(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ニアアイディスプレイ用色シフト光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240705BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579086
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 IB2022056155
(87)【国際公開番号】W WO2023281369
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャーリン,エラド
(72)【発明者】
【氏名】クリキ,ローナン
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,ヨーチャイ
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA05
2H042AA06
2H042AA16
2H042AA17
2H042AA26
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA34
2H199CA47
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA55
2H199CA67
2H199CA68
(57)【要約】
ニアアイディスプレイで画像を作成するための方法は、画像を入射光として発光するように光源を動作させることを含み得る。光反射素子によって受け取られる入射光は、光反射素子の色度反射率を補償するように、光源は構成され得る。この方法は、入射光を光透過性基板に結合させ、それによって、全内部反射により光透過性基板の第1及び第2の主要表面の間で光を捕捉し、色度反射率を有する光反射素子によって基板からの光を結合させることを含み得る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニアアイディスプレイ(NED)用の光学システムであって、前記光学システムが、
導光光学素子(LOE)であって、
相互に平行な第1及び第2の主要表面と、
前記光透過性基板内に入射光を結合させ、それによって、全内部反射により前記第1及び前記第2の主要表面の間に前記光を捕捉するように構成された1つ以上の光入力結合素子と、
前記基板内に結合された前記光を少なくとも部分的に反射するように構成された1つ以上の光反射素子であって、色度反射率を有する、1つ以上の光反射素子と、を有する、光透過性基板と、を含む、導光光学素子(LOE)と、
前記1つ以上の光反射素子によって受け取られる前記入射光が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記入射光を発するように構成された光源と、を備える、光学システム。
【請求項2】
前記1つ以上の光反射素子が、前記基板からの前記光を結合するように構成された1つ以上の光出力結合素子を含み、前記1つ以上の光出力結合素子が、前記基板からの前記光を結合するための色度反射率を有し、
前記1つ以上の光出力結合素子によって受け取られる前記入射光が、前記1つ以上の光出力結合素子の前記色度反射率を補償するために、前記光源が、前記入射光を発するように構成されている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記光源が、
前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記入射光を色彩的に発するように構成された光投射器を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記光源が、
光投射器であって、前記光投射器を構成する別個の光素子の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記入射光を発するように構成されている、光投射器を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記光源が、
RGB投射器であって、前記RGB投射器を構成する赤色、緑色、及び青色光源の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記入射光を発するように構成されている、RGB投射器を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記光源が、
色度反射率を有し、このため、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記光投射器から前記発せられた光を受け取り、それを反射するように構成されたミラー、又は、
色度透過率を有し、このため、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記光投射器から前記発せられた光を受け取り、それを透過するように構成されたフィルタを備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記光源が、
前記光投射器を構成する別個の光素子の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記入射光を発するように構成された光投射器を備え、前記別個の光素子の前記相対強度が、前記光投射器の全体的な効率を最大化するように選択される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記光源が、
光投射器であって、前記光投射器によって投射された別個の画素の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、前記入射光を発するように構成されている、光投射器を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
前記LOEが、
前記1つ以上の光反射素子が存在する結合出力領域とは別個の対称ビーム増倍器領域を備え、前記対称ビーム増倍器領域が、n個の内部平面ビームスプリッタを有し、nが、正の整数であり、各ビームスプリッタが、前記LOEの内部にあり、かつ前記主要表面に平行であり、前記n個のビームスプリッタが、前記主要表面の間の前記LOEの厚みを等しい厚さの(n+1)個の層に細分化する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項10】
前記1つ以上の光反射素子が、第1のコーティングでコーティングされた第1の光反射素子と、前記第1のコーティングとは異なる第2のコーティングでコーティングされた第2の光反射素子と、を含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項11】
前記第1のコーティングが、前記第1の光反射素子に対応する透過率のための第1の公称色ベクトルに対して設計されており、前記第2のコーティングが、前記第2の光反射素子に対応する透過率のための第2の公称色ベクトルに対して設計されており、透過率のための前記第1の公称色ベクトルが、透過率のための前記第2の公称色ベクトルとは異なる、請求項10に記載の光学システム。
【請求項12】
前記1つ以上の光反射素子が、完全に又はほぼ完全に透過性の部分を有する2つのバンドと、一部が反射性の部分を有し、かつ前記完全に又はほぼ完全に透過性の部分を有する2つのバンドのうちの1つに隣接する1つのバンドと、を含む、3つの角度バンドに対して最適化されたコーティングでコーティングされた光反射素子を含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項13】
3つの全ての角度バンドの透過率が、色均一性を維持するように最適化されている、請求項12に記載の光学システム。
【請求項14】
ニアアイディスプレイ内に画像を生成するための方法であって、
前記画像を入射光として作成するように、光源を動作させることと、
前記入射光を光透過性基板に結合させ、それによって、全内部反射により前記光透過性基板の第1及び第2の主要表面の間で前記光を捕捉することと、
色度反射率を有する1つ以上の光反射素子によって、前記基板からの、又は前記基板を更に下方に前記光を結合させることと、を含み、
前記1つ以上の光反射素子によって受け取られる前記入射光が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するように、前記光源が、前記入射光を色彩的に作成するように構成されている、方法。
【請求項15】
前記光源を構成する別個の光素子の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するように、前記光源が、前記入射光を作成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光源を構成する赤色、緑色、及び青色の光源の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するように、前記光源が、前記入射光を作成する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記入射光として前記画像を作成するように前記光源を動作させることが、
無彩色的に光を発することと、
前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、色度反射率を有するミラーを使用して前記発せられた光を反射させること、又は
前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、色透過率を有するフィルタを使用して前記発せられた光をフィルタリングすること、のうち少なくとも1つと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記入射光として前記画像を作成するように前記光源を動作させることが、
色彩的に光を発することと、
前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、色度反射率を有するミラーを使用して前記発せられた光を反射させること、又は
前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するために、色透過率を有するフィルタを使用して前記発せられた光をフィルタリングすること、のうち少なくとも1つと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記光源を構成する別個の光素子の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するように、かつ、(b)前記別個の光素子の前記相対強度が、前記光源の全体的な効率を最大化するように、前記光源が、前記入射光を発する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記光源によって投射された別個の画素の相対強度が、前記1つ以上の光反射素子の前記色度反射率を補償するように、前記光源が、前記入射光を発する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記基板からの前記光を結合させることが、第1のコーティングでコーティングされた第1の光反射素子を使用して、前記基板からの前記光の一部を結合させることと、前記第1のコーティングとは異なる第2のコーティングでコーティングされた第2の光反射素子を使用して、前記基板からの前記光の一部を結合させることと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のコーティングが、前記第1の光反射素子に対応する透過率のための第1の公称色ベクトルに対して設計されており、前記第2のコーティングが、前記第2の光反射素子に対応する透過率のための第2の公称色ベクトルに対して設計されており、透過率のための前記第1の公称色ベクトルが、透過率のための前記第2の公称色ベクトルとは異なる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上の光反射素子が、それぞれの完全に又はほぼ完全に透過性の部分を有する2つのバンドと、一部が反射性の部分を有し、かつ前記完全に又はほぼ完全に透過性の部分を有する2つのバンドのうちの1つに隣接する1つのバンドと、を含む、3つの角度バンドに対して最適化されたコーティングでコーティングされた光反射素子を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
3つの全ての角度バンドの透過率が、色均一性を保持するように最適化されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
導光光学素子(LOE)の特定のファセット用のコーティングを設計するための方法であって、
前記特定のファセットが透過する、関連する角度スペクトルを判定することと、
前記関連する角度スペクトル内の透過ビームに対して、前記特定のファセットに衝突する光の確率を計算することと、
前記関連する角度スペクトル内の前記透過ビームが、前記確率からのそれぞれの確率によって各々重み付けされる、公称色ベクトルを定義し、前記公称色ベクトルに初期基準値を割り当てることと、
前記特定のファセットに対応する透過率に対して、前記公称色ベクトル用のファセットコーティングプロファイルを設計することと、
前記ファセットコーティングプロファイルから、反射後の重み付けされた色ベクトル透過率を評価することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記評価することが、反射後の前記重み付けされた色ベクトル透過率の残差オフセットを判定することと、前記残差オフセットに基づいて、前記初期基準値とは異なる後続の基準値を前記公称色ベクトルに割り当てることと、を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記初期基準値が、0である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ファセットコーティングプロファイルを設計することを簡略化するために、前記確率からの少なくとも1つの確率にゼロの値を割り当てることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
(a)前記LOEから出力されない反射に対応する透過率のみを含むように、又は、(b)前記LOEから出力される透過ビームに対応する確率にゼロの重みを与えるように、前記公称色ベクトルが定義される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ファセットコーティングプロファイルを前記設計することが、それぞれの完全な透過性部分を有する2つのバンドと、一部が反射性の部分を有し、かつ前記それぞれの完全な透過性部分を有する前記2つのバンドのうちの1つに隣接する1つのバンドと、を含む、3つの角度バンドに対する色均一性を最適化することを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ニアアイディスプレイ(NED)は、現在、様々な用途で定番となっている。例えば、拡張現実ディスプレイのようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、通常、眼に近接する透明又は半透明のディスプレイを含み、ユーザはこれを通して周囲の環境を見ると同時に、この周囲の環境の一部として、及び/又は周囲の環境に重なって現れる仮想オブジェクト(例えば、テキスト、グラフィックス、ビデオなど)を見ることができる。
【0002】
より良好で、かつ、より快適なヒューマン・コンピュータ・インターフェースに対する消費者の要求により、より小さいフォームファクタ、より広い視野FOV、より長いバッテリー寿命、日中の鮮明な拡張画像などを備えたHMDへの需要が生まれている。多くの場合、HMDは、ユーザが拡張現実環境で見ることができる表示された仮想画像を再現するために光導波路を利用する。消費者の需要により、光導波路の形状はますます複雑になり、光導波路を通って伝搬する光の反射及び透過を担うファセットコーティングもますます複雑になっている。フォームファクタ、製造性、強度、無彩色性、及び画像均一性への需要が高まるにつれて、コーティングへの要求によって、設計及び製造がますます困難になっている。
【0003】
したがって、コーティングへの要求を軽減する、改善されたフォームファクタ、製造性、強度、無彩色性、及び画像均一性を備えたNEDが当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、非白色バランス光源と、相補的な白色で、かつ正規化された一部が反射性のファセットコーティングとを使用する設計アプローチを採用したNEDで使用する光学システムに関する。光源の色を操作する能力、及び、ファセット反射率を整合することにより、設計の自由度が増して、その結果、製造性がより向上し、光スループットがより効率的になり、フォームファクタ全体が小さくなる。
【0005】
一実施形態によれば、光学システムは、相互に平行な第1及び第2の主要表面を有する光透過性基板を含む導光光学素子(LOE)と、入射光を光透過性基板に結合し、それによって全内部反射により第1及び第2の主要表面の間の光を捕捉するように構成された1つ以上の光入力結合素子と、基板からの光を結合させるように構成された1つ以上の光反射素子とを含み得る。1つ以上の光反射素子は、基板の更に下方に、又は基板からの光を結合するための色度反射率を有する。システムは、1つ以上の光反射素子によって受け取られた入射光が、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように、入射光を発するように構成された光源も含んでもよい。
【0006】
一実施形態では、光源は、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために、色彩的に入射光を発するように構成された光投射器を含む。
【0007】
別の実施形態では、光源は光投射器を含み、この光投射器は、光投射器を構成する別個の光素子の相対強度が1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように入射光を発するように構成される。
【0008】
更に別の実施形態では、光源はRGB投射器を含み、このRGB投射器は、RGB投射器を構成する赤色、緑色、及び青色の光源の相対強度が、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように、入射光を発するように構成される。
【0009】
一実施形態では、光源は、無彩色的に光を発するように構成された光投射器と、色度反射率を有し、このため、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために光投射器から発せられた光を受け取り、それを反射するように構成されたミラーと、を含む。
【0010】
別の実施形態では、光源は、無彩色的に光を発するように構成された光投射器と、色度透過率を有し、このため、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために光投射器から発せられた光を受け取り、それを透過するように構成されたフィルタと、を含む。
【0011】
更に別の実施形態では、光源は、色彩的に光を発するように構成された光投射器と、色度反射率を有し、このため、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために光投射器から発せられた光を受け取り、それを反射するように構成されたミラーと、を含む。
【0012】
更に別の実施形態では、光源は、色彩的に光を発するように構成された光投射器と、色度透過率を有し、このため、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために光投射器から発せられた光を受け取り、それを透過するように構成されたフィルタと、を含む。
【0013】
一実施形態では、光投射器を構成する別個の光素子の相対強度が1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように、入射光を発するように構成された光投射器を光源が含み、別個の光素子の相対強度は、光投射器の全体的な効率を最大化するように選択される。
【0014】
別の実施形態では、光投射器によって投射された別個の画素の相対強度が1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように、入射光を発するように構成された光投射器を光源が含む。
【0015】
一実施形態では、1つ以上の光反射素子は、色度反射率を有するコーティングを含む。
【0016】
別の実施形態では、1つ以上の光反射素子は、色度反射率及び無色透過率を有するコーティングを含む。
【0017】
別の実施形態によれば、ニアアイディスプレイ内に画像を作成するための方法は、入射光として画像を作成するように光源を動作させることと、入射光を光透過性基板に結合させ、それによって、全内部反射により光透過性基板の第1及び第2の主要表面の間で光を捕捉することと、色度反射率を有する1つ以上の光反射素子によって、基板からの光を結合させることと、を含み得る。光源は、1つ以上の光反射素子によって受け取られた入射光が、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために、入射光を色彩的に生成するように構成される。
【0018】
一実施形態では、光源は、光源を構成する別個の光素子の相対強度が、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように、入射光を作成する。
【0019】
別の実施形態では、光源は、光源を構成する赤色、緑色、及び青色の光源の相対強度が、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように、入射光を作成する。
【0020】
一実施形態では、入射光として画像を作成するために光源を動作させることが、無彩色的に光を発することと、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために、色度反射率を有するミラーを使用して発せられた光を反射させることと、を含む。
【0021】
別の実施形態では、入射光として画像を作成するために光源を動作させることが、無彩色的に光を発することと、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために、色度透過率を有するフィルタを使用して、発せられた光をフィルタリングすることと、を含む。
【0022】
更に別の実施形態では、入射光として画像を作成するために光源を動作させることが、色彩的に光を発することと、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために、色度反射率を有するミラーを使用して発せられた光を反射することと、を含む。
【0023】
更に別の実施形態では、入射光として画像を作成するために光源を動作させることが、色彩的に光を発することと、1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するために、色度透過率を有するフィルタを使用して発せられた光をフィルタリングすることと、を含む。
【0024】
一実施形態では、(a)光源を構成する異なる光素子の相対強度が1つ以上の光反射素子の色度反射率を補償するように、かつ、(b)別個の光素子の相対強度が光源の全体的な効率を最大化するように、光源が入射光を発する。
【0025】
別の実施形態では、光源によって投射された別個の画素の相対強度が1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するように、光源が入射光を発する。
【0026】
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の態様の様々な例示的な実施形態を示す様々な例示的なシステム、方法などを示す。図中に図示される要素の境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)は、それらの境界のうちの一例を表すことが理解されるであろう。当業者は、1つの要素が複数の要素として設計され得るか、又は複数の要素が1つの要素として設計され得ることを理解するであろう。別の要素の内部構成要素として示される要素は、外部構成要素として実装され得、その逆もまた同様である。更に、要素は、縮尺通りには描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】ニアアイディスプレイ(NED)用の典型的な光学システムの概略図を示す。
【
図1B】ニアアイディスプレイ(NED)用の別の典型的な光学システムの概略図を示す。
【
図2A】550nmの波長の光の入射角の関数としてのパーセンテージ反射率の典型的なプロットを示す。
【
図2B】入射角の関数としての透過率及び反射率の色座標を示す典型的な表を示す。
【
図3A】ニアアイディスプレイ(NED)用の典型的な光学システムの概略図を示す。
【
図3B】ニアアイディスプレイ(NED)用の典型的な光学システムの概略図を示す。
【
図4A】反射率に対する色座標がシフトされ、透過率に対する座標が白バランスされたコーティングの要求を規定する典型的な表を示す。
【
図4B】42°~72°の角度範囲にわたる典型的な反射率色座標、及び74°~85°の角度範囲にわたる透過率色座標を示すCIE1931 XYZ色空間色域の一部を示す。
【
図4C】42°~72°の角度範囲にわたる典型的な反射率色座標、及び74°~85°の角度範囲にわたる透過率色座標を示すCIE1931 XYZ色空間色域の一部を示す。
【
図5A】光源に対する白バランスされたRGB光源及び色シフトされたRGB光源の典型的な強度をそれぞれ示すプロットを示す。
【
図5B】光源に対する白バランスされたRGB光源及び色シフトされたRGB光源の典型的な強度をそれぞれ示すプロットを示す。
【
図5C】色度コーティング用の波長の関数としての典型的なパーセンテージ反射率のプロットを示す。
【
図5D】白バランスされたRGB光源及び色シフトされたRGB光源によって照射されている間の色シフトコーティングに対して結果として生じる反射光及び透過光の典型的な色空間プロットをそれぞれ示す。
【
図5E】白バランスされたRGB光源及び色シフトされたRGB光源によって照射されている間の色シフトコーティングに対して結果として生じる反射光及び透過光の典型的な色空間プロットをそれぞれ示す。
【
図6】NEDのための別の典型的な光学システムの概略図を示す。
【
図7】NEDのための更に別の典型的な光学システムの概略図を示す。
【
図8】NEDにおける画像を作成するための典型的な方法のためのフロー図を示す。
【
図9】導光光学素子のファセットのコーティングを設計するための典型的な方法の概略図を示す。
【
図10】導光光学素子のファセットのコーティングを設計するための典型的な方法のフロー図を示す。
【
図11A】導光光学素子のファセットのコーティングを設計するための典型的な方法の概略図を示す。
【
図11B】
図11Aの導光光学素子のファセット用のコーティングを設計するための典型的な方法に対する入射角の関数として、それぞれ対応する透過率及び反射度を示す。
【
図11C】
図11Aの導光光学素子のファセット用のコーティングを設計するための典型的な方法に対する入射角の関数として、それぞれ対応する透過率及び反射度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1Aは、ニアアイディスプレイ(NED)用の典型的な光学システム100の概略図を示している。
【0029】
光学システム100は、その他の場合では導波路又は光導体として知られる導光光学素子(LOE)50を含む。LOE50の例については、例えば、Amitaiによる米国特許第7,643,214号及び同第7,724,442号に有意に詳細に説明されている。
図1Aは、LOE50の断面図を示す。LOE50は、相互に平行な第1及び第2の主要表面52a、52bと、端部52c、52dとを有する光透過性基板52を含む。
【0030】
LOE50は、第1の主要表面52a及び第2の主要表面52bに対して非平行である平坦表面54も含む。表面54は、それに入射する光(光線30によって表される)を光透過性基板52に結合する。表面54は、反射性又は回折性であってよく、したがって、光30を反射又は回折してよく(光線32によって表される反射)、それによって、全内部反射により第1の主要表面52a及び第2の主要表面52bの間で光を捕捉する。図示された実施形態では、表面54は、光入力結合素子として使用されるが、他の実施形態では、表面54などの反射又は回折表面以外の、又はそれに加えて光入力結合素子を使用して、光がLOE50に結合されてよい。例えば、光入力結合素子として端部52c、52dが使用されてよい。すなわち、端部52c、52dのうちの1つ以上で光がLOE50に直接導入されてよい。別の例では、屈折技法を使用して光がLOE50に結合されてよく、したがって、光入力結合素子が屈折素子を含んでよい。
【0031】
LOE50は、1つ以上の光反射素子も含んでよい。図示された実施形態では、LOE50は、光反射素子として、第1の主要表面52a及び第2の主要表面52bに対して非平行である複数の部分反射表面56を含む。表面56は、基板52からの光32(光線33によって表される出力光)を結合させる光出力結合素子である。LOE50は、ファセット56の複数のセットを含み得るが、単純化のために、1つのセットのみが示される。本開示は、光出力結合素子56の文脈において、光反射性素子及び光反射素子に適用される反射性のコーティングを説明する。しかしながら、光反射素子は、LOE50の更に下方又はそこから光を結合するLOE50内の光出力結合素子又は他の反射性若しくは一部が反射性の素子であり得ることは明らかであろう。例えば、本明細書に記載の光反射性の素子は、US2019/0064518として公開され、参照により本明細書に援用される米国特許出願第16/172,897号に記載されているような、第2の導波路内に光を反射する第1の導波路の部分反射表面を含んでもよい。
【0032】
典型的なシステム100はまた、液晶ディスプレイ(LCD)、液晶オンシリコン(LCOS)変調器、又は、デジタル光処理(DLP)システム、OLEDアレイ、若しくは無機LEDアレイのデジタルマイクロミラーデバイスなどの空間光変調器(SLM)を含み得る投影光学デバイス(POD)60も含む。代替的に、それは、レーザビームスキャンニングシステム(LBS)を含むことができる。POD60は、コリメートされた画像、すなわち、各画像画素の光が、画像内の画素位置に対応する角度方向で、無限遠にコリメートされた平行ビームを生成し得る。したがって、画像照光は、二次元の視野角に対応する角度範囲に及んでおり、そのうちの全ては、内部反射によってLOE50内に閉じ込められ得、次いで外へ結合され得る。POD60は、少なくとも1つの光源、典型的には、LED又はレーザを含み、それらは、LCOSチップなどのSLMを照光するように展開され得る。SLMは、画像の各画素の投影強度を変調し、それによって、画像を生成する。
【0033】
システム100は、システム100が取り付けられているNEDに対してユーザの眼の位置に対応するアイモーションボックス(EMB)70の前方に提示されてよい。
【0034】
POD60は、動作中に(光線30によって表される)光を投射する。POD60は、光ビームを多数の方向(視野)に光らせることになるが、説明を簡略化するため、単一の光線30が示されている。光30は、LOE50に導入され、上昇光線32a及び下降光線32bによって表される、全内部反射により導光される画像32を反射する反射表面54によってLOE50に結合される。画像32がLOE50内で伝播すると、部分反射板56に衝突する。この衝突は、2つの角度(例えば、上昇光線32aに対応する第1の角度、及び下降光線32bに対応する第2の角度)であり、それによって2つの反射を生成する。破線矢印34は、望ましくない反射を表す。いくつかの実施形態では、望ましくない反射は、浅い角度(この例では、頂点から74~85度)であり得るが、一方で、他の実施形態では、望ましくない反射は、非浅い角度であり得る。透過された画像は、LOE50からEMB70上に画像33(点破線矢印)を反射するファセット56(この例では、頂点から42~72度)に異なる角度で衝突し続ける。
【0035】
したがって、第1のファセット56aは、EMB70に到達する画像33aとしてのLOE50から画像32の一部を反射する。また、第1のファセット56aは、画像32の一部を透過し、望ましくない角度で部分34aを反射する。ファセット56bは、EMB70に到達する画像33bとしてのLOE50から画像32の一部を反射する。また、ファセット56bの画像32の一部を透過し、望ましくない角度で部分34bを反射する。ファセット56cは、EMB70に到達する画像33cとしてのLOE50から画像32の一部を反射する。ファセット56cも画像32の一部を透過し、望ましくない角度などで部分34cを反射する。
【0036】
FOV偏向の原理は、LOE50、すなわち、反射ファセットを有する1Dの拡大光導波路の文脈で本明細書に開示されているが、システム100は、例えば、ホログラフィック回折格子若しくは回折格子を有する光導波路、液晶光導波路、FOVを二次元以上に拡大する光導波路、及び更にはビームスプリッタ若しくは水盤を有する自由形式光学素子のような光導波路を有しないシステム、又はNEDのために使用される任意の他の方法などの、他のタイプの光導波路を使用して実装されてもよい。
【0037】
図1Bは、ニアアイディスプレイ(NED)用の典型的な光学システム150の概略図を示している。システム150は、LOE50と同様な導光光学素子(LOE)、すなわち導波路51を含むが、以下に説明するように追加の/異なる素子を有する。システム150はシステム100と同様であり、したがって、いくつかの構成要素並びにシステム150の光伝播をここでは詳細には説明しない。
【0038】
典型的なシステム150では、POD60からLOE51内に画像を結合させるために、システム100(
図1A)の結合入力表面54の代わりに結合プリズム22が使用される。
【0039】
システム150は光学ミキサ14も含み、この場合、基板53の主要外部表面53a、53bに平行な半反射性の表面14aとして実装される。ミキサ14は、導波路内を伝搬する光ビームを分割し、分割されたビームを、POD60で占有されていない導波路領域に方向付ける。表面14aは、ディスプレイの透明度が低下しないように、LOE51の内部を伝搬する光に対して約50%の反射度を有し、かつ、システム150の外側から導波路に入る光に対して比較的低い反射度を有する非吸収面として実装されてよい。ミキサ14は、結合入力端部53dと、ファセット56が存在する光抽出領域との間に配置される。
【0040】
一般に、ミキサ14などの光学ミキサは、n個の内部平面ビームスプリッタ(nは正の整数である)を有する対称ビーム増倍器領域に対応する。各ビームスプリッタは、LOE51の内部にあり、かつ主要表面53a、53bに平行である。N個のビームスプリッタは、主要表面53a、53b間のLOE51の厚みを同じ厚さの(n+1)個の層に細分化する。LOE51及び/又はLOE51への画像投射器60の結合(例えば、プリズム22)は、対称ビーム増倍器領域14に入る画像照射が、(i)コリメート画像の共役を伴わずにコリメート画像に対応する画像照射で層のうちの少なくとも2つを満たすか、又はコリメート画像の共役を伴わずにコリメート画像の共役で層のうちの少なくとも2つを満たすか、又は(ii)コリメート画像及びコリメート画像の共役の双方に対応する画像照射で層のうちの1つのみを満たすように構成されてよい。ミキサ14のような光学ミキサの例は、例えば、Ronen等に対する米国特許出願第17/420,675号(出願番号US2022/0099885として公開されている)に相当に詳細に記載されている。したがって、ミキサ14などの光学ミキサを、ここでは更に詳細には記載していない。
【0041】
ファセット56に衝突するビームは、様々な角度であってよい。又は、ファセット56からの反射は、ファセットのコーティングによって規定される様々な角度にすることができる。ビームは誘導式又は非誘導式にすることができる。
【0042】
結合入力表面、結合プリズム、光学ミキサ、部分的に反射する出力結合ファセットなどの使用は、ここで説明されている特定のシステムに限定されず、実際には、この文書で説明されている他の実施形態に組み込むこともできることに留意されたい。
【0043】
従来の導波路設計では、白バランスされたRGB又は白色のLED光源がPOD60に使用され、その出力光30は、LOE51に導入されたときに白バランスされる。この従来の設計アプローチでは、全ての光出力素子(例えば、部分反射ファセット56)が、特定の角度範囲で無彩色反射率及び透過率を有するようにコーティングされることが要求される。
【0044】
図2A及び2Bは、導波路内に埋め込まれた部分的に反射するファセットを使用する従来のシステムにおける550nmの波長光に対する入射角の関数としてのパーセンテージ反射率を示す。
図2Aに示されるように、42°~72°の角度で入射する光は、画像33の出力結合を制御するために、高い割合(上昇光線と関連付けられた反射画像32a)で反射される。74°~85°の角度で入射する光(下降光線と関連付けられた透過された画像32b)は、望ましくない反射34を最小限に抑える目的で、低い割合で反射される。
図2Bに示されるように、従来のアプローチでは、透過率は、42°~72°の角度範囲の純粋に反射された白色(すなわち、無彩色)の色点(0.333、0.333)からの予め定義された色半径(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05など)内のCIE1931 XYZ色空間又は色域に存在すると定義される。反射率は、同様に、74°~85°の角度範囲について、純粋に透過した白色(すなわち、無彩色)の色点(0.333、0.333)から所定の色半径(例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05など)内にあると定義される。
【0045】
しかしながら、これらの需要を達成することは可能であるが、しばしば困難である。したがって、POD60によってそれでもなお合理的に補償され得る方法で、ファセット56の無彩色反射率の厳格な要求を緩和させることが有益であり得る。システム100、150では、ファセット56のコーティングは、部分的に彩色されているが、まだ色域の効率的な照射を可能にするように設計され得る。
【0046】
本発明は、主に一部が反射性の素子56の文脈で本明細書に開示されるが、本明細書に記載される技術は、光学ミキサ素子14などの他の反射素子にも適用される。更に、ここでは、導波路内に埋め込まれた反射性の素子に焦点を当てるが、本明細書に開示される技術は、導波路内に埋め込まれた他の素子にも適用される。例えば、回折素子は、入射角及び波長の関数としての回折効率によって特徴付けられ得、回折効率は、反射性の素子のものと同様の方法で提示され得る色度特性を有するであろう。
【0047】
図1Aに戻ると、光出力結合素子56は、LOE50からの光を結合するための色度反射率を有する。POD60は、1つ以上の光出力結合素子56によって受け入れられた入射光32が、光出力結合素子56の色度反射率を補償するように、色彩的に入射光30を発する。
【0048】
本明細書に開示される技術の基本原理を理解するために、単純化のために、RGB照射モジュール60によって照射される
図3Aの単一の部分的に反射する表面を考える。表面56の反射度が波長に依存しない場合、コーティングは白バランスされていると言われ、照射モジュール60の全色域を保持する。具体的には、照射モジュール60内の赤色R、緑色G、及び青色Bの光源の相対強度が白色画像を作成するように設定されている場合、そのようなシステムの出力(すなわち、部分的に反射された表面56から反射される照射)は、白色であり得る。しかしながら、表面56の反射度が波長依存(R=R(λ)であり、λは波長である)である場合、表面56は、もはや無彩色ではない、又は白バランスされていない。それは、照射モジュール60の色域を保持しない。それでも、照射モジュール60を構成するRGB光源の相対強度が、表面56の波長依存の反射率R(λ)を補償する場合、白色の画像が表面56から反射され得る。更に、異なる色の光源の効率が変動するため、平均反射度<R>を有するそのような反射率モジュールは、そのような方法を使用して改善することさえできる。例えば、青色LEDは、典型的には、赤色LED又は緑色LEDよりも高い効率を有し、したがって、低波長で低い反射率を有する平均反射度<R>の表面は、典型的には、より高い全体効率を与える。
【0049】
表面56が異なる入射角で照射される場合、入射角に対する反射率の依存性(R=R(λ、θ)、式中、θは入射角である)もまた関心事である。色度特性が入射角と共に変動する場合、異なる入射角に対してRGBモジュール60の相対的な強度を微調整することによって(例えば、LEDベースのモジュール内のLCOSのRGB反射度を変更する、又はレーザ走査モジュール内のRGB源の強度を調節することによって)、画像は再び補償され得る。ただし、これは、効率の低下及び/又はコントラストの低下を犠牲にすると思われる。高い効率を維持するために、本発明の一実施形態は、コーティングの色度特性が入射角に依存するべきではない(又は少なくとも関連するスペクトル及び角度範囲内で入射角に弱く依存する)と想定する。
【0050】
次に、
図3Bのより複雑な場合、RGB照射モジュール60に相互に平行で、かつ、それにより照射される一連のいくつかのそのような一部が反射性の表面56a~Nを考える。N番目の表面(N>1)から反射された光は、一番目のN-1表面56によって透過される。コーティングの反射度が無彩色か、又は白バランスされている場合、透過率も白バランスされており、表面56のいずれかから反射された画像は、(必ずしも強度ではなく)色が同一である。表面の反射率が色彩的であるか、又は白バランス(R=R(λ))されていない場合、1つの表面56から反射された画像は、別の表面56から反射された画像と色が異なると考えられる。1つの表面56から反射された光と別の表面56からの色の差を補償する1つの方法は、各表面56に対して異なるコーティングを使用することであると考えられる。しかしながら、実際には、反射度が十分に低い場合、透過率は依然として十分に白バランスである可能性があり、同じコーティングを有する表面56のいずれかから反射された画像の色は、ほぼ同じと考えられる。このような場合、上で説明されるように、画像はRGBモジュール60の相対強度を調整することによって補償され得る。一部が反射性の表面56ごとに可能な最大反射率は、透過面56の数及び白からの色のシフトの度合いに依存する。
【0051】
図4Aは、74°~85°の角度範囲にわたって十分に白バランスのとれた透過率を維持する一方で、反射率42°~72°の関連する角度範囲全体にわたってシフトされた色座標ファセット56のコーティングの要件を指定する表を示す。必要な透過率は、純粋に透過された白色点(0.333、0.333)からの所定の/許容可能な色半径内のCIE1931 XYZ色空間又は色域内にあるように定義され、必要な反射率は、シフトされた色中心座標の周りの所定の/許容可能な半径内にあるように定義される。
図4A及び4Bの例では、シフトされた色中心座標は、(0.250、0.2825)に設定されている。
【0052】
図4Bは、CIE1931 XYZ色空間又は色域の一部分を示し、42°~72°の角度範囲内の反射率色座標、及び74°~85°の角度範囲にわたる透過率色座標を示す。
図4C(
図4Bの拡大反射率部分)から明らかなように、反射率色点は、選択されたようなシフトされた色中心座標(0.250、0.2825)にほぼ存在する。
【0053】
図5A及び5Bは、POD60によって投射された色画像が、
図4Aから4Cのコーティングと協働するようにどのように補償され得るかを示す。
図5Aは、白バランスのとれたRGB光源の赤色R、緑色G、及び青色B成分の強度を示す。
図5Bは、色シフトされたRGB光源の赤色R、緑色G、及び青色B成分の強度を示す。図示された実施形態では、白バランスからの色シフトは、RGB光源を調整して、赤色Rの強度に対して青色B及び緑色Gの強度を下げることによって達成される。
【0054】
図5Cは、色度コーティングが異なる波長の光を異なって反射することを実証する、波長の関数としてのパーセンテージ反射率のプロットを示す。したがって、例えば、色シフトされたRGB光源60によって投射された光をコーティングが白色光として反射する。
【0055】
実際には、設計者は、コーティングを設計/選択するときに自由を得る。コーティングの反射率は、もはや厳密に無彩色である必要がない。コーティングの反射率は、一定の範囲内の彩色であってよく、無彩色反射率コーティングの困難な需要を緩和する。次いで、設計者は、コーティングされたファセット56の色度反射率を補償するために光源60を調整して、システムレベルで白バランスを達成し得る。
【0056】
図5D及び5Eは、白バランスされたRGB光源及び色シフトされたRGB光源をそれぞれ使用している間に、色シフトされ、かつコーティングされたファセットに対して結果として生じる反射光及び透過光の色空間プロットを示す。
図5Dの白バランスされたRGB光源に対して、色シフトされ、かつコーティングされたファセットによって反射された光は、座標0.25、0.2825(青色光)を中心に色シフトされ、透過光は座標0.333、0.333を中心にして無彩色のままである。
図5Eの色シフトバランスされたRGB光源に対して、色シフトされ、かつコーティングされたファセットによって反射された光は色シフトされ、それゆえ、色シフトバランスされたRGB光源を補償し、その結果、座標0.333、0.333を中心とした白バランスの反射光をもたらす。コーティングされたファセットの反射率は、一般的に無彩色のままであるため、透過光は、座標0.43、0.36(赤色光)を中心とするRGB光源の色シフトバランス光に対応する。
【0057】
より一般的には、コーティングされた表面の色特性は、様々な方法で説明することができる。例えば、CIEXYZ形式論、表面のノルムに対する角度θの反射率を使用して、色三刺激値を定義することができる。
【0058】
【数1】
式中、Kは正規化係数であり、R
nは考慮している反射性の表面nの反射度であり、I
nは考慮している反射表面nに入射する強度であり、λは波長であり、x、y、zは人間の眼の感度を表す重み付け関数である(人間の眼の感度が視野の考慮された角度範囲にわたって均一であると想定される)。
【0059】
【0060】
X、Y、Zから、色域上の反射信号の場所を定義し、所望の白色点と反射光の予想される色との間の距離を定量化することができる。単一の反射表面の場合、波長を有する反射率Rの任意の色度不均一挙動は、照射強度Iを微調整することによって補償することができる。
【0061】
屈折導波路は、多くの埋め込まれた一部が反射性の表面(セミミラー)又はファセットで構成されている。したがって、光は、一般に、観察者の眼に反射される前に、いくつかの一部が反射性の表面を通って伝播する。この場合、n番目のファセット上の入射強度は、
【0062】
【数3】
式中、T
i(θ、λ)=1-R
i(θ、λ)であり、I
0(θ、λ)は導波路内に結合された強度である。導波路内の特定の軌道に対して、ファセットの任意の色度は、原則として、強度I
0(θ、λ)を調整することによって補正され得る。強度I
0(θ、λ)の調整は、いくつかの方法で達成され得る。例えば、RGBソースを有するフラッディング照射モジュールでは、異なる色の駆動電力を変更することによって、異なる色間の比率が微調整され得る。白色ソースで照射モジュールをフラッディングする場合、異なる色間の比率は、ソースと導波路との間に色フィルタを配置することによって制御することができる。このような場合、角度θとの任意の不一致は、画像の反射度、すなわち、POD60(例えば、LCOS)によって引き起こされる反射度を変更することによって調整され得る。レーザ照射モジュールでは、又はOLED若しくはマイクロLED照射源に基づくモジュールでは、スペクトル特性及び角度特性の双方が、異なる画素で異なる色の強度を制御することによって調節され得る。
【0063】
しかしながら、現実的なシステムでは、光の正確な軌道は不明であり、最終的にアイモーションボックスに到達する可能性のある多くの光学経路が存在する。したがって、I0(θ、λ)の調整は、全ての可能な軌道の色度特性を補償しなければならない。これらの要求により、コーティング層の許容色度に上限が設けられる。これは、一部が反射性のコーティングの各々の色域が許容される特定の領域が存在することを意味し、この領域を超えて、色度は、全ての軌道及びフィールドに対して同時に補正することができなかった。
【0064】
上述したように、強度I0(θ、λ)の調整もまた、画素ごとに実装され得るが、これは、それが必然的に効率の低下及び異なる色のグレースケールの数の減少を伴うため、あまり好ましくない場合がある。
【0065】
【0066】
図6は、NED用の典型的な光学システム200の概略図を示している。光学システム200は、上記の光学システム100と同様であり、したがって、システム100の構成要素と同じ構成要素は、本明細書ではこれ以上説明されない。典型的なシステム200は、投射光学デバイス(POD)60とフィルタ61とを含む。POD60は、白バランスされた光を(表面56の色度を補償するための調整なしに)定期的に画像を投射し得る。表面56の色シフト反射率特性を補償するために調整されているPOD60の代わりに、POD60とLOE50との間にフィルタ61が挿入され、表面56の色シフト反射率特性を補償する。一実施形態では、POD60は、画像を色彩的に投射し得るが、投射された光自体は、表面56の色度を完全に補償しない。POD60及びフィルタ61の組み合わせは、表面56の色シフト反射率特性を補償する。
【0067】
POD60は、動作中に(光線30によって表される)光を投射する。フィルタ61は、LOE50に導入された光31が表面56の色シフト反射性特性を補償するように、POD60から投射された光を修正するように構成されている。光31は、LOE50に導入され、画像32の上昇光線32a及び下降光線32bによって表される全内部反射により導光される画像32を反射する反射表面54によってLOE50に結合される。画像32が光導体52内で伝播すると、それは部分反射板56に衝突する。この衝突は、2つの角度(例えば、上昇光線32aに対応する第1の角度、及び下降光線32bに対応する第2の角度)であり、それによって2つの反射を生成する。破線矢印34は、浅い角度(この例では、頂点から74~85度)での望ましくない反射を表す。透過された画像は、LOE50からEMB70上に画像33(点破線矢印)を反射するファセット56に異なる角度(この例では、頂点から42~72度)で衝突し続ける。
【0068】
システム200の光出力結合素子56は、LOE50からの光を結合するための色度反射率を有する。POD60とフィルタ61との組み合わせは、1つ以上の光出力結合素子56によって受け取られた入射光32が、光出力結合素子56の色度反射率を補償するように、入射光31を彩色になるように作成する。
【0069】
図7は、NED用の典型的な光学システム300の概略図を示す。光学システム300は、上記の光学システム100と同様であり、したがって、システム100の構成要素と同じ構成要素は、本明細書ではこれ以上説明されない。典型的なシステム300は、投射光学デバイス(POD)60とミラー63とを含む。POD60は、(表面56の色度を考慮するための調整なしに)白バランスされた光で画像を定期的に投射してよい。表面56の色シフト反射率特性を補償するために調整されているPOD60の代わりに、POD60とLOE50との間にミラー63が挿入され、表面56の色シフト反射率特性を補償する。一実施形態では、POD60は、色彩的に画像を投射し得るが、投射された光自体は、表面56の色度を完全に補償しない。POD60及びミラー63の組み合わせは、表面56の色シフト反射性特性を補償する。
【0070】
POD60は、動作中に(光線30によって表される)光を投射する。ミラー63は、LOE50に導入された光31が表面56の色シフト反射性特性を補償するように、POD60から投射された光を修正するように構成されている。光31は、LOE50に導入され、画像32の上昇光線32a及び下降光線32bによって表される全内部反射により導光される画像32を反射する反射表面54によってLOE50に結合される。画像32が光導体52内で伝播すると、それは部分反射板56に衝突する。この衝突は、2つの角度(例えば、上昇光線32aに対応する第1の角度、及び下降光線32bに対応する第2の角度)であり、それによって2つの反射を生成する。破線矢印34は、浅い角度(この例では、頂点から74~85度)での望ましくない反射を表す。透過された画像は、LOE50からEMB70上に画像33(点破線矢印)を反射するファセット56に異なる角度(この例では、頂点から42~72度)で衝突し続ける。
【0071】
システム300の光出力結合素子56は、LOE50からの光を結合するための色度反射率を有する。POD60とミラー63との組み合わせは、1つ以上の光出力結合素子56によって受け入れられた入射光32が、光出力結合素子56の色度反射率を補償するように、入射光31を色彩になるように作成する。
【0072】
方法
典型的な方法が、
図8及び10のフロー図を参照して、より良く理解され得る。説明を簡略化にするために、例示された方法論は、一連のブロックとして図示及び説明されるが、いくつかのブロックは、異なる順番で、又は、図示及び説明される他のブロックと同時に生じる可能性があるため、それらの方法論は、ブロックの順番によって限定されないことを理解されたい。更に、典型的な方法論を実装するために、例示された全てのブロックよりも少ないブロックが必要とされ得る。更に、追加的な方法論、代替的な方法論、又はその両方は、例示されていない追加的なブロックを採用することができる。
【0073】
フロー図において、ブロックは、ロジックを用いて実装され得る「処理ブロック」を意味する。処理ブロックは、方法ステップを実行するための方法ステップ又は装置要素を表し得る。フロー図は、いかなる特定のプログラミング言語、方法論、又はスタイル(例えば、手続き型、オブジェクト指向型)のための構文も描写しない。むしろ、フロー図は、当業者が採用して、ロジックを開発し、例示された処理を実行し得る機能情報を例示する。いくつかの例では、一時変数、ルーチンループなどのプログラム要素が示されていないことが理解されるであろう。電子的アプリケーション及びソフトウェアアプリケーションは、動的かつ柔軟なプロセスを含み得、その結果、例示されたブロックは、それらが示されたものとは異なる、又は、ブロックが組み合わされ得るか、若しくは複数の構成要素に分離され得る、他の順序で実行することができることが更に理解されるであろう。プロセスは、機械言語、手続き型、オブジェクト指向型、又は人工知能技法のような様々なプログラミング手法を使用して実装され得ることが理解されるであろう。
【0074】
図8は、ニアアイディスプレイ内に画像を生成するための典型的な方法700に対するフロー図を例示している。710において、方法700は、入射光として画像を発するように光源を動作させることを含んでよい。光出力結合素子によって受け取られた入射光が光出力結合素子の色度反射率を補償するように、色彩的に入射光を発するように光源が構成されている。720において、方法700は、入射光を光透過性基板に結合することによって、全内部反射により光透過性基板の第1の主要表面及び第2の主要表面の間に光を捕捉することを含んでよい。730において、方法700は、色度反射率を有する光出力結合素子によって基板からの光を結合させることを含んでよい。基板からの結果として生じる光は無彩色であり、したがって、画像は、元々意図されたようにNEDのユーザに伝達される。
【0075】
一実施形態では、光源を構成する別個の光素子の相対強度が、1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するように、光源は入射光を発する。
【0076】
一実施形態では、光源を構成する赤色、緑色、及び青色の光源の相対強度が、1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するように、光源は入射光を発する。
【0077】
一実施形態では、入射光として画像を発するように光源を動作させることが、入射光を無彩色的に発することと、1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するために、色度反射率を有するミラーを使用して入射光を反射することと、を含む。
【0078】
一実施形態では、入射光として画像を発するように光源を動作させることが、入射光を無彩色的に発することと、1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するために、色度反射率を有するミラーを使用して入射光をフィルタリングすることと、を含む。
【0079】
一実施形態では、入射光として画像を発するように光源を動作させることが、入射光を色彩的に発することと、1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するために色度反射率を有するミラーを使用して入射光を反射することと、を含む。
【0080】
一実施形態では、入射光として画像を発するように光源を動作させることが、入射光を色彩的に発することと、1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するために、色度反射率を有するミラーを使用して入射光をフィルタリングすることと、を含む。
【0081】
一実施形態では、(a)光源を構成する別個の光素子の相対強度が、1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するように、かつ、(b)異なる光素子の相対強度が光源の全体的な効率を最大化するように、光源が入射光を発する。
【0082】
一実施形態では、光源によって投射された別個の画素の相対強度が1つ以上の光出力結合素子の色度反射率を補償するように、光源が入射光を発する。
【0083】
以下で詳細に論じられるように、一実施形態では、1つ以上の光出力結合素子が、2つの完全に又はほぼ完全に透過性のバンドと、2つの完全に又はほぼ完全に透過性のバンドのうちの1つに隣接する1つの一部が反射性のバンドとを含む、3つの角度バンドに対して最適化されたコーティングでコーティングされた光出力結合素子を含む。一実施形態では、3つの全ての角度バンドの透過率は、色均一性を維持するように最適化されている。
【0084】
図9は、色CIE1931 XYZ色空間又は色域空間において、
図1AのLOE50内を伝播する光ビームのベクトル進化を示す。このベクトルドメインは、説明を明確にするために選択されたが、全ての次元が1つの色の透過率を表す、3D正規化された透過率表現などの他の表現が可能である。ここで、T33aは、反射率33aの後の導光の色ベクトルを表し、T34aは、反射率34aの影響を受けた導光の色ベクトルを示す。導入された光30が色ベクトル15aで表されるように白であると仮定すると、全ての反射は、誘導ビームの色を移動する。この色のドリフトは、反射性のベクトルR33d(
図1Aの33d)を出力する直前のガイド画像の色を表す色位置15bへのベクトル加算として近似することができる。出力ビームの色は15cであり、それはベクトル和として表すことができる。
15c=15a+T33a+T34a+T33b+T33c+T34b+R33d
【0085】
したがって、15a(導入された画像30の色)を予めシフトすることによって、出力画像の色15c(ビーム33d)を白バランスにされた状態にすることが可能である。しかしながら、色ドリフト15c~15aが大きすぎる場合、この事前補償はもはや不可能である。
【0086】
誘導画像の色ドリフトを最小化する方法は、各ファセット56の反射33及び反射34によって寄与されるドリフトを別々に最小化することである。各反射によって寄与される色シフトは、関連する角度スペクトル(すなわち、どのファセットがどの角度を透過させるか)に対するその相対確率に従って重み付けされなければならない。ここで、N34は、LOE50に更に沿ったファセットに関連する角度スペクトルの反射34の確率(T34a、T34b、…を表す)であり、N33は、LOE50に更に沿ったファセットに関連する角度スペクトルの反射33の確率(T33a、T33b、…を表す)であると仮定する。また、NR33は、EMB70への経路を作るファセットの関連する角度へのR33として出力されるエネルギーの分数であると仮定する。次に、3つのプロセス(2つの透過率と1つの反射率)の次の重み付けされた色ベクトルの合計、ファセットごとの平均色ベクトルシフトを、全てのファセットについて最小化できる。
N34×T34+N33×T33+NR33×R33→0
【0087】
いくつかの構成では、LOE50を通過する2つ以上のビーム経路があり得る。したがって、より一般的な重み付き合計は、全ての関連する透過Tiと、適切な確率Niと1つの反射ビームTrとその相対確率Nrを有するそれらの角度スペクトルとになるであろう。
ΣNi×Ti+Nr×Tr→0
【0088】
他のパラメータは、コーティングの最適化のために考慮され得るが、色の最適化には関連しない。
【0089】
図10は、残差重み付けされた色ベクトルを最小化するために各ファセットのコーティングを別々に(ここでは、i番目のファセットに対して)設計し、それによって、導入された画像30の必要な色の事前シフト(15a)を最小化するための典型的な方法900のフロー図を示す。
【0090】
910において、方法は、i番目のファセットが透過する関連する角度スペクトルを判定又は計算する。これは、光導体に沿った異なるファセットが画像の異なる角度スペクトルを透過させるため、最適化の複雑さを軽減する。例えば、POD60に近い第1のファセット56aは、全ての画像角度スペクトルに対して透過する(かつ、色シフトをもたらさない)一方で、ファセット56c及びPOD60から遠く離れたファセットは、小さな角度スペクトルのみに色均一性を維持する。最後のn番目のファセットは、透過された画像の色均一性を全く維持する必要がない場合がある。
【0091】
920において、方法は、関連する角度スペクトルにおいて反射率:N33(ビーム33i)及び/又は透過率:N34(ビーム34i)に対してi番目のファセットに光が衝突する確率を計算する。930において、方法は、透過率の公称色ベクトルをT34iに定義し(関連する角度スペクトルにおける透過率ビームはそれぞれ、そのそれぞれの確率によって重み付けされる)、初期基準値を割り当てる。一実施形態では、初期基準値は、T34i=0に設定されてもよいが、設計者は、他の初期基準値を選択してもよい。940において、方法は、透過率T34iの公称色ベクトルのファセットコーティング(ファセットコーティングプロファイル)を設計する。950において、方法は、コーティング設計から、反射T33i後の色ベクトル透過率を評価する。960において、方法は、重み付けされた色ベクトルの任意の残差オフセットを評価する。残差オフセットが許容できない(失敗する)場合、970において、透過率T34iについての新しいオフセット公称色ベクトルを定義し、940に戻る。これは、設計者が彼の初期仮定を修正し、初期基準値を変更し得ることである。しかしながら、残差オフセットが許容可能(合格)である場合、980において、設計は完了である。合格/不合格基準は、特定の(i番目の)ファセットに汎用であり得るか、又はパラメータ固有であってよい(例えば、反射率が低すぎるか、又は高すぎる)。
【0092】
一実施形態では、このプロセスは、反射後の色ベクトル透過率を無視し(設定N33=0又はT33=0)、T34→0に対してのみコーティングを最適化することによって簡素化され得る。多くの場合、この最適化により、合計残差色15c-15aがプリセット補償に対して小さくなる。
【0093】
図11A、11B、及び11Cは、2つの透過性及び1つの反射性角度スペクトルを組み込んだ上記式の典型的な実装態様を示す。
図11Aは、(
図1Aのものと同様であるが、異なる角度の反射度の)光導体構成を概略的に示すためのLOE50の部分を示す。
図11B及び11Cは、それぞれ、入射角の関数として、対応する透過率及び反射度を例示している。太い線は、必要/設計された透過率及び反射度を表し、細い線プロットは、様々な異なる波長での実験/達成された結果を示す。
【0094】
要求は、光の一部33が反射され、一部34が透過される、LOE50の中心にあるファセット56b(すなわち、第1のファセットではなく、最後のファセットではない)に適用され、その結果、光は、LOE50に沿って他のファセット(例えば、56c)に到達し得る。
図4A~4Cに示されるように、ビーム32は、低い色拡散を有する。ここで、ビーム32は、ある角度でファセット56bに1002で衝突する。
図11A~11Cの例では、この角度のコーティング設計は、以下の仕様で色均一性を維持するべきである。
●角度スペクトル60度から70度(バンド3)は、6%(
図11Cの1002R)、93%透過(
図11Bの1002T2)、及び1%の損失を想定して反射される必要がある。
●角度スペクトル42度から60度(バンド2)は、少なくともバンドの一部(
図11Bの1002T1)について、完全に透過(又はほぼ完全に透過)されるべきである。実用的な徐々に低下する透過率部分が想定される(
図11Bの1002T3)。
光ビームは、20度から40度の最小限の反射でファセット(1004)を横断する必要がある(
図11Bのバンド1、1004T)。この文脈では、ほぼ完全に透過性であることは、96.5%以上の透過率を意味する。
図11B及び11Cに見られるように、コーティング設計の目標は、概して達成される。
【0095】
したがって、ファセット56bは、3つの角度バンド(
図11A、11B、及び11Cの例では、バンド1=20~40度、バンド2=42~60度、及びバンド3=60~70度)に対して最適化されたコーティングでコーティングされ、3つの角度バンドは、完全に又はほぼ完全に透過性の部分(1004T及び1002T1)を有する2つのバンド(バンド1及びバンド2)と、一部が反射性の部分(1002T2)を有し、かつ2つの完全に又はほぼ完全に透過性のバンドのうちの1つに隣接する1つのバンド(バンド3は、完全に又はほぼ完全に透過性の部分1002T1を含むバンド2に隣接する)を含む。3つの角度バンド(バンド1、バンド2、及びバンド3)の全ての透過率は、システム100の色均一性を維持するように最適化される。
【0096】
各図は、連続して発生する様々な動作を例示しているが、例示された様々な動作は、実質的に並行して発生し得ることが理解されるべきであり、動作が並行して発生するように示されている場合があるが、これらの動作は、実質的に連続して発生し得ることが理解されるべきである。例示された方法に関連して、いくつかのプロセスが説明されているが、より多くの又はより少ない数のプロセスが採用される可能性があること、並びに、軽量なプロセス、通常のプロセス、スレッド、及び他の手法が採用される可能性があることを理解されたい。他の典型的な方法もまた、場合によっては、実質的に並行して発生する動作を含み得ることも理解されたい。例示された典型的な方法及び他の実施形態は、リアルタイムで、ソフトウェア若しくはハードウェア、又はハイブリッドソフトウェア/ハードウェア実装ではリアルタイムよりも高速で、あるいは、ソフトウェア若しくはハードウェア、又はハイブリッドソフトウェア/ハードウェア実装ではリアルタイムよりも低速で、動作し得る。
【0097】
定義
以下は、本明細書で使用される選択された用語の定義を含む。これらの定義は、用語の範囲内に入り、かつ実施態様のために使用され得る、様々な例又は構成要素の形態を含む。それらの例は、限定するものであることを意図されていない。用語の単数形及び複数形の両方が、それらの定義内にあり得る。
【0098】
「動作可能な接続」、又は、実在物が「動作可能に接続される」接続は、信号、物理的通信、又は論理的通信が送信又は受信され得る接続である。典型的には、動作可能な接続には、物理的インターフェース、電気的インターフェース、又はデータインターフェースが含まれるが、動作可能な接続は、動作可能な制御を可能にするのに十分である、これらの異なる組み合わせ又は他のタイプの接続を含み得ることに留意されたい。例えば、2つの実在物は、直接、又は、プロセッサ、オペレーティングシステム、ロジック、ソフトウェア、若しくは他の実在物のような1つ以上の中間の実在物を介して互いに信号を通信することができることによって、動作可能に接続することができる。論理的又は物理的な通信チャネルを使用して、動作可能な接続を作り出すことができる。
【0099】
「含む(includes)」又は「含む(including)」という用語が詳細な説明又は特許請求の範囲において使用される限り、その用語は、特許請求の範囲において過度的な単語として使用されるときに、当該用語が解釈されるため、「備える(comprising)」という用語と同様の方法で包含されることが意図される。更に、「又は」という用語が発明の詳細な説明又は特許請求の範囲において使用される限り(例えば、A又はB)、「A若しくはB、又はその両方」を意味することが意図されている。出願人が「A又はBのみであるが、その両方ではない」ことを意図する場合、「A又はBのみであるが、その両方ではない」という用語が使用されるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、包括的使用であり、排他的使用ではない。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。
【0100】
例示的なシステム、方法などが、例を説明することによって例示されており、また、それらの例がかなり詳細に説明されているが、そのような詳細の範囲を制限するか、又はいかなる方法でも限定することは、出願人の意図ではない。当然のことながら、本明細書に説明されたシステム、方法などを説明する目的のために、構成要素又は方法論の想定されるあらゆる組み合わせを説明することは不可能である。追加的な利点及び修正は、当業者には容易に着想されるであろう。したがって、本発明は、図示及び説明された特定の詳細事項、典型的な装置、及び例証的な例に限定されるものではない。したがって、本出願は、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まる変更、修正、及び変形を含むことが意図されている。更に、前述の説明は、本発明の範囲を限定することを意味しない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びそれらの均等物によって決定されるべきである。
【国際調査報告】