(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】光学表示素子用の光学モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
H01H 9/16 20060101AFI20240705BHJP
G05B 9/02 20060101ALI20240705BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20240705BHJP
G08C 25/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01H9/16 B
G05B9/02 B
G08C15/00 D
G08C25/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576185
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022065330
(87)【国際公開番号】W WO2022258575
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114870.7
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522500170
【氏名又は名称】アーツェーデー・アントリープステヒニク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・フェセラー
(72)【発明者】
【氏名】アイナー・フェセラー
【テーマコード(参考)】
2F073
5G052
5H209
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AB01
2F073BB04
2F073BB06
2F073BC01
2F073BC04
2F073CC03
2F073CC08
2F073CD01
2F073DD01
2F073FF01
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2F073FH07
2F073GG03
2F073GG08
5G052AA01
5G052AA21
5G052JA02
5G052JA08
5G052JB05
5G052JC20
5H209DD20
5H209EE03
5H209GG20
5H209HH04
5H209JJ03
(57)【要約】
緊急停止スイッチの光学表示素子用のモニタリングシステムであって、モニタリングシステムは、光学表示素子を備える操作素子と、光学センサおよび安全電子装置と、を備える、モニタリングシステム。安全電子装置は光学表示素子および光学センサに接続されている。安全電子装置は安全出力部および安全入力部を備え、安全出力部を介して光学表示素子に接続されており、安全入力部を介して光学センサと接続されている。したがって、人命および手足にとって致命的な結末になることを避けるために、光学表示素子が確実に機能していること、または、不完全でないことを保証することができる。光学表示素子は1つまたは複数の表示素子を備えてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急停止スイッチの光学表示素子用のモニタリングシステムであって、
前記モニタリングシステムは、
前記光学表示素子を備える操作素子と、
光学センサと、
前記光学表示素子と前記光学センサとに接続されている安全電子装置と、を備え、
前記安全電子装置は安全出力部と安全入力部とを備え、
前記安全電子装置は前記安全出力部を介して前記光学表示素子に接続されており、
前記安全電子装置は前記安全入力部を介して前記光学センサに接続されている、モニタリングシステム。
【請求項2】
緊急停止スイッチの光学表示素子用のモニタリングシステムであって、
前記モニタリングシステムは、
前記光学表示素子を備える操作素子と、
少なくとも1つの光ファイバーケーブルと、
光学センサを備える安全電子装置と、を備え、
前記安全電子装置は安全出力部と安全入力部とを備え、
前記安全電子装置は前記安全出力部を介して前記光学表示素子に接続されており、
前記安全電子装置は前記安全入力部を介して前記光学センサに接続されており、
少なくとも1つの前記光ファイバーケーブルは前記光学表示素子の光学信号を前記光学センサへと導いている、モニタリングシステム。
【請求項3】
前記安全電子装置は第1チャネルおよび第2チャネルを介して前記光学表示素子に接続されている、請求項1または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記安全電子装置は第1チャネルおよび第2チャネルを介して前記光学センサに接続されている、請求項1または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
前記安全電子装置からの電流または電圧は、前記第1チャネルおよび前記第2チャネルの内の少なくとも1つを介して前記安全電子装置へフィードバック信号としてフィードバックされている、請求項3または4に記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記光学センサはフォトレジスタと、フォトダイオードと、フォトトランジスタとの内の少なくとも1つを備える、請求項1または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項7】
前記光学表示素子は少なくとも1つの表示素子を備える、および/または、
前記光学センサは少なくとも1つの光学センサを備える、請求項1または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項8】
前記安全出力部は、少なくとも1つの第1出力接点と、少なくとも1つの第2出力接点と、を備える、請求項1または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項9】
前記安全入力部は、少なくとも1つの第1入力接点と、少なくとも1つの第2入力接点と、を備える、請求項1または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項10】
緊急停止スイッチの光学表示素子用のモニタリングシステム用の方法であって、
前記方法は、
安全電子装置を介して電流または電圧を前記光学表示素子に印加することによって光学信号を生成するステップと、
前記安全電子装置によって、光学センサを介して前記光学信号を測定するステップと、
ある期間、前記光学信号の生成を中断し、前記安全電子装置によって前記光学センサを介して前記光学信号の中断を測定するステップと、
前記安全電子装置によって、前記電流または前記電圧が印加された際、生成された光学信号と測定された光学信号とを比較するステップと、
前記電流が印加された際、生成された光学信号と測定された光学信号との比較に逸脱がある場合に警報を出力するステップと、を備える、方法。
【請求項11】
前記ある期間、前記光学信号の生成を中断し、前記安全電子装置によって前記光学センサを介して前記光学信号の中断を測定するステップと、前記安全電子装置によって、前記電流または前記電圧が印加された際、生成された光学信号と測定された光学信号とを比較するステップと、を繰り返すことによって、前記安全電子装置の安全入力部および安全出力部の内の少なくとも1つを継続的にモニタリングするステップを更に備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記安全電子装置と前記光学表示素子との間の接続がシングルチャネルである場合に、前記光学信号の生成を中断することが時間的に逐次繰り返されてもよい、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記安全電子装置と前記光学表示素子との間の接続がマルチチャネルである場合に、前記光学信号の生成を中断することが同時に繰り返されてもよい、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記光学信号を測定している間、前記光学信号のパラメータまたは前記光学信号の存在の内の少なくとも1つが前記安全電子装置によって測定され、
前記光学信号のパラメータは光スペクトル、光束、照度または特定の変調の内の少なくとも1つを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記警報の出力は無線または有線で受信点へ送られる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2021年6月9日出願の独国出願第102021114870号の優先権を主張し、その全内容は参照として本願に組み込まれる。
【0002】
本願発明は制御技術または安全技術の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
所謂「緊急停止スイッチ」は人々が怪我すること、および、機械、システムまたは車両(vehicle)が損傷(damage)することから確実に保護する役割を果たす。ドイツ語の用法において、「Not-Aus」という単語には多くの場合2つの機能、すなわち、緊急シャットオフ(emergency-shut-off)[=スイッチオフ、エネルギー供給を遮断、接続されたマシンドライブ(machine drive)の電源を遮断]および緊急停止(emergency-stop)[=停止、接続されたマシンドライブの電源が維持されている間に動作可能な機械部品(movable machine parts)をシャットダウン]が含まれる。ドイツ語の「Not-Aus」は英単語「緊急スイッチオフ(emergency switching off)」に相当する単語として用いられる。しかしながら、昔も今もドイツ語の通常の用法(German standard edition)において、「Not-Aus」という表現は誤って英単語「緊急停止(emergency stop)」としても翻訳(reproduce)されている。現在までに、例えばDIN EN 60947-5-5のドイツ語版において、英単語「緊急停止(emergency stop)」に対して誤って「Not-Aus」という単語が使用されている(実際には「Not-Halt」と表現されるべきである)。
【0004】
機械の故障(malfunction)は人々の危険(risk)につながり得る。危険が直接的に切迫しているまたは危険に向かっている場合において、問題の機械が即座にかついつでも停止できるように、欧州議会および理事会の機械指令2006/42/EC(the Machine Directive 2006/42/EC of the European Parliament and of the Council)は、それぞれの機械が1つまたは複数の緊急停止スイッチを備えていなければならない、と規定している。さらに、この機械指令(machine directive)はこれらの部品に設計要件を課している。要件の1つは、緊急停止スイッチが明確に認識され、容易に視認でき、すぐに利用できる制御部品を有していなければならないことである。例えば、LED(Light Emitting Diode、発行ダイオード)のような追加の表示素子(display element)を有するアクティブ緊急停止スイッチの場合、スイッチの機能は視覚的に表示される。緊急停止スイッチが分離可能、ワイヤレスまたはモバイルの操作ステーションに据え付けられている場合、DIN EN ISO 13850規格は、特に、アクティブ[すなわち、照光された(illuminated)]緊急停止スイッチと非アクティブ[すなわち、照光されていない(non-illuminated)]緊急停止スイッチとの間での混同を避けるための対策を要求している。
【0005】
独国特許出願公開19919012号明細書では、作動した(activated)分離可能な緊急シャットオフコマンドデバイス(emergency shut-off command device)を識別する方法が教示されている。当該方法は、緊急シャットオフコマンドデバイスに対して付加的なデバイスが追加され、緊急シャットオフコマンドデバイスがシステムおよび/または機械に何らかの方法で正しく接続され、また電源(voltage)に接続されている場合にのみ、緊急シャットオフコマンドデバイスを1以上の特定の色にすることを特徴としている。結果として、緊急シャットオフコマンドデバイスの運用準備完了であることを示す視覚信号が生成される。
【0006】
国際公開2017/139817号では、電気的に制御されたシステム用の制御システムが開示されている。当該制御システムは、情報を表示する用および操作者が制御コマンドを入力する用のポータブル、モバイルの手持ち操作デバイスを少なくとも1つ備える。手持ち操作デバイスは手動で操作可能な安全スイッチ素子を少なくとも1つ有し、照明デバイスが安全スイッチ素子に割り当てられる。制御システムは、照明デバイスの視覚的に知覚可能な光度を電気的および/または電子的に制御するように設計された照明制御デバイスを備える。
【0007】
したがって、表示素子を備える緊急停止スイッチは既知である。
図1には緊急停止スイッチの更なる例が示されている。緊急停止スイッチは、操作素子5を介して作動位置(operated position)から非作動位置(non-operated position)へと操作可能な2つのスイッチS1、S2を備える。2つのスイッチS1、S2は安全電子装置(safety electronics)に接続されている。光学表示素子LM(通常はLED)は操作素子5の中に設けられ、光学表示素子LMは2つのチャネルで駆動され、2チャネル電圧フィードバック(two-channel voltage feedback)により動的に制御されながら監視される。光学表示素子LMは1つまたは複数の表示素子を備えてもよい。監視は第1プローブM1および第2プローブM2によって行われる。第1プローブM1は光学表示素子LMの電流を測定する。第2プローブM2は光学表示素子LMの電圧を測定する。したがって、安全電子装置SEは、電流または電圧で光学表示素子LMを駆動し、第1プローブM1または第2プローブM2で電流または電圧を測定することにより、光学表示素子LMの機能(function)を監視する。駆動と測定との間で狂いが生じた場合、安全電子装置SEにより緊急停止スイッチが故障したと結論付けられる。
【0008】
しかしながら、このタイプの監視は光学表示素子LMの機能に関する確実な表示(reliable statement)に関して必然的にリスクを伴う。例えば、様々な要因によってLEDのような光学表示素子に欠陥が生じた場合、LEDが光学信号を発しないにも拘わらず、電流または電圧がフィードバックまたはフィードバック信号を介して特定されるということが知られている。
【0009】
これはアプリケーションに要求される安全性の程度に大きな影響を与える。なぜなら、現在のリスクに対するリスクアセスメントからの要求が、安全性の程度に関する特定の要求につながるからである。規格によって、例えば「パフォーマンスレベル(performance level)」PL aからe、または「安全度(safety integrity level)」SIL1からSIL3など、安全性の程度の認定(designation)が知られている。安全性の程度についての認定および関連するレベルに基づいて、光学表示素子LMの機能に関する誤った表示により、安全性に関する問題(safety-related difficulties)が引き起こされる可能性がある。光学表示素子LMの機能に関する誤った表示があったのでは、モバイル緊急停止システムの実装に関する高い要求を満たすことはできない。
【0010】
特に、モバイル緊急停止システムにおける緊急停止スイッチの場合、このタイプの監視はとりわけリスクが高い。このようなモバイル緊急停止システムはかなり稀であり、特に高い安全性の要求を満たす必要がある。とりわけ、据え付けの緊急停止システムと比較して安全性の要求が高いことに加え、モバイル緊急停止システムは更にそれぞれ適切で知られた規格に応じて特に高い基準(measure)およびガイドラインを満たす必要がある。この場合、光学表示素子の信頼できる機能は特に重要な安全性の特徴となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第19919012号明細書
【特許文献2】国際公開2017/139817号
【発明の概要】
【0012】
本願は緊急停止スイッチの光学表示素子用のモニタリングシステムを開示し、モニタリングシステムは光学表示素子および光学センサを有する操作素子を備える。安全電子装置は光学表示素子および光学センサと接続されている。したがって、人命および手足にとって致命的な結末になることを避けるために、光学表示素子が確実に機能していること、または、不完全でないことを保証することができる。光学表示素子LMは1つまたは複数の表示素子を備えてもよい。
【0013】
態様によっては、安全電子装置は安全出力部(safe output)および安全入力部(safe input)を備え、安全出力部を介して光学表示素子に接続されている。光学センサは安全入力部を介して接続されている。したがって、光学表示素子および光学センサは、安全出力部がスイッチする(switch)際、いかなる場合であっても安全入力部がこのスイッチプロセス(switch process)を検出するように、機械的および電気的に安全電子装置に接続されている。
【0014】
したがって、安全出力部とは、出力側の障害にも拘らず、依然として安全にスイッチオフ可能であり、出力側における障害が確実に検出されるものを意味する。これは例えば安全電子装置の1つのチャネルが障害(低インピーダンスから高インピーダンスまで)を抱えており、もはやスイッチ不能である場合が考えられる。このタイプの障害はフィードバック信号によって明確に検出される。これにも拘らず、依然として他のチャネルによって安全にスイッチオフされ得る。同様に、安全入力部とは、入力が依然として読み込み可能であり、安全入力部における障害が確実に検出されるものを意味する。障害は、例えば少なくとも1つのチャネルを介して安全電子装置におけるフィードバック信号がないことを意味すると理解されてもよい。この場合、安全電子装置の安全入力部の1つにおける障害は、2つのチャネルの間のフィードバック信号が逸脱することによって検出され、安全入力部は、障害を検出するために、信号を中断および測定することと、比較[ダイナマイゼーション(dynamization)]することと、によって継続的に確認される。
【0015】
態様によっては、モニタリングシステムは光学表示素子の光学信号を光学センサへと導く光ファイバーケーブルを更に備える。結果として、光学表示素子と光学センサとの間の特定距離の制約を解消することができる。
【0016】
更なる態様によっては、光学センサはフォトレジスタ、フォトダイオード、フォトトランジスタの内の少なくとも1つを備える。したがって、光学センサは個々のアプリケーションに対して最適に適合され得る。
【0017】
更なる態様によっては、光学表示素子は複数の表示素子を備え、光学センサは複数の光学センサを備える。したがって、光学表示素子および光学センサの数は限定されていない。光学センサまたは光学表示素子の数は監視対象であるシステム[設備(installation)、機械、モータなど]における安全性の要求および潜在リスク次第である。リスクアセスメントにより、要求されるPL(performance level)またはSIL(safety integrity level)が決定される。これらは安全電子装置の構造、部品の信頼性、障害検出などによって定められる。
【0018】
更なる態様によっては、安全出力部は少なくとも1つの第1出力接点および少なくとも1つの第2出力接点を備える。安全入力部は少なくとも1つの第1入力接点および少なくとも1つの第2入力接点を備える。結果として、複数の部品と安全電子装置とを接続することが可能となる。
【0019】
本願の開示内容は緊急停止スイッチの光学表示素子用のモニタリングシステム用の方法を備える。この方法は、安全電子装置を介して光学表示素子に電流または電圧を供給することによって光学信号を生成することを備える。この方法は安全電子装置によって光学センサを介して光学信号を測定することを更に備える。この場合、発された光学表示素子の光学信号が測定される。この方法は、ある期間光学信号の生成を中断することと、安全電子装置によって光学センサを介して光学信号の中断を測定することと、を更に備える。このステップはシステムの安全性を高めるために繰り返され得るまたは繰り返される。この方法は更に、安全電子装置によって電流または電圧が印加された際、生成された光学信号と測定された光学信号とを比較することを備える。比較に基づいて、光学表示素子の機能性、ひいてはシステムについての結論が下される。この方法は、電流が印加されている時、生成された光学信号と測定された光学信号とを比較して逸脱がある場合に警報(warning signal)を出力することを更に備える。
【0020】
この方法は、光学表示素子LMが照明されるべき場合、照明される、またはアクティブにされることを保証する。引き換えとして、この方法は光学表示素子LMが照明されるべきでない、またはアクティブではない場合、照明されないことを保証する。生成された光学信号と測定された光学信号とを比較している間に逸脱が発生した場合、光学表示素子LMはシステムの操作状況に関する情報源としてはもはや信用できないことになる。結果として、システムの緊急停止機能も、もはや信用することができず、多種多様なタイプの影響をもたらす。この影響は、例えば、警報の出力からシステムの完全なるシャットダウンに至るまで及び得る。例えば、限定されるわけではないが、安全電子装置SEが表示素子LMの故障を検出した場合、実際の緊急停止スイッチの緊急停止機能の引き金が引かれ、それゆえ、このモバイル緊急停止システムはもはや信用することができない。
【0021】
態様によっては、安全電子装置と光学表示素子との間の接続がシングルチャネル(single-channel)の場合、光学信号生成の中断は時間的に逐次繰り返され得る。結果として、システムの安全性は向上され得る。
【0022】
態様によっては、安全電子装置と光学表示素子との間の接続がマルチチャネルまたはnチャネル(n-channel)の場合、光学信号生成の中断は同時に繰り返され得る。結果として、システムの安全性はより一層向上され得る。
【0023】
態様によっては、光学信号を測定する間、光学信号の少なくとも1つのパラメータまたは光学信号の存在が安全電子装置によって測定される。光学信号のパラメータは光スペクトル(light spectrum)、光束(light flux)、照度または特定の変調(modulation)の内の少なくとも1つを備える。その結果、光学信号の異なる構成(configuration)を設定し、これらを光学センサによって検出することが可能となる。
【0024】
態様によっては、警報の出力または故障の検出は、無線または有線で受信点(receiving point)においてもたらされる。その結果、安全性を向上するために、警報がある特定の場所に伝達され得る。
【0025】
添付の図面および後述する詳細な説明を参照することにより、本願発明をより完全に理解し、本願発明による多くの利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本願発明の背景に係る緊急停止スイッチの模式図を示す。
【
図2】第1態様に係る緊急停止スイッチ用のモニタリングシステムの模式図を示す。
【
図5】第2態様に係る緊急停止スイッチ用のモニタリングシステムの模式図を示す。
【
図7】
図2、5に係る緊急停止スイッチ用のモニタリングシステム用の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
続いて、図面を参照し本願発明を説明する。ここで説明される本願発明の態様は単なる例示であり、決して特許請求の範囲の保護範囲を制限するものではないことは言うまでもない。本願発明は特許請求の範囲およびその均等物によって定められる。本願発明のある態様の特徴は、相互に排他的でない限り、本願発明の別の態様またはその他態様の特徴と組み合わせる得ることは言うまでもない。
【0028】
図2は第1態様に係る緊急停止スイッチ用のモニタリングシステム100の模式図を示す。モニタリングシステム100は操作素子5および安全電子装置SEを備える。操作素子5は第1スイッチS1、第2スイッチS2、光学表示素子LM、光学センサOSを備える。操作素子5は回転、[移動(shifting)]、押し、もしくは、引きのための、スイッチ、レバー、ボタン若しくはプッシュボタンの内の少なくとも1つである。
【0029】
第1スイッチS1および第2スイッチS2は安全電子装置SEに接続されている。第1スイッチS1および第2スイッチS2は操作素子5の構成に依る。上述したタイプの操作素子5の第1スイッチS1および第2スイッチS2は既知であり、したがって、ここでは詳細について追加で説明しない。
【0030】
光学表示素子LMは、例えば電流および/または電圧のような電気信号に基づいて光学信号を生成または変換することができる。これに限定されるものではないが一例として、光学表示素子LMはLEDまたは電球(bulb)である。この場合、光学表示素子LMは少なくとも1つの個別光学表示素子を備える。光学表示素子LMは複数の個別光学表示素子LMを備えてもよい。光学信号の周波数スペクトル(frequency spectrum)は可視光から近赤外線および中赤外線まで延在しており、安全電子装置SEによって変調(modulate)されてもよい。
【0031】
光学表示素子LMはシングルチャネルまたはマルチチャネルの様式で安全電子装置SEのシングルチャネルまたはマルチチャネル安全出力部に接続されている。安全電子装置SEは電気信号で光学表示素子LMを制御しており、電気信号に影響を及ぼしてもよく、変調(modulate)してもよい。電気信号に影響を及ぼすことにより、光学信号の1つまたは複数のパラメータが設定(set)されてもよい。光学信号の調整可能なパラメータは、光スペクトル、光束、照度または特定の変調の内の少なくとも1つである。結果として、緊急停止スイッチの安全性は向上されており、緊急停止スイッチのアプリケーションは個別に適合されてもよい。
【0032】
ここで、
図3Aから4Bを参照して安全電子装置SEの典型的な構造を説明する。
【0033】
図3Aから3Dは、発明を限定するものではないが、安全電子装置SEが、安全出力部Aにおいて、設備または機械のスイッチオフに関して、どのように2チャネルまたはマルチチャネルで構成され得るか、についての選択された例および可能性を示すものである。安全電子装置SEが複数の安全入力部Eおよび複数の安全出力部Aを備える場合、これら入力Eおよび出力AはチャネルKとされてもよい。これはマルチチャネルまたはnチャネル実装と呼ばれている。複数の、例えばn-1のチャネルでスイッチオフに失敗した場合においても、設備は依然として残りのチャネルを介して確実にスイッチオフすることができる。例えば、5つのチャネルの内、4つのチャネルで失敗した場合においても、設備は依然として確実にスイッチオフすることができる。したがって、より多くのチャネルが適合されればされるほど、マルチチャネル実装の場合の安全性は高くなる。安全電子装置SEが1つの安全入力部Eおよび1つの安全出力部Aのみを備え、チャネルを形成している場合、これは表示素子LMおよび/または光学センサOSから構成される外部シングルチャネル実装と呼ばれる。とは言うものの、内部的にはどのようなマルチチャネル実装をされてもよい。
【0034】
各チャネルKにおいてまたは各チャネルKの後において、安全性または安全性の程度に関するチャネルKのスイッチング(switching)を監視するために、フィードバック信号BACKがタップオフ(tapped off)され、安全電子装置SEにフィードバックされている。1つの態様において、フィードバック信号BACKは安全出力部Aの基本的な実装を示している。更なる態様において、フィードバック信号BACKは安全出力部Aの基本的な実装に必要とされている。フィードバック信号BACKを介して、安全電子装置SEによって確実に障害が検出され、ひいては安全出力部Aを形成する。
【0035】
図3Aに示されるように、安全電子装置SEは第1チャネルK1および第2チャネルK2の2チャネルで実装されている。第1安全出力部Aは第1チャネルK1および第2チャネルK2を備える。表示素子LMはチャネルK1、K2を介して出力接点A1+に接続され、他方では第2出力接点A1-において安全電子装置SEに接続されている。
【0036】
図3Bは
図3Aに基づくアセンブリの第2態様を示しているが、違いとしては、第2チャネルK2は安全出力部Aの第2出力接点A1-において配置されている。
【0037】
図3Cは更なる態様を示しており、監視のために第1表示素子LM1および第2表示素子LM2が安全電子装置SEに接続されている。この場合、図示された構成は2チャネルの形式であることを除き
図3Aの構成に対応している。第1表示素子LM1は別々に、チャネルK1およびチャネルK2の両方を介して出力接点A1+に接続され、他方では第2出力接点A1-において安全電子装置SEに接続されている。第2表示素子LM2は別々に、チャネルK1およびチャネルK2の両方を介して出力接点A2+に接続され、他方では第2出力接点A2-において安全電子装置SEに接続されている。この例は、どのように複数の表示素子LMが安全電子装置SEの安全出力部において別々に接続および監視され得るかについて示している。
【0038】
図3Dは
図3Bに基づくアセンブリの第2態様を示しているが、違いとしては、第1表示素子LM1および第2表示素子LM2が直列に接続され、第1出力接点A1+および第2出力接点A1-を介して安全電子装置に接続されている。この場合、第1チャネルK1は第1出力接点A1+において設けられ、第2チャネルK2は第2出力接点A1-において設けられている。
【0039】
図4A、4Bは、発明を限定するものではないが、安全電子装置SEが、安全入力部Eにおいて、どのようにシングルチャネルまたはnチャネルで構成され得るか、についての選択された例および可能性を示すものである。入力Eはスイッチおよびフィードバックを介して監視されてもよい。n-1チャネルで失敗が発生した場合、依然として有効な入力が検出されている。例えば、3チャネルの内の2チャネルで失敗が発生した場合においても、安全電子装置SEはフィードバック信号BACKを介して依然として確実に入力信号を検出することができる。
【0040】
図4Aは光学センサOSのシングルチャネル接続用のチャネルK1およびチャネルK2を備える安全電子装置SEを示している。光学センサOSは入力接点E1+およびE1-がそれぞれ第1チャネルK1および第2チャネルK2に接続された第1安全入力部E1を介して安全電子装置SEに接続されている。
【0041】
図4Bは複数の光学センサOSがどのようにして安全電子装置SEの安全入力部Eに接続され得るかについての更なる態様を示している。この場合、第1光学センサOS1は第1チャネルK1を介して安全電子装置SEに接続されている。第2光学センサOS2は、第1チャネルK1とは別々に、第2チャネルK2を介して安全電子装置SEに接続されている。この結果、内部および外部の2チャネル実装が存在する完全な2チャネルシステムとなっている。
【0042】
図3Aから
図4Bに示されるような、どのようにしてSEを用いて表示素子LMが1つまたは複数の安全出力部Aと接続され、また、光学センサOSが1つまたは複数の安全入力部Eと接続され得るかについての例および可能性は、適宜好都合かつ望ましい、または相互に排他的にならない様式でお互い組み合わせ可能である。
【0043】
図5は第2態様に係る緊急停止スイッチ用のモニタリングシステム100の模式図である。この場合、第2態様に係るモニタリングシステム100は、光学センサOSが操作素子5の中に収容されていないという点において第1態様に係るモニタリングシステム100と異なっている。第2態様に係るモニタリングシステム100の光学センサOSは安全電子装置SEにおいて設けられている。光学表示素子LMの光学信号は、光ファイバーケーブルLWLを介して光学表示素子LMから光学センサOSへと送られている。残りの部品の構造は第1態様に係るモニタリングシステム100のものに対応する。この理由から、同じ部品には同じ参照符号が設けられており、ここでは繰り返されない。
【0044】
図6は第1態様および第2態様に係るモニタリングシステム100の光学センサOSの別の例が示されている。光学センサOSはフォトレジスタOSa、フォトダイオードOSb、フォトトランジスタOScの内の少なくとも1つを備える。
【0045】
フォトレジスタOSaに降り注ぐ光が多ければ多いほど、フォトレジスタOSaの電気抵抗は小さくなる。この機能の原因はアモルファス半導体(amouphous semiconductor)から構成される層における内部光電効果である。他の光センサと比較して、フォトレジスタの反応は非常に遅い。
【0046】
フォトダイオードOSbは、光学信号とともに伝達される情報を受信するために、内部光電効果によって、pn接合またはpin接合において、可視光領域、赤外光領域または紫外光領域の光を電流または電圧に変換する半導体ダイオードである。
【0047】
フォトトランジスタOScは増幅トランジスタ(amplifier transistor)が接続された感光性フォトダイオードを備える。感光性フォトダイオードは、回路(circuitry)の観点ではトランジスタのコレクタ-ベース電極(collector-base terminal)と並列である。入射した光は内部光電効果によって微弱な電流を流す。この電流はトランジスタにおいて電流増幅率によってコレクタ電流に増幅される。
【0048】
この点については、既知の光電効果に関する文献を参照されたい。
【0049】
図7は第1態様および第2態様に係る緊急停止スイッチ用のモニタリングシステム100の方法のフローチャートを示す。ステップS1において、光学信号は、電気信号によって光学表示素子LMを駆動することにより安全電子装置SEによって生成されている。同時に、各チャネルKにおいてまたは各チャネルKの後において、電気信号は、安全性または安全性の程度に関するチャネルKのスイッチングを監視するために、フィードバック信号BACKがタップオフされ安全電子装置SEにフィードバックされている。ステップS2において、光学信号のパラメータまたは光学信号の存在の内の少なくとも1つが測定されている。この場合、光学信号の光スペクトル、光束、照度または特定の変調の内の少なくとも1つが測定されている。ステップS3において、安全電子装置SEを介して、電気信号によって光学表示素子LMを駆動することは、期間t
Dの間中断されている。安全電子装置SEと光学表示素子LMとの接続がシングルチャネルの場合、中断は時間的に逐次繰り返されてもよい。安全電子装置SEと光学表示素子LMとの間の接続がマルチチャネルの場合(
図3A、3Bを参照)、中断は同時または時間的にオフセットして繰り返されてもよい。中断が時間的にオフセットすることにより、安全出力部A間、安全入力部E間、安全出力部Aと安全入力部Eとの間におけるクロス接続(cross-connection)が検出されてもよい。これら1つまたは複数の中断は、少なくとも1つの光学センサOSによって測定されている。ステップS4において、安全電子装置SEによって、生成された電気信号は測定された光学信号と比較されている。電気信号の中断および測定と比較とは「ダイナマイゼーション(dynamization)」と呼ばれている。したがって、ダイナマイゼーションによって、1つまたは複数の安全入力部Eおよび1つまたは複数の安全出力部Aは、機能を継続的に監視され得る。したがって、発生する可能性のある全ての障害は、遅くとも次のダイナマイゼーションの期間で検出され得る。ダイナマイゼーションの程度、すなわち、期間がどれくらいの頻度で繰り返されるかおよびいつ繰り返されるかは、システムの安全性の要求度合いに比例している。安全性の要求は、リスクポテンシャルまたはリスク状況にそれぞれ依存している。したがって、例えば原子力発電所における安全電子装置およびこの機能は、事実上、継続的、動的に制御されながら監視されている。したがって、ダイナマイゼーションは一種の機能テストとしてみなされてもよい。システムが、分離および隔離されて実装された余分なシステムとして構成されており、その結果、例えば機械的にクロス接続またはグラウンド接続(ground connection)され得ないことが技術的に保証されている場合、ダイナマイゼーションは完全に省略されてもよい。
【0050】
ステップS5において、生成された光学信号(電気信号次第である)が測定された光学信号から逸脱した場合、警報が出力されている。警報の出力は無線または有線で受信点に送られている。警報はアナログまたはデジタル信号であってもよい。受信点は、警報から制御コマンドおよび/または音響もしくは光学信号を生成してもよい。例えば、制御コマンドは機械のシャットダウンである。
【符号の説明】
【0051】
100 モニタリングシステム
5 操作素子
LMx 表示素子
OSx 光学センサ
SE 安全電子装置
A 安全出力部
Ax+、Ax- 出力接点
E 安全入力部
Ex+、Ex- 入力接点
LWL 光ファイバーケーブル
Sx スイッチ
Mx プローブ
OSa フォトレジスタ
OSb フォトダイオード
OSc フォトトランジスタ
tD 期間
PL パフォーマンスレベル
SIL 安全度
【国際調査報告】