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特表2024-525365外科用ステープル留め装置のためのバットレスの取り付け
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】外科用ステープル留め装置のためのバットレスの取り付け
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578027
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2022056052
(87)【国際公開番号】W WO2023275780
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】17/365,059
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】バリル, ジェイコブ シー.
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス, ロアニット
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC22
(57)【要約】
外科用ステープル留め装置は、装填ユニットと、外科用バットレス組立体と、を含む。装填ユニットは、アンビル組立体と、ステープルカートリッジ組立体と、を含む。ステープルカートリッジ組立体は、ステープルポケットを含む組織接合面と、それを通して画定される中央長手方向スロットと、組織接合面から外向きに延在しているフック組立体と、を有する、ステープルカートリッジを含む。外科用バットレス組立体は、アンビルバットレスと、カートリッジバットレスと、を含む。アンビルバットレス及びカートリッジバットレスのそれぞれは、本体と、近位タブと、遠位タブと、を含む。アンビル及びカートリッジバットレスは、近位タブの接合部において相互接続され、外科用バットレス組立体は、近位タブが実質的に互いに重なるように、接合部において折り畳まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留め装置であって、
アンビル組立体及びステープルカートリッジ組立体を含む装填ユニットであって、前記ステープルカートリッジ組立体が、
ステープルカートリッジであって、ステープルポケットを含む組織接合面と、それを通して画定される中央長手方向スロットと、
前記組織接合面から外向きに延在しているフック組立体と、を有する、ステープルカートリッジを含む、装填ユニットと、
アンビルバットレス及びカートリッジバットレスを含む外科用バットレス組立体であって、前記アンビルバットレス及び前記カートリッジバットレスのそれぞれが、本体、近位タブ、及び遠位タブを含み、前記アンビルバットレス及び前記カートリッジバットレスが、前記近位タブの接合部において相互接続され、前記外科用バットレス組立体は、前記近位タブが互いに実質的に重なり合うように前記接合部において折り畳まれ、前記近位タブが、前記ステープルカートリッジの前記フック組立体と係合して、前記アンビルバットレス及び前記カートリッジバットレスの前記近位タブを、前記ステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定する、外科用バットレス組立体と、を備える、外科用ステープル留め装置。
【請求項2】
前記フック組立体が、前記ステープルカートリッジの前記組織接合面に画定された前記ステープルポケットの近位に配置されている、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項3】
前記アンビルバットレス及び前記カートリッジバットレスの前記近位タブが、それを通る近位開口部を画定し、前記フック組立体が、前記近位開口部を通って延在する、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項4】
前記近位開口部が、前記ステープルカートリッジ内に画定された前記中央長手方向スロットを横切って延在する、請求項3に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項5】
前記フック組立体が、
前記ステープルカートリッジ内に画定された空洞内に配置された、フック本体を有するフックと、
前記フック本体から近位方向に延在し、前記空洞から出る、フィンガーと、を含む、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項6】
前記ステープルカートリッジの前記空洞が、前記中央長手方向スロットに隣接して配置されている、請求項5に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項7】
前記フック組立体が、連結器と、前記ステープルカートリッジの前記空洞内に配置されたバネと、を含み、前記バネが、前記連結器を付勢して前記フック本体と接触させる、請求項5に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項8】
前記アンビル組立体が、前記フック組立体の前記フィンガーと位置合わせされている、それを通して画定される窓部を含み、前記装填ユニットが閉位置にある場合に、前記フィンガーが、前記アンビル組立体の前記窓部内へと延在する、請求項5に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項9】
前記アンビルバットレス及び前記カートリッジバットレスの前記遠位タブが、それを通る遠位開口部を画定し、前記アンビル組立体のアンビル先端部が、前記アンビルバットレスの前記遠位タブを通って延在し、前記ステープルカートリッジ組立体のカートリッジ先端部が、前記カートリッジバットレスの前記遠位タブを通って延在して、前記アンビルバットレス及び前記カートリッジバットレスの前記遠位タブを、前記アンビル組立体及び前記ステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定する、請求項1に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項10】
前記遠位タブが、その内部に画定された貫通穴を含み、前記貫通穴が、前記ステープルカートリッジの前記中央長手方向スロットと位置合わせされる、請求項9に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項11】
外科用ステープル留め装置であって、
アンビル組立体及びステープルカートリッジ組立体を含む装填ユニットであって、前記ステープルカートリッジ組立体が、
ステープルカートリッジであって、カートリッジ本体と、前記カートリッジ本体から遠位方向に延在しているカートリッジ先端部と、を有し、前記カートリッジ本体が、ステープルポケットを有する組織接合面と、それを通して画定された中央長手方向スロットと、
前記組織接合面から外向きに延在しているフック組立体と、を有する、ステープルカートリッジを含む、装填ユニットと、
本体と、前記本体から近位方向に延在している近位タブと、前記本体から遠位方向に延在している拡張可能領域と、前記拡張可能領域から遠位方向に延在している遠位タブと、を含む、カートリッジバットレスであって、前記近位タブが、前記カートリッジバットレスの前記近位タブを前記ステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定するために、前記ステープルカートリッジの前記フック組立体と係合され、前記遠位タブが、前記カートリッジバットレスの前記遠位タブを前記ステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定するために、前記カートリッジ先端部と係合される、カートリッジバットレスと、を備える、外科用ステープル留め装置。
【請求項12】
前記カートリッジバットレスの前記拡張可能領域が、前記ステープルカートリッジ組立体への装填中に前記カートリッジバットレスを伸長させるために、非拡張状態と拡張状態との間で移行可能である、請求項11に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項13】
前記カートリッジバットレスの前記拡張可能領域が、弾性材料から形成されている、請求項11に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項14】
前記カートリッジバットレスの前記本体並びに前記近位タブ及び前記遠位タブが、前記拡張可能領域の前記弾性材料と比較して、比較的剛性の材料から形成されている、請求項13に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項15】
前記カートリッジバットレスの前記拡張可能領域が、前記本体と前記遠位タブとを相互接続する、一対のバンドを含む、請求項11に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項16】
前記カートリッジバットレスの前記近位タブが、それを通る近位開口部を画定し、前記フック組立体が、前記近位開口部を通って延在する、請求項11に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項17】
前記近位タブの前記近位開口部が、前記ステープルカートリッジ内に画定された前記中央長手方向スロットを横切って延在する、請求項16に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項18】
前記カートリッジバットレスの前記遠位タブが、それを通る遠位開口部を画定し、前記カートリッジ先端部が、前記遠位開口部を通って延在する、請求項11に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項19】
前記フック組立体が、前記ステープルカートリッジの前記中央長手方向スロットの両側に配置されたフックを含む、請求項11に記載の外科用ステープル留め装置。
【請求項20】
前記フックのそれぞれが、前記ステープルカートリッジの前記組織接合面に固定されたアームと、前記アームから近位方向に延在しているフィンガーと、を含む、請求項19に記載の外科用ステープル留め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、外科用ステープル留め装置に関し、より詳細には、外科用バットレスと、外科用ステープル留め装置に外科用バットレスを取り外し可能に固定するためのバットレス取り付け組立体と、に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープル留め装置は、身体組織のセグメントを一緒に接合する目的で、1列以上の締結具、例えば、ステープル又は2部品型締結具を身体組織に順次に又は同時に適用するために、外科医によって用いられる。このような装置は、一般に、その間に接合されることになる身体組織が配置される一対の顎部又はフィンガー状構造を含む。外科用ステープル留め装置を作動又は「発射」させた場合に、長手方向に移動する発射バーが、顎部のうちの一方のステープル駆動部材に接触する。ステープル駆動部材は、外科用ステープルに身体組織を通過させて、ステープルを形成する反対側の顎部のアンビルの中へと押し込む。身体組織を除去又は分離する場合には、装置の顎部内にナイフブレードを提供して、ステープルのライン間で身体組織を切断し得る。
【0003】
外科用支持体、例えば、メッシュ又はバットレス材料は、患者内の組織欠損を埋める、再建する、及び/又は補強するために、外科用ステープル留め装置と組み合わせて使用されてもよい。臨床医は、外科処置中に手術室内で外科用ステープル留め装置にバットレス材料を手動で取り付けてもよい、又は、例えば高価な自動化された取り付けプロセスによってそこに予め挿入されたバットレス材料を含む外科用ステープル留め装置を利用してもよい。バットレス材料は、ステープル又は縫合ラインを補強するのみならず、身体組織の接合部を覆って治癒前の漏出を低減する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、外科用ステープル留め装置への、バットレス材料の取り付けに関する。本開示の外科用バットレス及びバットレス取り付け組立体は、手術室におけるバットレス材料の取り付けを、単純で、簡単で、費用効果の高い処置にするように設計されている。
【0005】
一態様では、本開示は、装填ユニットと、外科用バットレス組立体と、を含む、外科用ステープル留め装置を提供する。装填ユニットは、アンビル組立体と、ステープルカートリッジ組立体と、を含む。ステープルカートリッジ組立体は、ステープルポケットを含む組織接合面と、それを通して画定される中央長手方向スロットと、組織接合面から外向きに延在しているフック組立体と、を有する、ステープルカートリッジを含む。外科用バットレス組立体は、アンビルバットレスと、カートリッジバットレスと、を含む。アンビルバットレス及びカートリッジバットレスのそれぞれは、本体と、近位タブと、遠位タブと、を含む。アンビル及びカートリッジバットレスは、近位タブの接合部において相互接続され、外科用バットレス組立体は、近位タブが実質的に互いに重なるように、接合部において折り畳まれる。近位タブは、ステープルカートリッジのフック組立体と係合されて、アンビル及びカートリッジバットレスの近位タブを、ステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定する。
【0006】
フック組立体は、ステープルカートリッジの組織接合面に画定されたステープルポケットの近位に配置されてもよい。アンビル及びカートリッジバットレスの近位タブは、それを通る近位開口部を画定してもよく、フック組立体は、近位開口部を通って延在してもよい。近位開口部は、ステープルカートリッジ内に画定された中央長手方向スロットを横切って、延在してもよい。
【0007】
フック組立体は、ステープルカートリッジ内に画定された空洞内に配置されたフック本体と、フック本体から近位方向に延在して空洞から出るフィンガーと、を有するフックを、含んでもよい。ステープルカートリッジの空洞は、中央長手方向スロットに隣接して配置されてもよい。フック組立体は、連結器と、ステープルカートリッジの空洞内に配置されたバネと、を含んでもよく、バネは、連結器を付勢して、フック本体と接触させてもよい。アンビル組立体は、それを通して画定される窓部を含んでもよく、窓部は、フック組立体のフィンガーと位置合わせされ、装填ユニットが閉位置にある場合に、フィンガーは、アンビル組立体の窓部内へと延在してもよい。
【0008】
アンビル及びカートリッジバットレスの遠位タブは、それを通る遠位開口部を画定してもよい。アンビル組立体のアンビル先端部は、アンビルバットレスの遠位タブを通って延在してもよく、ステープルカートリッジ組立体のカートリッジ先端部は、カートリッジバットレスの遠位タブを通って延在して、アンビルバットレス及びカートリッジバットレスの遠位タブを、アンビル組立体及びステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定してもよい。遠位タブは、その内部に画定された貫通穴を含んでもよい。貫通穴は、ステープルカートリッジの中央長手方向スロットと、位置合わせされてもよい。
【0009】
別の態様では、本開示は、装填ユニット及びカートリッジバットレスを含む外科用ステープル留め装置を提供する。装填ユニットは、アンビル組立体と、ステープルカートリッジ組立体と、を含む。ステープルカートリッジ組立体は、カートリッジ本体と、カートリッジ本体から遠位方向に延在しているカートリッジ先端部と、を有する、ステープルカートリッジを含む。カートリッジ本体は、ステープルポケットを有する組織接合面と、それを通して画定される中央長手方向スロットと、組織接合面から外向きに延在しているフック組立体と、を含む。カートリッジバットレスは、本体と、本体から近位方向に延在する近位タブと、本体から遠位方向に延在している拡張可能領域と、拡張可能領域から遠位方向に延在する遠位タブと、を含む。近位タブは、カートリッジバットレスの近位タブをステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定するために、ステープルカートリッジのフック組立体と係合され、遠位タブは、カートリッジバットレスの遠位タブをステープルカートリッジ組立体に取り外し可能に固定するために、カートリッジ先端部と係合される。
【0010】
カートリッジバットレスの拡張可能領域は、ステープルカートリッジ組立体への装填中にカートリッジバットレスを伸長させるために、非拡張状態と拡張状態との間で移行可能であってもよい。拡張可能領域は、弾性材料から形成されてもよい。カートリッジバットレスの本体並びに近位タブ及び遠位タブは、拡張可能領域の弾性材料と比較して、比較的剛性の材料から形成されてもよい。拡張可能領域は、本体と遠位タブとを相互接続する、一対のバンドを含んでもよい。
【0011】
カートリッジバットレスの近位タブは、それを通る近位開口部を画定してもよく、フック組立体は、近位開口部を通って延在してもよい。近位タブの近位開口部は、ステープルカートリッジ内に画定された中央長手方向スロットを横切って、延在してもよい。カートリッジバットレスの遠位タブは、それを通る遠位開口部を画定してもよく、カートリッジ先端部は、遠位開口部を通って延在してもよい。
【0012】
フック組立体は、ステープルカートリッジの中央長手方向スロットの両側に配置されたフックを含んでもよい。フックのそれぞれは、ステープルカートリッジの組織接合面に固定されたアームと、アームから近位方向に延在しているフィンガーと、を含んでもよい。
【0013】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に示されている。本開示に記載されているその他の態様、並びに態様の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の様々な態様を、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する、図面を参照して、以下で説明する。
【0015】
図1】本開示の一態様による、外科用ステープル留め装置の斜視図である。
【0016】
図2】外科用ステープル留め装置のツール組立体を示す、図1に示された詳細領域2の拡大図である。
【0017】
図3】アンビル組立体、ステープルカートリッジ組立体、及び外科用バットレス組立体を示す、図2のツール組立体の、部品が分離された斜視図である。
【0018】
図4】部品が分離されたフック組立体を示す、図3のステープルカートリッジ組立体の斜視図である。
【0019】
図5】ステープルカートリッジ組立体の近位端部の部分を示す、図3に示された詳細領域5の拡大図である。
【0020】
図6図3の外科用バットレス組立体の平面図である。
【0021】
図7】開位置にあるツール組立体の第1の顎部部材及び第2の顎部部材を示す、図2の切断線7-7に沿って取られた、図2のツール組立体の断面図である。
【0022】
図8】第1の顎部部材と第2の顎部部材とが閉位置にある状態を示す、図7のツール組立体の断面図である。
【0023】
図9図2の切断線9-9に沿って取られた、図2のツール組立体の部分断面図である。
【0024】
図10図9に示される詳細領域10の拡大図である。
【0025】
図11】外科用ステープル留め装置の発射ストロークの間に示される、図10の詳細領域の拡大図である。
【0026】
図12】本開示の別の態様による、ステープルカートリッジ組立体及びカートリッジバットレスの斜視図である。
【0027】
図13】ステープルカートリッジ組立体のフック組立体を示す、図12に示された詳細領域13の拡大図である。
【0028】
図14図12のカートリッジバットレスの平面図である。
【0029】
図15】ステープルカートリッジ組立体へのカートリッジバットレスの組立て中に示され、カートリッジバットレスが伸張構成にある、図12のステープルカートリッジ組立体及びカートリッジバットレスの斜視図である。
【0030】
図16】カートリッジバットレスがステープルカートリッジ組立体に装填され、カートリッジバットレスが非伸張構成で示される、図15のステープルカートリッジ組立体及びカートリッジバットレスの斜視図である。
【0031】
図17】本開示の別の態様による、アンビル組立体及びアンビル組立体に装填されたアンビルバットレスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の態様は、同じ参照番号が同様の、又は同一の要素を特定する図面を参照して、詳述に説明される。本明細書全体を通じて、「近位」という用語は、ユーザのより近くにある構造の一部分又はその構成要素を指し、「遠位」という用語は、ユーザからより遠くにある構造の一部分又はその構成要素を指す。
【0033】
以下、図1を参照すると、本開示の態様に従って組織をステープル留めする際に使用するための代表的な外科用ステープル留め装置又は外科用ステープラ1が示されている。外科用ステープル留め装置1について、本開示の態様を開示するのに必要な範囲で、更に説明する。代表的な外科用ステープル留め装置の構造及び機能の詳細な説明については、米国特許第6,241,139号、同第6,330,965号、及び同第7,819,896号が参照されてもよく、これらのそれぞれの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の原理は、例えば、米国特許第5,964,394号、同第7,128,253号、及び同第7,334,717号に記載されている種類などのその他の構成を有する外科用ステープル留め装置にも同様に適用可能であることが認識されるべきであり、これらのそれぞれの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、様々な外科用ステープル留め装置が、本開示の態様と共に利用されてもよいことが、理解されるべきである。例えば、Medtronic(North Haven,CT)を通して入手可能な、GIA(商標)、Endo GIA(商標)、TA(商標)、及びEndo TA(商標)ステープラ、並びに/又は例えばTri-Staple(商標)技術による線形再装填及び半径方向再装填などの、腹腔鏡ステープラ又はオープンステープラが、例えば、本開示の態様で利用されてもよい。
【0034】
外科用ステープル留め装置1は、一般に、ハンドル組立体10と、ハンドル組立体10から遠位方向に延在している細長い管状本体20と、細長い管状本体20から遠位方向に延在している装填ユニット30と、を含む。装填ユニット30は、ハウジング部分32と、第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34bを含むツール又は顎部組立体34と、を含む。第1の顎部部材34a及び/又は第2の顎部部材34bは、ツール組立体34が、第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34bが互いに対して離間される開位置と、第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34bが互いに実質的に隣接する閉位置と、の間で、移動可能であるように、ハウジング部分32に対して枢動可能である。
【0035】
ハンドル組立体10は、固定ハンドル部材12aと、移動可能なハンドル部材12bと、バレル部分14と、を含む。移動可能なハンドル部材12bを作動させることで、ツール組立体34の第1の顎部部材34aと第2の顎部部材34bとの間で捕捉された組織に、ステープルのラインが印加される。関節運動レバー16は、ツール組立体34の関節運動を容易にするために、バレル部分14の前端に装着される。回転可能部材18もまた、関節運動レバー16に隣接してバレル部分14の前端に装着される。バレル部分14に対する回転可能部材18の回転は、ステープル留めされた組織に対してツール組立体34を適切に配向するように、ハンドル組立体10に対して細長い管状本体20及び装填ユニット30を回転させる。ノブ19は、バレル部分14に沿って移動可能に位置付け可能である。ノブ19は、互いに対してツール組立体34の第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34bに接近する又は閉じるように、遠位方向に前進され、また、互いに対してツール組立体34の第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34bから離れる又は開くように、近位方向に後退される。
【0036】
装填ユニット30は、細長い管状本体20に取り外し可能に固定されており、したがって、新しい装填ユニット30と交換可能である、使い捨ての装填ユニット(Disposable Loading Unit、「DLU」)である。装填ユニット30は、1回使用され、次に、患者への外科用ステープル留め装置1の複数回使用を容易にするために交換される、単回使用装填ユニット(Single Use Loading Unit、「SULU」)であってもよい。例えば、外科処置中に、外科用ステープル留め装置1を使用して、組織をステープル留めして切断し得るが、外科用ステープル留め装置1の各ステープル及び切断動作後に、SULU全体が交換される。装填ユニット30は、所定の回数再使用可能である、複数回使用装填ユニット(Multi-Use Loading Unit、「MULU」)であってもよい。例えば、外科処置中に、外科用ステープル留め装置1を使用して、組織をステープル留めして切断し得るが、MULU全体の交換が必要になる前に、外科用ステープル留め装置1の各ステープル及び切断動作後に、MULUの再装填組立体(例えば、図2に見られるステープルカートリッジ52)を、所定の回数だけ交換する。代替的に、装填ユニット30は、細長い管状本体20に、恒久的に固定されてもよい。
【0037】
図2及び図3に示されるように、ツール組立体34の第1の顎部部材34aは、アンビル組立体40を含み、ツール組立体34の第2の顎部部材34bは、ステープルカートリッジ組立体50を含む。外科用バットレス70は、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50に、取り外し可能に固定されている。
【0038】
アンビル組立体40は、アンビルプレート42と、アンビルプレート42の上に固定されたカバープレート44と、を含む。アンビルプレート42は、その内部に形成された中央長手方向スロット41と、その内向き面又は組織接合面46に画定されたステープル形成ポケット又は空洞43と、を有する。アンビル先端部48は、ステープル形成ポケット43の遠位方向に延在し、窓部49は、ステープル形成ポケット43の近位にアンビルプレート42及びカバー44を通って(例えば、アンビルプレート42の組織接合面46及びカバー44の外側表面44aを通って)延在する。
【0039】
ステープルカートリッジ組立体50は、カートリッジ支持体51と、カートリッジ支持体51内に選択的に受容され支持されるステープルカートリッジ52と、を含む。ステープルカートリッジ52は、例えば、スナップ嵌め接続、戻り止め、ラッチ、当業者の範囲内のその他の種類のコネクタによって、取り外し可能に及び/又は交換可能に、カートリッジ支持体51に取り付けられてもよい。ステープルカートリッジ52は、その内部に形成されたステープルポケット又は保持スロット55を画定する内向き面又は組織接合面56を有する、カートリッジ本体54を含む。中央長手方向スロット57は、駆動組立体24のナイフブレード22(図11)がそれを通ることを容易にするように、カートリッジ本体54の実質的な長さに形成され、かつそれに沿って延在する。カートリッジ先端部58は、ステープルポケット55の遠位に延在し、フック組立体60は、ステープルポケット55の近位のカートリッジ本体54の組織接合面56から外向きに、かつ中央長手方向スロット57に横方向に隣接して、延在する。フック組立体60は、アンビル組立体40に画定された窓部49と、位置合わせされている。
【0040】
図4及び図5に示されるように、フック組立体60は、フック62と、連結器64と、バネ66と、保持ピン68と、を含む。フック62は、それを通る開口部63を画定するフック本体62aと、フック本体62aから近位方向に延在しているフィンガー62bと、を含む。フック本体62aは、ステープルカートリッジ52内に画定された空洞53内に位置付けられるように、構成され寸法決めされているが、これは、中央長手方向スロット57に隣接して開口しており、フィンガー62bが空洞53から延出している。保持ピン68は、フック62をステープルカートリッジ52に枢動可能に固定するために、ステープルカートリッジ52の側面を通して、かつフック本体62aの開口部63を通して位置付けられるように、構成され寸法決めされている。連結器64及びバネ68は、フック62をステープルカートリッジ52内の所定位置へとバネ付勢するために、ステープルカートリッジ52の空洞53内に位置付け可能である。連結器64は、ヘッド64aと、ヘッド64aから近位方向に延在しているシャフト64bと、ヘッド64aとシャフト64bとの間に配置されたフランジ64cと、を含む。バネ66の第1の端部部分66aは、フランジ64cに隣接して近位にある連結器64のシャフト64bの周りに位置付けられるように構成されており、バネ66の第2の端部部分66bは、ステープルカートリッジ52の空洞53内へと遠位方向に延在しているポスト53a(図7)の周りに位置付けられるように構成されている。バネ66は、連結器64のヘッド64aを付勢してフック本体62aと接触させ、これによって、図5に示すように、フック62のフィンガー62bが近位方向に延在して空洞53から出て、ステープルポケット55に近位のステープルカートリッジ52の組織接合面56の上方に配置される。
【0041】
ここで図6を参照すると、外科用バットレス組立体70は、単一の連続構造として一緒に形成又は接合されたアンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90を含む。外科用バットレス組立体70は、図3に見られるように、その中央部分(例えば、アンビルバットレス80とカートリッジバットレス90とが接触する場所)の周りで曲げられるか又は折り畳まれ、これによって、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90は、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50に装填された場合に、互いに実質的に重なる。アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90は、実質的に同じ(例えば、互いの鏡像)であるが、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90は、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50の構造に依存して異なり得ることが、理解されるべきである。
【0042】
図3と併せて図6を引き続き参照すると、アンビルバットレス80は、アンビル組立体40の組織接合面46上に位置付けられ、ステープル形成ポケット43を覆うように構成され寸法決めされた本体82を含み、カートリッジバットレス90は、ステープルカートリッジ組立体50の組織接合面56上に位置付けられ、ステープルポケット55を覆うように構成され寸法決めされた、本体92を含む。本体82、92は、その長さに沿って実質的に均一又は一定の幅を有する。アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90はそれぞれ、本体82、92から近位方向に延在している近位タブ84、94を含む。近位タブ84、94は、本体82、92よりも幅が小さく、いくつかの態様では、本体82、92の近位端部から近位方向に先細になっている。
【0043】
近位タブ84、94はそれぞれ、それを通る近位開口部85、95を画定する。近位開口部85、95は、フック組立体60並びにアンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50の中央長手方向スロット41、57(図3)を収容する、ステープルカートリッジ52内に画定された空洞53(図5)にわたって延在するように、構成され寸法決めされている。近位開口部85、95は、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の本体82、92内へと遠位方向に延在してもよい。例えば、図6に見られるように、近位開口部85、95は、近位タブ84、94内に画定された第1の部分又は近位部分85a、95aと、本体82、92内に画定された第2の部分又は遠位部分85b、95bと、を含む、実質的に涙滴形状を有する。第1の部分85a、95aは、第2の部分85b、95bよりも大きい寸法を有し、これによって、第1の部分85a、95aは、上述したように、空洞53及び中央長手方向スロット41、57にわたって延在し、第2の部分85b、95bは、中央長手方向スロット41、57に向かって先細になり、中央長手方向スロット41、57と位置合わせされる。近位開口部85、95は、近位開口部85、95がフック組立体60のフィンガー62b(図5)に係合し、中央長手方向スロット41、57を横切って延在し得る限り、その他の構成を有してもよいことが、理解されるべきである。
【0044】
アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90はそれぞれ、本体82、92から遠位方向に延在している遠位タブ86、96を含む。遠位タブ86、96は、湾曲端部86a、96aを有し、それらを通る遠位開口部87、97を画定する。遠位開口部87、97は、アンビル先端部48及びカートリッジ先端部58(図3)の周りにループを形成するように、構成され寸法決めされている。図6に見られるように、遠位開口部87、97は、アンビル先端部48及びカートリッジ先端部58の形状に相補的である、実質的に半円形の形状を有する。遠位開口部87、97は、遠位開口部87、97がアンビル先端部48及びカートリッジ先端部58をその内部に(例えば、摩擦係合によって)受容及び保持するように構成されている限り、その他の構成を有してもよいことが、理解されるべきである。遠位タブ86、96は、その内部に画定された貫通穴81、91を更に含むが、これは、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50の中央長手方向スロット41、57(図3)と位置合わせされている。貫通穴81、91は、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の本体82、92内へと近位方向に延在してもよく、これによって、それらは、中央長手方向スロット41、57の上に部分的に重なる。
【0045】
外科用バットレス組立体70は、生体吸収性の又は非吸収性の、天然材料又は合成材料である、生体適合性材料から製造される。天然、合成、生体吸収性、及び/又は非生体吸収性の材料の任意の組み合わせを使用して、外科用バットレス組立体70を形成してもよいことが、理解されるべきである。アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90、又はそれらの部分は、同じ材料又は異なる材料から形成されてもよい。態様では、外科用バットレス組立体70は、切断して成形される単一の材料シートから形成される。
【0046】
アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90は、多孔質、非多孔質、又はこれらの組み合わせであってもよい。好適な多孔質構造としては、例えば、繊維状構造(例えば、編み込み構造、織り込み構造、及び不織構造)及び/又は発泡体(例えば、連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体)が挙げられる。好適な非多孔質構造としては、例えば、フィルムが挙げられる。本明細書に記載のアンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90は、単一の多孔質層又は非多孔質層であってもよいか、又は多孔質層及び非多孔質層の任意の組み合わせを含む複数の層を含んでもよい。例えば、アンビルバットレス80及び/又はカートリッジバットレス90は、交互様式で積層される、複数の多孔質層及び非多孔質層を含んでもよい。別の実施例では、アンビルバットレス80及び/又はカートリッジバットレス90は、外側層が多孔質であり、内側層(複数可)が非多孔質であるか、又はその逆である、「サンドイッチ状の」様式で、形成されてもよい。アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90は、同じ構造又は異なる構造の層(複数可)を有してもよい。
【0047】
外科用バットレス内の多孔質層(複数可)は、流体を吸収し、出血を低減し、及び/又は創傷を密封する、外科用バットレスの能力を増強し得る。また、多孔質層(複数可)は、組織の内殖が外科用バットレスを適所に固定することを可能にし得る。外科用バットレスの非多孔質層(複数可)は、製造中、輸送中、取り扱い中、及び/又はステープル留めプロセス中に、断裂及び穿孔に耐える外科用バットレスの能力を増強し得る。また、非多孔質層(複数可)は、周囲組織からの組織の内殖を遅延させるか、又は防止し得、それによって、癒着障壁として作用し、不要な瘢痕組織の形成を防止する。
【0048】
外科用バットレス組立体70を装填ユニット30に装填する方法において、外科用バットレス組立体70は、図3に見られるように、近位開口部85、95が互いに位置合わせされるように、アンビルバットレス80とカートリッジバットレス90との間の接合部において、折り畳まれるか又は曲げられる。図7に示されるように、第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34bが開位置にある状態で、外科用バットレス組立体70は、近位タブ84、94がフック組立体60のフィンガー62bに隣接して配置されるまで、アンビル組立体40とステープルカートリッジ組立体50との間で摺動される。近位タブ84、94は、フィンガー62bが近位開口部85、95を通過して、その上にアンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の近位タブ84、94を保持するように、フィンガー62b上を摺動される。次に、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の本体82、92は、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50のそれぞれの組織接合面46、56に隣接して位置付けられ、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の遠位タブ86、96(図2)は、遠位開口部87、97を介してアンビル先端部48及びカートリッジ先端部58と係合されて、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の遠位タブ86、96を、その上に保持する。あるいは、遠位タブ86、96は、最初にアンビル先端部48及びカートリッジ先端部58に固定されてもよく、次いで、近位タブ84、94は、次に、フック組立体60のフィンガー62bに固定されてもよい。図8に示されるように、第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34bが閉位置に移動された場合に、フック組立体60のフィンガー62bは、アンビル組立体40の窓部49内へと延在し、ツール組立体34の動作に干渉しない。
【0049】
外科用バットレス組立体70の単一部品構成は、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50にアンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90を取り付けるために必要とされる組立て工程を低減することによって、装填ユニット30への装填プロセスを単純化し、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の近位タブ84、94の両方を装填ユニット30に同時に固定するために、単一の固定具(例えば、フック組立体60)のみを必要とする。外科用バットレス組立体70は、専用のアプリケータ又は装填ツールなしで装填ユニット30に直接適用されてもよく、それによって、装填プロセスを更に単純化し、コスト及び時間を節約する。
【0050】
図9及び図10に示されるように、外科用バットレス組立体70がツール組立体34に装填された場合、カートリッジバットレス90の近位開口部95は、フック組立体60のフィンガー62bに係合し、ステープルカートリッジ組立体50の中央長手方向スロット57を横切って延在し、遠位開口部97は、カートリッジバットレス90の本体92がステープルカートリッジ52の組織接合面56を横切って延在するように、カートリッジ先端部58に係合する。更に、カートリッジバットレス90内の貫通穴91は、中央長手方向スロット57と位置合わせされ、部分的にその上に配置される。カートリッジバットレス90及びステープルカートリッジ組立体50のみが図9及び図10に示されるが、アンビルバットレス80とアンビル組立体40との間の関係は、ステープルカートリッジ組立体50に対するカートリッジバットレス90の関係と実質的に同じであることが、理解されるべきである(例えば、アンビルバットレス80の近位開口部85は、フック組立体60のフィンガー62bと係合し、遠位開口部97は、アンビル先端部48と係合し、貫通穴81は、中央長手方向スロット41と位置合わせされている)。
【0051】
外科用ステープル留め装置1(図1)は、装填ユニット30に外科用バットレス組立体70が装填されることで、使用可能となる。操作において、外科用ステープル留め装置1は、当業者に周知の方法に従って使用される。アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50が組織上へクランプされた時点で、外科用ステープル留め装置1が発射され、それによって、外科用バットレス組立体70を組織にステープル留めする。図3と併せて図11に示されるように、発射の間、駆動組立体24のナイフブレード22は、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50の中央長手方向スロット41、57を通って遠位方向に移動し、実質的に同時に、形成されたステープルの列の間に配置された組織及び外科用バットレス組立体70を、切断及び分割する。具体的には、ナイフブレード22は、近位タブ84、94及びその内部に画定された近位開口部85、95を通って移動し、それによって、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の近位タブ84、94を、フック組立体60のフィンガー62bから取り外す。発射が完了し、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50のクランプが解除された場合、ここで組織にステープル留めされているアンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90が、アンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50から引き離され、ツール組立体34が、手術部位から取り外され得る。具体的には、アンビルバットレス80及びカートリッジバットレス90の遠位タブ86、96は、外科用バットレス組立体70がアンビル組立体40及びステープルカートリッジ組立体50から引き離される際に、貫通穴81、91に沿って遠位タブ86、96を引きはがすことによって、アンビル先端部48及びカートリッジ先端部58から取り外される。次に、使用済みのステープルカートリッジ52がツール組立体34から取り外されて、新しいステープルカートリッジ52と交換されてもよい。新しい外科用バットレス組立体70は、上述したように、必要又は所望に応じて、装填ユニット40上へと設置されてもよい。
【0052】
ここで図12を参照すると、外科用ステープル留め装置1の装填ユニット30(図1)における使用に好適な、本開示の別の態様に従ったステープルカートリッジ組立体150及びカートリッジバットレス190が示される。ステープルカートリッジ組立体150は、図3のステープルカートリッジ組立体50と実質的に同様である。ステープルカートリッジ組立体150は、カートリッジ支持体151と、カートリッジ支持体151内に選択的に受容され支持されるステープルカートリッジ152と、を含む。ステープルカートリッジ152は、その内部に形成されたステープルポケット又は保持スロット155を画定する内向き面又は組織接合面156を有する、カートリッジ本体154を含む。中央長手方向スロット157は、ナイフブレード(図示せず)がそれを通ることを容易にするように、カートリッジ本体154の実質的な長さに形成され、かつそれに沿って延在する。カートリッジ先端部158は、ステープルポケット155の遠位でカートリッジ本体154から延在し、フック組立体160は、ステープルポケット155の近位でカートリッジ本体154の組織接合面156から外向きに延在する。
【0053】
図13に示されるように、フック組立体160は、一対のフック162を含み、各フック162は、ステープルカートリッジ152の中央長手方向スロット157の反対側に配置される。各フック162は、ステープルカートリッジ152の組織接合面156に維持又は固定される第1の端部164aと、そこから延在しているフィンガー166を含む第2の端部164bと、を有する、アーム164を含む。アーム164は、組織接合面156から離れて上向きに延在し、フィンガー166は、フィンガー166がステープルカートリッジ152の組織接合面156に対して離間した関係で配置されるように、アーム164から近位方向に延在する。フィンガー166は、以下で更に詳細に説明するように、カートリッジバットレス190の近位タブ194(図12)をそこへと捕捉するためにフィンガー166が近位方向に向く限り、その他の構成を有してもよい(例えば、アーム164に対して角度付けられ、湾曲され、又は曲げられることが、理解されるべきである。
【0054】
図14に示されるように、カートリッジバットレス190は、ステープルカートリッジ組立体150の組織接合面156(図13)上に位置付けられ、ステープルポケット155を覆うように構成され寸法決めされた、本体192を含む。近位タブ194は、本体192から近位方向に延在する。近位タブ194は、それを通る近位開口部195を画定し、湾曲した近位端部194aを有する。近位開口部195は、ステープルカートリッジ152のフック組立体160(図13)に係合するように構成され寸法決めされる。カートリッジバットレス190は、本体192から遠位方向に延在している拡張可能領域198と、拡張可能領域198から遠位方向に延在している遠位タブ196と、を含む。拡張可能領域198は、カートリッジバットレス190を元の構成又は非伸張構成(図14)から伸張構成(図15)へと軸方向に一時的に伸長させるために、そこへと力が印加される際に、付勢状態又は非拡張状態(図14)と拡張状態(図15)との間で移行するように、構成されている。拡張可能領域198は、本体192と遠位タブ196とを相互接続し、それらの間に画定される開口部199を有する、一対の弾性バンド198a、198bとして示されるが、拡張可能領域198のその他の構成が想定される(例えば、拡張可能領域198は、材料の固体片であってもよい)ことが、理解されるべきである。遠位タブ196は、それを通る遠位開口部197を画定し、湾曲した遠位端部196aを有する。遠位開口部197は、ステープルカートリッジ組立体150のカートリッジ先端部158(図12)に係合するように構成され寸法決めされる。遠位タブ196は、ステープルカートリッジ組立体150の中央長手方向スロット157(図12)と位置合わせされた、その内部に画定された貫通穴191を更に含む。
【0055】
カートリッジバットレス190は、図6の外科用バットレス組立体70に関して上述したように、生体吸収性の又は非吸収性の、天然材料又は合成材料である、生体適合性材料から製造される。カートリッジバットレス190の本体192、近位タブ194、及び遠位タブ196は、拡張可能領域198を形成する材料(複数可)と比較して、比較的剛性である、同じ材料又は異なる材料から形成されてもよい。したがって、カートリッジバットレス190の本体192、近位タブ194、及び遠位タブ196は、可撓性であってもよく、(例えば、繊維及び/又は発泡体から形成される場合に)わずかな撓みを有する場合があるが、カートリッジバットレス190の伸張は、主に、拡張可能領域198において生じる。拡張可能領域198は、力がそこへと印加された際に伸張し、力が印加されないとその元の形状に戻る、弾性材料から形成される。
【0056】
カートリッジバットレス190をステープルカートリッジ組立体150に装填する方法において、カートリッジバットレス190の近位タブ194は、図15に示されるように、フィンガー166が近位開口部195を通過してカートリッジバットレス190の近位タブ194をその上に保持するように、フック組立体160のフック162上を摺動させられる。次に、カートリッジバットレス190の遠位タブ196は、矢印「A」の方向に遠位方向に引かれ、これによって、カートリッジバットレス190の本体192は、ステープルカートリッジ組立体150の組織接合面156の上に延在し、拡張可能領域198は、拡張状態に移行し、これによって、遠位タブ196によって、カートリッジ先端部158の周りにループが形成され得る。図16に見られるように、遠位タブ196がカートリッジ先端部158と係合した際に、拡張可能領域198は、その非拡張状態に戻り、カートリッジバットレス190が装填されたステープルカートリッジ組立体150は、使用可能となる。
【0057】
加えて又は代替として、図17に示されるように、アンビル組立体140は、アンビルバットレス180の近位タブ184をアンビル組立体140に取り外し可能に固定するためのフック組立体160を含んでもよい。アンビルバットレス180は、カートリッジバットレス190と実質的に同じであり、アンビル組立体140の組織接合面146上に位置付けられるように構成され寸法決めされた本体182と、本体182から近位方向に延在している近位タブ184と、本体182から遠位方向に延在する拡張可能領域188と、拡張可能領域188から遠位方向に延在している遠位タブ186と、を含む。ステープルカートリッジ組立体150及びアンビル組立体140の両方がフック組立体160を含む態様では、フック組立体160は、第1の顎部部材34a及び第2の顎部部材34b(図1)の開閉に干渉しないように、互いに対して横方向か又は長手方向かのいずれかに離間した関係で、位置付けられている。
【0058】
アンビルバットレス180及びカートリッジバットレス190の拡張可能領域188、198は、アンビルバットレス180及びカートリッジバットレス190が、フック組立体160及び/又はアンビル先端部148若しくはカートリッジ先端部158上での組立て中に伸長された後に、アンビルバットレス180及びカートリッジバットレス190をそれらの元の形状に戻す(例えば、張力又は緊縮性を提供する)ことによって、装填プロセス中のバットレス変形の発生を最小化する。アンビルバットレス180及びカートリッジバットレス190は、専用のアプリケータ又は装填ツールなしで装填ユニット30に直接適用されてもよく、それによって、装填プロセスを単純化し、コスト及び時間を節約する。
【0059】
上記では、手持ち式手動作動外科用デバイスにおいて使用されるように図示されているが、装填ユニット30が、種々の電気機械外科用器具及び/又は電気外科用器具と共に使用するために構成されることが企図され、本開示の範囲内である。例えば、装填ユニット30は、手持ち式電気機械外科用デバイス(例えば、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開公報第2016/0310134号に示されて記載される、手持ち式電気機械外科用システム)によって取り外し可能に連結可能であり、また制御可能であるように、構成されてもよい。別の実施例として、装填ユニット30は、ロボット外科用システム(例えば、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開公報第2012/0116416号に示されて記載される、ロボット外科用システム)によって取り外し可能に連結可能であり、また制御可能であるように、構成されてもよい。
【0060】
本開示の態様が図面に示されているが、本開示は当該技術分野が許容する広い範囲として捉えられるべきであり、本明細書も同様に読み取られるべきであると考えられる故に、本開示はこれらの態様に限定されるものではないことが、意図される。したがって、本開示は、説明される正にその態様に限定されるものではなく、様々なその他の変更及び修正が、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、当業者によりなされ得ることが、理解されるべきである。追加的に、特定の本開示の態様に関連して示され、説明されている要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定のその他の態様の要素及び特徴と組み合わせられてもよく、このようなその修正及び変形形態もまた、本開示の範囲に含まれる。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に本開示の態様の例証として解釈されるべきである。したがって、本開示の範囲は、与えられた実施例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって、決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
【国際調査報告】