(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】地形ベースのクラスタリング洞察によるGNSS補強のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/28 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
G01C21/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579080
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022034355
(87)【国際公開番号】W WO2022271707
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512321121
【氏名又は名称】クリアモーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グレイブス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンマン,ジョン,パーカー
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァナルディ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】バルサラ,アルダシール,ホルムズ
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB26
2F129BB33
2F129BB50
(57)【要約】
道路区間における走行車線の順序付け及び/又は位置決めを決定することに関連する方法及びシステムが開示される。いくつかの実施形態では、これは、道路区間と関連付けられた路面プロファイルを取得し、例えば、類似度又は他の適切なメトリクスを使用してクラスタリングすることを含み得る。クラスタリングされたプロファイルの横方向オフセット又は位置は、車線順序付け及び/又は位置を決定する際に使用することができる。結果として得られる車線特有の情報は、車両から取得された現在の道路プロファイルと、異なる車線と関連付けられた道路プロファイル情報とを比較することによって、車両の走行車線を決定するために使用することができる。他の実施形態では、全地球航法衛星システム(GNSS)信号を補強するための方法及び/又はシステムは、車両の補正されたGNSS場所を決定する際に使用するために、生のGNSS信号と、地形ベースのデータと関連付けられたGNSS場所とを使用して、横方向オフセットを決定することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路区間における車線の順序付けを決定する方法であって、
(a)複数の路面プロファイルを受信することであって、各プロファイルが、前記道路区間の長さの複数のトラバースの各々の間に収集されたデータに基づく、受信することと、
(b)(a)の各トラバースの間に、各ドライブ経路の代表的な横方向オフセットを決定することと、
(c)(a)の路面プロファイルの間の類似度を決定することと、
(d)(c)で決定された前記程度の類似性に基づいて前記路面プロファイルをクラスタリングすることであって、プリセット閾値より大きい類似性を有するプロファイルが、同じ車線と関連付けられる、クラスタリングすることと、
(e)(d)の各クラスタと関連付けられた(b)の前記代表的な横方向オフセットの平均値を決定することと、
(f)(e)の前記平均値に基づいて、前記道路区間の前記車線の前記順序付けを決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記道路区間の少なくとも2つの車線の計算された中央線間の間隔を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
道路区間における走行車線の横方向位置を決定する方法であって、
(a)少なくとも1台の車両を用いて、複数のドライブ経路に沿って、前記道路区間をトラバースすることと、
(b)(a)の前記複数のドライブ経路の各々の路面プロファイル及び横方向位置を決定することと、
(c)(b)で決定された前記路面プロファイルをクラスタリングすることと、
(d)十分な数の路面プロファイルを含む第1のクラスタを識別することであって、前記十分な数が、プリセット閾値より大きい数である、識別することと、
(e)(d)の前記第1のクラスタの代表的な路面プロファイルを決定することと、
(f)前記第1のクラスタ内の前記路面プロファイルに相当する一連のドライブ経路の代表的な横方向位置を決定することと、
(g)(f)で決定された前記代表的な横方向位置に基づいて、走行車線の横方向位置を決定することと
を含む、方法。
【請求項4】
(f)の前記代表的な横方向位置が、前記一連のドライブ経路の前記横方向位置を平均化することによって決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記走行車線の前記横方向位置が、(f)で決定された前記代表的な横方向位置に等しい、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(f)の前記一連のドライブ経路の前記代表的な横方向位置が、(f)の前記一連のドライブ経路の各々に沿って走行している際に得られたGNSS測定値に基づいて決定される、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
各ドライブ経路に沿って走行している間の少なくとも1つのGNSS測定値、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
車線の前記数が、十分な数の路面プロファイルを含むクラスタの数に等しい、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記走行車線と関連付けられた代表的な路面プロファイルデータに基づいて、前記道路区間に沿って走行している車両の前記走行車線を決定することをさらに含む、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記代表的な路面プロファイルデータが、クラウドデータストレージシステムから受信される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
道路区間における車線の順序付けを決定する方法であって、
(a)複数のドライブ経路の下方の路面下構造の特性についての情報を受信することであって、前記特性が、前記道路区間の前記複数のドライブ経路の各々にわたって運転している間に収集されたデータに基づく、受信することと、
(b)(a)の前記複数のドライブ経路の各々の代表的な横方向オフセットを決定することと、
(c)(a)の前記複数のドライブ経路の下方の路面下構造の前記特性についての受信された前記情報間の類似度を決定することと、
(d)(c)の前記情報をクラスタリングすることであって、プリセット閾値より大きい類似性を有するクラスタが、前記道路区間の同じ車線と関連付けられる、クラスタリングすることと、
(e)(d)の各クラスタ内のドライブ経路の各々と関連付けられた(b)の前記代表的な横方向オフセットの平均値を決定することと、
(f)(e)の前記平均値に基づいて、前記道路区間の前記車線の前記順序付けを決定することと
を含む、方法。
【請求項12】
車両の場所に相当するGNSS信号を補強する方法であって、
(a)車両が道路区間を走行する際に、前記車両上のGNSSセンサから、前記車両の場所に相当する生のGNSS信号を受信することと、
(b)前記車両上の1つ又は複数の他のセンサから、前記車両が走行している前記道路区間に相当する地形ベースのデータを受信することと、
(c)(b)からの前記地形ベースのデータと格納された地形ベースのデータとの比較に基づいて、前記道路区間の車線に前記車両を定位させることと、
(d)前記生のGNSS信号と、前記格納された地形ベースのデータと関連付けられたGNSS場所との間の横方向オフセットを計算することと、
(e)前記車両の補正されたGNSS場所を決定するために、前記横方向オフセットを前記生のGNSSデータに適用することと
を含む、方法。
【請求項13】
前記車両上の1つ又は複数のコントローラに前記車両の前記補正されたGNSS場所を送信することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
前記車両上の前記1つ又は複数のコントローラが、ADASコントローラ、半自律駆動コントローラ、又は自律駆動コントローラの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項15】
前記車両が既定の距離を走行する度に、前記横方向オフセットを再計算することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
各道路区間の終点又は各道路区間の始点において、前記横方向オフセットを再計算することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記生のGNSS信号と、前記格納された地形ベースのデータと関連付けられたGNSS場所との間の前記横方向オフセットに基づいて、特定の領域に対するGNSS誤差を決定することと、前記領域内の他の車両に前記GNSS誤差を送信することとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
車両が複数車線道路区間に沿って走行している間に前記車両の走行車線を決定する方法であって、
少なくとも1つの搭載センサを用いて、現在の道路プロファイル情報を収集することと、
データベースから、前記道路区間と関連付けられた少なくとも2つの走行車線の各々についての以前に収集された代表的な道路プロファイル情報及び代表的な横方向位置データを受信することと、
前記現在の道路プロファイル情報と、前記少なくとも2つの走行車線の各々についての前記受信された代表的な道路プロファイル情報とを比較することと、
前記道路区間と関連付けられた前記少なくとも2つの走行車線の中から、代表的な道路プロファイル情報が前記現在の道路プロファイル情報に最も類似している走行車線を選択することと、
前記現行走行車線を前記選択された走行車線として決定することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記走行車線が、前記道路区間と関連付けられたマーク付けされていない走行車線である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記現在の道路プロファイル情報が、現在の路面プロファイルであり、以前に収集された代表的な道路プロファイル情報の各々が、以前に収集された代表的な路面プロファイルである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記現在の道路プロファイル情報が、現在の路面下プロファイルであり、以前に収集された代表的な道路プロファイル情報の各々が、以前に収集された代表的な路面下プロファイルである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項22】
前記現行走行車線の前記横方向位置を、前記選択された走行車線の前記横方向位置として決定することをさらに含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記車両が前記現行走行車線に沿った少なくとも1つのポイントに位置する際に、GNSS受信機からの情報に基づいて、前記少なくとも1つのポイントの第1の横方向位置を決定することと、
前記現行走行車線の前記横方向位置に基づいて、前記現行走行車線に沿った前記少なくとも1つのポイントの第2の横方向位置を決定することと、
前記第1の横方向位置と前記第2の横方向位置との間の不一致に少なくとも部分的に基づいて、前記GNSS受信機から受信された前記情報における誤差を決定することと
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、米国特許法第119(e)条の下で、2022年1月5日に出願された米国仮特許出願第63/296531号及び2021年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/213396号の優先権の利益を主張し、その各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
一態様によれば、この開示は、複数車線を有し得る道路区間における車線の順序付けを決定する方法について論じる。方法は、複数の道路プロファイル(例えば、路面又は路面下プロファイル)を受信することであって、各道路プロファイルが、道路区間の複数のトラバースの各々の間に収集されたデータに基づく、受信することと、各道路プロファイルが各トラバースの間に収集された際に(例えば、GNSSシステムを使用することによって)、各ドライブ経路の代表的な横方向オフセットを決定することと、複数の道路プロファイルの間の類似度を決定することと、それらの程度の類似性に基づいて道路プロファイルをクラスタリングすることであって、プリセット閾値より大きい類似性を有するプロファイルが、同じ走行車線と関連付けられ得る、クラスタリングすることと、各クラスタ内の各路面プロファイルと関連付けられたドライブ経路の代表的な横方向オフセットの平均値を決定することと、各クラスタ内の各路面プロファイルと関連付けられたドライブ経路の代表的な横方向オフセットの平均値に基づいて、道路区間における走行車線の数(マーク付けされた又はマーク付けされていないもの)、道路区間の車線の順序付け及び/又は適切な基準線に対する複数車線若しくは走行路の横方向オフセットを決定することとを含み得る。いくつかの実装形態では、方法は、道路区間の少なくとも2つの車線の計算された中央線間の間隔を決定することも含み得る。
【0003】
一態様によれば、この開示は、道路区間におけるドライブ経路又は走行車線の横方向位置を決定する方法について論じる。方法は、1台又は複数台の車両を用いて、道路区間における複数のドライブ経路に沿って走行することによって、道路区間をトラバースすることと、ドライブ経路の各々の路面プロファイル及び横方向位置を決定することと、それらの類似性に基づいて、路面プロファイルをクラスタリングすることと、十分な数の路面プロファイルを含む第1のクラスタを識別することであって、十分な数が、プリセット閾値以上の数である、識別することと、第1のクラスタの代表的な路面プロファイルを決定することと、第1のクラスタ内の路面プロファイルに相当する一連のドライブ経路の代表的な横方向位置を決定することと、第1のクラスタ内の路面プロファイルと関連付けられたドライブ経路の代表的な横方向位置の平均値に基づいて、走行車線の横方向位置を決定することとを含み得る。いくつかの実装形態では、所定のドライブ経路の代表的な横方向位置は、ドライブ経路に沿って走行する際に行われた(例えば、車両に搭載されたGNSS受信機を使用することによって)単一の横方向位置測定又は複数の横方向位置測定の平均値に基づいて決定することができる。いくつかの実装形態では、走行車線の横方向位置は、第1のクラスタ内の路面プロファイルに相当する一連のドライブ経路の代表的な横方向位置の平均値に等しいものであり得る。いくつかの実装形態では、所定のドライブ経路の横方向位置は、ドライブ経路に沿って走行している間の1つ又は複数のGNSS測定値に基づく。いくつかの実装形態では、車線の数は、十分な数の路面プロファイルを含むクラスタの数に等しい。いくつかの実施形態では、方法は、現在の路面プロファイルと、走行車線と関連付けられた以前に決定された代表的な道路データとのマッチングに基づいて、車両の現行車線を決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、代表的な路面プロファイルデータは、リモートデータストレージシステム(例えば、クラウドストレージ)から受信することができる。
【0004】
一態様によれば、この開示は、道路区間における車線の順序付けを決定する方法について論じる。方法は、複数のドライブ経路の下方の路面下構造の特性についての情報を受信することであって、特性が、道路区間のドライブ経路の各々にわたって運転している間に収集されたデータに基づく、受信することと、道路区間のドライブ経路の各々の代表的な横方向オフセットを決定することと、複数のドライブ経路の路面下特性についての受信された情報間の類似度を決定することと、情報をクラスタリングすることであって、プリセット閾値より大きい類似性を有するクラスタが、道路区間の同じ車線と関連付けられる、クラスタリングすることと、各クラスタ内のドライブ経路の各々と関連付けられた代表的な横方向オフセットの平均値を決定することと、平均値に基づいて、道路区間の車線の順序付けを決定することとを含み得る。
【0005】
一態様によれば、本開示は、車両の現在の場所に相当するリアルタイムGNSS信号を補強又は補正する方法を提供する。方法は、(a)車両が道路区間を走行する際に、車両に搭載されたGNSSセンサから、車両の現在の場所に相当するGNSS信号を受信することと、(b)車両上の1つ又は複数の他のセンサから、車両が走行している道路区間に相当する現在の地形ベースのデータを受信することと、(c)(b)からの現在の地形ベースのデータと、道路区間の1つ又は複数の車線と関連付けられた格納された地形ベースのデータとの比較に基づいて、道路区間の走行車線に車両を定位させることと、(d)GNSS信号に基づく位置と地形ベースのデータに基づく場所との間の横方向オフセット又は不一致を計算することと、(e)一定の時間の間の車両の後続の位置に対する車両の補正されたGNSS場所を決定するために、横方向オフセットを生のGNSSデータに適用することとを含む。
【0006】
いくつかの実装形態では、方法は、車両上の1つ又は複数のコントローラに車両の補正されたGNSS場所を送信することも含む。いくつかの例では、車両上の1つ又は複数のコントローラは、ADASコントローラ、半自律駆動コントローラ、又は自律駆動コントローラの少なくとも1つを含む。
【0007】
いくつかの実装形態では、方法は、車両が既定の距離を走行する度に、横方向オフセットを再計算することも含む。
【0008】
いくつかの実装形態では、方法は、各道路区間の終点又は始点において、横方向オフセットを再計算することも含む。
【0009】
いくつかの実装形態では、方法は、生のGNSS信号と、格納された地形ベースのデータと関連付けられたGNSS場所との間の横方向オフセットに基づいて、特定の領域に対するGNSS誤差を決定することや、領域内の他の車両にGNSS誤差を送信することも含む。
【0010】
一態様によれば、本開示は、車両が複数車線道路区間に沿って走行している間に車両の走行車線を決定する方法を提供する。方法は、少なくとも1つの搭載センサを用いて、現在の道路プロファイル情報を収集することと、データベースから、道路区間と関連付けられた少なくとも2つの走行車線の各々についての以前に収集された代表的な道路プロファイル情報及び代表的な横方向位置データを受信することと、現在の道路プロファイル情報と、少なくとも2つの走行車線の各々についての受信された代表的な道路プロファイル情報とを比較することと、道路区間と関連付けられた少なくとも2つの走行車線の中から、代表的な道路プロファイル情報が現在の道路プロファイル情報に最も類似している走行車線を選択することと、現行走行車線を選択された走行車線として決定することとを含む。方法のいくつかの実装形態では、走行車線は、道路区間と関連付けられたマーク付けされていない走行車線である。方法のいくつかの実装形態では、現在の道路プロファイル情報は、現在の路面プロファイルであり、以前に収集された代表的な道路プロファイル情報の各々は、以前に収集された代表的な路面プロファイルである。いくつかの実装形態では、方法は、現行走行車線の横方向位置を、選択された走行車線の横方向位置として決定することも含む。いくつかの実装形態では、方法は、車両が現行走行車線に沿った少なくとも1つのポイントに位置する際に、GNSS受信機からの情報に基づいて、少なくとも1つのポイントの第1の横方向位置を決定することや、現行走行車線の横方向位置に基づいて、現行走行車線に沿った少なくとも1つのポイントの第2の横方向位置を決定することや、第1の横方向位置と第2の横方向位置との間の不一致に少なくとも部分的に基づいて、GNSS受信機から受信された情報における誤差を決定することも含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
【
図2】
図1に示される道路区間の右車線を走行している車両の全地球航法衛星システム(GNSS)ベースの横方向位置座標の例示的な確率密度関数。
【
図4】
図1に示される道路区間の右車線及び左車線を走行している車両のGNSSベースの横方向位置座標の例示的な確率密度関数。
【
図5】各車線における道路区間の10回のトラバースから得られた横方向オフセット読取値の例示的な分布を示す。
【
図6】
図1の各車線と関連付けられた横方向オフセット読取値のグループ分けを示す。
【
図7】
図6のどのグループ分けが
図1の道路区間の左車線に属するか又はどのグループ分けが右車線に属するかを決定するための例示的な方法を示す。
【
図8】地形ベースの情報に基づいて実行されたGNSS補強の例を示す。
【
図9】地形ベースの情報に基づいてGNSS補強を実行するための例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
いくつかの実施形態では、車両が道路(又は道路の区間)に沿って走行する際、車両の1つ又は複数のポイントに取り付けられた(例えば、車両のホイール、車両のホイールアセンブリ、ダンパ、車両のばね下質量又は車両のばね上質量の一部に取り付けられた)1つ又は複数のセンサ(例えば、加速度計、位置センサなど)を使用することによって、路面に関連するデータを収集することができる。このデータは、例えば、路面プロファイル、及び/又は、様々な凹凸の存在、場所及び/又は範囲を決定することによって、路面の特定の特性をマッピングするために使用することができる。この開示は、道路区間における車線の数及び/又はそれらの相対的な横方向位置を決定するために、GNSSと併せて、路面特性(路面プロファイルなど)を使用することについて説明することに留意されたい。しかし、本明細書で開示される実施形態では、路面特性に加えて又はその代わりに、道路の路面下特性(例えば、地中探知レーダによって決定されるような)を使用できることにさらに留意されたい。本開示はそのように限定されないため、路面特性に加えて又はその代わりに、路面下特性を使用することが熟考される。
【0013】
いくつかの実施形態では、道路区間の路面特性は、1台又は複数台の車両によって、道路区間の複数のトラバースの間に収集されたデータを組み合わせることによって(例えば、平均化することによって)マッピングすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、道路区間の複数のトラバースからの路面プロファイルデータを平均化して、道路区間の代表的な路面プロファイルを生成することができる。そのような代表的な路面プロファイルは、リモートに(例えば、クラウドに)格納するか又は車両に搭載し、その後、車両に提供するか又は利用できるようにすることができる。例えば、クラウド又は搭載データストレージから、そのようなデータを受信するか又はそのようなデータにアクセスする車両は、現在の路面情報を収集することもできる。現行走行の間に車両によって収集された現在のデータと以前に格納された路面データ(例えば、路面プロファイル)とを比較することにより、車両は、路面上におけるその縦方向位置を決定することができる。
【0014】
しかし、複数車線道路では、様々な車線の路面特性及び/又は路面下特性は、類似性に欠ける場合があり、その結果、平均データ(例えば、複数車線からのデータに基づく平均路面プロファイル)は、走行車線のいずれか1つを表すものでも、道路区間全体を表すものでもない。それに加えて、複数車線道路のある車線の路面及び/又は路面下特性(例えば、路面及び/又は路面下プロファイル)は、第2の車線の路面又は路面下特性とはかなり異なる場合があり、その結果、例えば、クラウドから受信された、以前に格納されたデータと現在のデータとの比較に基づいて第2の車線に沿って走行する車両を定位させることができない場合がある。従って、いくつかの実施形態では、複数車線道路における複数車線の各々の代表的な特性(例えば、路面プロファイル)が分かっていることが望ましい。
【0015】
本発明者らは、複数のトラバースの間に複数車線道路の複数車線から収集されたデータを使用して、車線の数とそれらの2つ以上の車線の特性(例えば、路面プロファイル)の両方を決定できることを認識している。いくつかの実施形態では、車線の数及びそれらの車線の各々の路面特性は、車線の数及び/又はデータが収集されたトラバースの間の走行車線に関する演繹的知識に依拠することなく決定することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、道路プロファイル情報は、道路区間の複数車線にわたる、1台又は複数台の車両による、道路区間に沿った複数の走行から取得し、例えば、クラウドに、格納することができる。いくつかの実施形態では、データセット内の各道路プロファイル記録は、所定の道路区間の異なるトラバースに相当し得る。例えば、一連の道路プロファイルは、1台の車両が所定の道路区間を複数回トラバースしたものに相当し得る。全く異なる道路プロファイルは、1台の車両が道路区間をトラバースする際に、その測定及び格納が何回も行われ得る。或いは、複数台の(異なる)車両によって、それらの車両が所定の道路区間をトラバースする際にデータが収集され、全く異なる道路プロファイルは、複数のトラバースの各々において測定され得る。そのようなデータは、道路区間をトラバースする任意の適切に装備された及び構成された車両(例えば、道路プロファイルを取得し、取得した道路プロファイル情報をリモートに(例えば、クラウド上に)格納するために送信するためのハードウェア及びソフトウェアが装備された車両)によって収集することができ、それにより、道路区間に対する一連の道路プロファイルを得ることができる。
【0017】
特定の実施形態では、一連の路面特性(例えば、道路区間に沿った道路プロファイル)が十分な数のサンプルを含むと決定された時点で、相関クラスタリングアルゴリズムをデータセットに適用することができる。使用できる相関クラスタリングアルゴリズムは、例えば、階層又は分割最適化クラスタリング法(例えば、k平均法、c平均法、主成分分析、凝集型階層クラスタリング、分割型クラスタリング、ベイズクラスタリング、スペクトルクラスタリングなど)を含み得る。クラスタリング手順の結果に基づいて、一連の道路特性(例えば、路面プロファイル)を1つ又は複数のクラスタに分割することができ、所定のクラスタ内に含まれる道路プロファイルの各々は、所定のクラスタ内に含まれる他の道路プロファイルの各々に実質的に又は十分に類似している。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、十分に大きなクラスタには見えない特定の道路プロファイルを無視することができる。例えば、道路区間を複数回トラバースしている間に収集されたデータに基づく一連の道路プロファイルの一部又はすべてを、少なくとも道路プロファイルの第1のクラスタと道路プロファイルの第2のクラスタとに分割することができ、第1のクラスタ内の道路プロファイルの各々は、第1のクラスタ内の他の道路プロファイルの各々に実質的に又は十分に類似しており、第2のクラスタ内の道路プロファイルの各々は、第2のクラスタ内の道路プロファイルの各々に実質的に又は十分に類似している。
【0018】
特定の実施形態では、各クラスタは、道路又は道路区間の単一の走行車線を表し得る。特定の実施形態では、特定の車線の単一の代表的な路面特性を取得するために、クラスタの平均特性(例えば、所定のクラスタ内の路面プロファイル)のいくつか又はすべてを平均化することができる。この車線平均道路プロファイルは、道路区間内の所定の車線に対する参照又は代表的な道路プロファイルとしての役割を果たし得る。そのような参照又は代表的な道路プロファイル情報は、例えば、車両の地形ベースの定位又はプレビュー制御(例えば、それ以降の路面特性に関する知識に基づいて、1つ又は複数の車両システム(例えば、アクティブ若しくはセミアクティブサスペンション、ステアリング及び/又はブレーキシステム)を制御すること)に対して使用することができる。そのような情報は、データベースに格納し、道路区間における特定の車線と関連付けることができる。本明細書で使用される場合、「地形ベースの定位」という用語は、道路区間の現行のトラバースの間に車両によって収集された道路プロファイル情報(例えば、路面プロファイル及び/又は路面下プロファイル)と、道路区間と関連付けられた以前に格納された道路プロファイル情報(例えば、路面プロファイル及び/又は路面下プロファイル)との比較に少なくとも部分的に基づいて、車両の位置を位置付けるか又は決定するプロセスを指す。
【0019】
この平均化は、識別されたクラスタの各々に対して行うことができる。特定の実施形態では、クラスタリングアルゴリズムは、定期的に繰り返され得る(例えば、所定の道路区間に対して特定数の新しい道路プロファイルが収集された後)。或いは、クラスタリングアルゴリズムは、最新のプロファイルがどのクラスタに属するかを決定するために、新しい道路プロファイルデータが収集される度に繰り返され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、クラスタリングは、凝集型階層方法を利用することができ、凝集型階層方法は、それ自体のクラスタとして各道路プロファイルを初期化し、次いで、停止基準が満たされるまで、最も類似したクラスタ対を再帰的にマージするものである。いくつかの実施形態では、停止基準は、候補クラスタ対の絶対類似性、オリジナルのクラスタ対に対する仮想的なマージされたクラスタの相対類似性及び各クラスタの道路プロファイルの有効周波数範囲に関連する少数の異なるブール値から成り得る。道路プロファイルは、様々な理由で、クラスタリングプロセスから完全に除外することができる。例えば、予想される道路の曲率から逸脱した横方向操作又は車線変更操作が検出された場合は、特定の道路プロファイルを除外し、特定のクラスタ又は車線と関連付けなくともよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、車線の特性を表すために各クラスタを考慮するというよりむしろ、特定の閾値を超える数の道路プロファイルを有するクラスタのみを車線と見なすことができる。例えば、単一の道路プロファイル又は閾値未満の少数のプロファイルを有するクラスタは、全く異なる車線というよりむしろ、外れ値と見なすことができる。外れ値は、例えば、車両が車線変更した際、車線から離脱及び車線に再進入した際又は道路から完全に離脱した際に生じ得る。特定の実施形態では、外れ値と見なされる道路プロファイルは、ストレージを節約するため、混乱を招かないため又は他の適切な理由で、例えば、プリセット時間が経過した後に、削除するか又は無視することができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「車線」という用語は、道路区間をトラバースする車両の走行経路を指す。車線は、レーンディバイダ又は標識によって物理的にマーク付けしても、マーク付けしなくてもよい。例えば、レーンマーカのない道路区間も依然として、複数車線を有し得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「道路区間」という用語は、道路網における、任意の適切な長さの、始点と終点を有する道路の連続部分を指す。それは、直線でも曲線でもよく、他の道路又は道路区間との交差点も含み得る。
【0024】
本発明者らは、クラスタリングを使用して、道路区間の走行車線の数(マーク付けされた又はマーク付けされていない)や、各車線の関連する代表的な又は参照路面プロファイル(又は路面下プロファイル)を決定できることを認識している。しかし、この方法は、識別された車線の相対的な横方向位置決め又は順序付けを示さない場合がある。
【0025】
本発明者らは、さらに、車両が道路区間をトラバースする際に、1つ又は複数の横方向位置座標(例えば、路面に対する)がトラバースの間に取った特定の経路と関連付けられ得ることを認識している。横方向位置は、例えば、車両に搭載されたGNSS(例えば、GPS)受信機から受信されるデータを使用することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、この横方向位置情報は、トラバースの間に測定される1つ又は複数の路面及び/又は路面下特性(例えば、路面プロファイル)とも関連付けることができる。トラバースと関連付けられる横方向位置は、例えば、トラバースの間のランダムなポイントにおいて又は事前に選択された特定の縦方向位置において(例えば、道路区間の始点、中間点若しくは終点において)決定することができる。或いは、トラバース及び/又は路面特性と関連付けられる横方向位置は、所定のトラバースの間に取得された複数の横方向位置読取値を平均化することによって決定することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、路面特性(例えば、道路プロファイル、路面プロファイル、路面下プロファイル)がクラスタリングされた後、クラスタの各メンバーと関連付けられた横方向位置読取値を平均化することによって、各クラスタの横方向位置を決定することができる。次いで、各クラスタの平均横方向位置を車線の横方向位置と関連付けることができる。このように決定された各車線の平均横方向位置は、複数車線道路区間の所定の車線の横方向位置をさらに決定するために使用することができる。本発明者らは、路面プロファイルのクラスタリング及び道路区間をトラバースする車両のGNSS追跡の組合せを使用して、例えば、道路区間に対する車線の横方向位置、車線の絶対横方向位置、複数車線道路区間における車線の数及びそれらの車線の順序付けを推測できることを認識している。本発明者らは、さらに、現在の路面情報(例えば、路面プロファイル及び/又は路面下プロファイル)と、複数車線道路区間における、事前に記録された平均的な、車線特有の、路面及び/又は路面下特性とを比較することによって、車両の走行車線を決定できることを認識している。
【0027】
いくつかの実施形態では、車線順序付けは、1)1台又は複数台の車両によって、路面の複数のトラバースから地形ベースのデータを収集すること、2)どのドライブが2車線以上の各々と関連付けられているかを決定するためにデータをクラスタリングすること、3)各車線において各トラバースと関連付けられたGNSS座標を平均化すること、並びに、4)各車線の平均GNSS座標に基づいて車線の順序付け及び/又は位置決めを決定することによって達成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数のドライブからのGNSSトレースを平均化することにより、GNSS読取値の緩やかに変化する横方向オフセットを緩和することによって、GNSS読取値の横方向オフセット精度を向上させることができる。本明細書で使用される場合、「緩やかに変化する横方向オフセット」という用語は、道路区間のトラバースの間に大きく変化することのない固有の横方向GNSS位置誤差を指す。いくつかの実施形態では、十分なレベルの横方向オフセット精度を達成するため及び車線順序付けを効果的に決定するため、少なくとも5回且つ10回未満のトラバースからのGNSSデータを平均化することができる。いくつかの実施形態では、十分なレベルの横方向オフセット精度を達成するため及び車線順序付けを効果的に決定するため、少なくとも5回且つ20回未満のトラバースからのデータを平均化することができる。いくつかの実施形態では、十分なレベルの横方向オフセット精度を達成するため及び車線順序付けを効果的に決定するため、少なくとも5回且つ1000回未満のトラバースからのデータを平均化することができる。しかし、本開示はそのように限定されないため、上記の範囲を上回る数と下回る数の両方のトラバースが熟考される。
【0029】
いくつかの実施形態では、車両の場所をより迅速に決定するために、所定の道路区間における車線の絶対又は相対的な横方向位置及び/又は順序付けに関する知識が役立ち得る。例えば、いくつかの実施形態では、そのような情報を使用して、道路プロファイルのパターンマッチングに依拠しなければならなくなる前に、認識された車線変更の後に車両がどの車線を走行しているかを決定することができる。例えば、車両が車線X(例えば、3車線道路の右車線)を走行していることが分かっている場合又は十分な確実度で分かっている場合や、後続の左への車線変更操作が検出された場合(例えば、IMU又はヨーを検出できる他のセンサからの信号に基づいて)は、この情報は、車両が車線Xの左側の車線(例えば、中央車線)にいることを示すものとして使用することができる。そのような情報が得られない場合は、新しい場所は、1つ又は複数の定位技法(例えば、「レーンシーク」モードでの地形ベースの定位)を使用することによって決定することができる。そのようなモードでは、車両によって収集された道路プロファイルは、道路の既知の車線の以前に収集された路面プロファイルのすべて又はいくつかの道路プロファイルと比較することができる。次いで、マッチするプロファイルが見つかった後、車両が走行している車線を決定することができる。レーンシークモードは、例えば、ヨーセンサ読取値及び車線順序付けに関する知識に基づいて走行車線を決定するか又は推定することより時間がかかる及び/又は演算集約的なものであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、車両の走行車線は、定位技法(例えば、操作後の現在の路面プロファイルの視認又は操作後の現在の路面プロファイルと複数車線の格納された代表的な路面プロファイルとのマッチングなど)に依拠する前に又は依拠することなく、搭載センサ(例えば、IMU、1つ又は複数の加速度計)からの情報及び車線順序付けについての情報に基づいて決定することができる。
【0030】
図1は、右車線12及び左車線14を含む例示的な道路区間10を示す。この例では、車線は、マーク付けされており、各車線の幅は、3.7メートルである。しかし、本開示はそのように限定されないため、
図1に示されるものより広い及び狭い、マーク付けされた及びマーク付けされていない車線も熟考される。後続の図では、y軸(又は縦軸)は異なる量を表すように変化するが、X軸は一貫して横方向オフセットを示すことに留意されたい。
【0031】
いくつかの実施形態では、
図1の道路区間に沿って走行する車両は、搭載GNSS受信機を含み得る。そのような受信機を使用する際のGNSS測定値の誤差は、およそ5メートル以上の標準偏差を有し得る。例えば、車線12を走行する車両に搭載された例示的なGNSS受信機は、
図2に示される確率密度関数20を呈し得る。
図2に示されるように、分布の大半が、例えば、道路の中央線の左側(すなわち、
図2に示される例では、左車線14)など、右車線の外側に位置している。いくつかの実施形態では、GNSSによって測定される車両の横方向位置の標準偏差は、5~10メートルの範囲であり得る。本開示はそのように限定されないため、5~10メートルの範囲を超える及び5~10メートルの範囲未満の標準偏差が熟考される。
【0032】
図3は、
図2の基本的な分布の累積分布関数30を示す。
図3では、曲線下面積のおよそ35%が、道路区間10の中央線の左側に位置している。従って、累積分布関数30によれば、道路区間10の右車線を走行している各車両に対し、GNSSのみを使用するシステムは、およそ35%の確率で、車両が、実際には右車線を走行しているにもかかわらず、左車線を走行していることを示し得る。
図1の道路のどの車線を車両が走行しているかについてのランダムな推測(例えば、コインをひっくり返すことによる)は、50%の確率で正しい。
【0033】
図4は、実際に右車線を走行している車両に対する確率密度関数20及び実際に左車線を走行している車両に対する確率密度関数40を示す。
図4に示される例では、道路区間10を走行しているいかなる車両の横方向GNSS座標も、車両が実際にどの車線を走行しているかに応じて、これらの分布の一方によって決定することができる。
【0034】
図5では、20個の白丸50は、道路区間10の右車線12における10回のトラバース及び左車線14における10回のトラバースと関連付けられた、道路区間10の特定の縦方向位置における20個の横方向オフセット読取値を表す。
図5に示される例では、GNSS座標読取値のみに基づいて、左車線を走行している10台の車両と関連付けられた読取値と、右車線を走行している10台の車両と関連付けられた読取値とを効果的に区別することはできない。この理由は、
図4に示されるGNSS読取値の固有の精度のためである。
【0035】
しかし、路面又は路面下特性(例えば、路面プロファイル)の地形ベースの類似性に基づくクラスタリング、
図5の道路区間の20回のトラバースの間に収集されたGNSSデータは、走行車線に基づいてグループ分けすることができる。同じ車線におけるドライブからの横方向オフセットは、一緒にグループ分けし、GNSS測定値とは無関係に、特定の車線と関連付けることができる。上記で論じられるように、地形ベースのクラスタリングは、道路区間における車線の数を演繹的に知ることなく、その車線の数を示すこともできる。しかし、クラスタリング分析は、車線の相対的な位置決めを示すには十分ではない場合がある。クラスタリングステップの後、クラスタリングによって識別された車線の相対的な位置は、明らかではない場合がある。
【0036】
図6では、白丸60は、2車線の第1の車線と関連付けられた読取値を表し、黒丸62は、第2の車線と関連付けられた読取値を表す。
図6では、丸印60、62は、各丸印が表す横方向オフセットに従ってプロットされる。黒丸と白丸の平均値を比較することにより、第1の車線が第2の車線の左側に位置すると決定することができる。
【0037】
図7は、
図6のどのクラスタが左車線に属するか又はどのクラスタが右車線に属するかを決定するためのプロセスの例を示す。地形ベースのクラスタリングからのクラスタ指定を使用することで、同じクラスタに属するGNSS測定値を平均化して、各車線の中央線のオフセットの推定値を得ることができる。車線中央推定値の不確かさ又は標準偏差は、例えば、
【数1】
から決定することができ、式中、nは、平均化される測定値の数である。いくつかの実施形態では、車線中央推定値の不確かさが車線中央推定値間の距離を下回った時点で、データを使用して車線順序付けを行うことができる。例えば、「クラスタ1」の名称を、計算された車線中央線70を有する「右車線」に変更することができる。左車線の計算された中央線は、線72である。例えば、GNSS測定値誤差の標準偏差が5メートルであると想定すると、10個のサンプルをまとめて平均化することにより、車線中央推定値の不確かさは、車線幅の半分以下になる。
【0038】
図8は、道路区間の走行車線についての地形ベースの情報に依拠することによる現在のGNSS読取値の補正又は補強の例を示すグラフ800(両軸の単位はメートルである)を示す。
【0039】
いくつかの実装形態では、車両が以前にマッピングされた路面に沿って走行しており、これらに限定されないが、ステアリング角センサ、GNSSアンテナ及び受信機、加速度計及び/又は慣性計測ユニットなど、車両の様々なばね上及びばね下コンポーネントに取り付けられたセンサを装備している際は、センサから受信されたデータを記録したり、望まない雑音を除去するためにフィルタリングしたりすることができる。このデータは、道路上の車両の挙動を推論するために、様々な方法で組み合わせることができる。
【0040】
いくつかの実装形態では、車両が道路区間をトラバースする際、記録されたGNSSデータは、経時的な固有の低周波数ドリフトを有し得る。いくつかの実装形態では、低周波数ドリフトは、本開示は特定のドリフトレートに限定されないため、0.05Hz以下、0.1Hz以下又は1Hz以下であり得る。そのような固有の低周波数ドリフトの例は、線802によって示され、例示的な生のGPS信号を描写している。これは、GNSS信号が車両の実際の位置から横方向及び縦方向にわずかに逸脱し得ることを意味する。逸脱は、数ミリメートルから数メートルの範囲であり得、逸脱したGNSSトレースは、車両のトラバースに伴って同じ車線内でわずかにオフセットされるか、又は、GNSSトレースは、車両の実際の走行車線のいずれかの側の隣接する車線の近く又は隣接する車線に収まるようになり得る。いくつかの事例では、GNSSトレースは、一方向において、最大で5メートル又はそれ以上逸脱し得る。この逸脱信号が絶対的な意味で車両の定位に使用される場合は、車両は、実際の位置から遠く離れた場所に定位されることになり、それにより、例えば、車両を車線の中央に寄せようとする、コントローラ(例えば、自律駆動コントローラ、半自律駆動コントローラ、ADASコントローラなど)に誤った路面プレビュー信号が送られる可能性がある。
【0041】
いくつかの実施形態では、車両の1つ又は複数の角部からの加速度計読取値を使用して、路面プロファイルを構築することができる(例えば、各ホイールの垂直軸の方向における、例えば、特定の1つ又は複数の周波数範囲における外乱から成る)。この信号は、特定の地理的エリア、道路又は道路区間内で独特な路面のフィンガープリントの一種と考えることができる。複数車線道路上の各走行車線は特徴的な凹凸を有し得るため(そのような凹凸は、例えば、道路区間の走行車線と関連付けられた参照又は格納された路面プロファイルに組み込むことができる)、このフィンガープリント又は道路プロファイルは、車線を区別するために使用することもできる。これらの凹凸又は路面プロファイルは、車両が道路を走行する際に、リアルタイムで記録することができる。次いで、マッチするものを見つけるため、生成されたこれらの道路プロファイルを、様々な走行車線の保存された道路プロファイルと比較することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、道路区間の現行のトラバースの間にGNSS信号から受信された横方向位置の誤差は、以前に収集された道路プロファイル情報(例えば、路面プロファイル及び/又は路面下プロファイル)並びに関連付けられた以前に収集されたGNSSデータの組合せの使用に基づいて、少なくとも部分的に補正することができる。いくつかの実施形態では、現在の地形情報(例えば、路面プロファイル及び/又は路面下プロファイル)と、特定の道路区間の様々な走行車線についての以前に収集された地形情報との類似性を使用して、複数車線道路区間における車両の実際の現行走行車線を決定することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、この決定を行うため、特定数の道路プロファイルデータポイントのバッファを収集することができる。このバッファリングは、道路区間の長さ(それは、例えば、長さ80メートルの道路区間であり得る)にわたって実行することができる。しかし、この開示は、特定の長さの距離バッファサイズに限定されない。いくつかの実施形態では、この情報が収集された時点で、現在のデータと、道路区間の特定の走行車線と関連付けられた参照データとの間の類似性メトリクスに基づいて、車両の走行車線を決定することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、実際の走行車線が決定された時点で、上記で論じられるように決定することができる走行車線と以前に関連付けられたGNSS座標をデータストレージから復元することができる。この以前に取得され記録されたGNSS座標は、現在のGNSS情報における誤差を少なくともに部分的に補正するために使用することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、比較を実行することは、現在のGNSSトレースと以前に収集されたGNSSトレースの両方をグローバル座標フレームからローカル座標フレームに変換することを伴い得る。この変換は、例えば、2つのGNSS座標セット間でユークリッド距離を計算できるように、球面座標を平面座標に変換するための既に確立された方法を使用することを伴い得る。いくつかの実施形態では、座標が、例えば、参照平面フレーム(例えば、X-Y)に設定された時点で、2つのトレース間の最も近いポイント間の横方向距離を見出すために、オフセット計算を軽減することができる。このオフセットは、一般に、車両に搭載されたGNSS受信機で記録される読取値において一貫性があり得る。この一貫性は、計算されたオフセットが、相当な距離(例えば、80メートル)を走行している間も一定であるか又は事実上一定であることを意味する。特定の条件下では、本開示はそのように限定されないため、計算されたオフセットは、より長い距離(150メートル、200メートル又は250メートルなど)を走行している間も一定であるか又は事実上一定であり得る。
【0046】
上記で論じられるように、いくつかの実施形態では、計算されたオフセットは、道路区間の長さ(例えば、80メートル)にわたって変化しない場合がある。そのような事例では、計算されたオフセット値は、現行のトラバースの間に受信したライブGNSS(例えば、GPS)値から減じることができる。このプロセスは、GNSS読取値における瞬間的な固有の誤差を低減するために使用することができる。ライブ道路プロファイルが、データベースに格納された道路のセクションとマッチした(すなわち、ライブ道路プロファイルが、走行車線と関連付けられた以前に決定された道路プロファイルとマッチした)時点で、格納された道路プロファイルとライブの現在決定されている道路プロファイルとの間の類似性が十分に高い値にとどまる限り、車両の走行車線が分かり、車両を縦方向において定位させることができる。このマッチングが特定の距離を超えて続く場合(例えば、道路区間の長さ、道路区間の長さの半分の距離、50メートル毎、60メートル毎、70メートル毎、80メートル毎など)は、新しい横方向オフセット補正値を計算し、ライブGNSS値に適用することができ、従って、累積横方向誤差がさらに低減する。補正されたGPSトレースの例は、
図8の線804で示されており、新しい横方向オフセットが繰り返し実行され、横方向誤差がおよそ0に維持されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、横方向誤差は、最終的には、車線内に車両を定位させるためのターゲット又は要件を満たせるほど十分に小さい値になる可能性があり、それは、車線維持支援ADASフィーチャ、半自律駆動フィーチャ及び/又は自律駆動フィーチャなどのアプリケーションをサポートするために必要なものであり得る。
【0048】
図9は、地形ベースの情報に基づくリアルタイムGNSS補強又は補正を実行するための例示的な方法を示す。方法は、(a)車両が道路区間を走行する際に、車両上のGNSSセンサから、車両の場所に相当するGNSS信号を受信すること(902)と、(b)車両上の1つ又は複数の他のセンサから、車両が現在走行している道路区間に相当する地形ベースのデータを受信すること(904)と、(c)(b)からの現在の地形ベースのデータと格納された地形ベースのデータとの比較に基づいて、道路区間の走行車線に車両を定位させること(906)と、(d)生のGNSS信号と、格納された地形ベースのデータと関連付けられたGNSS場所との間の横方向オフセットを計算すること(908)と、(e)車両の補正されたリアルタイムのGNSS場所を決定するために、横方向オフセットを生のGNSSデータに適用すること(910)とを含む。
【0049】
いくつかの実装形態では、方法は、車両上の1つ又は複数のコントローラに車両の補正されたGNSS場所を送信することも含む。いくつかの例では、車両上の1つ又は複数のコントローラは、ADASコントローラ、半自律駆動コントローラ、又は自律駆動コントローラの少なくとも1つを含む。これらのコントローラは、車線維持支援機能、自律駆動機能などの実行又は補助を行うことができる。
【0050】
いくつかの実装形態では、方法は、車両が既定の距離を走行する度に又は既定の時間が経過した後に、横方向オフセットを再計算することも含む。既定の距離は、道路データのおよそ一道路区間の長さであり得、それは、いくつかの実装形態では、およそ80メートルであり得る。いくつかの実装形態では、方法は、各道路区間の終点において又は各道路区間の始点において、横方向オフセットを再計算することも含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、道路区間における車線の数についての情報及び/又は路面特性についての車線特有の情報は、リモートデータストレージ(例えば、クラウド)から車両に提供することができる。そのような情報は、GNSSデータとは無関係に又はGNSSデータと組み合わせて車両の場所を決定するため、及び/又は、車両の1つ又は複数のシステム(これらに限定されないが、アクティブ若しくはセミアクティブサスペンションシステム、EPS、ABS、ADAS、ESC、HVAC及び/又は照明システムを含む)を制御するために、情報を受信する車両において、1つ若しくは複数のマイクロプロセッサ内で又は1つ若しくは複数のマイクロプロセッサによって使用することができる。
【0052】
回路及び/又はコンピュータ実行可能命令において技法が実装される実施形態について説明してきた。いくつかの実施形態は、少なくとも1つの例が提供されている方法の形態であり得ることを理解すべきである。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序付けることができる。それに従って、示される順番とは異なる順番で行為が実行される(示される実施形態において順次行為として示されている場合でさえ、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る)実施形態が構築され得る。
【0053】
特許請求の範囲における、クレーム要素を修飾するための「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用は、それ自体で、あるクレーム要素の別のクレーム要素に対する優先度、先行度又は順番を含意するものでも、方法の行為が実行される時間的順番を含意するものでもなく、単に、クレーム要素を区別するために、ある名称を有するクレーム要素と同じ名称を有する別の要素を区別する(ただし、序数用語の使用を除く)ためのラベルとして使用されるにすぎない。
【0054】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであり、制限するものと見なすべきではない。本明細書における「含む」、「有する」、「含有する」、「伴う」及びそれらの変形例の使用は、それ以降に列挙されるアイテム及びその均等物並びに追加のアイテムを包含することを意味する。
【0055】
「例示的な」という言葉は、本明細書では、例、実例又は例証としての役割を果たすという意味で使用されている。従って、別段の指示がない限り、本明細書で例示的なものとして説明される実施形態、実装形態、プロセス、特徴などは、説明に役立つ例であると理解すべきであり、好ましい例又は有利な例であると理解すべきではない。
【0056】
例えば、「(a)」、「(b)」、「(c)」などのラベルを使用することによる、任意の方法クレームにおけるステップのラベル付けは、参照において便宜を図るためのものであり、それらのステップが起こる特定の順番を示すことを意図するものではない。このように、少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様について説明してきたが、様々な変更、修正及び改良が当業者に容易に思い当たることを理解されたい。そのような変更、修正及び改良は、この開示の一部であることが意図され、本明細書で説明される原理の精神及び範囲に含まれることが意図される。それに従って、前述の説明及び図面は、単なる例にすぎない。
【国際調査報告】