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特表2024-525384プレートグリッド分配器及びそれを使用する方法
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  • 特表-プレートグリッド分配器及びそれを使用する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】プレートグリッド分配器及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/24 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B01J8/24 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578953
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022034847
(87)【国際公開番号】W WO2023278260
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,778
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】プレッツ、マシュー ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ショー、ドナルド エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター、リチャード イー.
(72)【発明者】
【氏名】メサ、アルバート
(72)【発明者】
【氏名】サンドバル、フェルミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、リーウェイ
【テーマコード(参考)】
4G070
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB32
4G070CA06
4G070CA18
4G070CB02
4G070CB15
4G070DA03
(57)【要約】
1つ以上の実施形態によれば、容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器、又は容器から流体を除去するためのプレナムは、プレート及びスカートを備えてもよい。スカートは、プレートと直接接触していてもよく、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。第1の部分は、プレートと直接接触していてもよく、第2の部分は、第1の部分と直接接触していてもよい。第1の部分は第1の許容応力を有してもよく、第2の部分は第2の許容応力を有してもよい。1つ以上の他の実施形態によれば、容器内のプレートグリッド分配器を通して流体を分配する方法は、流体を容器内に通過させることと、流体をプレートグリッド分配器を通して方向付けることと、を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器であって、
上面と、前記上面の反対側の底面と、前記上面から前記底面まで貫通する複数の開口と、を備える、プレートと、
前記プレートの外周又はその近傍で前記プレートの前記底面と直接接触しており、前記プレートから前記容器の床に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、前記スカートが、
前記プレートと直接接触している第1の部分であって、前記第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、
前記第1の部分の下方に位置付けられ、前記第1の部分と直接接触しており、前記容器の前記床に向かって下向きに延在する第2の部分であって、前記第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、
前記第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、
前記第2の許容応力が、1,400°Fで前記第1の許容応力よりも少なくとも200psi大きい、プレートグリッド分配器。
【請求項2】
前記第2の許容応力が、1,400°Fで3,200psiより大きい、請求項1に記載のプレートグリッド分配器。
【請求項3】
前記第2の許容応力が、1,400°Fで3350psi~3450psiである、請求項1に記載のプレートグリッド分配器。
【請求項4】
前記第1の部分の前記材料が、SAE 304Hステンレス鋼である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプレートグリッド分配器。
【請求項5】
前記第2の部分の前記材料が、INCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレートグリッド分配器。
【請求項6】
前記スカートが、前記第2の部分の下方に位置付けられ、前記第2の部分及び前記容器の前記床と直接接触している第3の部分を更に備え、前記第3の部分の材料が、第3の許容応力を有し、前記第3の許容応力が、前記第1の許容応力1,400°F未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプレートグリッド分配器。
【請求項7】
前記第3の部分が前記容器のシェルと同じ材料である材料を含むか、
前記第3の部分の前記材料が炭素鋼であるか、
又はその両方である、請求項6に記載のプレートグリッド分配器。
【請求項8】
容器から流体を除去するためのプレナムであって、
上面と、前記上面の反対側の底面と、を備える、プレートと、
前記プレートの外周又はその近傍で前記プレートの前記上面と直接接触しており、前記プレートから前記容器の上部に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、前記スカートが、
前記プレートと直接接触している第1の部分であって、前記第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、
前記第1の部分の上方に位置付けられ、前記第1の部分と直接接触しており、前記容器の前記上部に向かって上向きに延在する第2の部分であって、前記第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、
前記第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、
前記第2の許容応力が、1,400°Fで前記第1の許容応力よりも少なくとも200psi大きい、プレナム。
【請求項9】
前記第2の許容応力が、1,400°Fで3,200psiより大きい、請求項8に記載のプレナム。
【請求項10】
容器内に流体を分配する方法であって、
前記プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して、反応条件で前記容器に流体を通すことと、
前記容器内のプレートグリッド分配器を通して前記流体を方向付けることと、を含み、前記プレートグリッド分配器が、
上面と、前記上面の反対側の底面と、前記上面から前記底面まで貫通する複数の開口と、を備える、プレートと、
前記プレートの外周又はその近傍で前記プレートの前記底面と直接接触しており、前記プレートから前記容器の床に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、前記スカートが、
前記プレートと直接接触している第1の部分であって、前記第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、
前記第1の部分の下方に位置付けられ、前記第1の部分と直接接触しており、前記容器の前記床に向かって下向きに延在する第2の部分であって、前記第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、
前記第1の許容応力が、1,400°Fで前記第2の許容応力よりも200psi小さく、
前記第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、
前記プレートの前記上面と前記容器の前記床との間の温度差が、500°F以上である、方法。
【請求項11】
前記プレートの前記上面の温度が1,400°F以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記容器の前記床での温度が、350°F以上600°F以下である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記スカートが、前記第2の部分及び前記容器の前記床と直接接触している第3の部分を更に備え、前記第3の部分の材料が、第3の許容応力を有し、前記第3の許容応力が、1,400°Fで前記第1の許容応力未満である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の部分の前記材料がSAE 304ステンレス鋼であり、前記第2の部分の前記材料がINCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)である、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の部分の前記材料が炭素鋼である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月30日に出願され、「PLATE GRID DISTRIBUTORS AND METHODS OF USING THE SAME」と題された米国仮特許出願第63/216778号の優先権を主張するPCT出願であり、その全内容が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書は、概して、化学処理に関し、より具体的には、分配器を介して流体を分配するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
気体化学物質は、分配器を通して反応器又は他の容器に供給され得る。分配器を利用して、このような反応器又は容器への供給化学物質流のバランスのとれた分配を促進することができる。このような供給化学物質の分布は、望ましい反応を促進することができ、化学システムにおける物質移動平衡を維持することができる。しかしながら、分配器に対する機械的負荷は、特に分配器がより大きく作製され、高温環境にあるとき、困難であり得る。
【発明の概要】
【0004】
多くの化学プロセスにおいて、化学物質供給流は、プレートグリッド分配器を通して反応器又は他の容器などの高温環境に供給される。他の化学プロセスでは、流体は、反応器又は他の容器などの高温環境からプレナムを通して除去される。プレートグリッド分配器又はプレナムが少なくとも20ftである場合など、反応器又は容器のサイズが増大すると、プレートグリッド分配器を支持するのを助けるために追加の機械的支持体が必要になる場合がある。更に、これらの高温環境は、プレートグリッド分配器のプレートなどのプレートグリッド分配器の温度を上昇させ得る。プレートグリッド分配器の温度が上昇し得るので、プレートは、反応器又は他の容器の外壁に向かって外向きに熱膨張し得る。これは、高温環境がプレートグリッド分配器のプレートを熱的に膨張及び収縮させ得るいくつかの流動床容器において特に問題である。次に、プレートの熱膨張及び収縮は、プレートグリッド分配器のプレートを支持する際に困難を生じさせる可能性がある。したがって、改良されたプレートグリッド分配器が継続して必要とされている。
【0005】
複数の異なる部分を有するスカートを備えたプレートグリッド分配器は、プレートの熱膨張及び熱収縮中にプレートを支持する必要性を満たしながら、プレートグリッド分配器のプレートに適切な支持を提供することができることが分かっている。そのようなプレートグリッド分配器の実施形態が本明細書に記載される。本開示の実施形態は、反応中に見られる高温で比較的高い許容コストを有する部分を有するスカートを利用することによってこの必要性を満たし、これにより、プレートグリッドが膨張するときに破損することなくスカートを屈曲させることが可能になる。この設計は、機械的応力を観測するスカートの特定の部分に高い許容応力を有するそのような材料を組み込むが、最大応力の影響を受けにくい領域に他の材料を使用し、それによって材料コストを削減することができる。このような概念は、本明細書で説明するように、プレナムなどの反応器内の他の内部構造にも適用することができる。
【0006】
一実施形態によれば、容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器は、プレート及びスカートを備えてもよい。プレートは、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備えてもよい。スカートは、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触していてもよい。スカートは、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。第1の位置は、プレートと直接接触していてもよく、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分は、第1の部分の下方に位置付けられてもよく、第1の部分と直接接触しており、容器の床に向かって下向きに延在してもよい。第2の部分の材料は、第2の許容応力を有してもよい。第1の許容応力は、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さくてもよい。第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよい。
【0007】
別の実施形態によると、容器から流体を除去するためのプレナムは、プレート及びスカートを備えてもよい。プレートは、上面と、上面の反対側の底面と、を備えてもよい。スカートは、プレートの外周又はその近傍でプレートの上面と直接接触していてもよい。スカートは、プレートから容器の上部に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。第1の部分は、プレートと直接接触していてもよい。第1の部分の材料は、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分は、第1の部分の上方に位置付けられてもよく、第1の部分と直接接触していてもよい。第2の部分は、容器の上部に向かって上向きに延在してもよい。第2の部分の材料は、第2の許容応力を有してもよい。第1の許容応力は、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さくてもよい。第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよい。
【0008】
別の実施形態によれば、容器内に流体を分配する方法は、プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して反応条件で容器内に流体を通過させることと、容器内においてプレートグリッド分配器を通して流体を方向付けることと、を含んでもよい。プレートグリッド分配器は、プレート及びスカートを備えてもよい。プレートは、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備えてもよい。スカートは、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触していてもよい。スカートは、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。第1の部分は、プレートと直接接触していてもよい。第1の部分の材料は、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分は、第1の部分の下方に位置付けられ、第1の部分と直接接触していてもよい。第2の部分は、容器の床に向かって下向きに延在してもよい。第2の部分の材料は、第2の許容応力を有してもよい。第1の許容応力は、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さくてもよい。第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよい。プレートの上面と容器の床との間の温度差は、500°F以上であってもよい。
【0009】
追加の特徴及び有益性は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、又は以下の「発明を実施するための形態」、及び特許請求の範囲を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
上記の全般的な説明及び下記の詳細な説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みの提供を意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、容器及びプレートグリッド分配器の断面図の概略図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、プレートグリッド分配器及びスカートの概略図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、容器及びプレナムの断面図の概略図である。
【0012】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、そのうちのいくつかの実施形態が添付の図面に例示される。可能な場合はいつでも、同じ又は同様の部分を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態によれば、プレートグリッド分配器、プレナム及びそのようなものを使用するための方法を対象とする。一般に、本明細書に記載のプレートグリッド分配器及びプレナムは、プレート及びスカートを備えてもよい。本明細書に記載されるプレートグリッド分配器は、容器内に流体を分配するために使用されてもよい。本明細書で説明されるプレナムは、容器から流体を除去するために使用されてもよい。容器は、プレートグリッド分配器によって容器内に分配され得る気体供給導管を備えてもよい。容器は、容器から流体を除去することができるプレナム出口を容器内に備えてもよい。一般に、本明細書に記載のプレート分配器及びプレナムは、プレートを支持するのを助けることができるスカートを備える。いくつかの実施形態では、そのようなスカートは、プレートの周囲に支持を提供するために必要とされ得る。化学プロセスが容器内で進行するにつれて、プレートは反応条件に起因して熱膨張し得る。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。本明細書で更に説明されるように、第1の部分及び第2の部分は、プレートが熱膨張するときに屈曲して、化学プロセスが高温で容器内で進行するときにプレートを支持し続けることができる。
【0014】
ここで図1を参照すると、本開示のプレートグリッド分配器100は、容器110内に位置付けられ得る。容器110は、様々な構成を有し得る。容器110は、1つ以上の多面体、球、円筒、円錐、不規則な形状、それらの組み合わせ、及び/又はそれらの一部を含んでもよい。例えば、容器110は、長手方向軸を有する直中空円筒を含んでもよい。容器110は、耐火物でライニングされた内壁112、外壁114、床116、上部118、触媒供給導管受容通路120、及び気体供給導管受容通路122を備え得る。
【0015】
1つ以上の実施形態によれば、容器110内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器100は、プレート102を備えてもよい。プレート102は、上面104及び底面106を備えてもよい。底面106は、上面104の反対側にあってもよく、上面104から離間していてもよい。プレート102は、外面108を備えてもよい。外面108は、上面104及び底面106に対して直角な部分を有してもよい。外面108は、上面104及び/又は底面106に溶接することができる。プレート102は、10フィート(3.0メートル(m))以上50フィート(15.2m)以下など、5フィート(1.5m)以上75フィート(22.9m)以下の平均直径を有してもよい。プレート102は、実質的に平面であってもよい(すなわち、上面104及び底面106が実質的に平行であってもよい)。しかしながら、更なる実施形態では、プレート102は非平面であってもよいことが企図される。
【0016】
プレート102の底面106、上面104、又はその両方は、耐火物でライニングされていてもよい。更に又はあるいは、絶縁特性を有する他の材料(例えば、絶縁材料)が、プレート102の底面106と上面104との間に配置されてもよい。耐火物ライニング、断熱材料、又はその両方は、プレート102の底面106が加熱されるのを防止するのを助けることができる。
【0017】
プレート102は、複数の開口130を備えてもよい。複数の開口130の各々は、第1の開口部分132及び第2の開口部分134を介して、プレート102の底面106及びプレート102の上面104と流体連通してもよい。複数の開口130は、上面104及び/又は底面106と同一平面上にあってもよい(すなわち、それよりも遠くに延在しない)。あるいは、複数の開口130は、底面106を越えて(すなわち、下方に)、及び/又は上面104を越えて(すなわち、上方に)延在してもよい。複数の開口130は、底面106、上面104、又はその両方を越えて延在するリップを備えてもよい。第2の開口部分134は、第1の開口部132より大きい断面積を有してもよい。
【0018】
プレート102の第1の開口部分132及び第2の開口部分134は、複数の開口130の各々を通過するガスの均一な分布を提供するのを助けるように、均一な又は変化する断面積を有してもよい。例えば、気体供給導管123により近い第1の開口部分132は、プレート102の底面106と上面104との間により大きな圧力差を有してもよい。したがって、気体供給導管123により近いプレート102の第1の開口部分132は、プレート102にわたる圧力差を平衡化するのを助けるために、気体供給導管123よりも遠い第1の開口部分132よりも小さい断面積を有することができる。
【0019】
更に図1を参照すると、プレート102は、底面106及び外面108を備え得る。底面106は、プレート102の第1の開口部分132によって形成された複数の開口130を備えることができる。複数の開口130は、幾何学的パターンで触媒供給導管通路136の周りに配置されてもよい。幾何学的パターンは、様々な用途に対して異なってもよい。例えば、複数の開口130は、グリッド状及び/又は同心円状に触媒供給導管通路136の周りに配置されてもよい。プレート102は、1平方メートル当たり10~50個の開口130、例えば、1平方メートル当たり20~35個の開口130を備えることができる。1平方メートル当たりの他の数の開口130も企図される。
【0020】
プレート102の第2の開口部分134の内径に対するプレート102の第1の開口部分132の内径の比は、0.13~0.63、例えば0.34~0.51であってもよい。容器110の内径に対するプレート102の第1の開口部分132の内径の比は、0.003~0.014、例えば0.008~0.012であってもよい。容器110の内径に対するプレート102の第2の開口部分134の内径の比は、0.008~0.163、例えば0.026~0.067であってもよい。
【0021】
図1及び図2を参照すると、プレートグリッド分配器100は、スカート150を備えてもよい。スカート150は、容器110の床116又はその近傍で、プレート102を容器110に取り付けて支持することができる。スカート150は、プレート102の外周又はその近傍で下向きに延在してもよい。本開示で使用される場合、「プレート102の外周」は、プレート102の最も外側(すなわち、耐火物でライニングされた内壁112に最も近い部分)の25%、又はその領域近傍を指し得る。スカート150は、プレート102から容器110の床116に向かって実質的に垂直に延在してもよい。本開示で使用される場合、「実質的に垂直」は、(室温であるとき)45°以下の角度を指し得る。
【0022】
スカート150は、第1の端部152及び第2の端部154を備えてもよい。第1の端部152は、容器110の床116に接続されてもよい。第2の端部154はプレート102に接続されてもよい。第1の端部152及び第2の端部154は、互いに離間していてもよい。第1の端部152と第2の端部154との間の空間は、スカート150の外面156を画定し得る。外面156は、スカート150の幅を画定する内面158から離間していてもよい。外面156は、耐火物でライニングされた内壁112から離間していてもよい。実施形態において、スカート150は、傾斜していてもよい(すなわち、垂直でなくてもよい)。
【0023】
スカート150は、第1の部分160及び第2の部分162を備えてもよい。第1の部分160は、スカート150の第2の端部154又はその近傍などで、プレート102と直接接触していてもよい。第2の部分162は、第1の部分160の下方に位置付けられてもよく、第1の部分160と直接接触していてもよい。第2の部分162は、スカート150の第1の端部152までなど、容器110の床116に向かって下向きに延在してもよい。第1の部分160及び第2の部分162は、互いに取り付けられてもよい。第1の部分160及び第2の部分162は、互いに溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。
【0024】
スカート150の第1の部分160及び第2の部分162は、実質的にリング形状の部材であってもよい。スカート150の第1の部分160及び第2の部分162は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレートグリッド分配器100の他の構成要素がプレート102の下方及びスカート150内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0025】
スカート150は、第2の部分162の下方に位置付けられた第3の部分164を備えてもよい。第3の部分164は、第2の部分162及び容器110の床116と直接接触していてもよく、又は一体であってもよい。第3の部分164は、第2の部分162に溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。第3の部分164は、実質的にリング状の部材であってもよい。スカート150の第3の部分164は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレートグリッド分配器100の他の構成要素がプレート102の下方及びスカート150内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0026】
一般に、プレート102又はその近傍の温度は、床116における温度よりもはるかに高い可能性があり、反応器の動作中に大きな温度差が観察される。このような温度差により、第1の部分160は高温下で外向きに膨張することができるが、第3の部分164はより低い温度のために大きく膨張しない。これにより、スカート150に屈曲が生じる可能性がある。理論に束縛されるものではないが、第1の部分156が膨張するときにスカート150にかかる最大応力は、第2の部分160を取り囲む中心領域にあると考えられる。したがって、スカート150の他の部分と比較して、第2の部分に高い許容応力を有する材料を利用することが望ましい場合がある。しかしながら、そのような材料は非常に高価であり得るので、この材料は、応力が最大である第2の部分158においてのみ利用される。
【0027】
第1の部分160の材料は第1の許容応力を有してもよく、第2の部分162の材料は第2の許容応力を有してもよい。本開示で使用される場合、「許容応力」は、構造又は材料に安全に印加され得る最大応力を指す。本明細書で使用される場合、特定の材料の許容応力は、ASME第2節パートDによって文書化され、ASME第2節パートDにおいて許容応力を決定するために使用される基準は、所与の材料の許容応力を決定するために適用され得る。当業者が理解するように、許容強度は、許容応力と互換的に使用され得る。構造又は材料の機械的特性は温度の変化とともに変化するので、許容応力は、一般に、特定の温度で測定される。例えば、材料の許容応力は、室温での同じ材料の許容応力よりも高い温度では高くない場合がある。本明細書に記載されるように、任意の応力に耐えることができない、又は特定の温度で不安定である材料は、その温度で許容応力が0であることを理解されたい。
【0028】
1つ以上の実施形態において、第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよく、例えば、1,400°Fで3,050psiより大きく、3,100psiより大きく、3,150psiより大きく、3,200psiより大きく、3,250psiより大きく、3,300psiより大きく、3,350psiより大きく、3,400psiより大きく、3,450psiより大きく、又は3,500psiより大きくてもよい。14,000℃は、プレート102の周りの雰囲気の温度に近い可能性があるので、選択される。しかしながら、本明細書に記載される装置は、異なる温度の反応器に有用であり得る。
【0029】
1つ以上の実施形態において、第1の許容応力は、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも200psi小さくてもよく、例えば、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも250psi小さく、少なくとも300psi小さく、少なくとも350psi小さく、少なくとも400psi小さく、少なくとも450psi小さく、又は少なくとも500psi小さくてもよい。
【0030】
第3の部分164の材料は、第3の許容応力を有してもよい。第3の許容応力は、第1の許容応力より小さくてもよい。加えて、第3の許容応力は、第2の許容応力より小さくてもよい。実施形態において、第3の許容応力は、1,400°Fで、第1の許容応力よりも少なくとも200psi小さくてもよく、例えば、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも250psi小さく、少なくとも300psi小さく、少なくとも350psi小さく、少なくとも400psi小さく、少なくとも450psi小さく、又は少なくとも500psi小さくてもよい。第3の許容応力は、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも200psi小さくてもよく、例えば、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも250psi小さく、300psi小さく、350psi小さく、400psi小さく、450psi小さく、又は500psi小さくてもよい。
【0031】
スカート150の部分の材料は各々、それぞれの熱膨張係数を有することもできる。第2の部分162の材料は、第2の熱膨張係数を有してもよい。第3の部分164の材料は、第3の熱膨張係数を有してもよい。1つ以上の実施形態では、第2の部分162及び第3の部分164の熱膨張係数は、互いの50%、40%、30%、20%、又は更に10%以内など、比較的類似している。例えば、第2の部分162の熱膨張係数は、約9.4in/°Fであってもよく、第3の部分164の熱膨張係数は、約8.1in/°Fであってもよい。これらの熱膨張係数の類似性は、処理条件中の比較的高温での歪みが第2の部分162と第3の部分164との接合部で低減され得るので、望ましい場合がある。
【0032】
実施形態において、第1の部分160の材料は、SAE 304Hステンレス鋼であってもよい。第2の部分162の材料は、INCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)であってもよい。INCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)は、39.5%の最小鉄含有量、30~35%の範囲のニッケル含有量、19~23%の範囲のクロム含有量、0.25~0.60%の範囲のアルミニウム含有量、0.25~0.60%の範囲のチタン含有量、0.85~1.20%の範囲のアルミニウム及びチタン含有量、並びに0.06~0.10%の範囲の炭素含有量を有するニッケル-鉄-クロム合金である。第3の部分164の材料は、容器110のシェル(すなわち、外壁114)と同じ材料であってもよい。実施形態において、第3の部分164の材料は、炭素鋼であってもよい。表Iは、これらの材料のいくつかの特性を示す。
【表1】
【0033】
第2の部分162の本明細書に開示される材料を利用する利点は、熱膨張係数が第3の部分164と相対的に一致すること、並びに高いテンプター(tempters)で許容応力が比較的高いことを含む。しかしながら、これらの材料は、本明細書に記載されるようなシステムの部分においてのみ利用される。このような材料を利用することの欠点は、非常に高いコストと、製造及び機械加工性における問題の増大と、を含む。加えて、いくつかの実施形態において存在するニッケルは、望ましくないコーキングを引き起こし得る。更に、(第2の部分162を含まない比較実施形態と比較して)追加の金属溶接部を追加することは、相対的な弱点をもたらすので望ましくない。しかしながら、追加のバイメタル溶接によって導入される追加の弱点は、高い動作温度下でのプレートの膨張による第2の部分162の材料の高温安定性特性の必要性によって克服されることが、本明細書で説明される実施形態において現在発見されている。これは、直径が20ftを超えるような大きなプレートグリッドを利用する場合に特に重要である。
【0034】
再び図1を参照すると、容器110は気体供給導管123を備え得る。気体供給導管123は、容器110の床116を通って延在する気体供給導管受容通路122に接続されてもよい。容器110は、複数の気体供給導管123を備えてもよい。実施形態において、複数の気体供給導管123は、複数の気体供給導管受容通路122に接続されてもよい。複数の気体供給導管受容通路122は、容器110の長手方向軸を取り囲んでもよい。
【0035】
気体供給導管123は、耐火物でライニングされた内壁112と同一平面に取り付けられてもよく、又は耐火物でライニングされた内壁112を越えて延在することができる。容器110の内径に対する気体供給導管123の内径の比は、0.06~0.77、例えば0.20~0.23であってもよい。
【0036】
更に図1を参照すると、容器110は触媒供給導管121を備え得る。触媒供給導管121は、容器110の床116を通って延在する触媒供給導管受容通路120に接続されてもよい。実施形態において、容器110は、複数の触媒供給導管121を備えてもよい。複数の触媒供給導管121は、複数の触媒供給導管受容通路120に接続されてもよい。複数の触媒供給導管受容通路120は、容器110の長手方向軸を取り囲んでもよい。
【0037】
触媒供給導管121は、第1の端部121A及び第2の端部121Bを備えてもよい。触媒供給導管121Aは、容器110の耐火物でライニングされた内壁112及び外壁114を通って延在してもよい。第2の端部121Bは、プレート102の上面104の上方に位置付けられてもよい。触媒供給導管121は、第2の端部121Bがプレート102の上面104を越えて延在するように、触媒供給導管受容通路120及び触媒供給導管通路136を通って延在してもよい。触媒供給導管キャップ125は、1つ以上のコネクタ127によって第2の端部121Bに接続されてもよい。1つ以上のコネクタ127は、触媒が容器110内に流れることができるギャップ129を画定し得る。容器110の内径に対する触媒供給導管121の内径の比は、0.08~0.23、例えば0.12~0.15であってもよい。
【0038】
更に図1を参照すると、プレートグリッド分配器100は、触媒供給導管ハウジング180を備え得る。触媒供給導管121は、触媒供給導管ハウジング180内に摺動可能に収容され得る。触媒供給導管121は、触媒供給導管ハウジング180の内面182から離間していてもよい。触媒供給導管121は、触媒供給導管121の拡大を可能にするために、触媒供給導管ハウジング180内に摺動可能に収容されてもよい。例えば、触媒供給導管121を通過する触媒供給物を加熱して、触媒供給導管121の長さ及び直径を拡大させることができる。したがって、触媒供給導管121が適所に溶接され、それによって溶接部に亀裂が生じる可能性がある容器110と比較して、触媒供給導管121は拡大する可能性がある。
【0039】
触媒供給導管ハウジング180は、容器110の床116に近接する第1の端部180Aを備え得る。触媒供給導管ハウジング180は、容器110の床116から離間し、プレート102の上面104に近接する第2の端部180Bを備え得る。触媒供給導管ハウジング180は、触媒供給導管ハウジング180の内面182から離間した外面181を備え得る。触媒供給導管ハウジング180の外面181は、触媒供給導管通路136の内周面及び触媒供給導管受容通路120に接続され得る。上面104及び/又は底面106の内径は、触媒供給導管ハウジング180に溶接され、かつ/又はそれによって支持されてもよい。
【0040】
触媒供給導管断熱パッキンは、触媒供給導管121と触媒供給導管ハウジング180の内面182との間に配置されてもよい。触媒供給導管断熱パッキンは、触媒供給の温度を維持するのを助けることができる。例えば、気体供給導管123を通って入る気体供給物の温度は、触媒供給導管121を通って入る触媒供給物の温度と異なっていてもよい。例えば、特定の反応が容器110内で実施されている場合、気体供給物は、摂氏25度(℃)~700℃で気体供給導管123を通って入ることができ、触媒は、600℃~900℃で触媒供給導管121に入ることができる。そのため、気体供給物が触媒供給導管121に接触すると、触媒供給導管121は、触媒がそれを通って流れる結果として600℃~900℃に加熱され得、気体供給物がコークス化し始め、容器110及び/又はプレートグリッド分配器100を詰まらせる可能性がある。
【0041】
実施形態において、触媒供給導管121は、触媒逆流ダイバータ184を備えてもよい。触媒逆流ダイバータ184は、プレート102の上面104の上方で触媒供給導管121の第2の端部121Bに近接して触媒供給導管121に接続されてもよい。触媒逆流ダイバータ184は、触媒供給導管121から延在してもよく、触媒供給導管ハウジング180の第2の端部180Bを越えて延在する。触媒逆流ダイバータ184は、触媒供給導管断熱パッキンへの触媒導入を低減することができる。
【0042】
再び図1を参照すると、本開示はまた、容器110内のプレートグリッド分配器100を通して流体を分配する方法を対象とする。容器110内のプレートグリッド分配器100を通して流体を分配する方法は、プレートグリッド分配器100の下方の気体供給導管123を通して反応条件で容器110内に流体を通過させることと、容器110内においてプレートグリッド分配器100を通して流体を方向付けることと、を含み得る。プレートグリッド分配器100は、プレート102及びスカート150を備えてもよい。
【0043】
プレートグリッド分配器100、プレート102、及びスカート150は、それぞれ、プレートグリッド分配器100、プレート102、及びスカート150に関して本開示で前述した特徴のいずれかを有することができる。
【0044】
容器110の動作中、容器110の床116は、プレートグリッド分配器100のプレート102などの容器110の上部部分よりも低温であってもよい。実施形態では、容器110の床116は、動作中、350°F以上600°F以下の範囲の温度であってもよい。プレートグリッド分配器100のプレート102は、動作中、1,400℃以上の範囲の温度、例えば、1,400°F以上1,700°F以下であってもよい。容器110の床116とプレートグリッド分配器100のプレート102との間の温度差は、動作中、少なくとも100°F、例えば、少なくとも200°F、少なくとも300°F、又は少なくとも400°Fであってもよい。
【0045】
プレートグリッド分配器100のプレート102は、容器110の床116より大きい熱膨張係数を有してもよい。したがって、動作中のより大きな熱膨張係数及びより高い温度に起因して、プレート102における膨張量は、床116における膨張量よりも大きくなり得る。スカート150は、動作中にプレート102が外向きに膨張するときに、プレートグリッド分配器100を支持し続けるように屈曲し得る。
【0046】
ここで図3を参照すると、容器110から流体を除去するためのプレナム300は、プレート302及びスカート350を備え得る。プレート302は、上面304と、上面304の反対側の底面306と、を備えてもよい。スカート350は、プレート302の外周又はその近傍でプレート302の上面304と直接接触していてもよい。スカート350は、プレート302から容器110の上部118に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカート350は、第1の部分360及び第2の部分362を備えてもよい。第1の部分360は、プレート302と直接接触していてもよい。第1の部分360の材料は、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分362は、第1の部分360の上方に位置付けられてもよく、第1の部分360と直接接触していてもよい。第2の部分362は、容器110の上部118に向かって上向きに延在してもよい。第2の部分362の材料は、第2の許容応力を有してもよい。
【0047】
本開示のプレナム300は、容器110内に位置付けられてもよい。容器110は、容器110について本開示で前述した特徴のいずれかを有してもよい。
【0048】
1つ以上の実施形態によれば、容器110から流体を除去するためのプレナム300は、プレート302を備えてもよい。プレート302は、上面304及び底面306を備えてもよい。底面306は、上面304の反対側にあってもよく、上面304から離間していてもよい。プレート302は、外面308を備えてもよい。外面308は、上面304及び底面306に対して直角な部分を有してもよい。外面308は、上面304及び/又は底面106に溶接することができる。プレート302は、10フィート(3.0メートル(m))以上50フィート(15.2m)以下など、5フィート(1.5m)以上75フィート(22.9m)以下の平均直径を有してもよい。プレート302は、実質的に平面であってもよい(すなわち、上面304及び底面306が実質的に平行であってもよい)。しかしながら、更なる実施形態では、プレート302は非平面であってもよいことが企図される。
【0049】
プレナム300は、スカート350を備えてもよい。スカート350は、プレナム300を容器110の上部118又はその近傍で容器110に取り付けて支持することができる。スカート350は、プレナム300の外周又はその近傍で上向きに延在してもよい。本開示で使用される場合、「プレナム302の外周」は、プレナム300の最も外側(すなわち、耐火物でライニングされた内壁112に最も近い部分)の25%、又はその領域近傍を指し得る。スカート350は、プレナム300から容器110の上部118に向かって実質的に垂直に延在してもよい。本開示で使用される場合、「実質的に垂直」は、45°以下の角度を指し得る。
【0050】
スカート350は、第1の端部352及び第2の端部354を備えてもよい。第1の端部352は、容器110の上部118に接続されてもよい。第2の端部354は、プレナム300に接続されてもよい。第1の端部352及び第2の端部354は、互いに離間していてもよい。第1の端部352と第2の端部354との間の空間は、外側平面356を画定し得る。外側平面356は、内側平面358から離間していてもよい。外側平面356は、耐火物でライニングされた内壁112から離間していてもよい。外側平面356は、第2の端部354に近接し、第1の端部352から離間した内側平面358の一部分に接続されてもよい。実施形態では、スカート350は、傾斜していてもよい。
【0051】
スカート350は、第1の部分360及び第2の部分362を備えてもよい。第1の部分360は、スカート350の第2の端部354などで、プレナム300と直接接触していてもよい。第2の部分362は、第1の部分360の上方に位置付けられてもよく、第1の部分360と直接接触していてもよい。第2の部分362は、スカート350の第1の端部352までなど、容器110の上部118に向かって上向きに延在してもよい。第1の部分360及び第2の部分362は、互いに取り付けられてもよい。第1の部分360及び第2の部分362は、互いに溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。
【0052】
スカート350の第1の部分360及び第2の部分362は、実質的にリング形状の部材であってもよい。スカート350の第1の部分360及び第2の部分362は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレナム300の他の構成要素がプレート302の上方及びスカート350内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0053】
スカート350は、第2の部分362の上方に位置付けられた第3の部分364を備えてもよい。第3の部分364は、第2の部分362及び容器110の上部118と直接接触していてもよい。第3の部分364は、第2の部分362に溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。第3の部分364は、実質的にリング状の部材であってもよい。スカート350の第3の部分364は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレナム300の他の構成要素がプレート302の上方及びスカート350内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0054】
図3のプレナムの材料及び動作は、図1のプレート分配器に類似していてもよい。例えば、図3の第1の端部352と第2の端部354との間の温度差は、図1の第1の端部152及び第2の端部154の温度差に類似していてもよい。同様に、図3の実施形態の第1の部分360、第2の部分362、及び第3の部分364の構成材料、許容応力などの特性は、図1の実施形態の第1の部分160、第2の部分162、及び第3の部分164と類似していてもよい。したがって、第1の部分160、第2の部分162、及び第3の部分164に関して開示される全ての特徴は、第1の部分360、第2の部分362、及び第3の部分364に関して開示されるものとして理解されるべきである。
【0055】
プレナム300は、サイクロン分離装置320に取り付けられてもよい。サイクロン分離装置320は、少なくとも1つの一次サイクロン321を備えてもよい。一次サイクロン321は、容器110内に収容されてもよい。一次サイクロン321は、本体322、入口323、出口324、及び固体排出ディップレッグ(dipleg)325を備えてもよい。動作中、流動固体流は、入口323を通って一次サイクロン321に入ることができる。一次サイクロン321では、同伴固体の大部分(例えば、触媒粒子)は、流動固体流から分離され得る。分離された固体は、排出ディップレッグ325を通って一次サイクロン321を出ることができる。一次サイクロン321によって除去されなかった固体及び流体(例えば、気体生成物)を含む一次サイクロン流出物は、一次サイクロン321を通って垂直上方に進み続けることができる。一次サイクロン流出物は、垂直上方に通過し、出口324を通って一次サイクロン321から出て、二次サイクロン入口(複数可)331を通って1つ以上の二次サイクロン330に流入し得る。1つ以上の二次サイクロンは、本体332、出口333、及び固体排出ディップレッグ334を備えてもよい。二次サイクロン330は、一次サイクロン流出物から固体を更に分離することができる。二次サイクロン330で分離された固体は、ディップレッグ334を通って下向きに出ることができる。二次サイクロン出口333は、プレナム300に流体接続されている。
【0056】
容器110はまた、ライザー370を収容してもよい。作動中、流動固体粒子の未分離流は、ライザー370を通って容器110に入ることができる。ライザー370は、プレート372で終端してもよい。ライザー370は、流動固体粒子の未分離流がライザー370から一次サイクロン321内に通過することができるように、一次サイクロン321の入口と流体接続(すなわち、流動固体粒子の通過を可能にする)することができる。3つ以上のサイクロン段階が使用される場合、第2のプレナムに入るのは最終サイクロン段階からの流出物である。図3は、1つの一次サイクロン321及び1つの二次サイクロン330のみを示しているが、追加の一次サイクロン及び二次サイクロンがライザーの周囲に配設されてもよいことが理解されよう。例えば、排出チューブ360は、一次サイクロン321又は別の一次サイクロン(図示せず)のいずれかによって順次供給される別の二次サイクロン(図示せず)に接続され得る。サイクロン分離装置に関する更なる考察については、米国特許第10,016,736 (B2)号(代理人整理番号第75034-US-PCT/DOW 75034 PA)を参照されたい。
【0057】
容器110の動作中、容器110の上部118は、プレナム300のプレート302などの容器110の下部部分よりも低い温度であってもよい。実施形態では、容器110の上部118は、動作中、350°F以上600°F以下の範囲の温度であってもよい。プレナム300のプレート302は、動作中、1,400℃以上の範囲の温度、例えば、1,400°F以上1,700°F以下であってもよい。容器110の上部とプレナム300のプレート102との間の温度差は、動作中、少なくとも100°F、例えば、少なくとも200°F、少なくとも300°F、又は少なくとも400°Fであってもよい。
【0058】
プレナム300のプレート302は、容器110の上部118よりも大きい熱膨張係数を有してもよい。したがって、動作中のより大きな熱膨張係数及びより高い温度に起因して、プレート302における膨張量は、容器110の上部118における膨張量よりも大きくなり得る。本開示で前述したように、スカート350は、動作中にプレート302が外向きに膨張するときにプレナム300を支持し続けるように屈曲し得る。
【0059】
本開示の1つ以上の態様が本明細書に記載される。第1の態様は、容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器であって、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備える、プレートと、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触しており、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、スカートが、プレートと直接接触している第1の部分であって、第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、第1の部分の下方に位置付けられ、第1の部分と直接接触しており、容器の床に向かって下向きに延在する第2の部分であって、第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、第2の許容応力が、1,400°Fで第1の許容応力よりも少なくとも200psi大きい、プレートグリッド分配器を含み得る。
【0060】
第2の態様は、容器から流体を除去するためのプレナムであって、上面と、上面の反対側の底面と、を備える、プレートと、プレートの外周又はその近傍でプレートの上面と直接接触しており、プレートから容器の上部に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、スカートが、プレートと直接接触している第1の部分であって、第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、第1の部分の上方に位置付けられ、第1の部分と直接接触しており、容器の上部に向かって上向きに延在する第2の部分であって、第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、第2の許容応力が、1,400°Fで第1の許容応力よりも少なくとも200psi大きい、プレナムを含み得る。
【0061】
別の態様は、第2の許容応力が1,400°Fで3,200psiより大きい、上記態様のいずれかを含む。
【0062】
別の態様は、第2の許容応力が1,400°Fで3350psi~3450psiである、上記態様のいずれかを含む。
【0063】
別の態様は、第1の部分の材料がSAE 304Hステンレス鋼である、上記態様のいずれかを含む。
【0064】
別の態様は、第2の部分の材料がINCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)である、上記態様のいずれかを含む。
【0065】
別の態様は、スカートが、第2の部分の下方に位置付けられ、第2の部分及び容器の床と直接接触している第3の部分を更に備え、第3の部分の材料が、第3の許容応力を有し、第3の許容応力が、14,000℃で第1の許容応力未満である、上記態様のいずれかを含む。
【0066】
別の態様は、第3の部分が容器のシェルと同じ材料である材料を含む、上記態様のいずれかを含む。
【0067】
別の態様は、第3の部分の材料が炭素鋼である、上記態様のいずれかを含む。
【0068】
第3の態様は、容器内に流体を分配する方法であって、プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して、反応条件で容器に流体を通すことと、容器内のプレートグリッド分配器を通して流体を方向付けることと、を含み、プレートグリッド分配器が、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備える、プレートと、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触しており、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、スカートが、プレートと直接接触している第1の部分であって、第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、第1の部分の下方に位置付けられ、第1の部分と直接接触しており、容器の床に向かって下向きに延在する第2の部分であって、第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、第1の許容応力が、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さく、第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、プレートの上面と容器の床との間の温度差が、500°F以上である、方法を含み得る。
【0069】
別の態様は、プレートの上面の温度が1,400°F以上である、上記態様のいずれかを含む。
【0070】
別の態様は、容器の床での温度が、350°F以上600°F以下である、上記態様のいずれかを含む。
【0071】
別の態様は、スカートが、第2の部分及び容器の床と直接接触している第3の部分を更に備え、第3の部分の材料が、第3の許容応力を有し、第3の許容応力が、1,400°Fで第1の許容応力未満である、上記態様のいずれかを含む。
【0072】
別の態様は、第1の部分の材料がSAE 304ステンレス鋼であり、第2の部分の材料がINCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)である、上記態様のいずれかを含む。
【0073】
別の態様は、第3の部分の材料が炭素鋼である、上記態様のいずれかを含む。
【0074】
最後に、特許請求された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で記載される実施形態に様々な修正及び変更を加え得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、本明細書に記載される様々な実施形態のそのような修正及び変更を網羅することが意図され、ただし、そのような修正及び変更は添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入る。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月30日に出願され、「PLATE GRID DISTRIBUTORS AND METHODS OF USING THE SAME」と題された米国仮特許出願第63/216778号の優先権を主張するPCT出願であり、その全内容が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書は、概して、化学処理に関し、より具体的には、分配器を介して流体を分配するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
気体化学物質は、分配器を通して反応器又は他の容器に供給され得る。分配器を利用して、このような反応器又は容器への供給化学物質流のバランスのとれた分配を促進することができる。このような供給化学物質の分布は、望ましい反応を促進することができ、化学システムにおける物質移動平衡を維持することができる。しかしながら、分配器に対する機械的負荷は、特に分配器がより大きく作製され、高温環境にあるとき、困難であり得る。
【発明の概要】
【0004】
多くの化学プロセスにおいて、化学物質供給流は、プレートグリッド分配器を通して反応器又は他の容器などの高温環境に供給される。他の化学プロセスでは、流体は、反応器又は他の容器などの高温環境からプレナムを通して除去される。プレートグリッド分配器又はプレナムが少なくとも20ftである場合など、反応器又は容器のサイズが増大すると、プレートグリッド分配器を支持するのを助けるために追加の機械的支持体が必要になる場合がある。更に、これらの高温環境は、プレートグリッド分配器のプレートなどのプレートグリッド分配器の温度を上昇させ得る。プレートグリッド分配器の温度が上昇し得るので、プレートは、反応器又は他の容器の外壁に向かって外向きに熱膨張し得る。これは、高温環境がプレートグリッド分配器のプレートを熱的に膨張及び収縮させ得るいくつかの流動床容器において特に問題である。次に、プレートの熱膨張及び収縮は、プレートグリッド分配器のプレートを支持する際に困難を生じさせる可能性がある。したがって、改良されたプレートグリッド分配器が継続して必要とされている。
【0005】
複数の異なる部分を有するスカートを備えたプレートグリッド分配器は、プレートの熱膨張及び熱収縮中にプレートを支持する必要性を満たしながら、プレートグリッド分配器のプレートに適切な支持を提供することができることが分かっている。そのようなプレートグリッド分配器の実施形態が本明細書に記載される。本開示の実施形態は、反応中に見られる高温で比較的高い許容コストを有する部分を有するスカートを利用することによってこの必要性を満たし、これにより、プレートグリッドが膨張するときに破損することなくスカートを屈曲させることが可能になる。この設計は、機械的応力を観測するスカートの特定の部分に高い許容応力を有するそのような材料を組み込むが、最大応力の影響を受けにくい領域に他の材料を使用し、それによって材料コストを削減することができる。このような概念は、本明細書で説明するように、プレナムなどの反応器内の他の内部構造にも適用することができる。
【0006】
一実施形態によれば、容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器は、プレート及びスカートを備えてもよい。プレートは、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備えてもよい。スカートは、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触していてもよい。スカートは、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。第1の位置は、プレートと直接接触していてもよく、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分は、第1の部分の下方に位置付けられてもよく、第1の部分と直接接触しており、容器の床に向かって下向きに延在してもよい。第2の部分の材料は、第2の許容応力を有してもよい。第1の許容応力は、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さくてもよい。第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよい。
【0007】
別の実施形態によると、容器から流体を除去するためのプレナムは、プレート及びスカートを備えてもよい。プレートは、上面と、上面の反対側の底面と、を備えてもよい。スカートは、プレートの外周又はその近傍でプレートの上面と直接接触していてもよい。スカートは、プレートから容器の上部に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。第1の部分は、プレートと直接接触していてもよい。第1の部分の材料は、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分は、第1の部分の上方に位置付けられてもよく、第1の部分と直接接触していてもよい。第2の部分は、容器の上部に向かって上向きに延在してもよい。第2の部分の材料は、第2の許容応力を有してもよい。第1の許容応力は、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さくてもよい。第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよい。
【0008】
別の実施形態によれば、容器内に流体を分配する方法は、プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して反応条件で容器内に流体を通過させることと、容器内においてプレートグリッド分配器を通して流体を方向付けることと、を含んでもよい。プレートグリッド分配器は、プレート及びスカートを備えてもよい。プレートは、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備えてもよい。スカートは、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触していてもよい。スカートは、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。第1の部分は、プレートと直接接触していてもよい。第1の部分の材料は、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分は、第1の部分の下方に位置付けられ、第1の部分と直接接触していてもよい。第2の部分は、容器の床に向かって下向きに延在してもよい。第2の部分の材料は、第2の許容応力を有してもよい。第1の許容応力は、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さくてもよい。第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよい。プレートの上面と容器の床との間の温度差は、500°F以上であってもよい。
【0009】
追加の特徴及び有益性は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、又は以下の「発明を実施するための形態」、及び特許請求の範囲を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
上記の全般的な説明及び下記の詳細な説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みの提供を意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、容器及びプレートグリッド分配器の断面図の概略図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、プレートグリッド分配器及びスカートの概略図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、容器及びプレナムの断面図の概略図である。
【0012】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、そのうちのいくつかの実施形態が添付の図面に例示される。可能な場合はいつでも、同じ又は同様の部分を参照するために、図面全体で同じ参照番号が使用されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態によれば、プレートグリッド分配器、プレナム及びそのようなものを使用するための方法を対象とする。一般に、本明細書に記載のプレートグリッド分配器及びプレナムは、プレート及びスカートを備えてもよい。本明細書に記載されるプレートグリッド分配器は、容器内に流体を分配するために使用されてもよい。本明細書で説明されるプレナムは、容器から流体を除去するために使用されてもよい。容器は、プレートグリッド分配器によって容器内に分配され得る気体供給導管を備えてもよい。容器は、容器から流体を除去することができるプレナム出口を容器内に備えてもよい。一般に、本明細書に記載のプレート分配器及びプレナムは、プレートを支持するのを助けることができるスカートを備える。いくつかの実施形態では、そのようなスカートは、プレートの周囲に支持を提供するために必要とされ得る。化学プロセスが容器内で進行するにつれて、プレートは反応条件に起因して熱膨張し得る。スカートは、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。本明細書で更に説明されるように、第1の部分及び第2の部分は、プレートが熱膨張するときに屈曲して、化学プロセスが高温で容器内で進行するときにプレートを支持し続けることができる。
【0014】
ここで図1を参照すると、本開示のプレートグリッド分配器100は、容器110内に位置付けられ得る。容器110は、様々な構成を有し得る。容器110は、1つ以上の多面体、球、円筒、円錐、不規則な形状、それらの組み合わせ、及び/又はそれらの一部を含んでもよい。例えば、容器110は、長手方向軸を有する直中空円筒を含んでもよい。容器110は、耐火物でライニングされた内壁112、外壁114、床116、上部118、触媒供給導管受容通路120、及び気体供給導管受容通路122を備え得る。
【0015】
1つ以上の実施形態によれば、容器110内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器100は、プレート102を備えてもよい。プレート102は、上面104及び底面106を備えてもよい。底面106は、上面104の反対側にあってもよく、上面104から離間していてもよい。プレート102は、外面108を備えてもよい。外面108は、上面104及び底面106に対して直角な部分を有してもよい。外面108は、上面104及び/又は底面106に溶接することができる。プレート102は、10フィート(3.0メートル(m))以上50フィート(15.2m)以下など、5フィート(1.5m)以上75フィート(22.9m)以下の平均直径を有してもよい。プレート102は、実質的に平面であってもよい(すなわち、上面104及び底面106が実質的に平行であってもよい)。しかしながら、更なる実施形態では、プレート102は非平面であってもよいことが企図される。
【0016】
プレート102の底面106、上面104、又はその両方は、耐火物でライニングされていてもよい。更に又はあるいは、絶縁特性を有する他の材料(例えば、絶縁材料)が、プレート102の底面106と上面104との間に配置されてもよい。耐火物ライニング、断熱材料、又はその両方は、プレート102の底面106が加熱されるのを防止するのを助けることができる。
【0017】
プレート102は、複数の開口130を備えてもよい。複数の開口130の各々は、第1の開口部分132及び第2の開口部分134を介して、プレート102の底面106及びプレート102の上面104と流体連通してもよい。複数の開口130は、上面104及び/又は底面106と同一平面上にあってもよい(すなわち、それよりも遠くに延在しない)。あるいは、複数の開口130は、底面106を越えて(すなわち、下方に)、及び/又は上面104を越えて(すなわち、上方に)延在してもよい。複数の開口130は、底面106、上面104、又はその両方を越えて延在するリップを備えてもよい。第2の開口部分134は、第1の開口部132より大きい断面積を有してもよい。
【0018】
プレート102の第1の開口部分132及び第2の開口部分134は、複数の開口130の各々を通過するガスの均一な分布を提供するのを助けるように、均一な又は変化する断面積を有してもよい。例えば、気体供給導管123により近い第1の開口部分132は、プレート102の底面106と上面104との間により大きな圧力差を有してもよい。したがって、気体供給導管123により近いプレート102の第1の開口部分132は、プレート102にわたる圧力差を平衡化するのを助けるために、気体供給導管123よりも遠い第1の開口部分132よりも小さい断面積を有することができる。
【0019】
更に図1を参照すると、プレート102は、底面106及び外面108を備え得る。底面106は、プレート102の第1の開口部分132によって形成された複数の開口130を備えることができる。複数の開口130は、幾何学的パターンで触媒供給導管通路136の周りに配置されてもよい。幾何学的パターンは、様々な用途に対して異なってもよい。例えば、複数の開口130は、グリッド状及び/又は同心円状に触媒供給導管通路136の周りに配置されてもよい。プレート102は、1平方メートル当たり10~50個の開口130、例えば、1平方メートル当たり20~35個の開口130を備えることができる。1平方メートル当たりの他の数の開口130も企図される。
【0020】
プレート102の第2の開口部分134の内径に対するプレート102の第1の開口部分132の内径の比は、0.13~0.63、例えば0.34~0.51であってもよい。容器110の内径に対するプレート102の第1の開口部分132の内径の比は、0.003~0.014、例えば0.008~0.012であってもよい。容器110の内径に対するプレート102の第2の開口部分134の内径の比は、0.008~0.163、例えば0.026~0.067であってもよい。
【0021】
図1及び図2を参照すると、プレートグリッド分配器100は、スカート150を備えてもよい。スカート150は、容器110の床116又はその近傍で、プレート102を容器110に取り付けて支持することができる。スカート150は、プレート102の外周又はその近傍で下向きに延在してもよい。本開示で使用される場合、「プレート102の外周」は、プレート102の最も外側(すなわち、耐火物でライニングされた内壁112に最も近い部分)の25%、又はその領域近傍を指し得る。スカート150は、プレート102から容器110の床116に向かって実質的に垂直に延在してもよい。本開示で使用される場合、「実質的に垂直」は、(室温であるとき)45°以下の角度を指し得る。
【0022】
スカート150は、第1の端部152及び第2の端部154を備えてもよい。第1の端部152は、容器110の床116に接続されてもよい。第2の端部154はプレート102に接続されてもよい。第1の端部152及び第2の端部154は、互いに離間していてもよい。第1の端部152と第2の端部154との間の空間は、スカート150の外面156を画定し得る。外面156は、スカート150の幅を画定する内面158から離間していてもよい。外面156は、耐火物でライニングされた内壁112から離間していてもよい。実施形態において、スカート150は、傾斜していてもよい(すなわち、垂直でなくてもよい)。
【0023】
スカート150は、第1の部分160及び第2の部分162を備えてもよい。第1の部分160は、スカート150の第2の端部154又はその近傍などで、プレート102と直接接触していてもよい。第2の部分162は、第1の部分160の下方に位置付けられてもよく、第1の部分160と直接接触していてもよい。第2の部分162は、スカート150の第1の端部152までなど、容器110の床116に向かって下向きに延在してもよい。第1の部分160及び第2の部分162は、互いに取り付けられてもよい。第1の部分160及び第2の部分162は、互いに溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。
【0024】
スカート150の第1の部分160及び第2の部分162は、実質的にリング形状の部材であってもよい。スカート150の第1の部分160及び第2の部分162は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレートグリッド分配器100の他の構成要素がプレート102の下方及びスカート150内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0025】
スカート150は、第2の部分162の下方に位置付けられた第3の部分164を備えてもよい。第3の部分164は、第2の部分162及び容器110の床116と直接接触していてもよく、又は一体であってもよい。第3の部分164は、第2の部分162に溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。第3の部分164は、実質的にリング状の部材であってもよい。スカート150の第3の部分164は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレートグリッド分配器100の他の構成要素がプレート102の下方及びスカート150内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0026】
一般に、プレート102又はその近傍の温度は、床116における温度よりもはるかに高い可能性があり、反応器の動作中に大きな温度差が観察される。このような温度差により、第1の部分160は高温下で外向きに膨張することができるが、第3の部分164はより低い温度のために大きく膨張しない。これにより、スカート150に屈曲が生じる可能性がある。理論に束縛されるものではないが、第1の部分160が膨張するときにスカート150にかかる最大応力は、第2の部分160を取り囲む中心領域にあると考えられる。したがって、スカート150の他の部分と比較して、第2の部分に高い許容応力を有する材料を利用することが望ましい場合がある。しかしながら、そのような材料は非常に高価であり得るので、この材料は、応力が最大である第2の部分158においてのみ利用される。
【0027】
第1の部分160の材料は第1の許容応力を有してもよく、第2の部分162の材料は第2の許容応力を有してもよい。本開示で使用される場合、「許容応力」は、構造又は材料に安全に印加され得る最大応力を指す。本明細書で使用される場合、特定の材料の許容応力は、ASME第2節パートDによって文書化され、ASME第2節パートDにおいて許容応力を決定するために使用される基準は、所与の材料の許容応力を決定するために適用され得る。当業者が理解するように、許容強度は、許容応力と互換的に使用され得る。構造又は材料の機械的特性は温度の変化とともに変化するので、許容応力は、一般に、特定の温度で測定される。例えば、材料の許容応力は、室温での同じ材料の許容応力よりも高い温度では高くない場合がある。本明細書に記載されるように、任意の応力に耐えることができない、又は特定の温度で不安定である材料は、その温度で許容応力が0であることを理解されたい。
【0028】
1つ以上の実施形態において、第2の許容応力は、1,400°Fで3,000psiより大きくてもよく、例えば、1,400°Fで3,050psiより大きく、3,100psiより大きく、3,150psiより大きく、3,200psiより大きく、3,250psiより大きく、3,300psiより大きく、3,350psiより大きく、3,400psiより大きく、3,450psiより大きく、又は3,500psiより大きくてもよい。1,400°Fは、プレート102の周りの雰囲気の温度に近い可能性があるので、選択される。しかしながら、本明細書に記載される装置は、異なる温度の反応器に有用であり得る。
【0029】
1つ以上の実施形態において、第1の許容応力は、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも200psi小さくてもよく、例えば、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも250psi小さく、少なくとも300psi小さく、少なくとも350psi小さく、少なくとも400psi小さく、少なくとも450psi小さく、又は少なくとも500psi小さくてもよい。
【0030】
第3の部分164の材料は、第3の許容応力を有してもよい。第3の許容応力は、第1の許容応力より小さくてもよい。加えて、第3の許容応力は、第2の許容応力より小さくてもよい。実施形態において、第3の許容応力は、1,400°Fで、第1の許容応力よりも少なくとも200psi小さくてもよく、例えば、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも250psi小さく、少なくとも300psi小さく、少なくとも350psi小さく、少なくとも400psi小さく、少なくとも450psi小さく、又は少なくとも500psi小さくてもよい。第3の許容応力は、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも200psi小さくてもよく、例えば、1,400°Fで、第2の許容応力よりも少なくとも250psi小さく、300psi小さく、350psi小さく、400psi小さく、450psi小さく、又は500psi小さくてもよい。
【0031】
スカート150の部分の材料は各々、それぞれの熱膨張係数を有することもできる。第2の部分162の材料は、第2の熱膨張係数を有してもよい。第3の部分164の材料は、第3の熱膨張係数を有してもよい。1つ以上の実施形態では、第2の部分162及び第3の部分164の熱膨張係数は、互いの50%、40%、30%、20%、又は更に10%以内など、比較的類似している。例えば、第2の部分162の熱膨張係数は、約9.4in/°Fであってもよく、第3の部分164の熱膨張係数は、約8.1in/°Fであってもよい。これらの熱膨張係数の類似性は、処理条件中の比較的高温での歪みが第2の部分162と第3の部分164との接合部で低減され得るので、望ましい場合がある。
【0032】
実施形態において、第1の部分160の材料は、SAE 304Hステンレス鋼であってもよい。第2の部分162の材料は、INCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)であってもよい。INCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)は、39.5%の最小鉄含有量、30~35%の範囲のニッケル含有量、19~23%の範囲のクロム含有量、0.25~0.60%の範囲のアルミニウム含有量、0.25~0.60%の範囲のチタン含有量、0.85~1.20%の範囲のアルミニウム及びチタン含有量、並びに0.06~0.10%の範囲の炭素含有量を有するニッケル-鉄-クロム合金である。第3の部分164の材料は、容器110のシェル(すなわち、外壁114)と同じ材料であってもよい。実施形態において、第3の部分164の材料は、炭素鋼であってもよい。表Iは、これらの材料のいくつかの特性を示す。
【表1】
【0033】
第2の部分162の本明細書に開示される材料を利用する利点は、熱膨張係数が第3の部分164と相対的に一致すること、並びに高い温度で許容応力が比較的高いことを含む。しかしながら、これらの材料は、本明細書に記載されるようなシステムの部分においてのみ利用される。このような材料を利用することの欠点は、非常に高いコストと、製造及び機械加工性における問題の増大と、を含む。加えて、いくつかの実施形態において存在するニッケルは、望ましくないコーキングを引き起こし得る。更に、(第2の部分162を含まない比較実施形態と比較して)追加の金属溶接部を追加することは、相対的な弱点をもたらすので望ましくない。しかしながら、追加のバイメタル溶接によって導入される追加の弱点は、高い動作温度下でのプレートの膨張による第2の部分162の材料の高温安定性特性の必要性によって克服されることが、本明細書で説明される実施形態において現在発見されている。これは、直径が20ftを超えるような大きなプレートグリッドを利用する場合に特に重要である。
【0034】
再び図1を参照すると、容器110は気体供給導管123を備え得る。気体供給導管123は、容器110の床116を通って延在する気体供給導管受容通路122に接続されてもよい。容器110は、複数の気体供給導管123を備えてもよい。実施形態において、複数の気体供給導管123は、複数の気体供給導管受容通路122に接続されてもよい。複数の気体供給導管受容通路122は、容器110の長手方向軸を取り囲んでもよい。
【0035】
気体供給導管123は、耐火物でライニングされた内壁112と同一平面に取り付けられてもよく、又は耐火物でライニングされた内壁112を越えて延在することができる。容器110の内径に対する気体供給導管123の内径の比は、0.06~0.77、例えば0.20~0.23であってもよい。
【0036】
更に図1を参照すると、容器110は触媒供給導管121を備え得る。触媒供給導管121は、容器110の床116を通って延在する触媒供給導管受容通路120に接続されてもよい。実施形態において、容器110は、複数の触媒供給導管121を備えてもよい。複数の触媒供給導管121は、複数の触媒供給導管受容通路120に接続されてもよい。複数の触媒供給導管受容通路120は、容器110の長手方向軸を取り囲んでもよい。
【0037】
触媒供給導管121は、第1の端部121A及び第2の端部121Bを備えてもよい。触媒供給導管121Aは、容器110の耐火物でライニングされた内壁112及び外壁114を通って延在してもよい。第2の端部121Bは、プレート102の上面104の上方に位置付けられてもよい。触媒供給導管121は、第2の端部121Bがプレート102の上面104を越えて延在するように、触媒供給導管受容通路120及び触媒供給導管通路136を通って延在してもよい。触媒供給導管キャップ125は、1つ以上のコネクタ127によって第2の端部121Bに接続されてもよい。1つ以上のコネクタ127は、触媒が容器110内に流れることができるギャップ129を画定し得る。容器110の内径に対する触媒供給導管121の内径の比は、0.08~0.23、例えば0.12~0.15であってもよい。
【0038】
更に図1を参照すると、プレートグリッド分配器100は、触媒供給導管ハウジング180を備え得る。触媒供給導管121は、触媒供給導管ハウジング180内に摺動可能に収容され得る。触媒供給導管121は、触媒供給導管ハウジング180の内面182から離間していてもよい。触媒供給導管121は、触媒供給導管121の拡大を可能にするために、触媒供給導管ハウジング180内に摺動可能に収容されてもよい。例えば、触媒供給導管121を通過する触媒供給物を加熱して、触媒供給導管121の長さ及び直径を拡大させることができる。したがって、触媒供給導管121が適所に溶接され、それによって溶接部に亀裂が生じる可能性がある容器110と比較して、触媒供給導管121は拡大する可能性がある。
【0039】
触媒供給導管ハウジング180は、容器110の床116に近接する第1の端部180Aを備え得る。触媒供給導管ハウジング180は、容器110の床116から離間し、プレート102の上面104に近接する第2の端部180Bを備え得る。触媒供給導管ハウジング180は、触媒供給導管ハウジング180の内面182から離間した外面181を備え得る。触媒供給導管ハウジング180の外面181は、触媒供給導管通路136の内周面及び触媒供給導管受容通路120に接続され得る。上面104及び/又は底面106の内径は、触媒供給導管ハウジング180に溶接され、かつ/又はそれによって支持されてもよい。
【0040】
触媒供給導管断熱パッキンは、触媒供給導管121と触媒供給導管ハウジング180の内面182との間に配置されてもよい。触媒供給導管断熱パッキンは、触媒供給の温度を維持するのを助けることができる。例えば、気体供給導管123を通って入る気体供給物の温度は、触媒供給導管121を通って入る触媒供給物の温度と異なっていてもよい。例えば、特定の反応が容器110内で実施されている場合、気体供給物は、摂氏25度(℃)~700℃で気体供給導管123を通って入ることができ、触媒は、600℃~900℃で触媒供給導管121に入ることができる。そのため、気体供給物が触媒供給導管121に接触すると、触媒供給導管121は、触媒がそれを通って流れる結果として600℃~900℃に加熱され得、気体供給物がコークス化し始め、容器110及び/又はプレートグリッド分配器100を詰まらせる可能性がある。
【0041】
実施形態において、触媒供給導管121は、触媒逆流ダイバータ184を備えてもよい。触媒逆流ダイバータ184は、プレート102の上面104の上方で触媒供給導管121の第2の端部121Bに近接して触媒供給導管121に接続されてもよい。触媒逆流ダイバータ184は、触媒供給導管121から延在してもよく、触媒供給導管ハウジング180の第2の端部180Bを越えて延在する。触媒逆流ダイバータ184は、触媒供給導管断熱パッキンへの触媒導入を低減することができる。
【0042】
再び図1を参照すると、本開示はまた、容器110内のプレートグリッド分配器100を通して流体を分配する方法を対象とする。容器110内のプレートグリッド分配器100を通して流体を分配する方法は、プレートグリッド分配器100の下方の気体供給導管123を通して反応条件で容器110内に流体を通過させることと、容器110内においてプレートグリッド分配器100を通して流体を方向付けることと、を含み得る。プレートグリッド分配器100は、プレート102及びスカート150を備えてもよい。
【0043】
プレートグリッド分配器100、プレート102、及びスカート150は、それぞれ、プレートグリッド分配器100、プレート102、及びスカート150に関して本開示で前述した特徴のいずれかを有することができる。
【0044】
容器110の動作中、容器110の床116は、プレートグリッド分配器100のプレート102などの容器110の上部部分よりも低温であってもよい。実施形態では、容器110の床116は、動作中、350°F以上600°F以下の範囲の温度であってもよい。プレートグリッド分配器100のプレート102は、動作中、1,400°F以上の範囲の温度、例えば、1,400°F以上1,700°F以下であってもよい。容器110の床116とプレートグリッド分配器100のプレート102との間の温度差は、動作中、少なくとも100°F、例えば、少なくとも200°F、少なくとも300°F、又は少なくとも400°Fであってもよい。
【0045】
プレートグリッド分配器100のプレート102は、容器110の床116より大きい熱膨張係数を有してもよい。したがって、動作中のより大きな熱膨張係数及びより高い温度に起因して、プレート102における膨張量は、床116における膨張量よりも大きくなり得る。スカート150は、動作中にプレート102が外向きに膨張するときに、プレートグリッド分配器100を支持し続けるように屈曲し得る。
【0046】
ここで図3を参照すると、容器110から流体を除去するためのプレナム300は、プレート302及びスカート350を備え得る。プレート302は、上面304と、上面304の反対側の底面306と、を備えてもよい。スカート350は、プレート302の外周又はその近傍でプレート302の上面304と直接接触していてもよい。スカート350は、プレート302から容器110の上部118に向かって実質的に垂直に延在してもよい。スカート350は、第1の部分360及び第2の部分362を備えてもよい。第1の部分360は、プレート302と直接接触していてもよい。第1の部分360の材料は、第1の許容応力を有してもよい。第2の部分362は、第1の部分360の上方に位置付けられてもよく、第1の部分360と直接接触していてもよい。第2の部分362は、容器110の上部118に向かって上向きに延在してもよい。第2の部分362の材料は、第2の許容応力を有してもよい。
【0047】
本開示のプレナム300は、容器110内に位置付けられてもよい。容器110は、容器110について本開示で前述した特徴のいずれかを有してもよい。
【0048】
1つ以上の実施形態によれば、容器110から流体を除去するためのプレナム300は、プレート302を備えてもよい。プレート302は、上面304及び底面306を備えてもよい。底面306は、上面304の反対側にあってもよく、上面304から離間していてもよい。プレート302は、外面308を備えてもよい。外面308は、上面304及び底面306に対して直角な部分を有してもよい。外面308は、上面304及び/又は底面106に溶接することができる。プレート302は、10フィート(3.0メートル(m))以上50フィート(15.2m)以下など、5フィート(1.5m)以上75フィート(22.9m)以下の平均直径を有してもよい。プレート302は、実質的に平面であってもよい(すなわち、上面304及び底面306が実質的に平行であってもよい)。しかしながら、更なる実施形態では、プレート302は非平面であってもよいことが企図される。
【0049】
プレナム300は、スカート350を備えてもよい。スカート350は、プレナム300を容器110の上部118又はその近傍で容器110に取り付けて支持することができる。スカート350は、プレナム300の外周又はその近傍で上向きに延在してもよい。本開示で使用される場合、「プレナム302の外周」は、プレナム300の最も外側(すなわち、耐火物でライニングされた内壁112に最も近い部分)の25%、又はその領域近傍を指し得る。スカート350は、プレナム300から容器110の上部118に向かって実質的に垂直に延在してもよい。本開示で使用される場合、「実質的に垂直」は、45°以下の角度を指し得る。
【0050】
スカート350は、第1の端部352及び第2の端部354を備えてもよい。第1の端部352は、容器110の上部118に接続されてもよい。第2の端部354は、プレナム300に接続されてもよい。第1の端部352及び第2の端部354は、互いに離間していてもよい。第1の端部352と第2の端部354との間の空間は、外側平面356を画定し得る。外側平面356は、内側平面358から離間していてもよい。外側平面356は、耐火物でライニングされた内壁112から離間していてもよい。外側平面356は、第2の端部354に近接し、第1の端部352から離間した内側平面358の一部分に接続されてもよい。実施形態では、スカート350は、傾斜していてもよい。
【0051】
スカート350は、第1の部分360及び第2の部分362を備えてもよい。第1の部分360は、スカート350の第2の端部354などで、プレナム300と直接接触していてもよい。第2の部分362は、第1の部分360の上方に位置付けられてもよく、第1の部分360と直接接触していてもよい。第2の部分362は、スカート350の第1の端部352までなど、容器110の上部118に向かって上向きに延在してもよい。第1の部分360及び第2の部分362は、互いに取り付けられてもよい。第1の部分360及び第2の部分362は、互いに溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。
【0052】
スカート350の第1の部分360及び第2の部分362は、実質的にリング形状の部材であってもよい。スカート350の第1の部分360及び第2の部分362は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレナム300の他の構成要素がプレート302の上方及びスカート350内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0053】
スカート350は、第2の部分362の上方に位置付けられた第3の部分364を備えてもよい。第3の部分364は、第2の部分362及び容器110の上部118と直接接触していてもよい。第3の部分364は、第2の部分362に溶接、ろう付け、はんだ付け、若しくは取り付けられてもよく、又は任意の他の従来の手段若しくはこれから開発される手段を使用して取り付けられてもよい。第3の部分364は、実質的にリング状の部材であってもよい。スカート350の第3の部分364は、耐火物でライニングされた内壁112と同じ形状に従うことができるが、容器110又はプレナム300の他の構成要素がプレート302の上方及びスカート350内に配置されることを可能にするために、中央が中空であってもよい。
【0054】
図3のプレナムの材料及び動作は、図1のプレート分配器に類似していてもよい。例えば、図3の第1の端部352と第2の端部354との間の温度差は、図1の第1の端部152及び第2の端部154の温度差に類似していてもよい。同様に、図3の実施形態の第1の部分360、第2の部分362、及び第3の部分364の構成材料、許容応力などの特性は、図1の実施形態の第1の部分160、第2の部分162、及び第3の部分164と類似していてもよい。したがって、第1の部分160、第2の部分162、及び第3の部分164に関して開示される全ての特徴は、第1の部分360、第2の部分362、及び第3の部分364に関して開示されるものとして理解されるべきである。
【0055】
プレナム300は、サイクロン分離装置320に取り付けられてもよい。サイクロン分離装置320は、少なくとも1つの一次サイクロン321を備えてもよい。一次サイクロン321は、容器110内に収容されてもよい。一次サイクロン321は、本体322、入口323、出口324、及び固体排出ディップレッグ(dipleg)325を備えてもよい。動作中、流動固体流は、入口323を通って一次サイクロン321に入ることができる。一次サイクロン321では、同伴固体の大部分(例えば、触媒粒子)は、流動固体流から分離され得る。分離された固体は、排出ディップレッグ325を通って一次サイクロン321を出ることができる。一次サイクロン321によって除去されなかった固体及び流体(例えば、気体生成物)を含む一次サイクロン流出物は、一次サイクロン321を通って垂直上方に進み続けることができる。一次サイクロン流出物は、垂直上方に通過し、出口324を通って一次サイクロン321から出て、二次サイクロン入口(複数可)331を通って1つ以上の二次サイクロン330に流入し得る。1つ以上の二次サイクロンは、本体332、出口333、及び固体排出ディップレッグ334を備えてもよい。二次サイクロン330は、一次サイクロン流出物から固体を更に分離することができる。二次サイクロン330で分離された固体は、ディップレッグ334を通って下向きに出ることができる。二次サイクロン出口333は、プレナム300に流体接続されている。
【0056】
容器110はまた、ライザー370を収容してもよい。作動中、流動固体粒子の未分離流は、ライザー370を通って容器110に入ることができる。ライザー370は、プレート372で終端してもよい。ライザー370は、流動固体粒子の未分離流がライザー370から一次サイクロン321内に通過することができるように、一次サイクロン321の入口と流体接続(すなわち、流動固体粒子の通過を可能にする)することができる。3つ以上のサイクロン段階が使用される場合、第2のプレナムに入るのは最終サイクロン段階からの流出物である。図3は、1つの一次サイクロン321及び1つの二次サイクロン330のみを示しているが、追加の一次サイクロン及び二次サイクロンがライザーの周囲に配設されてもよいことが理解されよう。例えば、排出チューブ360は、一次サイクロン321又は別の一次サイクロン(図示せず)のいずれかによって順次供給される別の二次サイクロン(図示せず)に接続され得る。サイクロン分離装置に関する更なる考察については、米国特許第10,016,736 (B2)号(代理人整理番号第75034-US-PCT/DOW 75034 PA)を参照されたい。
【0057】
容器110の動作中、容器110の上部118は、プレナム300のプレート302などの容器110の下部部分よりも低い温度であってもよい。実施形態では、容器110の上部118は、動作中、350°F以上600°F以下の範囲の温度であってもよい。プレナム300のプレート302は、動作中、1,400°F以上の範囲の温度、例えば、1,400°F以上1,700°F以下であってもよい。容器110の上部とプレナム300のプレート102との間の温度差は、動作中、少なくとも100°F、例えば、少なくとも200°F、少なくとも300°F、又は少なくとも400°Fであってもよい。
【0058】
プレナム300のプレート302は、容器110の上部118よりも大きい熱膨張係数を有してもよい。したがって、動作中のより大きな熱膨張係数及びより高い温度に起因して、プレート302における膨張量は、容器110の上部118における膨張量よりも大きくなり得る。本開示で前述したように、スカート350は、動作中にプレート302が外向きに膨張するときにプレナム300を支持し続けるように屈曲し得る。
【0059】
本開示の1つ以上の態様が本明細書に記載される。第1の態様は、容器内に流体を分配するためのプレートグリッド分配器であって、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備える、プレートと、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触しており、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、スカートが、プレートと直接接触している第1の部分であって、第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、第1の部分の下方に位置付けられ、第1の部分と直接接触しており、容器の床に向かって下向きに延在する第2の部分であって、第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、第2の許容応力が、1,400°Fで第1の許容応力よりも少なくとも200psi大きい、プレートグリッド分配器を含み得る。
【0060】
第2の態様は、容器から流体を除去するためのプレナムであって、上面と、上面の反対側の底面と、を備える、プレートと、プレートの外周又はその近傍でプレートの上面と直接接触しており、プレートから容器の上部に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、スカートが、プレートと直接接触している第1の部分であって、第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、第1の部分の上方に位置付けられ、第1の部分と直接接触しており、容器の上部に向かって上向きに延在する第2の部分であって、第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、第2の許容応力が、1,400°Fで第1の許容応力よりも少なくとも200psi大きい、プレナムを含み得る。
【0061】
別の態様は、第2の許容応力が1,400°Fで3,200psiより大きい、上記態様のいずれかを含む。
【0062】
別の態様は、第2の許容応力が1,400°Fで3350psi~3450psiである、上記態様のいずれかを含む。
【0063】
別の態様は、第1の部分の材料がSAE 304Hステンレス鋼である、上記態様のいずれかを含む。
【0064】
別の態様は、第2の部分の材料がINCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)である、上記態様のいずれかを含む。
【0065】
別の態様は、スカートが、第2の部分の下方に位置付けられ、第2の部分及び容器の床と直接接触している第3の部分を更に備え、第3の部分の材料が、第3の許容応力を有し、第3の許容応力が、1,400°Fで第1の許容応力未満である、上記態様のいずれかを含む。
【0066】
別の態様は、第3の部分が容器のシェルと同じ材料である材料を含む、上記態様のいずれかを含む。
【0067】
別の態様は、第3の部分の材料が炭素鋼である、上記態様のいずれかを含む。
【0068】
第3の態様は、容器内に流体を分配する方法であって、プレートグリッド分配器の下方の気体供給導管を通して、反応条件で容器に流体を通すことと、容器内のプレートグリッド分配器を通して流体を方向付けることと、を含み、プレートグリッド分配器が、上面と、上面の反対側の底面と、上面から底面まで貫通する複数の開口と、を備える、プレートと、プレートの外周又はその近傍でプレートの底面と直接接触しており、プレートから容器の床に向かって実質的に垂直に延在するスカートと、を備え、スカートが、プレートと直接接触している第1の部分であって、第1の部分の材料が第1の許容応力を有する、第1の部分と、第1の部分の下方に位置付けられ、第1の部分と直接接触しており、容器の床に向かって下向きに延在する第2の部分であって、第2の部分の材料が第2の許容応力を有する、第2の部分と、を有し、第1の許容応力が、1,400°Fで第2の許容応力よりも200psi小さく、第2の許容応力が、1,400°Fで3000psiより大きく、プレートの上面と容器の床との間の温度差が、500°F以上である、方法を含み得る。
【0069】
別の態様は、プレートの上面の温度が1,400°F以上である、上記態様のいずれかを含む。
【0070】
別の態様は、容器の床での温度が、350°F以上600°F以下である、上記態様のいずれかを含む。
【0071】
別の態様は、スカートが、第2の部分及び容器の床と直接接触している第3の部分を更に備え、第3の部分の材料が、第3の許容応力を有し、第3の許容応力が、1,400°Fで第1の許容応力未満である、上記態様のいずれかを含む。
【0072】
別の態様は、第1の部分の材料がSAE 304ステンレス鋼であり、第2の部分の材料がINCOLOY(登録商標)800HT(登録商標)である、上記態様のいずれかを含む。
【0073】
別の態様は、第3の部分の材料が炭素鋼である、上記態様のいずれかを含む。
【0074】
最後に、特許請求された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で記載される実施形態に様々な修正及び変更を加え得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、本明細書に記載される様々な実施形態のそのような修正及び変更を網羅することが意図され、ただし、そのような修正及び変更は添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入る。
【国際調査報告】