバ側壁73A、73B及び2つの平行なチャンバ接触壁74A、74Bを有する矩形の断面形状を画定する。加熱チャンバ45は、軸Yに垂直に配置された遠位壁75も画定する。特に、遠位壁75は、壁73A、73B、74A、74Bの各々に隣接する。
【0051】
加熱チャンバ45は、長手方向軸Xが軸Yと一致し、物品側壁13A、13Bが、それぞれのチャンバ側壁73A、73Bに面し、物品接触壁14A、14Bが、それぞれのチャンバ接触壁74A、74Bに面するように、少なくともタバコ物品12のヒータ部分15を受け入れるように適合される。
【0052】
本発明の異なる例によれば、加熱チャンバ45の遠位端部71は、封止され得るか又は少なくとも1つの開口部を画定し得る。第1の場合、チャンバ45の近位端部70は、あそびを伴ってタバコ物品12を受け入れるように構成された、チャンバ45の唯一の開口部を形成し得る。特に、この場合、空気流チャネルを物品12及びチャンバ45の側壁13A、73A及び13B、73Bの各対間に形成することができる一方、対応する接触壁14A、74A及び14B、74Bを互いに接触させることができる。
図3に示すように、装置11を使用している間、この場合、空気流路が、空気入口43から、側壁の対応する対間に形成された空気流チャネルを通して加熱チャンバ45内部で「U」ターンした後、タバコ物品12を通して空気出口44まで延び得る。第2の場合、タバコ物品12の壁の全てを、加熱チャンバ45の対応する壁と接触させることができる。この場合、装置11を使用している間、空気流路は、空気入口43から遠位端部71内に形成された開口部を通して、次いでタバコ物品12を通して空気出口44まで延び得る。他の例によれば、加熱チャンバ45は、例えば、その側壁又は接触壁内に他の開口部を形成して、タバコ物品12を通る空気流路を形成し得る。
【0053】
図3に示すように、加熱要素47は、加熱チャンバ45の外部でチャンバ接触壁74A、74Bの一方に接触して配置される。特に、この図の例では、加熱要素47は、チャンバ接触壁74Aの外側表面に隣接して配置される。加熱要素47は、平らなヒータであり、これは、チャンバ接触壁74Aの前記外側表面の実質的に全領域又はこの表面の一部分のみに沿って延在するポリイミドフィルムヒーターを含み得る。加熱要素45は、電池によって給電され、エアロゾル生成装置11の制御モジュールによって制御される。一部の実施形態では、エアロゾル生成装置11は、2つの加熱要素47を含み得、各加熱要素47は、チャンバ接触壁74A、74Bの一方の外側表面上に取り付けられる。
【0054】
図4は、本発明の第1の実施形態によるタバコ物品12のヒータ部分15の断面図を示す。従って、この
図4に示すように、タバコ物品12のヒータ部分15は、基材層81及び基材層81に平行に配置された保持体層82を含む。両方の層は、唯一の包装体を使用して一緒に包まれ得る。包装体は、物品12の当接端部18上に更に延び、この端部に開口部を形成し得る。
【0055】
基材層81は、例えば刻みタバコ、粒状タバコ、タバコ葉及び/又は再構成タバコとしてタバコ基材を含む。幾つかの例によれば、基材層81は、タバコ基材に取り込まれた蒸気形成剤を更に含み得る。保持体層82は、蒸気形成剤が含浸された形成剤保持体を含む。形成剤保持体は、例えば、以下を含む群において選択される:
- 不織布、
- 綿、及び
- 紙。
【0056】
形成剤保持体は、任意の適切な製造プロセスを使用して、液体又は気体の蒸気形成剤を含浸され得る。例えば、これは、層81、82を形成している間又はこれらの層が形成され、一緒に取り付けられた後且つ包装される前に行うことができる。含浸させた後、形成剤保持体は、その内部構造を実質的に変化させずに維持し、蒸気形成剤をこの内部構造の異なるセグメント間に例えば液滴の形態で貯蔵する。
【0057】
有利には、保持体層82は、前記蒸気形成剤が含浸された前記形成剤保持体からなる。換言すると、この場合、保持体層82は、前記要素のみを含み、とりわけいかなるタバコ又はニコチン含有基材も含まない。
【0058】
基材層81が蒸気形成剤も含む場合に有利である。この蒸気形成剤は、各層81、82の応答時間に基づいて、保持体層82に含まれる蒸気形成剤と異なって又は実質的に同じに選択され得る。
【0059】
図4に示すように、保持体層82は、基材層81の底面に隣接し、例えばこの面の全領域に沿って延びる。保持体層82は、例えば、基材層81より厚くてもよい。
【0060】
本発明の異なる例によれば、層81、82の少なくとも1つは、加熱要素47によって直接的に加熱されるように意図される。特に、本明細書で使用する場合。タバコ物品12の層は、この層と加熱要素47との間にタバコ物品12の他の層が無い場合、加熱要素47によって直接的に加熱されるとみなされる。しかしながら、包装体又は加熱チャンバ45の対応する壁のような他の要素は、この層と加熱要素47との間に介在し得る。
図4の例では、保持体層82は、例えば、加熱要素47によって直接的に加熱されるように意図され、基材層81は、保持体層82を介して加熱されるように意図される。この場合、
図3の例によれば、保持体層81は、加熱要素47によって直接的に加熱されるチャンバ接触壁74Aと(最終的に包装体を介して)接触するべきである。この目的のために、タバコ物品12は、例えば、唯一の挿入方向を画定し得る。この挿入方向は、例えば、包装体上に示されているか若しくは物品12の特定の形状によって画定され、且つ/又は加熱チャンバ45が他の方向に従ったタバコ物品12の挿入を防止し得る。幾つかの例によれば、ユーザは、自らの好みに従い、加熱要素47に対してタバコ物品12の方向を選択することができる。
【0061】
図5は、本発明の第2の実施形態によるタバコ物品12のヒータ部分15の断面図を示す。従って、この図に示すように、ヒータ部分15は、上記で説明したものと同じ基材層81及び保持体層82を含み得る。これらの層81、82に加えて、ヒータ部分15は、別の保持体層83を更に含むことができる。この保持体層83は、以降では上部保持体層83と呼ばれ、保持体層82は、以降では底部保持体層82と呼ばれる。
【0062】
例えば、基材層81が保持体層82、83間に配置されるように、上部保持体層83は層81、82と平行に配置される。上部保持体層83は、底部保持体層82と同じ厚さを形成することができ、この底部保持体層82と同じ組成を有することができる。特に、上部保持体層83は、底部保持体層82と同じ蒸気形成剤を含むことができる。底部保持体層82と同様に、上部保持体層83の蒸気形成剤を、対応する形成剤保持体に含浸させることができる。この場合、保持体層82、83の応答時間の差は、加熱要素47までの距離の違いによって保証され得る。例えば、底部保持体層82が加熱要素47によって直接的に加熱されるように意図される場合、上部保持体層83は、加熱要素47までより長い距離で配置され、従ってより長い応答時間を画定する。
【0063】
本発明の第2の実施形態の変形形態では、保持体層82、83は、異なる蒸気形成剤及び/又は形成剤保持体を含み得る。例えば、底部保持体層82は、プロピレングリコールを含み得、上部保持体層は、植物性グリセリンを含み得る。この変形形態は、対向するチャンバ接触壁74A、74Bに2つの加熱要素47が取り付けられる場合に特に適している。
【0064】
図6は、タバコ物品12の第3の実施形態を示す。この実施形態によれば、タバコ物品12のヒータ部分15は、第2の実施形態を参照して説明したものと同じ層81、82及び83を含む。第3の実施形態の唯一の違いは、保持体層82、83の厚さの違いである。例えば、
図6に示すように、底部保持体層82は、上部保持体層83より厚くてもよい。更に、前の場合と同様に、保持体層82、83は、同じ蒸気形成剤及び/若しくは形成剤保持体又は異なる蒸気形成剤及び/若しくは保持体を含み得る。
【0065】
当然のことながら、以下に挙げる実施形態の任意の組み合わせに対応する他の実施形態が可能である。更に、保持体層の数、及び/又はそれらの配置、及び/又はそれらの厚さ、及び/又はそれらの組成は、この層の各々の所望の応答時間に基づいて適合され得ることが当業者に明らかである。
【国際調査報告】