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特表2024-525399分散型コンピューティング実行環境において使用するための相互運用可能なコンポジット・データ・ユニット
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  • 特表-分散型コンピューティング実行環境において使用するための相互運用可能なコンポジット・データ・ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】分散型コンピューティング実行環境において使用するための相互運用可能なコンポジット・データ・ユニット
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/35 20180101AFI20240705BHJP
【FI】
G06F8/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579092
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2022055797
(87)【国際公開番号】W WO2022269516
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/353,898
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523479558
【氏名又は名称】オルタード ステイト マシーン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド、デイビッド
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BC24
5B376BC38
(57)【要約】
開示される実装形態が、様々な実行環境において所有、取引、及び使用され得る、人工知能モデルなど、実行可能モデルを提供する。モデルを、厳密に定義されたインターフェース定義と結びつけることによって、モデルは、インターフェースをサポートする様々な実行環境において実行され得る。モデルを非代替性暗号化トークンと結びつけることは、モデル及び他の構成要素がユニットとして所有及び取引されることを可能にする。取引可能なコンポジット・ユニットは、ビデオ・ゲーム環境、チャット・ボット環境及び金融取引環境など、複数のサポートされる実行環境にわたる有用性を有する。さらに、インターフェースは、複数の相補型コンポジット・ユニットからのパイプライン及びシステムの作成を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の実行環境において実装され得る計算モデルを提供するために非一時的コンピュータ可読媒体に記録されるコンポジット・データ構造であって、前記データ構造は、
コンピュータ・プロセッサによって実行されたとき、前記計算モデルに従ってデータに対する計算を引き起こす、モデル・コードを指定するモデル・モジュールと、
前記計算モデルに関連付けられたインターフェース定義へのポインタを含むインターフェース定義モジュールと、
計算モジュールに関連付けられた非代替性トークンへのポインタを含む非代替性トークン・モジュールであって、前記非代替性トークンが非集中型台帳に記憶される、非代替性トークン・モジュールと
を備える、コンポジット・データ構造。
【請求項2】
前記インターフェース定義が、前記計算モデルについての入力及び出力の有限セットを指定する、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項3】
前記モデル・モジュールが前記モデル・コードを含む、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項4】
前記モデル・コードが学習モジュールを含む、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項5】
前記学習モジュールが人工知能モデルである、請求項4に記載のデータ構造。
【請求項6】
前記モデル・コード内の入力変数にマッピングされ得る複数の値を保持する入力値行列をさらに備える、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項7】
前記モデルが、ビデオ・ゲームにおけるエンティティのアクティビティを表す、請求項2に記載のデータ構造。
【請求項8】
前記インターフェース定義が、前記エンティティによってとられ得るアクションを指定する、請求項8に記載のデータ構造。
【請求項9】
前記値が、前記エンティティの属性を表す、請求項8に記載のデータ構造。
【請求項10】
前記値が、エンティティ・アクティビティの結果として変更され得る、請求項9に記載のデータ構造。
【請求項11】
複数の実行環境において実装され得る計算モデルを提供するために非一時的コンピュータ可読媒体に記録されるコンポジット・データ構造を作成するための方法であって、前記方法は、
コンピュータ・プロセッサによって実行されたとき、前記計算モデルに従ってデータに対する計算を引き起こす、モデル・コードを指定するモデル・モジュールを提供することと、
前記計算モデルに関連付けられたインターフェース定義へのポインタを含むインターフェース定義モジュールを提供することと、
前記計算モデルを、非集中型台帳に記憶された非代替性トークンとリンクすることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記インターフェース定義が、前記計算モデルについての入力及び出力の有限セットを指定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記モデル・モジュールが前記モデル・コードを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記モデル・コードが学習モジュールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記学習モジュールが人工知能モデルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記モデル・コード内の入力変数にマッピングされ得る複数の値を保持する入力値行列を提供することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記モデルが、ビデオ・ゲームにおけるエンティティのアクティビティを表す、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記インターフェース定義が、前記エンティティによってとられ得るアクションを指定する、請求項18に記載の方法。
【請求項19】
前記値が、前記エンティティの属性を表す、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記値が、エンティティ・アクティビティの結果として変更され得る、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分散型ビデオ・ゲーム環境、ボット・ネットワーク、及び複雑な金融トランザクション環境など、コンピューティング実行環境が、遍在するようになった。
【背景技術】
【0002】
多くのそのような環境では、参加者が、特権及び特徴をもつオブジェクトとして表され得る。たとえば、ビデオ・ゲーム環境では、プレイヤ・アバターが、スピード、敏捷さ、及び強さなど、特定の能力を有し得る。プレイヤ・アバターに関連付けられた能力は、実行環境内に記憶され得る。しかしながら、各環境は、それ自体のフォーマット及びプロトコルを有する。さらに、これらの環境は、データのキーパーである集中型の信頼できる当局を有しなければならない。したがって、オブジェクトの使用は、作成している実行環境にとどまらなければならず、他の環境におけるアクティビティは、オブジェクトに影響を及ぼさず、及ぼすことができない。さらに、信頼できるパーティを必要とすることが、ブロックチェーン・ネットワーク及び他の分散型台帳技術(DLT:distributed ledger technology)など、非集中型コンピューティング実行環境上にそのようなオブジェクトを実装するのを妨げる。
【発明の概要】
【0003】
開示される実装形態が、様々な実行環境において所有、取引、及び使用され得る、人工知能モデルなど、実行可能モデルを提供する。モデルを、厳密に定義されたインターフェース定義と結びつけることによって、モデルは、インターフェースをサポートする様々な実行環境において実行され得る。モデルを非代替性暗号化トークンと結びつけることは、モデル及び他の構成要素がユニットとして所有及び取引されることを可能にする。モデルを表すコンポジット(composite)・データ構造は、本明細書では「コンポジット・ユニット」と呼ばれる。取引可能なコンポジット・ユニットは、ビデオ・ゲーム環境、チャット・ボット環境及び金融取引環境など、複数のサポートされる実行環境にわたる有用性(utility)を有する。さらに、インターフェースは、複数の相補型コンポジット・ユニットからのパイプライン及びシステムの作成を可能にする。
【0004】
本発明の一態様は、複数の実行環境において実装され得る計算モデルを提供するために非一時的コンピュータ可読媒体に記録されるコンポジット・データ構造を作成するための方法であり、上記データ構造は、コンピュータ・プロセッサによって実行されたとき、計算モデルに従ってデータに対する計算を引き起こす、モデル・コードを指定するモデル・モジュールと、計算モデルに関連付けられたインターフェース定義へのポインタを含むインターフェース定義モジュールと、計算モジュールに関連付けられた非代替性トークンへのポインタを含む非代替性トークン・モジュールであって、非代替性トークンが非集中型台帳に記憶される、非代替性トークン・モジュールとを備える。
【0005】
本発明の別の態様は、実行環境内でのコンポジット・データ構造の使用である。
【0006】
本発明の別の態様は、上記データ構造を使用するための実行環境を含むシステムである。
【0007】
本発明の上記の概要、並びに以下の詳細な説明は、添付の図面ととともに読まれるときに、より良く理解される。本発明を説明するために、様々な例示的な実施例が、図面において示される。しかしながら、本発明は、示される正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】開示される実装形態による、コンポジット・ユニットの構造の概略表現の図である。
図2】開示される実装形態による、インターフェース定義についてのコードの一実例の図である。
図3-1】開示される実装形態による、コンポジット・ユニットと入力値行列との間のリンクの概略図である。
図3-2】図3-1の続きであり、開示される実装形態による、コンポジット・ユニットと入力値行列との間のリンクの概略図である。
図3-3】図3-1及び図3-2の続きであり、開示される実装形態による、コンポジット・ユニットと入力値行列との間のリンクの概略図である。
図4】開示される実装形態による、モデル・コードのコード・スニペットの一実例の図である。
図5】開示される実装形態による、モデル・コードのコード・スニペットの別の実例の図である。
図6】開示される実装形態による、入力値行列を示すテーブルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ある用語は、単に便宜のために以下の説明で使用され、限定するものではない。本明細書に別段に記載されない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という語は、1つの要素に限定されず、代わりに、「少なくとも1つ」を意味するものとして読まれるべきである。用語は、上述の単語、それの派生語、同様の意味の単語を含む。
【0010】
開示される実装形態によるコンポジット・ユニットは、様々な実行環境において実装され、ある実行環境から別のものに移動され得る人工知能など、モデルの取引能力と、相互運用性と、コンポーザビリティとを提供する。実行モデルを、厳密に定義されたインターフェース定義と結びつけることによって、コンポジット・ユニットは、複数の実行環境が、インターフェースのサポートと、そのインターフェースに適合するための他のモデルのサポートとを実装することを可能にする。その結果、複数のサポートされる実行環境にわたる有用性を有する、コンポジット・ユニットを所有及び取引することができる。さらに、インターフェースは、複数の相補型コンポジット・ユニットからのパイプライン及びシステムの作成を可能にする。
【0011】
開示される実装形態によるコンポジット・ユニットは、3つの構成要素を含む。
・ 実行モデル:モデルを実装する実行可能コードの指定(たとえば、実行可能コードAIモデルがそこに記憶され、アクセス可能である、コンテンツ・アドレス指定された(content addressed)URL)。
・ インターフェース定義:モデルによって許容される入力とモデルの出力との指定(たとえば、相対モデルについてのインターフェース定義がそこに記憶され、アクセス可能である、コンテンツ・アドレス指定されたURL)。
・ ブロックチェーン参照:モデルに対応する、及びブロックチェーン又は他の分散型台帳技術など、非集中型コンピューティング・ネットワークに記憶された、非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)へのポインタ。
【0012】
図1は、開示される実装形態による、コンポジット・ユニットのアーキテクチャを示す。コンポジット・ユニット100は、コンテンツ・アドレス指定されたモデル102と、インターフェース指定104と、(コンポジット・ユニット100を、非集中型台帳110に記憶されたNFTに関連付ける)トークン・ポインタ106とを含む。要素102、要素104、及び要素106が、データ構造として非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたデータ要素であることに留意されたい。要素は、リレーショナル・テーブルなどを通して、単一のデータ構造に記憶されることによって、ポインタを用いてなど、様々な様式でリンクされ得る。また、要素は、対応するデータ又はコードを記憶することができ、或いはさもなければ、URL又は他のアドレス、リンクなどを通して、データ又はコードを指定することができる。たとえば、コンテンツ・アドレス指定されたモデル102は、モデルを実行するためのモデル・コードを含むか、又は、図1に示されているように、モデル・コードの記憶ロケーションへのアドレスを含むことができる。非集中型台帳110は、ブロックチェーン・ネットワークなどの非集中型環境の一部であり得る。NFTは、そのときにコンポジット・ユニット100が使用されている実行環境にかかわらず、コンポジット・ユニット100の所有権を識別及び表すために使用され得る、一意のトークンである。
【0013】
コンポジット・ユニット100の単純な実例として、古典的なコンピュータ・ゲームPONG(商標)について考える。コンピュータ・ゲームPONG(商標)のためのコンポジット・ユニットについての例示的なインターフェース定義が、図2に示されている。図2に示されているように、ゲーム・プレイの最も最近のN個(この実例ではN=2)のフレームからの入力が、202及び204において示されている。入力は、ボールと各プレイヤのパドルとのx位置及びy位置を含み、それらから以下が推論され得る。
・ ボールの位置、スピード、及び軌道、
・ 対戦者のパドルの位置、スピード、及び軌道、並びに
・ プレイヤ自身のパドルの位置、スピード、及び軌道。
【0014】
この実例におけるインターフェースの出力は、206に示されているように、次のフレームのためのプレイヤのパドルの移動命令である。x値及びy値は、現在のプレイヤのパドルの位置に追加されることになる。
【0015】
モデル入力及び出力についての厳密なインターフェースを定義することによって、モデルは、そのインターフェースのサポートを提供する複数の環境にわたって展開され得る。標準的PONG(商標)の制約は極めて単純であり、物理的特性は線形であるが、このインターフェースは、異なる制約及び物理的特性をもつ複数の変形態に適用され得る。入力としてとられるフレーム数を微調整することによって、モデルは、より複雑な制約及び非線形物理的特性をもつゲーム変形態のためにトレーニングされ得る。開示される実装形態は、AIモデルが、ゲームの異なる変形態における領域にわたって競争するようにトレーニングされる、競争的PONG(商標)トーナメントの多様なエコシステムを作成するために使用され得る。開示される実装形態は、以下で実例において説明されるように、ゲーミング及びそれ以外における、より複雑な環境に適用され得る。
【0016】
コンポジット・ユニットは、入力値行列を介して(本明細書では「アリーナ(arena)」と呼ばれる)実行環境にわたってリンクされ得、入力値行列は、アリーナ内の入力変数及びコンポジット・ユニットにマッピングされ得る値のセットを含んでいるデータ構造である。これは、単一の入力基準を提供するが、コンポジット・ユニットがどのようにマッピングされるかに関する選定をアリーナ開発者に与えることによって、コンポジット・ユニットがどのように展開されるかに関する、整合性と柔軟性の両方を可能にする。アリーナは、コンポジット・ユニットが対話し得る任意の環境を指すことができ、実例は、ビデオ・ゲーム内のレベル、ゲーム全体、取引ボット、及び/又は単一の対話を含む。「アリーナ・エージェント」は、コンポジット・ユニットの出力を実行するコードである。
【0017】
図3-1、図3-2、及び図3-3は、入力値行列に結びつけられた、各アリーナについて1つの、複数のコンポジット・ユニットを示す。この実例における各コンポジット・ユニット300a、300b、及び300cは、対応するアリーナ・エージェント302a、302b、及び302cを有する。入力値行列304は、対応するアリーナ・エージェントを通して各コンポジット・ユニットに結びつけられる。
【0018】
極めて単純な例示的な入力値行列が、表形式で、以下に記載される。
【表1】
【0019】
ビデオ・ゲームPONG(商標)及びSPACE INVADERS(商標)に関して、入力値行列の適用は、以下のようになり得る。PONG(商標)では、アリーナ開発者が、最大パドルスピードについて制約をエージェントに追加することを希望し得、これは、入力値行列中の値3を、コントローラ・スクリプト内のスピード変数にマッピングすることによって達成され得、これは、対応するコンポジット・ユニット100(図1参照)のモデルの一部であり得る。パドルの移動を制御するモデル・コードの実例のスニペットが、図4に示されている。スピード変数は、402において示されている。SPACE INVADERS(商標)に関する一実例では、アリーナ開発者は、値3を、(ゲームにおいて宇宙船移動を制御するためのスニペットの一実例である)図5に示されているコントローラ・スクリプト内の502において示される変数スピードについての入力値にマッピングすることによって、宇宙船の最大スピードについて制約をエージェントに追加することを希望し得る。
【0020】
図3-1、図3-2、図3-3、図4及び図5に関して説明される入力値行列は、説明の目的で極めて単純な実例である。図6は、開示される実施例による、より複雑な入力値行列600を示す。入力値行列600中の変数のうちの少なくともいくつかは、ビデオ・ゲームにおけるプレイヤ・エンティティの属性を表す。図6の実例では、変数のセットが、属性のカテゴリーに関係し得る。たとえば、属性602が、関係するアリーナに関するプレイヤ・エンティティの強さを表し、属性604が、関係するアリーナに関するプレイヤ・エンティティの知能を表し、属性606は、関係するアリーナに関するプレイヤ・エンティティの敏捷さを表す。入力値行列中の値の各セットが、モデル・コード中の変数のアレイにマッピングされ得るか、又は各変数が、モデル・コード中の個々の変数にマッピングされ得る。入力値行列はランダムに生成され得、各ゲーム開発者は、行列のエリアを、特定の技能(skill)に対応するものとして指定/タグ付けすることができる。タグは、各エリアに関連付けられ得、ゲーム開発者は、前の開発者によって作成されたタグを、同様のゲームのための同様の技能セットを作成するために活用することができる。異なるタイプのゲームの開発者は、異なるゲームのためのタグのセットとは、まったく異なるタグのセットを作成及び/又は使用することを選定し得る。したがって、入力値行列は、必要に応じて使用/グループ化/タグ付けされ得る、値と(1つ又は複数の)関連付けられたタグ・クラウドとのセットであり得る。ゲーム開発者は、ゲームのタイプ及び所望のプレイ特徴に基づいてどのタグを使用すべきかを決めることができるが、おそらく、他の同様のゲームに整合することを希望するであろう。
【0021】
上述のように、開示される実装形態によるコンポジット・ユニットは、ビデオ・ゲームに適用され得る。ゲーミング・プラットフォーム及びプロトコル実例の開示される実装形態が、以下でより詳細に説明される。プラットフォームは、ユーザが(以下で単に「プレイヤ」と呼ばれる)ゲーム・プレイヤ・エンティティをミントし、それらの統計をアップグレードし、エコシステム内のNFTとしてそれらを獲得し、購入し、販売することを可能にする。モデル・コードは、ゲーム・プレイ内で及びゲーム・プレイの結果として、変わる及び適応することができる「ブレイン(brain)」を作成するための機械学習を組み込む。
【0022】
プロトコル及びプラットフォームは、複数のゲームが、プレイヤと対話するように開発者によって作成されることを可能にする。異なるプレイヤが、異なるレベルの様々な関係する技能(強さ、スピード、知能など)を有することができる。プレイヤは、人間支援の(human backed)プレイヤがいるゲームの中の対話型インテリジェント・ノンプレイヤ・キャラクタ(NPC:non-player character)であり得る。NPCは、ゲームをプレイする(1人又は複数の)人によって制御されない、ゲームの中のキャラクタ又は他のエンティティである。プレイヤは、3つの部分、基本の「フレーム」と、プレイヤの美的性質及び属性を定義する「形式」(たとえば、フレーム及び形式は、上記で定義された入力値行列の形式でのものであり得る)と、(たとえば、上記で説明された実行可能モデルの形式での)トレーニング可能「ブレイン」とによって定義され得る。ユーザは、デフォルト属性とともにこれらの構成要素を含む新しいNFTパックをミントすることによって、新しいプレイヤを作成することができる。いくつかのフレーム、形式及び/又はブレインは、まれな属性を含んでいることになり、或いは、たとえば、対応するプレイヤは、いくつかの技能の頂点に達するためにより少ない時間を要するより速い学習者であるという、それらの潜在的意味においてより高いレベルから開始し得る。
【0023】
ゲームをプレイするために、フレーム、形式、及びブレインが選択され、互いにリンクされる。ゲーム・プレイに伴って、各構成要素は、一意のやり方で修正されることになる。フレームと形式とブレインとの組合せは、学習モデルに影響を及ぼし、プレイヤのための特定の機械学習モデル記憶(すなわち、ブレイン)中に意思決定のプロセス及び組合せの極めて大きいセットを作り出すことができる。いくつかの属性をもつ形式を使用するようにトレーニングされたブレインは、異なる属性をもつ、又はそれらの属性について異なる値をもつ形式と組み合わせられたとき、再学習する必要があることになるので、「より高度な」ブレイン又は「より能力がある」形式を単にフレームにアタッチすることは、優れたプレイヤを直ちに生じないことがある。ゲーム・プレイもつ形式及びブレインをもつ2つのフレームさえも、ゲーム・プレイに基づいて、ブレイン・モデルにおけるまったく異なるトレーニングを展開する。これは、一意の「パーソナリティ」の非常に大きい世界が展開することを可能にする。
【0024】
アタッチされ、フレームからデタッチされ得る属性と属性値とを分離するこのモデルは、ユーザが、異なるフレーム、形式及びブレインからのプレイヤの一意の部分を組み合わせることによって、最終的なストラテジーを設計すること可能にする。著しく、この構造は、ユーザが、特定のアリーナのための形式、或いは特定のタスク若しくはストラテジーのための又は特定の対戦者に対峙するときのブレインを選定すること可能にする。各形式又はブレインは、たとえば、5つのタイプ、不完全な、一般的な、まれな、壮大な(Epic)、及び伝説的な(Legendary)のうちの1つとして、カテゴリー分類され得る。プレイヤは、属性を保持し、IPFSを使用して記憶される、.yamlファイルを使用して定義され得る。YAMLは、JSONのような言語の代替として構成ファイルのためのフォーマットとしてしばしば使用される、シリアル化言語である。IPFSは、よく知られているピアツーピア・ハイパーメディア・プロトコルである。YAMLは、プレイヤ及び属性を定義するデータを記憶するために使用され得るファイル構造/フォーマットの一実例にすぎない。この構成の結果として、「メモリ」は、不変であり、非集中型のものであり、特にNFTにリンクされ得る。
【0025】
フレームが、ミンティングにおいて割り当てられる汎用属性値のセットを含む。値は、低く開始することがあるが、プラットフォームにおいてタスクを完了すること及び/又はプラットフォーム通貨でブースト(boost)を購入することによって、アップグレードされ得る。たとえば、フレーム属性値は、以下に対応することができる。
・ 強さ、
・ 健康、
・ スピード、
・ 器用さ、
・ 知能、
・ カリスマ、
・ 知覚、
・ 運、及び/又は
・ サイズ
【0026】
形式は、ゲーム固有であり得、特定の対戦者に対するゲームなど、特定のタスクのために技能及び属性を修正するために、追加の技能又は属性を提供する属性値を有することができる。アリーナに入るために、アリーナ固有の形式が、フレームにアタッチされることを必要とされ得る。これは、フレームが複数の形式を有する場合、フレームが複数のアリーナに参加することを可能にする。
【0027】
形式はまた、特定のアリーナのために有用であり得る、フレーム統計値の乗数を含んでいることがある。これらは、ランダムに割り当てられ得、まれな属性を含むことがある。形式がミントされると、ゲームは、乗数をマッピングすることなどを通して、内部的に技能レベルをアップグレードすることができる。
【0028】
ブレインは、フレームとして、すなわち、NFTに関連付けられ、学習モデルを実行するためのコードを記憶する、メモリアドレスとして定義され得る。ブレインは、様々な形式とともに使用され得る。ただし、新しい形式は、ブレインが、その中で指定された修正された属性及び属性値をどのように使用すべきかを学習することを必要とし得る。ブレインはまた、アタッチされたフレームをブーストさせることができ、(1つ又は複数の)特定のアリーナにとってより有用であり得る、属性を有する。フレームは、特定のアリーナのためのいくつかの組合せのためのトレーニングをそれにより可能にするための、特定の学習モデル及び形式組合せのためのトレーニングを記憶する、複数のメモリを含んでいることがある。
【0029】
ブレインが学習するために、ブレインは、アクティビティ、たとえばゲーム・プレイを通してトレーニングされる必要がある。トレーニングは、「ジム」プラットフォームにおいて遂行され得る。本明細書で使用される「ジム」は、GPUによって動く機械学習モデル・トレーナーであり得る。モデルは、プレイヤNFTに関連付けられた属性によって影響を及ぼされる。ブレインの学習モデルがニューラル・ネットワークを使用するとき、特定のプレイヤをトレーニングすることの特定の結果は、一意である。プレイヤは、ジムにおいてトレーニングすることによって、プレイヤの属性をモデル化することが可能であり、これは、プレイヤのAIがゲームをプレイするのをより上手にする。各プレイヤは、プレイヤがジムにおいてトレーニングするたびに更新される.onnxファイルを有することができる。ONNXは、機械学習モデルを表すために構築されたオープン・フォーマットである。ジムにおけるトレーニングは、暗号通貨をマイニングすることと同様のプロセスであり得、ここで、ユーザのNFTの一意のブレインをトレーニングするために、GPUが使用される。プロトコルは、ジムのユーザがジム使用の代金を支払うことを必要とされ得るので、ジムをホストする人々にインセンティブを提供することができる。ジム・セッション中に、ユーザは、たとえばファイル・ビューアを通して、属性にされたものを監視することによって、自分のプレイヤが改善するのを見ることが可能であることになり、ユーザが決めた結果が達成されると、セッションを終了することが可能であることになる。
【0030】
ユーザは、自分のweb3ウォレットを使用してゲームに接続することができる。ユーザは、次いで、フレームと形式とブレインとメモリとの組合せであるプレイヤを選択する。フットボールなどのチーム・プレイの場合、チームを作成するために複数のプレイヤが選択され得る。2つのチームが、試合/ゲームのために必要とされる。ゲームは開始し、プレイヤはロードされ、ゲームは、プレイヤがアリーナに入ったとき、フレームと形式とブレインとメモリとの組合せに関連付けられたNFTがユーザによって所有されていることを確実にするためにチェックする。両者が、特定の時間期間に十分な勝利ポイント/ゴールを得点するために競争する。
【0031】
この結果の出力は、関係するNFTの記録に対するブロックチェーン・ネットワークなど、分散型台帳に記憶され得る。これは、ゲームのプレイヤ及び結果を中心として展開するための、経済的インセンティブ及びアクティビティのエコシステムを可能にする。ゲーム、プレイヤ、及びチームの統計値は、様々な様式で表示され得る。ユーザは、自分のフレーム、形式及びブレインのインベントリ、並びに自分のプレイヤの組立て、及び統計値がどのようにプレイヤに影響を及ぼすかを閲覧することができる。フレーム/形式/ブレインの組合せをアタッチすることによってプレイヤが修正されることを可能にするために、ユーザ・インターフェースが、提供され得る。ユーザは、ゲームの結果に対して賭けを行い、又は試合をするためにチームをレンタルし、又は自分のチームをアップグレードするためにプレイヤを借り得る。
【0032】
プラットフォームは、本明細書で言及される支払いのためにネイティブ・トークンが使用される、分散型台帳を含む。トークンは、流動性マイニング・イベントを使用してマイニングされ得る。ユーザがネイティブ・トークンを保持すると、ユーザは、フレーム/形式/ブレイン組合せのパックをマイニングする(又は買う)ためにネイティブ・トークンを使用することができる。パックは、各々のまれな構成要素を生むランダムな機会を有することになる。マイニングは、フェアな分布曲線に基づき得、パックをマイニングするために最小出資が必要とされ得る。マイニングにかかる時間は、ユーザが出資した額に基づいて低減され得る。これは、初期の又は強力なサポーターが恩恵を受けること、並びにより後の又はより小さいサポーターが参加することを可能にする。
【0033】
ゲームをより小さい参加者にとってさえフェアにするために、出資の増加が、必ずしも、NFTのミンティング時にまれな属性を得る、ユーザの個々の機会を増加させる必要があるとは限らない。しかしながら、より大きい出資者は、より小さい出資者に対して、同じ時間量においてより多くのパックをマイニングすることが可能であり得る。パックは、エディションでリリースされ得、経時的に、エディションは、モデルが発展するにつれて新しい属性を含んでいることがあり、又はいくつかのエディションは、限られた発行数を含んでいることがある。しかしながら、プレイヤの性能は、プレイヤのトレーニング及び経験によって決定されるので、「低」スペック・キャラクタさえ、勝利の能力/ストラテジーを展開する機会を有する。ネイティブ・トークンは、ジムへのGPUのプロバイダとそれらのジムのユーザとの間の支払いのためにも使用され得る。ネイティブ・トークンは、他のユーザからプレイヤを購入するために、アリーナへのアクセスを買うために、或いはプレイヤのための化粧アイテム又はルートボックスを購入するためにも使用され得る。
【0034】
様々な知られている技術プラットフォーム及びプロトコルが、開示される実装形態とともに使用され得る。NFTは、ERC-1155トークン規格を使用してミントされ得る。そのようなNFTは、詳細には、ゲーミングのためのものであり、ERC-721代替形態を通して可能であるものよりも効率的な取引及び転送をイーサリアム・ネットワーク上で可能にする。
【0035】
CHAINLINK(商標) RNG(乱数生成器:Random Number Generator)及びVRF(検証されたランダム性機能:Verified Randomness Function)は、(ボールがどこで開始するかのためのコイン・トスなど)ゲーム・メカニクスにおいて及びNFTに関連付けられたまれな属性についてのミンティング・メカニクスにおいての両方で、ランダム性を提供するために使用され得る。また、Chainlinkオラクル・ネットワークは、NFTが、ゲーム・プレイ中に確立する動的属性を有することを可能にするために使用され得る。SYLOプロトコルと、デジタル消費者ウォレット・ソフトウェア、アプリケーション、インフラストラクチャ及び開発者ツールからなるエコシステムとは、ゲーム・チャット及び市場チャットにおけるもののために、並びにNFTウォレットのために使用され得る。IPFSは、NFTに関連付けられたメモリを記憶するために、及びゲームにおけるブレインが正しいNFTを使用することを確実にするために、使用され得る。UNITYが、ゲーム・エンジンのために使用され得る。
【0036】
上記で説明された特定の実例は、主に、ビデオ・ゲームに関する。ただし、開示される実装形態は、様々な適用例に適用され得、「プレイヤ」エンティティは、たとえば、(オンライン・フレンドに個別のパーソナリティを与えるための)チャット・ボット、本当に個人的であるパーソナル・アシスタント、及び/又は取引ボットであり得、取引ボットは、それの所有者又はそれのコミュニティに代わって、動的な取引戦略に従ってトランザクションを遂行するように働く。インテリジェント自動化エージェントによって完了され得る任意のタスクが、開示される実装形態を使用して遂行され得る。
【0037】
本明細書の広い発明概念から逸脱することなく、開示される実装形態の変更が行われ得ることが、当業者によって諒解されよう。したがって、本発明は、開示される実装形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内の修正をカバーするものであることを理解されたい。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
本発明の一態様は、複数の実行環境において実装され得る計算モデルを提供するために非一時的コンピュータ可読媒体に記録されるコンポジット・データ構造を作成するための方法であり、上記データ構造は、コンピュータ・プロセッサによって実行されたとき、計算モデルに従ってデータに対する計算を引き起こす、モデル・コードを指定するモデル・モジュールと、計算モデルに関連付けられたインターフェース定義へのポインタを含むインターフェース定義モジュールと、計算モデルに関連付けられた非代替性トークンへのポインタを含む非代替性トークン・モジュールであって、非代替性トークンが非集中型台帳に記憶される、非代替性トークン・モジュールとを備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の実行環境において実装され得る計算モデルを提供するために非一時的コンピュータ可読媒体に記録されるコンポジット・データ構造であって、前記データ構造は、
コンピュータ・プロセッサによって実行されたとき、前記計算モデルに従ってデータに対する計算を引き起こす、モデル・コードを指定するモデル・モジュールと、
前記計算モデルに関連付けられたインターフェース定義へのポインタを含むインターフェース定義モジュールと、
前記計算モデルに関連付けられた非代替性トークンへのポインタを含む非代替性トークン・モジュールであって、前記非代替性トークンが非集中型台帳に記憶される、非代替性トークン・モジュールと
を備える、コンポジット・データ構造。
【請求項2】
前記インターフェース定義が、前記計算モデルについての入力及び出力の有限セットを指定する、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項3】
前記モデル・モジュールが前記モデル・コードを含む、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項4】
前記モデル・コードが学習モジュールを含む、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項5】
前記学習モジュールが人工知能モデルである、請求項4に記載のデータ構造。
【請求項6】
前記モデル・コード内の入力変数にマッピングされ得る複数の値を保持する入力値行列をさらに備える、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項7】
前記モデルが、ビデオ・ゲームにおけるエンティティのアクティビティを表す、請求項2に記載のデータ構造。
【請求項8】
前記インターフェース定義が、前記エンティティによってとられ得るアクションを指定する、請求項に記載のデータ構造。
【請求項9】
前記値が、前記エンティティの属性を表す、請求項8に記載のデータ構造。
【請求項10】
前記値が、エンティティ・アクティビティの結果として変更され得る、請求項9に記載のデータ構造。
【請求項11】
複数の実行環境において実装され得る計算モデルを提供するために非一時的コンピュータ可読媒体に記録されるコンポジット・データ構造を作成するための方法であって、前記方法は、
コンピュータ・プロセッサによって実行されたとき、前記計算モデルに従ってデータに対する計算を引き起こす、モデル・コードを指定するモデル・モジュールを提供することと、
前記計算モデルに関連付けられたインターフェース定義へのポインタを含むインターフェース定義モジュールを提供することと、
前記計算モデルを、非集中型台帳に記憶された非代替性トークンとリンクすることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記インターフェース定義が、前記計算モデルについての入力及び出力の有限セットを指定する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記モデル・モジュールが前記モデル・コードを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記モデル・コードが学習モジュールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記学習モジュールが人工知能モデルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記モデル・コード内の入力変数にマッピングされ得る複数の値を保持する入力値行列を提供することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記モデルが、ビデオ・ゲームにおけるエンティティのアクティビティを表す、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記インターフェース定義が、前記エンティティによってとられ得るアクションを指定する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記値が、前記エンティティの属性を表す、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記値が、エンティティ・アクティビティの結果として変更され得る、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】