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特表2024-5253252つ以上の攪拌機器による半溶融スラリーの生産
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  • 特表-2つ以上の攪拌機器による半溶融スラリーの生産 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】2つ以上の攪拌機器による半溶融スラリーの生産
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/00 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B22D17/00 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023576178
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 SE2022050689
(87)【国際公開番号】W WO2023282833
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2150909-6
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523463834
【氏名又は名称】コンプテック ライオキャスティング アイ スキリンガリード アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン,ペル
(57)【要約】
半溶融金属スラリーの生産方法であって、第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)及び反対側の第2の端部(111b、112b;211b、212b、213b)をそれぞれ有し、それらの間に中心軸を規定する、少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)を提供するステップであって、各第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)に鋳造金属片(121、122;221、222、223)が取り付けられる、ステップ;少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)のそれぞれの第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)を液体金属浴に挿入するステップ(S3)であって、各鋳造金属片(121、122;221、222、223)が液体金属浴に沈められるようにするステップ;液体金属浴への少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)の挿入後、鋳造金属片(121、122;221、222、223)が取り付けられた少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)をそれらそれぞれの中心軸の周りで同時に回転させるステップ(S4)であって、それにより、液体金属浴中で前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)を回転させるステップを含み、ここで、回転は、少なくとも鋳造金属片(121、122;221、222、223)の大部分が溶融されて半溶融金属スラリーが生産されるまで、継続される、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半溶融金属スラリーの生産方法であって、
-第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)及び反対側の第2の端部(111b、112b;211b、212b、213b)をそれぞれ有し、それらの間に中心軸を規定する、少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)を提供するステップであって、各第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)に鋳造金属片(121、122;221、222、223)が取り付けられる、ステップ;
-前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)のそれぞれの前記第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)を液体金属浴に挿入するステップ(S3)であって、各鋳造金属片(121、122;221、222、223)が前記液体金属浴に沈められるようにするステップ;
-前記液体金属浴への前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)の挿入後、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)が取り付けられた前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)をそれらそれぞれの中心軸の周りで同時に回転させるステップ(S4)であって、それにより、前記液体金属浴中で前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)を回転させるステップ
を含み、
前記回転は、少なくとも前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)の大部分が溶融されて半溶融金属スラリーが生産されるまで、継続される、方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)の前記回転(S4)は、さらに、
前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)を共通軸の周りで回転させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)のそれらそれぞれの中心軸の周りでの前記回転(S4)は、同じ方向である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)の一方の、その中心軸の周りでの前記回転(S4)は、第1の方向においてであり、及び前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)のもう一つの、その中心軸の周りでの前記回転は、前記第1の方向とは反対の第2の方向においてである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記液体金属浴に前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)を挿入する前記ステップの前に、80~200℃の温度範囲を有するように、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)の温度を制御すること(S2)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
さらに、少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)を提供する前記ステップの前に、
各攪拌機器の前記第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)上で前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)を鋳造すること(S1)
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記鋳造は、同じ注入口(158)によって、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)のそれぞれに対して同時に実施される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
それぞれの攪拌機器上での前記鋳造(S1)後に、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)が前記液体金属浴に挿入されるべき温度に対応する温度まで、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)を冷却するステップ
を含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記鋳造(S1)は、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)がシリンダーの形状を獲得するように適合された鋳型内で実施され、及び前記シリンダーの半径方向の厚さ(R1)は、40mm以下、好ましくは35mm以下、一層好ましくは30mm以下である、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
半溶融金属スラリーを生産するための配置構成(1;2)であって、
第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)及び反対側の第2の端部(111b、112b;211b、212b、213b)をそれぞれ有し、それらの間に中心軸を規定する、少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)であって、前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)のそれぞれは、各第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)に鋳造金属片(121、122;221、222、223)が取り付けられている、少なくとも2つの攪拌機器;及び
攪拌装置(14;24)であって、
-前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)のそれぞれの前記第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)を液体金属浴に挿入して、各鋳造金属片(121、122;221、222、223)が前記液体金属浴に沈められるようにし、
-前記液体金属浴への前記少なくとも2つの攪拌機器の挿入後に、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)が取り付けられた前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)をそれらそれぞれの中心軸の周りで同時に回転させ、それにより、前記液体金属浴中で前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)を回転させる
ように配置された攪拌装置
を含み、
前記回転は、少なくとも前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)の大部分が溶融されて半溶融金属スラリーが生産されるまで、継続される、配置構成。
【請求項11】
前記少なくとも2つの攪拌機器(111、112;211、212、213)は2~4個であり、それぞれ、鋳造金属片(121、122;221、222、223)がその第1の端部(111a、112a;211a、212a、213a)に取り付けられている、請求項10に記載の配置構成(1;2)。
【請求項12】
さらに、前記鋳造金属片(121、122;221、222、223)がシリンダーの形状を獲得するように適合された鋳型に鋳造されるように配置され、及び前記シリンダーの半径方向の厚さ(R1)は、40mm以下、好ましくは35mm以下、一層好ましくは30mm以下である、請求項10又は11に記載の配置構成(1;2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、概して、半溶融金属スラリー(semisolid metal slurry)の生産方法及びそれを行うための配置構成に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
半溶融金属スラリーを使用する金属鋳造プロセスは、精細で高品質の構成要素が必要とされるときに、使用され得る。半溶融金属スラリーは、固相と液相の金属の混合物を含み、これは、スラリーに、完全に液体の溶融物と比べて、より高い粘度を与える。さらに、これらは、チキソトロピー性を示すことが多い、つまり、応力下にあるとき、例えば加圧鋳造プロセス中、より簡単に流れる。半溶融スラリーを使用することは、完全に液体の金属溶融物と比べると、多くの理由で有益である。半溶融スラリーは、よりゆっくりと凝固するため、凝固前にツールの全てのキャビティを満たすことができる。さらに、固体粒の形の核生成点が既にスラリーに存在しているため、結果として生じる微細構造に対して、より高度な制御が達成される。これら及び他の有益な特性によって、半溶融スラリーは、大規模産業、例えば自動車産業からますます注目されてきた。これは、必然的に、コスト、時間、又は品質のいずれも妥協することなく、より大量の半溶融金属スラリーを生産する必要性を高める。現在は、これは、半溶融スラリーの生産に関する解決法を提供する企業にとって問題である。
【0003】
半溶融スラリーの1つの溶融物準備プロセスは、レオキャスティング(Rheocasting)として公知であり、及びスウェーデン登録特許SE第538596号に開示されている。この特許には、液体金属溶融物が機械的な攪拌器で鋳造される方法が開示されており、ここで、時にはエンタルピー交換材料(EEM:Enthalpy Exchange Material)として公知である鋳片と、攪拌器とが、液体金属浴中に下ろされる。固体EEMは、液体金属浴よりも低い温度を有し、及び、EEMの吸熱溶融と組み合わせて、液体金属浴は冷却されて凝固し始める。凝固中に形成される樹枝状ネットワークを壊すために機械的な攪拌器を同時に使用することによって、高品質の半溶融スラリーが得られる。
【0004】
生産された半溶融スラリーの1バッチのサイズは、射出重量として知られている。それゆえ、射出重量は、液体金属浴中の液体金属の重量、及び攪拌器によって溶融されたときの攪拌器上の鋳片の双方を含む。より大きい射出重量が望ましい場合、鋳片から液体金属浴まで同じ量の冷却をもたらすために、液体金属の重量及び攪拌器上の鋳片の重量の双方が、増加される必要がある。しかしながら、攪拌器上の鋳片の重量の増加は多くの問題点を示す。例えば、液体溶融物中での鋳片の溶融時間が増加するため、数秒のみのリードタイムの増加でも高コストにつながり得る。さらに、鋳片は、一般に、シリンダー形状を有し、及び、鋳片の重量の増加、それゆえシリンダーの体積の増加は、より大きな表面積の鋳片を生じ、それゆえ、溶融物をより局所的に冷却することによって、固化した樹枝状ネットワークを壊して固体粒子を分散させることがより困難になる。これにより、鋳片の周りでの固体シェルの形成につながる可能性もあり、これは、溶けてなくなるには大きすぎる。これら全ては、半溶融スラリーの品質を大幅に低下させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、より大きい射出重量、より短いリードタイム及びより高い品質のスラリーに対して好適にするために、半溶融スラリーの生産プロセスの改善に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の目的は、上記の問題のうちの少なくともいくつかを克服することにある。それゆえ、半溶融金属スラリーを生産するための方法であって、第1の端部及び反対側の第2の端部をそれぞれ有し、それらの間に中心軸を規定する、少なくとも2つの攪拌機器を提供するステップであって、各第1の端部に鋳造金属片が取り付けられている、ステップ;液体金属浴に少なくとも2つの攪拌機器のそれぞれの第1の端部を挿入するステップであって、各鋳造金属片が液体金属浴に沈められるようにする、ステップ;液体金属浴への少なくとも2つの攪拌機器の挿入後、鋳造金属片が取り付けられた少なくとも2つの攪拌機器をそれらそれぞれの中心軸の周りで同時に回転させるステップであって、それにより、液体金属浴中で前記鋳造金属片を回転させるステップを含み、回転は、少なくとも鋳造金属片の大部分が溶融されて半溶融金属スラリーが生産されるまで、継続される、方法が提供される。
【0007】
少なくとも2つの攪拌機器を提供することは、多くの利点を持つ。攪拌は、少なくとも、同時に回転する少なくとも2つの攪拌機器を有することによってもたらされるスラリーのせん断の増加ゆえに、改善され得る。攪拌の改善は、より微細な固体粒子、並びにスラリー中での固体粒子のより速い及びより均等な分布をもたらす。さらに、例えば、鋳造金属片が液体金属浴と同じ化学成分を有していない場合、攪拌は、成分の均質化を高める及び/又は改善する。より効率的な均質化はまた、スラリー中の温度分布に関連し得る。改善された攪拌は、冷却をもたらす鋳造金属片が取り付けられた攪拌機器に起因し得る。それゆえ、高攪拌/せん断が、凝固材料が鋳造金属片の表面に形成するのと同じ位置で本質的にもたらされ、それゆえ、効率的に凝固材料を壊して、溶融物中へ分布させる。さらに、少なくとも2つの攪拌機器を有すること、鋳造金属片のサイズを変更する可能性を提供する。すなわち、射出重量は、鋳造金属片のサイズを大きくするのではなく、攪拌機器の数を増加させることによって、増加され得る。より小さい鋳造金属片は、各片のより小さい表面積、それゆえ、溶融時間の削減につながり、初期冷却が高くなりすぎることに関連付けられる問題が回避され、及び鋳造金属片間のせん断の増加がもたらされる。それゆえ、より時間、コスト及びエネルギー効率の良いプロセスが達成され得る。より高品質の半溶融スラリーがさらに達成される。
【0008】
所望の固体粒子含量が、半溶融スラリーの重要な特性である。すなわち、完成品の半溶融スラリーの固体粒子の占有率(share)である。どんな固体粒子含量が望まれるかは、スラリーの使用目的次第とし得る。液体金属浴中の液体金属の重量と鋳造金属片の重量との関係が、固体粒子含量に影響を及ぼす。一般的に、液体重量に対してより高い占有率の固体重量は、固体金属からの冷却を増加させることに起因して、より高い固体粒子含量を与えると言われている。それゆえ、従来技術では、より高い固体粒子含量が望まれるとき、射出重量のより高い占有率が、鋳造金属片から生じる必要がある。それゆえ、単一の攪拌機器のみが使用された場合、より高い固体粒子含量を達成することは、必然的に、鋳造金属片の重量の増加を伴う。上述の通り、これは望ましくない。それゆえ、より高い固体粒子含量は、鋳造金属片が取り付けられた少なくとも2つの攪拌機器であって、鋳造固体金属の対応する重量を提供するために単一の攪拌機器のみが使用された場合よりも小さい直径をそれぞれ有する少なくとも2つの攪拌機器を提供することによって、より短時間で生産され得る。
【0009】
本開示のある実施形態では、少なくとも2つの攪拌機器の回転は、さらに、少なくとも2つの攪拌機器を共通軸の周りで回転させることを含む。
【0010】
個々の攪拌機器のそれら自体の軸の周りでの、及び共通軸の周りでの両回転は、攪拌及びせん断を増加させ、これは、上記の理由から好都合である。
【0011】
本開示のある実施形態では、少なくとも2つの攪拌機器のそれらそれぞれの中心軸の周りでの回転は、同じ方向である。
【0012】
本開示のある実施形態では、少なくとも2つの攪拌機器のうちの一方の、そのそれぞれの中心軸の周りでの回転は、第1の方向においてであり、及び少なくとも2つの攪拌機器のうちのもう一つの、そのそれぞれの中心軸の周りでの回転は、第1の方向とは反対の第2の方向においてである。
【0013】
少なくとも2つの攪拌機器の回転スキームは、最適な攪拌、それゆえ最適なスラリー特性を提供するために、最適にされ得る。これは、攪拌機器を1つのみ有することと比較して、強みである。
【0014】
本開示のある実施形態では、方法は、液体金属浴への少なくとも2つの攪拌機器の挿入ステップの前に、80~200℃の温度範囲を有するように、鋳造金属片の温度を制御することを含む。
【0015】
鋳造金属片の温度は、液体金属浴にもたらされる冷却量を決定するパラメータのうちの1つである。スラリーの特性、及び鋳造金属片の溶融時間の双方に影響を及ぼす。少なくとも2つの攪拌機器が使用されるとき、各鋳造金属片のサイズは、攪拌機器が1つのみ提供された場合よりも小さいとし得、それにより、より低い温度の鋳造金属片が可能である。
【0016】
本開示のある実施形態では、少なくとも2つの攪拌機器を提供するステップは、各攪拌機器の第1の端部上で鋳造金属片を鋳造することを含む。
【0017】
本開示のある実施形態では、鋳造は、同じ注入口(casting inlet)によって、鋳造金属片のそれじれに対して同時に実施される。
【0018】
押湯としても公知の同じ注入口を使用することによって、プロセスは、より効率的にされる。さらに、同時鋳造は、鋳造金属片の凝固の度合い、温度、及び他の特性が等しいことをもたらす。
【0019】
本開示のある実施形態では、それぞれの攪拌機器での鋳造後に、鋳造金属片が液体金属浴に挿入される温度に対応する温度への鋳造金属片の冷却を含む、冷却ステップが提供される。
【0020】
鋳造後の鋳造金属片は、液体金属浴に挿入される温度に直接もたらされるため、鋳造金属片を再加熱する必要がない。
【0021】
本開示のある実施形態では、鋳造は、鋳造金属片がシリンダーの形状を獲得するように適合された鋳型内で実施され、及びシリンダーの半径方向の厚さは、40mm以下、好ましくは35mm以下、一層好ましくは30mm以下である。
【0022】
少なくとも2つの攪拌機器が使用されるとき、各鋳造金属片のサイズは、攪拌機器が1つのみ提供された場合よりも小さいとし得、それにより、溶融時間が短くなり得る。鋳造金属片のサイズ及び形状は、一般に、各スラリー作製プロセスに適合される。しかしながら、一般的に、半溶融スラリーを形成するために液体金属浴に適切な冷却を与えるために十分に大きく、同時に、スラリーの鋳造準備が整うときに、鋳造金属片全体が溶融されるように十分に小さい必要があると言われ得る。鋳造金属片が溶融される前にスラリー浴から攪拌機器を除去する必要があり、それゆえ、攪拌機器上の残余の除去、並びに未利用の材料の廃棄に別々のプロセスを提供する必要があることを回避することが重要である。
【0023】
本開示の別の態様では、半溶融金属スラリーを生産するための配置構成であって、第1の端部及び反対側の第2の端部をそれぞれ有し、それらの間に中心軸を規定する、少なくとも2つの攪拌機器であって、少なくとも2つの攪拌機器のそれぞれは、各第1の端部に鋳造金属片が取り付けられている、攪拌機器;及び攪拌装置であって、少なくとも2つの攪拌機器のそれぞれの第1の端部を液体金属浴に挿入して、各鋳造金属片が液体金属浴に沈められるようにし、液体金属浴への少なくとも2つの攪拌機器の挿入後、鋳造金属片が取り付けられている少なくとも2つの攪拌機器をそれらそれぞれの中心軸の周りで同時に回転させ、それにより、液体金属浴中で前記鋳造金属片を回転させるように配置された攪拌装置を含み、回転は、少なくとも鋳造金属片の大部分が溶融されて半溶融金属スラリーが生産されるまで、継続される、配置構成が提供される。
【0024】
本開示のある実施形態では、少なくとも2つの攪拌機器は2~4個であり、それぞれ、鋳造金属片がその第1の端部に取り付けられている。
【0025】
本開示のある実施形態では、配置構成は、さらに、鋳造金属片がシリンダーの形状を獲得するように適合された鋳型内で鋳造するように配置され、及びシリンダーの半径方向の厚さは、40mm以下、好ましくは35mm以下、一層好ましくは30mm以下である。
【0026】
図面の簡単な説明
ここで、本発明を、例として、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】2つの攪拌機器を含む、本発明のある実施形態を示す。
図1b】2つの攪拌機器を含む、本発明のある実施形態を示す。
図2a】3つの攪拌機器を含む、本発明のある実施形態を示す。
図2b】3つの攪拌機器を含む、本発明のある実施形態を示す。
図3】攪拌機器のある実施形態を示す。
図4】本開示による配置構成の1つの取り得る回転パターンを示す。
図5】本開示による半溶融スラリーを生産するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施形態の説明
下記では、半溶融金属スラリーの生産方法及びそれを行うための配置構成の詳細な説明が開示されている。開示される実施形態は、本発明の範囲の限定としてではなく、説明に役立つ例としてみなされるべきである。
【0029】
図1a及び図1bは、全体的に、第1の端部111a、112aと、反対側の第2の端部111b、112bとを有する第1及び第2の攪拌機器111、112を含む、本開示による配置構成1のある実施形態を示し、ここで、第1及び第2の鋳造金属片121、122が、第1及び第2の攪拌機器111、112の各第1の端部111a、112aに取り付けられている。配置構成1は、さらに、攪拌装置14を含む。攪拌装置14は、第1及び第2の攪拌機器111、112のそれぞれの第2の端部111b、112bを同時に保持するように配置される。攪拌装置14は、さらに、第1及び第2の攪拌機器111、112を回転させるように配置される。第1及び第2の攪拌機器111、112のそれぞれの第1の端部111a、112aが液体金属浴に挿入されると、攪拌装置14による回転によって、溶融物中に攪拌をもたらす。回転及び攪拌について、図4に関連してより詳細に説明する。
【0030】
本開示は、半溶融スラリーを生産するプロセス中に、それぞれその第1の端部に鋳造金属片が取り付けられている少なくとも2つの攪拌機器を同時に提供することによって、生産時間、品質又はコストに妥協することなく、プロセスの規模を拡大する、すなわち、より多くの半溶融金属スラリーを生産することが可能になるという洞察に基づく。
【0031】
洞察は、スラリー作製プロセスを最適にし且つ完成品の半溶融スラリーに所望の特性を達成するためのニーズから生じた。本発明人らは、この目的のために、攪拌機器の数を増加させ得るだけでなく、鋳造金属片の寸法も最適にされ得ることを見出した。
【0032】
本発明人らは、いくつかの半径(図3の溶融半径R1)未満では、鋳造金属片の溶融時間が最善であり、半溶融スラリーの生産中のリードタイムの削減につながることを見出した。これは、射出重量を増やすために鋳造金属片のサイズを大きくする必要があるという、一般的に実施されているものに反する。それどころか、本発明人らは、鋳造金属片の溶融半径が40mmを上回ると、次善のプロセス条件が達成されることを見出した。これについて、図3に関連してより詳細に説明する。それゆえ、より大きい射出重量が望まれるとき、本開示によれば、鋳造金属片が取り付けられた少なくとも2つの攪拌機器が提供され、各鋳造金属片は、対応する重量の固体金属を提供するために単一の攪拌機器のみが使用された場合よりも小さい半径を有する。本開示によれば、より大きい所望の射出重量は、その代わりに、より多数の攪拌機器を提供することを必然的に伴う。
【0033】
図1a及び図1bでは、第1及び第2の攪拌機器111、112はそれぞれ、第1の端部111a、112aと第2の端部111b、112bとの間に延在する長尺状のシャフトを含む。第1及び第2の攪拌機器111、112は円形断面を有する。一実施形態では、円形断面は直径14mmを有する。他の実施形態では、他の直径が可能である。上述の通り、第1及び第2の攪拌機器111、112は、第1及び第2の攪拌機器111、112のそれぞれの第1の端部111a、112aに取り付けられた第1及び第2の鋳造金属片121、122を有する。図1a及び図1bに示す実施形態では、第1及び第2の鋳造金属片121、122は、シリンダー形状、並びに好ましくは本質的に等しい形状及びサイズを有する。第2の端部111b、112bはそれぞれ、その先端に、シリンダーの形状の第1及び第2の回転伝達部材131、132を含み、その形状はまた、ある厚さを有する円板にも見え得る。第1及び第2の回転伝達部材131、132は、長尺状のシャフトに対して本質的に直角の平面内に配置される。
【0034】
図1a及び図1bでは、攪拌装置14が表示されている。攪拌装置14は、第1の後壁141と、第1の後壁141に配置された第1の案内ユニット142と、第1の案内ユニット142によって直立及び/又は本質的に垂直位置に保たれ、且つ第1の底端部143a及び第2の上方端部143bを含む中心シャフト143とを含む。第2の上方端部143bには第3の回転伝達部材144が配置される。攪拌装置は、さらに、第2の後壁145と、第2の後壁145に配置され且つ第1及び第2の攪拌機器111、112を直立及び/又は本質的に垂直位置に保つように配置された第2の案内ユニット146とを含む。
【0035】
モータ駆動の回転スピンドル(図示せず)が、中心シャフト143を回転させるために、第3の回転伝達部材144と接触するように配置される。回転スピンドルが第3の回転伝達部材144と接触すると、回転は中心シャフト143へ伝達される。中心シャフト143の回転は、中心シャフト143の第1の底端部143aの位置において中心シャフト143と接触する、第1及び第2の攪拌機器111、112にある第1及び第2の回転伝達部材131、132によって、第1及び第2の攪拌機器111、112の回転へ変わる。この目的のために、第4の回転伝達部材147がこの位置に配置される。
【0036】
代替的なある実施形態では、攪拌機器の第1及び第2の回転伝達部材は、双方共、モータ駆動の回転スピンドルと直接接触する。この実施形態では、回転運動がスピンドルから攪拌機器へ直接伝達されるため、中心シャフトは必要ない。
【0037】
攪拌装置14は、少なくとも2種類の回転を可能にする。第1に、第1及び第2の攪拌機器111、112のそれぞれの、それらそれぞれの中心軸の周りでの個々の回転であり、ここでは、それぞれの中心軸は、それぞれの各攪拌機器の、その第1の端部111a、112aと第2の端部111b、112bとの間に延在する長尺状のシャフトを通って延びる軸であると定義される。第2に、第1及び第2の攪拌機器111、112に共通する軸の周りでの相対的回転であり、これについては、図4に関連してより詳細に説明する。攪拌装置14は、半溶融スラリーの生産中に液体金属浴に挿入されるときに第1及び第2の攪拌機器111、112を保持し得る。好ましくは、攪拌装置14は、下記で説明するように、さらに、鋳造及び冷却ステップ中に第1及び第2の攪拌機器111、112を保持する。
【0038】
図1a及び図1bでは、第1の鋳造金属片と第2の鋳造金属片との間に押湯148も見える。押湯は、凝固収縮を補償するために配置された鋳造からの残余である。押湯148は、液体金属浴に挿入される前に、鋳造金属片121、122から除去される。押湯148の除去は、任意の好適な方法によるとし得、一実施形態では、押湯148は、プラズマ切断によって除去される。図面に示すように、押湯は、第1及び第2の鋳造金属片121、122を接続する。これは、どのようにそれらが鋳造されるかに起因する。第1及び第2の鋳造金属片121、122は、同時鋳造によって生産され、ここでは、液体金属は、共通の押湯148によって両鋳型に同時に注ぎ込まれる。さらに、第1及び第2の攪拌機器111、112はまた、鋳造中に鋳型に配置されて、第1及び第2の鋳造金属片121、122がそこで鋳造され、それにより、第1及び第2の攪拌機器111、112に取り付けられるようにする。
【0039】
図2a及び図2bは、第1、第2及び第3の攪拌機器211、212、213を含む、本開示の配置構成2のある実施形態を示す。第1、第2及び第3の攪拌機器211、212、213は、好ましくは互いから等距離の所に配置されるため、三角形配置構成を有する。他の配置構成も可能である。
【0040】
第1、第2及び第3の攪拌機器211、212、213はそれぞれ、第1の端部211a、212a、213aと、第2の端部211b、212b、213bとを有する長尺状のシャフトを含む。第1、第2及び第3の攪拌機器211、212、213は、第1、第2及び第3の攪拌機器211、212、213のそれぞれの第1の端部211a、212a、213aに取り付けられた第1、第2及び第3の鋳造金属片221、222、223を有する。図2a及び図2bの実施形態では、第1、第2及び第3の鋳造金属片221、222、223は、シリンダー形状、並びに好ましくは本質的に等しい形状及びサイズを有する。第2の端部211b、212b、213bはそれぞれ、その先端に、シリンダーの形状の第1、第2及び第3の回転伝達部材231、232、233を含み、その形状はまた、ある厚さを有する円板にも見える。第1、第2及び第3の回転伝達部材231、232、233は、長尺状のシャフトに対して本質的に直角の平面内に配置される。
【0041】
図2a及び図2bは、さらに、攪拌装置24のある実施形態を示す。攪拌装置24は、後壁241と、第1の後壁241に配置された第1の案内ユニット242とを含む。この実施形態では、第1の案内ユニット242は、上方部及び底部を含む。攪拌装置は、さらに、第1の案内ユニット242によって直立及び/又は本質的に垂直位置に保たれ且つ第1の底端部243a及び第2の上方端部243bを含む中心シャフト243を含む。第2の上方端部243bには、第4の回転伝達部材244が配置される。第1の案内ユニット242には2つのサイドシャフトも配置されて、安定性を高める。第2の案内ユニット245が、さらに、中心シャフト243の第1の底端部243a並びに2つのサイドシャフトの底端部に配置され、第1、第2及び第3の攪拌機器211、212、213を直立及び/又は本質的に垂直位置に保つように配置される。
【0042】
本開示の別の実施形態では、第1、第2、第3及び第4の攪拌機器を有する配置構成が提供される。他の実施形態では、5個以上の攪拌機器が提供される。
【0043】
モータ駆動の回転スピンドル(図示せず)が、中心シャフト243を回転させるために、第4の回転伝達部材244と接触するように配置される。回転スピンドルが第4の回転伝達部材244と接触すると、回転は中心シャフト243に伝達される。中心シャフト243の回転は、中心シャフト243と接触する、攪拌機器にある第1、第2及び第3の回転伝達部材231、232、233によって、第1、第2及び第3の攪拌機器211、212、213の回転へ変わる。この実施形態では、第1、第2及び第3の回転伝達部材231、232、233は、中心シャフト243と、シャフトの第1の底端部243aの上方の位置で接触する。この目的のために、第5の回転伝達部材246がこの位置に配置される。
【0044】
下記に、本発明について、図3~5を参照して説明する。参照符号は図1a及び図1bに示される実施形態に対応するが、該当する場合に、図2a及び図2bの実施形態並びに本発明の他の全ての実施形態に同じことが当てはまることが理解されるであろう。
【0045】
図3は、攪拌機器111の第1の端部111aを表示する。上述の通り、鋳造金属片121は第1の端部111aで取り付けられる。鋳造金属片121は、好ましくは、シリンダー状形状を有する。図3には、溶融半径R1が示されている。ここでは、溶融半径は、攪拌機器111外の鋳造金属片121の厚さであると定義され、及びそのようなものとして、鋳造金属片の溶融時間を決定する。溶融時間は、鋳造金属片121が本質的に完全に溶融するのにかかる時間である。それゆえ、より大きい溶融半径は、より長い溶融時間を必然的に伴う。溶融半径は、攪拌機器111の長尺状のシャフトの円周上の点から、攪拌機器上の点から半径方向外向きに位置決めされる鋳造金属片の円周上の点まで測定される。溶融半径R1はまた、シリンダーの中心までの半径から、攪拌機器の半径R2を引いたものであるとみなされてもよい。それゆえ、溶融半径は、攪拌機器111のシャフトの半径を変更することによって、増減され得る。好ましくは、溶融半径R1は、40mm未満、好ましくは35mm未満、さらに一層好ましくは30mm未満である。それゆえ、本開示によれば、鋳造金属片121のより高い総重量が、好ましくは、好ましい溶融半径を上回るように各鋳造金属片121の溶融半径R1を大きくするのではなく、攪拌機器111の数を増やすことによって、達成される。
【0046】
図4は、液体金属浴中での、攪拌装置14による、攪拌機器111、112の回転のための回転スキームを示す。図4には、それぞれの鋳造金属片121、122を備える2つの攪拌機器111、112が示されているが、3個、4個又はそれよりも多数の攪拌機器が提供されるときに同じことが当てはまることが理解されるであろう。
【0047】
回転スキームは、それらそれぞれの中心軸(図3の軸X-X)の周りでの個々の攪拌機器111、112の回転、並びに共通軸の周りでの全攪拌機器111、112の回転を示す。
【0048】
個々の攪拌機器111、112の回転は、同じ方向に行われても又は反対方向に行われてもよい。3個以上の攪拌機器が提供されるある実施形態では、攪拌機器のうちの1つ以上が、第1の方向に回転してもよく、及び残余の攪拌機器のうちの1つ以上が、第2の反対方向に回転してもよい。
【0049】
共通軸は、攪拌機器111、112の中心軸のうちの少なくとも1つに対して平行な軸である。共通軸は、攪拌機器111、112から等距離としても、又はオフセットされているため、互いにより近くにあってもよい。共通軸は、例えば攪拌装置14の中心シャフト143の延長線と一致してもよい。共通軸の周りでの回転は、個々の攪拌機器111、112の方向と一致しても又はしなくてもよい。回転は、様々な速度とし得る。さらに、個々の攪拌機器111、112の回転速度は、互いに同じでも又は異なってもよい。さらに、個々の攪拌機器111、112の回転速度は、共通軸の周りでの回転と同じでも又は異なってもよい。
【0050】
本開示の全ての実施形態において2つ以上の攪拌機器が提供されるため、半溶融スラリーのより良好な攪拌が達成される。より良好な攪拌は、例えば攪拌中のより高いせん断を意味し得、これは、鋳造金属片121と122との間で、並びに鋳造金属片121、122とスラリーを入れている取鍋の壁との間でスラリーがせん断されるためである。より高いせん断によって、半溶融スラリー中により微細な固体粒子をもたらし得る。より良好な攪拌はまた、溶融物中での固体粒子のより良好な分布をもたらし得る。より良好な攪拌はまた、鋳造金属片121、122の近くからの固体粒子のより高い除去率を、及びそれにより、鋳造金属片121、122のより速い溶融を意味し得る。より良好な攪拌はまた、化学成分のばらつきの均質化をより促し且つより速くすることを意味し得る。より良好な攪拌はまた、より均等な温度分布を意味し得る。
【0051】
攪拌は、外部攪拌手段からの追加的な攪拌と組み合わせられ得る。
【0052】
本開示の方法について、ここで、図5を参照して説明する。本開示の方法は、一般的に以下説明する方法を含む、半溶融スラリーを生産する効率的なやり方を提供する。参照符号は、図1に示す実施形態に対応するが、該当する場合には、図2の実施形態並びに本発明の他の全ての実施形態に同じことが当てはまることが理解されるであろう。
【0053】
第1のステップは、鋳造金属片121、122を鋳造することS1を含む。液体金属溶融物が、それぞれの攪拌機器の第1の端部111a、112aと一緒に少なくとも2つの鋳型に提供されて、各鋳型内の液体金属が、鋳造金属片121、122の状態へと凝固し、それにより、それぞれの攪拌機器111、112の第1の端部111a、112aで鋳造されるため、それに取り付けられる。鋳造金属片121、122の鋳造は、好ましくは同時に行われ、及びさらに一層好ましくは押湯148としても公知の同じ注入口を通して行われる。鋳型は、好ましくは、獲得される鋳造金属片121、122がシリンダー状形状を有するような内側形状を有する。鋳型は、さらに一層好ましくは、獲得される鋳造金属片121、122が上述の所望の溶融半径R1に対応する半径を有するような内径を有する。続いて、第1及び第2の攪拌機器111、112は、取り付けられた鋳造金属片121、122と一緒に、鋳型から除去される。鋳造ステップS1中、各第2の端部111b、112bは、好ましくは、攪拌装置14によって保持される。
【0054】
鋳造に、好ましくは、温度制御ステップS2が続く。鋳造金属片121、122の温度は、好ましくは、80~200℃、一層好ましくは80~140℃の温度範囲を有するように、制御される。この温度は、鋳造金属片121、122が液体金属浴に挿入される温度に対応する。鋳造金属片121、122の温度は重要性が高い。温度は、半溶融スラリーを形成するために、鋳造金属片121、122が液体金属浴に十分な冷却をもたらす必要があるため、高すぎないかもしれない。温度は、鋳造金属片121、122が液体金属浴を凍結させてはいけないため、低すぎないかもしれない。さらに、鋳造金属片121、122は、好ましくは、溶融物に挿入される温度未満に冷却すべきではなく(次のステップにおいて)、これは、挿入前に鋳造金属片121、122の再加熱を必要とし、それゆえ、スラリー作製プロセスをエネルギーが少なく且つ時間効率よくするためである。好ましい実施形態では、温度の制御S2は、鋳造金属片121、122を冷却すること、好ましくは、鋳造金属片121、122が液体金属浴に挿入される温度に冷却することを含む。温度制御ステップS2中、各第2の端部111b、112bは、好ましくは、攪拌装置14によって保持される。
【0055】
攪拌装置14によって、第1及び第2の攪拌機器111、112のそれぞれの第1の端部111a、112aは、液体金属浴を入れている取鍋に挿入されるS3。第1及び第2の攪拌機器111、112の挿入S3は、好ましくは同時に実施される。換言すると、第1及び第2の攪拌機器111、112は、好ましくは一緒に挿入されるS3。第1及び第2の攪拌機器111、112は、好ましくは、各鋳造金属片121、122が液体金属浴に沈められるように、及び好ましくは各鋳造金属片121、122が同時に沈められるように挿入されるS3。第1及び第2の攪拌機器111、112の挿入S3は、好ましくは、攪拌開始前に実施される。
【0056】
鋳造ステップS1、温度制御ステップS2及び溶融物中への挿入ステップS3は、好ましくは連続プロセスであり、ここでは、不必要な再加熱、それゆえ時間及びエネルギーの浪費が回避される。
【0057】
挿入S3後、第1及び第2の攪拌機器111、112は回転されてS4、液体金属浴を攪拌する。第1及び第2の攪拌機器111、112の回転S4は、好ましくは、同時に実施される。第1及び第2の攪拌機器111、112を同時に回転させることは、鋳造金属片121、122の溶融の大部分に対して同時に回転させられると理解されるべきである。第1及び第2の攪拌機器111、112の回転S4は、同時に又は異なる時点で始まり得るか又は停止し得る。第1及び第2の攪拌機器111、112は、半溶融スラリーが形成されるまで及び/又は鋳造金属片121、122の大部分が溶融されるまで、液体金属浴中に保たれる。好ましくは、鋳造金属片121、122は、攪拌機器111、112が取鍋から引き出されるときに、本質的に完全に溶融されており、それに続く攪拌機器111、112の不必要な洗浄を回避する。好ましくは、スラリー作製プロセスは最適にされて、鋳造金属片121、122がそれぞれの攪拌機器から溶融されるのと本質的に同時に半溶融スラリーの所望の特性が達成される。この最適化プロセスは、1つだけ使用するのと比べて、少なくとも2つの攪拌機器を提供することによって、容易にされる。
【0058】
続いて、攪拌機器111、112は、完成品の半溶融スラリーから除去され、及び半溶融スラリーは、鋳造プロセスS5に提供される。
【0059】
上述の通り、鋳造金属片の温度は、他のパラメータと一緒に、鋳造金属片から液体金属浴へもたらされる冷却量に影響を及ぼす。さらに、本開示では、鋳造金属片のサイズは、冷却に影響を与え、ここでは、より大きい片が、より冷却をもたらすことが明らかにされた。1つの攪拌機器のみが提供される場合(従来技術において)、次元が変更されないかもしれないため、1自由度が失われる-より大きな射出重量は、必然的に、より大きな鋳造金属片を必要とする。しかしながら、少なくとも2つの攪拌機器を提案することによって、それゆえ、寸法及び温度の双方を最適にする可能性を有することによって、プロセスパラメータ、並びにスラリー特性の高い制御及び品質が、達成され得る。
【0060】
方法及び配置構成の好ましい実施形態が開示された。しかしながら、当業者は、これは、本発明のアイディアから逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更され得ることに気づく。
【0061】
上記で説明した代替的な実施形態の全て又は実施形態の一部は、組み合わせが矛盾しない限り、本発明のアイディアから逸脱することなく、互いに自由に組み合わせたり又は別々に用いたりすることができる。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
【国際調査報告】