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特表2024-525402ファルネセンのエポキシド誘導体を作製するためのプロセスおよびさらなる合成におけるそれらの使用
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  • 特表-ファルネセンのエポキシド誘導体を作製するためのプロセスおよびさらなる合成におけるそれらの使用 図1
  • 特表-ファルネセンのエポキシド誘導体を作製するためのプロセスおよびさらなる合成におけるそれらの使用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ファルネセンのエポキシド誘導体を作製するためのプロセスおよびさらなる合成におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 303/04 20060101AFI20240705BHJP
   C07C 49/24 20060101ALI20240705BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20240705BHJP
   C07C 33/02 20060101ALI20240705BHJP
   C07C 67/30 20060101ALI20240705BHJP
   C07C 29/36 20060101ALI20240705BHJP
   C07C 45/34 20060101ALI20240705BHJP
   C07D 301/03 20060101ALI20240705BHJP
   C07D 301/12 20060101ALI20240705BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
C07D303/04
C07C49/24
C07C69/738 Z
C07C33/02
C07C67/30
C07C29/36
C07C45/34
C07D301/03
C07D301/12
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579169
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2022066928
(87)【国際公開番号】W WO2022268840
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】2108985.9
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルシアーニ,ジャコモ
(72)【発明者】
【氏名】バウムガルトナー,コリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】グラニエー,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ロフチック,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー,フリチョフ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB12
4H006AB84
4H006BN10
4H006BR10
4H006FE11
4H006KA31
4H006KC14
4H039CA42
4H039CC40
(57)【要約】
本明細書に記載されているのは、β-ファルネセンから出発するフレグランス成分の産生における中間体を作製するための方法である。とりわけ、アセチルメチルファルネソールおよびヒドロキシ-ファルネシルアセトンを作製するための方法が記載されている。そのプロセスにおける他の中間体を作製するための方法もまた、記載されている。加えて、プロセスにおける中間体を含む組成物および中間体の使用も記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化1】
式(I) 式(II)
ここで方法が、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させること、ここでサレン配位子が、式(IV)を有し、およびここでポルフィリン配位子が、式(XI)を有し、
【化2】
式(III) 式(IV)
【化3】
式(XI)
式中
各環Aは、独立して、フェニルまたはナフチルから選択される;
各R1は、独立して、水素、アルキル基、アリール基であるか、あるいは両方のR1は、R 1 が付着した炭素原子と一緒に、シクロアルキレン基、アリーレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のシクロアルキレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のアリーレン基、または単結合もしくはアルキル基によって接続されたシクロアルキレン基とアリーレン基とを形成している;
各R2は、独立して、水素またはアルキル基である;
R3は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;
R4は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;
R9は、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル、またはアミノ基から選択される;
各nは、0~4から選択される;
mは、0~4から選択される;
各R6は、独立して、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアルキリデン基、任意に置換されていてもよいアリール基、または任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基から選択される;および
各R7は、独立して、水素、アルキル基、エステル含有アルキル基、またはカルボン酸含有アルキル基から選択される;
任意に、これに続き、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることで、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を得ること
【化4】
式(V) 式(VI) 式(VII)、
任意に、これに続き、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物の加水分解および脱炭酸をすることで、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を得ること
【化5】
式(VIII) 式(IX)
式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される、
を含む、前記方法。
【請求項2】
式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化6】
式(V) 式(VI)
ここで方法が、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物または、それらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含み、式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される、前記方法。
【化7】
式(I) 式(II) 式(VII)
【請求項3】
方法が、E,E-式(V)とE,Z-式(V)との混合物および/またはE,E-式(VI)とE,Z-式(VI)との混合物を産生する、請求項2に記載の方法。
【化8】
E,E-およびE,Z-式(V) E,E-およびE,Z-式(VI)
【請求項4】
式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化9】
式(VIII) 式(IX)
ここで方法が、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物の加水分解および脱炭酸を含み、
【化10】
式(V) 式(VI)
式中R'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択され、ならびに式中Rは、水素またはC1~C6アルキル基からなる群から選択される、前記方法。
【請求項5】
式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物の加水分解および脱炭酸が、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、任意に水の存在下で、酸、塩基と、または求核試薬と接触させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、式中R'は、メチルであり、
【化11】
式(VIII) 式(IX)
ここで方法が、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む、前記方法。
【化12】
式(I) 式(II)
【請求項7】
式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、式中R'は、メチルであり、
【化13】
式(X) 式(IX)
【化14】
式(XII) 式(VIII)
方法が、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を含む、前記方法。
【請求項8】
式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化15】
式(X) 式(II)
【化16】
式(XII) 式(I)
ここで方法が、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化を含む、前記方法。
【請求項9】
式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物が、請求項1に記載の方法によって産生される、請求項2、6または8に記載の方法。
【請求項10】
式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の分離の方法であって、
【化17】
式(I) 式(II)
ここで方法が、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の蒸留を含む、前記方法。
【請求項11】
式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物であって、
【化18】
式(V) 式(VI)
ここでRは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される、前記方法。
【請求項12】
式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物
【化19】
式(X) 式(XII)。
【請求項13】
請求項4~6のいずれか一項に記載の方法によって得られるかもしくは得ることができる、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物。
【請求項14】
請求項7に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる、式(IX)で表される化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の方法によって得られるかもしくは得ることができる、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、β-ファルネセンから出発するアンバーケタール(Amberketal)およびアンバーケタールホモログなどのフレグランスの産生における中間体を作製するための方法に関する。とりわけ、本発明は、アセチルメチルファルネソールおよびヒドロキシ-ファルネシルアセトンの産生に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
アンバーケタールは、強力かつ執拗に付きまとう(tenacious)アンバー様(ambery)およびウッディのにおいを提供するが、これは単独で、または他のウッディ成分もしくはアンバー様成分と組み合わされて、フレグランス組成物に有用なものである。アンバーケタールは伝統的に、数多の化学的転換を介してマノオール(Manool)から調製される。しかしながら、天然のマノオールの供給は限定されている。したがって、アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログを得るのに効率的かつ費用対効果の良い新しい合成ルートを提供することが所望されている。
【0003】
式B(式中R1は、H、メチル、またはエチルである)で表される化合物をスクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)酵素または酵素バリアントと接触させることを含む、アンバーケタールホモログ(式A)への合成ルートは、WO2021/209482(PCT/EP2021/059618)に開示されている。
【化1】
式B 式A
【0004】
したがって、式Bで表される化合物(これは次いで、アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログの産生において使用され得る)を得るのに効率的な新しい手段(access)を提供することが所望されている。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明の第1の側面に従うと、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化2】
式(VIII) 式(IX)
【化3】
式(V) 式(VI)
ここで方法は、例えば、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、酸、塩基、水(例として、DMSOなどの極性溶媒中の水)、または求核試薬(例として、極性溶媒中の、ハロゲン化物塩、シアン化物塩、もしくはチオラートなどの塩)と接触させることによって、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物夫々の加水分解および脱炭酸を含み、式中R'は、C1~C6アルキル(例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)およびOR基からなる群から選択され、ならびに式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基(例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)からなる群から選択される。
【0006】
本発明の第2の側面において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化4】
式(VIII) 式(IX)
【化5】
式(I) 式(II)
式中R'は、メチルであり、およびここで方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物夫々を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。
【0007】
本発明の第3の側面において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、式中R'は、メチルであり、
【化6】
式(X) 式(IX)
【化7】
式(XII) 式(VIII)
方法は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物夫々を、パラジウム触媒(例として、パラジウム(II)塩化物)およびガス状酸素と接触させることなど、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を含む。
【0008】
第4の本発明の側面に従うと、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化8】
式(V) 式(VI)
【化9】
式(I) 式(II)
【化10】
式(VII)
ここで方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物夫々を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含み、式中R'は、C1~C6アルキルおよびOR基からなる群から選択され、ならびにRは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される。
【0009】
本発明の第5の側面において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化11】
式(X) 式(II)
【化12】
式(XII) 式(I)
ここで方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、銅触媒およびグリニャール試薬(アリルマグネシウムハロゲン化物など)と接触させることなどの、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化を含む。
【0010】
第6の本発明の側面に従うと、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化13】
式(I) 式(II)
ここで方法は、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることを含み、ここでサレン配位子は、式(IV)を有し、およびここでポルフィリン配位子は、式(XI)を有し、
【化14】
式(III) 式(IV)
【化15】
式(XI)
式中
各環Aは、独立して、フェニルまたはナフチルから選択される;
各R1は、独立して、水素、アルキル基、アリール基であるか、あるいは両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、シクロアルキレン基、アリーレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のシクロアルキレン基、または単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のアリーレン基、または単結合もしくはアルキル基によって接続されたシクロアルキレン基とアリーレン基とを形成している;
各R2は、独立して、水素またはアルキル基である;
R3は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアリール基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;
R4は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアリール基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;
R9は、水素、任意に置換されていてもよい(optionally substituted)アルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル、アミノ基から選択される;
各nは、0~4から選択される;
mは、0~4から選択される;
各R6は、独立して、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、または任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基から選択される;および
各R7は、独立して、水素、アルキル基、エステル含有アルキル基、またはカルボン酸含有アルキル基から選択される。
【0011】
本発明の第7の側面において、式(I)および(II)で表される化合物の混合物の分離の方法が提供され、
【化16】
式(I) 式(II)
方法は、式(I)および(II)で表される化合物の混合物の蒸留を含む。
【0012】
本発明の第8の側面において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物が提供され、式中R'は、C1~C6アルキルおよびOR基からなる群から選択される;ならびにRは、水素およびC1~C6アルキルからなる群から選択される。
本発明の第9の側面において、式(X)で表される化合物が提供される。
【0013】
本発明の第10の側面において、第1の側面もしくは第2の側面の方法によって得られるかまたは得ることができる、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、あるいはそれらの混合物が提供される。
本発明の第11の側面において、第3の側面の方法によって得られるかまたは得ることができる式(IX)で表される化合物が提供される。
【0014】
本発明の第12の側面において、第4の側面の方法によって得られるかもしくは得ることができる、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物が提供される。
本発明の第13の側面において、第5の側面の方法によって得られるかまたは得ることができる式(X)で表される化合物が提供される。
【0015】
本発明の第14の側面において、第6の側面の方法によって得られるかもしくは得ることができる、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物が提供される。
本発明の第15の側面において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を含む組成物が提供され、式中R'は、C1~C6アルキルおよびOR基からなる群から選択される;ならびにRは、水素およびC1~C6アルキルからなる群から選択される。
【0016】
本発明の第16の側面において、式(X)で表される化合物を含む組成物が提供される。
本発明の第17の側面において、フレグランス組成物を作製するための方法における、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を含む組成物の使用が提供され、式中R'は、C1~C6アルキルおよびOR基からなる群から選択される;ならびにRは、水素およびC1~C6アルキルからなる群から選択される。
【0017】
本発明の第18の側面において、フレグランス組成物を作製するための方法における式(X)で表される化合物を含む組成物の使用が提供される。
本発明の第19の側面において、第1の側面、第2の側面、第3の側面、第4の側面、第5の側面、第6の側面、または第7の側面に従う方法を含む、フレグランス組成物を作製するための方法が提供される。
【0018】
規定された本発明の側面のいずれの具体的な1以上に関して提供される詳細、例、および好ましいものは、本明細書にさらに記載され、本発明のすべての側面に対し等しく適用される。本明細書に記載の態様、例、および好ましいものの、それらすべての実行可能なバリエーションにおけるいずれの組み合わせも、本明細書に別様に指し示されていない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明によって網羅される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図の簡単な記載
図1図1は、式(III)で表される化合物からの、様々な中間体化合物を介する、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物の産生のための反応スキームを示す。
図2図2は、式(I)~(XII)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な記載
本発明は、アンバーケタールおよびアンバーケタールホモログの産生において使用されることもある式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物の産生のための新規かつ驚くべき方法を提供する。
【0021】
とりわけ、本発明は、サレン配位子との金属錯体を含む触媒が、式(III)で表される化合物を1,3-ジエン単位にて選択的に酸化することで、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を産生するという驚くべき知見に、少なくとも一部基づく。化合物中の他の二重結合はいずれも酸化されず、あり得る位置異性体の2つの産物のみ、つまり式(I)および式(II)で表される化合物がもたらされることは殊更驚くべきことである。この驚くべき知見は、例えば、式(VIII)および(IX)で表される化合物とそれらの混合物との選択的な産生を可能にする。
【0022】
ジェイコブセン(Jacobsen)エポキシ化(ときにジェイコブセン-香月(Katsuki)エポキシ化と呼ばれる)は、官能基化されていないアルキル-およびアリール-置換アルケンと共役ジエンとのエナンチオ選択的エポキシ化を可能にすることが知られているものの、式(III)で表される化合物は、複数の異なる二重結合にてエポキシ化が生じる潜在性に起因してより難易度の高い基質のテトラエンである。しかしながら驚くべきことに、本発明者らは、反応が式(I)および式(II)で表される化合物のみを選択的に産生するとともに、残る2つの炭素-炭素二重結合にて生じるエポキシ化はなく、エポキシ化反応から産生される望ましくない副産物の数が有意に低減されることを見出した。
本発明の合成ルートは、図1に示される概略図においてまとめられる。
【0023】
式(I)および(II)で表される化合物を作製するための方法
ある側面において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が、本明細書に提供され、
【化17】
式(I) 式(II)
ここで方法は、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることを含み、ここでサレン配位子は、式(IV)を有する;ならびにここでポルフィリン配位子は、式(XI)を有し、
【化18】
式(III) 式(IV)
【化19】
式(XI)
式中、各環Aは、独立して、フェニルまたはナフチルから選択される;各R1は、独立して、水素、アルキル基、アリール基であるか、あるいは両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、シクロアルキレン基、アリーレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のシクロアルキレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のアリーレン基、または単結合もしくはアルキル基によって接続されたシクロアルキレン基とアリーレン基とを形成している;各R2は、独立して、水素またはアルキル基である;各R3は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;各R4は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;R9は、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル、またはアミノ基から選択される;各nは、0~4から選択される;mは、0~4から選択される;各R6は、独立して、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、または任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基から選択される;ならびに各R7は、独立して、水素、アルキル基、エステル含有アルキル基、またはカルボン酸含有アルキル基からなる群から選択される。
【0024】
式(III)で表される化合物は、ファルネセンの異性体である。式(III)で表される化合物は、7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエンと称されることもあるβ-ファルネセンである。式(III)で表される化合物は、7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6E,10-ドデカトリエンと称されることもある(6E)-β-ファルネセンであってもよい。式(III)で表される化合物は、CAS番号[18794-84-8]の化合物またはCAS番号[77129-48-7]の化合物であってもよい。いくつかの例において、二重結合(すなわち、式(III)で表される化合物のC6とC7との間の二重結合)の立体化学は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の最中に変化しないままである。
【0025】
式(III)で表される化合物は、ファルネセンの異性体、例として、(E,E)-α-ファルネセン(CAS 502-61-4)および(Z,Z)-α-ファルネセン(CAS 18794-84-8)を包含するα-ファルネセン(3,7,11-トリメチルドデカ-1,3,6,10-テトラエン)を任意にさらに含む混合物によって置き換えられていてもよい。
【0026】
式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)および式(II)で表される化合物で表される化合物の混合物を作製するための方法であってもよい。いくつかの例において、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物は、約99:1~約1:99混合物、例えば、約90:1~約1:90混合物、約80:20~20:80混合物、約60:40~約40:60混合物、例えば、約55:45~約45:50混合物、または約50:50混合物であってもよい。いくつかの例において、混合物は、式(I)および式(II)で表される化合物の約1:1混合物であってもよい。
【0027】
式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることを含んでいてもよく、ここでサレン配位子は、式(IV)を有し、およびここでポルフィリン配位子は、式(XI)を有する。金属は、遷移金属、例えば、マンガン、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、バナジウム、ルテニウム、またはオスミウムであってもよい。金属は、マンガンであってもよい。
【0028】
サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒は、サレン配位子またはポルフィリン配位子とのマンガン錯体を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒は、サレン配位子またはポルフィリン配位子とのマンガン(III)錯体を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。
【0029】
サレン配位子は、式(IV)で表される配位子であり、式中、各環Aは、独立して、フェニルまたはナフチルから選択される;各R1は、独立して、水素、アルキル基、またはアリール基であるか、あるいは両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、シクロアルキレン基、アリーレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のシクロアルキレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のアリーレン基、または単結合もしくはアルキル基によって接続されたシクロアルキレン基とアリーレン基とを形成している;各R2は、独立して、水素またはアルキル基である;各R3は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;各R4は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;R9は、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル、またはアミノ基から選択される;各nは、0~4から選択され、例えば、1~4である;mは、0~4から選択される。
【化20】
式(IV)
【0030】
いくつかの例において、各環Aは、独立して、フェニルまたはナフチルから選択される。いくつかの例において、各環Aは、フェニル基である。
【0031】
いくつかの例において、各R1は、独立して、水素、C1~C10アルキル基、またはC5~C10アリール基であるか、あるいは両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、C5~C10シクロアルキレン基、C5~C10アリーレン基、単結合もしくはC1~C5アルキル基(例えば、メチル基)によって接続された2以上のC5~C10シクロアルキレン基、単結合もしくはC1~C5アルキル基(例えば、メチル基)によって接続された2以上のC5~C10アリーレン基、または単結合もしくはC1~C5アルキル基(例えば、メチル基)によって接続されたC5~C10シクロアルキレン基とC5~C10アリーレン基とを形成している。いくつかの例において、各R1は、同じかもしくは異なるか、または両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒にシクロアルキレン基を形成している。いくつかの例において、各R1は、同じである。いくつかの例において、両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒にシクロアルキレン基を形成しており、ここでmは、任意に0である。
【0032】
いくつかの例において、各R1は、独立して、水素、C1~C10アルキル基、もしくはC5~C10アリール基であるか、または両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒にC5~C10シクロアルキレン基を形成している。いくつかの例において、両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、C5~C10シクロアルキレン基を形成しており、およびここでmは、0である。いくつかの例において、各R1は、独立して、C1~C6アルキル基、またはC5もしくはC6アリール基であるか、あるいは両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、C5~C7シクロアルキレン基であり、およびmは、任意に0である。いくつかの例において、両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、シクロヘキシレン基を形成しており、およびmは、0である。いくつかの例において、各R2は、独立して、水素またはC1~C10アルキル基である。いくつかの例において、各R2は、同じか、または異なる。いくつかの例において、各R2は、同じである。いくつかの例において、各R2は、水素である。
【0033】
いくつかの例において、各R3は、独立して、C1~C20アルキル基、C1~C20アルコキシ基、C1~C20アルカリル基、C1~C10アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である。いくつかの例において、各R3は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例として、tert-ブチル)、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ(例として、tert-ブトキシ)、ペントキシ、ヘキソキシ、(ブチルフェニル)プロピル(例として、(tert-ブチルフェニル)プロピル)、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリプロピルシリルエーテル(例として、トリ(イソプロピル)シリルエーテル)、トリブチルシリルエーテル、トリペンチルシリルエーテル、トリヘキシルシリルエーテル、ヨウ化物、臭化物、塩化物、またはフッ化物である。
【0034】
いくつかの例において、各R4は、独立して、C1~C20アルキル基、C1~C20アルコキシ基、C1~C20アルカリル基、C1~C10アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である。いくつかの例において、各R4は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例として、tert-ブチル)、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ(例として、tert-ブトキシ)、ペントキシ、ヘキソキシ、(ブチルフェニル)プロピル(例として、(tert-ブチルフェニル)プロピル)、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリプロピルシリルエーテル(例として、トリ(イソプロピル)シリルエーテル)、トリブチルシリルエーテル、トリペンチルシリルエーテル、トリヘキシルシリルエーテル、ヨウ化物、臭化物、塩化物、またはフッ化物である。
【0035】
いくつかの例において、各nは、1~4から選択される。いくつかの例において、nは、0である。いくつかの例において、各nは、独立して、1、2、3、または4である。いくつかの例において、各nは、同じか、または異なる。いくつかの例において、各nは、同じである。いくつかの例において、各nは、2である。
【0036】
いくつかの例において、各R3 nは、同じか、または異なる。いくつかの例において、各R3 nは、同じである。いくつかの例において、各R4 nは、同じか、または異なる。いくつかの例において、各R4 nは、同じである。いくつかの例において、R3は、R4と同じである。
【0037】
いくつかの例において、R9は、水素、任意に置換されていてもよいC1~C10アルキル基、任意に置換されていてもよいC6~C14アリール基、ヒドロキシル、またはアミノ基から選択される。
いくつかの例において、mは、0~1から選択される。いくつかの例において、mは、0である。
【0038】
いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV)を有する。いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV)を有し、およびmは、0である。いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV)を有し、各環Aは、フェニルであり、およびmは、0である。いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV-1)を有し、式中各R1は、本明細書に定義されるとおりであり、各R2は、本明細書に定義されるとおりである;各R3は、本明細書に定義されるとおりである;各R4は、本明細書に定義されるとおりである;およびnは、本明細書に定義されるとおりである。
【化21】
式(IV-1)
【0039】
いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV-2)を有し、式中、各R1は、本明細書に定義されるとおりであり、各R2は、本明細書に定義されるとおりである;各R3は、本明細書に定義されるとおりである;各R4は、本明細書に定義されるとおりである;およびnは、本明細書に定義されるとおりである。
【化22】
式(IV-2)
【0040】
いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV-i)、例えば式(IV-i-1)を有し、式中各R4は、独立して、本明細書に定義されるとおりの基から選択され、および各R4は、独立して、本明細書に定義されるとおりの基から選択される。いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV-i)、例えば式(IV-i-1)を有し、式中各R3は、同じかまたは異なり、および各R4は、同じかまたは異なる。いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV-i)、例えば式(IV-i-1)を有し、式中各R3は、同じであり、および/または各R4は、同じである。
【化23】
式(IV-i) 式(IV-i-1)
【0041】
いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV-ii)または式(IV-iii)を有し、式中R3およびR4は、本明細書に定義されるとおりである。
【化24】
式(IV-ii) 式(IV-iii)
【0042】
いくつかの例において、サレン配位子は、式(IV-iv)または式(IV-v)を有する。
【化25】
式(IV-iv) 式(IV-v)
【0043】
いくつかの例において、サレン配位子との金属錯体を含む触媒は、ジェイコブセンの触媒であって、ここでジェイコブセンの触媒は、式(IVa)もしくは式(IVb)を有するか、または、式(IVa)と式(IVb)との混合物であるが、これは光学活性混合物またはラセミ混合物であってもよい。
【化26】
式(IVa) 式(IVb)
【0044】
いくつかの例において、サレン配位子との金属錯体を含む触媒は、式(IVc)で表される化合物(これは光学活性混合物もしくはcis/trans混合物を包含する)、または式(IVd)で表される化合物である。
【化27】
式(IVc) 式(IVd)
【0045】
いくつかの例において、ポルフィリン配位子は、式(XI)で表される配位子であって、式中各R6は、独立して、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、または任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基から選択される;および各R7は、独立して、水素、アルキル基、エステル含有アルキル基、またはカルボン酸含有アルキル基から選択される。
【化28】
式(XI)
【0046】
いくつかの例において、ポルフィリン配位子は、式(XI)で表される配位子であって、式中各R6は、独立して、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、または任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基から選択される;および各R7は、独立して、水素、アルキル基、エステル含有アルキル基、またはカルボン酸含有アルキル基から選択される;ここで任意に置換されていてもよいアルキル基は、1以上の水素原子が、アルキル基もしくはアリール基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボン酸もしくはその塩、カルボン酸エステル、塩化物、フッ化物などのハロゲン化物、スルホン酸もしくはその塩、ニトロ基によって置き換えられている、アルキル基である;ここで任意に置換されていてもよいアリール基は、1以上の水素原子が、アルキル基もしくはアリール基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボン酸もしくはその塩、カルボン酸エステル、塩化物、フッ化物などのハロゲン化物、スルホン酸もしくはその塩、ニトロ基によって置き換えられている、アリール基である;ここで任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基は、1以上の水素原子がアルキル基またはアリール基によって置き換えられているヘテロ芳香族基である。すべての置換基は、さらなる環系を形成し得る。
【0047】
いくつかの例において、ポルフィリン配位子は、式(XI)で表される配位子であって、各R6は、独立して、水素、アルキル基、アリール基、またはヘテロ芳香族基から選択される;および各R7は、独立して、水素、アルキル基、エステル含有アルキル基またはカルボン酸含有アルキル基から選択される。ポルフィリン配位子は、式(XI)で表される配位子であって、各R6は、独立して、水素、C1~C10アルキル基、C6~C14アリール基、またはC3~C10ヘテロ芳香族基から選択される;および各R7は、独立して、水素、C1~C10アルキル基、エステル含有C2~C10アルキル基、またはカルボン酸含有C1~C10アルキル基から選択される。
【0048】
いくつかの例において、各R6は、同じかまたは異なり、および各R7は、同じかまたは異なる。いくつかの例において、各R6は、同じであり、および各R7は、同じかまたは異なる。いくつかの例において、各R6は、同じかまたは異なり、および各R7は、同じである。いくつかの例において、各R6は、同じであり、および各R7は、同じである。
【0049】
いくつかの例において、各R6は、水素、またはアリール基、例えばC6~C10アリール基である。いくつかの例において、各R7は、水素である。いくつかの例において、各R6は、水素、またはアリール基、例えばC6~C10アリール基であり、および各R7は、水素である。いくつかの例において、各R6は、アリール基、例えばC6~C10アリール基であり、および各R7は、水素である。いくつかの例において、各R6は、フェニルであり、および各R7は、水素である。
【0050】
いくつかの例において、ポルフィリン配位子は、式(XI-1)で表される配位子であり、式中各R6は、本明細書に定義されるとおりである。
【化29】
式(XI-1)
【0051】
いくつかの例において、ポルフィリン配位子は、式(XI-1)で表される配位子であり、式中各R6は、独立して、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、または任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基から選択される。いくつかの例において、ポルフィリン配位子は、式(XI-1)で表される配位子であり、式中各R6は、独立して、C6~C10アリール基である。
【0052】
いくつかの例において、ポルフィリン配位子は、式(XI-2)で表される配位子である。いくつかの例において、ポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒は、式(XIa)で表される触媒である。
【化30】
式(XI-2) 式(Xia)
【0053】
いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒および酸化剤と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒および共触媒または添加剤と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒、酸化剤、および共触媒または添加剤と接触させることを含んでもよい。
【0054】
いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒および酸化剤と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒および共触媒または添加剤と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒、酸化剤、および共触媒または添加剤と接触させることを含んでもよい。
【0055】
いくつかの例において、酸化剤は、次亜塩素酸塩、過酸化物、過ヨウ素酸塩、および分子酸素から選択されてもよい。いくつかの例において、次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)であってもよい。いくつかの例において、過酸化物は、過酸化水素、無水尿素-過酸化水素、ジメチルジオキシラン、またはtert-ブチルヒドロペルオキシド(tBuOOH)であってもよい。いくつかの例において、過ヨウ素酸塩は、IO4 -またはIO6 5-であってもよい。いくつかの例において、酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウムまたは過酸化水素であってもよい。
【0056】
いくつかの例において、共触媒または添加剤は、触媒の金属と軸配位することが可能ないずれの化合物であってもよい。いくつかの例において、共触媒または添加剤は、有機ニトリル、N-オキシド配位子、アルキルスルホナート、窒素含有ヘテロ環、塩(例として、酢酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、もしくは四級アミン塩)、ホスファート、ホスフィンオキシド、ホスホルアミド、アルデヒド(例として、ピバルデヒド)、またはそれらの混合物であってもよい。ピバルデヒドなどのアルデヒドは、酸化剤として分子酸素と組み合わせて使用されてもよく、例えば分子酸素のための還元剤として作用することもある。
【0057】
有機ニトリルは、アセトニトリルであってもよい。N-オキシド配位子は、三級アミンN-オキシド(トリメチルアミンN-オキシド、p-CN-N,N-ジメチルアニリンN-オキシド、N-メチルモルホリンN-オキシド(NMO)など)、またはピリジンN-オキシド(例として、ピリジンN-オキシド、4-tert-ブチルピリジンN-オキシド、4-メチルピリジンN-オキシド、もしくは4-フェニルピリジンN-オキシド)であってもよい。アルキルスルホナートは、トリフルオロメタンスルホナートであってもよい。窒素含有ヘテロ環は、ピリジン、アルキルピリジン(4-tert-ブチルピリジンもしくはジメチルアミノピリジンなど)、またはイミダゾールであってもよい。いくつかの例において、酢酸塩は、酢酸ナトリウム(NaOAc)であってもよい。いくつかの例において、カルボン酸塩は、安息香酸ナトリウム(NaOCOPh)であってもよい。いくつかの例において、炭酸塩は、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)であってもよい。いくつかの例において、四級アミン塩は、NH4BF4、NH4F、NH4CIO4、NH4PF6、NH4Oac、NH4OCHO、キニーネの塩もしくはその誘導体、シンコニジンの塩もしくはその誘導体、キナアルカロイドの塩もしくはその誘導体、キニジンの塩もしくはその誘導体、またはエフェドリンの塩もしくはその誘導体であってもよい。いくつかの例において、リン酸塩は、Na3PO4であってもよい。ホスフィンオキシドは、Ph3POであってもよい。ホスホルアミドは、ヘキサメチルホスホルアミドであってもよい。
【0058】
いくつかの例において、共触媒または添加剤は、トリメチルアミンN-オキシド、またはNH4BF4とNa3PO4との混合物であってもよい。
【0059】
いくつかの例において、方法は、式(III)で表される化合物を溶媒中、サレン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、溶媒は、触媒の金属と軸配位することが可能な溶媒であってもよい。いくつかの例において、溶媒は、触媒の金属と軸配位することが可能な溶媒であって、共触媒も添加剤も何ら包含されない。いくつかの例において、溶媒は、塩化フェニル、トルエン、メチルtert-ブチルエーテル、キシレン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、シクロヘキサン、シクロヘキサン、ジメチルイソソルビド、炭酸ジメチル、ジメトキシエタン、置換N-メチルピロリドン(例として、N-メチル-ピロリドン、N-ブチル-ピロリドン、N-オクチル-ピロリドン)、(トリフルオロメチル)ベンゼン、ベンゼン、置換エステル(例として、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ピバル酸メチル、ピバル酸エチル)、置換ジアルキルエーテル(例として、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル)、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルジグリコールエーテル、ジメチルテトラグリコールエーテル、置換アルカン(例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン)、およびシクロヘキサンからなる群から選択される。いくつかの例において、溶媒は、メタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、酢酸エチル、ジクロロメタン、または(トリフルオロメチル)ベンゼンである。いくつかの例において、有機溶媒は何ら使用されない。
【0060】
いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒および水性NaOClおよび溶媒と接触させることを含む。
【0061】
いくつかの例において、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒、ならびにa)水性NaOCl、Me3NO、およびPhMe;またはb)水性H2O2、NH4BF4、Na3PO4、およびMeOH、またはc)水性NaOCl、およびトルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、酢酸エチル、もしくは(トリフルオロメチル)ベンゼン、のいずれかと接触させることを含む。
【0062】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(III)で表される化合物を、室温もしくはこれを下回る温度、例えば、約0℃から室温まで、または約5℃から室温までの温度にて、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることを含む。室温は、約20℃から約25℃までの温度であってもよい。
【0063】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(III)で表される化合物を、室温(約20℃~約25℃)もしくはこれを上回る温度、例えば、約室温から最大150℃まで(例として、最大120℃まで、もしくは最大60℃まで)の温度(これは約25℃~約60℃の温度を包含する)にて、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることを含む。
【0064】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(III)で表される化合物を、使用される夫々の溶媒の還流温度である温度にて触媒と接触させることを含む。
【0065】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と、1時間以上、例えば5時間~120時間(10、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114時間を包含する)以上接触させることを含む。
【0066】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と、120時間以下、例えば最大114時間まで(これは5、10、12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、108時間を包含する)以下接触させることを含む。
【0067】
いくつかの例において、方法は、式(I)で表される化合物を産生する。いくつかの例において、方法は、式(II)で表される化合物を産生する。いくつかの例において、方法は、式(I)および(II)で表される化合物の混合物を産生する。
【0068】
いくつかの例において、方法は、100%未満の変換を有する、つまり100%未満の式(III)で表される化合物が反応する。いくつかの例において、式(III)で表される化合物の少なくともいくつかは、方法が実施された後に残存している。いくつかの例において、方法は、式(I)で表される化合物と未反応の式(III)で表される化合物との混合物を産生する。いくつかの例において、方法は、式(II)で表される化合物と未反応の式(III)で表される化合物との混合物を産生する。いくつかの例において、方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、および未反応の式(III)で表される化合物の混合物を産生する。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、産物混合物から分離される。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、一部の産物混合物のままである。
【0069】
いくつかの例において、方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を産生し、ならびに方法は、式(I)および(II)で表される化合物を分離することをさらに含む。いくつかの例において、式(I)および(II)で表される化合物は、蒸留によって分離される。式(I)および式(II)で表される化合物は、シリカゲル上で分解されて、同様の沸点(式(I):83℃/0.03mbar;式(II):78℃/0.03mbar)を有する。しかしながら、驚くべきことに、式(I)および(II)で表される化合物は、それら酷似する沸点にもかかわらず蒸留によって分離され得ることが見出された。いくつかの例において、蒸留による分離もまた、産物混合物から、残存する未反応試薬を除去する。
【0070】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物は、E-式(I)である。いくつかの例において、式(II)で表される化合物は、E-式(II)である。
【化31】
E-式(I) E-式(II)
【0071】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物は、CAS番号[83637-40-5]の化合物であるファルネセン1,2-エポキシドである。
いくつかの例において、式(II)で表される化合物は、CAS番号[1404220-65-0]の化合物であるファルネセンexo-エポキシドである。
【0072】
いくつかの例において、方法は、式(I)で表される化合物と式(I)で表される化合物との混合物を産生するが、ここで式(II)で表される化合物は過剰に提供され、例として、式(II)で表される化合物および式(I)で表される化合物は、51:49~99:1の比率(これは55:45~60:40の範囲を包含する)で産生される。
【0073】
式(I)および(II)で表される化合物の混合物の分離の方法
ある側面において、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の分離の方法が提供され、方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の蒸留を含む。
【0074】
いくつかの例において、蒸留は、真空下での分離または薄膜(wiped film)蒸留(これは短行程(short path)蒸留と称されることもある)を含む。いくつかの例において、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の分離の方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の真空蒸留を含む。
【0075】
いくつかの例において、真空蒸留は、最大約1mbarまで、例えば、最大約0.7mbarまで、最大約0.5mbarまで、最大約0.3mbarまで、最大約0.2mbarまで、最大約0.1mbarまで、最大約0.09mbarまで、最大約0.08mbarまで、最大約0.07mbarまで、最大約0.06mbarまで、最大約0.05mbarまで、最大約0.04mbarまで、最大約0.03mbarまで、から最大約0.02mbarまで、最大約0.01mbarまでの減圧での蒸留を含む。いくつかの例において、真空蒸留は、約0.01mbarから0.5mbarまで、例えば、約0.02mbarから約0.4mbarまで、約0.03mbar~約0.4mbar、約0.04mbar~約0.2mbar、約0.05mbar~約0.1mbar、約0.03mbar~約0.02mbarの減圧での蒸留を含む。いくつかの例において、真空蒸留は、約0.03mbar(3Pa)の圧力にて実施されてもよい。0.03mbarにて、E-式(I)の沸点は83℃であり、E-式(II)の沸点は78℃である。
【0076】
式(V)および(VI)で表される化合物を作製するための方法
別の側面において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化32】
式(V) 式(VI)
ここで方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を夫々、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含み、式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される。
【化33】
式(I) 式(II) 式(VII)
【0077】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物を作製するための方法であって、ここで方法は、式(I)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含み、式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化34】
【0078】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(VI)で表される化合物を作製するための方法であって、ここで方法は、式(II)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含み、式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化35】
【0079】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法であって、ここで方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含み、式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される。
【0080】
いくつかの例において、試薬中の二重結合(すなわち、式(III)で表される化合物のC6とC7との間の二重結合)の立体化学は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の最中に変化しないままである。
【0081】
いくつかの例において、方法は、E,E-式(V)とE,Z-式(V)との混合物および/またはE,E-式(VI)とE,Z-式(VI)との混合物を産生する。
【化36】
E,E-およびE,Z-式(V) E,E-およびE,Z-式(VI)
【0082】
いくつかの例において、パラジウム触媒は、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒、または担持不均一Pd触媒であってもよい。いくつかの例において、パラジウム触媒は、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3(ここでdbaは、ジベンジリデンアセトンである)、溶媒和Pd2(dba)3(Pd2(dba)3・dbaおよびPd2(dba)3・CHCl3など)、Pd(OAc)2(ここでAcは、アセチルである)、Pd(acac)2(ここでacacは、アセチルアセトナートである)、Pd(MeCN)2Cl2、Pd(COD)Cl2(ここでCODは、1,5-シクロオクタジエン)、[(C3H5)PdCl]2、PdCl2、またはPd/Cから選択されてもよい。いくつかの例において、パラジウム触媒は、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトナート)である。
【0083】
いくつかの例において、パラジウム触媒は、パラジウムと、PPh3、dba、OAc、acac、MeCN、Cl、COD、C3H5、DPPF(ここでDPPFは、1,1'-フェロセンジイルビス(ジフェニルホスフィン)[CAS 12150-46-8]である)、DPPB(ここでDPPBは、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン[CAS 7688-25-7]である)、BINAP(ここでBINAPは、rac-BINAPであって、ここでBINAPは、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフタレン[CAS 98327-87-8]である)、DPEphos(ここでDPEphosは、ビス[(2-ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル[CAS 166330-10-5]である)、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン[CAS 855-38-9]、トリス(2-フリル)ホスフィン[CAS 5518-52-5]、亜リン酸トリエチルP(OEt)3[CAS 122-52-1]、およびトリイソプロピルホスファイトP(iPrO)3[CAS 116-17-6]からなる群から選択される、配位子またはカチオンとを含む触媒であってもよい。
【0084】
式(VII)で表される化合物は、オキソアルカン酸、オキソアルカン酸エステル、マロン酸またはマロン酸エステルである。式(VII)で表される化合物は、オキソアルカン酸エステルまたはマロン酸エステルであってもよい。
【化37】
式(VII)
【0085】
いくつかの例において、Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される。いくつかの例において、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルからなる群から選択される。いくつかの例において、Rは、水素、メチル、およびエチルからなる群から選択される。いくつかの例において、Rは、メチルである。
【0086】
いくつかの例において、R'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される。いくつかの例において、R'は、C1~C6アルキル基、ヒドロキシル、およびC1~C6アルコキシ基からなる群から選択される。いくつかの例において、R'は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびイソプロポキシからなる群から選択される。いくつかの例において、R'は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルからなる群から選択される。いくつかの例において、R'は、ヒドロキシルまたはメチル基である。いくつかの例において、R'は、メチル基である。
【0087】
いくつかの例において、式(VII)で表される化合物は、式(VIIa)で表される化合物である。いくつかの例において、方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VIIa)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、Rは、上に定義されるとおりであってもよく、例えば、Rは、水素およびC1~C6アルキル基(例えば、メチル基)からなる群から選択されてもよい。
【化38】
式(VIIa)
【0088】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(VI)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法を含む。
【0089】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させること(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)を含む。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の最中、反応混合物中に残存している。
【化39】
【0090】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を作製するための方法の産物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法の最中、反応混合物中に残存している。
【0091】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物を作製するための方法の産物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(V)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物を本明細書に記載の方法によって作製すること、ならびに式(I)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、式(V)で表される化合物を作製するための方法の最中、反応混合物中に残存している。
【0092】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;式(I)で表される化合物を、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物から分離すること;ならびに式(I)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(V)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;式(I)で表される化合物を、蒸留によって混合物から分離することで、式(I)で表される化合物を産生すること;ならびに式(I)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、式(V)で表される化合物を作製するための方法の最中、反応混合物中に残存している。
【0093】
いくつかの例において、式(VI)で表される化合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物を作製するための方法の産物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(VI)で表される化合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物を本明細書に記載の方法によって作製すること、ならびに式(II)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物を作製するための方法の最中、反応混合物中に残存している。
【0094】
いくつかの例において、式(VI)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;式(II)で表される化合物を、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物から分離すること;ならびに式(II)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(VI)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;式(II)で表される化合物を、蒸留によって混合物から分離することで、式(II)で表される化合物を産生すること;ならびに式(II)で表される化合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物を作製するための方法の最中、反応混合物中に残存している。
【0095】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物または式(VI)で表される化合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製すること、および式(V)で表される化合物を式(VI)で表される化合物から分離することを含んでもよい。いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物を作製するための方法の最中、反応混合物中に残存している。
【0096】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、E,E-およびE,Z-異性体の混合物を産生する。いくつかの例において、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。いくつかの例において、E,E-およびE,Z-異性体は、クロマトグラフィー、例えばフラッシュクロマトグラフィーによって分離されてもよい。
【化40】
E,E-およびE,Z-式(V) E,E-およびE,Z-式(VI)
【0097】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物を作製するための方法は、E,E-およびE,Z-異性体の混合物を産生する。いくつかの例において、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。いくつかの例において、E,E-およびE,Z-異性体は、クロマトグラフィー、例えばフラッシュクロマトグラフィーによって分離されてもよい。いくつかの例において、E,Z異性体は、方法によって産生される主異性体である。いくつかの例において、E,E異性体は、方法によって産生される主異性体である。いくつかの例において、反応条件、例えば配位子および/または使用される溶媒の選択は、どの異性体が、方法によって産生される主異性体であるのかに影響を及ぼす。
【0098】
いくつかの例において、式(VI)で表される化合物を作製するための方法は、E,E-およびE,Z-異性体の混合物を産生する。いくつかの例において、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。いくつかの例において、E,E-およびE,Z-異性体は、蒸留またはクロマトグラフィー、例えばフラッシュクロマトグラフィーによって分離されてもよい。いくつかの例において、E,Z-異性体は、方法によって産生される主異性体である。
【0099】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、E,E-式(V)、E,Z-式(V)、E,E-式(VI)、およびE,Z-式(VI)の混合物を産生する。いくつかの例において、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離すること、および/または式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物とを分離することをさらに含む。いくつかの例において、E,E-およびE,Z-異性体、および/または式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物とは、クロマトグラフィー、例えばフラッシュクロマトグラフィーによって分離されてもよい。
【0100】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と、室温またはこれを上回る、例えば、最大50℃まで、最大40℃までの温度にて接触させることを含む。いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と、20℃から50℃までの、例えば、25℃~45℃、25℃~40℃、または30℃~35℃の温度にて接触させることを含む。
【0101】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と、少なくとも0.5時間、例えば、最大72時間まで(これは1、5、10、12、24、30、36、42、48、54、60、66時間を包含する)、またはこれよりさらに長い時間接触させることを含む。
【0102】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と、約0.5hから約72hまでの間(これは以下の範囲:1~66、5~60、10~54、12~48、18~42、24~36、および30~36時間を包含する)接触させることを含む。
【0103】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、溶媒の存在下、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、およびクロロベンゼンからなる群から選択されるか、またはそれらの混合物である。
【0104】
式(V)および(VI)で表される化合物から、式(VIII)および(IX)で表される化合物を作製するための方法
別の側面において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化41】
式(VIII) 式(IX)
ここで方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物の加水分解および脱炭酸を含み、
【化42】
式(V) 式(VI)
夫々、式中R'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択され、ならびに式中Rは、水素またはC1~C6アルキル基からなる群から選択される。
【0105】
いくつかの例において、[二重結合の]E/Z比率は、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製する方法の最中、変化しないままである。いくつかの例において、試薬は立体異性体の混合物を含み、各立体異性体の割合は方法の最中、変化しないままである。いくつかの例において、試薬は、式(V)で表される化合物の単一の異性体を含み、二重結合のE/Z比率は、産物において変化しないままである。いくつかの例において、試薬は、式(VI)で表される化合物の単一の異性体を含み、二重結合のE/Z比率は、産物において変化しないままである。いくつかの例において、試薬は、式(V)で表される化合物の単一の異性体および式(VI)で表される化合物の単一の異性体を含み、二重結合のE/Z比率は、産物において変化しないままである。
【0106】
いくつかの例において、加水分解および脱炭酸は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、酸または塩基と接触させることを含んでもよく、式中R'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択され、ならびに式中Rは、水素またはC1~C6アルキル基からなる群から選択される。いくつかの例において、R'およびRは、式(VII)で表される化合物について定義されるとおりである。いくつかの例において、R'は、水素、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルからなる群から選択され、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルからなる群から選択される。
【0107】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物は、本明細書に記載の式(V)で表されるいずれの化合物であってもよい。いくつかの例において、式(VI)で表される化合物は、本明細書に記載の式(VI)で表されるいずれの化合物であってもよい。いくつかの例において、R'は、メチルである。
【0108】
いくつかの例において、加水分解および脱炭酸は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を加熱することを含んでもよい。いくつかの例において、加水分解および脱炭酸は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、水、および/または酸、塩基、極性溶媒(DMSOなど)、塩、ホウ酸無水物(B2O3)の存在下で加熱することを含んでもよい。いくつかの例において、酸は、HClまたはH2SO4であってもよい。いくつかの例において、酸は、水性酸性溶液、例えば、水性HClまたは水性H2SO4であってもよい。いくつかの例において、塩は、ハロゲン化物塩、シアン化物塩、またはチオラート塩であってもよい。いくつかの例において、塩は、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、またはヨウ化カリウムであってもよい。いくつかの例において、加水分解および脱炭酸は、クラプコ(Krapcho)脱炭酸反応であってもよい。いくつかの例において、塩基は、NaOH、KOH、Na2CO3、NaHCO3、LiOH、Ba(OH)2であってもよい。いくつかの例において、塩基は、水性塩基性溶液、例えば、水性NaOHまたは水性KOHであってもよい。
【0109】
いくつかの例において、加水分解および脱炭酸(これは、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、酸または塩基と、水の存在下で接触させることを含んでもよい)は、少なくとも20℃、例えば、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、または少なくとも100℃の温度まで加熱することを含んでもよい。いくつかの例において、加水分解および脱炭酸(これは、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、酸または塩基と、水の存在下で接触させることを含んでもよい)は、最大100℃まで、例えば、最大95℃まで、最大90℃まで、最大85℃まで、最大80℃まで、最大75℃まで、最大70℃まで、最大65℃まで、最大60℃まで、最大55℃まで、最大50℃まで、最大45℃まで、最大40℃まで、最大35℃まで、最大30℃まで、最大25℃まで、または最大20℃までの温度まで加熱することを含んでもよい。いくつかの例において、加水分解および脱炭酸(これは、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、酸または塩基と、水の存在下で接触させることを含んでもよい)は、20℃から100℃まで、例えば、25℃~65℃、30℃~70℃、35℃~75℃、40℃~80℃、45℃~85℃、50℃~90℃、55℃~95℃、または60℃~100℃の温度まで加熱することを含んでもよい。
【0110】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、酸と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、塩基と接触させることを含んでいてもよい。いくつかの例において、酸または塩基は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を加水分解して脱炭酸することが可能ないずれの酸または塩基であってもよい。いくつかの例において、塩基は、水の存在下NaOHまたはKOHであってもよい。
【0111】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(VIII)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(IX)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法を含む。
【0112】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、例えば、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物を、水の存在下で酸または塩基と接触させることによる、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物の加水分解および脱炭酸を含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、水の存在下で酸または塩基と接触させることによって、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を加水分解して脱炭酸することを含む(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化43】
【0113】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、例えば、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法の産物を、酸または塩基と接触させることによる、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を作製するための方法の産物の加水分解および脱炭酸を含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を、水の存在下で酸または塩基と接触させることによって、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を加水分解して脱炭酸することを含む(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化44】
【0114】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること、ここで該混合物は未反応の式(III)で表される化合物をさらに含み、これに続き該混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることで、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、および未反応の式(III)で表される化合物を含む混合物がもたらされることを含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、および任意に式(III)で表される化合物を含む混合物から出発して、ワンポット手順で作製することを含む。
【0115】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物を作製するための方法は、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製すること、および例えばフラッシュクロマトグラフィーまたは蒸留によって、式(VIII)で表される化合物を混合物から分離することを含んでもよい。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法は、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製すること、および例えばフラッシュクロマトグラフィーまたは蒸留によって、式(IX)で表される化合物を混合物から分離することを含んでもよい。
【0116】
いくつかの例において、方法は、E,E-式(VIII)とE,Z-式(VIII)との混合物および/またはE,E-式(IX)とE,Z-式(IX)との混合物を産生する。
【化45】
E,E-およびE,Z-式(VIII) E,E-およびE,Z-式(IX)
【0117】
方法は、E,E-およびE,Z-異性体の混合物を産生してもよく、例えばフラッシュクロマトグラフィーまたは蒸留によって、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含んでもよい。いくつかの例において、方法によって産生される異性体の混合物は、試薬として使用される、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物の異性体の混合物、またはそれらの混合物に対応する、つまり方法は異性体混合物を変化させない。
【0118】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法は、例えば、式(VI)で表される化合物を作製するための方法の産物を、水の存在下で酸または塩基と接触させることによって、式(VI)で表される化合物を作製するための方法の産物の加水分解および脱炭酸を含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法は、式(VI)で表される化合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(VI)で表される化合物を、水の存在下で酸または塩基と接触させることによって、式(VI)で表される化合物を加水分解して脱炭酸することを含む。
【0119】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;式(VI)で表される化合物を混合物から分離すること;ならびに、例えば、式(VI)で表される化合物を、水の存在下で酸または塩基と接触させることによって、式(VI)で表される化合物を加水分解して脱炭酸することを含む。
【0120】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;例えば本明細書に記載の方法によって、式(II)で表される化合物を混合物から分離すること;式(VI)で表される化合物を式(II)で表される化合物から本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに式(IX)で表される化合物を式(VI)で表される化合物から本明細書に記載の方法によって作製することを含む。
【0121】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、水性酸または水性塩基と、少なくとも30min、例えば、少なくとも1h、少なくとも2h、少なくとも3h、少なくとも4h、少なくとも5h、少なくとも6h、少なくとも7h、少なくとも8h、少なくとも9h、少なくとも10h、少なくとも11h、少なくとも12hの間接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、水性酸または水性塩基と、最大12hまで、例えば、最大11hまで、最大10hまで、最大9hまで、最大8hまで、最大7hまで、最大6hまで、最大5hまで、最大4hまで、最大3hまで、最大2hまで、最大1hまで、最大30minまでの間接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、水性酸または水性塩基と、約30minから約12hまで、例えば、約1h~約11h、約2h~約10h、約3h~約9h、約4h~約8h、約5h~約7h、約6h~約12の間接触させることを含んでもよい。
【0122】
式(VIII)および(IX)(R'=Me)で表される化合物を、式(I)および(II)で表される化合物およびアセトンから作製するための方法
別の側面において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化46】
式(VIII) 式(IX)
式中R'は、メチルであり、ならびにここで方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。
【化47】
式(I) 式(II)
【0123】
いくつかの例において、二重結合(すなわち、式(III)で表される化合物のC6とC7との間の二重結合)の立体化学は、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製する方法の最中、変化しないままである。
パラジウム触媒は、式(V)および(VI)で表される化合物を作製するための方法について記載されたいずれのパラジウム触媒であってもよい。
【0124】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と、室温またはこれを上回る、例えば、最大50℃まで、最大40℃までの温度にて接触させることを含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と、20℃から50℃まで、例えば、25℃~45℃、30℃~40℃、または40℃~45℃の温度にて接触させることを含む。
【0125】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と、少なくとも12h、例えば、少なくとも18h、少なくとも24h、少なくとも30h、少なくとも36h、少なくとも42h、少なくとも48h、少なくとも54h、少なくとも60h、少なくとも66h、少なくとも72hの間接触させることを含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と、最大72hまで、例えば、最大66hまで、最大60hまで、最大54hまで、最大48hまで、最大42hまで、最大36hまで、最大30hまで、最大24hまで、最大18hまで、または最大12hまでの間接触させることを含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、を、接触させること式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と、約12hから約72hまで、例えば、18h~66h、24h~60h、30h~54h、36h~48h、または36h~42hの間接触させることを含む。
【0126】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(VIII)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(IX)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法を含む。
【0127】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること(いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、産物混合物の一部として残存する);ならびに式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化48】
【0128】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を作製するための方法の産物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること(いくつかの例において、未反応の式(III)で表される化合物は、産物混合物の一部として残存する);ならびに式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。
【0129】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法は、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を作製すること、および式(IX)で表される化合物を混合物から分離することを含む。
【0130】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物(式中R'は、メチルである)を作製するための方法は、式(II)で表される化合物を作製するための方法の産物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物(式中R'は、メチルである)を作製するための方法は、式(II)で表される化合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに式(II)で表される化合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。
【0131】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を作製すること;式(II)で表される化合物を混合物から分離すること;ならびに式(II)で表される化合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。
【0132】
式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法
さらなる側面において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、
【化49】
式(X) 式(II)
【化50】
式(XII) 式(I)
ここで方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化を含む。
【0133】
さらなる側面において、式(X)で表される化合物を作製するための方法が提供され、
【化51】
式(X) 式(II)
ここで方法は、式(II)で表される化合物の銅触媒アルキル化を含む。
【0134】
いくつかの例において、二重結合(すなわち、式(III)で表される化合物のC6とC7との間の二重結合)の立体化学は、プロセスの最中、変化しないままである。
【0135】
いくつかの例において、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、グリニャール試薬と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(II)で表される化合物の銅触媒アルキル化は、式(II)で表される化合物をグリニャール試薬と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、グリニャール試薬は、アリル基を含んでいてもよい。いくつかの例において、グリニャール試薬は、アリルマグネシウムハロゲン化物であってもよい。いくつかの例において、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、式(II)で表される化合物の銅触媒アルキル化は、式(II)で表される化合物をアリルマグネシウムハロゲン化物と接触させることを含んでもよい。
【0136】
いくつかの例において、アリルマグネシウムハロゲン化物は、アリルマグネシウムクロリドおよびアリルマグネシウムブロミドから選択される。いくつかの例において、アリルマグネシウムハロゲン化物は、アリルマグネシウムクロリドである。
【0137】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、グリニャール試薬および銅触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物および銅触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物を、グリニャール試薬および銅触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物および銅触媒と接触させることを含む。いくつかの例において、銅触媒は、CuI、CuBr、CuCl、またはLi2CuCl4から選択される。いくつかの例において、銅触媒は、ルイス塩基の、CuI、CuBr、またはCuClの1以上との組み合わせである。いくつかの例において、銅触媒は、CuBr・SMe2である。
【0138】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物および/またはE,E-式(XII)とE,Z-式(XII)との混合物を産生する。いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物および/またはE,E-式(XII)とE,Z-式(XII)との混合物を産生し、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物を産生する。いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物を産生し、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。
【化52】
E,E-およびE,Z-式(X) E,E-およびE,Z-式(XII)
【0139】
いくつかの例において、E,Z-式(X)とE,E-式(X)との混合物は、10:1~1:10混合物、例えば、9:1~1:1混合物、8:1~2:1混合物、7:1~4:1混合物、6:1~5:1混合物である。いくつかの例において、E,Z-式(X)とE,E-式(X)との混合物は、6:1混合物である。いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法によって産生される主異性体は、E,Z-式(X)である。
【0140】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物を産生し、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。いくつかの例において、式(XII)で表される化合物を作製するための方法は、E,E-式(XII)とE,Z-式(XII)との混合物を産生し、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物と式(XII)で表される化合物との混合物を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物およびE,E-式(XII)とE,Z-式(XII)との混合物を産生し、式(X)で表される化合物を式(XII)で表される化合物から分離することおよび/またはE,E-異性体とE,Z-異性体とを分離することをさらに含む。
【0141】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、例えば、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物を、グリニャール試薬と接触させることによる、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物の銅触媒アルキル化を含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化を実施することを含む(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化53】
【0142】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、例えば、式(II)で表される化合物を作製するための方法の産物を、アリルマグネシウムハロゲン化物などのグリニャール試薬と接触させることによる、式(II)で表される化合物を作製するための方法の産物の銅触媒アルキル化を含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(II)で表される化合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物などのグリニャール試薬と接触させることによって、式(II)で表される化合物の銅触媒アルキル化を実施することを含む。
【0143】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物を作製するための方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を作製すること;式(II)で表される化合物を混合物から分離すること;ならびに、例えば、式(II)で表される化合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物などのグリニャール試薬と接触させることによって、式(II)で表される化合物の銅触媒アルキル化を実施することを含む。
【0144】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物と、冷却下、例えば、室温またはこれを下回る温度にて接触させることを含む。いくつかの例において、冷却は、-30℃またはこれを上回る、例えば、-25℃またはこれを上回る、-20℃またはこれを上回る、-15℃またはこれを上回る、-10℃またはこれを上回る、-5℃またはこれを上回る、0℃またはこれを上回る、5℃またはこれを上回る、10℃またはこれを上回る、15℃またはこれを上回る、20℃またはこれを上回る温度までである。いくつかの例において、冷却は、-30℃から20℃まで、例えば、-30℃~0℃、-30℃~-10℃、-25℃~-20℃の温度までである。いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物と、少なくとも30min、例えば、少なくとも1h、少なくとも2h、少なくとも3h、少なくとも4h、少なくとも5h、少なくとも6h、少なくとも7h、少なくとも8h、少なくとも9h、少なくとも10hの間接触させることを含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物と、最大10hまで、例えば、最大9hまで、最大8hまで、最大7hまで、最大6hまで、最大5hまで、最大4hまで、最大3hまで、最大2hまで、最大1hまで、最大30minまでの間接触させることを含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アリルマグネシウムハロゲン化物と、約0.5hから約10hまで、例えば、1h~9h、2h~8h、3h~7h、4h~6h、5h~19hの間接触させることを含む。
【0145】
式(IX)で表される化合物および/または式(VIII)で表される化合物を、式(X)で表される化合物および/または式(XII)で表される化合物から作製するための方法
別の側面において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法が提供され、式中R'は、メチルであり、方法は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物のパラジウム触媒ワッカー酸化は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)およびガス状酸素と接触させることを含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物(式中R'は、メチルである)を作製するための方法は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)およびガス状酸素と接触させることを含む。
【0146】
いくつかの例において、二重結合のE/Z-比率は、プロセスの最中、変化しないままである。いくつかの例において、試薬は立体異性体の混合物を含み、異性体の比率は反応の最中、変化しないままである。いくつかの例において、試薬は、単一の立体異性体を含む。
【0147】
別の側面において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法が提供され、式中R'は、メチルであり、方法は、式(X)で表される化合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を含む。いくつかの例において、式(X)で表される化合物のパラジウム触媒ワッカー酸化は、式(X)で表される化合物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)およびガス状酸素と接触させることを含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(X)で表される化合物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)およびガス状酸素と接触させることを含む。
【0148】
いくつかの例において、パラジウム触媒は、塩化パラジウム、Pd(OAc)2、Pd(TFA)2、Pd(PhCN)Cl2、Pd(MeCN)Cl2、または担持Pd(P/C、Pd/ZrO2)から選択される。
【0149】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)、ガス状酸素、および銅触媒(例として、塩化銅)と接触させることを含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(X)で表される化合物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)、ガス状酸素、および銅触媒(例として、塩化銅)と接触させることを含む。いくつかの例において、銅触媒は、CuCl、CuCl2、およびCu(OAc)2から選択されてもよい。
【0150】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、例えば、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)およびガス状酸素と接触させることによって、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法の産物のパラジウム触媒ワッカー酸化を実施することを含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を、パラジウム触媒(例として、塩化パラジウム)およびガス状酸素と接触させることによって、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を実施することを含む(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化54】
【0151】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、例えば、式(X)で表される化合物を作製するための方法の産物を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることによって、式(X)で表される化合物を作製するための方法の産物のパラジウム触媒ワッカー酸化を実施することを含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(X)で表される化合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(X)で表される化合物を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることによって、式(X)で表される化合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を実施することを含む。
【0152】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(II)で表される化合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;式(X)で表される化合物を式(II)で表される化合物から本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(X)で表される化合物を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることによって、式(X)で表される化合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を実施することを含む。
【0153】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;例えば本明細書に記載の方法によって、式(II)で表される化合物を混合物から分離すること;式(X)で表される化合物を式(II)で表される化合物から本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびに、例えば、式(X)で表される化合物を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることによって、式(X)で表される化合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を実施することを含む(例えば、下の概略図にまとめられているとおりである)。
【化55】
【0154】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(IX)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(VIII)で表される化合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、式(IX)で表される化合物と式(VIII)で表される化合物との混合物を作製するための方法を含む。
【0155】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、E,E-式(IX)とE,Z-式(IX)との混合物および/またはE,E-式(VIII)とE,Z-式(VIII)との混合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む。いくつかの例において、方法によって産生される異性体の混合物の比率は、方法に使用される試薬の異性体の混合物の比率に対応する。
【0156】
いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、E,E-およびE,Z-式(IX)の混合物を作製するための方法を含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、E,E-式(IX)を作製するための方法を含む。いくつかの例において、E,E-式(IX)を作製するための方法は、E,E-式(IX)とE,Z-式(IX)との混合物を作製すること、およびE,E-式(IX)を混合物から分離することを含む。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)は、E,Z-式(IX)を作製するための方法を含む。いくつかの例において、E,Z-式(IX)を作製するための方法は、E,E-式(IX)とE,Z-式(IX)との混合物を作製すること、およびE,Z-式(IX)を混合物から分離することを含む。
【0157】
いくつかの例において、E,E-式(IX)を作製するための方法は、E,E-式(X)を作製するための方法の産物を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることを含む。いくつかの例において、E,E-式(IX)を作製するための方法は、E,E-式(X)を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびにE,E-式(X)を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることを含む。いくつかの例において、E,E-式(IX)を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;E,E-式(X)を混合物から分離すること;ならびにE,E-式(X)を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることを含む。
【0158】
いくつかの例において、E,Z-式(IX)を作製するための方法は、E,Z-式(X)を作製するための方法の産物を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることを含む。いくつかの例において、E,Z-式(IX)を作製するための方法は、E,Z-式(X)を本明細書に記載の方法によって作製すること;ならびにE,Z-式(X)を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることを含む。いくつかの例において、E,Z-式(IX)を作製するための方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物を本明細書に記載の方法によって作製すること;E,Z-式(X)を混合物から分離すること;ならびにE,Z-式(X)を、塩化パラジウムおよびガス状酸素と接触させることを含む。
【0159】
以下の付番段落は、追加の本開示の側面を定義する:
1.式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化56】
式(VIII) 式(IX)
ここで方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物の加水分解および脱炭酸を含み、
【化57】
式(V) 式(VI)
式中R'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択され、ならびに式中Rは、水素またはC1~C6アルキル基からなる群から選択される。
【0160】
2.式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物の加水分解および脱炭酸は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、酸、塩基と任意に水の存在下で、または求核試薬と接触させることを含む、段落1の方法。
3.式中R'は、メチルである、段落1または2のいずれかの方法。
4.方法は、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を、塩基、例えば、NaOHまたはKOHと接触させることを含む、段落1~3のいずれかの方法。
【0161】
5.式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)であって、
【化58】
式(VIII) 式(IX)
ここで方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、アセトンおよびパラジウム触媒と接触させることを含む。
【化59】
式(I) 式(II)
【0162】
6.パラジウム触媒は、Pd(0)触媒、たとえば、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、または溶媒和Pd2(dba)3(Pd2(dba)3・dbaもしくはPd2(dba)3・CHCl3など);Pd(II)触媒、たとえば、Pd(OAc)2、Pd(acac)2、Pd(MeCN)2Cl2、Pd(COD)Cl2、[(C3H5)PdCl]2、またはPdCl2;あるいは担持不均一Pd触媒、たとえばPd/Cから選択される、段落5の方法。
【0163】
7.式(IX)で表される化合物、式(VIII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法(式中R'は、メチルである)であって、
【化60】
式(X) 式(IX)
【化61】
式(XII) 式(VIII)
方法は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物のパラジウム触媒ワッカー酸化を含む。
【0164】
8.方法は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を、パラジウム触媒(塩化パラジウム(II)など)およびガス状酸素と接触させることを含む、段落7の方法。
9.式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を、パラジウム触媒(塩化パラジウム(II)など)およびガス状酸素と接触させることは、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を、塩化パラジウム、ガス状酸素、および銅触媒(塩化銅など)と接触させることを含む、段落7または8のいずれかの方法。
【0165】
10.式(X)で表される化合物は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物であって、方法は、E,E-およびE,Z-式(IX)を分離することをさらに含む;および/または式(XII)で表される化合物は、E,E-式(XII)とE,Z-式(XII)との混合物であって、方法は、E,E-およびE,Z-式(VIII)を分離することをさらに含む、段落7~9のいずれかの方法。
【0166】
11.式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化62】
式(V) 式(VI)
ここで方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を、式(VII)で表される化合物およびパラジウム触媒と接触させることを含み、式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される。
【化63】
式(I) 式(II)
【化64】
式(VII)
【0167】
12.方法は、E,E-式(V)とE,Z-式(V)との混合物および/またはE,E-式(VI)とE,Z-式(VI)との混合物を産生する、段落11の方法。
【化65】
E,E-およびE,Z-式(V) E,E-およびE,Z-式(VI)
【0168】
13.式中R'は、メチルである、段落11または12のいずれかの方法。
14.パラジウム触媒は、Pd(0)触媒、たとえば、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、または溶媒和Pd2(dba)3(Pd2(dba)3・dbaまたはPd2(dba)3・CHCl3など);Pd(II)触媒、たとえば、Pd(OAc)2、Pd(acac)2、Pd(MeCN)2Cl2、Pd(COD)Cl2、[(C3H5)PdCl]2、またはPdCl2;あるいは担持不均一Pd触媒、たとえばPd/Cから選択される、段落11~13のいずれかの方法。
【0169】
15.方法は、式(V)および(VI)で表される化合物の混合物を産生し、式(V)および(VI)で表される化合物を分離することをさらに含む、段落11~14のいずれかの方法。
16.方法は、例えばフラッシュクロマトグラフィーによって、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む、段落11~15のいずれかの方法。
【0170】
17.式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物は、段落11~16のいずれかの方法によって産生される、段落1~4のいずれかの方法。
18.式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化66】
式(X) 式(II)
【化67】
式(XII) 式(I)
ここで方法は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化を含む。
【0171】
19.式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物の銅触媒アルキル化は、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を、銅触媒およびグリニャール試薬と接触させることを含む、請求項18の方法。
20.グリニャール試薬は、アリルマグネシウムハロゲン化物である、段落19の方法。
21.アリルマグネシウムハロゲン化物は、アリルマグネシウムクロリドである、段落20の方法。
【0172】
22.銅触媒は、CuBr・SMe2である、段落19~21のいずれかの方法。
23.方法は、E,E-式(X)とE,Z-式(X)との混合物および/またはE,E-式(XII)とE,Z-式(XII)との混合物を産生し、方法は、E,E-およびE,Z-異性体を分離することをさらに含む、段落18~22のいずれかの方法。
【化68】
E,E-およびE,Z-式(X) E,E-およびE,Z-式(XII)
【0173】
24.式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物は、段落18~23のいずれかの方法によって産生される、段落7~9のいずれかの方法。
25.式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物は、段落17~21のいずれかの方法によって産生される、段落10の方法。
【0174】
26.式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、
【化69】
式(I) 式(II)
ここで方法は、式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることを含み、ここでサレン配位子は、式(IV)を有し、およびここでポルフィリン配位子は、式(XI)を有し、
【化70】
式(III) 式(IV)
【化71】
式(XI)
式中
各環Aは、独立して、フェニルまたはナフチルから選択される;
各R1は、独立して、水素、アルキル基、アリール基であるか、あるいは両方のR1は、R1が付着した炭素原子と一緒に、シクロアルキレン基、アリーレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のシクロアルキレン基、単結合もしくはアルキル基によって接続された2以上のアリーレン基、または単結合もしくはアルキル基によって接続されたシクロアルキレン基とアリーレン基とを形成している;
各R2は、独立して、水素またはアルキル基である;
R3は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;
R4は、独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルカリル基、アルキルシリルエーテル基、またはハロゲン化物である;
R9は、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル、またはアミノ基から選択される;
各nは、0~4から選択される;
mは、0~4から選択される;
各R6は、独立して、水素、任意に置換されていてもよいアルキル基、任意に置換されていてもよいアルキリデン基、任意に置換されていてもよいアリール基、または任意に置換されていてもよいヘテロ芳香族基から選択される;および
各R7は、独立して、水素、アルキル基、エステル含有アルキル基、またはカルボン酸含有アルキル基から選択される。
【0175】
27.サレン配位子を含む金属触媒は、式(IVa)、式(IVb)、式(IVc)、および式(IVd)で表される化合物から選択される触媒である、段落26の方法。
【化72】
式(IVa) 式(IVb)
【化73】
式(IVc) 式(IVd)
【0176】
28.式(III)で表される化合物は、(6E)-β-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6E,10-ドデカトリエン)である、段落26または27のいずれかの方法。
29.式(III)で表される化合物を、サレン配位子またはポルフィリン配位子(例えば、サレン配位子)との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子もしくはポルフィリン配位子(例えば、サレン配位子)との金属錯体を含む触媒、酸化剤、および/または共触媒と接触させることを含む、段落26~28のいずれかの方法。
【0177】
30.式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒と接触させることは、式(III)で表される化合物を、サレン配位子との金属錯体を含む触媒、ならびにa)水性のNaOCl、Me3NO、およびPhMe;またはb)水性のH2O2、NH4BF4、Na3PO4、およびMeOH;またはc)水性のNaOClとトルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、酢酸エチル、もしくは(トリフルオロメチル)ベンゼンと接触させることを含む、段落26~29のいずれかの方法。
31.方法は、式(I)および(II)で表される化合物の混合物を産生し、式(I)および(II)で表される化合物を、例えば蒸留によって分離することをさらに含む、段落26~30のいずれかの方法。
【0178】
32.式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の分離の方法であって、
【化74】
式(I) 式(II)
ここで方法は、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物の蒸留を含む。
【0179】
33.蒸留は、真空蒸留である、段落32の方法。
34.真空蒸留は、0.1mbarから0.01mbarまでの減圧でのものである、段落33の方法。
【0180】
35.式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物は、段落26~30のいずれかの方法によって産生される、段落32~34のいずれかの方法。
36.式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物は、段落26~35のいずれかの方法によって産生される、段落5、6または11~25のいずれかの方法。
【0181】
37.式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物であって、式中Rは、水素およびC1~C6アルキル基からなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキル基およびOR基からなる群から選択される。
38.段落11~17もしくは36のいずれの方法によって得られるかまたは得ることができる、段落36の式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物。
【0182】
39.式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物。
40.段落18~23または36のいずれかの方法によって得られるかまたは得ることができる、段落39の化合物。
41.段落1~6、17または36のいずれかの方法によって得られるかまたは得ることができる、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物。
42.段落7~10、24、25または36のいずれかの方法によって得られるかまたは得ることができる、式(IX)で表される化合物。
【0183】
43.段落26~35のいずれかの方法によって得られるか、または得ることができる、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、またはそれらの混合物。
44.段落37~43のいずれかの化合物を含む、組成物。
45.フレグランス組成物を作製するための方法における、段落44の組成物の使用。
46.段落1~36のいずれかに従う方法を含む、フレグランス組成物を作製するための方法。
【0184】
47.段落11~16のいずれかに従い、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、ここで方法は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、および式(III)で表される化合物を含む組成物を接触させることを含む。
48.段落1~4のいずれかに従い、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、ここで方法は、式(III)で表される化合物をさらに含む組成物を接触させることを含む。
【0185】
49.段落5~10のいずれかに従い、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物を作製するための方法であって、ここで方法は、式(III)で表される化合物をさらに含む組成物を接触させることを含む。
50.式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物は、段落47の方法によって産生される、段落48の方法。
51.方法は、ワンポット手順である、段落50に従う方法。
【0186】
52.式(III)で表される化合物は、式(III)で表される化合物およびさらなるその異性体、例えばα-ファルネセン(3,7,11-トリメチルドデカ-1,3,6,10-テトラエン)を含む混合物によって置き換えられる、段落26、29、30、47、48および49のいずれかに従う方法。
53.さらなる異性体は、式(III)で表される化合物に対して異性化されている、段落52に従う方法。
【0187】
化合物、組成物、および使用
別の側面において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物が提供され、
【化75】
式(V) 式(VI)
式中Rは、水素およびC1~C6アルキルからなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキルおよびOR基からなる群から選択される。
【0188】
式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物は、本明細書に記載のいずれの式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物であってもよい。式(V)で表される化合物は、本明細書に記載の式(V)で表されるいずれの化合物であってもよい。式(VI)で表される化合物は、本明細書に記載の式(VI)で表されるいずれの化合物であってもよい。式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物は、本明細書に記載の式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物とのいずれの混合物であってもよい。
【0189】
別の側面において、本明細書に記載の方法によって、例えば第4の側面の方法によって得られるかもしくは得ることができる、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物が提供される。式(V)で表される化合物は、本明細書に記載のいずれかの方法によって、例えば第4の側面の方法によって得られるかまたは得ることができる、式(V)で表されるいずれの化合物であってもよい。式(VI)で表される化合物は、本明細書に記載のいずれかの方法によって、例えば第4の側面の方法によって得られるかまたは得ることができる、式(VI)で表されるいずれの化合物であってもよい。式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物は、本明細書に記載のいずれかの方法によって、例えば第4の側面の方法によって得られるかまたは得ることができる、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物とのいずれの混合物であってもよい。
【0190】
別の側面において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、またはそれらの混合物を含む組成物が提供され、式中Rは、水素およびC1~C6アルキルからなる群から選択される;ならびにR'は、C1~C6アルキルおよびOR基からなる群から選択される。組成物は、本明細書に記載の式(V)で表されるいずれかの化合物、本明細書に記載の式(VI)で表されるいずれかの化合物、または本明細書に記載のそれらいずれかの混合物を含んでいてもよい。いくつかの例において、R'は、メチルであってもよい。いくつかの例において、Rは、メチルであってもよい。
【0191】
組成物は、式(V)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載のとおりの式(V)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載の方法によって産生されるかもしくは産生され得る式(V)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。
【0192】
組成物は、式(VI)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載のとおりの式(VI)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載の方法によって産生されるかもしくは産生され得る式(VI)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。
【0193】
組成物は、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載のとおりの式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載の方法によって産生されるかもしくは産生され得る式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。
【0194】
別の側面において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物が提供される。
【化76】
式(X) 式(XII)
【0195】
式(X)で表される化合物は、本明細書に記載の式(X)で表されるいずれの化合物であってもよい。式(XII)で表される化合物は、本明細書に記載の式(XII)で表されるいずれの化合物であってもよい。式(X)で表される化合物と式(XII)で表される化合物との混合物は、本明細書に記載の式(X)で表される化合物と式(XII)で表される化合物とのいずれの混合物であってもよい。
【0196】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物は、本明細書に記載のいずれかの方法、例えば第5の側面の方法によって得られるかまたはそれによって得ることができる式(X)で表されるいずれの化合物であってもよい。いくつかの例において、式(XII)で表される化合物は、本明細書に記載のいずれかの方法、例えば第5の側面の方法によって得られるかまたはそれによって得ることができる式(XII)で表されるいずれの化合物であってもよい。いくつかの例において、式(X)で表される化合物と式(XII)で表される化合物との混合物は、本明細書に記載のいずれかの方法、例えば第5の側面の方法によって得られるかまたはそれによって得ることができる、式(X)で表される化合物と式(XII)で表される化合物とのいずれの混合物であってもよい。
【0197】
別の側面において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、またはそれらの混合物を含む組成物が提供される。組成物は、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、もしくはそれらの混合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載の式(X)で表されるいずれの化合物、本明細書に記載の式(XII)で表されるいずれの化合物、もしくは本明細書に記載のそれらいずれの混合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載の方法によって産生されるかもしくは産生することができる式(X)で表される化合物、本明細書に記載の方法によって産生されるかもしくは産生することができる式(XII)で表される化合物、または本明細書に記載の方法によって産生されるかもしくは産生することができるそれらの混合物を含んでいてもよく、あるいはこれからなっていてもよい。別の側面において、式(X)で表される化合物を含む組成物が提供される。組成物は、式(X)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載の式(X)で表されるいずれの化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。組成物は、本明細書に記載の方法によって産生されるかもしくは産生することができる式(X)で表される化合物を含んでいてもよく、またはこれからなっていてもよい。
【0198】
別の側面において、本明細書に記載の方法、例えば第1の側面の方法もしくは第2の側面の方法によって得られるかまたは得ることができる、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、あるいはそれらの混合物が提供される。式(VIII)で表される化合物は、本明細書に記載の方法、例えば第1の側面または第2の側面の方法によって得られるてもよく、または得ることができてもよい。式(IX)で表される化合物は、本明細書に記載の方法、例えば第1の側面、第2の側面、もしくは第3の側面の方法によって得られてもよく、または得ることができてもよい。式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物は、本明細書に記載の方法、例えば第1の側面もしくは第2の側面の方法によって得られてもよくまたは得ることができてもよい。
式(IX)で表される化合物は、第3の側面の方法によって得られてもよくまたは得ることができてもよい。
【0199】
別の側面において、本明細書に記載の方法、例えば第6の側面もしくは第7の側面の方法によって得られるかまたはこれによって得ることができる、式(II)で表される化合物、式(I)で表される化合物、あるいはそれらの混合物が提供される。式(II)で表される化合物は、第6の側面もしくは第7の側面の方法によって得られてもよくまたは得ることができてもよい。式(I)で表される化合物は、第6の側面もしくは第7の側面の方法によって得られてもよくまたは得ることができてもよい。式(II)で表される化合物と式(I)で表される化合物との混合物は、第6の側面の方法によって得られてもよくまたは得ることができてもよい。一側面において、得られる混合物は、未反応の式(III)で表される化合物を含む。
【0200】
別の側面において、フレグランス組成物を作製するための方法における本明細書に記載の組成物の使用もまた提供される。例えば、いずれかの本明細書に記載の化合物を含む組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、本明細書に記載の方法は、フレグランス組成物を作製するための方法を含んでいてもよい。いくつかの例において、本明細書に記載の方法は、フレグランス組成物を作製するための方法の一部を含んでいてもよい。いくつかの例において、本明細書に記載の方法を含むフレグランス組成物を作製するための方法が提供される。いくつかの例において、フレグランス組成物を作製するための方法は、WO特許出願第PCT/EP20217059618号に記載のとおりの方法を含んでいてもよく、ここで例えば、本明細書に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる化合物は、SHC酵素または酵素バリアントと接触させられる。いくつかの例において、フレグランス組成物を作製するための方法は、WO特許出願第PCT/EP20217059618号に記載のとおりの方法を含んでいてもよく、ここで本明細書に記載の方法によって得られるかもしくは得ることができる式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、またはそれらの混合物は、SHC酵素または酵素バリアントと接触させられる。
【0201】
いくつかの例において、式(V)で表される化合物、式(VI)で表される化合物、もしくはそれらの混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(V)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(VI)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物との混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。
【0202】
いくつかの例において、式(X)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、もしくはそれらの混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(X)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(XII)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(X)で表される化合物と式(XII)で表される化合物との混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。
【0203】
いくつかの例において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、もしくはそれらの混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(I)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(II)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、および式(III)で表される化合物の混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。
【0204】
いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物、式(IX)で表される化合物、もしくはそれらの混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(IX)で表される化合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。いくつかの例において、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表される化合物との混合物を含むかまたはこれからなる組成物は、フレグランス組成物を作製するための方法において使用されてもよい。
【0205】
本明細書およびこれに続くクレームを通してずっと、文脈によって別様に要求されていない限り、語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのバリエーションは、規定された整数、またはステップ、または整数もしくはステップの群を包含するが、いずれの他の整数、またはステップ、または整数もしくはステップの群も排除しないことを暗示することが理解されるであろう。用語「含む(comprising)」はまた、「包含する(including)」ならびに「からなる(consisting)」も意味し、例として、Xを「含む(comprising)」組成物は、もっぱらXからなっていてもよく、または追加の何か、例としてX+Yを包含していてもよい。また本明細書および添付のクレームに使用されてるとおり、単数形「a」、「an」、および「the」は、別様に内容が明確に指図していない限り、複数の指示対象を包含することにも留意しなければならない。一例として、「an enzyme」への言及は、「one or more enzymes(1以上の酵素)」への言及である。
【0206】
本開示は、本明細書に記載の具体的な方法論、プロトコル、および試薬が変動してもよいので、これらに限定されないことは理解されるはずである。本明細書に使用される専門用語は、具体的な態様のみを記載することを目的としており、添付のクレームによってのみ限定されるであろう本開示の範囲を限定することは意図していないこともまた理解されるはずである。別様に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、一般的に当業者によって理解されているのと同じ意味を有する。本開示に従うと、当該技術分野の技能の範囲内にある、採用された従来の技法であってもよい。
【0207】
本開示は、その適用において、以下の記載で表されるかまたは図面に説明される構築の詳細および構成要素の配置に限定されない。本開示は、他の態様も可能であって、様々な手法で実践または実行されることが可能である。また、本明細書に使用される言い回しおよび専門用語も、記載することを目的としており、限定として見なされるべきではない。
【0208】
数種の文書は、本明細書の本文を通してずっと引用される。本明細書に引用される文書の各々(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、指示、GenBank受託番号順の提出物等々を包含する)は、上記または下記にかかわらず、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0209】
本明細書に使用されるとき、「アルキル(alkyl)」、またはアルコキシ(alkoxy)における「alk」など同様の表現は、いくつかの例において、約1個から約20個までの炭素原子、または約1個~約10個の炭素原子、もしくは1個~約6個の炭素原子を含有していてもよい、分枝の、非分枝の、または環状の飽和炭化水素を指してもよい。
【0210】
本明細書に使用されるとき、「アルキレン」は、アルカン(これは、いくつかの例において、約1個から約20個までの炭素原子、もしくは約1個~約10個の炭素原子、もしくは1個~約6個の炭素原子を含有していてもよい)の1個の炭素原子から2個の水素原子の除去または同アルカンの異なる炭素原子(複数)から2個の水素原子の除去に由来する二価基を指してもよい。
【0211】
本明細書に使用されるとき、「シクロアルキレン」は、シクロアルカン(これは、いくつかの例において、約1個から約20個までの炭素原子、もしくは約1個~約10個の炭素原子、もしくは1個~約6個の炭素原子を含有していてもよい)の1個の炭素原子から2個の水素原子の除去または同シクロアルカンの異なる炭素原子(複数)から2個の水素原子の除去に由来する環状の二価基を指してもよい。
【0212】
本明細書に使用されるとき、「アリーレン」は、アリール基(これは、いくつかの例において、約1個から約20個までの炭素原子、もしくは約1個~約10個の炭素原子、もしくは1個~約6個の炭素原子を含有していてもよい)の種々の炭素原子から2個の水素原子の除去に由来する環状の二価基を指してもよい。
【0213】
本明細書に使用されるとき、「ヘテロ芳香族」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族炭化水素(これは、約3個から約20個までの炭素原子、または約5個~10個の炭素原子、および1個から~約5個までのヘテロ原子、または2個もしくは3個のヘテロ原子(N、O、および/またはSなど)を含有していてもよい)を指してもよい。
【0214】
本明細書に使用されるとき、交差した二重結合
【化77】
は、不特定の立体配置の二重結合または異なる二重結合立体配置の化合物を含む混合物を指し示すために使用される。
【0215】
本明細書に記載の例は、本開示を説明するものであって、これに限定されることを意図しない。本開示の種々の態様は、本開示に従って記載されている。多くの修飾およびバリエーションは、本開示の精神および範囲から逸脱せずに本明細書に記載され説明されている技法に対してなされてもよい。結果的に、例は、説明のためだけのものであって、本開示の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
【0216】

以下は、本明細書に記載の方法および他の側面の例を説明するものである。よって、これらの例は、本開示の限定として考えるべきではなく、本開示の例の作製のし方を適所においてただ単に教示するものである。
【0217】
例1: (E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))および(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))
CH2Cl2(120ml)中の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、27.5g、0.135mol)およびジェイコブセンの触媒((S,S)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノ-マンガン(III)塩化物、式(IVa)[135620-04-1];3.42g、5.4mmol、0.04eq.)の溶液を0℃まで冷却し、10%NaOCl(159g、0.214mol、1.6eq.)の冷水性溶液(4℃)の液滴で処置した。その結果得られた混合物を室温(r.t.)に到達させてN2下r.t.にて24h撹拌し、Et2O(2 x 100ml)で抽出した。合わせた有機相を水(2 x 50mL)およびブライン(50ml)で洗浄しNa2SO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後33.4gの(E)-ベータファルネセンと(E)-ベータファルネセンエポキシド(GC-純度: 8%(E)-ベータファルネセン、30%(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン、28%(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン)との粗混合物へ至った。粗混合物を中性Al2O3(不活化、5%水)上クロマトグラフィーによって精製し、95:5ヘプタン/AcOEtでの溶離によって18.2gの(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))(GC-純度:74%)の64:36混合物へ至った。
【0218】
例2: (E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))の単離
CH2Cl2(50ml)中の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)10.22g、0.05mol)およびジェイコブセンの触媒((S,S)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノ-マンガン(III)塩化物、式(IVa)、[135620-04-1];1.27g、2.0mmol、0.04eq.)の溶液を0℃まで冷却し、10%NaOCl(45g、0.076mol、1.5eq.)の冷水性溶液(4℃)の液滴で処置した。その結果得られた混合物をr.t.に到達させ、N2下r.t.にて24h撹拌してEt2O(2 x 50ml)で抽出した。合わせた有機相を水(2 x 50mL)およびブライン(50ml)で洗浄しNa2SO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後13.40gの(E)-ベータファルネセンと(E)-ベータファルネセンエポキシドとの粗混合物へ至った。粗混合物を、SiO2上クロマトグラフィーによって精製した;90:10ヘプタン/AcOEt(1%Et3N)での溶離によって、カラム上での分解による(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))の喪失へ、および(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))(2.2g、20%収率)の単離へ至った。
【0219】
例3: 蒸留によって分離されたエポキシド混合物
CH2Cl2(500ml)中の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、120g、0.587mol)およびジェイコブセンの触媒((S,S)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノ-マンガン(III)塩化物、式(IVa)、[135620-04-1];14.9g、23.5mmol、0.04eq.)の溶液を0℃まで冷却し、10%NaOCl(525ml、0.881mol、1.5eq.)の冷水性溶液(4℃)の液滴で処置した。その結果得られた混合物をr.t.に到達させ(rtにて15min.後35℃まで発熱)、N2下r.t.にて24h撹拌してペンタン(3 x 50ml)で抽出した。合わせた有機相を水(2 x 50ml)およびブライン(50ml)で洗浄しNa2SO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後109.2gの(E)-ベータファルネセンと(E)-ベータファルネセンエポキシドとの粗混合物へ至った。粗混合物の薄膜蒸留によって75gの(E)-ベータファルネセンと(E)-ベータファルネセンエポキシドとの混合物へ至り、ズルツァー(Sulzer)カラムを使用してそれを蒸留することで、(E)-ベータファルネセン(8g;bp 72℃、0.06mbar)、(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II)、18.1g、bp 78℃、0.03mbar)、(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I)、1g、bp 83℃、0.03mbar)、および(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(8.6g、およそ45:55、E-式(II)/E-式(I))の混合物へ至った。
【0220】
例4: 蒸留分離のスケールアップ
ジェイコブセンのエポキシ化(触媒、cis/trans-1,2-ジアミノシクロヘキサンから調製される式(IVc)、[694-83-7])によって(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、457g、2.2mol)から得られた暗褐色液体(452g)を薄膜蒸留することで(130℃、0.05mbar)、残渣(これは捨てた)および薄黄色液体(353g)が与えられたが、これを50 x 2.5cmズルツァーEX充填カラム(3%トコフェロールを安定剤として加えた)上で精留した。最初に、未反応の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III))を収集し(72℃、0.03mbar)、次いでより低い沸点の(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))をその純粋な状態で単離し得た。蒸留によって、等量(equal parts)のより低い沸点の純粋なエポキシド、混合画分、およびより高い沸点の純粋な(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))がもたらされた。混合画分を再蒸留することで純粋な材料が得られた。
【0221】
例5: (E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))および(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))
Ebrahimian,G.R.; Mollat du Jourdin,X.; Fuchs,P.L. Org.Lett.,2012,14,2630-2633(Jacobsen Protocols for Large-Scale Epoxidation of Cyclic Dienyl Sulfones: Application to the (+)-Pretazettine Core)に従い、添加剤としてNH4BF4/Na3PO4を、酸化剤としてのH2O2(NaOClの代わり)の存在下で使用する。
【0222】
(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、10g、48.9mmol)とMeOH(50ml)との混合物を0℃まで冷却し、Na3PO4(3.34g、96%純粋、19.57mmol、0.4eq.)、NH4BF4(6.35g、97%純粋、58.7mmol、1.2eq.)、ジェイコブセンの触媒((R,R)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノ-マンガン(III)塩化物、式(IVb)、[138124-32-0];0.093g、0.147mmol、0.003eq.)で処置し、その結果得られた混合物を水性溶液30%H2O2(5ml、48.9mmol、1.0eq.)の液滴でゆっくり処置して5℃にて1h撹拌し、r.t.に到達させr.t.にて24h撹拌し、AcOEtで希釈してaq.Na2S2O4でクエンチし、AcOEtで3回抽出した。合わせた有機相をaq.sat.NaClで洗浄しMgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後10.3gの(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III))および(E)-ベータファルネセンエポキシド(1H-NMR: 65:20:14(E)-ベータファルネセン/(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I)))の粗混合物へ至った。
【0223】
例6a: (E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))および(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))
AcOEt中、添加剤としてMe3NO・2H2Oを、酸化剤としてのNaOClの存在下で、および0.04eq.ジェイコブセンの触媒を使用する。
AcOEt(25ml)中の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、5g、24.5mmol)、ジェイコブセンの触媒((R,R)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノマンガン(III)塩化物、式(IVb)、[138124-32-0]、0.622g、0.979mmol、0.04eq.)、およびMe3NO・2H2O(0.549g、4.9mmol、0.2eq.)の混合物を5℃まで冷却し、15%NaOCl(18.2g、36.7mmol、1.5eq.)の冷水性溶液(6℃)の液滴で処置した。1h後、その結果得られた混合物をr.t.に到達させr.t.にて19h撹拌し、aq.相をAcOEt(2 x 25ml)で抽出した。合わせた有機相を水(2 x 50mL)およびブライン(50ml)で洗浄してMgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後5.6gの(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III))および(E)-ベータファルネセンエポキシド(GC-純度: 33%(E)-ベータファルネセン、23%(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))、23%(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I)))の粗混合物へ至った。
【0224】
例6b: (E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))および(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))
PhMe中、添加剤としてMe3NO・2H2Oを、酸化剤としてのNaOClの存在下で、および0.004eq.ジェイコブセンの触媒を使用する。
PhMe(15ml)中の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、3g、14.7mmol)、ジェイコブセンの触媒((R,R)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノマンガン(III)塩化物、式(IVb)、[138124-32-0];0.037g、0.059mmol、0.004eq.)、およびMe3NO・2H2O(0.33g、2.9mmol、0.2eq.)の混合物を5℃まで冷却し、15%NaOCl(10.9g、22.0mmol、1.5eq.)の冷水性溶液(5℃)の液滴で処置した。1h後、その結果得られた混合物をr.t.に到達させr.t.にて28h撹拌し、AcOEtで希釈して水中へ注ぎAcOEt(3 x 25ml)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄しMgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後3gの(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III))および(E)-ベータファルネセンエポキシド(GC-純度: 46%(E)-ベータファルネセン、26%(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))、20%(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I)); 1H-NMR: 43:34:23(E)-ベータファルネセン/(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン)の粗混合物へ至った。
【0225】
例6c: (E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))および(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))
PhMe中のMe3NO・2H2Oおよび0.004eq.ジェイコブセンの触媒はなし。
PhMe(15ml)中の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、3g、14.7mmol)、ジェイコブセンの触媒((R,R)-(+)-N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-シクロヘキサンジアミノマンガン(III)塩化物、式(IVb)、[138124-32-0];0.037g、0.059mmol、0.004eq.)の混合物を5℃まで冷却し、15%NaOCl(10.9g、22.0mmol、1.5eq.)の冷水性溶液(5℃)の液滴で処置した。1h後、その結果得られた混合物をr.t.に到達させr.t.にて47h撹拌し、AcOEtで希釈して水中へ注ぎ、AcOEt(3 x 25ml)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄しMgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後2.8gの(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III))および(E)-ベータファルネセンエポキシド(GC-純度: 59%(E)-ベータファルネセン、21%(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))、17%(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I));1H-NMR: 53:28:18(E)-ベータファルネセン/(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン)の粗混合物へ至った。
【0226】
例7a: (E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))の分析データ
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.77(dd,J=17.4,10.8Hz,1 H),5.34(dd,J=17.4,1.2Hz,1 H),5.20(dd,J=10.8,1.2Hz,1 H),5.15-5.05(m,2 H),2.80(d,J=5.3Hz,1 H),2.65(d,J=5.4Hz,1 H),2.14-2.02(m,4 H),2.00-1.94(m,2 H),1.78-1.69(m,2H),1.67(br.s,3 H),1.59(s,6 H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 137.43(d,1 C),135.55(s,1 C),131.21(s,1 C),124.18(d,1 C),123.38(d,1 C),116.29(t,1 C),58.40(s,1 C),54.95(t,1 C),39.58(t,1 C),33.54(t,1 C),26.55(t,1 C),25.60(q,1 C),23.50(t,1 C),17.59(q,1 C),15.89(q,1 C).
GC-MS(EI):220(1,[M]+・),202(1),187(1),177(6),159(3),149(6),137(2),135(6),123(9),107(12),93(13),83(3),81(44),79(18),69(100),67(25),55(21),53(20),41(67),39(16).
【0227】
例7b: (E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))の分析データ
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.16(br.s,1H),5.15-5.06(m,2H),4.97(q,J=1.4,1H),3.35(br.dd,J=2.8,4.0,1H),2.88(dd,J=4.2,5.6,1H),2.65(dd,J=2.7,5.6,1H),2.21-2.12(m,2H),2.12-1.94(m,6H),1.68(br.s,3H),1.61(s,6H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 145.25(s,1 C),135.59(s,1 C),131.29(s,1 C),124.24(d,1 C),123.51(d,1 C),112.26(t,1 C),53.77(d,1 C),47.91(t,1 C),39.63(t,1 C),30.83(t,1 C),26.63(t,1 C),26.57(t,1 C),25.65(q,1 C),17.65(q,1 C),16.00(q,1 C).
GC-MS(EI):220(1,[M]+・),205(1),187(1),159(3),149(4),137(4),135(4),123(6),107(15),91(15),83(3),81(25),79(17),69(100),67(18),55(18),53(16),41(62),39(16).
【0228】
例8: 酢酸エチル中、還流条件にて調製された(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))および(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))
EtOAc(450ml)中の(E)-ベータファルネセン(E-β-式(III)、50g、0.245mol)およびジェイコブセンの触媒N,N'-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1,2-エタンジアミノマンガン(III)塩化物、式(IVd);2.84g、4.89mmol、0.02eq.)、ならびに臭化テトラブチルアンモニウム(0.5g、1.55mmol)の溶液を還流(77℃)まで加熱し、10%NaOCl(182g、0.367mol、1.5eq.)の水性溶液の液滴で3.5時間かけて処置した。添加が完了した後、還流にて1時間撹拌を続けた。その結果得られた混合物を室温(r.t.)に到達させ、次いで層を分離した。暗褐色の有機層を飽和NH4Cl溶液(200ml)で2度洗浄し、次いでエルレンマイヤーフラスコ(1000ml)へ移した。水(160ml)およびH2O2(35%)および臭化テトラブチルアンモニウム(0.5g、1.55mmol)を加えた。反応は発熱性であって、温度は35℃まで上昇しガスの発生が観察された。混合物をrt.にて1.5時間撹拌したら透明な茶色混合物がもたらされた。層を分離し、有機溶液をメタ重亜硫酸ナトリウム溶液(5%、250ml)で1度、水/ブライン(2:1、300ml)で2度、次いでブライン(100ml)で1回以上洗浄した。溶液をMgSO4上で乾燥させ真空濃縮することで、透明な茶色液体(57.8g)が与えられた。粗産物混合物を薄膜蒸留することで(85℃、0.04mbar)、(E)-ベータファルネセンおよび(E)-ベータファルネセンエポキシド(GC-純度: 29%(E)-ベータファルネセン、32%(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))、22%(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン)(E-式(I))を含有する42.3gの無色混合物が与えられた。粗混合物をそのまま、これに続くステップに使用した。
【0229】
例9: メチル(4Z,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,Z-式(VI))およびメチル(4E,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,E-式(VI))
THF(20ml)中のPd(PPh3)4(21.0mg、0.018mmol、0.02eq.)の溶液をr.t.にて(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II)、200mg、0.91mmol)で処置して5min撹拌し、その結果得られた溶液をアセト酢酸メチル(式(VII)、R=Me、R'=Me;158mg、1.36mmol、1.5eq.)で処置して50℃にて2h加熱した。その結果得られた混合物をr.t.まで冷却し、aq.飽和NaCl溶液で処置した。有機相を分離し、aq.飽和NaCl溶液(2 x 20ml)で洗浄してNa2SO4上で乾燥させた。減圧下での溶媒蒸発後、粗混合物(300mg)を単離しこれをSiO2上フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/Et2O 1:1)によって精製することで、メチル(4Z,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,Z-式(VI)、R=Me、R'=Me、170mg、55%収率)およびメチル(4E,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,E-式(VI)、R=Me、R'=Me、30mg、9%収率)が生産された。
【0230】
メチル(4Z,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ ppm 5.13(t,J=7.7,1H),5.08-5.03(m,2H),4.13(d,J=11.9,1H),4.07(d,J=12.2,1H),3.70(s,3H),3.52(t,J=7.3,1H),2.66-2-54(m,2H),2.40-2.20(br.s,OH),2.21(s,3H,MeCO),2.14-1.97(m,6H),1.96-1.90(m,2H),1.65(br.s,3H),1.57(s,3H),1.56(s,3H).
13C NMR(125MHz,CDCl3)δ ppm 202.90(s,1 C,C=O),170.09(s,1 C,CO2),142.06(s,1 C),135.47(s,1 C),131.33(s,1 C),124.29(d,1 C),123.74(d,1 C),123.25(d,1 C),60.02(t,1 C,CH2OH),59.39(d,1 C),52.56(q,1 C,OMe),39.71(t,1 C),35.54(t,1 C),29.47(q,1 C,MeCO),26.73(t,2 C),26.48(t,1 C),25.70(q,1 C),17.68(q,1 C),16.07(q,1 C).
GC-MS(EI): 336(1),175(4),167(5),159(8),139(19),133(17),121(12),107(15),93(14),81(31),79(21),69(100),67(17),59(5),55(16),43(62),41(56),31(2).
【0231】
メチル(4E,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート:
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.31(t,J=7.3,1H),5.15-5.03(m,2H),4.01(s,2H),3.73(s,3H),3.48(t,J=7.5,1H),2.65-2-57(m,2H),2.23(s,3H,MeCO),2.16-2.01(m,6H),2.01-1.94(m,2H),1.92-1.85(br.s,OH),1.67(br.s,3H),1.59(s,6H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 202.57(s,1 C,C=O),169.81(s,1 C,CO2),141.98(s,1 C),135.83(s,1 C),131.35(s,1 C),124.17(d,1 C),123.48(d,1 C),121.23(d,1 C),66.50(t,1 C,CH2OH),59.39(d,1 C),52.41(q,1 C,OMe),39.63(t,1 C),29.13(q,1 C,MeCO),28.08(t,1 C),26.67(t,1 C),26.60(t,1 C),26.14(t,1 C),25.62(q,1 C),17.62(q,1 C),15.96(q,1 C).
GC-MS(EI): 336(1),318(1),303(1),175(4),167(4),159(6),139(12),133(16),121(10),107(12),95(13),93(13),81(32),79(19),69(100),67(17),59(5),55(14),43(56),41(53),31(2).
【0232】
例10: メチル(4Z,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,Z-式(VI)、R=Me、R'=Me)、メチル(4E,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,E-式(VI)、R=Me、R'=Me)、メチル(4Z,7E)-2-アセチル-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-8,12-ジメチルトリデカ-7,11-ジエノアート(E,Z-式(V)、R=Me、R'=Me)およびメチル(4E,7E)-2-アセチル-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-8,12-ジメチルトリデカ-7,11-ジエノアート(E,E-式(V)、R=Me、R'=Me)
THF(250ml)中のPd(PPh3)4(1.05g、0.908mmol、0.1eq.)の溶液をr.t.にて(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))(2g、9.08mmol)の1:1混合物で処置して5min撹拌し、その結果得られた溶液をアセト酢酸メチル(式(VII)、R=Me、R'=Me;3.16g、27.2mmol、3eq.)で処置しr.t.にて24h撹拌した。その結果得られた混合物をaq.飽和NaCl溶液で処置し、有機相を分離してNa2SO4上で乾燥させた。減圧下での溶媒蒸発後、粗混合物を単離しこれをSiO2上フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 9:1~1:9)によって精製することで、メチル(4Z,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,Z-式(VI)、R=Me、R'=Me;0.79g、25%収率)およびメチル(4Z,7E)-2-アセチル-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-8,12-ジメチルトリデカ-7,11-ジエノアート(E,Z-式(V)、R=Me、R'=Me;410mg、13%収率)、ならびにメチル(4E,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,E-式(VI)、R=Me、R'=Me)とメチル(4E,7E)-2-アセチル-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-8,12-ジメチルトリデカ-7,11-ジエノアート(E,E-式(V)、R=Me、R'=Me)との混合物が生産された。
【0233】
メチル(4Z,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアートおよびメチル(4E,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチル-テトラデカ-4,8,12-トリエノアートの分析データは、例9に記載する。
【0234】
メチル(4Z,7E)-2-アセチル-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-8,12-ジメチルトリデカ-7,11-ジエノアート:
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ ppm 5.51(t,J=7.2,1H),5.07-5.01(m,2H),4.15-4.02(m,2H),3.69(s,3H),3.66(dd,J=6.7,8.5,1H),2.66(dd,J=8.8,14.0,1H),2.54(dd,J=6.7,14.0,1H),2.40-2.23(br.s,OH),2.20(s,3H,MeCO),2.12-1.88(m,8H),1.63(br.s,3H),1.55(s,6H).
13C NMR(125MHz,CDCl3)δ ppm 202.43(s,1 C,C=O),169.99(s,1 C,CO2),138.20(s,1 C),135.66(s,1 C),131.18(s,1 C),127.02(d,1 C),124.06(d,1 C),123.08(d,1 C),58.33(t,1 C,CH2OH),57.48(d,1 C),52.37(q,1 C,OMe),39.49(t,1 C),35.65(t,1 C),29.26(q,1 C,MeCO),28.29(t,1 C),26.50(t,1 C),26.21(t,1 C),25.51(q,1 C),17.50(q,1 C),15.88(q,1 C).
【0235】
メチル(4E,7E)-2-アセチル-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-8,12-ジメチルトリデカ-7,11-ジエノアート:
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.34(t,J=6.9,1H),5.12-4.99(m,2H),4.05(d,J=6.9,2H),3.68(s,3H),3.64(t,J=7.6,1H),2.60-2.52(m,2H),2.19(s,3H,MeCO),2.25-2.04(br.s,OH),2.12-1.87(m,8H),1.63(br.s,3H),1.55(s,6H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 202.39(s,1 C,C=O),169.73(s,1 C,CO2),138.70(s,1 C),136.05(s,1 C),131.23(s,1 C),126.33(d,1 C),124.00(d,1 C),122.95(d,1 C),58.58(t,1 C,CH2OH),57.94(d,1 C),52.30(q,1 C,OMe),39.49(t,1 C),34.44(t,1 C),30.25(t,1 C),28.85(q,1 C,MeCO),26.63(t,1 C),26.46(t,1 C),25.50(q,1 C),17.50(q,1 C),15.87(q,1 C).
【0236】
例11: (5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン:
メチル(4Z,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,Z-式(VI)、R=Me、R'=Me、1.7g、5.05mmol)と10%水性NaOH溶液(40ml)との混合物を還流にて1h加熱した。その結果得られた混合物をr.t.まで冷却し、aq.飽和NH4Cl溶液の添加によってpH7まで中性化してEt2Oで抽出した。有機相を分離しNa2SO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後ダーク油(dark oil)として2.0gの粗混合物へ至った。クーゲルロール蒸留(175℃、0.018mbar)による精製によって(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,Z-式(IX)、R'=Me、0.855g、60%収率)が油として生産された。
【0237】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.17(t,J=7.6,1H),5.13-5.05(m,2H),4.14(s,2H),3.00-2.55(br.s,OH),2.55(t,J=6.7,2H),2.35(dt,J=6.9,7.1,2H),2.13(s,3H,MeCO),2.17-2.01(m,6H),2.00-1.92(m,2H),1.67(br.s,3H),1.60(br.s,3H),1.59(br.s,3H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 209.02(s,1 C,C=O),139.79(s,1 C),135.30(s,1 C),131.27(s,1 C),126.65(d,1 C),124.26(d,1 C),123.85(d,1 C),60.20(t,1 C),43.19(t,1 C),39.66(t,1 C),35.60(t,1 C),30.15(q,1 C),26.74(t,1 C),26.69(t,1 C),25.66(q,1 C),21.73(t,1 C),17.65(q,1 C),16.01(q,1 C).
GC-MS(EI): 278(1),260(1,[M-H2O]+・),245(1),217(3),202(1),178(5),159(4),141(5),137(4),133(19),123(13),105(11),95(16),93(16),81(34),79(15),69(100),67(19),55(15),43(87),41(62),31(1).
【0238】
例12: (5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン:
メチル(4E,8E)-2-アセチル-5-(ヒドロキシメチル)-9,13-ジメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート(E,E-式(VI)、R=Me、R'=Me、0.811g、2.4mmol)と10%水性NaOH溶液(10ml)との混合物を還流にて1h加熱した。その結果得られた混合物をr.t.まで冷却してEt2Oで抽出し、有機相をNa2SO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後ダーク油として0.602gの粗混合物へ至った。SiO2上フラッシュクロマトグラフィーによる精製によって(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,E-式(IX)、R'=Me、0.455g、67%収率)が油として生産された。
【0239】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.33(t,J=7.2,1H),5.13-5.01(m,2H),3.98(br.s,2H),2.46(t,J=7.3,2H),2.29(dt,J=7.1,7.3,2H),2.22-2.05(br.s,OH),2.10(s,3H,MeCO),2.13-1.98(m,6H),1.97-1.90(m,2H),1.64(br.s,3H),1.56(br.s,6H).
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 208.37(s,1 C),139.91(s,1 C),135.46(s,1 C),131.19(s,1 C),124.42(d,1 C),124.11(d,1 C),123.60(d,1 C),66.54(t,1 C),43.40(t,1 C),39.57(t,1 C),29.75(q,1 C),27.96(t,1 C),26.75(t,1 C),26.51(t,1 C),25.52(q,1 C),21.68(t,1 C),17.51(q,1 C),15.84(q,1 C).
GC-MS(EI): 278(1),260(1,[M-H2O]+・),245(1),217(3),202(2),178(5),159(5),141(6),137(5),133(24),123(12),105(11),95(16),93(17),81(36),69(100),67(18),58(3),55(15),53(13),43(85),41(63),31(1).
【0240】
例13: (5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オンおよび(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン
ステップa)
THF(9ml)中の(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))(1g、4.54mmol)の20:70混合物、アセト酢酸メチル(式(VII)、R=Me、R'=Me;1.17g、9.98mmol、2.2eq.)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトナート)(1.9mg、0.0091mmol、0.002eq.)、トリフェニルホスフィン(9.6mg、0.036mmol、0.008eq.)、および炭酸カリウム(1.28g、9.08mmol、2.0eq.)の混合物を40℃にて24h撹拌した。反応混合物をr.t.まで冷却して水で処置し、EtOAcで3回抽出した。有機相を合せてaq.飽和NaCl溶液で洗浄しNa2SO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物へ(1.9g、黄色油として)至った。
【0241】
ステップb)
先のステップ(1.89g)において得られたMeOH(5.3ml)中の粗産物の溶液を2M aq.KOH(5.6ml、11.3mmol)で処置し、40℃にて6h加熱した。反応混合物をr.t.まで冷却してEtOAcで希釈し、2M aq.HClでクエンチしてaq.相をEtOAcで抽出した。有機相を合せてMgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物(1.24g、茶色油として;1H-NMR:20%の(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,Z-式(IX)、R'=Me)と80%の(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,Z-式(VIII)、R'=Me)および(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,E-式(VIII)、R'=Me)との80:20混合物へ至った。SiO2上フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 1:0~2:8)による精製によって、(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(56%)と(5Z,8E)/(5E,8E)-異性体(44%、2:1)(0.19g、15%収率)との第1の混合物、および(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,Z-式(VIII)、R'=Me)と(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,E-式(VIII)、R'=Me、0.48g、38%収率)との混合物の第2画分が2:1比率で生産された。
【0242】
(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン:
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.45(t,J=7.2,1H),5.10-5.02(m,2H),4.11(d,J=7.1,2H),2.53(t,J=7.4,2H),2.32(t,J=7.4,2H),2.11(s,3H,MeCO),2.10-1.90(m,8H),1.65(br.s,3H),1.57(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 208.47(s,1 C),141.50(s,1 C),135.45(s,1 C),131.19(s,1 C),124.81(d,1 C),124.15(d,1 C),123.42(d,1 C),58.50(t,1 C),41.89(t,1 C),39.56(t,1 C),36.14(t,1 C),29.96(q,1 C),26.57(t,1 C),26.34(t,1 C),25.56(q,1 C),23.96(t,1 C),17.55(q,1 C) 15.92(q,1 C).
【0243】
(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン:
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.35(br.t,J=6.9,1H),5.10-5.02(m,2H),4.10(d,J=6.9,2H),2.57-2.52(m,2H),2.28(t,J=7.1,2H),2.13(s,3H,MeCO),2.10-1.90(m,8H),1.65(br.s,3H),1.57(s,6H)。
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ ppm 208.23(s,1 C),141.48(s,1 C),135.92(s,1 C),131.28(s,1 C),124.27(d,1 C),124.08(d,1 C),123.25(d,1 C),58.77(t,1 C),41.93(t,1 C),39.56(t,1 C),30.64(t,1 C),30.16(t,1 C),29.80(q,1 C),26.81(t,1C),26.52(t,1 C),25.56(q,1 C),17.55(q,1 C),15.89(q,1 C).
【0244】
(5Z,8E)-および(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オンの混合物:
GC-MS(EI): 260(1,[M]+・-H2O),217(2),209(1),202(2),191(4),175(4),159(4),149(5),133(32),121(12),105(16),93(21),91(19),81(32),79(16),69(100),67(16),55(15),43(65),41(59).
【0245】
例14: (5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,Z-式(IX)、R'=Me)、(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,E-式(IX)、R'=Me)、(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,Z-式(VIII)、R'=Me)、および(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,E-式(VIII)、R'=Me)
ステップa):
THF(8ml)中の(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))、(2g、9.08mmol)の64:36混合物、アセト酢酸メチル(式(VII)、R=Me、R'=Me、2.13g、18.15mmol、2.0eq.)、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)二塩化物(1.190mg、0.00454mmol、0.0005eq.)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン[CAS 12150-46-8](5.18mg、0.009mmol、0.001eq.)、および炭酸カリウム(2.56g、18.15mmol、2.0eq.)の混合物を40℃にて24h撹拌した。反応混合物をr.t.まで冷却して水で処置し、EtOAcで3回抽出した。有機相を合せてaq.飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物へ(3.45g、オレンジ色油として)至った。
【0246】
ステップb):
先のステップにおいて得られた粗産物(3.34g)、32%aq.NaOH(4.37ml、34.9mmol)、および水(4.37ml)の混合物を還流にて1h加熱した。反応混合物をr.t.まで冷却し、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)で3回抽出した。合わせた有機相をaq.飽和NH4Cl溶液で、およびaq.飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物(2.16g、オレンジ色油として;1H-NMR: 32:27(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン/(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オンおよび16:24(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン/(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オンへ至った。バルブ-トゥー-バルブ(bulb-to-bulb)(クーゲルロール)蒸留(180℃、0.04-0.01mbar)による精製によって、異性体(1.53g、91%純度、2ステップを終えた57%収率)の蒸留画分が生産された。
【0247】
例15: (5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,Z-式(IX)、R'=Me)、(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,E-式(IX)、R'=Me)、(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,Z-式(VIII)、R'=Me)、および(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,E-式(VIII)、R'=Me)
ステップa):
マグネット撹拌器、還流凝縮器、および温度計を備えた25ml二径フラスコ中、テトラヒドロフラン(4ml)中のベータファルネセン/(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))(1g;32%ベータファルネセン、28%E-式(II)、23%E-式(I);2.36mmolエポキシド)、アセト酢酸メチル((式(VII)、R=Me、R'=Me;0.554g、4.7mmol、2.0eq.)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトナート)(2mg、0.009mmol、0.004eq.)、PPh3(10mg、0.038mmol、0.016eq.)、および炭酸カリウム(0.666g、4.7mmol、2.0eq.)の混合物を40℃にて終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、MTBE(メチルt-ブチルエーテル)で希釈して水中へ注いだ。水性相をMTBEで3回抽出した。有機相を合せてaq.飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥させることで減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物へ(1.27g、黄色油として)至った。
【0248】
ステップb):
マグネット撹拌器、還流凝縮器、および温度計を備えた25ml二径フラスコ中、先のステップにおいて得られた粗産物(1.27g)、32%aq.NaOH(0.98ml、7.85mmol)、および水(0.98ml)の混合物を還流にて1h加熱した。反応混合物を室温まで冷却してMTBEで3回抽出し、合わせた有機相をaq.飽和NH4Cl溶液でおよびaq.飽和NaCl溶液で洗浄しMgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物(1.0g、オレンジ色油として;GC:41%ベータファルネセン、45%産物異性体(E,E-式(IX)、R'=Me)/E,Z-式(IX)、R'=Me/E,Z-式(VIII)、R'=Me/E,E-式(VIII)、R'=Me);13C-NMR: 10:31(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン/(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オンおよび38:13(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン/(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン)へ至ったが、これをクーゲルロール蒸留によって精製し、100℃(0.03mbar)にてベータファルネセン(0.21g、83%純度、62%収率)の蒸留画分、および180℃(0.03mbar)にて異性体((E,E-式(IX)、R'=Me)/E,Z-式(IX)、R'=Me/E,Z-式(VIII)、R'=Me/E,E-式(VIII)、R'=Me;0.25g、88%純度、40%収率)の蒸留画分が生産された。
【0249】
例16: (5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,Z-式(IX)、R'=Me)、(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,E-式(IX)、R'=Me)、(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,Z-式(VIII)、R'=Me)および(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン(E,E-式(VIII)、R'=Me)
マグネット撹拌器、還流凝縮器、および温度計を備えた100ml三径フラスコ中、テトラヒドロフラン(40ml)中のベータファルネセン/(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II))/(E)-2-(6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-2-イル)オキシラン(E-式(I))(10g;29%ベータファルネセン、32%E-式(II)、22%E-式(I);25mmolエポキシド)、アセト酢酸メチル(式(VII)、R=Me、R'=Me;5.87g、50mmol、2.0eq.)、パラジウム(II)ビス(アセチルアセトナート)(10.4mg、0.05mmol、0.002eq.)、PPh3(53mg、0.20mmol、0.008eq.)、および炭酸カリウム(7.05g、50mmol、2.0eq.)の混合物を40℃にて6h撹拌した。反応混合物を次いで水(15ml)で処置して5℃まで冷却し、32%aq.NaOH(12.5ml、100mmol、2eq.)の液滴で処置して還流(66℃)にて1h加熱した。その結果得られた混合物を室温まで冷却し、MTBE(メチルt-ブチルエーテル)および水で希釈した。aq.相をMTBEで3回抽出し、合わせた有機相をaq.飽和NH4Cl溶液でおよびaq.飽和NaCl溶液で洗浄してMgSO4上で乾燥させることで、減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物(11.3g、オレンジ色油として;GC:39%ベータファルネセン、48%産物異性体(E,E-式(IX)、R'=Me)/E,Z-式(IX)、R'=Me/E,Z-式(VIII)、R'=Me/E,E-式(VIII)、R'=Me);13C-NMR: 14:40(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン/(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オンおよび33:14(5Z,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オン/(5E,8E)-5-(2-ヒドロキシエチリデン)-9,13-ジメチルテトラデカ-8,12-ジエン-2-オンへ至ったが、これをクーゲルロール蒸留によって精製し、100℃(0.03mbar)にてベータファルネセン(2.0g、90%純度、63%収率)の蒸留画分および180℃(0.02mbar)にて異性体(E,E-式(IX)、R'=Me)/E,Z-式(IX)、R'=Me/E,Z-式(VIII)、R'=Me/E,E-式(VIII)、R'=Me;5.0g、92%純度、66%収率)の蒸留画分が生産された。
【0250】
例17: (5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン:
アセトン(20ml)中の(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II)、150mg、0.68mmol)の溶液をr.t.にてPd(PPh3)4(31.5mg、0.027mmol、0.04eq.)で処置し、50℃にて24h加熱した。その結果得られた混合物をr.t.まで冷却してaq.飽和NaCl溶液で処置し、有機相を分離しNa2SO4上で乾燥させ、SiO2のパッドに通して濾過することで、減圧下での溶媒蒸発後に粗混合物へ至ったが、これをSiO2上フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 88:12~0:100)によって精製し、(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,Z-式(IX)、R'=Me、9.8mg、5%収率)が油として生産された。
Rf 0.28(ヘプタン/AcOEt 1:1)
【0251】
例18: (2E,5E)-6,10-ジメチル-2-(ペンタ-4-エン-1-イリデン)ウンデカ-5,9-ジエン-1-オール(E,E-式(X))および(2Z,5E)-6,10-ジメチル-2-(ペンタ-4-エン-1-イリデン)ウンデカ-5,9-ジエン-1-オール(E,Z-式(X))
-30℃にてTHF(0.6ml)中の(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2-ビニルオキシラン(E-式(II)、200mg、0.908mmol)の撹拌溶液を臭化銅ジメチルスルフィド錯体(4.85mg、0.024mmol、0.026eq.)で処置し、これに続きTHF中の2Mアリルマグネシウムクロリドの溶液(0.681ml、1.361mmol、1.5eq.)の滴加した(1h)。-30℃にて2h撹拌した後、反応混合物を-20℃まで加温してaq.飽和NH4Clおよびブライン溶液で処置した。有機相を分離して乾燥させ(Na2SO4)、濃縮することで残渣(295mg)へ至ったが、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 95:5~60.40)によって精製することで、(2E,5E)-6,10-ジメチル-2-(ペンタ-4-エン-1-イリデン)ウンデカ-5,9-ジエン-1-オールと(2Z,5E)-6,10-ジメチル-2-(ペンタ-4-エン-1-イリデン)ウンデカ-5,9-ジエン-1-オール(165mg、69%収率、無色油)との85:15混合物が供された。
【0252】
13C NMR(100MHz,CDCl3,主異性体(2E,5E))δ ppm 139.17(s,1 C),138.20(d,1 C),135.38(s,1 C),131.19(s,1 C),126.06(d,1 C),124.20(d,1 C),123.79(d,1 C),114.61(t,1 C),66.90(t,1 C),39.61(t,1 C),33.75(t,1 C),28.07(t,1 C),26.86(t,2 C),26.57(t,1 C),25.57(q,1 C),17.56(q,1 C),15.87(q,1 C).
13C NMR(100MHz,CDCl3,副異性体(2Z,5E))δ ppm 138.65(s,1 C),138.08(d,1 C),135.20(s,1 C),131.15(s,1 C),127.73(d,1 C),124.23(d,1 C),123.90(d,1 C),114.86(t,1 C),59.97(t,1 C),39.61(t,1 C),34.99(t,1 C) 33.95(t,1 C),26.92(t,1 C),26.74(t,1 C),26.63(t,1 C),25.57(q,1 C),17.56(q,1 C),15.95(q,1 C).
【0253】
異性体混合物のデータ:
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 5.88-5.73(m,1H),5.42(br.t,J=6.8,0.85 H),5.30(br.t,J=7.2,0.15 H),5.17-4.93(m,4H),4.10(s,2x0.15 H),4.02(s,2x0.85 H),2.21-1.93(m,12H),1.93-1.80(br.s,1H,OH),1.67(br.s,3H),1.59(s,6H).
GC-MS(EI): 262(1),244(1),229(1),219(1),201(2),173(2),162(4),147(3),137(7),133(7),121(15),107(9),105(9),95(18),93(16),91(16),81(34),79(17),69(100),67(21),59(1),55(19),43(8),41(62),31(2).
【0254】
例19: (5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,E-式(IX)、R'=Me)および(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(E,Z-式(IX)、R'=Me)
6:1 DMF/H2O(7mL)中のCuCl(64.7mg、0.65mmol、1eq.)およびPdCl2(19.3mg、0.109mmol、0.2eq.)の溶液をO2雰囲気下r.t.にて2h撹拌した。例17から得られた(2E,5E)-6,10-ジメチル-2-(ペンタ-4-エン-1-イリデン)ウンデカ-5,9-ジエン-1-オール(E,E-式(X))と(2Z,5E)-6,10-ジメチル-2-(ペンタ-4-エン-1-イリデン)ウンデカ-5,9-ジエン-1-オール(E,Z-式(X))との85:15混合物(165mg、0.63mmol)を加え、その結果得られた溶液を終夜撹拌してエーテルで希釈し、aq.飽和NH4Cl溶液で処置した。有機層を水でおよびブラインで3回洗浄して乾燥させ(Na2SO4)、濃縮することで160mgの粗産物へ至ったが、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt)によって精製することで、(5E,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オンと(5Z,9E)-6-(ヒドロキシメチル)-10,14-ジメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(75mg、43%収率、無色油)との85:15混合物が供された。
【0255】
本発明は特定例を参照して記載されているが、当業者は、様々な修飾、変化、省略、および置換が、本開示の精神から逸脱せずになされ得ることを解するであろう。したがって、本発明は、以下のクレームおよびそれら等価物の範囲によって限定されないことが意図される。別様に述べられない限り、いずれの従属クレームの特色も、他の従属クレームのいずれかおよび独立クレームのいずれかの特色と組み合わせられ得る。
図1
図2
【国際調査報告】