(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ゼオライトを製造するための1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンの構造指向剤としての使用ならびに1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを用いて製造されたゼオライト
(51)【国際特許分類】
C07D 221/04 20060101AFI20240705BHJP
C01B 39/48 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C07D221/04
C01B39/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577356
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022032599
(87)【国際公開番号】W WO2022265893
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】バートン,アレン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ソールド,スチュアート エル
(72)【発明者】
【氏名】ブローマン,ヒルダ ビー
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA80
4G073BB44
4G073CZ50
4G073GA03
(57)【要約】
本開示は、ゼオライトを製造するための1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンの構造指向剤(SDA)としての使用に関する。また、本開示は、このSDAを用いて製造することができる組成物(EMM-64およびEMM-65として命名されたものを含む組成物)ならびに当該組成物を製造する方法ならびに当該組成物の使用にも関する。本開示は、さらに、上記のSDAを用いたRTHフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造する方法ならびに上記方法によって製造することができるRTHフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブならびにそれらの使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトを製造するための構造指向剤として、以下の式I:
【化1】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンの使用。
【請求項2】
前記式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンは、そのヒドロキシドおよび/またはハライドの形態、好ましくはヒドロキシド、クロリド、ブロミド、ヨージドまたはフルオリドの形態、より好ましくはヒドロキシドまたはフルオリドの形態、最も好ましくはヒドロキシドの形態である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
EMM-64、EMM-65またはアルミノシリケートのRTHのフレームワーク・タイプのゼオライトを製造するための請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
結晶性の材料であって、EMM-64で示され、焼成した形態において、以下の表1:
【表1】
から選択される少なくとも9、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも11、最も好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する結晶性の材料。
【請求項5】
以下の式II:
(m)X
2O
3:YO
2 (式II)
[式中、
0≦m≦0.025であり、
Xは、3価の元素、Yは、4価の元素であり、特に、Xは、Al、B、FeおよびGaの1以上を含み、好ましくは、Xは、Alおよび/またはB、より好ましくはAlを含むか、Alおよび/またはB、より好ましくはAlであり、
Yは、Si、Ge、Sn、TiおよびZrの1以上を含み、好ましくは、Yは、Siを含むか、Siである]
の分子式を有する、請求項4に記載の結晶性の材料。
【請求項6】
結晶性の材料であって、EMM-64で示され、合成した形態において、以下の表3:
【表2】
から選択される少なくとも7、好ましくは少なくとも8、より好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【請求項7】
以下の式III:
(n)Q:(m)X
2O
3:YO
2 (式III)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0≦m≦0.025であり、
Qは、以下の式I:
【化2】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンであり、
Xは、3価の元素であり、特に、Xは、Al、B、FeおよびGaの1以上を含み、好ましくは、Xは、Alおよび/またはB、より好ましくはAlを含むか、Alおよび/またはB、より好ましくはAlであり、
Yは、4価の元素であり、特に、Yは、Si、Ge、Sn、TiおよびZrの1以上を含み、好ましくは、Yは、Siを含むか、Siである]
の分子式を有する、請求項6に記載の結晶性の材料。
【請求項8】
単位格子における四面体(T)の原子であって、架橋原子によって結合されている四面体(T)の原子に関する以下の表2:
【表3】
に示す結合性によって規定されるフレームワークを有する、請求項4~7のいずれか1項に記載の結晶性の材料。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか1項に記載のEMM-64の結晶性の材料を製造するための方法であって、以下の(a)~(d)の工程:
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、4価の元素(Y)の酸化物の供給源と、必要に応じて3価の元素(X)の酸化物の供給源と、構造指向剤(Q)と、フルオリドイオン(F)の供給源と、必要に応じてヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、必要に応じてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化3】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物が、少なくとも0.1のF/Yのモル比でフルオリドイオン(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するのに十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収した結晶性の材料を処理する工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表4】
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
結晶性の材料であって、EMM-65で示され、焼成した形態において、以下の表4:
【表5】
から選択される少なくとも8、好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも10、最も好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【請求項12】
以下の式IV:
(m)B
2O
3:SiO
2 (式IV)
[式中、0.005≦m≦0.05であり]
の分子式を有する、請求項11に記載の結晶性の材料。
【請求項13】
結晶性の材料であって、EMM-65で示され、合成した形態において、以下の表6:
【表6】
から選択される少なくとも18、好ましくは少なくとも19、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【請求項14】
以下の式V:
(n)Q:(m)B
2O
3:SiO
2 (式V)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0.005<m≦0.05であり、
Qは、以下の式I:
【化4】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンである]
の分子式を有する、請求項13に記載の結晶性の材料。
【請求項15】
単位格子における四面体(T)の原子であって、架橋原子によって結合されている四面体(T)の原子について、以下の表5:
【表7】
に示す結合性によって規定されるフレームワークを有する、請求項11~14のいずれか1項に記載の結晶性の材料。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載のEMM-65の結晶性の材料を製造するための方法であって、以下の(a)~(e)の工程:
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、シリカの供給源と、ホウ素(B)の供給源と、構造指向剤(Q)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、必要に応じてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化5】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物は、0.1未満のF/Siのモル比でフルオリドイオン(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するために十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収した結晶性の材料を処理する工程、
(e)
必要に応じて、前記フレームワークのシリケートにおけるホウ素原子の少なくとも一部をアルミニウム原子と交換する工程
を含む、方法。
【請求項17】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表8】
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造するための方法であって、以下の(a)~(d)の工程:
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、シリカの供給源と、アルミナの供給源と、構造指向剤(Q)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化6】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物は、0.1未満のF/Siのモル比でフルオリドイオン(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するために十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収された結晶性の材料を処理する工程
を含む、方法。
【請求項19】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表9】
を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の方法によって得ることができるRTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【請求項21】
RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブであって、そのポア構造において、以下の式I:
【化7】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを有する、RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【請求項22】
RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブであって、Si/Alのモル比が10未満であり、好ましくは5~10未満である、RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【請求項23】
有機化合物を変換生成物に変換するためのプロセスであって、請求項4~6、11~13または20~22のいずれか1項に記載の結晶性の材料と有機化合物を接触させることを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮出願第63/212205号(出願日:2021年6月18日)(その全体は、参考として、本開示に組み込まれている)の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ゼオライトを製造(又は調製又は生成又は形成)するための1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンの構造指向剤(structure directing agent(SDA))としての使用に関する。
また、本開示は、このSDAを用いることによって製造することができる組成物(又は得ることができる組成物)(又はコンポジション)にも関し、当該組成物は、EMM-64およびEMM-65として帰属(又は命名)されるものを含む。そして、本開示は、当該組成物を製造するための方法および当該組成物の使用にも関する。
さらに、本開示は、上記のSDAを用いてRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造(又は生成又は形成)するための方法、ならびに、当該方法によって製造することができるRTHの材料(又は得ることができるRTHの材料)(又はマテリアル)(又はRTH材料又はRTHマテリアル)、ならびに、その使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
モレキュラーシーブ材料(又はモレキュラーシーブ・マテリアル)は、天然であっても、合成であっても、炭化水素変換反応(又は炭化水素転化反応又は炭化水素コンバージョン反応又はハイドロカーボン・コンバージョン・リアクション)の吸着材(又はアドソーベント(adsorbent))として使用することができる。また、炭化水素変換反応のための触媒特性(又は触媒プロパティ又はキャタリティック・プロパティ)を有してよい。
特定のモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト、AlPO、メソポーラス材料(又はメソポーラス・マテリアル))は、明確な結晶構造を有する規則正しい多孔性(又は多孔質又はポーラス)の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)であり、X線回折(X-ray diffraction)(XRD)によって決定される通りである。
特定のモレキュラーシーブは、規則正しいものであり、同定可能(又は帰属可能)な特定のXRDパターンを形成(又は生成)する。
特定のモレキュラーシーブ材料には、多数のキャビティ(又は空隙又は空洞)が存在してよい。かかるキャビティは、多数のチャネルまたはポア(又は孔又は細孔)によって互いに結合(又は相互結合又は相互接続又は相互連絡)してよい。
かかるキャビティおよびポアは、特定のモレキュラーシーブ材料では、サイズ(又は寸法又は大きさ)が均一である。
なぜなら、このようなポアのディメンション(又は次元又は大きさ)は、例えば、特定のディメンション(又は次元又は大きさ)の分子の吸着(又はアドソープション)を許容するようなものである。その一方で、より大きなディメンション(又は次元又は大きさ)の分子については拒絶(又は排除)する。
このような材料は、「モレキュラーシーブ」として知られるようになっていて、様々な産業上のプロセスにおいて利用されている(例えば、クラッキング(又は分解)、ハイドロクラッキング(又は水素化分解)、ディスプロポーショネーション(又は不均化)、アルキレーション(又はアルキル化)、オリゴメリゼーション(又はオリゴマー化)、アイソメリゼーション(又は異性体化))。
【0004】
触媒作用および吸着の用途(又は適用又は応用又はアプリケーション)が見出されているモレキュラーシーブは、天然由来の結晶性のモレキュラーシーブまたは合成により得られる結晶性のモレキュラーシーブをいずれも包含する。
このようなモレキュラーシーブの例として、大きなポア(又は孔又は細孔)(又はラージ・ポア)のゼオライト、中程度のポア(又は孔又は細孔)のサイズ(又は寸法又は大きさ)(又はインターミディエイト・ポア・サイズ)のゼオライト、小さなポア(又は孔又は細孔)(又はスモール・ポア)のゼオライトが挙げられる。
このようなゼオライトおよびそのアイソタイプ(又は同形のもの)は、ゼオライトの命名法に関するIUPAC委員会(the IUPAC Commission on Zeolite Nomenclature)の規則(又はルール)に従う国際ゼオライト学会の構造委員会(the Structure Commission of the International Zeolite Association)によってクラス分け(又はクラシフィケーション)されている。
このクラシフィケーションによると、フレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトおよび他の結晶性(又は結晶質又はクリスタリン)のミクロポーラス(又は微孔性又は微細孔性又は微多孔性)のモレキュラーシーブは、3文字のコードで帰属されており、以下の文献に記載されている(このようなモレキュラーシーブについては、構造が確立されている)。
「Atlas of Zeolite Framework Types」、編、Ch. Baerlocher, L.B. McCusker, および D.H. Olson, Elsevier, 第6版、2007(この文献は、参考として、本開示に組み込まれている)。
また、このようなゼオライトおよびそのアイソタイプ(又は同形のもの)は、以下にも記載されている。
http://america.iza-structure.org/IZA-SC/ftc_table.php
大きなポア(又は孔又は細孔)(又はラージ・ポア)のゼオライトは、概して、少なくとも約7オングストローム(Å)の孔径(又は細孔径又はポア・サイズ)を有するものであり、LTL、VFI、MAZ、FAU、OFF、*BEA、MORのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトが挙げられる。
大きなポアのゼオライトの例として、マッシアイト(mazzite)、オフレタイト(offretite)、ゼオライトL(zeolite L)、VPI-5、ゼオライトY(zeolite Y)、ゼオライトX(zeolite X)、オメガ(omega)、ベータ(Beta)が挙げられる。
中程度の孔径(又は細孔径又はポア・サイズ)のゼオライトは、概して、約5オングストローム(Å)~約7オングストローム(Å)未満の孔径を有するものであり、例えば、MFI、MEL、EUO、MTT、MFS、AEL、AFO、HEU、FER、MWW、TONのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトが挙げられる。
中程度の孔径のゼオライトの例として、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-22、MCM-22、シリカライト1(silicalite 1)、シリカライト2(silicalite 2)が挙げられる。
小さな孔径(又は細孔径又はポア・サイズ)のゼオライトは、約3オングストローム(Å)~約5.0オングストローム(Å)未満の孔径を有するものであり、例えば、CHA、RTH、ERI、KFI、LEV、SOD、LTAのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトが挙げられる。
小さなポアのゼオライトの例として、ZK-4、ZSM-2、SAP0-34、SAP0-35、ZK-14、SAP0-42、ZK-21、ZK-22、ZK-5、ZK-20、ゼオライトA(zeolite A)、チャバザイト(chabazite)、ゼオライトT(zeolite T)、ALPO-17が挙げられる。
【0005】
ゼオライトの理想的な無機のフレームワーク構造(又は骨格構造)は、シリケートのフレームワーク(又は骨格)である。シリケートのフレームワークにおいて、すべての四面体の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子又はテトラヘドラル・アトム)は、その次に最も近い4個の四面体の原子とともに、酸素原子によって結合(又は接続又は連結)されている。
用語「シリケート」は、本開示で使用される通り、少なくともケイ素原子および酸素原子を含む物質であって、ケイ素原子および酸素原子が互いに交互に結合している物質を意味する(すなわち、-O-Si-O-Si-)。
必要に応じて、無機フレームワーク構造には、他の原子が含まれてよい。例えば、ボロン(又はホウ素)、アルミニウムなどの原子、または他の金属(例えば、遷移金属(例えば、チタン、バナジウムまたは亜鉛))が挙げられる。
フレームワーク・シリケートにおいて、ケイ素および酸素以外の原子は、格子サイトの一部分を占めるものであり、格子サイトは、そうでなければ、「オール-シリカ」のフレームワーク・シリケートのケイ素原子によって占められている。
従って、用語「フレームワーク・シリケート」とは、本開示で使用される通り、シリケート(silicate)、ボロシリケート(borosilicate)、ガロシリケート(gallosilicate)、フェリシリケート(ferrisilicate)、アルミノシリケート(aluminosilicate)、チタノシリケート(titanosilicate)、ジンコシリケート(zincosilicate)、バナドシリケート(vanadosilicate)などのいずれかを含む原子の格子を意味する。
【0006】
所定のゼオライト内のフレームワーク・シリケートの構造によって、その中に存在するポア(又は孔又は細孔)またはチャネルのサイズ(又は寸法又は大きさ)が決定される。
ポア(又は孔又は細孔)またはチャネルのサイズ(又は寸法又は大きさ)によって、所定のゼオライトを適用することができるプロセス(又は工程又は方法)のタイプ(又は種類)が決定されてよい。
現状では、200よりも多くのユニークなゼオライトのフレームワーク・シリケートの構造が知られており、国際ゼオライト学会の構造委員会(the Structure Commission of the International Zeolite Association)により認められている。それによって、ポア(又は孔又は細孔)のジオメトリ(又は形状又は配置)およびオリエンテーション(又は配向)の範囲(又はレンジ)が決定されている。
【0007】
ゼオライトのフレームワーク・シリケートは、そのリング(又は環)のサイズ(又は寸法又は大きさ)に関して、共通の特徴を有している。
ここで、リング(又は環)のサイズ(又は寸法又は大きさ)とは、ケイ素原子の数(あるいは、代替の原子(例えば、上記で列挙した原子)の数)を意味する。ケイ素原子(あるいは、代替の原子)は、酸素原子とともに、ループ状に四面体(テトラヘドラル)で配位するものであり、それにより、ゼオライトの内部において、ポア(又は孔又は細孔)またはチャネルを規定(又は定義)している。
例えば、「8リング(又は8員)」のゼオライトは、ループ状の8個の交互の四面体の原子と8個の酸素原子とによって規定されるポア(又は孔又は細孔)またはチャネルを有するゼオライトを意味する。
所定のゼオライトにおいて規定(又は定義)されるポア(又は孔又は細孔)またはチャネルは、対称であっても、非対称であってもよく、様々な構造的な制約(又はコンストレイン)に依存するものであり、このような制約は、特定のフレームワーク・シリケートに存在するものである。
【0008】
モレキュラーシーブ材料の合成は、典型的には、合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)からの水熱結晶化(又は水熱晶析又はヒドロサーマル・クリスタリゼーション)に関するものである。このような合成混合物は、ゼオライトに存在するすべてのエレメント(又は要素又は元素)の供給源(又は源又はソース)(例えば、シリカの供給源(又は源又はソース)、アルミナの供給源(又は源又はソース)など)も含む。
多くの場合において、構造指向剤(structure directing agent)(SDA)も存在する。
構造指向剤は、化合物であって、モレキュラーシーブの形成(又は生成)を促進すると考えられるものであり、テンプレートとして作用するものと考えられており、その周囲において、特定のモレキュラーシーブの構造を形成することができ、それによって、所望のモレキュラーシーブの形成(又は生成)を促進する化合物である。
構造指向剤として、様々なタイプの四級アンモニウムカチオンを含む様々な化合物を使用している。
典型的には、ゼオライトの結晶は、構造指向剤の周囲に形成されるものであり、このような構造指向剤は、結晶化(又はクリスタリゼーション)が完了すると、ゼオライトのポア(又は孔又は細孔)を占めるものである。
従って、「合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))」のゼオライトは、そのポア(又は孔又は細孔)に構造指向剤を含む。そのため、結晶化(又はクリスタリゼーション)の後、「合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))」のゼオライトは、通常、構造指向剤を除去するための焼成工程(又はカルシネーション工程又はカルシネーション・ステップ)などの処理工程(又はトリートメント工程又はトリートメント・ステップ)に供される。
【0009】
例えば、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトは、まず、SDAとして、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンの存在下で、ボロシリケート(borosilicate)(RUB-13として示されているもの)として合成されている(S. Vortmannら、Microporous Materials, 4, 111-121 (1995))。
WO2001/044109には、SDAとして、N-エチル-N-メチル-5,7,7-トリメチル-2-アゾニウムビシクロ[4.1.1]ノナンカチオンを用いるアルミノシリケートRTH(SSZ-50として示されているもの)の製造(又は調製又は生成又は形成)が示されている。
また、アルミノシリケートRTHは、SDAとして、2,6-メチル-N-メチルピリジニウムカチオンを用いることによっても製造(又は調製又は生成又は形成)されている(H. Xuら、J. Mater. Chem. A, 6, 8705-8711 (2018))。
また、ITE-RTH構造の中間体(SSZ-36で示されているもの)も報告されている(P. Wagnerら、J. Am. Chem. Soc., 122, 263-273 (2000))。
RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブは、8×8のチャネル・システムを有する大きなケージ(又はラージ・ケージ)を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
新たな構造指向剤を同定(又は帰属又はアイデンティフィケーション)することは重要である。また、より効率的(又は効果的)にモレキュラーシーブを合成するための方法も重要であり、それにより、新たなモレキュラーシーブの製造(又は調製又は生成又は形成)を促進し、かつ/または、既知のゼオライトを製造するコストを低減する。
多くの様々な結晶性(又は結晶質又はクリスタリン)のモレキュラーシーブが発見されているが、ガスの分離(又はセパレーション)(又はガス・セパレーション)およびガスの乾燥、有機変換反応(又は有機コンバージョン反応又はオーガニック・コンバージョン・リアクション)、および他の用途(又は応用又は適用又はアプリケーション)に望ましい特性(又はプロパティ)を有する新たなモレキュラーシーブも継続的に必要とされている。
新たなモレキュラーシーブは、新たな内部ポア構造(又はインターナル・ポア・アーキテクチャ)を含むことができ、それにより、これらのプロセス(又は工程又は方法)において、向上した選択性(又はセレクティビティ)を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
1つの態様において、本開示は、以下の式I:
【化1】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンのゼオライトを製造(又は調製又は生成又は形成)するための構造指向剤(structure directing agent)(SDA)としての使用に関する。
【0012】
第2の態様において、本開示は、EMM-64に関する。EMM-64は、結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)であって、焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))(例えば、SDAの少なくとも一部が除去されている形態)であっても、合成した形態(又は合成後の形態又は合成されたままの形態(as-synthesized form))(例えば、SDAが除去されていない形態)であってもよい。
また、本開示は、式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンをSDAとして用いてEMM-64(結晶性の材料)を製造(又は調製又は生成又は成形)するための方法にも関する。
また、本開示は、それらの使用(又は使用方法又は用途又はユース)にも関する。
【0013】
第3の態様において、本開示は、EMM-65に関する。EMM-65は、結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)であって、焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))(例えば、SDAの少なくとも一部が除去されているもの)であっても、合成した形態(合成後の形態又は合成されたままの形態(as-synthesized form))(例えば、SDAが除去されていないもの)であってもよい。
また、本開示は、SDAとして式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを用いて、EMM-65(結晶性の材料)を製造(又は調製又は生成又は形成)するための方法にも関する。
また、本開示は、それらの使用(又は使用方法又は用途又はユース)にも関する。
【0014】
第4の態様では、本開示は、SDAとして式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを用いて、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造(又は生成又は形成)するための方法に関する。
また、本開示は、当該方法により製造することができる(又は得ることができる)RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブにも関する。
また、本開示は、それらの使用(又は使用方法又は用途又はユース)にも関する。
【0015】
第5の態様では、本開示は、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブであって、そのポア構造内に式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを有するRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブに関する。
【0016】
第6の態様において、本開示は、10未満のSi/Alのモル比を有するRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブに関する。
【0017】
本開示のこれらの特徴および他の特徴および特性ならびにそれらの有利な用途(又は応用又は適用又はアプリケーション)および/または使用(又は使用方法又は用途又はユース)は、以下に続く詳細な説明から明らかである。
もちろん、本発明の1つの態様に関して記載される特徴は、本発明の他の態様に組み込まれてもよいことが理解される。
特に、この明細書に記載の2以上の特徴(この要旨のセクションに記載の特徴を含む)は、組み合わせることができ、それにより、本開示に具体的に記載されていない特徴の組み合わせ(又はコンビネーション)を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施例2.01の合成後および焼成後の製品の粉末XRDパターンを示す。
【
図2】
図2は、実施例2.01の合成後の製品のSEMの画像を示す。
【
図3】
図3は、実施例2.06の合成後の製品のSEMの画像を示す。
【
図4】
図4は、実施例2.12の合成後の製品のSEMの画像を示す。
【
図5】
図5は、実施例2.16、実施例2.17、実施例2.18の合成後の製品のSEMの画像を示す。
【
図6】
図6は、実施例2.16、実施例2.17、実施例2.18の合成後の製品の粉末XRDパターンを示す。
【
図7】
図7は、実施例3.01の合成後および焼成後の製品の粉末XRDパターンを示す。
【
図8】
図8は、実施例3.01の合成後の製品のSEMの画像を示す。
【
図9】
図9は、実施例3.02の合成後および焼成後の製品の粉末XRDパターンを示す。
【
図10】
図10は、実施例3.02の合成後の製品のSEMの画像を示す。
【
図11】
図11は、実施例3.04の合成後の製品の粉末XRDパターンを示す。
【
図12】
図12は、実施例3.04の合成後の製品のSEMの画像を示す。
【
図13】
図13は、EMM-65(その12-リング・ポア(又は12環のポア又は12員のポア)に沿うもの)のプロジェクション(又は平面図)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオン
本発明の第1の態様によると、本開示では、ゼオライトを製造(又は調製又は生成又は形成)するために以下の式I:
【化2】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを構造指向剤(structure directing agent(SDA))として使用できることが見出されている。
【0020】
上記で言及した通り、新たな構造指向剤を同定(又は帰属又はアイデンティフィケーション)することは重要である。また、より効率的(又は効果的)にモレキュラーシーブを合成するための方法も重要であり、それにより、新たなモレキュラーシーブの製造(又は調製又は生成又は形成)を促進し、かつ/または、既知のゼオライトを製造するコストを低減する。
本開示では、本発明によって、上記の式Iのカチオンは、EMM-64およびEMM-65として同定(又は帰属又はアイデンティフィケーション)される新しい結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)の製造(又は調製又は生成又は形成)に適切に使用できることが見出されている。
このような結晶性の材料ならびにその合成方法および使用(又は使用方法又はユース)を本明細書中に開示する。
また、本発明者らは、上記の式Iのカチオンは、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造(又は調製又は生成又は成形)するために使用できることを見出した。
また、当該方法ならびに当該方法から製造することができる(又は得ることができる)RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブおよびそれらの使用(又は使用方法又はユース)を本明細書中に開示する。
【0021】
上記の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンは、任意の適切な形態(例えば、そのヒドロキシド(又は水酸化物)の形態および/またはハライド(又はハロゲン化物)の形態、例えば、クロリド(又はクロライド又は塩化物)、ブロミド(又はブロマイド又は臭化物)、ヨージド(又はアイオダイド又はヨウ化物)またはフルオリド(又はフルオライド又はフッ化物)の形態)でゼオライト合成混合物に使用することができる。
SDAをそのヒドロキシドの形態で使用する場合、これは、また、ヒドロキシドの供給源(又は源又はソース)としても作用する。それにより、合成混合物にヒドロキシドイオン(OH)を提供する(又は与える)。
SDAをハライドの形態で使用する場合、これは、また、ハライドの供給源(又は源又はソース)としても作用する。それにより、合成混合物にハライドイオン(W)を提供する(又は与える)。
例えば、SDAをそのフルオリドの形態で使用する場合、これは、また、フルオリドの供給源(又は源又はソース)としても作用する。それにより、合成混合物にフルオリドイオン(F)を提供する(又は与える)。
【0022】
式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンは、当該分野における任意の適切な方法によって製造することができる(又は得ることができる)。
例えば、SDAのヨージドの形態は、ヨードメタンを6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジンと反応させることによって得ることができる。あるいは、SDAのブロミドの形態は、ブロモメタンを6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジンと反応させることによって得ることができる。
次いで、このカチオンのヒドロキシドの形態は、ヨージド塩をヒドロキシドと交換すること(例えば、イオン交換樹脂を用いること)によって得ることができる。
【0023】
(EMM-64の結晶性の材料)
本発明の第2の態様として本開示に記載するものは、EMM-64として示される結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)(例えば、ゼオライト)、このような材料を製造(又は調製又は生成又は形成)するためのプロセス(又は方法)ならびにそれらの使用(又は使用方法又は用途又はユース)である。
【0024】
「合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))」(または「製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造したままの状態(as-made))」のEMM-64の材料(又はマテリアル)(すなわち、ポア(又は孔又は細孔)からSDAを除去するための熱処理または他の処理(又はトリートメント)の前のもの)は、典型的には、そのポア(又は孔又は細孔)において、SDA(合成混合物の成分(又はコンポーネント)のうちの1つ)を含む。
EMM-64材料は、少なくとも部分的に焼成されているか、あるいは「焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))」のEMM-64材料である。ここで、一部または全部の構造指向剤(structure directing agent(SDA))が除去されている(例えば、ポア(又は孔又は細孔)からSDAを除去するための熱処理または他の処理による)。
【0025】
一実施形態において、本発明のEMM-64の結晶性の材料は、焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))であり、以下の表1から選択される少なくとも9、または10、または11、あるいは好ましくは全てのピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有する。
【0026】
【0027】
別の実施形態において、EMM-64の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))であり、以下の表1Aから選択される少なくとも9、または10、または11、あるいは好ましくは全てのピーク(2θ(°))および間隔dの値を含むX線回折パターンを有してよい。
ここで、間隔dの値は、偏差を有し、この偏差は、±0.20(2θ(°))の該当する偏差に基づいて決定したものである(ただし、ブラッグの法則(Bragg’s law)を用いた間隔dとして該当する値に変換している)。
【0028】
【0029】
XRDパターン(本開示で説明するXRDピークを有するもの)として、Cu(Kα)を照射(又はラディエーション)したものを用いている。
【0030】
さらに別の実施形態では、EMM-64の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)(ここで、SDAを伴うか、あるいは一部または全部のSDAが除去されている)は、単位格子における四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)に関する以下の表2に示す結合性(又はコネクティビティ)によって規定されるフレームワークを有する(ただし、四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)は、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)によって結合(又は接続又は連結)されている)。
【0031】
【0032】
例えば、結合性(又はコネクティビティ)は、M.M.J. Treacyらによるパブリック・ドメインのソフトウェアであるTOTOPOLを用いることによって決定することができる(以下から入手可能である:http://america.iza-structure.org/IZA-SC/check_topology.php)
(例えば、M.M.J. Treacy, I. Rivin, E. Balkovsky, K.H. Randall, および M.D. Foster, Microporous and Mesoporous Materials, 74, 121-132 (2004)を参照のこと)
四面体の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)は、B、Al、Fe、Ga、Si、Ge、Sn、TiおよびZrから選択される1以上の元素(又はエレメント)、またはそれらの混合物を含んでよい。
例えば、四面体の原子は、B、AlまたはSi、あるいはそれらの混合物から選択されてよい。
例えば、四面体の原子は、SiまたはAlを含んでよいか、SiまたはAlであってよい。
架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)は、O、NおよびC、またはそれらの混合物から選択されてよい。
架橋原子は、酸素原子を含むか、酸素原子であってよい(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の架橋原子が酸素であってよい)。
架橋原子Cは、ゼオライトを製造するために使用される様々な成分(又はコンポーネント)(例えば、シリカの供給源)から組み込まれてよい。
架橋原子Nは、SDAが除去された後にゼオライトに組み込まれてよい。
【0033】
さらなる実施態様において、EMM-64材料(SDAを伴うか、あるいは一部またはすべてのSDAが除去されているもの)は、以下の(a)および(b)の構造を有するように同定(又は帰属又はアイデンティフェイケーション)されてよい。
(a)
正方晶系空間群(又はテトラゴナル・スペース・グループ)I 41 2 2で指定(又はインデックス)され得る構造であって、単位格子(又はユニット・セル)の寸法(又は次元又はディメンション)が、a=13.8±0.20オングストローム(Å)、c=18.0±0.20オングストローム(Å)である構造
(b)
3D 8-リング・チャネル・システム(フレームワークがキラルである異常なものである)を有する構造
【0034】
1以上のさらなる実施形態において、EMM-64の結晶性の材料は、その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、0.10~0.20(例えば、0.13)cc/gのミクロポア・ボリューム(又は細孔容量又は細孔容積又は細孔体積)を有してよい。
【0035】
1以上のさらなる実施形態において、EMM-64の結晶性の材料は、その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、以下の式II:
(m)X2O3:YO2 (式II)
[式中、
0≦m≦0.025であり、
Xは、3価の元素(又はエレメント)であり、
Yは、4価の元素(又はエレメント)である]
の分子式によって、必要に応じて、表されてよい。
Yは、Si、Ge、Sn、TiおよびZr、またはそれらの混合物から選択されてよい。
例えば、Yは、Siを含むか、Siであってよい。
Xは、Al、B、FeおよびGa、またはそれらの混合物から選択されてよい。
例えば、Xは、Alおよび/またはBを含むか、Alおよび/またはBであってよい。特に、Alを含むか、Alであってよい。
式IIの酸素原子は、炭素原子(例えば、CH2の形態)と置換されてよい。炭素原子は、製造された状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のEMM-64を製造(又は調製又は生成又は形成)するために使用した成分(又はコンポーネント)の供給源(又は源又はソース)に由来してよいものである。
また、式IIの酸素原子は、窒素原子で置換されてよい(例えば、SDAが除去された後)。
式IIは、典型的なEMM-64材料のフレームワーク(焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form)))を表すことができる。また、EMM-64材料を単独で代表することを意味するものではない。
EMM-64材料は、SDAおよび不純物を除去するための適切な処理の後、SDAおよび/または不純物を含んでよい。このようなSDAおよび/または不純物は、式IIにおいて、示されていない。
さらに、式IIは、焼成したEMM-64材料に存在し得るイオンを埋め合わせる(又は補償する)チャージ(又は電荷)およびプロトンを含まない。
【0036】
変数であるmは、式IIにおいて、X2O3/YO2(又はX2O3:YO2)のモル比の関係を表す。
例えば、mが0.025である場合、YO2/X2O3(又はYO2:X2O3)のモル比は、40であり、Y/X(又はY:X)のモル比は、20である(例えば、Si/Alのモル比は20である)。
mは、0~0.025で変動してよい。例えば、少なくとも0、または少なくとも0.0005、または少なくとも0.001~最大で0.025、または最大で0.017、例えば0.005~0.025である。
Y/X(又はY:X)のモル比は、20~無限大であってよい。例えば、少なくとも20、または少なくとも30、最大で無限大、または最大で1000、または最大で500、例えば、20~100であってよい。
【0037】
本発明のEMM-64の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)(合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))(すなわち、ポア(又は孔又は細孔)からSDAを除去するための処理(又はトリートメント)の前のもの))は、以下の表3から選択される少なくとも7、または8、または好ましくは全てのピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有してよい。
【0038】
【0039】
別の実施形態において、EMM-64の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、その合成した形態(又は合成後の形態又は合成されたままの形態(as-synthesized form))において、以下の表3Aから選択される少なくとも7、または8、または好ましくは全てのピーク(2θ(°))および間隔dの値を含むX線回折パターンを有してよい。
ここで、間隔dの値は、偏差を有し、この偏差は、±0.20(2θ(°))の該当する偏差に基づいて決定したものである(ただし、ブラッグの法則(Bragg’s law)を用いた間隔dとして該当する値に変換している)。
【0040】
【0041】
XRDパターン(本開示に記載のXRDピークを有するもの)として、Cu(Kα)を照射(又はラディエーション)したものを用いている。
【0042】
1以上の実施形態において、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-64の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、以下の式III:
(n)Q:(m)X2O3:YO2 (式III)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0≦m≦0.025であり、
Qは、式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンであり、
Xは、3価の元素(又はエレメント)(式IIにおいて定義(又は規定)した通りである)であり、
Yは、4価の元素(又はエレメント)(式IIにおいて定義(又は規定)した通りである)である]
の分子式によって、必要に応じて、表されてよい。
式IIIは、典型的な合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-64材料のフレームワーク(構造指向剤(Q)を含む)を表すことができる。このような材料を単独で代表することは意味していない。
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-64材料は、不純物を含んでよい。このような不純物は、式IIIにおいて、示されていない。
さらに、式IIIは、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-64材料に存在し得るイオンを埋め合わせる(又は補償する)チャージ(又は電荷)およびプロトンを含まない。
【0043】
変数であるmは、式IIIにおいて、X2O3/YO2(又はX2O3:YO2)のモル比の関係を表す。
式IIIにおいて、変数であるmの値は、式IIに関して、本開示で説明する値と同じ値である。
【0044】
変数であるnは、式IIIにおけるQ/YO2(又はQ:YO2)のモル比の関係を表す。
例えば、nが0.1である場合、Q/YO2(又はQ:YO2)のモル比は、0.1である。
Q/YO2(又はQ:YO2)のモル比は、0~0.2であってよい。例えば、0.02~0.1、例えば、0.03~0.06であってよい。
【0045】
本発明の第2の態様のEMM-64の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)を製造(又は調製又は生成又は形成)するための方法は、以下の工程(又はステップ)を含んでよい:
(a)
合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)を調製(又は生成又は形成)する工程(又はステップ)であって、このような合成混合物は、水と、4価の元素(又はエレメント)(Y)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じて3価の元素(又はエレメント)(X)の酸化物(又はオキシド)の供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)と、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(又はエレメント)(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
上記の構造指向剤(Q)は、式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオン(上記で定義(又は規定)した通りである)を含み、
上記合成混合物は、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含み、F/Yのモル比は、少なくとも0.1である、工程(又はステップ)、
(b)
結晶化条件下(又はクリスタリゼーション条件下、クリスタリゼーション・コンディション下)で上記合成混合物を加熱する工程(又はステップ)であって、このような結晶化条件は、上記の結晶性の材料の結晶を形成(又は生成)させるのに十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程(又はステップ)、
(c)
上記の工程(b)からの結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程(又はステップ)、
(d)
必要に応じて、構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、上記の工程(c)で回収された結晶性の材料を処理(又はトリートメント)する工程(又はステップ)。
【0046】
構造指向剤(Q)は、任意の適切な形態で存在してよい。例えば、ハライド(又はハロゲン化物)(例えば、クロリド(又はクロライド又は塩化物)またはブロミド(又はブロマイド又は臭化物)、ヒドロキシド(又は水酸化物)、またはニトレート(又は硝酸塩)として存在してよい(例えば、そのヒドロキシドの形態)。
構造指向剤(Q)は、合成混合物中に存在してよく、そのQ/Yのモル比は、0.01~1.0、例えば、0.05~1.0、または0.1~0.8、または0.2~0.7、または0.3~0.6、例えば、0.3を超えて、例えば0.5であってよい。
【0047】
合成混合物は、4価の元素(又はエレメント)(Y)(例えば、Si、Ge、Sn、Tiおよび/またはZr)の酸化物(又はオキシド)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含む。好ましくは、Yは、Siを含む。より好ましくは、YはSiである。
合成混合物を調製(又は製造又は生成又は形成)するために使用することができる4価の元素(Y)の適切な供給源(又は源又はソース)は、選択される元素(又はエレメント)であるYに依存する。
Yがケイ素(又はシリコン)であるいくつかの実施形態において、当該方法における使用に適切なSiの供給源(例えば、シリコン・オキシド(又は酸化ケイ素)の供給源(又は源又はソース))として、以下のものが挙げられる:
シリケート、例えば、テトラアルキル・オルトシリケート(例えば、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)およびテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、
ヒュームド・シリカ、例えば、Aerosil(登録商標)(Evonikから入手可能)、Cabosperse(登録商標)(Cabotから入手可能)、Cabosil(登録商標)(DMSから入手可能)、
沈降シリカ、例えば、Ultrasil(登録商標)、Sipernat(登録商標)340(Evonikから入手可能)、
アルカリ金属シリケート(又はアルカリ・メタル・シリケート)、例えば、カリウム・シリケート(又はケイ酸カリウム)、ナトリウム・シリケート(又はケイ酸ナトリウム)、
シリカの水性コロイド懸濁液、例えば、Ludox(登録商標)の商品名としてE.I. du Pont de Nemoursから販売されているもの、Aerodisp(登録商標)の商品名としてEvonikから販売されているもの。
好ましくは、シリケート、ヒュームド・シリカ、沈降シリカ、アルカリ金属シリケート、コロイドシリカである。
Yがゲルマニウムであるいくつかの実施形態では、適切なGeの供給源(又は源又はソース)として、酸化ゲルマニウムが挙げられる。
Yがチタンであるいくつかの実施形態では、適切なTiの供給源(又は源又はソース)として、二酸化チタンおよびチタンテトラアルコキシド(例えば、チタン(IV)テトラエトキシド、チタン(IV)テトラクロリド)が挙げられる。
Yがスズであるいくつかの実施形態では、適切なSnの供給源(又は源又はソース)として、塩化スズおよびスズアルコキシド(例えば、スズエトキシド、スズイソプロポキシド)が挙げられる。
Yがジルコニウムであるいくつかの実施形態では、適切なZrの供給源(又は源又はソース)として、塩化ジルコニウムおよびジルコニウム・アルコキシド(例えば、ジルコニウム・エトキシド、ジルコニウム・イソプロポキシド)が挙げられる。
【0048】
合成混合物は、必要に応じて、3価の元素(又はエレメント)(X)(例えば、Al、B、Feおよび/またはGa)の酸化物(又はオキシド)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含む。好ましくは、Xは、Alおよび/またはBを含み、例えば、Alを含む。より好ましくは、Xは、Alおよび/またはBであり、例えば、Alである。
合成混合物を調製(又は製造又は生成又は形成)するために使用することができる3価の元素(又はエレメント)であるXの適切な供給源(又は源又はソース)は、選択される元素(又はエレメント)であるXに依存する。
Xがアルミニウムであるいくつかの実施形態において、当該方法での使用に適切なAlの供給源(例えば、アルミニウム・オキシド(又は酸化アルミニウム)の供給源(又は源又はソース)として、以下のものが挙げられる:
アルミニウム塩、特に水溶性の塩、例えば、アルミニウム・スルフェート(又は硫酸アルミニウム)、アルミニウム・ニトレート(又は硝酸アルミニウム)、アルミニウム・ヒドロキシド(又は水酸化アルミニウム)、
アルカリ金属アルミネート(又はアルカリ・メタル・アルミネート)、例えば、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、
アルミニウム・アルコキシド、例えば、アルミニウム・イソプロポキシド、
水和したアルミニウム・オキシド(又は水和した酸化アルミニウム)、例えば、ベーマイト(boehmite)、ギブサイト(gibbsite)、擬ベーマイト(pseudoboehmite)、および
それらの混合物。
他のアルミニウムの供給源(又は源又はソース)として、他の水溶性のアルミニウム塩、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、アルミニウム・アルコキシド(例えば、アルミニウム・イソプロポキシド)、またはアルミニウム金属(又はアルミニウム・メタル)(例えば、チップの形態のアルミニウム)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Xがボロン(又はホウ素)であるいくつかの実施形態において、適切なBの供給源(又は源又はソース)として、ホウ酸およびホウ酸塩、例えば、ナトリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸ナトリウム)またはホウ砂(borax)およびカリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸カリウム)が挙げられる。
ボロン(又はホウ素)の供給源(又は源又はソース)は、ヒドロキシドが媒介する合成系(又は合成システム又はシンセシス・システム)では、アルミニウムの供給源と比べて、より溶解する傾向がある。
Xがガリウムであるいくつかの実施形態において、適切なGaの供給源(又は源又はソース)として、ナトリウム・ガレート(又はガリウム酸ナトリウム(sodium gallate))、カリウム・ガレート(又はガリウム酸カリウム(potassium gallate))、およびガリウム塩、例えば、塩化ガリウム、硫化ガリウム、および硝酸ガリウムが挙げられる。
Xが鉄であるいくつかの実施形態において、適切なFeの供給源(又は源又はソース)として、塩化鉄、硝酸鉄および酸化鉄が挙げられる。
【0049】
あるいは/上記で言及したYおよびXの供給源(又は源又はソース)(例えば、SiおよびAl)に加えて、YおよびXの元素(又はエレメント)の両方を含む供給源(又は源又はソース)も使用することができる(例えば、SiおよびAlの供給源(又は源又はソース))。
SiおよびAlの元素(又はエレメント)の両方を含む適切な供給源(又は源又はソース)の例として、アモルファス(又は非晶質)のシリカ-アルミナのゲルまたは乾燥したシリカ・アルミナの粉末、シリカ・アルミナ、クレイ、例えば、カオリン、メタカオリン、およびゼオライト、特に、アルミノシリケート、例えば、合成のフージャサイト(faujasite)および超安定なフージャサイト(又はウルトラステーブル・フージャサイト)、例えば、Ultrastable Y (USY)、ベータまたは他の大~中のポア(又は孔又は細孔)のゼオライトが挙げられる。
【0050】
合成混合物のY/Xのモル比は、少なくとも10~無限大、特に、少なくとも20~無限大、例えば、20、30または100から最大で500、1000または無限大(すなわち、Xが存在しないか、Xが実質的に存在しない)であってよい。
本発明のこの態様の特に好ましい実施形態において、Yは、Siであり、任意のXはAlであり、EMM-64材料は、シリケートまたはアルミノシリケートである。
【0051】
また、合成混合物は、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含む。
フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)の供給源(又は源又はソース)は、モレキュラーシーブの合成混合物において、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)を放出(又はリリース)することができる任意の化合物であってよい。
フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)の供給源(又は源又はソース)の非限定的な例として、以下のものが挙げられる:
フッ化水素(HF);
1またはいくつかのフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)を含む塩、例えば、メタル・フルオリド(又は金属フルオリド又は金属フルオライド又はフッ化金属)、好ましくは、金属(又はメタル)がナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウムであるもの;
フッ化アンモニウム(NH4F);および
フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)。
フルオリドイオンの特に便利な供給源(又は源又はソース)は、HF、NH4FおよびNH4HF2、特にHFである。
フルオリドイオン(F)は、F/Yのモル比が、0.1~1.0、例えば0.2~0.8、または0.3~0.7、例えば、0.3、0.4または0.5で存在してよい。
【0052】
合成混合物は、必要に応じて、さらに、ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)(ただし、フルオリドイオンとは異なるものであって、クロリド(又はクロライド又は塩化物)、ブロミド(又はブロマイド又は臭化物)またはヨージド(又はアイオダイド又はヨウ化物)からなる群から選択されてよいもの)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含んでよい。
ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)の供給源(又は源又はソース)は、モレキュラーシーブの合成混合物において、ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)を放出(又はリリース)することができる任意の化合物であってよい。
ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)の供給源(又は源又はソース)の非限定的な例として、以下のものが挙げられる:
塩化水素、塩化アンモニウム、臭化水素、臭化アンモニウム、ヨウ化水素およびヨウ化アンモニウム;
1またはいくつかのハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)を含む塩、例えば、メタル・ハライド(又は金属ハライド又はハロゲン化金属)、好ましくは、金属(又はメタル)がナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウムであるもの;
ハロゲン化アンモニウム(又はアンモニウム・ハライド);または
テトラアルキルアンモニウムハライド、例えば、テトラメチルアンモニウムハライドまたはテトラエチルアンモニウムハライド。
ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)は、W/Yのモル比が0~0.2、例えば、0~0.1、例えば、0.1未満または0(0であってもよい又はイーブン・ゼロ)で存在してよい。
【0053】
また、必要に応じて、合成混合物は、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含んでよい。
例えば、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)は、構造指向剤(Q)のカウンターイオン(又は対イオン)として存在してよい。あるいは、Alの供給源(又は源又はソース)として水酸化アルミニウムを使用することによって、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)が存在してよい。
また、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)の適切な供給源(又は源又はソース)は、以下からなる群から選択されてよい:
アルカリ金属ヒドロキシド、アルカリ土類金属ヒドロキシド、アンモニウム・ヒドロキシド、およびそれらの混合物からなる群;
例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物からなる群;
より頻繁には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物からなる群;
最も頻繁には、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムである。
合成混合物は、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)の供給源(又は源又はソース)を含んでよく、OH/Yのモル比は、0~1.5、例えば、0または0.05~1.0または0.8、例えば、0.1~0.8または0.2~0.7、例えば、0.5であってよい。
あるいは、この合成混合物は、ヒドロキシド(又は水酸化物)の供給源(又は源又はソース)を含まなくてよい。
【0054】
必要に応じて、合成混合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の1以上の供給源(又は源又はソース)を含んでよい。
存在する場合、Mは、好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、カルシウム、マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウムである。
より好ましくは、ナトリウムである。
ナトリウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、ナトリウム・ヒドロキシド(又は水酸化ナトリウム)、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、ナトリウム・シリケート(又はケイ酸ナトリウム)、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、またはナトリウム塩、例えば、NaCl、NaBr、またはナトリウム・ニトレート(又は硝酸ナトリウム)であってよい。
カリウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、カリウム・ヒドロキシド(水酸化カリウム)、カリウム・アルミネート(又はアルミン酸カリウム)、カリウム・シリケート(又はケイ酸カリウム)、カリウム塩、例えば、KClまたはKBr、またはカリウム・ニトレート(又は硝酸カリウム)であってよい。
リチウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、リチウム・ヒドロキシド(又は水酸化リチウム)またはリチウム塩、例えば、LiCl、LiBr、LiI、リチウム・ニトレート(又は硝酸リチウム)、またはリチウム・スルフェート(又は硫酸リチウム)であってよい。
ルビジウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、ルビジウム・ヒドロキシド(又は水酸化ルビジウム)またはルビジウム塩、例えば、RbCl、RbBr、RBI、またはルビジウム・ニトレート(又は硝酸ルビジウム)であってよい。
カルシウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、例えば、カルシウム・ヒドロキシド(又は水酸化カルシウム)であってよい。
マグネシウムの供給源(又は源又はソース)は、存在する場合、例えば、マグネシウム・ヒドロキシド(又は水酸化マグネシウム)であってよい。
また、アルカリまたはアルカリ土類金属のカチオン(M)は、3価の元素(又はエレメント)であるXの1以上の供給源(又は源又はソース)(例えば、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、ナトリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸ナトリウム)、カリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸カリウム)、ナトリウム・ガレート(又はガリウム酸ナトリウム(sodium gallate))、カリウム・ガレート(又はガリウム酸カリウム(potassium gallate))において、および/または4価の元素(又はエレメント)であるYの1以上の供給源(又は源又はソース)(例えば、カリウム・シリケートおよび/またはナトリウム・シリケート)において、存在してよい。
合成混合物は、アルカリまたはアルカリ土類金属のカチオン(M)の供給源(又は源又はソース)を含んでよく、そのM/Yのモル比は、0~1.5、例えば、0または0.05~1.0または0.8、例えば、0.1、0.2または0.3であってよい。
あるいは、合成混合物は、アルカリまたはアルカリ土類金属のカチオン(M)を含まなくてよい。
【0055】
合成は、核を形成するシード(又は核形成シード(nucleating seed))を添加して、または添加することなく行ってよい。
合成混合物に核形成シードを添加する場合、シードは、EMM-64(例えば、以前の合成からのEMM-64)と同じ構造または異なる構造を有するものであってよい。そして、合成混合物の重量に基づいて、約0.01重量ppm~約10,000重量ppmの量、例えば、合成混合物の重量に基づいて、約100重量ppm~約5,000重量ppmで適切に存在してよい。
【0056】
合成混合物は、典型的には、水を含み、そのH2O/Yのモル比は、1~100、例えば、1~75、または1~50、例えば、1、2、3または4~最大50である。
ベース混合物(又は塩基性の混合物)における成分(又はコンポーネント)の性質に依存して、ベース混合物(又は塩基性の混合物)の一定量の溶媒(例えば、ヒドロキシドの溶液からの水、および、必要に応じて、シリカの供給源の加水分解からのメタノールおよびエタノール)は、除去されてよい。そうすることで、合成混合物において、所望の溶媒/Yのモル比を達成するようになる。
溶媒の含量(又は含有量又はコンテント)を減らすための適切な方法として、静的または流動的な雰囲気(例えば、周囲空気、乾燥窒素、乾燥空気)のもとでのエバポレーションによる方法、あるいは噴霧乾燥(又はスプレー乾燥)または凍結乾燥(又はフリーズ・ドライ)による方法を挙げることができる。得られる混合物に水を添加してよい。それにより、所望のH2O/Yのモル比を達成することができる。このとき、溶媒除去プロセスの間にかなりたくさんの水を除去する。いくつかの実施例において、水の除去は必要ない。このとき、この調製法は、十分なH2O/Yのモル比を有する。
【0057】
CH2の形態での炭素は、EMM-64を製造(又は調製又は生成又は形成)するために使用される成分(又はコンポーネント)の様々な供給源(又は源又はソース)に存在してよい(例えば、4価の元素(又はエレメント)の供給源(又は源又はソース)(シリカ供給源)または3価の元素(又はエレメント)の供給源(又は源又はソース)(アルミナ供給源)。そして、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)として、EMM64のフレームワーク(又は骨格)に組み込まれてよい。
SDAを除去した後、架橋原子として、EMM-64材料のフレームワーク(又は骨格)に窒素原子を組み入れてよい。
【0058】
1以上の態様において、溶媒調節(例えば、所望の水/シリカの比を達成する)の後に合成混合物は、例えば、撹拌または高せん断ブレンド(又はハイ・シア・ブレンディング)などの機械的なプロセス(又は方法又は工程)(又はメカニカル・プロセス)によって混合されてよい。そうすることで、ベース混合物(又は塩基性の混合物)の適切な均質化(又はホモジナイゼーション)を確実にすることができる。例えば、混合速度1000~3000rpm(例えば、2000rpm)の二重非対称遠心混合(又はデュアル・アシンメトリ遠心混合)(例えば、FlackTekのスピードミキサー)を使用する。
【0059】
次いで、合成混合物をEMM-64材料が形成(又は生成)するのに適した結晶化の条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)に供する。EMM-64材料の結晶化は、適切な反応容器において、静的または撹拌の条件下で行ってよい(例えば、適切な温度に維持された対流式のオーブンに入れられたテフロン(登録商標)ライニング(又はライナー)付またはステンレススチール製のオートクレーブ)など)。
【0060】
当該方法の工程(b)における結晶化(又はクリスタリゼーション)は、典型的には、100℃~200℃(例えば、150℃~170℃)の温度で行われる。そのための時間は、結晶化に十分な時間である。それにより、採用した温度で結晶化が生じる。
例えば、より高温において、結晶化の時間を短くしてよい。
例えば、当該方法の工程(b)における結晶化の条件は、1~100日、例えば、1~50日、例えば、1~30日(例えば、1~12または14または16日、あるいは1~7日)の期間にわたる加熱を含んでよい。
結晶化の時間は、当該分野で知られている方法によって、例えば、様々な時間での合成混合物をサンプリングすることによって、および沈殿した固体の収率およびX線による結晶化度(又はクリスタリニティ)を決定することによって、確立することができる。
本開示において他に示されていない限り、測定した温度は、加熱される材料の周囲の環境の温度である。
例えば、温度は、材料を加熱する周囲(又は大気)の温度である。
【0061】
典型的には、EMM-64の生成物(又は製品又はプロダクト)は、溶液中で形成(又は生成)されるものであり、標準的な手段によって、例えば、遠心分離または濾過によって回収することができる。
また、分離されたEMM-64の生成物(又は製品又はプロダクト)は、洗浄し、遠心分離または濾過によって回収して、乾燥させてよい。
【0062】
本開示のモレキュラーシーブは、有機化合物の変換プロセス(又は転化プロセス又はコンバージョン・プロセス)における触媒として、または吸着材(又はアドソーベント)として用いる場合、少なくとも部分的に脱水(例えば、乾燥)させてよい。
これは、周囲(例えば、大気)(例えば、空気)、窒素などにおいて、大気圧下、減圧下または加圧下で、30分から48時間にわたって、80℃~500℃(例えば、90℃~370℃)の範囲の温度に加熱することによって行うことができる。
また、脱水(又はデハイドレーション)は、モレキュラーシーブを減圧下(または真空下)に置くことによって、ほぼ室温で行ってよい。ただし、より長い時間が必要となる。それにより、十分な量の脱水が得らえる。
【0063】
結晶化プロセス(又はクリスタリゼーション・プロセス)の結果として、回収された生成物(又は製品又はプロダクト)は、そのポア(又は孔又は細孔)の内部において、この合成で使用した構造指向剤の少なくとも一部を含む。工程(c)から回収される合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-64材料は、このようにして、熱処理または他の処理に供されてよい。そうすることで、合成の間に、そのポア(又は孔又は細孔)に組み込まれたSDAの一部または全部を除去することができる。合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態)のEMM-64材料の熱処理(例えば、焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination)))は、典型的には、このような材料を高温に曝す。そうすることで、十分にSDAの一部または全部を除去する(雰囲気は、炉(又はファーネス)において、空気、窒素、オゾンまたはそれらの混合物から選択される)。熱処理において減圧を採用してもよいが、都合が良いとの理由から、大気圧が望ましい。熱処理は、最大で925℃(例えば、300℃~700℃または400℃~600℃)の温度で行ってよい。測定される温度は、サンプル(又は試料)の周囲の環境の温度である。熱処理(例えば、焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination)))は、箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)(ドライ・エア(又は乾燥大気)中)で行うことができる。箱形炉は、空気(又はエア)から水を除去する乾燥剤を含むドライ・チューブ(又は乾燥チューブ)に曝されている。加熱は、通常、少なくとも1分間にわたる焼成であり、概して、1日以内、または最大で数日である。加熱は、まず、窒素雰囲気下で行われてよい。次いで、この窒素雰囲気は、大気および/またはオゾンに交換(又はスイッチ)されてよい。
【0064】
また、EMM-64材料は、イオン交換処理に供されてよい。イオン交換処理では、例えば、水性アンモニウム塩を用いる(例えば、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、および酢酸アンモニウム)。その目的は、残存するアルカリ金属カチオンおよび/またはアルカリ土類金属カチオンを除去して、それらをプロトンと置き換えることである。それにより、モレキュラーシーブの酸の形態を形成(又は生成)する。望ましい範囲に関して、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の材料の元々のカチオン(例えば、アルカリ金属カチオン)は、他のカチオンとイオン交換によって置き換えることができる。好ましい置換カチオンとして、水素イオン、水素前駆体(又は水素プリカーサ又はハイドロジェン・プリカーサ)、例えば、アンモニウムイオン、およびそれらの混合物を挙げることができる。イオン交換の工程(又はステップ)は、製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のモレキュラーシーブを乾燥させた後に行ってよい。イオン交換の工程(又はステップ)は、焼成(またはか焼又はカルシネーション(calcination))の工程(又はステップ)の前または後に行われてよい。
【0065】
また、モレキュラーシーブは、水蒸気処理(又はスチーム処理)および/または溶媒による洗浄処理などの他の処理(又はトリートメント)に供されてよい。このような処理(又はトリートメント)は、当業者に周知であり、モレキュラーシーブの特性(又はプロパティ)を望み通りに変更するために行われる。
【0066】
(EMM-65の結晶性の材料(又はEMM-65結晶材料又はEMM-65クリスタル材料又はEMM-65クリスタリン・マテリアル))
本発明の第3の態様として本明細書中に開示されるものは、EMM-65で示される(又は帰属される)結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)(例えば、ゼオライト)、このような材料を製造(又は調製)するためのプロセス(又は工程又は方法)、およびそれらの使用(又は使用方法又はユース)である。
【0067】
「合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))」(または「製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))」)(すなわち、ポア(又は孔又は細孔)から、SDAを除去するための熱処理または他の処理の前)のEMM-65材料は、典型的には、そのポア(又は孔又は細孔)の内部にSDA、合成混合物の成分(又はコンポーネント)の1つを含む。EMM-65材料は、少なくとも部分的に焼成されたままのEMM-65材料であるか、「焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))」のEMM-65材料である。EMM-65材料において、構造指向剤(structure directing agent(SDA))の一部または全部が除去されている(例えば、ポア(又は孔又は細孔)から、SDAを除去するための熱処理によるか、または他の処理による)。
【0068】
1つの実施形態において、本発明のEMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、以下の表4から選択される少なくとも8、または9、または10、または好ましくは全てのピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有する。
【0069】
【0070】
別の実施形態において、EMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、以下の表4Aから選択される少なくとも8、または9、または10、または好ましくは全てのピーク(2θ(°))および間隔dの値を含むX線回折パターンを有してよい。
ここで、間隔dの値は、偏差を有し、この偏差は、±0.20(2θ(°))の該当する偏差に基づいて決定したものである(ただし、ブラッグの法則(Bragg’s law)を用いた間隔dとして該当する値に変換している)。
【0071】
【0072】
このXRDパターン(本開示において記載されるXRDピークを有するもの)は、Cu(Kα)の照射(又はラディエーション)を用いるものである。
【0073】
さらに別の実施形態において、EMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)(ここでは、SDAが存在するか、あるいはSDAの一部または全部が除去されている)は、単位格子(又はユニット・セル)における四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)に関して、以下の表5に示す結合性(又はコネクティビティ)によって規定(又は定義)されるフレームワーク(又は骨格)を有する。ここで、四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)は、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)によって結合(又は接続又は連結)されている。
【0074】
【0075】
結合性(又はコネクティビティ)は、例えば、M.M.J. Treacyらによるパブリック・ドメインのソフトウェアであるTOTOPOLを用いることによって決定することができ、以下から入手可能である:
http://america.iza-structure.org/IZA-SC/check_topology.php
(例えば、M.M.J. Treacy, I. Rivin, E. Balkovsky, K.H. Randall, および M.D. Foster, Microporous and Mesoporous Materials, 74, 121-132 (2004)を参照のこと)。
四面体の原子(又はテトラヘドラル原子又はテトラヘドラル・アトム)は、B、Al、Fe、Ga、Si、Ge、Sn、TiおよびZr、またはそれらの混合物から選択される1以上の元素(又はエレメント)を含んでよい。
例えば、四面体の原子(又はテトラヘドラル原子)は、B、AlまたはSi、あるいはそれらの混合物から選択されてよい。
例えば、四面体の原子(又はテトラヘドラル原子)は、SiまたはAlを含んでよく、SiまたはAlであってもよい。
架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)は、O、NおよびCまたはそれらの混合物から選択されてよい。
架橋原子は、酸素原子を含んでよく(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の架橋原子が酸素であってよい)、酸素原子であってよい。
架橋原子(C)は、ゼオライトを製造(又は生成又は形成)するために使用される様々な成分(又はコンポーネント)(例えば、シリカ供給源)から組み込まれてよい。
架橋原子(N)は、SDAが除去された後にゼオライトに組み込まれてよい。
【0076】
さらなる実施形態において、EMM-65材料(ここでは、SDAまたはSDAの一部または全てが除去される)は、以下の構造(a)および(b)を有するものとして同定(又は帰属又はアイデンティフェイケーション)されてよい。
(a)
直方晶系の空間群(orthorhombic space group)Pmmn2で指定(又はインデックス)され得る構造であって、単位格子(又はユニット・セル)の寸法(又は次元又はディメンション)が、a=5.15±0.20オングストローム(Å)、b=27.3±0.20オングストローム(Å)、c=11.4±0.20オングストローム(Å)である、構造
(b)
1D 12-リング・チャネル・システムを有する構造であって、ポア(又は孔又は細孔)の寸法(又は次元又はディメンション)が、7.9±0.20オングストローム(Å)×6.0±0.20オングストローム(Å)である、構造。
【0077】
1以上のさらなる実施形態において、EMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、0.10~0.20(例えば、0.13)cc/gのミクロポア・ボリューム(又は細孔容量又は細孔容積又は細孔体積)を有してよい。
【0078】
1以上のさらなる実施形態において、EMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、必要に応じて、以下の式IV:
(m)B2O3:SiO2 (式IV)
[式中、0.005≦m≦0.05である]
の分子式で表され得る。
式IVにおける酸素原子は、炭素原子によって置き換えられてよい(例えば、CH2の形態)。この炭素原子は、製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のEMM-65を製造(又は調製)するために使用する成分(又はコンポーネント)の供給源(又は源又はソース)に由来し得るものである。
また、式IVにおける酸素原子は、窒素原子によって置き換えられてよい(例えば、SDAが除去された後)。
式IVは、典型的なEMM-65材料のフレームワーク(又は骨格)(その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form)))を表すことができる。また、EMM-65材料を単独で表すことを意味するものではない。
EMM-65材料は、SDAおよび不純物を除去するための適切な処理(又はトリートメント)の後、SDAおよび/または不純物を含んでよい。このようなSDAおよび/または不純物は、式IVにおいて、示されていない。
さらに、式IVは、焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))のEMM-65材料に存在し得るイオンを埋め合わせる(又は補償する)チャージ(又は電荷)およびプロトンを含まない。
【0079】
この実施形態において、EMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、ボロシリケートの形態である。
変数であるmは、式IVにおけるB2O3/SiO2(又はB2O3:SiO2)のモル比の関係を表す。
例えば、mが0.025である場合、SiO2/B2O3(又はSiO2:B2O3)のモル比は、40である。Si/B(又はSi:B)のモル比は、20である。
mは、0.005~0.05で変動してよい(例えば、少なくとも0.01~0.033、例えば、0.025)。
Si/B(又はSi:B)のモル比は、10~100(例えば、15~50、例えば20)であってよい。
【0080】
本発明の合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))(すなわち、ポア(又は孔又は細孔)からSDAを除去するための処理(又はトリートメント)の前の状態)のEMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、以下の表6から選択される少なくとも18、または19、または20、あるいは、好ましくは全てのピーク(2θ(°))を含むX線回折パターンを有してよい。
【0081】
【0082】
別の実施形態において、EMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、その合成した形態(又は合成後の形態又は合成されたままの形態(as-synthesized form))において、以下の表6Aから選択される少なくとも18、または19、または20、あるいは、好ましくは全てのピーク(2θ(°))および間隔dの値を含むX線回折パターンを有してよい。
ここで、間隔dの値は、偏差を有し、この偏差は、±0.20(2θ(°))の該当する偏差に基づいて決定したものである(ただし、ブラッグの法則(Bragg’s law)を用いた間隔dとして該当する値に変換している)。
【0083】
【0084】
このXRDパターン(本開示に記載のXRDピークを有するもの)は、Cu(Kα)の照射(又はラディエーション)を使用するものである。
【0085】
1以上の実施形態において、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、必要に応じて、以下の式V:
(n)Q:(m)B2O3:SiO2 (式V)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0.005<m≦0.05であり、
Qは、式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンである]
の分子式で表され得る。
式Vは、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)を伴う典型的な合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65材料のフレームワーク(又は骨格)を表し得る。また、このような材料を単独で表すことを意味するものではない。
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65材料は、不純物を含んでよい。このような不純物は、式Vにおいて、示されていない。
さらに、式Vは、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65材料に存在し得るイオンを埋め合わせる(又は補償する)チャージ(又は電荷)およびプロトンを含まない。
【0086】
変数であるmは、式VにおけるB2O3/SiO2(又はB2O3:SiO2)のモル比の関係を表す。
式Vにおける変数であるmの値は、式IVで本開示において説明したものと同じである。
【0087】
変数であるnは、式VのQ/SiO2(又はQ:SiO2)のモル比の関係を表す。
例えば、nが0.1である場合、Q/SiO2(又はQ:SiO2)のモル比は、0.1である。
Q/SiO2(又はQ:SiO2)のモル比は、0~0.2であってよい(例えば、0.02~0.1、例えば、0.03~0.06)。
【0088】
本発明の第3の態様のEMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)を製造(又は調製又は生成又は形成)するための方法は、以下の工程(又はステップ)(a)~(d)を含んでよい。
(a)
合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)を調製(又は製造又は生成又は形成)する工程(又はステップ)であって、合成混合物は、水と、シリカの供給源(又は源又はソース)と、ボロン(又はホウ素)(B)の供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)と、必要に応じて、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じて、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(又はエレメント)(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
構造指向剤(Q)は、式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオン(上記で定義(又は規定)した通りである)を含み、
合成混合物は、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含み、そのF/Siのモル比は、0.1未満である、工程(又はステップ)、
(b)
上記の合成混合物を結晶化(又はクリスタリゼーション)の条件下で加熱する工程(又はステップ)であって、結晶化の条件は、上記の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)の結晶を形成(又は生成)するのに十分な時間にわたる100~200℃の温度を含む、工程(又はステップ)、
(c)
工程(b)から、結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)の少なくとも一部を回収(又はリカバリ)する工程(又はステップ)、および
(d)
必要に応じて、構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、工程(c)で回収した結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)を処理(又はトリートメント)する工程(又はステップ)。
【0089】
構造指向剤(Q)は、任意の適切な形態で存在してよい(例えば、ハライド(又はハロゲン化物)(例えば、クロリド(又はクロライド又は塩化物)またはブロミド(又はブロマイド又は臭化物))、ヒドロキシド(又は水酸化物)、またはニトレート(又は硝酸塩)など)(例えば、そのヒドロキシドの形態)。
構造指向剤(Q)は、合成混合物中に存在してよく、そのQ/Siのモル比は、0.01~1.0、例えば、0.05~1.0、または0.1~0.8、または0.1~0.5であってよい(例えば、0.1~0.5未満、例えば、0.2または0.3)。
【0090】
合成混合物は、シリカの少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含む(例えば、酸化ケイ素)。
当該方法で使用するための適切なシリカの供給源(又は源又はソース)として、以下のものが挙げられる。
シリケート、例えば、テトラアルキルオルトシリケート、例えば、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)およびテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、
ヒュームド・シリカ、例えば、Aerosil(登録商標)(Evonikから入手可能)、Cabosperse(登録商標)(Cabotから入手可能)およびCabosil(登録商標)(DMSから入手可能)、
沈降シリカ、例えば、Ultrasil(登録商標)およびSipernat(登録商標)340(Evonikから入手可能)、
アルカリ金属シリケート、例えば、カリウム・シリケート(又はケイ酸カリウム)およびナトリウム・シリケート(又はケイ酸ナトリウム)、
シリカの水性コロイド懸濁液、例えば、Ludox(登録商標)の商品名でE.I. du Pont de Nemoursから販売されているもの、Aerodisp(登録商標)の商品名でEvonikから販売されているもの。
好ましくは、シリケート、ヒュームド・シリカ、沈降シリカ、アルカリ金属シリケート、コロイドシリカが挙げられる。
【0091】
合成混合物は、ボロン(又はホウ素)(B)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含む。
ボロン(又はホウ素)の適切な供給源(又は源又はソース)として、ホウ酸およびホウ酸塩(例えば、ナトリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸ナトリウム)またはホウ砂(borax)およびカリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸カリウム))が挙げられる。
【0092】
合成混合物のSi/Bのモル比は、少なくとも10~100(例えば、少なくと10または少なくとも15または少なくとも20から最大で100または最大で75または最大で50、例えば20)であってよい。
【0093】
EMM-65材料の製造(又は調製又は生成又は形成)に使用する合成混合物は、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含む。そのF/Siのモル比は、0.1未満である(例えば0~0.1未満、または0~0.05、または0~0.01、例えば0である)。
特に、EMM-65材料の製造(又は調製又は生成又は形成)に使用する合成混合物は、実質的にフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含まない。
これは、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)の供給源(又は源又はソース)が合成混合物に任意の実質的な量で添加されないことを意味する。例えば、合成混合物のF/Siのモル比は、0.1未満、特に0.05未満、例えば、0.01未満、または0.005未満であってもよく、例えば0である。
このフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)は、存在する場合、モレキュラーシーブの合成混合物にフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)を放出(又はリリース)することができる任意の化合物に由来してよい。例えば、以下のものが挙げられる。
フッ化水素(HF);
1またはいくつかのフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)を含む塩、例えば、金属フルオリド(又はメタル・フルオリド又はフッ化金属)、好ましくは、金属がナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウムであるもの;
アンモニウムフルオリド(又はアンモニウムフルオライド又はフッ化アンモニウム)(NH4F);
アンモニウムビフルオリド(又はアンモニウムビフルオライド又はフッ化水素アンモニウム)(NH4HF2)。
また、少量のフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)は、不純物として存在してよい(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の任意の供給源(又は源又はソース)における不純物)。
【0094】
合成混合物は、必要に応じて、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)とは異なるハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含んでよく、クロリド(又はクロライド又は塩化物)、ブロミド(又はブロマイド又は臭化物)またはヨージド(又はアイオダイド又はヨウ化物)からなる群から選択されてよい。
ハライドイオン(W)の供給源(又は源又はソース)は、モレキュラーシーブの合成混合物において、ハライドイオンを放出(又はリリース)することができる任意の化合物であってよい。
ハライドイオンの供給源(又は源又はソース)の非限定的な例として、以下のものが挙げられる。
塩化水素、塩化アンモニウム、臭化水素、臭化アンモニウム、ヨウ化水素およびヨウ化アンモニウム;
1またはいくつかのハライドイオンを含む塩、例えば、金属ハライド(又はハロゲン化金属又はメタル・ハライド)、好ましくは、金属がナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウムであるもの;
アンモニウム・ハライド(又はハロゲン化アンモニウム);または
テトラアルキルアンモニウムハライド、例えば、テトラメチルアンモニウムハライドまたはテトラエチルアンモニウムハライド。
ハライドイオン(W)は、W/Siのモル比が0~0.2(例えば、0~0.1、例えば、0.1未満、または0であってもよい)で存在してよい。
好ましい実施形態において、合成混合物は、ハライドイオン(W)を実質的に含まなくてよい。
【0095】
また、必要に応じて、合成混合物は、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含んでよい。
また、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)の適切な供給源(又は源又はソース)は、以下からなる群から選択することができる。
アルカリ金属ヒドロキシド(又はアルカリ金属の水酸化物)、
アルカリ土類金属ヒドロキシド(又はアルカリ土類金属の水酸化物)、
アンモニウム・ヒドロキシド(又は水酸化アンモニウム)、および
それらの混合物。
例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウムおよびそれらの混合物からなる群;
より頻繁には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウムおよびそれらの混合物からなる群;
最も頻繁には、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムである。
合成混合物は、ヒドロキシドイオン供給源を含んでよく、そのOH/Siのモル比は、0~1.5、例えば、0または0.05~1.0または0.8、例えば、0.1~0.8または0.2~0.7、例えば、0.3、0.4または0.5であってよい。
あるいは、合成混合物は、ヒドロキシド供給源を含んでいなくてもよい。
【0096】
必要に応じて、合成混合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の1以上の供給源(又は源又はソース)を含んでよい。
存在する場合、Mは、好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、カルシウム、マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウムであり、より好ましくはナトリウムである。
ナトリウム供給源は、存在する場合、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムまたはナトリウム塩、例えば、NaCl、NaBrまたは硝酸ナトリウムであってよい。
カリウム供給源は、存在する場合、水酸化カリウム、アルミン酸カリウム、ケイ酸カリウム、カリウム塩、例えば、KClまたはKBrまたは硝酸カリウムであってよい。
リチウム供給源は、存在する場合、水酸化リチウムまたはリチウム塩、例えば、LiCl、LiBr、LiI、硝酸リチウムまたは硫酸リチウムであってよい。
ルビジウム供給源は、存在する場合、水酸化ルビジウムまたはルビジウム塩、例えば、RbCl、RbBr、RBIまたは硝酸ルビジウムであってよい。
カルシウム供給源は、存在する場合、例えば、水酸化カルシウムであってよい。
マグネシウム供給源は、存在する場合、例えば、水酸化マグネシウムであってよい。
また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)は、3価の元素(又はエレメント)(X)の1以上の供給源(又は源又はソース)(例えば、ナトリウム・アルミネート(又はアルミン酸ナトリウム)、ナトリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸ナトリウム)、カリウム・テトラボレート(又はテトラホウ酸カリウム)、ナトリウム・ガレート(又はガリウム酸ナトリウム(sodium gallate))、カリウム・ガレート(又はガリウム酸カリウム(potassium gallate)))において、および/または、4価の元素(又はエレメント)(Y)の1以上の供給源(又は源又はソース)(例えば、ケイ酸カリウムおよび/またはケイ酸ナトリウム)において存在してよい。
合成混合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の供給源(又は源又はソース)を含んでいてよく、そのM/Siのモル比は、0~1.5、例えば、0または0.05~1.0または0.8、例えば、0.15未満、例えば、0.1であってよい。
あるいは、合成混合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の供給源(又は源又はソース)を含まなくてよい。
【0097】
合成は、核を形成するシード(又は核形成シード(nucleating seed))(複数)の添加あり、添加なしで行うことができる。合成混合物に核形成シードを添加する場合、シードは、EMM-65の構造と同一の構造を有していても、EMM-65の構造と異なる構造を有していてもよく(例えば、以前の合成からのEMM-65)、合成混合物の重量に基づいて、約0.01重量ppm~約10,000重量ppmの量、例えば、合成混合物の重量に基づいて、約100重量ppm~約5,000重量ppmの量で適切に存在してよい。
【0098】
合成混合物は、典型的には、水を含み、そのH2O/Siのモル比は、1~100または1~75、例えば、1~50であり、例えば、少なくとも5、10または20、最大50、例えば、20~40である。
ベース混合物(又は塩基性の混合物)における成分(又はコンポーネント)の性質に応じて、ベース混合物(又は塩基性の混合物)の一定量の溶媒(例えば、ヒドロキシド溶液からの水、必要に応じて、シリカ供給源の加水分解からのメタノールおよびエタノール)が除去されてよい。そうすることで、合成混合物において所望の溶媒/Y(又は溶媒:Y)のモル比が達成されるようになる。
溶媒の含量(又は含有量又はコンテント)を減らすのに適した方法として、静的または流動的な雰囲気(例えば、周囲空気、乾燥窒素、乾燥空気)のもとでのエバポレーション(又は蒸発)による方法、あるいはスプレー乾燥(又は噴霧乾燥)または凍結乾燥(又はフリーズ・ドライ)による方法が挙げられてよい。
生成(又は形成)した混合物に水を添加してよい。そうすることで、所望のH2O/Siのモル比が達成される。このとき、かなり多くの水が溶媒除去プロセス(又は溶媒除去工程)の間に除去される。
いくつかの実施例において、水の除去は必要ない。このとき、調製法(又は製造法)は、十分なH2O/Siのモル比を有する。
【0099】
炭素は、CH2の形態で、EMM-65を製造(又は調製)するために使用される成分(又はコンポーネント)の様々な供給源(又は源又はソース)に存在してよく(例えば、4価の元素(又はエレメント)の供給源(又は源又はソース)(シリカ供給源)または3価の元素(又はエレメント)の供給源(又は源又はソース)(アルミナ供給源))、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)として、EMM-65のフレームワーク(又は骨格)に組み込まれてよい。
SDAを除去した後、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)として、窒素原子をEMM-65材料のフレームワーク(又は骨格)に組み込んでよい。
【0100】
1以上の態様において、溶媒調整(例えば、所望の水/シリカの比を達成する)の後の合成混合物は、ベース混合物(又は塩基性混合物)の適切な均質化(又はホモジナイゼーション)を確実にするために機械的なプロセス(又は工程又は方法)(又はメカニカル・プロセス)(例えば、撹拌または高せん断ブレンド(又はハイ・シア・ブレンディング))によって、例えば、混合速度1000~3000rpm(例えば、2000rpm)の二重非対称遠心混合(又はデュアル・アシンメトリ遠心混合)(例えば、FlackTekのスピードミキサー)を用いることによって混合されてよい。
【0101】
次いで、この合成混合物をEMM-65材料が形成(又は生成)するのに適した結晶化の条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)に供する。
EMM-65材料の結晶化(又はクリスタリゼーション)は、適切な反応容器(例えば、適切な温度で維持された対流式のオーブンに配置されたTeflon(登録商標)ライニング(又はライナー)付またはステンレス鋼製のオートクレーブあるいはポリプロピレン製のジャーなど)において、静的または撹拌の条件下で行うことができる。
【0102】
当該方法の工程(b)での結晶化(又はクリスタリゼーション)は、典型的には、100℃~200℃(例えば、150℃~170℃)の温度で行われる。時間は、採用した温度で結晶化が生じるのに十分な時間である。
例えば、より高い温度では、結晶化の時間は短くなってよい。
例えば、当該方法の工程(b)での結晶化(又はクリスタリゼーション)の条件は、1~100日、例えば、1~50日、例えば、1~30日(例えば、1~12または14または16日、または1~7日)の期間にわたる加熱を含んでよい。
結晶化の時間は、当該分野で知られている方法によって確立することができる。例えば、様々な時間で合成混合物をサンプリングすることによって、そして、沈殿した固体の収率およびX線による結晶化度(又はクリスタリニティ)を決定することによって確立することができる。
本開示において他に示されていない限り、測定した温度は、加熱される材料の周囲の環境の温度である。例えば、材料を加熱する雰囲気(又は大気)の温度である。
【0103】
典型的には、EMM-65の生成物(又は製品又はプロダクト)は、溶液中で形成(又は生成)され、そして、標準的な手段(例えば、遠心分離または濾過)によって回収することができる。
また、この分離したEMM-65の生成物(又は製品又はプロダクト)を洗浄し、遠心分離または濾過によって回収(又はリカバリ)し、乾燥させることができる。
【0104】
本開示のモレキュラーシーブは、有機化合物の変換(又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)における触媒として、または吸着材(又はアドソーベント)として用いる場合、少なくとも部分的に脱水(例えば、乾燥)させてよい。
これは、雰囲気(又は周囲)(例えば、空気、窒素など)において、大気圧下、減圧下または加圧下において、30分~48時間にわたって、80℃~500℃(例えば、90℃~370℃)の範囲の温度まで加熱することによって行われてよい。
また、脱水(又はデハイドレーション)は、減圧下(又は真空下)にモレキュラーシーブを配置することによって、ほぼ室温で行ってよい。しかし、より長い時間が必要である。それにより、十分な量の脱水が得られる。
【0105】
結晶化(又はクリスタリゼーション)のプロセス(又は工程又は方法)(又はクリスタリゼーション・プロセス)の結果として、回収(又はリカバリ)された生成物(又は製品又はプロダクト)は、そのポア(又は孔又は細孔)の内部において、合成に使用した構造指向剤の少なくとも一部を含む。
従って、工程(c)から回収(又はリカバリ)された合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65材料は、合成の間にポア(又は孔又は細孔)に組み込まれたSDAの一部または全部を除去するための熱処理または他の処理(又はトリートメント)に供されてよい。
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65材料の熱処理(例えば、焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination)))は、典型的には、炉内の空気、窒素、オゾンまたはそれらの混合物から選択される雰囲気において、材料を高温にさらして、SDAの一部または全部を十分に除去する。
減圧が熱処理に採用されもよいが、簡便性の理由から、周囲圧(又は大気圧)が望ましい。
熱処理は、最大で925℃、例えば、300℃~700℃または400℃~600℃の温度で行われてよい。
測定される温度は、サンプル(又は試料)の周囲環境の温度である。
熱処理(例えば、焼成又はか焼又はカルシネーション(calcination))は、乾燥空気(ドライ・エア)中の箱形炉において行うことができ、空気(又はエア)から水を除去する乾燥剤を含む乾燥チューブ(又はドライ・チューブ)に曝されている。
加熱は、通常、少なくとも1分、概して、1日以下または最大で数日にわたる焼成(例えば、か焼(又はカルシネーション(calcination)))である。
加熱は、まず、窒素雰囲気下で行われてよい。次いで、雰囲気は、空気(又はエア)および/またはオゾンに変更(又はスイッチ)してよい。
【0106】
また、EMM-65材料は、例えば、水性アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムおよび酢酸アンモニウム)を用いるイオン交換処理に供されてよい。その目的は、残存するアルカリ金属カチオンおよび/またはアルカリ土類金属のカチオンを除去して、アルカリ金属カチオンおよびアルカリ土類金属カチオンをプロトンに置き換えるためである。それにより、酸の形態のモレキュラーシーブを製造(又は生成又は形成)することができる。
所望の範囲まで、合成した状態(又は合成時の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized)の材料の元々のカチオン(例えば、アルカリ金属カチオン)は、イオン交換によって、他のカチオンに置き換えられてよい。
好ましい置換カチオンとして、水素イオン、水素前駆体(又は水素プリカーサ又はハイドロジェン・プリカーサ)、例えば、アンモニウムイオン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
イオン交換の工程(又はステップ)は、製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のモレキュラーシーブを乾燥させた後に行われてよい。
イオン交換の工程(又はステップ)は、焼成工程(又はカルシネーション・ステップ)の前または後ろに行われてよい。
【0107】
必要に応じて、アルミニウム原子は、水熱合成反応に続く交換プロセス(又はエクスチェンジ・プロセス)の間にEMM-65材料のフレームワーク(又は骨格)に組み込まれてよい(ここでは、SDAの一部または全てが除去されている)。
ホウ素原子(又はボロン原子)を含むフレームワーク・シリケート(例えば、ボロシリケート)は、アルミニウム原子との交換を受けるために特に効果的であってよい。
このような交換プロセス(又はエクスチェンジ・プロセス)は、フレームワーク・シリケート内のホウ素原子(又はボロン原子)の少なくとも一部から最大で実質的に全てをアルミニウム原子と交換するのに十分な条件下において、アルミニウム供給源(例えば、アルミニウム塩を含む水溶液)にEMM-65材料を曝すことを含んでよい。
例えば、焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成したままの状態(as-calcined))のボロシリケートEMM-65材料は、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび/または酢酸アルミニウムの溶液とともに、焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成したままの状態(as-calcined))のボロン(又はホウ素)を含むEMM-65材料を加熱することによって、アルミノシリケートに変換することができる(例えば、100℃または開放系(又はオープン・システム)での沸騰温度において、対流式のオーブンにおけるシールされたオートクレーブ内)。
アルミニウム処理されたEMM-65材料は、次いで、濾過によって回収(又はリカバリ)されてよく、そして、脱イオン水で洗浄されてよい。
生成(又は形成)されるアルミニウム交換されたEMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、必要に応じて、以下の式VI:
(m)Al2O3:SiO2 (式VI)
[式中、0.005≦m≦0.05である]
の分子式によって示されてよい。
変数であるmは、式VIのAl2O3/SiO2(又はAl2O3:SiO2)のモル比の関係を表す。
式VIの変数であるmの値は、式VIに関して本開示で説明した値と同じである。
式VIの酸素原子は、炭素原子(例えば、CH2の形態)および/または窒素原子に置き換えられてよい。
このような材料は、SDAおよび不純物を除去するための適切な処理(又はトリートメント)の後にSDAおよび/または不純物を含んでよい。SDAおよび/または不純物は、式VIにおいて、示されていない。また、式VIは、存在し得るイオンを埋め合わせる(又は補償する)チャージ(又は電荷)およびプロトンを含まない。
式VIは、典型的なアルミニウム交換されたEMM-65材料(焼成された形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form)))のフレームワーク(又は骨格)を表すことができる。そして、アルミニウム交換されたEMM-65材料を単独で表すことを意味するものではない。
【0108】
また、モレキュラーシーブは、スチーム処理(又はスチーミング)および/または溶媒による洗浄処理(又はウォッシング)などの他の処理(又はトリートメント)に供されてよい。このような処理(又はトリートメント)は、当業者によく知られているものであり、モレキュラーシーブの特性(又はプロパティ)を所望の通りに変更するために行う。
【0109】
(EMM-64材料およびEMM-65材料の使用(又は使用方法又はユース))
本発明の第2および第3の態様のEMM-64材料およびEMM-65材料(SDAの一部または全てが除去されている)は、広範な炭化水素の変換(又は転化又はコンバージョン)(例えば、有機化合物の変換生成物(又は変換された生成物又は転化された生成物又はコンバージョン・プロダクト)への変換(又は転化又はコンバージョン))における触媒または触媒の支持体(又はサポート)として、または吸着材(又はアドソーベント)として使用することができる。
【0110】
EMM-64材料およびEMM-65材料(SDAの一部または全部が除去されている)は、吸着材(又はアドソーベント)として使用されてよい(例えば、蒸気相または液相において、当該材料に対して異なる吸収特性を有する複数の成分(又はコンポーネント)の混合物から、少なくとも1つの成分(又はコンポーネント)を分離するための吸着材など)。
従って、少なくとも1つの成分(又はコンポーネント)は、EMM-64材料またはEMM-65材料に対して異なる吸収特性を有する複数の成分(又はコンポーネント)の混合物から、部分的または実質的に全体的に分離することができる。分離は、1つの成分(又はコンポーネント)を選択的に吸収させるために、混合物をEMM-64材料またはEMM-65材料と接触させることによるものである。
例えば、供給原料(又はフィードストック)の残りの成分(又はコンポーネント)から、供給原料(又はフィードストック)の1以上の所望の成分(又はコンポーネント)を選択的に分離するためのプロセス(又は工程又は方法)において、この供給原料(又はフィードストック)は、有効な吸収条件で本発明のEMM-64材料またはEMM-65材料を含む吸収材(又はソーベント)と接触させることができる。それにより、吸収された生成物および流出する生成物を形成(又は生成)することができる。吸収された生成物および流出する生成物から、1以上の所望の成分(又はコンポーネント)を回収(又はリカバリ)する。
【0111】
また、EMM-64材料およびEMM-65材料(SDAの一部または全てが除去されている)は、触媒として使用することができ、広範な有機化合物の変換(又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)を触媒することができる。
化学的な変換プロセス(又は転化プロセス又はコンバージョン・プロセス)(本開示で説明するEMM-64材料およびEMM-65材料によって効果的に触媒されるプロセスであって、単独、あるいは他の触媒的な活性(又は触媒活性)を有する1以上の物質(他の結晶性の触媒を含むもの)との組み合わせによるプロセス)の例として、酸活性を有する触媒を必要とするプロセスが挙げられる。
有機変換プロセス(又は有機転化プロセス又は有機コンバージョン・プロセス)(本開示で説明するEMM-64材料またはEMM-65材料によって触媒され得るプロセス)の例として、分解(又はクラッキング)、水素化分解(又はハイドロクラッキング)、異性体化(又はアイソメリゼーション)、重合(又はポリメリゼーション)、改質(又はリフォーミング)、水素化(又はハイドロゲネーション)、脱水素化(又はデヒドロゲネーション)、脱ろう(又はデワキシング)、水素化脱ろう(又はハイドロデワキシング)、吸着(又はアドソープション)、アルキル化(又はアルキレーション)、トランスアルキル化(又はトランスアルキレーション)、脱アルキル化(又はデアルキレーション)、ハイドロデシリゼーション(hydrodecylization)、不均化(又はディスプロポーショネーション)、オリゴマー化(又はオリゴメリゼーション)、脱水素環化(又はデヒドロシクリゼーション)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
炭化水素の供給物(又はフィード)の変換(又は転化又はコンバージョン)は、任意の便利なモードで進行してよい(例えば、流動床、移動床、または固定床のリアクタであって、所望のプロセス(又は工程又は方法)の種類(又はタイプ)に応じたもの)。
【0112】
EMM-64材料およびEMM-65材料は、他の材料(例えば、バインダ(又は結合材)および/またはマトリクス材料(又は母材又はマトリクス・マテリアル)(最終製品に硬度(又はハードネス)をさらに与えるもの))と組み合わされて、製品組成物(又は生成組成物又はプロダクト・コンポジション)に調製(又は調剤又は処方)されてよい。
このような他の材料は、不活性の材料であっても、触媒活性の材料であってもよい。
【0113】
例えば、本発明のEMM-64材料またはEMM-65材料を別の材料(その使用中に採用される温度および他の条件に耐えるもの)と合わせることが望ましくてよい。
このような材料として、合成または天然由来のゼオライトならびに無機材料(例えば、クレイ、シリカおよび/または金属酸化物(例えば、アルミナ)およびそれらの混合物が挙げられる。
金属酸化物は、天然由来であっても、ゼラチン状の沈殿物またはゲル(シリカおよび金属酸化物の混合物を含む)の形態であってよい。EMM-64材料またはEMM-65材料と組み合わされる耐性材料(すなわち、これらの材料と組み合わされるか、あるいは製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のEMM-64結晶またはEMM-65結晶(その結晶が活性であるもの)の合成の間に存在するもの)の使用(又は使用方法又はユース)は、特定の有機変換プロセスにおける変換(又は転化又はコンバージョン)および/または特定の有機変換プロセスにおける触媒の選択性(又はセレクティビティ)を変化させる傾向がある。
不活性の耐性材料は、適切には、所定のプロセス(又は工程又は方法)における変換(又は転化又はコンバージョン)の量を調節(又は制御又はコントロール)するための希釈剤として役立つ。そうすることで、反応速度を制御するための他の手段を用いることなく、経済的および/または素晴らしい様式(又はマナー)で生成物(又は製品又はプロダクト)を得ることができるようになる。
このような材料は、天然由来のクレイ(例えば、ベントナイトおよびカオリン)に組み込んでよい。そうすることで、商業的な操作条件下で生成物(又は製品又はプロダクト)のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧壊強度又はクラッシュ・ストレングス)を向上させることができる。
上記の不活性の耐性材料(すなわち、クレイ、オキシド(又は酸化物)など)は、触媒においてバインダ(又は結合材)として機能する。
良好なクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧壊強度又はクラッシュ・ストレングス)を有する触媒は、有益であってよい。なぜなら、商業的な使用(又は使用方法又はユース)において、触媒が壊れてパウダー状の材料になることを防ぐのが望ましいからである。
【0114】
使用することができる天然由来のクレイとして、モンモリロナイト、およびカオリンのファミリーが挙げられる。このファミリーは、サブベントナイト(又は亜ベントナイト)、およびカオリン(Dixie、McNamee、GeorgiaおよびFloridaのクレイとして一般的に知られているものなど(ここで、メインの鉱物の構成要素は、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトまたはアナクサイトである))を含む。
このような、クレイは、原料の状態(採掘したままの状態)、あるいは焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination))、酸処理または化学修飾に付した後に使用することができる。
また、EMM-64およびEMM-65とともに複合体(又は複合材又はコンポジット)にするのに有用なバインダ(又は結合材)として、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ベリリア、アルミナ、イットリア、酸化ガリウム、酸化亜鉛およびそれらの混合物から選択される無機酸化物が挙げられる。
【0115】
上記の材料に加えて、EMM-64材料およびEMM-65材料は、多孔性(又は多孔質又はポーラス)のマトリクス材料(又は母材又はマトリクス・マテリアル)と一緒に複合体(又は複合材又はコンポジット)にされてよい(例えば、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-ソリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、ならびに、三元組成物、例えば、シリカ-アルミナ-ソリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、およびシリカ-マグネシア-ジルコニア)。
【0116】
これらのバインダ材料は、温度および他の条件(例えば、様々な炭化水素の分離(又はセパレーション)のプロセス(又は工程又は方法)において生じる機械的な摩耗)に耐性である。
従って、EMM-64材料およびEMM-65材料は、バインダ(又は結合材)とともに押出物(又はエクストルデート)の形態(又はフォーム)で使用することができる。
これらは、典型的には、錠剤形(又はピル)、球形(又はスフェア)または押出物(又はエクストルデート)を形成(又は成形)することによって結合される。
押出物(又はエクストルデート)は、通常は、モレキュラーシーブの押出成形(又はエクストルージョン)(必要に応じて、バインダの存在下)によって形成(又は成形)し、乾燥、および生じた押出物の焼成(又はか焼又はカルシネーション)する。
さらなる処理(又はトリートメント)(例えば、スチーム処理(又はスチーミング)および/またはイオン交換)を必要に応じて行うことができる。
モレキュラーシーブは、必要に応じて、バインダ(又は結合材)と結合させることができる。その表面積は、少なくとも100m2/g、例えば、少なくとも200m2/g、必要に応じて、少なくとも300m2/gである。
【0117】
モレキュラーシーブと無機酸化物マトリクスの相対的な割合(又はプロポーション)は、広範であってよい。モレキュラーシーブの含量(又は含有量又はコンテント)は、複合体(又は複合材又はコンポジット)の約1~約100重量%の範囲内であり、より通常は、特に複合体(又は複合材又はコンポジット)が押出物(又はエクストルデート)の形態で製造(又は調製又は生成又は形成)される場合、複合体(又は複合材又はコンポジット)の約2~約95重量%の範囲内にあり、必要に応じて、約20~約90重量%の範囲内である。
【0118】
また、EMM-64材料およびEMM-65材料は、水素化成分(又は水素化コンポーネント)(例えば、タングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、または貴金属(例えば、白金またはパラジウム)との親密な組み合わせ(又はコンビネーション)で使用されてよい。この組み合わせでは、水素化(又はハイドロゲネーション)-脱水素化(又はデヒドロゲネーション)の機能を行うことができる。このような水素化の成分(又はコンポーネント)は、以下の1以上のプロセス(又は工程又は方法)によって、組成物に組み込まれてよい:
共結晶化(又は共晶化又はコクリスタリゼーション);
この構造に第IIIA族の元素(又はエレメント)(例えば、アルミニウム)が存在するまで組成物を変換(又はエクスチェンジ)させること:または
密接に物理的に互いに混合させること。
また、例えば、水素化金属含有イオンでモレキュラーシーブを処理(又はトリートメント)することによって、EMM-64材料またはEMM-65材料の内側または上側に、このような成分(又はコンポーネント)を含浸させてよい。
例えば、白金の場合、この目的に適した白金化合物として、クロロ白金酸、塩化白金酸、および様々な化合物(白金アミン錯体を含むもの)が挙げられる。
また、金属とそれを導入するための方法の組み合わせ(又はコンビネーション)も使用することができる。
【0119】
当業者は、本発明のEMM-64およびEMM-65が不純物を含んでいてもよいことを理解する(例えば、アモルファスの材料(又は非晶質の材料)、異なるトポロジー(又は位相幾何学又は位相又は形態)を有する単位格子(又は単位セル又はユニット・セル)(例えば、クォーツまたはフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)が異なるモレキュラーシーブであって、生成する結晶(又はクリスタル)の性能(又はパフォーマンス)に影響を与えてもよいもの、または影響を与えることができないもの)および/または他の不純物(例えば、重金属および/または有機炭化水素類))。
EMM-64材料とともに共存する異なるフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブの典型的な例は、例えば、ASTおよび/またはITQのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブである。
EMM-65材料とともに共存する典型的な結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)は、例えば、クォーツ(又は石英)、クリストバライト(又はクリストバル石)および/またはケニヤイト(又はケニア石)などの層状相(又は層状フェーズ又はレイヤード・フェーズ)である。
本発明のEMM-64材料およびEMM-65材料は、好ましくは、不純物を実質的に含まない。
本開示で使用する用語「不純物を実質的に含まない」(あるいは、代替の「実質的に純粋」との用語)は、EMM-64材料およびEMM-65材料が、このような不純物(または「非EMM-64材料(又はノンEMM-64材料)」および「非EMM-65材料(又はノンEMM-65材料)」)を少ない割合(又はマイナー・プロポーション)(50重量%未満)、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満(例えば、0.5重量%未満または0.1重量%未満)で含むことを意味する。このような重量パーセント(重量%)の値は、不純物と、純粋なEMM-64または純粋なEMM-65とを合わせた重量に基づいている。
不純物の量は、粉末XRD、回転電子回折および/またはSEM/TEM(例えば、様々な結晶形態(又はクリスタル・モルホロジー))によって、適切に決定することができる。
【0120】
本開示で説明するEMM-64材料およびEMM-65材料は、実質的に結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)である。
本開示で使用する通り、用語「結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)」は、材料の結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)の固体(又はソリッド)の形態(又はフォーム)を意味し、単一成分(又はシングル・コンポーネント)または多成分(又はマルチ・コンポーネント)の結晶形態(又はクリスタル・フォーム)(例えば、溶媒和物(又はソルベート)、水和物(又はハイドレート)および共結晶(又はコ・クリスタル)が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)とは、分子が規則正しい繰り返しおよび/または秩序正しい配列(又は整列又はアレンジメント)を有すること、および区別可能な結晶格子を有することを意味することができる。
例えば、結晶性のEMM-64またはEMM-65は、水または溶媒の様々な含量(又は含有量又はコンテント)を有することができる。様々な結晶性の格子は、固体特性評価法(又はソリッド・ステート・キャラクタリゼーション・メソッド)(例えば、XRD(例えば、粉末XRD))によって同定(又はアイデンティフィケーション)することができる。
関連分野の当業者に知られている他の評価方法(又はキャラクタリゼーション・メソッド)は、結晶性の形態(又は結晶形態)の同定にさらに役立ってよく、さらに、安定性および溶媒/水の含量(又は含有量又はコンテント)の決定に役立つ。
本開示で使用する通り、用語「実質的に結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)」とは、説明した材料のサンプル(又は試料)の重量の大半(又はマジョリティ)(50重量%を超える量)が結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)であり、サンプルの残りが非結晶性(又は非晶質)(ノン・クリスタリン)の形態であることを意味する。
1以上の態様において、実質的に結晶性のサンプル(又は試料)は、少なくとも95%の結晶化度(又はクリスタリニティ)(例えば、5%が非結晶性の形態である)、少なくとも96%の結晶化度(例えば、4%が非結晶性の形態である)、少なくとも97%の結晶化度(例えば、3%が非結晶性の形態である)、少なくとも98%の結晶化度(例えば、約2%が非結晶性の形態である)、少なくとも99%の結晶化度(例えば、1%が非結晶性の形態である)、100%の結晶化度(例えば、0%が非結晶性の形態である)を有する。
【0121】
(RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブ)
本発明の第4の態様として本開示において記載されるものは、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブ(例えば、RTHゼオライト)を製造するための方法、当該方法によって製造することができる(又は得ることができる)RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブ、ならびにそれらの使用(又は使用方法又はユース)である。
【0122】
一実施形態において、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造するための方法は、以下の工程(又はステップ)を含む。
(a)
合成混合物(又はシンセシス混合物又はシンセシス・ミクスチャ)を調製(又は製造又は生成又は形成)するための工程(又はステップ)であって、合成混合物は、水と、シリカの供給源(又は源又はソース)と、アルミナの供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)と、必要に応じて、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属の元素(又はエレメント)(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
構造指向剤(Q)は、式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオン(上記で定義した通りである)を含み、
合成混合物は、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含み、そのF/Siのモル比が0.1未満である、工程(又はステップ)、
(b)
結晶化(又はクリスタリゼーション)の条件下で合成混合物を加熱する工程(又はステップ)であって、結晶化の条件は、モレキュラーシーブの結晶を形成(又は生成)するのに十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程(又はステップ)、
(c)
工程(b)からモレキュラーシーブの結晶の少なくとも一部を回収(又はリカバリ)する工程(又はステップ)、および、
(d)
必要に応じて、構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、工程(c)で回収(又はリカバリ)されるモレキュラーシーブの結晶を処理(又はトリートメント)する工程(又はステップ)。
【0123】
RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造(又は調製又は生成又は形成)するための公知の方法は、SDAとして、N-エチル-N-メチル-5,7,7-トリメチル-アゾニウムビシクロ[4.1.1]オクタンカチオンまたは2,6-メチル-N-メチルピペリジニウムカチオンを使用する。
驚くべきことに、この第4の態様の方法によって、特に低いSi/Alのモル比を有するアルミノシリケートRTHゼオライトの製造(又は調製又は生成又は形成)が可能になることが見出された。
また、この第4の態様の方法は、以下において有利である。高価ではないSDA、特に、N-エチル-N-メチル-5,7,7-トリメチル-アゾニウムビシクロ[4.1.1]オクタンカチオンと比較して、製造(又は調製又は生成又は形成)がより簡便であり、なおかつ高価でないSDAを用いてアルミノシリケートRTHゼオライトの製造(又は調製又は生成又は形成)が可能になる。
【0124】
本発明のこの第4の態様において、構造指向剤(structure directing agent(SDA)(Q)は、任意の適切な形態で存在してよい(例えば、ハライド(又はハロゲン化物)(例えば、クロリド(又はクロライド又は塩化物)またはブロミド(又はブロマイド又は臭化物))、ヒドロキシド(又は水酸化物)、またはニトレート(又は硝酸塩)として存在してよい(例えば、そのヒドロキシドの形態))。
構造指向剤(Q)は、合成混合物中に存在してよく、そのQ/Siのモル比は、0.01~1.0、例えば、0.05~1.0、または0.1~0.8、または0.1~0.5、例えば、0.1~0.5未満、例えば、0.2または0.3であってよい。
【0125】
合成混合物は、シリカの少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)(例えば、酸化ケイ素(又はシリコンオキシド))を含む。
当該方法において使用するシリカの適切な供給源(又は源又はソース)として、以下のものが挙げられる。
シリケート、例えば、テトラアルキルオルトシリケート、例えば、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)およびテトラエチルオルトシリケート(TEOS);
ヒュームド・シリカ、例えば、Aerosil(登録商標)(Evonikから入手可能)、Cabosperse(登録商標)(Cabotから入手可能)およびCabosil(登録商標)(DMSから入手可能);
沈降シリカ、例えば、Ultrasil(登録商標)およびSipernat(登録商標)340(Evonikから入手可能);
アルカリ金属シリケート(又はアルカリ・メタル・シリケート)、例えば、カリウム・シリケート(又はケイ酸カリウム)およびナトリウム・シリケート(又はケイ酸ナトリウム);および
シリカの水性コロイド懸濁液、例えば、Ludox(登録商標)の商品名でE.I. du Pont de Nemoursから販売されているもの、またはAerodisp(登録商標)の商品名でEvonikから販売されているもの;
好ましくは、シリケート、ヒュームド・シリカ、沈降シリカ、アルカリ金属シリケート、およびコロイドシリカである。
【0126】
合成混合物は、アルミナの少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含む。
当該方法で使用するアルミナの適切な供給源(又は源又はソース)として、以下のものが挙げられる。
アルミニウム塩、特に水溶性の塩、例えば、硫酸アルミニウム(又はアルミニウム・スルフェート)、
硝酸アルミニウム(又はアルミニウム・ニトレート)、
水酸化アルミニウム(又はアルミニウム・ヒドロキシド)、
アルカリ金属アルミネート(又はアルカリ・メタル・アルミネート)、例えば、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)、および
アルミニウム・アルコキシド、例えば、アルミニウム・イソプロポキシド、ならびに、
水和された酸化アルミニウム(又は水和アルミニウム・オキシド)、例えば、ベーマイト(boehmite)、ギブサイト(gibbsite)、擬ベーマイト(又はプスードベーマイト(pseudoboehmite))、およびそれらの混合物。
他のアルミニウム供給源として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
他の水溶性のアルミニウム塩、
アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)、
アルミニウム・アルコキシド、例えば、アルミニウム・イソプロポキシド、または
アルミニウム金属(又はアルミニウム・メタル)、例えば、チップの形態のアルミニウム。
【0127】
あるいは、上記で言及したSiおよびAlの供給源(又は源又はソース)に加えて、SiおよびAlの元素(又はエレメント)の両方を含む供給源(又は源又はソース)も使用することができる(例えば、アモルファス(又は非晶質)のシリカ-アルミナ・ゲルまたは乾燥シリカ・アルミナ・パウダー、シリカ・アルミナ、クレイ、例えば、カオリン、メタカオリン、およびゼオライト、特に、アルミノシリケート、例えば、合成フージャサイト、および超安定(又はウルトラステーブル)なフージャサイト、例えば、Ultrastable Y(USY)、ベータまたは他の大(又はラージ)~中(又はミディアム)のポア(又は孔又は細孔)のゼオライト)。
【0128】
合成混合物のSi/Alのモル比は、5~50、例えば、5~40、または30、特に5~30未満、または5~20、例えば、5または10であってよい。
【0129】
RTHのフレームワーク・タイプ(フレームワーク型)のゼオライトの製造(又は調製又は生成又は形成)に使用される合成混合物は、フルオリドイオン(又はフロライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含み、そのF/Siのモル比は、0.1未満、例えば、0~0.1未満、または0~0.05、または0~0.01、例えば、0である。
特に、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトの製造(又は調製又は生成又は形成)に使用される合成混合物は、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を実質的に含まない。
このことは、フルオリドイオンの供給源(又は源又はソース)を合成混合物に任意の適切な量で添加しないことを意味する。その量は、例えば、合成混合物のF/Siのモル比は、0.1未満であり、特に、0.05未満であり、例えば、0.01未満であり、0.005未満であってよく、例えば、0である。
上記のフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)は、存在する場合、モレキュラーシーブの合成混合物において、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)を放出(又はリリース)することができる任意の化合物に由来するものであってよい。例えば、フッ化水素(HF);1またはいくつかのフルオリドイオンを含む塩、例えば、金属フルオリド(又はメタル・フルオリド)、好ましくは、金属(又はメタル)がナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウム;フッ化アンモニウム(NH4F)、およびフッ化水素アンモニウム(NH4HF2)。
また、少量のフルオリドイオン(F)が不純物として存在してもよい。例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の任意の供給源(又は源又はソース)において存在してよい。
【0130】
合成混合物は、必要に応じて、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)とは異なるハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含んでよい。ハライドイオン(W)は、クロリド(又はクロライド又は塩化物)、ブロミド(又はブロマイド又は臭化物)またはヨージド(又はアイオダイド又はヨウ化物)からなる群から選択されてよい(例えば、クロリド)。
ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)の供給源(又は源又はソース)は、モレキュラーシーブの合成混合物において、ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)を放出(又はリリース)することができる任意の化合物であってよい。
ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)の供給源(又は源又はソース)の非限定的な例として、以下のものが挙げられる。
塩化水素、塩化アンモニウム、臭化水素、臭化アンモニウム、ヨウ化水素、およびヨウ化アンモニウム;
1またはいくつかのハライドイオンを含む塩、例えば、金属ハライド(又はメタル・ハライド)、好ましくは、金属(又はメタル)が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはバリウムであるもの;
ハロゲン化アンモニウム(又はアンモニウム・ハライド);または
テトラアルキルアンモニウムハライド、例えば、テトラメチルアンモニウムハライドまたはテトラエチルアンモニウムハライド。
ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)は、W/Siのモル比が、0~1.0、例えば、0~0.5、例えば、0.2または0.3で存在してよい。
あるいは、合成混合物は、ハライドイオン(又はハロゲン化物イオン)(W)を実質的に含まなくてよい。
【0131】
また、必要に応じて、合成混合物は、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の少なくとも1つの供給源(又は源又はソース)を含んでよい。
例えば、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)は、構造指向剤(structure directing agent)(Q)のカウンターイオン(又は対イオン)として存在してよい。あるいは、Alの供給源(又は源又はソース)として水酸化アルミニウム(又はアルミニウムヒドロキシド)を使用することによって存在してよい。
また、ヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)の適切な供給源(又は源又はソース)は、以下からなる群から選択されてよい。
アルカリ金属ヒドロキシド(又はアルカリ・メタル・ヒドロキシド)、アルカリ土類金属ヒドロキシド、水酸化アンモニウム(又はアンモニウム・ヒドロキシド)、およびそれらの混合物からなる群;
例えば、水酸化ナトリウム(又はナトリウム・ヒドロキシド)、水酸化カリウム(又はカリウム・ヒドロキシド)、水酸化リチウム(又はリチウム・ヒドロキシド)、水酸化ルビジウム(又はルビジウム・ヒドロキシド)、水酸化カルシウム(又はカルシウム・ヒドロキシド)、水酸化マグネシウム(又はマグネシウム・ヒドロキシド)、水酸化アンモニウム(又はアンモニウム・ヒドロキシド)、およびそれらの混合物からなる群;
より頻繁には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物からなる群、
最も頻繁には、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムである。
合成混合物は、ヒドロキシドイオン供給源を含んでよく、そのOH/Siのモル比は、00~2.0、例えば、0~1.5または0.1~1.5、例えば、0.2~1.3または0.3~1.0、例えば、0.4、0.5または0.6~最大で1.4、1.2または1.0であってよい。
あるいは、合成混合物は、ヒドロキシド供給源を含まなくてよい。
【0132】
合成混合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の1以上の供給源(又は源又はソース)をさらに含む。
存在する場合、Mは、好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、カルシウム、マグネシウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくはナトリウムである。
ナトリウム供給源(又はナトリウム源又はナトリウム・ソース)は、存在する場合、水酸化ナトリウム(又はナトリウム・ヒドロキシド)、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)、ケイ酸ナトリウム(又はナトリウム・シリケート)、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)、またはナトリウム塩、例えば、NaCl、NaBr、または硝酸ナトリウムであってよい。
カリウム供給源(又はカリウム源又はカリウム・ソース)は、存在する場合、水酸化カリウム(又はカリウム・ヒドロキシド)、アルミン酸カリウム(又はカリウム・アルミネート)、ケイ酸カリウム(又はカリウム・シリケート)、カリウム塩、例えば、KClまたはKBrまたは硝酸カリウムであってよい。
リチウム供給源(又はリチウム源又はリチウム・ソース)は、存在する場合、水酸化リチウム(又はリチウム・ヒドロキシド)またはリチウム塩、例えば、LiCl、LiBr、LiI、硝酸リチウム、または硫酸リチウムであってよい。
ルビジウム供給源(又はルビジウム源又はルビジウム・ソース)は、存在する場合、水酸化ルビジウム(又はルビジウム・ヒドロキシド)またはルビジウム塩、例えば、RbCl、RbBr、RBIまたは硝酸ルビジウムであってよい。
カルシウム供給源(又はカルシウム源又はカルシウム・ソース)は、存在する場合、例えば、水酸化カルシウム(又はカルシウム・ヒドロキシド)であってよい。
マグネシウム供給源(又はマグネシウム源又はマグネシウム・ソース)は、存在する場合、例えば、水酸化マグネシウム(又はマグネシウム・ヒドロキシド)であってよい。
また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)は、シリカまたはアルミナの1以上の供給源に存在してよい(例えば、アルミン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルミネート)、ケイ酸カリウム(又はカリウム・シリケート)および/またはケイ酸ナトリウム(又はナトリウム・シリケート))。
合成混合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン(M)の供給源(又は源又はソース)を含んでよく、
そのM/Siのモル比は、0.1~2.0、例えば、0.1~1.5、例えば、0.15~1.0、例えば、0.15、0.2または0.3~最大で1.0または0.7であってよい。
【0133】
合成は、核を形成するシード(又は核形成シード)の添加あり、添加なしで行われてよい。
核形成シードを合成混合物に添加する場合、このようなシードは、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブの構造と同じ構造または異なる構造を有していてよい(例えば、以前の合成(同一または異なっていてもよい)からのRTHゼオライト)。そして、合成混合物の重量に基づいて、約0.01重量ppm~約10,000重量ppm、例えば、合成混合物の重量に基づいて、約100重量ppm~約5,000重量ppmの量で適切に存在してよい。
【0134】
合成混合物は、典型的には、水を含み、そのH2O/Siのモル比は、1~100、例えば、2~80、例えば、少なくとも10、20、30または40~最大で80または70、例えば、40~70である。
ベース混合物(又は塩基性の混合物)の成分(又はコンポーネント)の性質に応じて、ベース混合物(又は塩基性の混合物)の一定量の溶媒(例えば、ヒドロキシド溶液からの水、ならびに、必要に応じて、シリカ供給源の加水分解からのメタノールおよびエタノール)は、除去されてよい。そうすることで、合成混合物において、溶媒/Si(又は溶媒:Si)の所望のモル比が達成されるようになる。
溶媒の含量(又は含有量又はコンテント)を減らすための適切な方法として、静的または流動的な雰囲気(例えば、周囲空気(又は周囲大気)、乾燥窒素、乾燥空気(又は乾燥大気))のもとでのエバポレーション(又は蒸発)あるいは噴霧乾燥(又はスプレー乾燥)または凍結乾燥(又はフリーズ・ドライ)による方法が挙げられてよい。
生じる混合物に水を添加してよい。それにより、所望のH2O/Siのモル比を達成してよい。このとき、溶媒除去プロセスの間にかなり多くの水を除去する。
いくつかの実施例において、水の除去は必要ない。このとき、製造(又は調製又は生成又は形成)は、H2O/Siの十分なモル比を有する。
【0135】
炭素は、CH2の形態にあり、RTHのゼオライトを製造(又は調製又は生成又は形成)するのに使用される成分(又はコンポーネント)の様々な供給源(又は源又はソース)に存在してよい(例えば、4価の元素(又はエレメント)の供給源(シリカ供給源)または3価の元素(又はエレメント)の供給源(アルミナ供給源))。そして、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)としてRTHのゼオライト・フレームワークに組み込まれる。
窒素原子は、SDAが除去された後に架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)としてRTHゼオライトのフレームワークに組み込まれてよい。
【0136】
1以上の態様において、溶媒調整(例えば、ここで、水/シリカ(又は水:シリカ)の所望の比を達成する)の後の合成混合物は、機械的なプロセス(又は工程又は方法)(又はメカニカル・プロセス)によって混合されてよい。例えば、撹拌または高せん断ブレンド(又はハイ・シア・ブレンディング)によって、ベース混合物(又は塩基性の混合物)の適切な均質化(又はホモジナイゼーション)を確実にすることができる。例えば、混合速度1000rpm~3000rpm(例えば、2000rpm)の二重非対称遠心混合(又はデュアル・アシンメトリ遠心混合)(例えば、FlackTekのスピードミキサー)を使用する。
【0137】
次いで、合成混合物をRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブが形成(又は生成)するのに適した結晶化の条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)に供する。RTHのモレキュラーシーブの結晶化は、適切な反応容器において、静的または撹拌の条件下で行ってよい(例えば、適切な温度に維持された対流式のオーブンに入れられたテフロン(登録商標)ライニング(又はライナー)付またはステンレス鋼製のオートクレーブまたはポリプロピレン製のジャーなど)。
【0138】
当該方法の工程(b)における結晶化(又はクリスタリゼーション)は、典型的には、100℃~200℃の温度で行われる(例えば、150℃~170℃)。時間は、採用する温度において結晶化が生じるのに十分な時間である。
例えば、より高温では、結晶化の時間は、短くなってよい。
例えば、当該方法の工程(b)における結晶化の条件(又はクリスタリゼーション条件又はクリスタリゼーション・コンディション)は、1~100日、例えば、1~50日、例えば、1~30日(例えば、1~12または14~16日、または1~7日)の期間にわたる加熱を含んでよい。
結晶化の時間は、当該分野で知られている方法によって確立されてよい(例えば、様々な時間での合成混合物のサンプリングおよび沈殿した固体の収率およびX線による結晶化度(又はクリスタリニティ)の決定による方法)。
本開示において他に記載されていない限り、測定される温度は、加熱される材料の周囲環境の温度である(例えば、材料が加熱される雰囲気(又は大気)の温度)。
【0139】
典型的には、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブは、溶液中で形成(又は生成)され、標準的な手段(例えば、遠心分離または濾過)によって回収(又はリカバリ)することができる。
また、分離されたRTHモレキュラーシーブは、洗浄され、遠心分離または濾過により回収(又はリカバリ)され、乾燥させることができる。
【0140】
本開示のモレキュラーシーブは、有機化合物の変換プロセス(又は転化プロセス又はコンバージョン・プロセス)における触媒として、または吸着材(又はアドソーベント)として採用される場合、少なくとも部分的に脱水(例えば、乾燥)されてよい。
これは、80℃~500℃の範囲の温度に加熱することによって行われ得る(例えば、90℃~370℃、雰囲気(又は大気)(例えば、空気(又はエア)、窒素など)、大気圧下、減圧下、加圧下、30分~48時間)。
また、脱水(又はデハイドレーション)は、モレキュラーシーブを減圧(又は真空)に配置することによって、単に室温で行われてもよい。ただし、より長い時間が必要である。それにより、十分な量の脱水を行う。
【0141】
結晶化プロセスの結果として、回収された生成物(又は製品又はプロダクト)は、そのポア(又は孔又は細孔)の内部に合成に使用した構造指向剤の少なくとも一部を含む。
従って、工程(c)から回収される合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のRTHゼオライトは、合成の間にポア(又は孔又は細孔)に組み込まれたSDAの一部または全てを除去するための熱処理または他の処理(又はトリートメント)に供されてよい。
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のRTHゼオライトの熱処理(例えば、焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination))は、典型的には、炉(又はファーネス)において、空気(又はエア)、窒素、オゾンまたはそれらの混合物から選択される雰囲気において、材料を高温に曝して、SDAの一部または全部を十分に除去する。
熱処理に減圧を用いてよいが、簡便であるとの理由から、大気圧が望ましい。
熱処理は、最大で925℃、例えば、300℃~700℃または400℃~600℃の温度で行うことができる。
測定される温度は、サンプル(又は試料)の周囲環境の温度である。
熱処理(例えば、焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination))は、乾燥空気(又はドライ・エア)の箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)で行われてよく、空気(又はエア)から水を除去する乾燥剤を含む乾燥チューブ(又はドライ・チューブ)に曝されている。
加熱は、通常、少なくとも1分、概して、1日以下または最大で数日にわたって焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination))する。
加熱は、まず、窒素雰囲気下で行われてよい。次いで、雰囲気は、空気(又はエア)および/またはオゾンに変更(又はスイッチ)されてよい。
【0142】
また、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブは、イオン交換処理に供されてよい。例えば、水性アンモニウム塩、例えば、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムおよび酢酸アンモニウムを用いる。その目的は、残存するアルカリ金属のカチオンおよび/またはアルカリ土類金属のカチオンを除去し、それらをプロトンと置き換えることである。それにより、酸形態のモレキュラーシーブを生成(又は形成又は製造)する。
所望の程度まで、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の材料の元々(又はオリジナル)のカチオン(例えば、アルカリ金属カチオン)は、他のカチオンとのイオン交換によって、置き換えることができる。
好ましい置換カチオンとして、水素イオン、水素前駆体(又は水素プリカーサ又はハイドロジェン・プリカーサ)、例えば、アンモニウムイオン、およびそれらの混合物が挙げられてよい。
イオン交換の工程(又はステップ)は、製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のモレキュラーシーブを乾燥させた後に行うことができる。
イオン交換の工程(又はステップ)は、焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination))の工程(又はステップ)の前または後に行うことができる。
【0143】
また、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブは、他の処理(例えば、スチーム処理(又はスチーミング)および/または溶媒での洗浄処理(又はウォッシング))に供されてよい。
このような処理は、当業者によく知られている。そして、モレキュラーシーブの特性(又はプロパティ)を望み通りに変更するために行う。
【0144】
RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブは、WO2001/044109(本開示にその全体が参考として組み込まれている)に開示されているようなX線回折パターンによって特徴付け(又はキャラクタリゼーション)されている。
より具体的には、焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))のRTHアルミノシリケートは、表7に示す特徴的なピーク(2θ(°)および間隔dの値を含む粉末X線回折パターンを有する。
ここで、間隔dの値は、偏差を有し、この偏差は、±0.20(2θ(°))の該当する偏差に基づいて決定したものである(ただし、ブラッグの法則(Bragg’s law)を用いた間隔dとして該当する値に変換している)。
【0145】
【0146】
XRDパターンは、本開示で説明するXRDピークを有するものであり、Cu(Kα)の照射(又はラディエーション)を使用する。
【0147】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書に開示の第4の態様の方法によって得ることができる(又は製造することができる)(または得られた)RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブに関する。
【0148】
本発明の第5の態様は、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブに関し、そのポア(又は孔又は細孔)の構造の内部に上記で定義(又は規定)した式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを有するものである。
このRTHゼオライトは、以下の式VII:
(n)Q:(m)Al2O3:SiO2 (式VII)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0.01<m≦0.10であり、
Qは、式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンである]
の分子式によって表すことができる。
式VIIは、典型的なアルミノシリケートRTHゼオライトのフレームワークを表し、そのポア(又は孔又は細孔)の構造の内部に構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)を有するものである。そして、このような材料を単独で示すことを意味するものではない。
RTHゼオライト材料は、不純物を含んでよい。このような不純物は、式VIIにおいて示されていない。
さらに、式VIIは、RTHゼオライト材料に存在し得るイオンを埋め合わせる(又は補償する)チャージ(又は電荷)およびプロトンを含むものではない。
【0149】
変数であるmは、式VIIにおいて、Al2O3/SiO2(又はAl2O3:SiO2)のモル比の関係を表す。
例えば、mが0.10である場合、SiO2/Al2O3(又はSiO2/Al2O3)のモル比は、10であり、Si/Alのモル比は、5である。
mは、0.01~0.1で変動してよい(例えば、0.0125~0.1、例えば、0.025~0.1)。
Si/Al(Si:Al)のモル比は、5~50であってよい。例えば、5~40または30、特に、5~30未満、例えば、5~20、または5~15であってもよく、例えば、5~10、または、5~10未満であってよい。
【0150】
変数であるnは、式VIIにおいて、Q/SiO2(又はQ:SiO2)のモル比の関係を表す。
例えば、nが0.1である場合、Q/SiO2(又はQ:SiO2)のモル比は、0.1である。
Q/SiO2(又はQ:SiO2)のモル比は、0~0.2であってよい(例えば、0.02~0.1、例えば、0.03~0.06)。
【0151】
本発明の第6の態様は、RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブに関し、特に低いSi/Alのモル比を有するものである。特に、Si/Alのモル比は、10未満であり、例えば、5~10未満、例えば、7または8である。
このようなRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブは、以下の式VIII:
(m)Al2O3:SiO2 (式VIII)
[式中、0.05<m≦0.10である]
の分子式によって表されてよい。
変数であるmは、式VIIIのAl2O3/SiO2(又はAl2O3:SiO2)のモル比の関係を表す。
例えば、mが0.1である場合、SiO2/Al2O3(又はSiO2:Al2O3)のモル比は、10であり、Si/Alのモル比は、5である。
式VIIIにおける酸素原子は、炭素原子によって置き換えられてよい(例えば、CH2の形態)。炭素原子は、製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のRTHゼオライトを製造(又は調製又は生成又は形成)するために使用する成分(又はコンポーネント)の供給源(又は源又はソース)に由来するものであってよい。
また、式VIIIにおける酸素原子は、窒素原子によって置き換えられてよい(例えば、SDAが除去された後)。
式VIIIは、典型的なRTHゼオライトのフレームワーク(その焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))を表すことができ、RTHゼオライトを単独で表すことを意味するものではない。
RTHゼオライトは、SDAおよび不純物を除去するための適切な処理の後、SDAおよび/または不純物を含んでよい。このようなSDAおよび/または不純物は、式VIIIについて説明するものではない。
さらに、式VIIIは、焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))のRTHゼオライトに存在し得るイオンを埋め合わせる(又は補償する)チャージ(又は電荷)およびプロトンを含むものではない。
【0152】
(RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブの使用(又は使用方法又はユース)
本発明の第4の態様の方法によって得ることができる(又は製造することができる)か、あるいは、本発明の第5および/または第6の態様に定義(又は規定)されているようなRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブ(SDAの一部または全部が除去されている)は、広範な炭化水素の変換(又は転化又はコンバージョン)(例えば、変換(又は転化又はコンバージョン)された生成物(又は製品又はプロダクト)への有機化合物の変換(又は転化又はコンバージョン))における触媒または触媒の支持体(又はサポート)として、または吸着材(又はアドソーベント)として使用されてよい。
【0153】
アルミノシリケートRTHゼオライト材料(SDAの一部または全部が除去されている
)は、吸着材(又はアドソーベント)として使用されてよい。例えば、当該材料とは異なる吸収特性を有する蒸気相(又は気相又はベーパー・フェーズ)または液体相(又は液相又はリキッド・フェーズ)の複数の成分(又はコンポーネント)の混合物から少なくとも1つの成分(又はコンポーネント)を分離するために使用されてよい。
従って、アルミノシリケートRTHゼオライト材料とは異なる吸収特性を有する複数の成分(又はコンポーネント)の混合物から少なくとも1つの成分(又はコンポーネント)を部分的または実質的に全てを分離することができる。これは、RTH材料と混合物を接触させて、1つの成分(又はコンポーネント)を選択的に吸収させることによる。
例えば、供給原料(又はフィードストック)の残存成分(複数)から、供給原料(又はフィードストック)の1以上の所望の成分(又はコンポーネント)を選択に分離するプロセス(又は工程又は方法)において、供給原料(又はフィードストック)は、有効な吸収の条件において、本発明のアルミノシリケートRTHゼオライトを含む吸収材(又はソーベント)と接触させることができる。それにより、吸収された生成物および流出する生成物を形成する。
吸収された生成物および流出する生成物から1以上の所望の成分(又はコンポーネント)を回収(又はリカバリ)する。
【0154】
また、アルミノシリケートRTHゼオライト(SDAの一部または全部が除去されている)は、広範な有機化合物の変換(又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)を触媒する触媒として使用されてよい。
化学的な変換(又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)の例として、酸活性をともなう触媒を必要とするものが挙げられる。化学的な変換(又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)は、本開示で説明するアルミノシリケートRTHゼオライトによって効果的に触媒されるものである。単独、あるいは他の結晶性の触媒を含む1以上の他の触媒活性物質と組み合わせる。
有機の変換(又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)の例として、クラッキング(又は分解)、ハイドロクラッキング(又は水素化分解)、リフォーミング(又は改質)、ハイドロゲネーション(又は水素化)、デハイドロゲネーション(又は脱水素化)、デワキシング(又は脱ろう)、アドソープション(又は吸着)、アルキレーション(又はアルキル化)、オリゴメリゼーション(又はオリゴマー化)、メタノールからオレフィンへの変換(又は転化又はコンバージョン)、脱NOxの用途(又は応用又は適用又はアプリケーション)、およびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)が挙げられる。これらは、本開示で説明するアルミノシリケートRTHゼオライトによって触媒され得るものである。
炭化水素の供給物(又はフィード)の変換(又は転化又はコンバージョン)は、任意の便利なモード、例えば、所望のプロセスの種類(又はタイプ)に応じた流動床、移動床または固定床の反応器(又はリアクタ)で行われてよい。
【0155】
アルミノシリケートRTHゼオライトは、他の材料(例えば、バインダ(又は結合材)および/またはマトリクス材料(又はマトリクス・マテリアル又は母材)であって、完成品にさらなる硬さ(又はハードネス)を付与するもの)と組み合わせること(又はコンビネーション)によって、製品組成物(又はプロダクト・コンポジション)に調製(又は製剤又は処方又はフォーミュレーション)されてよい。こららの他の材料は、不活性(又はイナート)であっても、触媒的に活性(又はアクティブ)な材料であってもよい。
【0156】
例えば、本発明の第5または第6の形態のアルミノシリケートRTHゼオライトまたは本発明の第4の態様のプロセス(又は工程又は方法)によって得ることができる(又は製造することができる)アルミノシリケートRTHゼオライトを使用の間に採用される温度および他の条件に耐える別の材料と合わせることが望ましいかもしれない。
このような材料は、合成または天然由来のゼオライトならびに無機材料(例えば、クレイ、シリカおよび/または金属酸化物(又はメタル・オキシド)(例えば、アルミナおよびそれらの混合物)を含む。
金属酸化物は、天然由来のものであっても、ゼラチン状の沈殿物もしくはゲル(シリカと金属酸化物との混合物を含む)の形態であってもよい。
アルミノシリケートRTHゼオライトと結合する耐性材料(その結晶が活性であるもの)を使用すること、すなわち、それらを組み合わせること、または製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のアルミノシリケートRTHゼオライトの合成の間に存在させることは、変換(又は転化又はコンバージョン)および/または特定の有機の変換(又は転化又はコンバージョン)のプロセス(又は工程又は方法)における触媒の選択性を変化させる傾向にある。
不活性の耐性の材料は、希釈剤として適切に役立ち、所定のプロセス(又は工程又は方法)において、変換(又は転化又はコンバージョン)の量を調整(又は制御又はコントロール)する。そうすることによって、生成物(又は製品又はプロダクト)は、反応の速度を調整(又は制御又はコントロール)するための他の手段を採用することなく、経済的および優れた様式(又はマナー)で得ることができる。
このような材料は、天然由来のクレイ(例えば、ベントナイトおよびカオリン)に組み込まれてよい。それにより、商業的な操作の条件下で生成物(又は製品又はプロダクト)のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧壊強度又はクラッシュ・ストレングス)を向上させることができる。
上記の不活性な耐性の材料(すなわち、クレイ、オキシド(又は酸化物)など)は、触媒におけるバインダ(又は結合材)として機能する。
良好なクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧壊強度又はクラッシュ・ストレングス)を有する触媒は、有益であってよい。なぜなら、商業的な使用(又は使用方法又はユース)において、触媒が壊れてパウダー状の材料になることを防ぐのが望ましいからである。
【0157】
使用することができる天然由来のクレイとして、モンモリロナイト、およびカオリンのファミリーが挙げられる。このファミリーは、サブベントナイト(又は亜ベントナイト)、およびカオリン(Dixie、McNamee、GeorgiaおよびFloridaのクレイとして一般的に知られているものなど(ここで、メインの鉱物の構成要素は、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトまたはアナクサイトである))を含む。
このような、クレイは、原料の状態(採掘したままの状態)、あるいは焼成(又はか焼又はカルシネーション(calcination))、酸処理または化学修飾に付した後に使用することができる。
また、アルミノシリケートRTHゼオライトとともに複合体(又は複合材又はコンポジット)にするのに有用なバインダ(又は結合材)として、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ベリリア、アルミナ、イットリア、酸化ガリウム、酸化亜鉛およびそれらの混合物から選択される無機酸化物が挙げられる。
【0158】
上記の材料に加えて、アルミノシリケートRTHゼオライトは、多孔性(又は多孔質又はポーラス)のマトリクス材料(又は母材又はマトリクス・マテリアル)と一緒に複合体(又は複合材又はコンポジット)にされてよい(例えば、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-ソリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、ならびに、三元組成物、例えば、シリカ-アルミナ-ソリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、およびシリカ-マグネシア-ジルコニア)。
【0159】
これらのバインダ材料は、温度および他の条件(例えば、様々な炭化水素の分離(又はセパレーション)のプロセス(又は工程又は方法)において生じる機械的な摩耗)に耐性である。
従って、アルミノシリケートRTHゼオライトは、バインダ(又は結合材)とともに押出物(又はエクストルデート)の形態で使用することができる。
これらは、典型的には、錠剤形(又はピル)、球形(又はスフェア)または押出物(又はエクストルデート)を形成(又は成形)することによって、結合される。
押出物(又はエクストルデート)は、通常は、モレキュラーシーブの押出成形(又はエクストルージョン)(必要に応じて、バインダの存在下)によって形成(又は成形)し、乾燥、および生じた押出物の焼成(又はか焼又はカルシネーション)する。
さらなる処理(又はトリートメント)(例えば、スチーム処理(又はスチーミング)および/またはイオン交換)を必要に応じて行うことができる。
モレキュラーシーブは、必要に応じて、バインダ(又は結合材)と結合させることができる。その表面積は、少なくとも100m2/g、例えば、少なくとも200m2/g、必要に応じて、少なくとも300m2/gである。
【0160】
モレキュラーシーブと無機酸化物マトリクスとの相対的な割合(又はプロポーション)は、広範であってよい。モレキュラーシーブの含量(又は含有量又はコンテント)は、複合体(又は複合材又はコンポジット)の約1~約100重量%の範囲内であり、より通常は、特に複合体(又は複合材又はコンポジット)が押出物(又はエクストルデート)の形態で製造(又は調製又は生成又は形成)される場合、複合体(又は複合材又はコンポジット)の約2~約95重量%の範囲内にあり、必要に応じて、約20~約90重量%の範囲内にある。
【0161】
また、アルミノシリケートRTHゼオライトは、水素化成分(例えば、タングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、または貴金属(例えば、白金またはパラジウム)との親密な組み合わせ(又はコンビネーション)で使用されてよい。この組み合わせでは、水素化(又はハイドロゲネーション)-脱水素化(又はデヒドロゲネーション)の機能を行うことができる。このような水素化の成分(又はコンポーネント)は、以下の1以上のプロセス(又は工程又は方法)によって、組成物に組み込まれてよい:
共結晶化(又は共晶化又はコクリスタリゼーション);
この構造に第IIIA族の元素(又はエレメント)(例えば、アルミニウム)が存在するまで組成物を変換(又はエクスチェンジ)させること:または
密接に物理的に互いに混合させること。
また、例えば、水素化金属含有イオンでモレキュラーシーブを処理(又はトリートメント)することによって、アルミノシリケートRTHゼオライトの内側または上側に、このような成分(又はコンポーネント)を含浸させてよい。
例えば、白金の場合、この目的に適した白金化合物として、クロロ白金酸、塩化白金酸、および様々な化合物(白金アミン錯体を含むもの)が挙げられる。
また、金属とそれを導入するための方法との組み合わせ(又はコンビネーション)も使用することができる。
【0162】
当業者は、本発明の第5または第6の態様のアルミノシリケートRTHゼオライトまたは本発明の第4の態様の方法によって得ることができる(又は製造することができる)アルミノシリケートRTHゼオライトが不純物を含んでもよいことを理解する(例えば、アモルファスの材料(又は非晶質の材料)、異なるトポロジー(又は位相幾何学又は位相又は形態)を有する単位格子(又は単位セル又はユニット・セル)(例えば、クォーツ(又は石英)またはフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)が異なるモレキュラーシーブであって、生成する結晶(又はクリスタル)の性能(又はパフォーマンス)に影響を与えてもよいもの、または影響を与えることができないもの)および/または他の不純物(例えば、重金属および/または有機炭化水素類))。
アルミノシリケートRTHゼオライトとともに共存する結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)の典型的な例は、例えば、クォーツ(又は石英)、モルデナイト、クリストバライト、ゼオライトPおよび/またはANAのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のモレキュラーシーブである。
アルミノシリケートRTHゼオライトは、好ましくは、不純物を実質的に含まない。
本開示で使用する用語「不純物を実質的に含まない」(あるいは、代替の「実質的に純粋」との用語)は、アルミノシリケートRTHゼオライトが、このような不純物(または「非RTH材料(又はノンRTH材料)」を少ない割合(又はマイナー・プロポーション)(50重量%未満)、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満(例えば、0.5重量%未満または0.1重量%未満)で含むことを意味する。このような重量パーセント(重量%)の値は、不純物と純粋なアルミノシリケートRTHゼオライトとを合わせた重量に基づいている。
不純物の量は、粉末XRD、回転電子回折および/またはSEM/TEM(例えば、様々な結晶形態(又はクリスタル・モルホロジー))によって、適切に決定することができる。
【0163】
本開示で説明するアルミノシリケートRTHゼオライトは、実質的に結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)である。
本開示で使用する通り、用語「結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)」は、材料の結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)の固体(又はソリッド)の形態(又はフォーム)を意味し、単一成分(又はシングル・コンポーネント)または多成分(又はマルチ・コンポーネント)の結晶形態(又はクリスタル・フォーム)(例えば、溶媒和物(又はソルベート)、水和物(又はハイドレート)および共結晶(又はコ・クリスタル)が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)とは、分子が規則正しい繰り返しおよび/または秩序正しい配列(又は整列又はアレンジメント)を有すること、および区別可能な結晶格子を有することを意味することができる。
例えば、アルミノシリケートRTHゼオライトは、水または溶媒の様々な含量(又は含有量又はコンテント)を有することができる。
様々な結晶性の格子は、固体特性評価法(又はソリッド・ステート・キャラクタリゼーション・メソッド)(例えば、XRD(例えば、粉末XRD))によって同定(又はアイデンティフィケーション)することができる。
関連分野の当業者に知られている他の評価方法(又はキャラクタリゼーション・メソッド)は、結晶性の形態(又は結晶形態)の同定(又は帰属又はアイデンティフィケーション)にさらに役立ってよく、さらに、安定性および溶媒/水の含量(又は含有量又はコンテント)の決定に役立つ。
本開示で使用する通り、用語「実質的に結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)」とは、説明した材料のサンプル(又は試料)の重量の大半(又はマジョリティ)(50重量%を超える量)が結晶性(又は結晶質又はクリスタル又はクリスタリン)であり、サンプルの残りが非結晶性(ノン・クリスタリン)の形態であることを意味する。
1以上の態様において、実質的に結晶性のサンプル(又は試料)は、少なくとも95%の結晶化度(又はクリスタリニティ)(例えば、5%が非結晶性の形態である)、少なくとも96%の結晶化度(例えば、4%が非結晶性の形態である)、少なくとも97%の結晶化度(例えば、3%が非結晶性の形態である)、少なくとも98%の結晶化度(例えば、約2%が非結晶性の形態である)、少なくとも99%の結晶化度(例えば、1%が非結晶性の形態である)、100%の結晶化度(例えば、0%が非結晶性の形態である)を有する。
【0164】
本開示の態様は、具体的な実施例によって、より詳細に説明する。
以下の実施例は、例示を目的として提供されるものであり、いかなる方法によっても本開示を限定することを意図するものではない。
関連技術分野の当業者であれば、本質的に同じ結果を得るために、様々なパラメータを変更または修正できることを容易に認識する。
【実施例】
【0165】
(実施例)
以下に本発明をさらに説明する。本発明は、以下の範囲に限定されるものではない。
【0166】
これらの実施例において、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))の材料(又はマテリアル)のX線回折パターン(XRDパターン)は、X-Ray Powder Diffractometer(Bruker DaVinci D8 Discovery 装置(又は機器(instrument))で記録した(Cu Kα照射(又はラディエーション)を用いる連続モード、Bragg-Bentanoジオメトリ(Vantec 500 detector)、2θの範囲(4~36°))。
面間の間隔(又はスペーシング)(又はインタープラナー・スペーシング)である間隔d(又はdスペーシング)は、オングストローム(Å)の単位(又はユニット)で計算され、ライン(又は線)の相対強度であるI/Ioは、ピーク強度/最も強いライン(又は線)のピーク強度(バックグラウンドを超えるもの)の比である。
これらの強度は、ローレンツ効果(Lorentz effect)および偏光効果(polarization effect)を補正していない。
2θにおける回折ピークの位置(又はロケーション)、およびライン(又は線)の相対ピーク面積強度(I/Io)(Ioは、最も強いライン(又は線)の強度である)(バックグラウンドを超えるもの)は、MDI Jade ピーク・サーチ・アルゴリズムを用いて決定した。
シングル・ライン(又は単一の線)として記載されている回折データは、結晶学的な変化(又はクリスタログラフィック・チェンジ)の違いなどの特定の条件下では、分解または部分的に分解されたライン(又は線)として現れ得る複数の重なり合ったライン(又は線)から構成されている場合があることを理解すべきである。
典型的には、結晶学的な変化(又はクリスタログラフィック・チェンジ)には、構造を変えることなく、単位格子(又はユニット・セル)のパラメータのわずかな変化および/または結晶の対称性の変化が含まれてよい。
また、相対強度の変化を含むこれらの小さな影響(又はマイナー・エフェクト)は、カチオンの含量(又は含有量又はコンテント)、フレームワークの組成(又はフレームワーク・コンポジション)、ポア(又は孔又は細孔)の充填の性質および程度、結晶の寸法(又は大きさ又はサイズ)およびシェイプ(又は形)、好ましい配向(又はオリエンテーション)(又は優先配向)、ならびに熱および/または水熱の履歴(又はヒストリ)の違いの結果として生じるものであってよい。
【0167】
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の材料の走査型電子顕微鏡(SEM)の画像は、Hitachi 4800 Scanning Electron Microscopeにより得られた。
生成物(又は製品又はプロダクト)の純度(又はピュアリティ)の評価(又はアセスメント)を支援するために、SEMの画像を用いた。
SEM画像に明らかに異なる結晶形態が存在する場合、他の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)の形態で不純物が存在することを示すことがあってもよい。
このような近似分析(approximate analysis)は、生成物(又は製品又はプロダクト)のXRDパターンでは同定(又はアイデンティフィケーション)できない比較的(又は相対的)に少量の結晶性の不純物の形成(又は生成)の存在を同定するのに特に有用であってよい。
【0168】
イオン交換(又はイオンエクスチェンジ)および焼成(又はカルシネーション)を行ったサンプル(又は試料)で以下の測定を行った。
イオン交換および焼成に供されたサンプルについては、それぞれ、以下の手順を採用した。
調製した状態(又は調製時又は調製後の状態又は調製されたままの状態(as-prepared))のサンプル(又は試料)を1Mの硝酸アンモニウム溶液で2回洗浄し、次いで、500℃で16時間にわたって焼成した。
【0169】
材料の総BET表面積(SBET)は、BET法によって決定した。BET法は、S. Brunauer, P.H. Emmett および E. Teller によって、J. Am. Chem. Soc., 1938, 60, 309(この文献は、本開示に参考として組み込まれている)に記載されている(液体窒素の温度での窒素の吸着-脱着を用いる)。
【0170】
材料のミクロポア・ボリューム(又は細孔容量又は細孔容積又は細孔体積(micropore volume))(Vmicro)は、関連分野で知られている方法を用いて決定することができる。
例えば、材料のミクロポア・ボリューム(又は細孔容量又は細孔容積又は細孔体積)は、窒素物理吸収(nitrogen physisorption)で測定することができる。データは、tプロット法によって分析することができる。tプロット法は、Lippens, B.C.らの “Studies on pore system in catalysts: V. The t method”, J. Catal., 4, 319 (1965)に記載されている。この文献は、ミクロポア・ボリューム法(micropore volume method)を説明するものであり、本開示において参考として組み込まれている。
【0171】
α値(又はアルファ・バリュー)は、触媒の分解活性(又はクラッキング・アクティビティ)の測定値であり、米国特許第3,354,078号および文献(the Journal of Catalysis, Vol. 4, p. 527 (1965); Vol. 6, p. 278 (1966); および Vol. 61, p. 395 (1980))に記載されている。これらは、それぞれ、本開示において、その記載について、参考として組み込まれている。
本開示で使用する試験(又はテスト)の実験条件として、一定温度(538℃)および可変のフロー・レート(又は流量又は流速)(the Journal of Catalysis, Vol. 61, p. 395に詳細に記載の通りである)が挙げられる。
【0172】
実施例1
1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムヒドロキシドの合成
500mLの丸底フラスコに、25.0gの6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジンを200mLのアセトンに溶解させた。
次いで、周囲条件にて、このフラスコに41.76gのヨードメタンを滴下漏斗を介してゆっくりと滴下して導入した。
次の日、エチルエーテルを添加して、溶解していた固体を析出させた。
次いで、固体をろ過して回収し、エーテルで濯いで、乾燥させた。
回収した生成物の収率は、52gであった。
生成物の純度を1H-NMRおよび13C-NMRで確認した。
【0173】
次いで、1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムのハライド塩(又はハロゲン化物塩)をイオン交換に付して、ヒドロキシド(又は水酸化物)の形態にした(ハライド塩を水に溶解させて、2倍過剰のDowex LC NG ヒドロキシド交換樹脂を添加したことによる)。
次いで、樹脂をろ過して除去し、脱イオン水で洗浄して、樹脂から生成物を除去した。
次いで、複数の水性の画分(又はフラクション)を合わせて、減圧下、約60℃で濃縮した。
この水溶液の濃度は、0.1MのHClの標準溶液(又はスタンダード溶液)を用いて滴定することによって、7.4重量%であると決定した。
【0174】
実施例2
EMM-64の合成
実施例2.01~2.21の合成に関して用いたモル比および条件ならびに得られた生成物(又は製品又はプロダクト)については、以下にて詳細に説明し、表8にまとめて記載している。
【0175】
実施例2.01
EMM-64の合成
EMM-64は、まず、モル比に関して、H2O/Si=4,Q/Si=0.50,OH/Si=0.50,HF/Si=0.50の組成(又はコンポジション)を有する合成混合物から、1.5mLのステンレス鋼製の反応器(又はリアクタ)(回転式、150℃、10日間)で行った合成から観察された。構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)として、実施例1で製造(又は調製)した1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムヒドロキシドを用いた(7.4重量%溶液)。
シリカ供給源(又はシリカ源又はシリカ・ソース)は、テトラメチルオルトシリケート(TMOS,>99重量%)であった。
HFは、15重量%溶液の形態であった。
【0176】
生成物を遠心分離により単離し、脱イオン水で再懸濁して、次いで、もう一回、遠心分離を行った。このプロセス(又は工程又は方法)を3回繰り返した。次いで、生成物を90℃で乾燥させた。次いで、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の材料を以下の手順によって箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)において600℃まで焼成(又はカルシネーション)した。室温で2時間にわたって流動窒素にサンプル(又は試料)を曝した。続いて、室温から400℃まで2時間かけて昇温(又はランプ)した。その間、窒素のフローを維持した。次いで、温度を400℃で15分間にわたって維持した。次いで、雰囲気を流動窒素(又はフロー窒素)から流動乾燥空気(又はフロー・ドライ・エア)に変更(又はスイッチ)した。次いで、1時間かけて400℃~600℃に温度を上昇(又はランプ)させた。温度を2時間にわたって600℃で維持した。次いで、箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)を冷却した。
【0177】
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized)および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined)の材料のXRD分析は、この材料がユニークな粉末XRDパターンを有することを示した。これは、公知のゼオライトと一致させることができず、純粋(又はピュア)な合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))のEMM-64生成物(又はEMM-64プロダクト)と命名(又は帰属)した。
図1は、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))の材料の粉末XRDを示す。
図2は、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の生成物のSEMの画像を示す。
【0178】
実施例2.02
より大きなスケール(又はラージ・スケール)でのEMM-64の合成
この実施例は、より大きなスケール(又はラージ・スケール)での実施例2.01の再生産(又はリプロダクション)であった。10mLのTeflon(登録商標)の反応器(又はリアクタ)で合成した。17.4gの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムヒドロキシド(7.4重量%溶液)を2.6gのTMOS(>99重量%)に添加した。混合物を撹拌プレートに配置し、1時間にわたって撹拌した後、混合物を減圧オーブン(又はバキューム・オーブン)(約50℃)に配置した。反応器を減圧オーブンに放置し、16.15gの水が蒸発するまで、定期的に秤量した。次いで、容器を減圧オーブンから除去し、0.262gの水および1.14gのHF(15重量%溶液)を反応器に添加した。次いで、このTeflonの反応器を金属製のハウジング(又はメタル・ハウジング)に配置し、150℃で14日間にわたって加熱した(回転式オーブン(約45rpm))。14日後、反応器を取り出し、遠心分離を用いて生成物を回収し、蒸留水(200mL)を用いて3回洗浄した。換気式の乾燥オーブン(又はベント・ドライ・オーブン)において、生成物を90℃で乾燥させた。合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))の材料のXRDパターンは、純粋(又はピュア)なEMM-64である生成物を示した。
【0179】
実施例2.03~2.05
H2O/Siのモル比を変動させたEMM-64の合成
実施例2.03~2.05は、実施例2.02と同様の条件下で行った。ただし、H2O/Siのモル比は、それぞれ、20、30、50と変動させた。各実験によって、14日間にわたる150℃での加熱の後、純粋(又はピュア)なEMM-64が得られた(そのXRDパターンにより同定した)。
【0180】
実施例2.06~2.11
130℃でのEMM-64の合成(H2O/Siのモル比を変動させた)
実施例2.06~2.11は、130℃において、実施例2.02と同様の条件下で行った。ただし、H2O/Siのモル比は、4~50で変動させた。反応物のスケールは、3.6gのTMOSであった。
【0181】
H2O/Siのモル比=7,10,20において、実施例2.08、2.06、2.09によって、純粋(又はピュア)なEMM-64が生成された(それらのXRDパターンにより同定した)。
低いH2O/Siのモル比=4において、実施例2.07によって、ほとんどアモルファス(又は非晶質)の生成物(EMM-64は少量であった)が得られた(130℃、27日後)。
より高いH2O/Siのモル比=30および50において、実施例2.10および2.11によって、それぞれ、EMM-64(アモルファス材料は少量であった)が得られた(130℃、27日後)。
【0182】
図3は、実施例2.06の合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の生成物のSEMの画像を示す。以下の表9および表10は、実施例2.06の焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))および製造した状態(又は製造時又は製造後の状態又は製造されたままの状態(as-made))のEMM-64生成物に関するピークおよび強度のリストを示す。合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))のEMM-64生成物の粉末回折データは、正方晶系空間群(又はテトラゴナル・スペース・グループ)I 41 2 2で指定(又はインデックス)され得るものであり、単位格子(又はユニット・セル)の寸法(又は次元又はディメンション)が、a=13.8±0.20オングストローム(Å)、c=18.0±0.20オングストローム(Å)である。また、EMM-64材料の粉末回折データは、粉末XRD(FOCUSアルゴリズムを適用するもの)による構造解析によって分析されたものであり、3D 8-リング・チャネル・システムおよびキラルのフレームワークを有することが示された。
【0183】
実施例2.12~2.15
150℃でのEMM-64の合成(より低いH2O/Siのモル比)
実施例2.12~2.15は、150℃において、実施例2.02と同様の条件下で行った。ただし、H2O/Siのモル比は、1~4であった。それぞれの実験によって、150℃で5~7日間の加熱後、純粋(又はピュア)なEMM-64が得られた(そのXRDパターンにより同定した)。
【0184】
図4は、実施例2.12の合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の生成物のSEMの画像を示す。結晶の4フォールド対称性(又は4フォールド・シンメトリ(4-fold symmetry))は、明らかである。
実施例2.12の生成物のサンプル(又は試料)を吸着試験(又は吸着テスト又はアドソープション・テスト)に提供した。
ミクロポア・ボリューム(V
micro)は、0.13cc/gであった。n-ヘキサンのアップテーク(又は取り込み又は取り込み量)は、非常に遅く、わずか4.6mg/gにしか到達しなかった。
【0185】
実施例2.16~2.21
アルミニウム供給源(又はアルミニウム源又はアルミニウム・ソース)の存在下でのEMM-64の合成(Si/Alのモル比を変動させた)
実施例2.16~2.21は、150℃、H2O/Siのモル比=4において、実施例2.02と同様の条件下で行った。ただし、アルミニウム供給源(又はアルミニウム源又はアルミニウム・ソース)の存在下、Si/Alのモル比は、100、30、20で変動させた。実施例2.16~2.21では、2つの異なるアルミニウム供給源(又はアルミニウム源又はアルミニウム・ソース)を使用した。
実施例2.16~2.18では、硝酸アルミニウム(15重量%溶液)を使用した。
実施例2.19~2.21では、MS-25のアモルファス(又は非晶質)のシリカ-アルミナ(65.5%シリカ/22%アルミナ)を使用した。
各実施例によって、150℃で6~7日間の加熱後、純粋(又はピュア)なEMM-64が得られた(それらのXRDパターンにより同定した)。
【0186】
図5は、実施例2.16、2.17、2.18の合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の生成物のSEMの画像を示す。
理解できる通り、アルミニウムの量を増加させると、その効果は、2倍になる。
結晶性(又はクリスタリティ)は、Alの含量(又は含有量又はコンテント)の増加にともなって、より小さくなる。
また、それらは、面が十分に形成されなくなり、より共に成長するようになる。
図6(実施例2.16、2.17、2.18)は、アルミニウムの含量(又は含有量又はコンテント)を増加させることによって、如何にして、粉末XRDにおいて、より広い回折ピークをもたらすのかを示す。このとき、個々の結晶性(又はクリスタリティ)は、より小さくなる。
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
実施例3
EMM-65の合成
実施例3.01~3.05の合成に使用されるモル比および条件ならびに得られる生成物について、以下に詳細に説明し、表11にまとめて記載する。
【0191】
実施例3.01
EMM-65の合成
EMM-65は、まず、モル比に関して、H2O/Si=36,Q/Si=0.20,Na/Si=0.10,OH/Si=0.30,およびSi/B=20の組成(又はコンポジション)を有する合成混合物から、1.5mLのステンレス鋼製の反応器(又はリアクタ)(回転式、160℃、7日間)において行った合成から観察された。構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)として、実施例1で製造(又は調製)した1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムヒドロキシドを用いた(7.4重量%溶液)。
シリカ供給源(又はシリカ源又はシリカ・ソース)は、Aerodisp W 7330N(30重量%のコロイドシリカ懸濁液)であった。
ボロン供給源(又はボロン源又はボロン・ソース)は、ホウ酸(3.047重量%溶液)であった。
Mの供給源(又は源又はソース)は、NaOH(10重量%溶液)であった。
【0192】
生成物を遠心分離により単離し、脱イオン水に再懸濁させて、次いで、もう一回、遠心分離した。このプロセス(又は工程又は方法)を3回繰り返した。次いで、生成物を90℃で乾燥させた。次いで、以下の手順により、箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)において、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の材料を600℃まで焼成(又はカルシネーション)した。サンプル(又は試料)を流動窒素(又はフロー窒素)に曝した(2時間、室温)。続いて、室温から400℃に昇温(又はランプ)した(2時間)。その間、窒素の流れ(又はフロー)を維持した。次いで、15分間にわたって、400℃で温度を維持した。次いで、雰囲気を流動窒素(又はフロー窒素)から流動乾燥空気(又はフロー・ドライ・エア)に変更(又はスイッチ)した。次いで、1時間かけて、400℃から600℃に温度を上昇(又はランプ)させた。2時間にわたって、600℃で温度を維持した。次いで、箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)を冷却した。
【0193】
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))の材料のXRD分析は、ユニークな粉末XRDパターンを有する材料を示した。これは、公知のゼオライトに一致させることができなかったものであり、純粋(又はピュア)な合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態又は焼成されたままの状態(as-calcined))のEMM-65生成物と命名(又は同定)した。
層状相(又は層状フェーズ又はレイヤード・フェーズ)の不純物は、約4.5(2θ(°))のピークによって実証されている。
焼成時、この特徴は、維持されるが、強度は低下し、5.1(2θ(°))に移動する。
このピークの位置(又はポジション)は、ケニヤイト(又はケニア石(Kenyaite))の存在と一致する。
図8は、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の生成物(又は製品又はプロダクト)のSEMの画像を示す。
ニードルまたはラスは、EMM-65に起因するものであり、プレートは、層状相(又は層状フェーズ又はレイヤード・フェーズ)の不純物に起因するものである。
【0194】
実施例3.02
より大きなスケール(又はラージ・スケール)でのEMM-65の合成(45mL)
この実施例は、より大きなスケール(又はラージ・スケール)での実施例3.01の再生産(又はリプロダクション)であり、45mLのステンレス鋼製のParrオートクレーブ(PTFEライナーあり)において行われた。6.7gのAerodisp W 7330Nと、13.7gの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムヒドロキシド(7.4重量%溶液)と、3gのホウ酸溶液(3.047重量%)と、1.34gのNaOH溶液(10重量%)と、0.26gの脱イオン水とを一緒に添加して、混合して、均一な懸濁液を調製した。次いで、この混合物をオートクレーブ反応器(又はオートクレーブ・リアクタ)において密封(又はシール)し、対流式のオーブン(又はコンベクション・オーブン)のスピット(又は串)に配置し、160℃で7日間にわたって、回転条件下で加熱した(約40rpm)。ろ過を行いながら、脱イオン水(約250mL)で洗浄した後、固体の生成物をオーブンで乾燥させて(90℃、一晩)、2.2gの乾燥した生成物を得た。
【0195】
図9に示す通り、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態または焼成されたままの状態(as-calcined))の材料の粉末XRDパターンによって、純粋(又はピュア)なEMM-65である生成物(又は製品又はプロダクト)が示された。
以下の表12および表13は、実施例3.02の焼成した状態(又は焼成後の状態または焼成されたままの状態(as-calcined))および製造した状態(又は製造時又は製造後の状態または製造されたままの状態(as-made))のEMM-65生成物の粉末XRDパターンにおけるピークの位置(又はポジション)および強度を示す。
図10は、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65生成物(又はニードル又はラスから構成されている)のSEMの画像を示す。
また、このSEMの画像は、小さなスケール(又はスモール・スケール)の実施例3.01で観察されたプレート(又は板状物)が存在しないことを示している。
【0196】
実施例3.03
より大きなスケール(又はラージ・スケール)でのEMM-65の合成(125mL)
この実験は、より大きなスケール(又はラージ・スケール)での実施例3.02の再生産(又はリプロダクション)であり、125mLの鋼製のParrオートクレーブ(PTFEライナーあり)で行った。この合成では、18.8gのAerodisp W 7330Nを使用した。160℃で7日間にわたる加熱の後、純粋(又はピュア)なEMM-65を得た(そのXRDパターンにより同定した)。焼成した状態(又は焼成後の状態または焼成されたままの状態(as-calcined))の生成物の誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma)(IPC)法による元素分析によって、材料がSi/Bの原子比=22.4およびNa/Siの原子比=0.005を有することを示した。
【0197】
実施例3.04
より大きなスケール(又はラージ・スケール)でのEMM-65の合成(300mL)
この実験は、より大きなスケール(又はラージ・スケール)での実施例3.02の再生産(又はリプロダクション)であり、300mLのオーバーヘッド撹拌の鋼製のParrオートクレーブで行った。この合成は、64.4gのAerodisp W 7330Nと、0.19gの実施例3.03の生成物(シードとして)とを使用した。160℃で8日間にわたる加熱の後、純粋(又はピュア)なEMM-65を得た(
図11に示す通り、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の生成物のXRDパターンにより同定した)。
図7および
図9の粉末XRDパターンと比較すると、この粉末XRDパターンのよりシャープなフィーチャ(又は特徴)は、結晶の寸法(又は次元又はディメンション)がより厚いことに起因する。
図12は、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))のEMM-65生成物のSEMの画像を示す。
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))および焼成した状態(又は焼成後の状態または焼成されたままの状態(as-calcined))のEMM-65生成物の粉末回折データは、直方晶系空間群(orthorhombic space group)Pmmn2で指定(又はインデックス)され得るものであって、単位格子(又はユニット・セル)の寸法(又は次元又はディメンション)が、a=5.15±0.20オングストローム(Å)、b=27.3±0.20オングストローム(Å)、c=11.4±0.20オングストローム(Å)である。
電子回折による構造解析のためにEMM-65生成物のサンプル(又は試料)を分析したところ、1D 12-リング・チャネル・システムを有するものであって、ポア(又は孔又は細孔)の寸法(又は次元又はディメンション)が、7.9±0.20オングストローム(Å)×6.0±0.20オングストローム(Å)を有することが示された。
図13は、その12-リング・ポア(又は12環のポア又は12員のポア)に沿うEMM-65のプロジェクション(又は平面図)を示す。
【0198】
合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の材料は、16時間にわたる500℃での焼成(又はカルシネーション)、1Mの硝酸アンモニウム溶液を用いるバッチ系(又はバッチ・システム)でのアンモニウムイオン交換、および、次いで、再度の16時間にわたる500℃での焼成(又はカルシネーション)であった。
この材料のBET表面積(SBET)は、387m2/gであった。そのミクロポア・ボリューム(Vmicro)は、0.13cc/gであった。
【0199】
実施例3.05
Mの供給源(又は源又はソース)としてKOHを用いたEMM-65の合成
この実験は、実施例3.02と同様の条件下で行った。ただし、Mの供給源(又は源又はソース)として、NaOHの代わりに、KOHを使用した。また、実施例3.03の生成物(0.0145g)をシード(又は種)として添加した。この合成は、4.8gのAerodisp W 7330Nを使用した。160℃で12日間にわたる加熱の後、純粋(又はピュア)なEMM-65を得た(そのXRDパターンにより同定した)。粉末XRDは、以前のサンプル(又は試料)と比較して、より広いフィーチャ(又は特徴)を有していた。なぜなら、その結晶性(又はクリスタリティ)が、より薄いものであったからである。
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
実施例3.06
アルミニウム交換EMM-65の製造(又は調製)
アルミニウム交換して焼成された実施例3.04の生成物の一部を1Mの硝酸アルミニウム溶液中、80℃で一晩加熱して、フレームワークのBをAlと交換した。次いで、生成物を100℃で乾燥させて、500℃で16時間にわたって焼成した。
【0204】
焼成したサンプル(又は試料)のSi/Alの原子比は、約37であった(EDXにより決定した)。焼成したサンプルのα値(又はアルファ・バリュー)は、5であった。そのBET表面積(SBET)は、350m2/gであった。そのミクロポア・ボリューム(Vmicro)は、0.14cc/gであった。焼成した材料において、n-ヘキサン、2,3-ジメチルブタン(2,3-DMB)およびメシチレンのアップテーク(又は取り込み又は取り込み量)を決定した。材料を窒素流(又は窒素ストリーム)に置いた。次いで、スパージャ(sparger)を通して、炭化水素を導入することによって、窒素流(又は窒素ストリーム)を飽和させて、炭化水素のアップテーク(又は取り込み又は取り込み量)を決定した。炭化水素をそれぞれ異なる温度で吸着させた。
n-ヘキサンは、90℃で吸着させた。
2,3-DMBは、120℃で吸着させた。
メシチレンは、100℃で吸着させた。
n-ヘキサンのアップテーク(又は取り込み又は取り込み量)は、50.5mg/gであった。
2,3-DMBのアップテーク(又は取り込み又は取り込み量)は、45mg/gであった。
メシチレンのアップテーク(又は取り込み又は取り込み量)は、58mg/gであった。
【0205】
実施例4
RTHゼオライトの合成
実施例4.01~4.11の合成で使用する原材料、モル比および条件ならびに得られる生成物を以下に詳細に説明し、表14にまとめて記載する。
【0206】
実施例4.01
RTHゼオライトの合成
1.5mLのステンレス鋼製の反応器(又はリアクタ)において、以下の試薬をその順番で約200rpmで撹拌しながら添加した。
7.76μlの蒸留水、
324.5μlの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムヒドロキシド(7.4重量%溶液)(構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q))、
74.54μlのLudox LS-30(30重量%のコロイドシリカ懸濁液)、
58.13μlのNaOH(10重量%溶液)、および
8.40mgのUltrastable Y(USY)(Si/Al=3)。
得られる合成混合物は、モル比に関して、以下の組成(又はコンポジション)を有するものであった。
H2O/Si=45であり、
Si/Al=20であり、
Q/Si=0.30であり、
OH/Si=0.60であり、
M/Si=0.30であった。
合成混合物を約2時間にわたって撹拌した。
次いで、回転式オーブン(約45rpm)に入れて、160℃で7日間にわたって加熱した。
反応混合物を冷却した。生成物を遠心分離によって回収(又はリカバリ)し、蒸留水で洗浄し、もう一回、遠心分離した。
このプロセス(又は工程又は方法)を3回繰り返した。
次いで、生成物を換気式の乾燥オーブン(又はベント・ドライ・オーブン)において90℃で乾燥させた。
次いで、合成した状態(又は合成後の状態又は合成されたままの状態(as-synthesized))の材料を以下の手順によって箱形炉(又はボックス炉又はボックス・ファーネス)において600℃まで焼成(又はカルシネーション)した。
室温で2時間にわたって流動窒素(又はフロー窒素)にサンプル(又は試料)を曝し、続いて、2時間かけて室温から400℃に昇温(又はランプ)した。その間、窒素フロー下で維持した。
次いで、15分間にわたって、温度を400℃で維持した。次いで、雰囲気を流動窒素(又はフロー窒素)から流動乾燥空気(又はフロー・ドライ・エア)に変更(又はスイッチ)した。
次いで、この温度を1時間かけて400℃から600℃に上昇(又はランプ)した。
2時間にわたって温度を600℃で維持した。次いで、箱形炉(又はボックス炉又ボックス・ファーネス)を冷却した。
【0207】
焼成した状態(又は焼成時の状態又は焼成したままの状態(as-calcined))の材料のXRD分析は、この材料がRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・ゼオライトの粉末XRDパターンの特徴(又はキャラクター)を有することを示した。この材料は、少量(又はマイナー量)のクォーツ(又は石英)も含んでいた。
【0208】
実施例4.02
実施例4.01の再生産(又はリプロダクション)(28日間のより長い加熱時間)
実施例4.02は、実施例4.01と同様の条件下で行った。ただし、合成混合物は、7日間ではなく、28日間にわたって加熱した。得られる生成物は、RTHゼオライトとクォーツ(又は石英)との混合物(約50:50)として同定(又はアイデンティフィケーション)した。
【0209】
この結果は、合成混合物において過剰のシリカを存在させたことによって説明することができる。2分子の構造指向剤(structure directing agent)(SDA)/ケージ(すなわち、2つの正の電荷(又はポジティブ・チャージ)/ケージ)を用いたRTHゼオライト生成物の理想的な組成(又は組成物又はコンポジション)に関して、Si/Alのモル比=20と、Si/Alのモル比=7との競合で説明することができる。
この過剰のシリカは、アモルファス(又は非晶質)(母液に溶解しているもの)であっても、シリカ・リッチ相(例えば、クォーツ(又は石英))として結晶化されていてもよい。理論に拘束されることは望まないが、これは、早い段階において、過剰のシリカの多く(又はかなり)が母液に溶解したままであると考えられる。特に、当該合成混合物のOHの含量(又は含有量又はコンテント)がかなり高いとの観点から(OH/Si=0.6)、過剰のシリカの多く(又はかなり)が母液に溶解したままであると考えられる。しかし、時間の経過とともに、溶解したシリカは、クォーツ(又は石英)を形成することができる。
また、このことは、OHの含量(又は含有量又はコンテント)の低下(又はドロップ)によって、時間の経過とともに、SDAが分解してよく、このOHの含量(又は含有量又はコンテント)の一部を消費することができることも好ましくてもよい。
【0210】
実施例4.03
より低いSi/Alのモル比でのRTHゼオライトの合成
実施例4.03は、実施例4.02と同様の条件下で行った。ただし、合成混合物は、Si/Alのモル比=10を有するものであった。
このようにして得られる生成物は、RTHゼオライトとして同定(又はアイデンティフィケーション)した(そのXRDパターンに基づく)。
このことは、実施例4.02で得た結果に対する説明を確認するものである。
【0211】
実施例4.04~4.06
Al供給源(又はAl源又はAlソース)としてジョージア(Georgia)・メタカオリンを使用するRTHゼオライトの合成
実施例4.04は、実施例4.03と同様の条件下で行った。ただし、Al供給源(又はAl源又はAlソース)としてジョージア(Georgia)・メタカオリンを使用した。
実施例4.05は、実施例4.04と同様の条件下で行った。ただし、より低いSi/Alのモル比=5、およびより短い加熱時間=14日間を採用した。
実施例4.06は、実施例4.05と同様の条件下で行った。ただし、NaOHではなく、KOHを使用した。
このようにして得られる生成物は、RTHゼオライトとして同定(又はアイデンティフィケーション)した(それらのXRDパターンに基づく)。これは、ANAのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトとの組み合わせ(又はコンビネーション)の可能性がある。
【0212】
実施例4.07~4.08
Al供給源(又はAl源又はAlソース)としてアルミン酸ナトリウムを用いたRTHゼオライトの合成
実施例4.07は、実施例4.03と同様の条件下で行った。ただし、Al供給源(又はAl源又はAlソース)としてアルミン酸ナトリウムを用いた(NaAlO2)(8.86重量%溶液)。
実施例4.08は、実施例4.07と同様の条件下で行った。ただし、より低い温度=120℃、およびより小さなNaOH/Siのモル比=0.15を採用した。
このようにして得られる生成物は、RTHゼオライトとして同定(又はアイデンティフィケーション)した(それらのXRDパターンに基づく)。
【0213】
実施例4.09~4.11
RTHゼオライト合成の代替例
実施例4.09は、実施例4.01の実験の手順に従って行った。ただし、Si供給源(又はSi源又はSiソース)として(Aerodisp W 7330N(30重量%コロイドシリカ懸濁液))と、Al供給源(又はAl源又はAlソース)としてアルミン酸ナトリウム(NaAlO2)(8.86重量%溶液)とを用いた。この時、より低いSi/Alのモル比は、5であった。
このようにして得られる生成物は、RTHゼオライトとして同定(又はアイデンティフィケーション)した(そのXRDパターンに基づく)。
【0214】
実施例4.10は、実施例4.09と同様の方法で行った。ただし、H2O/Si、Si/AlおよびNaOH/Siのモル比を表14に記載の通りに変化させた。また、HClの存在下で行った。
このようにして得られる生成物は、RTHおよびANAのゼオライトの混合物として同定(又はアイデンティフィケーション)した(そのXRDパターンに基づく)。
【0215】
実施例4.11は、実施例4.09または実施例4.10と同様の方法で行った。ただし、より低い温度は、120℃であり、より長い加熱時間は、28日間であり、モル比を表14に記載の通りに変化させて、HClの存在下で行った。このようにして得られる生成物は、RTHゼオライトとして同定(又はアイデンティフィケーション)した(そのXRDパターンに基づく)。
【0216】
【0217】
理論に拘束されることは望まないが、本発明者らは、RTHゼオライト生成物は、2分子の構造指向剤(structure directing agent)(SDA)/RTHキャビティ(又は1つのRTHキャビティあたり)を含む(又は塞ぐ)と考えている。分子は、πスタック(又はパイ・スタック)であってよい。より高い密度のエクストラ・フレームワーク・チャージによって、必然的により高いフレームワーク・ネガティブ・チャージをもたらす。従って、RTHは、特に低いSi/Alのモル比、例えば、15未満(例えば、10または5であってもよい)のSi/Alのモル比を有する合成混合物から、純粋(又はピュア)な材料として結晶化させることができる。塞がれたアルカリカチオンが存在しない場合、1つのキャビティあたりの2つのSDAに関する理想的なSi/Alの比は、7である。1つのキャビティあたりの1つのシングル・チャージ・カチオンについては、理想的なSi/Alの比は、15となる。
【0218】
比較例5
1-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロキノリニウムヒドロキシドの構造指向剤としての使用
実施例3.02を繰り返した。ただし、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)として、1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムヒドロキシドではなく、1-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロキノリニウムヒドロキシドを用いた。160℃で7日間にわたって加熱した後、SSZ-59(SFNのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型))と、クォーツ(又は石英)との混合物を得た。
【0219】
本発明を特定の実施形態を参照しながら説明し、図示したが、本発明は、それ自体、本明細書に具体的に図示されていない多くの様々な変更(又は代替(alterations))、修正(又は変更(modifications))、および変形(又はバリエーション(variations))に適していることが、当業者には理解されよう。また、本開示において、数値の下限と数値の上限とが列挙されている場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が考慮されることは、当業者に明らかである。また、本開示の詳細な説明に記載の数値は、すべて、「約」によって、記載された値が修飾され、当業者によって予想され得る実験誤差や変動まで考慮される。
【0220】
上記の説明において、数または要素(又はエレメント)(既知の明白または予想可能な均等物を有するもの)が記載されている場合、このような均等物は、本開示において、個々に記載されているかの如く包含されている。本発明の本当の範囲を決定するためには、特許請求の範囲を参照するべきである。特許請求の範囲は、このような均等物をいずれも包含するものとして解釈されるべきである。
また、読者は、以下のことを理解する。本発明の好ましい、有利または都合が良いなどと記載されいる数または特徴は、任意であり、独立請求項の範囲を限定するものではない。
さらに、以下のことが理解されるべきである。このような任意の数または特徴は、本発明のいくつかの実施形態において、有益である可能性があるものの、望ましいものではなくてよい。従って、他の実施形態においては、存在していなくてもよい。
【0221】
さらに/あるいは、本発明は、以下の実施形態に関する。
【0222】
実施形態1
ゼオライトを製造(又は調製又は生成又は形成)するための構造指向剤(structure directing agent)(SDA)として、以下の式I:
【化3】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンの使用。
【0223】
実施形態2
前記式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンは、そのヒドロキシド(又は水酸化物)および/またはハライド(又はハロゲン化物)の形態、好ましくはヒドロキシド(又は水酸化物)、クロリド(又はクロライド又は塩化物)、ブロミド(又はブロマイド又は臭化物)、ヨージド(又はアイオダイド又はヨウ化物)またはフルオリド(又はフルオライド又はフッ化物)の形態、より好ましくはヒドロキシド(又は水酸化物)またはフルオリド(又はフルオライド又はフッ化物)の形態、最も好ましくはヒドロキシド(又は水酸化物)の形態である、実施形態1に記載の使用。
【0224】
実施形態3
EMM-64、EMM-65またはアルミノシリケートのRTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のゼオライトを製造(又は生成又は形成)するための実施形態1または2に記載の使用。
【0225】
実施形態4
結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)であって、EMM-64で示され、焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、以下の表1:
【表19】
から選択される少なくとも9、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも11、最も好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する結晶性の材料。
【0226】
実施形態5
以下の式II:
(m)X2O3:YO2 (式II)
[式中、
0≦m≦0.025であり、
Xは、3価の元素、Yは、4価の元素であり、特に、Xは、Al、B、FeおよびGaの1以上を含み、好ましくは、Xは、Alおよび/またはB、より好ましくはAlを含むか、Alおよび/またはB、より好ましくはAlであり、
Yは、Si、Ge、Sn、TiおよびZrの1以上を含み、好ましくは、Yは、Siを含むか、Siである]
の分子式を有する、実施形態4に記載の結晶性の材料。
【0227】
実施形態6
結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)であって、EMM-64で示され、合成した形態(又は合成後の形態又は合成されたままの形態(as-synthesized form))において、以下の表3:
【表20】
から選択される少なくとも7、好ましくは少なくとも8、より好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【0228】
実施形態7
以下の式III:
(n)Q:(m)X
2O
3:YO
2 (式III)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0≦m≦0.025であり、
Qは、以下の式I:
【化4】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンであり、
Xは、3価の元素(又はエレメント)であり、特に、Xは、Al、B、FeおよびGaの1以上を含み、好ましくは、Xは、Alおよび/またはB、より好ましくはAlを含むか、Alおよび/またはB、より好ましくはAlであり、
Yは、4価の元素(又はエレメント)であり、特に、Yは、Si、Ge、Sn、TiおよびZrの1以上を含み、好ましくは、Yは、Siを含むか、Siである]
の分子式を有する、実施形態6に記載の結晶性の材料。
【0229】
実施形態8
単位格子(又は単位セル又はユニット・セル)における四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)であって、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)によって結合されている四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)に関する以下の表2:
【表21】
に示す結合性(又はコネクティビティ)によって規定(又は定義)されるフレームワークを有する、実施形態4~7のいずれか1項に記載の結晶性の材料。
【0230】
実施形態9
実施形態4~8のいずれか1項に記載のEMM-64の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)を製造(又は生成又は形成)するための方法であって、以下の(a)~(d)の工程:
(a)
合成混合物を調製(又は製造又は生成又は形成)する工程であって、前記合成混合物は、水と、4価の元素(Y)の酸化物の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じて3価の元素(X)の酸化物の供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)と、フルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(又はエレメント)(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化5】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物が、少なくとも0.1のF/Yのモル比でフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下(又はクリスタリゼーション条件下又はクリスタリゼーション・コンディション下)で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するのに十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収した結晶性の材料を処理する工程
を含む、方法。
【0231】
実施形態10
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成(又はコンポジション):
【表22】
を有する、実施形態9に記載の方法。
【0232】
実施形態11
結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)であって、EMM-65で示され、焼成した形態(又は焼成後の形態又は焼成されたままの形態(as-calcined form))において、以下の表4:
【表23】
から選択される少なくとも8、好ましくは少なくとも9、より好ましくは少なくとも10、最も好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【0233】
実施形態12
以下の式IV:
(m)B2O3:SiO2 (式IV)
[式中、0.005≦m≦0.05であり]
の分子式を有する、実施形態11に記載の結晶性の材料。
【0234】
実施形態13
結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)であって、EMM-65で示され、合成した形態(又は合成後の形態又は合成されたままの形態(as-synthesized form))において、以下の表6:
【表24】
から選択される少なくとも18、好ましくは少なくとも19、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは全てのピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【0235】
実施形態14
以下の式V:
(n)Q:(m)B
2O
3:SiO
2 (式V)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0.005<m≦0.05であり、
Qは、以下の式I:
【化6】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンである]
の分子式を有する、実施形態13に記載の結晶性の材料。
【0236】
実施形態15
単位格子における四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)であって、架橋原子(又はブリッジ原子又はブリッジング・アトム)によって結合されている四面体(T)の原子(又は四面体原子又はテトラヘドラル原子)について、以下の表5:
【表25】
に示す結合性(又はコネクティビティ)によって規定(又は定義)されるフレームワークを有する、実施形態11~14のいずれか1項に記載の結晶性の材料。
【0237】
実施形態16
実施形態11~15のいずれか1項に記載のEMM-65の結晶性の材料(又は結晶材料又はクリスタル材料又はクリスタリン・マテリアル)を製造(又は調製又は生成又は形成)するための方法であって、以下の(a)~(e)の工程:
(a)
合成混合物を調製(又は製造又は生成又は形成)する工程であって、前記合成混合物は、水と、シリカ(又は二酸化ケイ素)の供給源(又は源又はソース)と、ホウ素(又はボロン)(B)の供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、必要に応じてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(又はエレメント)(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化7】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物は、0.1未満のF/Siのモル比でフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下(又はクリスタリゼーション条件下又はクリスタリゼーション・コンディション下)で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するために十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収(又はリカバリ)した結晶性の材料を処理する工程、
(e)
必要に応じて、前記フレームワークのシリケートにおけるホウ素原子の少なくとも一部をアルミニウム原子と交換(又は変換又はエクスチェンジ)する工程
を含む、方法。
【0238】
実施形態17
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成(又はコンポジション):
【表26】
を有する、実施形態16に記載の方法。
【0239】
実施形態18
RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造(又は調製又は生成又は形成)するための方法であって、以下の(a)~(d)の工程:
(a)
合成混合物を調製(又は製造又は生成又は形成)する工程であって、前記合成混合物は、水と、シリカの供給源(又は源又はソース)と、アルミナの供給源(又は源又はソース)と、構造指向剤(structure directing agent(SDA))(Q)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(又は水酸化物イオン)(OH)の供給源(又は源又はソース)と、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(又はエレメント)(M)の供給源(又は源又はソース)とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化8】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物は、0.1未満のF/Siのモル比でフルオリドイオン(又はフルオライドイオン又はフッ化物イオン)(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下(又はクリスタリゼーション条件下又はクリスタリゼーション・コンディション下)で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するために十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収(又はリカバリ)する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収された結晶性の材料を処理する工程
を含む、方法。
【0240】
実施形態19
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成(又はコンポジション):
【表27】
を有する、実施形態18に記載の方法。
【0241】
実施形態20
実施形態18または19に記載の方法によって得ることができる(又は製造することができる)RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【0242】
実施形態21
RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブであって、そのポア構造において、以下の式I:
【化9】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを有する、RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【0243】
実施形態22
RTHのフレームワーク・タイプ(又はフレームワーク型)のアルミノシリケート・モレキュラーシーブであって、Si/Alのモル比が10未満であり、好ましくは5~10未満である、RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【0244】
実施形態23
有機化合物を変換生成物(又はコンバージョン生成物又はコンバージョン・プロダクト)に変換(又は転換又は転化又はコンバージョン)するためのプロセス(又は工程又は方法)であって、実施形態4~6、11~13または20~22のいずれか1項に記載の結晶性の材料と有機化合物を接触させることを含む、プロセス(又は工程又は方法)。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトを製造するための構造指向剤として、以下の式I:
【化1】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンの使用。
【請求項2】
前記式Iの1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンは、そのヒドロキシドおよび/またはハライドの形
態である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
EMM-64、EMM-65またはアルミノシリケートのRTHのフレームワーク・タイプのゼオライトを製造するための請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
結晶性の材料であって、EMM-64で示され、焼成した形態において、以下の表1:
【表1】
から選択される少なくとも
9のピークを含むX線回折パターンを有する結晶性の材料。
【請求項5】
以下の式II:
(m)X
2O
3:YO
2 (式II)
[式中、
0≦m≦0.025であり、
Xは、3価の元素、Yは、4価の元素であり、特に、Xは、Al、B、FeおよびGaの1以上を含
み、Yは、Si、Ge、Sn、TiおよびZrの1以上を含
む]
の分子式を有する、請求項4に記載の結晶性の材料。
【請求項6】
結晶性の材料であって、EMM-64で示され、合成した形態において、以下の表3:
【表2】
から選択される少なくとも
7のピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【請求項7】
以下の式III:
(n)Q:(m)X
2O
3:YO
2 (式III)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0≦m≦0.025であり、
Qは、以下の式I:
【化2】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンであり、
Xは、3価の元素であり、特に、Xは、Al、B、FeおよびGaの1以上を含
み、
Yは、4価の元素であり、特に、Yは、Si、Ge、Sn、TiおよびZrの1以上を含
む]
の分子式を有する、請求項6に記載の結晶性の材料。
【請求項8】
単位格子における四面体(T)の原子であって、架橋原子によって結合されている四面体(T)の原子に関する以下の表2:
【表3】
に示す結合性によって規定されるフレームワークを有する、請求項
4に記載の結晶性の材料。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか1項に記載のEMM-64の結晶性の材料を製造するための方法であって、以下の(a)~(d)の工程:
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、4価の元素(Y)の酸化物の供給源と、必要に応じて3価の元素(X)の酸化物の供給源と、構造指向剤(Q)と、フルオリドイオン(F)の供給源と、必要に応じてヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、必要に応じてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化3】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物が、少なくとも0.1のF/Yのモル比でフルオリドイオン(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するのに十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収した結晶性の材料を処理する工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表4】
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
結晶性の材料であって、EMM-65で示され、焼成した形態において、以下の表4:
【表5】
から選択される少なくとも
8のピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【請求項12】
以下の式IV:
(m)B
2O
3:SiO
2 (式IV)
[式中、0.005≦m≦0.05であ
る]
の分子式を有する、請求項11に記載の結晶性の材料。
【請求項13】
結晶性の材料であって、EMM-65で示され、合成した形態において、以下の表6:
【表6】
から選択される少なくとも1
8のピークを含むX線回折パターンを有する、結晶性の材料。
【請求項14】
以下の式V:
(n)Q:(m)B
2O
3:SiO
2 (式V)
[式中、
0≦n≦0.2であり、
0.005<m≦0.05であり、
Qは、以下の式I:
【化4】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンである]
の分子式を有する、請求項13に記載の結晶性の材料。
【請求項15】
単位格子における四面体(T)の原子であって、架橋原子によって結合されている四面体(T)の原子について、以下の表5:
【表7】
に示す結合性によって規定されるフレームワークを有する、請求項
11に記載の結晶性の材料。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載のEMM-65の結晶性の材料を製造するための方法であって、以下の(a)~(e)の工程:
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、シリカの供給源と、ホウ素(B)の供給源と、構造指向剤(Q)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、必要に応じてアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化5】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物は、0.1未満のF/Siのモル比でフルオリドイオン(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するために十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収した結晶性の材料を処理する工程、
(e)
必要に応じて、前記フレームワークのシリケートにおけるホウ素原子の少なくとも一部をアルミニウム原子と交換する工程
を含む、方法。
【請求項17】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表8】
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブを製造するための方法であって、以下の(a)~(d)の工程:
(a)
合成混合物を調製する工程であって、前記合成混合物は、水と、シリカの供給源と、アルミナの供給源と、構造指向剤(Q)と、必要に応じてヒドロキシドイオン(OH)の供給源と、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素(M)の供給源とを含み、
前記構造指向剤(Q)は、以下の式I:
【化6】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを含み、
前記合成混合物は、0.1未満のF/Siのモル比でフルオリドイオン(F)を含む、工程、
(b)
結晶化の条件下で前記合成混合物を加熱する工程であって、前記結晶化の条件は、前記結晶性の材料の結晶を形成するために十分な時間にわたる100℃~200℃の温度を含む、工程、
(c)
前記工程(b)から前記結晶性の材料の少なくとも一部を回収する工程、
(d)
必要に応じて、前記構造指向剤(Q)の少なくとも一部を除去するために、前記工程(c)で回収された結晶性の材料を処理する工程
を含む、方法。
【請求項19】
前記合成混合物は、以下のモル比に関する組成:
【表9】
を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項
18に記載の方法によって得ることができるRTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【請求項21】
請求項19に記載の方法によって得ることができるRTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【請求項22】
RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブであって、そのポア構造において、以下の式I:
【化9】
(式I)
の1-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-1-イウムカチオンを有する、RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【請求項23】
RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブであって、Si/Alのモル比が10未満で
ある、RTHのフレームワーク・タイプのアルミノシリケート・モレキュラーシーブ。
【請求項24】
有機化合物を変換生成物に変換するためのプロセスであって、請求項4~6、11~13または20~
23のいずれか1項に記載の結晶性の材料と有機化合物を接触させることを含む、プロセス。
【国際調査報告】