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特表2024-525356プレートグリッド分配器を有する化学処理容器及びその操作方法
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  • 特表-プレートグリッド分配器を有する化学処理容器及びその操作方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】プレートグリッド分配器を有する化学処理容器及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/24 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B01J8/24 311
B01J8/24 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577896
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022034844
(87)【国際公開番号】W WO2023278259
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,786
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】プレッツ、マシュー ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ショー、ドナルド エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター、リチャード イー.
(72)【発明者】
【氏名】メサ、アルバート
(72)【発明者】
【氏名】サンドバル、フェルミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、リーウェイ
【テーマコード(参考)】
4G070
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB32
4G070CA06
4G070CA10
4G070CA18
4G070CB07
4G070CB08
4G070CB15
4G070DA22
(57)【要約】
1つ以上の実施形態によれば、化学処理容器は、側壁と、床と、床を貫通する触媒出口と、流体を分配するためのプレートグリッド分配器とを備えていてよい。プレートは、プレートの厚みを貫通して延在する複数の開口部及び中央開口部を備えていてよい。プレートは、中央開口部から触媒出口まで延在する触媒輸送通路を備えていてよい。触媒輸送通路は、触媒出口よりもプレートの中央開口部においてより大きな断面積を有していてよい。1つ以上の実施形態によれば、化学処理容器を操作する方法は、流体を化学処理容器内に到達させ、プレートグリッド分配器を通して流体を導き、触媒をプレートの上方から、触媒輸送通路を通過し、触媒出口を通って化学処理容器から出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学処理容器であって、
側壁と、
床と、
前記床を貫通する触媒出口と、
前記化学処理容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器であって、
プレートであって、上面と、前記上面の反対側の、前記プレートの厚みを画定する下面とを備え、前記プレートが、前記プレートの前記厚みを貫通して延在する複数の開口部を更に備え、前記プレートが、中央開口部を備える、プレート、
前記中央開口部から前記触媒出口まで延在し、前記プレートの上方の領域から前記触媒出口までの通路を形成する触媒輸送通路を備え、前記触媒輸送通路及び前記プレートは、前記触媒輸送通路及び前記プレートが単一体を形成するように接続され、前記触媒輸送通路が、前記触媒出口よりも前記プレートの前記中央開口部においてより大きな断面積を有する、プレートグリッド分配器と、
を備える、化学処理容器。
【請求項2】
前記プレートが、実質的に平面又は皿状である、請求項1に記載の化学処理容器。
【請求項3】
前記プレートが、5フィート(1.5m)以上75フィート(22.9m)以下の平均直径を有する、請求項1又は2に記載の化学処理容器。
【請求項4】
前記中央開口部が、前記プレートの中央に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項5】
前記中央開口部が、前記触媒出口よりも2~6倍大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項6】
前記触媒輸送通路が、円錐台を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項7】
前記プレートの外周又はその近傍から下方に延在する外側支持体を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項8】
前記外側支持体が角度をなしている、請求項7に記載の化学処理容器。
【請求項9】
前記プレート及び前記触媒輸送通路が、前記触媒輸送通路内の前記プレートの下方に触媒を収容するように動作可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項10】
前記触媒輸送通路が、前記触媒輸送通路と前記プレートとの間に丸みを帯びた移行部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項11】
前記プレートの前記上面の実質的に全てと直接接触し、それを覆う耐火性材料を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項12】
前記触媒輸送通路の内面の実質的に全てと直接接触し、それを覆う耐火性材料を更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項13】
前記触媒出口に向かって気体を導くように動作可能な前記触媒輸送通路内のスパージャを更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項14】
前記複数の開口部が、前記プレートの前記上面の上方に延びる囲いを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の化学処理容器。
【請求項15】
化学処理容器を操作する方法であって、
前記プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して反応条件で前記化学処理容器に流体を到達させることと、
前記化学処理容器内のプレートグリッド分配器を通して前記流体を導くことであって、前記プレートグリッド分配器が、
プレートであって、上面と、前記上面の反対側の、前記プレートの厚みを画定する下面とを備え、前記プレートが、前記プレートの前記厚みを貫通して延在する複数の開口部を更に備え、前記プレートが、中央開口部を備える、プレート、
前記中央開口部から前記触媒出口まで延在し、前記プレートの上方の領域から前記触媒出口までの通路を形成する触媒輸送通路を備え、前記触媒輸送通路及び前記プレートは、前記触媒輸送通路及び前記プレートが単一体を形成するように接続され、前記触媒輸送通路が、前記触媒出口よりも前記プレートの前記中央開口部においてより大きな断面積を有する、ことと、
触媒を前記プレートの上方から、前記触媒輸送通路を通過し、前記触媒出口を通って前記化学処理容器から出すことと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月30日に出願され、「CHEMICAL PROCESSING VESSELS HAVING PLATE GRID DISTRIBUTORS AND METHODS OF OPERATING THE SAME」と題された米国仮特許出願第63/216786号に対する優先権を主張するPCT出願である。
【0002】
本明細書は、概して、化学処理に関し、より具体的には、分配器を通して流体を分配するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
気体状化学物質は、分配器を通して反応器又は他の容器に供給され得る。分配器を利用して、流体のこのような反応器又は容器へのバランスのとれた分配を促進することができる。このような流体の分配は、好ましい反応を促進することができ、化学システムにおける物質移動平衡を維持することができる。
【発明の概要】
【0004】
多くの化学プロセスにおいて、流体は、プレートグリッド分配器を通して反応器又は他の容器等の化学処理容器に供給される。いくつかの化学プロセスでは、流体が化学処理容器に供給されている間に触媒を同時に除去してもよい。例えば、このようなプロセスは、酸素浸漬ゾーン等の反応器システムの触媒処理部で行うことができる。従来のプレートグリッド分配器は、プレートグリッド分配器のプレートの上方にホッパーコーンを必要とする場合がある。プレートの上方及びホッパーコーンの下方の任意の触媒は、不必要であり、あまり役に立たない場合もある。更に、従来のプレートグリッド分配器は、伸縮継手を必要とする場合がある。これらの従来のプレートグリッド分配器は、必要な触媒在庫を増加させる及び/又は化学処理容器から触媒を除去するのを困難にする可能性がある。したがって、改良されたプレートグリッド分配器が継続して必要とされている。触媒輸送通路を有するプレートグリッド分配器は、本明細書に記載のとおり、必要な触媒の量を低減し得る及び/又は化学処理容器から触媒を除去するための効率的な手段を提供し得ることが見出された。このようなプレートグリッド分配器の実施形態を本明細書に記載する。本開示の実施形態は、直立管の上部(すなわち、触媒輸送通路)をプレートの上面と整列させることができる触媒輸送通路を利用することによってこの必要性を満たし、これはまた、ホッパーコーンの必要性も回避する。
【0005】
一実施形態によれば、化学処理容器は、側壁と、床と、床を貫通する触媒出口と、化学処理容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器とを備えていてよい。プレートグリッド分配器は、上面と、上面の反対側の、プレートの厚みを画定する下面とを有するプレートを備えていてよい。プレートは、プレートの厚みを貫通して延在する複数の開口部を備えていてよい。プレートは、中央開口部を備えていてもよい。触媒輸送通路は、中央開口部から触媒出口まで延在して、プレートの上方の領域から触媒出口までの通路を形成することができる。触媒輸送通路及びプレートは、それらが単一体を形成するように接続されてもよい。触媒輸送通路は、気泡が流動触媒から離れることを可能にするために、触媒出口よりもプレートの中央開口部においてより大きな断面積を有していてよい。
【0006】
別の実施形態によれば、化学処理容器を操作する方法は、プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して反応条件で化学処理容器内に流体を到達させることと、化学処理容器内のプレートグリッド分配器を通して流体を導くこととを含んでいてよい。プレートグリッド分配器は、上面と、上面の反対側の、プレートの厚みを画定する下面とを有するプレートを備えていてよい。プレートは、プレートの厚みを貫通して延在する複数の開口部を備えていてよい。プレートは、中央開口部を備えていてもよい。触媒輸送通路は、中央開口部から触媒出口まで延在して、プレートの上方の領域から触媒出口までの通路を形成することができる。触媒輸送通路及びプレートは、それらが単一体を形成するように接続されてもよい。触媒輸送通路は、触媒出口よりもプレートの中央開口部においてより大きな断面積を有していてよい。方法は、触媒をプレートの上方から、触媒輸送通路を通過し、触媒出口を通って化学処理容器から出すことを含んでいてよい。
【0007】
追加の特徴及び利益は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、又は以下の「発明を実施するための形態」、及び「特許請求の範囲」を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0008】
上記の全般的な説明及び下記の詳細な説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みの提供を意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、容器及びプレートグリッド分配器の断面図の模式図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、プレートグリッド分配器及び触媒輸送通路の斜視図の模式図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、反応器システムの模式図である。
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、スパージャの模式図である。
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、図4Aのスパージャの断面図の模式図である。
【0010】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、そのうちのいくつかの実施形態が添付の図面に例示される。可能な場合はいつでも、同じ又は同様の部分を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態によれば、プレートグリッド分配器を備える化学処理容器及び化学処理容器を操作する方法を目的とする。一般に、本明細書に記載のプレートグリッド分配器は、プレート及び触媒輸送通路を備えていてよい。本明細書に記載のプレートグリッド分配器は、化学処理容器内に流体を分配するために使用することができる。一般に、本明細書に記載のプレートグリッド分配器は、化学処理容器から触媒を除去するのに役立ち得る触媒輸送通路を備える。本開示の触媒輸送通路は、触媒在庫を最小限に抑えることができ、流動床の中央から触媒を除去することができ、プレートグリッド分配器の周りに追加の環状空間を提供することができる。
【0012】
ここで図1を参照すると、本開示のプレートグリッド分配器100は、化学処理容器110内に配置され得る。化学処理容器110は、様々な構成を有し得る。化学処理容器110は、1つ以上の多面体、球、円柱、円錐、不規則な形状、これらの組み合わせ、及び/又はこれらの一部を含んでいてよい。例えば、化学処理容器110は、長手方向軸を有する中空直円柱を含んでいてよい。化学処理容器110は、側壁111と、床116と、上部118と、触媒出口120と、気体供給導管受容通路122とを備えていてよい。化学処理容器110の側壁111、床116、及び上部118は、耐火性裏張り内壁112及び外壁114を備えていてよい。
【0013】
1つ以上の実施形態によれば、化学処理容器110内の流体を分配するためのプレートグリッド分配器100は、プレート102を備えていてよい。プレート102は、上面104及び底面106を備えていてよい。底面106は、上面104の反対側にあってよく、上面104から離間していてよい。上面104と底面106との間の距離が、プレート102の厚みを画定することができる。プレート102は、外面108を備えていてよい。外面108は、上面104及び底面106に対して垂直な一部分を有し得る。外面108は、上面104に溶接してもよい。プレート102は、5フィート(1.5メートル(m))以上75フィート(22.9m)以下、例えば、10フィート(3.0m)以上50フィート(15.2m)以下の平均直径を有していてよい。プレート102は、実質的に平面であってよい(すなわち、上面104及び底面106が実質的に平行であってよい)。他の実施形態では、プレート102は、皿状(すなわち、非平面)であってもよい。プレート102が皿状である場合、上面104及び底面106は平坦でなくてもよい(すなわち、プレート102の外面108が、上面104よりも高くてもよく、又は底面106よりも低くてもよい)。
【0014】
プレート102の底面106、上面104、又はその両方は、耐火性裏張りされていてもよい。例えば、図1は、プレート102の上方の網掛け領域における耐火性材料を示す。追加的又は代替的に、断熱特性を有する他の材料(例えば、断熱材料)を、プレート102の底面106と上面104との間に配置してもよい。耐火性裏張り、断熱材料、又はその両方は、プレート102の底面106が加熱されるのを防ぐのに役立ち得る。
【0015】
プレート102は、複数の開口部130を備えていてよい。複数の開口部130は各々、第1の開口部132及び第2の開口部134を介してプレート102の底面106及びプレート102の上面104と流体連通していてよい。複数の開口部130は、上面104及び/又は底面106と同じ高さであってよい。あるいは、複数の開口部130は、底面106を越えて(すなわち、下方に)及び/又は上面104を越えて(すなわち、上方に)延在していてもよい。すなわち、複数の開口部130は、プレート102の上面104の上方に延びる囲いを備えていてもよい。第2の開口部134は、第1の開口部132よりも大きい断面積を有していてよい。
【0016】
プレート102の第1の開口部132は、プレート102を通過する気体を確実に均一に分配するために、プレート102の底面106からプレート102の上面104への圧力低下を提供することができる。第2の開口部134は、プレート102を通過する気体の速度を低下させることができる。プレート102を通過する気体の速度が速すぎる場合、気体が、プレート102の上方の化学処理容器110内の触媒を摩滅又は損傷させる可能性がある。プレート102の第1の開口部132及び第2の開口部134は、均一な分布の気体が複数の開口部130の各々を通過するのを支援するために、均一な又は様々な断面積を有していてよい。例えば、気体供給導管132により近接する開口部130は、プレート102の底面106と上面104との間の圧力差がより大きくてよい。したがって、気体供給導管123により近接するプレート102の第1の開口部132は、プレート102全体にわたる圧力差の平衡化を支援するために、気体供給導管123からより離れた第1の開口部132よりも小さい断面積を有していてよい。
【0017】
図2に示すように、プレート102は、底面106及び外面108を備えていてよい。底面106は、プレート102の第1の開口部132によって形成された複数の開口部130を備えていてよい。複数の開口部130は、幾何学的パターンで中央開口部121Bの周りに配置されていてよい。幾何学的パターンは、様々な用途ごとに異なってもよい。例えば、複数の開口部130は、格子状及び/又は同心円状に中央開口部121Bの周りに配置されていてよい。プレート102は、1平方メートル当たり10~50個の開口部130、例えば、1平方メートル当たり20~35個の開口部を備えていてよい。1平方メートル当たり他の数の開口部130も企図される。
【0018】
再び図1を参照すると、プレート102の第2の開口部134の内径に対するプレート102の第1の開口部132の内径の比は、0.13~0.8、例えば0.34~0.51であってよい。化学処理容器110の内径に対するプレート102の第1の開口部132の内径の比は、0.003~0.014、例えば0.008~0.012であってよい。化学処理容器110の内径に対するプレート102の第2の開口部134の内径の比は、0.008~0.163、例えば0.026~0.087であってよい。
【0019】
プレートグリッド分配器100は、外側支持体150を備えていてもよい。外側支持体150は、化学処理化学処理容器110の床116又はその近傍に化学処理容器110にプレート102を装着し、支持することができる。外側支持体150は、プレート102の外周又はその近傍で下方に延在していてよい。本開示で使用するとき、「プレートの外周」は、プレート102の最外部(すなわち、耐火性裏張り内壁に最も近接した部分)25%を指し得る。外側支持体150は、第1の端部152及び第2の端部154を備えていてよい。第1の端部152は、化学処理容器110の床116に接続されていてよい。第2の端部154は、プレート102に接続されていてよい。第1の端部152及び第2の端部154は、互いに離間していてよい。第1の端部152と第2の端部154との間の空間が、外側平面156を画定し得る。外側平面156は、内側平面158から離間していてよい。外側平面156は、耐火性裏張り内壁112から離間していてよい。外側平面156は、第2の端部154に近接し、第1の端部152から離間している内側平面158の一部に接続されていてよい。実施形態では、プレートグリッド分配器の充填物(すなわち、断熱材)は、耐火性裏張り内壁112が化学処理容器110の床116に接続される位置により近接した耐火性裏張り内壁112の下部とプレート102の外面108との間に配置されてよい。プレートグリッド分配器の充填物は、セラミックウール断熱材であってもよい。実施形態では、外側支持体150は角度をなしていてよい。あるいは、外側支持体150は、垂直であってもよい(すなわち、床116に対して垂直であるか又は側壁111に対して平行であってもよい)。
【0020】
再び図1を参照すると、化学処理容器110は、気体供給導管123を備えていてよい。気体供給導管123は、化学処理容器110の床を貫通して延在する気体供給導管受容通路122に接続されていてよい。化学処理容器110は、複数の気体供給導管123を備えていてよい。実施形態では、複数の気体供給導管123は、複数の気体供給導管受容通路122に接続されていてよい。複数の気体供給導管受容通路122は、化学処理容器110の長手方向軸を取り囲んでいてよい。
【0021】
気体供給導管123は、耐火性裏張り内壁112と同一平面に装着されてもよく、又は耐火性裏張り内壁112を越えて延在していてもよい。化学処理容器110の内径に対する気体供給導管112の内径の比は、0.02~0.4、例えば0.20~0.23であってよい。
【0022】
プレートグリッド分配器100は、複数の偏向板コネクタ172によってプレート102の底面106の一部から離間し、かつ動作可能に接続された偏向板170を備えていてよい。偏向板170は、化学処理容器110に入る気体供給物を偏向させる及び/又は速度を低下させることができる。速度の偏向及び/又は方向変更(redirection)により、気体供給物を複数の開口部130を通してより均一に分配させることができる。
【0023】
更に図1を参照すると、本出願で前述したように、化学処理容器110は、触媒輸送通路121を備えていてよい。実施形態では、触媒輸送通路121は、円錐台を備えていてよい。本開示で使用するとき、「円錐台」は、円錐の上部を切り取ることによって作製される錐台形状を指し得る(切断は、基部と平行に行われる)。触媒輸送通路121は、中央開口部121Bから触媒出口120まで延在していてよい。触媒輸送通路121は、プレート102の上方の領域から触媒出口120までの通路を形成することができる。触媒輸送通路121及びプレート102は、それらが単一体を形成するように接続されてもよい。本明細書で使用するとき、単一体は、2つの構成要素(例えば、触媒輸送通路121及びプレート102)が単一の構造体から形成されることを意味し得る。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、単一体は、別個の部品を使用する構造物よりも軽量かつ剛直であり得ると考えられる。プレート102及び触媒輸送通路121は、触媒輸送通路121内部のプレート102の下方に触媒を収容するように動作可能であってよい。触媒は、触媒輸送通路121内だけでなく、プレート102の上方にもあってよいことが理解されるべきである。触媒輸送通路121は、触媒輸送通路121とプレート102との間に丸みを帯びた移行部124を備えていてもよい。「丸みを帯びた移行部」は、部品設計の内側角部又は外側角部を丸めることを指し得る。丸みを帯びた幾何学形状は、内側角部にあるときは凹関数の線であり、外側角部における丸みを帯びた幾何学形状は凸関数の線である。平縁移行部124は、プレート102から触媒輸送通路121への滑らかな移行部を提供することができる。耐火性材料は、触媒輸送通路121の内面126の実質的に全てと直接接触し得、それを覆い得る。
【0024】
触媒輸送通路121は、プレート102の上方に延在していなくてもよい。触媒輸送通路121の平縁移行部124は、触媒輸送通路121からプレート102への同一平面移行部を提供することができる。すなわち、触媒輸送通路121の上面128は、プレート102の上面104と実質的に同一平面であり得る。このような設計により、化学処理容器110内で行われる化学処理に必要な触媒在庫を最小限に抑えることができる。従来のプレートグリッド分配器及び触媒回収直立管は、従来のプレートグリッド分配器の上方にホッパーコーンを必要とする場合がある。従来のプレートグリッド分配器のプレートの上方及びホッパーコーン内の任意の粒子状固体は、いくつかの実施形態では、有用ではなく、触媒在庫費用を不必要に増加させる場合がある。
【0025】
触媒輸送通路121は、触媒出口120よりもプレート102の中央開口部121Bにおいてより大きな断面積を有していてよい。実施形態では、触媒輸送通路121は、触媒出口120よりも2~6倍大きくてよく、例えば3.5~4.5倍大きくてよい。したがって、触媒輸送通路121の断面積は、触媒出口120よりもプレート102の中央開口部121Bにおいて2~6倍大きくてよく、例えば3.5~4.5倍大きくてよい。
【0026】
動作中、触媒粒子等の粒子状固体は、触媒輸送通路121を介して化学処理容器110から除去され得る。触媒輸送通路121は、粒子状固体を別の容器又は処理ユニットに送達するために直立管(図示せず)に接続されてもよい。動作中、触媒は、50lb/ft-sec以上400lb/ft-sec以下、例えば100lb/ft-sec以上300lb/ft-sec以下の触媒流束で容器110から回収され、直立管に移動し得る。気体供給導管123は、プレートグリッド分配器100を通して化学処理容器110内に気体を送達することができ、一方、粒子状固体は、触媒輸送通路121を介して除去され得る。したがって、触媒移行通路121は、触媒と最終的に分配される気体との間に障壁を形成する。
【0027】
ここで図1及び図4A~Bを参照すると、実施形態では、化学処理容器110は、プレート102の上方に、又は触媒出口120に向かって気体を導くように動作可能な触媒輸送通路121内にスパージャ160を備えていてよい。スパージャを利用して、触媒輸送通路121を通過する材料を流動化してよく、これは、いくつかの実施形態では、触媒輸送通路121のサイズが比較的大きいことからスパージャを使用することなく脱流動化することができる。スパージャ160は、スパージャ本体162及び複数のスパージャ開口部164を備えていてよい。動作中、化学処理容器110からの粒子状固体を流動化させるのを支援するために、流体は、スパージャ本体162に、複数のスパージャ開口部164を通して導かれ得る。流体は、触媒出口120に向かって下方に導かれてもよく、プレート102の上方から触媒輸送通路121を通って触媒出口120から出る粒子状固体を流動化するのを支援し得る。流体は、スパージャ供給パイプ166を通してスパージャ本体内に導かれてもよい。スパージャ160は、酸素含有気体又は窒素等の不活性気体を化学処理容器110内に送達し得る。実施形態では、化学処理容器110は、複数のスパージャ160、例えば、2つ、3つ、5つ、又は任意の数のスパージャ160を備えていてよく、そのようなスパージャはループ状であってもよい。
【0028】
図4Bを参照すると、スパージャ本体162は、1つ以上のスパージャ壁426を備えていてよい。スパージャ160は、スパージャ壁426の外面に強固に連結された補強バー432を備えていてよい。複数のスパージャ開口部164は各々、圧力低下を生じさせ、スパージャ160を通して供給される気体を均一に分布させるために、各スパージャ開口部164の開始部にオリフィス437を備えていてもよい。複数のスパージャ開口部164はまた、スパージャ開口部164の各々においてスパージャ壁426に連結されたディフューザ438を備えていてもよい。ディフューザ438は、オリフィス437から出る表在気体速度を遅くして、触媒の摩耗、化学処理容器110の内部構造の損傷、プレートグリッド分配器100の損傷、又は触媒輸送通路121の損傷を低減又は防止することができる。
【0029】
更に図4Bを参照すると、スパージャ160は、スパージャ160のスパージャ本体162の外側に張られた耐火性材料436を備えていてよい。本明細書で使用するとき、耐火性材料136は、熱、圧力、又は化学的攻撃による分解に耐性であり得、高温で強度及び形状を保持し得る材料である。アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、及びカルシウムの酸化物は、耐火性材料の製造に使用される一般的な材料であり得る。
【0030】
再び図1及び図4Aを参照すると、プレートグリッド分配器100は、1つ以上のループ168を備えていてよい。1つ以上のループ168は、溶接等の任意の従来の又は未だ開発されていない手段を使用してプレート102に固定され得る。1つ以上のループ168は、スパージャ160に機械的支持を提供することができる。
【0031】
ここで図3を参照すると、本開示の化学処理容器110が存在し得る例示的な反応器システム300が模式的に示されている。反応器システム200は、一般に、反応器セクション400及び再生器セクション500等の複数のシステムユニットを備える。図3に関連して本明細書で使用するとき、反応器セクション400は、一般に、主要なプロセス反応が起こり、粒子状固体が反応の生成物流から分離される反応器システム300の部分を指す。1つ以上の実施形態では、粒子状固体は、使用済みであり得、これは、粒子状固体が少なくとも部分的に不活性化されていることを意味する。また、本明細書で使用するとき、再生器セクション500は、一般に、粒子状固体が燃焼等によって再生され、再生された粒子状固体が、使用済み粒子状固体上で先に燃焼された材料から又は補助燃料から発生した気体等の他のプロセス材料から分離される反応器システム300の部分を指す。反応器セクション400は、一般に、反応容器450、外部ライザーセグメント432及び内部ライザーセグメント434を含むライザー430、並びに粒子状固体分離セクション410を含む。再生器セクション500は、一般に、粒子状固体処理容器550、外部ライザーセグメント532及び内部ライザーセグメント534を含むライザー530、並びに粒子状固体分離セクション510を含む。一般に、粒子状固体分離セクション410は、例えば直立管526によって粒子状固体処理容器550と流体連通し得、粒子状固体分離セクション510は、例えば直立管324及び輸送ライザー330によって反応容器450と流体連通し得る。
【0032】
一般に、反応器システム300は、炭化水素供給物及び流動化粒子状固体を反応容器450に供給し、炭化水素供給物を流動化粒子状固体と接触させることによって反応させて、反応器セクション400の反応容器450において生成物を生成することによって動作し得る。生成物及び粒子状固体は、反応容器450から出て、ライザー430を通って粒子状固体分離セクション410における気体/固体分離デバイス420に入り得、そこで、粒子状固体は生成物から分離され得る。次いで、粒子状固体は、粒子状固体分離セクション410から出て、粒子状固体処理容器550に輸送され得る。粒子状固体処理容器550では、粒子状固体が化学プロセスによって再生され得る。例えば、使用済み粒子状固体は、酸素含有気体との接触による粒子状固体の酸化、粒子状固体上に存在するコークスの燃焼、及び粒子状固体を加熱するための補助燃料の燃焼のうちの1つ以上によって再生され得る。次いで、粒子状固体は、粒子状固体処理容器550から出て、ライザー530を通ってライザー終結デバイス578に入り得、そこで、ライザー530からの気体及び粒子状固体は部分的に分離される。ライザー530からの気体及び残留粒子状固体は、粒子状固体分離セクション510における気体/固体分離デバイス520に輸送され、そこで、残留粒子状固体は再生反応からの気体から分離される。気体から分離された粒子状固体は、本開示の化学処理容器110のプレートグリッド分配器100として構造化され得る固体粒子収集領域580に到達し得る(図1~2に更に詳述するとおり)。次いで、分離された粒子状固体は、固体粒子収集領域580から反応容器450に到達し得、そこで更に利用される。したがって、粒子状固体は、反応器セクション400と再生器セクション500との間を循環し得る。
【0033】
固体粒子収集領域580はまた、酸素処理ゾーンを含んでいてもよい。酸素処理ゾーンは、(例えば、直立管324及び輸送ライザー330を介して)反応器セクション450と流体連通していてよく、これにより、処理された触媒を反応器システム300の触媒処理部500から反応器部400に戻すように供給することができる。酸素処理ゾーンは、触媒の酸素処理のために酸素処理ゾーンに酸素含有気体を供給することができる、本開示のプレートグリッド分配器100の気体供給導管123等の酸素含有気体入口328を備えていてよい。
【0034】
再び図1を参照すると、本開示は、化学処理容器110を操作する方法も目的とする。方法は、プレートグリッド分配器100の下方の気体供給導管123を通して反応条件で化学処理容器110内に流体を到達させることと、化学処理容器110内のプレートグリッド分配器100を通して流体を導くこととを含み得る。プレートグリッド分配器100は、上面104と、上面の反対側の、プレート100の厚みを画定する下面106とを有するプレート100を備えていてよい。プレート100は、プレート100の厚みを貫通して延在する複数の開口部130を備えていてよい。プレート100は、中央開口部121Bを備えていてもよい。触媒輸送通路121は、中央開口部121Bから触媒出口120まで延在して、プレート100の上方の領域から触媒出口120までの通路を形成することができる。触媒輸送通路121及びプレート100は、それらが単一体を形成するように接続されてもよい。触媒輸送通路121は、触媒出口120よりもプレート100の中央開口部121Bにおいてより大きな断面積を有していてよい。方法は、触媒をプレート100の上方から、触媒輸送通路121を通過し、触媒出口120を通って化学処理容器110から出すことを含んでいてよい。
【0035】
化学処理容器110は、化学処理容器110について本開示で先に論じた特徴のいずれかを有し得る。プレートグリッド分配器100は、プレートグリッド分配器100について本開示で先に論じた特徴のいずれかを有し得る。触媒輸送通路121は、触媒輸送通路121について本開示で先に論じた特徴のいずれかを有し得る。
【0036】
本開示の1つ以上の態様が本明細書に記載される。第1の態様は、側壁と、床と、床を貫通する触媒出口と、化学処理容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器と、を備える化学処理容器を含み得る。プレートグリッド分配器は、上面と、上面の反対側の、プレートの厚みを画定する下面とを有するプレートを備えていてよい。プレートは、プレートの厚みを貫通して延在する複数の開口部を備えていてよく、プレートは、中央開口部を備える。触媒輸送通路は、中央開口部から触媒出口まで延在して、プレートの上方の領域から触媒出口までの通路を形成することができる。触媒輸送通路及びプレートは、それらが単一体を形成するように接続されてもよい。触媒輸送通路は、触媒出口よりもプレートの中央開口部においてより大きな断面積を有していてよい。
【0037】
本開示の第2の態様は、プレートが実質的に平面である、第1の態様を含み得る。
【0038】
本開示の第3の態様は、プレートが5フィート(1.5m)以上75フィート(22.9m)以下の平均直径を有する、第1又は第2の態様のいずれかを含み得る。
【0039】
本開示の第4の態様は、中央開口部がプレートの中央に配置される、第1~第3の態様のいずれか1つを含み得る。
【0040】
本開示の第5の態様は、中央開口部が触媒出口よりも2~6倍大きい、第1~第4の態様のいずれか1つを含み得る。
【0041】
本開示の第6の態様は、中央開口部が触媒出口よりも3.5~4.5倍大きい、第1~第5の態様のいずれか1つを含み得る。
【0042】
本開示の第7の態様は、プレートの外周又はその近傍から下方に延在する外側支持体を更に備える、第1~第6の態様のいずれか1つを含み得る。
【0043】
本開示の第8の態様は、外側支持体が角度をなしている、第7の態様を含み得る。
【0044】
本開示の第9の態様は、プレート及び触媒輸送通路が、触媒輸送通路内のプレートの下方に触媒を収容するように動作可能である、第1~第8の態様のいずれか1つを含み得る。
【0045】
本開示の第10の態様は、触媒輸送通路が、触媒輸送通路とプレートとの間に平縁移行部を含む、第1~第9の態様のいずれか1つを含み得る。
【0046】
本開示の第11の態様は、プレートの上面の実質的に全てと直接接触し、それを覆う耐火性材料を更に備える、第1~第10の態様のいずれか1つを含み得る。
【0047】
本開示の第12の態様は、触媒輸送通路の内面の実質的に全てと直接接触し、それを覆う耐火性材料を更に備える、第1~第11の態様のいずれか1つを含み得る。
【0048】
本開示の第13の態様は、触媒出口に向かって気体を導くように動作可能な触媒輸送通路内のスパージャを更に備える、第1~第12の態様のいずれか1つを含み得る。
【0049】
本開示の第14の態様は、複数の開口部が、プレートの上面の上方に延びる囲いを備える、第1~第13の態様のいずれか1つを含み得る。
【0050】
本開示の第15の態様は、化学処理容器を操作する方法を含み得る。方法は、プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して反応条件で化学処理容器内に流体を到達させることと、化学処理容器内のプレートグリッド分配器を通して流体を導くこととを含んでいてよい。プレートグリッド分配器は、上面と、上面の反対側の、プレートの厚みを画定する下面とを有するプレートを備えていてよい。プレートは、プレートの厚みを貫通して延在する複数の開口部を備えていてよい。プレートは、中央開口部を備えていてもよい。触媒輸送通路は、中央開口部から触媒出口まで延在して、プレートの上方の領域から触媒出口までの通路を形成することができる。触媒輸送通路及びプレートは、それらが単一体を形成するように接続されてもよい。触媒輸送通路は、触媒出口よりもプレートの中央開口部においてより大きな断面積を有していてよい。方法はまた、触媒をプレートの上方から、触媒輸送通路を通過し、触媒出口を通って化学処理容器から出すことを含んでいてよい。
【0051】
最後に、特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で記載される実施形態に様々な修正及び変更を加え得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、本明細書に記載される様々な実施形態のそのような修正及び変更を網羅することが意図され、ただし、そのような修正及び変更は添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】