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特表2024-525433スプロケット付きアイドラの磨耗パターンを形成するように寸法設定される地面係合軌道システムのセンタートレッドアイドラ
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  • 特表-スプロケット付きアイドラの磨耗パターンを形成するように寸法設定される地面係合軌道システムのセンタートレッドアイドラ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】スプロケット付きアイドラの磨耗パターンを形成するように寸法設定される地面係合軌道システムのセンタートレッドアイドラ
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/14 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B62D55/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579729
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022035046
(87)【国際公開番号】W WO2023283069
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】17/372,120
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイクス、デイビッド ジェニングス
(57)【要約】
地面係合軌道システム(10)は、アイドラ回転軸(36)を画定する内面(34)と外側トレッド面(50)を有するセンタートレッドアイドラ(30)を含む。地面係合軌道システム(10)は、さらに、平行な軌道チェーン(18、20)の間でアイドラ(30)と接触し、軌道ピッチ寸法(62)を画定する軌道(12)を含む。外側トレッド面(50)は外径寸法(66)を画定し、外径寸法(66)に対する軌道ピッチ寸法(62)の比率は28%~37%である。外径寸法(66)は、表1の外径の1つであってもよい。アイドラ(30)と軌道は、使用中に固定ブッシュ・アイドラ接触位置(70)で接触し、アイドラ(30)の磨耗材料を偏らせ、使用中にアイドラ(30)にスプロケット付き構成を与えるポケット(73)を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタートレッドアイドラ(30)であって、
アイドラ回転軸(36)を画定する内面(34)と、前記アイドラ回転軸(36)の周囲に円周方向に延び、前記アイドラ回転軸(36)から均一な距離で配置された外側トレッド面(50)とを含むアイドラ本体(30)とを含み、
前記外側トレッド面(50)は、表1に示すように、外径寸法(66)の0.1%から0.5%の許容差をプラス又はマイナスした前記外径寸法(66)を画定する、センタートレッドアイドラ(30)。
【請求項2】
前記内面(34)は円筒形のアイドラボア(35)を形成し、前記アイドラ本体はさらに、前記アイドラ回転軸(36)の周囲に円周方向に延びて前記アイドラボア(35)と連通する中央に位置する内部空洞(37)を含み、
前記アイドラ本体はさらに、前記アイドラ本体の第1の軸方向側(38)に第1のガイドウィング(52)を含み、前記アイドラ本体の第2の軸方向側(40)に第2のガイドウィング(54)をさらに含み、
前記第1のガイドウィング(52)と前記第2のガイドウィング(54)のそれぞれは、前記アイドラ回転軸(36)の全周に沿う、請求項1に記載のセンタートレッドアイドラ(30)。
【請求項3】
前記第1のガイドウィング(52)と前記第2のガイドウィング(54)のそれぞれは、円錐形の外面を含み、
第1のステップ(56)が前記外側トレッド面(50)と前記第1のガイドウィング(52)との間に形成され、第2のステップ(58)が前記外側トレッド面(50)と前記第2のガイドウィング(54)との間に形成される、請求項2に記載のセンタートレッドアイドラ(30)。
【請求項4】
前記アイドラ本体の第1の軸方向側(38)と前記アイドラ本体(30)の第2の軸方向側(40)との間で前記円筒形のアイドラボア(35)を通って延びるアイドラシャフト(32)をさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載のセンタートレッドアイドラ(30)。
【請求項5】
地面係合軌道システム(10)であって、
軌道ピン(16)によって端から端まで結合されて2つの平行な軌道チェーン(18、20)を形成する複数の軌道リンク(14)と、各軌道ピン(16)上のブッシュ(68)とを含む軌道(12)と、
アイドラ回転軸(36)を画定する内面(34)と、前記アイドラ回転軸(36)の周囲に円周方向に延び、前記アイドラ回転軸(36)から均一な距離に配置される外側トレッド面(50)とを含むセンタートレッドアイドラ(30)とを含み、
各ブッシュ(68)はブッシュ直径寸法(67)を画定し、前記軌道(12)は軌道ピッチ寸法(62)を画定し、前記アイドラ(30)の前記外側トレッド面(50)は外径寸法(66)を画定し、
前記ブッシュ直径寸法(67)と前記外径寸法(66)の和は、前記軌道ピッチ寸法(62)の整数又は半整数倍である、地面係合軌道システム(10)。
【請求項6】
前記外径寸法(66)に対する前記軌道ピッチ寸法(62)の比率は28%~37%であり、
前記外側トレッド面(50)の円周方向における前記軌道(12)の軌道ピッチのフルラップ数は、9.5~12の整数又は半整数であり、
前記センタートレッドアイドラ(30)と前記軌道(12)は共に、前記外側トレッド面(50)の周囲に円周方向に間隔を置いて配置された複数の固定ブッシュ・アイドラ接触位置(70)を画定する、請求項5に記載の軌道システム(10)。
【請求項7】
前記外径寸法(66)は、表1に示すような前記外径寸法の1つに第1の許容差をプラス又はマイナスしたものであり、
前記軌道ピッチ寸法(62)は、表1の軌道ピッチ寸法(62)の1つに第2の許容差をプラス又はマイナスしたものであり、
前記第1の許容差は前記第2の許容差よりも大きい、請求項5又は6に記載の軌道システム(10)。
【請求項8】
前記第1の許容差は±2ミリメートルであり、前記第2の許容差は±0.05ミリメートルである、請求項7に記載の軌道システム(10)。
【請求項9】
センタートレッドアイドラ(30)であって、
円筒形のアイドラボア(35)を形成し、第1のアイドラ軸方向側(38)と第2のアイドラ軸方向側(40)との間に延びるアイドラ回転軸(36)を画定する内面(34)を含むアイドラ本体(30)と、
前記第1のアイドラ軸方向側(38)に第1のガイドウィング(52)と、
前記第2のアイドラ軸方向側(40)に第2のガイドウィング(54)と、
前記アイドラ回転軸(36)の周囲に円周方向に延び、表1に示すような外径寸法(66)を画定する外側トレッド面(50)とを含む、センタートレッドアイドラ(30)。
【請求項10】
前記外径寸法(66)は、表1に示すような前記外径寸法の1つに、前記外径寸法(66)の0.1%から0.5%の許容差をプラス又はマイナスしたものである、請求項9に記載のセンタートレッドアイドラ(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、地面係合軌道システムにおけるアイドラに関し、より詳細には、使用中にスプロケット付き磨耗パターンを形成するように寸法設定されたアイドラに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なオフハイウェイ機械は、接地基板上の機械を推進するために軌道を利用する。一般的な構成では、複数の軌道リンクが一緒に結合されて、複数の回転可能な軌道接触要素の周りに無限ループの軌道チェーンを形成する。軌道ローラは軌道ローラフレームに取り付けられ、駆動スプロケットが軌道に噛み合って前進する間、機械の重量の大部分を支える。アイドラは通常、軌道と接触して受動的に回転するように配置され、サポートとガイドを支援する。アイドラは通常、表面が滑らかで円筒形である。他の設計では、歯付き又はスプロケット付きアイドラが使用される。
【0003】
アイドラが軌道リンクによって形成された軌道レールに接触する設計が知られている。別の一般的な構成では、軌道リンクを互いに接続する軌道ピン上のブッシュに接触するセンタートレッドアイドラが採用される。事実上すべての軌道システム構成では、耐用年数を最適化するには、使用中の軌道システム材料の磨耗を軽減及び管理することが重要である。したがって、コンポーネントの磨耗を制限するだけでなく、多くの場合、コンポーネントの磨耗を特定の場所又は特定のパターンで発生させるための策略は事実上無数にある。磨耗管理機能を有するセンタートレッドアイドラを含む1つの既知の軌道システムが、米国特許出願公開第2012/0193978号に記載されている。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、センタートレッドアイドラは、アイドラ回転軸を画定する内面と、アイドラ回転軸の周囲に円周方向に延び、アイドラ回転軸から均一な距離で配置された外側トレッド面とを有するアイドラ本体を含む。外側トレッド面は、表1に示すように、外径寸法の0.1%から0.5%の許容差をプラス又はマイナスした外径寸法を画定する。
【0005】
別の態様では、地面係合軌道システムは、軌道ピンによって端から端まで結合されて2つの平行な軌道チェーンを形成する複数の軌道リンクと、各軌道ピン上のブッシュとを有する軌道を含む。軌道システムはさらに、アイドラ回転軸を画定する内面と、アイドラ回転軸の周囲に円周方向に延び、アイドラ回転軸から均一な距離に配置される外側トレッド面とを含むセンタートレッドアイドラとを含む。各ブッシュはブッシュ直径寸法を画定し、軌道は軌道ピッチ寸法を画定し、アイドラの外側トレッド面は外径寸法を画定する。ブッシュ直径寸法と外径寸法の和は、軌道ピッチ寸法の整数倍又は半整数倍となる。
【0006】
さらに別の態様では、センタートレッドアイドラは、円筒形のアイドラボアを形成し、第1のアイドラ軸方向側と第2のアイドラ軸方向側との間に延びるアイドラ回転軸を画定する内面を有するアイドラ本体と、第1のアイドラ軸方向側上の第1のガイドウィングと、第2のアイドラ軸方向側上の第2のガイドウィングとを含む。センタートレッドアイドラはさらに、アイドラ回転軸の周囲に円周方向に延び、表1に示すような外径寸法を画定する外側トレッド面を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による地面係合軌道システムの側面概略図である。
図2】一実施形態による地面係合軌道システム用のアイドラの等角図である。
図3】一実施形態による地面係合軌道システム用のアイドラの側面図である。
図4】一実施形態による地面係合軌道システムの一部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、一実施形態による地面係合軌道システム10が示される。地面係合軌道システム10(以下「軌道システム10」)は、トラック型トラクター、トラック型ローダー、鉱山機械、掘削機、ハーフトラック機械、その他さまざまなオフハイウェイ機械に実装される。地面係合軌道システム10は、軌道ピン16によって端から端まで結合された複数の軌道リンク14を有する軌道12を含む。軌道12はまた、軌道リンク14に取り付けられた軌道シュー22を含み、図示の実施形態では、軌道シュー22のそれぞれにグローサ23が装備される。軌道システム10はまた、図示の実施形態においていわゆる「高駆動」配置で構成された駆動スプロケット24を含む。他の実施形態では、軌道システム10は、楕円形の構成、又はさらに別の構成を有することができる。
【0009】
軌道システム10は、センタートレッドアイドラ30と複数の軌道ローラ26をさらに含む。軌道ローラ26及びセンタートレッドアイドラ30は、軌道ローラフレーム28に取り付けられる。図1から分かるように、駆動スプロケット24は、歯とポケット(番号は付けていない)が交互に配置された歯付き構成を有し、様々な回転可能な軌道接触要素の周りで軌道12を前進させるために軌道12との係合を可能にする。センタートレッドアイドラ30は、滑らかな円筒形の外形を有する。さまざまな地面係合軌道用途では、スプロケット付きアイドラを利用することが望ましい。以下の説明からさらに明らかになるように、軌道システム10は、材料がセンタートレッドアイドラ30から移動して「スプロケット付き」構成を与え、最終的には、軌道システム10がその現場での耐用年数を経るにつれて軌道性能を維持及び向上させることができるセンタートレッドアイドラ30内にポケットを形成する方法で、センタートレッドアイドラ30が磨耗できるように独特に構成される。
【0010】
ここで図2~4を参照すると、センタートレッドアイドラ30(以下、「アイドラ30」という)は、アイドラ回転軸36を画定し、円筒形のアイドラボア35を形成する内面34を含む。アイドラシャフト32は、アイドラボア35を通って延び、従来のように配置されたスリーブベアリング又はローラベアリング、スラストベアリング、潤滑機構、シール、及び他の既知の装置とともにアイドラ30を回転可能にジャーナルし、支持する。中央に位置する内部空洞37は、アイドラ回転軸36の周りに円周方向に延び、アイドラボア35と連通する。アイドラ回転軸36及びアイドラボア35は、アイドラ30の第1のアイドラ軸方向側38と第2のアイドラ軸方向側40との間に延びる。アイドラ30は、内部に形成されたアイドラボア35を有するセンター本体41と、センター本体41と外側リム部分43との間に延びる狭窄ウェブ部分39とをさらに含み得る。一実施形態では、アイドラ30は、第1のアイドラ軸方向側38に第1のガイドウィング52を含み、第2のアイドラ軸方向側40に第2のガイドウィング54を含む。第1のガイドウィング52及び第2のガイドウィング54のそれぞれは、アイドラ回転軸36の周囲に円周方向に延在し得る。第1のガイドウィング52及び第2のガイドウィング54のそれぞれは、アイドラ回転軸36の全周であってもよいが、本開示はこれに限定されず、部分円周のガイドウィング、突出ラグ、又は他の特徴が使用されてもよい。さらに他の実施形態では、ガイドウィングを省略することもできる。
【0011】
アイドラ30はさらに、アイドラ回転軸36の周りに円周方向に延びる外側トレッド面50を含む。第1のステップ56は、外側トレッド面50と第1のガイドウィング52との間に形成され得、第2のステップ58は、外側トレッド面50と第2のガイドウィング54との間に形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のガイドウィング52及び第2のガイドウィング54は、アイドラ回転軸36に対して角度のある配向を有し得、円錐形の外面を含み得る。ボア60は、コンポーネントをアイドラ30にクランプするボルトを収容するためにアイドラ30のセンター本体41内に、またアイドラボア35内に形成され得る。使用中、軌道12は、図4に示すように、軌道システム10のアイドラ50、駆動スプロケット24、軌道ローラ26の周りで軌道12を前進させる際、アイドラ50と軌道ガイド空間61内の軌道リンク40の内面との間の接触によって横方向にガイドされ得る。ガイドウィング52及び54は、特に軌道12がアイドラ30と係合されるとき、又は係合から離れるときに、アイドラ30に対して軌道12を配向するのに役立つことができる。さらに、図4から分かるように、軌道リンク14が2つの平行な軌道チェーン18及び20を形成するように配置される。軌道12は、軌道ピン16上にブッシュ68をさらに含むことができ、外側トレッド面50は、使用中いつでもブッシュ68の一部と接触する。実際の実装策略では、ブッシュ68は軌道ピン16上の非回転ブッシュであってもよい。
【0012】
軌道12はさらに、軌道ピッチ(TP)寸法62を画定する。TP寸法62は、軌道12内の軌道ピン軸から軌道ピン軸までの直線距離によって画定され、通常、軌道12全体にわたって均一である。アイドラ30の外側トレッド面50は、アイドラ回転軸36から一定の距離に位置し、最初に表面に置かれたときは円筒形状を有する。外側トレッド面50は外径(OD)寸法66を画定し、ブッシュ68はブッシュ直径(BD)寸法67を画定する。図1には破線の円63が見られるが、その直径はいわゆる軌道ピッチ直径である。軌道ピッチ直径63は、アイドラ回転軸36を中心とし、軌道ピン16の中心軸と交差する理論上の円として理解され得る。アイドラ30を適切なOD寸法66で構成し、ブッシュ68を適切なBD寸法67で構成することによって、アイドラ30と軌道12が一貫した接触パターンに従って相互作用することが判明した。特に、BD寸法67とOD寸法66の合計は、所望の一貫した接触パターンを与えるために、TP寸法の整数倍又は半整数倍である。
【0013】
その結果、軌道12は、いくつかの回転可能な軌道接触要素の周りで軌道12を前進させる際に、外側トレッド面50上の固定ブッシュ・アイドラ接触位置70で外側トレッド面50に接触する。固定接触位置70は、外側トレッド面50上の固定受動的(非接触)位置72と、アイドラ回転軸36の周りに円周方向に間隔を置いて交互に配置される。これは、軌道12のどの部分がアイドラ30と接触するかに関係なく、軌道12が同じ位置で外側トレッド面50と接触することを意味する。本開示は、軌道12のアイドラ30への接触に基づいて材料を磨耗させて、固定接触位置70に複数のポケット73を形成することによってこの発見を利用し、形成されるポケット73は、図3において仮想線で例示的に示される。
【0014】
本開示による所与の軌道システムで使用される実際のアイドラ直径(OD寸法66)は、軌道ピッチ直径63からBD直径67を引いたものに基づいて計算することができる。したがって、所与の軌道ピッチ直径に対して、比較的大きな直径のブッシュを使用すると、OD寸法66を比較的小さくすることができ、より小さな直径のブッシュを使用すると、OD寸法66を比較的大きくすることができる。アイドラ30を製造するには、例えば鍛造によって一体型アイドラ本体を形成し、その後、本明細書に開示する相対的及び実際のサイズと一致する最終寸法に機械加工することができる。
【0015】
OD寸法66とTP寸法62との間の関係は、場合によっては比率として表すこともできる。TP寸法62のOD寸法64に対する比率は、28%と37%の間であってもよい。一実施形態では、OD寸法66は、下記表1のOD寸法の1つであり、TP寸法62は、表1のTP寸法の1つである。
【0016】
【表1】
【0017】
また、実際の実装策略では、OD寸法66は、表1のOD寸法の1つに第1の許容差をプラス又はマイナスしたものであってもよく、TP寸法62は、表1のTP寸法の1つに第2の許容差をプラス又はマイナスしたものであってもよい。通常、第1の許容差は第2の許容差よりも大きく、改良では、第1の許容差は第2の許容差よりも約40倍大きくなる可能性がある。第1の許容差は、任意の所与のアイドラのOD寸法の0.1%~0.5%であってもよい。第1の許容差の一例は±2ミリメートルであり、第2の許容差の一例は±0.05ミリメートルである。
【0018】
軌道システム10はさらに、外側トレッド面50の円周方向における軌道12の軌道ピッチのフルラップ数の間の関係によって特徴付けることができる。フルラップ数は、アイドラ30の外周寸法に等しい軌道ピッチ数と考えることができる。このような配置が作成された場合、軌道ピッチのフルラップ数は、アイドラの周囲に完全に巻き付けられた1つの軌道チェーン内のリンクの数に等しい。表1にも示すように、外側トレッド面50の周りの軌道ピッチのフルラップ数は、9.5から12までの整数又は半整数であってもよい。
産業上の利用可能性
【0019】
使用中、軌道12は、アイドラ30、駆動スプロケット24、及び軌道ローラ26の周りを前進して、基板上で機械を推進する。上述したように、軌道12は、前進中に固定接触位置70で外側トレッド面50と接触する。最初に使用するとき、アイドラ30は外側トレッド面50の周囲で均一な円筒形となる。ブッシュ68、又は潜在的にベア軌道ピン16と外側トレッド面50との間の接触は、接触が生じるたびに外側トレッド面50から比較的少量の材料を磨耗させる何らかの滑り接触を含む傾向がある。
【0020】
時間の経過とともに、磨耗によりポケット73が生じ、ブッシュ68がアイドラ30内に適度に内側に移動し、最終的にはブッシュ68がポケット内に静止してアイドラ30と係合する状態に達する。本開示は、軌道リンク及び他のコンポーネントの磨耗によって軌道システム10のコンポーネント間の遊びが増大する場合を含む多くの場合において性能の向上を提供すると考えられ、その結果、アイドラ30内のスプロケット付き磨耗パターンが進行するにつれて、軌道経路の強化されたガイド及び制御が可能になる。
【0021】
本明細書は単に説明するためのものであり、決して本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。したがって、当業者であれば、本開示の十分かつ公正な範囲及び精神から逸脱することなく、本開示の実施形態に対して様々な修正を加えることができることを理解すべきである。他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面及び添付の特許請求の範囲を検討した上で明らかになるであろう。本明細書に使用されるように、冠詞「1つ」及び「一つ」は、1つ又は複数のものを含むことを意図しており、「1つ以上」と交換可能に使用され得る。1つのもののみを意図している場合は、「1つの」という用語又は同様の用語が使用される。また、本明細書で使用されるように、「有する」、「有し」、「有している」などの用語は、制約のない形の用語であることを意図している。さらに、「に基づいて」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に基づく」ということを意味することを意図している。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】