(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】高開口ディスプレイ用の多色OLEDアレイ
(51)【国際特許分類】
H10K 50/852 20230101AFI20240705BHJP
H10K 50/856 20230101ALI20240705BHJP
H10K 50/88 20230101ALI20240705BHJP
H10K 50/81 20230101ALI20240705BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20240705BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240705BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240705BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240705BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240705BHJP
H10K 71/12 20230101ALI20240705BHJP
H10K 71/13 20230101ALI20240705BHJP
【FI】
H10K50/852
H10K50/856
H10K50/88
H10K50/81
H10K50/82
H10K59/122
H10K59/12
H10K59/35
H10K71/16
H10K71/12
H10K71/16 164
H10K71/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577251
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 CA2022050993
(87)【国際公開番号】W WO2023283720
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521093576
【氏名又は名称】アヴァロン ホログラフィックス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジャチー
(72)【発明者】
【氏名】ペッカム ジョーダン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC09
3K107CC36
3K107CC45
3K107DD10
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD38
3K107DD39
3K107DD89
3K107DD95
3K107DD96
3K107EE03
3K107EE21
3K107EE32
3K107EE33
3K107FF06
3K107GG02
3K107GG03
3K107GG04
3K107GG05
3K107GG06
3K107GG08
3K107GG28
(57)【要約】
ライトフィールドディスプレイに適した高い開口率を有する有機発光ダイオード(OLED)アレイのためのマイクロキャビティピクセル設計及び製造方法。これは、中間電極及び光学充填材層を横方向に重ね合わせ、横方向の間隔を減らすことによって達成される。設計内のOLED層は、均一な白色OLED積層体を有し、各層をOLEDアレイの全体にわたって堆積させることができるようにし、製造を簡略化する。各サブピクセルの光学マイクロキャビティにおける光路長は、光学充填材層の厚さによって最適化され、白色OLED積層体を均一にすることができ、製造の複雑さを低減する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の分布ブラッグ反射器(DBR)と、
第1の色のマイクロキャビティを画定する前記DBR上の第1の色の電極であって、第1のビアを介して前記基板に接続される、第1の色の電極と、
前記第1の色の電極に隣接する前記DBR上の第1の光学充填材層と、
前記第1の光学充填材層上にあって、前記第1の色の電極と重なり領域で部分的に重なり合う第2の光学充填材層と、
第2の色のマイクロキャビティを画定する前記第2の光学充填材層上の第2の色の電極であって、第2のビアを介して前記基板に接続される、第2の色の電極と、
前記第1の色の電極上及び前記第2の色の電極上の白色有機発光ダイオード(OLED)積層体と、
前記白色OLED積層体上の上部電極と、
を備える有機発光ダイオードデバイス。
【請求項2】
前記第2の色の電極が前記第1の色の電極と部分的に重なり合う、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の色のマイクロキャビティは、前記第1の色の電極を通じた前記DBRと前記上部電極との間の第1の色の光路長を有し、前記第2の色のマイクロキャビティは、前記第2の色の電極を通じた前記DBRと前記上部電極との間の第2の色の光路長を有する、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の色の光路長及び前記第2の色の光路長は、所望の第1の色及び第2の色のピクセルをそれぞれ与えるように調整される、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の光学充填材層及び前記第2の光学充填材層が透明ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の光学充填材層及び前記第2の光学充填材層が透明無機誘電体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の色の電極を前記第2の色の電極から絶縁するピクセル画定層を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ピクセル画定層が、無機絶縁誘電体及び有機材料のうちの1つ以上を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記基板が薄膜トランジスタ(TFT)基板である、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記上部電極の上に第2のDBRを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記上部電極がカソードであり、下部電極がアノードである、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記上部電極がアノードであり、下部電極がカソードである、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2の色の電極上に及び前記白色OLED積層体の下方に、
第3の色のマイクロキャビティを画定する前記第1の光学充填材層上の第3の光学充填材層と、
前記第3の光学充填材層上にあって、前記第2の色の電極と部分的に重なり合う第4の光学充填材層と、
前記第4の光学充填材層上にあって、前記第2の色の電極と部分的に重なり合うとともに、第3のビアを介して前記基板に接続される第3の色の電極と、
を更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
多色マイクロキャビティ有機発光ダイオード(OLED)アレイを製造するための方法において、
基板上に分布ブラッグ反射器(DBR)を堆積させることと、
第1の色のマイクロキャビティを画定する第1の色の電極を前記DBR上に堆積させることであって、前記第1の色の電極が第1のビアを介して前記基板に接続される、堆積させることと、
前記第1の色の電極に隣接する第1の光学充填材層を前記DBR上に堆積させることと、
重なり領域で前記第1の色の電極と部分的に重なり合う第2の光学充填材層を前記第1の光学充填材層上に堆積させることと、
第2の色のマイクロキャビティを画定する第2の色の電極を前記第2の光学充填材層上に堆積させることであって、前記第2の色の電極が第2のビアを介して前記基板に接続される、堆積させることと、
前記第1の色の電極上及び前記第2の色の電極上に白色有機発光ダイオード(OLED)積層体を堆積させることと、
前記白色OLED積層体上に上部電極を堆積させることと、
を含む方法。
【請求項15】
前記白色OLED積層体が前記OLEDアレイ全体にわたって堆積される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記白色OLED積層体は、熱蒸着、スピンキャスト、又はインクジェット印刷を使用して堆積される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記上部電極が、熱蒸着又はスパッタリングを使用して堆積される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の色の電極を前記第2の色の電極から絶縁するピクセル画定層を堆積させることを更に含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ピクセル画定層は、スパッタリング、スピンコーティング、熱蒸着、化学蒸着、原子層堆積、又はスピンキャストを使用して堆積される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記上部電極上に第2のDBRを堆積させることを更に含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の色の電極、前記第2の色の電極、及び前記上部電極は、スパッタリング、熱蒸着、又はスピンコーティングを使用して堆積される、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の光学充填材層及び前記第2の光学充填材層は、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積を使用して堆積される、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記DBRは、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積を使用して堆積される、請求項14~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記白色OLED積層体を堆積させる前に、
第3の色に関して選択される第3の光学充填材層を前記第1の光学充填材層上に堆積させることであって、前記第3の光学充填材層が前記第1の色の電極と重なり合う、堆積させることと、
前記第3の色に関して選択される第4の光学充填材層を前記第3の光学充填材層上に堆積させることであって、前記第4の光学充填材層が前記第2の色の電極と重なり合う、堆積させることと、
前記第4の光学充填材層上に一連の第3の色の電極を堆積させることと、
を更に含む、請求項14~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月16日に出願された米国特許出願第17/378,300号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、ライトフィールドディスプレイに適した、高開口率を有する有機発光ダイオード(OLED)デバイスのためのパターニング設計及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ライトフィールドディスプレイは、複数の視野を与え、ユーザがそれぞれの眼で別々のビューを受けることができるようにする。このカテゴリにおける現在のディスプレイは、興味深い視聴体験を提供するが、魅力的なライトフィールドディスプレイは、非常に高いピクセル密度、ビュー間の非常に低い角度分離、及び大きな視野角を必要とする。ユーザは、隣接するビューからの独立した知覚可能なビューを維持しながら、ビューイングゾーン間の滑らかな移行を体験することが望ましい。これらのビューイングパラメータを達成する際の基本的な要件は、放射源の出力特性を制御することである。マイクロキャビティ内に結合された有機発光ダイオード(OLED)は、得られる光のスペクトル帯域幅及び出力角の制御を可能にする。
【0004】
光の出力特性を制御する1つの方法は、マイクロキャビティの使用によるものである。マイクロキャビティは、2つのミラー又は反射面の間に形成され、例えば、金属アノード、金属カソード、又は分布ブラッグ反射器(DBR)であり得る非吸収材料の層状積層体であり得る。ミラーは、一般に入射光の物理的特性を維持しながら、ある波長範囲の光を反射する役割を果たす。マイクロキャビティの出力特性に影響を及ぼす2つの主な設計変数は、最上面及び最下面(すなわち、対向するミラー)の反射率並びに光路長Λである。そのようなOLED構造によって出力される光の波長は、マイクロキャビティの光路長に部分的に依存する。光路長は、マイクロキャビティを構成する層の厚さ及び/又は数を調整することによって操作することができる。
【0005】
ライトフィールドディスプレイに適したサイズのOLEDを製造する場合、各色の所望の光路長に必要な厚さを達成するために有機層を別々に堆積するときに課題が生じる。ライトフィールドディスプレイに適したOLEDを製造するための1つの課題は、利用可能な製造能力を使用して10μm未満のピクセルで高い開口率を達成することである。ピクセルの開口率は、ディスプレイの総面積に対するピクセルの発光面積の比である。ディスプレイ上の各ピクセルの発光面積を最大化することにより、高い開口率を実現することができる。これにより、表示領域の隙間が小さくなり、ライトフィールドディスプレイの画質が向上する。ピクセルサイズが小さい高解像度ディスプレイを製造する場合に、高い開口率を達成することは特に困難である。
【0006】
Wongらの米国特許出願公開第2021/0057670号明細書は、発光OLEDピクセルのアレイについて記載する。開示されたピクセルは、各アノード上に複数の透明又は実質的に透明な誘電体層を使用する。誘電体層の厚さは、そのピクセルの所望の色の光の放射を最適化するように設計される。白色OLED層は、OLEDアレイにおける単一の堆積ステップで形成され、各アノード間の横方向の間隔は、開口率の低下をもたらす。
【0007】
Parkらの米国特許第10,790,473号明細書は、高い開口率を達成するように設計されたOLEDデバイスについて記載している。高開口率は、まず、サブピクセル領域の角でアノードの反射電極と透明電極とを接続することによって達成される。各サブピクセルは、マイクロキャビティ構造を有し、サブピクセル間のピクセル画定層を最小化する。サブピクセル間の間隔は、ディスプレイの発光面積が最大化されないため、ライトフィールドディスプレイには好ましくない。
【0008】
仮想現実(VR)ディスプレイ、拡張現実(AR)ディスプレイ、マイクロディスプレイ、及びライトフィールドディスプレイなどのニアアイディスプレイでは、高い開口率が好ましい。ライトフィールドディスプレイに適した高いディスプレイ解像度で高い開口率を達成するミクロンサイズのOLEDピクセルアレイ設計及び製造方法が依然として必要とされている。
【0009】
この背景情報は、本発明に関連する可能性があると出願人が考える既知の情報を作る目的で提供される。前述の情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも意図しておらず、そのように解釈すべきでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0057670号明細書
【特許文献2】米国特許第10,790,473号明細書
【発明の概要】
【0011】
本開示の目的は、有機発光ダイオード(OLED)を備える光学マイクロキャビティピクセルデバイス、及びアレイ内でパターニングされるときに70%を超える開口率を得るミクロンサイズのピクセルを達成するフォトリソグラフィパターニング方法とを提供することである。本開示の他の目的は、1,000ppi(ピクセル/インチ)を超える解像度を有するライトフィールドディスプレイを製造することができるOLEDアレイパターニングの方法を提供することである。光学マイクロキャビティピクセルアレイは、基板上の分布ブラッグ反射器(DBR)と、半透明又は完全透明の電極及び一連の半透明又は完全透明の光学充填材層を備える2つ以上のサブピクセルとを備える。本開示の他の目的は、DBR上に配置された半透明又は完全に透明な電極が横方向の重なりを有して横方向の間隔を減少させ、それによってライトフィールドディスプレイの開口率を増大させる、光学マイクロキャビティピクセル設計構造を提供することである。着色電極間の横方向間隔の制限、低減、又は排除は、第1及び第2の色、第2及び第3の色、第1及び第3の色、又はそれらの任意の組み合わせの重なり合う電極間に介挿される層状の一連の半透明又は完全透明の充填材層を使用して達成することができる。充填材層の厚さは、各ピクセルの光学キャビティを調整し、それによって光学マイクロキャビティピクセルデバイスによって生成される色を決定付けるように設計される。本開示の他の目的は、高開口OLEDアレイの製造プロセスの複雑さを低減する方法を提供することである。
【0012】
一態様では、基板と、基板上の分布ブラッグ反射器(DBR)と、第1の色のマイクロキャビティを画定するDBR上の第1の色の電極であって、第1のビアを介して基板に接続される、第1の色の電極と、第1の色の電極に隣接するDBR上の第1の光学充填材層と、第1の光学充填材層上にあって、第1の色の電極と重なり領域で部分的に重なり合う第2の光学充填材層と、第2の色のマイクロキャビティを画定する第2の光学充填材層上の第2の色の電極であって、第2のビアを介して基板に接続される、第2の色の電極と、第1の色の電極上及び第2の色の電極上の白色有機発光ダイオード(OLED)積層体と、白色OLED積層体上の上部電極と、を備える有機発光ダイオードデバイスが提供される。
【0013】
一実施形態では、第2の色の電極が第1の色の電極と部分的に重なり合う。
【0014】
他の実施形態において、第1の色のマイクロキャビティは、第1の色の電極を通じたDBRと上部電極との間の第1の色の光路長を有し、第2の色のマイクロキャビティは、第2の色の電極を通じたDBRと上部電極との間の第2の色の光路長を有する。
【0015】
他の実施形態において、第1の色の光路長及び第2の第1の色の光路長は、所望の第1の色及び第2の色のピクセルをそれぞれ与えるように調整される。
【0016】
他の実施形態では、第1の光学充填材層及び第2の光学充填材層が透明ポリマーを含む。
【0017】
他の実施形態では、第1の光学充填材層及び第2の光学充填材層が透明無機誘電体を含む。
【0018】
他の実施形態において、デバイスは、第1の色の電極を第2の色の電極から絶縁するピクセル画定層を更に備える。
【0019】
他の実施形態において、ピクセル画定層は、無機絶縁誘電体及び有機材料のうちの1つ以上を含む。
【0020】
他の実施形態では、基板が薄膜トランジスタ(TFT)基板である。
【0021】
他の実施形態において、デバイスは、上部電極上に第2のDBRを更に備える。
【0022】
他の実施形態では、上部電極がカソードであり、下部電極がアノードである。
【0023】
他の実施形態では、上部電極がアノードであり、下部電極がカソードである。
【0024】
他の実施形態において、デバイスは、第2の色の電極上に及び白色OLED積層体の下方に、第3の色のマイクロキャビティを画定する第1の光学充填材層上の第3の光学充填材層と、第3の光学充填材層上にあって、第2の色の電極と部分的に重なり合う第4の光学充填材層と、第4の光学充填材層上にあって、第2の色の電極と部分的に重なり合うとともに、第3のビアを介して基板に接続される第3の色の電極と、を更に備える。
【0025】
他の態様では、多色マイクロキャビティ有機発光ダイオード(OLED)アレイを製造するための方法が提供され、該方法は、基板上に分布ブラッグ反射器(DBR)を堆積させることと、第1の色のマイクロキャビティを画定する第1の色の電極をDBR上に堆積させることであって、第1の色の電極が第1のビアを介して基板に接続される、堆積させることと、第1の色の電極に隣接する第1の光学充填材層をDBR上に堆積させることと、重なり領域で第1の色の電極と部分的に重なり合う第2の光学充填材層を第1の光学充填材層上に堆積させることと、第2の色のマイクロキャビティを画定する第2の色の電極を第2の光学充填材層上に堆積させることであって、第2の色の電極が第2のビアを介して基板に接続される、堆積させることと、第1の色の電極上及び第2の色の電極上に白色有機発光ダイオード(OLED)積層体を堆積させることと、白色OLED積層体上に上部電極を堆積させることと、を含む。
【0026】
方法の一実施形態では、白色OLED積層体がOLEDアレイ全体にわたって堆積される
【0027】
方法の他の実施形態において、白色OLED積層体は、熱蒸着、スピンキャスト、又はインクジェット印刷を使用して堆積される。
【0028】
方法の他の実施形態において、上部電極は、熱蒸着又はスパッタリングを使用して堆積される。
【0029】
他の実施形態において、方法は、第1の色の電極を第2の色の電極から絶縁するピクセル画定層を堆積させることを更に含む。
【0030】
方法の他の実施形態において、ピクセル画定層は、スパッタリング、スピンコーティング、熱蒸着、化学蒸着、原子層堆積、又はスピンキャストを使用して堆積される。
【0031】
他の実施形態において、方法は、上部電極上に第2のDBRを堆積させることを更に含む。
【0032】
方法の他の実施形態において、第1の色の電極、第2の色の電極、及び上部電極は、スパッタリング、熱蒸着、又はスピンコーティングを使用して堆積される。
【0033】
方法の他の実施形態において、第1の光学充填材層及び第2の光学充填材層は、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積を使用して堆積される。
【0034】
方法の他の実施形態において、DBRは、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積を使用して堆積される。
【0035】
他の実施形態において、方法は、白色OLED積層体を堆積させる前に、第3の色に関して選択される第3の光学充填材層を第1の光学充填材層上に堆積させることであって、第3の光学充填材層が第1の色の電極と重なり合う、堆積させることと、第3の色に関して選択される第4の光学充填材層を第3の光学充填材層上に堆積させることであって、第4の光学充填材層が第2の色の電極と重なり合う、堆積させることと、第4の光学充填材層上に一連の第3の色の電極を堆積させることと、を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明においてより明らかになる。
【0037】
【
図1A】本開示による2色光学マイクロキャビティ有機発光ダイオード(OLED)アレイの断面図の一実施形態を示す。
【0038】
【
図1B】
図1Aに記載される1色光学マイクロキャビティOLEDデバイスの拡大図を示す。
【0039】
【
図1C】
図1Aに記載される2色光学マイクロキャビティOLEDデバイスの拡大図を示す。
【0040】
【
図2】ピクセル画定層(PDL)を含む本開示による2色光学マイクロキャビティOLEDアレイの別の実施形態を示す。
【0041】
【
図3A】カソード上に堆積された更なるDBRを含む本開示による2色光学マイクロキャビティOLEDアレイの別の実施形態を示す。
【0042】
【
図3B】
図3Aに記載される2色光学マイクロキャビティOLEDデバイスの拡大図を示す。
【0043】
【
図4】本開示による3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの断面の一実施形態を示す。
【0044】
【
図5】PDLを含む本開示による3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの別の実施形態を示す。
【0045】
【
図6】カソード上に堆積された更なるDBRを含む本開示による3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの別の実施形態を示す。
【0046】
【
図7】本開示によるTFT基板から2色光学マイクロキャビティOLEDアレイの発光までの光路の一実施形態を示す。
【0047】
【
図8】本開示によるTFT基板から3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの発光までの光路の一実施形態を示す。
【0048】
【
図9】本開示による3色光学マイクロキャビティOLEDアレイからの発光の一実施形態の上面図を示す。
【0049】
【
図10A】DBRを堆積させるための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ1を示す。
【0050】
【
図10B】DBRを介して第1の色の電極用のビアを形成するための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ2を示す。
【0051】
【
図10C】第1の色の電極を堆積させるための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ3を示す。
【0052】
【
図10D】フォトレジストを堆積させるための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ4を示す。
【0053】
【
図10E】実施形態をUV光に部分的に曝露することによってエッチングによりフォトレジストを部分的に除去する、フォトリソグラフィステップのための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ5を示す。
【0054】
【
図10F】第1の光学充填材層を堆積させるための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ6を示す。
【0055】
【
図10G】残りのフォトレジストをリフトオフすることによってフォトレジスト上に堆積した第1の光学充填材層を除去する、フォトリソグラフィステップのための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ7を示す。
【0056】
【
図10H】提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ7の上面図を示す。
【0057】
【
図10I】第2の光学充填材層を堆積させるための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ8を示す。
【0058】
【
図10J】DBR、第1の光学充填材層、及び第2の光学充填材層を介して第2の色の電極用のビアを形成するための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ9を示す。
【0059】
【
図10K】第2の色の電極を堆積させるための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ10を示す。
【0060】
【
図10L】提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ10の上面図を示す。
【0061】
【
図10M】白色OLED積層体を堆積させるための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ11を示す。
【0062】
【
図10N】上端反射面としてカソードを堆積させてOLEDアレイの光学マイクロキャビティを形成するための提案された2色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ12を示す。
【0063】
【
図11A】DBRを堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ1を示す。
【0064】
【
図11B】DBRを介して第1の色の電極用のビアを形成するための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ2を示す。
【0065】
【
図11C】第1の色の電極を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ3を示す。
【0066】
【
図11D】フォトレジストを堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ4を示す。
【0067】
【
図11E】実施形態をUV光に部分的に曝露することによってエッチングによりフォトレジストを部分的に除去する、フォトリソグラフィステップのための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ5を示す。
【0068】
【
図11F】第1の光学充填材層を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ6を示す。
【0069】
【
図11G】残りのフォトレジストをリフトオフすることによってフォトレジスト上に堆積した第1の光学充填材層を除去する、フォトリソグラフィステップのための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ7を示す。
【0070】
【
図11H】提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ7の上面図を示す。
【0071】
【
図11I】第2の光学充填材層を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ8を示す。
【0072】
【
図11J】DBR、第1の光学充填材層、及び第2の光学充填材層を介して第2の色の電極用のビアを形成するための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ9を示す。
【0073】
【
図11K】第2の色の電極を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ10を示す。
【0074】
【
図11L】提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ10の上面図を示す。
【0075】
【
図11M】フォトレジストを堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ11を示す。
【0076】
【
図11N】実施形態をUV光に部分的に曝露することによってエッチングによりフォトレジストを部分的に除去する、フォトリソグラフィステップのための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ12を示す。
【0077】
【
図11O】第3の光学充填材層を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ13を示す。
【0078】
【
図11P】残りのフォトレジストをリフトオフすることによってフォトレジスト上に堆積した第3の光学充填材層を除去する、フォトリソグラフィステップのための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ14を示す。
【0079】
【
図11Q】第4の光学充填材層を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ15を示す。
【0080】
【
図11R】DBR、第1の光学充填材層、第3の光学充填材層、及び第4の光学充填材層を介して第3の色の電極用のビアを形成するための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ16を示す。
【0081】
【
図11S】第3の色の電極を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ17を示す。
【0082】
【
図11T】提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ17の上面図を示す。
【0083】
【
図11U】白色OLED積層体を堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ18を示す。
【0084】
【
図11V】OLEDデバイスの光学マイクロキャビティを形成するために上端反射面としてカソードを堆積させるための提案された3色OLEDアレイパターニングプロセスのステップ19を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0086】
「備える(comprising)」という用語と組み合わせて本明細書で使用される場合の「a」又は「an」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の意味とも一致する。
【0087】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語及びそれらの文法的変形は、包括的又はオープンエンドであり、更なる列挙されていない要素及び/又は方法ステップを排除しない。「から本質的に成る」という用語は、組成物、デバイス、物品、システム、使用又は方法に関連して本明細書で使用される場合、更なる要素及び/又は方法ステップが存在し得るが、これらの追加は、列挙された組成物、デバイス、物品、システム、方法又は使用機能の様式に実質的に影響を及ぼさないことを示す。特定の要素及び/又はステップを備えるものとして本明細書に記載される組成物、デバイス、物品、システム、使用又は方法は、特定の実施形態では、これらの実施形態が具体的に言及されているか否かにかかわらず、これらの要素及び/又はステップを本質的に備えることもでき、他の実施形態では、これらの要素及び/又はステップを備えることができる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値からの約+/-10%の変動を指す。そのような変動は、具体的に言及されているか否かにかかわらず、本明細書で提供される任意の所与の値に常に含まれることを理解されるべきである。
【0089】
本明細書における範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲及び範囲内に入る個々の値の両方を、範囲を示すために使用される数字と同じ場所の値に伝えることを意図している。
【0090】
任意の例又は例示的な言語、例えば「など(such as)」、「典型的な実施形態(exemplary embodiment)」、「例示的な実施形態(illustrative embodiment)」及び「例えば(for example)」の使用は、本発明に関連する態様、実施形態、変形形態、要素又は特徴を例示又は示すことを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0091】
本明細書で使用される場合、「接続する」及び「接続された」という用語は、本開示の要素又は特徴間の任意の直接的又は間接的な物理的関連を指す。これらの用語は、接続されていると記載された要素又は特徴の間に他の要素又は特徴が介在している場合であっても、互いに部分的又は完全に収容され、取り付けられ、結合され、配置され、ともに接合され、通信し、動作可能に関連付けられるなどの要素又は特徴を示すと理解され得る。
【0092】
本明細書で使用される場合、「OLED」という用語は、外部電圧の印加下で光を発する光電子デバイスである有機発光ダイオードを指す。OLEDは、電流に応答して光を放射する発光エレクトロルミネセンス層又は有機材料又は有機種を有する。OLEDは、2つの主要なクラス、すなわち有機小分子で作られたものと有機ポリマーで作られたものに分けることができる。理論に束縛されるものではないが、電流が印加されると、アノードは正孔を注入し、カソードは電子を有機層に注入する。注入された正孔及び電子は、それぞれ、反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同一分子上に局在すると、励起エネルギー状態を有する局在電子-正孔対である励起子が形成される。光放射機構を介して励起子が緩和すると光が放射される。OLEDの種類には、アクティブマトリクスOLED(AMOLED)及びパッシブマトリクスOLED(PMOLED)が含まれるが、これらに限定されない。AMOLEDは、カソード、有機分子、及びアノードの全層を有する。アノード層は、マトリックスを形成するようにそれに平行に薄膜トランジスタ(TFT)面を有する。これは、所望に応じて各ピクセルをそのオン又はオフ状態に切り替えるのに役立ち、したがって画像を形成する。したがって、ピクセルは、必要とされないとき、又はディスプレイ上に黒画像があるときはいつでもオフにすることができ、ディスプレイを照明するのに必要なエネルギーを減少させる。これは、最も電力消費の少ないタイプのOLEDであり、ビデオに適したより速いリフレッシュレートを有する。PMOLEDはAMOLEDと同様の組成を有するが、カソードラインはアノードラインに対して直角に配置される。電気的制御は、アノードライン及びカソードラインを介して達成され、交点でピクセルを活性化して光を発生させる。PMOLEDの表示背景は常に黒色であり、ピクセルがオンにされたときに表示される色は所定の色である。PMOLEDピクセルは単色に固定されており、動的な画像又は表示には適していない。OLEDは、上面発光又は下面発光であり得る。上面発光OLEDは、不透明又は反射性のいずれかである基板を有する。発光された光が透明又は半透明の下部電極及び基板を通過する場合、OLEDは下面発光である。上面発光OLEDは、一般に、非透明トランジスタバックプレーンとより容易に統合することができるため、アクティブマトリクス用途により適している。
【0093】
本明細書で使用される場合、「DBR」という用語は、分布ブラッグ反射器を指す。分布ブラッグ反射器は、代替的な順序で異なる屈折率を有する異なる誘電体層から構成される光学ミラーである。
【0094】
本明細書で使用される場合、Λ,によって示される用語「光路長」は、光が通過する材料の屈折率(n)を説明する2点間の距離(P1、P2)を指す。例示的なOLEDデバイスでは、光が通過する媒体は、1つ以上の半透明又は透明の中間電極及び他の層、並びに白色OLED積層体を含む層を含んでもよい。光路長は、以下の関数として定義される。
【数1】
【0095】
本明細書で使用される場合、「ライトフィールド」という用語は、空間内の点を通ってあらゆる方向に流れる光の量を表す関数を指す。ライトフィールドは、自由空間における、好ましくは遮蔽物のない光の位置及び方向の関数として放射輝度を表すことができる。ライトフィールドは、例えば、様々なレンダリングプロセスによって合成的に生成することができ、又はライトフィールドカメラもしくはライトフィールドカメラのアレイから取り込むことができる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「ライトフィールドディスプレイ」という用語は、ライトフィールドを再構成するデバイスである。一例では、ライトフィールドは、ライトフィールドディスプレイデバイスに入力された有限数のライトフィールド放射輝度サンプルから再構成することができる。放射輝度サンプルは、一般に、赤、緑、及び青(RGB)の色成分を表す。ライトフィールドディスプレイにおける再構成のために、ライトフィールドは、4次元空間から単一のRGB色へのマッピングとして理解することもでき、4次元は、ディスプレイの垂直及び水平次元と、ライトフィールドの指向性成分を記述する2次元とを含む。一例では、ライトフィールドを関数として定義することができる。
LF:(x,y,u,v)→(r,g,b)
所定のxf,yfの場合、LF(xf,yf,u,v)は「要素画像」と呼ばれる2次元(2D)画像を表し、要素画像は所定のxf,yf位置からのライトフィールドの指向性画像である。複数の要素画像を並べて連結したものを「積分画像」と呼ぶ。積分画像は、ライトフィールドディスプレイに必要なライトフィールド全体として理解することができる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「開口率」という用語は、光学ディスプレイを説明する際に、関数として定義される全ピクセル面積と比較した発光面積の比を指す。
【数2】
【0098】
本明細書で使用される場合、「ピクセル」という用語は、ディスプレイを作成するために使用される光源及び発光機構を指す。
【0099】
本明細書で使用される場合、「サブピクセル」という用語は、光学マイクロキャビティ内に収容された発光デバイスから構成される構造を指す。
【0100】
本明細書で使用される場合、「電極」という用語は、電気が物体、物質、又は領域に出入りする導体を指す。
【0101】
本明細書で使用される場合、「カソード」という用語は、電子が電気デバイスに入る負に帯電した電極を指す。
【0102】
本明細書で使用される場合、「アノード」という用語は、電子が電気デバイスを出る正に帯電した電極を指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「パターニング」という用語は、ターゲット材料上にパターンを転写する技術を指す。
【0104】
本明細書で使用される場合、「波長」という用語は、光又は音などの移動エネルギーの繰り返しパターンである波の2つの同一のピーク(高い点)又はトラフ(低い点)間の距離の尺度である。
【0105】
本明細書では、ミクロンサイズの多色光学マイクロキャビティOLEDアレイを調整するためのマイクロキャビティ有機発光ダイオード(OLED)設計及び方法について説明する。ライトフィールドディスプレイは、少なくとも25000ピクセル/インチ(ppi)のピクセル密度を必要とし、各ピクセルが20μm未満であることを必要とする。最も好ましくは、高いディスプレイ解像度を有するライトフィールドディスプレイは、5,000ppiを超えるピクセル密度を有する。これらの解像度で高い開口率を達成することは、各サブピクセルの発光面積を最大化し、サブピクセル間隔を最小化することによって達成することができる。本開示は、有機発光ダイオード(OLED)を備える光学マイクロキャビティピクセルデバイス、及びアレイ内にパターニングされたときに1,000ppiを超える分解能を有するライトフィールドディスプレイに適した70%を超える開口率を得るミクロンサイズのピクセルを達成するフォトリソグラフィパターニング方法を提供する。これは、透明又は半透明の光学充填材層及び中間電極を、OLEDアレイ内の他の中間電極と横方向で重なり合って横方向の間隔を減らすとともに得られるOLEDアレイの開口率を高めるようにパターニングすることによって達成することができる。この横方向の重なり合い設計により、設計者は、各OLEDデバイスの光学特性及びOLEDアレイの開口率を全体として最適化することができる。ミクロンサイズのピクセルを有するディスプレイの高開口率の業界定義は70%であるが、この設計は、ディスプレイがほぼ又は約100%の開口率を達成することを可能にし、ライトフィールドディスプレイ及び他の用途に適した高品質のディスプレイを作り出す。また、これらに限られるわけではないが黄色、赤色、緑色、又は青色の光を含む光を発するOLEDデバイスのアレイを設計及び製造するための方法も開示される。
【0106】
本発明の様々な特徴は、図面の例示と共に以下の詳細な説明から明らかになる。本明細書に開示される光学マイクロキャビティOLED設計プロセス及び構造の設計パラメータ、設計方法、構成、及び使用は、本明細書に記載及び特許請求される本発明の範囲を限定することを意図しない実施形態を表す様々な例を参照して説明される。本発明が関係する分野の当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく本開示の教示に従って実施することができる、本明細書に開示されていない本発明の他の変形、例、及び実施形態があり得ることを理解し得る。
【0107】
デバイス内の各OLEDは、基板と接続するように構成された電極と、分布ブラッグ反射器(DBR)を含む光学マイクロキャビティと、カソードとを備える。光学マイクロキャビティは、光を実質的にコリメート、操作、又は調整するために、1つ以上の反射面に動作可能に関連付けられるか、又は接続される。反射面の少なくとも1つは、光マイクロキャビティから光を伝播するために光マイクロキャビティに接続された光伝播反射面である。本開示は、個々にアドレス指定可能な赤色、緑色、及び青色(RGB)サブピクセルを提供する。現在記載されているサブピクセルサイズは、ナノスケールから数ミクロンの範囲である。DBRは、本明細書に記載されるように、特定の厚さの誘電体材料の交互積層体から構成され、光路長が設計波長の4分の1であり、任意の色のOLEDでの使用に適していることを保証する。DBRの最高反射率は、各層の光路長が共振波長の4分の1になるように層厚が選択される場合に達成される。各層がλ
Bragg/4の光路長を有すると、全ての反射は同相で加算され、透過率はミラー厚さの関数として指数関数的に減少する。阻止帯域よりも長い波長又は短い波長では、反射は位相がずれ始めるため、全反射は減少する。これにより、両側に振動するサイドローブを有する、停止帯域と呼ばれるブラッグ波長を中心とする広帯域高反射率領域が得られる。DBRは、一般に、異なる屈折率を有する2つの異なる誘電体層の対から構成されるが、各層の光路長がλ
Bragg/4.である限り、nのコントラストを持つ複数の誘電体材料又は他の透明材料で構成することもできる。
多層ミラーは、適切に選択された厚さの実質的に非吸収性の材料の交互層を備える。典型的には、各層は厚さ
【数3】
を有し、この場合、λは、EML発光スペクトルの中心波長、例えば500~550nmにほぼ対応するように有利に選択される。このようなミラーは周知である。ミラーの反射率は、使用される材料の層対の数、層厚及び屈折率に既知の方法で依存する。可視波長領域の例示的な材料対は、Si
3N
4、SiO
2、及びTiO
2である。
【0108】
図1Aは、第1の色の2つのOLEDデバイス及び第2の色の1つのOLEDデバイスを有する、本明細書に記載の2色光学マイクロキャビティOLEDアレイの断面の一実施形態を示す。図示のOLEDアレイは、基板10上に堆積されたDBR12を備える。この実施形態では、基板10はTFT基板であり、該基板は、OLEDの一実施形態のベース構造を形成するデバイスであり、各ピクセル又はサブピクセルを必要に応じてそのオン又はオフ状態に切り替えるための電気制御を行う。TFTは、金属ゲート電極、ゲート絶縁体、半導体層、及び基板上に堆積されたソース/ドレイン電極を含む幾つかの層を含む。TFT基板は、好ましくは、その上にOLEDの材料が堆積される平坦化層も有する。DBR12は、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78の数は、任意の整数とすることができる。図示の実施形態では、DBR12は、OLEDアレイ内の各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティの第1の反射面として機能することができる。
【0109】
本明細書で第1の色の電極14A、14Bと呼ばれる、第1の色のOLEDデバイスのアレイのための一連の電極内の各電極がDBR12上に堆積される前に、本明細書で第1の色のビア16A、16Bと呼ばれる、第1の色のOLEDのそれぞれのビアがDBR12を通してドライエッチングされる。これにより、基板10から第1の色の電極14A、14Bへの電気的接続がもたらされる。第1の色のビア16A、16Bは、エッチング技術、例えば、反応性イオンエッチング、陽極プラズマエッチング、磁気的に増強された反応性イオンエッチング、三極反応性イオンエッチング、又は透過結合プラズマエッチングを用いてエッチングされてもよい。本実施形態では、反応性イオンエッチングなどの好ましいドライエッチング法を用いる。DBR12を介して第1の色のビア16A、16Bがエッチングされた後、シャドーマスクを使用して第1の色の電極14A、14BがDBR12上に堆積される。第1の光学充填材層18は、OLEDアレイ内のそれぞれの第2の色のOLEDデバイスごとにフォトリソグラフィを使用して、第1の色の電極14A、14Bの間でDBR12上に直接パターニングされる。パターニングは、例えば、一連の後処理を使用して、転写されたパターンを転写された材料に化学的に彫刻するか、又は転写された材料に新しい材料を堆積させることができる。次いで、シャドーマスクを介して、又はフォトリソグラフィを使用して、第1の光学充填材層18を覆う第1の光学充填材層18上のOLEDアレイ内のそれぞれの第2の色のOLEDデバイスごとに、第2の光学充填材層20がパターニングされる。第2の光学充填材層20は、第1の色の電極14A、14Bと重なり合って、重なり領域80A、80Bを形成してもよい。重なり領域80A、80Bは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。光学充填材層は、可視光に対して透明であり、電気的に絶縁するように設計される。光学充填材層は、重なり領域80A、80Bにおける第1の色の電極14A、14Bと第2の色の電極22とのクロストークを防止するための電気絶縁層として機能する。
【0110】
第2の光学充填材層20上に第2の色の電極22が堆積される前に、第2の光学充填材層20、第1の光学充填材層18、及びDBR12を介して、反応性イオンエッチングを使用して第2の色の電極22のそれぞれのための第2の色のビア24がドライエッチングされる。第2の色のビア24は、基板10から第2の色の電極22への電気的接続をもたらす。次いで、シャドーマスクを用いて第2の色の電極22を第2の光学充填材層20上にパターニングし、好ましくは、第2の色の電極22の幅は第2の光学充填材層20の幅と同じである。2色OLEDアレイの場合、次いで、白色OLED積層体26の層がOLEDアレイ全体にわたって堆積される。3色OLEDアレイでは、第3の光学充填材層、第4の光学充填材層、第3の色のビア、及び第3の色の電極が第3の色用に堆積され、続いて白色OLED積層体26が堆積される。均一に堆積されたOLED積層体は白色光を発し、それぞれの色の光学マイクロキャビティについて、光路長は特定の色を達成するように調整される。次いで、例えば熱蒸着法を使用して、カソード28を白色OLED積層体26上に堆積させる。この実施形態では、カソード28は、0%を超える透過率をもたらす厚さで堆積された反射材料であり、各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティを形成するために使用される。
【0111】
この実施形態では、基板10は、OLEDデバイスのベースを形成する非導電性構成要素と、各電極に電力を供給する導電性構成要素とを備える。一例は、1つ以上の半導体材料、ゲート絶縁体、及び基板から構成される薄膜トランジスタ(TFT)基板であり得る。半導体材料は、例えば、水素化アモルファスシリコン、多結晶シリコン、アモルファス酸化物半導体、セレン化カドミウム、酸化亜鉛、ペンタセン、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、及びポリ(3-オクチルチオフェン)などの有機材料、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)もしくはインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明電極を含むことができる。酸化インジウムスズ(ITO)は、典型的には、重量で74%In、18%O2、及び8%Snの配合物を有する酸素飽和組成物として直面する。ITOはまた、その適切な導電性、ほぼ透明で無色の光学特性、及び確立された方法によって堆積することができるため、OLED構造のアノード材料として一般的に使用される。ITOを使用して、本開示によるOLEDデバイスのアノード層を構築することもできる。ゲート絶縁体は、SiO2及びSi3N4などの透明絶縁体を有する金属不動態化材料、又はポリメチルメタクリレートなどの有機材料とすることができる。基板は、ガラスなどの非導電性材料であってもよい。DBR12は、TiO2及びSiO2から構成され得る、交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。第1の色の電極14A、14B及び第2の色の電極22は、ITOなどの半透明又は透明な導電性材料、ドープされたポリアニリンなどの導電性ポリマー、又は金属もしくは合金の薄層(5から35nmの間、好ましくは10nm未満)、又はグラフェンなどの炭素系材料とすることができる。ITOなどの透明導電性材料は、それらの高い透過率値(80~85%)並びに低い反射率及び吸光度のために好ましい。
【0112】
第1の光学充填材層18及び第2の光学充填材層20は、例えば、ポリイミドなどの透明ポリマー、又は例えばAl2O3、SiO2、又はSi3N4などの様々な屈折率値を有する無機透明誘電体であってもよい。第1の光学充填材層18及び第2の光学充填材層20は、同じ材料又は異なる材料から構成され得る。光学充填材層18、20は、例えば、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積によって堆積させることができる。堆積の1つの好ましい方法はスパッタリングであり、これにより、設計者は堆積中に層の厚さを正確に調整することができる。光学充填材層及びそれらを備える材料の厚さは、各特定の色の光路長を調整するように設計される。光学充填材層のための好ましい材料は、下部電極と同様の屈折率を有する。例えば、第2の色の電極22にITOを用い、第1の光学充填材層18及び第2の光学充填材層20の両方にAl2O3を用いることができる。白色OLED積層体26は、有機材料の薄膜層を含み、薄膜層は、一般に、有機正孔注入層(HIL)、有機正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、有機電子輸送層(ETL)、及び有機電子注入層のうちの1つ以上を含む。白色OLED積層体内の一連の層は、白色光を放射するように設計される。各OLEDデバイスの個々の色は、各光学マイクロキャビティの光路長を調整することによって達成される。白色OLED積層体26の各層は、熱蒸着、スピンキャスト、又はインクジェット印刷によって堆積させることができる。この実施形態では、白色OLED積層体26の堆積のための好ましい一方法は熱蒸着である。カソード28は、アルミニウム、カドミウム、又は銀など、90%を超える反射率を有する反射金属とすることができる。この実施形態は従来のOLED構成を示し、白色OLED積層体26の下の第1の色の電極14A、14B及び第2の色の電極22はアノードであり、白色OLED積層体26の上の上部電極はカソード28である。本明細書に記載のマイクロキャビティOLEDは、所望の色に必要な光路長を生成するために光学マイクロキャビティ内に集合的に共振を生成する実質的に透明な中間層を有する実質的に反射性の最上面及び最下面を有する。DBR12が下端反射面であり、カソード28が上端反射面である本構成では、カソード28はDBR12よりもわずかに反射性が低く、光学マイクロキャビティ内で生成された光がOLEDアレイの上部を通って放射されることを可能にする。別の構成では、OLEDアレイは、反転OLEDデバイスのアレイとして構成されてもよく、白色OLED積層体26の下に堆積された下部電極は完全に透明なカソードであり、白色OLED積層体の上の上部電極は反射アノードである。本明細書に記載のOLEDアレイはまた、下面発光OLEDデバイスのアレイであるように構成されてもよく、下部電極、DBR12、及び基板10は上部電極よりもわずかに反射性が低く、基板10を通って光を放射する。本OLEDアレイは、反転又は非反転及び上面又は下面発光OLEDの任意の組み合わせから構成されるように構成することもできる。
【0113】
光学マイクロキャビティでは、各色の光路長は、色のピーク波長を2で割って正の整数を掛けたものに等しい。
したがって、
【数4】
ここで、
Λ
Cxは、色の光路長であり、
mは整数であり、
λ
Cxは、色のピーク波長である。
【0114】
光学マイクロキャビティを備える各要素は、材料の屈折率及びその厚さによって決定される光路長を有する。各色の総光路長は、光学マイクロキャビティを含む各要素、すなわち、DBR12、電極14、22、光学充填材層18、20、白色OLED積層体26、及びカソード28の光路長によって決定することができる。DBR12及びカソード28は、光学マイクロキャビティの境界を形成する反射面であるため、屈折率及び厚さに加えて、DBR12及びカソード28への侵入深さが考慮される。この実施形態では、DBR12及びカソード28は均一であり、白色OLED積層体26はOLEDアレイ全体に対して白色光を放射するように設計される。各色の光路長は、DBR12の侵入深さと、カソード28の侵入深さとを含む。これらの侵入深さは、設計上の考慮事項に組み込まれており、OLEDアレイ全体で一定である。DBR12及びカソード28は存在するが、特定の色を放射するように光路長を調整するためには使用されない。
したがって、
【数5】
【0115】
OLEDアレイ内の各第1の色のOLEDデバイスの光路長ΛC1(本明細書では第1の色30A、30Bの光路長と呼ばれる)は、OLEDアレイ内の各第1の色のOLEDデバイスの第1の電極の光路長(本明細書では第1の電極(Λe1)34A、34Bの光路長と呼ばれる)及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長によって決定される。OLEDアレイにおける各第2の色のOLEDデバイスの光路長ΛC2(本明細書では第2の色の光路長(ΛC2)36と呼ぶ)は、第1の光学充填材層の光路長(Λf1)38、第2の光学充填材層の光路長(Λf2)40、第2の色の電極の光路長(Λe2)42、及び白色OLED積層体の光路長(ΛOLED)32の合計によって決定される。光学マイクロキャビティ内の各要素の光路長は要素の厚さ及びその屈折率によって決定されるため、光学マイクロキャビティ内の特定の要素の厚さを調整することにより、設計者は所望の色の光路長を最適化することができる。白色OLED積層体26がOLEDアレイにわたって堆積されると、白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長は、第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長を調整するように設計することができ、これは白色OLED積層体26の厚さを最適化することによって達成することができる。特に、第1の色の光路長(ΛC1)は、第1の色のピーク波長を整数の2倍で割ったものにほぼ等しくなければならない。白色OLED積層体32の光路長はOLEDアレイにわたって均一であるため、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長は、第2の色(ΛC2)36に必要な光路長を生成するために第2の光学充填材層20の厚さを考慮して設計することもできる。白色OLED積層体32を均一にすることができるため、白色OLED積層体26の光路長を用いて第1の色30A、30Bの光路長を最適化し、第2の光学充填材層40の光路長を用いて第2の色36の光路長を最適化することが有利である。次いで、均一な白色OLED積層体26をOLEDアレイ全体にわたって堆積させることができ、それによって製造を単純化することができる。
【0116】
図1Bは、
図1Aに記載の単色光学マイクロキャビティOLEDデバイスの拡大図を示す。OLEDデバイスは、TFT基板とすることができる基板10上に堆積されたDBR12を備える。DBR12は、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。
図1Bに示す高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78の対の数は、6つの層を備える3つであるが、DBRは任意の整数の層から構成することができることに留意されたい。この構成は、DBR12がOLEDアレイ内の各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティの第1の反射面として機能できるようにする。第1の色の電極14は、シャドーマスクを用いてDBR12上に堆積される。次いで、白色OLED積層体26を備える層は、OLEDアレイ全体にわたって個別に堆積される。白色OLED積層体26の各層は、例えば、熱蒸着、スピンキャスト、及びインクジェット印刷によって、好ましくは熱蒸着によって堆積させることができる。この実施形態では、白色OLED積層体26は、有機正孔注入層(HIL)84、有機正孔輸送層(HTL)86、発光層(EML)88、有機電子輸送層(ETL)90、及び有機電子注入層(EIL)92の各層のうちの1つ以上を備えることができる。幾つかの構成では、白色OLED積層体26は単一のEML88を備えることができ、特定の色の発光分子がEML88内で組み合わされて白色光を生成する。代替の構成では、白色OLED積層体26は、タンデム又は積層白色OLEDと呼ぶことができる複数のEML88を備えることができる。タンデム白色OLEDでは、白色光は、白色OLED積層体26内の全ての発光EML88から生成される。タンデムOLED構成では、更なる電荷発生層を堆積させて、更なる注入層及び人工金属電極として機能させることができる。白色OLED積層体26内の有機層の組み合わせは、白色光を放射するように設計され、各光マイクロキャビティは、特定の色を達成するために様々な要素の光路長を調整する。次いで、カソード28は、例えば熱蒸着を用いて白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、カソード28は反射性材料であり、各OLEDデバイス用の光学マイクロキャビティを形成するために使用される。
【0117】
図1Cは、
図1Aに記載の2色光学マイクロキャビティOLEDデバイスの拡大図を示す。OLEDデバイスは、基板10上に堆積されたDBR12を備える。この実施形態では、基板10はTFT基板である。DBR12は、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78の数は、任意の整数とすることができる。この構成は、DBR12がOLEDアレイ内の各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティの第1の反射面として機能できるようにする。第1の色の電極14は、シャドーマスクを用いてDBR12上に堆積される。第1の光学充填材層18は、OLEDアレイ内のそれぞれの第2の色のOLEDデバイスごとにフォトリソグラフィを使用して、第1の色の電極14に隣接してDBR12上に直接パターニングされる。次いで、シャドーマスクを介して、又はフォトリソグラフィを使用して、第1の光学充填材層18上のOLEDアレイ内のそれぞれの第2の色のOLEDデバイスごとに第2の光学充填材層20がパターニングされ、第2の光学充填材層20は、第1の光学充填材層18全体を覆い、第1の色の電極14と重なり合って、重なり領域80を形成することができる。重なり領域80は、製造におけるアライメント誤差を緩和し、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。第2の色の電極22は、シャドーマスクを用いて第2の光学充填材層20上にパターニングされ、好ましくは、第2の色の電極22の幅は、第2の光学充填材層20と同じ幅である。ここでは第1及び第2のマイクロキャビティのみが示されているが、OLEDアレイは、第1の電極を有する複数の第1の色のマイクロキャビティと、第2の電極を有する複数の第2の色のマイクロキャビティとを備えることが理解される。OLEDアレイは、一般に、赤色、緑色、及び青色の発光を与えるために複数の3つの異なる色のマイクロキャビティも備えることが更に理解される。
【0118】
次いで、白色OLED積層体26を備える層は、OLEDアレイ全体にわたって個別に堆積される。白色OLED積層体26の各層は、熱蒸着、スピンキャスト、又はインクジェット印刷によって堆積させることができる。この実施形態では、好ましい方法は熱蒸着である。この実施形態では、白色OLED積層体26を備える有機層は、有機正孔注入層(HIL)84、有機正孔輸送層(HTL)86、発光層(EML)88、有機電子輸送層(ETL)90、及び有機電子注入層(EIL)92の順序で第1及び第2の色の電極14、22上に堆積される。白色OLED積層体26は、各有機層のうちの1つ以上を更に備えることができる。白色OLED積層体26の有機層は、白色光を放射するようにともに設計され、各光マイクロキャビティは、特定の色を達成するために様々な要素の光路長を調整する。次いで、カソード28は、例えば熱蒸着を用いて白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、カソード28は反射性材料であり、各OLEDデバイス用の光学マイクロキャビティを形成するために使用される。
【0119】
図2は、ピクセル画定層(PDL)44を含む、本開示による2色光学マイクロキャビティOLEDアレイの代替実施形態を示す。この断面は、第1の色の2つのOLEDデバイス及び第2の色の1つのOLEDデバイスを示す。OLEDアレイは、基板10上に堆積されたDBR12を備える。本実施形態では、基板10はTFT基板であり、本実施形態のベース構造を形成するデバイスである。DBR12は、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。第1の色の電極14A、14BがDBR12上に堆積される前に、第1の色のビア16A、16BがDBR12を介してドライエッチングされて、基板10から第1の色の電極14A、14Bへの電気的接続がもたらされる。本実施形態において、好ましいドライエッチング法は、反応性イオンエッチングである。次に、シャドーマスクを用いてDBR12上に第1の色の電極14A、14Bをパターニングする。第1の光学充填材層18は、フォトリソグラフィを使用して、第1の色の電極14A、14Bの間のDBR12上にパターニングされる。第2の光学充填材層20は、第1の光学充填材層18上に堆積され、第1の光学充填材層18を完全に覆い、第1の色の電極14A、14Bと重なり合って、重なり領域80A、80Bを形成することができる。第2の光学充填材層は、シャドーマスク又はフォトリソグラフィを使用してパターニングすることができる。重なり領域80A、80Bは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。
【0120】
第2の色の電極22が堆積される前に、第2の色のビア24が、基板10への電気的接続をもたらすために、光学充填材層20、18及びDBR12を介する反応性イオンエッチングを使用してドライエッチングされる。第2の色の電極22は、シャドーマスクを用いて第2の光学充填材層20上にパターニングされ、第2の色の電極22の幅は、第2の光学充填材層20の幅に等しい。この実施形態では、任意のPDL44は、シャドーマスクを用いて、隣接する第1の色の電極14A、14Bにオーバーハングする第2の色の電極22及び第2の光学充填材層20の領域を覆うようにパターニングされる。PDL44は、第1の色の電極14A、14Bと第2の色の電極22との間の電気的短絡を防止し、OLEDアレイにわたるクロストークを低減する。クロストークとは、一般に、コントラストの損失、深度解像度の損失、観察者の不快感、及び表示画像の複製を引き起こす画質を妨げる可能性がある光が放射されたときに1つのピクセルから別のピクセルに漏れる光を指す。PDL44は、例えば、スパッタリング、スピンコーティング、熱蒸着、化学蒸着、原子層堆積、スピンキャストなどによって成膜することができる。任意のPDL44は、絶縁誘電体、例えばAl2O3、Si3N4、又はSiO2などの無機材料、又は感光性ポリイミドなどの有機材料で構成することができる。3色OLEDデバイスでは、PDL層は、第3の色の電極を第2の色の電極に接続することもできる。白色OLED積層体26を備える層は、OLEDアレイ全体にわたって堆積される。次いで、カソード28が、熱蒸着によって白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、カソード28は、反射性材料であり、したがって、各OLEDデバイス用の光学マイクロキャビティを形成するために使用される。
【0121】
第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長は、第1の電極(Λe1)34A、34Bの光路長及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長によって決定される。第2の色(ΛC2)36の光路長は、第1の光学充填材層(Λf1)38の光路長、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長、第2の色の電極(Λe2)42の光路長、及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長の合計によって決定される。光学マイクロキャビティ内の各要素の光路長は要素の厚さ及びその屈折率によって決定されるため、光学マイクロキャビティ内の特定の要素の厚さを調整することにより、設計者は所望の色の光路長を調整することができる。白色OLED積層体26がOLEDアレイを横切って堆積されると、白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長は、第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長を調整するように設計することができ、これは、白色OLED積層体26の厚さを最適化することによって達成することができる。白色OLED積層体32の光路長はOLEDアレイにわたって均一であるため、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長は、第2の色(ΛC2)36に必要な光路長を生成するために第2の光学充填材層20の厚さにわたって設計されてもよい。
【0122】
白色OLED積層体32の光路長を用いて第1の色30A、30Bの光路長を最適化し、第2の光学充填材層40の光路長を用いて第2の色36の光路長を最適化することは、白色OLED積層体26を均一にすることができるため有利である。次いで、均一な白色OLED積層体26をOLEDアレイ全体にわたって堆積させることができ、それによって製造を単純化することができる。
【0123】
図3Aは、カソード28の上部に堆積された第2のDBR12Bを有する2色光学マイクロキャビティOLEDアレイの別の実施形態を示す。この断面は、第1の色の2つのOLEDデバイス及び第2の色の1つのOLEDデバイスを示す。OLEDアレイは、基板10上に堆積された第1のDBR12Aを備える。本実施形態では、基板10はTFT基板であり、本実施形態のベース構造を形成するデバイスである。第1のDBR12Aは、高屈折率誘電体層76と低屈折率誘電体層78とが交互に連なっている。第1の色の電極14A、14Bが第1のDBR12A上に堆積される前に、第1の色のビア16A、16Bが第1のDBR12Aを介してドライエッチングされて、基板10から第1の色の電極14A、14Bへの電気的接続がもたらされる。好ましい実施形態では、ビアは反応性イオンエッチングを使用して形成される。次いで、シャドーマスクを使用して第1のDBR12A上に第1の色の電極14A、14Bがパターニングされる。次いで、フォトリソグラフィを使用して、第1の色の電極14A、14Bの間の第1のDBR12A上に第1の光学充填材層18がパターニングされる。次いで、第2の光学充填材層20は、第1の光学充填材層18を完全に覆い、好ましくは第1の色の電極14A、14Bと重なり合うように堆積され、重なり領域80A、80Bを形成する。第2の光学充填材層20は、シャドーマスクを使用して、又はフォトリソグラフィを使用してパターニングすることができる。重なり領域80A、80Bは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。
【0124】
第2の色の電極22が堆積される前に、第2の色のビア24が、基板10への電気的接続をもたらすために、光学充填材層20、18及び第1のDBR12Aを介する反応性イオンエッチングを使用してドライエッチングされる。第2の色の電極22は、シャドーマスクを使用して第2の光学充填材層20上にパターニングされ、第2の色の電極22の幅は、第2の光学充填材層20の幅にほぼ等しい。次いで、白色OLED積層体26を備える層は、OLEDアレイ全体にわたって堆積される。次いで、カソード28が、熱蒸着によって白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、更なるDBR12Bがカソード28の上部に堆積される。第2のDBR12Bは、一連の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を交互に有する。カソード28は、半透明又は透明材料から構成され、DBR12Bは、各OLEDデバイス用の光学マイクロキャビティを形成するために使用される。
【0125】
光学マイクロキャビティを備える各要素は、材料の屈折率及びその厚さによって決定される光路長を有する。各色の総光路長は、光学マイクロキャビティを備える各要素、すなわち、第1のDBR12A、第1の電極14A、14B、第2の電極22、光学充填材層18、20、白色OLED積層体26、カソード28、及び第2のDBR12Bの光路長によって決定することができる。第1のDBR12A及び第2のDBR12Bは、光学マイクロキャビティの境界を形成する反射面であるため、屈折率及び厚さに加えて、DBR12A、12Bへの侵入深さが考慮される。この実施形態では、DBR12A、12B及びカソード28は均一であり、白色OLED積層体26はOLEDアレイ全体に対して白色光を放射するように設計される。各色の光路長は、第1のDBR12Aの侵入深さ、第2のDBR12Bの侵入深さ、及びカソード28の光路長を含む。これらの侵入深さ及び対応する光路長は、設計上の考慮事項に組み込まれているが、OLEDアレイにわたって一定である。第1のDBR12A、第2のDBR12B、及びカソード28は、特定の色を放射するように光路長を調整するために使用されない。
したがって、
【数6】
【0126】
第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長は、第1の電極(Λe1)34A、34Bの光路長及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長によって決定される。第2の色(ΛC2)36の光路長は、第1の光学充填材層(Λf1)38の光路長、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長、第2の色の電極(Λe2)42の光路長、及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長の合計によって決定される。光学マイクロキャビティ内の各要素の光路長は要素の厚さ及びその屈折率によって決定されるため、光学マイクロキャビティ内の特定の要素の厚さを調整することにより、設計者は所望の色の光路長を調整することができる。白色OLED積層体26がOLEDアレイにわたって堆積されると、白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長は、第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長を調整するように設計することができ、これは白色OLED積層体26の厚さを最適化することによって達成することができる。白色OLED積層体32の光路長はOLEDアレイにわたって均一であるため、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長は、第2の色(ΛC2)36に必要な光路長を生成するために第2の光学充填材層20の厚さにわたって設計することもできる。白色OLED積層体32の光路長を用いて第1の色30A、30Bの光路長を最適化し、第2の光学充填材層40の光路長を用いて第2の色36の光路長を最適化することは、白色OLED積層体26をOLED光マイクロキャビティアレイにわたって均一にすることができるので有利である。均一な白色OLED積層体26をOLEDアレイ全体にわたって堆積させることもでき、それによって製造を単純化することができる。
【0127】
図3Bは、
図3Aに記載の2色光学マイクロキャビティOLEDデバイスの拡大図を示す。OLEDデバイスは、好ましくはTFT基板である基板10上に堆積された第1のDBR12Aを備える。第1のDBR12Aは、交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78から構成される。高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78の層の数は任意の整数の層とすることができ、この構成では3対が6つの層を備えることが示されている。この実施形態では、第1のDBR12Aは、OLEDアレイ内の各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティの第1の反射面として機能する。第1のDBR12Aには、シャドーマスクを用いて第1の色の電極14が成膜される。第1の光学充填材層18は、第1の色の電極14に隣接して、第1のDBR12A上に直接OLEDアレイ内のそれぞれの第2の色のOLEDデバイスごとにフォトリソグラフィを使用してパターニングされる。次いで、第2の光学充填材層20は、シャドーマスク又はフォトリソグラフィによって、第1の光学充填材層18上のOLEDアレイ内のそれぞれの第2の色のOLEDデバイスに対してパターニングされ、第1の光学充填材層18全体を覆い、第1の色の電極14と重なり合って、重なり領域80を形成することができる。重なり領域80は、製造におけるアライメント誤差を緩和し、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。第2の色の電極22は、シャドーマスクを用いて第2の光学充填材層20上にパターニングされ、好ましくは、第2の色の電極22の幅は第2の光学充填材層20の幅と同じである。
【0128】
次いで、白色OLED積層体26を備える層は、OLEDアレイ全体にわたって個別に堆積される。白色OLED積層体26の各層は、例えば、熱蒸着、スピンキャスト、又はインクジェット印刷によって堆積させることができる。この実施形態では、好ましい方法は熱蒸着である。次いで、白色OLED積層体26を備える有機層は、有機正孔注入層(HIL)84、有機正孔輸送層(HTL)86、発光層(EML)88、有機電子輸送層(ETL)90、及び有機電子注入層(EIL)92の順序で第1及び第2の色の電極14、22上に堆積される。白色OLED積層体26は、各有機層のうちの1つ以上を備えることができる。有機層は、白色光を放射するように設計され、各光マイクロキャビティは、特定の色を達成するために様々な要素の光路長を調整する。次いで、カソード28は、例えば熱蒸着を用いて白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、カソード28は半透明又は透明材料から構成され、第2のDBR12Bがカソード28上に堆積される。第2のDBR12Bは、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。第2のDBR12Bにおける高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78の層数も任意の整数とすることができる。この構成は、第2のDBR12BがOLEDアレイ内の各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティの上端反射面として機能できるようにする。
【0129】
図4は、本開示による3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの断面の一実施形態を示す。OLEDアレイは、基板10上に堆積されたDBR12を備える。この断面は、第1の色の2つのOLEDデバイスと、第2の色及び第3の色のそれぞれについての単一のOLEDデバイスとを示す。この実施形態では、基板10はTFT基板であり、OLEDアレイのベース構造を形成するデバイスである。DBR12は、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備え、高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78の層数は任意の整数であり得る。この構成では、DBR12は、OLEDアレイ内の各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティ用の第1の反射面である。
【0130】
第1の色のOLEDデバイスのアレイ用の第1の色の電極14A、14BがDBR12上に堆積される前に、第1の色のビア16A、16BがDBR12を介してドライエッチングされて、基板10から第1の色の電極14A、14Bへの電気的接続をもたらす。ビアは、例えば、反応性イオンエッチング、陽極プラズマエッチング、磁気増強反応性イオンエッチング、三極反応性イオンエッチング、及び透過結合プラズマエッチングによってエッチングすることができる。ビアを構築するための1つの好ましいドライエッチング方法は、反応性イオンエッチングである。DBR12を介して第1の色のビア16A、16Bがエッチングされた後、シャドーマスクを使用して第1の色の電極14A、14BがDBR12上にパターニングされる。次いで、OLEDアレイ内のそれぞれの第2の色のOLEDデバイスごとに、第1の色の電極14A、14Bの間のDBR12上に直接フォトリソグラフィを使用して第1の光学充填材層18がパターニングされる。次いで、第2の光学充填材層20が、第1の光学充填材層18上に堆積され、部分的にこれを覆い、第1の色の電極14Aに重なり合って、重なり領域80Aを形成してもよい。第2の光学充填材層20は、シャドーマスク又はフォトリソグラフィを使用してパターニングすることができる。重なり領域80Aは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。
【0131】
第2の光学充填材層20上に第2の色の電極22が堆積される前に、第2の光学充填材層20、第1の光学充填材層18、及びDBR12を介して反応性イオンエッチングを用いて第2の色のビア24がドライエッチングされる。第2の色のビア24は、基板10から第2の色の電極22への電気的接続をもたらす。次いで、第2の色の電極22は、第2の光学充填材層20上にシャドーマスクを使用してパターニングされ、好ましくは、第2の色の電極22の幅は第2の光学充填材層20の幅と同じである。次いで、第3の光学充填材層58は、第2の光学充填材層20に隣接する第1の光学充填材層18上のOLEDアレイ内のそれぞれの第3の色のOLEDデバイスごとにフォトリソグラフィを使用してパターニングされ、第1の色の電極14Bと重なり合って重なり領域80Cを形成することができる。第4の光学充填材層60は、第3の光学充填材層58上のOLEDアレイ内のそれぞれの第3の色のOLEDデバイスごとに堆積され、第2の色の電極22と重なり合って重なり領域80Dを形成することができる。第4の光学充填材層60は、シャドーマスク又はフォトリソグラフィを使用してパターニングすることができる。重なり領域80C、80Dは、製造における位置合わせ誤差を緩和し、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を減少させることによってディスプレイの開口率を増大させることができる。
【0132】
第3の色の電極62が第4の光学充填材層60上に堆積される前に、第3の色のビア64が、好ましくは反応性イオンエッチングを使用して、第4の光学充填材層60、第3の光学充填材層58、第1の光学充填材層18、及びDBR12を介してドライエッチングされる。第3の色のビア64は、基板10から第3の色の電極62への電気的接続をもたらす。次いで、第3の色の電極62は、シャドーマスクを使用して第4の光学充填材層60上にパターニングされ、好ましくは、第3の色の電極62の幅は第4の光学充填材層60の幅と同じである。次いで、白色OLED積層体26を備える層をOLEDアレイ全体に堆積させる。次いで、カソード28は、例えば熱蒸着を用いて白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、カソード28は、反射性材料であり、したがって、各OLEDデバイス用の光学マイクロキャビティを形成するために使用される。
【0133】
この実施形態では、基板10は、半導体材料、ゲート絶縁体、及び基板から構成される薄膜トランジスタ(TFT)基板とすることができる。半導体材料としては、例えば、水素化アモルファスシリコン、多結晶シリコン、アモルファス酸化物半導体、セレン化カドミウム、酸化亜鉛;ペンタセン、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)等の有機材料;又はITOなどの透明電極を挙げることができる。ゲート絶縁体は、SiO2及びSi3N4などの透明絶縁体、又はポリメチルメタクリレートなどの有機材料で不動態化された金属とすることができる。基板は、ガラスなどの非導電性材料であってもよい。DBR12は、交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体材料層78を備える。電極14A、14B、22、62は、ITOなどの半透明又は透明の導電性材料、ドープされたポリアニリンなどの導電性ポリマー、又は金属もしくは合金の薄層(5から35nmの間、好ましくは10nm未満)、及びグラフェンなどの炭素系材料とすることができる。ITOなどの透明導電性材料は、その高い透過率(80~85%)並びに低い反射率及び吸光度のために本開示にとって好ましい。光学充填材層18、20、58、60は、ポリイミドなどの透明ポリマー、又はAl2O3、SiO2、もしくはSi3N4などの様々な屈折率値を有する無機透明誘電体を備えることができる。光学充填材層18、20、58、60は、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、原子層堆積によって堆積させることができる。光学充填材層のための好ましい材料は、下部電極と同様の屈折率を有し、例えば、ITOが第2の色の電極22及び第3の色の電極62のための好ましい材料であり、その場合、Al2O3が光学充填材層のための好ましい材料である。好ましい堆積方法はスパッタリングであり、これにより、設計者は堆積中に層の厚さを正確に調整することができる。白色OLED積層体26は、有機材料の薄膜層を含み、薄膜層は、一般に、有機正孔注入層(HIL)、有機正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、有機電子輸送層(ETL)、及び有機電子注入層のうちの1つ以上を含む。一連のOLED層は、白色光を発するように設計されている。白色OLED積層体26の各層は、熱蒸着、スピンキャスト、及びインクジェット印刷によって堆積させることができる。この実施形態では、好ましい方法は熱蒸着である。各OLEDデバイスの個々の色は、各光学マイクロキャビティの光路長を変調することによって達成される。カソード28は、アルミニウム、カドミウム、又は銀などの90%を超える反射率を有する反射金属とすることができる。この実施形態は、白色OLED積層体26の下の下部電極14A、14B、22、62がアノードであり、白色OLED積層体26の上の電極がカソード28である従来のOLED構成を示す。また、本開示は、反転OLEDデバイスのアレイとして構成されてもよく、白色OLED積層体26の前に堆積された下部電極はカソード28であり、白色OLED積層体26の上の上部電極はアノードである。また、本開示は、下面発光OLEDデバイスのアレイであるように構成されてもよく、下部電極、DBR12、及び基板10は半透明又は透明であり、基板10を通して光を発する。開示された実施形態は、反転又は非反転及び上面又は下面発光の任意の組み合わせであるように構成することができる。
【0134】
光学マイクロキャビティを備える各要素は、材料の屈折率及びその厚さによって決定される光路長を有する。各色の総光路長は、光学マイクロキャビティを備える各要素、すなわち、DBR12、電極14、22、62、光学充填材層18、20、58、60、白色OLED積層体26、及びカソード28の光路長によって決定することができる。DBR12及びカソード28は、光学マイクロキャビティの境界を形成する反射面であるため、屈折率及び厚さに加えて、DBR12及びカソード28への侵入深さが考慮される。この実施形態では、DBR12及びカソード28は均一であり、白色OLED積層体26はOLEDアレイ全体に対して白色光を放射するように設計される。各色の光路長は、DBR12の侵入深さと、カソード28の侵入深さとを含む。これらの侵入深さは、設計上の考慮事項に組み込まれているが、OLEDアレイ全体で一定である。図示されているDBR12及びカソード28は、特定の色を放射するように光路長を調整するために使用されない。
したがって、
【数7】
【0135】
OLEDアレイ内の各第1の色のOLEDデバイスの光路長ΛC1(本明細書では第1の色30A、30Bの光路長と呼ばれる)は、OLEDアレイ内の各第1の色のOLEDデバイスの第1の電極の光路長(本明細書では第1の電極(Λe1)34A、34Bの光路長と呼ばれる)及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長によって決定される。OLEDアレイにおける各第2の色のOLEDデバイスの光路長ΛC2(本明細書では第2の色の光路長(ΛC2)36と呼ぶ)は、第1の光学充填材層の光路長(Λf1)38、第2の光学充填材層の光路長(Λf2)40、第2の色の電極の光路長(Λe2)42、及び白色OLED積層体の光路長(ΛOLED)32の合計によって決定される。OLEDアレイにおける各第3の色のOLEDデバイスの光路長ΛC3(本明細書では第3の色の光路長(ΛC3)66と呼ぶ)は、第1の光学充填材層(Λf1)38の光路長、第3の光学充填材層(Λf3)68の光路長、第4の光学充填材層(Λf4)70の光路長、第3の色の電極(Λe3)72の光路長、及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長の合計によって決定される。
【0136】
光学マイクロキャビティ内の各要素の光路長は要素の厚さ及びその屈折率によって決定されるため、光学マイクロキャビティ内の特定の要素の厚さを調整することにより、設計者は所望の色の光路長を最適化することができる。白色OLED積層体26がOLEDアレイにわたって堆積されると、白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長は、第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長を調整するように設計することができ、これは白色OLED積層体26の厚さを最適化することによって達成することができる。特に、第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長は、第1の色のピーク波長を整数の2倍で割ったものにほぼ等しいか等しくなければならない。白色OLED積層体32の光路長はOLEDアレイにわたって均一であるため、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長は、第2の色(ΛC2)36に必要な光路長を調整するために第2の光学充填材層20の厚さを考慮して設計することもできる。同様に、第4の光学充填材層(Λf4)70の光路長は、第4の光学充填材層62の厚さを考慮して、第3の色(ΛC3)66に必要な光路長を調整するように設計することができる。白色OLED積層体32の光路長を用いて第1の色30A、30Bの光路長を最適化し、光学充填材層40、70の光路長を用いて第2の色36の光路長及び第3の色66の光路長を最適化することは、白色OLED積層体26を均一にすることができるため有利である。次いで、均一な白色OLED積層体26をOLEDアレイ全体にわたって堆積させることができ、それによって製造を単純化することができる。
【0137】
図5は、ピクセル画定層(PDL)44を含む、本開示に係る3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの別の実施形態を示す。この断面は、第1の色の2つのOLEDデバイスと、第2の色及び第3の色のそれぞれについての単一のOLEDデバイスとを示す。OLEDアレイは、基板10上に堆積されたDBR12を備える。本実施形態では、基板10はTFT基板であり、本実施形態のベース構造を形成するデバイスである。DBR12は、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。第1の色の電極14A、14Bが堆積される前に、第1の色のビア16A、16Bが、基板10への電気的接続をもたらすために、それぞれの第1の色の電極14A、14BごとにDBR12を介してドライエッチングされる。本実施形態において、好ましいドライエッチング法は、反応性イオンエッチングである。第1の色の電極14A,14Bは、シャドーマスクを用いてDBR12上にパターニングされる。第1の光学充填材層18は、フォトリソグラフィを使用して、第1の色の電極14A、14Bの間のDBR12上にパターニングされる。第2の光学充填材層20は、第1の光学充填材層18上に堆積され、部分的にそれを覆い、第1の色の電極14Aと重なり合って、重なり領域80Aを形成し得る。第2の光学充填材層20は、シャドーマスク又はフォトリソグラフィを使用してパターニングすることができる。重なり領域80Aは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。次いで、反応性イオンエッチングを使用して光学充填材層18、20及びDBR12を通して第2の色のビア24をドライエッチングして、第2の色の電極22の基板10への電気的接続をもたらす。第2の色の電極22は、シャドーマスクを使用して第2の光学充填材層20上にパターニングされ、第2の色の電極22の幅は、第2の光学充填材層20の幅に等しい。第3の光学充填材層58は、フォトリソグラフィを使用して第2の光学充填材層20に隣接する第1の光学充填材層18上にパターニングされ、第1の色の電極14Bと重なり合って、重なり領域80Cを形成することができる。第4の光学充填材層60は、第3の光学充填材層58上に堆積され、第2の色の電極22と重なり合って、重なり領域80Dを形成し得る。第4の光学充填材層60は、シャドーマスク又はフォトリソグラフィによってパターニングすることができる。重なり領域80C、80Dは、製造における位置合わせ誤差を緩和し、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させることができる。次いで、基板10への電気的接続をもたらすために、光学充填材層58、60及びDBR12を通じた反応性イオンエッチングを使用して第3の色のビア64がドライエッチングされる。第3の色の電極62は、シャドーマスクを使用して第4の光学充填材層60上にパターニングされ、第3の色の電極62の幅は第4の光学充填材層60の幅に等しい。この実施形態では、任意のPDL44は、シャドーマスクを使用して、それぞれの隣接する第1の色の電極14A、14B及び第2の色の電極22にオーバーハングする第2及び第3の色の電極22、62並びに光学充填材層20、60、58の領域を覆うようにパターニングされる。そして、第1の色の電極14A及び第2の色の電極22と、第2の色の電極22及び第3の色の電極62と、第3の色の電極62及び第1の色の電極14Bとの間に、PDL44が成膜される。PDL44は、OLEDアレイにわたるクロストークを低減し、電気的短絡を防止することができる。次いで、白色OLED積層体26を備える層は、OLEDアレイ全体にわたって堆積される。次いで、カソード28は、例えば熱蒸着を用いて白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、カソード28は反射材料であり、各OLEDデバイスの光学マイクロキャビティの一部を形成する。
【0138】
光学マイクロキャビティを備える各要素は、材料の屈折率及びその厚さによって決定される光路長を有する。各色の総光路長は、光学マイクロキャビティを備える各要素、すなわち、DBR12、電極14、22、62、光学充填材層18、20、58、60、白色OLED積層体26、及びカソード28の光路長によって決定することができる。DBR12及びカソード28は、光学マイクロキャビティの境界を形成する反射面であるため、屈折率及び厚さに加えて、DBR12及びカソード28への侵入深さが考慮される。この実施形態では、DBR12及びカソード28は均一であり、白色OLED積層体26はOLEDアレイ全体に対して白色光を放射するように設計される。各色の光路長は、DBR12の侵入深さと、カソード28の侵入深さとを含む。これらの侵入深さは、設計上の考慮事項に組み込まれているが、OLEDアレイ全体で一定である。DBR12及びカソード28は、特定の色を放射するように光路長を調整するために使用されない。
したがって、
【数8】
【0139】
第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長は、第1の電極(Λe1)34A、34Bの光路長の光路長と白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長とによって決定される。第2の色(ΛC2)36の光路長は、第1の光学充填材層(Λf1)38の光路長、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長、第2の色の電極(Λe2)42の光路長、及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長の合計によって決定される。第3の色(ΛC3)66の光路長は、第1の光学充填材層(Λf1)38の光路長、第3の光学充填材層(Λf3)68の光路長、第4の光学充填材層(Λf4)70の光路長、第3の色の電極(Λe3)72の光路長、及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長の合計によって決定される。
【0140】
光学マイクロキャビティ内の各要素の光路長は要素の厚さ及びその屈折率によって決定されるため、光学マイクロキャビティ内の特定の要素の厚さを調整することにより、設計者は所望の色の光路長を最適化することができる。白色OLED積層体26がOLEDアレイを横切って堆積されると、白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長は、第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長を調整するように設計することができ、これは、白色OLED積層体26の厚さを最適化することによって達成することができる。白色OLED積層体32の光路長はOLEDアレイにわたって均一であるため、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長は、第2の色(ΛC2)36に必要な光路長を調整するために第2の光学充填材層20の厚さにわたって設計することができる。同様に、第4の光学充填材層(Λf4)70の光路長は、第4の光学充填材層60の厚さにわたって設計されて、第3の色(ΛC3)66に必要な光路長を調整することができる。
【0141】
白色OLED積層体32の光路長を用いて第1の色30A、30Bの光路長を最適化し、光学充填材層40、70の光路長を用いて第2及び第3の色36、66の光路長を最適化することは、白色OLED積層体26を均一にすることができるため有利である。次いで、均一な白色OLED積層体26をOLEDアレイ全体にわたって堆積させることができ、それによって製造を単純化することができる。
【0142】
図6は、カソード28上に堆積された第2のDBR12Bを含む、本開示による3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの別の実施形態を示す。この断面は、第1の色の2つのOLEDデバイスと、第2の色及び第3の色のそれぞれについての単一のOLEDデバイスとを示す。OLEDアレイは、基板10上に堆積された第1のDBR12Aを備える。本実施形態では、基板10は、実施形態のベース構造を形成するTFT基板である。第1のDBR12Aは、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。第1の色の電極14A、14Bごとに第1のDBR12Aを介して第1の色のビア16A、16Bがドライエッチングされ、基板10への電気的接続をもたらす。そして、シャドーマスクを用いて、第1のDBR12A上に第1の色の電極14A,14Bをパターニングする。次いで、フォトリソグラフィを使用して、第1の色の電極14A、14Bの間の第1のDBR12A上に第1の光学充填材層18がパターニングされる。次いで、第2の光学充填材層20は、第1の光学充填材層18上に堆積され、部分的にそれを覆い、第1の色の電極14Aと重なり合って、重なり領域80Aを形成し得る。次いで、シャドーマスク又はフォトリソグラフィを使用して、第2の光学充填材層20をパターニングすることができる。重なり領域80Aは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。次いで、第2の色のビア24が、第1の光学充填材層18及び第2の光学充填材層20並びに第1のDBR12Aを貫通してエッチングされ、第2の色の電極22の基板10への電気接続をもたらす。次いで、第2の色の電極22は、第2の光学充填材層20上にシャドーマスクを使用してパターニングされ、第2の色の電極22の幅は、第2の光学充填材層20の幅に等しい。次いで、第3の光学充填材層58は、フォトリソグラフィを使用して第2の光学充填材層20に隣接する第1の光学充填材層18上にパターニングされ、第1の色の電極14Bと重なり合って、重なり領域80Cを形成することができる。次いで、第4の光学充填材層60は、第3の光学充填材層58上に堆積され、第2の色の電極22と重なり合って、重なり領域80Dを形成することができる。第4の光学充填材層60は、シャドーマスク又はフォトリソグラフィを使用してパターニングすることができる。重なり領域80C、80Dは、製造における位置合わせ誤差を緩和し、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させることができる。次いで、基板10への電気的接続をもたらすために、光学充填材層58、60及び第1のDBR12Aを介して第3の色のビア64がドライエッチングされる。次いで、第3の色の電極62は、シャドーマスクを使用して第4の光学充填材層60上にパターニングされ、第3の色の電極62の幅は第4の光学充填材層60の幅に等しい。白色OLED積層体26を備える層は、OLEDアレイ全体にわたって堆積される。次いで、カソード28は、例えば熱蒸着を用いて白色OLED積層体26上に堆積される。この実施形態では、第2のDBR12Bがカソード28上に堆積される。第2のDBR12Bは、一連の交互の高屈折率誘電体層76及び低屈折率誘電体層78を備える。カソード28は半透明又は透明材料から構成され、第2のDBR12Bは、各OLED光学マイクロキャビティデバイス用の光学マイクロキャビティを形成するために使用される。
【0143】
光学マイクロキャビティを備える各要素は、材料の屈折率及びその厚さによって決定される光路長を有する。各色の総光路長は、光学マイクロキャビティを備える各要素、すなわち、第1のDBR12A、電極14、22、62、光学充填材層18、20、58、60、白色OLED積層体26、カソード28、及び第2のDBR12Bの光路長によって決定することができる。第1のDBR12A及び第2のDBR12Bは、光マイクロキャビティの境界を形成する反射面であるため、光路長ごとの計算において、屈折率及び厚さに加えて、DBR12A,12Bへの侵入深さが考慮される。この実施形態では、DBR12A、12B及びカソード28は均一であり、白色OLED積層体26はOLEDアレイ全体に対して白色光を放射するように設計される。各色の光路長は、第1のDBR12Aの侵入深さ、第2のDBR12Bの侵入深さ、及びカソード28の光路長を含む。これらの侵入深さ及び対応する光路長は、設計上の考慮事項に組み込まれているが、OLEDアレイにわたって一定である。第1のDBR12A、第2のDBR12B、及びカソード28は、特定の色を放射するように光路長を調整するために使用されない。
したがって、
【数9】
【0144】
第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長は、第1の電極(Λe1)34A、34Bの光路長の光路長と白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長とによって決定される。第2の色(ΛC2)36の光路長は、第1の光学充填材層(Λf1)38の光路長、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長、第2の色の電極(Λe2)42の光路長、及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長の合計によって決定される。第3の色(ΛC3)66の光路長は、第1の光学充填材層(Λf1)38の光路長、第3の光学充填材層(Λf3)68の光路長、第4の光学充填材層(Λf4)70の光路長、第3の色の電極(Λe3)72の光路長、及び白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長の合計によって決定される。
【0145】
光学マイクロキャビティ内の各要素の光路長は要素の厚さ及びその屈折率によって決定されるため、光学マイクロキャビティ内の特定の要素の厚さを調整することにより、設計者は所望の色の光路長を最適化することができる。白色OLED積層体26がOLEDアレイを横切って堆積されると、白色OLED積層体(ΛOLED)32の光路長は、第1の色(ΛC1)30A、30Bの光路長を調整するように設計することができ、これは、白色OLED積層体26の厚さを最適化することによって達成することができる。白色OLED積層体32の光路長はOLEDアレイにわたって均一であるため、第2の光学充填材層(Λf2)40の光路長は、第2の色(ΛC2)36に必要な光路長を調整するために第2の光学充填材層20の厚さにわたって設計することができる。同様に、第4の光学充填材層(Λf4)70の光路長は、第4の光学充填材層60の厚さにわたって設計されて、第3の色(ΛC3)66に必要な光路長を調整することができる。白色OLED積層体32の光路長を用いて第1の色30A、30Bの光路長を最適化し、光学充填材層40、70の光路長を用いて第2及び第3の色36、66の光路長を最適化することは、白色OLED積層体26を均一にすることができるため有利である。次いで、均一な白色OLED積層体26をOLEDアレイ全体にわたって堆積させることができ、それによって製造を単純化することができる。
【0146】
図7は、本開示による2色光学マイクロキャビティOLEDアレイの基板10から第1の色の発光50A、50B、及び第2の色の発光52への光路の一実施形態を示す。本明細書で第1の色のサブピクセル46A、46Bと呼ばれる、第1の色のOLEDデバイスのアレイの一連のサブピクセル内の各サブピクセルは、それぞれ第1の色の発光50A、50Bとして示される、各第1の色のOLEDデバイスの発光面積の幅である。本明細書では第2の色のサブピクセル48と呼ばれる、第2の色のOLEDデバイスのアレイの一連のサブピクセル内の各サブピクセルは、第2の色の発光52として示される、各第2の色のOLEDデバイスの発光領域の幅である。基板10に由来する電流は、第1の色のビア16A、16B及び第2の色のビア24を通って第1の色の電極14A、14B及び第2の色の電極22にそれぞれ流れ、白色OLED積層体26を通ってカソード28に流れる。当業者であれば分かるように、白色OLED積層体26を備える多くの層は、第1の色の発光50A、50B及び第2の色の発光52としてそれぞれ放射される光の光子の形態のエネルギーを電子が放射する発光領域を生成する。第1の色の発光50A、50Bの下の領域は、第1の色の個々の光学マイクロキャビティと考えることができる。この光学マイクロキャビティの設計は、第1の色の光を放射するように最適化される。第2の色の発光52の下の領域は、第2の色用の個々の光学マイクロキャビティと考えることができる。この光学マイクロキャビティの設計は、第2の色の光を放射するように最適化される。光学マイクロキャビティは、特定の色の光を生成して放射するために光共振が生じる領域を形成する。この光は、DBR12の上端とカソード28の下端との間の距離によって生成される対応する光学マイクロキャビティの長さの設計を通じて、第1の及び第2の色に対して最適化される。白色OLED積層体26はまた、第1の色のOLEDデバイス用の所望の光学マイクロキャビティを形成するように設計される。第1の光学充填材層18及び第2の光学充填材層20は透明又は半透明であり、第2の色のOLEDデバイスの所望の光学マイクロキャビティ長を作り出す。第1の色の電極14A、14B及び第2の色の電極22のパターニングは、横方向の間隔を最小限に抑えるように設計されており、第1の色のサブピクセル46A、46B及び第2の色のサブピクセル48並びにそれらの対応する発光領域50A、50B、52がそれぞれ発光面積を十分に利用できるようにし、それによってライトフィールドディスプレイの開口率を高める。
【0147】
図8は、本開示による3色光学マイクロキャビティOLEDアレイの基板10から第1の色の発光50A、50B、第2の色の発光52、及び第3の色の発光56までの光路の一実施形態を示す。本明細書で第1の色のサブピクセル46A、46Bと呼ばれる、第1の色のOLEDデバイスのアレイの一連のサブピクセル内の各サブピクセルは、第1の色の発光50A、50Bとして示される、各第1の色のOLEDデバイスの発光面積の幅である。本明細書では第2の色のサブピクセル48と呼ばれる、第2の色のOLEDデバイスのアレイの一連のサブピクセル内の各サブピクセルは、第2の色の発光52として示される、各第2の色のOLEDデバイスの発光領域の幅である。本明細書では第3の色のサブピクセル54と呼ばれる、第3の色のOLEDデバイスのアレイの一連のサブピクセル内の各サブピクセルは、第3の色の発光56として示される、各第3の色のOLEDデバイスの発光面積の幅である。本開示による3色OLEDアレイは、複数の第1の色のサブピクセル、第2の色のサブピクセル、及び第3の色のサブピクセルを備えることが理解される。基板10で発生した電流は、ビア16A、16B、24、64を通って電極14A、14B、22、62に流れ、白色OLED積層体26を通ってカソード28に流れる。白色OLED積層体26を備える層は、電子が光の光子の形態でエネルギーを放射する発光領域を形成し、それは第1の色の発光50A、50B、第2の色の発光52、及び第3の色の発光56として放射される。放射光は、DBR12の上端とカソード28の下端との間の距離によって生成される対応する光学マイクロキャビティの長さを通して第1の、第2の、及び第3の色に最適化され、白色OLED積層体26は、第1の色のOLEDデバイス用の所望の光学マイクロキャビティを生成するように設計される。第1の光学充填材層18及び第2の光学充填材層20は透明又は半透明であり、第2の色のOLEDデバイスの所望の光学マイクロキャビティ長を作り出す。第1の光学充填材層18、第3の光学充填材層58、及び第4の光学充填材層60は透明又は半透明であり、第3の色のOLEDデバイスの所望の光学マイクロキャビティ長さを作り出す。第1の色の電極14A、14B、第2の色の電極22、及び第3の色の電極62のパターニングは、横方向の間隔を最小限に抑えて、第1の色のサブピクセル46A、46B、第2の色のサブピクセル48、及び第3の色のサブピクセル54、並びにそれらの対応する発光領域50A、50B、52、56が発光面積を十分に利用できるようにし、それによって、ライトフィールドディスプレイの開口率を増大させる。
【0148】
図9は、本開示による、重なり合うサブピクセルを有する3色光学マイクロキャビティOLEDアレイからの発光の上面図である。第1の色の電極、第2の色の電極、及び第3の色の電極の重なり合うパターニングは、横方向の間隔を最小限に抑え、サブピクセルの3色及びそれらの対応する発光領域を重なり合わせる。これにより、OLEDアレイが発光面積を十分に利用することが可能になり、それによってライトフィールドディスプレイの開口率が増大する。図示のように、第1の色の発光50、第2の色の発光52、及び第3の色の発光56は重なり合う。
図9は、デルタ三つ組サブピクセル構成を示し、これは、現在説明されているような3色OLEDアレイの1つの可能な構成である。
【0149】
ライトフィールドディスプレイに適した光学マイクロキャビティOLEDデバイスの製造は、高開口ディスプレイを達成するために必要なピクセルサイズのために本質的に複雑である。
図10A~
図10Nは、本開示による2色OLEDアレイを製造するための方法を示す。
【0150】
図10Aは、DBR12を基板10上に堆積させる、製造における最初のステップを示す。本実施形態では、基板10はTFT基板であり、本実施形態のベース構造を形成するデバイスである。
図10Aに示すDBR12は、交互の高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とを備えることが理解される。DBR12の各層は、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、及び原子層堆積によって堆積することができる。この実施形態のための好ましい堆積方法は、スパッタリングである。
【0151】
図10Bは、基板10に接続するためにDBR12を介してドライエッチングされた第1の色のビア16A、16Bを示す。ビアは、反応性イオンエッチング、陽極プラズマエッチング、磁気的に増強された反応性イオンエッチング、三極管反応性イオンエッチング、及び透過結合プラズマエッチングによってエッチングすることができる。本実施形態において、好ましいドライエッチング法は、反応性イオンエッチングである。
【0152】
図10Cは、DBR12上に堆積された第1の色の電極14A、14Bを示す。第1の色のビア16A、16Bは、第1の色の電極14A、14Bの基板10への電気接続をもたらす。電極は、スパッタリング、熱蒸着、及びスピンコーティングによってパターニングすることができる。この実施形態では、スパッタリングが好ましい堆積方法である。シャドーマスクを使用して、例えばこの実施形態では第1の色の電極14A、14Bなどの要素を所望のパターンで堆積させることができる。シャドーマスクは、一般に、堆積、エッチング、又は基板の処理に適した様々な用途のために、デバイス領域を正確に画定するために使用される微細構造又はステンシルである。シャドーマスクは、基板上に配置されたときに堆積中の要素の正確なパターニングを可能にする特定の穿孔を用いて設計される。位置合わせ誤差又は堆積誤差が発生する可能性があるため、ミクロンサイズのOLEDデバイスを堆積させる場合、精度が特に重要である。これは、OLEDデバイスの最適でない電気的特性及び光学特性をもたらし、OLEDアレイの開口率を低下させる。シャドーマスクは、基板をパターニングするために使用されるツールであり、例えば、この実施形態では、スパッタリング、熱蒸着、及びスピンコーティングなどの適切な堆積方法のいずれかをシャドーマスクと共に使用して、DBR12上に第1の色の電極14A、14Bの所望のパターンを堆積することができる。
【0153】
図10D~
図10Gは、第1の光学充填材層をパターニングするための一連のフォトリソグラフィステップを示す。フォトリソグラフィは、フォトレジスト及び紫外線(UV)光を使用してフォトマスクを介して基板上にパターンを転写するために広く使用されている製造技術である。フォトマスクは、例えば、所望のパターンの不透明及び透明な領域を有するサブマイクロメートル又はナノメートルサイズのパターンを有する薄板とすることができ、好ましくはガラス又は溶融シリカを含む。フォトマスクは、UV光と組み合わせて使用され、高解像度フォトリソグラフィにおいてマスクから基板にパターンを転写する。フォトリソグラフィは、例えば、アセトン、メタノール、及びイソプロパノールなどの溶媒で最上面を洗浄し、続いて脱イオン水で洗浄することから始まるプロセスである。所望のピクセルサイズがこの実施形態よりも大きい場合、この実施形態における任意のパターニングステップにシャドーマスクを使用することができることに留意すべきである。
【0154】
図10Dは、フォトレジスト74の堆積後の実施形態の断面図を示す。堆積は、例えば、スピンコーティング堆積によって達成することができる。フォトレジスト74は、基板10を備える構造上に堆積され、DBR12は、ビア16A、16Bによって基板10にそれぞれ接続されたDBR12上に積層された第1の色の電極14A、14Bをその上に有する。フォトレジスト74を有する構造は、溶媒含有量を除去するために約110°C未満の温度でソフトベークされる。例えば、特定のパターンの一連のナノサイズの不透明部分及び透明部分を伴うように設計されるフォトマスクを使用するパターニングステップであって、フォトリソグラフィープロセス中にパターンを最上層に転写することができる、パターニングステップ。フォトマスクは、ガラス、溶融シリカ、又は他の適切な材料で構成することができる。この実施形態では、フォトマスクは、第1の色の電極14A、14Bのパターン内に不透明部分を有する設計で適用される。
【0155】
図10Eにおいて、フォトマスクを有する基板10上の構造は、UV光に曝露される。UV光は、フォトレジスト74をエッチングによって除去することを可能にする化学変化を引き起こす。フォトリソグラフィの間、第1の光学充填材層が第1の電極14A、14Bの間に塗布されることが望ましい領域のフォトレジスト74は除去され、DBR12を露出させるが、ビア16A、16Bを有する第1の電極14A、14Bの上のフォトレジストは無傷のままである。ポジ型とネガ型の2種類のフォトレジストがある。ポジ型フォトレジストは、UV光に曝露されると化学的に変化してエッチングに可溶性になり、フォトレジストの露光部分のみがUV曝露後にエッチングによって除去される。フォトレジストの未露光部分は不溶性のままである。ネガ型フォトレジストでは、光に曝されるフォトレジストの部分はエッチングに対して不溶性になる。この例では、フォトレジスト74は、サイズ及びパターンを維持することができ、より良好なエッチング耐性を有し、優れた解像度及び熱安定性を有するため、フォトリソグラフィ中の制御がより容易であることが分かっているポジ型フォトレジストであることが好ましい。しかしながら、ネガ型フォトレジストを使用してもよいことが理解される。エッチングは、現像剤と呼ぶことができる化学エッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、及びイオンビームミリングによって実施形態からフォトレジスト層を除去する。現像剤材料を含み得るフォトレジスト材料及びエッチングプロセスは、実施形態上の他の堆積材料に影響を与えることなく高品質のパターンを作成するために協働して機能するように特に設計される。マスク又はフォトマスクは、光(すなわち、フォトリソグラフィのためのUV光)がウェハ又は基板上のどこに照射されるかを制御する。フォトマスクは、所定の位置で光を照らすことを可能にする穿孔又は透明領域を有する不透明プレートを備えてもよい。フォトマスク材料は、例えば、クロム製のコーティングパターンを有する溶融シリカ(石英ガラス)を含むことができる。コンタクトフォトリソグラフィ中の吸着の問題を防止するのに役立つように、フォトマスクがテフロン(登録商標)で更にコーティングされる場合がある。ポジ型フォトレジストの場合、フォトマスクは、所望のパターンを有し、そのパターンをフォトリソグラフィープロセスによって実施形態に転写する。
【0156】
図10Fは、OLEDアレイ全体にわたる第1の光学充填材層18の堆積を示す。第1の光学充填材層18は、例えば、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積によって、第1の電極14A、14B及びビア16A、16Bを保護するDBR12及びフォトレジスト74上に堆積させることができる。堆積の1つの好ましい方法はスパッタリングであり、これにより、設計者は堆積中に層の厚さを正確に調整することができる。次いで、基板10及びその上の層は、フォトレジスト74並びにフォトレジスト74上に堆積された第1の光学充填材層18を除去する剥離材に曝される。フォトレジスト剥離材は、基板上に既に堆積されている残りの層を無傷のままにしながら、フォトレジスト74と相互作用し、これを断片化し、除去する。フォトレジスト剥離材の幾つかの例は、例えば、アセトン、NMP(1-メチル-2-ピロリドン)、ジメチルスルホキシドなどの溶媒、2~3%濃縮の水酸化カリウム(KOH)又は水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ性媒体、ヒドロフルオロエーテル;AZ100、Techni Strip P1316、P1331、N1555等の市販の除去剤、O
2プラズマを用いた燃焼である。
【0157】
図10Gは、残りのフォトレジスト及びフォトレジスト上に堆積された第1の光学充填材層18が除去された後の基板10を示す。このフォトリソグラフィープロセスの全体は、本明細書に開示される全ての後続の光学充填材層の堆積のために繰り返すことができることに留意すべきである。DBR12、第1の電極14A、14B、及びビア16A、16Bは、基板10上で無傷のままである。
【0158】
図10Hは、フォトリソグラフィステップが完了した後の
図10Gの実施形態の上面図を示す。OLEDアレイにわたる第1の色の電極14A、14B及び第1の光学充填材層18のパターン、特にどのようにパターニングがOLEDデバイス間の間隔を排除するかが示されている。
【0159】
図10Iは、重なり領域80A、80Bを形成するために、第1の光学充填材層18全体を覆い、第1の色の電極14A、14Bと部分的に重なり合う、第1の光学充填材層18上に堆積された第2の光学充填材層20を示す。第2の光学充填材層20は、例えば、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積によって堆積させることができる。堆積の1つの好ましい方法はスパッタリングであり、これにより、設計者は堆積中に層の厚さを正確に調整することができる。重なり領域80A、80Bは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。DBR12、第1の電極14A、14B、及び第1の色のビア16A、16Bは、基板10上で無傷のままである。
【0160】
図10Jは、第1の光学充填材層18、第2の光学充填材層20及びDBR12を介して反応性イオンエッチングを用いてドライエッチングされた第2の色のビア24を示す。第1の電極14A、14B及び第1の色のビア16A、16Bは、基板10上で無傷のままである。
【0161】
図10Kは、第2の光学充填材層20上にスパッタリングによって堆積された第2の色の電極22を示し、第2の色の電極22の幅は第2の光学充填材層20の幅にほぼ等しい。第2の色のビア24は、第2の色の電極22の基板10への電気的接続をもたらす。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及びDBR12は、基板10上に無傷のまま残る。
【0162】
図10Lは、第2の色の電極22が堆積された後の実施形態の上面図を示す。第1の色の電極14A、14B及び第2の色の電極22のパターニングは、OLEDアレイ上のOLEDデバイス間の最小間隔を可能にする。放射される色は、赤、黄、青、及び緑を含むがこれらに限定されない可視光スペクトル上の色のいずれかであり得る。2色配列の好ましい組み合わせは、黄色及び青色の発光である。
【0163】
図10Mは、第2の色の電極22、第2の光学充填材層20、第1の光学充填材層18、第2の色のビア24、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及びDBR12が既に堆積された基板10の上に堆積された白色OLED積層体26を示す。
図10Mに示す白色OLED積層体26は、一連の有機材料層を備え、白色OLED積層体26の各層は、熱蒸着、スピンキャスト、又はインクジェット印刷によって堆積させることができる。
【0164】
図10Nは、OLEDアレイ内の各OLEDデバイス用の光学マイクロキャビティを形成する、カソード28の堆積を伴う製造プロセスの最終ステップを示す。カソード28は、熱蒸着及びスパッタリングによって堆積させることができる。この実施形態では、熱蒸着が好ましい堆積方法である。白色OLED積層体26と共に第2の色の電極22、第2の光学充填材層20、第1の光学充填材層18、第2の色のビア24、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及びDBR12によって形成された複数の第1及び第2の色のマイクロキャビティは、基板10上にOLEDアレイデバイスを形成する。
【0165】
図11A~
図11Vは、本開示による3色OLEDアレイを製造する段階的なプロセスを示す。
【0166】
図11Aは、DBR12を基板10上に堆積させる、製造における最初のステップを示す。本実施形態では、基板10はTFT基板であり、本実施形態のベース構造を形成するデバイスである。
図11Aに示すDBR12は、交互の高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とを備えることが理解される。DBR12の各層は、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、及び原子層堆積によって堆積することができる。この実施形態のための好ましい堆積方法は、スパッタリングである。
【0167】
図11Bは、基板10に接続するためにDBR12を介してドライエッチングされた第1の色のビア16A、16Bを示す。各ビアは、反応性イオンエッチング、陽極プラズマエッチング、磁気増強反応性イオンエッチング、三極管反応性イオンエッチング、及び透過結合プラズマエッチングによってエッチングすることができる。本実施形態において、好ましいドライエッチング法は、反応性イオンエッチングである。
【0168】
図11Cは、DBR12上に堆積された第1の色の電極14A、14Bを示す。第1の色のビア16A、16Bは、第1の色の電極14A、14Bの基板10への電気接続をもたらす。電極は、スパッタリング、熱蒸着、及びスピンコーティングによってパターニングすることができる。この実施形態では、スパッタリングが好ましい堆積方法である。
【0169】
図11D~
図11Gは、第1の光学充填材層をパターニングするための一連のフォトリソグラフィステップを示す。フォトリソグラフィは広く使用されている製造技術であり、
図10D~
図10Gに記載されているようなステップは、本明細書に開示されている全ての光学充填材層の堆積のために繰り返されてもよいことが理解される。
【0170】
図11Dは、フォトレジスト74の堆積後の実施形態の断面図を示す。堆積は、スピンコーティング堆積によって達成することができる。フォトレジスト74は、基板10を備える構造上に堆積され、DBR12は、第1の色のビア16A、16Bによってそれぞれ基板10に接続されたDBR12上に積層された第1の色の電極14A、14Bをその上に有する。本実施形態では、フォトマスクは、第1の色の電極14A,14Bのパターンに不透明部を有するデザインが適用されている。
【0171】
図11Eでは、フォトマスクを有する構造がUV光に曝露され、これにより、第1の色の電極14A、14Bに隣接するフォトレジスト74に化学変化が生じ、エッチングに可溶性になる。この実施形態では、フォトレジスト74はポジ型フォトレジストである。第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及び基板10上に堆積されたDBR12の層は無傷のままである。
【0172】
図11Fは、OLEDアレイ全体にわたる第1の光学充填材層18の堆積を示す。第1の光学充填材層18は、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、原子層堆積によって堆積させることができる。好ましい堆積方法はスパッタリングであり、これにより、設計者は堆積中に層の厚さを正確に調整することができる。次いで、基板は、フォトレジスト74及びフォトレジスト74の上の第1の光学充填材層18を除去する剥離プロセスに曝される。剥離材は、第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及び基板10上に堆積されたDBR12の層を損傷することなくフォトレジスト74を破砕及び除去する市販の製品であり得る。
【0173】
図11Gは、残りのフォトレジスト及びフォトレジスト上に堆積した第1の光学充填材層18を除去した後の実施形態を示す。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0174】
図11Hは、フォトリソグラフィステップが完了した後の実施形態の上面図を示す。OLEDアレイにわたる第1の色の電極14A、14B及び第1の光学充填材層18のパターン、具体的にはパターニングがOLEDアレイ内のOLEDデバイス間の間隔をどのように排除するかが示されている。
【0175】
図11Iは、重なり領域80Aを形成するために、部分的に第1の光学充填材層18上及び部分的に第1の色の電極14A上に第2の光学充填材層20を堆積させることを示す。第2の光学充填材層20は、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、原子層堆積によって堆積させることができる。堆積の1つの好ましい方法はスパッタリングであり、これにより、設計者は堆積中に層の厚さを正確に調整することができる。重なり領域80Aは、製造における位置合わせ誤差を緩和する公差をもたらし、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させる。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0176】
図11Jは、第1の光学充填材層18、第2の光学充填材層20及びDBR12を介した反応性イオンエッチングを用いたドライエッチングにより形成された第2の色のビア24を示している。第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0177】
図11Kは、第2の光学充填材層20上への、例えばスパッタリングによる第2の色の電極22の堆積を示し、第2の色の電極22の幅は第2の光学充填材層20の幅にほぼ等しい。第2の色のビア24は、第2の色の電極22の基板10への電気的接続をもたらす。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0178】
図11Lは、第2の色の電極22を成膜した後の実施形態の上面図を示す。最終的に第3の電極が堆積される第1の色の電極14A、14B、及び第2の色の電極22及び第1の光学充填材層18のパターニングは、OLEDアレイ上のOLED光学マイクロキャビティデバイス間の最小間隔を可能にする。
【0179】
図11M~
図11Pは、第3の光学充填材層をパターニングするための一連のフォトリソグラフィステップを示す。フォトリソグラフィは広く使用されている製造技術であり、
図10D~
図10Gに記載されているようなステップは、本明細書に開示されている全ての光学充填材層の堆積のために繰り返されてもよいことが理解される。
【0180】
図11Mは、フォトレジスト74の堆積後の実施形態の断面図を示す。堆積は、スピンコーティング堆積によって達成することができる。フォトレジスト74は、DBR12がその上に堆積された基板10を備える構造体上に堆積され、この場合、DBR12上に積層された第1の色の電極14A、14Bが第1の色のビア16A、16Bのそれぞれによって基板10に接続され、第1の光学充填材層18がDBR12上に堆積され、第2の光学充填材層20及び第2の色の電極22が第1の光学充填材層18上に積層され、第2の色の電極22が第2の色のビア24によって基板10に接続される。そして、フォトマスクには、第1の色の電極14A、14B及び第2の色の電極22のパターンに不透明部を有し、第1の色の電極14Bを部分的に覆うデザインが施されている。
【0181】
図11Nでは、フォトマスクを有する構造がUV光に曝露され、これによりフォトレジスト74に化学変化が生じ、フォトマスクの透明領域でのエッチングに可溶性になる。この実施形態では、フォトレジスト74はポジ型フォトレジストである。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、第2の色のビア24、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0182】
図11Oは、OLEDアレイ全体にわたって堆積されるフォトレジスト74の上への第3の光学充填材層58の堆積を示す。第3の光学充填材層58は、例えば、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着、又は原子層堆積によって堆積させることができる。堆積の1つの好ましい方法は、設計者が堆積中に層の厚さを正確に調整できるようにするスパッタリングである。次いで、基板10は、フォトレジスト74及びフォトレジスト74上に堆積された第3の光学充填材層58を除去する剥離プロセスに曝される。剥離材は、下の他の層を損傷することなくフォトレジスト74を断片化して除去する市販の製品とすることができる。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、第2の色のビア24、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0183】
図11Pは、残りのフォトレジスト及びフォトレジスト上に堆積した第3の光学充填材層58を除去した後の基板10及びその堆積層を示す。残りの第3の光学充填材層58は、第1の光学充填材層18及び第1の色の電極14Bを部分的に覆って重なり領域80Cを形成してもよい。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、第2の色のビア24、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0184】
図11Qは、第3の光学充填材層58上に堆積された第4の光学充填材層60を示し、第2の色の電極22と重なり合って、重なり領域80Dを形成し得る。第4の光学充填材層60は、例えば、スパッタリング、熱蒸着、化学蒸着又は原子層堆積によって堆積させることができる。堆積の1つの好ましい方法は、設計者が堆積中に層の厚さを正確に調整できるようにするスパッタリングである。重なり領域80C、80Dは、製造における位置合わせ誤差を緩和し、したがって、基板10上のOLEDデバイス間の横方向間隔を縮小することによってディスプレイの開口率を増大させることができる。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、第2の色のビア24、及びDBR12の層は、基板10上で無傷のままである。
【0185】
図11Rは、第1の光学充填材層18、第3の光学充填材層58、第4の光学充填材層60及びDBR12を介して反応性イオンエッチングを用いてドライエッチングされた第3の色のビア64を示す。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、及び第2の色のビア24は、基板10上で無傷のままである。
【0186】
図11Sは、第4の光学充填材層60上に、例えばスパッタリングにより成膜された第3の色の電極62を示す。第3の色の電極62の幅は、第4の光学充填材層60の幅とほぼ等しい。第3の色のビア64は、第3の色の電極62の基板10への電気的接続をもたらす。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、第2の色のビア24、第3の光学充填材層58、及びDBR12は、基板10上で無傷のままである。
【0187】
図11Tは、第3の色の電極62を成膜した後の上面図を示す。第1の色の電極14A、14B、第2の色の電極22、及び第3の色の電極62のパターニングは、OLEDアレイ上のOLEDデバイス間の最小間隔を可能にする。放射される色は、赤、黄、青、及び緑を含むがこれらに限定されない可視光スペクトル上の色のいずれかであり得る。3色配列の好ましい組み合わせは、赤、緑、及び青の発光である。
【0188】
図11Uは、OLEDアレイ全体にわたって堆積された白色OLED積層体26を示す。
図11Uに示す白色OLED積層体26は、好ましくは有機材料から構成される一連の層を備えることが理解される。白色OLED積層体26の各層は、熱蒸着、スピンキャスト、及びインクジェット印刷によって堆積させることができる。この実施形態では、好ましい方法は熱蒸着である。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、第2の色のビア24、第3の光学充填材層58、第3の色の電極62、第3の色のビア64、第4の光学充填材層60、及びDBR12は、白色OLED積層体26の下の基板10上で無傷のままである。
【0189】
図11Vは、白色OLED積層体26の上にカソード28を堆積させて、OLEDアレイ内の各OLEDデバイス用の光学マイクロキャビティを形成する製造プロセスの最終ステップを示す。カソード28は、熱蒸着及びスパッタリングによって堆積させることができる。この実施形態では、熱蒸着が好ましい堆積方法である。第1の光学充填材層18、第1の色の電極14A、14B、第1の色のビア16A、16B、第2の光学充填材層20、第2の色の電極22、第2の色のビア24、第3の光学充填材層58、第3の色の電極62、第3の色のビア64、第4の光学充填材層60、及びDBR12は、基板10上に無傷のまま残る。
【0190】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示し、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における任意の先行技術への言及は、そのような先行技術が共通の一般知識の一部を形成することの承認又は任意の形態の示唆ではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0191】
このように説明されている本発明は、多くの方法で変更することができることは明らかであろう。そのような変形は、本発明の範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者に明らかであるような全てのそのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】