(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】多相材料を製造する多段階の方法
(51)【国際特許分類】
C05D 9/00 20060101AFI20240705BHJP
C05D 9/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C05D9/00
C05D9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579411
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 IB2022055613
(87)【国際公開番号】W WO2022269428
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519261792
【氏名又は名称】アドヴァンスド ポタッシュ テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Advanced Potash Technologies Ltd
【住所又は居所原語表記】89 Nexus Way, Camana Bay, Grand Cayman KY1-9007, Cayman Islands
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】チャオキ、ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】ラティフィ、モハマド
(72)【発明者】
【氏名】モハマド、ジャヴィード
(72)【発明者】
【氏名】ミルネザミ、ミトラ
【テーマコード(参考)】
4H061
【Fターム(参考)】
4H061AA02
4H061CC01
4H061CC02
4H061CC03
4H061CC04
4H061CC11
4H061DD14
4H061DD20
4H061EE01
4H061EE04
4H061EE05
4H061EE06
4H061EE07
4H061EE11
4H061EE12
4H061EE14
4H061EE15
4H061EE16
4H061EE17
4H061EE19
4H061EE20
4H061LL25
(57)【要約】
MPMを製造する多段階の方法は、少なくとも第1の工程および第2の工程を含む。第1の工程は、比較的低い温度および/または比較的低い圧力で実施することができる。第2の工程は、比較的高い温度および/または比較的高い圧力で実施することができる。第1の工程は、1つ以上の反応容器中で実施することができ、第2の工程は、1つ以上の異なる反応容器中で実施することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)出発材料を最高100℃の温度で反応させて、中間生成物を形成すること;および
b)該中間生成物を少なくとも180℃の温度で反応させること
を含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法。
【請求項2】
a)出発材料を最高2気圧の圧力で反応させて、中間生成物を形成すること;および
b)該中間生成物を少なくとも5気圧の圧力で反応させること
を含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法。
【請求項3】
a)出発材料を反応させて、中間生成物を形成すること;および
b)該中間生成物を撹拌なしに反応させること
を含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法。
【請求項4】
a)出発材料を第1の反応容器中で反応させて、中間生成物を形成すること;および
b)該中間生成物を第2の反応容器中で反応させること
を含む、MPMを製造する方法であって、該第2の反応容器が該第1の反応容器と異なり、該方法がMPMを製造する、方法。
【請求項5】
a)出発材料を最高100℃の温度で反応させて、中間生成物を形成すること;および
b)該中間生成物を、少なくとも180℃の温度に加熱することを含むプロセスによって加熱すること
を含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法。
【請求項6】
a)が最高100℃の温度で実施される、請求項2~4のいずれか一項の方法。
【請求項7】
a)が最高90℃の温度で実施される、請求項1~5のいずれか一項の方法。
【請求項8】
a)が最高80℃の温度で実施される、請求項1~5のいずれか一項の方法。
【請求項9】
a)が最高70℃の温度で実施される、請求項1~5のいずれか一項の方法。
【請求項10】
a)が最高60℃の温度で実施される、請求項1~5のいずれか一項の方法。
【請求項11】
a)が少なくとも20℃の温度で実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項12】
b)が少なくとも180℃の温度で実施される、請求項2~4または6~11のいずれかの方法。
【請求項13】
b)が少なくとも200℃の温度で実施される、請求項1~11のいずれか一項の方法。
【請求項14】
b)が少なくとも210℃の温度で実施される、請求項1~11のいずれか一項の方法。
【請求項15】
b)が少なくとも220℃の温度で実施される、請求項1~11のいずれか一項の方法。
【請求項16】
b)が少なくとも230℃の温度で実施される、請求項1~11のいずれか一項の方法。
【請求項17】
b)が少なくとも240℃の温度で実施される、請求項1~11のいずれか一項の方法。
【請求項18】
a)が最高2気圧の圧力で実施される、請求項1、3、4および5のいずれか一項の方法。
【請求項19】
a)が最高1.5気圧の圧力で実施される、請求項1~17のいずれか一項の方法。
【請求項20】
a)が最高1気圧の圧力で実施される、請求項1~17のいずれか一項の方法。
【請求項21】
b)が少なくとも5気圧の圧力で実施される、請求項1、3および4~20のいずれか一項の方法。
【請求項22】
b)が少なくとも10気圧の圧力で実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項23】
b)が少なくとも25気圧の圧力で実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項24】
b)が少なくとも50気圧の圧力で実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項25】
b)が少なくとも300気圧の圧力で実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項26】
a)とb)との間に、少なくとも180℃の温度に加熱することをさらに含む、請求項1~4または6~25のいずれか一項の方法。
【請求項27】
a)とb)との間に、中間温度に加熱することをさらに含む、請求項1~4および6~25のいずれか一項の方法。
【請求項28】
a)第1の温度に加熱することを含み;
b)第2の温度に加熱することを含み;および
中間温度が、該第1の温度と該第2の温度との間である、請求項27の方法。
【請求項29】
a)とb)との間に、圧力を最高2気圧の圧力から少なくとも5気圧の圧力に増加させることをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項30】
a)とb)との間に、圧力を中間圧力に増加させることをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項31】
a)第1の圧力を使用することを含み;
b)第2の圧力を使用することを含み;および
中間圧力が、該第1の圧力と該第2の圧力との間である、請求項30の方法。
【請求項32】
a)が、第1の反応容器中で実施され、b)が、該第1の反応容器と異なる第2の反応容器中で実施される、請求項1~3および5~31のいずれか一項の方法。
【請求項33】
a)が第1の複数の反応容器中で実施され、b)が該第1の複数の反応容器と異なる第2の複数の反応容器中で実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項34】
a)が出発材料を撹拌することを含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項35】
a)が出発材料を撹拌することを含まない、請求項1~33のいずれか一項の方法。
【請求項36】
b)が反応生成物を撹拌することを含む、請求項1、2または4~35のいずれか一項の方法。
【請求項37】
b)が反応生成物を撹拌することを含まない、請求項1、2または4~35のいずれか一項の方法。
【請求項38】
a)が、密閉タンク、開放タンク、格納容器、開放蒸発池、管状容器、回転ディスク、固液コントラクター、および液体サイクロンからなる群から選択される反応容器を使用して実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項39】
b)が、オートクレーブ、パイプ反応器、三相気液固コントラクター、および回転ドラムからなる群から選択される反応容器を使用して実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項40】
a)が少なくとも15分間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項41】
a)が少なくとも30分間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項42】
a)が最長2週間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項43】
a)が最長1週間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項44】
b)が少なくとも1分間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項45】
b)が少なくとも5分間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項46】
b)が最長1週間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項47】
b)が最長24時間実施される、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項48】
a)が:
a1)出発材料を最高50℃の第1の温度で反応させて、第1の材料を形成すること;および
a2)a1)の後、該第1の材料を、該第1の温度より高い第2の温度で反応させて、中間生成物を形成すること
を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項49】
第2の温度が最高100℃である、請求項48の方法。
【請求項50】
a1)が少なくとも20℃の温度で実施される、請求項48の方法。
【請求項51】
a2)が少なくとも75℃の温度で実施される、請求項48~50のいずれか一項の方法。
【請求項52】
b)の後、b)の生成物を乾燥することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項53】
乾燥が少なくとも25℃の温度で実施される、請求項52の方法。
【請求項54】
乾燥が最高400℃の温度で実施される、請求項52または請求項53の方法。
【請求項55】
乾燥が少なくとも1気圧の圧力で起こる、請求項52~54のいずれか一項の方法。
【請求項56】
乾燥が最高100気圧の圧力で起こる、請求項52~55のいずれか一項の方法。
【請求項57】
出発材料がカリウム骨格ケイ酸塩鉱石を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項58】
出発材料が、カリ長石、カルシライト、霞石、金雲母、白雲母、黒雲母、粗面岩、流紋岩、雲母、超カリ閃長岩、白榴石、霞石閃長岩、響岩、フェナイト、アプライトおよびペグマタイトからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項59】
出発材料がカリ長石を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項60】
出発材料が、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の少なくとも1つの酸化物、水酸化物、および炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項61】
出発材料が、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の少なくとも1つの酸化物、水酸化物および炭酸塩からなる群から選択される少なくとも2つの材料を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項62】
出発材料が、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の少なくとも1つの酸化物、水酸化物、および炭酸塩を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項63】
金属が、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、およびカリウム(K)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項60~62のいずれか一項の方法。
【請求項64】
出発材料が、CaO、Ca(OH)
2およびCaCO
3からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項65】
出発材料を単一のバッチで提供することを含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項66】
出発材料を段階的に提供することを含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項67】
以下の少なくとも1つが当てはまる、先行する請求項のいずれか一項の方法:
出発材料が、カリウム骨格ケイ酸塩鉱石およびCaOを、0.05と4との間のCa:Siのモル比で含む;
出発材料が、カリウム骨格ケイ酸塩鉱石およびCa(OH)
2を、0.05と4との間のCa:Siのモル比で含む;並びに
出発材料が、カリウム骨格ケイ酸塩鉱石およびCaCO
3を、0.05と4との間のCa:Siのモル比で含む。
【請求項68】
出発材料が水を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項69】
出発材料が、KCl、多量栄養素源、微量栄養素源および有益な元素の供給源からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項70】
少なくとも1つのメンバーが、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Cl、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Zn、Na、Se、Si、CoおよびVからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項69の方法。
【請求項71】
b)の前に、中間生成物に、KCl、多量栄養素源、微量栄養素源および有益な元素の供給源からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを添加することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項72】
少なくとも1つのメンバーが、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Cl、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Zn、Na、Se、Si、CoおよびVからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項71の方法。
【請求項73】
MPMが、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相からなる群から選択される少なくとも2つの相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項74】
MPMが、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相からなる群から選択される少なくとも3つの相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項75】
MPMが、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相からなる群から選択される少なくとも4つの相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項76】
MPMが、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項77】
MPMが、少なくとも1重量%のカリ長石相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項78】
MPMが、最大74.5重量%のカリ長石相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項79】
MPMが、少なくとも0.1重量%のトバモライト相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項80】
MPMが、最大55重量%のトバモライト相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項81】
MPMが、少なくとも0.1重量%のハイドログロッシュラー相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項82】
MPMが、最大15重量%のハイドログロッシュラー相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項83】
MPMがケイ酸二カルシウム水和物相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項84】
MPMが、最大20重量%のケイ酸二カルシウム水和物相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項85】
MPMがアモルファス相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項86】
MPMが、最大55重量%のアモルファス相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項87】
MPMが、少なくとも0.1重量%のKClを含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項88】
組成物MPM最大99重量%のKClである、任意の請求項87の方法。
【請求項89】
MPMが副成分相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項90】
MPMがさらに、少なくとも0.1重量%の副成分相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項91】
MPMが、最大20重量%の副成分相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項92】
MPMが、5%と119%との間の塩分指数を有する、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項93】
MPMが、1重量%と74.5重量%との間の範囲のカリ長石相、0.1重量%と55重量%との間の範囲のトバモライト相、0.1重量%と15重量%との間の範囲のハイドログロッシュラー相、0重量%と20重量%との間の範囲のケイ酸二カルシウム水和物相、0重量%と55重量%との間の範囲のアモルファス相、0.1重量%と99重量%との間の範囲のカリ岩塩相および0.1重量%と20重量%との間の範囲の副成分相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項94】
MPMが最大20重量%のトバモライト相を含み、および/またはMPMが最大10重量%のケイ酸二カルシウム水和物相を含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項95】
MPMが、少なくとも10mmolc/kgのカチオン交換比を有する、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項96】
MPMが、最大2,000mmolc/kgのカチオン交換比を有する、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項97】
MPM中のK
+の割合が5%と55%との間である、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項98】
組成物を肥料として使用することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項99】
組成物を土壌修復のために使用することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項100】
組成物を土壌を除染するために使用することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項101】
組成物を作物収量を増加させるために使用することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【請求項102】
組成物を土壌の健康を改善するために使用すること、および/または組成物を土壌肥沃度を改善するために使用することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2021年6月25日付で出願された米国出願63/214,958号の優先権の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、多相材料(MPM)を製造する多段階の方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
オートクレーブを使用してMPMを製造する単一段階の方法が、知られている。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、MPMを製造する多段階の方法を提供する。任意に、本方法は、比較的低い資本支出および/または比較的低い運用支出で実施することができる。いくつかの実施形態においては、そのような利点は、比較的安価な装置を使用することによって達成することができる。一例として、特定の実施形態においては、本方法は、オートクレーブを使用することなしに実施する。例えば、第1の工程は、非加圧反応容器中で実施することができ、これは、オートクレーブを使用するプロセスと比較してコストを低下させ得る。さらに、第2の工程は、比較的安価な加圧反応容器(例えば、パイプ反応器)中で実施することができる。さらに、例えば、パイプ反応器などの、代替の加圧反応容器は、オートクレーブと比較してより高い温度およびその結果生じる圧力を可能にし得る。
【0005】
一般に、本方法は、少なくとも2つの工程を含む。いくつかの実施形態においては、第1の工程は、比較的低い温度(例えば、最高100℃)および/または比較的低い圧力(例えば、最高2気圧)で実施する。第2の工程は、より高い温度および/または圧力を含む。いくつかの実施形態においては、第2の工程は、少なくとも180℃の温度および少なくとも5気圧の圧力で実施する。特定の実施形態においては、第1の工程は、1つ以上の反応容器中で実施し、第2の工程は、1つ以上の異なる反応容器中で実施する。第1の工程は、撹拌しながらまたは撹拌なしに実施することができる。いくつかの実施形態においては、本方法は、2つより多い工程を含み得る。一例として、本方法は、中間温度(MPM形成方法において使用する最低温度と最高温度との間の温度)に加熱することを含み得る。いくつかの実施形態においては、本方法は、少なくとも20℃(例えば、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃)であり、最高400℃(例えば、最高350℃、最高300℃、最高290℃、最高280℃、最高270℃、最高250℃、最高240℃)である中間温度に加熱することを含み得る。この温度は、所望の期間(例えば、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも10時間)および/または最長2日(例えば、最長1日、最長20時間)の間保持することができ、その後、より高い温度(例えば、第2の工程において使用する温度)に加熱する。一般に、第1の工程の条件と第2の工程の条件との間に遷移がある。一例として、いくつかの実施形態においては、少なくとも20℃の温度と最高400℃の温度との間に遷移がある。別の例として、特定の実施形態においては、最高2気圧の圧力と少なくとも5気圧の圧力との間に遷移がある。さらなる例として、いくつかの実施形態においては、1)少なくとも20℃の温度および最高2気圧の圧力;並びに2)最大400℃の温度および少なくとも5気圧の圧力:の両方の間に遷移がある。いくつかの実施形態においては、遷移は、第1の工程の条件の1つ以上(例えば、全て)と第2の工程の条件の1つ以上(例えば、全て)との間の滑らかな遷移である。例えば、温度は、滑らかな遷移であり得、および/または圧力遷移は、滑らかな遷移であり得る。いくつかの実施形態においては、条件の遷移は、単調、例えば、温度における単調な上昇および/または圧力における単調な増加である。特定の実施形態においては、条件の遷移は、段階的な遷移、例えば、温度における段階的な上昇および/または圧力における段階的な増加である。他のタイプの遷移もまた、可能である。
【0006】
理論に束縛されることなく、第1の工程の条件は、おそらくは、酸化カルシウム(CaO)がこれらの条件下でより溶解性であり、これが、カルシウムとカリ長石との間の初期反応を可能にして、中間生成物を産生するため、カルシウムイオンの良好な物質移動を可能にし得ると考えられる。また、理論に束縛されることなく、第1の工程後の1つ以上の工程が、中間生成物のMPMへのより効率的な鉱物変換を可能にすると考えられる。本明細書において開示する多段階の反応は、カルシウムイオンの物質移動およびMPM形成の速度などの、競合する因子間の費用対効果が高く効率的なバランスを可能にし得る。
【0007】
一態様においては、本開示は、a)出発材料を最高100℃の温度で反応させて、中間生成物を形成すること;およびb)該中間生成物を少なくとも180℃の温度で反応させることを含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法を提供する。
【0008】
一態様においては、本開示は、a)出発材料を最高2気圧の圧力で反応させて、中間生成物を形成すること;およびb)該中間生成物を少なくとも5気圧の圧力で反応させることを含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法を提供する。
【0009】
一態様においては、本開示は、出発材料を反応させて、中間生成物を形成すること;およびb)該中間生成物を撹拌なしに反応させることを含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法を提供する。
【0010】
一態様においては、本開示は、a)出発材料を第1の反応容器中で反応させて、中間生成物を形成すること;およびb)該中間生成物を第2の反応容器中で反応させることを含む、MPMを製造する方法であって、該第2の反応容器が該第1の反応容器と異なり、該方法がMPMを製造する、方法を提供する。
【0011】
一態様においては、本開示は、出発材料を最高100℃の温度で反応させて、中間生成物を形成すること;およびb)該中間生成物を、少なくとも180℃の温度に加熱することを含むプロセスによって加熱することを含む、MPMを製造する方法であって、該方法がMPMを製造する、方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態においては、a)は、最高100℃の温度(例えば、最高90℃、最高80℃、最高70℃、最高60℃の温度で)および/または少なくとも20℃の温度で実施することができる。
【0013】
特定の実施形態においては、b)は、少なくとも180℃(例えば、少なくとも200℃、少なくとも210℃、少なくとも220℃、少なくとも230℃、少なくとも240℃)の温度でおよび/または最高400℃の温度で実施することができる。
【0014】
いくつかの実施形態においては、a)は、最高2気圧(例えば、最高1.5気圧、最高1気圧)の圧力でおよび/または少なくとも0.9気圧の圧力で実施することができる。
【0015】
特定の実施形態においては、b)は、少なくとも5気圧(例えば、少なくとも10気圧、少なくとも25気圧、少なくとも50気圧)の圧力でおよび/または最高300気圧の圧力で実施することができる。
【0016】
いくつかの実施形態においては、本方法はさらに、a)とb)との間に、少なくとも180℃の温度に加熱することを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態においては、本方法はさらに、a)とb)との間に、中間温度に加熱することを含み得る。任意に、そのような実施形態においては、a)は、第1の温度に加熱することを含み得、b)は、第2の温度に加熱することを含み得、中間温度は、該第1の温度と該第2の温度との間である。
【0018】
特定の実施形態においては、本方法はさらに、a)とb)との間に、圧力を最高2気圧の圧力から少なくとも5気圧の圧力に増加させることを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態においては、本方法はさらに、a)とb)との間に、圧力を中間圧力に増加させることを含み得る。任意に、そのような実施形態においては、a)は、第1の圧力を使用することを含み得、b)は、第2の圧力を使用することを含み得、中間圧力は、該第1の圧力と該第2の圧力との間である。
【0020】
特定の実施形態においては、a)は、第1の反応容器中で実施することができ、b)は、該第1の反応容器と異なる第2の反応容器中で実施することができる。
【0021】
いくつかの実施形態においては、a)は、第1の複数の反応容器中で実施することができ、b)は、該第1の複数の反応容器と異なる第2の複数の反応容器中で実施することができる。
【0022】
特定の実施形態においては、a)は、出発材料を撹拌することを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態においては、a)は、出発材料を撹拌することを含まない。
【0024】
特定の実施形態においては、b)は、反応生成物を撹拌することを含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態においては、b)は反応生成物を撹拌することを含まない。
【0026】
特定の実施形態においては、a)は、密閉タンク、開放タンク、格納容器、開放蒸発池、管状容器、回転ディスク、固液コントラクター、および液体サイクロンを含む群から選択される反応容器を使用して実施することができる。
【0027】
いくつかの実施形態においては、b)は、オートクレーブ、パイプ反応器、三相気液固コントラクター、および回転ドラムを含む群から選択される反応容器を使用して実施することができる。
【0028】
特定の実施形態においては、a)は、少なくとも15分(例えば、少なくとも30分)および/または最長2週(例えば、最長1週)の間実施することができる。
【0029】
特定の実施形態においては、b)は、少なくとも1分(例えば、少なくとも5分)および/または最長1週(例えば、最長24時間)の間実施することができる。
【0030】
特定の実施形態においては、a)は:a1)出発材料を最高50℃の第1の温度で反応させて、第1の材料を形成すること;およびa2)a1)の後、該第1の材料を、該第1の温度より高い第2の温度で反応させて、中間生成物を形成することを含み得る。第1の温度は、少なくとも20℃であり得、第2の温度は、最高100℃である。a1)は、最高50℃の温度で実施することができる。a2)は、少なくとも75℃の温度で実施することができる。
【0031】
いくつかの実施形態においては、本方法はさらに、b)の後、b)の生成物を乾燥することを含み得る。乾燥は、少なくとも25℃の間の温度で、および/または最高400℃の温度で実施することができる。乾燥は、少なくとも1気圧の圧力で、および/または最高100気圧の圧力で起こり得る。
【0032】
特定の実施形態においては、出発材料は、カリウム骨格ケイ酸塩鉱石を含み得る。出発材料は、例えば、カリ長石、カルシライト、霞石、金雲母、白雲母、黒雲母、粗面岩、流紋岩、雲母、超カリ閃長岩、白榴石、霞石閃長岩、響岩、フェナイト、アプライトおよびペグマタイトを含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。いくつかの実施形態においては、出発材料は、カリ長石を含み得る。特定の実施形態においては、出発材料は、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の少なくとも1つの酸化物、水酸化物、および炭酸塩を含む群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。いくつかの実施形態においては、出発材料は、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の少なくとも1つの酸化物、水酸化物および炭酸塩を含む群から選択される少なくとも2つの材料を含み得る。特定の実施形態においては、出発材料は、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の少なくとも1つの酸化物、水酸化物、および炭酸塩を含み得る。いくつかの実施形態においては、金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、およびカリウム(K)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(K)を含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。特定の実施形態においては、出発材料は、CaO、Ca(OH)2およびCaCO3を含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態においては、出発材料は、単一のバッチで提供する。
【0034】
特定の実施形態においては、出発材料は、段階的に提供する。
【0035】
いくつかの実施形態においては、以下の少なくとも1つが当てはまる:出発材料は、カリウム骨格ケイ酸塩鉱石およびCaOを、0.05と4との間のCa:Siのモル比で含み得る;出発材料は、カリウム骨格ケイ酸塩鉱石およびCa(OH)2を、0.05と4との間のCa:Siのモル比で含み得る;並びに出発材料は、カリウム骨格ケイ酸塩鉱石およびCaCO3を、0.05と4との間のCa:Siのモル比で含み得る。
【0036】
特定の実施形態においては、出発材料は、水を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態においては、出発材料は、KCl、多量栄養素源、微量栄養素源および有益な元素の供給源を含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。少なくとも1つのメンバーは、例えば、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Cl、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Zn、Na、Se、Si、CoおよびVを含む群から選択されるメンバーを含み得る。
【0038】
特定の実施形態においては、本方法はさらに、b)の前に、中間生成物に、KCl、多量栄養素源、微量栄養素源および有益な元素の供給源を含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを添加することを含み得る。少なくとも1つのメンバーは、N、P、K、Ca、Mg、S、B、Cl、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Zn、Na、Se、Si、CoおよびVを含む群から選択されるメンバーを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態においては、MPMは、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相を含む群から選択される少なくとも2つの相(例えば、少なくとも3つの相、少なくとも4つの相)を含み得る。
【0040】
特定の実施形態においては、MPMは、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相を含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態においては、MPMは、少なくとも1重量%のカリ長石相、および/または最大74.5重量%のカリ長石相を含み得る。
【0042】
特定の実施形態においては、MPMは、少なくとも0.1重量%のトバモライト相、および/または最大55重量%のトバモライト相を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態においては、MPMは、少なくとも0.1重量%のハイドログロッシュラー相、および/または最大15重量%のハイドログロッシュラー相を含み得る。
【0044】
特定の実施形態においては、MPMは、ケイ酸二カルシウム水和物相を含み得る。そのような実施形態においては、MPMは、最大20重量%のケイ酸二カルシウム水和物相を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態においては、MPMは、アモルファス相を含み得る。そのような実施形態においては、MPMは、最大55重量%のアモルファス相を含み得る。
【0046】
特定の実施形態においては、MPMは、少なくとも0.1重量%のKCl、および/または最大99重量%のKClを含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態においては、MPMは、副成分相を含み得る。そのような実施形態においては、MPMはさらに、少なくとも0.1重量%の副成分相、および/または最大20重量%の副成分相を含み得る。
【0048】
特定の実施形態においては、MPMは、5%と119%との間の塩分指数を有する。
【0049】
いくつかの実施形態においては、MPMは、1重量%と74.5重量%との間の範囲のカリ長石相、0.1重量%と55重量%との間の範囲のトバモライト相、0.1重量%と15重量%との間の範囲のハイドログロシュラー相、0重量%と20重量%との間の範囲のケイ酸二カルシウム水和物相、0重量%と55重量%との間の範囲のアモルファス相、0.1重量%と99重量%との間の範囲のカリ岩塩相、および0.1重量%と99重量%との間の範囲の副成分相を有し得る。
【0050】
特定の実施形態においては、MPMは、最大20重量%のトバモライト相を含み得、および/またはMPMは、最大10重量%のケイ酸二カルシウム水和物相を含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態においては、MPMは、少なくとも10mmolc/kgのカチオン交換比を有する。
【0052】
特定の実施形態においては、MPMは、最大2,000mmolc/kgのカチオン交換比を有する。
【0053】
いくつかの実施形態においては、MPM中のK+の割合は、5%と55%との間であり得る。
【0054】
特定の実施形態においては、組成物は、肥料として、土壌浄化のために、土壌を除染するために、作物収量を増加させるために、土壌の健康を改善するために、および/または土壌肥沃度を改善するために、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本開示の実例的な実施形態を、図面を参照して以下に提供する。
【
図1】
図1は、2段階プロセスの一実施形態を示す。
【
図2】
図2は、2つより多い工程を含むプロセスの一実施形態を示す。
【
図3】
図3は、第2の工程についての滞留時間を変化させたときの実験結果を示す(実施例1)。
【
図4】
図4は、第2の工程についての温度を変化させたときの実験結果を示す(実施例2)。
【
図5】
図5は、プロセス全体についての液体対固体(L:S)比および第2の工程についての温度を変化させたときの実験結果を示す(実施例3)。
【
図6】
図6は、第1の工程について使用する温度を変化させたときの実験結果を示す(実施例4)。
【
図7】
図7は、第1の工程について使用する滞留時間を変化させたときの実験結果を示す(実施例6)。
【発明を実施するための形態】
【0056】
実例的な実施形態の説明
図1は、MPMを製造する2段階プロセス100についての一実施形態を概略的に示す。第1の工程102においては、出発材料を第1の反応容器中で混合し、第1のセットの条件下で第1の期間反応させて、中間生成物を形成する。第2の工程104においては、中間生成物を第2の反応容器中に配置し、MPMを形成する条件下で加熱する。
【0057】
一般に、出発材料は、1つ以上のカリウム骨格ケイ酸塩の粒子並びにアルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、およびアルカリ土類金属水酸化物、並びにそれらの組合せから選択される1つ以上の化合物を含み、その後、水との接触を行う。出発材料は、連続プロセスを介してまたはバッチプロセスを介して添加することができる。混合物を水と接触させることは、水を混合物に添加すること、または混合物を水に添加することによって、または水および混合物を適切な反応容器に順次または同時に添加することによってなどの、任意の適切な方法によって行うことができる(以下の議論を参照)。一般に、任意の適切な量の水を、使用することができる。いくつかの実施形態においては、カリウム骨格ケイ酸塩出発材料に対して重量過剰の水を、使用する。
【0058】
いくつかの実施形態においては、カリウム骨格ケイ酸塩は、カリ長石、カルシライト、霞石、粗面岩、流紋岩、超カリ閃長岩、白榴石、霞石閃長岩、響岩、フェナイト、アプライトまたはペグマタイトであり得る。そのようなカリウム骨格ケイ酸塩の組合せを、使用することができる。
【0059】
いくつかの実施形態においては、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、およびアルカリ土類金属水酸化物、並びにそれらの組合せから選択される1つ以上の化合物は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、またはそれら混合物を含む。いくつかの実施形態においては、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、およびアルカリ土類金属水酸化物、並びにそれらの組合せから選択される1つ以上の化合物は、水酸化カルシウムを含む。いくつかの実施形態においては、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、およびアルカリ土類金属水酸化物、並びにそれらの組合せから選択される1つ以上の化合物は、酸化カルシウムを含む。特定の実施形態においては、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、およびアルカリ土類金属水酸化物、並びにそれらの組合せから選択される1つ以上の化合物は、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ルビジウムおよび/または水酸化セシウムを含む。いくつかの実施形態においては、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、およびアルカリ土類金属水酸化物、並びにそれらの組合せから選択される1つ以上の化合物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ベリリウム、酸化ストロンチウム、酸化ラジウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ベリリウム、水酸化ストロンチウム、および/または水酸化ラジウムを含む。
【0060】
いくつかの実施形態においては、混合物は、カルシウム含有化合物およびシリコン含有化合物を含む。本開示のさまざまな実施形態においては、カルシウム含有材料(すなわち、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、(Ca、Mg)CO3、およびそれらの組合せ)のシリコン含有材料(すなわち、カリウム骨格ケイ酸塩)に対する比を使用して、鉱物学、抽出、緩衝能力、並びに組成物の他の特性(例えば、MPM:KCl組成物)を調節することができる。いくつかの実施形態においては、Ca:Si比は、少なくとも0.05および/または最大4である。
【0061】
上で注記したように、出発材料は、より粗いおよび/またはより細かい粒子の形態であり得る。粒子は、例えばジョークラッシャー、ジャイレートリークラッシャー、コーンクラッシャー、ボールミル、微粉化ミル、ロッドミル等を使用した、乾燥したまたはスラリー化した材料の破砕(crushing)、粉砕(milling)などの、当技術分野において知られている方法を使用して、例えば、同時に細かく砕くこと(co-grinding)または別々に粉末状にすること(comminuting)などの、任意の適切なプロセスによって形成することができる。結果生じた混合物は、当技術分野において知られている、ふるい、スクリーン等を介して、望むとおりにサイジングすることができる。いくつかの実施形態においては、粒子は、1ナノメートルから2ミリメートルの平均粒子サイズを有する。
【0062】
一般に、第1の工程102は、それらの間の範囲を含む、最高100℃(例えば、最高90℃、最高80℃、最高70℃、最高60℃、最高50℃)および/または少なくとも20℃(例えば、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃)の温度で実施する。
【0063】
一般に、第1の工程102は、それらの間の範囲を含む、最高2気圧(例えば、最高1.8気圧、最高1.5気圧)および/または少なくとも0.9気圧(例えば、少なくとも1気圧、少なくとも1.1気圧)の圧力で実施する。
【0064】
いくつかの実施形態においては、第1の工程102は、それらの間の範囲を含む、少なくとも1分(例えば、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも10時間、少なくとも1日、少なくとも2日)および/または最長2週(例えば、最長1週、最長6日、最長5日、最長3日)の間実施する。しかしながら、特定の実施形態においては、第1の工程について使用する期間は、異なり得る。一例として、蒸発池を使用する場合(例えば、砂漠などの比較的暑く乾燥した環境においては)、第1の工程は、2週より長い(例えば、少なくとも1ヶ月)間実施することができる。
【0065】
一般に、第1の工程102は、撹拌しながらまたは撹拌なしに実施することができる。撹拌を含む実施形態においては、任意の適切な撹拌機構を、使用し得る。撹拌機構の実例的な例は、インペラー、ミキサー、撹拌器およびバッフルを含む。
【0066】
いくつかの実施形態においては、第1の工程102は、単一の反応容器中で実施する。特定の実施形態においては、第1の工程102は、複数の反応容器中で実施する。第1の工程102において使用することができる反応容器の例は、密閉タンク、開放タンク、格納容器、開放蒸発池、パイプおよび回転ドラムなどの管状容器、回転ディスク、固液流動床などの固液コントラクターおよび液体サイクロンを含む。
【0067】
特定の実施形態においては、第1の工程102は、2つ以上のサブ工程を含み得る。サブ工程は、出発材料を第1の温度で反応させて、第1の材料を形成し、その後、該第1の材料を反応させて中間生成物にするために加熱することを含み得る。第1の温度は、例えば、最高50℃(例えば、20℃と50℃との間)であり得、第2の温度は、例えば、最高100℃(例えば、50℃と100℃との間)であり得る。
【0068】
一般に、第2の工程104は、加熱して、中間材料をMPMに変換することを含む。いくつかの実施形態においては、第2の工程104は、それらの間の範囲を含む、少なくとも180℃(例えば、少なくとも190℃、少なくとも200℃、少なくとも210℃、少なくとも220℃、少なくとも230℃、少なくとも240℃)および/または最高400℃(例えば、最高350℃、最高300℃、最高290℃、最高280℃、最高270℃、最高250℃、最高240℃)の温度を使用することを含む。
【0069】
一般に、第2の工程104は、それらの間の範囲を含む、少なくとも5気圧(例えば、少なくとも10気圧、少なくとも25気圧、少なくとも50気圧)および/または最高300気圧(例えば、最高200気圧、最高100気圧、最高75気圧)の圧力で実施する。
【0070】
典型的には、第2の工程104は、それらの間の範囲を含む、少なくとも1分(例えば、少なくとも5分、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも10時間、少なくとも1日、少なくとも2日)および/または最長2週(例えば、最長1週、最長6日、最長5日、最長3日)の間実施する。
【0071】
第2の工程104は、撹拌しながらまたは撹拌なしに実施し得る。
【0072】
いくつかの実施形態においては、第2の工程104は、第1の工程102において使用する1つ以上の反応容器と異なり得る、単一の反応容器中で実施する。特定の実施形態においては、第2の工程104は、複数の反応容器中で実施する。第2の工程104において使用する反応容器の1つ以上は、第1の工程102において使用する1つ以上の反応容器と異なり得る。使用する条件に適した任意の反応容器を、第2の工程104において実行することができる。第2の工程104において使用することができる反応容器の例は、オートクレーブ、パイプ反応器、スクリュー反応器、および流動床および回転ドラムなどの三相気液固コントラクターを含む。
【0073】
図2は、第1の工程202(例えば、工程102に関して上記したものと同様)および第2の工程204(例えば、工程204に関して上記したものと同様)を含む方法200を示す。しかしながら、方法200はさらに、工程202と204との間に起こる、追加の工程203を含む。工程203は典型的には、工程202において使用する温度と工程204において使用する温度との間の温度を達成するために加熱すること、およびこの中間温度をある期間保持することを含む。いくつかの実施形態においては、工程203は、温度を少なくとも20℃(例えば、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃)と最高400℃(例えば、最高350℃、最高300℃、最高290℃、最高280℃、最高270℃、最高250℃、最高240℃)との間の温度を保持することを含む。この温度は、所望の期間(例えば、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも10時間)および/または最長2日(例えば、最長1日、最長20時間)の間保持することができる。いくつかの実施形態においては、工程203は、工程204において使用するのと同じまたは類似の圧力条件を使用して実施する。特定の実施形態においては、工程203は、工程202について使用する圧力と工程204について使用する圧力との間の中間である圧力を使用して実施する。一般に、工程203は、撹拌しながらまたは撹拌なしに実施することができる。工程203は典型的には、工程204において使用するのと同じ反応容器(複数可)を使用して実施するが、工程204と比較して工程203について1つ以上の異なる反応容器を使用することは、選択肢である。
【0074】
図2は、第1の工程202と第2の工程204との間の単一の中間工程203を示すが、一方、第1の工程202の条件と第2の工程204の条件との間に遷移があり得る。すなわち、第1の工程202と第2の工程204との間に1つより多い中間工程(例えば、2つより多い中間工程、5つより多い中間工程、10個より多い中間工程、100個より多い中間工程)を有することが可能である。一例として、いくつかの実施形態においては、少なくとも20℃(例えば、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃)の温度と最高400℃(例えば、最高350℃、最高300℃、最高290℃、最高280℃、最高270℃、最高250℃、最高240℃)との間に遷移(1つより多い中間温度を含む)がある。別の例として、特定の実施形態においては、最高2気圧の圧力と少なくとも5気圧の圧力との間に遷移(1つより多い中間圧力を含む)がある。さらなる例として、いくつかの実施形態においては、1)少なくとも20℃の温度および最高2気圧の圧力;並びに2)最高400℃の温度および最高300気圧の圧力:の両方の間に遷移がある。そのような実施形態においては、第1の工程と第2の工程との間に1つより多い中間温度があり、第1の工程と第2の工程との間に1つより多い中間圧力がある。いくつかの実施形態においては、第1の工程と第2の工程との間の遷移は、第1の工程の条件の1つ以上(例えば、全て)と第2の工程の条件の1つ以上(例えば、全て)との間の滑らかな遷移である。例えば、温度は、滑らかな遷移であり得、および/または圧力遷移は、滑らかな遷移であり得る。いくつかの実施形態においては、条件の遷移は、単調、例えば、温度における単調な上昇および/または圧力における単調な増加である。特定の実施形態においては、条件の遷移は、段階的な遷移、例えば、温度における段階的な上昇および/または圧力における段階的な増加である。他のタイプの遷移もまた、可能である。一般に、工程202と204との間の中間工程の最低温度は、第1の工程202において使用する温度より高く、中間工程の最高温度は、第2の工程204において使用する温度より低い。一般に、工程202と204との間の中間工程の最低圧力は、第1の工程202において使用する圧力より高く、中間工程の最大圧力は、第2の工程204において使用する圧力より低い。
【0075】
一般に、上記した工程に従ったMPMの形成の後、乾燥工程を、実施する。いくつかの実施形態においては、乾燥工程は、周囲温度下で(例えば、上澄み水を蒸発させることによって)行うことができる。特定の実施形態においては、乾燥工程は、それらの間の範囲を含む、少なくとも25℃(例えば、少なくとも50℃、少なくとも75℃)および/または最高400℃(例えば、最高300℃、最高200℃、最高150℃)で実施する。いくつかの実施形態においては、乾燥は、それらの間の範囲を含む、最高100気圧(例えば、最高50気圧、最高25気圧、最高10気圧)および/または少なくとも1気圧(例えば、少なくとも2気圧)の圧力で実施する。いくつかの実施形態においては、乾燥は、不活性雰囲気下でまたは反応性雰囲気下で実施する。不活性雰囲気は、例えば希ガス(例えば、Ar)またはN2を含み得る。反応性雰囲気の例は、空気、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、またはアンモニアを含む。さまざまなガスの混合物を、使用し得る。一般に、乾燥工程は、撹拌しながらまたは撹拌なしに起こり得る。特定の実施形態においては、乾燥工程は、1分から2日(例えば、1時間から1日)の期間実施する。
【0076】
一般に、MPMは、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相から選択される少なくとも2つの相(例えば、少なくとも3つの相、少なくとも4つの相)を含む。いくつかの実施形態においては、MPMは、カリ長石相、トバモライト相、ハイドログロッシュラー相、ケイ酸二カルシウム水和物相およびアモルファス相を含む。特定の実施形態においては、MPMは、少なくとも1重量%のカリ長石相および/または最大74.5重量%のカリ長石相を含む。いくつかの実施形態においては、MPMは、少なくとも0.1重量%のトバモライト相および/または最大55重量%のトバモライト相(例えば、0重量%と50重量%との間、0重量%と45重量%との間、0重量%と40重量%との間、0重量%と35重量%との間、0重量%と30重量%との間、0重量%と25重量%との間、0重量%と20重量%との間)を含む。いくつかの実施形態においては、MPMは、少なくとも0.1重量%のハイドログロッシュラー相および/または最大15重量%のハイドログロッシュラー相(例えば、0.1重量%から12重量%)を含む。特定の実施形態においては、MPMは、最大20重量%(例えば、最大10重量%、最大15重量%、最大12重量%)の量のケイ酸二カルシウム水和物相を含む。いくつかの実施形態においては、MPMは、最大55重量%(例えば、最大45重量%)の量のアモルファス相を含む。特定の実施形態においては、MPMはさらに、副成分相(例えば、少なくとも0.1重量%および/または最大20重量%の量の)を含む。いくつかの実施形態においては、MPMは、1重量%と74.5重量%との間の範囲のカリ長石相、0.1重量%と55重量%との間の範囲のトバモライト相、0.1重量%と15重量%との間の範囲のハイドログロッシュラー相、0重量%と20重量%との間の範囲のケイ酸二カルシウム水和物相、0重量%と55重量%との間の範囲のアモルファス相、0.1重量%と99重量%との間の範囲のカリ岩塩相および0.1重量%と20重量%との間の範囲の副成分相を含む。いくつかの実施形態においては、MPMは、最大20重量%のトバモライト相、および/または最大10重量%のケイ酸二カルシウム水和物相を含む。
【0077】
いくつかの実施形態においては、MPMは、粒子の形態である。そのような粒子は、例えば、1ナノメートルから2ミリメートルの平均粒子サイズを有し得る。
【0078】
一般に、MPMは、望むとおりに使用することができる。いくつかの実施形態においては、MPMは、肥料として(例えば、1つ以上の栄養素を土壌に提供するために)、土壌修復のために(例えば、1つ以上の重金属を土壌から固定化するために)、土壌を除染するために(例えば、1つ以上の汚染物質を土壌から除去するために)、作物収量を増加させるために、土壌の健康を改善するために、および/または土壌肥沃度を改善するために、使用する。
【実施例】
【0079】
実験を、MPMを製造するときの、第1の工程および第2の工程の両方の滞留時間の影響、第1の工程および第2の工程の両方についての温度の影響、並びに液体対固体(L:S)比を評価するために実施した。
【0080】
実施例において使用した超カリ閃長岩は、ブラジルPernambuco州に位置するTriunfo batholithから入手した。カリ長石の含有量は、94.5重量%であった。手のひらサイズの野外サンプルを、ジョークラッシャー中で粉末状にし、ふるいにかけて、2mm未満のサイズを有する粒子を得た。試薬グレードの酸化カルシウム(CaO)を、受けたまま使用した。
【0081】
供給混合物(出発材料)は、超カリ閃長岩(<2mm)をP90~150μmまで乾式粉砕することによって得た。CaO中にSiが何らなく、超カリ閃長岩中にCaが何らないという仮定に基づいて、CaOを、カリ長石に富んだ粉末に添加して、名目上の、0.3のCa:Siモル比を達成した。
【0082】
第1の工程の水熱反応は、丸底フラスコ(RBF)および温度制御用のマルチフィンアルミニウム熱交換器を有するカスタマイズされたファインセンサー設定を使用して研究した。磁気撹拌を、水熱反応中の効率的な混合を確実にするために実施した。
【0083】
第2の工程の実験は、150mlの反応器容量、およびそれぞれ12.4、5.08および0.24cmの長さ(端から端まで)、直径および厚さの寸法を有するSwagelok高圧シリンダー内で実施した。高圧シリンダーは、水平位置において固定して、シリンダーの長さに沿った均一の加熱を提供し、反応器の温度はシリンダーの中央において測定した。誘導加熱設定を、圧力シリンダーを加熱するために用いた。圧力シリンダーは、誘導コイルの内部にあった。誘導電源のコントローラーは、圧力シリンダーの内部に挿入したタイプKの熱電対を使用して温度を制御した。高圧シリンダーの内容物は、この工程全体を通して混合しなかった。
【0084】
カリウム(K+)の利用可能性の測定は、1gのMPMを、100gの0.1M硝酸溶液と混合し30分間撹拌する、標準の浸出試験で実施した。溶液を次いで、ワットマン濾紙を使用して濾過し、結果生じた浸出液を、サンプルから抽出した(K+)の重量%を確認するためにICP-MS(PerkinElmer NexION 300X)で分析した。浸出試験中に抽出されたカリウムの量は、MPMを出発材料(供給原料)と比較するときに起こった変換の量を示す良好な代理であることが観察されている。
【0085】
実施例1
実施例1においては、標準の供給原料混合物約52gを、各実験について使用した。水を、供給原料と一緒に4:1のL/S比でRBFに添加し、95℃で2時間保持した(第1の工程)。この期間が経過した後、結果生じた/中間のスラリーの約30gのサンプルを次いで、Swagelok高圧シリンダー中に挿入し、ここで、中間生成物を次いで、220℃に加熱し、所与の量の時間撹拌なしに、結果生じた圧力下で保持した(第2の工程)。4つの異なる実行を、圧力および温度を設定レベルで保持しながら、同一の第1の工程だが、第2の工程についての滞留時間を変更することで、実施した。第2の工程が終わった後、結果生じたスラリーを、圧力容器から抽出し、実験用オーブン中で、約120℃および大気圧で乾燥し、その後、乾燥したMPMのみが残った。結果生じたMPMを次いで、標準の浸出試験を通して試験した。
【0086】
第2の工程中に220℃で5分間保持したMPMサンプルからは、0.40重量%のK
+が、浸出試験中に抽出された。第2の工程中に220℃で30分間保持したMPMサンプルからは、0.75重量%のK
+が、浸出試験中に抽出された。第2の工程中に220℃で60分間保持したサンプルについては、1.11重量%のK
+が、浸出試験中に抽出された。第2の工程中に220℃で120分間維持したMPMサンプルからは、1.75重量%のK
+が、浸出試験中に抽出された。結果を、表Iおよび
図3に要約する。
【0087】
【0088】
第1の工程を、実験全体を通して同じに保持しながら、第2の工程中の滞留時間における増加が、結果生じたMPMのK+利用可能性を増加させることが、観察された。
【0089】
実施例2
実施例2においては、標準の供給原料混合物約52gを、各実験について使用した。水を、供給原料と一緒に4:1のL/S比でRBFに添加し、95℃で2時間保持した(第1の工程)。この期間が経過した後、結果生じた/中間のスラリーの約30gのサンプルを、Swagelok高圧シリンダー中に挿入し、ここで、中間生成物を次いで、種々の温度に1時間加熱した(第2の工程)。4つの異なる実行を、第1の工程は同一であるが、第2についての温度および結果生じる圧力を変化させることで、実施した。第2の工程が終わった後、結果生じたスラリーを、圧力容器から抽出し、実験用オーブン中で、約120℃および大気圧で乾燥し、その後、乾燥したMPMのみが残った。結果生じたMPMを次いで、標準の浸出試験を通して試験した。
【0090】
第2の工程中に190℃で1時間保持したMPMサンプルからは、0.39重量%のK
+が、浸出試験中に抽出された。第2の工程中に220℃で1時間保持したMPMサンプルからは、1.11重量%のK
+が、浸出試験中に抽出された。第2の工程中に250℃で1時間保持したMPMサンプルからは、1.93重量%のK
+が、抽出された。第2の工程中に280℃で1時間保持したMPMサンプルからは、2.25重量%のK
+が、浸出試験中に抽出された。結果を、表IIおよび
図4に要約する。
【0091】
【0092】
第1の工程を、実験全体を通して同じに保持しながら、第2の工程についての温度における上昇が、結果生じたMPMのK+利用可能性を増加させることが、観察された。
【0093】
実施例3
実施例3においては、標準の供給原料約52gを、各実行について使用した。L:S比および第2の工程の温度の両方を変化させ、合計6回の実験となった。水を、供給原料と一緒に3つの異なるL/S比、すなわち2:1、3:1および4:1でRBFに添加し、95℃で2時間保持した(第1の工程)。この期間が経過した後、結果生じたスラリーを次いで、Swagelok高圧シリンダー中に挿入し、ここで、中間生成物を次いで、加熱し、220℃または250℃のいずれかで1時間保持した(第2の工程)。第2の工程が終わった後、結果生じたスラリーを、圧力容器から抽出し、実験用オーブン中で、約120℃および大気圧で乾燥し、その後、乾燥したMPMのみが残った。結果生じたMPMを次いで、標準の浸出試験を通して試験した。
【0094】
2:1のL:S比で製造し、第2の工程中に220℃で1時間保持したMPMサンプルからは、0.95重量%のK+が、浸出試験中に抽出された。2:1のL:S比で製造し、250℃で1時間保持したMPMサンプルからは、1.72重量%のK+が、抽出された。
【0095】
3:1のL:S比で製造し、第2の工程中に220℃で1時間保持したMPMサンプルからは、1.07重量%のK+が、浸出試験中に抽出された。3:1のL:S比で製造し、第2の工程中に250℃で1時間保持したMPMサンプルからは、1.87重量%のK+が、浸出試験中に抽出された。
【0096】
4:1のL:S比で製造し、第2の工程中に220℃で1時間保持したMPMサンプルからは、1.11重量%のK+が、浸出試験中に抽出された。4:1のL:S比で製造し、第2の工程中に250℃で1時間保持したMPMサンプルからは、1.93%のK+が、浸出試験中に抽出された。
【0097】
【0098】
【0099】
L:S比の変動は、少なくともこれらの境界内では、供給原料の変換効率に実質的には影響を及ぼさないことが観察された。さらに、および上ですでに観察されたように、第2の工程中の温度における上昇は、結果生じるMPMのK+利用可能性を増加させた。
【0100】
実施例4
実施例4においては、第1の工程に対する温度の影響もまた、試験した。標準の供給原料約52gを、水と4:1のL:S比で混合し、撹拌し、固定温度で5時間保持した。4つの異なる温度、すなわち室温@25℃、30℃、60℃および95℃を試験し、それによって、4つのそれぞれの中間材料を提供した。5時間が各温度で経過した後、標準の浸出試験を、中間材料のそれぞれに対して実施した。結果を、表IVおよび
図6に要約する。
【0101】
【0102】
第1の工程について使用する温度を上昇させることが、該第1の工程によって製造される中間生成物のK+の利用可能性を増加させることが、観察された。
【0103】
実施例5
第1の工程内での変換に対する影響を、第1の工程についての期間を、最大320時間まで変化させることによって、調査した。標準の供給原料を使用し、4:1のL:S比で、90℃の温度で保持した(24時間の滞留時間の後、温度を、過剰な蒸発を避けるために80℃に下げた)。結果を、表Vおよび
図7に示す。
【0104】
結果は、第1の工程についての滞留時間を増加させることが、中間材料におけるK+の利用可能性を増加させることを示す。
【0105】
【0106】
実施例6
鉱物学を、(i)標準の供給原料;(ii)100℃で30分間撹拌しながら実施した第1の工程の後の中間生成物;および(iii)第1の工程を100℃で300分間撹拌しながら実施し、第2の工程を220℃で30分間撹拌なしに実施する2段階プロセスの第2の工程の後に製造されたMPMを分析する、X線粉末回折(XRPD)によって決定した。粉末サンプルを、サンプルホルダー上にバックロードし、X線源として45kVおよび40mAのCuKα放射線を使用する回折計(Panalytical X’Pert MPD)中に置いた。いったん同定すると、鉱物相を、内部標準法およびリートベルト精製を介して定量化した。結果を、表VIに示す。
【0107】
【0108】
表VIにおいて中間生成物の鉱物学をMPMの鉱物学と比較することによって、重要な鉱物学的変化が第2の工程中に起こったことが明らかである。しかしながら、表VIにおいて中間生成物の鉱物学を標準の供給原料の鉱物学と比較することによって、例えばアモルファス相の増加によって実証される、一定レベルの変化がすでに、第1の工程中に起こることも明らかである。
【0109】
他の実施形態
特定の実施形態を提供してきたが、本開示は、そのような実施形態に限定されない。
【0110】
一例として、いくつかの実施形態においては、MPMは、少なくとも1つの追加成分を含み得る。そのような材料の例は、KCl(カリ岩塩相)、1つ以上の微量栄養素(例えば、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)および硫黄(S))、1つ以上の微量栄養素(例えば、ホウ素(B)、塩素(Cl)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)および亜鉛(Zn))および/または1つ以上の他の有益な元素(例えば、ナトリウム(Na)、セレン(Se)、シリコン(Si)、コバルト(Co)およびバナジウム(V))を含む。
【0111】
一般に、少なくとも1つの追加成分は、本明細書において開示するプロセスのいずれかの一部として導入することができる。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの追加成分は、第1の工程中に添加する。特定の実施形態においては、少なくとも1つの追加成分は、第2の工程の後に添加する。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの追加成分は、中間工程中に添加する。特定の実施形態においては、少なくとも1つの追加成分は、MPM形成後、しかし乾燥前に添加する。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの追加成分は、乾燥後に添加する。
【0112】
一般に、追加成分の供給源は、任意の適切な形態で使用することができる。そのような形態の例は、結晶、塩、粉末、液体(例えば、溶液)および/またはスラリーを含む。供給源材料の例示的および非限定的なリストは、以下のとおりである。リン(P)源の例は、リン酸塩岩(例えば、リン酸塩肥料製造についての原料)、リン酸(例えば、リン酸塩肥料生産チェーンからの中間生成物)およびリン酸一アンモニウムを含む。窒素(N)源の例は、アンモニアおよび尿素を含む。カリウム(K)源の例は、KClおよびカリの硫酸塩(SOP)を含む。マグネシウム(Mg)源の例は、マグネシアおよびドロマイト石灰を含む。硫黄(S)源の例は、石膏、硫黄および硫酸アンモニウムを含む。カルシウム(Ca)源の例は、石膏およびドロマイト石灰を含む。銅(Cu)源の一例は、硫酸銅である。ホウ素(B)源の例は、ホウ酸塩、ホウ砂およびホウ酸を含む。亜鉛(Zn)源の一例は、硫酸亜鉛である。マンガン(Mn)源の一例は、硫酸マンガンである。これらのおよび他の成分の追加の適切な供給源は、知られている。
【0113】
いくつかの実施形態においては、MPMは、少なくとも10mmolc/kgおよび/または最大2,000mmolc/kgのカチオン交換比を有し得る。
【0114】
特定の実施形態においては、MPM中のK+の割合は、5%と55%との間である。
【0115】
特定の実施形態においては、MPMは、5%と119%との間の塩分指数を有し得る。
【0116】
MPM形成に関する反応方法および材料の特定の態様は、米国特許第9,340,465号、米国特許第10,800,712号、および国際特許出願番号PCT/IB2021/051351に開示されている。これらの文書の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの文書において開示する主題が本出願において開示する主題と矛盾する限りにおいては、本出願が、そのような矛盾を解決するために頼られるものとする。
【国際調査報告】