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特表2024-525441工作機械上でワークピースをクランプするための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】工作機械上でワークピースをクランプするための装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
B23Q3/06 302E
B23Q3/06 303C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580387
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 IB2022055868
(87)【国際公開番号】W WO2023275687
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102021000017555
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518204969
【氏名又は名称】ハイドロブロック エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ザンニ,ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016CA01
3C016CB02
3C016CC03
3C016CE01
(57)【要約】
工作機械上でワークピースをクランプするための装置(1)は、ワークピース(P)の加工時に工作機械(M)に取り付け可能な基本フレーム(2)と、ワークピース(P)のリリース位置及びクランプ位置間を移動可能な第1のクランプアセンブリ(3)及び第2のクランプアセンブリ(4)と、固定部(5)及びクランプアセンブリ(3,4)に関連付けられたドライブアセンブリ(7)に連結された可動部(6)が設けられた流体アクチュエータ(5,6)と、を備え、ドライブアセンブリ(7)は、可動部(6)と回転可能に関連付けられた少なくとも1つのロッカー要素(9)を備え、ロッカー要素(9)は、ロッカー要素(9)に対しスラスト接触するよう配置された少なくとも1つの湾曲スラスト面(10)を備え、ロッカー要素(9)は、湾曲スラスト面(10)上で回転可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械上でワークピースをクランプするための装置(1)であって、
少なくとも1つのワークピース(P)の加工時に工作機械(M)に取り付け可能な少なくとも1つの基本フレーム(2)と、
前記ワークピース(P)のリリース位置からクランプ位置までのクランプストローク及び前記クランプ位置から前記リリース位置までのリリースストロークに沿った移動が可能となるように前記基本フレーム(2)に関連付けられた、少なくとも第1のクランプアセンブリ(3)及び少なくとも第2のクランプアセンブリ(4)と、
前記基本フレーム(2)に関連付けられた固定部(5)及び摺動方向(A)に沿って摺動可能となるように前記固定部(5)に関連付けられた可動部(6)を備え、前記クランプアセンブリ(3,4)に関連付けられたドライブアセンブリ(7)に連結する、少なくとも1つの流体アクチュエータ(5,6)であって、前記クランプアセンブリ(3,4)を前記リリース位置及び前記クランプ位置の間で同時に変位させるよう少なくとも1種類の加圧流体を供給し得る少なくとも1つのチャンバ(8)を備える流体アクチュエータ(5,6)と、
を備え、
前記ドライブアセンブリ(7)が、前記第1のクランプアセンブリ(3)及び前記第2のクランプアセンブリ(4)にヒンジ連結され、前記可動部(6)と回転可能に関連付けられた、少なくとも1つのロッカー要素(9)を備え、該ロッカー要素(9)は、前記クランプストローク中に前記ロッカー要素(9)に対しスラスト接触するよう配置された少なくとも1つの湾曲スラスト面(10)を備え、前記ロッカー要素(9)は、前記湾曲スラスト面(10)上で回転可能である、
ことを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記ロッカー要素(9)が、ヒンジ軸(F)周りに、前記第1のクランプアセンブリ(3)及び前記第2のクランプアセンブリ(4)にヒンジ連結され、互いに実質的に平行で、前記摺動方向(A)と直交する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記湾曲スラスト面(10)が、前記ヒンジ軸(F)と略平行な曲率軸(G)を有する略円筒状の構造を有する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ロッカー要素(9)は、前記可動部(6)とのクリアランスに関連付けられており、前記可動部(6)は、前記リリースストローク中に前記ロッカー要素(9)に対してスラスト接触するように配置された少なくとも1つの回収面(30)を備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記回収面(30)が、前記可動部(6)に形成された少なくとも1つの連結シート(31)によって画定され、前記ロッカー要素(9)は、前記連結シート(31)にクリアランスを設けて嵌め込まれた少なくとも1つの連結ピン(32)を含む、
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記クランプアセンブリ(3,4)が、前記基本フレーム(2)上において、前記流体アクチュエータ(5,6)を挟んで反対側に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記第1のクランプアセンブリ(3)が、
前記基本フレーム(2)に対して、第1の傾斜軸(B)周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第1の連結ロッド(16)と、
前記第1の連結ロッド(16)に対して、前記第1の傾斜軸(B)に実質平行な第1の回転軸(C)周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第1のブラケット(17)と、
を備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記第2のクランプアセンブリ(4)が、
前記基本フレーム(2)に対して、第2の傾斜軸(D)周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第2の連結ロッド(22)と、
前記第2の連結ロッド(22)に対して、前記第2の傾斜軸(D)に実質平行な第2の回転軸(E)周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第2のブラケット(23)と、
を備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記傾斜軸(D)、前記回転軸(E)、前記ヒンジ軸(F)、及び前記曲率軸(G)は、全て互いに実質的に平行であり、かつ、前記摺動方向(A)と直交している、
ことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記第1のクランプアセンブリ(3)、前記第2のクランプアセンブリ(4)、及び前記ロッカー要素(9)が理想クランプ位置に配置されるように構成されており、該構成において、
前記ヒンジ軸(F)及び前記回転軸(C,E)は、全て実質的に同一平面上に配置され、理想基準面(X)上にあり、
前記第1の傾斜軸(B)及び前記第1の回転軸(C)は、実質的に同一平面上に配置され、前記理想基準面(X)と実質的に直交する第1の理想水平面(Y1)上に配置され、
前記第2の傾斜軸(D)及び前記第2の回転軸(E)は、実質的に同一平面上に配置され、前記第1の理想水平面(Y1)と略平行で、かつ、前記理想基準面(X)と実質的に直交する第2の理想水平面(Y2)上に配置される、
ことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械上でワークピースをクランプするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、工作機械での加工を必要とする機械工作物の大量生産では、高度に自動化されたシステムが広く使用されている。該システムでは、擬人化されたロボットが加工する部品を工作機械に運び、油圧式又は空気圧式の特殊な装置がワークピースを引き継いで、所定の位置にクランプして加工できるようになっている。
【0003】
加工が終了すると、前述の装置が加工されたワークピースをリリースし、ロボットによって再び移動する。
【0004】
従来のタイプのクランプ装置には、一般に、1つ以上の可動ブラケットが設けられている。該ブラケットは、機械加工されるワークピースに非常に大きなクランプ力を及ぼし得る、1つ以上の油圧又は空気圧シリンダによって駆動される。
【0005】
こうしたニーズは、例えば自動車産業において特に高まっている。同産業では、生産サイクルを最適化し続ける必要性があり、その結果、非常に高い速度で作動するツールが使用され、非常に大きな力と振動がワークピースにかかるため、これらを締結システムによって相殺しなければならない。
【0006】
さらに、自動車分野では、アルミニウムなどの特に軽量な材料の使用がますます一般的になっているが、工作機械での加工時において、鋳鉄や鋼などの材料と同等の強度を確保することができない。
【0007】
したがって、クランプ装置は、非常に大きな力を発揮することに加えて、加工対象のワークピースが新たに工作機械に取り付けられるたびに、所定のポイントで、非常に正確に、再現性のある方法で、工作機械にワークピースを載置する必要がある。それができない場合、実際には、クランプ装置によって加えられる大きな力により、ワークピースが変形する可能性があり、機械加工の品質が損なわれ、許容範囲に収まらないワークピースとなるリスクが生じる。
【0008】
このような自動化システムにおいて、ワークピースをクランプするための装置を含む個々のコンポーネントの動作信頼性のレベルは、通常、非常に高いものである。
【0009】
それにもかかわらず、機械加工される機械的なワークピースが正しく正確に配置されず、クランプ装置がワークピースを完全に固定できない(又は固定しても、間違った位置に固定してしまう)場合があり、加工作業全体の品質が損なわれ、ワークピース及び/又は工作機械及び/又はクランプ装置が損傷する危険性がある。
【0010】
これに関連して、高度に自動化されたシステムでは、機械加工の停止を引き起こす誤動作は、生産の損失、さらにはシステムの損傷に瞬時につながり、その結果、無視できないほどの経済的損害が生じるという事実が強調される。
【0011】
個々の油圧/空気圧シリンダによって作動する2つのクランプブラケットを備えたクランプ装置の場合、上記の重要課題及び要件の重要性は、さらに大きなものとなる。
【0012】
実際には、この特定のタイプの装置では、油圧/空気圧シリンダのロッドは、ブラケットに接続された駆動アセンブリで終端し、事実上、ロッドの動きが両方のクランピングブラケットに伝達される。
【0013】
ドライブアセンブリとシリンダロッドは強固に接続されており、ロッドの動きにより、ブラケットの同時・同期変位と、加工中のワークピースへのアプローチと離脱が同時に行われる。
【0014】
ただし、加工されるワークピースは、ほとんどの場合、設計公差による寸法差が非常に小さく、一方のブラケットが他方のブラケットよりも先にワークピースに接触する可能性があることに注意が必要である。
【0015】
この場合、クランプ力は、最初にワークピースに接触するブラケットに大きく掛かり(場合によっては全ての力が掛かり)、もう一方のブラケットでより小さく掛かる(場合によっては全く掛からない)ため、不利益が生じる。実際、最初のブラケットがワークピースに接触すると、その動きが停止し、油圧/空気圧シリンダのロッドともう一方のブラケットの動きが中断される。
【0016】
したがって、油圧/空気圧シリンダによって生成されるクランプ力が、異なるブラケットに不均一に分散されるため、ワークピースのクランプを最適に行うことができない。
【0017】
したがって、前述のように、加工中のワークピースを固定する能力を向上させることを目的とした改良は、ワークピース及び/又は機器に損傷を与えることなく、加工作業全体の適切な実行を確保するために重要であることから、こうした改良がクランプ用の特定の装置において必要とされることは、容易に理解され得るであろう。
【発明の概要】
【0018】
本発明の主たる目的は、前述の高度化を達成し、極めて実用的かつ安全な方法でワークピースを固定化することを可能にする、工作機械上でワークピースをクランプする装置を考案することにある。
【0019】
本発明のさらなる目的は、高い信頼性と高精度な動作により工作機械上でワークピースをクランプする装置を考案することにある。
【0020】
本発明の少なくとも1つの目的は、加工されるワークピース及び/又は工作機械の工具及び/又はワークピース移動ロボット及び/又はクランプ装置自体への望ましくない誤動作及び損傷を回避することを可能にする、工作機械上のワークピースをクランプするための装置を考案することである。
【0021】
本発明のもう1つの目的は、従来技術の前述の欠点を、単純で、合理的で、使い勝手がよく、費用対効果の高い解決策の枠組みの中で克服することを可能にする、工作機械上のワークピースをクランプするための装置を考案することである。
【0022】
上記の目的は、請求項1の特性を有する、工作機械上でワークピースをクランプする装置によって達成される。
【0023】
本発明の他の特性及び利点は、工作機械上のワークピースをクランプするための装置の、好適かつ非制限的な実施形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明による装置の軸等角投影図である。
図2図2は、本発明による装置の分解図である。
図3図3は、リリース位置における本発明による装置の断面図である。
図4図4は、理想クランプ位置における本発明による装置の断面図である。
図5図5は、実際のクランプ位置における本発明による装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
これらの図を特に参照すると、全体を通して、工作機械上でワークピースをクランプする装置を符号1により表す。
【0026】
装置1は、特に、1つ以上のワークピースPが工作機械MのワークトップLに載置された後、かつ、機械加工が始まる前に、これらをクランプするものである。
【0027】
工作機械Mには複数の装置1が設けられており、該装置はワークピースPの構造や実行する加工作業の種類に応じて適切な位置と数量で配置されていることが強調される。
【0028】
図中及び本開示の以下の説明部分において、特に断りのない限り、個々のワークピースPをクランプする単一の装置1について、簡略化して言及する。
【0029】
前記装置1は、以下を備える。
・少なくとも1つのワークピースPの加工時に、ワークトップLやベッドプレートといった、工作機械Mの任意の部分に取り付け可能な、少なくとも1つの基本フレーム2
・ワークピースPのリリース位置からクランプ位置までのクランプストローク及びワークピースPのクランプ位置からリリース位置までのリリースストロークに沿った移動が可能となるように基本フレーム2に関連付けられた、少なくとも第1のクランプアセンブリ3及び少なくとも第2のクランプアセンブリ4
・基本フレーム2に関連付けられた固定部5及び摺動方向Aに沿って摺動可能となるように固定部5に関連付けられた可動部6を備え、クランプアセンブリ3,4に関連付けられたドライブアセンブリ7に連結する、少なくとも1つの流体アクチュエータ5,6であって、クランプアセンブリ3,4をリリース位置及びクランプ位置の間で同時に変位させるよう少なくとも1種類の加圧流体を供給し得る少なくとも1つのチャンバ8を備える流体アクチュエータ5,6
ドライブアセンブリ7が、第1のクランプアセンブリ3及び第2のクランプアセンブリ4にヒンジ連結され、可動部6と回転可能に関連付けられた、少なくとも1つのロッカー要素9を備え、該ロッカー要素9は、クランプストローク中にロッカー要素9に対しスラスト接触するよう配置された少なくとも1つの湾曲スラスト面10を備え、ロッカー要素9は、湾曲スラスト面10上で回転可能である
【0030】
図に示す特定の実施形態では、装置1の基本フレーム2は、可動部6の摺動方向Aが略垂直であるように配置されている。ワークピースPはワークトップLの上方に配置され、クランプアセンブリ3,4はクランプ位置でこれに対応するよう上向きの表面を有している。
【0031】
説明を簡略化するために、本開示の以下の説明部分では、図示された装置1の配置を参照し、「上側」、「下側」、「上方」、「下方」、「持ち上げる」、「下げる」などの用語及びそれらに関連するその他の用語は、図に示されているものを参照して理解される。
【0032】
しかしながら、クランプするワークピースPの形状や配置の仕方によって、摺動方向Aを異なる方向(例えば水平方向又は斜め方向)として、装置1を工作機械Mに取り付け得ることは、容易に理解されるであろう。
【0033】
摺動方向Aは、実際には流体アクチュエータ5,6の向きによって画定される。
【0034】
流体アクチュエータ5,6は、例えば、固定部5を画定するシリンダ11と、可動部6を画定するロッド12とを備える。
【0035】
流体アクチュエータ5,6のシリンダ11は、基本フレーム2とともにロックされており、その内部には、加圧流体を供給し得るチャンバ8が区画されている。
【0036】
本開示の文脈において、加圧流体は、油圧回路又は空気圧回路におけるエネルギー伝達のためのキャリア媒体として使用される液体(したがって理想的には非圧縮性を有する)又は気体(したがって圧縮性を有する)状態の任意の流体として定義され、好ましくは、加圧流体は、従来の合成油からなるが、鉱油、植物油、水、空気等の代替の実施形態を除外するものではない。
【0037】
装置1は、加圧流体と接触するいくつかの部分を有するので、特別なシールが装置1の異なる点に配置されており、これらは、表現の簡略化のために、一般に参照符号13で識別されている。
【0038】
可動部6が摺動方向Aに沿って変位できるようにするために、ロッド12は、シリンダ11の内側に配置された一端と、シリンダ11の外側に配置された自由端15とを備える。該一端は、チャンバ8に沿って摺動するプランジャ14が設けられ、その上に加圧流体が作用する。自由端15は、本開示においてより詳細に後述するように、ロッカー要素9に接続される。
【0039】
クランプアセンブリ3,4は、基本フレーム2上において、流体アクチュエータ5,6を挟んで反対側に配置されている。
【0040】
より詳細に説明すると、流体アクチュエータ5,6は、基礎フレーム2の中央部を占めるように配置され、クランプアセンブリ3,4は、基礎フレーム2の両端部分に配置され、流体アクチュエータ5,6を挟んで配置される。
【0041】
第1のクランプアセンブリ3は、以下を備える。
・基本フレーム2に対して、第1の傾斜軸B周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第1の連結ロッド16
・第1の連結ロッド16に対して、第1の傾斜軸Bに実質平行な第1の回転軸C周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第1のブラケット17
好ましくは、第1のクランプアセンブリ3は、より安定した動きを確保するために、第1のブラケット17の両側に配置された2つの第1の連結ロッド16を備える。
【0042】
第1の傾斜軸B周りの第1の連結ロッド16と基礎フレーム2との間の蝶番は、第1の連結ロッド16と基礎フレーム2に穿設された一連の第1の傾斜孔18によって画定され、第1の傾斜ピン19が、互いに整列した第1の傾斜孔18に挿入される。
【0043】
一方、第1の回転軸Cを中心とする第1の回転孔16と第1のブラケット17との間のヒンジは、第1の連結ロッド16及び第1のブラケット17に穿設された一連の第1の回転孔20によって画定され、第1の回転ピン21が、互いに整列した第1の回転孔20に挿入される。
【0044】
第1の傾斜軸Bと第1の回転軸Cは、互いに略平行であり、摺動方向Aと直交している。
【0045】
同様に、第2のクランプアセンブリ4は、以下を備える。
・基本フレーム2に対して、第2の傾斜軸D周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第2の連結ロッド22
・第2の連結ロッド22に対して、第2の傾斜軸Dに実質平行な第2の回転軸E周りにヒンジ連結された、少なくとも1つの第2のブラケット23
また、好ましくは、第2のクランプアセンブリ4は、より安定した動きを確保するために、第2のブラケット23の両側に配置された2本の第2の連結ロッド22を備える。
【0046】
第2の軸線Dを中心とする第2のコンロッド22と基礎フレーム2との間のヒンジは、第2のコンロッド22と基礎フレーム2に穿設された一連の第2の傾斜孔24によって画定され、第2の傾斜ピン25が、互いに整列した第2の傾斜孔24に挿入される。
【0047】
一方、第2の回転軸Eを中心とする第2の連結ロッド22と第2のブラケット23との間のヒンジは、第2の連結ロッド22及び第2のブラケット23に穿設された一連の第2の回転孔26によって画定され、第2の傾斜ピン27が、互いに整列した第2の回転孔26に挿入される。
【0048】
第2の傾斜軸Dと第2の回転軸Eとは、互いに略平行であり、摺動方向Aと直交している。
【0049】
より詳細に説明すると、第2の傾斜軸D及び第2の回転軸Eは、第1の傾斜軸B及び第1の回転軸Cと略平行である。
【0050】
ロッカー要素9が、ヒンジ軸Fを中心に、第1のクランプアセンブリ3及び第2のクランプアセンブリ4に、互いに実質的に平行かつ摺動方向Aに直交するようにヒンジ連結されている場合に有利である。
【0051】
より詳細には、ヒンジ軸Fもまた、傾斜軸B,D及び回転軸C,Eと略平行である。
【0052】
第2の回転軸Eを中心とするロッカー要素9とクランプアセンブリ3,4との間のヒンジは、ロッカー要素9及びブラケット17,23に穿孔された1組のヒンジ穴28と、互いに整列したヒンジ穴28に挿入された1対のヒンジピン29とによって、画定される。
【0053】
有利には、ロッカー要素9は、ブラケット17,23にヒンジ連結された2つの両端部分と、可動部6に接続され、湾曲スラスト面10と接触するように設定された中央部分と、を有する、実質的に細長い構造を有する。
【0054】
この点に関して、湾曲スラスト面10が略円筒状の構造を有すること、すなわち、曲率軸Gを有する円柱の一部を画定するという事実が強調される。
【0055】
この点に関して、本開示の文脈において、曲率軸Gとは、曲面スラスト面10によって定義される円筒の中心軸を意味するという事実が強調される。
【0056】
曲率軸Gがヒンジ軸Fと略平行である場合に有利である。
【0057】
実際には、傾斜軸B,D、回転軸C,E、ヒンジ軸F、曲率軸Gは、全て互いに実質的に平行であり、摺動方向Aと直交している。
【0058】
このようにして、ロッカー要素9は、クランプストローク中に湾曲スラスト面10上で回転することができ、ブラケット17,23をワークピースPの実際の形状及びサイズに適応させることができる。これについては、後でより詳細に説明する。
【0059】
ロッカー要素9は、可動部6とのクリアランスに関連付けられており、可動部6は、リリースストローク中にロッカー要素9に対してスラスト接触するように配置された少なくとも1つの回収面30を備える。
【0060】
回収面30が、可動部6に形成された少なくとも1つの連結シート31によって画定され、ロッカー要素9は、連結シート31にクリアランスを設けて嵌め込まれた少なくとも1つの連結ピン32を含む。
【0061】
換言すれば、連結シート31は、連結ピン32よりも実質的に大きいサイズである。例えば、連結シート31と前記連結ピン32は、略円筒形状であってもよく、連結シート31の半径が、連結ピン32の半径よりも、0.05-0.5mm(すなわち、0.1-1mmのクリアランス)、好ましくは、0.2-0.3mm(すなわち、0.4-0.6mmのクリアランス)、さらに好ましくは、0.25mm(つまり、0.5mmのクリアランス)の差Wだけ大きくなる。
【0062】
このようにして、クランプストローク時、連結ピン32が作動しない間において、湾曲スラスト面10はロッカー要素9に接触する。
【0063】
逆に、リリースストローク時、連結シート31が連結ピン32に接触し、リリース位置に達するまで引きずりながら、湾曲スラスト面10がロッカー要素9から離間する。
【0064】
実際、湾曲スラスト面10及び回収面30を特定形状とすることにより、湾曲スラスト面10がクランプストローク中にのみロッカー要素9に接触し、回収面30がリリースストローク中にのみロッカー要素9に接触することが可能になる。
【0065】
また、クランプストローク中に、流体アクチュエータ5,6によって伝達される力は、リリースストローク中に伝達される力よりも有意に大きくなければならないことにも留意されたい。
【0066】
クランプ位置において、実際には、流体アクチュエータ5,6は、ロッカー要素9、ブラケット17,23、及びワークピースPに、工作機械M上のワークピースをクランプできる力を伝達する必要がある。これは、リリースストローク中に流体アクチュエータ5,6からロッカー要素9に力を伝達する接続ピン32が、極めて小さなせん断力を受けることを意味し、したがって、予期せぬ破損のリスクなしに、有利に、非常に限定された寸法を有することができる。
【0067】
図に示された特定の実施形態では、ロッド12の自由端15は、フォークとして成形され、その間にロッカー要素9が収容される2つの対向する小アーム33を備える。
【0068】
湾曲スラスト面10は、2本の小アーム33の基部、それらの間に画定された空間において得られる。
【0069】
一方、回収面30は、2本の小アーム33上に得られ、各小アーム33を左右に貫通する2つの連結シート31によって画定される。
【0070】
連結ピン32は、ロッカー要素9を介して得られるキャビティ34内にサイズに合わせて嵌合され、1つ以上のクランプダボ35によってその内部にクランプされ、連結ピン32の長さは、キャビティ34の長さよりも大きいため、連結ピン32は、キャビティ34の両側から小アーム33上まで突出し、キャビティ34と位置を合わせて配置された両連結シート31に収まる。
【0071】
上述したように、湾曲スラスト面10により、ロッカー要素9は、ワークピースPの実際の形状及びサイズに適応することができる。実際、クランプ位置では、第1のクランプアセンブリ3、第2のクランプアセンブリ4、及びロッカー要素9は、ワークピースPの実際の形状に応じて、関連する寸法公差を考慮しても、互いに異なる位置に配置することができる。
【0072】
この点に関して、第1のクランプアセンブリ3、第2のクランプアセンブリ4、及びロッカー要素9が理想クランプ位置に配置されるように構成されていることが強調され、該構成は以下の通りである。
・ヒンジ軸F及び回転軸C,Eは、全て実質的に同一平面上に配置され、理想基準面X上にある。
・第1の傾斜軸B及び第1の回転軸Cは、実質的に同一平面上に配置され、理想基準面Xと実質的に直交する第1の理想水平面Y1上に配置される。
・第2の傾斜軸D及び第2の回転軸Eは、実質的に同一平面上に配置され、第1の理想水平面Y1と略平行で、かつ、理想基準面Xと実質的に直交する第2の理想水平面Y2上に配置される。
理想クランプ位置は、図4に示す通りである。ワークピースPの上方に配置されたブラケット17,23によって発揮されるクランプ力が、完全に垂直方向に沿っているため、すなわち、ワークピースPの内部に望ましくない張力状態を引き起こす可能性のある水平力成分を伴わないため、装置1が最適に動作する構成が示されている。
【0073】
しかしながら、湾曲スラスト面10を回転可能なロッカー要素9に設けることにより、ワークピースPが公称値以外の形状及び大きさを有する場合でも、装置1が効果的に動作できることが容易に理解される。
【0074】
図5は、例えば、図4に示した理想クランプ位置とは異なる、想定され得る実際のクランプ位置を示している。ここで、第1のブラケット17は、第1の高さH1を有するワークピースPの部分に載置され、第2のブラケット23は、第1の高さH1とは異なる第2の高さH2を有するワークピースPの部分に載置されている。ワークピースPの両部分に対し、装置1は、ほぼバランスのとれた方法で分散されたクランプ力を発揮することができる。
【0075】
こうした構成は、装置1が2つの異なるワークピースPをクランプするために使用され、第1のブラケット17が1つのワークピースPの上に載置され、第2のブラケット23が別のワークピースPの上に載置されている場合にも、特に有利である。
【0076】
記載の発明が意図された目的を達成することが実際に確認されており、特に、本発明による装置によって、異なる動作条件下においても、極めて実用的で、安全で、信頼性が高く、正確な方法によって、加工されるワークピースの固定が可能になるという事実が強調される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】