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特表2024-525440動的なラテラル方向分解能及び時間分解能を有する画素配列
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】動的なラテラル方向分解能及び時間分解能を有する画素配列
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/773 20230101AFI20240705BHJP
【FI】
H04N25/773
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579860
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 IB2022000323
(87)【国際公開番号】W WO2023281308
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】BE2021/5521
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523228565
【氏名又は名称】ボクセルセンサーズ エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】VOXELSENSORS SRL
【住所又は居所原語表記】Cantersteen 47, Brussels, Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】ウォード ファン デル テンペル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ウィレム ピータース
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ベルナルド ミオデツキー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ムラド
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024AX03
5C024CX11
5C024GX07
5C024GY31
5C024GY45
5C024HX28
(57)【要約】
本発明は、単一光子検出器(SPD)に基づき、フォルスポジティブが抑制される改良された撮像システム及び撮像方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速センサシステムであって、前記システムは、1つ又は複数の光源を有し、複数の単一光子検出器(SPD)(2)を有する配列(24)を有し、前記検出器(2)は、実質的なマトリクス形状で、好ましくは互いに一定の間隔を持って、前記配列(24)上に空間的に分布しており、それにより、前記SPD(2)は、単一光子(3)の検出に適しており、前記単一光子(3)の検出を検出信号によって記録し、
前記システムは、少なくとも1つの評価回路、好ましくは前記検出器(2)毎に1つの評価回路をさらに有し、それにより、少なくとも2つの検出器(2)、好ましくは4つの検出器(2)が前記評価回路に接続され、前記評価回路は、前記検出器(2)の検出信号又は出力信号を時空間条件に基づいて確認するよう構成されており、
確認対象である検出器(2)の検出信号を確認するための前記時空間条件は、
確認対象である検出器(2)の検出信号の観測時間に関連する時間セグメント内に、前記確認対象である検出器(2)に関連する仮想マクロ画素(25)内に位置する検出器(2)において、プログラム可能な最小数の検出信号を観測し、前記マクロ画素(25)は、前記確認対象である検出器に近接して位置し任意にプログラム可能な数の検出器から構成され、好ましくは、少なくとも直接隣接する検出器(2)から構成される、
という条件を含み、
それにより、前記検出器(2)は、第1の層(19)において構成され、前記少なくとも1つの評価回路は、第2の層(21)に設けられ、前記第2の層(21)は、前記第1の層(19)の下に位置し、これにより、前記第1の層(19)は検出層であり、前記第2の層(21)は処理層である、
高速センサシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の高速センサシステムにおいて、前記評価回路は、外乱光に基づくとともに検出光の強度及び/又は他の特性に基づいて、前記時空間条件を修正するように構成されている、高速センサシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の高速センサシステムにおいて、
前記システムは、第1の所定の閾値を超える外乱光の検出時に、前記仮想マクロ画素(25)内に位置する検出器(2)における検出信号の最小数を少なくともNの値に設定し、前記第1の所定の閾値以下では、最大Mの値に設定するように構成され、ここでM<Nであり、Mは少なくとも1に等しく、Nは少なくとも2に等しく、
前記システムは、第1の所定の閾値を超える強さの検出光を検出すると、前記時間セグメントの持続時間を最長でT1の値に設定し、前記第1の所定の閾値以下では、少なくともT2の値に設定するように構成され、ここでT2>T1であり、T1は少なくとも1nsに等しい、高速センサシステム。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の高速センサシステムにおいて、互いに異なる時空間条件の少なくとも2つの事前にプログラムされたセットが並行して満たされた場合に、前記システムが検出信号を確認するように構成されている、高速センサシステム。
【請求項5】
前記請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の高速センサシステムにおいて、前記光源は、既知の光束径及び/又は既知の断面を有する光ビーム又は光束を放射し、好ましくは、前記断面は円形又は楕円形以外の形状であり、前記時空間条件は、さらに前記光束径及び/又は断面に依存し、それにより好ましくは、マクロ画素(25)内の検出器の形状及び/又は数は、前記光束径及び/又は断面に依存する、高速センサシステム。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5に記載の高速センサシステムにおいて、前記評価回路が、観測された検出信号を時間セグメント毎にクラスタ化し、従って、前記時間セグメントは連続し、等しい持続時間を有し、それによって、前記確認対象である検出器(2)の検出信号の観測時間に関連する時間セグメントは、前記確認対象である検出器(2)の検出信号が観測された時間セグメントである、高速センサシステム。
【請求項7】
前記請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の高速センサシステムにおいて、外乱光に基くとともに検出光の強さに基いて、前記仮想マクロ画素(25)を修正することができ、それにより、第2の所定の閾値以下の外乱光が検出された場合には、前記確認対象である検出器(2)の周囲の第1の仮想マクロ画素が使用され、前記第2の所定の閾値を超える外乱光が検出された場合には、前記確認対象である検出器(2)の周囲の第2の仮想マクロ画素が使用され、それにより、前記第2の仮想マクロ画素は、前記第1の仮想マクロ画素よりも少ない検出器(2)を有する、高速センサシステム。
【請求項8】
前記請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記検出器(2)は、前記検出器(2)の検出信号を正規化するクエンチング回路を備え、好ましくは、前記クエンチング回路は、前記第2の層又は前記第2の層の下の第3の層に設けられる、高速センサ撮像システム。
【請求項9】
前記請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記評価回路は、複数セットの時空間条件に基づいて前記検出器(2)の検出信号を確認するように構成され、それにより、前記評価回路は、前記複数セットの時空間条件の各セットによって前記検出信号を並列に処理し、
確認対象である検出器(2)の検出信号を確認するための前記複数セットの時空間条件の各セットは、
確認対象である検出器(2)の検出信号の観測時間に関連する時間セグメント内に、前記確認対象である検出器(2)に関連する仮想マクロ画素(25)内に位置する検出器(2)において、プログラム可能な最小数の検出信号を観測し、前記マクロ画素(25)は、前記確認対象である検出器(2)に近接して位置し、任意にプログラム可能な数の検出器から構成され、好ましくは、少なくとも直接隣接する検出器(2)から構成される、
という条件を含み、
それにより、前記複数セットの時空間条件の各セットでは、確認のために、互いに、前記検出信号の最小数が異なる、及び/又は、前記時間セグメントの持続時間が異なる、
高速センサ撮像システム。
【請求項10】
前記請求項9に記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記複数セットの時空間条件は、第1セットを有し、前記第1セットの時間セグメントの持続時間T1は、少なくとも10ns、好ましくは少なくとも50nsであり、前記第1セットの検出信号の最小数M1は、1に等しく、前記複数セットの時空間条件は、第2セットを有し、前記第2セットの時間セグメントの持続時間T2は、10ns未満であり、前記第2セットの検出信号の最小数M2は、少なくとも2であり、前記複数セットの時空間条件は、第3セットを有し、前記第3セットの時間セグメントの持続時間T3は、少なくとも10ns、好ましくは少なくとも50nsであり、前記第3セットの検出信号の最小数M3は、1に等しい、高速センサ撮像システム。
【請求項11】
前記請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記評価回路は、前記マクロ画素(25)を定義するよう構成され、それによって、前記検出器(2)の検出信号が1つのマクロ画素(25)内で一緒にビニングされて、前記ビニングされた検出信号に前記時空間条件が課される、高速センサ撮像システム。
【請求項12】
前記請求項11に記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記評価回路は前記マクロ画素を再定義するように構成され、それによってマクロ画素毎の検出器の数を適合させることができ、好ましくは、前記評価回路は、前記検出器の検出信号に基づいて、好ましくは、単位時間あたりの検出信号の総数に基づいて、前記マクロ画素を自動的に再定義するように構成される、高速センサ撮像システム。
【請求項13】
前記請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記マクロ画素(25)は、前記配列(24)のマトリクス形状において、
2×1、1×2、2×2、3×1、1×3、3×2、2×3、3×3、及び/又は、
1つの中央検出器と直接隣接する検出器のそれぞれとからなる星型
のうちの少なくとも2つの構成を採用できる、高速センサ撮像システム。
【請求項14】
前記請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記評価回路は、前記時間セグメントを周期的に互いに連続させる、高速センサ撮像システム。
【請求項15】
前記請求項1から請求項14のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、第1のマクロ画素内の検出器で確認された検出信号にさらなる時空間条件が課され、前記さらなる時空間条件は、前記第1のマクロ画素内の検出器で確認された前記検出信号の所定の時間窓内に、前記第1のマクロ画素に隣接するマクロ画素内の検出器に関連して確認された検出信号が検出される、という条件を含み、
ここで、隣接するマクロ画素は、重なり合っていないマクロ画素として定義され、前記隣接するマクロ画素は少なくとも1つの検出器を共通に有し、及び/又は、各々が、前記マトリクス形状の配列(24)において、前記第1のマクロ画素及び前記隣接するマクロ画素の他のマクロ画素の検出器に隣接する検出器を少なくとも有する、高速センサ撮像システム。
【請求項16】
前記請求項1から請求項15のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、第1のマクロ画素の検出器で確認された検出信号にさらなる時空間条件が課され、前記さらなる時空間条件は、前記第1のマクロ画素内の検出器で確認された前記検出信号の所定の時間窓内に、前記第1のマクロ画素内で、少なくとも1つの他の検出器、好ましくは少なくとも2つの他の検出器に関連して確認された検出信号が検出される、という条件を含む、高速センサ撮像システム
【請求項17】
前記請求項1から請求項16のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記時空間条件の複数のセットのうちの第1のセットは、第1の数の検出器を有するマクロ画素(25)を使用し、前記時空間条件の複数のセットのうちの第2のセットは、第2の数の検出器を有するマクロ画素(25)を使用し、検出器の前記第1の数及び第2の数は互いに異なり、好ましくは、前記時空間条件の複数のセットのうちの第3のセットは、第3の数の検出器を有するマクロ画素を使用し、検出器の前記第3の数は検出器の前記第1の数及び第2の数とは異なる、高速センサ撮像システム。
【請求項18】
前記請求項1から請求項17のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、K×L個の検出器(2)を有するマクロ画素(25)内の検出器(2)は、正方形又は長方形の構成に配置され、前記検出器(2)は、前記評価回路によって、前記マクロ画素(25)において、i=1・・・R、PがK/2以下、QがL/2以下の、P×Q個の検出器(2)からなるR個の相補的なサブマクロ画素にクラスタ化され、ここで、前記検出器(2)の検出信号は、前記評価回路によってサブマクロ画素毎にサブマクロ画素検出信号に集約され、前記評価回路は、前記検出器(2)及び前記マクロ画素(25)の検出信号の代わりに、前記サブマクロ画素及び前記マクロ画素(25)のサブマクロ画素検出信号に、前記時空間条件を課すように構成される、高速センサ撮像システム。
【請求項19】
前記請求項1から請求項18のいずれか1つに記載の高速センサ撮像システムにおいて、前記高速センサシステムは積層型センサシステムに関する、高速センサ撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に高い空間分解能及び時間分解能で撮像するセンサシステムに関し、そのため、その出力信号が、外乱光、熱雑音、及び他の影響によるフォルスポジティブ(false positive)を取り除くための評価ロジックの対象となる単一光子検出器(SPD)の配列が提供される。
【背景技術】
【0002】
先行技術の高速撮像システムは、多くの要件及び課題に対処する必要がある。第1の課題は、入射光子の検出精度である。ますます高い空間分解能が要求されている。その結果、センサ配列は、ますます多くの個別の検出器(画素)に細分化される。このことは、これら全ての検出器を読み取り、出力信号を画像へと処理するために必要な計算能力が増大することを意味する。個々の画素は常に小さくなる(ならざるを得ない)ため、光子を捕捉するための空間窓が限定される個々の画素は高い光感度を有していなければならない。このため、SPDやSPAD(単一光子アバランシェ検出器)のような非常に感度の高い検出器がしばしば検討される。
【0003】
しかしながら、このような検出器は、光感度が高いため、外乱光及び熱雑音の双方による不要な励起が生じるという固有の欠点を有している。検出器レベルのこのような励起は、それ自体、シーンを走査するためにシステムによって意図的に放射された反射光の入射に起因する「本物の」検出と区別することが困難である。
【0004】
これに加えて、撮像システムには、実質的に完全な暗闇から非常に明るい状況まで、さらに撮影される対象物/環境に関していえば、反射率の点でも、撮像システムまでの距離の点でも様々な、幅広い条件で使用されるという要件がある。このため、フォルスポジティブを取り除き、撮像が実行される様々な状況を動的に予測できる単一の解決策を見つけることは非常に困難である。
【0005】
本発明の目的は、前述の課題の少なくとも一部に対する解決策を見出すことである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、請求項1に記載の改良された高速センサ撮像システムに関する。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、他の請求項2から請求項15に記載の実施形態に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態による、異なる時空間条件セットの下での検出器データの並列処理の処理フローを示す図である。
図2図2A図2Cは、関連する時空間条件のセットが用いられる幾つかの個別の状況における本発明の実施形態によるシステムを示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態による画素センサの回路実装図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に定義しない限り、技術用語および科学用語を含む本発明の説明で使用される全ての用語は、本発明の技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本発明の説明をより良く評価するために、以下の用語を明示的に説明する。
【0010】
「a」、「an」及び「the」は、文脈上特段の指定がない限り、本明細書において単数と複数との両方を参照する。例えば、「a segment」(区分)は1つ又は2つ以上の区分を意味する。
【0011】
本明細書において、測定可能な量、パラメータ、持続時間又は瞬間などについて「略(approximately)」又は「およそ(around)」が使用される場合、記載された本発明においてそのような変動が適用可能である限りにおいて、引用値に対して及び引用値の±20%以内、好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、さらに好ましくは±1%以内、さらに好ましくは±0.1%以内の変動を意味する。しかしながら、用語「約」又は「およそ」が使用される量の値は、それ自体が具体的に開示されていると理解すべきである。
【0012】
用語「comprise」、「comprising」、「consist of」、「consisting of」、「provided with」、「contain」、「containing」、「include」、「including」、「hold」、「holding」は同義語であり、当技術水準から知られているか、又は、当技術水準において説明されている他の構成要素、特徴、要素、部材、工程の存在を除外又は排除することなく、後に続くものの存在を示す包括的又はオープンエンドの用語である。
【0013】
端点による数値間隔の引用は、これらの端点を含むとともに、端点間の全ての整数、分数、及び/又は実数を含む。
【0014】
第1の態様において、本発明は高速センサ撮像システムに関し、このシステムは、1つ又は複数の光源と、複数の単一光子検出器(すなわちSPD)を有する配列とを有し、前記検出器は、実質的なマトリクス形状で、好ましくは互いに一定の間隔を持って、前記配列上に空間的に分布しており、それにより、前記SPDは、単一光子の検出に適しており、前記単一光子の検出を検出信号によって記録する。好ましくは、前記SPDはSPAD(単一光子アバランシェ検出器)である。
【0015】
前記システムは、評価回路をさらに備え、前記検出器は、前記評価回路に接続され、前記評価回路は、前記検出器の検出信号又は出力信号を時空間条件に基づいて確認するように構成される。前記検出器は、(前記検出器における入射光子の検出又は非検出に関連する)前記検出器の出力信号が前記評価回路に送られるように接続される。
【0016】
確認対象である検出器の検出信号を確認する(すなわち、検出信号がフォルスポジティブ信号に関係しているのではなく、実際上、自身が走査したビームに関係していることを確認する)ための時空間条件は、
確認対象である検出器の検出信号の観測時間に関連する時間セグメント内に、前記確認対象である検出器に関連する仮想マクロ画素内に位置する検出器において、プログラム可能な最小数の検出信号を観測し、前記マクロ画素は、前記確認対象である検出器に近接して位置し、任意にプログラム可能な数の検出器から構成され、好ましくは、少なくとも直接隣接する検出器から構成され、または、代替的に、各軸に沿った1つの方向、例えば、左及び下、又は、右及び上、又は、別の組み合わせ(例えば、4つの直接隣接する検出器のうちの2つ又は3つ)において、直接隣接する検出器から構成される、
という条件を含む。
【0017】
「マクロ画素」という用語は、典型的には連続したクラスタを形成する複数の画素又は検出器から構成される仮想画素を指す。前記マクロ画素は、特定のセットの時空間条件に関連付けられ、大きさ、形状、及び、他のパラメータの点で状況に応じて変化し得る。マクロ画素は、互いに部分的に重なり合い、共通の画素又は検出器を有することができる。好ましくは、マクロ画素は正方形又は長方形の形状を有するが、略円形又は楕円形、三角形、十字形又は星形、又は、他の形状を有することもできる。マクロ画素は、少なくとも2つの検出器(例えば、2×1又は1×2のマトリクス形状)から構成され、より好ましくは、少なくとも4つの検出器(例えば、2×2)から構成される。
【0018】
前記条件の空間的要素は、マクロ画素内の最小数の検出器が、互いに、ある特定の時間セグメント内に検出信号を生成する(すなわち、光子を観測する)という要件に関係する。前記時間セグメントは、前記マクロ画素内での最初の検出に拘束されてもよいし(例えば、最初の検出の後10nsまで)、一定の連続周期(例えば、10ns毎)であってもよい。前記時間セグメントの長さ、及び/又は、検出信号を生成する検出器の前記最小数は、ユーザによって及び/又は自動的にシステムによって適合させることができる。しかし好ましくは、ユーザは所望により両方を適合させることができる。
【0019】
前記検出器は、まとまって配列を形成し、光子が入射した場合に出力信号を生成する半導体素子からなる。典型的には、前記検出器は、光子の入射がブレークダウンをトリガし、逓倍された出力信号が生成されるように、ブレークダウン電圧を超える逆バイアス電圧下にあるp-n接合を有する。しかしながら、前記配列の大きな課題は、評価回路(計器等)が重要な表面領域を占有し、検出器自体の光子感知区域に利用できなくなることであった。
【0020】
好ましい一実施形態では、前記システムは積層型センサシステムに関するものであり、前記検出器は第1の層に設けられ、前記評価回路は第1の層の下の第2の層に設けられている。クエンチング回路などの追加の構成要素は、前記第1、第2の層、又は、第3、第4などの層に設けてもよいが、前記第1又は第2の層に設けることが好ましい。前記検出器、又は、少なくとも前記光感知表面領域は、前記表面領域の一部を遮蔽しないように、前記第1の層において、前記第2の層の上に配置される。前記システムを異なる機能を持つ層に分割することで、処理回路又は評価回路を下層に設けつつ、最大表面領域を有効な受光表面領域として確実に使用できる。前記異なる層は、典型的には、IC(集積回路)に接続された別々の半導体ウェハ(あるいは別々のチップ)から構成されており、光子収集のために利用可能な表面領域を最適に利用し、前記検出器からの信号の簡単な処理を可能にする。
【0021】
可能な一実施形態では、前記システムは検出器毎に個別の評価回路を有する。前記評価回路には、前記配列の各検出器又はその一部の出力信号が供給され得る。前記一部は、例えば、前記評価回路に関連付けられた検出器の周囲の特定の区域にある全ての検出器、例えば、直接隣接する全ての検出器、又は、直接隣接する全ての検出器及び二次的に隣接する全ての検出器(二次的に隣接するとは、前記評価回路に関連付けられた検出器に隣接する検出器に直接隣接する検出器である)などとして予め定義することができる。また、対角線上に隣接する検出器(マトリクス配列における正方形になる)を含めるなどの変形が可能である。
【0022】
さらに他の形態では、評価回路が検出器の所定のクラスタに関連付けて設けられることで、前記評価回路は、課された条件に応じて前記検出器の出力信号を処理することができる。評価回路のクラスタを重なり合わせることで、ある検出器への入射を処理するための「適切な」評価回路が存在しないというリスクが排除される。
【0023】
可能な一実施形態では、前記検出器の出力信号を並列に処理する評価回路が1つのみ設けられる。この場合、前記評価回路は入力(検出器)と同数の出力(有効な検出器出力)を有することが好ましい。
【0024】
好ましい一実施形態では、前記評価回路は、画像が形成されるシーンの状況に基づいて前記時空間条件を修正することができる。特に、これは、検出光の強度を含む客観的に観測可能なパラメータ、及び、外乱光(その強度)に基づく。このようにして、検出されるべき信号(検出光)が強いか弱いかに応じて、より厳しい要件又は緩和した要件を課してもよい/課す必要があることを判断できる、又は、外乱光が多いか少ないかに応じて、要件をより厳しく又は緩和してもよい/する必要があることを判断できる。
【0025】
外乱光の強さが所定の閾値をわずかに上回ると、フォルスポジティブが増加するが、これは、局地的なものである。このため、さらに好ましい一実施形態では、マクロ画素内の検出信号の最小数Nが選択され、Nは少なくとも2(例えば、2、3、4又はそれ以上)である。前記閾値以下では、外乱光はあまり問題にならず、検出信号の最小数をMに設定することを選択でき、Mは少なくとも1である。例えば、第2の閾値が、Qから必要となる検出信号の最小数を確保し、Qは少なくとも3であるなど、さらなる選択肢が設定され得ることに留意されたい。
【0026】
検出光の強さが閾値を超える場合、強く反射された(アクティブな)信号と仮定して、観測時間窓を制限することで外乱光と熱雑音を再び除外することができる。この場合、時間セグメントの持続時間は、最長でT1に設定される。前記閾値以下では、少なくともT2の持続継続時間が選択され、T2はT1より大きく、T1は少なくとも1ns、好ましくは少なくとも5nsである。T2は少なくとも10nsであることが好ましく、少なくとも20ns又は50nsであることがより好ましい。
【0027】
条件を適切に設定することにより、前記評価回路が確実に個々の検出器からの信号に強力なフィルタリングを加えることが可能となる。外乱光や熱雑音が多い場合、ハードルが引き上げられ、例えば、2×2の検出器(又は、3×3、2×3、3×2、1×2、2×1、1×3、3×1、又は他のフォーマット)のマクロ画素内の複数の検出器、例えば、マクロ画素内で時間セグメント内に検出を記録する検出器の少なくともX%及び/又は少なくともY個の検出器に、入射光子が当たることを要件としてもよい。したがって、ここで「非常に」強い信号の場合には、1つ又は複数のより厳しい条件を設定することができる(マクロ画素内の検出器のX%及び/又はY個の検出器、X及び/又はY個、など)。これにより、外乱光及び熱雑音からのより散発的で空間的に広がった光子は自動的に無視される。というのは、2つ(又はそれ以上の)の検出器が、1つの同じ時間セグメント内にマクロ画素からこの様な光子を検出する可能性は非常に低いためである。
【0028】
逆に、外乱光及び熱雑音がほとんど検出されない場合、閾値を非常に低く設定することができる、すなわち、検出毎に、これが「実際の」光子衝撃であることを確認できる。
【0029】
強いアクティブ信号(すなわち、撮影対象の物体又はシーンを露光した結果としての多くの入射光子)の場合には、ハードルを引き上げ、時間セグメントの持続時間を低い閾値、例えば、最大10.0ns、5.0ns、2.5ns、又は、最大1.0nsに設定することを要件としてもよい。このように、確実に、熱雑音及び外乱光は典型的にフィルタリングされる。というのは、この場合も、マクロ画素内で必要とされるM個又はN個の検出器が前記短い持続時間内に検出を観測する可能性は非常に低いものの、強いアクティブ信号は、短い持続時間の間に、幾つかの光子が(有効に露光された)マクロ画素内に入射することを実際的に保証するためである。この場合も、アクティブ信号の強さに応じて、より厳しい条件からより緩い条件まで幾つかの段階を課すことができる。弱い信号の場合、時間窓は典型的には少なくとも10ns、好ましくは少なくとも20ns、又は、50nsにまで拡大される。
【0030】
前述の両パラメータを組み合わせることにより、外乱光及び熱雑音の影響を実質的に100%排除することができ、フォルスポジティブを取り除くために必要な計算能力が大幅に削減される。
【0031】
特定の実施形態では、外乱光によって時間セグメントの持続時間を決定することが可能であることに留意されたい(閾値より上では持続時間が短く設定され、閾値以下では持続時間が長く設定される)。これにより、アクティブ信号(検出光)の強さは、パラメータとして考慮してもよいし、しなくてもよい。
【0032】
逆に、特定の実施形態では、検出光(アクティブ信号)が、マクロ画素内での検出信号の必要最小数にも影響を与えることができる(閾値より上では数が多く設定され、閾値以下では数が少なく設定される)。これにより、外乱光の強さは、パラメータとして考慮してもよいし、しなくてもよい。
【0033】
好ましい一実施形態では、前記光源は、既知の(束の)直径及び/又は既知の断面を有する光ビーム又は光束を放射し、好ましくは、前記断面は円形又は楕円形以外の形状である。前記評価回路は、光束径及び/又は断面に基づいて前記時空間条件をさらに適合させるように構成され、それによって、マクロ画素内の検出器の形状及び/又は数は、前記光束径及び/又は断面に依存することが好ましく、及び/又は、前記時間セグメント内に検出信号を生成する検出器が、前記既知の断面に近似する形状を有することが好ましい。しかしながら、代替的に又は追加的に、検出信号を記録する検出器が、放射された光束の断面に近似する形状で互いに相対的に空間的に位置する、などの追加の条件を課すことができる。十字形などの特定の形状の光束を用いることにより、反射された光束は同様の形状を保つことになり(あるいは、少なくとも、前記光源による露光の結果として前記配列に入射する光子のかなりの部分は、この形状におおよそ近似する)、より的を絞った探索が可能になる。このようにして、マクロ画素の形状を前記既知の断面に適合させることができる、あるいは、先に説明したように、確認パターンを課すことができる。
【0034】
既知の断面の形状に近似する、とは広い解釈が可能であり、とりわけ、その完全な囲い込みを含む(検出信号を有する3×3配列は、十字形も含み、線も含む、というように)。前記システムは、既知の断面を表すために必要な「画素」(検出器)の1つ以上(又はX%)の欠如のような、一定レベルの逸脱を許容するように構成することもできる。
【0035】
このようにして、光束径もマクロ画素の大きさを調整するために使用できる。広い光束(大きな直径)は、空間的により拡散された再帰的な光子束をもたらすため、より大きなマクロ画素(より多くの検出器)が有利な可能性がある。従って、光束径に対するある1つの閾値(又はいくつかの値)をここでも適用することができ、これにより、マクロ画素内の検出器の数、及び/又は、時間セグメント内に前記マクロ画素内で検出信号を記録する検出器の数、及び/又は、前記時間セグメントの持続時間が決定される。
【0036】
好ましい一実施形態では、前記評価回路は、観測された検出信号を時間セグメント毎にクラスタ化し、それによって、時間セグメントは連続し、等しい持続時間を有する。それによって、前記確認対象である検出器の検出信号の観測時間に関連付けられた時間セグメントは、前記確認対象である検出器の検出信号が観測された時間セグメントである。この実施形態では、前記評価回路は、一定の時間セグメントの間に、(直接、又は、既にマクロ画素毎にクラスタ化された)検出器の出力を読み取る。これにより、例えば、前記評価回路による測定が終わる毎に、(例えば、アクティブクエンチング回路(AQAR又はAQPRなど)を介して)出力信号も「リセット」される。あるいは、リセットは、例えば、前記評価回路が、検出信号をタイムスタンプ付きで、又は、タイムスタンプ無しで記録する間に、即座に行うこともできる。
【0037】
代替の一実施形態では、前記時間セグメントは、マクロ画素からの検出器の最初の検出信号からでのみ始まる。マクロ画素内の所望の最小数の検出器が、前記時間セグメントの所定の持続時間内に検出信号を生成した場合に、検出が確認される。
【0038】
このために、前記評価回路は、例えばフリップフロップ回路を用いて検出信号の斜面(立ち上がり斜面)を検出し、これをデジタル信号(1又は0)に変換して、さらなる処理において論理回路で簡単に処理できるようにする。
【0039】
好ましい一実施形態では、外乱光に基づくとともに検出光の強さに基いて、仮想マクロ画素を修正することができる。それにより、第2の所定の閾値以下の外乱光が検出された場合には、確認対象の検出器の周囲の第1の仮想マクロ画素が使用され、前記第2の所定の閾値を超える外乱光が検出された場合には、前記確認対象の検出器の周囲の第2の仮想マクロ画素が使用される。それにより、前記第2の仮想マクロ画素は、前記第1の仮想マクロ画素よりも少ない検出器を有する。
【0040】
その上、形状(検出器の構成)及び/又は大きさ(検出器の数)が逸脱した第3、第4等のマクロ画素をさらに定義することが可能である。このように定義したマクロ画像は、例えば所望の分解能の領域において、外乱光、検出光(アクティブ信号)の強さ、及び/又は他の(手動)設定に関する特定の条件下で適用される。
【0041】
好ましい一実施形態では、前記検出器は、検出器の検出信号を正規化するクエンチング回路を備える。前記クエンチング回路は、能動型であっても、受動型であってもよい。好ましくは、前記クエンチング回路は、前記評価回路によって制御され、適切な時間に前記検出器を「リセット」する能動クエンチング回路に関係する。好ましくは、前記クエンチング回路はAQAR(アクティブ・クエンチング・アクティブ・リセット)であるが、AQPR(アクティブ・クエンチング・パッシブ・リセット)も選択肢に含まれる。クエンチング回路を設けることにより、時間セグメントの持続時間を非常に正確にチェックすることができ、また、新しい光子を検出するために前記検出器を十分迅速にリセットすることができる。
【0042】
可能な一実施形態では、前記クエンチング回路は、検出信号が記録されると直ちに前記検出器をリセットするように制御することもできる。これにより、時間セグメントが十分に長ければ(そして前記クエンチング回路が十分迅速に動作し、従って不感時間が短ければ)、1つの同じ検出器による入射光子の検出が、同じ時間セグメント内で可能である。
【0043】
好ましい実施形態では、前記評価回路は、複数セットの時空間条件に基づいて前記検出器の検出信号を確認するように構成され、それにより、前記評価回路は、前記複数セットの時空間条件の各セットによって検出信号を並列に処理する。
【0044】
確認対象である検出器の検出信号確認のための前記複数セットの時空間条件の各セットは、
確認対象である検出器の検出信号の観測時間に関連する時間セグメント内に、前記確認対象である検出器に関連する仮想マクロ画素内に位置する検出器において、プログラム可能な最小数の検出信号を観測し、前記マクロ画素は、前記確認対象である検出器に近接して位置し、任意にプログラム可能な数の検出器から構成され、好ましくは、少なくとも直接隣接する検出器から構成される、
という条件を含む。
これにより、前記複数セットの時空間条件の各セットでは、確認のために、互いに、検出信号の最小数が異なる、及び/又は、時間セグメントの持続時間が異なる。
【0045】
前記システムは、幾つかの所定の条件セットを用いることにより、「生の」検出器データ(検出器の出力信号)に対して並列に前記条件を課すことができる。これにより、前の条件セットでの結果が満足のいくものでなかった場合(分解能が低すぎる、雑音が多すぎるなど)に数回に分けてスイープを行う代わりに、1回の走査で、異なる方法でシーンを再構築することができる。さらに、異なるセットによって生成された画像を組み合わせることも可能であり、1つのセットが設定の点で不足している画像の区域を、1つ又は複数の他の画像からの画像の一部を用いて補完/補正することができる。
【0046】
さらに好ましい一実施形態では、前記複数セットの時空間条件は、第1セットを有し、前記第1セットの時間セグメントの持続時間T1は、少なくとも10ns、好ましくは少なくとも50nsであり、前記第1セットの検出信号の最小数M1は、1に等しい。前記複数セットの時空間条件は、第2セットを有し、前記第2セットの時間セグメントの持続時間T2は、10ns未満であり、前記第2セットの検出信号の最小数M2は、少なくとも2である。前記複数セットの時空間条件は、第3セットを有し、前記第3セットの時間セグメントの持続時間T3は、少なくとも10ns、好ましくは少なくとも50nsであり、前記第3セットの検出信号の最小数M3は、1に等しい。
【0047】
外乱光においては、ほとんど制御が効かない最大の変動が起こり得るため、弱いアクティブ信号と限られた外乱光の場合の第1セット、中程度の外乱光の場合の第2セット、強い外乱光及び/又は弱いアクティブ信号の場合の第3セット、という上記の3つの条件セットによりほとんどの状況をカバーできる。検出光(アクティブ信号)及び/又は外乱光の強さのさらなる変動をカバーするために、さらにセットを設けることもできる。
【0048】
好ましい実施形態では、前記評価回路は、前記マクロ画素を定義するよう構成され、それによって、前記検出器の検出信号が1つのマクロ画素内で一緒にビニングされて、前記ビニングされた検出信号に前記時空間条件が課される。前記マクロ画素は、(検出器の配列の形状と大きさとに応じて又は応じずに、一定の規則に従って)事前にプログラムすることができる。これにより、マクロ画素は、重なり合うことなく隣接して配置され得るか、又は重なり合いが限定的となり得る。特定の実施形態においては、どの空間条件のセットでも、マクロ画素は全ての検出器に結合され、検出器は2、3、4、又はそれ以上のマクロ画素に属し得る。前記評価回路を通してマクロ画素をt定義することで、全ての検出信号をマクロ画素毎に簡単に集約/結合することができる。異なる定義のマクロ画素(形状、大きさ)を用いて、他の条件が課された場合、正しい検出信号は、同様に自動的に新しいマクロ画素に結合される。
【0049】
好ましい一実施形態では、前記評価回路は前記マクロ画素を再定義するように構成され、それによってマクロ画素毎の検出器の数を適合させることができる。好ましくは、前記評価回路は、前記検出器の検出信号に基づいて、好ましくは、単位時間あたりの検出信号の総数に基づいて、前記マクロ画素を自動的に再定義するように構成される。上述したように、マクロ画素を適合可能にすることは、アクティブ信号及び外乱光などの状況、及び/又は放射される光束/ビームの形状に対応するための強力な手段となる。マクロ画素の大きさ又は形状に制限を課すことは、フォルスポジティブを取り除くのに役立つ可能性がある。
【0050】
好ましい一実施形態では、前記システムは、2×1、1×2、2×2、3×1、1×3、3×2、2×3、3×3、及び/又は十字型若しくは星型(1つの中央検出器及び直接隣接する検出器のそれぞれ)のうちの少なくとも2つの構成を採用できるマクロ画素によって事前にプログラムされている。少なくとも3、4、5又はそれ以上の構成を採用できることが好ましい。ここで最も重要な構成は、2×1、1×2及び2×2である。
【0051】
その他の可能な構成は、例えば、対角線(斜めに接続された2つ以上の検出器)、対角線の十字又は星型等である。
【0052】
好ましい一実施形態では、前記評価回路は、前記時間セグメントを周期的に互いに連続させるようにプログラムされる。あるいは、時間セグメントは、マクロ画素から検出器の評価回路における検出信号を受信することで、マクロ画素毎にトリガされる。
【0053】
好ましい一実施形態では、第1のマクロ画素内の検出器で確認された検出信号にさらなる時空間条件が課され、前記さらなる時空間条件は、前記第1のマクロ画素内の検出器で確認された前記検出信号の所定の時間窓内に、前記第1のマクロ画素に隣接するマクロ画素内の検出器に関連して確認された検出信号が検出される、という条件を含む。ここで、隣接するマクロ画素は、各々が少なくとも1つの非共通の検出器を有し、少なくとも1つの検出器を共通に有し、及び/又は、各々が、前記マトリクス形状の配列において、前記第1のマクロ画素及び前記隣接するマクロ画素の他のマクロ画素の検出器に隣接する検出器を少なくとも有するマクロ画素として定義される。これにより、前記マクロ画素のうちの1つのマクロ画素の検出器が他のマクロ画素の検出器でもあるだけではなく、1つ又は複数の隣接する検出器及び/又は少なくとも1つの共通の検出器を有するマクロ画素になる。
【0054】
前述の実施形態は、走査光源(の光ビーム)の動きの(相対的な)予測可能性を利用している。典型的には、前記光源は連続的な動き(例えば、1つの切れ目のない曲線)をするので、前記検出器配列への入射光は、時間とともに実質的に切れ目のないパターンを辿る、ということも予想できる。しかし、より遊びが生じたり(許容されたり)、より急激なジャンプが起こったり、場合によっては不連続になることさえある。とはいえ、典型的には、シーン/配列上の物体からの入射光ビームの動きに応じて、あるマクロ画素内で検出が確認された場合には、以前の時間窓における近隣のマクロ画素内でも検出が確認される。これをさらなる条件として課すことで、網をすり抜けたさらなるフォルスポジティブも除去することができる。
【0055】
この原理は、前記評価回路が信号を処理対象とする関心領域を縮小するためにも使用できる。このように、あるマクロ画素内で検出が確認されると、次の検出が前の検出の一定範囲内にあると予想されるため、前記評価回路は、単に、連続する時間ウィンドウ内にすぐ近くのマクロ画素からの信号を考慮して処理することができる。前記範囲は、(以前に確認された検出と、その時間窓毎のマクロ画素の「ジャンプ」とに基づいて)動的に決定することもできるし、所定の値(以前に確認された検出に対するX個の検出器/マクロ画素の距離)に従ってシステムから絶対的に決定することもできる。前記関心領域を限定することにより、前記システムは計算負荷を大幅に軽減することができ、それ以上の検出器からの信号を考慮する必要がなくなる。さらに、入射光が前記関心領域(ROI)を外れるような状況では、入射が検出されないので、前記システムが簡単にこれを特定し、(例えば、徐々に、又は即座に全体に)ROIを拡大して、シーケンスの非常に限られた部分を前記光源に繰り返し行わせることができる。
【0056】
好ましい一実施形態では、前記時空間条件の複数のセットのうちの第1のセットは、第1の数の検出器を有するマクロ画素を使用し、前記時空間条件の複数のセットのうちの第2のセットは、第2の数の検出器を有するマクロ画素を使用し、検出器の前記第1の数及び第2の数は互いに異なり、好ましくは、前記時空間条件の複数のセットのうちの第3のセットは、第3の数の検出器を有するマクロ画素を使用し、検出器の前記第3の数は検出器の前記第1及び第2の数とは異なる。この利点は先に述べたとおりであり、異なる状況において分解能を増加/減少させることができ、また確認条件を状況(外乱光、アクティブ信号の強さなど)に適合させることができる。
【0057】
好ましい一実施形態では、K×L個の検出器を有するマクロ画素内の検出器は、正方形又は長方形の構成に配置される。前記マクロ画素内の検出器は、前記評価回路によって、i=1・・・R、PがK/2以下、QがL/2以下の、P×Q個の検出器を有するR個の相補的なサブマクロ画素にクラスタ化される。ここで、前記検出器の検出信号は、前記評価回路によってサブマクロ画素毎にサブマクロ画素検出信号に集約され、前記評価回路は、前記検出器及び前記マクロ画素の検出信号の代わりに、前記サブマクロ画素及び前記マクロ画素のサブマクロ画素検出信号に、前記時空間条件を課すように構成される。
【0058】
このように、分解能を状況に応じて動的に適合させることができ、マクロ画素内で検出が確認された場合に、同時にサブマクロ画素を介してより高解像度の画像の形成を選択することができる。
【0059】
好ましい一実施形態では、前記システムは、前記検出器と評価回路との間に1つ又は複数の電子回路を備え、前記電子回路は、妥当な場合には前記検出器に内蔵されており、前記検出器の出力信号を、離散信号(検出信号の有無)に変換して前記評価回路に送出する。前記電子回路は、離散信号にタイムスタンプを付加したり、前記信号に関連する検出器の位置に関する情報を付加するなどの追加動作を行うことができる。前記システムは、前記配列の電子回路を相互に同期させるように構成されていることが好ましい。
【0060】
上述した通り、前記検出器に対してクエンチング回路を設けることができる。
【0061】
さらなる一実施形態において、前記評価回路は、マクロ画素毎に、時間セグメント内に検出信号が幾つ生成されたかを記録することもでき、これにより、撮影されるシーン/物体に関するさらなる物理的情報を得ることができる。
【0062】
以下では、本発明を説明する非限定的な実施例によって本発明を説明するが、これらは本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、又はそう解釈してはならない。
【実施例
【0063】
第1実施例:
図1は、検出器(19)からの信号(20)を複数の並列層で並列処理するための処理フローを説明する。最初に生データ(20)そのものが評価回路に入力され、そこで別個の条件セット(21)の下で処理されることで、異なる結果(22)、すなわちデータ層1-Nを生成することができる。これらデータ層は、最終的にユーザ(23)用の画像へとさらに処理することができる。このさらなる処理は、例えば、特定のデータ層の選択、又は複数のデータ層の組み合わせとすることができる。
【0064】
第2実施例:
図2A図2Cは、異なる時空間条件セットに属する可能な条件を説明する図である。検出器(2)を有する配列(24)は5行5列として提示され、各セルは検出器を表す。太いエッジを持つサブ配列は仮想マクロ画素(25)を表し、斜線を引いた中央のセルは検出信号を生成する検出器を表す。
【0065】
図2Aは、フルパス状況を説明する図である。同図に示すフルパス状況では、外乱光が少なく、時空間条件が無効である。このため、全ての検出信号が確定された検出(M1=1)として受け入れられる。
【0066】
図2Bは、前記時空間条件が、2×2個の検出器を有するマクロ画素内で時間セグメントT2内に、(M2=)2つの検出信号が記録されることを意味する状況を示す図である。この図は、露光した検出器に関連する4つの仮想マクロ画素(濃い四角形)を示しており、システムはここで、別の検出器も前記時間セグメントT2内に検出信号を記録するマクロ画素を探す。
【0067】
図2Cは、仮想マクロ画素の大きさが別の場合、つまり3×3個の検出器の場合を示す図である。この場合も、前記システムは、1つの同じマクロ画素内に、M3(例えば2に等しい)の検出信号が時間セグメントT3内に記録される場合を探す。これは特に、図2Bの状況よりもアクティブ信号が弱い状況に適用できる。
【0068】
第3実施例:
図3は、画素センサ(1)の回路レベルでの可能な実装を示す図である。画素センサ(1)は、光検出器(2)、例えば光子検出器又は光子アバランシェダイオードを含む。光検出器(2)は、そこに入射する単一光子(3)を検出することができる。このような実装は、検出層(検出器)と処理層(評価回路)との間の細分化によって、積層的に実行することもできる。
【0069】
光検出器(2)は、電源(4)から電力が供給され、電圧分割構成で抵抗器(5)に接続されている。光検出器(2)は逆バイアス構成で配置されている。抵抗器(5)は、第1の基準電位レベル(6)に、好ましくは接地レベル、又は0Vに接続される。
【0070】
光検出器(2)に当たる光子(3)があると、逆電流が発生する。その結果、抵抗器(5)に電圧降下(7)が生じる。電圧損失(7)は、光検出器(2)において光子(3)が検出されたときに論理「1」を有し、光検出器(2)において光子(3)が検出されないときに論理「0」を有する。
【0071】
電圧損失(7)は、比較器(9)を介して、所定の電圧閾値レベル(8)と比較される。電圧損失(7)が基準電圧(8)より大きい場合、比較器(9)の出力としてローカル検出信号(10)が生成される。例えば、検出の場合には前記比較器の出力として論理「1」が生成され、非検出の場合には前記比較器の出力として論理「0」が生成される。
【0072】
各画素センサ(1)はローカル制御回路(18)を有する。比較器(9)は、光検出器(2)とローカル制御回路(18)との間のバッファとして機能する。ローカル制御回路(18)は、ローカル解除(11)とローカル解除(12)とを有する。
【0073】
前記制御回路又はその一部は、前記センサシステム内の別の層に物理的に配置することができる。例えば、前記センサ群の画素センサ(1)を第1の半導体層に設置し、一方、前記センサ群における各画素センサ(1)の制御回路(18)を第2の半導体層に設置することができる。すなわち、実地で知られているような積層型画素センサソリューション構造を形成することができる。
【0074】
ローカル検出信号(10)は、ローカル有効化手段(11)に送出される。ローカル有効化手段(11)は、2つのNMOSトランジスタからなる。なお、他のトランジスタのタイプ又は他の構成を採用してもよい。ローカル検出信号(10)は前記トランジスタのポートに供給される。一方のトランジスタは行バス(16)に接続され、他方のトランジスタは列バス(17)に接続される。ローカル有効化手段(11)の前記トランジスタのポートでローカル検出信号(10)が受信されると、ローカル有効化手段(11)が起動される。このケースでは、前記トランジスタはスイッチとして作動し、前記トランジスタで論理「1」を受信すると、例えば短絡によってスイッチがオンになる。
【0075】
ローカル有効化手段(11)は近傍有効化手段(12)に接続されている。このケースでは、ローカル有効化手段(11)の各トランジスタは前記近傍有効化手段に接続されている。近傍有効化手段(12)は、少なくとも1つのトランジスタ、この実施例ではポート(13′、13′′、13′′′)を有する3つのトランジスタからなる。前記3つのトランジスタのポート(13′、13′′、13′′′)は、近隣画素センサからのローカル検出信号に接続される。また、これらトランジスタは、第2の基準電位レベル(14)に、好ましくは第1の基準電位レベル(6)と等しいレベルに、好ましくは接地レベル又は0Vに接続される。1つのポート、例えば(13′)において、近隣画素センサの少なくとも1つのローカル検出信号が受信されると、前記近傍有効化手段が起動される。このケースでは、前記ポート(13′)が論理「1」を有する場合、ここではスイッチとして作動するトランジスタがオンになり、例えば短絡されることを意味する。
【0076】
前記ローカル有効化手段と近傍有効化手段との両方が起動された場合、すなわち、前記ローカル有効化手段のトランジスタが短絡として作動しており、且つ、前記近傍有効化手段の1つのトランジスタが短絡として作動している場合、包括検出信号(15)が前記行バス(16)と列バス(17)とに出力される。前記行バス(16)における異なる画素センサの包括検出信号は、集約されて1行の検出信号が形成される。前記列バス(17)における異なる画素センサからのグローバル検出信号は、集約されて列検出信号が形成される。
【0077】
本例における前記ローカル制御回路(18)は、ANDポートとして作動する。例えば、前記ローカル有効化手段(11)と近傍有効化手段(12)とが起動されると、前記グローバル検出信号(15)が生成される。
【0078】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、追加された請求項を評価し直すことなく、記載された実施例に多数の修正又は変更を加えることができることが想定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
【国際調査報告】