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特表2024-525367アルミニウム脱酸高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】アルミニウム脱酸高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセス
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/00 20060101AFI20240705BHJP
   C21C 7/06 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 7/10 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 5/28 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 5/46 20060101ALI20240705BHJP
   C21C 5/52 20060101ALI20240705BHJP
   B22D 11/00 20060101ALI20240705BHJP
   B22D 11/10 20060101ALI20240705BHJP
   B22D 41/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C21C7/00 H
C21C7/06
C21C7/00 F
C21C7/10 A
C21C5/28 Z
C21C5/46 103E
C21C5/52
B22D11/00 A
B22D11/10 310G
B22D11/10 330S
B22D41/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578048
(86)(22)【出願日】2022-05-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2022091378
(87)【国際公開番号】W WO2022267707
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110693371.2
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025469
【氏名又は名称】中天鋼鉄集団有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523025296
【氏名又は名称】常州中天特鋼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】王 昆鵬
(72)【発明者】
【氏名】▲ホウ▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲エイ▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 建飛
(72)【発明者】
【氏名】趙 陽
(72)【発明者】
【氏名】謝 立
(72)【発明者】
【氏名】陳 廷軍
【テーマコード(参考)】
4K013
4K014
4K070
【Fターム(参考)】
4K013AA09
4K013BA08
4K013CE01
4K013EA19
4K013EA28
4K013FA05
4K013FA06
4K014CA03
4K014CB05
4K014CD14
4K070AA02
4K070AC24
4K070CD00
(57)【要約】
本発明は、鉄鋼冶金の分野に属し、アルミニウム脱酸軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセスに関する。本発明は、LF精錬スラグがCaO-Al-SiOスラグ系を用い、最終スラグの塩基度CaO/SiOを3.0~4.5の範囲に制御し、最終スラグのCaO/Alを1.3~2.5の範囲に制御し、精錬スラグの添加量を8~10kg/tにするとともに、最終スラグがFeO+MnO<0.8%を満たすことを要求し、取鍋の溶融池及び取鍋底部がアルミニウムカーボン質材料を用い、タンディッシュがアルミナ質乾燥材料を用い、ストッパーが一体型アルミニウムカーボン質材料を用いる。本発明は、スラグ鋼反応を抑制するとともに、溶鋼と耐火物との間の反応を低減し、スピネル介在物の生成を低減し、顕著に連続鋳造炉数を増加させ、水浸探傷の合格率を高めることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転炉/電気炉-LF精錬-RH真空処理-ビレット連続鋳造という流れを有し、
(1)転炉/電気炉で製鋼し、出鋼過程において、鋼中のアルミニウム含有量が0.03~0.06%になるまで一度にアルミニウム粒子を添加して脱酸するとともに、鋼中のSi含有量が0.10~0.16%になるまで低チタン低アルミニウムフェロシリコンを添加し、
(2)LF処理前にスラグを掻き取ったり、すくい上げたりし、LF精錬が終了した後、最終スラグの塩基度CaO/SiOを3.0~4.5の範囲に制御し、最終スラグのCaO/Alを1.3~2.5の範囲に制御するとともに、最終スラグが0.3%<FeO+MnO<1.0%を満たすことを要求し、LF処理過程において鋼にアルミニウム粒子を追加せず、
(3)生産プロセスにおける耐火物の成分を制御し、
取鍋の溶融池及び取鍋底部がアルミニウムカーボン質材料を用い、取鍋のスラグラインが通常のマグネシウムカーボン質スラグラインを用い、
タンディッシュがアルミナ質乾燥材料を用い、
ストッパーが一体型アルミニウムカーボン質材料を用い、10~20%のC、70~80%のAl、3~7%のSiO、0.1~0.5%のAlという成分からなり、
浸漬ノズルの碗形開口部が80~90%のZrO、10~20%のSiOという成分からなる、
ことを特徴とするアルミニウム脱酸高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセス。
【請求項2】
取鍋の溶融池及び取鍋底部に用いられるアルミニウムカーボン質材料は、具体的に、7~12%のC、75~86%のAl、5~10%のSiO、0.5~1.5%のAlという成分からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム脱酸高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセス。
【請求項3】
タンディッシュに用いられるアルミナ質乾燥材料は、具体的に、80~90%のAl、3~8%のSiOという成分からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム脱酸高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼冶金の分野に属し、アルミニウム脱酸軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
軸受は、機械部品の重要な部位であり、その疲労寿命及び性能安定性に対する要求が非常に高い。研究によると、軸受鋼の清浄度は、軸受の疲労寿命及び性能安定性に重要な影響を与える。したがって、軸受鋼は、精錬過程において、通常、金属アルミニウムを用いて脱酸し、かつ高塩基度の精錬スラグを用いることにより、清浄度を保証する。従来のプロセスは、通常、鋼中の全酸素を6ppm以下に制御することにより、軸受鋼の超高清浄度の制御を実現することができる。しかしながら、アルミニウム脱酸及び高塩基度の精錬スラグを用いて精錬すると、鋼中にマグネシア-アルミナスピネル介在物が生成されることが多い。マグネシア-アルミナスピネル介在物は、融点が2053℃であり、サイズが10μm以下であり、製鋼の温度条件下で固体であり、これらの微細な固体スピネル介在物は、注湯過程においてストッパーの先端及び浸漬ノズルの内壁に集まり、ストッパーの上昇及びノズルの閉塞を引き起こし、最終的に連続鋳造生産の中断につながる。また、ストッパーの先端及び浸漬ノズルの内壁に付着したスピネル介在物は、溶鋼により押し流されてはげ落ちて溶鋼に入り、最終的に溶鋼に残留して大きなサイズのマクロ介在物を形成して製品の水浸探傷の不合格を引き起こす。したがって、スピネル介在物は、軸受鋼の連続鋳造生産に影響を与え、連続鋳造炉数が低すぎて(通常、6炉以下)、生産コストが高くなるだけでなく、軸受鋼の製品品質に影響を与え、特に軸受鋼中の大きなサイズのマクロ介在物が基準を超えてしまうという問題をもたらす。
【0003】
軸受鋼の連続鋳造炉数が低いという問題を解決するために、特許CN102851443Bには、「アルミニウム脱酸軸受鋼の連続鋳造炉数の増加方法」が開示されており、それは、主にRH真空処理後のCa処理によって鋳造性を改善し、RH真空処理後に1トンあたりの鋼に0.10Kgのカルシウムシリコン合金を供給することで、軸受鋼の連続鋳造炉数を6炉以上に増加させることができる。研究によると、鋼中のCa含有量が高いほど、軸受鋼中のカルシウムアルミン酸塩系介在物が基準を超える確率が高くなる。中高級の軸受鋼の生産過程において、任意の形式のCa処理を厳しく禁止することが明らかに要求される。
【0004】
特許CN110093553Aには、「高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の大幅増加のための生産方法」が開示されており、それは、主に、ジルコニウムカルシウムカーボン質浸漬ノズルを用い、アルゴンを吹き付けることで、連続鋳造炉数を15~18炉に増加させることができる。その原理は、ジルコニウムカルシウムカーボン質ノズルと鋼中のスピネルが液体カルシウムアルミン酸塩を形成し、同時にアルゴンを吹き付けることで、スピネルが耐火物内壁に集まることを防止する目的を達成することである。当該特許の方法は、介在物の集まりを防止する観点から鋳造性を改善するが、鋼中の介在物の数を低減できないことが分かる。
【0005】
鋼中のマグネシア-アルミナスピネルが耐火物表面に集まることは、ストッパーの上昇、浸漬ノズルの閉塞を引き起こす主な原因であり、集まったスピネルが溶鋼により押し流されてはげ落ちて溶鋼に入ることは、最終製品の水浸探傷の不合格を引き起こす原因である。
【0006】
マグネシア-アルミナスピネルは、軸受鋼の鋳造性を改善する際に減少又は回避すべき介在物であり、スピネルの生成量は、塩基度の増加に伴って増加し、塩基度の低下に伴って低下する。しかしながら、軸受鋼には、非常に低い酸素含有量が要求され(特高級の軸受鋼には、全酸素含有量<6ppmが要求される)、精錬スラグの塩基度を低下させるだけで、軸受鋼の酸素含有量が増加し、他の多くの不利な影響要因をもたらし、さらに軸受鋼の品質を低下させる。
【0007】
したがって、軸受鋼が非常に低い酸素含有量を有することを保証するとともに、スピネルの生成を抑制し、連続鋳造炉数を大幅に増加させることは、本発明が解決しようとする技術的課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
背景技術で示された、軸受鋼の鋳造性が低く、水浸探傷に不合格であるという問題に対して、本発明は、アルミニウム脱酸高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の技術手段としては、アルミニウム脱酸高炭素クロム軸受鋼の連続鋳造炉数の増加のための生産プロセスは、転炉/電気炉-LF精錬-RH真空処理-ビレット連続鋳造という流れを有し、他の説明されていないプロセスは、通常のプロセスであり、製品要求に応じて制御すればよい。
【0010】
(1)出鋼過程において、鋼中のアルミニウム含有量が0.03~0.06%になるまで一度にアルミニウム粒子を添加して脱酸するとともに、鋼中のSi含有量が0.10~0.16%になるまで低チタン低アルミニウムフェロシリコンを添加し、LF処理前にスラグを掻き取ったり、すくい上げたりし、
(2)LF精錬スラグに石灰、珪砂、CaO-Al系予備溶融スラグのうちの1種又は複数種を添加し、LF精錬が終了した後、最終スラグの塩基度CaO/SiOを3.0~4.5の範囲に制御し、最終スラグのCaO/Alを1.3~2.5の範囲に制御するとともに、最終スラグが0.3%<FeO+MnO<1.0%を満たすことを要求し、LF処理過程においてアルミニウム粒子の追加を禁止し、前記精錬スラグの添加量を8~10kg/tにし、
(3)製品の要求に応じてRH真空処理-ビレット連続鋳造を制御すればよく、製錬プロセスに関連する主な耐火物の成分を別途制御する必要があり、
取鍋の溶融池及び取鍋底部がアルミニウムカーボン質材料を用い、7~12%のC、75~86%のAl、5~10%のSiO、0.5~1.5%のAlという成分からなり、取鍋のスラグラインが通常のマグネシウムカーボン質スラグラインを用いる。
【0011】
取鍋の精錬スラグに対する耐侵食性を保証するために、取鍋のスラグライン部位は、いずれもマグネシウムカーボン質取鍋レンガを用いて築かれ、スラグライン中の酸化マグネシウムは、精錬スラグに溶解し、精錬スラグの成分と溶鋼の酸素ポテンシャルが適切に制御されない場合、この部分の溶解した酸化マグネシウムは、還元されて溶鋼に入り、さらに鋼中の酸化アルミニウムと反応してスピネルを生成する。スラグに溶解した酸化マグネシウムが還元されることを防止し、さらにスピネルの生成を抑制する目的を達成するために、精錬スラグのCaO/SiO、CaO/Alなどの条件間の相乗作用を制御する必要がある。
【0012】
タンディッシュがアルミナ質乾燥材料を用い、80~90%のAl、3~8%のSiOという成分からなる。
【0013】
ストッパーが一体型ストッパーを用い、10~20%のC、70~80%のAl、3~7%のSiO、0.1~0.5%のAlという成分からなり、
浸漬ノズルの碗形開口部が80~90%のZrO、10~20%のSiOという成分からなる。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0015】
本発明は、試験と模索により最適な精錬スラグ系組成を得て、例えば、塩基度CaO/SiO=3~4.5の場合、CaO/Alなどの条件を適切に制御し、互いに相乗作用を有することにより、当該スラグ系に対して、スラグ鋼反応による溶鋼中のMg増加を最大限に低減し、溶鋼中の酸素含有量を非常に低く保証するとともに、アルミニウムカーボン質質耐火物を用いることで、耐火物から鋼へのMg供給を低減することができる。したがって、従来技術と比較して、本発明は、まず、鋼中のMg含有量を効果的に低減し、スピネルの生成量を低減し、かつ溶鋼中の酸素含有量を非常に低く保証することにより、溶鋼の清浄度を向上させることができ、次に、Al-C質耐火物によって、鋼中のスピネル介在物が耐火物表面に集まることを効果的に低減することにより、連続鋳造炉数を大幅に増加させることができる。本発明は、サイズの大きい介在物による水浸探傷の不合格の問題を効果的に解決することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例)
試験される鋼種は、高炭素クロム軸受鋼であり、グレードは、GCr15であり、「転炉/電気炉-LF精錬-RH真空処理-ビレット連続鋳造」という流れで生産される。
【0017】
(1)出鋼過程において、鋼中のアルミニウム含有量が0.03~0.06%になるまで一度にアルミニウム粒子を添加して脱酸するとともに、鋼中のSi含有量が0.10~0.16%になるまで低チタン低アルミニウムフェロシリコンを添加し、LF処理前にスラグを掻き取ったり、すくい上げたりし、
(2)LF精錬スラグに石灰、珪砂又はCaO-Al系予備溶融スラグのうちの1種又は複数種を添加し、LF精錬が終了した後、精錬スラグの最終スラグの塩基度CaO/SiOを3.0~4.5の範囲に制御し、最終スラグのCaO/Alを1.3~2.5の範囲に制御し、精錬スラグの添加量を8~10kg/tにするとともに、最終スラグが0.3%<FeO+MnO<1.0%を満たすことを保証することを要求し、LF処理過程において鋼へのアルミニウム粒子の追加を禁止し、
(3)LF精錬が完了した後、通常のプロセスで溶鋼にRH真空処理を行い、処理時間を25min以上にし、
(4)RH真空破壊後、「5機5流」連続鋳造機を用いて溶鋼を連続鋳造し、ビレットの断面を280mm×320mmにする。
【0018】
LF精錬の最終スラグの成分は、表1の実施例1~8に示され、取鍋の溶融池及び取鍋底部は、アルミニウムカーボン質取鍋レンガを用いて築かれ、取鍋レンガの成分は、表1の実施例1~8に示される。連続鋳造タンディッシュ、ストッパー及び浸漬ノズルの碗形開口部の耐火物の成分は、表2の実施例1~8に示される。
【0019】
他の明確に説明されていないプロセス操作は、いずれも業界内の通常操作である。
【0020】
(比較例)
「転炉/電気炉-LF精錬-RH真空処理-ビレット連続鋳造」という流れで生産される。
【0021】
(1)出鋼過程において、アルミニウム粒子を添加して脱酸するとともに、一部の低チタン低アルミニウムフェロシリコンを添加し、LF処理前にスラグを掻き取ったり、すくい上げたりし、
(2)LF精錬スラグに石灰、珪砂又はCaO-Al系予備溶融スラグを添加し、精錬の最終スラグの成分を表1の比較例1~6に示し、
(3)LF精錬が完了した後、通常のプロセスで溶鋼にRH真空処理を行い、処理時間を25min以上にし、
(4)RH真空破壊後、「5機5流」連続鋳造機を用いて溶鋼を連続鋳造し、ビレットの断面を280mm×320mmにする。
【0022】
取鍋の溶融池及び取鍋底部は、アルミニウムカーボン質取鍋レンガを用いて築かれ、取鍋レンガの成分は、表1の比較例1~10に示される。連続鋳造タンディッシュ、ストッパー及び浸漬ノズルの碗形開口部の耐火物の成分は、表2の比較例1~10に示される。
【0023】
他の明確に説明されていないプロセス操作は、いずれも業界内の通常操作である。
【0024】
(試験例1)
上記比較例及び実施例に従って、ストッパーが限界まで上昇して、溶鋼の流れを遮断するまで軸受鋼を連続生産する。各プロセス条件下での最大連続鋳造炉数を統計する。ビレットをサンプリングし、各プロセス条件下でのビレットのMg含有量及び鋼中のスピネル介在物の数密度を分析し、Mg含有量がICPを用いて測定され、スピネルの数密度が自動走査電子顕微鏡を用いて得られ、走査面積が100mmである。
【0025】
(試験例2)
実施例及び比較例で得られたビレットを直径60mmの棒材に圧延し、周波数10MHzの超音波水浸探傷装置を用いて得られた棒材を探傷し、炉ごとに1本の棒材を探傷し、寸法120μm以上の欠陥が現れると、不合格とし、各プロセス条件下での合格率を統計し、かつ棒材の全酸素含有量を分析する。
【0026】
実施例及び比較例の精錬の最終スラグ及び取鍋スラグの主な成分、%
【表1】
注:精錬スラグ中のMgO含有量は、3~5%であり、表中のデータは、MgO含有量を考慮していない。
【0027】
実施例及び比較例の連続鋳造耐火物の主な成分、%
【表2】
【0028】
実施例及び比較例の生産実績の比較
【表3】
【0029】
本発明に係るプロセス条件では、鋼中のMg含有量は、2~5ppmに制御することができ、ビレット中のスピネルの数密度は、20~47個/mmであり、また、連続鋳造炉数は、12~15炉/回に達することができる。従来の比較例のプロセスでは、鋼中のMg含有量は、9~13ppmであり、ビレット中のスピネルの数は、103~176個/mmに達し、いずれも本発明に係るプロセスより高い。スピネルの数が高いため、従来の比較例のプロセスにおける連続鋳造炉数が4~8炉/回だけであり、本発明に係るプロセスより遥かに低い。試験例1の結果を表3に詳しく示す。以上の比較結果から分かるように、本発明に係る制御手段は、鋼中のスピネルの数を大幅に低減し、連続鋳造炉数を顕著に増加させることができる。
【0030】
また、試験例2の結果から明らかなように、本発明に係るプロセスで生産された鋼種には、120μmを超える介在物が検出されず、全ての水浸探傷に合格するが、比較例の水浸探傷の合格率が20~50%のみであり、実施例の圧延材の全酸素含有量が4.3~5.5ppmであり、比較例の圧延材の全酸素含有量が5.1~6.7ppmである。以上の試験結果から明らかなように、本発明に係る手段は、連続鋳造炉数を増加させるとともに、圧延材の全酸素含有量を低減し、圧延材の水浸探傷の合格率を大幅に高めることができる。
【0031】
以上の実施例は、本発明の技術手段を限定するものではなく、説明するためにのみ使用される。上記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として本発明を修正するか又は同等置換することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱しない全ての修正又は部分置換は、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。
【国際調査報告】