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▶ ミルメド ウニコ アーベーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】炎症治療用酵母
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/16 20060101AFI20240705BHJP
   A61K 36/06 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20240705BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20240705BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 31/539 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
   A23L 31/10 20160101ALI20240705BHJP
【FI】
C12N1/16
A61K36/06 Z
A61P29/00
A61K41/00
A61P1/04
A61P1/00
A61K35/741
A61K9/08
A61K9/14
A61K31/07
A61K31/375
A61K31/539
A61K33/30
A61P43/00 121
A23L31/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578086
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 SE2022050656
(87)【国際公開番号】W WO2023277778
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】2150837-9
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522125630
【氏名又は名称】ミルメド ウニコ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】アーチャー トレヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ブシナロ リタ
(72)【発明者】
【氏名】レンツ トーマス
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE02
4B018LE05
4B018MD81
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF14
4B065AA72X
4B065AA80X
4B065AA81X
4B065AB10
4B065AC20
4B065BA16
4B065BB02
4B065BB20
4B065CA44
4C076AA12
4C076AA29
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC16
4C076FF70
4C084AA11
4C084MA17
4C084MA43
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA66
4C084ZB11
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA18
4C086DA14
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZB11
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC12
4C087CA09
4C087MA17
4C087MA43
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA66
4C087ZB11
4C087ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA10
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA66
4C206ZB11
4C206ZC75
(57)【要約】
【要約】炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に使用するための酵母細胞であって、1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、又は1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞、及びこのような酵母細胞を含む組成物。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に使用するための酵母細胞であって、
1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、又は1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞。
【請求項2】
前記炎症とは、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、自己免疫疾患、微生物によって引き起こされる炎症、からなる群から選択され、及び/又は、
前記炎症によって引き起こされる症状とは、熱、痛み、赤み、腫れ、機能低下及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項1記載の酵母細胞。
【請求項3】
前記炎症とは、クローン病や潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患(IBD)、又は過敏性腸症候群(IBS)である、
請求項1又は2記載の酵母細胞。
【請求項4】
前記電磁波は、例えば10GHzから100GHz、例えば30GHzから70GHz、例えば40GHzから65GHz等の約1GHzから約200GHzの範囲内である、
請求項1から3のいずれかに記載の酵母細胞。
【請求項5】
前記電磁波は、30GHz、31GHz、32GHz、33GHz、34GHz、35GHz、36GHz、37GHz、37.5GHz、38GHz、39GHz、40GHz、41GHz、42GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHz、55GHz、56GHz、57GHz、58GHz、59GHz、60GHz、61GHz、62GHz、63GHz、64GHz、65GHz、66GHz、67GHz、68GHz、69GHz、70GHz、71GHz、72GHz、73GHz、74GHz、75GHz、76GHz、77GHz、78GHz、79GHz、80GHz、81GHz、82GHz、83GHz、84GHz、85GHz、86GHz、87GHz、88GHz、89GHz、及び90GHzからなる群から選択される、
請求項4記載の酵母細胞。
【請求項6】
前記電磁波の電力密度は1mW/cm未満であり、
好ましくは、前記電磁波の電力密度は0.004mW/cmから0.2mW/cmの範囲にある、
請求項1から5のいずれかに記載の酵母細胞。
【請求項7】
前記電磁波は、平均周波数の0.01%から約0.5%の範囲内の周波数において変調される、
請求項1から6のいずれかに記載の酵母細胞。
【請求項8】
酵母細胞は、例えば20から130分間、例えば20から120分間、例えば30から90分間、例えば35から85分間、例えば45から80分間、例えば40分間、例えば50分間、例えば60分間、例えば70分間、例えば80分間等の10から240分の間の期間、電磁波で処理される、
請求項1から7のいずれかに記載の酵母細胞。
【請求項9】
酵母細胞はサッカロミセス属であり、例えばサッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・カールスベルゲンシスからなる群から選択される酵母細胞である、
請求項1から7のいずれかに記載の酵母細胞。
【請求項10】
炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に使用するための組成物であって、
請求項1~9のいずれかに記載の少なくとも1の酵母細胞と、賦形剤、及び/又は担体とを含む、
組成物。
【請求項11】
少なくとも1のビタミン及び/又は少なくとも1のミネラルをさらに含む、
請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は経口摂取用である、
請求項10又は11記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は液体組成物である、
請求項10から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、10×10CFU/mlから50×10CFU/ml、好ましくは20×10CFU/mlから40×10CFU/ml、例えば30×10CFU/mlの量の酵母細胞を含む、
請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は粉末組成物である、
請求項10から12のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に使用するための酵母細胞、ならびにこの酵母細胞を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症とは、病原体、有毒化合物、損傷した細胞、又は放射線照射等の有害刺激に対する身体の防御反応である。慢性炎症とは、数か月から数年続く軽度の長期的な炎症である。自己炎症は、身体が自身の組織に対して炎症反応を示す際に発生する。炎症の主症状として、熱、痛み、赤み、腫れ、及び機能低下が挙げられる。
【0003】
通常、炎症の治療として、いくつかの異なる薬剤が使用されるが、薬剤の多くは反作用を有する。
【0004】
したがって、炎症及び/又は炎症に関連する症状に対してより良い治療又は緩和を可能にする新規の組成物及び方法が必要とされている。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、本発明の上記及び他の目的は、請求項1によって定義される酵母細胞によって、完全に又は少なくとも部分的に達成される。この請求項によれば、これらの目的は、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に使用するための酵母細胞であって、1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、又は1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞によって達成される。この酵母細胞は、1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞から、数世代、例えば最大300、200、100世代や、例えば最大95、90、85、80、75、70、65、60、55、50世代や、例えば47、45、42、40、37、35、32、30、27、25、22、20、17、15、12、10、7、5世代にわたり増殖され得る。
【0007】
本開示の酵母細胞の利点として、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和の改善及びコスト効率(cost-effective)の改善が挙げられる。
【0008】
第2の態様によれば、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に使用するための組成物であって、本開示の酵母細胞のうちの少なくとも1つと、賦形剤(添加材。excipient)、及び/又は担体(キャリア、保菌体。carrier)とを含む組成物が提供される。
【0009】
本発明及びその実施形態の更なる有利な特徴は、添付の特許請求の範囲及び発明を実施するための形態に定義される。
【0010】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、添付の特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。本発明は、特徴の全ての可能な組み合わせに関することに留意されたい。
【0011】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で明示的に定義されていない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the」が付された「要素、デバイス、構成要素、手段、ステップ等」への言及の全ては、別に明示的に述べられていない限り、上記要素、デバイス、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの例を指すものとして広く解釈されるべきである。本明細書に開示された任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示されたとおりの順序で実行される必要はない。
【0012】
本明細書で使用される「含む(有する)」(comprising)という用語及びその変形は、他の追加物、構成要素、整数、又はステップを除外することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
更なる目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照しながら、以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【0014】
図1図1Aは、未処理酵母細胞の増殖曲線を示す図である。図1Bは、処理済細胞の増殖曲線を示す図である。
図2】IL-1βのLPS誘導性発現(LPS-induced expression)に対する本開示の組成物の効果を示す図である(対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005)。
図3】IL-6のLPS誘導性発現に対する本開示の組成物の効果を示す図である(対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005)。
図4】TNF-αのLPS誘導性発現に対する本開示の組成物の効果を示す図である(対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005)。
図5(1)】iNOSのLPS誘導性発現に対する本開示の組成物の効果を示す図である(対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005)。
図5(2)】iNOSのLPS誘導性発現に対する本開示の組成物の効果を示す図である(対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005)。
図6】ARG-1発現のLPS誘導性減少に対する本開示の組成物の効果を示す図である(対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005)。
図7】細胞面積におけるLPS誘導性変化に対する本開示による組成物の効果を示す図である(対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
医学、生物学、バイオテクノロジー等の非伝統的な分野での低強度の電磁ミリ波の使用は、1960年代半ばにロシアで始まった。
【0016】
驚くべきことに、1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞(いわゆる処理済酵母細胞又は処理済酵母)又は処理済酵母細胞から増殖した酵母細胞は、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に有効であることが発見された。本開示の酵母細胞の利点として、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和の改善及びコスト効率(cost-effective)の改善が挙げられる。この酵母細胞は、遺伝子組換えされていない酵母細胞である。
【0017】
この酵母細胞は、1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞から、数世代、例えば最大300、200、100世代や、例えば最大95、90、85、80、75、70、65、60、55、50世代や、例えば47、45、42、40、37、35、32、30、27、25、22、20、17、15、12、10、7、5世代にわたり増殖され得る。したがって、この酵母細胞は、本明細書に記載のように電磁波で処理された後、数世代、例えば最大300、200、100世代や、例えば最大95、90、85、80、75、70、65、60、55、50世代や、例えば47、45、42、40、37、35、32、30、27、25、22、20、17、15、12、10、7、5世代にわたり増殖され得る。
【0018】
通常、本明細書に記載された用途で使用される酵母細胞は、例えば15から40世代、例えば20から30世代、例えば25から30世代、例えば26、27、28又は29世代等10から50世代にわたって増殖されている。好ましくは、本明細書に記載の用途で使用される酵母細胞は、25から30世代、より好ましくは27世代にわたって増殖され得る。
【0019】
電磁波は、当技術分野において既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイスを用いて伝送され得る。この電磁波の電力密度は、例えば約0.1mW/cmや、例えば0.004mW/cmから0.2mW/cmの間等の1mW/cm以下であり得る。
【0020】
一実施形態において、炎症とは、炎症性腸疾患(IBD、inflammatory bowel disease)、過敏性腸症候群(IBS、irritable bowel syndrome)、自己免疫疾患、微生物によって引き起こされる炎症、からなる群から選択され、炎症によって引き起こされる症状とは、熱、痛み、赤み、腫れ、機能低下及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
炎症とは、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)からなる群から選択され得る。
【0022】
この炎症性腸疾患(IBD)とは、クローン病や潰瘍性大腸炎であり得る。
【0023】
自己免疫疾患とは、多発性硬化症、乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE、systemic lupus erythematosus)、又はリウマチ性多発筋痛症であり得る。
【0024】
微生物によって引き起こされる炎症とは、帯状疱疹やライム病関節炎による炎症であり得る。
【0025】
微生物によって引き起こされる炎症とは、慢性副鼻腔炎であり得る。
【0026】
他の実施形態において、炎症とは、クローン病や潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患(IBD)、又は過敏性腸症候群(IBS)である。
【0027】
さらに他の実施形態において、電磁波は、例えば10GHzから100GHz、例えば30GHzから70GHz、例えば40GHzから65GHz等の約1GHzから約200GHzの範囲内である。振動周波数は、約35GHzから約65GHzの範囲内であり得る。振動周波数は、42.2GHzであり得る。
【0028】
電磁波は、当技術分野において既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイスを用いて伝送され得る。この電磁波の電力密度は、例えば約0.1mW/cmや、例えば0.004mW/cmから0.2mW/cmの間等の1mW/cm以下であり得る。
【0029】
さらなる実施形態において、電磁波は、30GHz、31GHz、32GHz、33GHz、34GHz、35GHz、36GHz、37GHz、37.5GHz、38GHz、39GHz、40GHz、41GHz、42GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHz、55GHz、56GHz、57GHz、58GHz、59GHz、60GHz、61GHz、62GHz、63GHz、64GHz、65GHz、66GHz、67GHz、68GHz、69GHz、70GHz、71GHz、72GHz、73GHz、74GHz、75GHz、76GHz、77GHz、78GHz、79GHz、80GHz、81GHz、82GHz、83GHz、84GHz、85GHz、86GHz、87GHz、88GHz、89GHz、及び90GHzからなる群から選択される。好ましくは、電磁波は、37.5GHz及び75GHzからなる群から選択される。当業者は、上記周波数が小数点なしで最も近い完全な数値に切り上げ/切り下げられていることを認識する。したがって、例えば40GHzは、40±0.5と理解される。電磁波は、当技術分野において既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイスを用いて伝送され得る。この電磁波の電力密度は、例えば約0.1mW/cmや、例えば0.004mW/cmから0.2mW/cmの間等の1mW/cm以下であり得る。
【0030】
特定の一実施形態において、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後の100MHz帯域で線形変調される。電磁波は、当技術分野において既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイスを用いて伝送され得る。この電磁波の電力密度は、例えば約0.1mW/cmや、例えば0.004mW/cmから0.2mW/cmの間等の1mW/cm以下であり得る。
【0031】
別の特定の実施形態において、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後の50MHz帯域で線形変調される。電磁波は、当技術分野において既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイスを用いて伝送され得る。この電磁波の電力密度は、例えば約0.1mW/cmや、例えば0.004mW/cmから0.2mW/cmの間等の1mW/cm以下であり得る。
【0032】
別の特定の実施形態において、振動周波数は60124±10MHzであり、この周波数の前後の50MHz帯域で線形変調される。電磁波は、当技術分野において既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイスを用いて伝送され得る。この電磁波の電力密度は、例えば約0.1mW/cmや、例えば0.004mW/cmから0.2mW/cmの間等の1mW/cm以下であり得る。
【0033】
一実施形態において、電磁波の電力密度は1mW/cm未満であり、好ましくは、電磁波の電力密度は0.004mW/cmから0.2mW/cmの範囲にある。したがって、電磁波の電力密度は約0.1mW/cmであり得る。
【0034】
他の実施形態において、電磁波は、平均周波数の0.01%から約0.5%の範囲内の周波数において変調される。
【0035】
さらなる実施形態において、酵母細胞は、例えば20から130分間、例えば20から120分間、例えば30から90分間、例えば35から85分間、例えば45から80分間、例えば40分間、例えば50分間、例えば60分間、例えば70分間、例えば80分間等の10から240分の間の期間、電磁波で処理される。場合によっては、酵母細胞は、30から50分間、より好ましくは40分間、電磁波で処理される。
【0036】
好ましくは、酵母細胞は、例えば40から105分間、例えば50から100分間、例えば60から95分間、例えば70から90分間、例えば75から85分間、より好ましくは80分間等の30から110分の間の期間、電磁波で処理される。
【0037】
特定の実施形態において、酵母細胞は、30GHzから90GHzの範囲の電磁波で20から60分間処理される。
【0038】
この酵母細胞は、35GHzから80GHzの範囲の電磁波で30から50分間処理されてもよい。
【0039】
この酵母細胞は、37.5GHzの電磁波で30から50分間、好ましくは40分間処理されてもよい。
【0040】
この酵母細胞は、75GHzの電磁波で30から50分間、好ましくは40分間処理されてもよい。
【0041】
好適な特定の実施形態において、酵母細胞は、30GHzから90GHzの範囲の電磁波で60から100分間処理される。
【0042】
この酵母細胞は、35GHzから80GHzの範囲の電磁波で70から90分間処理されてもよい。
【0043】
この酵母細胞は、37.5GHzの電磁波で70から90分間、好ましくは80分間処理されてもよい。
【0044】
この酵母細胞は、75GHzの電磁波で70から90分間、好ましくは80分間処理されてもよい。
【0045】
さらに他の実施形態において、酵母細胞はサッカロミセス(Saccharomyces)属であり、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はサッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)からなる群から選択される酵母細胞である。これらの利点として、このような酵母は容易に安価で入手できることが挙げられる。
【0046】
酵母細胞は、サッカロミセス・セレビシエS イヴォフスカヤ-ミルメッド(Saccharomyces cerevisiae S Ivovskaja-Milmed)であってもよい。この株はDSM33148として寄託されている。この株は以前にY2483として寄託された。
【0047】
酵母細胞は、サッカロミセス・カールスベルゲンシスであってもよい。この株(本明細書に記載のように処理済)はDSM34143として寄託されている。したがって、DSM34143として寄託された株は処理済酵母である。
【0048】
本開示の第2の態様によれば、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和に使用するための組成物であって、本開示の酵母細胞のうちの少なくとも1つと、賦形剤、及び/又は担体とを含む組成物が提供される。組成物は、無菌麦汁(sterile wort)を、好ましくは5から20wt%、例えば8から15wt%、例えば10から12wt%、例えば11wt%含み得る。組成物は、グルコース(glucose)及び/又はサッカロース(saccharose)等の炭水化物を含み得る。
【0049】
一実施形態において、組成物は、少なくとも1種のビタミン及び/又は少なくとも1種のミネラルをさらに含む。ビタミンは、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。ミネラルは、亜鉛、マグネシウム、セレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。ミネラルは塩の形態であってもよい。
【0050】
一実施形態において、組成物は経口摂取用である。これは、患者が自分で組成物を服用することを可能にする点で利点を有する。更に、経口摂取は消化管での摂取により全身的な効果をもたらす。経口摂取用の組成物は懸濁液であってもよい。
【0051】
処理済酵母は、液体、粉末、ゲル、又は錠剤(pill)等の任意の適切な形態で対象に分配されてもよい。
【0052】
単回用量(single dose)は、例えば100×10CFU/用量から17,000×10CFU/用量、例えば200×10CFU/用量から15,000×10CFU/用量、例えば300×10CFU/用量から12,000×10CFU/用量、例えば500×10CFU/用量から10,000×10CFU/用量、例えば500×10CFU/用量から8,000×10CFU/用量、例えば1,000×10CFU/用量から6,000×10CFU/用量、例えば2,000×10CFU/用量から5,000×10CFU/用量、例えば3,000×10CFU/用量から4,000×10CFU/用量等の10×10CFU/用量から20,000×10CFU/用量であり得る。CFU=コロニー形成単位である。
【0053】
好ましくは、ヒトの単回用量は、例えば300×10CFU/用量から3,000×10CFU/用量、例えば600×10CFU/用量から1,000×10CFU/用量等の100×10CFU/用量から6,000×10CFU/用量である。
【0054】
好ましくは、馬や牛等の大型哺乳類の単回用量は、例えば8,000×10CFU/用量から18,000×10CFU/用量、例えば10,000×10CFU/用量から15,000×10CFU/用量、例えば12,000×10CFU/用量等の6,000×10CFU/用量から20,000×10CFU/用量である。
【0055】
好ましくは、兎、猫、犬等の小型哺乳類の単回用量は、例えば100×10CFU/用量から1,000×10CFU/用量、例えば200×10CFU/用量から800×10CFU/用量、例えば300×10CFU/用量から600×10CFU/用量、例えば500×10CFU/用量等の10×10CFU/用量から1,500×10CFU/用量である。
【0056】
本開示に係る酵母細胞は、例えば100×10CFU/日、例えば100×10CFU/日から8,000×10CFU/日、例えば500×10CFU/日から5,000×10CFU/日、例えば700×10CFU/日から4,000×106CFU/日、例えば800×10CFU/日から3,000×10CFU/日、例えば900×106CFU/日から2,000×10CFU/日、例えば1,000×10CFU/日から1,500×10CFU/日等、50×10CFU/日から10,000×10CFU/日の量で投与されてもよい。
【0057】
本開示に係る酵母細胞は、例えば750×10CFU/日から1,500×10CFU/日、例えば800×10CFU/日から1,200×10CFU/日、例えば900×10CFU/日等、500×10CFU/日から1,500×10CFU/日の量でヒトに投与されてもよい。
【0058】
本開示に係る酵母細胞は、例えば2,000×10CFU/日から8,000×10CFU/日、例えば3,000×10CFU/日から6,000×10CFU/日、例えば4,000×10CFU/日から5,000×10CFU/日等、1,000×10CFU/日から10,000×10CFU/日の量で馬や牛等の大型哺乳類に投与されてもよい。
【0059】
本開示に係る酵母細胞は、例えば50×10CFU/日から1,500×10CFU/日、例えば100×10CFU/日から1,000×10CFU/日、例えば200×10CFU/日から800×10CFU/日、例えば300×10CFU/日から600×10CFU/日、例えば400×10CFU/日から500×10CFU/日等、10×10CFU/日から2,000×10CFU/日の量で兎、猫、犬等の小型哺乳類に投与されてもよい。
【0060】
本開示に係る酵母細胞は、例えば300×10CFU/週から50,000×10CFU/週、例えば500×10CFU/週から25,000×10CFU/週、例えば1,000×10CFU/週から20,000×10CFU/週、例えば1,500×10CFU/週から15,000×10CFU/週、例えば3,000×10CFU/週から10,000×10CFU/週、例えば5,000×10CFU/週から7,500×10CFU/週、例えば6,000×10CFU/週等、200×10CFU/週から70,000×10CFU/週の量で投与されてもよい。
【0061】
本開示に係る酵母細胞は、例えば4,500×10CFU/週から8,000×10CFU/週、例えば5,000×10CFU/週から7,000×10CFU/週、例えば6,000×10CFU/週等、3,500×10CFU/週から9,000×10CFU/週の量でヒトに投与されてもよい。
【0062】
本開示に係る酵母細胞は、例えば10,000×10CFU/週から50,000×10CFU/週、例えば15,000×10CFU/週から40,000×10CFU/週、例えば20,000×10CFU/週から30,000×10CFU/週、例えば22,000×10CFU週から27,000×10CFU/週、例えば24,000×10CFU/週から26,000×10CFU週、例えば25,000×10CFU/週等、7,000×10CFU/週から70,000×10CFU/週の量で馬や牛等の大型哺乳類に投与されてもよい。
【0063】
本開示に係る酵母細胞は、例えば100×10CFU/週から10,000×10CFU/週、例えば300×10CFU/週から6,000×10CFU/週、例えば500×10CFU/週から4,000×10CFU/週、例えば700×10CFU/週から3,000×10CFU/週、例えば1,000×10CFU/週から2,000×10CFU/週等、70×10CFU/週から14,000×10CFU/週の量で兎、猫、犬等の小型哺乳類に投与されてもよい。
【0064】
治療期間は、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも15週間、又は少なくとも20週間であり得る。とある場合においては、治療期間は20週間より長くてもよい。
【0065】
一実施形態において、組成物は液体組成物である。
【0066】
特定の一実施形態において、組成物は、麦芽飲料(malt beverage)の形態、又は処理済酵母若しくは処理済酵母から増殖した酵母細胞を含む任意の種類の飲料の形態を有する。
【0067】
一実施形態において、液体組成物は、10×10CFU/mlから50×10CFU/ml、好ましくは20×10CFU/mlから40×10CFU/ml、例えば30×10CFU/mlの量の酵母細胞を含む。このような組成物は、週に1、2、3、4、5、6又は7回、好ましくは週に2又は3回投与され得る。好適な一実施形態において、30×10CFU/mlを含む合計200mlの組成物が週に2、3回に分けて投与される。別の好適な実施形態においては、40×10CFU/mlを含む合計200mlの組成物が週に2、3回に分けて投与される。
【0068】
一実施形態において、組成物は粉末組成物である。
【0069】
とある場合においては、粉末組成物は、乾燥生酵母(生乾燥酵母、乾燥酵母生細胞。viable,dried yeast)を含み得る。乾燥酵母は、例えば5から20wt%、例えば8から15wt%、例えば10から12wt%、例えば11wt%の麦汁中の酵母細胞の懸濁液から調製されてもよい。酵母の乾燥は、当業者に周知の標準的な手順である。
【0070】
とある場合においては、粉末組成物は、凍結乾燥処理済生酵母(viable,freeze-dried treated yeast)を含み得る。凍結乾燥酵母は、例えば5から20wt%、例えば8から15wt%、例えば10から12wt%、例えば11wt%の麦汁中の酵母細胞の懸濁液から調製されてもよい。酵母の凍結乾燥は、当業者に周知の標準的な手順である。
【0071】
他の場合においては、粉末組成物は、噴霧乾燥処理済生酵母(viable,spray-dried treated yeast)を含み得る。噴霧乾燥酵母は、例えば5から20wt%、例えば8から15wt%、例えば10から12wt%、例えば11wt%の麦汁中の酵母細胞の懸濁液から調製されてもよい。酵母の噴霧乾燥は、当業者に周知の標準的な手順である。
【0072】
又は、粉末組成物は、無菌温風(sterile warm air)中で乾燥させた処理済生酵母(viable treated yeast)を含んでもよい。無菌温風中での乾燥とは、酵母細胞を穏やかに乾燥させる方法である。無菌温風中で乾燥された酵母は、例えば5から20wt%、例えば8から15wt%、例えば10から12wt%、例えば11wt%の麦汁中の酵母細胞の懸濁液から調製されてもよい。乾燥工程中の酵母細胞を保護するために、温風乾燥前に酵母細胞に乳化剤が添加される。
【0073】
粉末組成物は、グルコース及び/又はサッカロース等の炭水化物を含み得る。
【0074】
好ましくは、粉末組成物は、例えば2.5×1010CFU/mgから3.5×1010CFU/mg、例えば2.7×1010CFU/mgから3.2×1010CFU/mg、例えば2.8×1010CFU/mgから3.1×1010CFU/mg、例えば2.9×1010CFU/mgから3.0×1010CFU/m等、2×1010CFU/mgから4×1010CFU/mg含む。
【0075】
好ましくは、粉末組成物の含水率(moisture content)は、例えば7.5wt%未満、例えば5wt%未満、例えば4wt%未満、例えば3.9wt%未満、例えば3.8wt%未満、例えば3.7wt%等、10wt%未満である。
【0076】
このような粉末組成物は、週に1、2、3、4、5、6又は7回投与され得る。好ましくは、粉末組成物は、週に2~4回、例えば3回投与される。又は、粉末組成物は、1日に1、2、3又は4回、好ましくは1日に2から3回投与され得る。
【0077】
粉末組成物は、摂取前に、水又はジュースなどの水性飲料等の液体中に懸濁されてもよい。この液体は、グルコース及び/又はサッカロース等の炭水化物を含み得る。粉末組成物がグルコース及び/又はサッカロース等の炭水化物を含む場合、粉末組成物は水中に懸濁され得る。好ましくは、粉末組成物は、10×10CFU/mlから50×10CFU/ml、好ましくは20×10CFU/mlから40×10CFU/ml、例えば30×10CFU/mlの濃度まで懸濁される。
【0078】
粉末組成物は、経口摂取用のカプセル又は錠剤(capsule or tablet)として製剤されてもよい。好ましくは、このようなカプセル又は錠剤は、例えば400×10CFU/カプセル又は錠剤から7,000×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば500×10CFU/カプセル又は錠剤から6,500×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば750×10CFU/カプセル又は錠剤から6,000×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば1,000×10CFU/カプセル又は錠剤から5,000×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば2,000×10CFU/カプセル又は錠剤から4,000×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば2,500×10CFUカプセル又は錠剤から3,500×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば3,000×10CFU/カプセル又は錠剤等、300×10CFU/カプセル又は錠剤から7,500×10CFU/カプセル又は錠剤を含む。
【0079】
このようなカプセル又は錠剤は、週に1、2、3、4、5、6又は7回、好ましくは週に2又は3回投与され得る。
【0080】
このような週2、3回摂取用のカプセル又は錠剤は、好ましくは1,000×10CFU/カプセル又は錠剤から5,000×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば2,000×10CFU/カプセル又は錠剤から4,000×10CFU/カプセル又は錠剤、例えば3,000×10CFU/カプセル又は錠剤を含む。より好ましくは、このような週2、3回摂取用のカプセル又は錠剤は、4,000×10CFU/カプセル又は錠剤を含む。
【0081】
又は、1つのカプセル又は錠剤が、1日1回経口投与されてもよい。このような毎日摂取用のカプセル又は錠剤は、好ましくは、100×10CFUから3,000×10CFU、例えば200×10CFUから2,500×10CFU、例えば300×10CFUから2,000×10CFU、500×10CFUから1,500×10CFU、例えば750×10CFUから1,500×10CFU、例えば800×10CFU/カプセルから1,200×10CFU/カプセルを含み、例えば1日に900×10CFUが投与される。
【0082】
本開示に係る組成物は、増殖培地を準備するステップと、増殖培地を滅菌又は低温殺菌するステップと、増殖培地で酵母細胞を増殖するステップと、酵母を30GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理するステップと、を含む方法によって得られる。電磁波は、好ましくは約1から300GHzの範囲、例えば1から200GHzの範囲内であり、より好ましくは10から100GHzの範囲、例えば20から80GHz、例えば30から70GHz、例えば35から約65GHz、例えば40から65GHz、例えば30GHz、31GHz、32GHz、33GHz、34GHz、35GHz、36GHz、37GHz、37.5GHz、38GHz、39GHz、40GHz、41GHz、42GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHz、55GHz、56GHz、7GHz、58GHz、59GHz、60GHz、61GHz、62GHz、63GHz、64GHz、65GHz、66GHz、67GHz、68GHz、69GHz、70GHz、71GHz、72GHz、73GHz、74GHz、75GHz、76GHz、77GHz、78GHz、79GHz、80GHz、81GHz、82GHz、83GHz、84GHz、85GHz、86GHz、87GHz、88GHz、89GHz、及び90GHzである。
【0083】
好ましくは、電磁波は、37.5GHz及び75GHzからなる群から選択される。
【0084】
好ましくは、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後の100MHz帯域で線形変調される。
【0085】
好適な一実施形態において、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後の100MHz帯域で線形変調される。
【0086】
別の好適な実施形態において、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後の50MHz帯域で線形変調される。
【0087】
別の好適な実施形態において、振動周波数は60124±10MHzであり、この周波数の前後の50MHz帯域で線形変調される。
【0088】
電磁波は、IMPATTダイオード発振器に基づいて、当技術分野で既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイス、例えばYAV-1治療デバイスによって伝送され得る。
【0089】
この電磁波の電力密度は、例えば約0.1mW/cmや、例えば0.004mW/cmから0.2mW/cmの間等の1mW/cm以下であり得る。
【0090】
本開示はさらに、炎症及び/又は炎症によって引き起こされる症状の治療及び/又は緩和方法を提供し、この方法は、上記のように、1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞又は1GHzから300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞から増殖した酵母細胞を、それらを必要とする対象に投与することを含む。
【0091】
この対象とは、ヒト等の任意の哺乳類であり得る。また、哺乳類とは、馬、牛、ラクダ、猫又は犬等の家畜哺乳類であり得る。したがって、EHFエネルギーは、EHF放射によって外部から刺激された処理済酵母の形態で治療対象に伝達される。
【0092】
本発明は、発明の要旨から逸脱することなく、食品、飼料、他の飲料製品等、又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な形態で実施することができる。
【0093】
EHF処理
EHF(extremely high frequency)処理の効果を図1に示す(WO2011/023769にも記載されている)。
【0094】
図1Aは、未処理細胞の増殖曲線である。N/N(Y軸)は、培養中の細胞数Nと開始数(starting number)Nの比率であり、t(時間、X軸)は培養発達時間(culture-development time)である。図1Bは、処理済細胞の増殖曲線である。細胞によって生じた振動の周波数は、細胞の情報構造の対応する再構成によって同調することができ、これにより、個々の細胞の分裂周期期間の差異が実質的に除去され、増殖曲線が「階段状」となる。図1Bから明らかなように、各分裂周期後の細胞数は同調して倍加されるため、細胞数の時間依存性が階段状曲線(step curve)によって表される。
【0095】
表1は、異なる電力密度レベル(P、mW/cm)での全ての細胞の細胞分裂を放射周波数42.2GHzで同調させるのに必要な最小時間(t0、分)の概要を示す。
【0096】
表1:異なる電力密度レベル(P、mW/cm)での全ての細胞の細胞分裂を放射周波数42.2GHzで同調させるのに必要な最小時間(t0、分)
【表1】
【0097】
表2は、異なる電力密度レベル(P、mW/cm)での15%の細胞の細胞分裂を放射周波数42.2GHzで同調させるのに要する時間(t0、分)の概要を示す。
【0098】
表2:異なる電力密度レベル(P、mW/cm)での15%の細胞の細胞分裂を放射周波数42.2GHzで同調させるのに要する時間(t0、分)
【表2】
【0099】
したがって、好適なEHF治療時間は、20から120分の範囲にある。
【0100】
この方法は、処理済酵母細胞を増殖培地で増殖するステップを更に含んでいてもよい。所望の細胞濃度に達したら、いつでも増殖を中止し得る。
【0101】
増殖培地は、麦汁、即ち、麦汁及び酵母から得られるトニック麦芽飲料(tonic malt beverage)であってもよい。あらゆる種類の酵母が用いられ得る。あらゆる種類の麦汁が用いられ得る。また、麦汁は、醸造所から入手してもよいし、大麦麦芽から製造してもよいし、麦汁濃縮物から製造してもよい。
【0102】
麦汁は、70から75℃で30分以上加熱する等して低温殺菌され得る。その後、麦汁は18から20℃の温度で最大2週間密閉容器に保管され得る。
【0103】
S.セレビシエ(S. cerevisiae)は、少量の11wt%の無菌麦汁中への懸濁により活性化され得る。他の微生物による麦汁の汚染が無いことが重要である。
【0104】
その後、活性化された培養物を、寒天で固めた麦汁(agarized wort)を含むいくつものペトリ皿に植菌し、純粋な酵母培養物を得る。これは顕微鏡によって確認され得る。
【0105】
EHF処理の前に、これらの無菌純粋培養物を含むペトリ皿のうちの1つの酵母を、11wt%の無菌麦汁を例えば5から50mL、例えば6から40mL、例えば7から30mL、例えば8から20mL、例えば9から15 mL、例えば10から12mL収容する試験管(管、チューブ。tube)に移す。通常、これらの培養物を25から28℃で20から24時間、皮膜(skim)が現れるまで増殖する。
【0106】
そして、この酵母培養物をEHFフィールドで処理する。これは、まず、無菌のペトリ皿を酵母懸濁液で満たすことによって行われ得る。その後、ペトリ皿に蓋をし、EHF装置に入れる。このような装置は、EHF領域(EHF-range)で電磁振動を生じさせるあらゆる装置であり得る。EHF処理時間は、240分未満、例えば130分未満、例えば120分未満、例えば110分未満、例えば100分未満であり、好ましくは、90分未満、例えば85分、例えば80分、例えば70分、例えば60分、例えば50分、例えば40分である。EHF振動の電力密度は、好ましくは約0.1mW/cmである。振動周波数は、30から300GHzの範囲内である。電磁波は、約30から90GHzの範囲内、例えば35から65GHz、例えば30GHz、31GHz、32GHz、33GHz、34GHz、35GHz、36GHz、37GHz、37.5GHz、38GHz、39GHz、40GHz、41GHz、42GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHz、55GHz、56GHz、57GHz、58GHz、59GHz、60GHz、61GHz、62GHz、63GHz、64GHz、65GHz、66GHz、67GHz、68GHz、69GHz、70GHz、71GHz、72GHz、73GHz、74GHz、75GHz、76GHz、77GHz、78GHz、79GHz、80GHz、81GHz、82GHz、83GHz、84GHz、85GHz、86GHz、87GHz、88GHz、89GHz、及び90GHzであり得る。好ましくは、電磁波は、37.5GHz及び75GHzからなる群から選択される。
【0107】
特定の実施形態において、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後の100MHz帯域で線形変調される。
【0108】
別の特定の実施形態において、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後の50MHz帯域で線形変調される。
【0109】
さらに別の特定の実施形態において、振動周波数は60124±10MHzであり、この周波数の前後の50MHz帯域で線形変調される。
【0110】
電磁波は、IMPATTダイオード発振器に基づいて、当技術分野で既知の任意の電子デバイス又はフォトニックデバイス、例えばYAV-1治療デバイスによって伝送され得る。
【0111】
電磁波の周波数変調は、それぞれの平均周波数の0%から約0.5%、例えばそれぞれの平均周波数の0.5%であり得る。
【0112】
EHF装置での処理後、11wt%の無菌麦汁を収容する試験管、例えば50から100mL試験管等に、上述の処理済懸濁液を移す。細胞を、通常25から28℃で20から24時間、皮膜が現れるまで増殖することができる。これが種材料(シードマテリアル。seed material)である。
【0113】
そして、この種材料を、通常4から5Lの、語の量よりもわずかに大きい公称容量(nominal capacity)の容器(試験管、缶等)に入れられた、通常2から3Lの低温殺菌又は無菌麦汁に添加し、細胞濃度が30×10cell/mLになるまで、通常25から28℃で20から24時間培養する。
【0114】
もし大量の飲料を製造する場合、上述の処理は、以前の培養周期の成果物を種材料として無菌麦汁に種材料:麦汁=1:10の比率で添加することによって、いくつかの段階で実施されてもよい。細胞は、通常25から28℃で20から24時間、皮膜が現れるまで増殖することができる。飲料製造段階の最終段階は、細胞濃度が3000万cell/mL以上となったら終了すると考えられる。
【0115】
この製造段階が完了後、飲料はいつでも消費・摂取可能な状態となり、ボトルや缶等の適切な輸送容器に移され得る。保存が必要であれば、飲料を約2から6℃、例えば2から4℃に冷却した後、例えば最大3週間保存してもよい。
【0116】
サッカロミセス・カールスベルゲンシスも上記と同様に処理され得る。
【0117】
処理済酵母細胞
以下に製造手順に関する実施可能な実施形態を示す。しかしながら、多くの異なる代替の製造手順が可能であり、このことは当業者であれば認識できるであろう。
【0118】
麦汁は醸造所から入手し、希釈麦汁中の乾物の重量分率は11wt%(11wt%の麦汁)とした。
【0119】
麦汁は、オートクレーブチャンバー(高圧蒸気滅菌室、高圧蒸気滅菌器。autoclave chamber)内で0.05MPaの圧力で20分間滅菌され、18から20℃で保存された。
【0120】
酵母S.セレビシエ(S. cerevisiae)(DSM33148)は、無菌状態での少量の11wt%の無菌麦汁中への懸濁により活性化された。
【0121】
この酵母を、寒天で固めた麦汁を含むいくつものペトリ皿に植菌し、純粋な酵母培養物を得た。これは顕微鏡によって確認された。
【0122】
EHF処理の前に、これらの無菌純粋培養物を含むペトリ皿のうちの1つの酵母を、11wt%の無菌麦汁を11mL収容する試験管に移した。この培養物を28℃で20から24時間、皮膜が現れるまで増殖した。
【0123】
そして、この酵母培養物をEHFフィールドで処理した。これは、まず、無菌のペトリ皿を酵母懸濁液で満たすことによって行われた。その後、ペトリ皿に蓋をし、EHF装置に入れ、EHF領域で電磁振動を生じさせた。EHF処理時間は80分であった。EHF振動の電力密度は、0.1mW/cm付近で維持された。振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後の50MHz帯域で線形変調された。IMPATTダイオード発振器に基づく、YAV-1治療デバイスによって電磁放射線が生成された。
【0124】
EHF装置での処理後、上述の処理済懸濁液を、11wt%の無菌麦汁を収容する75mL試験管に移した。この細胞を、28℃で22時間、皮膜が現れるまで増殖した。これが種材料であった。
【0125】
そして、この種材料を、5Lの公称容量の試験管に入れられた、3Lの低温殺菌又は無菌麦汁に添加し、細胞濃度が30×10cell/mLになるまで培養した。この処理済酵母細胞を下記の研究に用いた。
【0126】
また、この処理済酵母細胞は凍結乾燥し、カプセルとして製剤されてもよい。このようなカプセルは下記の患者研究で用いた。
【0127】
実験データ
本開示に係る組成物は、炎症のin vitro(インビトロ)モデルにおいて評価された。要するに、本開示に係る組成物(すなわち、本開示に係る処理済酵母細胞を含む組成物)は、炎症誘発性マーカー(pro-inflammatory marker)であるIL-1β、I1-6、及びTNF-α、及びLPSによって誘導されるiNOSの発現を減少させることによって抗炎症効果を示す。さらに、本開示に係る組成物(すなわち、本開示に係る処理済酵母細胞を含む組成物)は、抗炎症マーカー(anti-inflammatory marker)であるARG-1の発現を増加させることによって抗炎症効果を示す。
【0128】
材料
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Dulbecco's Modified Eagle Medium)高グルコース、(Aurogene社);ウシ胎児血清(FBS、Fetal Bovine Serum)(Corning社);大腸菌O111:B4由来リポ多糖(LPS(Lipopolysaccharides) from Escherichia coli O111:B4)(Sigma社);ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(カルシウム,マグネシウム不含)(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline w/o Calcium,w/o Magnesium)(Aurogene社);QIAzol Lysis Reagent 50ml(Qiagen社);組織培養処理済ウェル細胞培養クラスター平底蓋付き(Well Cell Culture Cluster Flat Bottom with Lid Tissue Culture Treated)、(Corning社)。
【0129】
方法
組成物 A:2%(重量/体積)グルコースを添加した麦汁中の処理済酵母細胞。
組成物 B:2%(重量/体積)グルコースを添加した酵母抽出ペプトンデキストロース(yeast extract peptone dextrose:YEPD)中の乾燥処理済酵母細胞。
未処理細胞:2%(重量/体積)グルコースを添加した酵母抽出ペプトンデキストロース(YEPD)中の乾燥未処理酵母細胞。
【0130】
1日目:DMEM高グルコース培地+5%FBS中で増殖させた1,000,000個のBV2細胞(C57/BL6マウス由来のミクログリア細胞の一種)を6ウェルプレートに植菌した(各ウェルに1,000,000/mlの細胞(14条件))。各ウェルはそれぞれ1mL培地を収容した。このプレートを37℃で一晩置いた。
【0131】
2日目:本開示に係る組成物を、ウェルごとに5×10CFUの濃度でBV-2細胞に添加し、37℃で45分間培養した。対照実験では、BV細胞を37℃で45分間培養した。この前処理の後、リポ多糖(LPS)(50ng/mL PBS)を終濃度1ng/mLまで添加し、細胞を37℃で3時間及び4時間培養した。4時間後、上清をオートクレーブ処理した1.5mlエッペンドルフチューブに回収し、12,000rpmで5分間遠心分離し、ペレット(沈殿物、pellet)を除去し、-80℃で保存した。接着細胞(adherent cell)も700μlのQiazolを添加して回収し、リアルタイムRT-PCRで逆転写して分析したRNA抽出まで-80℃で保存した。
【0132】
分析
抗炎症マーカーARG-1ならびに炎症誘発性マーカーIL-1β、Il-6、TNF-α、及びiNOSのmRNA発現をRT-PCRによって分析した。IL-1βは、LPSに反応してアップレギュレーション(発現上昇、上方制御、上向き調節。upregulate)される強力な炎症誘発性サイトカインである。これは感染と闘う作用を有する。Il-6は、(リンパ組織由来の)強力な炎症誘発性サイトカインだが、(筋肉組織由来の)抗炎症性マイオカイン(myokine)でもある。IL-6はLPSに反応してアップレギュレーションされる。TNF-αは、IL-1βと同様の作用を有する強力な炎症誘発性サイトカインであり、LPSに反応してアップレギュレーションされる。誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS、inducible nitric oxide synthase)は、病原体に対する身体の防衛機構に関する一酸化窒素(NO)の生成に触媒作用を及ぼし、それによって炎症を誘発する。iNOSはLPSに反応してアップレギュレーションされる。ARG‐1はアルギナーゼをコードする遺伝子であり、免疫学的交差反応性、すなわち異なる抗原が免疫系とどの程度類似しているように見えるかに関する。
【0133】
細胞面積(「未処理細胞」及び「組成物B」に対応する組成物に曝露後)は、Apotome顕微鏡のコンピュータ化されたプログラムを利用したアクチン免疫蛍光実験により算出された。
【0134】
結果
図2から図6に示した結果は、上記のように処理したサッカロミセス・セレビシエ(DSM33148として寄託)を使用した研究の結果である。図7に示した結果は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(DSM34143として寄託)を使用した研究の結果である。
【0135】
図2から図7:対応のあるt検定:* p<0.05,** p<0.01,*** p<0.005
【0136】
IL-1βの発現:図2a及び図2bに示すように、IL-1βのmRNA発現は、LPSに曝露された細胞においてアップレギュレーションされる。IL-1βは、本開示に係る組成物での処理後アップレギュレーションされない。重要なこととして、IL-1βのmRNA発現は、LPSのみによる処理と比較して、LPSと本開示に係る組成物との併用処理によって大幅に減少するため、本開示に係る組成物は抗炎症効果を有する。つまり、本開示に係る組成物は、炎症誘発性LPSの効果を阻害する。未処理酵母細胞(すなわち、上述のようなEHF処理されていない酵母細胞)は、LPSによって引き起こされるIL-1βのアップレギュレーションを、処理済酵母よりも低い程度まで阻害した(データは不図示)。
【0137】
IL-6の発現:図3a及び図3bに示すように、IL-6のmRNA発現は、LPSに曝露された細胞においてアップレギュレーションされる。IL-6は、本開示に係る組成物での処理後アップレギュレーションされない。重要なこととして、IL-6のmRNA発現は、LPSのみによる処理と比較して、LPSと本開示に係る組成物との併用処理によって大幅に減少するため、本開示に係る組成物は抗炎症効果を有する。つまり、本開示に係る組成物は、炎症誘発性LPSの効果を阻害する。未処理酵母細胞(すなわち、上述のようなEHF処理されていない酵母細胞)は、LPSによって引き起こされるIL-6のアップレギュレーションを、処理済酵母よりも低い程度まで阻害した(データは不図示)。
【0138】
TNF-αの発現:図4a及び図4bに示すように、TNF-αのmRNA発現は、LPSに曝露された細胞においてアップレギュレーションされる。TNF-αは、本開示に係る組成物での処理後アップレギュレーションされない。重要なこととして、TNF-αのmRNA発現は、LPSのみによる処理と比較して、LPSと本開示に係る組成物との併用処理によって大幅に減少するため、本開示に係る組成物は抗炎症効果を有する。つまり、本開示に係る組成物は、炎症誘発性LPSの効果を阻害する。未処理酵母細胞(すなわち、上述のようなEHF処理されていない酵母細胞)は、LPSによって引き起こされるIL-6のアップレギュレーションを、処理済酵母よりも低い程度まで阻害した(データは不図示)。
【0139】
iNOSの発現:図5a及び図5bに示すように、iNOSのmRNA発現は、LPSに曝露された細胞においてアップレギュレーションされる。iNOSは、本開示に係る組成物での処理後アップレギュレーションされない。重要なこととして、iNOSのmRNA発現は、LPSのみによる処理と比較して、LPSと本開示に係る組成物との併用処理によって大幅に減少するため、本開示に係る組成物は抗炎症効果を有する。つまり、本開示に係る組成物は、炎症誘発性LPSの効果である、炎症性NO生成を阻害する。また、図5a及び図5cに示すデータは、未処理酵母細胞を含む組成物での処理後、iNOSがLPSに曝露された細胞においてアップレギュレーションされることを示す。したがって、抗炎症効果は、本開示に係る組成物(上述のEHF処理済酵母)のみに対して実証される。つまり、BV2細胞に対するLPSの炎症誘発効果の阻害は、本開示に係る組成物のみに対して見られ、未処理酵母組成物に対しては見られなかった。
【0140】
ARG-1の発現:図6a及び図6bに示すように、ARG-1のmRNA発現は、LPSに曝露された細胞においてダウンレギュレーション(発現低下、下方制御、下向き調節。downregulate)される。ARG-1は、本開示に係る組成物での処理後わずかにアップレギュレーションされる。重要なこととして、ARG-1のmRNA発現は、LPSのみによる処理と比較して、LPSと本開示に係る組成物との併用処理によって大幅に増加するため、本開示に係る組成物は炎症誘発効果を有する。本開示に係る組成物は、直接的な抗炎症効果を引き起こし、つまり、LPSの抗炎症誘発効果とは関係無い。つまり、本開示に係る組成物は、抗炎症性表現型の方面で細胞に影響を及ぼす。
【0141】
細胞サイズ:一般に、BV2細胞は直径約10から15μm(約80から180μmの面積に相当)まで様々であり、一様に丸く、時折薄い細胞質突起が現れる(データは不図示)。同時LPS活性化に伴うリポ多糖(LPS)による処理後、BV2細胞は通常、直径が大きくなり(25から30μm(約490から710μmの面積に相当))、多形となり、多くは厚い細胞質突起が現れる(データ不図示)。処理済酵母細胞(すなわち、本開示に係る酵母細胞)の存在下におけるBV2細胞は、未処理酵母細胞(「CTR」及び「YP Glu 2%」)の存在下におけるBV2細胞よりも小さい。これは、さらにLPSで処理した細胞(「LPS」及び「YP Glu 2%+LPS」)にも当てはまる。特に、試験したすべての条件下において、BV2細胞は、未処理酵母の存在下よりも処理済酵母(すなわち、本開示に係る酵母細胞)の存在下において小さくなる。つまり、処理済酵母細胞(すなわち、本開示に係る酵母細胞)に抗炎症効果があることは明らかである。
【0142】
患者研究
IBD及びIBSの症状に対する本開示に係る組成物の効果を研究により評価した。本開示に係る乾燥組成物を評価した。組成物は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(DSM34143として寄託)、すなわち、本明細書に記載のように処理され、無菌熱風中で乾燥され、カプセル(約5.8×0CFUに相当する200mg/カプセル)として製剤化された酵母細胞を含む。2つのグループの患者が治療を受けた。1つのグループ(「グループA」)には、上述の通り処理した酵母細胞(サッカロミセス・セレビシエ(DSM33148))を投与した。もう一方のグループ(「グループB」)には、未処理酵母細胞(サッカロミセス・セレビシエ(DSM33148))を与えた。
【0143】
グループAには6人の被験者(25から66歳の女性6人)が含まれ、そのうち5人がIBSと診断され、1人がIBDと診断された。
【0144】
グループBには6人の被験者(39から70歳の女性5人、79歳の男性1人)が含まれ、そのうち2人がIBSと診断され、4人がIBDと診断された。
【0145】
被験者たちは、週3回、朝食前に1カプセルを水と一緒に服用するように指示され、つまり、週に合計で600mg服用した。12週間後、各被験者は各自のIBS/IBDの症状を評価し、症状の改善があったかどうかを述べるように求められた。
【0146】
この研究により、本開示に記載のように処理されたサッカロミセス・セレビシエを服用した6人の被験者全員において、IBS及びIBDの症状が治療によって明らかに改善されたことが実証された(「グループA])。未処理酵母細胞を服用した対照群(「グループB」)では、たった1人の被験者だけがおなら(ガス。gas)の量がわずかに減ったように感じた。特に、有害な効果(吐き気)があった被験者は1人のみであり、摂取後に1回のみであった。他には、本開示に係る組成物を服用したグループでは有害な反作用は報告されなかった。各被験者について以下に説明する。各被験者のコメントは、翻訳後に以下に引用される。
【0147】
グループA(本開示に係る組成物を服用)
被験者A1:女性、66歳、IBSと診断されて5年。症状:胃痛、吐き気、おなら、下痢、便秘、膨満感、胸焼け、こむらがえり。感じられた改善:胃痛と膨満感の軽減。反作用:有害な反作用なし。
【0148】
被験者A2:女性、56歳、IBSと診断されて10年。症状:胃痛、吐き気、おなら、下痢、便秘、膨満感、胸焼け、腰痛、こむらがえり。感じられた改善:腸の不調と胃痛と胸焼けの軽減。反作用:有害な反作用なし。
【0149】
被験者A3:女性、65歳、IBSと診断されて22年。症状:胃痛、おなら、下痢、膨満感。感じられた改善:膨満感の軽減。反作用:有害な反作用なし。
【0150】
被験者A4:女性、25歳、IBSと診断されて4年。症状:胃痛、吐き気、おなら、下痢、膨満感、胸焼け。感じられた改善:胃痛、吐き気、胸焼け、下痢の解消。多少のおならと膨満感のみ残る。反作用:有害な反作用なし。
【0151】
被験者A5:女性、28歳、IBDと診断されて5年。症状:胃痛、おなら、下痢、便秘、膨満感、こむらがえり。感じられた改善:再発からの回復が早かった。反作用:有害な反作用なし。
【0152】
被験者A6:女性、51歳、IBSと診断。症状:胃痛、吐き気、おなら、便秘、膨満感。感じられた改善:便秘の軽減。反作用:1度だけ服用後に吐き気を感じた。その他:有害な反作用なし。
【0153】
グループB(未処理酵母を服用)
被験者B1:男性、79歳、IBSと診断されて6年。症状:胃痛、吐き気、おなら、下痢、膨満感、胸焼け。感じられた改善:なし。反作用:有害な反作用なし。
【0154】
被験者B2:女性、50歳、IBDと診断されて7年。症状:胃痛、おなら、下痢、膨満感。感じられた改善:なし。反作用:有害な反作用なし。
【0155】
被験者B3:女性、70歳、IBDと診断されて2年。症状:下痢。感じられた改善:おならのごくわずかな軽減。反作用:有害な反作用なし。
【0156】
被験者B4:女性、39歳、IBDと診断されて4年。症状:胃痛、下痢、こむらがえり、膨満感。感じられた改善:なし。反作用:有害な反作用なし。
【0157】
被験者B5:女性、63歳、IBDと診断されて42年。症状:胃痛、吐き気、おなら、下痢、膨満感。感じられた改善:なし。反作用:有害な反作用なし。
【0158】
被験者B6:女性、36歳、IBSと診断されて8年。症状:胃痛、おなら、下痢、胸焼け、こむらがえり、膨満感。感じられた改善:なし。反作用:有害な反作用なし。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5(1)】
図5(2)】
図6
図7
【国際調査報告】