(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】オルガノシリルポリスルフィド及びそれらを含むゴム混合物
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20240705BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20240705BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240705BHJP
C08K 5/548 20060101ALI20240705BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20240705BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20240705BHJP
C08L 15/00 20060101ALI20240705BHJP
C08L 23/22 20060101ALI20240705BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240705BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240705BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20240705BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240705BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C07F7/18 W CSP
C08L21/00
C08K3/013
C08K5/548
C08L9/06
C08L7/00
C08L15/00
C08L23/22
C08K3/34
C08K3/04
C08K5/00
C08J3/20 B CEQ
B60C1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579803
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067480
(87)【国際公開番号】W WO2023274909
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン-ヨーゼフ・ヴァイデンハウプト
(72)【発明者】
【氏名】イレーネ・モル
(72)【発明者】
【氏名】ミカエラ・マイアース
【テーマコード(参考)】
3D131
4F070
4H049
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA01
3D131BA01
3D131BA02
3D131BA05
3D131BA07
3D131BA08
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3D131BC12
4F070AA06
4F070AA08
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4F070AE01
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4H049VN01
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4H049VU17
4H049VW01
4H049VW02
4J002AC011
4J002AC021
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4J002AC061
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4J002BB151
4J002BB181
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4J002EV318
4J002EV319
4J002EV328
4J002EV329
4J002EW169
4J002EX087
4J002FD016
4J002FD148
4J002FD159
4J002FD207
4J002GG01
4J002GJ02
4J002GM01
4J002GN01
4J002GQ01
(57)【要約】
新規な式(I)
(式中、置換基R
1~R
8及び指数xは、本文中で規定された定義を有する)のオルガノシリルポリスルフィドは、改良された混合性能、より高い硬度、強度及び破断時伸び、並びにそれらから製造されたタイヤの低い転がり抵抗性を特徴とする、ゴム混合物、加硫物、及びゴム製品を製造するのに特に好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
R
1、R
3、R
6及びR
8は、同一であるか又は異なっていて、C
1~C
4-アルキルを表し、
R
4及びR
5は、同一であるか又は異なっていて、水素又はC
1~C
4-アルキルを表し、
R
2及びR
7は、次式
CH
3CH
2C(CH
2OH)
2CH
2-
の基を表し、そして
xは、2~8の整数である)の化合物。
【請求項2】
式(I)において、
R
1、R
3、R
6及びR
8が、同一であるか又は異なっていて、メチル又はエチルを表し、
R
4及びR
5が、同一であるか又は異なっていて、水素、メチル、又はエチルを表し、
R
2及びR
7が、次式
CH
3CH
2C(CH
2OH)
2CH
2-
の基を表し、そして
xが、2~8の整数である
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式
【化2】
又は式
【化3】
(xは、2~8の整数である)
に合致することを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の少なくとも2種の式(I)のオルガノシリルポリスルフィドを含む混合物であって、前記置換基R
1~R
8及びxが、請求項1に規定される定義を有し、それらが、少なくともxの値において異なっており、硫黄原子の数xの数平均値
【数1】
が、3.6~4.4、好ましくは3.8~4.2、特には4.0である、混合物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の化合物又は請求項4に記載の混合物を製造するためのプロセスであって、少なくとも1種のアルコール系溶媒の存在下に、
少なくとも2種の式(II)
【化4】
(式中、
R
9は、基R
4又はR
5を表し、
R
10は、基R
3又はR
6を表し、
R
11は、基R
2又はR
7を表し、そして
R
12は、基R
1又はR
8を表し、
ここで、前記基R
1~R
8は、請求項1で規定される定義を有し、
そして
Halは、ハロゲンを表す)のハロアルキルシリルエーテルを、
少なくとも1種の式(III)
S
xM
2 (III)
(式中、
xは、請求項1で規定される定義を有し、
そして
Mは、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの群からの金属イオンを表す)
の金属ポリスルフィドと反応させることを含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項6】
式(II)
【化5】
(式中、
R
9は、基R
4又はR
5を表し、
R
10は、基R
3又はR
6を表し、
R
11は、基R
2又はR
7を表し、そして
R
12は、基R
1又はR
8を表し、
ここで、前記基R
1~R
8は、請求項1で規定される定義を有し、
そして
Halは、ハロゲンを表す)のハロアルキルシリルエーテル。
【請求項7】
ゴム混合物であって、少なくとも1種のゴム、少なくとも1種の充填剤、少なくとも1種の請求項1~3のいずれかに記載の式(I)の化合物を含む、ゴム混合物。
【請求項8】
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、0.1~15重量部、好ましくは1~12重量部、特に好ましくは2~10重量部、極めて特に好ましくは3~8重量部の式(I)の化合物、及び10~190重量部、好ましくは30~150重量部、特に好ましくは50~130重量部の少なくとも1種の充填剤を共に含むことを特徴とする、請求項7に記載のゴム混合物。
【請求項9】
1%~60重量%、好ましくは20%~50重量%のスチレン含量を有するスチレン/ブタジエンコポリマーの形態にある少なくとも1種のSBRゴム、好ましくは官能化SBRゴム、場合によっては1種又は複数のBRゴム、及び/又は少なくとも1種の天然ゴム(NR)を含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載のゴム混合物。
【請求項10】
5~1000、好ましくは20~400m
2/gの比表面積(DIN 66131に従って測定したBET)を有し、そして100~400nmの一次粒径を有するシリカ(前記シリカは、場合によっては、他の金属酸化物たとえば、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、Tiなどの酸化物との混合酸化物の形態にあってもよい)、並びに20~400m
2/gの比表面積(DIN 66131に従って測定したBET)及び10~400nmの一次粒子直径を有する、合成のケイ酸塩たとえばケイ酸アルミニウム、アルカリ土類金属のケイ酸塩たとえば、ケイ酸マグネシウム又はケイ酸カルシウム、の群からの少なくとも1種のヒドロキシル含有酸化物系充填剤を含むことを特徴とする、請求項7~9のいずれかに記載のゴム混合物。
【請求項11】
20~200m
2/gの範囲の比表面積(DIN 66131に従って測定したBET)を有する少なくとも1種のカーボンブラックを含むことを特徴とする、請求項7~10のいずれかに記載のゴム混合物。
【請求項12】
硫黄及び硫黄供与体並びに金属酸化物の群からの少なくとも1種の架橋剤を含むことを特徴とする、請求項7~11のいずれかに記載のゴム混合物。
【請求項13】
メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトスルフェンアミド、チオカルバメート、チオカーボネート、及びジチオホスフェート、さらにはジチオジカプロラクタム、ジチオジモルホリン、及びキサントゲン酸塩のような硫黄供与体の群からの少なくとも1種の加硫促進剤を含むことを特徴とする、請求項7~12のいずれかに記載のゴム混合物。
【請求項14】
1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、TBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)、及びジチオホスフェートの群からの少なくとも1種の二次促進剤を含むことを特徴とする、請求項7~13のいずれかに記載のゴム混合物。
【請求項15】
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、多くとも0.4重量部、好ましくは0.1~0.2重量部、特に好ましくは0.05~0.1重量部、極めて特に好ましくは0.001~0.04重量部の、ジフェニルグアニジン及び/又は置換されたジフェニルグアニジンの含量を有することを特徴とする、請求項7~14のいずれかに記載のゴム混合物。
【請求項16】
請求項7~15のいずれかに記載のゴム混合物を製造するためのプロセスであって、少なくとも1種のゴムを、少なくとも1種の充填剤及び少なくとも1種の請求項1~3のいずれかに記載の式(I)の化合物と混合し、そして前記混合物を、60℃~200℃、好ましくは90℃~180℃の範囲の温度に加熱することを含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項17】
請求項7~15のいずれかに記載のゴム混合物を製造するためのプロセスであって、少なくとも1種のゴム、少なくとも1種の充填剤、及び少なくとも1種の請求項1に記載の式(I)の化合物(ここで、xは2である)を、硫黄と共に、100℃~200℃、好ましくは130℃~180℃の範囲の温度で混合することを含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項18】
好ましくは100℃~250℃、特に好ましくは130℃~180℃の範囲の温度で、請求項7~15のいずれかに記載のゴム混合物を加硫させることによる、ゴム加硫物を製造するためのプロセス。
【請求項19】
加硫物を製造するための、請求項7~15のいずれかに記載のゴム混合物の使用。
【請求項20】
請求項7~15のいずれかに記載のゴム混合物を加硫させることにより得ることが可能な加硫物。
【請求項21】
1種又は複数の、請求項20に記載の加硫物を含む、成形物品、特にタイヤ。
【請求項22】
請求項1~15のいずれかに記載のゴム混合物、請求項20に記載の加硫物、又は請求項21に記載の成形物品を製造するための、請求項1~3のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオルガノシリルポリスルフィド及びゴムのための補強性添加剤としてのそれらの使用、それらオルガノシリルポリスルフィドを含むゴム混合物及びそれらゴム混合物を製造するためのそれらオルガノシリルポリスルフィドの使用、並びにそれらゴム混合物から得ることが可能な加硫物、特にタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム混合物における補強性添加剤として採用することが可能な硫黄含有有機ケイ素化合物は公知である。したがって、(特許文献1)、(特許文献2)、及び(特許文献3)には、特に、タイヤ用途のためのシリカ含有ゴム加硫物のための補強性添加剤としての硫黄含有オルガノシランが記載されている。それらに開示されている硫黄含有オルガノシランは、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドから誘導されてものであり、たとえば、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)が、明示的に記載されている。
【0003】
さらに(特許文献4)にも、トリアルコキシシリルプロピル化合物から誘導されたオルガノシランベースの補強性添加剤が開示されている。それら先行技術から公知の化合物の欠点は、ヒステリシス損失が、高温(約60℃、転がり抵抗性に関係する)だけではなく、低温(0℃)でも低下するという点にある。ヒステリシス損失における低下は、自動車用タイヤの転がり抵抗性の低下をもたらし、その結果自動車での燃料消費量を低下させるので、原理的には、望ましいものである。しかしながら、低温(0~20℃)でのヒステリシスが低いということは、自動車タイヤにおける湿時の滑り抵抗性が低いことに関連していることは、公知である。したがって、両方の要件、すなわち、低い転がり抵抗性と良好な湿時の滑り抵抗性を両立させることは、困難である。
【0004】
さらに(特許文献5)にも、シリカ高充填のタイヤトレッドを製造するためのゴム混合物における接着性向上剤としての、硫黄含有オルガノシランの使用が記載されている。そこでは、特定の、シラン-改質ゴム、シリカ充填剤、及び特定のトリアルコキシアルキルポリスルフィドをベースとする接着性向上剤を組み合わせることにより、タイヤの転がり抵抗性を低下させることが可能となったが、それらのタイヤ混合物では、上記の接着性向上剤が、転がり抵抗性を低下させるだけではなく、濡れ時におけるグリップ性もまた低下させるということも明らかである。
【0005】
(特許文献6)にも同様に、良好な転がり抵抗性及び良好な濡れ時におけるグリップ性を有するゴムのための補強性添加剤混合物としての、ある種のビス-アルコキシ/アルキル-置換されたシリルメチレンポリスルフィドの使用が開示されている。この場合の欠点としては、その補強性添加剤を製造するために使用される原料物質が、光塩素化を介する高コストで扱いにくい製造法を必要とすること、さらには、それらのゴムが、たとえば強度、破断時伸び、及び硬度のような性能特性でのかなりの劣化を示すということが挙げられる。
【0006】
(特許文献7)には、良好な転がり抵抗性及び良好な濡れ時におけるグリップ性という性能を有するゴム混合物のための補強性添加剤としての、ビス(ジメチルエトキシシリルイソブチレン)ポリスルフィドの使用が開示されている。しかしながら、タイヤ製造においてそれらの化合物を使用すると、1molあたり2molのエタノールが放出されることになり、これは、実用上不利となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第A2141159号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第A2141160号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第A2255577号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第A2035778号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第A447066号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第A0680997号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第A3622015号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上述のような従来技術の欠点を克服する、硫黄含有オルガノケイ素化合物をベースとする新規な、ゴムのための補強性添加剤、さらには新規なゴム混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことには、ケイ素原子と硫黄原子との間のスペーサーとして、それぞれがプロピレン基を有するか、又はそれぞれが2位で分岐したプロピレン基を有する、ある種のオルガノシリルポリスルフィドが、ゴムのための補強性添加剤混合物として極めて好適であり、そのゴム混合物の加硫の際に揮発性有機成分(VOC)を放出しないということが見出された。
【0010】
その新規なオルガノシリルポリスルフィドは、ゴム混合物の迅速な完全加硫時間(T95)をもたらし、そしてそれから得ることが可能な加硫物においては、有利な温度依存性ヒステリシス性能、並びにプラスの性能特性たとえば、高い強度及び高い破断時伸びを与える。それらの加硫物から製造されるタイヤは特に、低い転がり抵抗性及び良好な濡れ時におけるグリップ性を特徴としている。
【0011】
したがって本発明は、新規な、式(I)
【化1】
(式中、
R
1、R
3、R
6及びR
8は、同一であるか又は異なっていて、C
1~C
4-アルキルを表し、
R
4及びR
5は、同一であるか又は異なっていて、水素又はC
1~C
4-アルキルを表し、
R
2及びR
7は、次式の基を表し、
CH
3CH
2C(CH
2OH)
2CH
2-
そして
xは、2~8の整数である)のオルガノシリルポリスルフィドを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましいのは、次のような式(I)のオルガノシリルポリスルフィドである;
R1、R3、R6及びR8が、同一であるか又は異なっていて、メチル又はエチルを表し、
R4及びR5が、同一であるか又は異なっていて、水素、メチル、又はエチルを表し、
R2及びR7が、次式の基を表し、
CH3CH2C(CH2OH)2CH2-
そして
xが、2~8の整数である。
【0013】
特に好ましいのは、次のような式(I)のオルガノシリルポリスルフィドである;
R1、R3、R6、及びR8が、メチルを表し、
R4及びR5が、同一であるか又は異なっていて、水素又はメチルを表し、
R2及びR7が、次式の基を表し、
CH3CH2C(CH2OH)2CH2-
そして
xが、2~8の整数である。
【0014】
極めて特に好ましいのは、次のような式(I)のオルガノシリルポリスルフィドである;
R1、R3、R6、及びR8が、メチルを表し、
R4及びR5が、同一であって、水素又はメチルを表し、
R2及びR7が、次式の基を表し、
CH3CH2C(CH2OH)2CH2-
そして
xが、2~8の整数である。
【0015】
特別に好ましいのは、式(Ia)及び(Ib)のオルガノシリルポリスルフィドである;
【化2】
[式中、
xは、2~8の整数であり、
その化学名は、ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピル]ポリスルフィドである]
及び
【化3】
[式中、
xは、2~8の整数であり、
その化学名は、ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルイソブチル]ポリスルフィドである]。
【0016】
オルガノシリルポリスルフィドが、温度及び/又は溶媒の影響下で、不均化反応することが可能であるということは、当業者には公知である。したがって、本発明におけるオルガノシリルポリスルフィドは、ほとんどの場合、混合物の形態にあり、そこでのオルガノシリルポリスルフィドの硫黄原子の数は、一般的には3.6~4.4、好ましくは3.8~4.2、特には4.0の数平均の範囲内である。
【0017】
本発明はさらに、少なくとも2種の式(I)のオルガノシリルポリスルフィドを含む混合物も提供するが、
そこでは、置換基R
1~R
8及びxは、上述の一般的及び好ましい定義を有し、それらは、少なくともxの値で異なっており、
ここで硫黄原子の数のxの数平均値
【数1】
は、3.6~4.4、好ましくは3.8~4.2、特には4.0である。
【0018】
特に好ましいのは、式(Ia)及び/又は式(Ib)の少なくとも2種のオルガノシリルポリスルフィドを含み、その中で、硫黄原子の数xの数平均値
【数2】
が、3.6~4.4、好ましくは3.8~4.2、特には4.0である、混合物である。
【0019】
本発明における式(I)のオルガノシリルポリスルフィドは、少なくとも1種のアルコール系溶媒の存在下に、式(II)
【化4】
(式中、
R
9は、基R
4又はR
5を表し、
R
10は、基R
3又はR
6を表し、
R
11は、基R
2又はR
7を表し、そして
R
12は、基R
1又はR
8を表し、
ここで、基R
1~R
8は、式(I)で特定される、一般的及び好ましい定義を有し、
そして
Halは、ハロゲン、好ましくは塩素を表す)の少なくとも2種のハロアルキルシリルエーテルを、
少なくとも1種の式(III)
S
xM
2 (III)
(式中、
xは、式(I)で特定される、一般的及び好ましい定義を有し、
そして
Mは、リチウム、ナトリウム、及びカリウムから、好ましくはナトリウムの金属イオンを表す)の金属ポリスルフィドと、
反応させることにより、製造することができる。
【0020】
オルガノシリルポリスルフィドを製造するためのプロセスは、原理的には、公知である。本発明における式(I)のオルガノシリルポリスルフィドも、(たとえば、独国特許出願公開第A2 141 159号明細書に記載されているような)公知のプロセスと同様にして製造することができる。
【0021】
本発明におけるオルガノシリルポリスルフィドの製造には、一般的に、式(II)のハロアルキルシリルエーテルの合計量の1molを基準にして、0.5molの式(III)の金属ポリスルフィド、特に好ましくは多硫化ナトリウムを採用することが含まれる。
【0022】
本発明におけるオルガノシリルポリスルフィドを製造するためのプロセスは、広い温度範囲で実施することができる。-20℃~+90℃の範囲の温度で実施するのが好ましい。
【0023】
本発明におけるオルガノシリルポリスルフィドを製造するためのプロセスは、以下の群からの少なくとも1種のアルコールの存在下に実施するのが好ましい;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、i-ブタノール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、n-オクタノール、i-オクタノール、エチレングリコール、1,2-及び1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、並びに/又は1,6-ヘキサンジオール。
【0024】
本発明におけるオルガノシリルポリスルフィドを製造するためのプロセスは、広い圧力範囲で実施することができる。それは、一般的には0.9~1.1barの圧力、好ましくは標準圧力で実施される。
【0025】
本発明におけるオルガノシリルポリスルフィド(I)の製造は、一般的に、最初に、無水アルコール、好ましくは無水メタノールの中に式(III)の金属ポリスルフィドを仕込み、その混合物を、不活性条件下に沸点にまで加熱し、次いで式(II)の少なくとも2種のハロアルキルシリルエーテルを添加することにより実施される。その反応が完了したら、沈殿したアルカリ金属の塩を副生物として濾過して除去し、蒸留により式(I)の化合物から溶媒を除き、そして残存ボトム生成物として、85%より大の収率で、純品の形態で単離する。
【0026】
式(II)のハロアルキシリルエーテルは新規であり、同様に、本発明の主題の一部を形成する。
【0027】
ハロアルキシリルエーテルを製造するためのプロセスは、原理的には、公知である。
【0028】
本発明における式(II)のハロアルキシリルエーテルは、たとえば欧州特許出願公開第A0669338号明細書に記載のプロセスと同様にして、以下のような公知の方法で製造することができる;少なくとも1種のルテニウム触媒の存在下に、少なくとも1種の式(IV)
【化5】
(式中、R
9は、式(II)で特定される、一般的及び好ましい定義を有し、
そして
Halは、ハロゲン、好ましくは塩素を表す)のハロアリル化合物を、
少なくとも1種の式(V)
【化6】
(式中、R
10、R
11、及びR
12は、式(II)で特定される、一般的及び好ましい定義を有する)のシランと、反応させる。
【0029】
本発明における式(II)のハロアルキシリルエーテルの製造は、溶媒を添加せずに実施するのが好ましい。
【0030】
式(IV)のハロアリル化合物の1molあたり、一般的には1.15~2mol、好ましくは1.6~2.0molの、式(V)のシランを採用する。
【0031】
好適なルテニウム触媒としては、好ましくは、欧州特許出願公開第A0669338号明細書に開示されている化合物が挙げられる。本発明における式(II)のハロアルキシリルエーテルを製造するには、ルテニウム触媒のRu3(CO)12が特に好適である。
【0032】
式(IV)のハロアリル化合物の1molあたり、一般的には10~200ppm、好ましくは15~100ppmの、少なくとも1種のルテニウム触媒が採用される。
【0033】
式(IV)のハロアリル化合物と式(V)のシランとの反応は、一般的には20℃~150℃、好ましくは70℃~90℃の範囲の温度で実施される。
【0034】
その反応は、一般的には1~100時間の時間、好ましくは1.5~5時間の時間をかけて実施される。
【0035】
その反応の進行は、TLC(薄層クロマトグラフィー)によってモニターすることができる。反応が完了したら、式(II)のハロアルキルシリルエーテルを、蒸留により精製するのがよい。それにより、97%までの収率を実現することが可能となる。
【0036】
式(IV)のハロアリル化合物は公知であり、たとえば、たとえばAldrichからの市販製品(CAS:107-05-1又はCAS:563-47-3)として入手可能である。
【0037】
式(V)のシランは、自体公知の方法(たとえば、米国特許出願公開第2011/0105780号明細書を参照)で、式(VI)
【化7】
(式中、
R
1及びR
3は、式(I)で特定される、一般的及び好ましい定義を有し、
そして
Halは、ハロゲン、好ましくは塩素を表す)のハロシランを、
式R
11OHのアルコールと(式中、R
11は、式(I)で特定される、一般的及び好ましい定義を有する)反応させることにより製造することができる。
【0038】
式(VI)のシランは公知であり、たとえば、Sigma-Aldrichからの市販製品として入手可能である。
【0039】
本発明はさらに、少なくとも1種のゴム及び少なくとも1種の式(I)の化合物
【化8】
(式中、置換基R
1~R
8及び指数xは、先に特定された一般的及び好ましい定義を有する)を含む、ゴム混合物も提供する。
【0040】
本発明におけるゴム混合物の中の式(I)の化合物の合計含量は、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、一般的には0.1~15重量部、好ましくは1~12重量部、特に好ましくは2~10重量部、極めて特に好ましくは3~8重量部である。
【0041】
式(I)の化合物は、ゴム混合物に、純粋な形か、又は不活性な有機若しくは無機キャリヤーの上に吸収させて、添加することができる。好適なキャリヤー物質としては、特には、シリカ、天然及び合成のケイ酸塩、酸化アルミニウム、及びカーボンブラックが挙げられる。
【0042】
本発明におけるゴム混合物には、少なくとも1種のゴムが含まれる。
【0043】
本発明におけるゴム混合物が、少なくとも1種の天然ゴム(NR)及び/又は合成ゴムを含んでいるのが好ましい。
【0044】
好適な合成ゴムとしては、たとえば以下のものが挙げられる;
BR:ポリブタジエン
ABR:ブタジエン/アクリル酸C1~C4-アルキルコポリマー
CR:ポリクロロプレン
IR:ポリイソプレン
SBR:スチレン/ブタジエンコポリマー(スチレン含量が、重量で1~60%、好ましくは20~50%)
IIR:イソブチレン/イソプレンコポリマー
NBR:ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー(アクリロニトリル含量が5重量%~60重量%、好ましくは10重量%~50重量%)
HNBR:部分水素化又は完全水素化NBRゴム
EPDM:エチレン/プロピレン/ジエンコポリマー
及びそれらのゴムの2種以上の混合物。
【0045】
本発明におけるゴム混合物が、少なくとも1種のSBRゴム、好ましくは官能化SBRゴム、及び場合によっては1種又は複数のBRゴムを含んでいるのが好ましい。
【0046】
本発明において、官能化SBRゴムとは、1種又は複数の官能基、特にはカルボキシル基及び/又はメルカプタン含有基によって、主鎖及び/又は末端基を置換されたSBRゴムである。
【0047】
本発明におけるゴム混合物が、SBR:BRが(100:0)から(60:40)までの重量比にある、SBRゴムとBRゴムとの混合物を含んでいれば、極めて特に好ましい。
【0048】
さらに有利な実施態様においては、本発明におけるゴム混合物に、少なくとも1種の天然ゴムをさらに含む。
【0049】
本発明におけるゴム混合物が、1種又は複数の充填剤を含んでいるのが好ましい。好適な充填剤としては、原理的には、従来技術からこの目的のために公知の、あらゆる充填剤が挙げられる。
【0050】
好適な活性充填剤としては、特には、ヒドロキシル含有酸化物系化合物、たとえば特定のシリカ、さらにはカーボンブラックが挙げられる。
【0051】
本発明におけるゴム混合物には、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、一般的には10~190重量部、好ましくは30~150重量部、特に好ましくは50~130重量部の、少なくとも1種の充填剤が含まれる。
【0052】
本発明におけるゴム混合物が、少なくとも1種のヒドロキシル含有酸化物系充填剤を含んでいれば好ましい。
【0053】
本発明におけるゴム混合物の中のヒドロキシル含有酸化物系充填剤の含量は、それぞれの場合において、充填剤の合計重量の100重量部を基準にして、一般的には少なくとも10重量部、好ましくは20~150重量部、特に好ましくは50~140重量部、極めて特に好ましくは80~130重量部である。
【0054】
好適なヒドロキシル含有酸化物系充填剤は、好ましくは、以下の群からのものである;
- 5~1000m2/g、好ましくは20~400m2/gの比表面積(BET)を有し、100~400nmの一次粒径を有するシリカ(ここでそのシリカは、場合によってはさらに、他の金属酸化物、たとえば、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、Tiの酸化物との混合酸化物の形態であってもよい)、
及び
- 合成ケイ酸塩、たとえばケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルカリ土類金属、たとえば、ケイ酸マグネシウム若しくはケイ酸カルシウムで、20~400m2/gの比表面積(BET)及び10~400nmの一次粒子直径を有するもの。
【0055】
本発明のゴム混合物の中に存在させ、そしてシリカの群からの、ヒドロキシル基含有酸化物系充填剤は、好ましくは、たとえば、ケイ酸塩の溶液から沈降させるか、又はケイ素のハロゲン化物を火炎加水分解させることから製造できるものである。
【0056】
本発明におけるゴム混合物が、20~400m2/gの範囲の比表面積(BET)を有する、シリカの群から選択される少なくとも1種のヒドロキシル含有酸化物系充填剤を、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、5~150重量部、好ましくは50~140重量部、特に好ましくは80~130重量部の量で含んでいるのが好ましい。
【0057】
本発明におけるゴム混合物には、少なくとも1種のカーボンブラックを充填剤としてさらに含んでいてもよい。
【0058】
本発明において好ましいのは、ランプブラック、ファーネスブラック又はガスブラック法によって得ることが可能で、20~200m2/gの範囲の比表面積(BET)を有するカーボンブラック、たとえば、SAF、ISAF、IISAF、HAF、FEF、又はGPFカーボンブラックである。
【0059】
本発明におけるゴム混合物は、一般的に、20~200m2/gの範囲の比表面積(BET)を有する少なくとも1種のカーボンブラックを、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、0~40重量部、好ましくは0~30重量部、特に好ましくは0~20重量部の範囲で含んでいる。
【0060】
BETの数値は全て、DIN 66131に従って測定した比表面積に関連する。記述されている一次粒径は、走査電子顕微鏡によって求めた数値を指している。
【0061】
好ましいまた別の実施態様においては、本発明におけるゴム混合物に、上述のカーボンブラックの少なくとも1種、及び上述のシリカの少なくとも1種が充填剤として含まれる。
【0062】
特に好ましいまた別の実施態様においては、本発明におけるゴム混合物に、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、20~400m2/gの範囲の比表面積(BET)を有し、20~120重量部、好ましくは30~100重量部、特に好ましくは40~90重量部のシリカの群からの少なくとも1種のヒドロキシル含有酸化物系充填剤、及び20~200m2/gの範囲の比表面積(BET)を有し、20~90重量部、好ましくは30~80重量部、特に好ましくは40~70重量部の量の少なくとも1種のカーボンブラックが含まれる。
【0063】
本発明のゴム混合物には、1種又は複数の架橋剤が含まれていてよい。
【0064】
本発明における好ましい架橋剤は、特には硫黄及び硫黄供与体、さらには金属酸化物たとえば、酸化マグネシウム及び/又は酸化亜鉛である。
【0065】
硫黄は、元素状の可溶性若しくは不溶性の形態、又は硫黄供与体の形態で採用することができる。好適な硫黄供与体としては、たとえば以下のものが挙げられる:ジチオジモルホリン(DTDM)、2-モルホリノジチオベンゾチアゾール(MBSS)、カプロラクタムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、及びテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)。
【0066】
本発明におけるゴム混合物が、少なくとも1種の硫黄供与体及び/又は硫黄、特には硫黄を含んでいるのが特に好ましい。
【0067】
本発明におけるゴム混合物は、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、一般的には0.1~10重量部、好ましくは0.2~5重量部の上記の架橋剤の少なくとも1種を含む。
【0068】
本発明におけるゴム混合物が、1種又は複数の加硫促進剤を含んでいてよい。
【0069】
本発明において好ましい加硫促進剤は、以下のものである:メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトスルフェンアミド、チオカルバメート、チオカーボネート、及びジチオホスフェート、さらには硫黄供与体たとえば、ジチオジカプロラクタム、ジチオジモルホリン、及びキサントゲン酸塩。
【0070】
本発明におけるゴム混合物は、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、一般的には0.1~10重量部、好ましくは0.2~5重量部の、上記の加硫促進剤の少なくとも1種を含む。
【0071】
式(I)の化合物に加えて、本発明におけるゴム混合物には、それらの目的のために慣用され、従来技術からも公知の、1種又は複数のさらなる補強性添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0072】
上述の添加剤に加えて、本発明におけるゴム混合物には、たとえば以下のような、当業者にはよく知られているさらなるゴム助剤がさらに含まれていてもよい:反応促進剤、老化安定剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン亀裂防止剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、エクステンダー、有機酸、反応抑制剤、金属酸化物、活性剤たとえばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール、並びに天然のケイ酸塩たとえばカオリン及びその他の天然に産出するシリカ、及びさらにはガラス繊維及びガラス繊維製品たとえば、マット、ストランド又はミクロスフェアの形態にあるもの、の群からの充填剤。
【0073】
本発明におけるゴム混合物には、上記のゴム助剤が、これらの助剤で慣用される量、典型的にはそれぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、0.1~30重量部の量で含まれる。
【0074】
本発明におけるゴム混合物が、1種又は複数の二次促進剤を含んでいてよい。
【0075】
タイヤ製造のために使用されるシリカベースのゴム混合物の中で、ジフェニルグアニジン(DPG)又は構造的に類似の芳香族グアニジンが、典型的には、混合プロセスの中での架橋速度及び混合物粘度を制御調節するための二次促進剤として使用される。しかしながら、DPGの使用に伴う、極めて重要な逆効果は、加硫に際してそれがアニリンを放出することであって、アニリンは、発がん性の疑いがある。驚くべきことには、本発明のゴム混合物においては、DPGを、有利なことには、1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(商品名:Vulcuren(登録商標))で置き換えることが可能であるということが今や見出された。二次促進剤たとえば、TBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)又はジチオホスフェートで、DPGを置き換えることもまた可能である。
【0076】
したがって、本発明には、実質的にDPGフリーのゴム混合物も包含される。
【0077】
本発明におけるシリカベースのゴム混合物が、1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(商品名:Vulcuren(登録商標))、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、及びジチオホスフェートの群からの、少なくとも1種の二次促進剤を含んでいるのが好ましい。
【0078】
本発明におけるゴム混合物は、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、一般的には0.1~1.0重量部、好ましくは0.2~0.5重量部の上記の二次促進剤の少なくとも1種を含む。
【0079】
したがって、本発明は、ジフェニルグアニジン及び/又は置換されたジフェニルグアニジンを実質的に含まない本発明のゴム混合物、特には、それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、多くとも0.4重量部、好ましくは0.1~0.2重量部、特に好ましくは0.05~0.1重量部、極めて特に好ましくは0.001~0.04重量部の、ジフェニルグアニジン及び/又は置換されたジフェニルグアニジンの含量を有するものを提供する。
【0080】
好ましいのは、以下のものを含む本発明におけるゴム混合物である:
少なくとも1種のゴム;
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、
5~150重量部、好ましくは50~140重量部、特に好ましくは80~130重量部の、少なくとも1種のシリカ;
0~40重量部、好ましくは0~30重量部、特に好ましくは0~20重量部の、カーボンブラック:及び
0.1~15、好ましくは1~12、特に好ましくは2~10重量部、特には3~8重量部の、少なくとも1種の式(I)の化合物。
【0081】
同様に好ましいのは、以下のものを含む本発明におけるゴム混合物である:
少なくとも1種のゴム;
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、
5~150重量部、好ましくは50~140重量部、特に好ましくは80~130重量部の、少なくとも1種のシリカ;
0~40重量部、好ましくは0~30重量部、特に好ましくは0~20重量部の、カーボンブラック:及び
0.1~15、好ましくは1~12、特に好ましくは2~10重量部、特には3~8重量部の、少なくとも1種の式(I)の化合物;及び
0.1~1.0重量部の1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(Vulcuren(登録商標))。
【0082】
極めて特に好ましいのは、以下のものを含む本発明におけるゴム混合物である:
少なくとも1種のゴム、特には少なくとも1種のSBRゴム、好ましくは官能化SBRゴム、及び場合によっては1種又は複数のBRゴム;
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、
5~150重量部、好ましくは50~140重量部、特に好ましくは80~130重量部の、少なくとも1種のシリカ、特には5~1000m2/g、好ましくは20~400m2/gの比表面積(BET)及び100~400nmの一次粒径を有するもの;
0~40重量部、好ましくは0~30重量部、特に好ましくは0~20重量部のカーボンブラック、特には20~200m2/gの範囲の比表面積(BET)を有するもの;及び
0.1~15、好ましくは1~12、特に好ましくは2~10重量部、特には3~8重量部の少なくとも1種の、式(I)の化合物、特には式(Ia)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピル]ポリスルフィド)、及び/又は式(Ib)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリイソブチル]ポリスルフィド)。
【0083】
極めて特に好ましいのはさらに、以下のものを含む本発明におけるゴム混合物である:
少なくとも1種のゴム、特には少なくとも1種のSBRゴム、好ましくは官能化SBRゴム、及び場合によっては1種又は複数のBRゴム;
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、
5~150重量部、好ましくは50~140重量部、特に好ましくは80~130重量部の、少なくとも1種のシリカ、特には5~1000m2/g、好ましくは20~400m2/gの比表面積(BET)及び100~400nmの一次粒径を有するもの;
0~40重量部、好ましくは0~30重量部、特に好ましくは0~20重量部のカーボンブラック、特には20~200m2/gの範囲の比表面積(BET)を有するもの;及び
0.1~15、好ましくは1~12、特に好ましくは2~10重量部、特には3~8重量部の少なくとも1種の、式(I)の化合物、特には式(Ia)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピル]ポリスルフィド)、及び/又は式(Ib)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリイソブチル]ポリスルフィド);並びに
0.1~0.5重量部の1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(Vulcuren(登録商標));並びに
多くとも0.4重量部、好ましくは0.1~0.2重量部、特に好ましくは0.05~0.1重量部、極めて特に好ましくは0.001~0.04重量部の含量のジフェニルグアニジン及び/又は置換されたジフェニルグアニジン。
【0084】
同様に極めて特に好ましいのは、以下のものを含む本発明におけるゴム混合物である:
少なくとも1種の天然ゴム;
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、
5~150重量部、好ましくは50~140重量部、特に好ましくは80~130重量部の、少なくとも1種のシリカ、特には5~1000m2/g、好ましくは20~400m2/gの比表面積(BET)及び100~400nmの一次粒径を有するもの;
0~40重量部、好ましくは0~30重量部、特に好ましくは0~20重量部のカーボンブラック、特には20~200m2/gの範囲の比表面積(BET)を有するもの;及び
0.1~15、好ましくは1~12、特に好ましくは2~10重量部、特には3~8重量部の少なくとも1種の、式(I)の化合物、特には式(Ia)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピル]ポリスルフィド)、及び/又は式(Ib)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリイソブチル]ポリスルフィド)。
【0085】
極めて特に好ましいのはさらに、以下のものを含む本発明におけるゴム混合物である:
少なくとも1種の天然ゴム;
それぞれの場合において、ゴムの合計量の100重量部を基準にして、
5~150重量部、好ましくは50~140重量部、特に好ましくは80~130重量部の、少なくとも1種のシリカ、特には5~1000m2/g、好ましくは20~400m2/gの比表面積(BET)及び100~400nmの一次粒径を有するもの;
0~40重量部、好ましくは0~30重量部、特に好ましくは0~20重量部のカーボンブラック、特には20~200m2/gの範囲の比表面積(BET)を有するもの;及び
0.1~15、好ましくは1~12、特に好ましくは2~10重量部、特には3~8重量部の少なくとも1種の、式(I)の化合物、特には式(Ia)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピル]ポリスルフィド)、及び/又は式(Ib)(ビス[ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリイソブチル]ポリスルフィド);並びに
0.1~0.5重量部の1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(Vulcuren(登録商標));並びに多くとも0.4重量部、好ましくは0.1~0.2重量部、特に好ましくは0.05~0.1重量部、極めて特に好ましくは0.001~0.04重量部の含量のジフェニルグアニジン及び/又は置換されたジフェニルグアニジン。
【0086】
本発明はさらに、本発明におけるゴム混合物を製造するためのプロセスも提供するが、そのプロセスでは、先に一般的又は好ましいとされたゴムの少なくとも1種を、先に一般的又は好ましいとされた充填剤の少なくとも1種、及び式(I)の化合物の少なくとも1種と、そして場合によっては、先に一般的又は好ましいとされた補強性添加剤の少なくとも1種、場合によっては先に一般的又は好ましいとされた加硫促進剤の1種又は複数、並びに場合によっては先に一般的又は好ましいとされた二次促進剤の1種又は複数、場合によっては上述のゴム助剤の1種又は複数と、それらの添加剤で特定される一般的又は好ましいとされた量で混合し、そのようにして得られた混合物を、60℃~200℃、特に好ましくは90℃~180℃の範囲の温度に加熱する。
【0087】
本発明におけるゴム混合物の製造では、典型的には、ゴムの合計量の100重量部あたり、10~190重量部、好ましくは30~150重量部、特に好ましくは50~130重量部の少なくとも1種の充填剤、及び0.1~15重量部、好ましくは1~12重量部、特に好ましくは2~10重量部、極めて特に好ましくは3~8重量部の、少なくとも1種の式(I)の化合物、そして場合によっては、上述の添加剤の1種又は複数が、それらの添加剤で特定される量で採用される。
【0088】
それらに代えて、少なくとも1種の、x=2である式(I)の化合物を、100℃~200℃、好ましくは130℃~180℃の温度で、硫黄及び少なくとも1種のゴム及び少なくとも1種の充填剤と混合することによって本発明におけるゴム混合物を製造してもよい。この代替のプロセスにおいては、x=2である式(I)の化合の中へのさらなる硫黄原子の取込みを、インシッツで実施して、それにより、x=2~8、そしてxの数平均=4である、本発明における式(I)の化合物を形成させる。
【0089】
本発明におけるゴム混合物の製造は、慣用される方法で、公知の混合装置たとえば、ローラー、インターナルミキサー、及び混合エクストルーダー中で、60℃~200℃、好ましくは100℃~200℃の溶融温度及び、1~1000sec-1の剪断速度で実施される。
【0090】
式(I)の化合物の添加及び充填剤の添加は、混合操作の最初の段階で、60℃~200℃、好ましくは100℃~200℃の溶融温度及び上記の剪断速度で実施するのが好ましい。しかしながら、上記添加は、混合操作のもっと後の段階で、より低い温度(40℃~130℃、好ましくは40℃~100℃)で、たとえば硫黄及び加硫促進剤と共に実施してもよい。
【0091】
本発明はさらに、本発明のゴム混合物を加硫するためのプロセスも提供するが、それは、100℃~200℃、特に好ましくは130℃~180℃の溶融温度で実施するのが好ましい。一つの好ましい実施態様においては、加硫を、10~200barの圧力で実施する。
【0092】
本発明にはさらに、本発明のゴム混合物を加硫することにより得ることができるゴム加硫物も含まれる。それらの加硫物は、特にタイヤにおいて使用した場合には、優れた性能プロファイル及び予想もできなかったような低い転がり抵抗性という利点を有している。
【0093】
本発明によるゴム加硫物は、改良された性質を有する成形物品を製造するため、たとえばケーブルの外装、ホース、伝動ベルト、コンベア用ベルト、ローラーの被覆、タイヤ、靴底、シールリング、及び制震要素を製造するため、特に好ましくは、タイヤを製造するために好適である。
【0094】
本発明はさらに、ゴム混合物及びその加硫物を製造するための、式(I)の化合物の使用も提供する。
【実施例】
【0095】
以下の例を用いて本発明を説明するが、本発明がそれらに限定されることはない。
【0096】
ゴム混合物/加硫物の物性の測定:
レオメーター(バルカメーター)完全加硫時間、170℃/t95:
MDR(ムービング・ダイ・レオメーター)加硫プロファイル及びそれに伴う分析データは、ASTM D5289-95に従い、MDR 2000 Monsanto レオメーターで測定する。ゴムの95%が架橋された時点を、完全加硫時間として測定する。選択した温度は170℃であった。
【0097】
硬度の測定:
本発明におけるゴム混合物の硬度を測定するために、表1での配合に従ったゴム混合物から、厚み6mmのロールドシートを作成した。そのロールドシートから直径35mmの試験片を切り出し、デジタルショアー硬度試験機(Zwick GmbH & Co.KG,Ulm)の手段により、そのショアーA硬度を測定した。ゴム加硫物の硬度が、その剛性の第一の指標を与える。
【0098】
引張試験:
引張試験を使用して、エラストマーの限界荷重を直接測定するが、それは、DIN 53504に従って実施する。破断した時の長手方向の伸びを初期の長さで割り算すると、破断時伸びが得られる。さらに、特定の伸びのレベル、通常50%、100%、200%、及び300%を達成するための力も測定し、応力値として表す(特定の伸び300%での引張強度、すなわち300モジュラス)。
【0099】
動的制動:
動的試験方法を使用して、周期的に負荷を変化させる条件下でエラストマーの変形挙動の特性を求める。外部から加えられた電圧が、ポリマー鎖のコンホメーションを変化させる。損失係数tanδは、損失モジュラスG’’対貯蔵モジュラスG’の比率から間接的に求める。60℃における損失係数tanδは、転がり抵抗性と関係があり、可能な限り低くするべきである。0℃における損失係数tanδは、濡れ時におけるグリップ性と関係があり、可能な限り高くするべきである。
【0100】
【0101】
【0102】
オルガノシリルポリスルフィドの製造
実施例1a:ビス[2,2-ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピル]ポリスルフィドの製造
最初に、28.54g(0.5mol)の多硫化ナトリウムを無水メタノールの中に仕込み、不活性条件下に加熱して、沸騰させた。次いで、268.86g(1.0molの塩化ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピルを添加し、反応混合物を還流条件下で1.5時間加熱した。
【0103】
反応が完了したら、沈殿した塩化ナトリウムを濾過除去し、真空下で、溶媒のメタノール蒸留除去した。その蒸留残渣には、ビス[2,2-ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピル]ポリスルフィドが含まれていた。
収率:理論の86%。
【0104】
実施例1b:ビス[2,2-ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルイソブチル]ポリスルフィドの製造
ビス[2,2-ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルイソブチル]ポリスルフィドの製造は、実施例1aと同様に実施したが、ただし、1.0molの塩化ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピルに代えて、1.0mol(282.88g)の塩化ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルイソブチルを採用した。
収率:理論の88%。
【0105】
出発化合物の製造
実施例1c:塩化ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリルプロピルの製造
【化9】
最初に、0.025gのルテニウム触媒Ru
3(CO)
12(100ppm Ru)及び113.46gg(0.59mol)のジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシランを、反応容器の中に仕込んだ。反応混合物を、還流下76℃に加熱し、28.16g(0.37mol)の塩化アリル(Aldrich製(CAS:107-05-1))を、滴下により30分の時間をかけて添加した。反応混合物を80℃でさらに90分間加熱した後で、ガスクロマトグラフィー分析により、塩化アリルが、完全に転化したことを確認した。高真空下での蒸留精製の後では、理論の97%の収率で、目標化合物が得られた。
【0106】
実施例1d:塩化ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシリイソブチルの製造
【化10】
最初に、0.025gのルテニウム触媒Ru
3(CO)
12(100ppmRu)及び113.48gg(0.59mol)のジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシランを、反応容器の中に仕込んだ。反応混合物を、還流下76℃に加熱し、33.32g(0.37mol)の塩化イソブテン(Aldrich製(CAS:563-47-3))を、滴下により30分の時間をかけて添加した。反応混合物を80℃でさらに90分間加熱した後で、ガスクロマトグラフィー分析により、塩化アリルが、完全に転化したことを確認した。高真空下での蒸留精製の後では、理論の94%の収率で、目標化合物が得られた。
【0107】
実施例1e:ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシランの製造
最初に、94.62g(1.0mol)のクロロジメチルシラン(CAS No.:1066-35-9)(Sigma-Aldrich)を反応容器の中に仕込み、還流条件下、70℃に加熱した。次いで、147.59g(1.1mol)の無水トリメチロールプロパン(CAS No.:77-99-6)(Lanxess Deutschland GmbH)を、4.5時間かけて添加した。生成したHClガスは、冷却器を介して、HClトラップ(水+NaOH)の中に流した。次いで、反応混合物を、窒素雰囲気下80℃でさらに1時間攪拌した。
【0108】
このようにすると、ジ(ヒドロキシメチル)ブトキシジメチルシランが、理論の98%の収率で得られた。
【0109】
ゴム混合物の製造
実施例1
表1に記載の配合に従って、本発明のゴム混合物A及びB、並びに本発明ではないゴム混合物の比較物質1を製造した。化合物ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)と、式(Ia)及び(Ib)の化合物とは、それぞれの場合において、等モル量で採用した。しかしながら、同等の架橋密度(これは、300モジュラス、破断時伸び、及び強度に顕著に表れる)を達成させるために、式(Ia)及び(Ib)の化合物の場合には、やや多量の硫黄を添加した。それらの混合物は、ニーダー中、内温150℃で製造した。次いで、硫黄及び加硫促進剤を、ローラー上50℃で、混ぜ込んだ。加硫を達成させるために、それらの混合物を、加熱可能なプレスの中で、170℃で30分間加熱した。
【0110】
ゴム混合物、並びに混合物A、B、及び比較物質1の加硫物の性質の試験を、先に記した方法に従って実施した。
【0111】
その試験データから、次のことが明らかである。実施例A及びBの本発明のゴム混合物は、顕著に低い混合粘度を有していて、そのため、加硫物を、本発明ではない比較物質1のゴム混合物よりも実質的に有利に製造できるようになる。
【0112】
加硫物の製造性の改良に加えて、本発明のゴム混合物はさらに、60℃での動的減衰(損失係数tanδとして測定され、タイヤの転がり抵抗性に関連し、値が低い方が有利である)のおける改良を示す。さらに驚くべきことには、添加剤TESPTを含むゴム混合物の大きな欠点の一つ、すなわち、いわゆる、架橋曲線のマーチングモジュラスが、本発明のゴム混合物A及びBの場合には起きない。このことは必然的に、完全加硫時間の規定を単純化させて、動的な機械的加硫性能が頻繁に変化することがない。本発明のゴム混合物の完全加硫時間(t95)が短くなることから、成形物品の製造(加硫)がさらに有利となり得る。
【0113】
【0114】
【0115】
実施例2
表2に記載の配合に従って、本発明のゴム混合物C及びD、並びに本発明ではないゴム混合物の比較物質1を製造した。化合物ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)と、式(Ia)及び(Ib)の化合物とは、それぞれの場合において、等モル量で採用した。しかしながら、同等の架橋密度(これは、300モジュラス、破断時伸び、及び強度に顕著に表れる)を達成させるために、式(Ia)及び(Ib)の化合物の場合には、やや多量の硫黄を添加した。
【0116】
さらに、本発明のゴム混合物C及びDにおいては、それぞれの場合において、二次促進剤のDPGをVULCUREN(登録商標)で置き換えた。
【0117】
それらの混合物は、ニーダー中、内温150℃で製造した。次いで、硫黄及び加硫促進剤を、ローラー上50℃で混ぜ込んだ。加硫を達成させるために、それらの混合物を、加熱可能なプレスの中で、170℃で30分間加熱した。
【0118】
ゴム混合物、並びに混合物C、D、及び比較物質1の加硫物の性質を試験を、先に記した方法に従って実施した。
【0119】
その試験データから、次のことが明らかである:本発明のゴム混合物C及びDにおいて、VULCUREN(登録商標)をDPGの代わりに使用すると、第一の混合ステージ(5-ステージ混合プロセス)の後では、本発明ではない比較物質1のゴム混合物に比較して、より低い混合物粘度と共に、改良されたスコーチ抵抗性(より長いスコーチ時間)が達成される。比較物質1に比べて、完全加硫時間T95が、顕著に短くなった。
【0120】
DPGをVULCUREN(登録商標)に置き換えても、硬度、300弾性率、破断時伸び、及び引張強度の面での、本発明の化合物の機械的性質のプロファイルが損なわれることはほとんどなかった。60℃での反発弾性が顕著に増大し、それに伴い、60℃での損失係数tanデルタがより小さくなる。この改良は、転がり抵抗性が低くなっていることを示唆している。
【0121】
【0122】
【0123】
結論
本発明の式(I)のオルガノシリルポリスルフィドは、本発明のゴム混合物を製造するのに使用することが可能であって、それは、それから製造される加硫物の、改良された混合性能と共に、より高い強度及び顕著に高い(60℃での)弾性を特徴とする。その加硫物から製造されるタイヤはさらに、低い転がり抵抗性を特徴としている。
【国際調査報告】