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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】噴霧ノズル
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240705BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20240705BHJP
   B05B 7/06 20060101ALI20240705BHJP
   B05B 7/12 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C12M1/00 A
B05B7/08
B05B7/06
B05B7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579465
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 IB2022055905
(87)【国際公開番号】W WO2022269570
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,307
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517144983
【氏名又は名称】アヴェクタス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン,アラン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フィネガン,シェーン
(72)【発明者】
【氏名】コックス,サイモン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ホバンプトラ,リシ ダンバントレー
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ドナル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ルビコニ,フランク ジョセフ ドリエン
【テーマコード(参考)】
4B029
4F033
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB01
4B029CC01
4B029GA08
4B029GB10
4F033QA10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB17
4F033QD02
4F033QD15
4F033QD21
4F033QE08
4F033QE14
(57)【要約】
装置が提供される。装置は、第1の端と第2の端とを有するハウジングを含むことができる。第1の端は、サンプル注入口と気体注入口とを含むことができる。第2の端は、サンプル放出口と気体放出口とを含むことができる。装置は、ハウジング内に延び、サンプル注入口をサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路も含むことができる。装置は、ハウジング内に延び、気体注入口を気体放出口に流体結合する気体送達路も含むことができる。本明細書では、この装置を含むシステムおよび方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合水性組成物を細胞に送達するための細胞トランスフェクション噴霧ノズル装置であって、針とスリーブとハウジングとを含み、
前記針が、
液体サンプルを受け入れるように構成されたサンプル注入口を有するハブと、
前記ハブに結合され、中心軸に沿って延びる第1の内径を画定する近位端部と、
前記近位端部に接続され、前記液体サンプルを分注するためのサンプル放出口を有し、前記第1の内径より大きい第2の内径を画定する、遠位端部と、を含み、
前記スリーブが、
近位端から遠位端まで延びる本体であって、前記遠位端が遠位先端部を含み、前記本体が外壁と内壁とによって画定され、前記内壁および前記外壁の少なくとも一部が前記近位端と前記遠位端との間の前記中心軸に対して角度をなして延び、前記近位端および前記遠位端における前記内壁が、それぞれ、前記針の前記ハブと前記遠位端部とを受け入れるような寸法とされている、本体と、
互いから半径方向に離隔され、前記本体の前記角度をなした外壁の少なくとも一部から延びる4つの羽根と、を含み、
前記ハウジングが、
空気を受け入れるように構成された空気注入口を有する空気注入口部と、
前記空気注入口部に流体結合され、前記スリーブの前記近位端と解放可能に結合するように構成された第1の円筒部と、
前記第1の円筒部の円筒内径より小さい円筒内径を有し、前記スリーブの前記遠位端を受け入れるように構成された第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部とに流体結合され、前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に延びる第1の円錐部と、
前記第2の円筒部に結合され、前記空気を分注するように構成された空気放出口を有する第2の円錐部であって、前記第1の円錐部の最小内径に等しい最大内径によって画定された、第2の円錐部と、を含み、
前記針と前記スリーブと前記ハウジングとがともに、前記空気を流すように構成された空洞を画定し、前記空洞が、
前記ハウジングの前記空気注入口部と、前記ハウジングの前記第1の円筒部の少なくとも一部と前記ハウジングの前記第1の円錐部と前記スリーブの前記外壁とによって画定された環状空間とを含む第1の空洞と、
前記第1の空洞に隣接し、前記ハウジングの前記第2の円筒部の少なくとも一部と前記羽根と前記スリーブの前記本体の角度をなした前記外壁とによって画定された、複数の第2の空洞と、
前記複数の前記第2の空洞を介して前記第1の空洞に流体接続された第3の空洞であって、前記スリーブの前記遠位先端部に対して遠位である所定の長さだけ前記中心軸に沿った方向に遠位に延び、前記スリーブの前記外壁の少なくとも一部と前記ハウジングの前記第2の円錐部と前記針の遠位端とによって画定された、第3の空洞と、を含み、
前記第2の空洞が、前記第1の空洞または前記第3の空洞あるいはその両方の容積より小さい容積を画定する、細胞トランスフェクション噴霧ノズル装置。
【請求項2】
前記サンプル放出口が前記空気放出口内に同心状に位置づけられている、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項3】
前記4つの羽根が互いから等距離にある、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項4】
前記針が前記第1の円錐部に対して近位において第2の直径に拡大する、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項5】
前記第1の円錐部が前記中心軸に沿った方向に延び、前記空気注入口が前記第1の円筒部に対して直角に配置されている、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項6】
前記第1の円錐部と前記第2の円錐部の前記内壁が同じテーパ角で先細になっている、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項7】
前記複数の第2の空洞が互いに同一平面上にある、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項8】
前記針の第1の直径が、前記針の第2の直径より少なくとも20%小さい、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項9】
前記スリーブが、前記スリーブの周囲に等距離に離隔して配置された4つの羽根を含み、前記4つの羽根が前記第2の円筒部内に嵌まるように先細になっている、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項10】
サンプル液滴が約10μm~約10.9μm、約11μm~約11.9μm、約12μm~約12.9μm、約13μm~約13.9μm、約14μm~約14.9μm、約15μm~約15.9μm、約16μm~約16.9μm、または約17μm~約18μmの液滴サイズを有するように前記ノズル装置から前記サンプル液滴が噴霧され、前記サンプル放出口において生成される前記液滴の80%以上が前記液滴サイズを有する、請求項1に記載の噴霧ノズル装置。
【請求項11】
細胞トランスフェクションノズル装置を使用して細胞に霧化流体を送達する方法であって、
請求項1に記載の前記ノズル装置の前記サンプル注入口に前記液体サンプルを導入することと、
前記ノズル装置の前記気体注入口に気体源から前記空気を導入することと、
前記気体を前記ノズル装置の前記空洞を通して流すことと、
前記サンプル放出口から出る前記液体サンプルと前記ハウジングの前記気体放出口から出る前記気体とによって形成されたサンプル液滴の霧化噴霧を分注することとを含む、方法。
【請求項12】
前記分注することが、前記サンプル放出口から出る前記液体サンプルを前記気体放出口から出る前記気体で剪断することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記気体を前記ノズル装置の前記空洞を通して流すことが、
前記気体を前記第1の空洞を通して流すことと、
前記気体を複数の第2の空洞を通して流すことと、
前記気体を、前記複数の前記第2の空洞を介して前記第1の空洞に流体接続された前記第3の空洞を通して流すこととを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記気体を前記ノズル装置の前記空洞を通して流すことが、前記第3の空洞において、または前記気体放出口において、あるいはその両方において、気体の層流をもたらす、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の空洞が前記ハウジングの前記気体注入口から流れる前記気体を細分する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ノズル装置の前記第1の空洞と前記第3の空洞との間に配置された前記複数の第2の空洞を介して、前記気体を4つの別個の流路に細分することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
細分された前記気体を前記第3の空洞において再結合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプル液滴が約10μm~約10.9μm、約11μm~約11.9μm、約12μm~約12.9μm、約13μm~約13.9μm、約14μm~約14.9μm、約15μm~約15.9μm、約16μm~約16.9μm、または約17μm~約18μmの液滴サイズを有するように前記ノズル装置から前記サンプル液滴を噴霧することを含み、前記サンプル放出口において生成される前記液滴の80%以上が前記液滴サイズを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
第1の端と第2の端とを含むハウジングであって、前記第1の端がサンプル注入口と気体注入口とを含み、前記第2の端がサンプル放出口と気体放出口とを含む、ハウジングと、
前記ハウジング内に延び、前記サンプル注入口を前記サンプル放出口に流体結合する、サンプル送達路と、
前記ハウジング内に延び、前記気体注入口を前記気体放出口に流体結合する、気体送達路と、を含む装置。
【請求項20】
サンプルが入ったサンプル源を、ノズルのハウジングの第1の端に配置されたサンプル注入口に結合することと、
気体が入った気体源を、前記ノズルの前記ハウジングの前記第1の端に配置された気体注入口に結合することと、
前記ハウジング内に延び、前記サンプル注入口を前記ノズルの前記ハウジングの第2の端における出力開口に配置されたサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路内に、前記サンプルを供給することと、
前記ハウジング内に延び、前記気体注入口を前記ノズルの前記ハウジングの前記第2の端における前記出力開口に配置された気体放出口に流体結合する気体送達路内に、前記気体を供給することとを含み、前記気体と前記サンプルとが前記出力開口から、細胞トランスフェクションシステムのフィルタ膜上に配置された細胞に霧化噴霧として分注される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月24日に出願された米国特許出願第63/214,307号の優先権を主張し、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、流体を噴霧するノズルのためのシステム、デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ノズルは、流体(たとえば霧化流体)を細胞に送達するために、細胞トランスフェクションシステムにおいて使用することができる。既存のノズル設計を使用して細胞の生存能力を維持する条件下で流体を一貫して分注するのは難しい。
【発明の概要】
【0004】
一態様では装置が提供される。一実施形態では、装置は、第1の端と第2の端とを有するハウジングを含むことができる。第1の端は、サンプル注入口と気体注入口とを含むことができる。第2の端は、サンプル放出口と気体放出口とを含むことができる。装置は、ハウジング内に延び、サンプル注入口をサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路も含むことができる。装置は、ハウジング内に延び、気体注入口を気体放出口に流体結合する気体送達路も含むことができる。
【0005】
別の態様では、生体適合水性組成物を細胞に送達する細胞トランスフェクション噴霧ノズル装置が、液体サンプルを受け入れるように構成されたサンプル注入口を有するハブと、ハブに結合され、中心軸に沿って延びる第1の内径を画定する近位端部と、近位端部に接続され、液体サンプルを分注するためのサンプル放出口を有する遠位端部であって第1の内径より大きい第2の内径を画定する遠位端部とを含む針とを含む。装置は、近位端から遠位端まで延びる本体であって、遠位端が遠位先端部を含み、本体が外壁と内壁とによって画定され、内壁および外壁の少なくとも一部が近位端と遠位端との間の中心軸に対して角度をなして延び、近位端および遠位端における内壁が、それぞれ、針のハブと遠位端部とを受け入れるような寸法とされている、本体と、互いから半径方向に離隔され、本体の角度をなした外壁の少なくとも一部から延びる4つの羽根と、を含むスリーブも含む。装置は、スリーブを受け入れるように構成されたハウジングも含み、ハウジングは、空気を受け入れるように構成された空気注入口を有する空気注入口部と、空気注入口部に流体結合され、スリーブの近位端と解放可能に結合するように構成された第1の円筒部と、第1の円筒部の円筒内径より小さい円筒内径を有し、スリーブの遠位端を受け入れるように構成された第2の円筒部と、第1の円筒部と第2の円筒部とに流体結合され、第1の円筒部と第2の円筒部との間に延びる第1の円錐部と、第2の円筒部に結合され、空気を分注するように構成された空気放出口を有する第2の円錐部であって、第1の円錐部の最小内径に等しい最大内径によって画定された、第2の円錐部とを含む。針とスリーブとハウジングとがともに、空気を流すように構成された空洞を画定し、空洞は、ハウジングの空気注入口部と、ハウジングの第1の円筒部の少なくとも一部とハウジングの第1の円錐部とスリーブの外壁とによって画定された環状空間とを含む第1の空洞と、第1の空洞に隣接し、ハウジングの第2の円筒部の少なくとも一部と羽根とスリーブの本体の角度をなした外壁とによって画定された、複数の第2の空洞と、複数の第2の空洞を介して第1の空洞に流体接続された第3の空洞とを含む。第3の空洞は、スリーブの遠位先端部に対して遠位である所定の長さだけ中心軸に沿った方向に遠位に延び、スリーブの外壁の少なくとも一部とハウジングの第2の円錐部と針の遠位端とによって画定されている。第2の空洞は、第1の空洞または第3の空洞あるいはその両方の容積より小さい容積を画定する。
【0006】
実施形態によっては、サンプル放出口が前記空気放出口内に同心状に位置づけられている。実施形態によっては、4つの羽根は互いから等距離にある。実施形態によっては、針は第1の円錐部に対して近位において第2の直径に拡大する。実施形態によっては、第1の円錐部が中心軸に沿った方向に延び、空気注入口が第1の円筒部に対して直角に配置されている。実施形態によっては、第1の円錐部と第2の円錐部の内壁が同じテーパ角で先細になっている。実施形態によっては、複数の第2の空洞が互いに同一平面上にある。実施形態によっては、針の第1の直径が、針の第2の直径より少なくとも20%小さい。実施形態によっては、スリーブは、スリーブの周囲に等距離に離隔して配置された4つの羽根を含み、4つの羽根が第2の円筒部内に嵌まるように先細になっている。実施形態によっては、サンプル液滴が約10μm~約10.9μm、約11μm~約11.9μm、約12μm~約12.9μm、約13μm~約13.9μm、約14μm~約14.9μm、約15μm~約15.9μm、約16μm~約16.9μm、または約17μm~約18μmの液滴サイズを有するようにノズル装置からサンプル液滴が噴霧され、サンプル放出口において生成されるサンプル液滴の80%以上が上記液滴サイズを有する。
【0007】
別の態様では、細胞トランスフェクションノズル装置を使用して細胞に霧化流体を送達する方法が、請求項1に記載のノズル装置のサンプル注入口に液体サンプルを導入することと、ノズル装置の気体注入口に気体源から空気を導入することと、気体をノズル装置の空洞を通して流すことと、サンプル放出口から出る液体サンプルとハウジングの気体放出口から出る気体とによって形成されたサンプル液滴の霧化噴霧を分注することとを含む。
【0008】
実施形態によっては、分注が、サンプル放出口から出る液体サンプルを気体放出口から出る気体で剪断することを含む。実施形態によっては、気体をノズル装置の空洞を通して流すことが、気体を第1の空洞を通して流すことと、気体を複数の第2の空洞を通して流すことと、気体を、複数の第2の空洞を介して第1の空洞に流体接続された第3の空洞を通して流すこととを含む。実施形態によっては、気体をノズル装置の空洞を通して流すことが、前記第3の空洞において、または気体放出口において、あるいはその両方において、気体の層流をもたらす。実施形態によっては、第1の空洞がハウジングの気体注入口部から流れる気体を細分する。実施形態によっては、方法は、ノズル装置の第1の空洞と第3の空洞との間に配置された複数の第2の空洞を介して、気体を4つの別個の流路に細分することを含む。実施形態によっては、方法は、第3の空洞において細分された気体を再結合することを含む。実施形態によっては、サンプル液滴が約10μm~約10.9μm、約11μm~約11.9μm、約12μm~約12.9μm、約13μm~約13.9μm、約14μm~約14.9μm、約15μm~約15.9μm、約16μm~約16.9μm、または約17μm~約18μmの液滴サイズを有するようにノズル装置からサンプル液滴を噴霧することを含み、サンプル放出口において生成される液滴の80%以上が上記液滴サイズを有する。
【0009】
別の態様では、装置が、第1の端と第2の端とを含むハウジングであって第1の端がサンプル注入口と気体注入口とを含み、第2の端がサンプル放出口と気体放出口とを含むハウジングと、ハウジング内に延び、サンプル注入口をサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路と、ハウジング内に延び、気体注入口を気体放出口に流体結合する気体送達路とを含む。
【0010】
別の態様では、方法が、サンプルが入ったサンプル源を、ノズルのハウジングの第1の端に配置されたサンプル注入口に結合することと、気体が入った気体源を、ノズルのハウジングの第1の端に配置された気体注入口に結合することと、ハウジング内に延び、サンプル注入口をノズルのハウジングの第2の端における出力開口に配置されたサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路内に、サンプルを供給することと、ハウジング内に延び、気体注入口をノズルのハウジングの第2の端における出力開口に配置された気体放出口に流体結合する気体送達路内に、気体を供給することとを含み、気体とサンプルとが出力開口から、細胞トランスフェクションシステムのフィルタ膜上に配置された細胞に霧化噴霧として分注される。
【0011】
別の態様では、ノズル装置が、針と、スリーブと、スリーブを受け入れるように構成されたハウジングとを含む。針は、液体サンプルを受け入れるように構成されたサンプル注入口と、ハブに結合され、中心軸に沿って延びる第1の内径を画定する近位端部と、近位端部に接続され、液体サンプルを分注するためのサンプル放出口を有する遠位端部とを有するハブを含む。スリーブは、近位端から遠位端まで延びる本体であって、遠位端が遠位先端部を含み、外壁と内壁とによって画定された本体と、互いから半径方向に離隔され、本体の外壁から延びる複数の羽根とを含む。ハウジングは、気体を受け入れるように構成された気体注入口を有する気体注入口部と、気体注入口部に流体結合された第1の部分と、スリーブの遠位端を受け入れるように構成された第2の部分と、円錐形であって、第1の部分と第2の部分とに流体結合され、それらの間に延びる第3の部分と、円錐形であって、第2の部分に結合され、気体を分注するように構成された気体放出口を有する第4の部分とを含む。ハウジングとスリーブと針とがともに、気体を流すように構成された空洞を画定し、空洞が、気体注入口部と、ハウジングの第1の部分と第3の部分との少なくとも一部とスリーブの外壁とによって画定された環状空間とを含む第1の空洞と、第1の空洞に隣接し、ハウジングの第2の部分の少なくとも一部とスリーブの羽根とスリーブの本体の外壁とによって画定された複数の第2の空洞と、複数の第2の空洞を介して第1の空洞に流体接続された第3の空洞とを含み、第3の空洞が中心軸に沿った方向に遠位にスリーブの遠位先端部に対して遠位である所定の長さだけ伸び、第3の空洞が、スリーブの外壁の少なくとも一部とハウジングの第3の部分と針の遠位端とによって画定されている。
【0012】
実施形態によっては、装置はハウジングの第2の端に出力開口を含むことができる。出力開口は、装置から気体とサンプルとを含む噴霧(たとえば霧化噴霧)を出力するように構成可能である。実施形態によっては、出力開口は、気体放出口とサンプル放出口とを含むことができる。実施形態によっては、気体送達路がハウジングの第2の端に先細部を含むことができる。先細部は、気体送達路の長手方向軸と気体放出口の長手方向軸との間の測定値であるテーパ角を含むことができる。実施形態によっては、テーパ角は、0度~4.9度、5度~10度、11度~15度、16度~20度、21度~25度、26度~30度、31度~35度、36度~40度、40度~45度、または46度~50度の間とすることができる。
【0013】
実施形態によっては、気体放出口は環状であり、サンプル放出口は、環状気体放出口内に配置することができる。実施形態によっては、気体注入口は、ハウジング内の複数の気体送達路に流体結合することができる。各気体送達路は、複数の気体放出口に含まれるそれぞれの気体放出口に流体結合することができる。実施形態によっては、複数の気体放出口は、サンプル放出口の周囲に円周方向に配置することができる。実施形態によっては、複数の気体放出口は円形または半円形とすることができる。
【0014】
実施形態によっては、ハウジングは、気体放出口とサンプル放出口とに流体結合された混合室をさらに含むことができる。混合室は、出力路を介して出力開口に流体結合することができる。実施形態によっては、サンプル送達路の直径は、0.6mm~0.79mm、0.8mm~0.89mm、0.9mm~0.99mm、1.0mm~1.19mm、または1.20mm~1.30mmとすることができる。実施形態によっては、気体送達路の直径は、0.6mm~0.79mm、0.8mm~0.89mm、0.9mm~0.99mm、1.0mm~1.09mm、1.10mm~1.19mm、または1.20mm~1.30mmとすることができる。実施形態によっては、装置はフォトポリマー材料を含むことができる。
【0015】
別の態様では、方法が提供される。一実施形態では、方法は、サンプルが入ったサンプル源をノズルのハウジングの第1の端に配置されたサンプル注入口に結合することを含むことができる。方法は、気体が入った気体源をノズルのハウジングの第1の端に配置された気体注入口に結合することも含むことができる。方法は、さらに、ハウジング内に延び、サンプル注入口をノズルのハウジングの第2の端における出力開口に配置されたサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路内にサンプルを供給することを含むことができる。方法は、ハウジング内に延び、気体注入口をノズルのハウジングの第2の端における出力開口に配置された気体放出口に流体結合する気体送達路内に気体を供給することを含むことができ、気体とサンプルとが、出力開口から噴霧(たとえば霧化噴霧)として細胞トランスフェクションシステムのフィルタ膜上に配置された細胞に分注される。
【0016】
実施形態によっては、サンプルは、100mbar~119mbar、120mbar~129mbar、130mbar~139mbar、140mbar~149mbar、150mbar~199mbar、200mbar~249mbar、250mbar~349mbar、350mbar~399mbar、400mbar~449mbar、450mbar~499mbar、500mbar~549mbar、550mbar~599mbar、600mbar~649mbar、650mbar~699mbar、または700mbar~750mbarの間の圧力で供給することができる。実施形態によっては、気体は、5LPM~9.9LPM、10LPM~14.9LPM、15LPM~19.9LPM、20LPM~24.9LPM、または25LPM~30LPMの間の流量で供給することができる。実施形態によっては、噴霧(たとえば霧化噴霧)は、20度~21.9度、22度~23.9度、24度~25.9度、26度~27.9度、または28度~30度の間の円錐角で供給することができる。実施形態によっては、噴霧は、10μm~10.9μm、11μm~11.9μm、12μm~12.9μm、13μm~13.9μm、14μm~14.9μm、15μm~15.9μm、16μm~16.9μm、または17μm~18μmの間の液滴サイズを有するサンプル液滴を含むことができ、出力開口によって生じさせた液滴のサンプル液滴の80%以上が上記液滴サイズを有することができる。実施形態によっては、噴霧は40mg~44.9mg、45mg~49.9mg、50mg~54.9mg、55mg~59.9mg、または60mg~64.9mgの間の用量のサンプルを細胞に供給することができる。実施形態によっては、噴霧は、15Pa~19.9Pa、20Pa~24.9Pa、25Pa~29.9Pa、30Pa~34.9Pa、35Pa~39.9Pa、40Pa~44.9Pa、45Pa~49.9Pa、50Pa~54.9Pa、または55Pa~59.9Paの間の衝撃圧力で細胞に接触することができる。
【0017】
別の態様では、方法が提供される。一実施形態では、方法は、第1および第2の端と、ハウジングと、サンプル注入口と、サンプル放出口と、気体注入口と、気体放出口と、ハウジング内に延び、サンプル注入口をサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路と、ハウジング内に延び、気体注入口を気体放出口に流体結合する気体送達路と、ノズルの第2の端における出力開口とを含むノズルのための、モールドを受け入れることを含むことができる。出力開口は、サンプル放出口と気体放出口とを含むことができる。方法は、モールドからノズルを形成することも含むことができる。
【0018】
実施形態によっては、ノズルは、ノズルの第2の端に先細部を含むことができる。先細部は、気体送達路の長手方向軸と気体放出口の長手方向軸との間の測定値であるテーパ角を含むことができる。実施形態によっては、ノズルは、射出成形によって形成される。実施形態によっては、ノズルは、フォトポリマーで形成される。実施形態によっては、ノズルは生体適合材料で形成される。
【0019】
別の態様では、システムが提供される。一実施形態では、システムは、ウエルを含むフィルタプレートを受け入れるように構成されたハウジングを含むことができる。システムは、ウエルに差圧を加えるように構成された差圧印加器も含むことができる。システムは、ウエルに霧化送達溶液を送達するように構成されたノズルをさらに含むことができる。システムは、ウエルに培養媒体を送達するように構成された培養媒体アプリケータも含むことができる。ノズルは、第1の端と第2の端とを含むハウジングを含むことができる。第1の端はサンプル注入口と気体注入口とを含むことができ、第2の端はサンプル放出口と気体放出口とを含むことができる。ノズルは、ハウジング内に延び、サンプル注入口をサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路も含むことができる。ノズルは、ハウジング内に延び、気体注入口を気体放出口に流体結合する気体送達路をさらに含むことができる。
【0020】
実施形態によっては、ノズルはハウジングの第2の端に出力開口を含むことができる。出力開口は、装置から気体とサンプルとを含む噴霧(たとえば霧化噴霧)を出力することができる。実施形態によっては、出力開口は気体放出口とサンプル放出口とを含むことができる。実施形態によっては、ハウジングは、気体放出口とサンプル放出口とに流体結合された混合室を含むことができる。混合室は、出力路を介して出力開口に流体結合することができる。
【0021】
1つまたは複数の実装形態の詳細を、添付図面と以下の説明に記載する。その他の特徴、目的および利点は、説明および図面と特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1Aは、細胞トランスフェクションシステム用のノズルの例示の実装形態の断面図を示す図である。図1Bは、断面A-Aの視点から切り取られた図1Aのノズルの断面図を示す図である。図1Cは、図1Aのノズルの細部Bの断面図を示す図である。図1Dは、図1Bのノズルの細部Cの断面図を示す図である。
図2図2Aは、図1A図1Dのノズルの断面図を示す図である。図2Bは、図1A図1Dのノズルの出力開口の断面図を示す図である。図2Cは、図1A図1Dのノズルから分注された液滴のサイズのプロットである。図2Dは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧を示す画像である。図2Eは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧を示す別の画像である。図2Fは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧のコア噴霧角度とデバイス軸に対する偏向のプロットを示す図である。図2Gは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧パターンを示す画像である。図2Hは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧中の物質の質量のプロットである。
図3図1A図1Dのノズルから様々な気流速度で分注された噴霧パターンを示す画像である。
図4図1A図1Dのノズルから様々な気流速度で分注された液滴のサイズのプロットである。
図5図1A図1Dのノズルから様々な気流速度で分注された噴霧の円錐角と偏向角度のプロットである。
図6-1】図6Aは、図1A図1Dのノズルの例示の実装形態の等角断面図を示す図である。図6Bは、図6Aのノズルの入力端の等角図を示す図である。図6Cは、図6Aのノズルの出力端の等角図を示す図である。
図6-2】図6Dは、図6A図6Iのノズルのスリーブの透視図を示す図である。図6Eは、図6Dのスリーブを示す下面図である。
図6-3】図6Fは、図6Aの切断線6Fに沿った断面図である。図6Gは、図6Aの切断線6Gに沿った断面図である。
図6-4】図6Hは、図6Aの切断線6Hに沿った断面図である。図6Iは、図6Aの切断線6Iに沿った断面図である。
図7-1】図7Aは、図6A図6Iのノズルの複数の空洞の断面図を示す図である。図7Bは、ノズルから取り除かれた図7Aの空洞の透視断面図である。図7Cは、図7Aおよび図7Bの空洞の分解図を示す図である。
図7-2】図7Dは、図6A図6Iのノズルの分解図を示す図である。
図8図8Aは、図6A図7のノズルの針の例示の実装形態の等角図を示す図である。図8Bは、図8Aの針の断面図を示す図である。
図9図9Aは、細胞トランスフェクションシステムにおいて使用するためのノズルの別の例示の実装形態を示す断面図を示す図である。図9Bは、断面A-Aの視点から切り取られた図9Aのノズルの断面図を示す図である。図9Cは、図9Aのノズルの細部Bの断面図を示す図である。図9Dは、図9Bのノズルの細部Cの断面図を示す図である。
図10図10Aは、図9A図9Dのノズルの断面図を示す図である。図10Bは、図9A図9Dのノズルから分注された液滴のサイズのプロットである。図10Cは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧の画像を示す図である。図10Dは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧の別の画像を示す図である。図10Eは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧のコア噴霧角度とデバイス軸に対する偏向のプロットである。図10Fは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧パターンを示す画像である。図10Gは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧中の物質の質量のプロットである。
図11図9A図9Dのノズルから様々な流量で分注された噴霧パターンを示す画像である。
図12図9A図9Dのノズルから様々な気流速度で分注された液滴のサイズのプロットである。
図13図9A図9Dのノズルから様々な気流速度で分注された噴霧の円錐角と偏向角度のプロットである。
図14図14Aは、図9A図9Dのノズルの例示の実装形態の等角断面図を示す図である。図14Bは、図14Aのノズルの入力端の等角図を示す図である。図14Cは、図14Aのノズルの分解図を示す図である。
図15図1A図1Dのノズルによる様々な入力圧力および動作点における流量のプロットである。
図16図1A図1Dのノズルの例示の実装形態から分注された液滴のサイズのプロットである。
図17図9A図9Dのノズルによる様々な入力圧力および動作点における流量のプロットである。
図18図9A図9Dのノズルの例示の実装形態から分注された液滴のサイズのプロットである。
図19】様々な気流速度および製造材料について図1A図1Dおよび図9A図9Dのノズルから分注された液滴のサイズの関係を示す補間プロットである。
図20】細胞トランスフェクションシステムにおいて図1A図1Dまたは図9A図9Dのノズルを使用するための例示のプロセスを示すプロセス流れ図である。
図21】細胞トランスフェクションシステムにおける図1A図1Dまたは図9A図9Dのノズルを製造する例示のプロセスを示すプロセス流れ図である。
図22】本明細書で開示されているいくつかの実装形態による細胞トランスフェクションシステムの例示の実施形態を示すコンピュータ支援設計(CAD)図面を示す等角図である。
図23図23Aは、図22に示す細胞トランスフェクションシステムを示す側面図である。図23Bは、図22に示す細胞トランスフェクションシステムを示す前面図である。
図24】本明細書で開示されるいくつかの実装形態による図22に示す細胞トランスフェクションシステムの別の例示の実施形態を示す側面図である。
図25】本明細書で開示されているいくつかの実装形態による細胞トランスフェクションシステムの別の例示の実施形態の画像を示す図である。
図26図25に示す細胞トランスフェクションシステムを示す図である。
図27図25に示す細胞トランスフェクションシステムを示す第2の図である。
図28図25に示す細胞トランスフェクションシステムの一部を示すクローズアップ図である。
図29図1A図1Dのノズルの実装形態のさらなる実施形態を示す表である。
図30図1A図1Dのノズルの別の実装形態のさらなる実施形態を示す表である。
図31図9A図9Dのノズルの実装形態のさらなる実施形態を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
様々な図中の同様の参照記号は同様の要素を示す。
【0024】
細胞トランスフェクションは、トランスフェクションのための細胞の表面に流体溶液を塗布することを含み得る。流体は、細胞への物質の送達を向上させるために細胞に噴霧(たとえば霧化噴霧)として供給することができる。噴霧は、細胞トランスフェクションシステムに配置されたノズルによって細胞に分注することができる。ノズルは、流体溶液と気体を受け入れることができ、噴霧を形成するように流体溶液と気体とを混合することができる。
【0025】
商用霧化ノズルは一般に、数秒、数分、数時間または数日にわたり連続的または半連続的に動作させられることが意図されている。性能は、霧化の開始または霧化の停止における霧化性能は重視せずに、定常状態において特徴づけられることがある。そのようなノズルの例には、定量吸入器、薬物吸入投与用ノズル、および錠剤コーティングノズルが含まれ得る。上記のデバイスは、数秒から数日までの範囲の期間にわたり動作するように構成可能である。さらに、定量吸入器は、微小分子、ペプチド、タンパク質、核酸送達を含むカーゴ用に設計されたノズルを含むことがあるが、これらのノズルは送達されるカーゴ分子に対する高い剪断力を生じさせ得る。したがって、定量吸入器において使用されるようなノズルは、本明細書に記載のノズルおよびシステムには代用可能または使用可能ではない場合がある。
【0026】
細胞トランスフェクションのために細胞生存能力を維持することと細胞に物質を有効に送達することが、細胞トランスフェクションシステムのコンポーネントの設計において重要な考慮事項となり得る。十分な送達を実現することができ、細胞生存能力を維持することができるように流体の噴霧(たとえば霧化噴霧)を送達するためにノズルを設計することは難しい場合がある。たとえば、透過処理剤を含有する溶液などの多過ぎる溶液を分注するノズル設計は、細胞生存能力を低下させる可能性がある。少な過ぎる透過処理溶液を分注するノズル設計は、細胞を十分に透過処理しない可能性がある。
【0027】
本明細書に記載のノズルのいくつかの実装形態は、1600mbarと3000mbarの間の圧力変動を可能にすることができる。その結果の速度の変化は、噴霧パターンの対称性、均一性および一貫性の変化を生じさせずに起こり得る。その結果、本明細書に記載のノズルの一部の実装形態は、特定の標的細胞種類のためにトランスフェクションプロセスを最適化または調整する様々な自由度を提供することができる。本明細書に記載のノズルの一部の実装形態は、改良されたおよび/または最適なトランスフェクション条件を提供することができる液滴サイズと細胞サイズとの1:1比を実現することができるように、標的細胞のサイズ(たとえば約10マイクロメートル)に近いサイズの液滴を生成することができる。ノズルおよび/または噴霧ノズルは、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおける噴霧器を含むことができる。
【0028】
本明細書に記載のノズル装置およびノズルシステムは、ノズル装置および/またはノズルシステムが使い捨てである使い捨て装置または使い捨てシステムとして構成することができる。一部の態様では、ノズル装置および/またはノズルシステムは、ノズルが使用のたびに清掃、殺菌、洗浄または洗い流し可能な、複数回使用のために構成される。
【0029】
同様に、流体または物質が細胞に接触する衝撃圧力は、細胞への送達に影響を及ぼし得る。たとえば、特定の圧力で散布される液滴など、十分な力で細胞に衝突する液滴は、細胞の膜を乱す可能性がある。流体の噴霧が細胞に高過ぎる衝撃圧力で接触する場合、細胞が損傷を受け、トランスフェクションのために使用することができなくなる可能性がある。流体の噴霧が細胞に低い衝撃圧力で接触する場合、細胞への物質の送達が減少する可能性がある。
【0030】
さらに、噴霧のパターンも細胞への物質の送達に影響を与える可能性がある。噴霧パターンが不規則な形状であるか、または、細胞が位置する表面に直接供給されない場合、送達が減少する可能性がある。
【0031】
したがって、送達および細胞生存能力は、ノズル設計に関する様々な要因によって影響を受ける可能性がある。細胞に物質を効果的に送達するための流量、衝撃圧力、液滴サイズおよび噴霧パターンで一貫した噴霧を提供することは、従来のノズル設計を使用して実現することが困難である可能性がある。
【0032】
本主題のいくつかの実装形態は、細胞トランスフェクションのためなど、細胞への物質の送達に使用するためのノズルを含むことができる。本明細書に記載のノズルの一部の実装形態は、一部の実装形態では細胞への物質の送達を向上させ、細胞生存能力を維持することができる噴霧(たとえば霧化噴霧)を形成するように、気体と流体の混合を実現するようになされたそれぞれの放出口を含むことができる、流体送達路と気体送達路を含むことができる。たとえば、一部の実施形態では、気体放出口は、中心軸からの噴霧の逸脱を既存のノズル設計と比較して低減することができるように、サンプル放出口を基準にして同心配置に構成することができる。ノズルのサンプル線路における高い流体抵抗が、必要用量を送達するためにより高いサンプル圧力の使用を可能にすることができる。より高い圧力は、通常、圧力調整デバイスの下端ではなく圧力調整デバイスの中間部内にあることが多く、それによって用量の全体的精度を向上させることができるため、より高い圧力は有利となり得る。
【0033】
標準流体接続の使用は、一部の既存ノズル設計と比較して、ノズルのより容易な製造を可能にすることができる。本明細書に記載の一部の実施形態とその幾何形状的特徴は、液滴サイズ、円錐角、および衝撃力などの特徴を圧力コントローラを使用して容易に実現することができるように、噴霧を最適化するために調整することができる。本明細書に記載の実施形態のモジュール形式も、ノズル内の複雑な内部幾何形状のより容易な製造を可能にすることができる。
【0034】
本明細書に記載のノズルおよびノズル設計の一部の実装形態は、現行のノズルよりも、様々な流体および気体流量でより正確に細胞に向けられた噴霧パターンをより一貫して提供することができる。一部の実装形態では、本明細書に記載のノズルは細胞送達を改良し、細胞生存能力を維持するように、送達流体の衝撃圧力と液滴サイズとを改良することができる。本明細書に記載のノズル設計の実証済みの利点は、細胞工学で一般的に使用される生物学的カーゴの損傷の低減である。したがって、本明細書に記載のノズル設計の一部の実装形態は、標的細胞に対する剪断応力関連損傷をほとんど、またはまったく生じさせなくすることができる。
【0035】
さらに、本明細書に記載のノズルの一部の実装形態は、霧化をほぼ瞬時に(たとえばきわめて迅速に)開始および停止することができ、数ミリ秒から数秒の期間、動作定常状態で動作することができる。ノズルに対向するフィルタ膜上の細胞の正常なトランスフェクションのためには、液滴(たとえば霧化液滴)の噴霧またはプルームは対称で均一であり、一貫して再現可能であって、「オフ」構成と「オン」構成の間およびその逆の遷移時間が最小である必要がある。本明細書に記載のノズルの一部の実装形態は、「オフ」構成と「オン」との間の遷移の場合の20ms未満の遷移時間と、「オン」構成と「オフ」構成との間の遷移の場合の10ms未満の遷移時間を達成することができる。「オン」構成と「オフ」構成(およびその逆も)の間に大きな遷移時間がないことにより、本明細書に記載のノズルの一部の実装形態は、より短い総遷移期間で、より予測可能で効率的な噴霧を標的細胞に供給することができ、それによってトランスフェクションをより効率的にすることができる。既存の細胞トランスフェクションシステムは、500msを超えるトランスフェクション期間を必要とすることがあり、それによって、細胞の乱れの度合いがより大きくなり、細胞の生存能力が低下する。
【0036】
図1Aに、細胞トランスフェクションシステムで使用するためのノズルの例示の実装形態の断面図を示す。図1Aに示すように、ノズル100はハウジング105と出力開口110とを含む。実装形態によっては、ハウジング105は円筒形とすることができるが、他の形状も含まれ得る。出力開口110は、ノズル100によって混合された液体と気体とからなる噴霧(たとえば霧化噴霧)を分注するように構成可能である。
【0037】
図1Bに、断面A-Aの視点から切り取られた図1Aのノズルの断面図を示す。図1Bに示すように、ノズル100は、気体が入った気体供給源をそこでノズル100に結合することができる入力端115を含むことができる。実装形態によっては、流体を含む流体供給源も入力端115においてノズル100に結合することができる。実施形態によっては、流体は入力端115においてノズル100に結合されたサンプル供給源に含まれているサンプルとすることができる。ノズル100は、出力端120も含むことができる。ノズル100は、気体と流体またはサンプルをそこで分注することができる出力端120も含むことができる。ハウジング105も同様に入力端と出力端を含むことができ、それぞれ入力端115および出力端120に対応する。
【0038】
ノズル100は、入力端115に配置された気体注入口125を含むことができる。気体注入口125は、気体供給源に結合することができ、1つまたは複数の気体送達路135に流体結合することができる。気体送達路135は、ハウジング105内に延びることができ、出力端120において終端することができる。ノズル100は、入力端115に配置された流体またはサンプル注入口130も含むことができる。流体またはサンプル注入口130は、1つまたは複数のサンプル送達路140に流体結合することができる。サンプル送達路140は、ハウジング105内に延びることができ、出力端120で終端することができる。
【0039】
実施形態によっては、サンプル送達路140は、円筒形とすることができ、いかなる内部機構もなしに、またはノズルの内径の変化もなしに、ノズル100を軸方向に通るように構成可能である。この単純な流体路は、ノズル100内での乱流と気泡の形成とを最小限にすることができ、これは、均一で一貫した液滴の霧化噴霧またはプルーム(たとえば霧化液滴)の実現に寄与することができる。中央流体路の内部容積は約15μLとすることができる。
【0040】
図1Cに、図1Aのノズルの細部Bの断面図を示す。図1Cに示すように、出力端120は、出力開口110を含むことができ、気体放出口145とサンプル放出口150も含むことができる。実施形態によっては、ノズル100は、1つまたは複数の気体放出口145と1つまたは複数のサンプル放出口150を含むことができる。実施形態によっては、出力開口110は、1つまたは複数の気体放出口145と1つまたは複数のサンプル放出口150を含むことができる。ノズル100は、出力開口110の外部で気体と流体を混合するように構成することができる。
【0041】
気体放出口145は、サンプル放出口150と同心とすることができ、ノズルから放出されるときに気体を霧化するためのより直線的な流路を形成することができる。同心気体放出口145の小口径機構は、霧化時にサンプルに均一または最適な剪断応力を与えることができる。サンプル放出口150は気体放出口145と平行とすることができ、それによってノズル気流への液体の形良く形成された流体的に安定した噴射を可能にすることができる。本明細書に記載のノズルの全体的な幾何形状は、噴霧中に対称な噴霧を維持し、収率損失を最小限にしながら、一連の動作条件の探索を可能にすることができる。
【0042】
図1Dに、図1Bのノズルの細部Cの断面図を示す。図1Dに示すように、気体送達路135を、先細部155を介して気体放出口145に結合することができる。先細部155は、気体送達路135の中心軸と気体放出口145とを基準にした測定値であるテーパ角を有して構成することができる。
【0043】
図2Aに、図1A図1Dのノズルの断面図を示す。図2Aに示すように、実施形態によっては、ノズル100は直径1mmのサンプル送達路140を含むことができる。実施形態によっては、サンプル送達路140の直径は、サンプル放出口150の直径と同じかまたは異なっていてもよい。実施形態によっては、サンプル送達路140(および/またはサンプル放出口150)の直径は、0.6mm~0.79mm、0.8mm~0.89mm、0.9mm~0.99mm、1.0mm~1.09mm、1.10mm~1.19mm、または1.20mm~1.30mmの間とすることができる。実装形態によっては、サンプル送達路140および/またはサンプル放出口150の直径は、0.6mm未満または1.3mmより大きくすることができる。サンプル送達路140および/またはサンプル放出口150の直径は、サンプルの表面張力またはサンプルがノズルに供給される圧力に基づいて選択することができる。
【0044】
図2Aにさらに示すように、ノズル100は、サンプル送達路140とサンプル放出口150の周囲にそれぞれ配置された、気体送達路135と気体放出口145を含むことができる。実施形態によっては、気体送達路135(および/または気体放出口145)の直径は、0.6mm~0.79mm、0.8mm~0.89mm、0.9mm~0.99mm、1.0mm~1.09mm、1.10mm~1.19mm、または1.20mm~1.30mmとすることができる。実装形態によっては、気体送達路135および/または気体放出口145の直径は、0.6mm未満、または1.3mmより大きくすることができる。図2Aに示すように、例示の気体放出口145の直径は0.2mmである。
【0045】
テーパ角θは、気体放出口145の長手方向軸または中心軸と気体送達路135の長手方向軸または中心軸との間に形成可能である。実施形態によっては、テーパ角θは、0度~4.9度、5度~10度、11度~15度、16度~20度、21度~25度、26度~30度、31度~35度、36度~40度、41度~45度、または46度~50度の間とすることができる。実施形態によっては、テーパ角は50度より大きくすることができる。
【0046】
図2Bに、図1A図1Dのノズルの出力開口110の断面図を示す。図2Bに示すように、気体放出口145は環状形状を有し、サンプル放出口150の外周の周囲に位置する。気体放出口145の環状形状は、サンプルの液体バルクにかかる剪断を最小限にした状態で、気流をサンプル放出口150に向かって集中させることを意図して、対称な空気放出口を使用してノズルの先端部における霧化を可能にすることができる。これにより、対称で安定した噴霧を送達することができる。
【0047】
図2Cは、図1A図1Dのノズルから分注された液滴のサイズのプロットである。図2Cに示すように、ノズル100から分注された液滴のサイズは約10μm~12μmとすることができる。実施形態によっては、液滴のサイズは、0μm~9.9μm、10μm~10.9μm、11μm~11.9μm、12μm~12.9μm、13μm~13.9μm、14μm~14.9μm、15μm~15.9μm、16μm~16.9μm、または17μm~18μmの間とすることができる。実施形態によっては、液滴は18.0μmより大きくすることができる。均一な液滴サイズ分布は、カーゴの均一な分布を可能にすることができる。さらに、液滴サイズ範囲は、標的細胞のサイズ範囲とほぼ同等とすることができ、これは細胞の良好なトランスフェクションをもたらすことが実証されている。実施形態によっては、出力開口110によって生じるサンプル液滴の80%以上が、上記の範囲の液滴サイズを有することができる。
【0048】
図2Dは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧の画像である。図2Dに示すように、噴霧は、対称なパターンまたは形状を形成するように十分に形成され、霧化され、その結果として、細胞の標的面全体にわたって霧化サンプル(またはカーゴ)の均一な分布を生じさせることができるので有利である。
【0049】
図2Eは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧の別の画像である。図2Eに示すように、ノズル100から放出される噴霧の円錐は、ノズル100の下の表面に対して垂直であり、ノズル100の中心軸に対して相対的な偏向が最小限である。このようにして、噴霧の円錐の偏向角度を補正するために調整または追加の機器を必要とせずに、噴霧の円錐が、送達のために細胞が置かれている表面を一貫してカバーすることができる。
【0050】
図2Fは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧のデバイス軸に対するコア噴霧角度と偏向のプロットである。図2Fに示すように、円錐角(上部プロット線)は20度と30度の間で変動し得る。円錐角は、円錐の中心軸から噴霧の円錐が接触している表面において測定される円錐の外縁までの測定値とすることができる。実施形態によっては、円錐角は、20度~21.9度、22度~23.9度、24度~25.9度、26度~27.9度、または28度~30度の間とすることができる。ノズル100に対して相対的な偏向の角度(下部プロット線)は、0度と5度の間で変動し得る。
【0051】
図2Gは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧パターンの画像である。図2Gに示すように、ノズル100によって放出される噴霧パターンは、放射状に配置された液滴の集中を有する均一な分布とすることができる。図2Gに示すように、霧化カーゴは均等に分布されている。放射状パターンは、サンプルが放射状の線に沿って流出して細胞と接触することができるため、トランスフェクションの二次作用モードを示唆している可能性がある。
【0052】
図2Hは、図1A図1Dのノズルから分注された噴霧内の物質の質量のプロットである。物質は、噴霧内に供給されるサンプルまたは流体とすることができる。図2Hに示すように、ノズル100の霧化噴霧内に供給される物質の質量(または用量)は、50mgと60mgの間で変動し得る。実施形態によっては、質量または用量は、40mg~44.9mg、45mg~49.9mg、50mg~54.9mg、55mg~59.9mg、または60mg~64.9mgの間とすることができる。物質またはサンプルは、15Pa~19.9Pa、20Pa~24.9Pa、25Pa~29.9Pa、30Pa~34.9Pa、35Pa~39.9Pa、40Pa~44.9Pa、45Pa~49.9Pa、50Pa~54.9Pa、55Pa~59.9Paの間、または55.9Paより高い衝撃圧力で細胞まで供給可能である。実施形態によっては、衝撃圧力は、15.0Pa未満または60.0Paより高くすることができる。
【0053】
送達されるサンプル物質の質量の厳格な制御を行うことは、細胞トランスフェクションシステムにおける用量制御にとって重要となり得る。適切な用量制御は、トランスフェクションが確実に最適レベルで行われるようにすることができるが、カーゴへの過剰暴露に起因する細胞損傷の可能性を低減することもできる。同様に、衝撃圧力の制御は、膜撹乱を促進するのに十分な圧力を提供しながら、細胞を過度の損傷から保護することができる。
【0054】
図3は、図1A図1Dのノズルから様々な流量で分注された噴霧パターンの画像を含む。図3に示すように、ノズル100は異なる流量で異なる形状の噴霧を放出することができる。たとえば、表1の設定が円錐画像1~4と、各円錐画像の下に示す関連噴霧パターン画像に対応する。
【0055】
【表1】
【0056】
図3に示すように、噴霧円錐は供給される空気の圧力に基づいて形状を変えることができる。本明細書に記載のノズルの構造は、標的とされている細胞種類のために衝撃圧力と液滴分散とのバランスを最適化することができるように、噴霧が調整されることを可能にすることができる。
【0057】
図4は、図1A図1Dのノズルから分注された液滴のサイズのプロットである。図4に示すように、ノズル100は、流体または噴霧が異なる流量で分注されると異なるサイズを有する液滴を分注することができる。たとえば、図4に示すように、より低い流量では液滴サイズがより大きい。より高速の流量では液滴サイズがより小さい。このようにして、本明細書に記載のノズルは、対象細胞種類に基づく噴霧の調節を可能にすることができる。
【0058】
図5は、様々な気流速度で図1A図1Dのノズルから分注された噴霧の円錐角と偏向角度のプロットである。図5に示すように、ノズル100から放出される噴霧の円錐角は、0LPMと35LPMの間の気流速度の場合に20度と30度の間で変動し得る。噴霧円錐の偏向角度は、0LPMと35LPMの間の気流速度の場合に0度と-5度の間で変動し得る。
【0059】
図6A図6Bおよび図6Cに、図1A図1Dのノズル装置またはノズルシステムの例示の実装形態を示す。ノズル600は、入力端605と出力端610を含む。ノズル600は、ハウジング615とスリーブ620と針625とを含む。ハウジング615は、ノズル600とともに使用される細胞、サンプル流体、カーゴ、またはプロセス条件に応じて交換可能とすることができる。このようにして、使用時にノズル600を標準化することができ、その他のシステム変数を特定の細胞、サンプル、カーゴまたはこれらの組合せ用に調整することができる。スリーブ620は、ハウジング615に挿入することができ、スリーブ620内で針625を受け入れることができる。
【0060】
図6A図6Cに示すように、針625は、サンプル供給源(図示せず)に結合されるように構成されたサンプル注入口630を含む。サンプル注入口630は、針625の内腔によって形成されたサンプル送達路635に流体結合することができる。針625は、出力端610において終端することができる。針625は、液体サンプルを受け入れるために構成されたサンプル注入口630を備えたハブ627を含む。ハブ627は、実施形態によってはルアー式接続を介してサンプル源に接続する。針625がハウジング615内に受け入れられると、針625のハブ627の少なくとも一部が、ハウジング615の近位端を通して挿入される。針625は、ハブ627に結合され、中心軸632(図6Bに示す)に沿って延びる第1の内径631を画定する、近位端部629を含む。針625は、近位端部629に接続され、液体サンプルを分注するためのサンプル放出口665を有する、遠位端部633を有する。遠位端部633は、第1の内径631より大きい第2の内径634を画定する。第1の内径より大きい第2の内径634は、針625によって送達されるサンプルに与えるサイフォン効果を有利に低減することによって、きわめて均一な噴霧を提供するのに重要となり得る。高速で移動する空気によって生じる針先端部におけるより低い圧力によってサンプルが針管腔内で針管腔に沿ってサイフォン式に吸い上げられると、針の管腔に気泡が導入される可能性があり、サンプルの流れとその結果の霧化噴霧に望ましくない分断を生じさせる可能性がある。さらに、第1の内径631は、サイフォン効果からサンプルを分離し、それによってサンプル導入を制御する主要手段である背圧をサンプルに加えさせ、結果の霧化噴霧をより制御しやすくする。一部の態様では、望ましくないサイフォン効果を防止するように機能する狭窄を針管腔に設けるように、針625の第1の直径631は、針の第2の直径634より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%小さい。一部の態様では、針625の第1の直径631は、100マイクロメートルと800マイクロメートルの間、または200マイクロメートルと400マイクロメートルの間の直径を有する。一部の態様では、第2の直径634は、200マイクロメートルと1500マイクロメートルの間、または500マイクロメートルと950マイクロメートルの間の直径を有する。
【0061】
図6A図6D図6Eに最もよく示すように、スリーブ620は、近位端642から遠位端643まで延びる本体641を含む。スリーブ620の遠位端643は、遠位先端部644を含む。本体641は、外壁646と内壁647とによって画定されている。内壁647の少なくとも一部と外壁646とが、近位端642と遠位端643との間の中心軸632に対して角度をなして延びている。近位端642において、内壁647が針625のハブを受け入れ、ハブ627と係合するかまたは接触するような寸法とされている。遠位端643において、内壁647が針625の遠位端部633を受け入れるような寸法とされている。
【0062】
スリーブ620は、互いから半径方向に離隔され、本体641の角度をなした外壁646の少なくとも一部から延びる、複数の羽根645を含む。複数の羽根645は互いから等距離にある。一部の態様では、複数の羽根645は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くの羽根を含む。複数の羽根645は、ハウジング615内に収まるように先細になっている。一部の態様では、複数の羽根645は、羽根645のうちの各羽根645の長さに沿って一定した幅と高さを有する。一部の態様では、複数の羽根645は、羽根645のうちの各羽根645に沿って可変幅および/または可変高さを有する。複数の羽根645は、スリーブ620の周囲に90度の等角度の間隔で離隔した4つの羽根を含むことができる。
【0063】
ノズル装置内の気体(たとえば空気)の望ましい流れの特性(たとえば層流)を得やすくするために、ハウジングの一部において複数の羽根645とハウジング615の壁との間に間隙距離が存在することができる。複数の羽根645とハウジング615の内壁との間の間隙距離は、ハウジング615内の特定の位置で異なることができる。たとえば、スリーブの近位端642における間隙距離は、ハウジング615の第1の円錐部661に沿った複数の羽根645とハウジング615との間の間隙距離よりも小さくてもよい。複数の羽根645は、ノズル600の組み付けおよび動作時にスリーブ620のハウジング615との適正な位置合わせを確実にする機能を果たすことができる。ノズル装置の空洞内の流動性気体を細分するために、複数の羽根645の間に1つまたは複数の気体送達路を形成することができる。1つまたは複数の気体送達路は、複数の空洞に言及して以下で詳述するように、気体注入口640に流体結合することができる。
【0064】
図6A図6Bおよび図6Cに示すように、ハウジング615は流動性気体を受け入れ、送達するための複数の部分を含む。ハウジング615は、入力端605において気体注入口640を画定する気体注入口部651を含む。気体注入口640は、出力端610において1つまたは複数の気体送達路に流体結合することができ、気体注入口部651は気体注入口640を受け入れるように構成されている。ハウジング615は、気体注入口部651に流体結合された第1の円筒部652を含む。第1の円筒部652は、スリーブ620の少なくとも一部(たとえばスリーブ620の近位端642)と解放可能に結合するように構成されている。第1の円筒部652は、中心軸632に沿った方向に延びている。一部の態様では、気体注入口640が第1の円筒部652に対して直角に配置される。気体注入口部651は、羽根645のうちの1つが、気体注入口部651からハウジング615の他の各部分に流入する流路を分岐させるように配置することができる。気体の流路を分岐させる羽根は、気体を等しい予測可能な流れのパターンでスリーブ620の周囲を移動するように向け直す。実施形態によっては、ハウジングは気体注入口部を含まないが、気体をハウジング615の他の部分(たとえば第1の円筒部652)に導入する。実施形態によっては、ハウジングの他の部分(たとえば第1の円筒部652)に対して鋭角または鈍角で導入される。
【0065】
続けて図6A、6Bおよび6Cを参照すると、ハウジング615は、第2の円筒部653を含む。第2の円筒部653は、第1の円筒部652の円筒内径より小さい円筒内径を有する。第2の円筒部653は第1の円筒部652から遠位に位置することができる。第2の円筒部653は、スリーブ620の遠位端643を受け入れるように構成されている。一部の態様では、複数の羽根645のそれぞれが、ハウジング615に収まるように先細になっており、第2の円筒部653の少なくとも一部と接触する。実施形態によっては、ハウジングは1つの円筒部(たとえば第1の円筒部652または第2の円筒部653)のみを含む。実施形態によっては、ハウジングは複数の(たとえば2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の)円筒部を含む。
【0066】
図6Aおよび図6Cを参照すると、ハウジング615は、第1の円筒部652と第2の円筒部653とに流体結合され、その間に延びる第1の円錐部661も含む。ハウジング615は、第2の円筒部653に結合され、気体を分注するように構成された気体放出口670を有する第2の円錐部663を含む。第2の円錐部663は、第1の円錐部661の最小内径と等しい最大内径によって画定されている。第1の円錐部661と第2の円錐部663の内壁は、同じテーパ角で先細になっている。一部の態様では、針625は、第1の円錐部661の近位において、または第1の円錐部661において、第2の直径634に拡大する。一部の態様では、スリーブ620とハウジング615との間に画定された空洞内を流れる気体に大きな流量変化を有利に生じさせるように、スリーブ620の外壁646のテーパ角は、ハウジング615の第1の円錐部661および第2の円錐部663のテーパ角より小さい。このテーパ角の差は、気体放出口670における気体の望ましい流れのパターンを容易にする。また、このテーパ角の差は、スリーブ620とハウジング615との間の空洞容積を最大限にすることによって、および、複数の羽根645が空洞内の気体循環に与える影響を最小限にすることによって、ノズルアセンブリ600の改良された構成を容易にする。
【0067】
図6Bを参照すると、ハウジング615の入力端605は鍵機構655を含むことができる。鍵機構655は、スリーブ620の対応する鍵機構656(図6D参照)と噛み合うように構成することができる。鍵機構655は、ハウジング615を基準にしてスリーブ620の回転位置合わせを制御し、維持するように構成することができる。ハウジング615は、フランジ部650も含むことができる。フランジ部650は、ノズル600が確実にトランスフェクションデバイス内に正しく位置づけられるようにし、ノズル出力端610と噴霧を受ける細胞を含む表面との間の望ましい(プラットフォーム独立な)距離を維持することができる。
【0068】
図6Cに、図6Aのノズルの出力端の等角図を示す。図6Cに示すように、出力端610は、サンプル放出口/空気アニュラス660を含むことができる。サンプル放出口/空気アニュラス660は、サンプル放出口665と気体放出口670を含むことができる。サンプル放出口665は、均一な液滴サイズおよび形成を確実にするように、気体放出口670内に同心状に位置づけられている。
【0069】
図6F図6G図6H図6I図7A図7B図7Cおよび図7Dに示すように、ハウジング615とスリーブ620と針625とがともに、気体を流すために構成された空洞を画定する。一部の態様では、空洞は互いに連続している。空洞は、ハウジング615の気体注入口部651と、ハウジングの第1の円筒部652の少なくとも一部とハウジング615の第1の円錐部661とスリーブ620の外壁646とによって画定された環状空間とを含む、第1の空洞701(図6F図6G図7A図7C参照)を含むことができる。第1の空洞701は、ハウジング615の第1の円錐部661とスリーブ620の外壁646との間の環状空間を含む、先細部701aも含む。第1の空洞701は、500mmと1500mmの間、800mmと1300mmの間、900mmと1100mmの間、1050mmと1100mmの間、および約1080mmの容積を有することができる。先細部701aは、50mmと250mmの間、100mmと200mmの間、130mmと190mmの間、170mmと180mmの間、および約177mmの容積を有することができる。第1の空洞701と先細部701aは、乱流または層流特性を有する気体を流すための形状および大きさとすることができる。
【0070】
図6Hおよび図7A図7Cに示すように、ノズルは複数の第2の空洞702を含む。複数の第2の空洞は、第1の空洞701(および先細部701a)に隣接している。複数の第2の空洞702は、ハウジング615の第2の円筒部653の少なくとも一部と、複数の羽根645と、スリーブ620の本体641の角度をなした外壁646とによって画定されている。複数の第2の空洞702は互いに同一平面上にある。複数の第2の空洞702は、第2の円筒部653と接触するように延びている複数の羽根645によって互いに分離されている。一部の態様では、複数の第2の空洞702のそれぞれが第1の空洞701(先細部701aを含む)または第3の空洞703あるいはその両方の容積より小さい容積を画定している。複数の第2の空洞702は、20mmと80mmの間、30mmと70mmの間、40mmと60mmの間、50mmと60mmの間、および約55mmの容積を有することができる。複数の第2の空洞702は、乱流または層流特性を有する気体を流すための形状および大きさとすることができる。複数の第2の空洞702は、複数の第2の空洞702が第1の空洞701内の気体乱流よりは乱れないように上述のような大きさおよび形状とすることができる。
【0071】
図6Iおよび図7A図7Cに示すように、空洞は第3の空洞703を含む。第3の空洞703は、複数の第2の空洞702を介して第1の空洞701と先細部701aとに流体接続されている。第3の空洞703は、中心軸632(図7C参照)に沿った方向に、スリーブの遠位先端部644に対して遠位である所定の距離だけ遠位に延びている。第3の空洞703は、スリーブ620の外壁646の少なくとも一部と、ハウジング615の第2の円錐部663と、針625の遠位端634とによって画定されている。第3の空洞703は、針625の遠位部633の外表面を囲む出口空洞704を含むことができる。一部の態様では、出口空洞704と気体放出口670とは交換可能である。第3の空洞703は、第2の空洞702全体または個別の容積より大きいが、第1の空洞701(先細部701aを含む)の容積よりは小さい容積を有することができる。第3の空洞703は、5mmと50mmの間、10mmと45mmの間、20mmと40mmの間、25mmと35mmの間、および約32mmの容積を有することができる。第3の空洞703は、乱流または層流特性を有する気体を流すための形状および大きさとすることができる。第3の空洞703は、第3の空洞703内の気体流が層流であるかまたは少なくとも他の空洞(たとえば第1の空洞701および/または第2の空洞702)内の気体乱流より乱れないように、上述のような大きさおよび形状とすることができる。
【0072】
ノズル装置600は、噴霧を形成するために水溶液を気体推進するように構成される。たとえば、水溶液は、気体放出口670から出る気体によってサンプル放出口665から気体推進することができる。噴霧を形成するための水溶液の気体推進は、細胞集団を水溶液量と接触させるために使用することができる。一部の実施例では、気体は窒素、大気、または不活性ガスを含み得る。
【0073】
図7Dに、図6A図6Cのノズルの分解図を示す。図7に示すように、ノズル600は、ハウジング615とスリーブ620と針625とを含むことができる。スリーブ620は、ハウジング615に挿入することができる。針625はスリーブ620に挿入することができる。
【0074】
図8Aに、図6A図7のノズルの針の例示の実装形態の等角図を示す。図8Aに示すように、針800は本体805を含むことができる。本体805は、サンプル源からそこを通してサンプルまたは流体を供給することができるサンプル注入口810を含むことができる。サンプル注入口810は、中空管815に流体結合することができる。中空管815内にはサンプル送達路を形成することができる。中空管815とサンプル送達路は、サンプル放出口820で終端することができる。
【0075】
実施形態によっては、サンプル源はノズルの上に直接取り付け可能であり、最小の動作圧力で開くように構成された逆止バルブを介してノズルに結合することができる。貯留槽に1mbarと300mbarの間の圧力が加えられると、サンプルを霧化のためにノズルまで流体移送することができる。
【0076】
図8Bに、図8Aの針の断面図を示す。図8Bに示すように、中空管815が中にサンプル送達路820を含むことができる。サンプル注入口810の直径は0.2mm~0.3mmとすることができ、たとえばサンプル注入口810の直径は図8Bに示すように0.25mmとすることができる。サンプル送達路820の直径は、0.8mm~1.0mmとすることができ、たとえばサンプル送達路820の直径は、図8Bに示すように0.91mmとすることができる。中空管815の直径は1.1mm~1.4mmとすることができ、たとえば中空管815の直径は図8Bに示すように1.24mmとすることができる。中空管815は、サンプル送達路820より小さい内部容積を含むことができる。中空管815に対して相対的なサンプル送達路820の狭窄は、高い背圧を生じさせることができ、サンプルを送達するためのより大きな制御を可能にすることができ、円筒状および環状のサンプル送達制御を可能にすることができる。その結果、ノズル600は1回の噴霧中の期間および散布サンプル量についてより大きな制御を与えることができる。さらに、ノズル600は、ステージ(たとえば標的細胞を保持するプラットフォームまたは膜)を基準にして構成することができ、ノズル600は、ノズル600をステージに対して角度を付ける必要なしに、ステージ(およびその上の細胞)に向けて垂直の状態でまっすぐに向けることができる。
【0077】
実施形態によっては、中空管815の長さは20.0mm~40.0mmとすることができ、たとえば中空管820の長さは図8Bに示すように30.0とすることができる。実施形態によっては、針800はルアー式接続を含むことができる。実施形態によっては、針800は2本の接着された針を含むことができる。たとえば、図8Bに示すように、第1の針を16.50mmの寸法とすることができ、第2の針を30.00mmの寸法とすることができる。このようにして、針800は流量を制御し、サイフォン化を防ぐように構成された可変内径を含むことができる。
【0078】
図9Aに、細胞トランスフェクションシステムにおいて使用するためのノズルの別の例示の実装形態の断面図を示す。図9Aに示すように、ノズル900はハウジング905と出力開口910とを含む。実施形態によっては、ハウジング905は円筒形とすることができるが、他の形状も含まれ得る。出力開口910は、ノズル900によって混合される流体と気体とからなる霧化噴霧を分注するように構成することができる。ノズル900は、ノズル900内でサンプルと気体を内部で混合するように構成することができる。周囲の空気の高速流を制御することによって、噴霧の焦点合わせと同時にサンプルの全体を霧化することができる。この設計は、対称で安定した噴霧パターンを与え、より低流量でのより微小な液滴サイズを実現し、より良好なカバー範囲を有する噴霧パターンを提供することができるので有利である。
【0079】
図9Bに、断面A-Aから見た図9Aのノズルの断面図を示す。図9Bに示すように、ノズル900は、気体が入った気体供給源をそこでノズル900に結合することができる入力端915を含むことができる。実施形態によっては、流体を含む流体供給源も入力端915でノズル900に結合することができる。実施形態によっては、流体は、入力端915においてノズル900に結合されたサンプル供給源に含まれるサンプルとすることができる。ノズル900は、出力端920も含むことができる。ノズル900は、気体と流体またはサンプルを含む霧化噴霧をそこで分注することができる出力端920も含むことができる。ハウジング905も同様に入力端と出力端を含むと言うことができ、それぞれ入力端915および出力端920に対応し得る。
【0080】
図9Cに、図9Aのノズルの細部Bの断面図を示す。図9Cに示すように、出力端920は出力開口910を含むことができる。ノズル900は、出力開口910から分注される前に出力端920内で気体と流体を内部で混合するように構成することができる。
【0081】
図9Dに、図9Bのノズルの細部Cの断面図を示す。図9Dに示すように、気体送達路935を気体放出口950に結合することができる。サンプル送達路940をサンプル放出口945に結合することができる。サンプル放出口945と気体放出口950は、混合室955に結合することができる。混合室955は、混合室955内部で混合されるように、サンプル放出口945を介してサンプルまたは流体を受け取ることができ、気体放出口950を介して気体を受け取ることができる。出力路960が混合室955に結合可能であり、ノズル900からの霧化噴霧として気体と流体の混合物を供給することができる。
【0082】
図10Aに、図9A図9Dのノズルの断面図を示す。図10Aに示すように、実施形態によっては、ノズル900は、直径1mmのサンプル送達路940を含むことができる。実施形態によっては、サンプル送達路940の直径は出力路960の直径と同じかまたは異なることができる。実施形態によっては、サンプル送達路940(および/または出力路960)の直径は、0.6mm~0.79mm、0.8mm~0.89mm、0.9mm~0.99mm、1.0mm~1.09mm、1.10mm~1.19mm、1.2mm~1.30mmの間であるか、または1.3mmを超えることができる。実装形態によっては、サンプル送達路940の直径は0.6mm未満とすることができる。
【0083】
図10Aにさらに示すように、ノズル900は、サンプル送達路940の周囲に配置され、混合室955に結合された、気体送達路935を含むことができる。実施形態によっては、気体送達路935の直径は、0.6mm未満、0.6mm~0.79mm、0.8mm~0.89mm、0.9mm~0.99mm、1.0mm~1.09mm、1.10mm~1.19mm、1.20mm~1.30mm、または1.30mmを超えることができる。実施形態によっては、気体放出口945の直径またはサイズは、気体送達路935と同じであるかまたは異なることができる。
【0084】
図10Bは、図9A図9Dのノズルから分注された液滴のサイズのプロットである。図10Bに示すように、ノズル900から分注された液滴のサイズは、約10μm~12μmとすることができる。実施形態によっては、液滴のサイズは、0μm~9.9μm、10μm~10.9μm、11μm~11.9μm、12μm~12.9μm、13μm~13.9μm、14μm~14.9μm、15μm~15.9μm、16μm~16.9μm、または17μm~18μmの間とすることができる。この例示のノズルは、サンプルの均一な分布をより有効に細胞に与えることができる均一なサイズの液滴を形成することができるので有利である。この例示のノズルを使用して実現される液滴サイズは、一部の既存のノズル設計と比較して細胞の良好なトランスフェクションを生じさせることが実証された。実施形態によっては、出力開口910によって生じるサンプル液滴の80%以上が上記の範囲内の液滴サイズを有することができる。
【0085】
図10Cは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧の画像である。図10Cに示すように、噴霧は、細胞の標的面全体にわたって霧化カーゴまたはサンプルの均一な分布を生じさせることができる対称なパターンを形成するように、霧化され、良く形成される。
【0086】
図10Dは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧の別の画像である。図10Dに示すように、ノズル900から放出される噴霧の円錐は、ノズル900の下の表面に対して垂直であり、ノズル900の中心軸を基準にした偏向が最小限である。このようにして、噴霧の円錐は、噴霧の円錐の偏向角度を補正するための調整または追加の機器を必要とせずに、透過処理のために細胞が配置された表面を一貫してカバーすることができる。
【0087】
図10Eは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧のコア噴霧角度とデバイス軸に対する偏向のプロットである。図10Eに示すように、円錐角(上部プロット線)は20度と30度の間で変動し得る。円錐角は、円錐の中心軸から噴霧の円錐が接触している表面において測定される円錐の外縁までの測定値とすることができる。実施形態によっては、円錐角は、20度~21.9度、22度~23.9度、24度~25.9度、26度~27.9度、または28度~30度の間とすることができる。ノズル100に対して相対的な偏向の角度(下部プロット線)は、0度と-5度の間で変動し得る。
【0088】
図10Fは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧パターンの画像である。図10Fに示すように、ノズル900によって放出される噴霧パターンは、同心状に配置された液滴の集中を有する均一な分布とすることができる。
【0089】
図10Gは、図9A図9Dのノズルから分注された噴霧の物質の質量のプロットである。図10Gに示すように、ノズル100の霧化噴霧中に供給される物質の質量(または用量)は、55mgと66mgの間で変動し得る。実施形態によっては、質量または用量は、40mg~44.9mg、45mg~49.9mg、50mg~54.9mg、55mg~55.9mg、60mg~64.9mg、または65mg~70mgの間とすることができる。物質またはサンプルは、15Pa~19.9Pa、20Pa~24.9Pa、25Pa~29.9Pa、30Pa~34.9Pa、35Pa~39.9Pa、40Pa~44.9Pa、45Pa~49.9Pa、50Pa~54.9Pa、または55Pa~29.9Paの間の衝撃圧力で細胞に供給することができる。細胞に送達されるサンプルまたは物質の質量の正確な制御を行うことは、細胞治療薬製造または細胞トランスフェクションシステムにおける用量制御の重要な目的である。トランスフェクションが最適レベルで確実に行われるようにするためだけでなく、カーゴまたはサンプルに対する過剰暴露に起因する細胞損傷の可能性を低減するためにも、適切な用量制御が重要となり得る。同様に、衝撃圧力の制御は、膜撹乱を促進するのに十分な圧力を提供しながら、細胞を過度の損傷から保護することができる。
【0090】
図11は、図9A図9Dのノズルから様々な流量で分注された噴霧パターンの画像を含む。図11に示すように、ノズル900は異なる流量で異なる形状の噴霧を放出することができる。たとえば、表2の設定が、円錐画像1~3と、各円錐画像の下に示す関連噴霧パターンとに対応する。
【0091】
【表2】
【0092】
図11に示すように、噴霧円錐の外見は、空気圧が変化するにつれて変化する。ノズルの構造は、標的とされている細胞種類のために衝撃圧力と液滴分布とのバランスを最適化することができるように、噴霧を調節することを可能にすることができる。
【0093】
図12は、様々な流量で図9A図9Dのノズルから分注された液滴のサイズのプロットである。図12に示すように、ノズル900は、流体または噴霧が異なる流量で分注されると異なるサイズを有する液滴を分注することができる。たとえば、図12に示すように、より低い流量では液滴サイズはより大きい。より高速の流量では、液滴サイズはより小さい。
【0094】
図13は、様々な気流速度で図9A図9Dのノズルから分注された噴霧の円錐角と偏向角度のプロットである。図13に示すようにノズル900から放出される噴霧の円錐角は、8LPMと16LPMの間の気流速度の場合、20度と35度の間で変動し得る。噴霧円錐の偏向角度は、8LPMと16LPMの間の気流速度の場合、0度と-5度の間で変動し得る。
【0095】
図14Aに、図9A図9Dのノズルの例示の実装形態の等角断面図を示す。図14Aに示すように、ノズル1400は入力端1405と出力端1410を含むことができる。ノズル1400はハウジング1415を含むことができる。スリーブ1420が、ハウジング1415内に配置可能であり、サンプル注入口1425を含むことができる。サンプル注入口1425は、サンプル供給源に結合することができる。サンプル注入口1425は、スリーブ1420内に形成されたサンプル送達路1430に流体結合することができる。サンプル送達路1430は、サンプル放出口1435で終端することができる。
【0096】
図14Aにさらに示すように、ノズル1400は、ハウジング1415内の入力端1405に形成された気体注入口1440を含むことができる。気体注入口は、気体送達路1445に流体結合することができる。気体送達路1445は、混合室1450に流体結合することができる。混合室1450は、さらにサンプル放出口1435に流体結合することができる。出力路1455が、混合室1455内で混合された気体と流体(またはサンプル)の霧化噴霧を供給することができる。出力路1455は、そこから霧化噴霧がノズル900から分注される出力開口1460に含めることができる。
【0097】
図14Bに、図14Aのノズルの入力端の等角図を示す。図14Bに示すように、入力端145において、ハウジング1415は、スリーブ1420の外表面に配置されたフィン部材が確実にハウジング1415に対して相対的に特定の向きに位置づけられるようにするように構成された、位置合わせ機構1465を含むことができる。
【0098】
図14Cに、図14Aのノズルの分解図を示す。図14Cに示すように、スリーブ1420は1つまたは複数のフィン部材1470を含むことができる。フィン部材1470は、(図14Aに示すような)スリーブ1420の外表面とハウジング1415の内表面との間に1つまたは複数の気体送達路1445を設けるように、スリーブ1420の外表面上に形成することができる。フィン部材1470は、ハウジング1415内でスリーブ1420の深度と同心性を制御するように構成することができる。図14Cに示すように、スリーブ1420は、図14Aにその組み付け状態で示すように、ノズル1400を形成するようにハウジング1415に挿入することができる。
【0099】
図15は、図1A図1Dのノズルによる様々な入力圧力および動作点での流量のプロットである。動作点を表3にまとめる。
【0100】
【表3】
【0101】
図15に示すプロットにおいて、流量の変化は、ノズル100の様々な実施形態の増大する入力圧力で比較的一貫している。このプロットは、ノズル100の圧力と流量との関係と、予測可能な方式で気流速度を上昇させることによって液滴サイズをどのように変更することができるかを示している。
【0102】
図16は、図1A図1Dのノズルの例示の実装形態から分注された液滴のサイズのプロットである。プロットの線は、表3で示し、説明しているノズル100の動作条件および様々な実施形態に対応する。このプロットは、入力圧力を調節することによってノズル100がどのように液滴サイズ制御を可能にすることができるかを示している。結果として、ノズル100は、流量および/または圧力などの入力パラメータを操作することによって、液滴サイズを変更するために使用することができるので有利である。
【0103】
図17は、図9A図9Dのノズルによる様々な入力圧力と動作点における流量のプロットである。動作点を表4にまとめる。
【0104】
【表4】
【0105】
図17に示すプロットは、ノズル900の様々な実施形態の増大する入力圧力における流量の変化が比較的一貫していることを示している。このプロットは、ノズル900の圧力と流量との関係と、予測可能な方式で気流速度を上昇させることによって液滴サイズをどのように変更することができるかを示している。
【0106】
図18は、図9A図9Dのノズルの例示の実装形態から分注された液滴のサイズのプロットである。プロットの線は、図4で示し、説明しているノズル900の動作条件および様々な実施形態に対応する。
【0107】
図19は、様々な気流速度および製造材料の場合の、図1A図1Dおよび図9A図9Dのノズルから分注された液滴のサイズの関係を示す補間プロットである。図19に示すように、ノズル100および900によって与えられる粒径がLPM単位の気流速度の関数として示されている。ノズル100は、ノズル900と比較してより低気流速度でより大きい粒径を実現する。気流速度が上昇するにつれて、両方のノズルで粒径が小さくなる。
【0108】
図19のプロットに示すように、ノズル100およびノズル900の設計で液滴サイズと気流速度とのそれぞれの関係に関して2つの異なる動作領域が存在する。このプロットは、各ノズルが異なる液滴サイズと衝撃圧力とを実現することができ、それにより対象の細胞種類の必要に合わせたトランスフェクションシステムの調節を可能にすることができることを示している。パワープロットの線は、各ノズル100および900について液滴サイズと気流速度との関係の回帰フィットを示す。回帰フィットを使用したこの関係を理解し、モデル化することで、各ノズル100および900の所与の気流速度の使用の結果としてどのような液滴サイズが生じるかを、ユーザが予測できるようにすることが可能である。
【0109】
図20は、図1A図1Dおよび図9A図9Dのノズルを使用する例示のプロセスを示すプロセス流れ図である。プロセス2000は、図1A図1Dおよび図6A図8Bに関して図示および説明したノズル100および600と、図9A図9Dおよび図14Aおよび図14Cに関して図示および説明したノズル900および1400の実施形態に関連して説明することができる。図20に示すように、2010において、プロセス2000はノズルのハウジングの第1の端に配置されたサンプル注入口に、サンプルが入ったサンプル源を結合することを含むことができる。第1の端は、ノズルまたはハウジングの入力端とすることができる。サンプル源は、霧化噴霧を形成するためにノズルを使用して気体と混合される、サンプル、またはサンプルを含有する流体を含むことができる。実施形態によっては、サンプルはエタノールを含むことができる。実施形態によっては、サンプルは、mRNA、DNA、遺伝子編集ツールなどの、生体分子カーゴの懸濁液を含むことができる。実施形態によっては、サンプルは、生理的緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または注射用蒸留水(WFI)を含むことができる。様々なサンプルまたは流体およびサンプル供給源または流体供給源を、本明細書に記載のノズルの実施形態を使用して霧化噴霧を形成するために使用することができる。
【0110】
2020で、プロセス2000は、ノズルのハウジングの入力端に配置された気体注入口に、気体が入った気体源を結合することを含むことができる。気体源は、サンプル源からノズル内で受け取られたサンプルまたは流体と混合される気体を含むことができる。気体は、霧化噴霧を形成するためにノズルを使用してサンプルまたは流体を混合することができる媒体を提供することができる。実施形態によっては、気体は空気を含み得る。実施形態によっては、気体は窒素を含み得る。本明細書に記載のノズルの実施形態を使用して霧化噴霧を形成するために、様々な気体または気体供給源を使用することができる。
【0111】
2030で、ハウジング内に延びることができるサンプル送達路内にサンプルを供給することができる。サンプル送達路は、サンプル注入口を、ハウジングの第2の端部における出力開口に配置可能なサンプル放出口に流体結合することができる。第2の端部は、ノズルまたはハウジングの出力端とすることができる。サンプルは、本明細書に記載のノズルの出力端において気体と内部または外部で混合されるように、サンプル送達路を介してサンプル放出口に供給することができる。
【0112】
2040で、気体を、ハウジング内に延びることができる気体送達路内に供給することができる。気体送達路は、気体注入口を、ノズルのハウジングの出力端における出力開口に配置可能な気体放出口に流体結合することができる。気体とサンプルは、出力開口から霧化噴霧として分注することができる。実施形態によっては、霧化噴霧は、本明細書に記載の細胞トランスフェクションシステムまたは逆透過処理プラットフォームのフィルタプレートまたはフィルタ膜に配置された細胞に供給することができる。
【0113】
サンプルと気体は、本明細書に記載のノズルから分注された霧化噴霧が所望の出力圧力でノズルから放出可能なように、様々な入力圧力でノズルに供給することができる。サンプルおよび気体の入力圧力は、本明細書に記載の細胞トランスフェクションシステムまたは逆透過処理プラットフォーム内に配置された1つまたは複数のポンプと1つまたは複数のコントローラとを介して制御することができる。たとえば、サンプルは、100mbar~119mbar、120mbar~129mbar、130mbar~139mbar、140mbar~149mbar、150mbar~199mbar、200mbar~249mbar、250mbar~349mbar、350mbar~399mbar、400mbar~449mbar、450mbar~499mbar、500mbar~549mbar、550mbar~599mbar、600mbar~649mbar、650mbar~699mbar、700mbar~750mbar、751mbar~800mbar、801mbar~899mbar、または900mbar~1000mbarの間の圧力で供給することができる。実施形態によっては、圧力は、100mbarより大きいかまたは100mbarより小さくすることができる。他の圧力も供給可能である。実施形態によっては、気体はある圧力で供給可能である。実施形態によっては、気体は除菌フィルタリングされた空気を含み得る。実施形態によっては、本明細書に記載のノズルを使い捨てまたは複数回使用のために構成することができる。
【0114】
図21は、細胞トランスフェクションシステムにおける図1A図1Dまたは図9A図9Dのノズルを製造する例示のプロセスを示すプロセス流れ図である。プロセス2100について、図1A図1Dおよび図6A図8Bに関して図示し、説明したノズル100および600の実施形態に関連して説明するが、プロセス2100は図9A図9Dおよび図14A図14Cに関して図示し、説明したノズル900の製造にも適用される。
【0115】
図21に示すように、2110において、プロセス2100は、第1の端および第2の端を含むノズルのためのモールドを受け取ることを含むことができる。第1の端は、ノズルまたはハウジングの入力端に対応することができる。第2の端は、ノズルまたはハウジングの出力端に対応することができる。ノズルは、ハウジング、サンプル注入口、サンプル放出口、気体注入口、気体放出口、ハウジング内に延びるサンプル送達路も含むことができる。サンプル送達路は、サンプル注入口をサンプル放出口に流体結合することができる。ノズルは、ハウジング内に延びる気体送達路も含むことができる。気体送達路は、気体注入口を気体放出口に流体結合することができる。ノズルは、サンプル放出口と気体放出口とを含む出力開口も含むことができる。
【0116】
2120で、プロセス2100は、モールドからノズルを形成することを含むことができる。モールドは、ノズルを形成するために射出成形プロセスまたは製造システムにおいて使用することができる。ノズルは、フォトポリマー材料などのポリマー材料から形成することができる。実施形態によっては、ノズルは、生体適合材料で形成することができる。材料の生体適合性は、ISO10993に従って定義可能であり、特定の状況における適切な宿主反応を伴って性能を発揮する材料またはデバイスの能力に対応し得る。材料の生体適合性は、その材料が使用されることになる特定の用途に依存し得る。これに関連して、材料は1つの用途では生体適合であるが、別の用途では生体適合ではないこともある。
【0117】
典型的な生体適合材料には、医療用ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリウレタンなどの生体適合プラスチックが含まれ得る。実施形態によっては、本明細書に記載のノズルは、アディティブマニュファクチャリング、管溶接、または管接着によって形成することができる。
【0118】
本明細書に記載のノズルを形成するために使用されるポリマー材料は、内表面の濡れを回避することができ、使用サンプル量を保持することができる。ノズルは、ノズルの内側部分内でサンプルが失われるかまたは付着する可能性がある「壁効果」を回避することができる。
【0119】
図22は、本明細書で開示されているいくつかの実施形態による細胞トランスフェクションシステム(CTS)2200の例示の実施形態を示すコンピュータ支援設計(CAD)図面の等角図である。実施形態によっては、CTS2200は、可逆的透過処理プラットフォームとすることができる。実施形態によっては、図1A図1Dおよび図9A図9Dに関して図示し、説明しているノズルを、CTS2200での使用のために構成することができる。
【0120】
CTS2200は、ポッドネスト2210内に受け入れられ、位置づけられるように構成されたポッド2205を含む。ポッド2205は、処置および処理のためにその上に細胞を置くことができるフィルタプレートによって処理面を提供することができる。たとえば、フィルタプレートは、CTS2200を使用して処理される細胞の単分子層を形成する際に使用されるフィルタを受け入れるように構成することができる。実施形態によっては、フィルタプレートはフィルタ膜を含み得る。
【0121】
ポッド2205は、ポッドネスト2210内に受け入れ、位置づけることができる。実施形態によっては、ノズルネスト2215がポッド2205の上方の固定した距離に位置することができる。ノズルネスト2215は、ユーザが利用できる変数または自由度の数を減らし、それによってより使いやすいシステムを提供するために、ポッドネスト2210から固定した距離に位置することができる。たとえば、ノズルネスト2215は、ノズル、またはノズルネスト2215に保持されたノズルが、ポッド2205の65mmから80mm上方に位置することができるように固定することができる。実装形態によっては、ノズルネスト2215は、ノズル、またはノズルネスト2215に保持されたノズルが、ポッド2205の75mm上方に位置するように位置づけることができる。ポッドネスト2210は、ポッド2205を受け入れるための円形開口を含むことができる。ポッド2205の下部は、下部をポッドネスト2210の円形開口を通って延びるフィルタプレートの一部に結合することによって、フィルタプレートと噛み合わせることができる。ポッドネスト2210は、CTS2200を使用した細胞処理中に、ポッド2205に支持を与えることができ、ポッド2205の位置を維持することができる。たとえば、ポッドネスト2210は、ポッド2205の処置面、たとえばフィルタプレートが、適正な量の透過溶液を受け入れるのに十分な位置に確実に配置されるように、ポッド2205の位置を維持することができる。
【0122】
図22にさらに示すように、CTS2200は、ノズルネスト2215を含む。ノズルネスト2215は、CTS2200内に配置された透過溶液源に結合されたノズルを含むことができる。ノズルは、ポッド2205のフィルタプレート上に配置された細胞を処理または処置するために、ポッド2205に(たとえば噴霧の形態の)透過溶液を供給するように、透過溶液を霧化することができる。ノズルネスト2215は、クリッパードバルブコネクタなどのバルブコネクタ2220を介して透過溶液源に結合することができる。ノズルネスト2215内に配置されたノズルは、所定の圧力でポッド2205に透過溶液を供給するように構成することができる。CTS2200は、サンプル圧力コネクタ2225と空気圧コネクタ2230も含む。バルブコネクタ2220は、ノズルへの送達溶液供給を制御する機能を果たす。サンプル圧力コネクタ2225は、サンプルをノズル中に駆動するために、エッペンドルフ貯留槽内の流体の上方の気体に加圧する。気体圧力コネクタ2230は、加圧された気体をノズルに供給する。
【0123】
CTS2200は、電源入力2235も含む。実施形態によっては、電源入力2235は、2チャンネル直流(DC)24V電源入力2235を含むことができる。電源入力2235は、オン/オフスイッチ2240に電気的に結合可能である。CTS2200は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)ケーブル結合部2245も含む。HMIケーブル結合部2245は、HMI2250に電気的に結合することができる。HMI2250は、CTS2200の動作を制御するためと、本明細書に記載の可逆透過処理によって細胞処置方法を行うために構成された、ディスプレイと少なくとも1つのデータプロセッサと入力デバイスとを含むことができる。実施形態によっては、HMI2250は、タッチスクリーンインターフェースを含むことができる。実施形態によっては、HMI2250は、プロセスガイド、実験室タイマーなどを含むことができる。HMIケーブル結合部2245は、HMI2250を、CTS2200から離れて配置されたコンピューティングデバイスに結合するように構成することができる。このようにして、CTS2200からデータをインポートまたはエクスポートすることができる。
【0124】
CTS2200は、さらに空気源結合部2255を含む。空気源結合部2255は、CTS2200を空気供給源に結合することができる。空気供給源は、透過溶液とともにポッド2205に供給される空気の量を設定する際に使用するために、空気源結合部2255を介して空気を供給するのに使用することができる。
【0125】
図23Aは、図22に示すCTS2200の側面図である。図23Aに示すように、CTS2200は、筐体2305を含むことができる。筐体2305は、電源入力2235とHMIケーブル結合部2245と空気源結合部2255とに対応するいくつかの切り抜き部を含むことができる。筐体2305には無制限に追加の切り抜き部を設けることができる。たとえば、筐体2305は、複数の通気孔2310を含むことができる。筐体2305は底板2315に取り付けることができる。底板2315は複数の足2320を含むことができる。実施形態によっては、足2320はプラスチックとすることができ、CTS2200を表面上に固定するための摩擦低減材料を含むことができる。
【0126】
図23Bは、図22に示すCTS2200の前面図である。図23Bに示すように、CTS2200は、HMI2250を含むことができ、HMI2250はディスプレイ2325を含むことができる。ディスプレイ2325は、データの視覚化と、CTS2200の動作の1つまたは複数の態様に対応するユーザインターフェースコントロールとを提供することができる。たとえば、実施形態によっては、ディスプレイ2325は、細胞の可逆透過処理方法の1つまたは複数の動作を行うために構成されたタッチスクリーンコントロールを提供することができる。実施形態によっては、HMI2250はタイマーを含むことができ、タイマーとタイマーコントロールとを、ディスプレイ2325によって表示することができる。
【0127】
実装形態によっては、CTS2200は、霧化物(たとえばオーバースプレー)を収容するためのスプレーガードデバイスを含むことができる。一実施例では、スプレーガードは、ポッドネストの外形と同じ内径を有する透明な半円柱形デバイスである。実装形態によっては、スプレーガードは封止されたデバイスではないが、ある程度の閉じ込めをすることができる。スプレーガードは、デバイスの前面にクリップ留めされる。
【0128】
図24は、本明細書で開示されているいくつかの実施形態による、図22に示すCTS2200の別の例示の実施形態の側面図を示す図2400である。図24に示すように、管の1つまたは複数の部分を介してノズルネスト2215にバルブを結合することができる。空気圧取り付け具2430が、たとえばフエスト6mm-6mm隔壁取り付け具(カタログ番号193951)を含むことができる。たとえば、管2405の第1の部分が、TBDバルブをエッペンドルフベース支持部2410に結合することができる。エッペンドルフベース支持部2410は、CTS2200の上蓋2415に結合することができる。
【0129】
エッペンドルフベース支持部2410は、ペイロード貯留槽を空中に保持するブラケットを含むことができる。貯留槽の一例には、1.5mLエッペンドルフ製遠心バイアルがある。貯留槽は、それをエッペンドルフベース支持部2410に固定するためのメカニズムとして所定位置に永久的に固定されていてもされていなくてもよい。
【0130】
管2420の第2の部分が、エッペンドルフベース支持部2410をノズルネスト2215に結合することができる。CTS2200内の供給源から透過溶液をTBDを通って管2420を介してエッペンドルフベース支持部2410まで運ぶことができる。透過溶液は、さらに、管2420を介してノズルネスト2215まで供給することができる。透過溶液は、ノズルネスト2215内に受け入れられると、ポッドネスト2210内に位置づけられたポッド2205に供給することができる。ポッドネスト2215内に配置されたノズルは、透過溶液をポッド2205に噴霧パターン2425で送達するように構成することができる。噴霧パターン2425は、透過溶液が供給される圧力設定に基づいて設定することができる。実施形態によっては、噴霧パターン2425は、ノズルネスト2215内のノズルの構成に関連付けることができる。噴霧角度、カバー領域、および/または中心点などの噴霧パターン2425の寸法は、ノズルネスト2215の設定可能な態様である。
【0131】
図25に、本明細書で開示されているいくつかの実施形態による細胞トランスフェクションシステムの別の例示の実施形態の画像を示す。図25に示すように、一実施形態では、細胞トランスフェクションシステム(CTS)2500は、基部に取り付けられた計器ハウジングを含むことができる。基部は、CTS2500をベンチ上、通気式フード作業空間内、卓上、ワークベンチなどに配置または取り付けすることができるようにする。実施形態によっては、CTS2500は、CTS2500を1つの場所から別の場所に移送するように構成された移動基部上に取り付けることができる。実施形態によっては、CTS2500は、本明細書に記載の方法による、細胞を透過処理するための使い捨て動作用のクローズドシステムとして構成することができる。実施形態によっては、CTS2500は、複数実験ワークフローをループするように構成することができる。
【0132】
図25に示すように、CTS2500は、HMI2510を提供するディスプレイ2505を含むことができる。HMI2510は、ユーザ入力を受け入れ、CTS2500の動作に関連する出力を提供するように構成することができる。HMI2510は、CTS2500内に配置された1つまたは複数のコントローラに電気的に結合することができる。コントローラは、CTS2500のコントロールシステム内に配置することができる。コントロールシステムは、細胞懸濁液、液体および空気を本明細書に記載のノズルまでポンプ送出するように構成することができる。コントロールシステムは、1barと4barの間の圧力で100msと1500msの間の噴霧期間を提供するように構成することができる。コントロールシステムは、25ms未満で所望の霧化圧力に達し、その圧力から復帰するように構成することができる。コントロールシステムは、さらに、最大30L/分の流量で送達するように構成することができる。コントロールシステムは、50マイクロリットルの量を送達し、送達量を±5マイクロリットル以内で制御するように構成することができる。
【0133】
CTS2500は、CTS2500の動作に関連する1つまたは複数の状態を示すための1つまたは複数のライトまたは視覚表示器2515を含むことができる。図25に示すように、ライト2515は、CTS2500の動作に関連する1つまたは複数のステップまたは手順に関して個別に動作させることができる複数のライトを含むことができる。実施形態によっては、HMI2510は、CTS2500の動作に関連する1つまたは複数のエラーコードまたは動作コードを表示することができ、ライト2515は、ユーザにそれらのコードに対応する視覚表示を提供することができる。
【0134】
図25にさらに示すように、CTS2500は、停止ボタン2520を含むことができる。停止ボタン2520は、CTS2500を動作させるときに万一ユーザエラーまたは動作エラーが発生した場合に、CTS2500の動作を停止させることができる。
【0135】
図25にさらに示すように、CTS2500は、フレーム2530内に取り付けられた使い捨てアセンブリ2525を含むことができる。使い捨てアセンブリ2525は、封止された滅菌パッケージとして使用するために提供することができる。使い捨てアセンブリ2525は、透過処理のために細胞をその上に置くことができ、透過処理後に収集することができる、フィルタを含むことができる。使い捨てアセンブリ2525は、フレーム2530内に配置することができる。実施形態によっては、フレーム2530は、半円形フレームまたは「C」字形フレームとすることができる。フレーム2530は、CTS2500から延びるシャフトに取り付けることができる。フレーム2530は、図25において水平向きに示されており、シャフトの回転によって上方または下方垂直方向に傾くように構成することができる。たとえば、実施形態によっては、フレーム2530は、図25に示す水平向きから0度~10度、5度~15度、10度~20度、15度~25度、20度~30度、または25度~45度傾くように構成することができる。実施形態によっては、シャフトは、フレーム2530をフレーム2530の角度傾斜の量を基準にして振れる方式で傾斜させるように構成することができる。たとえば、フレーム2530を+30度傾斜させることができ、その後、フレーム2530が+30度の向きに対して相対的に正の角度方向(たとえば+1度)と負の角度方向(たとえば-1度)の間で振れることができ、それによってフレーム2530を+31度と+29度の間で振れさせることができる。フレーム2530は、所定またはユーザ定義振動数で2つの角度方向の間で振れることができる。実施形態によっては、フレーム2530は、0.5kHz、1kHz、1.5kHz、2kHz,2.5kHzまたはそれ以上の振動数で振れることができる。実施形態によっては、シャフトおよび/またはフレーム2530は、シャフトおよび/またはフレーム2530を振動させるように構成されたサーボモータに結合することができる。
【0136】
フレーム2530を振れおよび/または振動させることは、吸引式の収集方法と比較して、透過処理後に収集される細胞の量を増加させることができるので有利である。吸引式収集方法は、使い捨てアセンブリ2525内の収集媒体の反復的適用と抽出を必要とする。さらに、フレーム2530を振れおよび/または振動させることは、吸引式収集方法を使用して細胞が収集される場合の反復される流体圧力と流体力学への暴露によって低下する可能性がある収集細胞の生存能力を増大させることもできるので有利である。
【0137】
図25にさらに示すように、CTS2500は、使い捨てアセンブリ2525から排出される試薬および/または媒体がそこで収集することができる廃棄物収集トレイ2535を含むことができる。実施形態によっては、廃棄物収集トレイ2535は、CTS2500から取り外すことができる。図25にさらに示すように、CTS2500は透過処理済み細胞をそこで収集することができる細胞収集トレイ2540も含むことができる。実施形態によっては、細胞収集トレイ2540は、CTS2500から取り外すことができる。実施形態によっては、細胞収集トレイ2540は、透過処理済み細胞を所望の温度に維持するための冷却要素および/または加熱要素を含むことができる。実施形態によっては、細胞収集トレイ2540に関連付けられた加熱および/または冷却要素は、CTS2500の基部内に配置することができる。実施形態によっては、基部は、廃棄物収集トレイ2535および/または細胞収集トレイ2540の下に配置されたスケールを含むことができる。このようにして、CTS2500は、収集された媒体物質および収集された細胞の重量を判定することができる。
【0138】
図25にさらに示すように、CTS2500は1つまたは複数の媒体物質2545を含むことができる。媒体物質2545は、1つまたは複数の流体回路を介してチャンバ2530に流体結合することができる。CTS2500は、1つまたは複数の流体回路を介して供給される媒体の量を制御するように構成された1つまたは複数のバルブ2550も含むことができる。実施形態によっては、1つまたは複数のバルブ2550はピンチバルブを含むことができる。CTSは、対応する流体回路に対して一列に揃うように構成された1つまたは複数の流体検出センサー2555を含むことができる。流体検出センサー2555は、CTS2500のプライミングとキャリブレーションを支援するように構成することができる。さらに、流体検出センサー2555は、2つの場所の間の媒体回路の容積を計算するための測定システムとして構成することができる。図25にさらに示すように、CTS2500は、細胞培養媒体を使い捨てアセンブリ2525にポンプ注入するための1つまたは複数のポンプ2560を含む。フレーム2530を振動および/または傾斜させながら、細胞培養媒体を使い捨てアセンブリ2525に周期的にポンプ注入し、ポンプ排出することによって、傾斜のない振動しない細胞収集動作と比較して細胞収集を増大させることができる。実施形態によっては、ポンプ2560は蠕動ポンプを含み得る。他のポンプの種類の例には、シリンジポンプ、プランジャーレスシリンジポンプ、閉シリンジ型、バッグスクイーザポンプなどがある。CTS2500は、超音波流量検出器2565も含むことができる。
【0139】
図25にさらに示すように、CTS2500はシリンジ2570を含むことができる。実施形態によっては、シリンジ2570は、プランジャレスシリンジを含むことができる。使い捨てアセンブリ2525に媒体2545を供給するためにシリンジ2570に空気を供給することができる。CTS2500は、シリンジ2570のホルダー内またはCTS2500自体内に配置された光学検出器2575も含むことができる。光学検出器2575は、シリンジ2570内またはシリンジ2570のプランジャまたは栓の位置の流体のレベルを検出することができる。光学検出器2575は、垂直配列に直線的に配置された赤外線検出器などの光学センサーの配列を含むことができる。光学検出器2575は、ポンプ2560と組み合わせてキャリブレーション動作において使用することができる。実施形態によっては、シリンジ2570は、シリンジ2570の出口に配置された逆止バルブに結合することができる。流体検出器2575は、使い捨てアセンブリ2525に供給される媒体の量を制御するためのバルブ2580に結合することができる。
【0140】
図26に、図25に示す細胞トランスフェクションシステム2500の図を示す。図26に示すように、CTS2500はバルブ2610を保持するように構成されたバルブホルダー2605を含むことができる。バルブホルダー2605は、バルブ2610を使い捨てアセンブリ2525の向きに対して角度をなして保持するように構成することができる。
【0141】
図27に、図25に示す細胞トランスフェクションシステムの第2の図を示す。図27に示すように、CTS2500は1つまたは複数の電気コネクタ2705を含むことができる。実施形態によっては、電気コネクタ2705は、CTS2500に外部計測機器を接続するための計器コネクタとすることができる。外部計測機器には、たとえば、電気式温度計、比重計、気圧計、光電脈波センサー、ロードセル、生化学センサー(たとえばアルコールセンサー)、光学センサー、振動を測定するためのトランスデューサ(たとえば振動膜マイクロエレクトロニックマシン(MEM))などが含まれ得る。
【0142】
CTS2500は、1つまたは複数のガスコネクタ2710も含むことができる。ガスコネクタ2710は、気体供給を受け入れ、所望の圧力条件下で気体供給を使い捨てアセンブリ2525に供給することができる。実施形態によっては、ガスコネクタ2710は、使い捨てアセンブリ2525をパージまたはガス抜きするときに、使い捨てアセンブリ2525から気体を受け取ることができる。実装形態によっては、ガスコネクタ2710は、ソフトウェアによって独立制御することができ、各ガスコネクタ2710を、圧力の静的ヘッドまたは動的ヘッド(圧力設定点)を提供するように構成することができる。実装形態によっては、ガスコネクタ2710は、異なる気体(たとえば医療ガス、窒素など)とともに動作することができ、ソフトウェア構成可能であり、容器内などに指定圧力で連続気流を提供することができる。圧力は、流量制御調整器、圧力調整器、流量トランスデューサ、圧力トランスデューサなどによって与えることができる。圧力は、プランジャレスシリンジにおける栓を駆動するためなどに、ノズル、シャワーヘッド、エッペンドルフ針などの他のコンポーネントにも与えることができる。各ガスコネクタ2710は、独立してソフトウェア構成可能とすることができ、マニホールドの一部ではない。
【0143】
バルブ2550は、ガスコネクタ2710のうちの1つに関連付けられた流体回路に結合することができ、使い捨てアセンブリ2525に供給される気体の量を制御することができる。CTS2500は、使い捨てアセンブリ2525とともに使用するように構成されたホースの一部を固定するためのホース留め金2715を含むことができる。CTS2500は、媒体2545を保持するための1つまたは複数のハンガー2720も含むことができる。実施形態によっては、ハンガー2720は、媒体2545の重量を判定するためのスケールを備えて構成することができる。
【0144】
図27に示すように、CTS2500は、バーコードリーダ2725も含むことができる。バーコードリーダ2725は、バーコード媒体、CTS2500のオペレータに関連付けられたバッジ、および/または、使い捨てアセンブリ2525を収容するバーコード付きパッケージをスキャンするように構成することができる。実施形態によっては、バーコードリーダ2725は、リニアバーコードリーダまたは2Dバーコードリーダを含み得る。実施形態によっては、バーコードリーダ2725は、ハンドヘルドバーコードリーダとすることができる。実施形態によっては、HMI2510をバーコードリーダ2725に通信可能に結合することができる。さらに、CTS2500は、媒体2545に結合された1つまたは複数の流体回路に関連して使用される管など、CTS2500の管に溶接部を取り付けまたは貼り付けるように構成された、管溶接機2730を含むことができる。実施形態によっては、HMI2510を管溶接機2730に通信可能に結合することができる。
【0145】
図28に、図25に示す細胞トランスフェクションシステムの一部のクローズアップ図を示す。図25に示すように、使い捨てアセンブリ2525とフレーム2530が、図25に示す水平向きに対して約+30度の角度方向に傾斜させられている。この位置では、フレーム2530は、使い捨てアセンブリ2525の底部に配置されたドレーン2805を介した細胞の収集を支援するために、+30度の角度方向から正および負の角運動で振れることができる。
【0146】
その他の実施形態
図29は、図1A図1Dのノズルの一実装形態の追加の実施形態を示す表である。表に示す実施形態の特徴は、図1A図1Dおよび図6A図8Bに関して図示し、説明したノズル100および600の実施形態の特徴に対応し得る。図29に示す実施形態では、単一のサンプル送達路の周囲に単一の環状気体送達路が配置されている。図30の表に示すように、気体送達路(DAir)は、1.4mmの内径(I.D.)と1.8mmの外径(O.D.)を有することができる。サンプル送達路(DSample)の直径は1mmとすることができる。テーパ角θは、0度~70度の間とすることができる。「内部流路」とラベル付けされている欄に示すように、気体送達路は対応するテーパ角θに基づく形状を有することができる。テーパ角θは、サンプル放出口150と気体放出口145との間の可変相対速度を可能にすることができる。シータ=0度は、相対速度を最大にすることができる。「放出口設計」とラベル付けされている欄は、ノズルの出力開口におけるサンプル放出口および気体放出口の形状および配置に対応し得る。
【0147】
図30は、図1A図1Dのノズルの別の実装形態の追加の実施形態を示す表である。表に示す実施形態の特徴は、図1A図1Dおよび図6A図8Bに関して図示し、説明したノズル100および600の実施形態の特徴に対応し得る。図30に示す実施形態では、単一のサンプル送達路の周囲に複数の半円形気体送達路が配置されている。図31の表に示すように、気体送達路(DAir)は1.4mmの内径(I.D.)と2.4mmの外径(O.D.)を有することができる。サンプル送達路(DSample)の直径は1mmとすることができる。テーパ角θは、0度~70度の間とすることができる。「内部流路」とラベル付けされている欄に示すように、気体送達路はテーパ角θに基づく形状を有することができる。テーパ角θは、サンプル放出口150と気体放出口145との間の可変相対速度を可能にすることができる。シータ=0度は、相対速度を最大にすることができる。「放出口設計」とラベル付けされている欄は、ノズルの出力開口におけるサンプル放出口および気体放出口の形状および配置に対応し得る。
【0148】
図31は、図9A図9Dのノズルの一実装形態の追加の実施形態を示す表である。表に示す実施形態の特徴は、図9A図9Dおよび図14A図14Cに関して図示し、説明したノズル900および1400の実施形態の特徴に対応し得る。図31に示す実施形態では、単一のサンプル送達路の周囲に複数の円形または半円形の気体送達路が配置されている。図32の表に示すように、実施形態によっては、ノズルはサンプル送達路の外周の周囲に配置された4本または8本の気体送達路を含むことができる。気体送達路(DAir)は、0.64mmまたは0.45mmの直径を有することができる。サンプル送達路(DSample)の直径は1mmとすることができる。「内部流路」とラベル付けされている欄に示すように、円筒形混合室から出る出力路は、1つまたは複数の出力路角度θで形成することができる。出力路角度θは0度~46度の間とすることができる。出力路角度θは、混合室955、それぞれが図31の実施形態に示すような混合室に流体結合可能な出力路960または気体出力路の間の可変相対速度を可能にすることができる。シータ=0度は、相対速度を最大にすることができる。「放出口設計」とラベル付けされている欄は、サンプル放出口、気体放出口および、ノズルの出力開口における出力路の、形状および配置に対応し得る。
【0149】
本明細書に記載のノズル100およびノズル900は、噴霧の脈動または脈動噴霧を使用してサンプルの霧化を可能にすることができる。ノズル100およびノズル900は、「高速オン」および「高速オフ」動作を実現することができる。ノズル100およびノズル900は、定量吸入器に見られるものなどの既存のノズルと比較して、定常一貫性噴霧を形成するために追加時間を必要としない。さらに、本明細書に記載のノズル100およびノズル900は、サンプルの液滴を生成せずに、また、サンプルの噴出を形成するように間欠的に動作せずに、一貫した噴霧を提供することができる。ノズル100またはノズル900が使用されるまさにその瞬間において、これらのノズルの設計は、既存のノズル設計と比較して最小限のランプアップ時間ないしまったくゼロのランプアップ時間を可能にする。また、急速で一貫した「高速オン」および「高速オフ」動作は、オン/オフ/オン/オフのシーケンスなどのサンプルの脈動送達にとって有利となり得る。本明細書に記載のノズルの実施形態を、サンプルまたはカーゴによる細胞の単一噴霧に対する現在の企図に関して示したが、本明細書に記載のノズルは脈動または脈動送達を使用した動作を有利に改良することができる。カーゴの時間的および空間的送達が噴霧プルーム内に本質的に見られる脈動性によって細胞に到達するが、本記載のノズルは方向づけられた精密なパルストランスフェクションワークフローにおいて使用することができる。たとえば、細胞トランスフェクションワークフローにおいて、ノズル100または900からの噴霧は10ms~100msの「高速オン」噴霧を供給することができ、その後、「高速オフ」を実施することができ、さらに、最終のオフ噴霧を行う前に細胞にサンプルまたはカーゴを送達するために1、2、3、4、5またはそれ以上のオン/オフ間隔を実施することができる。カーゴドージングとも呼ばれるカーゴの送達は、図8に関して説明したノズル設計の背圧による噴霧量と噴霧時間の効果的な制御に基づいて、本明細書に記載のノズル100およびノズル900を使用して有利に行うことができる。
【0150】
上記の説明および特許請求の範囲において、要素または特徴の列挙の後に「~のうちの少なくとも1つ」または「~のうちの1つまたは複数」という語句が続く場合がある。また、2つ以上の要素または特徴の列挙において「および/または」という用語が現れる場合がある。それが使用されている文脈によって暗黙的または明示的に否定されない限り、このような語句は列挙されている要素または特徴のいずれかを個別に、または列挙されている要素または特徴のいずれかを他の列挙されている要素または特徴のいずれかと組み合わせて意味することが意図されている。たとえば、「AとBのうちの少なくとも1つ」、「AとBのうちの1つまたは複数」、および「Aおよび/またはB」という語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、またはAとBともに」を意味することが意図されている。同様の解釈は、3つ以上の項目を含む列挙についても意図されている。たとえば、「AとBとCのうちの少なくとも1つ」、「AとBとCのうちの1つまたは複数」および「A、Bおよび/またはC」という語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBともに、AとCともに、BとCともに、またはAとBとCともに」を意味することが意図されている。さらに、上記および特許請求の範囲における「基づく」という用語の使用は、記載されていない特徴または要素も許容され得るように、「少なくとも部分的に基づく」という意味であることが意図されている。
【実施例
【0151】
[実施例1]
実施例1は、生体適合水性組成物を細胞に送達するための細胞トランスフェクション噴霧ノズル装置であって、針とスリーブとハウジングとを含み、
前記針が、
液体サンプルを受け入れるように構成されたサンプル注入口を有するハブと、
ハブに結合され、中心軸に沿って延びる第1の内径を画定する近位端部と、
近位端部に接続され、液体サンプルを分注するためのサンプル放出口を有し、第1の内径より大きい第2の内径を画定する、遠位端部と、を含み、
前記スリーブが、
近位端から遠位端まで延びる本体であって、遠位端が遠位先端部を含み、本体が外壁と内壁とによって画定され、内壁および外壁の少なくとも一部が近位端と遠位端との間の中心軸に対して角度をなして延び、近位端および遠位端における内壁が、それぞれ、針のハブと遠位端部とを受け入れるような寸法とされている、本体と、
互いから半径方向に離隔され、本体の角度をなした外壁の少なくとも一部から延びる4つの羽根と、を含み、
前記ハウジングが、
空気を受け入れるように構成された空気注入口を有する空気注入口部と、
空気注入口部に流体結合され、スリーブの近位端と解放可能に結合するように構成された第1の円筒部と、
第1の円筒部の円筒内径より小さい円筒内径を有し、スリーブの遠位端を受け入れるように構成された第2の円筒部と、
第1の円筒部と第2の円筒部とに流体結合され、第1の円筒部と第2の円筒部との間に延びる第1の円錐部と、
第2の円筒部に結合され、空気を分注するように構成された空気放出口を有する第2の円錐部であって、第1の円錐部の最小内径に等しい最大内径によって画定された、第2の円錐部と、を含み、
針とスリーブとハウジングとがともに、空気を流すように構成された空洞を画定し、空洞が、
ハウジングの空気注入口部と、ハウジングの第1の円筒部の少なくとも一部とハウジングの第1の円錐部とスリーブの外壁とによって画定された環状空間とを含む第1の空洞と、
第1の空洞に隣接し、ハウジングの第2の円筒部の少なくとも一部と羽根とスリーブの本体の角度をなした外壁とによって画定された、複数の第2の空洞と、
複数の第2の空洞を介して第1の空洞に流体接続された第3の空洞であって、スリーブの遠位先端部に対して遠位である所定の長さだけ中心軸に沿った方向に遠位に延び、スリーブの外壁の少なくとも一部とハウジングの第2の円錐部と針の遠位端とによって画定された、第3の空洞と、を含み、
第2の空洞が、第1の空洞または第3の空洞あるいはその両方の容積より小さい容積を画定する、細胞トランスフェクション噴霧ノズル装置である。
【0152】
[実施例2]
実施例2は、サンプル放出口が空気放出口内に同心状に位置づけられている、実施例1の噴霧ノズル装置である。
【0153】
[実施例3]
実施例3は、4つの羽根が互いから等距離にある、実施例1または実施例2の噴霧ノズル装置である。
【0154】
[実施例4]
実施例4は、針が第1の円錐部に対して近位において第2の直径に拡大する、実施例1~3のいずれか1つの噴霧ノズル装置である。
【0155】
[実施例5]
実施例5は、第1の円錐部が中心軸に沿った方向に延び、空気注入口が第1の円筒部に対して直角に配置されている、実施例1~4のいずれか1つの噴霧ノズル装置である。
【0156】
[実施例6]
実施例6は、第1の円錐部と第2の円錐部の内壁が同じテーパ角で先細になっている、実施例1~5のいずれか1つの噴霧ノズル装置である。
【0157】
[実施例7]
実施例7は、複数の第2の空洞が互いに同一平面上にある、実施例1~6のいずれか1つの噴霧ノズル装置である。
【0158】
[実施例8]
実施例8は、針の第1の直径が、針の第2の直径より少なくとも20%小さい、実施例1~7のいずれか1つの噴霧ノズル装置である。
【0159】
[実施例9]
実施例9は、スリーブが、スリーブの周囲に等距離に離隔して配置された4つの羽根を含み、4つの羽根が第2の円筒部内に嵌まるように先細になっている、実施例1~8のいずれか1つの噴霧ノズル装置である。
【0160】
[実施例10]
実施例10は、サンプル液滴が約10μm~約10.9μm、約11μm~約11.9μm、約12μm~約12.9μm、約13μm~約13.9μm、約14μm~約14.9μm、約15μm~約15.9μm、約16μm~約16.9μm、または約17μm~約18μmの液滴サイズを有するようにノズル装置からサンプル液滴が噴霧され、サンプル放出口において生成される液滴の80%以上が上記液滴サイズを有する、実施例1~9のいずれか1つの噴霧ノズル装置である。
【0161】
[実施例11]
実施例11は、細胞トランスフェクションノズル装置を使用して細胞に霧化流体を送達する方法であって、
実施例1のノズル装置のサンプル注入口に液体サンプルを導入することと、
ノズル装置の気体注入口に気体源から空気を導入することと、
気体をノズル装置の空洞を通して流すことと、
サンプル放出口から出る液体サンプルとハウジングの気体放出口から出る気体とによって形成されたサンプル液滴の霧化噴霧を分注することとを含む、方法である。
【0162】
[実施例12]
実施例12は、分注することが、サンプル放出口から出る液体サンプルを気体放出口から出る前記気体で剪断することを含む、実施例11の方法である。
【0163】
[実施例13]
実施例13は、気体をノズル装置の空洞を通して流すことが、
気体を第1の空洞を通して流すことと、
気体を複数の第2の空洞を通して流すことと、
気体を、複数の第2の空洞を介して第1の空洞に流体接続された第3の空洞を通して流すこととを含む、実施例11または12の方法である。
【0164】
[実施例14]
実施例14は、気体をノズル装置の前記空洞を通して流すことが、第3の空洞において、または気体放出口において、あるいはその両方において、気体の層流をもたらす、実施例11~13のいずれか1つの方法である。
【0165】
[実施例15]
実施例15は、第1の空洞がハウジングの気体注入口から流れる気体を細分する、実施例11~14のいずれか1つの方法である。
【0166】
[実施例16]
実施例16は、ノズル装置の第1の空洞と第3の空洞との間に配置された複数の第2の空洞を介して、気体を4つの別個の流路に細分することを含む、実施例11~15のいずれか1つの方法である。
【0167】
[実施例17]
実施例17は、細分された気体を第3の空洞において再結合することを含む、実施例15または実施例16の方法である。
【0168】
[実施例18]
実施例18は、サンプル液滴が約10μm~約10.9μm、約11μm~約11.9μm、約12μm~約12.9μm、約13μm~約13.9μm、約14μm~約14.9μm、約15μm~約15.9μm、約16μm~約16.9μm、または約17μm~約18μmの液滴サイズを有するようにノズル装置からサンプル液滴を噴霧することを含み、サンプル放出口において生成される液滴の80%以上が上記液滴サイズを有する、実施例11~17のいずれか1つの方法である。
【0169】
[実施例19]
実施例19は、第1の端と第2の端とを含むハウジングであって、記第1の端がサンプル注入口と気体注入口とを含み、第2の端がサンプル放出口と気体放出口とを含む、ハウジングと、
ハウジング内に延び、サンプル注入口をサンプル放出口に流体結合する、サンプル送達路と、
ハウジング内に延び、気体注入口を気体放出口に流体結合する、気体送達路と、を含む装置である。
【0170】
[実施例20]
実施例20は、サンプルが入ったサンプル源を、ノズルのハウジングの第1の端に配置されたサンプル注入口に結合することと、
気体が入った気体源を、ノズルのハウジングの第1の端に配置された気体注入口に結合することと、
ハウジング内に延び、サンプル注入口をノズルのハウジングの第2の端における出力開口に配置されたサンプル放出口に流体結合するサンプル送達路内に、サンプルを供給することと、
ハウジング内に延び、気体注入口をノズルのハウジングの第2の端における出力開口に配置された気体放出口に流体結合する気体送達路内に、気体を供給することとを含み、気体とサンプルとが出力開口から、細胞トランスフェクションシステムのフィルタ膜上に配置された細胞に霧化噴霧として分注される方法である。
【0171】
[実施例21]
実施例21は、針とスリーブとスリーブを受け入れるように構成されたハウジングとを含むノズル装置である。針は、液体サンプルを受け入れるように構成されたサンプル注入口と、ハブに結合され、中心軸に沿って延びる第1の内径を画定する近位端部と、近位端部に接続され、液体サンプルを分注するためのサンプル放出口を有する遠位端部とを有するハブを含む。スリーブは、近位端から遠位端まで延びる本体であって、遠位端が遠位先端部を含み、外壁と内壁とによって画定された本体と、互いから半径方向に離隔され、本体の外壁から延びる複数の羽根とを含む。ハウジングは、気体を受け入れるように構成された気体注入口を有する気体注入口部と、気体注入口部に流体結合された第1の部分と、スリーブの遠位端を受け入れるように構成された第2の部分と、円錐形であって、第1の部分と第2の部分とに流体結合され、それらの間に延びる第3の部分と、円錐形であって、第2の部分に結合され、気体を分注するように構成された気体放出口を有する第4の部分とを含む。ハウジングとスリーブと針とがともに、気体を流すように構成された空洞を画定し、空洞が、気体注入口部と、ハウジングの第1の部分と第3の部分との少なくとも一部とスリーブの外壁とによって画定された環状空間とを含む第1の空洞と、第1の空洞に隣接し、ハウジングの第2の部分の少なくとも一部とスリーブの羽根とスリーブの本体の外壁とによって画定された複数の第2の空洞と、複数の第2の空洞を介して第1の空洞に流体接続された第3の空洞とを含み、第3の空洞が中心軸に沿った方向に遠位にスリーブの遠位先端部に対して遠位である所定の長さだけ伸び、第3の空洞が、スリーブの外壁の少なくとも一部とハウジングの第3の部分と針の遠位端とによって画定されている。
【0172】
[実施例22]
実施例22は、針とスリーブとスリーブを受け入れるように構成されたハウジングとを含むノズル装置である。ノズルは、液体サンプルを受け入れるように構成されたサンプル注入口を有するハブと、ハブに結合され、中心軸に沿って延びる第1の内径を画定する近位端部と、近位端部に接続され、液体サンプルを分注するためのサンプル放出口を有する遠位端部とを含む。スリーブは、近位端から遠位端まで延びる本体であって、遠位端が遠位先端部を含み、外壁と内壁とによって画定された本体と、互いから半径方向に離隔され、本体の外壁から延びる複数の羽根とを含む。ハウジングは、気体を受け入れるように構成された気体注入口を有する気体注入口部と、気体注入口部に流体結合された第1の部分と、スリーブの遠位端を受け入れるように構成された第2の部分と、第1の部分と第2の部分とに流体結合され、それらの間に延びる第3の部分と、第2の部分に結合され、気体を分注するように構成された気体放出口を有する第4の部分とを含む。ハウジングとスリーブと針とがともに、気体を流すために構成された空洞を画定し、空洞は、気体注入口と、ハウジングの第1の部分および第3の部分の少なくとも一部とスリーブの外壁とによって画定された環状空間とを含む第1の空洞と、第1の空洞に隣接し、ハウジングの第2の部分の少なくとも一部とスリーブの羽根とスリーブの本体の外壁とによって画定された複数の第2の空洞と、複数の第2の空洞を介して第1の空洞に流体接続された第3の空洞とを含む。
【0173】
本明細書には、多くの特定の実装詳細が記載されているが、これらは本開示の技術の、または特許請求可能な対象の範囲の限定であると解釈されるべきではなく、開示されている特定の技術の特定の実施形態に固有であり得る特徴の説明と解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、一部または全体を単一の実施形態において組み合わせて実装することも可能である。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実施形態で別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。また、本明細書では特徴について特定の組合せで機能するものとして説明され、および/または、そのようなものとして最初に特許請求されている場合があるが、特許請求される組合せのうちの1つまたは複数の特徴が、場合によってはその組合せから削除されることも可能であり、特許請求される組合せはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象とすることも可能である。同様に、動作を特定の順序で説明している場合があるが、これは、望ましい結果を得るために、そのような動作がその特定の順序または順次的な順序で行われること、または、すべての動作が行われることが必要であるものと解釈されるべきではない。以上、本主題の特定の実施形態について説明した。他の実施形態も以下の特許請求の範囲に含まれる。
【0174】
したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0175】
100 ノズル
105 ハウジング
110 出力開口
115 入力端
120 出力端
125 気体注入口
130 流体またはサンプル注入口
135 気体送達路
140 サンプル送達路
145 気体放出口
150 サンプル放出口
155 先細部
600 ノズル
605 入力端
610 出力端
615 ハウジング
620 スリーブ
625 針
627 ハブ
629 近位端部
630 サンプル注入口
631 第1の内径
632 中心軸
633 遠位端部
634 第2の内径
635 サンプル送達路
640 気体注入口
641 本体
642 近位端
643 遠位端
644 遠位先端部
645 羽根
646 外壁
647 内壁
650 フランジ部
651 気体注入口部
652 第1の円筒部
653 第2の円筒部
655 鍵機構
656 鍵機構
660 サンプル放出口/空気アニュラス
661 第1の円錐部
663 第2の円錐部
665 サンプル放出口
670 気体放出口
701 第1の空洞
701a 先細部
702 第2の空洞
703 第3の空洞
704 出口空洞
800 針
805 本体
810 サンプル注入口
815 中空管
820 サンプル送達路
900 ノズル
905 ハウジング
910 出力開口
915 入力端
920 出力端
935 気体送達路
940 サンプル送達路
945 サンプル放出口
950 気体放出口
955 混合室
960 出力路
1400 ノズル
1405 入力端
1410 出力端
1415 ハウジング
1420 スリーブ
1425 サンプル注入口
1430 サンプル送達路
1435 サンプル放出口
1440 気体注入口
1445 気体送達路
1450 混合室
1455 混合室
1460 出力開口
1465 位置合わせ機構
1470 フィン部材
2200 細胞トランスフェクションシステム
2205 ポッド
2210 ポッドネスト
2215 ノズルネスト
2220 バルブコネクタ
2225 サンプル圧力コネクタ
2240 空気圧コネクタ
2235 電源入力
2240 オン/オフスイッチ
2245 ヒューマンマシンインターフェース(HMI)ケーブル
2250 ヒューマンマシンインターフェース(HMI)
2255 空気源結合
2305 筐体
2310 通気孔
2315 底板
2320 足
2325 ディスプレイ
2405 管
2410 エッペンドルフベース支持部
2415 ノズルネスト
2420 管
2425 噴霧パターン
2500 細胞トランスフェクションシステム(CTS)
2505 ディスプレイ
2510 ヒューマンマシンインターフェース(HMI)
2515 ライト、視覚表示器
2520 停止ボタン
2525 使い捨てアセンブリ
2530 フレーム
2535 廃棄物収集トレイ
2540 細胞収集トレイ
2545 媒体物質
2550 バルブ
2555 流体検出センサー
2560 ポンプ
2565 超音波流量検出器
2570 シリンジ
2575 流体検出器
2580 バルブ
2605 バルブホルダー
2610 バルブ
2705 電気コネクタ
2710 ガスコネクタ
2715 ホース留め金
2720 ハンガー
2725 バーコードリーダ
2805 ドレーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
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図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【国際調査報告】