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  • 特表-電解めっきのための複合波形 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】電解めっきのための複合波形
(51)【国際特許分類】
   C25D 7/00 20060101AFI20240705BHJP
   C25D 21/12 20060101ALI20240705BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C25D7/00 J
C25D21/12 K
H05K3/42 610B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578002
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022030882
(87)【国際公開番号】W WO2022271390
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/215,031
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501407311
【氏名又は名称】マクダーミッド エンソン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デサルヴォ、ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク、ロン
(72)【発明者】
【氏名】グリオッティ、カーマイケル
(72)【発明者】
【氏名】ディセザーレ、ウィリアム、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベルマーレ、リチャード、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワトコウスキー、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ロング、アーネスト
【テーマコード(参考)】
4K024
5E317
【Fターム(参考)】
4K024AA09
4K024AB01
4K024BA09
4K024BB11
4K024BC02
4K024CA07
4K024DA09
4K024GA02
5E317AA24
5E317BB12
5E317CC32
5E317CC33
5E317CC39
5E317CC42
5E317GG20
(57)【要約】
プリント回路基板の製造における銅電気めっきの方法。本方法は、スルーホール及びブラインドマイクロビアを銅で充填するために使用される。本方法は、(1)銅電気めっきをその上に受け入れるための電子基板を調製する工程と、(2)電子基板において1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアのうちの少なくとも1つを形成する工程と、(3)電子基板と酸性銅電解質とを接触させることによって、1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアにおいて銅を電気めっきする工程と、を含む。酸性銅電解質を使用して、パルス逆方向めっき、DCめっき、及び/又は同期パルスめっきを含む複合波形を使用して、1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアをめっきする。複合波形を、スルーホール及びブラインドマイクロビアを欠陥なく銅で充填するために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板上に金属をめっきする方法であって、前記電子基板が、1つ以上の特徴部を含み、前記1つ以上の特徴部が、前記電子基板中に1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアのうちの1つを含み、前記方法が、
a)金属めっきをその上に受け入れるための前記電子基板を調製する工程と、
b)前記電子基板及び少なくとも1つの対電極を、めっきされる前記金属の金属イオン源を含む電気めっき溶液と接触させる工程と、
c)前記電子基板の第1の側及び第2の側を電気的に分極させ、その上で金属めっきを開始させる工程であって、前記電気めっき溶液が、メタライゼーションが完了するまでめっきサイクルを使用して、前記1つ以上のスルーホール及び/又は前記1つ以上のブラインドマイクロビアをめっきする、工程と、を含み、
前記めっきサイクルが、以下の順で、
1)前記電子基板の第1の側及び第2の側に、第1の期間にわたってパルスめっきを行い、金属を前記1つ以上のスルーホールの中心に優先的にめっきさせ、前記金属が、前記ホールの中心で融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する工程と、
2)第2の期間にわたってダイレクトめっきを行い、パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填する工程と、を含み、
前記パルスめっき工程が、電流を適用して、前記電子基板の前記第1の側及び第2の側に前記電気めっき溶液から金属を電着させることを含み、前記電流が、繰り返し可能なシーケンスを含むパルスめっきサイクルとして適用され、前記繰り返し可能なシーケンスが、パルスめっき期間のセットを含み、各々のパルスめっき期間のセットが、任意の順序で、
(i)少なくとも第1の順方向パルス期間、
(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間、
(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間、及び
(iv)任意選択的に、少なくとも1つの休止期間を含み、
パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間のうちの少なくとも1つの間に挿入され、好ましくは、パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間のうちの少なくともいくつかの間に挿入され、最も好ましくは、パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間の各々の間に挿入される、方法。
【請求項2】
前記電気めっき溶液が、銅イオン源を含む酸性銅めっき浴である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パルスめっき工程及び前記ダイレクトめっき工程に同じ電気めっき溶液を使用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パルスめっき工程及び前記ダイレクトめっき工程を別個の槽で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記パルスめっき工程及び前記ダイレクトめっき工程で使用される前記電気めっき溶液が互いに異なる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のメタライゼーションされたスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアが、なんら欠陥を示さない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
メタライゼーションされた電気めっきされた金属堆積物が、前記1つ以上のスルーホール及び/又は前記1つ以上のブラインドマイクロビアを完全に充填し、前記電子基板上にコンフォーマル金属堆積物を堆積させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性銅電気めっき浴を、約15~約45℃の温度で維持する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
工程1)の前に、ある期間にわたって順方向電流を使用する直流めっきの工程を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の期間にわたる直流めっきが、前記1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアの表面上にフラッシュ銅層を堆積させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子基板を前記金属めっき溶液に浸漬することによって、前記電子基板を前記金属電気めっき溶液と接触させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各々のパルスめっき期間のセットが、任意の順序で、
a)第1の順方向の持続時間及び第1の順方向の強度の第1の順方向パルス、
b)第2の順方向の持続時間及び第2の順方向の強度の第2の順方向パルス、
c)第3の順方向パルスであって、前記第3の順方向パルスが、前記第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有し、好ましくは、前記第1の順方向パルスと同じ持続時間及び強度を有する、第3の順方向パルス、
d)第1の逆方向の持続時間及び第1の逆方向の強度の第1の逆方向パルス、
e)第4の順方向パルスであって、前記第4の順方向パルスが、前記第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有する、第4の順方向パルス、
f)第5の順方向パルスであって、前記第5の順方向パルスが、前記第1の順方向パルス及び前記第2の順方向パルスのうちの少なくとも1つとは異なる順方向の持続時間及び/又は異なる順方向の強度を有する、第5の順方向パルス、並びに
g)第6の順方向パルスであって、前記第6の順方向パルスが、前記第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有する、第6の順方向パルス、からなり、
パルスブレイクが、工程a)~g)のうちの1つ以上の後に挿入され、好ましくは、パルスブレイクが、工程a)~g)の各々の後に挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記電子基板の前記第1の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルと同じである、請求項1~5及び12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記電子基板の前記第1の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルとは異なる、請求項1~5及び12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記基板の前記第1の側に適用されるパルスめっき期間の第1のセットにおけるパルスブレイクが、前記基板の前記第2の側に適用されるパルスめっき期間の第2のセットにおけるパルスブレイクと同期している、請求項1~5及び12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記基板の前記第1の側に適用される前記パルスめっき期間のセットを含む前記繰り返し可能なシーケンスのセットが、前記基板の前記第2の側に適用される前記パルスめっき期間のセットを含む前記繰り返し可能なシーケンスとは異なる場合であっても、前記基板の前記第1の側及び前記基板の前記第2の側に対する第1の順方向のパルスと同じ持続時間及び強度を有する1つ以上の順方向のパルスが、互いに整列する、請求項1~5及び12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記パルスめっき期間のセットを含む各々の繰り返し可能なシーケンスが、約0.5~約5秒の持続期間を有する、請求項1~5及び12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
各々の繰り返し可能なシーケンスが、1秒の持続時間を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記繰り返し可能なシーケンスが、繰り返しシリーズに配置された複数の2つ以上の繰り返し可能なシーケンスを含む、請求項1~15及び12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記パルスめっきサイクルが、非同期めっきサイクルであり、前記基板の前記第1の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスが、前記基板の前記第2の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスと、逆の順序を除いて同じである、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記パルスめっき期間のセットを含む前記繰り返し可能なシーケンスに含まれる、より長い持続時間の休止期間を更に含み、前記基板の一方の側に対する前記より長い持続時間の休止期間が、前記基板の反対側に対する順方向パルスと一致し、前記より長い持続時間の休止期間及び前記順方向パルスが、少なくとも実質的に同じ持続時間を有する、請求項1又は12に記載の方法。
【請求項22】
前記非同期めっきサイクルが、ある期間にわたって行われた後、前記基板の前記第1の側及び前記第2の側に対して同期波形を有する第2のパルスめっきサイクルが適用され、
前記非同期めっきサイクルが、銅が全体の中心で融合して、2つの対向するブラインドビアを形成するように、前記銅を前記1つ以上のスルーホールの中心に優先的にめっきし、前記第2のパルスめっきサイクルが、そのようにして形成された2つの対向するブラインドビアを成形し、前記スルーホールのより均一なめっきを可能にする、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記第2のパルスめっきサイクルが、約1:1~4:1の逆方向/順方向の比を使用し、前記順方向パルスの持続時間が、約10~150msの範囲であり、前記逆方向パルスの持続時間が、約0.5~10msの範囲である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
各々の第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の持続時間が、独立して、約80~250msの範囲であり、各々の逆方向パルス期間の持続時間が、約50~約150msの範囲であり、各々のパルスブレイクの持続時間が、約1~約50msの範囲である、請求項1~5及び12~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
電子基板上に金属を電気めっきするための装置であって、前記電子基板が、1つ以上の特徴部を含み、前記1つ以上の特徴部が、前記電子基板中に1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアを含み、前記装置が、
(a)前記電子基板を固定するための手段と、
(b)少なくとも1つの対電極と、
(c)金属電気めっき浴を保持するためのめっき槽と、
(d)前記めっき槽内に配置された前記電子基板の第1の側及び第2の側に同時に衝突するように配置されたノズルのアレイと、
(e)前記電子基板の第1の側及び第2の側を電気的に分極させ、その上で金属めっきを開始させるための手段と、を含み、
前記電子基板の前記第1の側及び第2の側を電気的に分極させるための手段が、1つ以上の整流器を含み、前記1つ以上の整流器が各々、ダイレクトめっき及びパルス逆方向めっきを可能にし、前記1つ以上の整流器が各々、パルスめっきサイクル及び第2の直流サイクルを含むめっきサイクルによりプログラミングすることが可能なマイクロコントローラに接続され、
前記めっきサイクルが、以下の順で、
1)前記電子基板の第1の側及び第2の側に、第1の期間にわたってパルスめっきを行い、銅を前記1つ以上のスルーホールの中心に優先的にめっきさせ、前記銅が、前記ホールの中心で融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する工程と、
2)第2の期間にわたってダイレクトめっきを行い、パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填する工程と、を含み、
前記1つ以上の整流器が、パルスめっき期間のセットを含む第1のパルスめっきサイクルを供給するようにプログラミングされ、各々のパルスめっき期間のセットが、任意の順序で、(i)少なくとも第1の順方向パルス期間、(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間、及び(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間で構成され、
パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間のうちの少なくとも1つの間に挿入され、好ましくは、パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間のうちの少なくともいくつかの間に挿入され、最も好ましくは、パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間の各々の間に挿入され、
前記パルスめっきサイクルが完了すると、前記1つ以上の整流器が、直流電流に移行するようにプログラミングされる、装置。
【請求項26】
前記1つ以上の整流器が、ある期間にわたって、工程1)と2)との間に順方向めっきパルス及び逆方向めっきパルスを含む同期パルスめっきサイクルに移行するようにプログラミングされ、前記スルーホールの中心に形成された前記2つの対向するブラインドビアを形成する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
請求項1~5及び12~23のいずれか一項に記載のプロセスによってメタライゼーションされた1つ以上の特徴部を含む、電子基板。
【請求項28】
プリント回路基板であって、前記プリント回路基板が、
1つ以上のスルーホールが形成された、メタライゼーションされたパネルを含み、
前記プリント回路基板が、銅の電気めっきを開始させるために、その上に導電性シード層を含み、
前記スルーホールが、
a)前記1つ以上のスルーホールの中心における第1の銅めっき層であって、前記銅が、前記スルーホールの中心で融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、第1の銅めっき層と、
b)任意選択的に、前記第1の銅めっき層の上に堆積された第2の銅めっき層であって、任意選択的な前記第2の銅めっき層が、前記第1の銅めっき層によって形成された前記ブラインドビアを成形する、第2の銅めっき層と、
c)銅充填層であって、前記銅充填層が、前記第1の銅めっき層及び前記任意選択的な第2の銅めっき層の上に堆積し、前記1つ以上のスルーホールを充填する、銅充填層と、を含み、
前記1つ以上のスルーホールが、ボイド、ディンプル、又は他の欠陥なく銅で完全に充填されている、プリント回路基板。
【請求項29】
層a)~c)の全てが存在する、請求項28に記載のプリント回路基板。
【請求項30】
前記第1の銅層、任意選択的な第2の銅層、及び銅充填層が、同じ酸性銅めっき電解質を使用して適用される、請求項27又は28に記載のプリント回路基板。
【請求項31】
前記第1の銅層及び前記銅充填層が、異なる酸性銅めっき電解質を使用して適用される、請求項27又は28に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子基板をメタライゼーションするための電解析出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解金属めっき溶液は、防食コーティング及び装飾コーティングを含む多くの産業用途において、また、1つ以上のブラインドビア、スルーホール、及びトレンチを含む基板を含め、電子デバイスに使用される基板をメタライゼーションするために電子産業において使用される。コンピュータ、携帯電話、電子娯楽デバイスなどの電子デバイスは、構成要素を相互接続するための導電性トレースをその上に有する回路基板上に構成要素を実装することによって製造される。
【0003】
プリント回路基板、プリント配線板及び他の同様の基板は、銅などの電解金属でメタライゼーションされてもよい。銅は、多くの他の金属よりも優れた導電率を有し、比較的小さな特徴部の用途を可能にする。水性硫酸銅浴は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)及び半導体の製造に使用される。
【0004】
そのような電子デバイスの製造において、技術及び経済の発展は、ますます多くの構成要素を含むますます小型のデバイスに向けて産業を駆り立ててきた。相互接続特徴部は、相互接続を提供するための導電性金属(典型的には銅)のマスキング、エッチング、及びめっきを含む技術によって形成することができる。
【0005】
相互接続特徴部は、誘電性基板に形成されるブラインドマイクロビア(blind micro-vias、BMV)、トレンチ及びスルーホールなどの特徴部を含む。これらの特徴部は、相互接続部を導電性にするために、好ましくは銅でメタライゼーションされる。回路製造中、銅は、プリント回路基板の表面の選択部分にわたって、ブラインドビア及びトレンチ内に、並びに回路基板ベース材料の表面間を貫通するスルーホールの壁上に電気めっきされる。スルーホールの壁は、プリント回路基板の回路層間に導電性を提供するようにメタライゼーションされる。
【0006】
回路基板モジュール及び電子デバイスにおいて、回路基板に実装される電子構成要素は、表面実装型電子構成要素及び挿入実装型電子構成要素を含む。表面装着型電子構成要素は、典型的には、端子を回路基板の前面に設けられた銅箔にはんだ付けすることによって、基板に実装される。挿入実装型電子構成要素は、典型的には、リード端子を回路基板に設けられたスルーホールに挿入し、リード端子をはんだ付けすることによって、基板に実装される。
【0007】
回路基板に実装された電子構成要素は、電流がそれらを通って流れるときに熱を発する。加えて、大量の熱が、大きな電流が流れる電子構成要素において生成され得る。電子構成要素の熱によって電子構成要素又は回路基板の温度が上昇すると、電子構成要素又は回路基板上に形成された電気回路が機能不全になるおそれがある。
【0008】
スルーホールの樹脂又はペーストによる埋め込みは、長年にわたって、高密度相互接続構造及びIC基板におけるビルドアップ技術の一部であった。しかしながら、より高電力デバイスと連結された回路密度及びスタックビア構造の増加は、更なる次元の熱管理を追加してきた。スルーホールの固体銅充填は、例えば、CTE不整合を低減すること、ブラインドマイクロビアを積み重ねるための安定したプラットフォームを提供すること、及び高電力デバイスのための熱管理特性を提供することを含め、樹脂又はペーストの埋め込みよりも多くの利点を提供することがわかっている。
【0009】
電子デバイスの小型化は、より薄いコア材料、減少した線幅、及びより小さい直径のスルーホールの組み合わせを伴う。スルーホールを銅めっきによって充填することは、アスペクト比が高いほど困難であり、多くの場合、ボイドが大きくなり、ディンプルが深くなる。スルーホール充填に関する別の問題は、充填の方法である。一端が閉じられ、底部から上部まで充填されるブラインドビアとは異なり、スルーホールは、基板を貫通し、2つの端部が開放されている。スルーホールが銅で充填されているとき、めっきパラメータ及び浴添加剤は、銅がスルーホールの中心の壁に優先的に堆積し始め、銅が中心で架橋して図1に示されるような2つのブラインドビアを形成するように選択される。また、これにより、ボイドなどの欠陥が少なくとも実質的に存在しないめっき堆積を可能にする。
【0010】
めっき浴添加剤は、正しい種類の充填を可能にする。添加剤の正しい組み合わせが選択されない場合、銅めっきは、スルーホールを充填するのではなく、スルーホールの側面上に望ましくないコンフォーマル銅堆積を引き起こす可能性がある。
【0011】
スルーホールめっきに関する1つの問題は、銅がスルーホールを完全に充填することができず、両端が充填されないまま残ることである。穴の中央が完全に閉じない不完全なスルーホール充填は、「ドッグボーン化(dog-boning)」と呼ばれるものから優先的に厚くなる堆積物に起因して、穴の上部及び底部が閉じるため、穴の中心に大きな空洞を生じる場合がある。その結果、上部及び底部がくびれ切れ、中心に空洞が生じる。別の問題は、穴の中心を横切って架橋が形成された後の穴の不完全な充填であり、穴の上部及び底部に深い窪み又は開放空間が残る。穴の上部及び底部の開放空間は「ディンプル」と呼ばれる。したがって、スルーホール充填プロセスは、穴を完全に充填し、ディンプルの存在を排除するように最適化されることが望ましい。理想的なプロセスは、スルーホールを高度の平坦性を有するように完全に充填し、すなわち、ボイドなく一貫性を構築して、最適な信頼性及び電気特性を提供し、電気デバイスにおける最適な線幅及びインピーダンス制御のために可能な限り低い表面厚さを提供する。
【0012】
既知の電気めっき技術は、直流(direct current、DC)めっき技術と、周期的パルス、周期的逆方向パルス、及び二重パルスを含むパルスめっき技術を使用し、これらは、例として、限定されないが、スルーホール及びブラインドビアを充填するための様々な方法であり、様々な波形、電解質化学、プロセス条件などが、所望の結果を提供するために提案されている。
【0013】
例えば、Fujiwara et al.に対する米国特許第10,501,860号及び同第11,015,257号(その各々の主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、パルスシーケンスにおいてカソードパルスを重ね合わせることを利用して、基板上のCuなどの金属を電気めっきするためのパルス逆方向めっき計画が記載されている。加えて、パルスブレイク又は休止期間の使用は、スルーホールを架橋し、充填する方法において有利ではないこと、更に、第1及び第2の重ね合わされるカソードパルスを、基板のそれぞれの対向する両側で逆方向パルスと少なくともほぼ同時に、好ましくは逆方向パルスと同じ持続時間に設定することは、それぞれの逆方向パルスと同時にパルスブレイクを設定するよりも優れた結果を提供することが記載されている。
【0014】
Desalvo et al.の米国特許出願公開第2021/0130970号(その主題は参照により本明細書に組み込まれる)には、プリント回路基板、プリント配線板、及び他の電子基板の製造においてスルーホール及びブラインドビアを銅で充填する方法が記載されている。
【0015】
特にスルーホール及びブラインドビアホール内で、欠陥のない良好なめっき分布を提供する電気めっき方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、高いアスペクト比で、かつボイド又は欠陥なく、スルーホール及びブラインドビア(マイクロビアを含む)をメタライゼーションする信頼性の高い方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、垂直構成に配置されためっきプロセスにおいてスルーホール及びブラインドビアをメタライゼーションする信頼性の高い方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、水平構成に配置されためっきプロセスにおいてスルーホール及びビアをメタライゼーションする信頼性の高い方法を提供することである。
【0019】
本発明の更に別の目的は、直流めっき及びパルスめっきの両方を含むめっきサイクルを含む、スルーホール及びブラインドビアをメタライゼーションするためのめっきサイクルを提供することである。
【0020】
本発明の更に別の目的は、スルーホールの中心でめっきを開始させるために複合波形を使用する、パルスめっき計画を提供することである。
【0021】
複雑な多段階波形の使用は、良好な結果をもたらすことができ、特定の持続時間及び強度の逆方向(アノード)パルスが組み入れられている、特定の持続時間及び強度の順方向(カソード)パルスを利用する様々な波形が開発されてきた。
【0022】
複合波形は、繰り返し可能なシーケンスを含み、繰り返し可能なシーケンスは、任意の順序で少なくとも1つの順方向パルス及び少なくとも1つの逆方向パルスを含み、また、任意選択的に、少なくとも1つのより長い持続時間の休止期間を含む、パルスめっき期間のセットを含む。パルスめっき期間のセットは、繰り返し可能なシーケンス中のパルスめっき期間のセット内の順方向パルスのうちの少なくとも1つと逆方向パルスのうちの少なくとも1つとの間にパルスブレイクを含み得る。あるいは、パルスめっき期間のセットは、繰り返し可能なシーケンス中のパルスめっき期間のセット内の順方向パルス及び逆方向パルスのうちのいくつかの間にパルスブレイクを含み得る。一実施形態では、繰り返し可能なシーケンス中のパルスめっき期間のセットは、パルスめっき期間のセット内の各順方向パルス及び各逆方向パルスを含む、パルスめっき期間のセット内の各パルス間にパルスブレイクを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】銅のスルーホールめっきプロセスの一例の工程を示す。
図2】任意選択的な成形工程が含まれる本発明の一態様による銅のスルーホールめっきの工程を示す。
図3】本発明の一実施形態における装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、単数及び複数の参照物の両方を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、±15%以下の変動、好ましくは±10%以下の変動、より好ましくは±5%以下の変動、更により好ましくは±1%以下の変動、なおもより好ましくは±0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が意味する値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図で示されるように、別の要素又は特徴部に対する1つの要素又は機構の関係を説明するための説明を容易にするために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特色、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0028】
本明細書で使用される場合、特定の要素又は化合物に関し、「実質的に含まない」又は「本質的に含まない」とは、上記で定義されていない場合、所与の元素又は化合物が、浴分析のための金属めっきの当業者に周知である通常の分析手段によって検出されないことを意味する。このような方法としては、典型的には、原子吸光分光法、滴定法、UV-Vis分析法、二次イオン質量分析法、及びその他の一般的に利用可能な分析方法が挙げられる。
【0029】
「プリント回路基板」及び「プリント配線板」という用語は、本明細書を全体を通じて互換的に使用される。
【0030】
「めっき」及び「電気めっき」という用語は、本明細書全体を通じて互換的に使用される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「直ちに」という用語は、介在する工程がないことを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ディンプル」という用語は、充填されたスルーホール及び/又はマイクロビアの上の架橋又はコンフォーマル銅めっき層の窪みを指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「波形」という用語は、繰り返し可能なシーケンスを含み、繰り返し可能なシーケンスは、任意の順序で少なくとも1つの順方向パルス及び少なくとも1つの逆方向パルスを含み、また、任意選択的に、少なくとも1つの休止期間を含む、パルスめっき期間のセットを含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「パルスブレイク」という用語は、パルスめっき期間のセットにおけるパルス間の短い期間の不感時間を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「休止期間」という用語は、パルスめっき期間のセットにおけるパルスブレイクと比較して、より長い持続時間の不感時間を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「非同期波形」という用語は、めっき中に、周期的パルス逆方向整流が基板の第1の側及び第2の側に別々に供給されるとき、各側に供給される波形が位相シフトされるか、又は互いに完全に異なる波形を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「同期波形」という用語は、めっき中に、周期的なパルス逆方向整流が基板の第1の側及び第2の側に別々に供給されるとき、各側に供給される波形が同一であり、位相が同じであり、同期している波形を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「アスペクト比」という用語は、基板内の開口部(スルーホール、ブラインドマイクロビア、トレンチなどを含む)の直径に対する開口部の高さ又は深さの比を指す。
【0039】
本発明の利点の1つは、めっき、特に銅めっきが既にPCB製造プロセスの一部であるため、銅めっきを使用してスルーホールを充填することができ、埋め込み及び研磨、銅コイニングなどの他のプロセスの必要性が除外される点にある。
【0040】
更に、純粋な銅の使用は、導電性プラグ及び接着剤よりもはるかに高い熱伝導率を提供する。したがって、必要とされる場合、熱伝導率という追加の利点がある。本明細書に記載の銅電気めっきプロセスは、高い熱伝導率及び良好な導電率を示す銅堆積物を生成する。
【0041】
注意深く配合された電解質及びめっき条件の使用を含む銅電気めっきプロセスは、スルーホールの完全な充填を可能にする。
【0042】
電子基板内の特徴部をメタライゼーションするためのプロセスの一般的な工程は、以下を含む。
最初の工程は、様々な穿孔されたスルーホールアレイを有するPCBを提供することである。したがって、プリント回路基板は、穿孔されたスルーホールのアレイ又は配置を有するメタライゼーションされたパネルを備える。スルーホール、ブラインドマイクロビアなどは、例えば、機械的穿孔、レーザ穿孔、プラズマエッチング、又はシングル若しくはダブルショットを含む様々な方法によって形成することができる。
【0043】
PCBは、メモリアレイ又はゲートアレイなどの高密度特徴部の領域を含み得る。高密度特徴部は、集積回路全体に広がっていてもよいし、集積回路の目立たない部分に限定されていてもよい。高密度特徴部のこれらの領域は、抑制剤などのめっき添加剤の濃度勾配を引き起こす可能性があり、これは、高密度特徴部領域におけるそのような縁部の特徴部と中心の特徴部との間の不均一な充填特徴につながる可能性がある。
【0044】
次に、スルーホールは、当該技術分野で一般に知られているように、メタライゼーション技術を使用して導電性となる。例えば、スパッタコーティング、無電解銅、炭素ベースの直接メタライゼーション、グラファイトベースの直接メタライゼーション、導電性ポリマー、パラジウムベースの直接メタライゼーションを含む様々なメタライゼーション技術が使用され得る。他のメタライゼーション技術は、当業者に知られており、本発明のプロセスにおいて使用可能であろう。一次メタライゼーション層は、無電解銅、電解銅フラッシング、又は炭素、グラファイト、又は導電性ポリマーベースの直接メタライゼーションによって形成された直接メタライゼーション層であり得る。
【0045】
一実施形態では、導電性シード層が非導電性表面上に形成され、銅の電気めっきを開始する。シード層は導電性であり、接着性を提供し、その上面の露出部を電気めっきすることを可能にする。導電性シード層の例としては、無電解堆積によって形成され得る銅又はパラジウムなどの金属層、グラファイト、炭素、及び導電性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
めっきされるパネルは、好ましくは、銅、又は銅コーティングされた基板である。
【0047】
次に、メタライゼーションされたパネルは、酸又はアルカリ洗浄、及び酸浸漬又は工程間ですすぎを伴うマイクロエッチングなどの従来の前処理技術を使用して洗浄及び活性化される。
【0048】
その後、パネルを、めっきされる金属の金属イオン源を含む電気めっき溶液と接触させる。この電気めっき溶液は、任意選択ではあるが、好ましくは、酸性銅電解質であり、銅イオン源、酸(例えば、硫酸又はメタンスルホン酸)、ハロゲン化物イオン、並びに抑制剤、促進剤、及び二次抑制剤を含む特殊な有機添加剤を含む。酸性銅電解質は、特殊な整流手順と組み合わせて、非常に効果的なプロセスでスルーホールを銅で充填することができる。水性酸性銅電解質は、従来の垂直又は水平めっき装置で使用することができる。
【0049】
一実施形態では、めっきサイクルは、以下で更に詳細に記載するように、(a)第1の期間にわたるパルスめっきであって、パルスめっきが、電子基板の対向する両側に多段階パルス波形を有するパルス逆方向めっきを使用する、パルスめっき、その後に、(b)第2の期間にわたる順方向電流を使用する直流めっきを含む。
【0050】
酸性銅電解質中の銅イオン源は、硫酸銅であり得る。
【0051】
硫酸銅の濃度が高まると、銅めっき溶液の抵抗率が大きくなる。硫酸濃度が高まると、硫酸銅の溶解度が低下する。酸性銅電解質中の硫酸銅の濃度は、典型的には約100~約300g/L、より好ましくは約180~約280g/L、最も好ましくは約200~約250g/Lの範囲内に維持される。
【0052】
この酸の主な機能は、最大溶液導電率を提供することである。溶液の高導電率のため、アノード及びカソードの分極は、銅を堆積させるのに必要な電圧と同様に小さい。更に、非常に高いカソード電流密度が使用される場合、推奨限界内で、より高い濃度の硫酸銅が必要である。硫酸濃度の変化は、硫酸銅濃度の変化よりも、アノード及びカソードの分極並びに溶液導電率に対して大きな影響を及ぼす。酸性銅電解質中の硫酸の濃度は、典型的には、約10~約150g/L、より好ましくは約60~約100g/Lの範囲内に維持される。
【0053】
酸性銅めっき浴はまた、ハロゲン化物イオン、最も好ましくは塩化物イオンを含有する。塩化物イオンは、湿潤剤の吸着及び阻害を増強する。少量の塩化物イオンは、ポリグリコールの電極表面に対する結合部位として作用する。塩化物は、塩化ナトリウムの形態で、又は希釈された塩酸として添加され得る。酸性銅電解質中の塩化物イオンは、高い電流密度領域における筋状の堆積物を排除するように作用する。塩化物イオンはまた、堆積物の表面外観、構造、微小硬度、結晶配向、及び内部応力に影響を及ぼす。塩化物イオンは、電解中の電気化学的/化学的変化、堆積物への部分的な包含、すくい出し損失、浴希釈、及びアノード維持によって消費される。酸性銅電解質中の塩化物イオンの濃度は、典型的には、約20~約200ppm、より好ましくは約60~約150ppm、最も好ましくは約70~約100ppmの範囲内に維持される。
【0054】
銅堆積物の特徴は、硫酸銅、遊離酸、添加剤の濃度、温度、カソード電流密度、及び撹拌の性質及び程度などの因子によって影響される。
【0055】
一実施形態では、酸性銅電解質は、第二鉄イオン及び第一鉄イオンを含む任意の鉄イオンの非存在下で良好に機能する。したがって、酸性銅電解質は、好ましくは、第二鉄イオン及び第一鉄イオンの両方を少なくとも本質的に含まず、より好ましくは、第二鉄イオン及び第一鉄イオンの両方を含まない。
【0056】
スルーホール内の充填挙動は、スルーホール内並びに水平部及び縁部の上の堆積速度を制御することによって少なくとも部分的に影響を受ける。このことは、特定の有機添加剤を酸性銅電解質に導入して、それぞれの場所に堆積する銅イオンの速度に影響を与えることによって達成され得る。上述したように、有機添加剤は、1つ以上の促進剤、1つ以上の抑制剤、及び/又は1つ以上の二次抑制剤の組み合わせを含む。
【0057】
好適な促進剤は、硫黄及び他の官能基を含有する有機化合物を組み込み、小粒子微細堆積物の形成に関与する。促進剤は、レベリング剤としても作用する。促進剤は、カソードでの電解堆積物への組み込み、又は特に不溶性アノードが使用される場合、アノードの表面上の酸化によって消費される。促進剤はまた、金属銅の存在下でのデカップリング、副生成物の生成、又は空気酸化、アノード維持、又はすくい出し損失/浴希釈によって消費され得る。
【0058】
好適な促進剤の例は、3-(ベンゾチアゾリル-2-チオ)-プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸ナトリウム塩、エチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩、ビス-(p-スルホフェニル)-二硫化物二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホブチル)-二硫化物二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホヒドロキシプロピル)-二硫化物二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホプロピル)-二硫化物二ナトリウム塩、ビス-(ω-スルホプロピル)-硫化物二ナトリウム塩、メチル-(ω-スルホプロピル)-二硫化物二ナトリウム塩、メチル-(ω-スルホプロピル)-三硫化物二ナトリウム塩、O-エチルジチオ-炭酸-S-(ω-スルホプロピル)-エステルカリウム塩、チオグリコール酸、チオリン酸-O-エチル-ビス-(ω-スルホプロピル)-エステル二ナトリウム塩、及びチオリン酸-(ω-スルホプロピル)-エステル三ナトリウム塩のうちの1つ以上を含む。他の好適な硫黄含有化合物及びその塩もまた、当業者に既知であり、本明細書に記載の酸性銅電解質において使用可能であろう。好ましい実施形態では、促進剤は、ビス-(ω-スルホプロピル)-硫化物又は3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸又はその塩を含む。
【0059】
酸性銅電解質中の1つ以上の促進剤の濃度は、典型的には、約0.1~約30ppm、より好ましくは約0.5~約20ppm、最も好ましくは約4~10ppmの範囲内の範囲に維持される。
【0060】
抑制剤は、溶液中の低溶解度及び低拡散係数を有するポリグリコールなどの高分子量有機化合物を含む。抑制剤は、カソード表面上に吸着され、促進剤及び二次抑制剤の移動を制限する拡散層を均一に形成する。塩化物イオンの存在下では、吸着の程度及び阻害が更に増強される。一実施形態では、抑制剤の分子量は、少なくとも約300である。より好ましくは、抑制剤の分子量は、約500~約5,000である。
【0061】
抑制剤は、分子量の低下が生じる電解中に消費され得るか、又は堆積物に部分的に含まれることによって消費され得る。促進剤と同様に、抑制剤は、アノード維持又はすくい出し損失/浴希釈によって消費され得る。
【0062】
好適な抑制剤の例としては、カルボキシメチルセルロース、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタノール-ビス-(ポリアルキレングリコールエーテル)、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オレイン酸ポリグリコールエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合物、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、β-ナフチルポリグリコールエーテル、ステアリン酸ポリグリコールエステル、ステアリン酸アルコールポリグリコールエーテル、及びプロピレングリコールとエチレングリコールのコポリマーのうちの1つ以上が挙げられる。他の好適なポリグリコール及び類似の化合物も当業者に既知であり、酸性銅電解質において抑制剤として使用可能であろう。好ましい一実施形態では、湿潤剤は、プロピレングリコールとエチレングリコールとのコポリマーを含む。
【0063】
酸性銅電解質中の抑制剤の濃度は、典型的には、約0.1~約50g/L、より好ましくは約1~約10g/Lの範囲に維持される。
【0064】
二次抑制剤は、典型的には、主要な官能基を含有する中分子量有機化合物である。一実施形態では、二次抑制剤は、約300~約10,000、より好ましくは約500~約5,000の分子量を有する。二次抑制剤は、溶液中での低溶解度及び低拡散係数を有し、容易にアクセス可能な表面(すなわち、平坦面及び突出する高位箇所)上の選択的吸着を通じて作用する。二次抑制剤は、電解中の電気化学的/化学的変化、堆積物への部分的な包含、アノード維持、すくい出し損失/浴希釈によって消費される。
【0065】
好適な二次抑制剤の例としては、様々なポリアミン、エトキシル化ポリアミン、ポリアミド、ポリイミドポリピリジン、ポリイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、エトキシル化ポリビニルピリジン、及びエトキシル化ポリビニルイミダゾールが挙げられる。好ましい一実施形態では、二次抑制剤は、エトキシル化ポリアミン及び/又はポリビニルピリジンを含む。
【0066】
酸性銅電解質中の二次抑制剤の濃度は、典型的には、約0.001~約200ppm、より好ましくは約0.001~約100ppm、最も好ましくは約0.001~約50ppmの範囲内に維持される。
【0067】
表1は、本明細書中に記載されるプロセスにおいて使用するための典型的な銅電解質の成分をまとめたものである。
【0068】
【表1】
【0069】
例えば、浴への基板の浸漬又は他のめっき装置の使用を含む、当該技術分野において既知な様々な手段によって、基板を水性酸性銅電解質と接触させる。特殊なパルス整流を使用することによって、パルス波形が最初に使用され、その結果、スルーホールの中央の充填が促進され、めっきされる表面銅の量を最小限に抑えつつ、「架橋」を生成し、これは、水平システム及び垂直システムの両方で達成することができる。本明細書に記載される最適化されたサイクルは、架橋の形成が迅速かつ効率的に起こることを確実にする。架橋を形成するのにかかる時間量を最小限にすることによって、めっきされる表面銅の量も最小限にすることができる。回路を画定するために堆積され、最終的にエッチングされる銅が少ないほど、より良好な線解像度能力が得られるので、このことは、IC基板産業において重要である。傾向は常に回路をますます微細にすることであるので、トレース分解能を最大化する能力は、本明細書に記載のプロセスの利点である。このことは、最後に最終的にエッチングされる必要がある銅の量に直接的に関係する。言い換えれば、より良好な解像度は、より微細な線及びより狭い間隔の能力を意味する。
【0070】
スルーホールの中心が閉じると、波形は、同じ酸性銅電解質中で、直線的なDC電流に移行してもよく、又は任意選択的に移行する。その結果、完全に充填されるまでスルーホールが連続めっきされる。
【0071】
本明細書に記載される多段階波形の使用は、従来技術の波形と比較して良好な結果をもたらすことができる。特定の持続時間及び強度の逆方向(アノード)パルスが組み入れられている、特定の持続時間及び強度の順方向(カソード)パルスを利用する様々な波形が開発されてきた。
【0072】
一実施形態では、波形は、繰り返し可能なシーケンスを含み、繰り返し可能なシーケンスは、パルスめっき期間のセットを含み、パルスめっき期間のセットは、任意の順序で、1つ以上の順方向パルス、1つ以上の逆方向パルス、及び任意選択的に休止期間を含み、パルスめっき期間のセットは、パルスめっき期間のセット内の順方向パルスのうちの少なくとも1つと逆方向パルスのうちの少なくとも1つとの間にパルスブレイクを含む。別の実施形態では、パルスめっき期間のセットは、パルスめっき期間のセット内の順方向パルスのうちのいくつかと逆方向パルスのうちのいくつかとの間にパルスブレイクを含む。別の実施形態では、パルスめっき期間のセットは、パルスめっき期間のセット内の各順方向パルス及び各逆方向パルスを含む、パルスめっき期間のセット内の各パルス間にパルスブレイクを含む。
【0073】
一実施形態では、パルスめっき期間のセットを含む繰り返し可能なシーケンスは、約1秒の持続時間を有し、より好ましくは、繰り返し可能なシーケンスは、正確に1秒の持続時間を有する。別の実施形態では、繰り返し可能なシーケンスは、パルスの持続時間の割合が実質的に同じままである限り、約0.5秒~約5秒の持続時間を有する。繰り返し可能なシーケンスの持続時間は、当業者に知られているように、更に定義及び計算することができる。
【0074】
一実施形態では、整流器は、少なくとも4工程又は少なくとも6工程、又は少なくとも8工程、又は少なくとも10工程、又は少なくとも12工程、又は少なくとも14工程、又は少なくとも16工程又は少なくとも18工程又は少なくとも20工程などを含む複数工程でプログラミング可能である。好ましい一実施形態では、整流器は、本明細書で更に説明されるように、パルスめっき期間の単一のセットを画定する工程でプログラミング可能である。パルスめっき期間の単一セットを含む繰り返し可能なシーケンスの一例は、以下の工程を含む。
1)第1の順方向の持続時間及び第1の順方向の強度の第1の順方向パルス、
2)第1のパルスブレイク、
3)第2の順方向の持続時間及び第2の順方向の強度の第2の順方向パルス、
4)第2のパルスブレイク、
5)第3の順方向パルスであって、第3の順方向パルスが、第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有し、好ましくは、第1の順方向パルスと同じ持続時間及び強度を有する、第3の順方向パルス、
6)第3のパルスブレイク、
7)第1の逆方向の持続時間及び第1の逆方向の強度の第1の逆方向パルス、
8)第4のパルスブレイク、
9)第4の順方向パルスであって、第4の順方向パルスが、第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有し、好ましくは、第1の順方向パルスと同じ持続時間及び強度を有する、第4の順方向パルス、
10)第5のパルスブレイク、
11)第5の順方向パルスであって、第5の順方向パルスが、第1の順方向パルス及び第2の順方向パルスのうちの少なくとも1つとは異なる順方向の持続時間及び/又は異なる順方向の強度を有する、第5の順方向パルス、
12)第6のパルスブレイク、
13)第6の順方向パルスであって、第6の順方向パルスが、第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有し、好ましくは、第1の順方向パルスと同じ持続時間及び強度を有する、第6の順方向パルス、
14)第7のパルスブレイク。
【0075】
加えて、以下で更に説明するように、繰り返し可能なパルスめっきシーケンスはまた、繰り返し可能なパルスめっきシーケンス中のある時点で、より長い持続時間の休止期間を含み得る。
【0076】
一実施形態では、1つ以上の整流器は、基板の第1の側及び第2の側をめっきするようにプログラミング可能である。一実施形態では、基板の第1の側に対する繰り返し可能なシーケンスは、基板の第2の側に対する繰り返し可能なシーケンスと同じである。別の実施形態では、基板の第1の側に対する繰り返し可能なシーケンスは、逆の順序で行われることを除いて、基板の第2の側に対する繰り返し可能なシーケンスと同じである。更に別の実施形態では、基板の第2の側に対する繰り返し可能なシーケンスは、基板の第1の側に対する繰り返し可能なシーケンスとは異なる。
【0077】
第2の順方向パルスの強度及び第5の順方向パルスの強度は、他の順方向パルス(すなわち、第1、第3、第4、及び第6の順方向パルス)の強度の100%~500%の範囲であり得る。一実施形態では、第2の順方向パルスは、第1の順方向パルスの強度よりも100~300%大きい強度を有し、第5の順方向パルスは、第1の順方向パルスの強度よりも100%~300%大きい強度を有する。別の好ましい実施形態では、第2の順方向パルスの強度は、第5の順方向パルスの強度よりも大きい。異なる強度及び異なる持続時間の順方向パルスを有するシーケンスを含む順方向パルスの他の構成も使用することができる。
【0078】
順方向パルス期間の各々は、約10~約500ms、より好ましくは約80~約150ms、より好ましくは約100~約130msの持続時間を有し得る。
【0079】
加えて、逆方向パルス期間の持続時間は、好ましくは約40~約450msの範囲内、より好ましくは約50~約150ms、より好ましくは約100~約130ms、最も好ましくは約110~約120msの範囲内である。
【0080】
1つ以上の順方向パルスと1つ以上の逆方向パルスとの間のパルスブレイクの持続時間は、1~50msの範囲内、より好ましくは10~20msの範囲内である。
【0081】
加えて、一実施形態では、より長い持続時間の休止期間もパルスシーケンスに含まれ、基板の第1の側に対するより長い持続時間の休止期間は、第2の側に対する第1の順方向パルスの強度よりも大きな強度を有する順方向パルスと一致するように選択される。より長い持続時間の休止期間及びより大きな強度を有する順方向パルスは、好ましくは、少なくとも実質的に同じ持続時間であってもよい。一実施形態では、より長い持続時間の休止期間は、好ましくは約50~約400msの範囲内、より好ましくは約60~約150ms、より好ましくは約80~約130ms、最も好ましくは約110~約120msの範囲内である。
【0082】
一実施形態では、基板の第1の側及び第2の側に対するパルスブレイクのうちの1つ以上は、互いに同期しており、このことは、基板の第1の側に対するパルスシーケンスが、基板の第2の側に対するパルスシーケンスとは異なっている場合であっても、基板の第1の側及び基板の第2の側に対するパルスブレイクが互いに整列することを意味している。
【0083】
一実施形態では、第1の順方向持続時間及び第1の順方向強度の順方向パルスのうちの1つ以上が互いに同期しており、このことは、基板の第1の側に対するパルスシーケンスが、基板の第2の側に対するパルスシーケンスとは異なっている場合であっても、基板の第1の側及び基板の第2の側に対する第1の順方向パルスと同じ持続時間及び強度を有する1つ以上の順方向パルスが互いに整列することを意味している。
【0084】
一実施形態では、基板の第2の側に対するパルスめっき期間のセットは、第2の順方向持続時間及び第2の順方向強度を有する順方向パルス、又は基板の第1の側に対する第1の順方向パルス若しくは第2の順方向パルスのうちの少なくとも1つとは異なる順方向持続時間及び/若しくは異なる順方向強度を有する順方向パルスが、基板の第2の側に対するより長い持続時間の休止期間と整列されるか、並びに/あるいは第2の順方向持続時間及び第2の順方向強度を有する順方向パルス、又は基板の第1の側に対する第1の順方向パルス若しくは第2の順方向パルスのうちの少なくとも1つとは異なる順方向持続時間及び/若しくは異なる順方向強度を有する順方向パルスが、基板の第2の側に対する逆方向パルスと整列されるように、整列される。
【0085】
一実施形態では、基板の第2の側に対するパルスめっき期間のセットは、第2の順方向持続時間及び第2の順方向強度を有する順方向パルスが、基板の第2の側に対するより長い持続時間の休止期間と整列され、かつ基板の第1の側に対する第1の順方向パルス若しくは第2の順方向パルスのうちの少なくとも1つとは異なる順方向持続時間及び/若しくは異なる順方向強度を有する順方向パルスが、基板の第2の側に対する逆方向パルスと整列されるように、整列される。
【0086】
本発明の更に別の実施形態では、繰り返し可能なシーケンス内の波形の一部が繰り返される。例えば、基板の第1及び第2の側に対する第1の順方向強度及び第1の順方向持続時間の第1の順方向パルスの後にパルスブレイクが続いた後に、波形は、逆方向強度及び逆方向持続時間の逆方向パルスと交互になった第1の順方向強度及び第2の順方向持続時間の順方向パルスのシーケンスを含んでもよく、逆方向持続時間は、電子基板の第1の側に対する第2の順方向持続時間と少なくとも実質的に同じであり、電子基板の第2の側に対する第1の順方向強度及び第2の順方向持続時間のパルスが、基板の第1の側に対する順方向パルス及び逆方向パルスのシーケンスと一致する。このシーケンスの後に、第1の順方向強度及び第1の順方向持続時間の1つ以上の追加のパルスが続いてもよく、その後に、電子基板の反対側に適用されるパルスのシーケンスが続いてもよい。この後に、パルスブレイク、並びに第1の順方向強度及び第1の順方向持続時間の別の順方向パルスが続いてもよい。
【0087】
本発明の発明者らはまた、架橋性能は、本明細書に記載される複合パルスめっき波形シーケンスを使用する例示であるが、充填性能は、特定の条件下では問題となり得ることを見出した。特に、理論によって束縛されることを望むものではないが、本発明の発明者らは、経時的な系における酸素の消費が、充填性能に影響を及ぼし得ると考えている。しかしながら、系内で消費された酸素を置換するためにシステムに酸素を添加することが提案されているが、酸素の添加によって発生した気泡が堆積物に混入する可能性があり、これは望ましくないので、この選択肢は実用的ではない。したがって、系内の酸素枯渇を隔離することができるプロセスを提供することが望ましい。
【0088】
本発明者らは、例えば、米国特許出願公開第2021/0130970号に記載されているように、単一工程の単一溶液めっき化学を以前に開発した。この単一工程の単一溶液化学は、特定の条件下で例示的な結果を提供し、効率的なプロセスを提供するが、他のめっき条件及び/又はめっき化学もまた、良好な結果をもたらすために、本明細書に記載の複合パルスめっき波形シーケンスとともに使用することができる。
【0089】
一実施形態では、本発明の発明者らは、プロセス間で共有されない1つの電解質を使用することによって良好な結果を得ることができることを見出した。すなわち、同じ電解質が、架橋及び充填のための隔離されたタンクにおいて使用される。
【0090】
別の実施形態では、本発明の発明者らは、2つの異なる電解質を使用することができ、第1の電解質が架橋に使用され、第2の電解質が充填に使用されることを見出した。この実施形態では、2つの電解質はそれぞれ、銅、酸及び塩化物イオンの供給源を含有してもよく、この銅、酸及び塩化物イオンの供給源は同じであっても異なっていてもよく、それぞれの濃度は同じであっても異なっていてもよい。加えて、有機添加剤はまた、2つの電解質間で異なる濃度及び/又は異なる組み合わせで使用されてもよい。
【0091】
図1は、銅のスルーホールめっきプロセスの工程の一例を示す。
【0092】
図1に記載されるように、スルーホールは、回路基板内に穿孔されるか、又は他の方法で形成される。無電解銅又は直接メタライゼーションなどの一次メタライゼーション工程は、スルーホール及び/又はブラインドマイクロビア内の積層表面を導電性にするために、穿孔後に実施される。任意選択的に、一次メタライゼーション層は、導電率を増加させ、堅牢性を増加させるために、銅の薄層でフラッシュめっきされ得る。次に、表面銅めっきの量を最小限に抑えつつ、スルーホールの中央の充填を促進するため、パルスめっきが開始される。次に、パルスめっきが完了すると、スルーホールの中心が閉じ、その後、同じ酸性銅めっき溶液又は異なる酸性銅めっき溶液中で、波形をDC電流に移行させ、スルーホールが完全にメタライゼーションされるまで、スルーホールをめっきする。
【0093】
本明細書に記載のプロセスを、0.005~約3mm、より好ましくは約0.01~約1.0mm、最も好ましくは約0.05~約0.5mmの厚さを有する基板をメタライゼーションするために使用することができる。スルーホールの直径は、一般に、約0.005~約1mm、好ましくは約0.01~約0.8mm、最も好ましくは約0.075~約0.25mmの範囲である。したがって、本明細書に記載のプロセスは、約0.5:1~約6:1、より好ましくは約0.5:1~約4:1、最も好ましくは約0.5:1~約3:1のアスペクト比を有するスルーホールをメタライゼーションするのに適している。
【0094】
本明細書に記載のスルーホールの電解めっきを、所定の方法でパルスめっき及び直流めっきと組み合わせ、スルーホールの完全な充填を達成する。
【0095】
表2は、直流及びパルスめっき電流のプロセスパラメータを示す。
【0096】
【表2】
【0097】
表3は、電流密度及びサイクル時間を含む、プロセスにおける工程の一例を記載する。工程1は、プロセスにおける任意選択的な工程であり、本プロセスは、工程2及び3のみを用いて実施することができることに留意されたい。別の実施形態では、工程2Aは、以下で更に記載するように、工程2と3との間で実行される任意選択的な工程として含まれる。
【0098】
【表3】
【0099】
1つ以上の整流器によって、プリント回路基板の2つの側を個々にメタライゼーションすることができる。更に、1つ以上の整流器は、1つ以上のマイクロコントローラによって、基板の第1の側をメタライゼーションするための第1の繰り返し可能なシーケンスと、基板の第2の側をメタライゼーションするための第2の繰り返し可能なシーケンスとを別個にプログラミングし、基板の第1の側及び第2の側についての繰り返し可能なシーケンスを入力することができる。
【0100】
更に別の実施形態では、繰り返し可能なシーケンスは、繰り返しシリーズに配置された複数の2つ以上、又は更には3つ以上の繰り返し可能なシーケンスを含み得る。一実施形態では、めっきサイクル内の各繰り返し可能なシーケンスは、約0.5~約5秒の範囲内、より好ましくは約1秒、最も好ましくは正確に1秒であってもよい同じ周波数期間を有するが、シーケンス内の順方向パルス、逆方向パルス及び休止期間の持続時間は変化してもよい。別の実施形態では、めっきサイクル内の繰り返し可能なシーケンスは、同じ周波数期間を有しても有さなくてもよく、周波数期間は、ランダム又はセットパターンで変化してもよい。
【0101】
別の実施形態では、順方向パルス、逆方向パルス、及び休止期間の持続時間は、めっきサイクルが進むにつれて変化する。加えて、順方向パルス、逆方向パルス及び休止期間の振幅及び/又はピーク電流密度は、めっきサイクルが進むにつれて変化してもよい。
【0102】
パルスめっき期間のセットを含む繰り返し可能なシーケンスにおけるこれらの変更は、基板の第1及び第2の側に対して独立して行われ得ることが更に企図される。すなわち、望ましくないめっき特性が観察される(すなわち、架橋がスルーホールの中心にない、ボイドが観察されるなど)場合、パルスめっきシーケンスを修正して欠陥を修正してもよく、修正は、基板の第1の側及び/又は基板の第2の側に対して行われてもよく、修正は、所望の結果を達成するために基板の対向する両側に対して同じであっても異なっていてもよい。
【0103】
すなわち、基板の厚さ、スルーホールの直径、ホールピッチ、スルーホールの数及び密度などの因子に応じて、より高い電流密度又はより低い電流密度でめっきサイクルを開始し、めっきサイクルが進むにつれて、より効率的なスルーホールめっきを達成するために、又はより高い電流密度若しくはより低い電流密度を使用するために、電流密度を順次減少又は増加させることが望ましい場合がある。
【0104】
更に別の実施形態では、第1のパルスめっきサイクルが上で概説したように実行され、このパルスめっきサイクルは、基板の第1の側に対する繰り返し可能なシーケンスが、逆の順序を除いて、基板の第2の側に対する繰り返し可能なシーケンスと同じである、非同期パルス逆方向めっきサイクルであってもよい。その後、第2のパルスめっきサイクルを実行して、図2に示すように、第1のめっきサイクルで形成された銅架橋を成形してもよい。この第2のパルスめっきサイクルは、基板の第1及び第2の側に対して同期波形を有する規則的なパルスめっきサイクルであってもよい。
【0105】
この第2のパルスめっきサイクルが使用される場合、規則的なパルスめっきサイクルは、1:1~1:4、より好ましくは約1:1~1:2の順方向/逆方向電流比を使用する。順方向めっきパルスは10~150msの範囲であり、逆方向めっきパルスは約0.5~約10msの範囲である。めっきは、銅架橋を成形するために、約20分間~約3時間、より好ましくは約30分間~約90分間、より好ましくは約30分間~45分間行われる。このパルスめっきサイクルは、例えば、V字形ブラインドビアを形成する傾向がある小さな直径(例えば、0.2mm以下であり得る)を有するスルーホールをめっきするときに使用することができる。この場合、架橋は、非常に深いV字形状を生成し、これは、図2に示されるようなディンプル又はボイドなくダイレクトめっきを使用してめっきすることが困難である。
【0106】
したがって、第2のパルスめっきサイクルは、架橋を深いV字形からU字形に成形するために使用される。非同期波形を利用する第1のパルスめっきサイクルから同期波形を利用する第2のめっきサイクルへの移行は、銅架橋を成形するのに役立ち、ディンプル又はボイドなく、スルーホールのより均一なめっきを可能にする。
【0107】
更に別の実施形態では、パルス逆方向めっきサイクルは、2つのパルス逆方向めっきサイクルの間の短いDCめっき工程で中断され、これにより、より厚いパネルにおいて空洞形成を低減することが見出されている。例えば、第1のパルス逆方向めっきサイクルは、第1の期間にわたってスルーホール内の銅架橋の生成を開始するように開始されてもよく、第1の期間は、約10~約100分の範囲内、より好ましくは約20~約60分の範囲内、より好ましくは約25~約45分の範囲内であってもよい。次いで、約0.5~3.0ASD、より好ましくは約1.0~約2.0ASDの電流密度で、約1分~約30分、より好ましくは約5~約15分の間、DCめっき工程を開始することができる。その後、第2のパルス逆方向めっきサイクルを使用して、第2の期間にスルーホール内の銅架橋の形成を完了し、第2の期間は、第1の期間と同じであっても異なっていてもよい。加えて、第1のパルス逆方向めっきサイクル及び第2のパルス逆方向めっきサイクルの電流密度は、同じであっても異なっていてもよい。
【0108】
この工程はまた、単独で、又は上述の成形工程と組み合わせて使用されてもよい。
【0109】
パルス逆方向めっき、DCめっき、及び/又は同期パルスめっきの他のシーケンスも、基板の厚さ、スルーホールのアスペクト比、並びに基板上のスルーホールの密度及び位置などの因子に応じて使用することができる。
【0110】
一実施形態では、本プロセスは、スルーホール充填の特定のパラメータを監視する工程と、不十分なスルーホールめっきが観察された場合、及び/又は特定のパラメータが許容値外である場合、めっきシーケンスにおける工程のうちの1つ以上の時点を修正するか、又は振幅/ピーク電流密度を修正する工程と、を含む。
【0111】
ワークピースにおける各々の順方向電流パルスのピーク電流密度は、好ましくは、最大で15A/dmに調整される。ワークピースにおける各々の順方向電流パルスのピーク電流密度は、特に好ましくは、約5A/dmである。
【0112】
ワークピースにおける少なくとも1つの逆方向電流パルスのピーク電流密度は、好ましくは、60A/dm以下の値に調整される。ワークピースにおける少なくとも1つの逆方向電流パルスのピーク電流密度は、特に好ましくは、約20A/dmである。
【0113】
メタライゼーションプロセスの更なる進歩において、パルス逆方向電流の少なくとも1つのパラメータは変更することができ、このパラメータは、順方向電流パルスの持続時間の逆方向電流パルスの持続時間に対する比、及び順方向電流パルスのピーク電流密度の逆方向電流パルスのピーク電流密度に対する比を含む群から選択される。上に更に説明したように、ワークピースをメタライゼーションする際に、順方向電流パルスのピーク電流密度の逆方向電流パルスのピーク電流密度に対する比を増加させ、かつ/又は順方向電流パルスの持続時間の逆方向電流パルスの持続時間に対する比を減少させることが特に有利であることが証明されている。
【0114】
本明細書に記載されるように、水性酸性銅電解質は、従来の垂直又は水平めっき装置で使用することができる。めっきシステムは、不活性アノードを有する垂直ホイスト、VCP、又は水平システムとして設計することができる。好ましい実施形態では、システムは、不活性アノードを有する垂直システムである。
【0115】
好適なアノード材料の例としては、チタンメッシュ又は混合金属酸化物でコーティングされたアノード上の酸化イリジウムコーティングが挙げられる。他の好適なアノード材料も、当業者に既知である。アノードはまた、任意選択的に、好ましくは、マクロ分布を最適化するために遮蔽されている。
【0116】
一実施形態では、アノード材料は、酸化イリジウム/酸化タンタルでコーティングされたチタンである。好適なアノードの1つは、De Nora DTの商品名でDeNoraS.p.Aから入手可能である。他の好適なアノード材料も、当業者に既知であり、それも使用可能である。
【0117】
基板又はその表面の少なくとも一部は、噴霧、拭い、液浸、浸漬、又は他の好適な手段を含む様々な方法によって水性酸銅めっき溶液と接触させ得る。
【0118】
本明細書に記載のプロセスはまた、好ましくは、当技術分野で一般に知られているような洗浄、エッチング、還元、すすぎ、及び/又は乾燥工程を含む。
【0119】
本明細書に記載の酸性銅電解質は、パネルに対する溶液の直接衝突を提供するためのノズルアレイを備える溶液マニホールドシステムを備える。パネルの両側のノズルは、互いに、及びポンプと直接的に整列し、0~5.0L/分/ノズルの溶液流が可能である。
【0120】
めっきは、当業者に一般に知られているように、パネル、パターン、又はボタンめっきモードで行うことができる。
【0121】
めっき後、パネルをそのまま使用してもよく、又はパネルに平坦化若しくは銅還元などの典型的なプロセスを課してもよく、又は追加のブラインドマイクロビアが銅充填されたスルーホール上に積み重ねられ得る更なる層を構築してもよい。
【0122】
一実施形態では、図3に示されるように、装置は
A)酸性銅電解質が維持されるめっき槽5と、
B)デュアルボックスマニホールド又は垂直パイプマニホールドを含む溶液送達システム(図示せず)と、
C)めっき槽5に浸漬された回路基板の両側に同時に衝突するように配置されたエダクタノズル2又はコーンノズルのアレイと、
D)PCB(すなわち、パネル)を固定するめっきラック4と、
E)それぞれが、1つ以上のマイクロコントローラを含み得る適切な制御手段に接続された直流及びパルス逆方向めっきが可能である、電気めっき電源整流器3又は複数の整流器と、を備える。
【0123】
一実施形態では、装置は、標準的な垂直ホイスト又は自動めっき装置を含み得る。別の実施形態では、装置は、水平めっき装置を備え得る。しかしながら、垂直めっき装置が好ましい。
【0124】
めっき槽5は、好ましくは、加熱及び冷却を調節するための温度コントローラを備え、この温度コントローラは、酸性銅電解質を所望の浴温度±1.5℃に維持することができる加熱及び冷却システムに接続される。好ましい実施形態では、電解質は、約10~約50℃、より好ましくは約15~約45℃、より好ましくは約20~約30℃の温度で、最も好ましくは約22~約25℃の温度で維持される。
【0125】
酸性銅電解質は、任意選択的にではあるが、好ましくは、撹拌される。一実施形態では、清浄空気撹拌散布デュアルパイプが、カソードの下に整列され得る。撹拌はまた、例えば、電解質溶液の振とう、撹拌、若しくは連続的なポンピングなどの浴の機械的運動、又は超音波処理、高温、又は空気若しくは不活性気体(すなわち、アルゴン若しくは窒素)でのパージなどの気体供給によって達成され得る。他の撹拌手段も、当業者に既知である。
【0126】
アノードのカソードに対する比は、好ましくは、1:0.75より大きい値を標的とし、最大1:2、好ましくは約1:1であってもよい。重要なことは、PCB全体にわたる電流分布でさえも十分な表面積を有することである。
【0127】
めっき槽5はまた、硫酸銅の濃度を所望のレベル内に維持するための自動酸化銅補充システムを備えることが好ましい。加えて、装置はまた、好ましくは、酸化銅混合槽と、酸化銅を補充システムに導入するための酸化銅供給装置と、を含む。めっき槽5はまた、酸性銅電解質の他の成分を補充し、成分の濃度を監視するための手段も含む。
【0128】
電気めっきラック4は、コーティングされたステンレス鋼であってもよく、又は部分的にコーティングされた又はコーティングされていないめっきラックであってもよい。任意選択的に、電気めっきラック4は、コーティングされた銅コアを含み得る。
【0129】
銅電気めっき槽5はまた、好ましくは、約1マイクロメートル以上の粒子を濾過することができ、1時間当たり少なくとも3回の溶液入替、好ましくは1時間当たり少なくとも4回の溶液入替、より好ましくは1時間当たり少なくとも5回の溶液入替を取り扱うように設計された連続溶液濾過システムを備える。
【0130】
装置はまた、好ましくは加熱、冷却、及び、めっき槽での化学剤追加を管理することができるコントローラを含む。
【0131】
最後に、当業者には一般に既知であるように、銅電気めっき装置に換気システムを装備することも非常に望ましい。
【0132】
電気めっき電源整流器3は、直流電流及びパルス逆方向電流の両方を扱うように構成されている。整流器3は水冷式であってもよく、又は空冷式であってもよい。整流器3は、単一の整流器を備えてもよく、又は基板の第1の側のための第1の整流器と、基板の第2の側のための第2の整流器とを備えてもよく、これらの整流器の各々は、多段階能力を用いてプログラミング可能である。
【0133】
上述のように、スルーホールの中心が架橋するか、又は閉じると、波形は、同じ又は異なる酸性銅電解質中で、直線的なDC電流に移行する。その結果、完全に充填されるまでスルーホールが連続めっきされる。したがって、整流器は、架橋に使用されるパルス逆方向波形を直流に移行させ、スルーホールが完全に充填されるまでめっきを継続するようにプログラミングされる。
【0134】
あるいは、2つの異なる電解質又は同じ電解質を有する2つの異なるタンクが使用される場合、スルーホールの中心が第1の電解質で架橋されると、基板は、スルーホールが完全に充填されるまでめっきが継続される第2のタンクに移送されてもよい。この場合、所望な場合、プロセス中の異なる工程に異なる整流器を使用してもよい。
【0135】
ボックスマニホールド/垂直パイプは、エダクタノズル又はコーンノズルのアレイを含むように設計されている。対向ノズルは、前部側から後部側まで設計されている。ノズルは、好ましくは、互い違いのパターンで配置され、水平方向及び垂直方向の両方で、約2~約8cm離れて、より好ましくは約3~約6cm離れて、最も好ましくは約4~約5cm離れて配置され得る。
【0136】
本プロセスを以下の実施例によって更に説明する。各実施例において、複数のスルーホール及び約0.45mmの厚さを含む試験パネルに対して、実施例に記載される工程を行った。
【0137】
実施例1:
酸性銅電解質を以下のパラメータに従って構成した。
【0138】
【表4】
【0139】
硫酸銅の濃度は、動作のアンペア時及び/又は化学滴定分析に基づいて、手動又は自動のいずれかで酸化銅を添加して維持した。
【0140】
硫酸及び塩化物イオンの濃度は、化学滴定分析に基づいて補充した。
【0141】
促進剤、抑制剤、二次抑制剤の補充は、動作のアンペア時及び/又はサイクリックボルタンメトリーストリッピング(cyclic voltametric stripping、CVS)分析に基づき、自動投与システムで達成した。
【0142】
1.5ASDの電流密度で5分間DCめっきすることによって、フラッシュめっき層を試験パネル上に堆積させた。その後、2.4ASDの電流密度で60分間パルス逆方向めっきを行ってスルーホール中に銅架橋を生成し、その後、スルーホールが垂直めっきプロセスで充填されるまで、2.2ASDの電流密度で75分間DCめっきを行った。
【0143】
試験パネルの第1の側及び第2の側に対するパルスめっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0144】
【表5】
【0145】
試験パネルの断面を観察したところ、ディンプルのない良好なめっきを示した。
【0146】
実施例2:
実施例1と同様にして酸性銅電解質を構成した。
【0147】
1.5ASDの電流密度で5分間DCめっきすることによって、フラッシュめっき層を試験パネル上に堆積させた。その後、2.4ASDの電流密度で60分間パルス逆方向めっきを行ってスルーホール中に銅架橋を生成し、その後、スルーホールが垂直めっきプロセスで充填されるまで、2.2ASDの電流密度で75分間DCめっきを行った。
【0148】
試験パネルの第1の側及び第2の側に対するパルスめっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0149】
【表6】
【0150】
試験パネルの断面を観察したところ、ディンプルのない良好なめっきを示した。
【0151】
実施例3:
実施例1と同様にして酸性銅電解質を構成した。
【0152】
1.5ASDの電流密度で5分間DCめっきすることによって、フラッシュめっき層を堆積させた。その後、2.4ASDの電流密度で45分間パルス逆方向めっきを行ってスルーホール中に銅架橋を生成した。その後、2.2ASDの電流密度で45分間同期パルスめっきを行って架橋を成形し、その後、スルーホールが垂直めっきプロセスで充填されるまで、2.2ASDの電流密度で75分間DCめっきを行った。
【0153】
架橋工程における基板の第1の側及び第2の側に対するパルス逆方向めっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0154】
【表7】
【0155】
成形工程における同期パルスめっきは、以下のパラメータを有していた。
【0156】
【表8】
【0157】
試験パネルの断面を観察したところ、高アスペクト比のスルーホールをめっきする際に、ディンプルのない良好なめっきを示した。
【0158】
実施例4:
実施例1と同様にして酸性銅電解質を構成した。
【0159】
1.5ASDの電流密度で5分間DCめっきすることによって、フラッシュめっき層を試験パネル上に堆積させた。その後、2.4ASDの電流密度で45分間パルス逆方向めっきを行ってスルーホール中に銅架橋を生成した。その後、2.7ASDの電流密度で45分間同期パルスめっきを行って架橋を成形し、その後、スルーホールが垂直めっきプロセスで充填されるまで、2.2ASDの電流密度で75分間DCめっきを行った。
【0160】
試験パネルの第1の側及び第2の側に対するパルス逆方向めっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0161】
【表9】
【0162】
成形工程における同期パルスめっきは、以下のパラメータを有していた。
【0163】
【表10】
【0164】
めっきされた試験パネルの断面を観察したところ、高アスペクト比のスルーホールをめっきする際に、ディンプルのない良好なめっきを示した。
【0165】
実施例5:
実施例1と同様にして酸性銅電解質を構成した。
【0166】
試験パネルに対して以下のめっきサイクルを行った。
1)1.5ASDの電流密度で5分間DCめっきすることによって、フラッシュめっき層を堆積させた。
2)2.4ASDの電流密度で30分間、第1のパルス逆方向めっきを行ってスルーホール中の銅架橋の生成を開始した。
3)スルーホール中の空洞形成を低減するために、1.0ASDの電流密度で短い(すなわち、5分間の)DCめっき工程を行った。
4)1.4ASDの電流密度で45分間、第2のパルス逆方向めっきを行ってスルーホール中の銅架橋の生成を終了させた。
5)2.0ASDの電流密度で5分間、同期パルスめっきを行って、架橋を成形した。
6)1.2ASDの電流密度で30分間DCめっきを行い、その後、2.0ASDの電流密度で45分間直DCめっきを行って、スルーホールを垂直めっきプロセスで充填した。
【0167】
第1及び第2のパルス逆方向めっき工程の両方について、試験パネルの第1の側及び第2の側に対するパルス逆方向めっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0168】
【表11】
【0169】
成形工程における同期パルスめっきは、以下のパラメータを有していた。
【0170】
【表12】
【0171】
一実施形態では、以下の実施例6及び7に記載するように、パルスめっき期間のセットを含む繰り返し可能なシーケンスは、任意の順序で配置された1つ以上の順方向パルス、1つ以上の逆方向パルス、及び1つ以上のパルスブレイクを含み、パルスめっき期間のセットは、パルスめっき期間のセット内にパルスめっき期間のサブセットを含み、パルスめっき期間のサブセットは、1回以上繰り返されてもよい。パルスめっき期間のサブセットは、1つ以上の逆方向パルスが組み入れられてもよく、又は組み入れられなくてもよい、1つ以上の順方向パルスのシリーズを含んでもよく、順方向パルス及び逆方向パルスは、パルスめっき期間のサブセット内にない順方向パルス及び逆方向パルスとは異なる持続時間を有し、サブセット内の順方向パルス及び逆方向パルスは、同じ又は異なる強度を有する。一実施形態では、基板の第1の側に適用されるパルスめっき期間のサブセットは、基板の第2の側に同時に適用されるパルスめっき期間のサブセットとは異なる。一実施形態では、パルスめっき期間のサブセットを含むパルスめっき期間のセットは、1つ以上のパルスブレイクを含むが、より長い持続時間の休止期間を含まない。
【0172】
実施例6:
実施例1と同様にして酸性銅電解質を構成した。
【0173】
1.5ASDの電流密度で5分間直DCめっきすることによって、フラッシュめっき層を試験パネル上に堆積させた。その後、2.4ASDの電流密度で60分間パルス逆方向めっきを行ってスルーホール中に銅架橋を生成し、その後、スルーホールが垂直めっきプロセスで充填されるまで、2.2ASDの電流密度で75分間直DC流めっきを行った。
【0174】
パルス逆方向めっき工程について、試験パネルの第1の側及び第2の側に対するパルス逆方向めっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0175】
【表13】
【0176】
実施例6に見られるように、パルスめっき期間のサブセットは、逆方向パルスが組み入れられた順方向パルスを含む、基板の第1の側に適用されるパルスめっき期間の第1のサブセットと、順方向パルスを含む、基板の第2の側に少なくとも実質的に同時に適用されるパルスめっき期間のサブセットと、基板の第1の側及び基板の第2の側に同時に適用されるパルスめっき期間のサブセットが切り替えられるパルスめっき期間の第2のサブセットと、を含む。
【0177】
実施例7:
実施例1と同様にして酸性銅電解質を構成した。
【0178】
1.5ASDの電流密度で5分間DCめっきすることによって、フラッシュめっき層を試験パネル上に堆積させた。その後、2.4ASDの電流密度で60分間パルス逆方向めっきを行ってスルーホール中に銅架橋を生成し、その後、スルーホールが垂直めっきプロセスで充填されるまで、2.2ASDの電流密度で75分間DCめっきを行った。
【0179】
パルス逆方向めっき工程について、試験パネルの第1の側及び第2の側に対するパルス逆方向めっき波形は、以下のシーケンスに従った。
【0180】
【表14】
【0181】
工程4及び5、並びに対応する工程10及び11を10回繰り返した。しかしながら、工程4及び5(並びに10及び11)のパルス周期の持続時間及び強度は、繰り返しの数が変更され得るように、変化してもよいことに留意されたい。すなわち、工程を10回繰り返したが、繰り返しの数は、少なくとも4、又は少なくとも6、又は少なくとも8、又は少なくとも10、又は少なくとも12、又は所望の結果を達成するのに必要な工程の数であってもよい。
【0182】
実施例7に見られるように、パルスめっき期間のサブセットは、逆方向パルスが組み入れられた順方向パルスを含む、基板の第1の側に適用されるパルスめっき期間の第1のサブセットと、順方向パルスを含む、基板の第2の側に少なくとも実質的に同時に適用されるパルスめっき期間のサブセットと、基板の第1の側及び基板の第2の側に同時に適用されるパルスめっき期間のサブセットが切り替えられるパルスめっき期間の第2のサブセットと、を含む。
【0183】
したがって、本明細書に記載の複合波形は、許容できないボイド、空洞、又は過剰なディンプルなどのいかなる欠陥も示さないスルーホール及び/又はブラインドマイクロビアのメタライゼーションを可能にすることがわかるだろう。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板上に金属をめっきする方法であって、前記電子基板が、1つ以上の特徴部を含み、前記1つ以上の特徴部が、前記電子基板中に1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアのうちの1つを含み、前記方法が、
a)金属めっきをその上に受け入れるための前記電子基板を調製する工程と、
b)前記電子基板及び少なくとも1つの対電極を、めっきされる前記金属の金属イオン源を含む電気めっき溶液と接触させる工程と、
c)前記電子基板の第1の側及び第2の側を電気的に分極させ、その上で金属めっきを開始させる工程であって、前記電気めっき溶液が、メタライゼーションが完了するまでめっきサイクルを使用して、前記1つ以上のスルーホール及び/又は前記1つ以上のブラインドマイクロビアをめっきする、工程と、を含み、
前記めっきサイクルが、以下の順で、
1)前記電子基板の第1の側及び第2の側に、第1の期間にわたってパルスめっきを行い、金属を前記1つ以上のスルーホールの中心に優先的にめっきさせ、前記金属が、前記1つ以上のスルーホールの中心で融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する工程と、
2)第2の期間にわたってダイレクトめっきを行い、パルスめっきによって形成された前記2つの対向するブラインドビアを充填する工程と、を含み、
前記パルスめっき工程が、電流を適用して、前記電子基板の前記第1の側及び第2の側に前記電気めっき溶液から金属を電着させることを含み、前記電流が、繰り返し可能なシーケンスを含むパルスめっきサイクルとして適用され、前記繰り返し可能なシーケンスが、パルスめっき期間のセットを含み、各々のパルスめっき期間のセットが、任意の順序で、
(i)少なくとも第1の順方向パルス期間、
(ii)少なくとも第1の逆方向パルス期間、
(iii)少なくとも第2の順方向パルス期間、及び
(iv)任意選択的に、少なくとも1つの休止期間を含み、
パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間のうちの少なくとも1つの間に挿入され、好ましくは、パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間のうちの少なくともいくつかの間に挿入され、最も好ましくは、パルスブレイクが、前記パルスめっき期間のセット中の前記パルスめっき期間の各々の間に挿入される、方法。
【請求項2】
前記電気めっき溶液が、銅イオン源を含む酸性銅めっき浴である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パルスめっき工程及び前記ダイレクトめっき工程に同じ電気めっき溶液を使用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パルスめっき工程及び前記ダイレクトめっき工程を別個の槽で行う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記パルスめっき工程及び前記ダイレクトめっき工程で使用される前記電気めっき溶液が互いに異なる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
メタライゼーションされた電気めっきされた金属堆積物が、前記1つ以上のスルーホール及び/又は前記1つ以上のブラインドマイクロビアを完全に充填し、前記電子基板上にコンフォーマル金属堆積物を堆積させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸性銅電気めっき浴を、約15~約45℃の温度で維持する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
工程1)の前に、ある期間にわたって順方向電流を使用する直流めっきの工程を更に含み、前記第1の期間にわたる直流めっきが、前記1つ以上のスルーホール及び/又は1つ以上のブラインドマイクロビアの表面上にフラッシュ銅層を堆積させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電子基板を前記電気めっき溶液に浸漬することによって、前記電子基板を前記金属電気めっき溶液と接触させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各々のパルスめっき期間のセットが、任意の順序で、
a)第1の順方向の持続時間及び第1の順方向の強度の第1の順方向パルス、
b)第2の順方向の持続時間及び第2の順方向の強度の第2の順方向パルス、
c)第3の順方向パルスであって、前記第3の順方向パルスが、前記第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有し、好ましくは、前記第1の順方向パルスと同じ持続時間及び強度を有する、第3の順方向パルス、
d)第1の逆方向の持続時間及び第1の逆方向の強度の第1の逆方向パルス、
e)第4の順方向パルスであって、前記第4の順方向パルスが、前記第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有する、第4の順方向パルス、
f)第5の順方向パルスであって、前記第5の順方向パルスが、前記第1の順方向パルス及び前記第2の順方向パルスのうちの少なくとも1つとは異なる順方向の持続時間及び/又は異なる順方向の強度を有する、第5の順方向パルス、並びに
g)第6の順方向パルスであって、前記第6の順方向パルスが、前記第1の順方向パルスと少なくとも実質的に同じ持続時間及び/又は強度を有する、第6の順方向パルス、からなり、
パルスブレイクが、工程a)~g)のうちの1つ以上の後に挿入され、好ましくは、パルスブレイクが、工程a)~g)の各々の後に挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記電子基板の前記第1の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルと同じである、請求項1~5及び10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記電子基板の前記第1の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルが、前記電子基板の前記第2の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスを含む前記パルスめっきサイクルとは異なる、請求項1~5及び10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記電子基板の前記第1の側に適用されるパルスめっき期間の第1のセットにおけるパルスブレイクが、前記電子基板の前記第2の側に適用されるパルスめっき期間の第2のセットにおけるパルスブレイクと同期している、請求項1~5及び10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記基板の前記第1の側に適用される前記パルスめっき期間のセットを含む前記繰り返し可能なシーケンスのセットが、前記電子基板の前記第2の側に適用される前記パルスめっき期間のセットを含む前記繰り返し可能なシーケンスとは異なる場合であっても、前記電子基板の前記第1の側及び前記電子基板の前記第2の側に対する第1の順方向のパルスと同じ持続時間及び強度を有する1つ以上の順方向のパルスが、互いに整列する、請求項1~5及び10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記パルスめっき期間のセットを含む各々の繰り返し可能なシーケンスが、約0.5~約5秒の持続期間を有する、請求項1~5及び10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
各々の繰り返し可能なシーケンスが、1秒の持続時間を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記繰り返し可能なシーケンスが、繰り返しシリーズに配置された複数の2つ以上の繰り返し可能なシーケンスを含む、請求項1~5及び10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記パルスめっきサイクルが、非同期めっきサイクルであり、前記電子基板の前記第1の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスが、前記電子基板の前記第2の側に適用される前記繰り返し可能なシーケンスと、逆の順序を除いて同じである、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスめっき期間のセットを含む前記繰り返し可能なシーケンスに含まれる、より長い持続時間の休止期間を更に含み、前記電子基板の一方の側に対する前記より長い持続時間の休止期間が、前記電子基板の反対側に対する順方向パルスと一致し、前記より長い持続時間の休止期間及び前記順方向パルスが、少なくとも実質的に同じ持続時間を有する、請求項1又は10に記載の方法。
【請求項20】
前記非同期めっきサイクルが、ある期間にわたって行われた後、前記電子基板の前記第1の側及び前記第2の側に対して同期波形を有する第2のパルスめっきサイクルが適用され、
前記非同期めっきサイクルが、銅が1つ以上のスルーホールの中心で融合して、2つの対向するブラインドビアを形成するように、前記銅を前記1つ以上のスルーホールの中心に優先的にめっきし、前記第2のパルスめっきサイクルが、そのようにして形成された2つの対向するブラインドビアを成形し、前記1つ以上のスルーホールのより均一なめっきを可能にする、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のパルスめっきサイクルが、約1:1~4:1の逆方向/順方向の比を使用し、前記順方向パルスの持続時間が、約10~150msの範囲であり、前記逆方向パルスの持続時間が、約0.5~10msの範囲である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
各々の第1の順方向パルス期間及び第2の順方向パルス期間の持続時間が、独立して、約80~250msの範囲であり、各々の逆方向パルス期間の持続時間が、約50~約150msの範囲であり、各々のパルスブレイクの持続時間が、約1~約50msの範囲である、請求項1~5及び10~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~5及び10~21のいずれか一項に記載のプロセスによってメタライゼーションされた1つ以上の特徴部を含む、電子基板。
【請求項24】
プリント回路基板であって、前記プリント回路基板が、
1つ以上のスルーホールが形成された、メタライゼーションされたパネルを含み、
前記プリント回路基板が、銅の電気めっきを開始させるために、その上に導電性シード層を含み、
前記1つ以上のスルーホールが、
a)前記1つ以上のスルーホールの中心における第1の銅めっき層であって、前記銅が、前記1つ以上のスルーホールの中心で融合して、2つの対向するブラインドビアを形成する、第1の銅めっき層と、
b)任意選択的に、前記第1の銅めっき層の上に堆積された第2の銅めっき層であって、任意選択的な前記第2の銅めっき層が、前記第1の銅めっき層によって形成された前記ブラインドビアを成形する、第2の銅めっき層と、
c)銅充填層であって、前記銅充填層が、前記第1の銅めっき層及び前記任意選択的な第2の銅めっき層の上に堆積し、前記1つ以上のスルーホールを充填する、銅充填層と、を含み、
前記1つ以上のスルーホールが、ボイド、ディンプル、又は他の欠陥なく銅で完全に充填されている、プリント回路基板。
【請求項25】
層a)~c)の全てが存在する、請求項24に記載のプリント回路基板。
【請求項26】
前記第1の銅めっき層、任意選択的な第2の銅めっき層、及び銅充填層が、同じ酸性銅めっき電解質を使用して適用される、請求項24又は25に記載のプリント回路基板。
【請求項27】
前記第1の銅めっき層及び前記銅充填層が、異なる酸性銅めっき電解質を使用して適用される、請求項24又は25に記載のプリント回路基板。
【国際調査報告】