(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/48 20060101AFI20240705BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240705BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240705BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240705BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K47/18
A61K38/02
A61K47/12
A61P3/10
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578767
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069704
(87)【国際公開番号】W WO2023285580
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルムセン、トーマス、クヴィストゴート
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン、イザベル、バルガス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD41C
4C076DD49
4C076FF34
4C084AA02
4C084BA01
4C084CA53
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA10
4C084NA11
4C084ZA70
4C084ZC33
(57)【要約】
本発明は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤に関する。本発明はさらに、こうした錠剤の調製のためのプロセス、およびその医薬品における使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約60~99.8%(w/w)の総量のN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)と、0.1~40%(w/w)の量の活性医薬成分(API)と、を含む、細長い楕円形の複合カップ錠剤(1)であって、
(a)0.9以下、例えば約0.05~0.9の錠剤高さ対幅比、
(b)4.3超、例えば約4.4~100の錠剤高さ対カップ深さ比、
(c)1.15超、例えば約1.16~100の短大半径対幅比、および
(d)0.67以下、例えば約0.05~0.55のインデックス値、を有する、錠剤。
【請求項2】
SNACが、前記錠剤の総重量に基づいて、約75~99重量%、例えば約80~99重量%または約79~90重量%の総量で存在する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
前記APIが、約0.1~14%(w/w)、例えば約0.4~3%(w/w)または7~14%(w/w)で存在する、請求項1または2に記載の錠剤。
【請求項4】
前記APIが、セマグルチドなどのペプチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項5】
前記錠剤が、滑沢剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項6】
前記滑沢剤が、前記錠剤の総重量に基づいて、約0.1~7%、例えば約0.5~5%、例えば約1~3%、例えば約1.5~2.5%の総量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項7】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項8】
前記錠剤が、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項9】
前記錠剤が、前記錠剤の総重量に基づいて、84~97%のSNAC、0.1~14%のセマグルチド、および1.5~3.5%のステアリン酸マグネシウムから本質的になる、請求項1~8のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項10】
前記錠剤の総重量が、約50~1200mgである、請求項1~9のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項11】
前記錠剤の総重量が、約290~390mgまたは約490~590mgである、請求項1~10のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項12】
前記錠剤が、
a)約10.0~14.0mm、例えば約12mmの長軸(3)、
b)約5.1~8.5mm、例えば約6.8mmの短軸(4)、
c)約8.0~13.1mm、例えば約9.4mmの側半径(6)、
d)約1.8~3.0mm、例えば2.4mmの端半径(5)、
e)約0.7~1.5mm、例えば約1.1mmのカップ深さ(11)、
f)19.3mm超、例えば約35mmの長大半径(9)、
g)16.0mm未満、例えば約3.2mmの長小半径(10)、
h)6.6mm超、例えば約12.00の短大半径(14)、および/または
i)5.0mm未満、例えば約2.5mmの短小半径(15)、を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項13】
前記錠剤が、
a)約11.7~16.5mm、例えば約14.3mmの長軸(3)、
b)約6.0~10.0mm、例えば約8.1mmの短軸(4)、
c)約9.4~15.4mm、例えば約11.0mmの側半径(6)、
d)約2.1~3.5mm、例えば2.8mmの端半径(5)、
e)約0.8~1.8mm、例えば約1.2mmのカップ深さ(11)、
f)22.6mm超、例えば約40mmの長大半径(9)、
g)18.8mm未満、例えば約3mmの長小半径(10)、
h)7.8mm超、例えば約12の短大半径(14)、および/または
i)5.9mm未満、例えば約2.5mmの短小半径(15)、を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項14】
医薬品に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項15】
糖尿病または肥満の治療に使用するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤、その医学的使用、およびN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
すべての医薬の約70%が錠剤として投与される。それでも、注射が、タンパク質およびペプチド薬剤を投与するための最も一般的な手段である。これらの非経口経路のいずれかによる薬剤投与レジメンへの患者の遵守は概して不良であり、特に糖尿病などの疾患に対する薬剤の治療的な価値を著しく制限する。
【0003】
経口投与は、注射よりも一連の魅力的な利点を提示する。これらの利点は、小児患者の治療に特に関連性があり、注射と関連付けられる痛みおよび不快感の回避、ならびに針の不適切な使用または再使用によって引き起こされる可能性のある感染の排除を含む。さらに、経口製剤は、滅菌条件下で製造される必要がないため、生産コストがより低い。しかしながら、タンパク質およびペプチドのバイオアベイラビリティが低いため、ペプチドを含む経口剤形の開発は困難である。
【0004】
N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウムなどのN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸塩は、例えば、国際公開第2010/020978号、国際公開第2012/080471号、国際公開第2013/189988号、国際公開第2013/139694号、国際公開第2013/139695号、および国際公開第2014/177683号に記載されるように、GLP-1類似体の経口バイオアベイラビリティを増加させることが見出されている。
【0005】
これらの知見にもかかわらず、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩とGLP-1ペプチドとを含む経口剤形をさらに最適化することが依然として必要とされている。
【0006】
錠剤は、ある特定の形状を有する固体製剤であり、医薬製品において広く使用されている剤形である。錠剤は、しばしば、ある特定の形状となるように粉末圧密によって製造される(「錠剤成形」と呼ばれる)。錠剤は、典型的に、胴部と2つの対向するカップとを備える。錠剤の胴部の形状に基づいて、錠剤は、しばしば、「丸型(rounds)」または「成形型(shapes)」のいずれかとして広く分類される。American Pharmacists Association(第7版)の錠剤成形仕様マニュアルは、錠剤設計に関する一般的な用語を説明している。例えば、丸型の錠剤は、すべての軸が先端面の中心点から等しい構成を有する。丸型の錠剤は、実質的に円形の本体を有し、実質的に同じ長さの短軸および長軸を有する。成形型の錠剤には、American Pharmacists Association(第7版)の錠剤成形仕様マニュアルに従って、カプセル形状、変形カプセル形状、楕円形状、および幾何学的形状の構成が含まれる。成形型の錠剤の例は、楕円錠剤およびカプセル形状錠剤である。楕円または楕円形状の錠剤は、端半径、側半径、コア高さ、長軸および短軸で構成される胴部を有し、長軸と短軸との間の比が1.0超である。カプセル錠剤またはカプセル形状錠剤は、端半径、コア高さ、長軸および短軸で構成される胴部を有し、長軸と短軸との間の比が1.0超である。
【0007】
錠剤胴部の異なる形状に加えて、錠剤はまた、錠剤カップの形状によって画定されてもよい。例えば、凸状楕円形錠剤は、少なくとも1つの凸状カップを有する楕円形状の錠剤である。業界では、凹状という用語は、パンチカップの凹面と生産された錠剤の表面との両方を説明するために使用される。技術的には、パンチカップは通常、凹状であり、したがって、凸状カップを有する錠剤を生成する。一般的なカップ設計には、標準カップと複合カップとの2つがある。複合カップ設計は、少なくとも2つの弧または半径が、カップの中心点から、カップの直径、短軸または長軸にわたって生成される設計である。標準カップ設計は、単一の弧が、カップの中心点から、カップの直径、短軸または長軸にわたって生成される設計である。
【0008】
過少評価されているが患者の遵守において重要な役割を果たす要因は、錠剤の感覚刺激的側面である。基本的に、錠剤の感覚刺激特性により、錠剤を嚥下する患者の意欲が決まる。例えば、ある特定の形状は、嚥下が容易であるように見えるため、他の形状よりも感覚刺激特性が良好である。また、または代替的に、表面に明確な不備および欠陥を有する錠剤は、不完全で崩壊しそうであると消費者/患者により知覚される可能性があり、これは、消費者がこうした錠剤を拒否し、消費者の医薬品スキームを順守しないことにつながる。
【0009】
このため、錠剤の製造中または製造後に起こり得る主要な問題は、亀裂である。これは、ある数の様式で明らかになり得る。これは、表面亀裂からキャッピングおよびラミネーションまで多岐にわたる。ある特定の錠剤形状は、概して、錠剤表面上の亀裂または他の欠陥の形成の傾向が低いが、こうした形状は、所与の医薬組成物に必ずしも好適ではなく、したがって、他の解決策を見出す必要がある。
【0010】
このため、良好な感覚刺激特性を有するN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤を提供することが、本開示の目的である。錠剤の表面上の亀裂の発生が製造中に低減されるように、錠剤設計を最適化することがさらなる目的である。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)などのN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤に関する。本発明に従う錠剤は細長い。本発明に従う錠剤は、2つの複合カップを有し、楕円形状またはカプセル形状の動態を有してもよい。本発明は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)などのN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む医薬組成物が楕円形状の錠剤などの錠剤に圧縮される場合、1つ以上の不規則な亀裂が、錠剤排出時に、錠剤の長軸に沿っておよび/またはそれと平行に、概ね真っ直ぐに、錠剤カップ上にまたはそれにわたって形成され得るという認識に基づく。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、前方から見て、カップの中心部分を平坦にする一方で、カップの周辺部でのカップ深さの急速な増大を維持するカップ設計を有することが有利であることを見出した。言い換えれば、本発明者らは、驚くべきことに、インデックス値が0.67以下であるときに、錠剤成形プロセス中の亀裂の形成が劇的に低減することを見出した。加えて、発明者らは、錠剤高さ対幅比を0.9以下にし、錠剤高さ対カップ深さ比を4.3超にし、短大半径対幅比を1.15超にすることで、良好な感覚刺激特性を得ることができることを見出した。
【0013】
本発明の開示では、上記の目的に対処することになる、または下記の開示から、および例示的な実施形態の説明からも明らかな目的に対処することになる、実施形態および態様が説明される。
【0014】
このため、第1の態様では、本発明は、錠剤の総重量に基づいて約60~99.8重量%の総量のN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む、細長い楕円形状の複合カップ錠剤などの錠剤に関し、本錠剤は、
(a)0.9以下、例えば約0.05~0.9の錠剤高さ対幅比、
(b)4.3超、例えば約4.4~100の錠剤高さ対カップ深さ比、
(c)1.15超、例えば約1.16~100の短大半径対幅比、および/または
(d)0.67以下、例えば約0.05~0.67のインデックス値、を有する。
【0015】
N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)であってもよい。SNACなどのN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、造粒されてもよい。
【0016】
第1の態様に従う錠剤は、ペプチドなどの活性医薬成分をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペプチドは、GLP-1作動薬であってもよい。GLP-1作動薬は、セマグルチドであってもよい。いくつかの実施形態では、ペプチドは、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~40重量%の総量で存在してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、錠剤は、滑沢剤をさらに含んでもよい。滑沢剤は、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~7重量%の総量で存在してもよい。滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含んでもよい。
【0019】
第2の態様では、第1の態様に従う錠剤を調製するためのプロセスが提供される。
【0020】
第3の態様では、第1の態様に従う錠剤を作製するための、上部パンチと、下部パンチと、ダイと、を含むパンチセットが提供される。
【0021】
第4の態様では、医薬品に使用するための本発明の第1の態様に従う錠剤が提供される。
【0022】
代替的な第4の態様では、糖尿病または肥満を治療するための方法が提供され、本方法は、第1の態様に従う錠剤を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、経口投与される。いくつかの実施形態では、錠剤は、1日1回、またはそれより少ない頻度、例えば週1回で投与される。
【0023】
第5の態様では、糖尿病または肥満の治療に使用するための本発明の第1の態様に従う錠剤が提供される。
【0024】
以下では、本発明の実施形態が、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明に従う錠剤1の上面図である。
【
図4】
図4は、本発明に従う錠剤1の平面上面図である。
【
図5】
図5は、本発明に従う錠剤1の平面側面図である。
【
図6】
図6は、本発明に従う錠剤1の平面正面図である。
【
図7】
図7は、本発明に従う錠剤1の
図1の線b-bに沿った断面図であり、短小半径および短大半径、ならびにそれらの対応する円の部分を示す。
【
図8】
図8は、本発明に従う錠剤1の
図1の線b-bに沿った断面図であり、短小円ならびに短小円および短大円の中心点をさらに示す。
【
図9】
図9は、1つ以上の亀裂を有する例示的な錠剤を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図は分かりやすくするために模式的かつ簡略化されており、本発明の理解に不可欠な細部を示すだけで、他の細部は省略されている。全体をとおして、同じ参照番号を同一または対応する部分に使用する。
【0027】
以下において、「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、「時計回り」および「反時計回り」、「正面」、「端部」、および「側部」、または同様の相対表現のような用語が使用される場合、これらは単に添付図を参照するだけであり、実際の使用状況を示すものではない。示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成、ならびにそれらの相対寸法は、図解目的のみを果たすことが意図される。
【0028】
本明細書において、単数形の使用は、複数形を含み、「a」、「an」、および「the」という語は、別段の定めのない限り、「少なくとも1つの」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、ならびに「含む(includes)」および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定するものではない。本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、「および」という接続詞は包括的であることが意図され、「または」という接続詞は排他的であることが意図されない。例えば、「または代替的に」という語句は、排他的であることが意図される。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、単一の特徴を使用することを含む、前述の特徴の任意の組み合わせを指す。
【0029】
発明を実施するための形態を、図面を参照しながら本発明の特定の実施形態に関して以下に提供する。
【0030】
第1の態様に従い、錠剤の総重量に基づいて約60~99.8重量%の総量のN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤1であって、
(a)0.9以下、例えば約0.05~0.9の錠剤高さ対幅比、
(b)4.3超、例えば約4.4~100の錠剤高さ対カップ深さ比、
(c)1.15超、例えば約1.16~100の短大半径対幅比、および/または
(d)0.67以下、例えば約0.05~0.67のインデックス値、を有する、錠剤が提供される。
【0031】
本発明の第1の態様に従う錠剤1は細長く、これは、楕円形状またはカプセル形状の複合カップ錠剤とも呼ばれる場合がある。
【0032】
錠剤1は、彫りなどの識別子を有してもよい。いくつかの実施形態では、本発明に従う錠剤は、デボス加工された錠剤である。いくつかの実施形態では、本発明に従う錠剤は、エンボス加工された錠剤である。
【0033】
N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約65~99重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約70~99重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約75~99重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約80~99重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約85~99重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約90~99重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約70~98重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約75~98重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約80~98重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約85~98重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約90~98重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約85~97重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約90~97重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の総量は、錠剤の総重量に基づいて約79~90重量%であってもよい。
【0034】
N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、造粒されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)、例えば、造粒されたSNACである。
【0036】
錠剤1の総重量は、約50~1200mg、例えば約100mg、または約300mg、または約500mg、または約700mg、または約1050mgであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、錠剤1の総重量は、約90~190mg、例えば約100~175mgである。いくつかの実施形態では、錠剤1の総重量は、約190~290mg、例えば約200~280mgである。いくつかの実施形態では、錠剤1の総重量は、約290~390mg、例えば約300~380mgである。いくつかの実施形態では、錠剤1の総重量は、約390~490mg、例えば約400~485mgである。いくつかの実施形態では、錠剤1の総重量は、約490~590mg、例えば約500~585mgである。いくつかの実施形態では、錠剤1の総重量は、約590~850mg、例えば約600~830mgである。いくつかの実施形態では、錠剤1の総重量は、約850~1200mg、例えば約860~1150mgである。
【0038】
第1の態様に従う錠剤1は、ペプチドなどの活性医薬成分(API)と、任意選択で滑沢剤とをさらに含んでもよい。
【0039】
活性医薬成分は、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~40重量%の総量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、APIは、ペプチドである。いくつかの実施形態では、ペプチドは、GLP-1作動薬である。いくつかの実施形態では、APIは、セマグルチドである。
【0040】
ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤は、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~7重量%、例えば0.5~3重量%の総量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、約1.5~2.5%の総量で存在する。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、約1.5%、または1.6%、または1.7%、または1.8%、または1.9%、または2.0%、または2.1%、または2.2%、または2.3%、または2.4%、または2.5%の量で存在する。
【0041】
滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、デベヘン酸グリセリル、ベヘノイルポリオキシル-8グリセリド、ポリエチレンオキシドポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、水素化植物油、二酸化ケイ素、および/またはポリエチレングリコールであってもよい。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0042】
錠剤形状
図1~8は、本発明の錠剤の一実施形態の外形を図解する。
【0043】
図1、
図2、および
図3に示すように、錠剤1の対向するカップの間にある部分/体積は、胴部2と呼ばれるが、胴部2を囲繞する対向するカップの間にある外側領域は、バンド2aと呼ばれる。
【0044】
図4に示すように、錠剤1は、先端正面から見たとき(上面図)、一方向に長い。錠剤1は、重心としても知られる中心点Cを有してもよい。錠剤1は、長軸3および短軸4を有する。長軸および短軸は、互いに垂直である。長軸および短軸は、交差点を有する。長軸と短軸との間の交点は、中心点Cに対応する。長軸は、長手方向中心軸とも呼ばれる場合がある。短軸は、横方向中心軸とも呼ばれる場合がある。錠剤1の長さLは、長軸の長さに対応する。錠剤の幅Wは、短軸の長さに対応する。錠剤1は、端半径5および側半径6を有する。端半径5は、錠剤1の両端に位置する。側半径6は、錠剤1の両側に位置する。側半径は、端半径と一緒になって、胴部の形状を決定する。例えば、成形された錠剤が、側半径が無限に近づいている胴部を有する場合、こうした錠剤は、カプセル形状と呼ばれる。言い換えれば、カプセル構成を有する錠剤の胴部は、1つのみの半径、すなわち、端半径、および平行な側面を有する。側半径および端半径によって画定される胴部を有する錠剤は、概して、楕円形錠剤構成と呼ばれ、したがって、カプセル形状の錠剤も含む。
【0045】
錠剤の長さと錠剤の幅との間の比は、本明細書では「長さ対幅比」とも呼ばれる。長さ対幅比が1.0超である場合、錠剤は、細長い錠剤とも呼ばれる場合がある。細長い錠剤の例は、カプセル形状または楕円形状の錠剤である。長さ対幅比は、式(I)に従って計算することができる。
【0046】
【0047】
図5および6に示すように、錠剤1は胴部2を備える。胴部2は、上面および下面を有する。胴部2は、本明細書では錠剤の「コア高さ」7とも呼ばれる高さを有する。錠剤1は、2つの対向するカップ8をさらに備える。カップ8は、実質的に鏡面反転されている。上部または第1のカップ8は、胴部2の上面から凸状に形成され、下部または第2のカップ8は、胴部2の下面から凸状に形成される。各カップ8部は、長大半径9および長小半径10を有する。
【0048】
各カップ8は、短大半径14および短小半径15をさらに有する。錠剤1はまた、ランド16を備えてもよい。錠剤1がランド16を備えない場合、カップ幅12は錠剤の幅Wに対応する。
【0049】
各カップ8は、カップ深さ11およびカップ幅12を有する。錠剤1の合計高さ13は、各カップ8のカップ深さ11とコア高さ7とを加算することによって計算されてもよい。
【0050】
カップは、American Pharmacists Association(第7版、セクション3、54頁、TMS-N23)の錠剤成形仕様マニュアル(TMS)に従って、浅いボール、標準的なボール、深いボール、さらに深いボール、または変形ボールとして定義されてもよい。
【0051】
図7および
図8は、短大円14aと短小円のうちの1つ(15a)との間の交点17を概略的に示す。短大半径14は、短大円14aを画定し、各短小円15は、各短小円15aを画定する。交点17は、胴部の表面上に対応する投影交点17aを有し、表面は短軸4に平行である。
図7および
図8に例示されるように、錠剤1は、カップ8当たり2つの交点で4つの交点17、よって、カップ8当たり2つの交点で4つの投影交点17aを有してもよい。第1の投影交点17aと第2の投影交点17との間の距離を、距離(D)として
図7および
図8に示す。距離(D)は、ミリメートル(mm)単位で測定されてもよい。2つの短小半径15によって構成されるカップ幅12の部分は、式(II)に従って計算されてもよい。
短小半径によって構成されるカップ幅の部分=カップ幅(12)-距離(D)(II)
【0052】
標準カップの代わりに複合カップを有することにより、体積をより大きくすることができるようになる。カップの体積を増加させると、錠剤のコア高さが減少し、錠剤がより薄く、嚥下が容易であるように見えるようになる。しかしながら、ランドがカップの長小半径および短小半径と交差するところは、パンチに対する高い応力点となり、これは、極端な荷重下で破損する傾向があり、したがって最大圧縮力が標準カップよりもはるかに低い。極端な荷重は、複合カップ構成では珍しくない。複合カップはより多くの体積を有し、したがって上部パンチカップがダイに入ると、より大きな空気体積を閉じ込め、これは、その後圧縮中に排出する必要がある。この理由から、複合カップの使用は、標準カップよりも遅いダイ回転速度および/またはより高い圧縮力および/または複数の圧縮力サイクルを必要とし、このため、錠剤成形速度および広範な適用性を制限し得る。
【0053】
本発明者らは、驚くべきことに、短小半径(式II)によって構成されるカップ幅の部分とカップ幅12との間の比が0.67以下である場合、錠剤成形中の亀裂の形成を劇的に低減できることを見出した。カップ幅の2つの短小半径部分とカップ幅12との間の比は、インデックス値として本明細書で定義される。よって、錠剤1は、0.67以下のインデックス値を有する。インデックス値は、カップ縁部の丸みを画定し、式(III)に従って計算することができ、カップがランドからカップの側部で十分に綿密に丸められていることを確実にする。インデックス値が0.67以下であると、圧縮中のカップ内の粉末の横方向の移動を減少させることができ、圧縮中のカップの中心に閉じ込められ得る空気を少なくすることができる。
【0054】
【0055】
錠剤高さ対カップ深さ比は、式(IV)に従って計算することができる。錠剤高さ対カップ深さ比が4.3超であると、カップが、American Pharmacists Association(第7版、セクション3、54頁、TMS-N23)の錠剤成形仕様マニュアル(TMS)によって定義して、浅いまたは標準であることが確実になる。過度に深いカップは、亀裂形成を悪化させる場合があり、亀裂形成を低減することを意図する手段を妨げ得る。カップの周辺部からカップの中心に向かう粉末のより横方向の移動が、より深いカップの場合に発生する可能性があり、これは、カップの中心に空気が閉じ込められる原因となり得る。
【0056】
【0057】
短大半径対幅比は、カップの平坦性を画定し、式(V)に従って計算することができる。短大半径対幅比が1.15を超えると、カップの中央部分が過剰に丸みを帯びていないことが確実になり、これは、過剰な丸みが、亀裂形成を悪化させる場合があり、亀裂形成を低減することを意図する手段を妨げ得るためである。カップの周辺部からカップの中心に向かう粉末のより横方向の移動が、より丸みのあるカップの場合に発生する可能性があり、これは、カップの中心に空気が閉じ込められる原因となり得る。
【0058】
【0059】
錠剤高さ対カップ深さ比は、式(VI)に従って計算することができる。錠剤高さ対幅比が0.9以下であると、錠剤高さが幅よりも小さいことが確実になる。
【0060】
【0061】
理論に束縛されることを望むものではないが、亀裂が生じ得る場所である大きな平坦領域が得られるように、カップの周辺部において半径を短くし(正面から見て)、カップの中心において半径をはるかに長くすると、亀裂の形成が低減する、すなわち、亀裂を有しない錠剤の数と比較して亀裂を有する錠剤の数が低減すると考えられる。
【0062】
錠剤組成物
錠剤組成物は、SNACなどのN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩、GLP-1作動薬などのペプチド、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および任意選択で少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含んでもよい。錠剤組成物は造粒されてもよい。
【0063】
N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩
N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸塩の構造式を化学式(VII)に示す。
【0064】
【0065】
いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、1つの一価陽イオン、2つの一価陽イオン、または1つの二価陽イオンを含む。いくつかの実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸のナトリウム塩、カリウム塩、および/またはカルシウム塩から成る群から選択される。一実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、および/またはアンモニウム塩から成る群から選択される。一実施形態では、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩である。N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸塩の塩は、例えば、国際公開第96/030036号、同第00/046182号、同第01/092206号、または同第2008/028859号に記載されている方法を使用して調製されてもよい。
【0066】
N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩は、結晶性および/または非晶質であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、送達剤は、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩の無水物、一水和物、二水和物、三水和物、溶媒和物、または水和物の3分の1、ならびにそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、送達剤は、国際公開第2007/121318号に記載されているように、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩である。
【0068】
いくつかの実施形態では、送達剤は、8-(サリチロイルアミノ)オクタン酸ナトリウムとしても公知である、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(本明細書では「SNAC」と呼ばれる)である。
【0069】
医薬組成物の調製の方法
第2の態様に従い、第1の態様に従う錠剤を調製するためのプロセスが提供される。本発明に従う錠剤組成物の調製は、当該技術分野で公知の方法に従って実施されてもよい。
【0070】
本発明の錠剤を調製するためのプロセスは、
a.賦形剤を提供する工程と、
b.賦形剤を混合する工程と、
任意選択で、c.賦形剤を造粒、例えば乾式造粒して、造粒された錠剤組成物を得る工程と、
任意選択で、d.工程cから得ることができる顆粒を追加の賦形剤と混合する工程と、
e.本発明の第1の態様に従う錠剤を、錠剤プレスにおいて形成する工程と、を含んでもよく、
錠剤に適用される最大圧縮力は、最大60kN、例えば1~40kNである。
【0071】
工程a.
いくつかの実施形態では、錠剤組成物の構成要素、例えば、SNACなどのN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩、GLP-1作動薬などのペプチド、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および任意選択で少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤が提供されてもよい。
【0072】
工程b.
工程aで得られた賦形剤を秤量し、任意選択で、砕塊または篩過し、次いで、構成要素の混合によって組み合わせてもよい。混合は、均質なブレンドが得られるまで行われてもよい。
【0073】
工程c.
工程bのブレンドまたは混合された賦形剤を、以下に説明するように造粒してもよい。いくつかの実施形態では、賦形剤は、乾式造粒される。いくつかの実施形態では、賦形剤は、湿式造粒される。
【0074】
錠剤成形材料に顆粒が使用される場合、顆粒は、例えば、「蓄積(built-up)」顆粒または「分解(broken-down)」顆粒の生産について公知の湿式造粒法を使用して、当業者に公知の様式で生産され得る。蓄積顆粒の形成のための方法は、連続的に動作し、例えば同時に、造粒塊に造粒溶液を噴霧し、例えば、ドラム型造粒機中で、パン型造粒機中で、ディスク型造粒機上で、流動床中で、噴霧乾燥、噴霧造粒、または噴霧凝固によって乾燥させることを含んでもよく、あるいは例えば、流動床、回転式流動床、バッチミキサ、例えば、高剪断ミキサもしくは低剪断ミキサ、または噴霧乾燥ドラム中で、不連続的に動作してもよい。分解顆粒の製造のための方法は、不連続に行われてもよく、造粒塊が最初に造粒溶液と湿潤凝集体を形成し、これが続いて粉砕されるか、または他の手段によって所望のサイズの顆粒に形成され、次いで、顆粒が乾燥されてもよい。代替的に、造粒液体は、造粒塊も加えられる際に固体であってもよく、その後、造粒塊と混合されながら溶融され、こうして、冷却後に固化したときに顆粒を形成する。湿式造粒工程に好適な設備は、遊星型ミキサ、低剪断ミキサ、高剪断ミキサ、流動床、噴霧乾燥機、押出機、およびスフェロナイザ、例えば、企業Loedige、Glatt、Diosna、Fielder、Collette、Aeschbach、Alexanderwerk、Ytron、LB Bohle、GEA、Wyss & Probst、Werner & Pfleiderer、HKD、Loser,Fuji、Nica、Caleva、およびGabler製の装置である。顆粒はまた、賦形剤および/または活性医薬成分のうちの1つ以上が、圧縮されて比較的大きい成形物、例えば、スラグまたはリボンを形成し、これが、すりつぶすことによって粉砕され、すりつぶした材料が、後に圧密される錠剤成形材料の役割を果たす、乾式造粒技法によって形成されてもよい。乾式造粒に好適な設備は、これらに限定されないが、Alexanderwerk、Freund-Vector、Gerteis、およびLB Bohle製のローラー圧密機器である。
【0075】
工程d.
工程cで得られる顆粒および代替的に他の賦形剤を秤量し、任意選択で、砕塊または篩過し、次いで、混合によって組み合わせてもよい。混合は、均質なブレンドが得られるまで行われてもよい。
【0076】
工程e.
工程cおよび/またはdで得ることができる造粒された賦形剤などの過剰な量の錠剤成形材料を、下部パンチおよび上部パンチを有するダイキャビティに供給してもよい。引き続いて、正確な量の錠剤成形材料を、過剰な錠剤成形材料を押し出すことによって、所望の錠剤重量と一致するように計量されてもよい。その後、過剰な量を、削り落とす行為によって除去してもよい。錠剤成形材料の供給は、重力によって促進しても、例えばダイキャビティのすぐ上に置いた回転バッフルの使用によって機械的に強制してもよい。
【0077】
計量した錠剤成形材料を、上部パンチおよび下部パンチなどの一組のパンチによって、上部パンチの先端と下部パンチの先端との間の距離を低減することによって得られた圧力をかけて、ダイキャビティ内部で圧密化してもよい。圧力は、1回適用することも複数回適用することもできる。圧力は2回適用してもよい。「予備圧縮」とも呼ばれる第1のラウンドで圧力を適用することにより、空気を除去し、錠剤成形材料の粒子をより高密度の充填物に配向することができる。その後、圧力を、「本圧縮」とも呼ばれる第2のラウンドで再び適用することで、粒子を砕き、弾性的および/または可塑的に変形させて、所望の錠剤特性を得ることができる。予備圧縮の圧力は、本圧縮の圧力よりも低くてもよい。予備圧縮の圧力はまた、粒子を破き、弾性的および/または可塑的に変形させるのに十分に高くてもよい。本圧および予備圧縮は、パンチ先端を互いに近づけるために必要な力を測定し、その後、カップ領域および任意選択で胴部の形状を補償することによって、それを圧力に変換することによって導いてもよい。その後、錠剤を、まず上部パンチを取り外し、次いで下部パンチを使用して錠剤をダイキャビティから押し出すことによって、ダイキャビティから排出することができる。ガイドまたはスクレーパを使用して、排出された錠剤をダイテーブルから自動的に離れてシュートへと方向付けて、錠剤を錠剤成形機から出してもよい。そのようにして得られた錠剤の厚さは、本圧縮中の上部パンチの先端と下部パンチの先端との間の最小距離に関係する。そのようにして得られた錠剤の破断力は、圧力が及ぼされる回数、達した最大圧力、および圧力を及ぼすための滞留時間に関係する。好適な錠剤プレスには、回転式錠剤プレスおよび偏心錠剤プレス、例えば、Fette、Korsch、Manesty、GEA、Courtoy、およびRiva Piccola製の装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
第3の態様では、パンチセット、ツールセット、またはステーションとも称される、第1の態様に従う錠剤を作製するための、上部パンチと、下部パンチと、ダイまたはダイキャビティと、を備えるパンチセットが提供される。パンチは、単一の先端を有していても、複数の先端を有していてもよい。ダイまたはダイキャビティは、先細りになっていてもいなくてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、パンチセットは、(a)0.9以下、例えば約0.05~0.9の錠剤高さ対幅比、(b)4.3超、例えば約4.4~100の錠剤高さ対カップ深さ比、(c)1.15超、例えば約1.16~100の短大半径対幅比、および/または(d)0.67以下、例えば約0.05~0.55のインデックス値を可能にする。
【0080】
医薬適応症
第4の態様では、医薬品に使用するための本発明の第1の態様に従う錠剤が提供される。本発明の組成物は、以下の医学的処置に使用されてもよく、すべては、好ましくは何らかの方法で糖尿病および/または肥満に関する。
(i)高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、非インスリン依存性糖尿病、MODY(若年発症成人型糖尿病)、妊娠糖尿病などのすべての形態の糖尿病の予防および/もしくは治療、ならびに/またはHbA1Cの低減、
(ii)2型糖尿病の進行などの糖尿病疾患の進行の遅延もしくは予防、耐糖能障害(IGT)からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、および/またはインスリンを必要としない2型糖尿病からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、
(iii)β細胞アポトーシスの減少、β細胞機能および/もしくはβ細胞質量の増加、ならびに/またはβ細胞へのグルコース感受性の回復などのβ細胞機能の改善、
(iv)認知障害の予防および/または治療、
(v)肥満などの摂食障害の予防および/または治療(例えば、食物摂取量の減少、体重減少、食欲の抑制、満腹感の誘発による)、抗精神病薬もしくはステロイドの投与によって誘発された過食性障害、神経性大食症、および/または肥満の治療もしくは予防、胃の運動の減少、ならびに/または胃内容排出の遅延、
(vi)末梢神経障害を含む神経障害、腎症、または網膜症などの糖尿病合併症の予防および/または治療、
(vii)脂質パラメータの改善(脂質異常症の予防および/もしくは治療、総血清脂質の低下、HDLの低下、小型高密度LDLの低下、VLDLの低下、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、HDLの増加、ヒトにおけるリポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下、またはインビトロおよび/もしくはインビボでのアポリポタンパク質a(apo(a))の生成の阻害など)、
(iix)心血管疾患(X症候群、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、冠動脈性心疾患、脳卒中、脳虚血、早期心臓または早期心血管疾患(左室肥大など)、虚血性心疾患、本態性高血圧、急性高血圧性発作、心筋症、心機能不全、運動耐性、慢性心不全、不整脈、心律動異常、失神、アテローム性動脈硬化、軽度の慢性心不全、狭心症、心臓バイパス再閉塞、間欠性跛行(閉塞性動脈硬化症)、拡張機能障害、および/または収縮機能障害の予防および/または治療、
(ix)炎症性腸症候群、小腸症候群、クローン病、消化不良、および/または胃潰瘍などの胃腸疾患の予防および/または治療、
(x)重症疾患の予防および/または治療(重症患者、重症疾患の多発性神経障害(CIPNP)患者、および/もしくは潜在的なCIPNP患者の治療、重症疾患もしくはCIPNPの発症の予防、患者における全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防、治療、および/もしくは治癒、ならびに/または患者が入院中に菌血症、敗血症、および/もしくは敗血症性ショックを患うことの予防またはその可能性の低減など)、ならびに/または
(xi)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の予防および/または治療。
【0081】
いくつかの実施形態では、適応症は、(i)~(iii)および(v)~(iix)、例えば、適応症(i)、(ii)、および/もしくは(iii);または適応症(v)、適応症(vi)、適応症(vii)、および/もしくは適応症(iix)から成る群から選択される。別の特定の実施形態では、適応症は(i)である。さらなる特定の実施形態では、適応症は(v)である。なおさらなる特定の実施形態では、適応症は(iix)である。いくつかの実施形態では、適応症は2型糖尿病および/または肥満である。
【0082】
第5の態様では、糖尿病または肥満の治療に使用するための本発明の第1の態様に従う錠剤が提供される。
【0083】
治療方法
代替的な第4の態様では、治療を、それを必要とする対象に行う方法が提供され、本方法は、第1の態様に従う錠剤を、それを必要とする患者に投与することを含む。一実施形態では、錠剤は、経口投与される。一実施形態では、治療方法は、糖尿病もしくは肥満および/または上で特定したさらなる適応症の治療のためのものである。
【0084】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1日1回、またはそれより少ない頻度、例えば週1回で投与される。
【0085】
定義
本明細書で使用する場合、「約」または「およそ」という用語は、数値(例えば、5、10%、1/3)とともに使用される場合、数値の範囲を指し、これは、その数値よりも小さくても大きくてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で使用する「約」という用語は、言及する値の±10%を意味し、その値を含む。例えば、「約5」は、10%、5%、2%、もしくは1%少ないか、または5超である数値の範囲、例えば、4.5~5.5、または4.75~5.25、または4.9~5.1、または4.95~5.05の範囲を指す。
【0086】
文脈によって反対のことが示されない限り、本明細書に示されるすべての範囲は、それらの終点を含むと解釈されるべきであり、制約のない範囲は、商業的に実用性のある値のみを含むと解釈されるべきである。同様に、値のリストはすべて、文脈によって反対のことが示されない限り、中間値を含むとみなされるべきである。
【0087】
本明細書で使用する「賦形剤」という用語は、活性治療成分または活性医薬成分(API)以外の任意の構成要素を広く指す。
【0088】
賦形剤は、不活性物質、非活性物質、および/または治療的もしくは医薬的に活性でない物質であってもよい。賦形剤は、例えば、担体、ビヒクル、充填剤、結合剤、滑沢剤、滑剤、崩壊剤、流量制御剤、結晶化阻害剤可溶化剤、安定剤、着色剤、香味剤、界面活性剤、乳化剤、もしくはそれらの組み合わせとして、ならびに/または治療活性物質もしくは活性医薬成分の投与および/もしくは吸収を改善するために、様々な目的を果たし得る。使用される各賦形剤の量は、当該技術分野において慣行である範囲内で変化してもよい。経口剤形を製剤化するために使用され得る技法および賦形剤については、Handbook of Pharmaceutical Excipients,8th edition,Sheskey et al.,Eds.,American Pharmaceuticals Association and the Pharmaceutical Press,publications department of the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain(2017)、およびRemington:the Science and Practice of Pharmacy,22nd edition,Remington and Allen,Eds.,Pharmaceutical Press(2013)に記載されている。
【0089】
本明細書で使用する「錠剤組成物」という用語は、本発明に従う錠剤の賦形剤を包含するための総称である。
【0090】
「錠剤成形」とは、ある体積の粉末または顆粒材料を単体の硬質形態に圧縮する機能を意味する。
【0091】
「錠剤成形材料」は、本明細書に記載される錠剤および/または錠剤組成物を構成する様々な構成要素/賦形剤の総称である。
【0092】
本明細書で使用する錠剤「胴部」という用語は、対向するカップの間にある体積を指す。
【0093】
本明細書で使用する錠剤の「バンド」という用語は、対向するカップの間にある胴部の表面の外側領域を指す。
【0094】
「複合カップ」とは、複数の弧または半径が、カップの中心点から、カップの直径、短軸または長軸にわたって生成されるカップ設計である。
【0095】
例えば「長大半径」、「長小半径」、「短大半径」、「短小半径」など、「半径」という用語は、中心点から生成される単一の弧を指す。「円」という用語は、半径によって生成される円を指す。
図8では、それぞれ短小半径および短小円についての図例が提供されている。様々な径は、ソフトウェアTabletCAD(Natoli Engineering Company,Inc.)を使用して計算することができる。
【0096】
「標準カップ」設計は、単一の弧または径が、カップの中心点から、カップの直径、短軸または長軸にわたって生成される設計である。
【0097】
「カップ深さ」は、カップの最低点(通常はカップの中心点)からその最高点(通常はランドの最高点)までの距離である。「ランド」とは、錠剤のバンドに垂直な狭い平面を意味し、これにより、バンドとカップとの間に接合部が創出される。
【0098】
「キャッピング」とは、錠剤の上部カップまたは下部カップが、錠剤の胴部から、部分的または完全に、水平に分離する場合である。
【0099】
「チッピング」は、縁部の周りで一部分が破損した、錠剤の欠陥である。
【0100】
「感覚刺激特性」は、味覚、視覚、嗅覚、聴覚、および触覚を含む感覚を介して個々の体験を創出する、食物、水、または他の物質の態様である。本明細書で使用する場合、この用語は、主に、錠剤の「嚥下可能性」、例えば、サイズの観点、および錠剤の表面上の亀裂および欠陥の存在の観点での、錠剤の外観に基づく、患者が錠剤を嚥下する意欲を指すものである。
【0101】
本明細書で使用する場合、「粒径中央値(D50)」は、粒径の50%がより小さく、粒径の50%がより大きい、粒径値を指す。
【0102】
「造粒物」および「顆粒」という用語は、上記のように調製され得る組成物材料の粒子を指すために、本明細書では互換的に使用される。
【0103】
「最大圧縮力」という用語は、予備圧縮力および本圧縮力、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0104】
本明細書で使用する「錠剤密度」という用語は、錠剤エンベロープ体積で除した錠剤質量を指し、ここで、錠剤エンベロープ体積は、測定された錠剤高さ、カップ体積、カップ深さ、および同部2の断面積(
図4の平面上面図に示されるような面積)から導くことができる。こうした導かれた錠剤体積は、「錠剤エンベロープ体積」と呼ばれ、これは、この体積が細孔および閉鎖空洞などの錠剤の中にあるすべての内部空隙を含み、したがって、錠剤全体を含むことを理由とする。
【0105】
本明細書で使用する「錠剤空隙率」という用語は、錠剤体積(上記のような錠剤エンベロープ体積など)の0~100%の割合として計算した、錠剤内部の空間の画分(内部細孔および空洞など)を指す。錠剤空隙率を計算するために、錠剤密度を上記のように計算し、最大錠剤密度(すなわち、0%の空隙率、したがって1に等しい固体画分)を1.28g/mLと仮定して、固体画分は、錠剤密度を1.28g/mLの最大錠剤密度で除したものとして計算することができる。空隙率は、次に、1から固体画分を引き算し、0~100%の割合に変換したものである。
【0106】
本明細書で使用する「GLP-1作動薬」という用語は、ヒトGLP-1受容体を完全または部分的に活性化する化合物を指す。したがって、この用語は、他の文書で使用される「GLP-1受容体作動薬」という用語に等しい。GLP-1作動薬という用語、ならびに本明細書に記載の特定のGLP-1作動薬はまた、この塩形態も包含するよう意図されている。
【0107】
その結果、GLP-1作動薬は、「GLP-1活性」を示すべきであるということになり、これは、GLP-1受容体に結合し、シグナル伝達経路を開始し、インスリン分泌促進作用または当該技術分野で公知のような他の生理学的効果をもたらす化合物、すなわち、GLP-1類似体またはGLP-1類似体を含む化合物の能力を指す。
【0108】
すべての見出しおよび小見出しは、本明細書では便宜上使用されているだけであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0109】
本明細書で提示するいっさいの例または例示的な語句(例えば「など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明瞭にするという意図しかなく、別段の請求がない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中のいずれの語句も、特許請求されないいかなる要素も本発明の実施に必須であることを示すと解釈すべきではない。
【0110】
本明細書の特許文書の引用および組み込みは、便宜上行われているだけであり、こうした特許文書の有効性、特許性、および/または執行可能性のいっさいの観点を反映するものではない。
【0111】
本発明は、適用法により許可される、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正および均等物を含む。
【0112】
実施形態
1.錠剤の総重量に基づいて約60~99.8重量%の総量のN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤1であって、
(a)0.9以下、例えば約0.05~0.9の錠剤高さ対幅比、
(b)4.3超、例えば約4.4~100の錠剤高さ対カップ深さ比、
(c)1.15超、例えば約1.16~100の短大半径対幅比、および/または
(d)0.67以下、例えば約0.05~0.67のインデックス値、を有する、錠剤。
2.錠剤が細長い、実施形態1に記載の錠剤。
3.錠剤が複合カップ錠剤である、実施形態1または実施形態2に記載の錠剤。
4.錠剤の総重量に基づいて約60~99.8重量%の総量のN-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩を含む錠剤1であって、
上面および下面、側半径6、端半径5、長軸3、および短軸4を有する胴部2と、
2つの実質的に鏡面反転したまたは対向するカップ8と、をさらに含み、第1のカップ8が、胴部の上面から凸状に形成され、第2のカップ8が胴部の下面から凸状に形成され、
各カップが、カップ深さ11、カップ幅12、長大半径9、2つの実質的に同一の長小半径10、短大半径14、および2つの実質的に同一の短小半径15を有し、錠剤が、
(a)0.9以下、例えば約0.05~0.9の錠剤高さ対幅比、
(b)4.3超、例えば約4.4~100の錠剤高さ対カップ深さ比、
(c)1.15超、例えば約1.16~100の短大半径対幅比、
(d)0.67以下、例えば約0.05~0.67のインデックス値、および/または
(e)1.0超、例えば約1.1~100の長軸対短軸比、を有する、錠剤。
5.錠剤が、楕円形状またはカプセル形状である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の錠剤。
6.錠剤高さ対幅比が、約0.1~0.9、例えば約0.2~0.9、例えば約0.3~0.9、例えば約0.4~0.9である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の錠剤。
7.錠剤高さ対カップ深さ比が、約4.4~50、例えば約4.4~30、例えば約4.4~20、例えば約4.4~20、例えば4.4~15、例えば4.4~10である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の錠剤。
8.短大半径対幅比が、約1.16~50、例えば約1.16~30、例えば約1.16~15である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の錠剤。
9.インデックス値が、約0.10~0.67、例えば約0.15~0.67である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の錠剤。
10.錠剤の総重量が、約50~1200mgである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の錠剤。
11.錠剤の総重量が、約90~190mg、例えば約100~175mgである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の錠剤。
12.長軸が、約7.1~10.0、例えば約8.6mmである、実施形態11に記載の錠剤。
13.短軸が、約3.6~6.1mm、例えば約4.9mmである、実施形態11または実施形態12に記載の錠剤。
14.側半径が、約5.7~9.4、例えば約6.7mmである、実施形態11~13のいずれか1つに記載の錠剤。
15.端半径が、約1.3~2.1mm、例えば約1.7mmである、実施形態11~14のいずれか1つに記載の錠剤。
16.カップ深さが、約0.5~1.1mm、例えば約0.8mmである、実施形態11~15のいずれか1つに記載の錠剤。
17.長大半径が、13.8mm超、例えば約25.0mmである、実施形態11~16のいずれか1つに記載の錠剤。
18.長小半径が、11.4mm未満、例えば約2.3mmである、実施形態11~17のいずれか1つに記載の錠剤。
19.短大半径が、4.7mm超、例えば約8.6mmである、実施形態11~18のいずれか1つに記載の錠剤。
20.短小半径が、3.6mm未満、例えば約1.8mmである、実施形態11~19のいずれか1つに記載の錠剤。
21.(a)高さ対幅比が、約0.7であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約4.5であり、
(c)短小半径対幅比が、約1.40であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.67である、実施形態11~20のいずれか1つに記載の錠剤。
22.錠剤の総重量が、約190~290mg、例えば約200~280mgである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の錠剤。
23.長軸が、約8.7~12.2mm、例えば約10.4mmである、実施形態22に記載の錠剤。
24.短軸が、約4.4~7.4mm、例えば約5.9mmである、実施形態22または実施形態23に記載の錠剤。
25.側半径が、約6.9~11.4mm、例えば約8.2mmである、実施形態22~24のいずれか1つに記載の錠剤。
26.端半径が、約1.6~2.6mm、例えば約2.1mmである、実施形態22~25のいずれか1つに記載の錠剤。
27.カップ深さが、約0.6~1.3mm、例えば約1.0mmである、実施形態22~26のいずれか1つに記載の錠剤。
28.長大半径が、16.7mm超、例えば約30.4mmである、実施形態22~27のいずれか1つに記載の錠剤。
29.長小半径が、13.9mm未満、例えば約2.8mmである、実施形態22~28のいずれか1つに記載の錠剤。
30.短大半径が、5.7mm超、例えば約10.4mmである、実施形態22~39のいずれか1つに記載の錠剤。
31.短小半径が、4.3mm未満、例えば約2.2mmである、実施形態22~40のいずれか1つに記載の錠剤。
32.錠剤の総重量が、約290~390mg、例えば約300~380mgである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の錠剤。
33.長軸が、約10.0~14.0mm、例えば約12mmである、実施形態32に記載の錠剤。
34.短軸が、約5.1~8.5mm、例えば約6.8mmである、実施形態32または実施形態33に記載の錠剤。
35.側半径が、約8.0~13.1mm、例えば約9.4mmである、実施形態32~34のいずれか1つに記載の錠剤。
36.端半径が、約1.8~3.0mm、例えば2.4mmである、実施形態32~35のいずれか1つに記載の錠剤。
37.カップ深さが、約0.7~1.5mm、例えば約1.1mmである、実施形態32~36のいずれか1つに記載の錠剤。
38.長大半径が、19.3mm超、例えば約35mmである、実施形態32~37のいずれか1つに記載の錠剤。
39.長小半径が、16.0mm未満、例えば約3.2mmである、実施形態32~38のいずれか1つに記載の錠剤。
40.短大半径が、6.6mm超、例えば約12.00である、実施形態32~39のいずれか1つに記載の錠剤。
41.短小半径が、5.0mm未満、例えば約2.5mmである、実施形態32~40のいずれか1つに記載の錠剤。
42.(a)高さ対幅比が、約0.8であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約4.8であり、
(c)短大半径対幅比が、約1.76であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.50である、実施形態32~41のいずれか1つに記載の錠剤。
43.錠剤の総重量が、約390~490mg、例えば約400~485mgである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の錠剤。
44.長軸が、約11.1~15.6mm、例えば13.3mmである、実施形態43に記載の錠剤。
45.短軸が、約5.7~9.4mm、例えば約7.6mmである、実施形態43または実施形態44に記載の錠剤。
46.側半径が、約8.9~14.6mm、例えば約10.4mmである、実施形態43~45のいずれか1つに記載の錠剤。
47.端半径が、約2.0~3.3mm、例えば2.7mmである、実施形態43~46のいずれか1つに記載の錠剤。
48.カップ深さが、約0.7~1.7mm、例えば約1.2mmである、実施形態43~47のいずれか1つに記載の錠剤。
49.長大半径が、21.4mm超、例えば約38.9mmである、実施形態43~48のいずれか1つに記載の錠剤。
50.長小半径が、17.8mm未満、例えば約3.6mmである、実施形態43~50のいずれか1つに記載の錠剤。
51.短大半径が、7.3mm超、例えば約13.3mmである、実施形態43~51のいずれか1つに記載の錠剤。
52.短小半径が、5.6mm未満、例えば約2.8mmである、実施形態43~52のいずれか1つに記載の錠剤。
53.錠剤の総重量が、約490~590mg、例えば約500~585mgである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の錠剤。
54.長軸が、約11.7-16.5mm、例えば14.3mmである、実施形態53に記載の錠剤。
55.短軸が、約6.0~10.0mm、例えば8.1mmである、実施形態53または実施形態54に記載の錠剤。
56.側半径が、約9.4~15.4mm、例えば11.0mmである、実施形態53~55のいずれか1つに記載の錠剤。
57.端半径が、約2.1~3.5mm、例えば2.8mmである、実施形態53~56のいずれか1つに記載の錠剤。
58.カップ深さが、約0.8~1.8mm、例えば1.2mmである、実施形態53~57のいずれか1つに記載の錠剤。
59.長大半径が、22.6mm超、例えば40.0mmである、実施形態53~58のいずれか1つに記載の錠剤。
60.長小半径が、18.8mm未満、例えば3.0mmである、実施形態53~59のいずれか1つに記載の錠剤。
61.短大半径が、7.8mm超、例えば12.0mmである、実施形態53~60のいずれか1つに記載の錠剤。
62.短小半径が、5.9未満、例えば2.5mmである、実施形態53~61のいずれか1つに記載の錠剤。
63.錠剤の総重量が、約590~850mg、例えば約600~830mgである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の錠剤。
64.長軸が、約12.9~18.2mm、例えば15.6mmである、実施形態63に記載の錠剤。
65.短軸が、約6.6~11.0mm、例えば8.8mmである、実施形態63または実施形態64に記載の錠剤。
66.側半径が、約10.4~17.1mm、例えば12.2mmである、実施形態63~65のいずれか1つに記載の錠剤。
67.端半径が、約2.3~3.9mm、例えば3.1mmである、実施形態63~66のいずれか1つに記載の錠剤。
68.カップ深さが、約0.9~2.0mm、例えば1.4mmである、実施形態63~67のいずれか1つに記載の錠剤。
69.長大半径が、25.0mm超、例えば45.5mmである、実施形態63~68のいずれか1つに記載の錠剤。
70.長小半径が、20.8mm未満、例えば4.2mmである、実施形態63~69のいずれか1つに記載の錠剤。
71.短大半径が、8.6mm超、例えば15.6mmである、実施形態63~70のいずれか1つに記載の錠剤。
72.短小半径が、6.5未満、例えば3.2mmである、実施形態63~71のいずれか1つに記載の錠剤。
73.錠剤の総重量が、約850~1200mg、例えば約860~1150mgである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の錠剤。
74.長軸が、約14.2~20.1mm、例えば17.1mmである、実施形態73に記載の錠剤。
75.短軸が、約7.3~12.1mm、例えば9.7mmである、実施形態73または実施形態74に記載の錠剤。
76.側半径が、約11.4~18.8mm、例えば13.4mmである、実施形態73~75のいずれか1つに記載の錠剤。
77.端半径が、約2.6~4.3mm、例えば3.4mmである、実施形態73~76のいずれか1つに記載の錠剤。
78.カップ深さが、約0.9~2.2mm、例えば1.6mmである、実施形態73~77のいずれか1つに記載の錠剤。
79.長大半径が、27.5mm超、例えば50.0mmである、実施形態73~78のいずれか1つに記載の錠剤。
80.長小半径が、22.9未満、例えば4.6mmである、実施形態73~79のいずれか1つに記載の錠剤。
81.短大半径が、9.4mm超、例えば17.1mmである、実施形態73~80のいずれか1つに記載の錠剤。
82.短小半径が、7.1mm未満、例えば3.6mmである、実施形態73~81のいずれか1つに記載の錠剤。
83.錠剤が、約0.0~0.3、例えば約0.05~0.2mmのランドを有する、実施形態1~82のいずれか1つに記載の錠剤。
84.錠剤が、約0.08~0.15mm、例えば約0.1mmのランドを有する、実施形態1~83のいずれか1つに記載の錠剤。
85.N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が、錠剤の総重量に基づいて、約75~99重量%、例えば約79~90重量%の総量で存在する、実施形態1~84のいずれか1つに記載の錠剤。
86.N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が、錠剤の総重量に基づいて、約80~99重量%、例えば85~99重量%または90~99重量%の総量で存在する、実施形態1~85のいずれか1つに記載の錠剤。
87.N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が、錠剤の総重量に基づいて、約85~99重量%、例えば90~99重量%または90~98重量%の総量で存在する、実施形態1~86のいずれか1つに記載の錠剤。
88.N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が造粒される、実施形態1~87のいずれか1つに記載の錠剤。
89.N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩が、N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)である、実施形態1~88のいずれか1つに記載の錠剤。
90.錠剤が、活性医薬成分(API)をさらに含む、実施形態1~89のいずれか1つに記載の錠剤。
91.APIが、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~40重量%の総量で存在する、実施形態90に記載の錠剤。
92.APIがペプチドである、実施形態90または91に記載の錠剤。
93.APIが、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~14%、例えば約0.2~10%または0.5~8%で存在する、実施形態90~92のいずれか1つに記載の錠剤。
94.APIが、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~30%で存在する、実施形態90~92のいずれか1つに記載の錠剤。
95.APIが、錠剤の総重量に基づいて、約10~35%で存在する、実施形態90~92のいずれか1つに記載の錠剤。
96.ペプチドがGLP-1作動薬である、実施形態90~95のいずれか1つに記載の錠剤。
97.APIがセマグルチドである、実施形態90~96のいずれか1つに記載の錠剤。
98.錠剤が、滑沢剤をさらに含む、実施形態1~97のいずれか1つに記載の錠剤。
99.滑沢剤が、錠剤の総重量に基づいて、約0.1~7%、例えば約0.5~5%、例えば約1~3%、例えば約1.5~2.5%の総量で存在する、実施形態98に記載の錠剤。
100.滑沢剤が、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、デベヘン酸グリセリル、ベヘノイルポリオキシル-8グリセリド、ポリエチレンオキシドポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、水素化植物油、二酸化ケイ素、およびポリエチレングリコールから成るリストから選択される、実施形態98または実施形態99に記載の錠剤。
101.滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、実施形態98~100のいずれか1つに記載の錠剤。
102.錠剤が、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、実施形態1~101のいずれか1つに記載の錠剤。
103.錠剤が、錠剤の総重量に基づいて、84~97%のSNAC、0.1~14%のセマグルチド、および1.5~3.5%のステアリン酸マグネシウムから本質的になる、実施形態1~102のいずれか1つに記載の錠剤。
104.錠剤が、錠剤の総重量に基づいて、65~93%のSNAC、0.1~33%のセマグルチド、および1.5~3.5%のステアリン酸マグネシウムから本質的になる、実施形態1~102のいずれか1つに記載の錠剤。
105.錠剤が、錠剤の総重量に基づいて、88~97%のSNAC、0.1~9%のセマグルチド、および1.5~3.5%のステアリン酸マグネシウムから本質的になる、実施形態1~102のいずれか1つに記載の錠剤。
106.カップが、軸当たり2つ以上の半径、例えば3つまたは4つの半径を有する複合カップである、実施形態1~105のいずれか1つに記載の錠剤。
107.N-(8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)カプリル酸の塩、API、滑沢剤、および/または1つ以上の医薬賦形剤が造粒され、顆粒が0.1~2000μmの粒径中央値(D50)を有する、実施形態1~106に記載の錠剤。
108.顆粒が、100~1000μm、例えば150~800μm、例えば200~600μmの粒径中央値を有する、実施形態107に記載の錠剤。
109.粒径中央値が、レーザー回折法によって測定される、実施形態107または108に記載の錠剤。
110.錠剤が、エンボス加工またはデボス加工された錠剤である、実施形態1~109のいずれか1つに記載の錠剤。
111.錠剤が、被覆された錠剤である、実施形態1~110のいずれか1つに記載の錠剤。
112.医薬品に使用するための、実施形態1~111のいずれか1つに記載の錠剤。
113.糖尿病または肥満の治療に使用するための、実施形態1~112のいずれか1つに記載の錠剤。
114.糖尿病または肥満の治療のための方法であって、実施形態1~111のいずれか1つに記載の錠剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
115.錠剤が経口投与される、実施形態114に記載の方法。
116.錠剤が、1日1回、またはそれより少ない頻度、例えば週1回で投与される、実施形態114または実施形態115に記載の方法。
117.医薬の製造のための、実施形態1~111のいずれか1つに記載の錠剤の使用。
118.錠剤を調製するためのプロセスであって、
a.賦形剤を提供する工程と、
b.賦形剤を混合する工程と、
任意選択で、c.賦形剤を造粒、例えば乾式造粒して、造粒された錠剤組成物を得る工程と、
任意選択で、d.造粒された賦形剤を篩過する工程と、
任意選択で、e.工程cから得ることができる造粒物を追加の賦形剤と混合する工程と、
f.錠剤プレスにおいて実施形態1~111のいずれか1つに記載の錠剤を打錠機中で形成する工程であって、錠剤に加えられる最大圧縮力が、最大60kN、例えば1~40kNであり、任意選択で、そのように形成された錠剤が、約0~30%、例えば約5~25%、例えば約8~18%の錠剤空隙率を有する、形成する工程と、を含む、プロセス。
119.圧縮力が、予備圧縮および/または本圧縮中に適用される最大圧縮力である、実施形態118に記載のプロセス。
120.当該プロセスが、
a)錠剤成形材料をダイキャビティ内に置く工程と、
b)下部パンチを下から、上部パンチを上からダイに置く工程であって、任意選択で、下部パンチおよび上部パンチのうちの少なくとも一方が、当該錠剤に少なくとも1つの印をエンボス加工またはデボス加工するように構成された先端を有する、置く工程と、
c)圧力をパンチに適用する工程と、
d)錠剤をダイから排出する工程と、
任意選択で、e)錠剤を被覆する工程と、を含む、実施形態1~111のいずれか1つに記載の錠剤を調製するプロセス。
121.少なくとも1つの印が、文字、数字、記号、およびロゴから成る群から選択される、実施形態120に記載のプロセス。
122.適用される最大圧縮力が、約1~40kNである、実施形態120または実施形態121に記載のプロセス。
123.そのように形成された錠剤が、約0~30%、例えば約5~25%、例えば約8~18%の錠剤空隙率を有する、実施形態120~122のいずれか1つに記載のプロセス。
124.上部パンチ、下部パンチ、および実施形態1~111のいずれか1つに記載の錠剤を作製するためのダイを備える、パンチセット。
125.パンチが、単一の先端または複数の先端を有する、実施形態124に記載のパンチ。
126.ダイが先細りになっている、実施形態124または実施形態125に記載のパンチセット。
127.ダイが先細りになっていない、実施形態124~126のいずれか1つに記載のパンチセット。
128.(a)高さ対幅比が、約0.7であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約4.8であり、
(c)短大半径対幅比が、約1.48であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.38である、実施形態53~61のいずれか1つに記載の錠剤。
129.(a)高さ対幅比が、約0.8であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約5.1であり、
(c)短大半径対幅比が、約1.54であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.41である、実施形態53~61のいずれか1つに記載の錠剤。
130.(a)高さ対幅比が、約0.8であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約4.5であり、
(c)短大半径対幅比が、約1.77であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.54である、実施形態43~52のいずれか1つに記載の錠剤。
131.(a)高さ対幅比が、約0.6であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約5.0であり、
(c)短大半径対幅比が、約1.75であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.41である、実施形態63~72のいずれか1つに記載の錠剤。
132.(a)高さ対幅比が、約0.8であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約6.4であり、
(c)短大半径対幅比が、約1.75であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.41である、実施形態73~84のいずれか1つに記載の錠剤。
133.(a)高さ対幅比が、約0.8であり、
(b)錠剤高さ対カップ深さ比が、約5.6であり、
(c)短大半径対幅比が、約1.75であり、かつ/または
(d)インデックス値が、約0.46である、実施形態73~84のいずれか1つに記載の錠剤。
【0113】
方法および実施例
略語リスト
SNAC N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸ナトリウム
MgSt ステアリン酸マグネシウム
【0114】
一般的な方法および材料
材料
セマグルチドは、国際公開第2006/097537号、実施例4に記載される方法に従って調製することができる。SNACは、国際公開第2008/028859号に記載される方法に従って調製することができる。
【0115】
方法1:錠剤調製
工程1:造粒
成分(例えば、SNAC、MgSt、および任意選択でセマグルチド)を、乾式造粒前に、拡散ブレンダーを使用して25rpmで50分間混合した。乾式造粒を、3~6rpmのロール速度、6~9kN/cmの圧縮力、および1~2mmのギャップを使用する、Gerteis Minipactor上のローラー圧密によって行った。ローラー圧密後、0.80mmのスクリーンを使用して、成形物を粉砕して顆粒にした。このようにして得られた造粒組成物(表1に示す)は、粒径中央値が256~402μmであり、これを続いて錠剤に形成した。
【0116】
【0117】
工程2:錠剤成形
錠剤を、1つ以上のセットのパンチおよびダイを備え付けたFette102i回転プレス上で、20~50rpmのダイテーブル回転速度を使用して生産した。充填体積を調整して、20rpmで回転する圧送機を使用して錠剤の目標重量を得た。次いで、錠剤を、0~5kNの予備圧縮力および5~17kNの本圧縮力で圧縮した。
【0118】
方法2:摩損性
European Pharmacopoeia 7.5,7th edition 2012のセクション2.9.7に従って、摩損性試験を実施した。
【0119】
方法3:視覚的評価
70~250個の錠剤を、十分に照明した白色または色付きの背景の前で亀裂がないか目視検査した。錠剤の片方の面を目視検査し、その後、もう片方の面を検査した。亀裂が検出された錠剤の数を計数し、検査した錠剤の総数で除し、割合として報告した。亀裂を有する錠剤の例を
図9に示す。亀裂を有しない錠剤の例を
図10に示す。深刻な亀裂を有する錠剤の例を
図11に示す。
【0120】
方法4:粒径中央値
粒径中央値、すなわち、粒子の球相当径の径分布を、汎用の非球状粒子モード(Mie近似)を使用し、屈折率1.55で、Malvern Mastersizer 3000機器において、分散圧1バーグおよび遮蔽20%未満の乾燥モードで、レーザー回折によって決定した。
【0121】
錠剤設計
所望の錠剤設計を有する錠剤パンチセットを、Natoli Engineering Company,Inc.(https://natoli.com/lp/tabletcad-ddo/)製の錠剤設計プログラムでありTabletCADにおいて調製した錠剤設計図面に基づいて製造した。
【実施例】
【0122】
実施例1-錠剤設計
錠剤設計A~C
3つの錠剤設計(A~C)を、TabletCADを使用して調製した。選択したパラメータを表2に示す。組成物1を使用して、方法1に記載する手順に従って錠剤を調製した。
【0123】
本実施例の目的は、錠剤寸法が亀裂の形成および錠剤の摩損性に及ぼす影響を決定することであった。
【0124】
表2に示す結果から分かるように、長さおよび幅を減少させると、錠剤の合計高さが増加し、その結果、亀裂のない錠剤の割合が増加する。加えて、カップ深さを増加させると、亀裂のない錠剤の割合が減少する。すべての錠剤設計の錠剤摩損性が許容可能なものであることが分かった。
【0125】
結論として、亀裂を有する錠剤の数を減少させるために、錠剤の合計高さが可能な限り高く、一方でカップ深さが可能な限り浅いままであることが望ましい。
【0126】
錠剤設計D1~D2
4つの錠剤設計(D1~D4)を、TabletCADを使用して調製した。選択したパラメータを表2に示す。組成物1を使用して、方法1に記載する手順に従って錠剤を調製した。
【0127】
本実施例の目的は、カップの短小半径が亀裂の形成および錠剤の摩損性に及ぼす影響を具体的に決定することであった。
【0128】
表2の結果から分かるように、錠剤の幅および長さを固定した場合に予想されるように、錠剤間の合計錠剤高さは同等であることが見出される。同等の合計錠剤高さおよび同一のカップ深さでは、結果は、短小半径を減少させると、亀裂のない錠剤の割合が増加することを示す。すべての錠剤設計の錠剤摩損性が許容可能なものであることが分かった。
【0129】
結論として、亀裂を有する錠剤の数を減少させるためには、短小半径が可能な限り小さいことが望ましい。
【0130】
錠剤設計E1~E2
2つの錠剤設計(E1~E2)を、TabletCADを使用して調製した。選択したパラメータを表2に示す。組成物2を使用して、方法1に記載する手順に従って錠剤を調製した。
【0131】
本実施例の目的は、カップ深さが亀裂の形成および錠剤の摩損性に及ぼす影響を具体的に決定することであった。
【0132】
表2の結果から分かるように、E2のカップ深さを減少させることで、合計錠剤高さがわずかに減少するが、カップ深さが変化させた唯一の主要な因子である場合、錠剤は同等であったことが見出された。結果は、カップ深さを減少させると、亀裂のない錠剤の割合が増加することを示す。しかしながら、浅すぎるカップは、錠剤の摩損性に悪影響を与える。
【0133】
結論として、亀裂を有する錠剤の数を減少させるためには、カップ深さは、可能な限り小さいが、望ましくない錠剤の摩損性を防止するのに十分に深いことが望ましい。
【0134】
【0135】
前述したことに基づいて、長さ、幅、合計高さ、カップ深さ、短大半径、カップ幅、および短小半径は、亀裂の形成に影響を与えるパラメータであると結論付けることができる。特に、
(a)0.9以下の錠剤高さ対幅比、
(b)4.3超の錠剤高さ対カップ深さ比、
(c)1.15超の短大半径対幅比、および/または
(d)0.67以下の指標値、が、
亀裂を有する錠剤の減少につながると結論付けることができる。
【0136】
実施例2-本圧縮力およびダイ回転速度の効果
実施例1の錠剤設計に基づく錠剤を、それぞれ実施例1と同じ組成物1および2を使用して、方法1に記載する錠剤成形手順に従って生産した。
【0137】
この実施例の目的は、圧縮力の増加およびダイ回転速度の低下が、実施例1と比較して亀裂を有する錠剤の数を減少させ得るかどうかを決定することであった。
【0138】
表3の結果から分かるように、ダイ回転速度を減少させ、圧縮力を増加させると、概して、亀裂のない錠剤の数が増加する。しかしながら、ダイ回転速度が亀裂のない錠剤の数の増加に及ぼす影響は、圧縮力の増加の影響と比較して高いことが分かる。ダイ回転速度を減少させ、圧縮力を増加させることの効果は、錠剤の亀裂の問題を解決するには不十分であることが分かる。
【0139】
結論として、ダイ回転速度を減少させ、圧縮力を増加させるだけでは不十分であり、また回転速度を遅くすることで製造スループットが低下するため、亀裂のない錠剤を得るためには、錠剤設計の修正が必要である。
【0140】
【0141】
実施例3-錠剤重量の影響
実施例1および2で特定したパラメータに基づいて、さらなる錠剤設計を、TabletCADを使用して調製した。設計F、G、およびHを、それぞれ組成物3、1、および4を用いて調製し、錠剤を、方法1に記載する手順に従って調製した。錠剤設計F~Hのパラメータを表4に示す。
【0142】
この実施例の目的は、亀裂のない錠剤を多数得ることに関して、102.6~612.5mgの範囲の様々な錠剤重量について、実施例1に示した設計要件を実証することであった。
【0143】
表4の結果から分かるように、実施例1に示した設計要件に準拠した2つの最適化した錠剤設計(FおよびH)により、亀裂のない錠剤の数が増加し、一方、準拠しない錠剤設計(G)では、亀裂のない錠剤の数が低減する。したがって、結果は、亀裂のない錠剤を多数得るための実施例1に示した設計要件が、他の錠剤重量に対して等しく有効であることを示す。
【0144】
【0145】
さらなる錠剤設計(I~K)を、307.7~1000mgの範囲の錠剤重量について、錠剤CADを使用して調製した(表5)。設計Iは組成物1および5を用いて調製し、設計Jは組成物6および7を用いて調製し、設計Kも組成物6および7を用いて調製した。錠剤を、方法1に記載する手順に従って調製し、錠剤の重量が小さいおよび大きい錠剤設計I~Kのパラメータを表5に示す。
【0146】
この実施例の目的は、亀裂のない錠剤をより少数得ることに関して、錠剤重量を低下させることにより、同じ錠剤設計内で、式IVによって計算して高さ対カップの比を低減させることにより、実施例1に示した設計要件を実証することであった。
【0147】
表5の結果から分かるように、実施例1に示した設計要件に準拠した最適化した錠剤設計(I-大きい、J-大きい、およびK-大きい)により、亀裂のない錠剤の数が増加し、一方、準拠しない錠剤設計(I-小さい、J-小さい、およびK-小さい)では、亀裂のない錠剤の数が低減する。したがって、結果は、亀裂のない錠剤を多数得るための実施例1に示した設計要件が、錠剤設計内の様々な錠剤重量に対して等しく有効であることを示す。
【0148】
【0149】
さらなる錠剤設計(L~O)を、約512.8mgの錠剤重量について、錠剤CADを使用して調製した(表6)。設計L~Oを、組成物8を用いて調製し、錠剤を、方法1に記載する手順に従って調製した。錠剤設計L~Oのパラメータを表6に示す。
【0150】
この実施例の目的は、亀裂のない錠剤を多数得ることに関して、約512.8mgの錠剤重量について、実施例1に示した設計要件を実証することであった。
【0151】
表6の結果から分かるように、実施例1に示した設計要件に準拠した最適化した錠剤設計(NおよびO)により、亀裂のない錠剤の数が増加し、一方、準拠しない錠剤設計(LおよびM)では、亀裂のない錠剤の数が低減kする。したがって、結果は、亀裂のない錠剤を多数得るための実施例1に示した設計要件が、より大きい錠剤重量に対して等しく有効であることを示す。
【0152】
【0153】
結論として、錠剤の亀裂を防止するための錠剤設計要件は、異なる錠剤重量について実証される。
【0154】
本発明のある特定の特徴を本明細書で図解し説明してきたが、そうした今、多くの修正、置換、変更、および均等物が当業者には想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内に含まれるすべてのこうした修正および変更を網羅するよう意図されていることを理解されたい。
【国際調査報告】