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特表2024-525360複合モールド金型を作製する方法および複合モールド金型の修復方法
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  • 特表-複合モールド金型を作製する方法および複合モールド金型の修復方法 図1
  • 特表-複合モールド金型を作製する方法および複合モールド金型の修復方法 図2
  • 特表-複合モールド金型を作製する方法および複合モールド金型の修復方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】複合モールド金型を作製する方法および複合モールド金型の修復方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20240705BHJP
   C23C 24/04 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B29C33/38
C23C24/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577975
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 GB2022051513
(87)【国際公開番号】W WO2022263825
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2108724.2
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】21275085.5
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】チッペンデール、ジョン
【テーマコード(参考)】
4F202
4K044
【Fターム(参考)】
4F202AH31
4F202AJ02
4F202AR12
4F202CA30
4F202CB01
4F202CD01
4F202CD22
4F202CK11
4K044AA02
4K044AB10
4K044BA06
4K044BB01
4K044BC00
4K044CA23
4K044CA27
4K044CA29
(57)【要約】
複合モールド金型を少なくとも部分的に製造する方法が記載される。S101において、本方法は、第1の面および裏の第2の面を有するモールド金型前駆体を得ることを備え、前駆体は第1の金属を備える。S102において、本方法は、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することを備え、第1の金属および第2の金属のそれぞれの熱膨張係数は、5の係数以内である。S103において、本方法は、第1の面の除去製造によって複合モールド金型のフェースプレートを提供することを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合モールド金型を製造する方法であって、
第1の面および裏の第2の面を有するモールド金型前駆体を得ることと、ここにおいて、前記前駆体は第1の金属を備え、および/または第1の金属であり、前記前駆体は、前記第1の面と前記第2の面との間に延在する穿孔を備え(S101)、
第2の金属を備え、および/または第2の金属からなる粒子を使用して前記第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前記前駆体を気密封止することと、ここにおいて、前記第1の金属および前記第2の金属のそれぞれの熱膨張係数は、5の係数以内であり、前記層は、貫通する穿孔を有さず、前記前駆体は、前記層が前記第2の面上にコールドスプレーされる前の前記モールド金型であり(S102)、
前記第1の面の除去製造によって前記複合モールド金型のフェースプレートを提供することと(S103)、
を備え、
これによって、前記第1の面の除去製造によって提供される前記フェースプレートと、前記第2の面上に前記層をコールドスプレーすることによって気密封止された前記裏の第2の面とを有する前記モールド金型を製造する、方法。
【請求項2】
前記前駆体を得ることは、前記第1の金属から鋳造すること、熱機械的に形成すること、および/または製作することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の金属および/または前記第2の金属は、Fe-Ni合金である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記層は、1mm~20mmの範囲の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属および前記第2の金属の前記それぞれの熱膨張係数は、2の係数以内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の金属と前記第1の金属とは同じである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の表面上に前記層をコールドスプレーする前に、前記第2の表面に下塗りすることを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の面上に前記層をコールドスプレーすることによって前記前駆体を気密封止することは、前記第2の面上に前記層を選択的にコールドスプレーすることを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の面上に前記層をコールドスプレーすることによって前記前駆体を気密封止することは、前記第2の面のエリア全体に前記層をコールドスプレーすることを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の面上に前記層をコールドスプレーすることによって前記前駆体を気密封止する前に、前記第1の面の除去製造によって前記複合モールド金型の前記フェースプレートを提供することを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の面上に前記層をコールドスプレーすることによって前記前駆体を気密封止した後に、前記第1の面の除去製造によって前記複合モールド金型の前記フェースプレートを提供することを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の面上の前記層を除去製造することを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の面の除去製造の前に、前記第2の面上に前記層を有する前記前駆体を応力緩和させることを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複合モールド金型は、航空宇宙用構成部品のためのものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の修復される複合モールド金型を修復する方法であって、前記前駆体が、前記修復される複合モールド金型である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合モールド金型(composite mould tools)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、炭素繊維複合材料(CFC)部品およびガラス繊維強化プラスチック(GRP)部品といった複合部品は、典型的には、モールド金型(モールド、金型、レイアップモールド、レイアップ金型としても知られている)で形成される。しかしながら、モールド金型の、特にハードツーリングのモールド金型の真空完全性(vacuum integrity)の欠如が、一般にその製造後にのみ明らかになり、および/または使用中に起きる場合があるという問題が生じる。
【0003】
EP3275637A1には、支持部材(13)上に金属フェースプレート(12)を備える複合レイアップ金型が記載されており、フェースプレートは、基材上に金属の粒子をコールドガスダイナミックスプレーすることによって形成されており、支持部材は、フェースプレートと適合性があり、セラミック組成物の鋳造物を備える。EP3095711B1には、航空機のフレーム要素における、(i)構造上の脆弱性を修復すること、または(ii)構造上の脆弱性の開始を防止または抑制すること、または(iii)構造上の脆弱性の進行を防止または抑制することのための方法が記載されている。SUN WEN ET AL “Post-Process Treatments on Supersonic Cold Sprayed Coatings: A Review”, Coatings, vol. 10, no. 2, 1 February 2020, page 123 には、コールドスプレーされた堆積物に対する異なる後加工処理が記載されている。
【0004】
したがって、複合モールド金型を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的の1つは、とりわけ、本明細書で特定されているかその他の箇所で特定されているかを問わず先行技術の欠点の少なくともいくつかを少なくとも部分的に予防または軽減する複合モールド金型を少なくとも部分的に製造する方法を提供することである。
【0006】
第1の態様は、複合モールド金型を少なくとも部分的に製造する方法を提供し、本方法は、
第1の面および裏の第2の面を有するモールド金型前駆体を得ることと、ここにおいて、前駆体は第1の金属を備え、
第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することと、ここにおいて、第1の金属および第2の金属のそれぞれの熱膨張係数(coefficients of thermal expansion)は、5の係数(factor)以内であり、
第1の面の除去製造(subtractive manufacturing)によって複合モールド金型のフェースプレートを提供することと、を備える。
【0007】
第2の態様は、第1の面および裏の第2の面によって提供されるフェースプレートを有する複合モールド金型を修復する方法を提供し、金型は第1の金属を備え、本方法は、
第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって複合モールド金型を気密封止することを備え、第1の金属および第2の金属のそれぞれの熱膨張係数は、5の係数以内である。
【0008】
第3の態様は、第1の面および裏の第2の面によって提供されるフェースプレートを有する複合モールド金型を提供し、金型は第1の金属を備え、金型は、第2の面上にコールドスプレーされた気密封止層を備え、層は第2の金属を備え、第1の金属および第2の金属のそれぞれの熱膨張係数は、5の係数以内である。
【0009】
第4の態様は、金型を気密封止するために、第1の面および裏の第2の面によって提供されるフェースプレートを有するFe-Ni合金複合モールド金型の裏の第2の面上のコールドスプレーされたFe-Ni合金層を使用することを提供する。
【0010】
第5の態様は、複合部品を形成する方法を提供し、本方法は、第1の態様に係る対応する複合モールド金型を少なくとも部分的に製造すること、第2の態様に係る対応する複合モールド金型を修復すること、または第3の態様に係る対応する複合モールド金型を使用することを備える。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の複合モールド金型を少なくとも部分的に製造する方法が提供される。また、添付の特許請求の範囲に記載の、複合モールド金型を修復する方法、複合モールド金型、および複合モールド金型を気密封止するためにコールドスプレーされたFe-Ni合金層を使用することが提供される。本発明の他の特徴が、従属請求項および以下に続く説明から明らかになる。
【0012】
製造方法
第1の態様は、複合モールド金型を少なくとも部分的に製造する方法を提供し、本方法は、
第1の面および裏の第2の面を有するモールド金型前駆体を得ることと、ここにおいて、前駆体は第1の金属を備え、
第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することと、ここにおいて、第1の金属および第2の金属のそれぞれの熱膨張係数は、5の係数以内であり、
第1の面の除去製造によって複合モールド金型のフェースプレートを提供することと、を備える。
【0013】
このようにして、第2の面上のコールドスプレー層は、モールド金型前駆体を気密封止し、それによって、その下のモールド金型前駆体における厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を直し、および/またはそれらから保護する。換言すれば、コールドスプレー層は、前駆体の第2の面上に気密封止層を提供する。この層は、気密封止層(すなわち、ガス密、無気孔、不透過、無穿孔)であるので、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を有さないことを理解されたい。厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を溶接などによって修復する従来の方法とは対照的に、コールドスプレーは、有害な歪みおよび/または残留応力を導入しない、固体状態のプロセスである。気密封止層は、裏の第2の面上に適用されるので(フェースプレートを提供する第1の面と比較されたい)、第1の面はコールドスプレーによって影響を受けない。裏の第2の面が、第1の面に対して複合モールド金型の裏側または反対側にあることを理解されたい。典型的には、第1の面は、複合モールド金型の内面であり、裏の第2の面は、複合モールド金型の外面である。このようにして、コールドスプレーは、第1の面の除去製造によってフェースプレートを提供する前に、および/またはその後に行われ得る。第1の金属および第2の金属のそれぞれの熱膨張係数は、5の係数以内(または4の係数、3の係数、2の係数、1.5の係数、1.4の係数、1.3の係数、1.2の係数、1.1の係数以内)であり、例えば、同様のCTEを有するので、二種の金属のCTEのミスマッチに起因する熱サイクル中の歪み差が低減および/または回避される。すなわち、本方法は、マッチした材料層のコールドスプレーによる堆積により金属複合モールド金型の真空完全性を確実にする。第1および第2の金属の熱膨張は同じであってもよい(すなわち、それらは同じCTEを有してもよい)。
【0014】
より詳細には、複合部品の形成には、典型的には、(例えば、ファブリックプライの)切断、積層、および重合のサイクルが含まれる。積層中、形成される複合部品とモールド金型との間の接着を防止するために、通常、離型剤がフェースプレート(モールド表面としても知られている)に塗布される。任意選択で、ピールプライが最初にモールド金型内に置かれる。続いて、繊維プライが、手動および/または自動でモールド金型内に重ねられて、積層体を形成し、任意選択で、別のピールプライが最後にモールド内に置かれる。離型フィルム(余剰樹脂を通らせながら他の層から積層体を分離する)、ブリーダー(余剰樹脂を吸収する)、バリア(ブリーダーをその上のブリーザから分離する)、ブリーザ(真空を外部表面間で均一に分配し、真空バッグの折り目が積層体に移るのを回避する)、および真空バッグ(真空ポンプで生じる真空を維持する)といった、一連のさらなる層が積層体の上に付加される。また、真空バッグを気密封止するための弁および封止材も含まれる。次いで、重合が、真空下で室温または高温で行われる。例えばオートクレーブにおける高温での重合により、比較的優れた機械的特性を有する複合部品が提供される。したがって、モールド金型には、高温を含む真空完全性が必要となる。室温での重合の場合、プロトタイプ部品の場合、ならびに/または寸法精度および/もしくは表面仕上げが比較的それほど重要ではないとき、ソフトツーリングのモールド金型が、ガラス繊維、高密度の発泡体、機械加工可能なエポキシボード、またはさらには粘土もしくは木材/プラスタモデルなどの材料から作られ得る。繰り返しサイクル(典型的には10~100サイクル)がある場合、ならびに/または寸法精度および/もしくは表面仕上げが比較的重要であるとき、モールド金型は、CFC、モノリシックグラファイト、鋳造可能なグラファイト、セラミックス、またはアルミニウム合金などの金属から作られる。多くの繰り返しサイクル(典型的には100~1000超)があるなど耐久性および/または寿命を向上させる場合、ならびに/または寸法精度および/もしくは表面仕上げが比較的最も重要であるとき、最も耐久性があるがコストも最もかかるハードツーリングが使用される。ハードツーリングのモールド金型は、典型的には、例えば、鋼、アルミニウム合金、および/またはインバーなどの比較的コストのかかる鉄-ニッケル合金といった金属から作られ、後者は、耐久性があり、かつ、例えばCFC部品といった複合部品のそれと同様の熱膨張係数(CTE)を有し、したがって、重合中の熱サイクル中、寸法精度をより良好に維持する。特に、熱サイクル中の比較的それほどコストのかからないアルミニウム合金と複合部品との間のCTEのミスマッチにより、いくつかの複合部品を形成するためにそれらを使用することが妨げられる場合がある。ハードツーリングのモールド金型は、典型的には、鋳造物、溶接された製作物の、またはビレット材料からのコンピュータ数値制御(CNC)機械加工(すなわち、除去製造)により、例えば、10mにわたって50μmより良好な公差に製造される。エッグクレート(egg crate)が、構造支持体に使用され得る。ハイブリッドハードツーリングのモールド金型は、金属フェースプレートを典型的には複合構造補強材と組み合わせて、ハードツーリングのモールド金型の耐久性、寿命、寸法精度、および/または表面仕上げに関する相対的な利点を利用しながらも、その質量および/またはコストを低減する。鉄-ニッケル合金の機械加工および研磨は、特にコストがかかり、複雑であり、専門の金型メーカが必要になる。しかしながら、モールド金型の、特にハードツーリングのモールド金型の真空完全性の欠如が、一般にその製造後にのみ明らかになり、および/または使用中に起きる場合があるという問題が生じる。例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔により、真空完全性が損なわれる。そのようなクラックおよび/または気孔は、製造によって生じ、および/または明らかになり得る。そのようなクラックおよび/または気孔を典型的には溶接によって修復する従来の方法は、コストがかかり、複雑であり、モールド金型の歪みを引き起こす場合があり、それによって、可能であっても、成功しない場合もある、繰り返しのまたは補修の機械加工を必要とする。例えば、鋳造物の気孔は、広範囲に及ぶ場合があるが、一方、製作物の溶接部のクラックは、その修復中に広がる場合がある。追加的および/または代替的に、修復箇所は欠陥がある場合がある。したがって、欠陥のあるモールド金型の修復は、それらの実質的な製造コストおよび複雑さにかかわらず、経済的に実行可能でない場合が多い。
【0015】
製造
本方法は、複合モールド金型(すなわち、複合部品を成形するためのモールド金型、例えば、航空宇宙用複合部品を成形するためのモールド金型)を少なくとも部分的に製造するものである。従来の複合モールド金型が既知である。複合モールド金型の製造が、例えば、モールド金型前駆体の製作、モールド金型前駆体の前機械加工、エッグクレートの取り付け、および/またはフェースプレートの研磨といった他のステップを含み得ることを理解されたい。他の工程が既知である。
【0016】
一例では、製造方法は、新たな(すなわち、以前に使用されていない、未使用の)モールド金型を製造する方法を備え、および/またはその方法である。このようにして、モールド金型の真空完全性がより良好に確保され得る。一例では、製造方法は、既存の(すなわち、真空完全性を有さない、欠陥のある、使用済みの)モールド金型を修復、再製造、または復元する方法を備え、および/またはその方法である。このようにして、既存のモールド金型が修復、再製造、または復元され、それによってその寿命を延ばすことができる。
【0017】
複合モールド金型
一例では、複合モールド金型は、ハードツーリングのモールド金型またはハイブリッドハードツーリングのモールド金型を備え、および/またはそれらである。すなわち、製造方法は、ツーリングおよびハイブリッドツーリングの両方に適している。さらに、製造方法は、材料に依存して、いくつかのソフトツーリングに適している場合がある。
【0018】
一例では、複合モールド金型は、片側(開放型としても知られている)のモールド金型または閉鎖型モールド金型の一部である。すなわち、製造方法は、片側のモールド金型および閉鎖型モールド金型の両方に適している。
【0019】
一例では、複合モールド金型は、例えば、少なくとも1m、2m、3m、4m、5m、6m、7m、8m、9m、10m、またはそれ以上の寸法を有し、および/または500μm、250μm、100μm、50μm、または25μm以内の寸法公差を有する、例えば胴体、翼、および/または尾部などの航空宇宙用構成部品のためのものである。すなわち、複合部品は、高額の部品であり、比較的大型で、および/または比較的厳しい寸法精度要件を有する。
【0020】
一例では、複合モールド金型は、CFC部品を形成するのに好適である。すなわち、複合モールド金型は、例えば、CFC部品の重合中の熱サイクル中、寸法精度を維持する。
【0021】
前駆体
本方法は、第1の面および裏の第2の面を有するモールド金型前駆体を得ることを備える。
【0022】
モールド金型前駆体が、第2の面上に層がコールドスプレーされる前のモールド金型を備え、および/またはそのモールド金型であることを理解されたい。フェースプレート(モールド表面としても知られている)が、モールド金型前駆体の第1の面から提供されることを理解されたい。裏面である第2の面が、背面としても知られていることを理解されたい。モールド金型前駆体を貫通する厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔により、真空完全性が損なわれることを理解されたい。一例では、前駆体は、第1の面と第2の面との間に延在する穿孔、例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を備える。一例では、モールド金型は、フェースプレートと第2の面との間に延在する穿孔、例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を備える。
【0023】
一例では、前駆体を得ることは、第1の金属から鋳造すること、熱機械的に形成すること、および/または製作することを備える。例えば、ビレットおよびプレートなどの前駆体は、連続鋳造によって、ならびに/または熱間圧延および/もしくは冷間圧延(すなわち、熱機械的に形成すること)によって、少なくとも部分的に形成され得る。例えば、前駆体は、鍛造(すなわち、熱機械的に形成すること)によって少なくとも部分的に形成され得る。例えば、前駆体は、プレートを溶接することによって少なくとも部分的に形成され得る。
【0024】
第1の金属
前駆体は第1の金属を備える。一例では、前駆体は、第1の金属から、例えば、その鋳造物、ビレット、および/またはプレートから、少なくとも部分的に形成される。一例では、前駆体は、セラミック組成物を備えず、および/またはセラミック組成物ではない。一例では、前駆体は、セラミック組成物の鋳造物を備えず、および/またはその鋳造物ではない。
【0025】
一例では、第1の金属は、例えば、合金の約30重量%~45重量%の量のNi、任意選択で1つまたは複数の合金化添加物を備え、残部がFeおよび不可避の不純物である、Fe-Ni合金を備える、および/またはFe-Ni合金である。このようなFe-Niは、CFCなどの複合材料のCTEと同様の比較的低いCTEを有し、それによって、それらの間のCTEのミスマッチが低減する。
【0026】
一例では、第1の金属は、インバー36もしくは同等物(ASTM B388、DIN 1.3912、UNS K93600、MIL I-16598、MIL I-23011クラス7、WS 1.3912の現行バージョンに準拠)、インバー42もしくは同等物(ASTM F30、UNS K94100、DIN 1.3917、NF A54-301の現行バージョンに準拠)、または同様のものを備え、および/またはそれらである。
【0027】
インバー36は、すべての合金および金属のうちで最も低い熱膨張、および室温(20℃)と230℃との間でほぼゼロのCTE(1.3×10-6-1 未満)のうちの一方を有する。インバー36は、典型的には、約250℃までを含む200℃を超える硬化温度を有する高温CFC部品における技術的進歩に応じるために、CFC部品などのための250℃までの熱サイクルのためのハードツーリングに使用される。同等の合金には、Ametek 936、Nilo 36、およびPernifer 36が含まれる。一般に、CTEは、製造者の指示にしたがって操作される、例えばTAインスツルメント(RTM)のDIL 832といった膨張計、または例えばパーキンエルマー(RTM)のTMA 4000といった熱機械分析器(TMA)を使用して測定され得る。
【0028】
【表1】
【0029】
インバー42は、比較的低い温度ではインバー36よりも比較的高いCTE(約5.3×10-6-1 C)を有するが、比較的高い温度ではインバー36よりも比較的低いCTEを有し、したがって、典型的には、200℃を上回る、例えば300℃までの熱サイクルのためのハードツーリングに使用される。同等の合金には、ニッケル合金42、Nilo 42、Pernifer 42、Werkstoff Nr 1.3917、UNS K94100が含まれる。
【0030】
【表2】
【0031】
同様の合金には、GRPのためのホウケイ酸ガラスなどの複合材料のそれらと同様に、FeNiCo合金、例えば、コバールまたはDilver Pが含まれ、それによってそれらの間のCTEのミスマッチが低減する。
【0032】
コールドスプレー
本方法は、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することを備える。コールドスプレー層が、貫通する穿孔を全く有さない、例えば、500mbar、100mbar、またはそれより良好なものなどの所望の真空レベルを維持するくらい十分に低い漏れ率を有する気密封止層であることを理解されたい。
【0033】
コールドスプレー(ガスダイナミックコールドスプレーとしても知られている)は、既知のコーティング堆積法である。粒子(典型的には直径1~50μm、好ましくは直径10~40μm)はすべて、噴霧ノズルから、超音速ガスジェット(典型的にはHeおよび/またはN)で1200ms-1 までの速度に加速され、第2の面などの基材に衝突する。衝突時に、粒子は塑性変形し、基材に結合する。噴霧ノズルを走査またはラスタリングすることによって、均一な層が達成される。繰り返しコールドスプレーすることによって比較的厚い層を達成することができ、堆積速度は比較的高くてよい。高圧コールドスプレー(HPCS)は、1.5MPaを上回る圧力、2m/minを超える流量、および約15~20kWの加熱電力で、窒素またはヘリウムを使用する。HPCSは、典型的には、5~50μmの直径を有する金属粒子を噴霧するために使用される。低圧コールドスプレー(LPCS)は、0.5~1.0MPaの圧力、0.5~2m/minの流量、および3~5kWの加熱電力で、圧縮ガスを使用する。LPCSは、金属粒子とセラミック粒子の混合物を噴霧するために使用され得る。混合物中にセラミック成分を含むことにより、比較的低いエネルギー消費で高品質のコーティングがもたらされる。溶射(プラズマ溶射、アーク溶射、フレーム溶射、または高速酸素燃料溶射など)とは異なり、粒子はコールドスプレー中に溶融しない。むしろ、コールドスプレー中の入熱は比較的低く、それによって基材中の残留応力および/またはその変形を低減するか、またはなくす。さらに、コールドスプレー層は、低い気孔率を有し、これは典型的には閉じている(すなわち、相互接続されていない)。一例では、コールドスプレーは、例えば、1.5MPaを上回る圧力、2m/minを超える流量、および約15~20kWの加熱電力でHeを使用する高圧コールドスプレーを備える。
【0034】
一例では、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することは、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上にのみ層をコールドスプレーすることを備える。すなわち、本方法は、第1の面上に層をコールドスプレーすることを除外する。
【0035】
一例では、第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することは、第2の面上に層を選択的にコールドスプレーすること、例えば、第2の面の選択されたエリア上に選択的にコールドスプレーすることを備える。このようにして、第2の面は、例えば、溶接部を覆う、ならびに/または第1の面と第2の面との間に延在する厚さ方向のおよび/もしくは相互接続されたクラックおよび/または気孔を覆う層を提供するために、例えば提供するためだけに、選択的にコールドスプレーされ得る。一例では、本方法は、例えば、磁粉探傷検査、超音波探傷試験、および/または放射線透過を使用して、前駆体の非破壊試験(NDT)を行うことと、欠陥、例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を特定することと、特定された欠陥に対応する第2の面上に層を選択的にコールドスプレーし、それによって前駆体を気密封止することとを備える。
【0036】
一例では、第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することは、第2の面の、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のエリア上に層をコールドスプレーすることを備える。一例では、第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することは、第2の面のエリア全体に層をコールドスプレーすることを備える。
【0037】
一例では、第2の面上に層をコールドスプレーすることは、第2の面上に直接、すなわち、それらの間に中間層がない状態で、層をコールドスプレーすることを備える。一例では、第2の面上に層をコールドスプレーすることは、第2の面上に間接的に、すなわち、それらの間に中間層がある状態で、層をコールドスプレーすることを備える。
【0038】

コールドスプレー層が、貫通する穿孔を全く有さない、気密封止層であることを理解されたい。一例では、層は、貫通する穿孔、例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を有さない。
【0039】
一例では、層は、0.5mm~20mmの範囲、好ましくは1mm~10mmの範囲、より好ましくは1.5mm~8mmの範囲、例えば約2mmの厚さを有する。層の厚さが気密封止を提供するのに十分なものであることを理解されたい。一般に、比較的薄い層が好ましく、それによってコストおよび/または質量が低減する。
【0040】
第2の金属を備える粒子
本方法は、上述したように、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することを備える。一例では、粒子は第2の金属からなる。
【0041】
第1の金属および第2の金属のそれぞれの熱膨張係数は、例えば、GRPまたはCFC部品の硬化温度で、および/またはGRPまたはCFC部品の重合中の熱サイクル温度で、例えば、100℃、125℃、150℃、175℃、200℃、225℃、230℃および/または250℃の温度で、および/または50℃~300℃の範囲、好ましくは、150℃~275℃の範囲、より好ましくは、200℃~250℃の範囲の温度で、5の係数以内であるので、第1の金属および第2の金属は相互に適合性があることを理解されたい。すなわち、第1の金属および第2の金属は組成的に適合性があってよく、例えば、当業者によって理解されるように、第1の金属と第2の金属の組成は類似しているか、または同じである。換言すれば、第1の金属および第2の金属は、マッチした化学的性質を有する。追加的および/または代替的に、第1の金属および第2の金属のそれぞれのCTEは、例えば予想される熱サイクル温度範囲にわたって、同様(例えば、10、5、4、3、2、1.5、1.4、1.3、1.25、1.2、または1.1の係数以内)であるか、または同じである。一例では、第2の金属と第1の金属は同様である。一例では、第2の金属と第1の金属は同じである。
【0042】
一例では、第2の金属は、第1の金属に関して記載された通りのものである。
【0043】
フェースプレート
本方法は、第1の面の除去製造によって複合モールド金型のフェースプレート(モールド表面、すなわち、それを用いて形成される複合部品の形状を画定する表面としても知られている)を提供することを備える。
【0044】
除去製造
複合モールド金型のための除去製造のプロセス、例えば、CNC機械加工および/または研磨が知られている。
【0045】
一例では、本方法は、第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止した後に、第1の面の除去製造によって複合モールド金型のフェースプレートを提供することを備える。すなわち、第2の面上に層をコールドスプレーした後に、第1の面の除去製造が行われる。例えば、コールドスプレーは、除去製造前の予防ステップとして行われ、それによって、その真空完全性を保証することができる。
【0046】
一例では、本方法は、第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止する前に、第1の面の除去製造によって複合モールド金型のフェースプレートを提供することを備える。すなわち、第2の面上に層をコールドスプレーする前に、第1の面の除去製造が行われる。特に、コールドスプレー中の入熱が比較的低く、それによって前駆体中の残留応力および/またはその変形を低減するかまたはなくし、したがってフェースプレートの寸法公差を維持するので、製造方法はこのステップの順序に適している。
【0047】
一例では、本方法は、第2の面上の層の除去製造を備える。例えば、層は、エッグクレートの取り付けのためにスポット機械加工され得る。
【0048】
下塗り
一例では、本方法は、第2の表面上に層をコールドスプレーする前に、第2の表面に下塗りすること(priming)を備える。このようにして、層の第2の面への結合が改善される。下塗りが、化学的および/または機械的洗浄などの表面準備を備えることを理解されたい。例えば、コールドスプレーのための下塗りは、アルミナ粉末などの研磨媒体を使用した吹き付け加工を含み得る。このような吹き付け加工は、コールドスプレー装置を使用して行われ得る。
【0049】
応力緩和
一例では、本方法は、第1の面の除去製造の前に、例えば熱応力緩和によって、および/または振動応力緩和によって、第2の面上に層を有する前駆体を応力緩和させることを備える。このようにして、前駆体中の残留応力をさらに低減またはなくし、それによってフェースプレートの寸法公差を維持することができる。
【0050】
非破壊試験
一例では、本方法は、例えば、磁粉探傷検査、超音波探傷試験、および/または放射線透過を使用して、前駆体または複合モールド金型の非破壊試験(NDT)を行うことと、欠陥、例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を特定することと、特定された欠陥に対応する第2の面上に層を選択的にコールドスプレーし、それによって前駆体または複合モールド金型を気密封止することとを備える。このようにして、前駆体または複合モールド金型は修復され得る。
【0051】
漏れ試験
一例では、本方法は、例えば、Heスニファーを使用して、前駆体または複合モールド金型の漏れ試験を行うことと、欠陥、例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を特定することと、特定された欠陥に対応する第2の面上に層を選択的にコールドスプレーし、それによって前駆体または複合モールド金型を気密封止することとを備える。このようにして、前駆体または複合モールド金型は修復され得る。
【0052】
好ましい方法
一例では、複合モールド金型を少なくとも部分的に製造する方法であって、複合モールド金型がCFC航空宇宙用構成部品のための片側モールド金型であり、本方法は、
第1の面および裏の第2の面を有するモールド金型前駆体を得ることと、前駆体は、第1の金属から少なくとも部分的に形成され、第1の金属は、インバー36もしくは同等物(ASTM B388、DIN 1.3912、UNS K93600、MIL I-16598、MIL I-23011クラス7、WS 1.3912の現行バージョンに準拠)、インバー42もしくは同等物(ASTM F30、UNS K94100、DIN 1.3917、NF A54-301の現行バージョンに準拠)を備え、および/またはそれらであり、前駆体は、第1の面と第2の面との間に延在する穿孔、例えば、厚さ方向のおよび/または相互接続されたクラックおよび/または気孔を備え、
例えば1.5MPaを上回る圧力、2m/minを超える流量、および約15~20kWの加熱電力で、Heを使用して高圧コールドスプレーすることによって、前駆体を気密封止することと、層は、第2の金属からなる粒子を使用して第2の面上にのみ直接あり、第1の金属および第2の金属は、同様または同じであり、
第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止する前に、またはその後に、第1の面の除去製造によって複合モールド金型のフェースプレートを提供することと、を備える。
【0053】
修復方法
第2の態様は、第1の面および裏の第2の面によって提供されるフェースプレートを有する複合モールド金型を修復する方法を提供し、金型は第1の金属を備え、本方法は、
第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって複合モールド金型を気密封止することを備え、第1の金属および第2の金属は相互に適合性がある。
【0054】
このようにして、複合モールド金型、例えば、以前に製造されたおよび/または欠陥のある複合モールド金型などの真空完全性を有さない複合モールド金型は、第2の面上に層をコールドスプレーすることによって気密封止され、それによって、真空完全性を有する複合モールド金型が提供される。このようにして、以前に製造されたおよび/または欠陥のある複合モールド金型が、使用のために修復され、それによって、その寿命を延ばし、および/またはその廃棄を回避することができる。
【0055】
複合モールド金型、フェースプレート、第1の面、第2の面、第1の金属、封止、コールドスプレー、層、粒子、および/または第2の金属は、第1の態様に関して説明した通りのものであり得る。本方法は、第1の態様に関して説明したステップのいずれを含み得る。
【0056】
一例では、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって複合モールド金型を気密封止することは、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上にのみ層をコールドスプレーすることによって複合モールド金型を気密封止することを備える。すなわち、本方法は、第1の面上に層をコールドスプレーすることを除外する。
【0057】
金型
第3の態様は、第1の面および裏の第2の面によって提供されるフェースプレートを有する複合モールド金型を提供し、金型は第1の金属を備え、金型は、第2の面上にコールドスプレーされた気密封止層を備え、層は第2の金属を備え、第1の金属および第2の金属は相互に適合性がある。
【0058】
複合モールド金型、フェースプレート、第1の面、第2の面、第1の金属、封止層、および/またはコールドスプレーされた気密封止層は、第1の態様および/または第2の態様に関して説明した通りのものであり得る。金型は、第1の態様および/または第2の態様に関して説明した特徴のいずれを含み得る。
【0059】
一例では、金型は、第2の面上にのみコールドスプレーされた気密封止層を備える。すなわち、金型は、第1の面上にはコールドスプレーされた気密封止層を備えない。
【0060】
使用
第4の態様は、金型を気密封止するために、第1の面および裏の第2の面によって提供されるフェースプレートを有するFe-Ni合金複合モールド金型の裏の第2の面上のコールドスプレーされたFe-Ni合金層を使用することを提供する。
【0061】
コールドスプレーされたFe-Ni合金層、第2の面、複合モールド金型、Fe-Ni合金複合モールド金型、フェースプレート、および/または封止は、第1の態様に関して説明した通りのものであり得る。使用は、第1の態様および/または第2の態様に関して説明したステップのいずれか、および/または第1の態様、第2の態様、および/または第3の態様に関して説明した特徴のいずれかを含み得る。
【0062】
一例では、コールドスプレーされたFe-Ni合金層は、裏の第2の面上にのみある。すなわち、コールドスプレーされたFe-Ni合金層は第1の面上にはない。
【0063】
複合部品
第5の態様は、複合部品を形成する方法を提供し、本方法は、第1の態様に係る対応する複合モールド金型(すなわち、複合部品に対応する)を少なくとも部分的に製造すること、第2の態様に係る対応する複合モールド金型を修復すること、または第3の態様に係る対応する複合モールド金型を使用することを備える。
【0064】
一例では、複合部品は、航空宇宙用構成部品を備える、および/または航空宇宙用構成部品である。
【0065】
本発明をより理解するため、また本発明の例示的な実施形態がどのように実行され得るかを示すために、単に例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】例示的な実施形態に係る方法を概略的に示す。
図2】例示的な実施形態に係る方法を概略的に示す。
図3】例示的な実施形態に係る複合モールド金型の断面を概略的に示す。
【0067】
図1は、例示的な実施形態に係る方法を概略的に示す。本方法は、複合モールド金型を少なくとも部分的に製造するものである。
【0068】
S101において、本方法は、第1の面および裏の第2の面を有するモールド金型前駆体を得ることを備え、前駆体は第1の金属を備える。
【0069】
S102において、本方法は、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって前駆体を気密封止することを備え、第1の金属および第2の金属は相互に適合性がある。
【0070】
S103において、本方法は、第1の面の除去製造によって複合モールド金型のフェースプレートを提供することを備える。
【0071】
本方法は、第1の態様に関して説明したステップのいずれを含み得る。
【0072】
より詳細には、金属CFCモールド金型は、典型的には、鋳造物、溶接された製作物の、またはビレット材料からのCNC機械加工により製造されるが、例えば、航空機用構成部品の製造の成功を支持するのに必要な最小真空基準を満たすことができない場合が多い。溶接による既存の修復方法は、複雑であり、高価であり、回復不能な歪みを誘発する可能性があることに起因して危険である。
【0073】
任意の鋳造物、溶接物、またはビレットの真空完全性に対するリスクは、鋳造物、溶接物、またはビレットが多く機械加工されるほど増すばかりであり、金型が正味表面状態に近いほど、任意の従来の溶接修復戦略に対するリスクは大きくなる。
【0074】
マッチするダイ材料を金型の後面上に金属コールドスプレーすることにより、真空漏れを有する金型が永久的に修復および/または回復される。親金型材料にマッチした材料を使用することができるので、構成部品を誤った形状に硬化させることになる構成部品製造中および熱硬化サイクル中の金型の膨張差および歪みが回避される。金属堆積プロセスとしてのコールドスプレーは、金型に歪みを誘発する傾向が遥かに少なく、また溶接よりも広いエリアを被覆するのに遥かに効率的な方法でもある。
【0075】
本方法は、CFCモールド金型を製造するために現在使用されているすべての金属材料、例えば、インバー36、鋼、およびアルミニウム合金に適用可能である可能性がある。インバー36の鋳造および溶接は、漏れを防止および解消することが特に困難であることが分かっている。
【0076】
CNC機械加工の前に、金型の背面上に材料のコールドスプレー層を配設することは、鋳造ツーリングに特に向いている効果的なリスク除去戦略であり、したがって、インバー36のCFCモールドツーリングのためのこのコストが低くなる可能性のある解決手段への信頼性を高めることが可能になる。機械加工前に複雑なプレート製作物の溶接領域の背面に同じアプローチを採用してもよい。
【0077】
真空完全性が重要であるいくつかの同様の用途も存在し、例えば、鋳造物、ビレット完全性、および真空領域内で金型の幾何学形状を修正し、依然として真空完全性を維持する能力に関する問題を有する真空ルートツーリングである。
【0078】
図2は、例示的な実施形態に係る方法を概略的に示す。本方法は、第1の面および裏の第2の面によって提供されるフェースプレートを有する複合モールド金型を修復するものであり、金型は第1の金属を備える。
【0079】
S201において、本方法は、第2の金属を備える粒子を使用して第2の面上に層をコールドスプレーすることによって複合モールド金型を気密封止することを備え、第1の金属および第2の金属は相互に適合性がある。
【0080】
本方法は、第1の態様および/または第2の態様に関して説明したステップのいずれを含み得る。
【0081】
図3は、例示的な実施形態に係る複合モールド金型30の断面を概略的に示す。
【0082】
複合部品CPを形成するための複合モールド金型30は、第1の面310および裏の第2の面320によって提供されるフェースプレート311を有し、ここにおいて、金型30は第1の金属を備え、金型30は、第2の面320上にコールドスプレーされた気密封止層330を備え、層は第2の金属を備え、第1の金属および第2の金属は相互に適合性がある。
【0083】
好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義され、上述されたような本発明の範囲から逸脱することなしに、様々な変更および修正が行われてもよいことが当業者によって理解されよう。
【0084】
本出願に関連して本明細書と同時にまたは本明細書より前に提出され、本明細書と共に公衆の閲覧に付されるすべての文書および文献に注意が向けられ、そのようなすべての文書および文献の内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された特徴のすべて、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップのすべてが、そのような特徴および/またはステップのうちの多くともいくつかが相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。
【0086】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された各特徴は、別段の明記がない限り、同じ、同等の、または同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、別段の明記がない限り、開示された各特徴は、包括的な一連の同等または同様の特徴の1つの例にすぎない。
【0087】
本発明は、前述の実施形態(単数または複数)の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された特徴のうちの任意の新規の1つもしくは任意の新規の組み合わせ、またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップのうちの任意の新規の1つもしくは任意の新規の組み合わせにわたる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】