(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】コンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びモル質量濃度値の計算
(51)【国際特許分類】
G01N 15/0205 20240101AFI20240705BHJP
G01N 21/49 20060101ALI20240705BHJP
B01D 15/34 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G01N15/0205
G01N21/49 Z
B01D15/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577986
(86)(22)【出願日】2022-06-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022034121
(87)【国際公開番号】W WO2022266521
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594035932
【氏名又は名称】ワイアット・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】WYATT TECHNOLOGY, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】サム,ダニエル
【テーマコード(参考)】
2G059
4D017
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB09
2G059EE02
2G059FF04
2G059GG01
2G059MM01
2G059MM14
4D017AA03
4D017AA07
4D017AA09
4D017BA04
4D017BA07
4D017DA03
(57)【要約】
本開示は、コンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値を計算するコンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品を説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
コンピュータシステムによって、非波長吸収分子/粒子について、示差屈折率(dRI)検出器からのΔRI値、波長吸収(UV)検出器からのΔUV値、及び静的光散乱(SLS)機器からの縮小レイリー比R(θ)値を受信することであって、
前記非波長吸収分子/粒子は、サイズ下限からサイズ上限までの範囲であり、分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、
前記コンピュータシステムによって、前記ΔRI値、前記ΔUV値、及び前記R(θ)値に関して、前記非波長吸収分子/粒子の見かけの散乱消衰係数値sEC、及び前記非波長吸収分子/粒子のモル質量値Mを計算することと、
前記コンピュータシステムによって、前記sEC値及び前記M値を当てはめ式に当てはめる論理演算のセットを実行することと、を含み、
その結果、前記sEC値と前記M値との間の相関をもたらし、
その結果、前記非波長吸収分子/粒子に対して、当てはめ関数sEC=f(M)が得られる、方法。
【請求項2】
前記当てはめ式は、
f(M)=(A×M
2)+(B×M)、
f(M)=(A×M)+B、及び
以下の形式の多項式、
f(M)=A
0+(A
1×M)+(A
2×M
2)+(A
3×M
3)+...+(A
nxM
n)、
ここで、Aは前記相関に関する第1の当てはめ定数であり、Bは前記相関に関する第2の当てはめ定数であり、
ここで、A
0,A
1,A
2,A
3,...,A
nは、前記相関に関する当てはめ定数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータシステムによって、第2のdRI検出器から、コンジュゲート分子/粒子を含有する溶媒に対する前記コンジュゲート分子/粒子の第2のΔRI値を受信することであって、
前記コンジュゲート分子/粒子は、波長吸収成分及び非波長吸収成分を含み、第2の分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、
前記コンピュータシステムによって、第2の波長吸収検出器から、前記コンジュゲート分子/粒子についての第2のΔUV値を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、第2のSLS機器から、前記コンジュゲート分子/粒子及び前記溶媒に関する第2の減少したレイリー比R(θ)値を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、dn/dcデータソースから、前記波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
1、及び前記非波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
2を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、aECデータソースから、前記波長吸収成分についての吸収消衰係数(aEC)値α
1を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、Dデータソースから前記波長吸収成分の散乱補正係数値Dを受信することと、
前記コンピュータシステムによって、前記当てはめ関数sEC=f(M)に対して、前記第2のΔRI値、前記第2のΔUV値、前記第2のR(θ)値、前記dn/dc
1値、前記dn/dc
2値、前記α
1値、及び前記D値に対してコンジュゲート分析を行う論理演算のセットを実行することと、を更に含み、
その結果、前記波長吸収成分のモル質量値M
1、前記非波長吸収成分のモル質量値M
2、及び前記コンジュゲート分子/粒子のモル濃度値[conj]が得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コンジュゲート分析を前記実行することは、
前記コンピュータシステムによって、前記第2のΔRI値、前記第2のΔUV値、前記第2のR(θ)値、前記dn/dc
1値、前記dn/dc
2値、前記α
1値、前記D値、及び前記当てはめ関数sEC=f(M)に関して、コンジュゲート分析方程式を同時に解く論理演算のセットを実行することを含み、
ここで、f(M)=f(M
1+M
2)であり、
その結果、前記M
1値、前記M
2値、及び前記[conj]値をもたらし、
前記コンジュゲート分析方程式は、
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
式中、
c
1及びε
1、sEC値は、前記波長吸収成分に対応し、
c
2及びε
2、sEC値は、前記非波長吸収成分に対応し、
lは、前記第2の波長吸収検出器における経路長であり、
Kは、前記溶媒に対する前記第2のSLS機器の光学定数であり、
θは、前記第2のSLS機器における検出器の散乱角であり、
P(θ)は、前記コンジュゲート分子/粒子の散乱形状因子である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータシステムによって、光散乱(LS)機器から、前記コンジュゲート分子/粒子のLS測定値を受信することであって、
前記LS測定値は、動的光散乱(DLS)機器からのDLS測定値及び前記第2のSLS機器からのSLS測定値のうちの1つである、ことと、
前記コンピュータシステムによって、前記LS測定値に対して前記コンジュゲート分子/粒子の半径値を計算することと、を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータシステムによって、前記M
1値対前記計算された半径をディスプレイ上に表示することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピュータシステムによって、前記計算された半径に対応する前記M
1値を、前記波長吸収成分のうちの1つの前記モル質量M
NAで除算し、その結果、前記計算された半径に対応するM
1/M
NA値を得ることと、
前記コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、前記M
1/M
NA値対前記計算された半径を表示することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記コンピュータシステムによって、前記計算された半径に対応する、前記コンジュゲート分子/粒子の総質量に対する前記波長吸収成分の質量分率値、F
w=M
1/(M
1+M
2)を計算することと、
前記コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、前記計算されたF
w値対前記計算された半径を表示することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記コンピュータシステムによって、前記計算された半径に対応する、前記コンジュゲート分子/粒子の有効密度値、ρ=(M
1+M
2)/((4×R
3×π)/3)を計算することと、
前記コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、前記計算されたρ値対前記計算された半径を表示することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、前記M
1値、前記M
2値、及び前記[conj]値対溶出時間を表示することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記非波長吸収分子/粒子は、前記コンジュゲート分子/粒子の前記非波長吸収成分を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記非波長吸収分子/粒子の前記サイズ下限と前記サイズ上限との間の範囲は、少なくとも前記コンジュゲート分子/粒子のサイズ下限とサイズ上限との間の範囲を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記非波長吸収分子/粒子の前記サイズ下限は20nm(例えば、25nm)であり、前記非波長吸収分子/粒子の前記サイズ上限は200nm(例えば、50nm)であり、
前記非波長吸収分子/粒子は、脂質ナノ粒子を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記非波長吸収分子/粒子の前記サイズ下限(MW)は5×10
5g/mol(例えば、2×10
6g/mol)であり、前記非波長吸収分子/粒子の前記サイズ上限(MW)は1×10
9g/mol(例えば、1×10
8g/mol)であり、
前記非波長吸収分子/粒子は多糖類を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータシステムによって、dRI検出器から、コンジュゲート分子/粒子を含有する溶媒に対する前記コンジュゲート分子/粒子のΔRI値を受信することであって、
前記コンジュゲート分子/粒子は、波長吸収成分及び非波長吸収成分を含み、分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、
前記コンピュータシステムによって、波長吸収検出器から、前記コンジュゲート分子/粒子についてのΔUV値を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、SLS機器から、前記コンジュゲート分子/粒子及び前記溶媒に関する減少したレイリー比R(θ)値を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、dn/dcデータソースから、前記波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
1、及び前記非波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
2を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、aECデータソースから、前記波長吸収成分についての吸収消衰係数(aEC)値α
1を受信することと、
前記コンピュータシステムによって、Dデータソースから前記波長吸収成分の散乱補正係数値Dを受信することと、
前記コンピュータシステムによって、f(M)データソースから非波長吸収分子/粒子についての当てはめ関数、sEC=f(M)を受信することであって、
前記非波長吸収分子/粒子は前記非波長吸収成分を含む、ことと、
前記コンピュータシステムによって、前記当てはめ関数sEC=f(M)に対して、前記ΔRI値、前記ΔUV値、前記R(θ)値、前記dn/dc
1値、前記dn/dc
2値、前記α
1値、及び前記D値に対してコンジュゲート分析を行う論理演算のセットを実行することと、
その結果、前記波長吸収成分のモル質量値M
1、前記非波長吸収成分のモル質量値M
2、及び前記コンジュゲート分子/粒子のモル濃度値[conj]が得られる、方法。
【請求項16】
前記コンピュータシステムによって、光散乱(LS)機器から、前記コンジュゲート分子/粒子のLS測定値を受信することであって、
前記LS測定値は、動的光散乱(DLS)機器からのDLS測定値及び前記第2のSLS機器からのSLS測定値のうちの1つである、ことと、
前記コンピュータシステムによって、前記LS測定値に対して前記コンジュゲート分子/粒子の半径値を計算することと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コンピュータシステムによって、前記M
1値対前記計算された半径をディスプレイ上に表示することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、前記M
1値、前記M
2値、及び前記[conj]値対溶出時間を表示することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
システムであって、
メモリと、
前記メモリと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、
非波長吸収分子/粒子について、示差屈折率(dRi)検出器からのΔRI値、波長吸収(UV)検出器からのΔUV値、及び静的光散乱(SLS)機器からの縮小レイリー比R(θ)値を受信することであって、
前記非波長吸収分子/粒子は、サイズ下限からサイズ上限までの範囲であり、分離デバイス(例えば、FFF、サイズ排除クロマトグラフィ)によってサイズ(例えば、半径)に従って分離される、ことと、
前記ΔRI値、前記ΔUV値、及び前記R(θ)値に関して、前記非波長吸収分子/粒子の見かけの散乱消衰係数値sEC、及び前記非波長吸収分子/粒子のモル質量値Mを計算することと、
前記sEC値及び前記M値を当てはめ式に当てはめる論理演算のセットを実行することであって、
その結果、前記sEC値と前記M値との間の相関をもたらし、
その結果、前記非波長吸収分子/粒子に対して、当てはめ関数sEC=f(M)が得られる、ことと、
第2のdRI検出器から、コンジュゲート分子/粒子を含有する溶媒に対する前記コンジュゲート分子/粒子の第2のΔRI値を受信することであって、
前記コンジュゲート分子/粒子は、波長吸収成分及び
非波長吸収成分を含み、第2の分離デバイスによってサイズyに従って分離される、ことと、
第2の波長吸収検出器から、前記コンジュゲート分子/粒子についての第2のΔUV値を受信することと、
第2のSLS機器から、前記コンジュゲート分子/粒子及び前記溶媒に関する第2の減少したレイリー比R(θ)値を受信することと、
dn/dcデータソースから、前記波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
1、及び前記非波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
2を受信することと、
aECデータソースから、前記波長吸収成分についての吸収消衰係数(aEC)値α
1を受信することと、
Dデータソースから前記波長吸収成分の散乱補正係数値Dを受信することと、
前記当てはめ関数sEC=f(M)に対して、前記第2のΔRI値、前記第2のΔUV値、前記第2のR(θ)値、前記dn/dc
1値、前記dn/dc
2値、前記α
1値、及び前記D値に対してコンジュゲート分析を行う論理演算のセットを実行することであって、
その結果、前記波長吸収成分のモル質量値M
1、前記非波長吸収成分のモル質量値M
2、及び前記コンジュゲート分子/粒子のモル濃度値[conj]が得られる、ことと、を含む方法を実行するように構成されている、システム。
【請求項20】
プログラム命令が具現化されたコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記プログラム命令は、プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに、
非波長吸収分子/粒子について、示差屈折率(dRI)検出器からのΔRI値、波長吸収(UV)検出器からのΔUV値、及び静的光散乱(SLS)機器からの縮小レイリー比R(θ)値を受信することであって、
前記非波長吸収分子/粒子は、サイズ下限からサイズ上限までの範囲であり、分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、
前記ΔRI値、前記ΔUV値、及び前記R(θ)値に関して、前記非波長吸収分子/粒子の見かけの散乱消衰係数値sEC、及び前記非波長吸収分子/粒子のモル質量値Mを計算することと、
前記sEC値及び前記M値を当てはめ式に当てはめる論理演算のセットを実行することであって、
その結果、前記sEC値と前記M値との間の相関をもたらし、
その結果、前記非波長吸収分子/粒子に対して、当てはめ関数sEC=f(M)が得られる、ことと、
第2のdRI検出器から、コンジュゲート分子/粒子を含有する溶媒に対する前記コンジュゲート分子/粒子の第2のΔRI値を受信することであって、
前記コンジュゲート分子/粒子は、波長吸収成分及び非波長吸収成分を含み、第2の分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、
第2の波長吸収検出器から、前記コンジュゲート分子/粒子についての第2のΔUV値を受信することと、
第2のSLS機器から、前記コンジュゲート分子/粒子及び前記溶媒に関する第2の減少したレイリー比R(θ)値を受信することと、
dn/dcデータソースから、前記波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
1、及び前記非波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
2を受信することと、
aECデータソースから、前記波長吸収成分についての吸収消衰係数(aEC)値α
1を受信することと、
Dデータソースから前記波長吸収成分の散乱補正係数値Dを受信することと、
前記当てはめ関数sEC=f(M)に対して、前記第2のΔRI値、前記第2のΔUV値、前記第2のR(θ)値、前記dn/dc
1値、前記dn/dc
2値、前記α
1値、及び前記D値に対してコンジュゲート分析を行う論理演算のセットを実行することであって、
その結果、前記波長吸収成分のモル質量値M
1、前記非波長吸収成分のモル質量値M
2、及び前記コンジュゲート分子/粒子のモル濃度値[conj]が得られる、ことと、を含む方法を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2021年6月18日に出願された米国特許出願第17/352,253号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、コンジュゲート分子/粒子に関し、より具体的には、コンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値の計算に関する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、コンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値を計算するコンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品を説明する。本開示は、コンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値を計算するコンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品を説明する。例示的な実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(1)コンピュータシステムによって、非波長吸収分子/粒子について、示差屈折率(dRi)検出器からのΔRI値、波長吸収(UV)検出器からのΔUV値、及び静的光散乱(SLS)機器からの縮小レイリー比R(θ)値を受信することであって、非波長吸収分子/粒子は、サイズ下限からサイズ上限までの範囲であり、分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、(2)コンピュータシステムによって、ΔRI値、ΔUV値、及びR(θ)値に関して、非波長吸収分子/粒子の見かけの散乱消衰係数値sEC、及び非波長吸収分子/粒子のモル質量値Mを計算することと、(3)コンピュータシステムによって、sEC値及びM値を当てはめ式に当てはめる論理演算のセットを実行することと、を含み、その結果、sEC値とM値との間の相関をもたらし、その結果、非波長吸収分子/粒子に対して、当てはめ関数sEC=f(M)が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】例示的な実施形態によるフローチャートを示す。
【
図1B】例示的な実施形態によるブロック図を示す。
【
図8】例示的な実施形態によるコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、コンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値を計算するコンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品を説明する。例示的な実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(1)コンピュータシステムによって、非波長吸収分子/粒子について、示差屈折率(dRi)検出器からのΔRI値、波長吸収(UV)検出器からのΔUV値、及び静的光散乱(SLS)機器からの縮小レイリー比R(θ)値を受信することであって、非波長吸収分子/粒子は、サイズ下限からサイズ上限までの範囲であり、分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、(2)コンピュータシステムによって、ΔRI値、ΔUV値、及びR(θ)値に関して、非波長吸収分子/粒子の見かけの散乱消衰係数値sEC、及び非波長吸収分子/粒子のモル質量値Mを計算することと、(3)コンピュータシステムによって、sEC値及びM値を当てはめ式に当てはめる論理演算のセットを実行することと、を含み、その結果、sEC値とM値との間の相関をもたらし、その結果、非波長吸収分子/粒子に対して、当てはめ関数sEC=f(M)が得られる。一実施形態では、SLS機器及びdRI検出器からの測定値は、M値を決定するために使用され、UV検出器及びdRI検出器からの測定値は、sEC値を決定するために使用される。例えば、SLSは、脂質ナノ粒子などの典型的な高分子量(MW)コンジュゲート分子/粒子のための多角度静的光散乱(MALS)機器であり得る。一実施形態では、非波長吸収分子/粒子は、フィールドフローフラクショネータ(FFF)又はサイズ排除クロマトグラフィシステムなどの分離デバイスによって、半径又は分子量に従ってサイズによって分離される。
【0006】
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、データストア内に当てはめ関数を記憶することを更に含む。一実施形態では、当てはめ式は以下のうちの1つである:
f(M)=(A×M2)+(B×M)、
f(M)=(A×M)+B、及び
以下の形式の多項式、
f(M)=A0+(A1×M)+(A2×M2)+(A3×M3)+...+(AnxMn)、
ここで、Aは相関に関する第1の当てはめ定数であり、Bは相関に関する第2の当てはめ定数であり、A0,A1,A2,A3,...,Anは相関に関する当てはめ定数である。
【0007】
定義
粒子
粒子は、液体試料アリコートの成分であってもよい。このような粒子は、種々のタイプ及びサイズの分子、ナノ粒子、ウイルス様粒子、リポソーム、エマルジョン、細菌、及びコロイドであり得る。これらの粒子は、ナノメートルからミクロンのオーダーのサイズの範囲であり得る。
【0008】
溶液中の高分子又は粒子種の分析
溶液中の高分子又は粒子種の分析は、適切な溶媒中で試料を調製し、次いで、そのアリコートを、試料内に含まれる異なる種の粒子がそれらの種々の成分に分離される液体クロマトグラフィ(LC)カラム又はフィールドフロー分別(FFF)チャネルなどの分離システムに注入することによって達成され得る。一般にサイズ、質量、又はカラム親和性に基づいて分離されると、試料は、光散乱、屈折率、紫外線吸収、電気泳動移動度、及び粘度応答による分析に供され得る。
【0009】
光散乱
光散乱(LS)は、溶液中の高分子及び広範囲の粒子を特徴付けるための非侵襲的技術である。高分子の特徴付けに頻繁に使用される2つのタイプの光散乱検出は、静的光散乱及び動的光散乱である。
【0010】
動的光散乱
動的光散乱は、準弾性光散乱(QELS)及び光子相関分光法(PCS)としても知られている。DLS実験では、高速光検出器を使用して散乱光信号の時間依存変動を測定する。DLS測定は、分子又は粒子の拡散係数を決定し、これは次に、それらの流体力学的半径を計算するために使用することができる。
【0011】
静的光散乱
静的光散乱(SLS)は、単一角度光散乱(SALS)、二重角度光散乱(DALS)、低角度光散乱(LALS)、及び多角度光散乱(MALS)などの様々な技術を含む。SLS実験は、一般に、細い光線によって照射される溶液中の試料から散乱される光の絶対強度の測定を含む。このような測定は、多くの場合、適切なクラスの粒子/分子について、試料分子又は粒子のサイズ及び構造を決定するために使用され、試料濃度の知識と組み合わせた場合、重量平均モル質量の決定に使用される。更に、試料濃度の関数としての散乱光の強度の非線形性は、粒子間相互作用及び関連を測定するために使用され得る。
【0012】
多角度光散乱
多角度光散乱(MALS)は、試料によって複数の角度に散乱された光を測定するためのSLS技術である。これは、分子がどのように光を散乱するかを検出することによって、溶液中の分子の絶対モル質量及び平均サイズの両方を決定するために使用される。レーザ光源からのコリメート光が最も頻繁に使用され、その場合、この技術は多角レーザ光散乱(MALLS)と呼ぶことができる。「多角度」という用語は、例えば、選択された特定の角度を含む範囲にわたって移動される単一の検出器、又は特定の角度位置に固定された検出器のアレイによって測定される、異なる離散角度における散乱光の検出を指す。
【0013】
MALS測定は、補助要素のセットを必要とする。それらの中で最も重要なのは、試料の領域を照射するコリメートされた又は集束された(通常、単色光のコリメートされたビームを生成するレーザ源からの)光ビームである。ビームは一般に測定面に垂直な平面偏光であるが、特に異方性粒子を調べる場合には他の偏光を使用してもよい。別の必要な要素は、測定される試料を保持するための光学セルである。あるいは、流動試料の測定を可能にする手段を組み込んだセルを使用してもよい。単一粒子の散乱特性を測定しようとする場合、周囲の検出器からほぼ等距離の点で光ビームを通してそのような粒子を1つずつ導入する手段を設けなければならない。
【0014】
ほとんどのMALSベースの測定は、照射ビームが通過する中心に位置する試料から通常等距離に配置された検出器のセットを含む平面内で実行されるが、3次元バージョンも開発されており、この場合、検出器は球の表面上にあり、試料は、球の直径に沿って通過する入射光ビームの経路と交差するその中心を通過するように制御される。MALS技術は、一般に、離散検出器のセットの出力から多重化データを順次収集する。MALS光散乱光度計は、一般に複数の検出器を有する。
【0015】
MALS検出器内の異なる検出器は、(i)わずかに異なる量子効率及び異なる利得を有する場合があり、(ii)異なる幾何学的散乱体積を見る可能性があるので、各角度においてMALS検出器の光検出器によって捕捉された信号を正規化することが必要であり得る。これらの差を正規化しなければ、MALS検出器の結果は、無意味であり、異なる検出器角度に対して不適切に重み付けされる可能性がある。
【0016】
濃度検出器
示差屈折率検出器
示差屈折率検出器(dRI)、又は示差屈折計、又は屈折率検出器(RI又はRID)は、溶媒に対する分析物の屈折率を測定する検出器である。それらは、高速液体クロマトグラフィ及びサイズ排除クロマトグラフィのための検出器としてしばしば使用される。dRIは、溶媒とは異なる屈折率を有するものを検出することができるが、感度が低いため、汎用検出器であると考えられている。光が1つの材料から出て別の材料に入るとき、光は曲がるか、又は屈折する。材料の屈折率は、光が入射するときにどれだけ曲がるかの尺度である。
【0017】
示差屈折率検出器は、2つの部分を有するフローセルを含み、1つは試料用、1つは参照溶媒用である。dRIは、両方の成分の屈折率を測定する。溶媒のみが試料成分を通過する場合、両方の成分の測定された屈折率は同じであるが、分析物がフローセルを通過する場合、2つの測定された屈折率は異なる。この差はクロマトグラムにおいてピークとして現れる。示差屈折率検出器は、サイズ排除クロマトグラフィにおけるポリマー試料の分析のためにしばしば使用される。dRIは、試料の濃度値に対応する濃度検出器信号値を出力することができる。
【0018】
紫外-可視分光法
紫外-可視分光法又は紫外-可視分光光度法(UV-Vis又はUV/Vis)は、紫外-可視スペクトル領域における吸収分光法又は反射分光法を指す。紫外-可視検出器/紫外-可視分光光度計は、可視及び隣接範囲内の光を使用し、可視範囲内の吸収又は反射率は、関与する化学物質の知覚色に直接影響を及ぼし、電磁スペクトルのこの領域では、原子及び分子が電子遷移を受ける。このような吸収分光法は、基底状態から励起状態への遷移を測定する。紫外-可視検出器/紫外-可視分光光度計は、試料を通過する光の強度を測定し(I)、これを、試料を通過する前の光の強度(d)と比較し(Io)、ここで、比I/Ioは透過率と呼ばれ、通常はパーセンテージ(%T)として表される。吸光度Aは、次式による透過率に基づく。
【0019】
A=-log(%T/100%)
UV-可視分光光度計はまた、反射率を測定するように構成されることができ、分光光度計は、試料から反射される光の強度(I)を測定し、それを参照材料から反射される光の強度(Io)と比較し、比I/Ioは、反射率と呼ばれ、通常、パーセンテージ(%R)として表される。紫外線吸収検出器は、試料の濃度値に対応する濃度検出器信号値を出力することができる。
【0020】
コンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値を計算する必要がある。
【0021】
図1Aを参照すると、例示的な実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、非波長吸収分子/粒子について、示差屈折率(dRi)検出器からのΔRI値、波長吸収(UV)検出器からのΔUV値、及び静的光散乱(SLS)機器からの縮小レイリー比R(θ)値を受信することであって、非波長吸収分子/粒子は、サイズ下限からサイズ上限までの範囲であり、分離デバイスによってサイズに従って分離される、動作110と、コンピュータシステムによって、ΔRI値、ΔUV値、及びR(θ)値に関して、非波長吸収分子/粒子の見かけの散乱消衰係数値sEC、及び非波長吸収分子/粒子のモル質量値Mを計算する、動作112と、コンピュータシステムによって、sEC値及びM値を当てはめ式に当てはめる論理演算のセットを実行する、動作114と、を実行するように構成されており、その結果、sEC値とM値との間の相関をもたらし、その結果、非波長吸収分子/粒子に対して、当てはめ関数sEC=f(M)が得られる。
【0022】
例示的な実施形態では、コンピュータシステムは、
図8に示すコンピュータシステム800などのスタンドアロンコンピュータシステム、コンピュータのうちの少なくともいくつかが、
図8に示すコンピュータシステム800などのコンピュータシステムである分散コンピュータのネットワーク、又は
図8に示すコンピュータシステム800などのクラウドコンピューティングノードサーバである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるようなコンピュータシステム800、又は少なくとも方法100の動作を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるようなコンピュータシステム/サーバ812、又は少なくとも方法100の動作を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるような処理ユニット816、又は少なくとも方法100の動作を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する分析機器のプロセッサ、又は少なくとも方法100の動作を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。
【0023】
一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるようなコンピュータシステム800、又は少なくとも動作110、112及び114を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるようなコンピュータシステム/サーバ812、又は少なくとも動作110、112及び114を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値を計算する
図8に示されるような処理ユニット816、又は少なくとも動作110、112及び114を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。
【0024】
図1Bを参照すると、例示的な実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、受信機120、計算機122及びフィッタ124を含む。一実施形態では、受信機120は、非波長吸収分子/粒子146について、示差屈折率(dRI)検出器140からのΔRI値130、波長吸収(UV)検出器142からのΔUV値132、及び静的光散乱(SLS)機器144からの換算レイリー比R(θ)値134を受信するように構成され、非波長吸収分子/粒子146のサイズは、サイズ下限からサイズ上限までの範囲であり、分離デバイスによってサイズに従って分離される。一実施形態では、受信機120は、動作110を実行する、
図8に示すコンピュータシステム800などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、受信機120は、動作110を実行する、
図8に示すコンピュータシステム/サーバ812などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、受信機120は、動作110を実行する、
図8に示す処理ユニット816などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、受信機120は、コンピュータシステムが動作110を実行するように、
図8に示すコンピュータシステム800などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態では、受信機120は、コンピュータシステムが動作110を実行するように、
図8に示すコンピュータシステム/サーバ812などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態では、受信機120は、コンピュータシステムが動作110を実行するように、
図8に示す処理ユニット816などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態において、受信機120は、受信機120のプロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウェアとして動作110を実行する。
【0025】
一実施形態では、計算機122は、ΔRI値130、ΔUV値132、及びR(θ)値134に関して、非波長吸収分子/粒子150の見かけの散乱消衰係数値160(sEC)、及び非波長吸収分子/粒子150のモル質量値162(M)を計算するように構成される。一実施形態では、計算機122は、動作112を実行する、
図8に示すコンピュータシステム800などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、計算機122は、動作112を実行する、
図8に示すコンピュータシステム/サーバ812などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、計算機122は、動作112を実行する、
図8に示す処理ユニット816などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、計算機122は、コンピュータシステムが動作112を実行するように、
図8に示すコンピュータシステム800などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態では、計算機122は、コンピュータシステムが動作112を実行するように、
図8に示すコンピュータシステム/サーバ812などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態では、計算機122は、コンピュータシステムが動作112を実行するように、
図8に示す処理ユニット816などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態において、計算機122は、計算機122のプロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウェアとして動作112を実行する。
【0026】
一実施形態では、フィッタ124は、sEC値160及びM値162を当てはめ式に当てはめる論理演算のセットを実行するように構成され、sEC値160とM値162との間の相関170をもたらし、その結果、非波長吸収分子/粒子150についての当てはめ関数172、sEC=f(M)が得られる。一実施形態では、フィッタ124は、動作114を実行する、
図8に示すコンピュータシステム800などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、フィッタ124は、動作114を実行する、
図8に示すコンピュータシステム/サーバ812などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、フィッタ124は、動作114を実行する、
図8に示す処理ユニット816などのコンピュータシステムを含む。一実施形態では、フィッタ124は、コンピュータシステムが動作114を実行するように、
図8に示すコンピュータシステム800などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態では、フィッタ124は、コンピュータシステムが動作114を実行するように、
図8に示すコンピュータシステム/サーバ812などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態では、フィッタ124は、コンピュータシステムが動作114を実行するように、
図8に示す処理ユニット816などのコンピュータシステム上で実行されるコンピュータソフトウェアとして実装される。一実施形態において、フィッタ124は、フィッタ124のプロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウェアとして動作114を実行する。
【0027】
モル質量値及びモル濃度値の計算
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は更に、(a)コンピュータシステムによって、第2のdRI検出器から、コンジュゲート分子/粒子を含有する溶媒に対するコンジュゲート分子/粒子の第2のΔRI値を受信することであって、コンジュゲート分子/粒子は、波長吸収成分及び非波長吸収成分を含み、第2の分離デバイスによってサイズに従って分離される、ことと、(b)コンピュータシステムによって、第2の波長吸収検出器から、コンジュゲート分子/粒子についての第2のΔUV値を受信することと、(c)コンピュータシステムによって、第2のSLS機器から、コンジュゲート分子/粒子及び溶媒に関する第2の減少したレイリー比R(θ)値を受信することと、(d)コンピュータシステムによって、dn/dcデータソースから、波長吸収成分のdn/dc値dn/dc1、及び非波長吸収成分のdn/dc値dn/dc2を受信することと、(e)コンピュータシステムによって、aECデータソースから、波長吸収成分についての吸収消衰係数(aEC)値α1を受信することと、(f)コンピュータシステムによって、Dデータソースから波長吸収成分の散乱補正係数値Dを受信することと、(g)コンピュータシステムによって、当てはめ関数sEC=f(M)に対して、第2のΔRI値、第2のΔUV値、第2のR(θ)値、dn/dc1値、dn/dc2値、α1値、及びD値に対してコンジュゲート分析を行う論理演算のセットを実行することと、を更に含み、その結果、波長吸収成分のモル質量値M1、非波長吸収成分のモル質量値M2、及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値[conj]が得られる。一実施形態では、コンジュゲート分子/粒子は、フィールドフローフラクショネータ(FFF)又はサイズ排除クロマトグラフィシステムなどの分離デバイスによって、半径又は分子量に従ってサイズによって分離される。一実施形態では、第2のdRI検出器はdRI検出器140である。一実施形態では、第2のUV検出器はUV検出器142である。一実施形態において、第2のSLS機器は、SLS機器144である。例えば、第2のSLSは、脂質ナノ粒子などの典型的な高MWコンジュゲート分子/粒子のためのMALS機器であり得る。
【0028】
一実施形態では、dn/dcデータソースは、ユーザ入力、データベース、及びデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つである。一実施形態では、aECデータソースは、ユーザ入力、データベース、及びデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つである。一実施形態では、Dデータソースは、ユーザ入力、データベース、及びデータ記憶デバイスのうちの少なくとも1つである。
【0029】
図2を参照すると、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は更に、コンピュータシステムによって、第2のdRI検出器から、コンジュゲート分子/粒子を含有する溶媒に対するコンジュゲート分子/粒子の第2のΔRI値を受信することであって、コンジュゲート分子/粒子は、波長吸収成分及び非波長吸収成分を含み、第2の分離デバイスによってサイズに従って分離される、動作210と、コンピュータシステムによって、第2の波長吸収検出器から、コンジュゲート分子/粒子についての第2のΔUV値を受信する動作212と、コンピュータシステムによって、第2のSLS機器から、コンジュゲート分子/粒子及び溶媒に関する第2の減少したレイリー比R(θ)値を受信する動作214と、コンピュータシステムによって、dn/dcデータソースから、波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
1、及び非波長吸収成分のdn/dc値dn/dc
2を受信する動作216と、コンピュータシステムによって、aECデータソースから、波長吸収成分についての吸収消衰係数(aEC)値α
1を受信する動作218と、コンピュータシステムによって、Dデータソースから波長吸収成分の散乱補正係数値Dを受信する動作220と、コンピュータシステムによって、当てはめ関数sEC=f(M)に対して、第2のΔRI値、第2のΔUV値、第2のR(θ)値、dn/dc
1値、dn/dc
2値、α
1値、及びD値に対してコンジュゲート分析を行う論理演算のセットを実行する動作222と、を実行するように構成されており、その結果、波長吸収成分のモル質量値M
1、非波長吸収成分のモル質量値M
2、及びコンジュゲート分子/粒子のモル濃度値[conj]が得られる。
【0030】
一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるようなコンピュータシステム800、又は少なくとも方法200の動作を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、
図8に示されるようなコンピュータシステム/サーバ812であり、少なくとも方法200の動作を実行する、コンジュゲート分子/粒子スクリプト又はコンピュータソフトウェアアプリケーションの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する。一実施形態では、コンピュータシステムは、少なくとも方法200の動作を実行するコンジュゲート分子/粒子スクリプト又はコンピュータソフトウェアアプリケーションの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する、
図8に示すような処理ユニット816である。一実施形態では、コンピュータシステムは、分析機器のプロセッサであり、少なくとも方法200の動作を実行するスクリプト又はコンピュータソフトウェアアプリケーションのコンジュゲート分子/粒子の成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する。
【0031】
一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるようなコンピュータシステム800、又は少なくとも動作210、212、214、216、218、220、及び222を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値の計算を実行する
図8に示されるようなコンピュータシステム/サーバ812、又は少なくとも動作210、212、214、216、218、220、及び222を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。一実施形態において、コンピュータシステムは、コンジュゲート分子/粒子スクリプトの成分のモル質量値及びモル濃度値を計算する
図8に示されるような処理ユニット816、又は少なくとも動作210、212、214、216、218、220、及び222を実行するコンピュータソフトウェアアプリケーションである。
【0032】
コンジュゲート分析の実行
一実施形態では、共役分析を実行することは、コンピュータシステムによって、第2のΔRI値、第2のΔUV値、第2のR(θ)値、dn/dc1値、dn/dc2値、α1値、D値、及び当てはめ関数sEC=f(M)に関して、コンジュゲート分析方程式を同時に解く論理演算のセットを実行することを含み、ここで、f(M)=f(M1+M2)であり、その結果、M1値、M2値、及び[conj]値をもたらし、コンジュゲート分析方程式は、
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
c1及びε1、sEC値は、波長吸収成分に対応し、c2及びε2、sEC値は、非波長吸収成分に対応し、lは、第2の波長吸収検出器における経路長であり、Kは、溶媒に対する第2のSLS機器の光学定数であり、θは、第2のSLS機器における検出器の散乱角であり、P(θ)は、コンジュゲート分子/粒子の散乱形状因子である。
【0041】
一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、第2のΔRI値、第2のΔUV値、第2のR(θ)値、dn/dc1値、dn/dc2値、α1値、D値、及び当てはめ関数sEC=f(M)に関して、コンジュゲート分析方程式を同時に解く論理演算のセットを実行するように構成されており、ここで、f(M)=f(M1+M2)であり、その結果、M1値、M2値、及び[conj]値をもたらし、コンジュゲート分析方程式は、
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
c1及びε1、sEC値は、波長吸収成分に対応し、c2及びε2、sEC値は、非波長吸収成分に対応し、lは、第2の波長吸収検出器における経路長であり、Kは、溶媒に対する第2のSLS機器の光学定数であり、θは、第2のSLS機器における検出器の散乱角であり、P(θ)は、コンジュゲート分子/粒子の散乱形状因子である。
【0050】
結果の表示
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(a)コンピュータシステムによって、光散乱(LS)機器から、コンジュゲート分子/粒子のLS測定値を受信することであって、LS測定値は、動的光散乱(DLS)機器からのDLS測定値及び第2のSLS機器からのSLS測定値のうちの1つである、ことと、(b)コンピュータシステムによって、LS測定値に対してコンジュゲート分子/粒子の半径値を計算することと、を更に含む。一実施形態では、第2のSLS機器はMALS機器である。
【0051】
一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、光散乱(LS)機器から、コンジュゲート分子/粒子のLS測定値を受信することであって、LS測定値は、動的光散乱(DLS)機器からのDLS測定値及び第2のSLS機器からのSLS測定値のうちの1つである、動作と、コンピュータシステムによって、LS測定値に対してコンジュゲート分子/粒子の半径値を計算する動作と、を実行するように構成されている。一実施形態では、第2のSLS機器はMALS機器である。
【0052】
M
1値の表示
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、M
1値対計算された半径をディスプレイ上に表示するステップを更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、M
1値対計算された半径をディスプレイ上に表示する動作を実行するように構成される。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、
図3Aに示されるように、粒子についてのM
1値対計算された半径を表示することを更に含む。
図3Aは、MALS又はDLS検出器のいずれかを使用して、LNP-NAコンジュゲートの測定半径に対してプロットされた、LNP分析から得られた核酸(NA)のモル質量を示す。
【0053】
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、M1値対総モル質量値M1+M2を表示することを更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、高分子についてのM1値対総モル質量値M1+M2を表示することを更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上にM1値対総モル質量値M1+M2を表示する動作を実行するように構成される。
【0054】
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(a)コンピュータシステムによって、計算された半径に対応するM1値を、波長吸収成分のうちの1つのモル質量MNAで除算し、その結果、計算された半径に対応するM1/MNA値を得ることと、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、M1/MNA値対計算された半径を表示することと、を更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、計算された半径に対応するM1値を、波長吸収成分のうちの1つのモル質量MNAで除算し、その結果、計算された半径に対応するM1/MNA値を得る動作と、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、M1/MNA値対計算された半径を表示する動作と、を実行するように構成されている。
【0055】
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(a)コンピュータシステムによって、計算された半径に対応するM
1値を、波長吸収成分のうちの1つのモル質量M
NAで除算し、その結果、分子(例えば、脂質ナノ粒子)についての計算された半径に対応するM
1/M
NA値を得ることと、(b)コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、
図3Bに示すように、分子についてのM
1/M
NA値対計算された半径を表示することと、を更に含む。
図3Bは、MALS又はDLS検出器のいずれかを使用して、LNP-NAコンジュゲートの測定された半径に対してプロットされた、測定されたNAモル質量を1つのNA分子のモル質量で除算することによって得られた核酸(NA)の数を示す。
【0056】
質量分率値の表示
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(a)コンピュータシステムによって、計算された半径に対応する、コンジュゲート分子/粒子の総質量に対する波長吸収成分の質量分率値、Fw=M1/(M1+M2)を計算することと、(b)コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、計算されたFw値対計算された半径を表示することと、を更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、計算された半径に対応する、コンジュゲート分子/粒子の総質量に対する波長吸収成分の質量分率値、Fw=M1/(M1+M2)を計算する動作と、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、計算されたFw値対計算された半径を表示する動作とを実行するように構成されている。
【0057】
一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、計算された半径に対応する、コンジュゲート分子/粒子の総質量に対する波長吸収成分の質量分率値、F
w=M
1/(M
1+M
2)を計算することと、(b)コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、
図3Cに示すように、粒子についての計算されたF
w値対計算された半径を表示することと、を更に含む。
図3Cは、LNP-NAコンジュゲートに対するNAのモル質量比として定義される核酸(NA)重量分率を、MALS又はDLS検出器のいずれかを使用してコンジュゲートの測定半径に対してプロットした図である。
【0058】
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、計算されたFw値対総モル質量値M1+M2を表示することを更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に計算されたFw値対総モル質量値M1+M2を表示する動作を実行するように構成される。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、高分子についての計算されたFw値対総モル質量値M1+M2を表示することを更に含む。
【0059】
濃度値の表示
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(a)コンピュータシステムによって、計算された半径に対応する、コンジュゲート分子/粒子の有効密度値、ρ=(M1+M2)/((4×R3×π)/3)を計算することと、(b)コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、計算されたρ値対計算された半径を表示することと、を更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、計算された半径に対応する、コンジュゲート分子/粒子の有効密度値、ρ=(M1+M2)/((4×R3×π)/3)を計算する動作と、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、計算されたρ値対計算された半径を表示する動作と、を実行するように構成されている。
【0060】
一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、(a)コンピュータシステムによって、計算された半径に対応する、コンジュゲート分子/粒子の有効密度値、ρ=(M
1+M
2)/((4×R
3×π)/3)を計算することと、(b)コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、
図3Dに示すように、粒子についての計算されたρ値対計算された半径を表示することと、を更に含む。
図3Dは、MALS又はDLS検出器のいずれかを使用して測定されたLNP-NAコンジュゲートの半径に対してプロットされた、LNP-NAコンジュゲートの総モル質量及び半径から計算されたLNP-NAの密度を示す。
【0061】
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、計算されたρ値対総モル質量値M1+M2を表示することを更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に計算されたρ値対総モル質量値M1+M2を表示する動作を実行するように構成される。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、高分子についての計算されたρ値対総モル質量値M1+M2を表示することを更に含む。
【0062】
M1値、M2値、及び[conj]値の表示
更なる実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、M1値、M2値、及び[conj]値対溶出時間を表示することを更に含む。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、M1値、M2値、及び[conj]値対溶出時間を表示する動作を実行するように構成されている。
【0063】
一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、
図4Aに示すように、粒子についてのM
1値、M
2値、及び[conj]値対溶出時間を表示することを更に含む。
図4Aは、LNP分析から得られた核酸(NA)(+)、脂質(×)、及びNPコンジュゲート(■)のモル質量が溶出時間に対してプロットされていることを示す。一実施形態では、コンピュータ実装方法、システム、及びコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって、ディスプレイ上に、
図4Bに示すように、高分子についてのM
1値、M
2値、及び[conj]値対溶出時間を表示することを更に含む。
図4Bは、LNP分析から得られたタンパク質(x)、多糖類(+)、及びコンジュゲート(■)のモル質量を溶出時間に対してプロットしたものを示す。
【0064】
一実施形態では、非波長吸収分子/粒子は、コンジュゲート分子/粒子の非波長吸収成分を含む。一実施形態では、非波長吸収分子/粒子のサイズ下限とサイズ上限との間の範囲は、少なくともコンジュゲート分子/粒子のサイズ下限とサイズ上限との間の範囲を含む。特定の実施形態では、非波長吸収分子/粒子のサイズ下限は20nm(例えば、25nm)であり、非波長吸収分子/粒子のサイズ上限は200nm(例えば、50nm)であり、非波長吸収分子/粒子は、脂質ナノ粒子を含む。特定の実施形態では、非波長吸収分子/粒子のサイズ下限(MW)は、5×105g/mol(例えば、2×106g/mol)であり、非波長吸収分子/粒子のサイズ上限(MW)は、1×109g/mol(例えば、1×108g/mol)であり、ここで、非波長吸収分子/粒子は、多糖類を含む。
【0065】
図5Aは、測定のための機器の典型的なSECシステムを示す。
図5Bは、測定のための機器の典型的なFFFシステムを示す。
【0066】
コンピュータシステム
例示的な実施形態では、コンピュータシステムは、
図8に示すようなコンピュータシステム800である。コンピュータシステム800は、コンピュータシステムの一例にすぎず、本発明の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆するものではない。いずれにしても、コンピュータシステム800は、本発明の機能/動作のいずれかを実行するように実装され、かつ/又は実行することが可能である。
【0067】
コンピュータシステム800は、多数の他の汎用又は専用コンピューティングシステム環境又は構成と共に動作可能なコンピュータシステム/サーバ812を含む。コンピュータシステム/サーバ812と共に使用するのに好適であり得る周知のコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の例は、パーソナルコンピュータシステム、サーバコンピュータシステム、シンクライアント、シッククライアント、ハンドヘルド又はラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、及び上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散クラウドコンピューティング環境を含むが、これらに限定されない。
【0068】
コンピュータシステム/サーバ812は、コンピュータシステムによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータシステム実行可能命令の一般的な文脈で説明することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定タスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、論理、及び/又はデータ構造を含み得る。コンピュータシステム/サーバ812は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散クラウドコンピューティング環境で実施することができる。分散クラウドコンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶デバイスを含むローカル及びリモートの両方のコンピュータシステム記憶媒体に配置され得る。
【0069】
図8に示されるように、コンピュータシステム800内のコンピュータシステム/サーバ812は汎用コンピューティングデバイスの形態で示される。コンピュータシステム/サーバ812のコンポーネントは、1つ以上のプロセッサ又は処理ユニット816、システムメモリ828、及びシステムメモリ828を含む様々なシステムコンポーネントをプロセッサ816に結合するバス818を含むことができるが、これらに限定されない。
【0070】
バス818は、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、及び様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用するプロセッサ又はローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のいずれかの1つ以上を表す。限定ではなく例として、そのようなアーキテクチャは、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオ電子機器規格協会(VESA)ローカルバス、及び周辺コンポーネント相互接続(PCI)バスを含む。
【0071】
コンピュータシステム/サーバ812は通常、様々なコンピュータシステム可読媒体を含む。そのような媒体は、コンピュータシステム/サーバ812によってアクセス可能である任意の利用可能な媒体であり得、揮発性及び不揮発性媒体、取り外し可能及び取り外し不可能媒体の両方を含む。
【0072】
システムメモリ828は、ランダムアクセスメモリ(RAM)830及び/又はキャッシュメモリ832などの揮発性メモリの形態のコンピュータシステム可読媒体を含むことができる。コンピュータシステム/サーバ812は、他の取り外し可能/取り外し不可能、揮発性/不揮発性コンピュータシステム記憶媒体を更に含むことができる。単なる例として、記憶システム834は、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体(図示されず、典型的には「ハードドライブ」と呼ばれる)から読み出し、それに書き込むために提供され得る。図示されていないが、取り外し可能な不揮発性磁気ディスク(例えば、「フロッピー(登録商標)ディスク」)から読み出し、それに書き込むための磁気ディスクドライブ、及びCD-ROM、DVD-ROM、又は他の光媒体などの取り外し可能な不揮発性光ディスクから読み出し、それに書き込むための光ディスクドライブを設けることができる。そのような場合、各々は、1つ以上のデータ媒体インタフェースによってバス818に接続され得る。以下で更に図示及び説明するように、メモリ828は、本発明の実施形態の機能/動作を実行するように構成されたプログラムモジュールのセット(例えば、少なくとも1つ)を有する少なくとも1つのプログラム製品を含むことができる。
【0073】
プログラムモジュール842のセット(少なくとも1つ)を有するプログラム/ユーティリティ840は、限定ではなく例として、メモリ828に記憶され得る。例示的なプログラムモジュール842は、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータを含むことができる。オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータ、又はそれらの何らかの組合せの各々は、ネットワーク環境の実装を含むことができる。プログラムモジュール842は、一般に、本発明の実施形態の機能及び/又は方法を実行する。
【0074】
コンピュータシステム/サーバ812はまた、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ824、ユーザがコンピュータシステム/サーバ812と相互作用することを可能にする1つ以上のデバイス、及び/又はコンピュータシステム/サーバ812が1つ以上の他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする任意のデバイス(例えば、ネットワークカード、モデム等)等の1つ以上の外部デバイス814と通信してもよい。そのような通信は、入力/出力(I/O)インタフェース822を介して行うことができる。更に、コンピュータシステム/サーバ812は、ネットワークアダプタ820を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)、汎用広域ネットワーク(WAN)、及び/又はパブリックネットワーク(例えば、インターネット)などの1つ以上のネットワークと通信することができる。図示のように、ネットワークアダプタ820は、バス818を介してコンピュータシステム/サーバ812の他のコンポーネントと通信する。図示されていないが、他のハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントが、コンピュータシステム/サーバ812と共に使用され得ることを理解されたい。例には、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長処理ユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライブ、及びデータアーカイバル記憶システムが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
コンピュータプログラム製品
本発明は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(単数又は複数)を含むことができる。
【0076】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のために命令を保持及び記憶することができる有形デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述のものの任意の好適な組合せであってもよいが、それらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピー(登録商標)ディスク、パンチカード又は命令が記録された溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、及び上記の任意の適切な組合せが含まれる。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用される場合、電波若しくは他の自由に伝搬する電磁波、導波路若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又はワイヤを通って伝送される電気信号など、それ自体が一時的な信号であると解釈されるべきではない。
【0077】
本明細書で説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、又はネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/若しくはワイヤレスネットワークを介して、外部コンピュータ若しくは外部記憶デバイスにダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカード又はネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0078】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、あるいはSmalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上及び部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、又は(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータへの接続が行われてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0079】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図内のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることが理解されるであろう。
【0080】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されて、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックにおいて指定された機能/動作を実施するための手段を作成するように、機械を生成することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、及び/又は他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶することもでき、その結果、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を含む。
【0081】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードされて、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成することができ、その結果、コンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で実行する命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックにおいて指定された機能/動作を実装する。
【0082】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、指定された論理機能(単数又は複数)を実装するための1つ以上の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、又は命令の一部を表し得る。いくつかの代替実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、含まれる機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組合せは、指定された機能若しくは動作を実行する、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得ることにも留意されたい。
【0083】
本開示の様々な実施形態の説明は、例示を目的として提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図するものではない。説明した実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者に明らかになるであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理や、市場に見られる技術に対する実用的な適用又は技術的改善を説明し、又は当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするために選択されたものである。
【国際調査報告】