(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H04R 19/04 20060101AFI20240705BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H04R19/04
B81B3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577622
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022033439
(87)【国際公開番号】W WO2022266102
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470544
【氏名又は名称】サウンドスクリート インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン-タイ スー
(72)【発明者】
【氏名】モンシン ナワズ
(72)【発明者】
【氏名】メイサム ダエイチン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン レイヒー
(72)【発明者】
【氏名】カーリー スタルダー
(72)【発明者】
【氏名】サヒル グプタ
【テーマコード(参考)】
3C081
5D021
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081BA22
3C081BA30
3C081BA33
3C081BA43
3C081BA44
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA53
3C081BA72
3C081CA14
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA26
3C081DA27
3C081DA29
3C081DA30
3C081DA31
3C081EA02
3C081EA03
3C081EA05
3C081EA21
5D021CC02
(57)【要約】
【課題】マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスデューサを提供する。
【解決手段】マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスデューサは、基板と、基板によって支持された一対の電極とを含む。一対の電極は、バイアス電極-センス電極対として構成される。一対の電極の可動電極は、可動電極の励起中に第1の方向に振動運動するように構成される。一対の電極は、第1の方向に垂直な第2の方向に間隙によって互いに離間している。可動電極は片持ち端部を含み、片持ち端部は、第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスデューサであって、
基板と、
基板に支持され、バイアス電極-センス電極対として構成されている一対の電極とを備え、
前記一対の電極のうちの可動電極は、可動電極の励起中に第1の方向に振動運動するように構成され、
前記一対の電極は、前記第1の方向に垂直な第2の方向に間隙を空けて互いに離間しており、
前記可動電極は、片持ち端部を備え、この片持ち端部は、第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている、MEMSトランスデューサ。
【請求項2】
前記一対の電極のうちの固定電極は、片持ち端部を有し、この片持ち端部は、前記第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項3】
前記静止偏向は、前記片持ち端部が線形レジームでの動作中に、前記一対の電極の固定電極の中間点に達しないか、または交差しないようにする、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項4】
前記一対の電極の各電極は、それぞれ一組の櫛状フィンガを備え、それぞれの組の櫛状フィンガは並んだ配置で交互配置される、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項5】
前記可動電極は、多孔性プレートを含む、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項6】
前記一対の電極の各電極は、離間されたビームのそれぞれの組を備え、離間されたビームのそれぞれの組は交互配置で配置される、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項7】
前記静止偏向は、前記可動電極の振動運動よりも大きい、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項8】
前記静止偏向は、前記一対の電極間にバイアス電圧を印加することによって得られる平衡位置に対応する、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項9】
前記基板によって支持される導電層をさらに備え、前記導電層は、前記一対の電極を画定するようにパターン化される、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項10】
前記一対の電極のさらなる電極は、前記可動電極の励起中に前記さらなる電極が事実上可動ではないように、前記第2の方向において前記可動電極よりも十分に短い、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項11】
前記静止偏向が前記間隙より大きい、請求項1に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項12】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスデューサであって、
基板と、
前記基板に支持された導電層とを備え、
前記導電層は、互いに並んで配置された一対の電極を備え、前記一対の電極は、バイアス電極-センス電極対として構成されており、
前記一対の電極のうちの可動電極は、可動電極の励起中に導電層の平面部分に垂直な方向に振動運動するように構成されており、
前記可動電極は片持ち端部を備え、この片持ち端部は、平面部分に対して静止偏向を示すように反っている、MEMSトランスデューサ。
【請求項13】
前記一対の電極のうちの固定電極は片持ち端部を有し、この片持ち端部は、前記第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている、請求項12に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項14】
前記静止偏向は、前記片持ち端部が線形レジームでの動作中に、前記一対の電極の固定電極の中間点に達しないか、または交差しないようにする、請求項12に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項15】
前記一対の電極の各電極は、それぞれ一組の櫛状フィンガを備え、前記それぞれの組の櫛状フィンガは並んだ配置で交互配置される、請求項12に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項16】
前記可動電極の平面部分は、多孔質プレートを備える、請求項12に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項17】
第1および第2の絶縁体層をさらに備え、前記導電層は、前記第1および第2の絶縁体層の間に配置される、請求項12に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項18】
前記一対の電極のさらなる電極は、前記可動電極の励起中に前記さらなる電極が事実上可動でないように、前記可動電極よりも十分に短い、請求項12に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項19】
前記静止偏向は前記導電層の厚さよりも大きい、請求項12に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項20】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスデューサであって、
基板と、
前記基板に支持され、バイアス電極-センス電極対として構成されている一対の電極とを備え、
前記一対の電極のうちの可動電極は、可動電極の励起中に第1の方向に振動運動するように構成されており、
一対の電極のうちのさらなる電極は、前記第1の方向に垂直な第2の方向において間隙によって可動電極から離間され、
前記一対の電極の各々は、片持ち端部を備え、この片持ち端部は第1の方向に沿って静止偏向を呈するように反っている、MEMSトランスデューサ。
【請求項21】
前記一対の電極は、並列配置で配置される、請求項20に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項22】
前記一対の電極の静止偏向が異なっている、請求項20に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項23】
前記可動電極の前記静止偏向は、前記可動電極の前記片持ち端部が線形レジームでの動作中に、前記一対の電極の前記さらなる電極の中間点に到達または交差しないようにする、請求項20に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項24】
前記一対の電極の各電極は、それぞれの組の櫛状フィンガを備え、前記それぞれの組の櫛状フィンガは並んだ配置で交互配置される、請求項20に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項25】
前記可動電極が多孔質プレートを含む、請求項20に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項26】
前記さらなる電極は、前記可動電極の励起中に前記さらなる電極が事実上可動ではないように、前記第2の方向において前記可動電極よりも十分に短い、請求項20に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項27】
前記静止偏向は前記可動電極の前記振動運動よりも大きい、請求項20に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項28】
マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスデューサであって、
基板と、
前記基板に支持され、測定のためのバイアス電極-センス電極対として構成されている一対の電極とを備え、
前記一対の電極のうちの可動電極は、可動電極の励起中に第1の方向に振動運動するように構成されており、
前記一対の電極のうちのさらなる電極は、前記第1の方向に垂直な第2の方向において、間隙によって前記可動電極から離間され、
前記可動電極は片持ち端部を備え、この片持ち端部は前記第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っており、
前記さらなる電極は第2の方向において可動電極よりも短い、MEMSトランスデューサ。
【請求項29】
前記一対の電極の各電極はそれぞれの組の櫛状フィンガを備え、それぞれの組の櫛状フィンガは並列配置で交互に配置され、前記可動電極は多孔質プレートを備える、請求項28に記載のMEMSトランスデューサ。
【請求項30】
前記静止偏向は可動電極の振動運動よりも大きく、
前記さらなる電極は、可動電極の励起中にさらなる電極が事実上可動でないように十分に短い、請求項28に記載のMEMSトランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2021年6月14日に出願され、譲渡された米国仮出願番号63/210,183号の「MEMS Flow-Based Microphone」、および2021年11月16日に出願され、譲渡された米国仮出願番号63/280,003号の「MEMS Flow-Based Microphone」の利益を主張し、それらの全体の開示内容を参照によりここに明示的に組み入れる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、微小電気機械システム(microelectromechanical
system:MEMS)マイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0003】
指向性マイクロホンは、一方向に進む音に対して高い感度を有し、別方向に進む音に対して低い感度を有するように設計される。このようにして、指向性マイクロフォンは、特定の方向から発する音に対して選択性を有する。さらなる処理能力と組み合わされると、指向性は、音響感知デバイスがそれらの方向に基づいて音源を位置特定し、分離することを可能にする。
【0004】
従来の指向性マイクロフォンは、入ってくる音波の圧力に応答する。入ってくる音に応答して移動するトランスデューサまたは膜は、パッケージ内に封入される。膜は、パッケージを2つの空気容積、前容積および後容積に分割する。マイクロホンパッケージはさらに、2つのサウンドポート(音響ポート)を有する。第1のサウンドポートは、第1の位置において、前部の空気体積を外部の周囲空気に結合する。第2のサウンドポートは、第1の位置からある距離を置いて離間された第2の位置で、空気の後方容積を外部周囲空気に結合する。音波がマイクロフォンを通過すると、音波は、第1のサウンドポートの位置に第1の局所圧力を、第2のサウンドポートの位置に第2の局所圧力を生成する。第1の圧力と第2の圧力との差は、膜に力を加え、膜を振動させる。次いで、膜の振動は、容量性、圧電性、光学的、またはピエゾ抵抗性読み出しなどの様々な変換機構のうちの1つを介して電気信号に変換される。
【0005】
典型的なMEMS容量性トランスデューサでは、固定電極またはバックプレートがMEMS膜または可動電極の上または下に配置され、膜とともに平行板キャパシタンス構成を形成する。膜が、その表面の対向する側を横切る圧力差に応答して振動することにつれて、固定電極と可動膜との間のギャップは振動的に減少したり増加したりする。これは、特定用途向け回路(ASIC)を使用して電気信号として感知および増幅することができる変化する静電容量に対応する。
【0006】
いくつかの平行板キャパシタ(コンデンサ)の場合、膜がその表面の上下の両方にバックプレートを有するように、第2の固定電極またはバックプレートがあってもよい。この場合、トランスデューサは、膜が振動することにつれて互いに反対方向に変化する2つの静電容量(キャパシタンス)を有する。2つの変化する静電容量間の差を使用して、捕捉された音波に対応する信号を提供することができる。さらに他の場合には、トランスデューサが、外部刺激によって励起されたときに同期して振動する2つの可動膜の間に挟まれた単一の固定電極を有する。ここでも、移動する膜が振動することにつれて、2つの対向する静電容量が生成される。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様によれば、微小電気機械システム(MEMS)トランスデューサは、基板と、基板によって支持される一対の電極とを含み、一対の電極は、バイアス電極-感知(センス)電極対として構成される。一対の電極の可動電極は、可動電極の励起中に第1の方向に振動運動するように構成される。一対の電極は、第1の方向に垂直な第2の方向に間隙によって互いに離間している。可動電極は片持ち端部を含み、片持ち端部は、第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている。
【0008】
本開示の別の態様によれば、MEMSトランスデューサは、基板と、基板によって支持された導電層とを含む。導電層は互いに並んで配置された一対の電極を含み、一対の電極は、バイアス電極-センス電極対として構成される。一対の電極の可動電極は、可動電極の励起中に導電層の平面部分に垂直な方向に振動運動するように構成される。可動電極は片持ち端部を含み、片持ち端部は、平面部分に対して静止偏向を示すように反っている。
【0009】
本開示のさらに別の態様によれば、MEMSトランスデューサは、基板と、基板によって支持される一対の電極とを含み、一対の電極は、バイアス電極-センス電極対として構成される。一対の電極の可動電極は、可動電極の励起中に第1の方向に振動運動するように構成される。一対の電極の更なる電極は、第1の方向に垂直な第2の方向において、間隙によって可動電極から離間される。一対の電極の各々は片持ち端部を含み、片持ち端部は、第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている。
【0010】
本開示のさらに別の態様によれば、MEMSトランスデューサは、基板と、基板によって支持される一対の電極とを含み、一対の電極は、測定のためのバイアス電極-センス電極対として構成される。一対の電極の可動電極は、可動電極の励起中に第1の方向に振動運動するように構成される。一対の電極の更なる電極は、第1の方向に垂直な第2の方向において、間隙によって可動電極から離間される。可動電極は片持ち端部を含み、片持ち端部は、第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている。さらなる電極は、第2の方向において可動電極よりも短い。
【0011】
前述の態様のいずれか1つに関連して、本明細書に記載されるトランスデューサは、代替的にまたは追加的に、以下の態様または特徴のうちの1つまたは複数の任意の組合せを含み得るか、またはそれらを伴い得る。一対の電極のうちの固定電極は片持ち端部を有し、片持ち端部は、第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている。静止偏向は、片持ち端部が線形レジームでの動作中に、一対の電極の固定電極の中間点に達しないか、または交差しないようなものである。一対の電極の各電極はそれぞれコームフィンガ(櫛状フィンガ)の組を含み、コームフィンガのそれぞれの組は、並列配置で交互に配置される。可動電極は、多孔質プレートを含む。一対の電極の各電極は、離間されたビームのそれぞれの組を含み、離間されたビームのそれぞれの組は、交互配置で配置される。静止偏向は、可動電極の振動運動よりも大きい。静止偏向は、一対の電極間にバイアス電圧を印加することによって得られる平衡位置に対応する。MEMSトランスデューサは基板によって支持された導電層をさらに含み、導電層は、一対の電極を画定するようにパターニングされる。一対の電極のさらなる電極は、可動電極の励起中にさらなる電極が事実上可動ではないように、第2の方向において可動電極よりも十分に短い。静止撓み(静止偏向)は、間隙よりも大きい。一対の電極のうちの固定電極は片持ち端部を有し、片持ち端部は、第1の方向に沿って静止偏向を示すように反っている。静止偏向は、片持ち端部が線形レジームでの動作中に、一対の電極の固定電極の中間点に達しないか、または交差しないようなものである。一対の電極の各電極はコームフィンガのそれぞれの組を含み、コームフィンガのそれぞれの組は、並列配置で交互に配置される。可動電極の平面部分は、多孔質プレートを含む。MEMSトランスデューサは第1および第2の絶縁体層をさらに含み、導電層は、第1および第2の絶縁体層の間に配置される。一対の電極のさらなる電極は、可動電極の励起中にさらなる電極が事実上可動ではないように、可動電極よりも十分に短い。静止偏向は、導電層の厚さよりも大きい。一対の電極は、並んで配置されている。一対の電極の静止偏向は異なる。可動電極の静止偏向は、可動電極の片持ち端部が線形レジームでの動作中に、一対の電極のさらなる電極の中間点に到達または交差しないようなものである。一対の電極の各電極はコームフィンガのそれぞれの組を含み、コームフィンガのそれぞれの組は、並列配置で交互に配置される。可動電極は、多孔質プレートを含む。さらなる電極は、可動電極の励起中にさらなる電極が事実上可動ではないように、第2の方向において可動電極よりも十分に短い。静止偏向は、可動電極の振動運動よりも大きい。一対の電極の各電極は、それぞれ一組の櫛状フィンガを含む。コームフィンガのそれぞれの組は、並列配置で交互に配置される。可動電極は、多孔質プレートを含む。静止偏向は可動電極の振動運動よりも大きく、さらなる電極は可動電極の励起中にさらなる電極が事実上可動でないように十分に短い。
【0012】
本開示のより完全な理解のために、以下の詳細な説明および添付の図面が参照されるべきである。図面において、同様の要素は、同様の参照番号で識別される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一例によるMEMSトランスデューサの断面概略図である。
【
図2】一例によるMEMSトランスデューサの断面(または側面)概略図である。
【
図3】一例によるMEMSトランスデューサの断面(または側面)図である。
【
図4】別の例によるMEMSトランスデューサの断面(または側面)図である。
【
図5】一例による、板状ダイヤフラムを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図6】
図6は、別の実施例による、板状ダイヤフラムを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図7】さらに別の例による、板状ダイヤフラムを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図8】一例によるビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図9】別の例によるビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図10】一例による、異なる長さのビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図11】別の例による、異なる長さのビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図12】さらに別の例による、ビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図13】さらに別の例による、ビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図14】さらに別の例による、ビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図15】さらに別の例による、ビームのアレイを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図16】一例による、増加した領域を有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図17】別の例による、増加した領域を有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図18】さらに別の例による、増加した領域を有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図19】さらに別の例による、増加した領域を有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図20】一例による、複数のキャビティを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図21】別の例による、複数のキャビティを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図22】さらに別の例による、複数のキャビティを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図23】さらに別の例による、複数のキャビティを有するMEMSトランスデューサの概略上面図である。
【
図24】一例による、一対の偏向電極を有するMEMSトランスデューサの断面(または側面)概略図である。
【
図25】別の例による、絶縁体層によって基板から離間された偏向電極を有するMEMSトランスデューサの断面(または側面)概略図である。
【
図26】さらに別の例による、様々な長さの偏向電極を有するMEMSトランスデューサの断面(または側面)概略図である。
【
図27】さらに別の例による、変化する構成の偏向電極を有するMEMSトランスデューサの断面(または側面)概略図である。
【
図28】さらに別の例による、異なる高さに固定された偏向電極を有するMEMSトランスデューサの断面(または側面)概略図である。
【
図29A】
図29Aは、一実施例による、板形状およびフィンガ形状の偏向電極を有するMEMSトランスデューサの上面概略図である。
【
図30】さらに別の例による、交差偏向電極を有するMEMSトランスデューサの断面概略図である。
【
図31】さらに別の例による、交互嵌合された偏向電極を有するMEMSトランスデューサの上面概略図である。
【
図32】さらに別の例による、ダイヤフラム形状の偏向電極を有するMEMSトランスデューサの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
開示した装置の実施形態は、様々な形態を取り得る。図面に示され、明細書に記載した特定の実施形態は、例示的なものとして理解すべきである。本発明は、本明細書に記載され図示された特定の実施形態に限定されることを意図していない。
【0015】
粘性媒体の測定のための一対の電極を有するトランスデューサについて説明する。一対の電極は、測定のためのバイアス電極-感知電極対として互いに並んで配置されてもよい。以下に説明するように、一対の電極の一方または両方は、静止偏向を有する。例えば、一対の電極の可動電極の片持ち端部は、静止偏向を示すように反らされてもよい。場合によっては、一対の電極の固定電極が静止偏向を示す片持ち端部も有する。固定電極は例えば、可動電極よりも十分に短いことにより、固定電極が周囲の媒体によって事実上可動しないという意味で固定されてもよい。場合によっては、トランスデューサが、一対の電極の各電極が形成または配置される導電層を含む。
【0016】
場合によっては、電極のうちの1つの運動が電極を通過する粘性媒体の流れによる力によって駆動される(例えば、部分的に駆動される)。たとえば、トランスデューサは音響励起または空気流(たとえば、マイクロフォン)に応答し得る。トランスデューサは、空気を通って伝播する音がその移動(または可動)要素を通って流れるように配向されてもよい。空気が移動要素を横切って流れるとき、空気流は要素を励起し、場合によっては、要素の運動を支配する粘性抗力(viscous drag force)(例えば、摩擦)を誘導する。このタイプの挙動は、MEMS製造技術によって構築された小さな微細構造を使用して得ることができる。移動要素は空気流または抗力と同じ方向に移動するので、トランスデューサまたはセンサは本質的に方向性がある。他の方向に流れる(すなわち、移動要素を通らない)空気は、応答を励起しないか、または少なくとも応答が実質的に減衰される。
【0017】
別の態様によれば、開示されるトランスデューサは、容量センサによって一般に使用されるバックプレートの使用を回避することができる。バックプレートがないと、特定の容量センサが受ける音響損失を最小限に抑えるか、または低くすることができる。
【0018】
開示されたトランスデューサは例えば、スマートフォン、ラップトップ、およびイヤホンなどの様々な消費者デバイスを含む、多種多様なマイクロフォンの応用およびコンテキストにおいて有用であり得る。開示されたトランスデューサの構成は、特定の方向に由来する音を他の方向に由来する音よりも高い感度で聴取することに関心がある任意のデバイスに関連して有用であり得る。
【0019】
マイクロフォンに関連して説明されているが、開示されたトランスデューサは、他の用途および状況において使用され得る。例えば、開示されたトランスデューサは、加速度計、ジャイロスコープ、慣性センサ、圧力センサ、ガスセンサなどに関連して有用である。これらの例では、センサが振動事象(例えば、加速度)を経験すると、トランスデューサが振動し、センサによって捕捉された信号がセンサによって見られる動きの近似値として働く。開示されたトランスデューサは、音波による励起という観点で説明される。しかしながら、代替または追加の刺激は、他の状況において開示されたトランスデューサを励起することができる。
【0020】
ここで
図1を参照すると、一例によるセンサ100が示されている。微小電気機械(MEMS)トランスデューサ、すなわち検知素子102は、プリント回路基板(PCB)106によって取り付けられるか、または他の方法で支持される。PCB106は、1つまたは複数の層を含むことができる。センサ100は、特定用途向け集積回路(ASIC)104をさらに含む。ASIC104は、MEMSトランスデューサ102から電気信号を読み出し、保護グローブトップ108によって覆われるように構成される。ASIC104はまた、PCB106に取り付けられ、ワイヤボンド110によってPCB106上の導電性トレースに電気的に接続され得る。MEMS102およびASIC104の両方は、蓋または他のエンクロージャ112によってカプセル化される。蓋は、金属、プラスチック、セラミック、または他の材料から構成され得るか、または他の方法でそれを含み得る。MEMS102およびASIC104はワイヤボンド114によって、互いに、または直接PCB106に電気的に接続され得る。MEMS102、ASIC104、および蓋112はまた、当業者に知られている他の方法を使用して取り付けられてもよい。別の例では、MEMS102がフリップチップ技術を使用してPCB106に取り付けられ得る。センサ100はまた、2つの開口部、すなわちポート116および118を有する。一例では第1のポート116が蓋112上に着座することができ、第2のポート118はPCB106内に埋め込むことができる。別の例では、第1および第2のポート116および118が同じ表面(たとえば、PCB106または蓋112)上に着座してもよい。一例では、センサ100が音響刺激に応答するように(例えば、マイクロフォンとして)構成される。
【0021】
図2は、一例によるMEMSトランスデューサ200の動作原理を示す断面(または側面)図である。MEMSトランスデューサ200は、可動(移動と記載することもある)要素(または電極)202と、固定電極204とを含む。移動要素202は、少なくとも側部208に固定され、方向210に沿って自由に振動する。固定電極204は、固定電極が同じ外部刺激を受けたときに、移動電極202に対して方向210に沿った運動を示さないか、または減少させるように構成される。したがって、固定電極204に対する方向210に沿った移動要素202の位置は、方向210に沿った音波に応答して変化する。移動要素202は、厚さ212を有する。厚さ212は移動要素202の動きが主に、運動要素が振動する周囲媒体によって支配される(例えば、運動要素は運動要素の周りの空気の動きによって駆動される)ように、十分に小さくてもよい。いくつかの実施例では、移動要素212の厚さは2ミクロン(μm)未満または3μm未満であり得る。可動要素202および固定電極204はそれぞれ、可動要素202と固定電極204との間に静電容量が確立されるように、少なくとも1つの導電層を有する。2つの電極が典型的には互いの上に配置される平行板コンデンサとは異なり、可動要素すなわち可動電極202は固定電極204の側部に配置される。したがって、電極202および204は、本明細書では並列と呼ばれることがある。
【0022】
移動電極202は、いくつかの部分を含む。部分の一部または全部は、片持ち梁式または懸架されてもよい。これらの部分は、アンカーに対する位置に関して特徴付けることができる。この実施例では、移動電極202が近位部分と、近位部分から外向きに延びる遠位部分とを含む。遠位部分は振動運動を示す静電容量を確立するために、可動電極と固定電極との間に間隙(ギャップ)を画定する。移動電極202の他の部分は、例えば近位部分を含む静電容量に寄与し得る。したがって、本明細書で説明されるいくつかの実施例に関連して示されるように、ギャップは、移動電極202の他の部分も静電容量に寄与する程度にかかわらず、静電容量を確立すると見なされ得る。移動電極202の遠位部分の長さは、近位部分の長さと比較して特定の比を維持するように設定されてもよい。例えば、遠位部分の長さは、近位部分の長さの2倍、または3倍であってもよい。近位部分の長さは約50μm~約250μmであり得、遠位部分の長さは約50μm~約500μmであり得るが、他の量が使用され得る。
【0023】
移動電極202の遠位部分は、近位部分に対する静止反りまたは他の撓み(偏向)を有する。この例では、固定電極204が移動方向(例えば、固定電極の外側-上側と下側-表面との間の等距離)に中間点207を有する。移動電極202は、固定電極204および中間点207に対して、初期または静止たわみ(静止偏向)206を有する。
図2の実施例では、初期たわみは移動電極の先端部と中間点との間にある。場合によっては、静止偏向が製造中の移動電極202の反りから生じ得る。トランスデューサ200がいかなる音も受けず、平衡状態にあるとき、可動電極202は偏向206によってオフセットされる。静止偏向は、バイアス電圧の印加後に達成されるが、媒体による励起がない位置に対応し得る。場合によっては、移動電極202が中間点207の上に初期偏向206を有する。他の場合には、移動電極202が中間点207の下に初期偏向206を有する。初期たわみ206は、固定電極204の高さよりも大きくてもよい。いくつかの実施例では初期偏向206が約5μm~約50μmの範囲内に入ることができるが、他の量を使用することもできる。
【0024】
移動電極202と固定電極204との間には静電容量が形成される。移動電極202が方向210に沿った動きを受けると、移動電極202と固定電極204との間の静電容量が変化し得る。移動電極202が固定電極204および中間点207に近づくにつれて、静電容量は増加する。移動電極202が固定電極204および中間点207から離れるにつれて、静電容量は減少する。次に、移動電極202と固定電極204との間の静電容量の変化を、移動電極202の運動を表す電子信号に変換することができる。
【0025】
初期偏向は、測定結果の線形レジームにおける動作中の振動運動の方向において、可動電極202の遠位部分が固定電極204(例えば、中間点207)、またはトランスデューサの任意の他のバイアスに達しないか、または交差しないようにするか、トランスデューサの電極を感知しないようにする。
図2の実施例では線形レジームでの動作中、移動電極202の先端部は中間点207と交差しない。言い換えれば、初期偏向206は、トランスデューサ200の動作中、非ゼロのままである。線形レジームは、たとえば、圧力(たとえば、約20uPa~約1Pa)および周波数(たとえば、約20Hz~約20kHz)を含む、ある範囲内に入るある1つまたは複数の特性を有する音波に対応し得る。線形レジームに対応する音波の特定の範囲は、トランスデューサおよび/またはトランスデューサが使用される用途に基づいて変化し得る。例えば、トランスデューサは、典型的な音響環境(例えば、家庭内、屋外、オフィスルーム、車両内など)において音波を受ける場合、線形レジームで動作することができる。典型的な音響環境における音波は、人間の音声、スピーカまたはTVからの雑音、車両からの雑音、家電製品からの雑音などを含み得る。トランスデューサが(例えば、スマートスピーカ、会議電話、TVなどにおいて)ラウドスピーカの近くに配置されるいくつかのシナリオでは、線形レジームが1Paを超える音圧レベルを有する音波に対応し得る。場合によっては、線形レジームが100Hzを超える、または300Hzを超える周波数を有する音波に対応し得る。音波が上記で特定された範囲のうちの1つまたは複数の範囲外にあるとき、場合によっては、トランスデューサは、可動電極が固定電極に到達し、および/またはそれに交差する非線形レジームで動作することができる。可動電極が固定電極に到達し、および/または交差するとき、マイクロフォンの出力に歪みが存在し得る。トランスデューサが大きな音圧レベルを有する音波にさらされるとき、非線形レジームで動作することを許容し得る。トランスデューサの初期偏向および対応するバイアス電圧は、大音圧にさらされるときのトランスデューサの歪みが最小限に抑えられるか、または低減されるように設定される。例えば、トランスデューサは、10Paの音圧レベルを有する音波を受けるとき、線形レジームで動作し、その結果、出力が1%~5%以下の全高調波歪みを維持する。
【0026】
電極202は、固定電極204の上または下に反っていてもよく、または最初に偏向されてもよい。例えば、初期偏向は、電極202を方向210に沿って支持する基板から(正)または基板に向かって(負)のいずれかであり得る。本明細書に記載される実施例の各々は、そのような正または負の反りを示し得る。
【0027】
固定バイアス電圧は、電極202または204のうちの1つの上に配置され得る。移動電極202が方向210に沿って移動することにつれて、これは、バイアス電圧が配置されていない電極202または204で見られる電荷および/または電圧の変化をもたらし得る。一例では、バイアス電圧が移動電極202上に配置され、固定電極204が電圧増幅器に接続される。電圧増幅器は、固定電極204上の電荷を一定に保持し、移動電極202が振動することにつれて固定電極上で見られる電圧変化を増幅する。固定電極204は代わりに、電荷増幅器に接続されてもよい。電荷増幅器は、固定電極204上の電圧を一定に保持し、移動電極202が振動することにつれて固定電極上に見られる電荷変化を増幅する。別の実施例では、バイアス電圧が固定電極204上に配置され、移動電極202が電圧増幅器に接続されてもよい。電圧増幅器は、移動電極202上の電荷を一定に保持し、移動電極が振動するときにそれに見られる電圧変化を増幅する。移動電極202は代わりに、電荷増幅器に接続されてもよい。電荷増幅器は、移動電極202上の電圧を一定に保持し、移動電極が振動するときに移動電極上で見られる電荷変化を増幅する。使用されるバイアス電圧は、正または負の値を有し得る。バイアス電圧は、DCおよび/またはAC部品をさらに有する可能性がある。いくつかの例ではバイアス電圧が電極202または204上に配置されるとき、初期偏向206は、バイアス電圧の印加を介して達成される平衡位置を反映し得る(たとえば、偏向は固定電極204に対して増加または減少し得る)。したがって、経験される初期偏向206は、電極202および204のバイアス電圧および/または機械的特性の振幅に依存し得る。
【0028】
移動要素202は、長さ214、厚さ212、および図の紙面に交差する方向の幅を有する。いくつかの実施例では固定電極204が移動要素202のすべての側面を取り囲むことができ、要素202は運動方向210に垂直な方向に静電力を受けることができる。要素202はエッジ208に固定されるので、要素はその長さ214に平行な方向に沿って剛性にされ、その方向の静電力によって著しく影響されない。加えて、要素202は、要素202がその幅に平行な方向に沿って剛性であり、その方向の静電力によって著しく影響を受けないように構成されてもよい。例えば、要素202は、その幅及び/又は厚さ212よりも大きい長さ214を有することができる。加えて、要素202は、その厚さ212と同様の、またはそれより大きい幅を有する可能性がある。いくつかの実施例では、移動要素202は、バイアス下に置かれたときに方向210に発生する静電力のみが要素202の平衡位置に影響を及ぼすように構成される。
【0029】
本明細書に記載されるように、移動電極202の初期たわみ(偏向)206は十分に大きく、したがって移動構造202が動作中に振動することにつれてたわみ206が常にゼロよりも大きい(または常にゼロよりも小さい)ようになる。例えば、20Hz~20kHzの間の周波数を有し、音圧レベルがほぼ、時には120dBを超える音波が伝搬する場合、移動電極202の偏向206は常に正のままであってもよい。したがって、移動電極が固定電極204と整列しない。いくつかの実施例では、初期偏向206が10μm~50μmであり得る。
【0030】
バイアス電圧が移動電極202または固定電極204のいずれかに印加されると、初期偏向206が変化し得る。例えば、最初の偏向206は、移動電極202と固定電極204との間の電位の存在によって減少し得る。初期偏向206がゼロでないままであり、移動電極202が固定電極204と整列しないように、バイアス電圧を使用することができる。いくつかの実施例では、1V~50Vの間のバイアス電圧が使用され得る。
【0031】
図3は、一例によるトランスデューサ300の断面(または側面)図を示す。トランスデューサ300は
図2の実施例と同様の方法で動作することができる。トランスデューサ300は、固定電極層308に対して初期偏向307を有する可動電極層306を含む。移動電極層306および固定電極層308は、少なくとも片側の絶縁体304を介して基板302に固定されている。固定電極308は、可動電極306に対して外部刺激を受けたときに、固定電極がより少ない動きを示すように構成される。外部刺激は、いくつかの実施例では音波であり得る。基板302は、シリコン、ガラス、または他の材料から構成され得るか、またはそれを含み得る。絶縁体304は、シリコン、酸化物、窒化物、またはポリマーの任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含むことができる。例えば、絶縁体304は、熱酸化物から構成されてもよく、または熱酸化物を含んでもよい。移動電極層306及び固定電極層308は一層であってもよいし、複数層であってもよい。移動電極層306および固定電極層308は、導電性であってもよく、シリコン、酸化物、窒化物、またはポリマーの任意の組合せから構成されてもよく、またはそれらを含んでもよい。例えば、移動電極層306および/または固定電極層308は、シリコン、ドープシリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコンから構成され得るか、またはそれらを含み得るか、またはアルミニウム、銅、金、もしくはタングステンなどの金属を含み得る。いくつかの例では、移動電極層306および固定電極層308が単一層(たとえば、ポリシリコン)と同じ製造ステップ中に堆積される。一例では移動電極層306および固定電極層308が約50nm~約1000nmの範囲内の厚さを有することができるが、他の厚さを使用することもできる。移動電極層306と固定電極層308との厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
一例では、可動電極層306にはDCおよび/またはAC成分を有し得るバイアス電圧が与えられる。バイアス電圧は、正または負であり得る。固定電極層308は、増幅器に接続されている。別の実施例では、固定電極層308が、正または負であってもよく、DCおよび/またはAC成分を有するバイアス電圧を与えられ、移動電極層306は増幅器に接続される。移動電極層306が振動し、固定電極層307からの距離が変化すると、増幅器によって信号が生成され、増幅される。
【0033】
図4は、一例によるトランスデューサ400の断面(または側面)図を示す。トランスデューサ400は
図2の実施例と同様の方法で動作することができる。トランスデューサ400は、少なくとも1つの移動電極406と、移動電極406に対して外部刺激を受けた場合により少ない動きを示す少なくとも1つの固定電極408とを含む。外部刺激は、いくつかの実施例では基板402内のキャビティ401を通る空気の流れであり得る。移動電極406は、絶縁層404を介して少なくとも一方の側で基板402に固定され、その長さを横断する軸に沿って振動するように構成される。上述のように、絶縁体404は、シリコン、酸化物、窒化物、またはポリマーの任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含むことができる。例えば、絶縁体404は、熱酸化物から構成されてもよく、または熱酸化物を含んでもよい。いくつかの実施例では、基板402がシリコンから構成され得るか、またはシリコンを含み得る。
【0034】
図4の実施例では、移動電極406が複合層として構成されている。この実施例では、移動電極406が少なくとも1つの導電層を有する複数の層を含む。図示の例では移動電極406が3つの層410、414、および418を含むが、追加のまたは代替の層が含まれてもよい。一例では、第1の移動電極層410および第3の移動電極層418が導電性であり、非導電性または絶縁性の第2の移動電極層414によって分離される。第2の移動電極層414は、シリコン、酸化物、窒化物、またはポリマーの任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含むことができる。第1の移動電極層410および第3の移動電極層418は、シリコン、ドープシリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、またはアルミニウム、金、またはタングステンなどの金属の任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含み得る。別の実施例では、第1の移動電極410および第3の移動電極層418は絶縁性であり、第2の移動電極層414は導電性であり、絶縁層の間に配置される。
【0035】
一例として、前記第1移動電極層410は、前記第3移動電極層418と電気的に連結され、前記第2移動電極層414は絶縁体であり得る。場合によっては、キャビティが第2移動電極層414にエッチングされ、第3移動電極層418によって充填され、第1移動電極層410と接触することができる。別の例では、第1の移動電極層410および第3の移動電極層418が両方とも非導電性(例えば、絶縁体)であってもよく、一方、第2の移動電極層414は導電性である。さらに別の例では、すべての移動電極層410、414、および418は導電性であり、電気的に接続されてもよい。
【0036】
第1の移動電極層410の厚さは約50nm~約1000nmの範囲内であってもよいが、他の厚さであってもよい。第2の移動電極層414の厚さは約50nm~約1000nmの範囲内であってもよいが、他の厚さであってもよい。第3の移動電極層418の厚さは約50nm~約1000nmの範囲内であってもよいが、他の厚さであってもよい。第1の移動電極層410、第2の移動電極層414、および/または第3の移動電極層418の厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施例では、第1の移動電極層410が第3の移動電極層418と同じ厚さである。移動電極406は、本明細書に記載されるような初期偏向を有することができる。
【0037】
固定電極408は、絶縁層404を介して基板402の少なくとも一方の側に固定され、同じ外部刺激(例えば、音波)を受けたときに移動電極406に対してその動きが低減されるように構成される。いくつかの実施例では、固定電極406が複数の側面上に固定されてもよい。固定電極408は、少なくとも1つの層が導電性である1つまたは複数の層を含むことができる。一例では、固定電極が少なくとも3つの層412、416、および420を含む。第1の固定電極層412および第3の固定電極層420は導電性であり、非導電性または絶縁性の第2の固定電極層416によって分離され得る。第2固定電極層416は、シリコン、酸化物、窒化物、またはポリマーの任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含むことができる。第1固定電極層412および第3固定電極層420は、シリコン、ドープシリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、またはアルミニウム、金、タングステンなどの金属の任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含むことができる。
【0038】
一例として、第1固定電極層412は第3固定電極層420と電気的に連結され、第2固定電極層416は絶縁体であってもよい。場合によっては、第2固定電極層416にキャビティをエッチングし、第3固定電極層420を充填して第1固定電極層412と接触させることができる。別の例では、第1の固定電極層412および第3の固定電極層420が両方とも非導電性(例えば、絶縁体)であってもよく、一方、第2の固定電極層416は導電性である。さらに別の例では、移動する固定層412、416、および420はすべて、導電性であり、電気的に接続されてもよい。
【0039】
上述のように、移動電極406および固定電極408は、
図2のように、各電極の構成層(または部分)が1つの電位のみを保持するように構成され得る。一例では、移動電極406に正または負であり得、DCおよび/またはAC成分を有し得るバイアス電圧が与えられる。次いで、固定電極408は、増幅器に接続され得る。別の実施例では、固定電極408には正または負であり得、DCおよび/またはAC成分を有し得るバイアス電圧が与えられる。次に、移動電極406を増幅器に接続することができる。
【0040】
導電層のうちの1つまたは複数は、移動電極と固定電極との両方を含み得る。いくつかの例では、移動電極406および固定電極408内の1つまたは複数の層が同じ層内に形成され得る(たとえば、同じ製造ステップ中に堆積される)。例えば、第1移動電極層410と第1固定電極層412とは同一の層であってもよい。代替的に又は追加的に、移動電極層414及び418は、それぞれ固定電極層416及び420と同じ層であってもよい。
【0041】
図3および
図4の実施形態は単に説明のために示されており、
図2に記載されているように動作するMEMSトランスデューサの代替的な実施形態を排除するものではない。可動電極および固定電極は、任意の組合せの材料で作られ、任意の数の構成でバイアスされた任意の数の層を含むことができる。
【0042】
上述のように構成された可動電極および固定電極の配列を有するトランスデューサのいくつかの実施例を以下に説明する。移動電極および固定電極のレイアウトおよび配置は様々であるが、それにもかかわらず、電極およびその部分は上述のように構成され得る。例えば、
図2~
図4に示される図は、以下に説明される実施例の電極構成の一部または一部の簡略図に対応し得る。
【0043】
以下の図は、初期偏向を有する1つまたは複数の移動電極の音響励起に応答するMEMSトランスデューサの様々な例を説明する。さらに、電極は、並列構成で構成される。
【0044】
図5は、一例による、板状ダイヤフラムを有するトランスデューサ500の上面概略図を示す。トランスデューサ500は、1つまたは複数のアンカー504によって一端で周囲基板501に取り付けられたダイヤフラム502を含む。基板501はキャビティ506を有し、その上にダイヤフラム502が配置される。キャビティ506は例えば、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)を含む、様々な微細加工手法によって形成することができる。ダイヤフラムまたは板502は、1つまたは複数の孔508を含む。孔は、それらの間に間隔(スペーシング)509を有する。このように、ダイヤフラム502は、多孔質プレートとして構成されてもよい。ダイヤフラム502の自由縁部には、1つ以上のフィンガ510が取り付けられている。フィンガ510は、フィンガがダイヤフラム502と共に移動するように構成される。したがって、ダイヤフラム502およびフィンガ510は、単一の複合移動構造または電極と考えることができる。移動電極は、少なくとも1つの導電層を含む。
【0045】
トランスデューサ500は、基板501に固定されたフィンガ512を有する固定電極を含む。トランスデューサ500が音波によって励起されると、固定フィンガ512は、移動しないか、フィンガ510よりも相対的に移動しない。フィンガ512は、フィンガ510とフィンガ512との間に静電容量が形成されるように、少なくとも1つの導電層を含む。ダイヤフラム502が振動すると、フィンガ510とフィンガ512との間のギャップが変化する。これは、他の図に示される実施例に関連して説明されるように、電子信号に変換され得る、フィンガ510と512との間の静電容量の変化を作り出す。
【0046】
アンカー504はダイヤフラム502の幅にわたって延在する単一のアンカー、ダイヤフラム502の幅未満の幅を有する単一のアンカー、またはダイヤフラム502未満の幅を有する複数のアンカーとして構成され得るか、またはそれらを含み得る。アンカー502の上面図プロファイルは、長方形、楕円形、三角形、または任意の他の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施例では、アンカー504のうちの1つまたは複数が、アンカー504とダイヤフラム502との間の接続点、および/またはアンカー502と周囲基板501との間の接続点において、フィレットまたは湾曲コーナーを含み得る。いくつかの実施例では、アンカー504の厚さは、ダイヤフラム502の厚さよりも大きくてもよい。同様に、アンカー504のうちの1つまたは複数は、互いに異なる厚さおよび/または幅を有し得る。
【0047】
トランスデューサ500は、トランスデューサがオーディオ帯域内に第1の共振周波数を有するように設計され得る。例えば、トランスデューサ500の第1の共振周波数は、約500Hz~約5kHzの範囲に入ることができる。加えて、トランスデューサ500は、オーディオ帯域の端部に近い、またはオーディオ帯域の外側にある(たとえば、16kHzよりも大きい)第2の共振周波数を有し得る。
【0048】
ダイヤフラム502は、説明を容易にするために長方形として示されている。ダイヤフラム502は、矩形、円形、楕円形、三角形、または任意の他の幾何学的形状である上部プロファイルを有し得る。同様に、キャビティ506は、矩形、円形、楕円形、三角形、または任意の他の幾何学的形状である上部プロファイルを有し得る。フィンガ510は、ダイヤフラム502の自由端の周囲全体、または1つ以上のより小さい小区画を覆うことができる。フィンガ510は、ダイヤフラム502および/またはフィンガ512の厚さとは異なる厚さを有することができる。フィンガ510および/または512は、矩形、円形、楕円形、三角形、または任意の他の幾何学的形状である上部プロファイルを有し得る。いくつかの実施例ではフィンガ510と512との間の間隙が約1μm~約8μmの範囲内に入ることができ、フィンガ510および512の長さは約50μm~約250μmの範囲内に入ることができ、フィンガ510および512の幅は約1μm~約20μmの範囲内に入ることができる。他の例では、フィンガ510および/または512の長さおよび/または幅が互いに対して変化してもよい。例えば、ダイヤフラムの自由側のうちの少なくとも1つのフィンガ510および/または512は、残りの側部とは異なる長さを有することができる。いくつかの実施例では、ダイヤフラム502の周囲に沿った少なくとも1組のフィンガ510および512の間隙が別の組のフィンガの間隙とは異なり得る。いくつかの実施例では、ダイヤフラム502が電気的および/または機械的に結合された2つ以上のダイヤフラムを含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施例では、孔508の各々の間の間隔509が孔508の直径に等しくてもよい。他の例では、孔508の各々の間の間隔509が孔508の直径よりも小さくても大きくてもよい。間隔509は、孔508の直径の比として決定されてもよい。例えば、間隔509は、孔508の直径の半分、2倍、3倍、または4倍であってもよい。いくつかの実施例では、孔508が2μm~60μmの直径を有してもよく、間隔509は2μm~100μmであってもよい。一例では、孔508は4μmの直径を有し、孔間の間隔509は8μmである。さらに別の例では、孔508が互いからサイズおよび/または間隔において変化してもよい。例えば、孔508のうちの少なくとも1つは、ダイヤフラム502上の別の孔よりも小さくてもよい。孔508は、ダイヤフラム502の全表面またはダイヤフラム502の1つまたは複数のサブセクションを覆うことができる。さらに、孔508は、長方形、円形、楕円形、三角形、六角形、または任意の他の幾何学的形状であるプロファイルを有することができる。いくつかの場合において、ダイヤフラム502はいかなる孔も有さず(例えば、孔を有さないか、または有孔でない)、したがって、全体的にまたは完全に中実であり得る。
【0050】
図6は、一例による、フィンガが板状ダイヤフラムの1つのエッジに沿ってのみ配置されたトランスデューサ600の上面概略図を示す。トランスデューサ600は、1つまたは複数のアンカー604によって一端で周囲基板601に取り付けられたダイヤフラム602を含む。基板601はキャビティ606を有し、その上にダイヤフラム602が配置される。ダイヤフラム602は、1つ以上の孔608を有する。フィンガ610は、アンカー604に対向する自由縁部でダイヤフラム602に取り付けられ、固定フィンガ612と静電容量を形成する。いくつかの実施例ではダイヤフラム602が約100μm~約250μmの長さを有することができ、フィンガ610は約100μm~約250μmの長さを有する。いくつかの実施例では、フィンガがトランスデューサの全長の45~60%を占めることができる。
【0051】
図7は、複数のプレート状ダイヤフラムを含むトランスデューサ700の上面概略図を示す。トランスデューサ700は、基板701内のキャビティ706の上に懸架された少なくとも2つのダイヤフラム702および704を含む。ダイヤフラム702および704は導電性トレース708によって電気的に結合され、固定フィンガは導電性トレース710によって結合される。いくつかの実施例では、トランスデューサ700が3つ以上のダイヤフラムを含んでもよい。ダイヤフラムは等しい寸法を有してもよく、または少なくとも1つのダイヤフラムは残りのダイヤフラムとは異なる寸法を有する可能性がある。例えば、トランスデューサ700の少なくとも1つのダイヤフラムは、残りとは異なる共振周波数を有することができる。導電性トレース708および/または710はまた、センサ700の各ダイヤフラムがバイアスされ、および/または独立して増幅されるか、または外部に接続されるように分離されてもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、トランスデューサ700のフィンガ710および712の長さはそれらの間に存在する静電容量を増加させるために増加され得る。
図8は、フィンガがダイヤフラム702を完全に貫通して延びるトランスデューサ700の延長部と考えることができる。
【0053】
図8は、一例によるビームのアレイを使用するトランスデューサ800の上面概略図を示す。トランスデューサ800は、ビーム812間に差し込まれる1つまたは複数のビームのアレイ810を含む。トランスデューサ800のアレイは、キャビティ806を有する基板801によって支持され、キャビティ上でビーム810および812が懸架されるる。キャビティ806は、エッジ802および804を有する。一例では、ビーム810がエッジ部804上の基板に取り付けられたカンチレバー(片持ち式)であり、ビーム810とエッジ部802との間に空隙が存在するように、キャビティ806の対向するエッジ部802から距離814で終端する。したがって、片持ち式ビームは、固定-フリービーム(固定-自由ビーム)と呼ばれる。片持ち式ビーム810の間には、エッジ802とエッジ804の両方で基板に固定されたビーム812がある。したがって、ビーム812は、固定-固定ビームと呼ばれる。固定-自由ビーム810および固定-固定ビーム812は、それらの間に空隙808を有する。ビーム810および812はそれぞれ、本明細書に記載されるようにビーム間に確立されるキャパシタンス(静電容量)が存在するように、少なくとも1つの導電層を有する。トランスデューサ800は、空気または別の粘性媒体(例えば、ガス)がキャビティ806を通過するとき、固定-自由ビーム810が固定-固定ビーム812よりも多くの動きを受けるように構成される。固定-自由ビームが振動すると、間隙808が変化し、本明細書に記載されるように、電子信号に変換され得る静電容量の変化が生じる。
【0054】
いくつかの実施例では、ビーム810および812の長さは約50μm~約1000μmの範囲内にあり得、ビーム810および812の幅は約1μm~約20μmの範囲内にあり得、ギャップ808は約1μm~約20μmの範囲内にあり得るが、他の長さ、幅、およびギャップサイズが使用され得る。別の実施例ではトランスデューサ800の固定-自由ビーム810のうちの少なくとも1つの長さ、幅、および/または厚さは、固定-自由ビームのうちの少なくとも1つの他のものとは異なり得る。別の実施例では、トランスデューサ800の固定-固定ビーム812のうちの少なくとも1つの長さ、幅、および/または厚さは、固定-固定ビームのうちの少なくとも1つの他のものとは異なり得る。さらに別の例では、トランスデューサ800の固定-自由ビーム810のうちの少なくとも1つの長さ、幅、および/または厚さは、固定-固定ビーム812のうちの少なくとも1つとは異なり得る。さらに別の例では、間隙808のうちの少なくとも1つは、トランスデューサ800内の他の間隙のうちの1つよりも大きくてもよい。ビーム810および/または812は、矩形、円形、楕円形、三角形、または任意の他の幾何学的形状である上面図プロファイルを有し得る。
【0055】
他の場合には、固定-自由ビーム810の代わりに、固定-固定で、キャビティ806の両縁部802および804上の基板801に取り付けられてもよい。ビーム810は、ビーム812よりもコンプライアントであるように構成される。例えば、ビーム812は、ビーム810よりも大きな厚さを有することができる。
【0056】
図9は、別の実施例によるビームのアレイを使用するトランスデューサ900の上面概略図を示す。ビーム910および912は、基板901内のキャビティ906の上に懸架される。固定-固定ビーム912の先端部914はキャビティ906のエッジ904上に延在し、基板901の上部に固定される。エッジ904と先端部914との間の距離は、エッジ904を越えて延在するキャビティ906の任意のオーバーエッチングが先端部914に到達しないように設定されてもよい。固定-固定ビーム912は、基板901に固定された導電性トレース916を介して電気的に接続されている。同様に、各固定-自由ビーム910は、基板901に固定された導電性トレース918を介して電気的に接続されている。導電性トレース916および918は外部接続が(例えば、ワイヤボンドを介して)行われ得るボンドパッドにさらに接続されてもよい。
【0057】
図10は、一例による、異なる長さを有するビームのアレイを含むトランスデューサ1000の上面概略図を示す。トランスデューサ1000は、基板1001内のキャビティ1006の上に懸架された1組の固定-自由ビーム1002および固定-固定ビーム1004を含む。カンチレバーアレイ1002は、別のビーム1010よりも長さが短い少なくとも1つのビーム1008を含むことができる。代替的に又は追加的に、カンチレバーアレイ1002は、ビーム1010よりも長さが長い少なくとも1つのビーム1012を含むことができる。一例では、カンチレバーアレイ1002は、長さが増加する(たとえば、単調に増加する)固定-自由ビームのセットを含み得る。片持ちビームの前のビームに対する各片持ちビームの長さの増加は、等しくても異なっていてもよい。各カンチレバービームの長さは、特定の共振周波数を示すように調整することができる。別の実施例では、ビームの長さの増分変化がランダム化され得る。カンチレバーアレイ1002内の各ビームは導電性トレース1018を介して電気的に接続されてもよく、その結果、トランスデューサ1000によって励起されたときに見られる静電容量の変化は、すべてのカンチレバービーム1002の平均である。いくつかの実施例では、トランスデューサ1000のビームは長さにおいて変化し得、約50μm~約1000μmの範囲に入るが、他の長さが使用され得る。
【0058】
図11は、別の実施例による、異なる長さを有するビームのアレイを含むトランスデューサ1100の上面概略図を示す。トランスデューサ1100は、基板1101を貫通して形成されたキャビティ1106上に懸架された固定-自由ビーム1102および固定-固定ビーム1104のセットを含む。カンチレバーアレイ1102は、ビーム1110よりも長さが短い少なくとも1つのビーム1108と、ビーム1110よりも長さが長い少なくとも1つのビーム1112とを含む。いくつかの実施例では、最短ビームが縁部または外側にある状態で、最長ビームがキャビティ1106の内部に配置されてもよい。中心ビーム1112に対称的に対向するビーム1108は、長さが等しくてもよい。キャビティ1106の上エッジ部からのビームは、ビームがキャビティ1106の中央に配置されるまで長さが増加し、次いで、キャビティ1106の他のエッジ部に近づくにつれて長さが減少するように進み得る。いくつかの実施例では、より高い周波数での音響励起がキャビティ1106の縁部付近で最大であり得、より低い周波数での音響励起はキャビティ1106の中央付近で最大であり得る。アレイ1102内の各ビームの長さは、各ビームの共振がキャビティ1106内のその位置を通過する周波数に最も高い感度で一致するように設定され得る。
【0059】
図12は、さらに別の例によるビームのアレイを含むトランスデューサ1200の上面概略図を示す。トランスデューサ1200は、基板1201を貫通して形成されたキャビティ1206上に懸架された固定-自由ビーム1202および固定-固定ビーム1204のセットを含む。この実施例では、固定-固定ビーム1204のアンカー1208がキャビティ1206の上に懸架される。アンカー1208は、アンカーが十分に剛性であり、同じ外部刺激を受けたときに、固定-自由ビーム1202に対して著しく移動しないように構成される。例えば、アンカー1208は、ビーム1202および1204よりも大きな幅および/または厚さで構築されてもよい。アンカー1208は、キャビティ1206のエッジから距離1210を置いて配置される。距離1210は、アンカー1208がキャビティ1206のコーナーから十分に遠く、微細加工プロセス中に過度の応力または力を受けないように選択される。
【0060】
トランスデューサ1200のさらに別の特徴は、ビームのアレイの外側位置に固定-固定ビーム1212を使用することである。いくつかの実施例では、トランスデューサ1200のビームのアレイにわたって分布される静電力が不均一である。アレイ内の外側ビーム1212は、他の内側ビームよりも強い静電力を受けることができる。したがって、外側ビームをアレイ内の他の内側ビームよりも高い剛性にすることが有用であり得る。場合によっては、外側ビーム1212が固定-固定ビームである。他の場合には、固定-固定ビーム1212が、アレイ1202および/または1204内の残りのビームよりも大きい幅および/または厚さをさらに有することができる。さらに別の例では、アレイ1212の外側ビームが、アレイ内の他のビームよりも短い長さを有する固定-自由ビームであってもよい。
【0061】
図13は、さらに別の例によるビームのアレイを含むトランスデューサ1300の上面概略図を示す。トランスデューサ1300は、基板1301を貫通して形成されたキャビティ1306の上に懸架された、幅1314を有する固定-自由ビーム1302と固定-固定ビーム1304とのセットを含む。固定-自由ビーム1302のアレイは、第1及び最後の固定-自由ビーム1308を含む。ビーム1308の幅は、アレイ1302内の残りの固定-自由ビームの幅1314よりも大きい。別の実施例では、ビーム1308が、アレイ1302内の残りの固定-自由ビームとは異なる長さおよび/または厚さを有することができる。
【0062】
図14は、さらに別の例によるビームのアレイを含むトランスデューサ1400の上面概略図を示す。トランスデューサ1400は、基板1401を貫通して形成されたキャビティ1406の上に懸架された、幅1414を有する1組の固定-自由ビーム1402と、幅1416を有する固定-固定ビーム1404とを含む。この実施形態では、固定-自由ビーム1414の幅が固定-固定ビーム1416の幅よりも大きい。例えば、固定-自由ビーム1414の幅は、固定-固定ビーム1416の幅の1倍、2倍、3倍、または4倍であってもよい。さらに、または代わりに、アレイ1402内の固定-自由ビームの厚さは、アレイ1404内の固定-固定ビームの厚さよりも大きい。固定-自由ビームアレイ1402は、第1及び最後のビーム1408を有する。一例では、ビーム1408の幅が幅1414よりも大きい。同様に、固定-固定ビームアレイ1404は、第1及び最後のビーム1412を有する。一例では、ビーム1412の幅が幅1416よりも大きい。
【0063】
図15は、さらに別の例によるビームのアレイを含むトランスデューサ1500の上面概略図を示す。トランスデューサ1500は、1つまたは複数の態様ではトランスデューサ1400(
図14)と同様の方法で構成され得る。トランスデューサ1500は、固定-自由ビーム1502の先端部が湾曲している点で異なっていてもよい。代替的に又は追加的に、固定-自由ビーム1506の先端部から直接横断する固定-固定ビームアレイ1504上の領域1508もまた、プロファイルが湾曲している。
【0064】
いくつかの例では、センサの総静電容量、したがって性能を増加させるために、トランスデューサの領域を増加させることが有用であり得る。いくつかの例では、少なくとも1つの側部に固定されたプレートを含むトランスデューサが、より大きい幅(例えば、それらが固定される縁部に平行な方向に延在する)で構築されてもよい。ビームのアレイを含むトランスデューサは、アレイ内のビームの数を増加させるために拡張され得る。しかしながら、これらの構成は、基板内のキャビティを一方向に沿ってのみ比例的に延在させる。いくつかの実施例では、検出素子が固定される縁部に垂直な方向にトランスデューサ領域が増加される構成を有することが有用であり得る。これは、その平面寸法の両方に沿ったセンサ領域の増加を可能にし、基板に形成されたキャビティまたは孔のより良好な対称性を可能にし得る。
【0065】
図16は、一実施例による、増加した領域を有する板状ダイヤフラムを含むトランスデューサ1600を示す。トランスデューサ1600は、基板1601内のキャビティ1606の上に懸架する共通アンカ1608に取り付けられた2つの板状ダイヤフラム1602および1604を含む。板状のダイヤフラム1602および1604は、
図5~
図7に記載されたものと同様であってもよい。ダイヤフラム1602および1604が音波によって励起されると、ダイヤフラムは互いに同位相で移動することができる。アンカー1608は、アンカーが同じ外部刺激を受けるときに、ダイヤフラム1602および1604の動きに対して著しく動かないように構成される。同様に、固定電極1610および1612は基板1601に固定され、同じ外部刺激を受けるときに、ダイヤフラム1602および1604の動きに対して大きく動かない。ダイヤフラム1602および1604が振動することにつれて、ダイヤフラムは、それぞれ電極1610および1612との静電容量の変化を作り出す。一例では、アンカー1608が、各ダイヤフラムが同じ導電層を共有するように、ダイヤフラム1602および1604を接続する。バイアス電圧が固定電極1610および1612上に印加されると、電気信号が、アンカー1608内の少なくとも1つの導電層から感知され得る。それは、トランスデューサ1600によって見られる総キャパシタンス変化に近似する。吊り下げられたアンカー1608からの信号を感知することによって、感知電極と基板1601との間の寄生容量を最小限に抑えることができる。別の実施例では、少なくとも1つのバイアス電圧をアンカ1608上に加え、ダイヤフラム1602および1604によって共有することができる。この場合、トランスデューサ1600によって見られる総キャパシタンス変化は、基板1601の上の導電性トレースを使用して、またはトランスデューサ1600の外部に固定電極1610および1612を電気的に接続することによって感知することができる。キャビティのエッジ、または深い(ディープ)反応性イオンエッチング(DRIE)ホールは電極1610および1612のエッジに配置され得、DRIEプロセス中のアンダーカットは電極1610および1612と基板との間の寄生容量を低減するのに役立つ。さらに別の例では、トランスデューサ1600がダイヤフラム1602と固定電極1610との間で見られる静電容量変化に対応する第1の出力と、ダイヤフラム1604と固定電極1612との間で見られる静電容量変化に対応する第2の出力とを含むことができる。これは、ダイヤフラム1602および1604が互いに対して位相がずれるように、トランスデューサ1600が構成される実施例において有用であり得る。
【0066】
図17は、別の実施例による、増加した領域を有する板状ダイヤフラムを含むトランスデューサ1700の上面概略図を示す。トランスデューサ1700は、ダイヤフラムが反転されていることを除いて、トランスデューサ1600と同様である。トランスデューサ1700では、板状ダイヤフラム1702および1704が基板1701に直接取り付けられ、キャビティ1706の上に懸架される。ダイヤフラム1702および1704のフィンガは、キャビティ1706の中心に配置され、吊り下げられたアンカー1708の固定フィンガまたは電極と相互嵌合される。アンカー1708は、アンカーが同じ外部刺激を受けたときに、ダイヤフラム1702および1704の動きに対して著しく動かないように、構成される。一例では、導電トレース1710がダイヤフラム1702および1704を接続し、各ダイヤフラムが同じ導電層を共有する。1つまたは複数のバイアス電圧がダイヤフラム1702および1704上に加えられ、電気信号が、アンカー1708内の少なくとも1つの導電層から感知され得る。それは、トランスデューサ1700によって見られる総キャパシタンス変化に近似する。吊り下げられたアンカー1708からの信号変化を感知することによって、感知電極と基板1701との間の寄生容量を最小限に抑えることができる。別の実施例では、1つまたは複数のバイアス電圧がアンカー1708の1つまたは複数の導電層上に印加され得る。この場合、トランスデューサ1700によって見られる総キャパシタンス変化は、1702、1704、または1710内の少なくとも1つの導電層によって感知することができる。さらに別の例では、導電性トレース1710が、センサ1700がダイヤフラム1702と固定電極1708との間で見られる静電容量変化に対応する第1の出力と、ダイヤフラム1704と固定電極1708との間で見られる静電容量変化に対応する第2の出力とを含むように、除去され得る。
【0067】
図18は、一例による、増加した領域を有するビームのアレイを含むトランスデューサ1800の上面概略図を示す。トランスデューサ1800は、キャビティ1806上に懸架され、基板1801に固定された2組の固定-自由ビーム1802および1804を含む。固定-自由ビーム1802は、導電トレース1810を介して接続され、固定-自由ビーム1804は導電トレース1812を介して接続される。固定-自由ビーム1802および1804は、アンカー1808に接続され、キャビティ1806の上に懸架された固定-固定ビームの間で交互嵌合される。いくつかの実施例では、固定-自由ビーム1802および/または1804の幅が、固定-固定ビームの幅よりも大きくても小さくてもよい。固定-固定ビームアレイは、第1及び最後のビーム1814のセットを有する。いくつかの実施例では、ビーム1814の幅が、他の固定-固定ビームおよび/または固定-自由ビーム1802および1804よりも大きくてもよい。他の例では固定-自由ビーム1802のうちの少なくとも1つの長さ、幅、および/または厚さは、固定-自由ビーム1804のうちの少なくとも1つとは異なり得る。トランスデューサ1800のビームアレイは、
図8-15に記載されるものと同様であってもよい。
【0068】
アンカー1808およびその関連する固定-固定ビームは、同じ外部刺激を受けたときに、固定-自由ビーム1802および1804の動きに対して大きく動かないように構成される。固定-自由ビーム1802および1804が振動することにつれて、ビームは、1808および基板に固定された固定-固定ビームとともに静電容量の変化を作り出す。一例では、1つまたは複数のバイアス電圧が固定-固定ビーム上に加えられ、1810および/または1812において導電層のうちの少なくとも1つから電気信号が感知される。別の実施例では、1つまたは複数のバイアス電圧が1810および/または1812の少なくとも1つの導電層上に加えられ、電気信号が固定-固定ビーム1808内の少なくとも1つの導電層から感知される。吊り下げられたアンカー1808を感知することによって、感知電極と基板との間の寄生容量を最小限に抑えることができる。
【0069】
いくつかの実施例では、導電性トレース1810および1812を電気的に接続して、単一の外部接続を使用して固定-自由ビームの動きを感知することができるようにすることが有用であり得る。
図19は、そのような一実施形態を示す。トランスデューサ1900は、トランスデューサ1800と同様に、キャビティ1906上に懸架され、それぞれ導電性トレース1910および1912に接続された、少なくとも2組の固定-自由ビーム1902および1904を含む。導電性トレース1910および1912は、固定-自由ビーム1902および1904が同じ電位を示すように、導電性トレース1908によってさらに接続される。
【0070】
MEMSトランスデューサの領域が増加することにつれて、基板にエッチングされるキャビティの領域はそれに応じて増加する。場合によっては、1つのより大きいキャビティではなく、基板内の複数のより小さいキャビティをエッチングすることが有用であり得る。これはまた、固定されたアンカーのような過度に長い吊り下げ構造を伴わずに、より多くの領域をカバーするトランスデューサの生成を可能にし得る。
【0071】
図20は、一例による、複数のキャビティを有する板状ダイヤフラムを含むトランスデューサ2000を示す。トランスデューサ2000は、アンカー2014によって接続された2つの板状ダイヤフラム2002および2004を含む。板状のダイヤフラム2002および2004は、
図5~7に記載されたものと同様であってもよい。トランスデューサ2000は、ダイヤフラム2002が懸架される基板2001を通る第1のキャビティ2006と、ダイヤフラム2004が懸架される基板2001を通る第2のキャビティ2008とを含む。ダイヤフラム2002および2004を接続するアンカー2014も、トランスデューサ2000の基板2001に固定される。ダイヤフラム2002および2004が音波によって励起されると、ダイヤフラムは振動し、互いに同位相で移動する。固定されたフィンガ、すなわち電極2010および2012は基板2001に固定され、同じ外部刺激を受けるとき、ダイヤフラム2002および2004の運動に対して著しく移動しない。ダイヤフラム2002および2004が振動することにつれて、ダイヤフラムは、それぞれ電極2010および2012との静電容量の変化を作り出す。一例では、アンカー2014が、各ダイヤフラムが同じ導電層を共有するように、ダイヤフラム2002および2004を接続する。バイアス電圧が固定電極2010および2012上に加えられる場合、電気信号は、アンカー2014内の少なくとも1つの導電層から感知され、その信号は、トランスデューサ2000によって見られる総キャパシタンス変化に近似する、別の実施例では、少なくとも1つのバイアス電圧がアンカー2014内の導電層上に配置され、ダイヤフラム2002および2004によって共有され得る。この場合、センサ2000によって見られる総静電容量変化は、固定電極2010および2012を電気的に接続することによって感知することができる。さらに別の例では、トランスデューサ2000が、ダイヤフラム2002と固定電極2010との間で見られる静電容量変化に対応する第1の出力と、ダイヤフラム2004と固定電極2012との間で見られる静電容量変化に対応する第2の出力とを含むことができる。
【0072】
いくつかの実施例では、第1および第2のキャビティ2006および2008が等しい寸法を有し得る。他の例では、第1および第2のキャビティ2006および2008が異なる寸法を有し得る。第1のキャビティ2006および第2のキャビティ2008は、互いに対して任意の配向を有し得る。例えば、それらは、水平、垂直、または互いに対して対角線的に配置されてもよい。第1および第2のキャビティ2006および2008はまた、キャビティ2006の頂部が水平に配置されたキャビティ2008の頂部の上または下にあるように、互いからオフセットされ得る。同様に、キャビティ2006の左縁は、垂直に配置されたキャビティ2008の左縁の左または右に配置されてもよい。アンカー2014によって接続された2つのダイヤフラム2002および2004を有するのではなく、トランスデューサ2000は、キャビティ2006および2008の上に個々に懸架された別個のダイヤフラムを含んでもよい。いくつかの実施例では、これらのダイヤフラムが
図16および
図17に記載されるものに類似し得る。これらのダイヤフラムは、トランスデューサ2000の外部の追加の導電性トレースまたは接続部と接続されてもよい。いくつかの実施例では、トランスデューサ2000が3つ以上のキャビティを含んでもよい。3つ以上のキャビティは、互いに対して任意の配置で配置されてもよい。例えば、トランスデューサ2000が4つのキャビティを含む場合、4つのキャビティは、水平線、垂直線、長方形、または十字の形状を形成するように配置され得る。
【0073】
図21は、一例による、複数のキャビティを有するビームのアレイを含むトランスデューサ2100の上面概略図を示す。トランスデューサ2100は、固定-自由ビーム2102および2104の2つのアレイを含む。固定-自由ビーム2102はトレース2110を介して接続され、固定-自由ビーム2104はトレース2112を介して接続される。固定-自由ビームは、アンカー2114に接続された固定-固定ビームと相互嵌合される。ビームのアレイは、
図8-15に記載されているものと同様であってもよい。センサ2100は、固定-自由ビーム2102が懸架される基板2101を通る第1のキャビティ2106と、固定-自由ビーム2104が懸架される基板2101を通る第2のキャビティ2108とを含む。固定-固定ビームを接続するアンカー2114は、トランスデューサ2100の基板2101に部分的にまたは完全に固定されてもよい。固定-自由ビーム2102および2104は、音波によって励起されるので、ビームは振動し、互いに位相を合わせて移動することができる。アンカー2114に接続された固定-固定ビームは基板2101に固定され、同じ外部刺激を受けるとき、固定-自由ビーム2102および2104の動きに対して大きく動かない。固定-自由ビーム2102および2104が振動すると、固定-固定ビームによって静電容量の変化が生じる。電気信号は、前の例で説明した方法のいずれかによって感知され得る。
【0074】
第1のキャビティ2106および第2のキャビティ2108は等しいまたは異なる寸法を有し、
図20に記載されるように、互いに対して任意の配向を有し得る。固定-固定ビームの1つのアレイがアンカー2114に接続されるのではなく、トランスデューサ2100は、キャビティ2106および2108の上に個々に懸架される別個の固定-固定ビームアレイを含み得る。いくつかの実施例では、各キャビティ2106および2108が、
図18~19に記載されるものに類似するビームのアレイを含み得る。ビームのこれらのアレイは、トランスデューサ2100の外部の追加の導電性トレースまたは接続部と接続されてもよい。いくつかの実施例では、トランスデューサ2100が、
図20に記載されるように、任意の向きに配置された3つ以上のキャビティを含んでもよい。
【0075】
図22は、別の実施例による、複数のキャビティを有する板状ダイヤフラムを含むトランスデューサ2200の上面概略図を示す。トランスデューサ2200は、アンカー2210に接続された4つの板状ダイヤフラム2202、2204、2206、および2208を含む。板状ダイヤフラム2202、2204、2206、および2208は、
図7~
図9に記載されるものと同様であり得る。トランスデューサ2200は、ダイヤフラム2202および2204が懸架される基板2201を通る第1のキャビティ2212と、ダイヤフラム2206および2208が懸架される基板2201を通る第2のキャビティ2214とを含む。ダイヤフラム2202、2204、2206、および2208を接続するアンカー2210の少なくとも一部は、少なくとも1つのキャビティ2212および/または2214の上に吊り下げられてもよい。アンカー2210の少なくとも一部はまた、トランスデューサ2200の基板2201に固定されてもよい。いくつかの実施例では、アンカー2210が電気的または機械的に接続された複数のアンカーを含んでもよい。同じ外部刺激によって励起されると、ダイヤフラム2202、2204、2206、および2208は、互いに同位相で移動することができる。電極2216および2218は基板に固定されており、同じ外部刺激を受けるとき、ダイヤフラム2202、2204、2206、および2208に対して著しく移動しない。電極2216および2218は、導電性トレース2220を介してさらに接続され得る。ダイヤフラム2202、2204、2206、および2208が振動することにつれて、ダイヤフラムは、電極2216および2218によって静電容量の変化を作り出す。一例では、アンカー2210は、各ダイヤフラムが同じ導電層を共有するように、ダイヤフラム2202、2204、2206、および2208を接続する。電気信号は、前の例で説明した方法のいずれかによって感知され得る。第1のキャビティ2206および第2のキャビティ2208は等しいまたは異なる寸法を有することができ、前述のように、互いに対して任意の配向を有することができる。いくつかの実施例では、
図16、
図17、および
図20に記載されるようなトランスデューサは、キャビティ2212および/またはキャビティ2214の上に懸架されてもよい。いくつかの実施例では、トランスデューサ2200が3つ以上のキャビティを含んでもよい。3つ以上のキャビティは前の図に関連して説明したように、互いに対して任意の配置で配置されてもよい。
【0076】
図23は、別の実施例による、複数のキャビティを有するビームのアレイを含むトランスデューサ2300の上面概略図を示す。トランスデューサ2300は、基板2301に固定された固定-自由ビーム2302、2304、2306、および2308の4つのアレイを含む。ビームアレイ2302、2304、2306、および2308は、
図8~
図15に記載されるものと同様であり得る。トランスデューサ2300は、固定-自由ビームアレイ2302および2304が吊り下げられる基板2301を通る第1のキャビティ2312と、固定-自由ビームアレイ2306および2308が吊り下げられる基板2301を通る第2のキャビティ2314とを含む。固定-自由ビーム2302、2304、2306、および2308は、アンカー2310に接続された固定-固定ビームと相互嵌合される。アンカー2310の少なくとも一部は、キャビティ2312および/または2314の少なくとも1つの上に懸架される。アンカー2310の少なくとも一部は、センサ2300の基板に固定されてもよい。いくつかの実施例では、アンカー2310が電気的または機械的に接続された複数のアンカーを含んでもよい。同じ外部刺激によって励起されると、固定-自由ビーム2302、2304、2306、および2308は、互いに同位相で移動することができる。電極2316および2318は、基板2301に固定され、固定-自由ビーム2302、2304、2306、および2308に接続される。電極2316および2318は、導電性トレース2320を介してさらに接続され得る。固定-固定ビームおよびアンカー2310は、同じ外部刺激を受けるとき、固定-自由ビーム2302、2304、2306、および2308の動きに対して著しく動かない。固定-自由ビーム2302、2304、2306、および2308が振動すると、固定-固定ビームによる静電容量の変化が生じる。一例では、アンカー2310が固定-固定ビームを接続し、それらが同じ導電層を共有する。電気信号は、前の例で説明した方法のいずれかによって感知され得る。第1のキャビティ2306および第2のキャビティ2308は等しいかまたは異なる寸法を有することができ、前述のように、互いに対して任意の配向を有することができる。いくつかの実施例では、
図18、
図19、および
図21に記載されるようなトランスデューサはキャビティ2312および/またはキャビティ2314の上に懸架されてもよい。いくつかの実施例では、トランスデューサ2300が3つ以上のキャビティを含んでもよい。3つ以上のキャビティは前述のように、互いに対して任意の配置で配置されてもよい。
【0077】
ここで、複数の偏向電極を有するMEMSトランスデューサの実施例を説明する。場合によっては、電極が電極の固定された部分が配置される平面から外れて偏向されてもよい。上述のように、偏向は例えば、外部刺激との相互作用の前の静止偏向であってもよい。偏向は、電極のうちの1つにバイアス電圧を印加した後であってもよいし、後でなくてもよい。このような偏向電極の様々な構成および配置について説明する。
【0078】
実施例は、上述の実施例のうちの1つまたは複数と共通するいくつかの態様を有する。例えば、一態様では、実施例が従来のMEMSセンサによって使用される従来の平行板感知アーキテクチャから逸脱する容量性感知機構を使用する。いくつかの場合には、電極が可動要素の上または下にバックプレートを使用する多くの平行プレート感知アーキテクチャで見られるように、電極間に垂直(例えば、可動要素を支持する基板の平面に対して垂直)重複がないように(例えば、電極の一部分が電極の真上または真下に別の電極の一部分を有しないように)、交互嵌合されるか、または並んで配置される。場合によっては、電極のうちの1つまたは複数が最初に別のものに対して偏向され得る。この場合、複数の電極間に確立されるキャパシタンス(静電容量)は、フリンジキャパシタンスに部分的に起因する寄与を有し得る。1つ以上の電極の初期偏向は、平行プレート電極を有するMEMSセンサ間に典型的に見られるギャップと比較して大きくてもよい。
【0079】
上述のように、以下に説明するトランスデューサは例えば、様々な民生用電子デバイス、自動車、および測定マイクロフォンを含む、多種多様なマイクロフォン用途および状況において有用であり得る。以下に説明するトランスデューサは、加速度計、ジャイロスコープ、慣性センサ、圧力センサ、ガスセンサなどに関連しても有用である。これらの例では、センサが振動事象(例えば、加速度)を経験すると、トランスデューサが振動し、センサによって捕捉された信号がセンサの動きの近似値として働く。
【0080】
ここで
図24を参照すると、一例によるMEMSトランスデューサ2400の断面図が示されている。MEMSトランスデューサ2400は、基板2406によって支持された第1の電極2402と第2の電極2404とを含む。第1の電極2402は、少なくとも1つの側に固定され、基板2406の平面および第1の電極の長さに垂直な方向2408に沿って自由に振動する。基板2406は、第1の電極2402および第2の電極2404を外部空気に結合するキャビティ2410を有する。第2の電極2404は、少なくとも一方の側に固定される。場合によっては、第2の電極2404は、同じ外部刺激(例えば、音波)を受けたときに、第1の電極に対して方向2408に沿った運動を示さないか、または減少させるように、構成され得る。したがって、第2の電極2804に対する方向2408に沿った第1の電極2402の位置は、方向2408に沿った音響刺激に応答して変化する。この場合、第1の電極2402は移動電極と考えられ、第2の電極2404は固定電極と考えられる。いくつかの実施例では、第1の電極2402の厚さは2ミクロン(μm)未満または3μm未満であり得る。代替的にまたは追加的に、第1の電極2402は、周囲空気の音響インピーダンスにほぼ等しい音響インピーダンスを有し得る。
【0081】
第1の電極2402および第2の電極2404はそれぞれが少なくとも1つの導電層を有し、それらの間に静電容量が確立される。2つの電極が典型的には互いの上に配置される平行板キャパシタとは異なり、第1の電極2402は、第2の電極2404の側部に配置される。電極2402および2404は、並んでいる(side-by-side)と言われる。第2の電極2404は、
図24において、第1の電極2402の右側に示されている。第2の電極2404の少なくとも一部が、第1の電極2402の前または後ろに配置されてもよい。
【0082】
第1の電極2402は、いくつかの部分を含む。第1の電極2402は、基板2406によって固定または支持される第1の部分2412と、第1の部分2412から外側に延在する第2の部分2414とを有する。第2の電極2404はまた、基板2406によって固定または支持される第1の部分2416と、第1の部分2416から外側に延在する第2の部分2418とを有する。第1の電極2402および第2の電極2404の第2の部分2414および2418はそれぞれ、振動運動を示す静電容量を確立するために、第1の電極と第2の電極との間の間隙を画定する。第1の電極2402および第2の電極2404の他の部分は例えば、第1の部分2412および2416を含む静電容量に寄与する。したがって、本明細書で説明されるいくつかの実施例に関連して示されるように、ギャップは、第1の電極2402および第2の電極2404の他の部分も静電容量に寄与する程度にかかわらず、静電容量を確立すると見なされ得る。場合によっては、第1の部分2412および2416の長さは5μm~50μmであってもよい。第2の部分2414および2418の長さは50μm~約500μmであってもよいが、他の量が使用されてもよい。場合によっては、第2の部分2414および2418の長さは等しくなくてもよい。他の場合には、第2の部分2414および2418の長さは等しくてもよい。
【0083】
第1の電極2402の第2の部分2414は、第1の部分2412に対して静止、反り、または他の偏向2420を有する。この場合、偏向は、電極2402の中間点に対して測定または定義される。偏向は、他の場合、非偏向部分の下面または底面など、電極の任意の非偏向部分に対して画定され得る。同様に、第2の電極2404の第2の部分2418は、第1の部分2416に対して静止、反り、または他の偏向2422を有する。場合によっては、静止偏向2420および2422が、製造中の第1の電極2402および第2の電極2404の反りから生じ得る。トランスデューサ2400がいかなる音も受けず、平衡状態にあるとき、第1の電極2402および第2の電極2404は、それぞれ、偏向2420および2422によってオフセットされる。静止偏向はバイアス電圧の印加後に達成されるが、外部励起なしの位置に対応し得る。場合によっては、初期偏向2420および2422は異なっていてもよい。他の場合には、初期偏向2420および2422がほぼ等しくてもよい。例えば、第1の電極2402および第2の電極2404の長さが異なる場合、静止偏向2420および2422は異なり得る。より長い長さを有する電極は、より大きな静止偏向を有することができる。第1の電極2402および第2の電極2404の長さが同じである場合、初期偏向2420および2422はほぼ等しくてもよい。いくつかの実施例では、初期偏向2420および2422が約5μm~約50μmの範囲内に入ることができるが、他の量を使用することもできる。初期偏向は、第1および第2の電極2402および2404の第2の部分2414および2418が第1の部分2412および2416の上にあるようなものであり得る。そのような例では、第1および第2の電極2402および2404が引張応力下にあり得る。
【0084】
第1の電極2402と第2の電極2404との間に容量が形成される。第1の電極2402が方向2408に沿って動きを受けると、第1の電極2402と第2の電極2404との間の静電容量が変化し得る。第1の電極2402が第2の電極2404に近づくにつれて、静電容量は増加する。第1の電極2402が第2の電極2404から離れるにつれて、静電容量は減少する。次いで、第1の電極2402と第2の電極2404との間の静電容量の変化を、第1の電極2402の運動を表す電子信号に変換することができる。
【0085】
固定バイアス電圧は、電極2402または2404のうちの1つの上に配置され得る。第1の電極2402が方向2408に沿って移動することにつれて、これは、バイアス電圧がかかっていない電極2402または2404で見られる電荷および/または電圧の変化をもたらし得る。一例では、バイアス電圧が第1の電極2402上にかかり、第2の電極2404は、第2の電極上の電荷を一定に保持し、第1の電極が振動するときに第2の電極上で見られる電圧変化を増幅する電圧増幅器に接続される。第2の電極2404は代わりに、第2の電極上の電圧を一定に保持し、第1の電極2402が振動するときに第2の電極で見られる電荷変化を増幅する電荷増幅器に接続されてもよい。別の実施例では、バイアス電圧が第2の電極2402上に印加され、第1の電極2402が電圧増幅器に接続される。さらに別の例では、第1の電極2402が代わりに、電荷増幅器に接続され得る。使用されるバイアス電圧は、正または負の値を有し得る。バイアス電圧は、DCおよび/またはAC成分をさらに有する可能性がある。いくつかの例では、バイアス電圧が電極2402または2404上に印加されるとき、初期偏向2420および/または2422はバイアス電圧の印加によって達成される平衡位置を反映し得る(たとえば、偏向は電極2402および2404の第1の部分2412および2416に対して増加または減少し得る)。したがって、経験される初期偏向2420および2422は、電極2402および2404のバイアス電圧および/または機械的特性の振幅に依存し得る。いくつかの実施例では、1V~50Vの間のバイアス電圧が使用され得る。
【0086】
第1の電極2402は、その幅および/または厚さよりも大きい長さを有することができる。各電極の長さは、電極がアンカー点から突出する寸法、および間隙が画定される寸法に対応し得る。加えて、第1の電極2402は、その厚さと同様の、またはそれよりも大きい幅を有し得る。
【0087】
いくつかの実施例では、基板2406がシリコン、ガラス、または他の材料から構成され得るか、またはそれを含み得る。第1の電極2402および第2の電極2404は、シリコン、酸化物、窒化物、またはポリマーの任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含み得る。たとえば、第1の電極2402および/または第2の電極2404は、シリコン、ドープシリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコンから構成されるか、またはそれらを含む単層であってもよく、あるいはアルミニウム、銅、金、またはタングステンなどの金属を含んでもよい。他の例では、第1の電極2402および/または第2の電極2404が、3つの層などの複数の層を含み得る。第1および第2の電極2402および2404の3つの層は、それぞれ、ポリシリコン、窒化物、およびポリシリコンから構成され得るか、またはそれを含み得る。他の例では、第1および第2の電極2402および2404がそれぞれ、窒化物、ポリシリコン、および窒化物から構成され得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施例では、第1の電極層および第2の電極層が同じ製造ステップ中に堆積される。一例では、第1の電極2402および第2の電極2404が、約50nm~約2000nmの範囲内の厚さを有し得るが、他の厚さが使用されてもよい。第1電極2402及び第2電極2404の厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0088】
場合によっては、電極と基板との間に絶縁層を配置してもよい。
図25は、一例による1つのそのようなトランスデューサ2500の断面または側面図を示す。トランスデューサ2500は、絶縁体2508を介して基板2506によって支持された第1の電極2502および第2の電極2504を含む。絶縁体2508は、第1および第2の電極2502および2504と基板2506との間に電気的接続がないことを確実にし、製造プロセス中にエッチング停止として作用することもできる。絶縁体2508は、シリコン、酸化物、窒化物、またはポリマーの任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含むことができる。例えば、絶縁体2508は、熱酸化物から構成されてもよく、または熱酸化物を含んでもよい。
【0089】
図26は、別の実施例によるトランスデューサ2600の断面図を示す。トランスデューサ2600は、絶縁体2608を介して基板2606によって支持された第1の電極2602および第2の電極2604を含む。基板2606は、キャビティ2610を有する。第1の電極2602は、基板2606によって固定または支持される第1の部分2612と、第1の部分2612から外側に延在する第2の部分2614とを有する。第2の電極2604はまた、基板2606によって固定または支持される第1の部分2616と、第1の部分2616から外側に延在する第2の部分2618とを有する。第1の電極2602の第2の部分2614は、その第1の部分2612に対して静止偏向2620を有する。第2の電極2604の第2の部分2618は、その第1の部分2616に対して静止偏向2622を有する。
【0090】
第1の電極2602の第2の部分2614の長さは、第2の電極2604の第2の部分2618の長さよりも大きい。その結果、静止偏向2620は、静止偏向2622よりも大きくなり得る。
【0091】
図27は、さらに別の例によるトランスデューサ2700の断面図を示す。トランスデューサ2700は、絶縁体2708を介して基板2706によって支持された第1の電極2702および第2の電極2704を含む。基板2706は、キャビティ2710を有する。第1の電極2702は、基板2706によって固定または支持される第1の部分2712と、第1の部分2712から外側に延在する第2の部分2714とを有する。第2の電極2704はまた、基板2706によって固定または支持される第1の部分2716と、第1の部分2716から外側に延在する第2の部分2718とを有する。第1の電極2702の第2の部分2714は、その第1の部分2712に対して静止偏向2720を有する。第2の電極2704の第2の部分2718は、その第1の部分2716に対して静止偏向2722を有する。
【0092】
第1の電極2702の第1の部分2712は、支持される基板2706から外側に延在し、キャビティ2710上に部分的に懸架されるように片持ち梁である。音波などの外部刺激は、第1の電極2712の第1の部分を励起し、それを第2の電極2716の第1の部分に対して振動させることができる。第1の電極2712の第1の部分は、第2の電極2716の第1の部分に対して静止偏向を有する可能性があるし、有しなくてもよい。第1の電極2714の第2の部分は、第1の部分2712に対して静止偏向を有する。いくつかの実施例では、第1の部分2712っは、外部音波に対するトランスデューサ2700の応答を増加させるように構成され得、一方、第2の部分2714は、トランスデューサ2700のキャパシタンスを増加させるように構成され得る。例えば、第1の部分2712は、接続されたビームのアレイまたは多孔性プレートを含むことができ、第2の部分2714は、容量性フィンガを含むことができる。
【0093】
いくつかの実施例では、第2の電極2716の第1の部分が、それによって支持される基板2706から外向きに延在するように、追加的にまたは代替的に片持ち梁であり得る。第1の部分は、音波などの外部刺激を受けたときに、第1の電極に対して著しく移動しないように、依然として比較的剛性にされ得る。
【0094】
図28は、さらに別の例によるトランスデューサ2800の断面図を示す。トランスデューサ2800は、絶縁体2808を介して基板2806に支持される第1の電極2802および第2の電極2804を含む。第1の電極2808は、間隔層2809を介して基板2806によってさらに支持される。間隔層2809は、導電性であっても非導電性であってもよい。基板2806は、第1および/または第2の電極2802および/または2804を周囲空気に結合するキャビティ2810を有する。第1の電極2802は、基板2806によって固定または支持される第1の部分2812と、第1の部分2812から外側に延在する第2の部分2814とを有する。第2の電極2804はまた、基板2806によって固定または支持される第1の部分2816と、第1の部分2816から外側に延在する第2の部分2818とを有する。第1の電極2814の第2の部分は、その第1の部分2812に対して静止偏向2820を有する。第2の電極2818の第2の部分は、その第1の部分2816に対して静止偏向2822を有する。
【0095】
間隔層2809は、第1の電極2802の先端(例えば、第2の部分2814の自由端)と第2の電極2804の先端(例えば、第2の部分2818の自由端)との間の間隙2824が、間隔層が存在しない場合よりも大きいような厚さを有する。間隔層2809が十分に厚いいくつかの実施例では、静止偏向2820および/または2822が、第2の部分2814および/または2818がそれぞれ第1の部分2812および2816に対して静止偏向を有さないように、ゼロであり得る。
【0096】
図29A~29Cは電極が片持ち梁である(例えば、端部のみに固定される)トランスデューサ2900の例を示す。
図29Aは、トランスデューサ2900の上面図を示す。トランスデューサ2900は、板状構造2902を有する第1の電極と、容量性フィンガ2904を有する第2の電極とを含む。第1の電極2902および第2の電極2904は、基板2906によって支持される。第1の電極2902は、基板2906に固定された第1の部分、すなわちタブ2908を含む。第1の電極は、第1の部分2908から外側に延在し、基板2906内のキャビティ2914の上に懸架される第2の部分2910をさらに含む。第2の部分2910は、第1の部分2908に対して静止偏向を有する。いくつかの実施例では、第2の部分2910が、多孔質板、または穴および/もしくは容量性フィンガを有する板状構造を含んでもよい。例えば、第2の部分2910は、孔2911を有する多孔性プレートの外周から延在する容量性フィンガ2912を有する可能性がある。多孔質プレート2910およびフィンガ2912の両方は、本明細書に記載されるように反っていてもよい。
【0097】
基板2906は、プレート2910を周囲空気に結合するための1つまたは複数のキャビティを有することができる。音波などの外部刺激を受けると、第1の電極2902が振動することがある。いくつかの実施例では、第1の電極2910の第2の部分が1つまたは複数の多孔質板を含み得る。例えば、第2の部分2910は、トレース2915を介して電気的に接続された2つの多孔質板を含むことができる。他の例では、第2の部分2910が4つの多孔質板を含んでもよい。さらに他の例では、多孔質プレートが代わりに、各それぞれのビームの間に間隙を有するカンチレバービームのアレイであってもよく、またはそれを含んでもよい。カンチレバービーム間の間隙は、孔2911に近似するか、またはそれと同様の目的を果たすことができる。アレイ内のビームは、(例えば、グリルのように)機械的に結合されてもよいし、されなくてもよい。いくつかの実施例では、第1の電極2910の第2の部分が容量性フィンガ2912を含まなくてもよい。
【0098】
他の例では、第2の部分2910が穴のない中実プレートを含んでもよい。プレートは、縁部に沿って容量性フィンガを有していても、有していなくてもよい。
【0099】
トランスデューサ2900の第2の電極2904は、第1の部分2916および第2の部分2918を含み得る。第1の部分は、基板2906に固定されてもよく、キャビティ2914の上に部分的に吊り下げられてもよい。第2の部分2918は、第1の部分2916から外向きに延在する容量性フィンガを含んでもよい。第1の部分2916は、第1の部分が比較的平坦であるように構成され得る。例えば、第1の部分2916は、その対向する端部の両方に固定されるビームであってもよい。容量性フィンガを有する第2の部分2918は、第1の部分2916に対して静止偏向を有することができる。
【0100】
第1の電極2912の第2の部分の容量性フィンガは、第2の電極2918の第2の部分の容量性フィンガに対して相互嵌合され得る。いくつかの実施例では、第1の電極2910の第2の部分の静止偏向が、第2の電極2918の第2の部分の静止偏向よりも大きくてもよい。第2の電極2918の第2の部分は、同じ外部刺激を受けたときの第1の電極2912の第2の部分の動きと比較して、比較的堅く、著しく動かないように構成され得る。いくつかの実施例では、多孔質または非多孔質板および容量性フィンガを有する第1の電極2910の第2の部分が、100μm~750μmの長さを有し得るが、他の長さが使用されてもよい。容量性フィンガを有する第2の電極2918の第2の部分は50μm~500μmの長さを有し得るが、他の長さが使用されてもよい。
【0101】
図29Bは、
図29Aにおいて識別されるトランスデューサ2900の部分Bの側面図を描写する。トランスデューサ2900の第1の電極2902および第2の電極2904は、絶縁体2907を介して基板2906によって支持される。基板2906は、電極2902および2904を周囲空気に結合するキャビティ2914を有する。第1の電極2902は基板2906によって固定または支持される第1の部分2908と、第1の部分から外側に延在する第2の部分2910(例えば、多孔性プレート)とを有する。第2の部分2910は、図示のように孔2911を含むことができる。第2の電極2904はまた、基板2906によって固定または支持される第1の部分2916と、第1の部分2916に対して静止偏向2922を伴って第1の部分から外側に延在する第2の部分2918とを有する。場合によっては、第1の電極2908の第1の部分が、キャビティ2914の上に部分的に懸架されてもよい。
【0102】
図29Cは、
図29Aにおいて識別されるトランスデューサ2900の部分Cの側面図を描写する。第1の電極2902の第2の部分2910は、その自由端の先端に孔2911および容量性フィンガ2912を含む。フィンガ2912は、第2の電極2904の第1の部分2916および第2の部分2918とのキャパシタンスを確立することができる。第1の電極2910の第2の部分は、第1の部分2908に対する静止偏向2926を有し、フィンガ2912は、第2の電極2916の第1の部分まで延在する。
【0103】
いくつかの実施例では、第2の部分2910は孔2911を含まなくてもよい。第2の部分2910は、非多孔性であってもよい。
【0104】
図29Bおよび
図29Cの側面図は、説明を容易にするために簡略化されている。図に示される1つ以上の特徴は、一定の縮尺で描かれていない場合がある。例えば、吊り下げ部分2910の長さは、(例えば、部分2918などの他の部分に対して)示されているよりもはるかに長くてもよい。
図29Bおよび
図29Cに示される偏向の相対量も、一定の縮尺で示されていない場合がある。部分2910(例えば、多孔性プレート)によって示されるたわみの量は図示を容易にするために
図29Bに示されており、
図29Cに示されるフィンガ2912よりも大きくたわまない。また、孔2911の数は図示を容易にするために(例えば、
図29Aの描写に対して)減少されている。
【0105】
図30は、さらに別の例によるトランスデューサ3000の断面図を示す。トランスデューサ3000は、絶縁体3008を介して基板3006によって支持された第1の電極3002および第2の電極3004を含む。基板3006は、第1および第2の電極3002および3004を周囲空気に結合するキャビティ3010を有する。第1の電極3002は、基板3006によって固定または支持される第1の部分3012と、第1の部分3012から外側に延在する第2の部分3014とを有する。第2の電極3004はまた、基板3006によって固定または支持される第1の部分3016と、第1の部分3016から外側に延在する第2の部分3018とを有する。第1の電極3002の第2の部分3014は、その第1の部分3012に対して静止偏向3020を有する。第2の電極3004の第2の部分3018は、その第1の部分3016に対して静止偏向3022を有する。
【0106】
第1および第2の電極3002および3004は、両方とも、外部刺激を受けたときに方向3024に沿って移動するように構成される。したがって、電極3002および3004の両方は、移動電極であると言われる。場合によっては、第1および第2の電極3002および3004が、同じ外部刺激に対してほぼ同じ量だけ移動する。他の場合には、第1および第2の電極3002および3004が同じ外部刺激に対して異なる量を移動する。
【0107】
第1の移動電極3002は静止偏向3020を有し、第2の移動電極3004は静止偏向3022を有し、その結果、電極は、それらが互いに交差する重複領域3026を有する。電極3002と3004との間には図示しない空隙が存在し、これらは互いに衝突せず、独立して自由に移動する。電極3002および3004は互いにかみ合った複数の電極(例えば、カンチレバービームまたは容量性フィンガ)を含むことができる。電極3002および3004は、それらの間に静電容量が確立されるように、少なくとも1つの導電層を含む。電極3002および3004が基板3006から離れるにつれて、重複領域3026が減少し、したがって、静電容量が減少する。電極3002および3004が基板3006に近づくにつれて、オーバーラップ領域3026、したがってキャパシタンスが増加する。次に、変化する静電容量は
図1によって説明される方法を用いて電子信号に変換され得る。通常の動作(例えば、線形動作レジーム)の間、重複領域3026は、互いに対向する第2の部分3014および3018の全表面積未満であり得る。言い換えれば、電極3014および3018の第2の部分は、動作中、常に第1の部分3012および3016に対していくらかの撓みを維持する。場合によっては、第2の部分3014および3018の偏向が、動作中、決してゼロにならないか、または第1の部分3012および3016よりも低くなることはない。言い換えれば、トランスデューサ3000の動作中、いくつかの実施例では、重複領域3026が2つの異なる音響刺激(すなわち、異なる周波数および/または音圧レベルの2つの音波)に対して決して同じではない。
【0108】
第1の移動電極3020の静止偏向および第2の移動電極3022の静止偏向は、大きさが等しくてもよく、または異なってもよい。いくつかの実施例では、第2の部分3014および3018の各々に対する静止偏向3020および/または3022が、それらが基板3006からさらに離れて延びるにつれて、単調に増加し得る。他の例では、第2の部分3014および3018の各々に対する静止偏向3020および/または3022が、それらが基板3006からさらに離れて延びるにつれて、減少し得る。いくつかの実施例では、静止偏向3020および3022が反対方向であってもよい。いくつかの実施例では、第1の電極3002が第2の電極3004と同一であり、対向する。他の例では、第1の電極3002が第2の電極3004とは異なる長さ、幅、厚さ、または全体として異なる設計を有し得る。
【0109】
図31は、一例によるトランスデューサ3100を示す。トランスデューサ3100の第1の電極3102および第2の電極3104は、基板3106によって支持された対向するカンチレバーのアレイである。第1の電極3102は、基板3106に固定された第1の部分3108と、第1の部分から外側に延びる第2の部分3110とを有する。第2の部分3110は、一方の端部が第1の部分3108に取り付けられ、反対側の端部で自由に移動するように片持ち梁である。第2の部分3110は、基板3106内のキャビティ3112の上に懸架される。第2の電極3104は、基板3106に固定された第1の部分3114と、第1の部分から外側に延在し、キャビティ3112上に懸架された第2の部分3116とを有する。第2の部分3116は、一方の端部が第1の部分3108に取り付けられ、反対側の端部で自由に移動するように片持ち梁である。第2の部分3110および3116の各々は、
図8に記載されるような静止偏向を有する。音響刺激がカンチレバーアレイ3110および3116の第2の部分を励起すると、第2の部分は、2組のカンチレバー間の重複領域、したがって静電容量が刺激とともに振動するように、同期して移動する。バイアス電圧は、電極3102または3104のいずれかにかかり、他方は増幅器に接続される。電極3102または3104のいずれか一方は、寸法または設計において他方と異なっていてもよい。電極3102および/または3104は、電極が音響刺激に応答して移動し、その第1の部分に対して静止偏向を有する第2の部分を有するように構成される任意の電極設計と置き換えられてもよい。
【0110】
図32は、別の実施例によるトランスデューサ3200を示す。トランスデューサ3200は、板状のダイヤフラムとして構成され、周囲の基板3206によって支持される2つの対向する電極3202および3204を含む。第1の電極3202は、基板3206に固定される第1の部分3208と、第1の部分から外側に延在し、キャビティ3212の上に懸架される第2の部分3210とを有する。第2の部分3210は、板の自由端から外側に延びる容量性フィンガを有する多孔質板を含む。第2の電極3204は、基板3206に固定される第1の部分3214と、第1の部分から外側に延在し、キャビティ3212の上に懸架される第2の部分3216とを有する。第2の部分3216は、板の自由端から外側に延びる容量性フィンガを有する多孔質板を含む。第2の部分3210および3216の各々は、
図8に記載されるように静止偏向を有する。電極3202および3204の容量性フィンガは、2つの電極間に静電容量が存在するように互いにかみ合っている。音響刺激が電極3202および3204を励起すると、電極は、第2の部分3210および3216の容量性フィンガ間の重なり領域、したがって、静電容量が励起とともに振動するように、同期して移動する。バイアス電圧は、電極3202または3204のいずれかに印加され、他方は増幅器に接続される。
【0111】
いくつかの実施例では、電極3202および3204が互いに同一である。他の例では、電極3202および3204は異なる。例えば、電極3202は、互いに異なる共振周波数を有するように、電極3204とは異なる長さ、幅、厚さ、および/またはアンカーを有していてもよい。第2の部分3210における多孔質板の孔サイズおよび/または間隔は、第2の部分3216における多孔質板の孔サイズおよび/または間隔と異なっていてもよい。別の実施例では、第2の部分3210の容量性フィンガが、第2の部分3216の容量性フィンガとは異なる長さであり得る。電極3202または3204のうちの1つは、固定-自由カンチレバービームのアレイと完全に置き換えられてもよい。
【0112】
他の例では、第1の電極3202および第2の電極3204を含むプレートは多孔質でなくてもよい。
【0113】
上記の図の内の任意の1つ又は複数において、上部概略図は、固定電極および可動電極が平坦であるか、または平面であるか(例えば、同じ平面内に配置される)を特定しないが、板状ダイヤフラムおよび固定-自由ビームは、
図2に描写され、それに関連して説明されるように、固定電極に対して初期または他の静止偏向を有し得る。静止偏向は、バイアス電圧の付与後であるが外部媒体による励起なしに達成される位置に対応し得る。可動電極の曲率プロファイルは、可動電極の自由端が固定電極の上または下に偏向される限り、任意の形状をとることができる。
図2~
図4に関連して説明したように、電極をバイアスし、感知する任意の方法を使用することができる。上面図に示されるトランスデューサは例えば、断面図または側面図に示される他の実施例のいずれかに関連して記載されるものを含む、他の実施例に関連して本明細書に記載されるMEMSトランスデューサの任意の1つまたは複数の特徴を組み込むことができる。
【0114】
上述したのは、音および他の振動刺激を感知するように構成されたトランスデューサである。トランスデューサは、固定電極の横に配置され得る可動電極を含む。可動電極は初期偏向を有する片持ち梁部分(例えば、先端)を有する。動作中、カンチレバー電極の先端または他の部分は、固定電極に達しないか、または交差しないことがある。各電極は同じ電位に保持された任意の数の接続された構造(例えば、アンカー、プレート、フィンガ、ビームなど)を含み得る。場合によっては、固定電極はバイアスされてもよく、カンチレバー電極はセンス電極として増幅器に接続される。他の場合には、カンチレバー電極はバイアスされ、固定電極は増幅器に接続される。
【0115】
前述の例では、MEMSトランスデューサが1つまたは複数の移動電極と、1つまたは複数の固定電極とを含む。他の場合には、トランスデューサが再度、並んだ電極を含むが、前述の例の固定電極に代わる1つまたは複数の可動電極を有することができる。
【0116】
上述したように、片持ち電極は、多孔質板を含む場合がある。多孔質プレートは、外周の1つ以上の側部に沿って外側に延在するフィンガを有する可能性がある。あるいは、カンチレバー電極がビームのアレイ(例えば、固定-自由なビーム)を含んでもよい。
【0117】
動作中、移動電極は、電極が偏向される方向を変化させないことがある。例えば、可動電極は、上方に偏向されたままであるか、または下方に偏向されたままである。移動電極は、対向する板または対向する固定-自由なビームであってもよく、またはそれらを含んでもよい
上述のように、本開示の別の態様によれば、開示されたトランスデューサは、複数の電極を画定するようにパターン化された導電層を含む。電極の両方(または全て)は、導電層のパターニングから形成されてもよい。導電層は、電極を形成および/または支持するように構成された層のスタックにおける1つの層であってもよい。同じ導電層が、本明細書に記載される可動電極および固定電極の両方に使用されてもよい。場合によっては、導電層がポリシリコンから構成されてもよく、またはポリシリコンを含んでもよい。代替的または追加的に、導電層はポリシリコン層、絶縁体(すなわち、窒化物層)、およびポリシリコン層などの複数(例えば、3つ)の層であってもよく、またはそれを含んでもよい。この場合、移動電極の2つのポリシリコン層は同電位に保持され、固定電極の2つのポリシリコン層は同電位に保持されてもよい。
【0118】
一対以上の電極を有するMEMSトランスデューサのいくつかの実施例を上述した。各電極対はバイアス電極-センス電極対として構成される。したがって、電極のうちのいずれか1つがバイアス電極として構成されてもよい。したがって、一対の他方の電極は、感知電極として構成される。上述のように、各実施例では、電極対の可動電極が可動電極の励起中に第1の方向(例えば、垂直方向)に振動運動するように構成される。また、上述のように、各実施例において、第1の方向は電極対が間隙によって互いに離間している第2の方向(例えば、水平方向)に垂直である。各実施例では、可動電極が第1の方向(例えば、上方または下方)に沿って反った片持ち端部を有する。場合によっては、一対の両方の電極がそのような静止偏向を示す。
【0119】
本開示は例示のみを意図し、本開示を限定することを意図しない特定の実施例を参照して記載されている。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、実施例に変更、追加、および/または削除を行うことができる。
【0120】
上記の説明は理解を明確にするためだけに与えられたものであり、それから不必要な限定が理解されるべきではない。
【国際調査報告】