(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】脳性麻痺によるジスキネジアの処置における使用のためのバルベナジン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20240705BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61P25/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579503
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022073214
(87)【国際公開番号】W WO2023278991
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398005054
【氏名又は名称】ニューロクライン バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リャン, グレース エス.
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086CB09
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA22
(57)【要約】
それを必要とする患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置する方法であって、小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)阻害剤をそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。本発明は、例えば、脳性麻痺によるジスキネジアの処置を必要とする患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置する方法であって、治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳性麻痺によるジスキネジアの処置を必要とする患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置する方法であって、治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
脳性麻痺による前記ジスキネジアが、ジストニアタイプの異常な不随意運動によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脳性麻痺による前記ジスキネジアが、アテトーゼタイプの異常な不随意運動によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
脳性麻痺による前記ジスキネジアが、ヒョレアタイプの異常な不随意運動によって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩が、最適化された用量が投与されるまでの約6週以下の期間にわたる上方用量設定を含む用量設定スキームを介して投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記用量設定スキームが、前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を、約20mgのバルベナジン遊離塩基と等価な初期用量で、体重50kg未満の小児患者に対して1日1回約2週間投与することと、前記患者が前記初期用量に対して耐容性を示し、前記患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、前記用量を増加させ、増加させた用量を前記患者に投与することとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記増加させた用量が、1日1回の約40mgのバルベナジン遊離塩基と等価である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記用量設定スキームが、前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を、前記増加させた用量で約2週間投与することをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が前記増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、前記最適化された用量が、前記初期用量である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者が前記増加させた用量に対して耐容性を示した場合かつ前記患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、前記最適化された用量が、前記増加させた用量である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記最適化された用量の前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を前記患者に投与することをさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記患者が前記増加させた用量に対して耐容性を示した場合かつ前記患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、前記用量を増加させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに増加させた用量が、1日1回の約60mgのバルベナジン遊離塩基と等価である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記患者が、前記さらに増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、前記最適化された用量が、前記増加させた用量である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者が前記さらに増加させた用量に対して耐容性を示した場合かつ前記患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、前記最適化された用量が、前記さらに増加させた用量である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記最適化された用量の前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を前記患者に投与することをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記用量設定スキームが、前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を、約40mgのバルベナジン遊離塩基と等価な初期用量で、体重50kgを超えるかまたはそれに等しい患者に対して1日1回約2週間投与することと、前記患者が前記初期用量に対して耐容性を示し、前記患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、前記用量を増加させ、増加させた用量を前記患者に投与することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
前記増加させた用量が、1日1回の約60mgのバルベナジン遊離塩基と等価である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記用量設定スキームが、前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を、前記増加させた用量で約2週間投与することをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記患者が前記増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、前記最適化された用量が、前記初期用量である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記患者が、前記増加させた用量に対して耐容性を示し、患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、前記最適化された用量が、前記増加させた用量である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記最適化された用量の前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を前記患者に投与することをさらに含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記患者が、前記増加させた用量に対して耐容性を示した場合かつ前記患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、前記用量を増加させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
さらに増加させた用量が、1日1回の約80mgのバルベナジン遊離塩基と等価である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記患者が前記さらに増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、前記最適化された用量が、前記増加させた用量である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記患者が前記増加させた用量に対して耐容性を示した場合かつ前記患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、前記最適化された用量が、前記さらに増加させた用量である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項27】
前記最適化された用量の前記バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を前記患者に投与することをさらに含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項28】
前記患者が6歳から11歳である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者の体重が50kg未満である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が12歳から17歳である、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者の体重が50kg未満である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記患者の体重が50kg以上である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記患者が18歳またはそれより年長である、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者の体重が50kg以上である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
投与前、前記患者が脳性麻痺による中等度または重度のジスキネジアを有する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
投与前、前記患者のClinical Global Impression of Severity(CGI-S)スコアが少なくとも4である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記処置が、調査者によって評価されるUHDRS TMCスコアにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記処置が、UHDRS TMDスコアにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記処置が、CGI-Sスコアにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記処置が、UHDRS機能的評価および機能的能力スコアにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記処置が、MD-CRS Part Iスコアにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記処置が、Neuro-QoLにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記処置が、CP QoL-Teenにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記処置が、CP QoL-Teen(介護者代理報告)において変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記処置が、CP QoL-Childにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記処置が、CP QoL-Child(介護者代理報告)において変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記処置が、UHDRS TMにおいて変化をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
バルベナジンまたはその薬学的に許容される塩が投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
バルベナジンの薬学的に許容される塩が投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記薬学的に許容される塩がトシル酸塩である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記トシル酸塩がジトシル酸塩である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ジトシル酸塩が多形体Iである、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
脳性麻痺(CP)は、幼児期に始まり生涯にわたって持続される神経発達障害であり、米国では小児1000名のうち約3名が罹患している。世界的には、CPの有病率は、高所得国では出生数1000件あたり1.7から3.1件であり、低所得国では有病率がさらに高くなる。CPは、周産期の低酸素性虚血性損傷、脳卒中、感染症、代謝撹乱(すなわち核黄疸)、または基底核および運動制御に関与する他の脳構造の発達に影響を及ぼす他のメカニズムに起因する場合がある。CPは、優勢な運動障害に基づいて、痙攣型、ジスキネジー型、および失調型のサブタイプに臨床的に分類される。
【0002】
ジスキネジー型脳性麻痺(DCP、アテトーゼ型脳性麻痺またはADCPとしても公知である)を呈する人々は、不随意運動を特徴とする脳性麻痺の形態であり、全体的な重度の運動機能障害をもたらす。ジスキネジー型脳性麻痺には3つの決定的な特徴:ジストニア、アテトーシス、およびヒョレアが存在する。DCPは世界的にはCP症例の最大15%を占めている。
【0003】
DCPを呈する患者は、様々な程度のジストニアおよび舞踏病アテトーシスを呈する混合表現型を有することが多く、これらの運動症状発現を処置するためのアプローチは様々である。現在のところ、ジストニア型または舞踏病アテトーゼ型のDCPを処置するために承認されている治療は存在しない。DCPにおけるジストニアを処置するための診療において使用される最も一般的な薬理学的経口療法としては、抗コリン薬(トリヘキシフェニジルおよびベンズトロピン)、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)-B受容体アゴニストのバクロフェン、およびベンゾジアゼピン系薬(ジアゼパムおよびクロナゼパム)が挙げられる。ボツリヌス毒素の筋肉内注射もジストニアを局所処置するために使用される。抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系薬、および抗コリン薬は、舞踏病アテトーシスのための処置としても使用され、有効性に関する様々なレベルの根拠および有害効果に関する周知の可能性を有する。より重度の症例では、外科的アプローチ、例えば脳深部刺激(DBS)も試みられてきた。ジスキネジー型/舞踏病アテトーゼ型のDCPのための薬理学的処置は、一方の症状を改善し、もう一方を悪化させるか、または治療用量に到達する前に有害効果を誘発する場合がある。DCPを呈する患者が経験する様々な障害性の運動症状を有効に処置し、同時にオフターゲット効果を最小限にすることは、依然として未だ対処されていない重要な医療ニーズのままである。
【0004】
脳性麻痺、例えばジスキネジー型脳性麻痺を処置するための方法に関する顕著な未だ対処されていないニーズが存在する。本開示は、以下の開示を参照すれば明白であるように、これらのおよび他のニーズを満たしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
それを必要とする患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置する方法であって、治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む方法が提供される。一部の実施形態では、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩は、最適化された用量が投与されるまで約6週以下の期間にわたる、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩の上方用量設定を含む用量設定(titration)スキームを介して投与される。
【0006】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照した際に明らかになるであろう。この目的のために、ある特定の背景情報、手順、化合物、および/または組成物をより詳細に記載している様々な参考文献が本明細書において示されており、それら全体がそれぞれこれにより参照により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、研究デザインの概略図を示す。無作為化は、年齢群(6から11歳、12から17歳、および18から70歳)およびベースライン(1日目)における安定な併用ボツリヌス毒素レジメン(はい/いいえ)によって階層化される。50kg未満の小児患者に対するバルベナジン用量は20mg/日から開始する。50kg以上の小児患者および成人に対するバルベナジン用量は、40mg/日から開始する。用量増加に対して耐容性を示さない患者に関しては、各処置期間中に、最も高い用量設定された用量から1回の用量レベルの減少が可能である。フォローアップ来院は研究処置の最後の投薬から2週間後に行われる。二重盲検処置期間中、早期に研究処置を中断した患者は、研究に残って14週の研究評価を完了させなければならない。PBO=プラセボ;R=無作為化;VBZ=バルベナジン。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
以下の説明では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、ある特定の具体的な詳細を示している。しかし、当業者であれば、本発明は、これらの詳細な記載なしで行ってもよいことは理解するであろう。他の場合では、周知の構造は実施形態の説明を不必要にわかりにくくすることを回避するために、詳細に示されても記載されてもいない。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、以下の本明細書および特許請求の範囲全体にわたって、「含む(comprise)」およびその変形形態、例えば、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」は、オープンかつ包含的な意味、すなわち「を含む(including)が、これらに限定されない」に解釈されるべきである。さらに、本明細書において提供される見出しは、便宜上のものにすぎず、特許請求される発明の範囲または意味を解釈するものではない。
【0009】
本明細書全体にわたって、「一実施形態」または「実施形態」または「一部の実施形態」または「ある特定の実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特性、構造または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって様々な箇所における「一実施形態では」または「実施形態では」または「一部の実施形態では」または「ある特定の実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特性、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせてもよい。
【0010】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかに他のものを示していない限り、複数の言語対象を含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、一部の実施形態では、「薬学的に許容される塩」は無機酸または有機酸との酸添加塩を指す。好適な塩のリストは、WO87/05297、1987年9月11日にJohnstonらから出版されたRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418;およびJ. Pharm. Sci., 66, 2 (1977)において見いだされ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示の薬学的な塩の調製および選択に関する参考文献は、P. H. Stahl & C. G. Wermuth "Handbook of Pharmaceutical Salts," Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich, 2002であり、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。有機酸または無機酸としては、これらに限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸などがある。一部の実施形態では、「薬学的に許容される塩」は、無機塩基または有機塩基との塩基添加塩を指す。塩を調製するために使用してもよい無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウムの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩などがあり;特に好ましいものは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、またはリン酸塩である。塩を調製するために使用してもよい有機塩基としては、例えば、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン、塩基性イオン交換樹脂など、特に例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンがある。
【0012】
本明細書で使用される場合、「約」は、表示された値の±20%を意味し、より具体的には表示された値の±10%、±5%、±2%および±1%の値を含む。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ベースライン」は、治療開始直前の期間を指す。治療開始直前の患者の状態は、患者のベースライン状態と称することができる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「投与を調整すること」、「投与を変更すること」、「投薬を調整すること」、または「投薬を変更すること」は、全て同等であり、物質の用量を漸減すること、減少させることもしくは増加させること、患者への物質の投与を中止すること、または物質の代わりに異なる活性薬剤を使用することを意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「患者に投与すること」は、当技術分野において認識されている導入手段を介して組成物または投薬形態を患者に導入するプロセスを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アテトーシス」とは、ジスキネジー型脳性麻痺のもう1つの特徴を指し、ゆっくりとした攣縮および身体をくねらせる運動を特徴とする。症状は、安静時に表出する場合があり、一般的に個体が動いた場合に悪化するようになる。アテトーシスの他の一般的な症状としては:運動の試みに伴って悪化する不随意のゆっくりした連続的なもだえる運動;筋肉の緊張の変動(堅い(stiff)ものから締まりのない(floppy)ものまで);顔の筋肉の制御ができないことによるしかめつらをすることおよび/またはよだれを垂らすこと;飲食困難;筋肉の緊張における変化による小さな物をつかむことおよび保持することの困難さ;不随意運動が、個体が完全にリラックスしていない限り継続する場合があること;および不随意運動は典型的には個体が眠っている場合に消失すること。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ヒョレア」は、短時間の不規則で不随意な運動(不規則で移動性の収縮)を特徴とするジスキネジー型脳性麻痺の特徴を指す。名前は、不随意運動が繰り返されることが多いため、「ダンス」を意味するギリシャ語のヒョレアに由来する。これは、身体の複数の部分に影響を及ぼす場合がある。ヒョレアは、咀嚼、飲用、嚥下、および発語に困難さをもたらす場合がある。
【0018】
本明細書で使用される場合、「舞踏病アテトーシス」または「舞踏病アテトーゼ型」は、ヒョレア(不規則で移動性の収縮)およびアテトーシス(ねじれることおよびもだえること)の組合せにおける不随意運動の出現である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ジストニア」とは、もだえるようなゆっくりで反復的な運動を特徴とする不随意の筋肉収縮を指し、これらは、個体が動き始めた場合に悪化する。他の症状としては、異常なぎこちない姿勢、ゆっくりな痛みを伴う運動から速く急速な運動への交互の入れ替わり、および小児のストレスまたは疲れが溜まった場合に増加する不随意運動がある。ジストニアは、身体の全ての部分に影響を及ぼす場合もあれば、身体の1つの領域のみに局在する場合もある。
【0020】
本明細書で使用される場合、「同時投与する」および「同時投与」およびこれらの変形は、少なくとも2つの薬物を、逐次的に、同時に、または結果的に互いに最も近い時間で(例えば、同日内、または同週内、または30日の同期間内、または少なくとも2つの薬物それぞれが血漿中に同時に検出できる十分に近接した期間内で)のいずれかで、患者に投与することを意味する。同時投与される場合、2つのまたはそれを超える活性薬剤は、同じ組成物の一部として同時製剤化しても、別個の製剤として投与してもよい。これは、本明細書において「併用」投与またはその変形を指す場合もある。
【0021】
本明細書で使用される場合、「障害」という用語は一般的に、全てが、正常な機能を損なわせるヒトまたは動物の身体またはその部分のうちの1つの異常な状態を反映し、典型的には、徴候および症状を区別することによって明らかにされるという点において、「疾患」、「症候群」、および「状態」(医学的状態における場合)という用語と同義であり、互換可能に使用されることを意図する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「用量」とは、患者が一度に摂取する活性薬剤の測定量を意味する。ある特定の実施形態では、活性薬剤がバルベナジン遊離塩基ではない場合、その量はバルベナジン遊離塩基の対応する量に等しいモル濃度である。例えば、薬物は、薬学的に許容される塩の形態、例えば、ジトシル酸バルベナジンで包装されることが多く、強度に関する投薬量は、バルベナジンの対応する遊離塩基と等しいモル濃度の質量を指す。例として、73mgのトシル酸バルベナジンは、40mgのバルベナジン遊離塩基と等価なモル濃度である。
【0023】
明細書で使用される場合、「投薬レジメン」とは、患者に最初に摂取される活性薬剤の用量、および活性薬剤の任意のその後の用量が患者に摂取される間隔(時間または症候)、例えば、1日1回約20から約160mg、例えば、1日1回約20、約40、約60、約80、約100、約120、または約160mgを意味する。活性薬剤の追加の用量は、最初に摂取する用量と異なっていてもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「投薬量」は、特定の期間にわたる用量の特定の量、回数、および頻度の処方された投与である。
【0025】
本明細書で使用される場合、薬剤、化合物、薬物、組成物、または組合せの「有効量」および「治療有効量」は、対象または患者(例えば、ヒト対象または患者)に投与した際に、一部の所望の治療効果を発生させるための非毒性の有効な量である。対象に関する正確な治療有効量は、例えば、対象のサイズおよび健康、状態の性質および程度、投与のために選択される治療薬または治療薬の組合せ、ならびに当業者に公知の他の変数に依存する場合がある。所与の状況に関する有効量は、慣例の実験によって決定され、臨床医の判断の範囲内である。
【0026】
本明細書で使用される場合、「通知すること」とは、公開資料を参照または提供すること、例えば、活性薬剤を公開資料とともにユーザーに提供すること;または口頭で、例えば、セミナー、学会、または他の教育的プレゼンテーションにおいてプレゼンテーションすることによって、医薬品営業担当者と医療従事者との間で話し合うことによって、または医療従事者と患者との間で話し合うことによって情報を提示すること;または理解の目的のためにユーザーに意図される情報を実証することを意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「同位体バリアント」とは、このような化合物を構成する原子のうちの1つまたは複数において自然界には存在しない割合の同位体を含む化合物を意味する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体バリアント」は、自然界には存在しない割合の1つまたは複数の同位体を含み、これらに限定されないが、水素(1H)、ジュウテリウム(2H)、トリチウム(3H)、炭素-11(11C)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17F)、フッ素-18(18F)、リン-31(31P)、リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、硫黄-35(35S)、硫黄-36(36S)、塩素-35(35Cl)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79(79Br)、臭素-81(81Br)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-127(127I)、ヨウ素-129(129I)、およびヨウ素-131(131I)を含む。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体バリアント」は安定な形態のもの、すなわち非放射性のものである。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体バリアント」は、自然界には存在しない割合の1つまたは複数の同位体を含み、これらに限定されないが、水素(1H)、ジュウテリウム(2H)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、および酸素-18(18O)を含む。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体バリアント」は不安定な形態のもの、すなわち放射性のものである。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体バリアント」は、自然界には存在しない割合の1つまたは複数の同位体を含み、これらに限定されないが、トリチウム(3H)、炭素-11(11C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、酸素-14(14O)、および酸素-15(15O)を含む。本明細書において提供される化合物において、当業者の判断に従って実現可能である場合、例として任意の水素は2Hであってもよく、または例として任意の炭素は13Cであってもよく、または例として任意の窒素は15Nであってもよく、例として任意の酸素は18Oであってもよいことは理解されるであろう。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体バリアント」は、自然界には存在しない割合のジュウテリウムを含む。
【0028】
本明細書において提供される化合物に関して、特定の原子の位置が、ジュウテリウムまたは「D」または「d」を有するとして指定された場合、その位置におけるジュウテリウムの存在量は、実質的にジュウテリウムの自然界の存在量である約0.015%を超えることを理解されたい。ジュウテリウムを有するとして指定される位置は、典型的には、各指定されるジュウテリウム位置において、ある特定の実施形態では、少なくとも1000(15%のジュウテリウム取込み)、少なくとも2000(30%のジュウテリウム取込み)、少なくとも3000(45%のジュウテリウム取込み)、少なくとも3500(52.5%のジュウテリウム取込み)、少なくとも4000(60%のジュウテリウム取込み)、少なくとも4500(67.5%のジュウテリウム取込み)、少なくとも5000(75%のジュウテリウム取込み)、少なくとも5500(82.5%のジュウテリウム取込み)、少なくとも6000(90%のジュウテリウム取込み)、少なくとも6333.3(95%のジュウテリウム取込み)、少なくとも6466.7(97%のジュウテリウム取込み)、少なくとも6600(99%のジュウテリウム取込み)、または少なくとも6633.3(99.5%のジュウテリウム取込み)の最小同位体濃縮係数を有する。本明細書において提供される化合物の同位体濃縮は、質量分析法、核磁気共鳴分光法、および結晶学を含む当業者に公知の従来の分析的方法を使用して決定してもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ラベリング」とは、医薬品もしくは投薬形態上に、またはこのような医薬品もしくは投薬形態に付随する、書面での、印刷された、図解の、電子的な、口頭での、または明示的な伝達の全てのラベルまたは他の手段を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「医療従事者」とは、安全性、有効性、投薬、投与、または薬物動態に関する情報を含む、その投薬形態を含む活性薬剤に関する情報を必要とするかまたは利用する場合があるヘルスケアの分野における従事者を意味する。医療従事者の例としては、医師、薬剤師、医師の助手、看護師、看護助手(aide)、介護者(家族または保護者を含む場合がある)、救急医療従事者、および獣医師がある。
【0031】
本明細書で使用される場合、「医薬ガイド(medication guide)」とは、21 CFR 208および他の適用される規制に記載された仕様に準拠した、医薬品に関するFDAに承認された患者用のラベリングを意味し、医薬品の安全な使用方法に関する患者のための情報を含んでいる。医薬ガイドは科学的に正確であり、21 CFR 201.57に基づいて医薬品に関して承認された専門家用のラベリングに基づいており、これと矛盾しているわけではないが、文言はそれに対応する承認されたラベリングのセクションと同一である必要はない。医薬ガイドは、典型的には、特別なリスク管理情報を伴う医薬品に利用可能である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「患者」または「個体」または「対象」とは、治療を所望するヒトを含む哺乳動物を意味し、治療の受容者を一般的に指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「患者用添付文書」とは、FDAに承認されたラベリングの一部である医薬品を安全に使用する方法に関する患者のための情報を意味する。それは、製品が分配された場合に患者に配布することができる医薬品に関する専門家用のラベリングの延長であり、製品に関する消費者向けの情報を一般用語で提供しており、例えば、それは、利益、リスク、リスクを認識する方法、投薬量、または投与を記載している場合がある。
【0034】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」は、生物学的にあるいは他の点で望ましくはないことはない材料を指し、すなわち、材料は、患者に投与される医薬組成物中に組み込まれていてもよく、いかなる望ましくない生物学的影響をもたらすことも、それが含まれる組成物の他の構成要素のいずれかと有害な様式で相互作用することもない。「薬学的に許容される」という用語が薬学的担体または賦形剤を指すために使用される場合、それは、担体または賦形剤が、毒性試験および製造試験の必要とされる基準を満たすこと、または米国食品医薬品局によって作成された不活性成分ガイドに含まれることを含意している。「薬理学的に活性な」(または「活性な」)誘導体またはアナログにおける「薬理学的に活性な」(または単に「活性な」)は、親化合物および程度においておおよそ同等のものと同じタイプの薬理学的に活性な誘導体またはアナログを指す。「薬学的に許容される塩」という用語は、無機酸、例えば、塩酸もしくはリン酸など、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などを用いて形成された酸添加塩を含む。遊離カルボキシル基を用いて形成された塩はまた、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄など、および有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどに由来していてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ポイント」および「スコア」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、ある特定の評点スケールの程度を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「製品」または「医薬品」とは、活性薬剤の投薬形態、さらに公開資料、および必要に応じてパッケージを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「添付文書」とは、医薬品に関する専門家用のラベリング(処方情報)、医薬品に関する患者用添付文書、または医薬品に関する医薬ガイドを意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「専門家用のラベリング」または「処方情報」とは、医薬品の販売を規制する規制当局(例えば、FDAまたはEMEA)によって承認された医薬品の公式な説明を意味し、これには、薬物の安全で有効な使用に必要とされる不可欠な科学的情報の要約、例えば、適応および用法;投薬量および投与;摂取するべき人;有害事象(副作用);特別な集団(妊婦、小児、高齢者など)における使用のための指示;患者のための安全性情報などが含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「公開資料」とは、情報を提供する媒体を意味し、印刷媒体、音声媒体、視覚媒体、または電子媒体、例えば、チラシ、広告、添付文書、印刷ラベリング、インターネットウェブサイト、インターネットウェブページ、インターネットポップアップウィンドウ、ラジオまたはテレビ放送、コンパクトディスク、DVD、音声記録、または他の記録媒体または電子媒体を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「リスク」とは、有害反応、損傷、または医薬処置から生じる他の望ましくない転帰の確率または機会を意味する。「許容されるリスク」とは、個体または群によって耐容性が示される、医薬処置から生じる危害、損傷、または疾患のリスクの程度を意味する。リスクが「許容される」かどうかは、個体または群がリスクを負う見返りとして入手できることが認識される利点、リスクの大きさについて提供される科学的および他の助言を許容するかどうか、および政治上なものと社会的なものの両方の多くの他の要因に依存する。有害反応の「許容されるリスク」とは、有害反応が、出現の確率が低いものもしくは結果がほんのわずかであるものであるか、または活性薬剤の利益(認識されたものまたは実際のもの)が極めて大きいため、社会における個体または群が有害反応が起こり得るリスクを受けることまたはそれに曝されることをいとわないことを意味する。有害反応の「許容されないリスク」とは、社会における個体または群が、有害反応の出現の確率、有害反応の結果、および活性薬剤の利益(認識されたものまたは実際のもの)を検討した際に有害反応が起こり得るリスクを受けることもそれに曝されることも望まないことを意味する。「リスクがある」とは、高レベルのリスクまたは感受性を特徴とする状況または状態にあることを意味する。リスク評価は、製品の使用に関連するリスクの性質、頻度、および重症度を識別し、特徴付けることからなる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「安全性」とは、患者関連因子(例えば、年齢、性別、民族、人種、標的となる病気、腎臓または肝臓の機能の異常、併存症の病気、遺伝的特徴、例えば代謝状態、または環境)および活性薬剤関連因子(例えば、用量、血漿レベル、曝露期間、または併用薬)に関連する有害効果を含む、活性薬剤の投与に関連する有害事象の発生率または重症度を意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、化合物の「上方用量設定(up-titration)」とは、患者にとっての用量制限不耐容性(dose-limiting intolerability)の前に生じる治療効果を達成するための化合物の量の増加を指す。上方用量設定は、同じであっても異なっていてもよい1つまたは複数の用量増分で達成することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「バルベナジン」は、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステル;またはL-バリン、(2R,3R,11bR)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジメトキシ-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-イルエステルまたはNBI-98854と称してもよく、以下の化学構造を有する。
【化1】
【0044】
バルベナジンは、米国特許第8,039,627号および同第8,357,697号に従って調製することができ、これらそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、本明細書において提供される組成物および方法において使用するためのバルベナジンは、米国特許出願第15/338,214号に開示される多形体Iであり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「VMAT2」は、細胞の細胞質ゾルからシナプス小胞に、モノアミン、特に神経伝達物質、例えば、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、およびヒスタミンを輸送するように作用する膜内在性タンパク質であるヒト小胞モノアミン輸送体アイソフォーム2を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害する」、または「VMAT2の阻害」という用語は、本明細書において開示される化合物のVMAT2の機能を変化させる能力を指す。VMAT2阻害剤は、阻害剤とVMAT2との間に可逆的もしくは不可逆的な共有結合を形成することによってまたは非共有結合的に結合した複合体を形成することによって、VMAT2の活性をブロックするかまたは減少させることができる。このような阻害は、特定の細胞タイプにおいてのみに示されてもよく、特定の生物学的事象に付随していてもよい。「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害する」、または「VMAT2の阻害」という用語は、VMAT2と天然基質との間で複合体が形成される確率を低下させることによってVMAT2の機能を変化させることも指す。
【0047】
それを必要とする患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置する方法であって、治療有効量の小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。また、それを必要とする患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置する方法であって、バルベナジンもしくはその薬学的に許容される塩またはバルベナジンもしくはその薬学的に許容される塩の同位体バリアントから選択される治療有効量の小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含み、VMAT2阻害剤が、最適化された用量が投与されるまで、約6週以下の期間にわたるVMAT2阻害剤の上方用量設定を含む用量設定スキームを介して投与される方法が提供される。
【0048】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアは、ジストニアタイプの異常な不随意運動によって特徴付けられる。
【0049】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアは、アテトーゼタイプの異常な不随意運動によって特徴付けられる。
【0050】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアは、ヒョレアタイプの異常な不随意運動によって特徴付けられる。
【0051】
一部の実施形態では、用量設定スキームは、VMAT2阻害剤を、約20mgのバルベナジン遊離塩基と等価な初期用量で、体重50kg未満の小児対象に対して1日1回約2週間投与することと、患者が初期用量に対して耐容性を示し、患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、用量を増加させ、増加させた用量を患者に投与することとを含む。一部の実施形態では、増加させた用量は、1日1回の約40mgのバルベナジン遊離塩基と等価である。一部の実施形態では、用量設定スキームは、VMAT2阻害剤を、体重50kg未満の小児対象に、前記増加させた用量で約2週間投与することをさらに含む。一部の実施形態では、対象が増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、最適化された用量は初期用量である。一部の実施形態では、対象が増加させた用量に対して耐容性を示した場合、および対象が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、最適化された用量は増加させた用量である。一部の実施形態では、方法は、最適化された用量のVMAT2阻害剤を体重50kg未満の小児対象に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、患者が増加させた用量に対して耐容性を示した場合、および患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、方法は、用量を増加させることをさらに含む。一部の実施形態では、さらに増加させた用量は、1日1回の約60mgのバルベナジン遊離塩基と等価である。一部の実施形態では、患者がさらに増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、最適化された用量は増加させた用量である。一部の実施形態では、患者がさらに増加させた用量に対して耐容性を示した場合、および患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、最適化された用量はさらに増加させた用量である。一部の実施形態では、方法は、最適化された用量のVMAT2阻害剤を患者に投与することをさらに含む。
【0052】
一部の実施形態では、用量設定スキームは、VMAT2阻害剤を、約40mgのバルベナジン遊離塩基と等価な初期用量で、体重50kgを超えるかまたはそれに等しい患者に対して1日1回約2週間投与することと、患者が初期用量に対して耐容性を示し、患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、用量を増加させ、増加させた用量を患者に投与することとを含む。一部の実施形態では、増加させた用量は、1日1回の約60mgのバルベナジン遊離塩基と等価である。一部の実施形態では、用量設定スキームは、VMAT2阻害剤を、体重50kgを超えるかまたはそれに等しい患者に、前記増加させた用量で約2週間投与することをさらに含む。一部の実施形態では、患者が増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、最適化された用量は初期用量である。一部の実施形態では、患者が増加させた用量に対して耐容性を示した場合、および患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、最適化された用量は増加させた用量である。一部の実施形態では、方法は、最適化された用量のVMAT2阻害剤を患者に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、患者が増加させた用量に対して耐容性を示した場合、および患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成しなかった場合、方法は、用量を増加させることをさらに含む。一部の実施形態では、さらに増加させた用量は、1日1回の約80mgのバルベナジン遊離塩基と等価である。一部の実施形態では、患者がさらに増加させた用量に対して耐容性を示さなかった場合、最適化された用量は増加させた用量である。一部の実施形態では、患者が増加させた用量に対して耐容性を示した場合、および患者が異常な不随意運動を十分に制御することを達成した場合、最適化された用量はさらに増加させた用量である。一部の実施形態では、方法は、最適化された用量のVMAT2阻害剤を、体重50kgを超えるかまたはそれに等しい患者に投与することをさらに含む。
【0053】
一部の実施形態では、患者は6から11歳である。一部の実施形態では、患者は6から11歳であり、体重は50kg未満である。一部の実施形態では、患者は6から11歳であり、体重は50kg以上である。
【0054】
一部の実施形態では、患者は12から17歳である。一部の実施形態では、患者は12から17歳であり、体重は50kg未満である。一部の実施形態では、患者は12から17歳であり、体重は50kg以上である。
【0055】
一部の実施形態では、患者は18歳またはそれより年長である。一部の実施形態では、患者は18歳またはそれより年長であり、体重は50kg未満である。一部の実施形態では、患者は18歳またはそれより年長であり、体重は50kg以上である。
【0056】
一部の実施形態では、投与前、患者は中等度または重度のDCPを有する。
【0057】
一部の実施形態では、投与前、患者のClinical Global Impression of Severity(CGI-S)スコアは少なくとも4である。
【0058】
一部の実施形態では、DCPに関連する患者の異常な不随意運動は、臨床的評価手段、例えば、評点スケール:Unified Huntington Disease Rating Scale-Total Motor Score;Movement Disorders-Childhood Rating Scale Part I;Clinical Global Impression of Severity;および/またはClinical Global Impression of Improvementのうちの少なくとも1つなどを使用して測定される。
【0059】
一部の実施形態では、有効性は、患者または介護者が報告した転帰、例えば、Patient Global Impression of Improvement、Caregiver Global Impression of Improvement;Cerebral Palsy Quality of Life-Child;Cerebral Palsy Quality of Life-Teen;および/またはQuality of Life in Neurological Disordersを使用して評価される。
【0060】
一部の実施形態では、処置は、UHDRS TMCスコアにおいて変化をもたらす。
【0061】
一部の実施形態では、処置は、UHDRS TMDスコアにおいて変化をもたらす。
【0062】
一部の実施形態では、処置は、CGI-Sスコアにおいて変化をもたらす。
【0063】
一部の実施形態では、処置は、UHDRS機能的評価および機能的能力スコアにおいて変化をもたらす。
【0064】
一部の実施形態では、処置は、MD-CRS Part Iスコアにおいて変化をもたらす。
【0065】
一部の実施形態では、処置は、Neuro-QoLにおいて変化をもたらす。
【0066】
一部の実施形態では、処置は、CP QoL-Teenにおいて変化をもたらす。
【0067】
一部の実施形態では、処置は、CP QoL-Teen(介護者代理報告(caregiver-proxy report))において変化をもたらす。
【0068】
一部の実施形態では、処置は、CP QoL-Childにおいて変化をもたらす。
【0069】
一部の実施形態では、処置は、CP QoL-Child(介護者代理報告)において変化をもたらす。
【0070】
一部の実施形態では、処置は、UHDRS TMにおいて変化をもたらす。
【0071】
一部の実施形態では、処置によって、以下:UHDRS TMCスコア;UHDRS TMDスコア;CGI-Sスコア;UHDRS機能評価および機能能力スコア;MD-CRS Part Iスコア;Neuro-QoL;CP QoL-Teen;CP QoL-Teen(介護者代理報告);CP QoL-Child;ならびにCP QoL-Child(介護者代理報告)のうちのいずれか1つまたは複数において改善がもたらされる。
【0072】
一部の実施形態では、処置によって、ベースライン時のDCPに関連する患者の異常な不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常な不随意運動における減少がもたらされる。
【0073】
一部の実施形態では、処置することによって、ベースライン時のDCPに関連する患者の異常な不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常な不随意運動は維持される。この文脈において使用される場合、「患者の異常な不随意運動を維持すること」は、DCPに関連する患者の異常な不随意運動が、ベースラインに対して変化していないことを意味する。したがって、一部の実施形態では、DCPに関連する患者の異常な不随意運動は安定したままであり、それは改善されていないが悪化もしていない。
【0074】
一部の実施形態では、患者の運動機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の運動機能と比較して改善される。
【0075】
一部の実施形態では、眼および眼窩周囲領域における患者の運動機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の運動機能と比較して改善される。
【0076】
一部の実施形態では、顔における患者の運動機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の運動機能と比較して改善される。
【0077】
一部の実施形態では、舌および口周囲領域における患者の運動機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の運動機能と比較して改善される。
【0078】
一部の実施形態では、頸部における患者の運動機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の運動機能と比較して改善される。
【0079】
一部の実施形態では、体幹における患者の運動機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の運動機能と比較して改善される。
【0080】
一部の実施形態では、下肢における患者の運動機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の運動機能と比較して改善される。
【0081】
一部の実施形態では、患者の口腔/言語機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の口腔/言語機能と比較して改善される。
【0082】
一部の実施形態では、患者のセルフケア機能は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者のセルフケア機能と比較して改善される。
【0083】
一部の実施形態では、患者の注意力/覚醒は、VMAT2阻害剤の投与後、ベースライン時の患者の注意力/覚醒と比較して改善される。
【0084】
一部の実施形態では、処置の安全性は、次の評価:Columbia-Suicide Severity Rating Scale、Hospital Anxiety and Depression Scale、Children’s Depression Inventory第2版、Barnes Akathisia Rating Scale、The Modified Ashworth Scale、およびUHDRS Items for Parkinsonismのうちの1つまたは複数によって測定される。
【0085】
一部の実施形態では、患者は追加の治療剤をさらに投与される。本明細書で使用される場合、追加の治療剤は、患者の脳性麻痺の状況、例えば、眼運動異常、コミュニケーション問題、嚥下困難、体重増加不良、社会的孤立、股関節形成異常および脱臼、脊柱側弯症、骨減少症および骨折、疼痛、ならびに運動障害などを処置するために投与されるVMAT2阻害剤以外の薬剤を指す。例示的な追加の治療剤としては、抗コリン薬(例えば、メシル酸ベンズトロピン、カルビドパ-レボドパ、グリコピロレート、塩酸プロシクリジン、および塩酸トリヘキシフェニジル)、抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン、ラモトリジン、オキシカルバゼピン、トピラメート、およびゾニサミド)、抗うつ薬(例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、およびセルトラリン)、鎮痙薬(例えば、ボツリヌス毒素、ジアゼパム、ダントロレン、シクロベンザドリン、髄腔内バクロフェン、およびチザニジン)、および抗炎症物質(例えば、アスピリン、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)、およびステロイド)がある。一部の実施形態では、追加の治療剤の投与は、式(I)、式(II)の化合物またはそれらの組合せの投与と同時に、それらの投与より前に、またはそれらの投与より後に行われる。
【0086】
一部の実施形態では、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩は、米国特許第10,857,137号;同第10,874,648号;同第10,912,771号;同第10,940,141号;同第10,952,997号;同第10,857,148号;および同第10,993,941号に開示されている方法に従って脳性麻痺によるジスキネジアを処置するために投与してもよく、そのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩は、米国特許出願第17/080,343号および同第16/870,572号に開示されている方法に従って脳性麻痺によるジスキネジアを処置するために投与してもよく、そのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、患者が、強力なシトクロムP450 2D6(CYP2D6)阻害剤も投与されており、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の約40mgと等価な量で、1日1回患者に経口投与することを含む方法が本明細書において提供される。
【0088】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、患者が、シトクロムP450 2D6(CYP2D6)低代謝群(poor metabolizer)であり、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の約40mgと等価な量で、1日1回患者に経口投与することを含む方法が本明細書において提供される。
【0089】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、
(a)治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に経口投与することと;
(b)その後、患者がシトクロムP450 2D6(CYP2D6)低代謝群であることを決定することと;
(c)患者に投与されるバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩の投薬量を、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の1日1回約40mgと等価な量まで減少させることと
を含む方法が本明細書において提供される。
【0090】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、
患者がシトクロムP450 2D6(CYP2D6)の低代謝群であるかどうかを決定すること;ならびに
患者がシトクロムP450 2D6(CYP2D6)の低代謝群であった場合、次いで、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の1日1回約40mgと等価な量である、第1の治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に経口投与すること;または
患者がシトクロムP450 2D6(CYP2D6)の低代謝群ではなかった場合、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の1日1回約40mgと等価な量である、第2の治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を、患者に1週間経口投与すること、およびその後、増加された量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を1週間後に投与すること
を含む方法が本明細書において提供される。
【0091】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、
(a)(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の1日1回約40mgと等価な量である、治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に経口投与することと;
(b)その後、患者がシトクロムP450 2D6(CYP2D6)の低代謝群であるかどうかを決定することと;
(c)同じ治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に投与することと
を含む方法が本明細書において提供される。
【0092】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、患者がシトクロムP450 2D6(CYP2D6)低代謝群であり、治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を1日1回患者に経口投与することを含む方法が本明細書において提供される。
【0093】
一部の実施形態では、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩をそれを必要とする患者に投与する方法であって、患者が強力なシトクロムP450 3A4(CYP3A4)インデューサーで処置されており、強力なCYP3A4インデューサーの処置を中止し、次いでバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に投与し、それによってバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩の、強力なCYP3A4インデューサーと組み合わせた使用を回避することを含む方法が本明細書において提供される。
【0094】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、患者が強力なシトクロムP450 3A4(CYP3A4)インデューサーを投与されており、
強力なCYP3A4インデューサーの処置を中止することと、次いで
治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に1日1回経口投与し、それによってバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩と強力なCYP3A4インデューサーとの併用使用を回避することと
を含む方法が本明細書において提供される。
【0095】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、患者が強力なシトクロムP450 3A4(CYP3A4)阻害剤も投与されており、バルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩が、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の約40mgと等価な量で、1日1回患者に経口投与することを含む方法が本明細書において提供される。
【0096】
一部の実施形態では、患者における脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、
(a)治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に経口投与することと;
(b)その後、患者が強力なシトクロムP450 3A4(CYP3A4)阻害剤を投与されていることを決定することと;
(c)患者に投与されるバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩の投薬量を、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の1日1回約40mgと等価な量まで減少させることと
を含む方法が本明細書において提供される。
【0097】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、
(a)(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルエステルによって測定した場合の1日1回約40mgと等価な量である、治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に経口投与することと;
(b)その後、患者が強力なシトクロムP450 3A4(CYP3A4)阻害剤を投与されていることを決定することと;
(c)同じ治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に投与することと
を含む方法が本明細書において提供される。
【0098】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、患者がジゴキシンも同時投与されており、
(a)治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に投与することと、
(b)患者の血液におけるジゴキシン濃度をモニタリングすることと;
(c)患者の血液におけるジゴキシン曝露が、ジゴキシン単独で投与された患者におけるジゴキシンレベルと比較して増加した場合、ジゴキシンの用量を減少させることと
を含む方法が本明細書において提供される。
【0099】
一部の実施形態では、脳性麻痺によるジスキネジアを処置するための方法であって、患者がジゴキシンを用いた処置も必要とするものであり、
治療有効量のバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を患者に経口投与することと、
ジゴキシンとバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩との同時投与に起因する曝露において期待される増加を相殺するために減少させた用量でジゴキシンを患者に投与することと
を含み、
減少させた用量が、患者がバルベナジンもしくはその同位体バリアントまたはバルベナジンもしくはその同位体バリアントの薬学的に許容される塩を投与されなかった場合に投与されるであろう患者のものに対するものである
方法が本明細書において提供される。
【0100】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺に関連するジスキネジアを処置する方法であって、治療有効量の本開示による小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。
【0101】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺に関連するジスキネジー型運動を処置する方法であって、治療有効量の本開示による小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。
【0102】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺に関連するヒョレアを処置する方法であって、治療有効量の本開示による小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。
【0103】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺に関連するジストニアを処置する方法であって、治療有効量の本開示による小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。
【0104】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺に関連するヒョレアおよびジストニアを処置する方法であって、治療有効量の本開示による小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。
【0105】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺に関連する舞踏病アテトーシスを処置する方法であって、治療有効量の本開示による小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。
【0106】
一部の実施形態では、それを必要とする患者における脳性麻痺に関連する舞踏病アテトーシスおよびジストニアを処置する方法であって、治療有効量の本開示による小胞モノアミン輸送2(VMAT2)阻害剤を患者に投与することを含む方法が提供される。
【0107】
本開示の実施形態の例が以下の実施例において提供される。以下の実施例は、例示の手段として提示されているにすぎず、本開示を使用して当業者を支援するためのものである。実施例は、本開示の範囲を特に限定することを決して意図するものではない。
【実施例】
【0108】
(実施例1:第3相試験)
脳性麻痺によるジスキネジアを呈する対象におけるバルベナジンの有効性、安全性、および耐容性を評価するための第3相無作為化二重盲検プラセボ対照並行デザイン研究を行う。研究は、6週のスクリーニング期間、14週の二重盲検処置期間、2週のウォッシュアウト、32週の非盲検処置期間、および2週のウォッシュアウト、続いてフォローアップ来院からなる。研究の期間全体はおおよそ56週であり、二重盲検プラセボ対照処置期間、続いて非盲検バルベナジン処置期間を含む。ジスキネジータイプのCP(すなわち、優勢な運動障害がジストニアおよび/または舞踏病アテトーシスであり、非進行性である)と医学的に確定診断された対象が適格である。
【0109】
適格な対象は、ベースライン(1日目)時の年齢(6から11歳、12から17歳、または18から70歳)および安定な併用ボツリヌス毒素レジメン(ありまたはなし)によって層別化された2つの群(バルベナジンまたはプラセボ)のうちの1つに1:1で無作為化される。確立されたボツリヌス毒素レジメン(すなわち、スクリーニング前の少なくとも6カ月間の安定な用量および注射スケジュール)が行われ、16週目の終わりまでに安定な注射スケジュールを有する計画の対象は、無作為化に関して安定な併用ボツリヌス毒素レジメンを有すると考えられる。
【0110】
二重盲検処置期間は、用量設定期(6週)および維持期(8週)からなる。バルベナジンの開始用量は、以下の表で示すように、体重50kg未満の小児対象に対しては20mgであり、50kg以上の体重の小児対象および成人に対しては40mgである。
【0111】
無作為化された研究処置の初回用量(50kg未満の小児対象に対しては20mg、50kg以上の小児対象および成人に対しては40mg、またはプラセボ)は、1日目に研究施設において施設スタッフの監督下で投与される。20mg/40mgに耐容性が示された場合、研究処置の用量は、2週目の終わりにおいて40mg/60mgに増加させる。40mg/60mgに耐容性が示された場合、研究処置の用量は、4週目の終わりにおいて60mg/80mgに増加させる。対象が、40mg(50kg未満の小児対象)または60mg(50kg以上の小児対象および成人)またはそれを超える用量に対して耐容性を示さなかった場合、調査者は、対象の用量を最も高い用量設定された用量から1用量レベルだけ1回減少させてもよい。用量が減少された対象は、調査者が増加が合理的に耐容性を示すであろうと判断した場合、その用量を、低用量での1週の後の用量設定期中に1用量レベルだけ再増加させてもよい。用量増加は、6週目の終わりまで行ってもよい。用量は、盲検様式で調整され;プラセボを受けた対象は、用量調整プロセスを受ける。
【0112】
維持期では、対象は、用量設定期において受けた最も高い個々の耐用量を継続する。8週の維持期中の最大1日用量は50kg未満の小児対象に対しては60mgであり、50kg以上の小児対象および成人に対しては80mgである。対象がその最も高い用量設定された用量に対して耐容性を示すことができず、用量設定中に用量を減少しなかった場合、調査者は、対象の用量を10週目の終わりまでに1用量レベルだけ1回減少させてもよい(対象が、20mg[50kg未満の小児対象]または40mg[50kg以上の小児対象および成人]を摂取していない限り、処置は中断される)。
【0113】
用量設定期および維持期中、対象が、(1)それが研究薬物に関連すると考えられ、(2)中等度または重度のいずれかの強度のものである有害事象(AE)、または重篤なAEを経験した場合、調査者は、用量レベルが耐容性を示されず、用量減少を必要とすると評価してもよい。二重盲検処置期間中にいずれかの理由のために研究処置に耐容性を示すことができなかったかまたは処置が中断された対象は、同意が撤回されない限り、14週目の研究評価を完了させるために研究に残るべきである。
【0114】
二重盲検処置期間中の全ての研究来院には±3日のウインドウ(window)がある。二重盲検処置期間後、全ての対象は、2週のウォッシュアウト(処置なし)を有する。
【0115】
非盲検処置期間中、全ての対象がバルベナジンを受け、その最も高い個々の耐用量まで再度用量設定される。用量設定および維持は、二重盲検期間中と同じ様式で行われる。対象が40mg(50kg未満の小児対象)もしくは60mg(50kg以上の小児対象および成人)またはそれを超える用量に対して耐容性を示さなかった場合、調査者は、対象の用量を非盲検処置期間中に最も高い用量設定された用量から1用量レベルだけ1回減少させてもよい。用量設定期中に用量が減少された対象は、調査者が増加が合理的に耐容性を示すであろうと判断した場合、低用量での1週の後に、その用量を1用量レベル再増加させてもよい。用量増加は、22週目の終わりまで(用量設定期)に行ってもよい。
【0116】
非盲検処置期間の維持期中の一部の来院は、リモートで行ってもよい。非盲検処置期間に関する研究処置の最後の投薬および最終的な有効性およびPK評価は、48週目の終わりにおいて行われる。フォローアップ評価は、50週目の終わり(研究処置の最後の投薬から2週間後)において行われる。非盲検処置期間中の研究来院には、用量設定中に±3日、維持中に±6日のウインドウがある。
【表1】
【0117】
対象は以下の組み入れ基準の全てを満たしている必要がある:
1.ジスキネジータイプの脳性麻痺(CP)の医学的な確定診断(すなわち、優勢な運動障害はジストニアおよび/または舞踏病アテトーシスであり、非進行性である)。ジスキネジー型運動は、調査者の評価に従った能力障害を引き起こすものであり、スクリーニング時に行われた、ビデオ録画された標準化運動検査の独立したレビューによって確認されるように少なくとも中等度の重症度のものである必要がある。
2.プロトコールによって禁止されてない薬物療法を必要としている安定な医学的状態を呈する対象は、ベースライン(1日目)の最小で30日前からこれらの薬物療法の安定な用量でなければならず、薬物療法レジメンは、研究全体にわたって安定したままであることが期待される。薬物療法、注入薬物療法、物理療法モダリティ、または電気的刺激を含むジスキネジアまたは痙縮に関する処置はまた、1日目の2週間前から安定レベルでなければならず、16週目の終わりまで安定したままであることが期待される。
【0118】
一部の実施形態では、小児対象の体重(kg)は、スクリーニング時の彼ら/彼女らの年齢および性別に対応した体重パーセンタイルの、5パーセンタイルを超えるかまたはそれに等しいが95パーセンタイル未満である。一部の実施形態では、成人のBMIは、スクリーニング時に15から47kg/m2(両端を含む)である(BMIは、対象の体重(キログラム)を対象の身長(メートル)の2乗で割ったものとして定義される)。
【0119】
対象は、以下の基準のいずれかを満たした場合、研究から除外される:
1.CP以外の状態(例えば、神経変性疾患、薬物誘発性ジスキネジア、遺伝的なもの、脳卒中または周産期以降の脳損傷など)に起因するジスキネジアの臨床的診断または病歴を有すること。
2.柔らかい固形物を嚥下することができないこと、または胃腸チューブ(gastro-enteral tube)による薬物療法を行うことが必要とされること。
3.スクリーニングの1年前または1日目に自殺行動または自殺念慮のいずれかを有すること。
4.いずれかの化合物の物質乱用者であること。
5.QT延長症候群または心臓性頻脈性不整脈、または臨床的に重大なECG異常の公知の病歴。
【0120】
対象は、以下の基準のいずれかを満たした場合、研究から除外される場合がある:
1.ジストニアおよび/または舞踏病アテトーシス以外の優勢な運動障害(すなわち、痙縮、運動失調、パーキンソニズム)。
2.粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System)(GMFCS)レベルV。
3.研究評価に干渉するであろう、重大な筋骨格変形(例えば、脊柱側弯症、拘縮)、痙縮、またはジストニア(例えば、最小限の運動能力、関節位置の固さまたは固定をもたらす)。
4.Swallowing Disturbance Questionnaire(SDQ)スコア11以上によって定義されるような臨床的に明らかな嚥下障害を有すること、柔らかい固形物を嚥下することができないこと、または胃腸チューブによる薬物療法を行うことが必要とされること。
5.ベースライン(1日目)前の30日以内に、研究への参加または研究結果に影響を及ぼす場合がある不安定な医学的状態または慢性疾患(他の神経学的疾患[認知的機能障害、重症筋無力症を含む]、肝臓、腎臓、心血管、消化管、肺、自己免疫、感染または内分泌の疾患の病歴を含む)、悪性疾患、または医学的に重大な病気。
6.制御不十分なてんかんを有すること。良好に制御されているてんかんとは、対象の発作頻度が安定しており(1回/月未満の発作)、過去12カ月間の重篤度および症候(semiology)が安定しており(調査者の意見に基づいて)、ベースライン(1日目)前の3カ月間で抗てんかん薬物(AED)を安定に使用したことを必要とする。主要な外科手術(例えば、筋骨格外科手術、神経外科手術)の病歴または研究の過程中に主要な外科手術を行う予定があり、調査者によれば、研究手順または要件を行うことかまたは従う能力に干渉する場合があること。
7.未処置の、処置不十分のまたは不安定な精神医学的病気、例えば、抑うつを有すること。抗うつ療法を受けている対象は、ベースライン(1日目)前の少なくとも8週間は安定用量でなければならない。モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)はベースライン(1日目)前の30日以内は禁止されている。
8.スクリーニング時または1日目(ベースライン)時に、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)の抑うつサブスケールのスコアが11以上またはChildren’s Depression Inventory第2版(CDI-2)Self-Report Shortバージョンでの合計T-スコアが70%を超えること。
9.自殺行動の重大なリスクを有すること。スクリーニングの1年前(ベースライン/スクリーニングバージョンを使用)または1日目(Since Last Visitバージョンを使用)において、C-SSRSに基づき、タイプ4(具体的な計画はない一部の行動意図を伴う能動的な自殺念慮)またはタイプ5(具体的な計画および意図を伴う能動的な自殺念慮)のいずれかの自殺行動または自殺念慮を呈する対象は除外する。
10.スクリーニング検査試験の異常に基づいた慢性的な腎臓または肝臓の疾患のエビデンス:
・血清クレアチニンが正常値の上限(ULN)の1.5倍を超える
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)がULNの2.5倍以上
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)がULNの2.5倍以上
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)がULNの3.0倍以上
・総ビリルビンがULNの1.5を超える、ただしギルバート症候群の文書化された診断に起因するものは除く
11.スクリーニング時に以下の検査異常のいずれかを有すること:
・ヘモグロビン<10g/dL
・白血球(WBC)数<3.0×103/mm3
・血小板数<100,000/mm3
・絶対好中球数<1.0×103/mm3
12.QT延長症候群または心臓性頻脈性不整脈の公知の病歴を有すること。
13.スクリーニングまたは1日目に、450ミリ秒を超える(男性)または470ミリ秒を超える(女性)Fridericiaの補正(QTcF)間隔を使用して心拍数が補正されたECG QT間隔、第2度房室ブロックタイプ2、第3度房室ブロックを伴うECG、または調査者によって判断されるような他の臨床的に重大なベースラインECG異常を有すること。
14.スクリーニング時に、ヒト免疫不全ウイルス抗体(HIV-Ab)試験結果またはB型肝炎表面抗原(HBsAg)試験結果が陽性であること。スクリーニング時に、C型肝炎ウイルス抗体(HCV-Ab)が陽性であり、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)反射試験結果の陽性が確認された対象は、研究に参加することが可能になり、ただし対象は、調査者によって評価される場合に無症候であり、除外基準12においてALT、AST、GGT、および総ビリルビンに関する肝機能試験異常を満たしていない。
【0121】
研究処置(バルベナジンおよびプラセボカプセル)の説明を表2に要約する。二重盲検処置期間における研究処置の割り当てを表3に提供する。
【表2】
【表3】
【0122】
二重盲検処置期間では、研究処置は、20または40mgのバルベナジンまたはプラセボを含むスプリンクルカプセル用の経口顆粒(カプセル化顆粒)として供給される。全ての対象は、2カプセル(同一の外観)を摂取し、それらは、割り当てられた処置および用量レベルに基づいて、表3において割り当てられているように1日1回同じ時間に摂取する必要がある。非盲検処置期間では、バルベナジンは、20、40、60、または80mgのバルベナジンを含むスプリンクルカプセル用の経口顆粒(カプセル化顆粒)として供給される。全ての対象は、用量設定レベルおよび最も高い個々の耐用量に基づいて、用量設定中および維持中に1日あたり1カプセルを消費する。カプセルは、まるごと飲み込んでもよく、または対象によってカプセルの内容物を柔らかい食品(例えば、アップルソース)にふりかけ、全体を消費してもよい。研究処置は、毎日1日1回おおよそ同じ時間に投与される(該当する場合、対象の介護者によって補助される)。
【0123】
2日目から開始し、研究処置は、毎日1日1回おおよそ同じ時間に投与される(該当する場合、対象の介護者によって補助される)。対象/介護者は、適用可能な研究来院日に、PK用の血液試料を採取する前に、研究処置投与の最後の投薬の日時を記録するように指示される。成人対象は、各処置期間において40mgの用量で開始する。小児対象に関しては、ベースライン時の体重は、二重盲検処置期間中の投薬レジメンを決定するために使用され、16週目の来院時の体重は、非盲検処置期間中の投薬レジメンを決定するために使用される(表1)。二重盲検期間および非盲検期間の各々では、研究処置の用量は、50kg未満の小児対象に対しては60mgまたは50kg以上の小児対象および成人に対しては80mgの最大用量まで、2週ごとに一度に1用量レベル(20mg)増加される。対象が、40mg(50kg未満の小児対象)または60mg(50kg以上の小児対象および成人)またはそれを超える用量に対して耐容性を示さなかった場合、調査者は、対象の用量を一度減少させてもよい。
【0124】
用量設定期中に用量が減少された対象は、調査者が増加が合理的に耐容性を示すであろうと判断した場合、低用量での1週の後に、その用量を1用量レベル再増加させてもよい。用量増加は、二重盲検期間では6週目の終わりまで、非盲検処置期間では22週目の終わりまで行ってもよい。用量は、盲検様式で調整され;プラセボを受けた対象は、用量調整プロセスを受ける。
【0125】
二重盲検処置期間の維持期では、用量減少は、10週目の終わりまで行ってもよい(対象が、20mg[50kg未満の小児対象]または40mg[50kg以上の小児対象および成人]を摂取していない限り、処置は中断される)。
【0126】
以下の薬物療法は、以下に記載するように、特に記載がない限り、ベースライン(1日目)の30日前から最終研究来院(または早期終了)まで禁止されている:
・抗精神病薬または他のドーパミン受容体ブロッカー:抗精神病薬(例えば、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クロルプロマジン、ハロペリドール、フルフェナジン、クロザピン)およびドーパミン受容体ブロッカー(例えば、メトクロプラミド、ドンペリドン)
・強力なシトクロムP450(CYP)3A4インデューサー:例えば、フェニトイン、フェノバルビタール、リファブチン、リファンピン、プリミドン、セイヨウオトギリソウ
・ドーパミン受容体アゴニストおよび前駆体:例えば、ロピニロール(アゴニスト);カルビドパ/レボドパ
・MAOI:例えば、イソカルボキサジド、フェネルジン、セレギリン、トラニルシプロミン
・VMAT2阻害剤:レセルピン、テトラベナジン、デューテトラベナジン
・ボツリヌス毒素:1日目から4カ月以内および研究中は禁止
・必要に応じた(prn)使用:全身投与する場合、これらの薬物療法の必要に応じた使用は禁止される:抗コリン薬、気分安定剤、抗うつ薬、強力なCYP3A4阻害剤(例えば、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、グレープフルーツジュース、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン)、および強力なCYP2D6阻害剤(例えば、ブプロピオン、フルオキセチン、パロキセチン、キニジン)。
【0127】
研究評価および手順は、以下を含んでいてもよい:
・遺伝子型決定-血液試料を、CYP2D6状態(すなわち、正常代謝群、中間代謝群、低代謝群、または超急速代謝群(ultra-rapid metabolizer))を分析するために、1日目に無作為化された対象から採取する。
・Swallowing Disturbance Questionnaire(SDQ)は、0(まったくない)から3(非常に頻繁)のスケールで食事の嚥下における対象の困難さを評価する15項目の手段である。SDQは、対象の嚥下能力を決定するための有効で確実な手段である。例えば、Cohen et al. (2011) Laryngoscope. 1383-7を参照されたい。
・United Huntington Unified Huntington Disease Rating Scale Total Motor Score(TMS)が行われ、スクリーニング時にビデオ録画し、対象の適格性を決定するために独立してレビューを行う。対象は、盲検化された外部UHDRS評価者によって決定される、スクリーニング時に中等度または重度のDCPを有する必要がある。Unified Huntington’s Disease Rating Scale: reliability and consistency. Huntington Study Group. Mov Disord. (1996) 11(2):136-42。
・Clinical Global Impression of Severity(CGI-S)がスクリーニングおよびベースライン(1日目)時に行われる。スクリーニングおよびベースライン時に4(中等度)またはそれを超えるCGI-Sスコアを有する対象は、研究に参加するのが適格である。Busner et al. (2007) Psychiatry (Edgmont). 4(7):28-37。
・Patient Global Impression of Severity(PGI-S)スケールが、5ポイントスケール(範囲:1=なしから5=非常に重度)で症状の全体的な重症度を評価するために使用される。Snyder et al. (2021) J Sleep Res. 30(1):e13141。
・Caregiver Global Impression of Severity(CaGI-S)スケールが、過去4週にわたる対象の症状の重症度の介護者による全体的な印象を評価するために使用される(範囲:0=症状なしから5=非常に重度の症状)。Rofail et al. (2016). BMC Psychiatry 16:245。
・粗大運動能力分類システム(GMFCS)は、もとはCPを呈する2歳から18歳の小児の粗大運動機能を分類するために開発された5つのレベルに規格化されたシステムである。GMFCSを使用した粗大運動機能において高い相関が、小児と成人との間に実証された。Paulson et al. (2017). Children (Basel). 2017;4(4):30。
【0128】
以下の有効性評価を行ってもよい。
・Unified Huntington Disease Rating Scale(UHDRS)は、HDの臨床的特性および経過を評価するためにHuntington Study Group(HSG)によって開発されたスケールである。UHDRSは広範な信頼性および有効性の試験を受けており、対照臨床的試験において主要な転帰尺度として使用されてきた。完全なUHDRSには、次の評価:運動、認知、行動、自立、機能、および総機能能力(TFC)が含まれる。
・UHDRSの総運動スコア(TMS)部分は、運動特性の重症度を測定するために規格化された運動検査に基づいており、グレード0(影響なし)からグレード4(最も重度に影響を受けている)に評点された31項目からなり、0~124ポイントの範囲となる。TMSおよびそのヒョレアおよびジストニアドメインは、DCPを呈する小児および成人対象におけるジスキネジア運動重症度を評価するために使用される。総最大ジストニア(TMD)ドメインは、TMSの項目17から21からなり、体幹および各四肢を含む5つの異なる身体部分におけるジストニアを独立して測定する。最大スコアは20である。総最大ヒョレア(TMC)ドメインは、TMSの項目22から28からなり、顔、口腔-頬側-舌領域、体幹、および各四肢を含む7つの異なる身体部分においてヒョレアを独立して測定する。最大スコアは28である。
・CPの機能的側面は、UHDRS TFCおよび機能評価チェックリストを使用して成人において評価される。UHDRS TFCスケールは、調査者が対象の仕事、資金管理、日常生活、家事、および自身のケアの取り決めを管理する能力をどのように判断するかを評価する。TFCスケールは、実際のパフォーマンスよりも対象の能力の評価に焦点を当てている。機能評価は、一般的な日常課題の25項目のはい/いいえのチェックリストである。
・Unified Huntington’s Disease Rating Scale Administrator(UHDRS)が行われ、スコア化される。UHDRSビデオ録画ファイルがレビューされ、スコア化される。中央評価者は、7つの身体領域(顔、頬側-口腔-舌、体幹、右上肢、左上肢、右下肢、および左下肢)に対する最大ヒョレア(0から4)、および5つの身体領域(体幹および各四肢)に対する最大ジストニア(0から4)をスコア化する。
・Movement Disorders-Childhood Rating Scale Part I-6歳から17歳の対象における運動障害の重症度は、発達年齢期の運動障害を評価するための検証済みツールであるMovement Disorders Childhood Rating Scale(MD-CRS)を使用して評価される。MD-CRSは、安静時および特定の課題中の異なる身体領域における運動障害の強度を評価し、運動機能および日常生活活動に対する運動障害の影響を評価する。スケールは、2つのパート:パートIにおける一般的な評価とパートIIにおける運動障害の重症度の評価とに分かれており:パートIのみが本研究において使用される。パートIは、4つのセクション(運動機能、口腔/言語機能、セルフケア、および注意力/覚醒)を含み、合計15項目が0から4のスケールで評価される。
・Movement Disorders-Childhood Rating Scale Administrator(MD-CRS)を行う。
・Clinical Global Impression of Severity(CGI-S)は、7ポイントのスケール(範囲:1=正常、まったく病気ではないから7=最も極めて病気の患者である)でジスキネジアの全体的な重症度を評価するために使用される。
・Clinical Global Impression of Improvement(CGI-I)は、7ポイントのスケール(範囲:1=非常に良く改善されているから7=非常に悪化した)に基づいており、ジスキネジアの研究処置の開始からの全体的な総合的な改善を評点するために使用される。このスケールは、臨床的な障害における対象の全体的な改善を評点するためのPsychopharmacology Research Branch of the National Institute of Mental Healthによって開発されたスケールを改変したものであり、臨床医の観点から経時的な改善の総合的な評価を提供する。
・Patient Global Impression of Improvement-対象は、Patient Global Impression of Improvement(PGI-I)の7つの応答(非常に改善された、かなり改善された、最小限に改善された、変化なし、最小限に悪化した、かなり悪化した、および非常に悪化した)のうちの1つを選択することによって、研究処置投薬の開始からの自身のジスキネジア症状における変化を評価する。
・Caregiver Global Impression of Improvement-介護者は、Caregiver Global Impression of Improvement(CaGI-I)の7つの応答(非常に改善された、かなり改善された、最小限に改善された、変化なし、最小限に悪化した、かなり悪化した、および非常に悪化した)のうちの1つを選択することによって、研究処置投薬の開始からのジスキネジア症状における対象の改善を評価する。
・Cerebral Palsy Quality of Life-Child(CP QoL-Child)は、身体的幸福、社会的幸福、感情的幸福、学校、サービスへのアクセス、および他者による受け入れを含む小児の生活のいくつかの側面を評価することによってCPを呈する小児のクオリティーオブライフを測定する。2つのバージョン:6歳から12歳の小児に関する主な介護者代理報告、および9歳から12歳の小児に関する自己報告フォームの質問票を使用する。主な介護者代理フォームは66項目を含み、小児の自己報告フォームは52項目を含む。サービスアクセスおよび主な介護者の健康は、主な介護者代理のバージョンにのみ含まれている。
・Cerebral Palsy Quality of Life-Teen(CP QoL-Teen)は、CPを呈する年齢13から17歳の青少年に関するクオリティーオブライフの調査に基づいた全体論的な測定であり、青少年の自己報告および主な介護者代理報告バージョンからなる。72項目の青少年の質問票は、総合的なクオリティーオブライフ、社会的幸福、感情的幸福、学校での幸福、身体的幸福、参加、コミュニケーション、および疼痛に関する項目を含む。主な介護者代理質問票は、サービスへのアクセスおよび介護者の健康に関する追加の17の質問を含む。
・Quality of Life in Neurological Disorders(Neuro-QoL)は、神経学的状態を呈する成人患者のための心理測定的に健全で臨床的に適切な健康関連のクオリティーオブライフの測定ツールのコレクションである。Neuro-QoLは、HDを呈する患者における患者によって報告される身体的機能尺度を評価するための確実なツールであることが実証されており、脳卒中、てんかん、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、およびパーキンソン病を呈する患者の神経学的クオリティーオブライフにおける個々の変化を検出するために使用される。Lower Extremity Function Short FormおよびUpper Extremity Function Short Formは、18歳から70歳の対象に行われる。各測定は、1(できない)から5(支障ない)の範囲の身体的能力に関する8つの質問を含む。
【0129】
慣例の安全性評価が行われ、以下を含んでいてもよい。
・Columbia-Suicide Severity Rating Scale(C-SSRS)は、自殺念慮および行動を前向きに評価するための検証済みの手段であり、6歳の若さの小児から行うことができる。質問票のバージョンには、スクリーニング時に(Baseline/Screeningバージョン)、ならびにベースライン時および研究全体にわたる来院時に(Since Last Visitバージョン)使用するために設計されたものが存在する。C-SSRSの全てのバージョンは、自殺念慮および自殺行動に関連する一連のスクリーニング質問を含む。1つまたは複数のスクリーニング質問に対する対象の「はい」の応答は、自殺念慮および/または行動の頻度および強度を評価する追加の質問が指示される。C-SSRSに基づいて、スクリーニングの前の年においてタイプ4(具体的な計画はない一部の行動意図を伴う能動的な自殺念慮)またはタイプ5(具体的な計画および意図を伴う能動的な自殺念慮)のいずれかの自殺行動または自殺念慮を呈する対象は除外するべきである(除外基準9)。
・Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)は、人が経験している不安および抑うつのレベルを決定するために通常使用される手段である。HADSは、14項目のスケールであり;項目のうちの7つは不安に関連し、7つは抑うつに関連する。各項目は、4ポイント(0から3)の応答カテゴリーで回答されるため、可能なスコアは、不安に関しては0から21、抑うつに関しては0から21の範囲である。HADSは、抑うつおよび不安の尺度として検証済みである。
・Children’s Depression Inventory第2版(CDI-2)は、7歳から17歳の小児における抑うつ症状の包括的多評価者評価であり、本研究では6歳から17歳の対象に対して使用する。それは、感情的問題(否定的な気分/身体的症状および否定的な自尊心)および機能的問題(対人問題および無効性(ineffectiveness))を評価するためのスケールを含む。Self-Report Shortバージョンは、12項目を含む効率的なスクリーニング尺度であり、完全版(28項目)のバージョンによって生成されるものにおおよそ相当する合計スコアが得られる。
・Barnes Akathisia Rating Scale(BARS)は、薬物誘発性アカシジアの存在および重症度を評価するために検証済みの4項目のスケールである。このスケールは、客観的項目(例えば、観察された不穏状態)と主観的項目(例えば、不穏状態および関連する苦悩に対する対象の自覚)の両方をアカシジアの総合的な評価とともに含む。総合的な評価は、0から5のスケール(0=存在しない;1=疑わしい;2=軽度のアカシジア;3=中等度のアカシジア;4=顕著なアカシジア;5=重度のアカシジア)で行われる。
・Modified Ashworth Scale(MAS)は、受動的な可動域中の抵抗性を評価するために使用される筋肉の緊張評価スケールである。MASは、0から4のスケール(0=筋肉の緊張の増加はない;1=キャッチアンドリリースに伴って筋肉の緊張がわずかに増加するか、または患部が屈曲または伸展で動かされた場合に可動域の最後に最小限の抵抗を伴う;1+=キャッチした際に現れる筋肉の緊張がわずかに増加し、残りの可動域(半分未満)を通して最小限の抵抗が続く;2=可動域の大部分によって筋肉の緊張が顕著に増加するが、患部は依然として容易に動く;3=筋肉の緊張がかなり増加し、受動的な運動が困難である;4=屈曲または伸展において剛性の患部)で測定される。スコアは、各上肢の肘および手首、ならびに各下肢の膝および足首における緊張に関して記録される。
・パーキンソニズムに関するUHDRS項目-UHDRS TMSのサブセット(後方突進牽引試験、指タップ、手の回内/回外運動、硬直性-腕、および動作緩慢-身体を評点する項目)は、各来院時のパーキンソニズムに関する評価のために使用される。
【0130】
調査者の評価に基づいたUHDRS TMCスコアにおけるベースラインからの変化の主要評価項目は、2、4、6、8、12、および14週目の終わりにおけるスコアを使用した線形混合効果反復測定モデルを使用して分析される。モデルは、固定された効果として、共変量としてのベースラインTMCスコア、年齢(6歳から11歳 対 12歳から17歳 対 18歳から70歳)、処置群(バルベナジンまたはプラセボ)、来院、および処置群×来院の相互作用を含む。1日目の評価はベースラインとして使用する。主な比較は、14週目における処置群間の対比であり、バルベナジン群は、両側検定を使用してプラセボ群と比較され、有意性ベルは0.025である。
【0131】
UHDRS TMDスコアにおけるベースラインからの変化のもう一つの主要評価項目は、UHDRS TMCにおけるベースラインからの変化に関して使用される同じ分析方法を使用して分析される。
【0132】
ベースラインから14週目までのCGI-Sスコアにおける変化の重要な副次的評価項目は、主要評価項目に関して使用されたものと類似の分析方法を使用する。1日目に収集されたCGI-Sスコアは、ベースライン測定とみなす。完全な分析セットを一次分析のために使用する。
【0133】
追加の副次的有効性評価項目は以下のとおりである:
・14週目におけるPGI-Iスコア。
・14週目におけるCaGI-Iスコア。
・14週目におけるCGI-Iスコア。
・ベースラインから14週目までのUHDRS機能評価および機能能力スコアにおける変化(年齢18歳から70歳のみ)。
・ベースラインから14週目までのMD-CRS Part Iスコアにおける変化(年齢6歳から17歳のみ)。
・ベースラインから14週目までのQuality of Life in Neurological Disorders(Neuro-QoL)(Lower Extremity Function Short Form、Upper Extremity Function Short Form、およびSatisfaction with Social Roles and Activities Short Form)における変化。
・ベースラインから14週目までのCerebral Palsy Quality of Life-Teen(CP QoL-Teen)における変化。
・ベースラインから14週目までのCP QoL-Teen(介護者代理報告)における変化(年齢13歳から17歳)。
・ベースラインから14週目までのCerebral Palsy Quality of Life-Child(CP QoL-Child)における変化(年齢6歳から12歳)。
・ベースラインから14週目までのCP QoL-Child(介護者代理報告)における変化(年齢6歳から12歳)。
・Faces Pain Scale-Revised(FPS-R)を使用したベースラインから14週目までの疼痛評価における変化。
・ベースラインから14週目までのUHDRS TMSにおける変化。
【0134】
UHDRS機能評価および機能能力スコアにおけるベースラインからの変化は、18歳から70歳の完全な分析セットにおける対象を使用して分析され、MD-CRS Part 1スコアにおけるベースラインからの変化は、6歳から17歳の完全な分析セットにおける対象を使用して分析され、同時に他の副次的評価項目は、一次分析のための完全な分析セットを使用する。年齢群は、1つを超える年齢群が分析セットに含まれる、評価項目に関する共変量として含まれる。
【0135】
Neuro-QoLおよびCP-QoLを使用した患者および介護者によって報告される転帰の副次的評価項目は、6週目および14週目の終わりにおけるスコアを使用した線形混合効果反復測定モデルを使用して分析される。モデルは、固定された効果として、共変量としてのベースライン値、処置群(バルベナジンまたはプラセボ)、来院、および処置群×来院の相互作用を含む。対象は、ランダム効果として含まれる。1日目の評価をベースラインとして使用する。各評価項目は、年齢に加えて、完全な分析セットの定義を使用して、適用される年齢群において分析される。
【0136】
この研究からの安全性データは、安全性分析セットを使用して分析される。処置で発生したAEの対象の発生率は、AE、SAE、致死性AE、および研究処置の中止をもたらすAEに関して処置群ごとに表にされる。処置群ごとの記述的統計は、選択される検査分析物、バイタルサイン、ECGパラメーター、C-SSRS、HADS、CDI-2、UHDRS TMS(パーキンソニズムに関する項目)、MAS、およびBARSを含む追加の安全性データに関して生成され、これらはSAPにおいてさらに記載される。
【0137】
上述の様々な実施形態を組み合わせてさらなる実施形態を提供してもよい。この明細書において言及されるおよび/または出願データシートに挙げられる、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許出版物の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の態様を改変して、必要に応じて様々な特許、出願および出版物の概念を用いて、なおさらなる実施形態を提供してもよい。
【0138】
これらのおよび他の変化は、上記の詳細な説明を考慮して実施形態に行ってもよい。一般的に以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲に開示されている特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではないが、このような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲とともに、全ての可能な実施形態を含むと解釈するべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されるものではない。
【国際調査報告】