(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】炎症および老化に関連する過程に対抗し、細胞エネルギおよび/または代謝をサポートする組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20240705BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/21 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/23 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/31 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/45 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/63 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/74 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/81 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/8962 20060101ALI20240705BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20240705BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240705BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/185
A61K36/21
A61K36/23
A61K36/31
A61K36/45
A61K36/53
A61K36/63
A61K36/73
A61K36/74
A61K36/752
A61K36/81
A61K36/87
A61K36/8962
A61K36/9068
A61P3/02
A61P29/00
A61P39/06
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023580432
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022033999
(87)【国際公開番号】W WO2023278181
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522311680
【氏名又は名称】デイリーカラーズ ヘルス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DAILYCOLORS HEALTH INC.
【住所又は居所原語表記】860 Jonive Road,Sebastopol,California 95472(US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】ポンド,ハートレイ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD01
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(57)【要約】
企図される組成物および方法は、地中海食に一般的に見られるポリフェノールの組み合わせに基づくものであり、その組み合わせにより、炎症性シグナル伝達および老化関連遺伝子の発現を低下させ、ミトコンドリア生合成および細胞エネルギ代謝をサポートする。特に、観察された多面発現効果は、複数のシグナル伝達経路にまたがるだけでなく、加齢に伴うエネルギ低下、免疫力の低下、慢性亜急性炎症の増加や持続に関連する多くのマーカに関しても、相乗的な作用を示した。別の観点から見ると、企図される組成物は、地中海食で一般的に観察される多くの利点の基礎を形成する生化学的に多様な分子の調和を表す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を組み合わせた栄養学的に許容される担体を含み、
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、ヒト白血球における炎症性サイトカイン放出を減少させることに関して相乗作用のある量で存在する、ことを特徴とする、栄養組成物。
【請求項2】
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE
2(PGE
2)およびイソプロスタンのうちの少なくとも一つの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE
2(PGE
2)およびイソプロスタンのうちの少なくとも二つの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE
2(PGE
2)およびイソプロスタンのうちの少なくとも三つの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE
2(PGE
2)およびイソプロスタンの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がさらにNFκBの発現を低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、細胞へのブドウ糖取り込みをさらに増加させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、細胞におけるミトコンドリア生合成をさらに増加させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、活性酸素種による酸化的損傷をさらに低減する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、炎症性アディポカインの発現をさらに減少させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、老化関連遺伝子の発現をさらに低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が経口投与用に処方される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が単回投与単位で処方される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記単回投与単位が50~1000mgの組成物を含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記単回投与単位が、カプセル、グミ、または粉末として製剤化される、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
ビタミン、食物中の微量元素またはミネラル、プロバイオティクス、および/またはプレバイオティクスをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を治療または軽減することに有効である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
被験者の健康をサポートする方法であって、請求項1に記載の組成物を個体に投与する、ことを含む方法。
【請求項21】
前記組成物は、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を処置または軽減することに有効な量で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、少なくとも30日間にわたって、および/または一日量50~1000mgの間で投与される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
組成物の経口投与により被験者の健康をサポートする請求項1に記載の組成物の使用方法。
【請求項24】
前記組成物は、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を処置または軽減することに有効な量で投与される、請求項23に記載の使用方法。
【請求項25】
前記組成物が、少なくとも30日間にわたって、および/または一日量50~1000mgの間で投与される、請求項24または25に記載の使用方法。
【請求項26】
被験者の炎症老化を軽減する方法であって、
被験者に、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を組み合わせた栄養学的に許容される担体を投与することを含み、
前記植物素材の組み合わせがヒト細胞における少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を減少させ、ヒト細胞における少なくとも一つの老化関連遺伝子の発現を減少させる、ことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、地中海食の一部である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
最も典型的には、前記炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、およびイソプロスタンからなる群より選択される、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、ヒト細胞における炎症性サイトカイン放出を減少させることに関して相乗作用のある量で存在する、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記老化関連遺伝子が、HGF、c-fos、p16
INK、およびp21からなる群より選択される、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記炎症老化の軽減は、加齢に伴う免疫の低下の軽減、加齢に伴うエネルギ代謝の低下の軽減、加齢に伴うミトコンドリア生合成の低下の軽減、炎症に関連した少なくとも一つの症状の軽減、および/またはメタボリックシンドロームに関連した少なくとも一つの症状の軽減からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物の投与はさらに、NFκBの発現を減少させ、細胞へのブドウ糖取り込みを増加させ、細胞内のミトコンドリア生合成を増加させ、活性酸素種による酸化的損傷を減少させ、炎症性アディポカインの発現を減少させ、および/または細胞内ATPを増加させる、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記被験者への投与は、前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材の経口投与からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を約50~1000mgの用量で投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材が、錠剤、ドリンク剤、またはグミとして処方される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
植物素材の組み合わせが、ビタミン、食物中の微量元素またはミネラル、プロバイオティクス、および/またはプレバイオティクスをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記植物素材の組み合わせは、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を、少なくとも30日間にわたって少なくとも一日一回投与する、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
被験者の炎症を軽減する方法であって、
被験者に、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を組み合わせた栄養学的に許容される担体を投与することを含み、
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、
前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、
橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、およびニンジン粉末からなり、
紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、およびエルダーベリー粉末からなり、且つ、
前記植物素材の組み合わせは、投与時に、前記被験者において、少なくとも一つの炎症性サイトカインを減少させ、NFκFシグナル伝達を減少させ、および/または少なくとも一つの炎症性アディポカインを減少させる、ことを特徴とする方法。
【請求項41】
前記植物素材の組み合わせは、少なくとも一つのサイトカインの減少に関して相乗的な組み合わせである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記植物素材の組み合わせは、投与時に、前記被験者において、少なくとも一つの炎症性サイトカインを減少させ、NFκFシグナル伝達を減少させる、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記植物素材の組み合わせは、投与時に、前記被験者において、少なくとも一つの炎症性サイトカインを減少させ、NFκFシグナル伝達を減少させ、少なくとも一つの炎症性アディポカインを減少させる、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
細胞内のブドウ糖取り込みを増加させる方法であって、
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を組み合わせた栄養学的に許容される担体を細胞に接触させることを含み、
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、
前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、
橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、およびニンジン粉末からなり、
紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、およびエルダーベリー粉末からなり、且つ、
前記植物素材の組み合わせが接触すると、前記細胞へのブドウ糖取り込みが増加する、ことを特徴とする方法。
【請求項45】
細胞内へのブドウ糖取り込みの増加は、チアゾリンジオン系薬剤を用いた場合のブドウ糖取り込みの増加と同等かそれ以上である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記接触させることは経口投与を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
細胞内のATPレベルを増加させる方法であって、
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を組み合わせた栄養学的に許容される担体を細胞に接触させることを含み、
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、
前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、
橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、およびニンジン粉末からなり、
紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、およびエルダーベリー粉末からなり、且つ、
前記植物素材の組み合わせが接触すると、前記細胞内のATPレベルが増加する、ことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記細胞が筋肉細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材であって、前記植物素材を摂取する個体における炎症老化の少なくとも一つの症状を軽減するために使用される植物素材。
【請求項49】
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる、請求項48に記載の使用方法。
【請求項50】
ヒト白血球における炎症性サイトカイン放出を減少させ、NFκBシグナル伝達を減少させ、細胞へのブドウ糖取り込みを増加させ、細胞におけるミトコンドリア生合成を増加させ、活性酸素種による酸化的損傷を減少させ、炎症性アディポカインの発現を減少させ、および/または少なくとも一つの老化関連遺伝子の発現を減少させる、請求項1に記載の栄養組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2021年6月28日に出願されたシリアル番号63/215716の米国仮特許出願および2021年12月3日に出願されたシリアル番号63/285591の米国仮特許出願に基づき優先権を主張するものであり、これら両出願を参照により本明細書に組み込むものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明の分野は、栄養補助食品の組成および方法であり、特にポリフェノールおよびポリフェノール混合物、ならびに軽度/慢性炎症、加齢に伴う免疫力の低下、エネルギ代謝の低下、および/または肥満などの加齢に伴う様々な状態の軽減におけるこれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景の説明には、本開示を理解する上で有用な情報が含まれている。本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であること、または現在特許請求されている発明に関連するものであること、あるいは特定的または暗黙的に言及されている刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
本明細書におけるすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが、具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度まで、参照により組み込まれる。組み込まれた引用文献における用語の定義または使用が、本書に規定されたその用語の定義と矛盾または反する場合、本書に規定されたその用語の定義が適用され、引用文献におけるその用語の定義は適用されない。
【0005】
ビタミンやその他の単離栄養化合物にはかなりの種類があり、そのような化合物の利点として、免疫サポート、抗炎症作用、抗老化作用、心臓サポート、消化器サポートなどが挙げられる。あいにく、ビタミンやその他の単離栄養化合物を摂取した場合に、これらの利点があるとされるいくつかの側面を立証する証拠は、かなり少ない。同様に、栄養補助食品が植物部位の抽出物やパウダである場合、さまざまな効能が宣伝されるが、実際の効能は証明されていないか、あるいはまったく証明されていないことが多い。さらに、単離栄養化合物や個々の植物抽出物や濃縮物は、一般的に健康的な食生活を反映していない。
【0006】
特に、全体的な健康、長寿、および/または身体的回復力に関連する特定の地理的および民族的な食事の種類があり、そのような有益な効果は実際によく文書化され、立証されている。例えば、地中海食は一般的に、心血管リスク因子の低下(例えば、Nutrients 2018,10,379;doi:10.3390/nu10030379を参照)、炎症性・代謝性バイオマーカの低下、アルツハイマ病リスクの低下(例えば、J Alzheimers Dis.2010;22(2):483-492を参照)、特定の炎症マーカの減少(例えば、Nutrients 2018,10,62;doi:10.3390/nu10010062を参照)を伴う。このような食事によく含まれる成分のひとつにはポリフェノールがあり、個々の食事性ポリフェノール(例えば、Inhibitory Properties of Phenolic Compounds Against Enzymes Linked with Human Diseases:URL:dx.doi.org/10.5772/66844を参照)や厳選された着色ポリフェノールの具体的な効果について、さまざまな研究が発表されている(例えば、Annu. Rev.Food Sci. Technol.2020.11:10.1‐10.38を参照)。しかし、化学的に異なるポリフェノールが多数存在し複雑であるため、多くの研究は、一種類のポリフェノールとその化合物の特定の生化学的効果に焦点を当てるにとどまり、また、食餌の詳細な分子学的特徴を明らかにすることなく、一般的な疫学情報を提供しているにすぎない。
【0007】
複数のポリフェノールを食事で補うために、さまざまなサプリメントが知られている。例えば、バイタルレッズ(Gundry MD社)は、エネルギを増加させ、消化を改善するために、多くの赤色植物素材からの濃縮ポリフェノールパウダブレンドを市販している。このようなブレンドには、化学的に異なるさまざまなポリフェノールが有利に含まれる。しかし、ポリフェノールの供給源として使用される植物素材の選択は、一般的な食事からの摂取量を反映したものではない。同様に、酸化ストレスから細胞を保護する抗酸化製剤として、ブドウ、オリーブ、ザクロ、緑茶、グレープフルーツ、ビルベリ、オレンジ抽出物の市販混合物であるFytexia社のOxxyneaが提供されている(例えば、Fytexia社のOxxyneaを参照)。酸化ストレスの軽減には有益であるが、このような抗酸化剤製剤の原料となる成分は、(慢性亜急性)炎症、NFκBシグナル伝達、エネルギ代謝低下、老化、加齢に伴う免疫低下、および/または肥満に関連する分子署名に影響を与えることは一般的には証明されていない。
【0008】
このように、様々な栄養補助食品が当技術分野で知られているにもかかわらず、そのすべて、あるいはほとんどすべてが、様々な欠点を抱えている。その結果、栄養補助食品、特に、(慢性亜急性)炎症、NFκBシグナル伝達、エネルギ代謝の低下、老化、加齢に伴う免疫力の低下、および/または肥満に対抗することが証明された、改良した組成物および方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明者は現在、地中海食の食物アイテムに一般的に見られるポリフェノールおよび/またはポリフェノールを豊富に含む素材(例えば、抽出物やパウダ)の特定の組み合わせについて、加齢に伴う免疫力の低下、炎症、エネルギ代謝の低下、および/または肥満に関連する様々な分子署名を有益に調節する、様々な組成物および方法を見出した。その結果、本明細書で提示されるポリフェノールおよび/またはポリフェノールを豊富に含む素材は、加齢に伴う免疫力の低下、炎症の増加または慢性化、エネルギ代謝の低下、および/または肥満の一つ以上を特徴とし得る炎症老化と闘うための栄養学に基づくアプローチに有利に使用することができる。
【0010】
本発明主題の一つの態様において、本発明者は、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせた栄養的に許容される担体を含む栄養組成物を企図し、特に好ましい実施の形態において、前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、ヒト白血球における炎症性サイトカイン放出を減少させることに関して相乗作用のある量で存在する。
【0011】
例えば、前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる。別の観点から見ると、有色植物素材は地中海食に基づいて選択されるか、またはその一部であってもよい。
【0012】
いくつかの実施の形態では、前記炎症性サイトカイン放出は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、およびイソプロスタンのうちの少なくとも一つ、または少なくとも二つ、または少なくとも三つの放出である。他の実施の形態では、前記炎症性サイトカイン放出は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、およびイソプロスタンの放出である。
【0013】
本明細書に提示される組成物は、NFκBの発現をさらに減少させ、細胞へのブドウ糖取り込みを増加させ、細胞におけるミトコンドリア生合成を増加させ、活性酸素種による酸化的損傷を減少させ、炎症性アディポカインの発現を減少させ、および/または一つ以上の老化関連遺伝子の発現を減少させ得ることが、さらに理解されるべきである。
【0014】
最も一般的には、組成物は経口投与用に処方され、バルク材料として、または単回投与単位で処方されるが、必ずしもその必要はない。例えば、前記単回投与単位は50~1000mgの組成物を含み、カプセル、グミ、バルク粉末として製剤化することができる。また、企図される組成物は、ビタミン、食物中の微量元素またはミネラル、プロバイオティクス、および/またはプレバイオティクスをさらに含んでもよいことが容易に理解できるであろう。同様に、企図される組成物はまた、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質を含んでもよい。
【0015】
したがって、企図される組成物は、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を治療または軽減することに有効であると考えられる。
【0016】
したがって、本発明者は、本明細書に示した組成物が個人に投与される被験者の健康をサポートする方法を企図する。例えば、組成物は、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を処置または軽減することに有効な量で投与されてもよい。したがって、投与は少なくとも30日間にわたって、および/または一日量50~1000mgで行ってもよい。このように、企図される組成物は、組成物の経口投与により被験者の健康および健康的な老化を支援するために使用されてもよい。
【0017】
したがって、本発明主題のさらなる態様では、本発明者はまた、被験者における炎症老化を減少させる方法を企図しており、前記方法は、被験者に、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせて、栄養学的に許容される担体を投与することを含み、前記植物素材の組み合わせがヒト細胞における少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を減少させ、ヒト細胞における少なくとも一つの老化関連遺伝子の発現を減少させる。
【0018】
特定の実施の形態では、前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなってもよい。したがって、前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、地中海食の一部である、または地中海食に基づいて選択することができる。
【0019】
最も典型的には、前記炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、およびイソプロスタンからなる群より選択される。特に好ましい態様では、前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、ヒト細胞における炎症性サイトカイン放出を減少させることに関して相乗作用のある量で存在する。前記老化関連遺伝子に関しては、前記老化関連遺伝子がHGF、c-fos、p16INK、p21からなる群より選択されることが企図される。
【0020】
有益なことに、炎症老化の軽減は、加齢に伴う免疫の低下の軽減、加齢に伴うエネルギ代謝の低下の軽減、加齢に伴うミトコンドリア生合成の低下の軽減、炎症に関連した少なくとも一つの症状の軽減、および/またはメタボリックシンドロームに関連した少なくとも一つの症状の軽減からなる。
【0021】
さらに、少なくともいくつかの実施の形態では、組成物の投与は、NFκBの発現をさらに有利に減少させ、細胞へのブドウ糖取り込みを増加させ、細胞内のミトコンドリア生合成を増加させ、活性酸素種による酸化的損傷を減少させ、炎症性アディポカインの発現を減少させ、および/または細胞内ATPを増加させることが理解されるべきである。
【0022】
被験者への投与は、複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材の経口投与からなり、例えば、約50~1,000mgの間の投与量であることが好ましいが、必ずしもその必要はない。所望により、複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を、錠剤、ドリンク剤、またはグミとして処方してもよい。さらに、企図される材料は、ビタミン、食物中の微量元素またはミネラル、プロバイオティクス、および/またはプレバイオティクスをさらに含んでよい。同様に、前記植物素材の組み合わせは、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質をさらに含むことができる。
【0023】
本発明主題のさらに別の態様では、本発明者はまた、被験者に、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせて栄養学的に許容される担体を被験者に投与することを含む、被験者の炎症を軽減する方法を企図する。好ましくは、前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる。そのような方法において、前記植物素材の組み合わせは、投与時に、前記被験者において、少なくとも一つの炎症性サイトカインを減少させ、NFκFシグナル伝達を減少させ、および/または少なくとも一つの炎症性アディポカインを減少させる。前記植物素材の組み合わせは、少なくとも一つのサイトカインの減少に関して相乗的な組み合わせであることが好ましいが、必ずしもその必要はない。
【0024】
本発明主題のさらに別の態様では、本発明者は、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を細胞に接触させる工程を含む、細胞におけるブドウ糖取り込みを増加させる方法を企図し、前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる。このような方法において、植物素材の組み合わせが細胞に接触すると、細胞へのブドウ糖取り込みが増加する。特に、以下に詳述するように、細胞内へのブドウ糖取り込みの増加は、ロシグリタゾンなどのチアゾリンジオン系薬剤を用いた場合のブドウ糖取り込みの増加(それ以外は同じ条件下)と同等かそれ以上であることが観察された。
【0025】
本発明主題のさらなる態様では、本発明者は、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を細胞に接触させる工程を含む、細胞におけるATPレベルを上昇させる方法も企図し、前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる。このような方法では、植物素材の組み合わせが細胞に接触すると、細胞(特に筋肉細胞)のATPレベルが上昇する。
【0026】
したがって、別の観点から見ると、本発明者は、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材であって、前記植物素材を摂取する個体における炎症老化の少なくとも一つの症状を軽減するために使用される植物素材を企図する。
【0027】
同様に、本発明者はまた、ヒト白血球における炎症性サイトカイン放出を減少させ、NFκBシグナル伝達を減少させ、細胞へのブドウ糖取り込みを増加させ、細胞におけるミトコンドリア生合成を増加させ、活性酸素種による酸化的損傷を減少させ、炎症性アディポカインの発現を減少させ、および/または少なくとも一つの老化関連遺伝子の発現を減少させるために、本明細書に提示された栄養組成物の使用を企図する。
【0028】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様、および利点は、同様の数字が同様の成分を表す添付の図面と共に、好ましい実施の形態の以下の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、初代ヒト単球における様々なサイトカインに対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0030】
【
図2】
図2は、初代ヒト単球における選択されたサイトカインに対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0031】
【
図3】
図3は、初代ヒト単球におけるTNF-アルファ放出に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0032】
【
図4】
図4は、初代ヒト単球におけるIL-6放出に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0033】
【
図5】
図5は、初代ヒト単球におけるPGE
2放出に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0034】
【
図6】
図6は、初代ヒト単球におけるイソプロスタン放出に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0035】
【
図7】
図7は、初代ヒトリンパ球におけるIL-2合成に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0036】
【
図8】
図8は、初代ヒト単球における選択したサイトカインに対する、代表的な組成物の緑色サブブレンドの効果の例示的結果を示すグラフである。
【0037】
【
図9】
図9は、初代ヒト単球における選択したサイトカインに対する、代表的な組成物の赤色サブブレンドの効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0038】
【
図10】
図10は、初代ヒト単球の選択したサイトカインに対する、代表的な組成物の橙色/黄色サブブレンドの効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0039】
【
図11】
図11は、初代ヒト単球の選択したサイトカインに対する、代表的な組成物の紫色/青色サブブレンドの効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0040】
【
図12】
図12は、初代ヒト単球における選択したサイトカインに対する、複合サブブレンド(代表的組成物)の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0041】
【
図13】
図13は、C2C12細胞におけるIL-6のmRNA発現に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0042】
【
図14】
図14は、C2C12細胞におけるTNF-アルファのmRNA発現に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0043】
【
図15】
図15は、HEK293モデル系におけるNFκB発現に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0044】
【
図16】
図16は、C2C12筋肉細胞へのブドウ糖取り込みに対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0045】
【
図17】
図17は、ミトコンドリア生合成に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0046】
【
図18】
図18は、マウスRAW264.1マクロファージにおけるATPレベルに対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0047】
【
図19】
図19は、マウスC2C12筋肉細胞におけるATPレベルに対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0048】
【
図20】
図20は、マウスノマクロファージにおける活性酸素種(ROS)に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0049】
【
図21】
図21は、選択したアディポキニンに対する、代表的な組成物の抑制効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0050】
【
図22】
図22は、選択した第一のアディポキニンのセットに対する、代表的な組成物の刺激効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0051】
【
図23】
図23は、選択した第二のアディポキニンのセットに対する、代表的な組成物の抑制効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0052】
【
図24】
図24は、老化に関連する選択した遺伝子の遺伝子発現に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0053】
【
図25】
図25は、アセチルコリンエステラーゼ活性に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【0054】
【
図26】
図26は、マクロファージの細胞生存率および代謝に対する、代表的な組成物の効果の例示的な結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明者は、ポリフェノール含有物質(およびこれに含まれるポリフェノール)の特定の組み合わせが、炎症の増加または慢性化、NFκBシグナル伝達、エネルギ代謝の低下、老化、加齢に伴う免疫力の低下、および/または肥満に関連する数多くのバイオマーカを強く変化させることを見出した。特にこのような組み合わせは、地中海食に含まれる成分とポリフェノール含有物質(およびポリフェノール)と密接に一致していた。これらの知見に鑑み、本発明者は、栄養補助食品およびその他の栄養製品、組成物、および薬膳料理における使用、ひいては医薬における使用のための様々な組成物を企図する。
【0056】
本発明者は、その広範な研究に基づいて、以下に詳述するように、地中海食でよく見られる厳選された植物素材(およびそれに含まれるポリフェノール)の特定の混合を調製することで、炎症老化および細胞エネルギに関連する様々なバイオマーカの変化において立証されるように、地中海食の利点を模倣できることを発見した。他のバイオマーカのうち、特に様々な炎症性サイトカインや転写因子(例えば、TNF-アルファ、IL-6、PGE2、イソプロスタン、NFκB)、様々なアディポカイン(例えば、レプチン、オンコスタチンM、レジスチン、FGF21、HGF、IL-11)、ミトコンドリア生合成、細胞のブドウ糖摂取、細胞内ATP、活性酸素種によって測定される抗酸化力、および様々な老化関連遺伝子の発現に関するバイオマーカが企図される。
【0057】
特に、本発明者は、本発明の主題である組成物が、異なる炎症経路で作用する炎症性サイトカインの産生および分泌を阻害または減少させるだけでなく、炎症性反応に必須の転写因子を下方制御することを見出した。さらに意外なことに、このような炎症成分の調節作用は、赤色、緑色、橙黄色、紫青色の化学的に異なる複数のポリフェノール含有植物素材を組み合わせた場合に、特に顕著であり、相乗的に増強された。さらに驚くべき結果として、本発明者は、化学的に異なるポリフェノール含有植物素材の組み合わせが、抗炎症作用をはるかに超えた、さらなる有益な効果をもたらすことを見出した。とりわけ、且つ以下により詳細に示されるように、本明細書に提示される組成物は、細胞へのブドウ糖取り込みとミトコンドリア生合成を増加させ、有意な抗酸化効果を提供しつつATPレベルを増加させるという顕著な作用を有していた。さらに、この組成物は、炎症とエネルギ代謝に関する特定のアディポキニンに対しても有意な影響を示した。最後に、このような組成物は、様々な老化関連遺伝子の遺伝子発現も低下させた。これらの効果は、特に総合すると、地中海食で一般的に観察されるものと同等または類似の有益な分子メカニズムを示唆しているように思われる。したがって、本発明者は、特定の理論や仮説に拘束を望むことなく、本明細書に提示される組成物は、地中海食で見られる多くの利点の基礎となる生化学的に多様な分子の根底となる調和を表すと考えている。このような状況において、長寿と健康的な老化に関する他の様々な食生活(ブルーゾーンダイエット)が、健康や寿命に要となる経路やシグナル伝達を他の物質と協働して強化するポリフェノールを含有する原料の供給源となり得ることを理解されたい。
【0058】
好ましくは、ブレンドとしては、複数の異なる色グループ(例えば、少なくとも二種類、少なくとも三種類、または少なくとも四種類)に属する有色植物素材の組み合わせが企図されており、特に、赤色、緑色、橙色/黄色、および/または紫/青色の植物素材である。例えば、このような組成物の一実施の形態では、以下に詳細に示すように、ポリフェノール含有生成物/抽出物は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、ビート根を含む赤色原料、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、ケールなどの緑色原料、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジンなど、橙色/黄色原料、およびブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ、エルダーベリーを含む紫色/青色着色原料から得られ、特定の成分と比率は以下に詳述する。別の観点から見ると、企図される組成物は、有機酸、フェノール、フラボノール、フラバノール、アントシアニン、クロロゲン酸、ベタシアニンなどを含む、少なくとも二つ、少なくとも三つ、または少なくとも四つの異なるポリフェノールクラスに属する数多くのポリフェノールを含む。植物素材の具体的な選択については、植物素材中の所望の(ポリフェノール)成分と、特定の生物学的システムおよび/またはシグナル伝達経路に対するその効果に依存することが容易に理解できるであろう。
【0059】
もちろん、植物素材は、新鮮な状態または乾燥形態の植物素材の全体またはその一部(例えば、根、果実、葉など)、新鮮な状態または乾燥形態の植物素材またはその一部からのジュースまたは浸漬物、および前述の植物素材の水性または水性/アルコール性抽出物およびクロマトグラフィ画分を含む様々な形態で提供され得ることも理解されるべきである。さらに、植物素材の一つ以上のポリフェノールは、一般的には、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の化学的純度を有する精製された(天然の単離された又は合成された)化学的実体として提供されることもあることに留意されたい。しかしながら、殆どの実施の形態において、植物素材は、数多くの異なる分子実体(例えば、酵素、受容体、イオンチャネル)に対する所望の生物学的効果の組み合わせを提供する複雑な混合物であり、これら効果のうち少なくともいくつかが相乗的な生物学的効果(例えば、少なくとも一つ、少なくとも二つ、または少なくとも三つなど)がであると認識されたい。さらに、特定の分子実体に対する生物学的効果も、生物学的機能において相補的であり、場合によっては相乗的でさえあることが企図される。したがって、以下にさらに詳述する試験および所望する標的に基づいて、本発明における主題となる組成物は、特定の必要性を満たすように配合され得ることが理解されるべきである。しかしながら、特に好ましい態様において、複数の異なる(例えば、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つなど)シグナル伝達経路における複数の標的(例えば、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つなど)好ましくは炎症、免疫反応、および/またはエネルギ代謝に関連する標的を阻害する組成物が企図される。
【0060】
その結果、別の観点から見ると、企図される組成物の作用機序は、単一の特定の機能(例えば、抗酸化剤)に限定されるものではなく、また特定の化学的カテゴリ(例えば、ビタミン)に限定されるものではなく、実際には、異なる代謝およびシグナル伝達経路、さらにはミトコンドリア生合成やブドウ糖更新のような他の重要な細胞の健康機能にわたる複数の生物学的作用を相補的かつ相乗的に提供することが理解されるであろう。このように、企図される組成物および方法は、エネルギ代謝、免疫機能、炎症などを含む様々な生物学的システムを標的とする。別の観点から見ると、企図される組成物および方法は、当該組成物を摂取する被験者の炎症老化を抑制する。本明細書において、「炎症老化」という用語は、少なくとも一つの炎症成分(例えば、炎症状態、炎症性サイトカインの過剰発現、および/または炎症性シグナル伝達経路の過剰作用)と、少なくとも一つの典型的な加齢に伴う細胞エネルギまたはミトコンドリア生合成の低下、および/または老化関連遺伝子の発現の継続または増加を含む、生理学的事象の複雑な集まりを指す。さらに、植物素材は、組成物中のポリフェノールおよび他の有色色素の機能を補助または補完するために、様々な微量栄養素も提供することが企図されている。
【0061】
他の利点の中でも、本明細書で提示される組成物および方法は、炎症性シグナル伝達をコントロールする複数の経路にわたって顕著な相補的作用を提供し、その結果、より望ましい範囲の生理学的効果を有することが理解されるであろう。例えば、以下にさらに詳細に示すように、企図される組成物は、炎症性サイトカイン放出の有意な減少を示しただけでなく、別々のシグナル伝達経路で作用する更なる炎症性メディエータであるNFκBシグナル伝達、PGE2、アディポカイン、およびイソプロスタン放出も減少させる。注目すべきことに、企図された組成物のサブブレンドは、上記の炎症性メディエータを調節する上でいくらかの効果を示したが、サブブレンドを組み合わせることで上記のすべての要素において強い相乗効果を示した。さらに、本明細書で企図する組成物は、活性酸素種(ROS:Reactive Oxidative Species)の減少によって決まる有意な抗酸化作用をさらに示し、これにより潜在的な細胞ストレスおよび炎症性シグナル伝達をさらに減少させる。
【0062】
同様に注目すべきことに、企図される組成物は細胞エネルギの管理に影響を及ぼし、特にブドウ糖の摂取、ミトコンドリア生合成、ATPレベルにも大きな影響を及ぼした。実際、企図される組成物によって、一般的な抗糖尿病薬であるロシグリタゾンで観察される効果と同等であり、場合によってはそれを上回るブドウ糖摂取の改善が見られた。有益なことに、このようなエネルギ摂取の増加はフリーラジカル産生の増加にはつながらなかったが、企図された組成物はミトコンドリア生合成を有意に刺激し、細胞内ATPレベルを増加させた。そのため、これらの処理を組み合わせることで、加齢に伴うエネルギ代謝の低下に対抗していると見ることができる。さらに、加齢に伴う衰えに関して、本発明者は、企図した組成物が数多くの老化関連遺伝子の発現を低下させることも見出した。
【0063】
その結果、本明細書で企図される組成物は、適切な免疫機能のサポート、炎症軽減のサポート、ブドウ糖レベル(特に細胞内へのブドウ糖摂取)のサポートなど、健康および健康的な老化の様々な側面をサポートするための単独製品として有利に使用され得ることが理解されるであろう。別の観点から見ると、企図される組成物は、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を治療または軽減するために使用され得ることが理解されるであろう。このような文脈で、生理学的機能または状態とともに使用される場合、「サポート」という用語は、生理学的機能または状態に関する一つ以上の成分または成分の作用の低下の防止、生理学的機能または状態に関する一つ以上の成分または成分の作用の低下の少なくとも部分的な逆転、生理学的機能または状態に関する一つ以上の成分または成分の作用の正常な機能の維持、生理学的機能または状態に関する一つ以上の成分の異常な過剰作用(または過剰発現)の防止、および/または生理学的機能または状態に関する一つ以上の成分の異常な過剰作用(または過剰発現)の少なくとも部分的な逆転を意味することに留意されたい。あるいは、本明細書で企図される組成物は、他の栄養補助食品および/またはビタミンと組み合わせて、当該栄養補助食品またはビタミンでは得られない有益な効果を提供することもできる。
【0064】
企図される組成物を用いて観察される様々な効果の基礎となる分子メカニズムついて、本発明者は、様々なサイトカイン、NF-κB、様々なアディポカイン、ブドウ糖摂取、ミトコンドリア生合成、ATPレベル、活性酸素種、老化関連遺伝子の発現、およびアセチルコリンエステラーゼを含む、企図される化合物によって良好に調節され得る様々な潜在的標的を調査した。
【0065】
インターロイキン-6:インターロイキン-6(IL-6)は、免疫応答、急性期反応、造血を制御する多機能性サイトカインであり、宿主防御メカニズムにおいても中心的な役割を果たしていると考えられる。IL-6は様々な細胞から産生される多面発現性サイトカインである。幅広い組織に作用し、標的細胞の性質に応じて、それぞれ成長促進、成長抑制、分化を発揮する。特に、IL-6は正常細胞では構成的に産生されないが、様々なサイトカイン、リポ多糖のような細菌成分、あるいはウイルス感染によって発現が容易に誘導される。IL-6は一般的に炎症部位で産生され、IL-6はその可溶性レセプタsIL-6Rαと結合して、白血球浸潤の性質(多形核好中球から単球/マクロファージへ)を変化させることにより、急性炎症から慢性炎症への移行を決定づける。さらに、IL-6はT細胞やB細胞を刺激し、慢性炎症反応を促進する。そのため、IL-6およびIL-6シグナル伝達を下方制御する試みは、様々な慢性炎症性疾患(関節リウマチなど)の治療に有用であると考えられている。以下により詳細に示すように、企図される組成物はIL-6放出に顕著な影響を及ぼし、その結果、(慢性および/または亜急性の)炎症性疾患に一般的に見られる一つ以上の症状軽減または予防に寄与すると考えられる。
【0066】
腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ):腫瘍壊死因子ーアルファ(TNF-アルファ)は、主に活性化マクロファージ、Tリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞によって産生され、炎症の中心的な調節因子である。TNF-アルファ拮抗薬や阻害物質は、TNF-アルファが重要な病因的役割を果たす炎症性疾患の治療において興味深いアプローチである。TNFの阻害は、関節リウマチ、およびや乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患などの炎症性疾患の患者にとって有効な治療法であることが証明されている。さらに、敗血症性ショックやエイズの予防効果も示唆されている。現在成功している生物学的療法には、エタネルセプト、インフリキシマブ、完全ヒト型単クローナル抗体、アダリムマブなどがある。しかし、現在知られている合成抗体療法ではコストと副作用が高いため、本明細書で紹介する組成物のような天然のTNF阻害物質は注目を集める手段である。実際、以下に詳細に示すように、企図される組成物は、TNF-アルファの分泌に対して実質的な阻害効果を有しているため、様々な(慢性および/または亜急性の)炎症性疾患に一般的に見られる一つ以上の症状の軽減または予防にも寄与すると考えられる。
【0067】
プロスタグランジンE2(PGE2):プロスタグランジン(PG)は動物における主要な脂質メディエータであり、生体内でシクロオキシゲナーゼ(COX-1またはCOX-2)を律速酵素としてアラキドン酸から合成される。プロスタグランジンE2(PGE2)は、様々な組織で最も多く検出されるPGであり、四つの受容体サブタイプ(EP1-4)を介して様々な生理的および病理学的作用を発揮する。アスピリンやインドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬は、COX活性を阻害し、結果としてPGを抑制することにより、強力な抗炎症作用を発揮する。PGE2は、分子および細胞レベルで、急性および慢性炎症、ならびに自己免疫疾患を制御する。急性炎症、発熱、疼痛におけるPGE2の主要な役割の一つは、血管平滑筋細胞の血管拡張であると理解されていた。PGE2が肥満細胞の活性化を誘導し、その結果血管透過性を亢進させ、PGE2による急性炎症の一因となることが後の追加データで示された。さらに、PGE2はTh1細胞の分化、Th17細胞の増殖、Th22細胞からのIL-22産生を促進し、慢性炎症や様々な自己免疫疾患を悪化させる。さらに、PGE2はEP3受容体を介した肥満細胞の活性化を通じて急性炎症を引き起こす。PGE2はまた、EP2およびEP4受容体を介して、Tヘルパー1(Th1)細胞の分化、Th17細胞の増殖、Th22細胞からのIL-22産生を介して、慢性炎症と様々な自己免疫疾患を誘導する。特に、以下にさらに詳細に示すように、本発明者は、本明細書に提示される組成物がPGE2の合成および放出に対して有意な阻害効果を有することを発見した。したがって、企図される組成物は、様々な(慢性および/または亜急性の)炎症性疾患および自己免疫疾患で一般的に見られる一つ以上の症状の軽減または予防にも寄与するだけではなく、悪化した免疫反応を下方制御すると考えられる。
【0068】
イソプロスタン:イソプロスタンはCOX-2に依存することのない炎症促進過程のメディエータであり、疼痛の知覚を増強する。イソプロスタンはさらに、ヒト静脈内皮細胞への好中球付着を増加させ、酸化ストレスに応答して内皮細胞の透過性を増加させることによって、炎症に寄与する場合がある。したがって、企図される組成物はさらに、様々な、特に酸化ストレスに関連する(慢性および/または亜急性の)炎症性疾患で一般的に見られる一つ以上の症状の軽減または予防にも寄与するだけではなく、軽減または予防にも寄与すると考えられる。
【0069】
したがって、本明細書で提示された組成物は、複数の異なる炎症性シグナル伝達要素およびシグナル伝達経路にわたって予期せぬ多面発現効果を示し、様々な(慢性および/または亜急性の)炎症状態を広範かつ全身に軽減し得ることが理解されるであろう。さらに意外なことに、本発明者は、IL-6、TNF-アルファ、およびPGE2の阻害が、本明細書に提示した組成物中に存在する種々のサブブレンドの相乗効果に基づくこと(以下のデータを参照)、およびサブブレンド単独の阻害効果は実質的に顕著でないことを発見した。
【0070】
上記のような個々のサイトカインに対する効果に加えて、本発明者は、本明細書に示した組成物がNF-κBに対して有意な下方制御効果を有することも見出した。このような状況で、NF-κBがサイトカイン、ケモカイン、COX-2をコードする遺伝子を含む様々な炎症性遺伝子の発現を誘導し、またインフラマソームの制御にも関与していることが理解されるであろう。さらに、NF-κBは自然免疫細胞や炎症性T細胞の生存、活性化、分化を制御する上で重要な役割を果たしており、自然免疫反応や標的特異的免疫反応に影響を及ぼす。
【0071】
NF-κBは様々な疾患の炎症部位で非常に活性化され、接着分子、MMP、誘導性一酸化窒素(iNOS)の転写も誘導する。例えば、関節リウマチでは、炎症を起こした滑膜でNF-κBが過剰発現し、その作用が炎症細胞の動員とIL-1、IL-6、IL-8、TNF-αのような炎症性メディエータの産生を促進すると考えられる。p50とp65はいずれも滑膜表層細胞やサブライニング領域の単核細胞の核に局部集中する。ヘリコバクタ・ピロリ関連胃炎は、胃上皮細胞におけるNF-κB活性の亢進によってもマークされ、NF-κB陽性細胞の数は胃炎の程度と相関する。同様に、炎症性腸疾患においてもNF-κB活性化の証拠があり、この場合、固有層マクロファージは活性化したp50、c-Rel、特にp65を示す。神経疾患やアテローム性動脈硬化に伴う炎症も、部分的にはNF-κBによってメディエートされる。さらに、ヒトの炎症性気道疾患もサイトカインや接着分子の発現と関連する。このことは、喘息患者の気管支生検におけるNF-κBの活性化と相関する。特に、炎症性サイトカイン、ケモカイン、iNOS、Cox-2が豊富に発現している気道上皮細胞で、核の局在を伴うNF-κB活性の上昇が観察された。その他のNF-κB関連疾患には、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、喘息、炎症性腸疾患、全身性炎症反応症候群などがある。したがって、NF-κBの発現を調節できる組成物は、上述した炎症状態に関連する症状の少なくとも一部に対処する上で、重要な可能性を持ち得る。したがって、繰り返すが企図される組成物は、様々な(慢性および/または亜急性の)炎症性疾患で一般的に見られる一つ以上の症状の軽減または予防にも寄与すると考えられる。
【0072】
さらに、特に、個体が肥満度指数(BMI)の増加、または過体重または肥満の場合、企図される組成物は、以下でより詳細に議論され示されるように、アディポカインシグナル伝達に対してプラスの効果を有し得る。
【0073】
世界的な肥満の流行により、脂肪細胞の生物学、脂肪組織や肥満患者の体内で起こる現象を理解することを目的とした研究に大きな注目が集まっている。興味深いことに、肥満が慢性的な低度(亜急性)の炎症を引き起こし、それが肥満関連疾患に関する全身の代謝機能不全一因となっている可能性を示す証拠が多く見つかっている。実際、脂肪組織は、脂肪由来分泌因子あるいはアディポカインとして知られる複数の生物活性物質を分泌することにより、重要な内分泌器官として機能しており、場合によっては炎症促進あるいは抗炎症活性を有する。脂肪組織の機能不全に起因するこれらのアディポカインの産生や分泌の調節異常は、肥満に関連した合併症の発症に寄与することがある。
【0074】
炎症性アディポカイン:肥満状態では殆どのアディポカインの産生が亢進し、これらの炎症性タンパク質は通常、肥満に関する代謝性疾患を促進させるように機能する。レプチン、TNF-アルファ、IL-6に加えて、最近同定された炎症を促進するアディポカインには、レジスチン、レチノール結合タンパク質4(RbP4)、リポカリン2、IL-18、アンジオポエチン状タンパク質2(ANGPTL2)、CC-ケモカインリガンド2(CCL2)、CXC-ケモカインリガンド5(CXCL5)、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)などがある。これらの因子(およびその他の因子)の上方制御によって、慢性炎症状態の発症を引き起こし、代謝機能不全を引き起こす一因となる。
【0075】
抗炎症性アディポカイン:上述した数多くの炎症性アディポカインに加えて、脂肪組織はさらに、鋭意研究が進められているアディポネクチン、および最近アディポカインとして同定されたsFRP5のような少数の抗炎症因子を分泌する。
【0076】
本発明者は現在、アディポカインの分泌に関して、本明細書で提示される組成物が、TNF-アルファ誘導脂肪細胞においてIGFBP-1、レプチン、オンコスタチンM、およびレジスチンの分泌を完全に阻害することを見出している。これらのアディポカインの重要性については後述する。
【0077】
レプチン:アディポカインであるレプチンは、肥満遺伝子(ob;Lepとしても知られる)は、ポジショナルクローニングによってob/obマウスで同定された。レプチンは中枢神経系を通じて摂食行動を制御する。レプチンを欠くマウス(ob/obマウス)は、過食症(摂食量の異常な増加)、肥満、インスリン耐性を示すものの、ob/obマウスにレプチンを投与すると、これらの変化が逆転する。また、脂肪萎縮マウス(皮下脂肪組織を欠くためレプチン濃度が低い)にレプチンを投与すると、インスリン耐性や高脂血症などの代謝異常が改善される。レプチンはまた、リポジストロフィや先天性レプチン欠損の患者における代謝機能不全の改善にも有効であることが示されている。しかし、血中のレプチン濃度は脂肪量と正の相関があり、レプチン耐性の発生を示し、肥満の個体(個人)は、予想される拒食反応なしにレプチン濃度が高い。レプチンは、IL-2や成長ホルモン1を含む螺旋状サイトカインファミリに構造的に似ており、炎症促進作用を有すると考えられている。実際、レプチンは単球によるTNFとIL-6の産生を増加させ、JAK2(ヤヌスキナーゼ2)-sTAT3(シグナル伝達物質と転写活性化因子3)経路を活性化することによって、マクロファージによるCC-ケモカインリガンド(即ち、CCL3、CCL4、CCL5)の産生を刺激する。単球においても、レプチンは活性酸素種の産生を刺激し、細胞増殖と遊走反応を促進する。血清中および脂肪組織中のレプチン濃度は、TNFやリポ多糖(LP)などの炎症性刺激に反応して上昇する。さらに、レプチンはT細胞や単核細胞によるTH1型サイトカインIL-2やIFNγの産生を増加させ、TH2型サイトカインIL-4の産生を抑制するため、T細胞をTH1細胞表現型に偏極させる。上述の知見と一致して、レプチンの欠乏はT細胞でメディエートされた肝炎モデルにおける肝障害を予防する。このように、レプチンは炎症性アディポカインとして作用することが一般に認められている。
【0078】
オンコスタチンM(OSM):OSMはgp130サイトカインであり、gp130とヘテロ二量体化し、OSMの作用の大部分をメディエートする独自の特異的受容体OSMRを有する。OSMは白血病抑制因子(LIF)と実質的な配列同一性を有し、肝発生と肝再生、肝インスリン耐性と脂肪肝、炎症、心筋細胞の脱分化とリモデリングなど、様々な生物学的プロセスを調節することができる。さらに、OSMは肥満時の炎症状態を助長し、インスリン耐性の発症に関与する場合がある。
【0079】
レジスチン:レジスチンは、システインに富むレジスチン様分子(RELm)ファミリのメンバであり、炎症過程の活性化に関係する。レジスチンはマウスのインスリン耐性を誘発することが示されており、レジスチンを欠くマウスは肝臓でのブドウ糖産生が低いため、空腹後の血糖値が低い。ob/obマウスのレジスチン欠損は肥満の増大をもたらすが、この重度の肥満マウスでは耐糖能とインスリン感受性が改善されている。ブドウ糖の代謝を調節するレジスチンの能力は、脂肪細胞におけるインスリンシグナル伝達阻害物質であるサイトカインシグナル伝達抑制因子3(sOCs3)の活性化と関連する。動物モデルの研究では、レジスチンがインスリン耐性を促進することが一貫して示されているが、ヒトにおけるこの効果の証拠はあまり明確ではない。レジスチンは二つの第四級形態で存在する。豊富な高分子量の六量体と、肝インスリン耐性を強く誘導する、量は少ないが生物活性の高い三量体である。ヒト単核細胞では、レジスチン遺伝子(RETN)の転写はIL-1、IL-6、TNFなどの炎症性サイトカインによって誘導され、白色脂肪組織ではPPARγアゴニストであるロシグリタゾンによって抑制されることから、ロシグリタゾンの抗炎症作用の一部はRETNの転写の減衰によってメディエートされていることが示唆される。さらに最近、脂肪細胞における内因性レジスチンの発現を欠くが、マクロファージにおいてヒトRETN導入遺伝子を発現するマウスの研究によって、マクロファージ由来のレジスチンの炎症促進特性が生体内におけるインスリン耐性に寄与していることが示された。ヒト単核細胞におけるレジスチンの炎症促進特性は、レジスチンがこれらの細胞によるTNFとIL-6の発現を促進するため、明らかである。さらに、レジスチンは、血管内皮細胞において炎症性接着分子である血管細胞接着分子1(vCAm1)、細胞間接着分子1(ICAm1)、ペントラキシン3の発現を促進することにより、血管内皮細胞におけるアディポネクチンの抗炎症作用に直接対抗し、白血球の接着を促進する。
【0080】
IGFBP-1:インスリン様成長因子結合タンパク質1(IBP-1)は、胎盤タンパク質12(PP12)としても知られるタンパク質で、ヒトではIGFBP1遺伝子によってコードされている。このタンパク質はインスリン様成長因子(IGF)IとIIの両方に結合し、血漿中を循環している。このタンパク質が結合すると、IGFの半減期が延長され、細胞表面受容体との相互作用が変化する。IGFシステムが心血管系疾患の発症に関与している可能性が高まっている。循環するIGFの血管系への影響は、細胞表面IGF受容体へのアクセスをコントロールするIGFBPによって大きく調節される。IGFBP-1は、糖質調節ホルモンによる代謝調節を受けるため、IGFの生物学的利用能の急性調節因子として提唱されてきた。IGFBP-1の翻訳後リン酸化は、IGF-Iに対する親和性を著しく増加させるので、IGFの生物学的利用能をコントロールするさらなるメカニズムを表している。
【0081】
加えて、本発明者はまた、アディポカイン分泌に関して、本明細書で提示される組成物が、TNF-アルファで誘導された脂肪細胞において、ANGPT-L3、C反応性タンパク質、エンドカン、FGF-21、HGF、IGFBP-2、IL-11、RBP4、およびペントラキシン2の分泌を刺激する(TNF-アルファのみで誘導された脂肪細胞では観察可能な刺激はない)ことを見出し、これらの誘導されたアディポカインの意義について以下に述べる。
【0082】
RBP4:血清RbP4は肝細胞から分泌される因子で、レチノール(ビタミンA)の全身輸送を担っている。最近、RbP4は脂肪細胞やマクロファージからも分泌されることがわかった。RbP4の発現は、ブドウ糖輸送体4型(GLuT4;sLC2A4としても知られる)の発現と逆相関しており、正常マウスに組換えRbP4を投与するとインスリン感受性が低下する。RbP4は脂肪細胞から放出され、インスリンによって誘導されるインスリン受容体基質1(IRs1)のリン酸化を自己分泌的にあるいは傍分泌的に阻害する。これらデータは、RbP4が2型糖尿病モデルにおけるブドウ糖ホメオスタシスの制御に重要な脂肪組織分泌因子であることを示唆している。
【0083】
ANGPTL3:アンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)は、リポタンパク質および内皮リパーゼの阻害物質としての機能で最もよく知られている。遺伝的あるいは薬理学的なANGPTL3抑制は、循環リポ蛋白を顕著に減少させる能力があり、そのような抑制による心保護作用が証明されていることから、ANGPTL3は、抗体およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)治療薬が臨床試験されている新たな治療標的となっている。この抗体は循環ANGPTL3に対して比較的選択的であるが、ASOは肝細胞内タンパク質も減少させ、肝臓におけるANGPTL3の細胞自律的機能を示す証拠が出現している。これには、肝細胞のブドウ糖および脂肪酸の取り込み、インスリン感受性、LDL/VLDL残渣の取り込み、VLDLの組み立て/分泌、多価不飽和脂肪酸(PUFA)およびPUFA由来の脂質メディエータ含量、遺伝子発現の調節が含まれる。
【0084】
線維芽細胞増殖因子21:線維芽細胞増殖因子21(FGF21)は、哺乳類ではFGF21遺伝子によってコードされるタンパク質である。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリのメンバであり、具体的にはFGF23とFGF15/19を含む内分泌サブファミリのメンバである。FGF21は、共受容体FGF受容体1とβ-KlothoからなるFGF21受容体の主要な内因性アゴニストである。FGF21はヘパトカイン、即ち、肝臓から分泌されるホルモンであり、視床下部の室傍核にあるFGF21受容体を経たシグナル伝達を介して、単純な糖分摂取と甘い食物への嗜好を調節し、側座核内のドーパミン神経伝達の低下と相関する。FGF21は脂肪細胞におけるブドウ糖の取り込みを刺激するが、他の細胞型では刺激しない。この効果は、インスリンの活性と相加的である。脂肪細胞のFGF21処置は、FGF受容体とRas/MAPキナーゼ経路をつなぐタンパク質であるFRS2のリン酸化と関連している。ob/obマウスにFGF21を注射すると、脂肪組織でGlut1が増加する。FGF21はまた、遺伝子導入マウスに過剰発現させると、食事誘発性肥満からマウスを守り、糖尿病のネズミに投与すると血糖値とトリグリセリド値を下げる。マウスにFGF21を投与すると、エネルギ消費、脂肪利用、脂質排泄が増加する。
【0085】
インターロイキン11:インターロイキン11(IL-11)は抗炎症性サイトカインであり、全身の殆どの細胞種と組織に受容体が存在する。その抗炎症特性は、サイトカイン合成の抑制を通じてメディエートされるが、その大部分はNF-カッパBの活性化を防ぐことによる。脂肪組織はインスリン耐性の確立に関するサイトカインを合成・分泌するが、IL-11にはサイトカイン合成を抑制する能力があることから、脂肪組織におけるIL-11によって開始されるシグナル伝達経路を明らかにするための研究を開始した。
【0086】
肝細胞増殖因子(HGF):肥満とそれに伴う脂肪組織の慢性炎症は、高血圧やアテローム性動脈硬化症などいくつかの病状に関係するインスリン耐性を引き起こす。高脂肪食(HFD)を14週間摂取した野生型マウスの体重は、インスリン耐性を伴い有意に増加したが、HGF遺伝子導入マウスでは体重増加とインスリン耐性が抑制された。HGF遺伝子導入マウスでは、脂肪組織におけるマクロファージの蓄積と炎症性メディエータレベルの上昇が、野生型マウスと比較して、有意に抑制された。HGF中和抗体を投与した野生型マウスでは、HFDによる肥満が耐糖能試験で悪化した。これらの機能獲得および機能喪失研究では、HFDによって誘導されるHGFレベルの上昇が、肥満とインスリン耐性に対して保護的な役割を持つことが示される。
【0087】
IGFBP-2:脂肪細胞前駆体の増殖と成熟脂肪細胞への分化は、哺乳類における肥満の発生に寄与している。IGF-Iは強力な分裂促進因子であり、脂肪細胞の分化に重要な刺激物である。IGFの生物学的作用は、主に阻害効果を発揮するIGF結合タンパク質ファミリ(IGFBP)によって緊密に制御されている。IGFBP-2は、分化しつつある白色前脂肪細胞から分泌される主要な結合タンパク質であり、肥満の発症への関与の可能性を示唆している。ヒトIGFBP-2をその本来のプロモータ遺伝子のコントロール下で過剰発現させた遺伝子導入マウスを用いた研究では、IGFBP-2の過剰発現が、肥満への感受性の低下とインスリン感受性の改善に関連することが示された。同腹の野生型マウスでは、加齢とともに耐糖能異常と血圧上昇が引き起こされたが、IGFBP-2を過剰発現させたマウスでは保護された。さらに、高脂肪・高エネルギ食を与えると、IGFBP-2を過剰発現したマウスは肥満の発症とインスリン耐性に抵抗を示した。この痩せた表現型は、同量の高脂肪食を摂取した野生型動物と比較して、レプチン濃度の低下、ブドウ糖感受性の上昇、血圧の低下と関連していた。これらの知見は、肥満予防におけるIGFBP-2の重要な役割を示唆している。
【0088】
ブドウ糖の取り込みとミトコンドリア生合成:高齢者では、骨格筋のタンパク質合成がインスリンの同化作用に耐性を有し得る。インスリン耐性はまた、筋肉のタンパク質分解経路の活性化とも関連しており、筋肉を減少させる可能性がある。さらに、筋肉はインスリンに依存するブドウ糖取り込みの主要な部位であり、インスリンを介してブドウ糖を取り込む筋肉の表面積が減少すると、末梢のインスリン耐性がさらに悪化し、悪循環に陥る可能性がある。経口インスリン増感剤は筋肉量を維持することが報告されているが、筋力に関する同様の関連性はまだ調査されていない。興味深いことに、2型糖尿病では骨格筋のミトコンドリア機能が低下しており、末梢のインスリン増感剤によって改善される可能性がある。このような背景のもと、本発明者は、本明細書で提示する組成物が、以下に詳述するように、筋肉細胞におけるブドウ糖取り込みに対して非常に有益な効果を有することを見出した。さらに、本明細書で提示した組成物は、ミトコンドリア機能の改善、特に以下にさらに詳細に示すように、ミトコンドリア生合成の増加にも及ぶ利点を有する。このように、本明細書で提示される組成物は、加齢に伴う筋肉へのブドウ糖取り込みの減少を緩和させるだけではなく、むしろ逆転させ、さらにミトコンドリア生合成を増加させることさえあると認識されたい。
【0089】
本明細書で提示する組成物が細胞内のエネルギ負荷を増加させうるかどうかを判定するため、細胞内ATPレベルについても試験を行なった。実際、以下に詳細に示すように、細胞内ATPのレベルは、特に企図される組成物の濃度または投与量が高い場合に改善された。
【0090】
活性酸素種:一般的に、活性酸素種(ROS)には、好気的代謝で通常発生する副生成物としての酸素分子の誘導体が含まれ、異なるROSの形成が増加すると、一般的に分子損傷(「酸化ストレス」)をもたらす。ROSである過酸化水素(H2O2)とスーパーオキシドアニオンラジカル(O2-)は、生理的レベルでは酸化還元シグナル伝達物質として作用し、成長因子やサイトカインのコントロール下で、NADPH酸化酵素やミトコンドリア電子伝達鎖を含む40超の酵素によって生成されることが多いが、シグナル伝達やROSレベルが長期化すると、酸化的損傷の蓄積や代謝障害につながる。そこで本発明者は、企図される組成物が酸化ストレスに対抗できるかどうかを調べることにした。特に、企図された組成物は、上述したすべての有益な機能に加えて、以下に詳細に示すように、活性酸素の有意な減少も示した。
【0091】
さらに、企図された組成物は地中海食(長寿の人々の共通項として知られる)の成分に基づいているため、本発明者は、本明細書で提示された組成物が老化関連遺伝子に影響を及ぼすかどうかも調査を開始した。以下の例示的な結果では、様々な老化関連遺伝子の有意な下方制御が実証された。
【0092】
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は、主に血液と神経シナプスに存在する酵素で、様々な認知プロセスにおいて重要な役割を果たしている。AChEは、神経伝達物質アセチルコリンをコリンと酢酸へ加水分解する触媒であり、コリン作動性ニューロンが活性化後に静止状態に戻るために必要な反応である。AChE阻害(例えば、ドネペジルなど)はアルツハイマ病の治療において重要な標的であり、AChE阻害物質はその治療に最もよく使用される薬剤である。アルツハイマ病以外にも、AChE阻害物質は緑内障、重症筋無力症、膀胱拡張などの疾患の診断や治療に有用である。したがって、AChE阻害物質には認知を促進する作用があると考えられている。この目的で、本発明者は、本明細書で紹介する組成物がAChEに対する阻害効果を有するかどうかも判定した。特に、以下にさらに詳細に示すように、本明細書で提示する組成物はAChEに対して実質的な阻害効果を有し、その結果、他の利点の中でも特に認知を有意に改善する可能性がある。
【0093】
本発明主題のさらに企図される側面において、本明細書に提示される組成物は、種々の形態で処方することが可能であり、特に好ましい処方としては、栄養学的または薬学的に受容可能な担体と組み合わせたものが挙げられ、経口投与用に処方される(但し、非経口投与もまた明示的に企図される)ことが最も好ましいことが理解されるであろう。したがって、想定される組成物は、固体または液体製品として処方することができる。例えば、企図される組成物が固形製品として処方される場合、適切な製品形態としては、カプセル、錠剤、粉末などの単回投与単位の処方が挙げられ、他の固形製剤としては、スナックバー、グミ、または組成物が(例えば、シリアルに)コーティングされるか、または組成物が(例えば、チューインガムに)混合もしくは層状化された、他の食用製品が挙げられる。別の例として企図される組成物が液体製品として処方される場合、適切な製品形態としては、風味付けおよび/または炭酸飲料(例えば、茶、ジュース)、および/または機能性飲料(例えば、スポーツ飲料またはエネルギ飲料)、若しくは輸液、または液体乳製品(例えば、ヨーグルト、ケフィア)が挙げられる。
【0094】
したがって、企図される組成物は、食用または飲用製品の一部として、纏めて提供されてもよく、および/または消費用に単回投与単位で提供されてもよい。最も典型的には、企図される組成物(担体を除く)の一日投与量は、少なくとも10mg、少なくとも50mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも750mg、少なくとも1,000mg、または少なくとも1,500mgであることが好ましい。例えば、好適な投与量は10~50mg、50~100mg、100~200mg、200~400mg、300~600mg、400~800mg、600~1,000mg、または1,000~2,000mgである。
【0095】
最も典型的には、企図される組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、または少なくとも1年以上の長期間にわたって経口投与され、健康的な老化を維持またはサポートする。投与は毎日、少なくとも週二回、または少なくとも週三回であることが好ましい。いくつかの実施の形態では、企図される組成物は局所的に投与してもよく、一般的にはクリーム、ローション、エッセンスエリキシル、またはシャンプーの形態であってもよい。この場合、組成物は(任意で濾過することで)水またはヒドロアルコール抽出物として、透明な溶液を得ることができる。
【0096】
企図される組成物は、さらに望ましい機能性を付与するために、一つ以上の追加成分と組み合わせてもよいことが容易に理解されるであろう。適切な追加成分としては、ビタミン(例えば、単一のビタミン、またはマルチビタミンブレンドなどのビタミンブレンド)、食物中の微量元素またはミネラル(例えば、個々の元素またはミネラル、あるいは様々な形態で混合された複数の元素やミネラル)、様々な特殊化合物および混合物(例えば、プレバイオティクス、ヒトミルクオリゴ糖)、および/または一つ以上のプロバイオティクス微生物(例えば、乳酸菌属、ビフィドバクテリウム属、リューコノストック属、サッカロミセス・ブラウディなど)、ポストバイオティクス(酪酸などの短鎖脂肪酸、(タウロ)ウルソデオキシコール酸などの二次胆汁酸など)、食物繊維(例えば、水溶性食物繊維または不溶性食物繊維)、および/または、栄養学的に許容されるオリゴ糖(例えば、キシロオリゴ糖(XOS)またはフラクトオリゴ糖(FOS))が挙げられる。同様に、企図される組成物はまた、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質を含んでもよく、それによって細胞内NADおよび/またはNADPレベル(ならびにそれぞれの還元型NADHおよびNADPH)を増加させる。このように、企図される組成物は、特に細胞代謝およびエネルギをさらに(相乗的に)増強またはサポートし得る。
【0097】
もちろん、本発明の主題による組成物は、ヒトだけでなく、他の非ヒト哺乳動物、特に家畜およびコンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ)にも投与してもよいことを認識されたい。投与は通常、少なくとも二日間、三日間、五日間、一週間、二週間~四週間、一ヶ月~三ヶ月間、さらにそれ以上の期間にわたって、一日一回から一日三回(場合によってはさらに複数の回数)行われる。最も典型的には、投与は、少なくとも症状(例えば、炎症に伴う疼痛および腫脹、エネルギレベルの低下、頻繁な感染症など)の緩和に十分な期間、または健康状態の重症化を回避または軽減するのに役立つ予防的に行うことができる。
【実施例】
【0098】
代表的な組成:
特段示唆することがない限り、すべての試験は、地中海食に共通する選ばれたポリフェノール含有生成物/抽出物の定義された混合物を用いて実施した。ポリフェノール含有生成物/抽出物は、以下のような色を特徴とする原料から得られた。赤色グループ(サブブレンド):リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、ビート根、緑色グループ(サブブレンド):オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、ケール;橙色/黄色グループ(サブブレンド):タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン;且つ、紫色/青色グループ(サブブレンド):ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ、エルダーベリー。トウモロコシ澱粉、シリカ、ヒマワリレシチンを加工助剤として使用した。相対的な比率を以下の表1に示す。
【表1】
【0099】
植物化学HPLC/MS/MS分析:上記の例示的組成物のHPLC/MS組成分析により、以下の原料および割合が明らかになった。表2~表8の各列は、分析物ID(列1)、化学的実体(列2)、M-H(列3)、RT(列4)、ピーク強度(列5)、およびMS/MSフラグメント(列6)を示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0100】
特に明記しない限り、代表的な組成物の作用は、軽度/慢性炎症、加齢に伴う免疫力の低下、エネルギ代謝、老化、活性酸素種、アセチルコリンエステラーゼ活性、肥満、および生存能力に関連する様々な標的実体に対する調節効果について試験され、例示的な活性結果が以下に示される。
サイトカイン:
【0101】
以下の実験において、本発明者は代表的な組成物およびサブブレンドが様々なサイトカインに及ぼす影響を調べるために一連の試験を行った。この目的で、試験した組成物を、LPS処理した初代ヒト単球と、SEB誘導Tリンパ球(Tヘルパー細胞、CD4+)を用いて、選択した炎症性サイトカインに関する特異的反応を測定した。特段の記載がない限り、すべての試験材料は水に溶解した固体粉末として提供された。
【0102】
ここで、本発明者は、確立された公開された方法を用いて、以下に詳述する試験品の抗炎症作用を試験するために、初代ヒト単球/リンパ球を使用した。ヒト単球は、グラム陰性菌が産生する細菌性リポ多糖(LPS)の影響を受ける主要な細胞であるため、末梢の炎症に関与する主要な細胞型の一つである。さらに、単球からのサイトカイン放出も炎症カスケードの最初のステップの一つであると考えられており、代表的なサイトカインには、インターロイキン-1(IL-1)ベータ、IL-6、IL-8、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)アルファ、プロスタグランジンE2(PGE2)などの炎症性サイトカイン、単球走化性タンパク質-1(MCP-1、別名CCL2)やマクロファージ炎症性タンパク質-1(MIP-1)などのケモカイン、イソプロスタンなど遊離基や酸化ストレスマーカなどである。単球は線維芽細胞など他の細胞種でも炎症カスケードを引き起こすが、T細胞はサイトカインシグナル伝達に反応し、適応免疫反応において中心的な役割を果たす。
【0103】
T細胞は、細胞表面にT細胞受容体(TCR)が存在することで、他のリンパ球と容易に区別することができる。インターロイキン-2(IL-2)は、主に活性化CD4+T細胞(Tヘルパー細胞)により産生される15.5-16kDaのタンパク質であり、例えば、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌により産生されるエンテロトキシンであって、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)としても知られるエンテロトキシンB型により産生される。IL-2は、免疫をつかさどる白血球(白血球、多くはリンパ球)の活動を制御している。IL-2は、微生物感染に対する胴体部の自然な反応の一部であり、異物(「非自己」)と「自己」を識別する。調査したパラメータは、炎症に関し、疼痛や炎症を誘発することによって炎症カスケードに重要な役割を有すると知られる、確立された炎症性メディエータである。
【0104】
初代ヒト単球におけるサイトカインの測定:ヒト初代単球は、健康なヒト血液ドナーの軟膜から単離(濃縮)される。ELISA実験のために、細胞を24ウェルプレートに播種する(1ml中、約500,000細胞/ml)。細胞はLPS(10ng/ml)と24時間培養される。代表的な組成物(5用量)と抗炎症コントロールとしてのデキサメタゾンを、LPS処理の30分前に添加した(未処理の細胞は陰性対照とした)。24時間後、上清を除去し、遠心分離し、ELISA(MCP-1、TNF-アルファ、IL-6、IL-23、およびIL-8、Biotechne社研究開発部門)を用いて、MCP-1、IL-8、IL-6、IL-23、およびTNF-アルファ濃度などの要求される炎症パラメータを製造業者のプロトコールに従って調べた。各投与量は、2~3人の異なるドナーの2~3の軟膜で6回調査された(軟膜あたりn=2~3、合計n=6)。
【0105】
初代ヒト単球におけるPGE2とイソプロスタン(遊離基マーカ)の測定:ヒト初代単球は、健康なヒト血液ドナーの軟膜から単離(濃縮)された。EIA実験用に、細胞を24ウェルプレートに播種した(1ml中、約500,000細胞/ml)。細胞はLPS(10ng/ml)と24時間培養された。代表的な組成物(5用量)と抗炎症コントロールとしてのデキサメタゾンを、LPS処理の30分前に添加する(未処理の細胞は陰性対照とした)。24時間後、上清を除去し、遠心分離し、EIA(Cayman社製、販売元Biomol、ドイツ、ハンブルグ)を用いてイソプロスタンとPGE2の濃度を調べた。各投与量は、3人の異なるドナーの2~3の軟膜で6回調査された(軟膜あたりn=2~3、合計n=6)。
【0106】
初代T細胞におけるIL-2の測定:ヒト初代T細胞は、健康なヒト血液ドナーの軟膜から単離(濃縮)される。ELISA実験のために、細胞を24ウェルプレートに播種する(1ml中、約500,000細胞/ml)。細胞はSEB(1μg/ml)と24時間培養される。代表的な組成物(5用量)と抗炎症コントロールとしてのデキサメタゾンまたはヒドロコルチゾンを、SEB処理の30分前に添加した(未処理の細胞は陰性対照とした)。24時間後、上清を除去し、遠心分離し、メーカのプロトコールに従ってELISA(Biotechne、ドイツ、ヴィースバーデン)を用いてIL-2濃度を調べた(他のパラメータも可能)。各投与量は、2~3人の異なるドナーの2~3の軟膜で6回調査された(軟膜あたりn=2~3、合計n=6)。
【0107】
図1~
図7に示したデータからわかるように、代表的な組成物は、LPSで処理した初代ヒト単球において、さまざまな炎症性マーカに対して有意な効果を示した。
図1の概要に示すように、代表的な組成物は、10μg/mlの低用量から、LPSで誘発されるIL-6、TNF-アルファ、PGE2の放出を強力かつ有意に阻害した。遊離基マーカであるLPS誘発性イソプロスタン(PGF2ーアルファ)の放出は、抽出の高用量で抑制された。LPS誘発のIL-23放出は影響を受けなかったが、IL-8とMCP1のレベルはわずかに上昇した。LPSを介したIL-1ベータ放出は、この組成物によって増強された。抗炎症薬と陽性対照のデキサメタゾンは、IL-23以外のすべてのパラメータを強力に阻止した。
図2は、初代ヒト単球における様々なLPS誘発炎症性サイトカインに対する代表的組成物の阻害効果を示す(LPS対照(T検定)に関して、*p<0.05、***p<0.01、***p<0.001)。より詳細には、
図3は、初代ヒト単球におけるLPS誘発TNF-アルファ放出に対する代表的組成物の阻害効果を示す(LPS対照(T検定)に関して、*p<0.05、***p<0.01、***p<0.001)。
図4は、初代ヒト単球におけるLPS誘発IL-6放出に対する代表的組成物の阻害効果を示す(LPS対照(T検定)に関して、*p<0.05、***p<0.01、***p<0.001)。
図5は、初代ヒト単球におけるLPS誘発PGE2放出に対する代表的組成物の阻害効果を示す(LPS対照(T検定)に関して、*p<0.05、***p<0.01、***p<0.001)。
図6は、初代ヒト単球におけるLPS誘発イソプロスタン放出に対する代表的組成物の阻害効果を示す(LPS対照(T検定)に関して、*p<0.05、***p<0.01、***p<0.001)。
【0108】
図7のデータからさらにわかるように、代表的な組成物は、SEBで処理した初代ヒト単球(初代ヒトT細胞)におけるIL-2合成にも有意な効果を示した。ここで、代表的な組成物は、高用量(例えば、250μg/ml)でLPS誘発IL-2を有意に阻害した。抗炎症薬と陽性対照のデキサメタゾンは、上述のように実験の過程においてIL-2合成を強力に阻害した。
図7は、初代ヒトリンパ球におけるSEB誘発L-2放出に対する代表的組成物の阻害効果を示す(SEB対照(T検定)に関して、*p<0.05、***p<0.01、***p<0.001)。特筆すべきは、代表的な組成物は、炎症性シグナル伝達を鈍らせるか減少させる点で有効である一方で、(抗原特異的免疫反応に一般的に必要とされる)T細胞刺激を中程度のみ、あるいは全く減少させないということである。
【0109】
代表的な組成物に含まれる潜在的な活性分画を調査するため、本発明者は次に、上記した特定のサブブレンドのみを使用して上記のような実験を行った。この目的で、本発明者は、赤色グループのサブブレンド、緑色グループのサブブレンド、橙色/黄色グループのサブブレンド、および紫色/青色グループのサブブレンドを試験し、TNF-アルファ、IL-6、およびPGE
2に関する典型的な結果を
図8-11に示した(LPS対照(T検定)に関して、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)。
図8は、緑色グループのサブブレンドに関する阻害データの概要を示し、
図9は、赤色グループのサブブレンドに関する阻害データの概要を示し、
図10は、橙色/黄色グループのサブブレンドに関する阻害データの概要を示し、
図11は、紫色/青色グループのサブブレンドに関する阻害データの概要を示す。
【0110】
図8のデータから容易にわかるように、緑色サブブレンドのみを用いたTNF-アルファおよびIL-6のサイトカイン放出阻害は、用量依存的に中程度であったが、試験したすべての濃度において明らかなPGE2放出阻害は見られなかった。一方、赤色サブブレンドを使用した場合、
図9に示すように、試験したすべてのサイトカインについて有意な阻害は観察されなかった。しかし、高濃度の赤色サブブレンドでは、IL-6とTNF-アルファが増加した。同様に、橙色/黄色サブブレンドは、
図10からわかるように、試験したすべてのサイトカインにおいて有意な阻害または増加をもたらさなかった。
図11に示すように、紫色/青色サブブレンドが使用された場合にのみ、TNF-アルファのわずかな阻害が見られた。
【0111】
注目すべきことに、
図12から容易にわかるように(LPS対照(T-検定)に関して*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)、四つのサブブレンドを併用した場合、TNF-アルファ、IL-6、PGE
2に関して強い阻害相乗効果が観察された。このような相乗特性は予想外であるだけではなく、この相乗効果のある組み合わせが、複数の異なる炎症性経路にまたがる様々な炎症状態(亜急性、慢性、疾患関連、アレルギ関連など)の徴候や症状を軽減するのに効果的であることを強く示唆している。このようなマルチ経路阻害は、従来の抗炎症薬よりも著しく効果的で、生理学的に忍容性の高い抗炎症性免疫調節になると考えられている。さらに、代表的な組成物の成分はすべて食品に由来するため、従来の抗炎症薬にありがちな副作用を伴うことなく、(複数の異なる経路を標的とすることにより)多くの症状における炎症の軽減を有益な形で達成することができる。
【0112】
代表的な組成物が他の組織(例えば、筋肉細胞)にも影響を及ぼすかどうかを調べるために、本発明者はネズミC2C12筋肉細胞(不死化マウス筋芽細胞株)におけるIL-6およびTNF-アルファのmRNA発現を測定した。C2C12細胞はスペイン、コルドバのコルドバ大学から提供された。細胞は、10%のウシ胎仔血清(FBS)、4,5mMのL-グルタミン、1%のペニシリンとストレプトマイシン抗生物質を含むダルベッコ変法イーグル培地で培養維持した。すべての実験において、細胞は24ウェルプレートで80~90%のコンフルエンスまで増殖させた。
【0113】
RNA単離と定量PCR:培養細胞を、水(1~100μg/ml)に溶解した様々な濃度の代表的組成物とともに4時間培養した。Universal RNA Kit(roboklon社)を用いて全RNAを抽出した。cDNA合成は、Moloney Murine Leukemia Virus(M-MLV)逆転写酵素(Promega社、ドイツ、マンハイム)、RNase Inhibitor rRNasin(登録商標)(Promega社、ドイツ、マンハイム)、dNTPマスターミックス(Promega社、ドイツ、マンハイム)、およびランダム六量体プライマ(Biomers、ドイツ)を用いて、1μgの全RNAから逆転写した。リアルタイムでのPCR増幅は、highQu社(ドイツ、クライヒタル)のORATMqPCR Green ROX H Mix, 2Xを用いて、Analytik Jena社のqTOWER 2.0/2.2 Quantitative Real-Time PCR Thermal Cyclersで行った。反応条件は、95℃で3分、95℃で15秒、50℃で30秒、72℃で45秒のサイクルを40回行い、サイクルごとにプレート読み取りを行った。その後、95°Cで1分、55°Cで1分、65°C、95°Cで、0.5°C刻みで5秒のメルトカーブ条件で行い、最終プレートの読み取りを行った。グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は、サンプルの正規化のための内部対照として機能し、データの定量化には比較サイクル閾値Ct法が用いられた。
【0114】
C2C12筋肉細胞におけるIL-6およびTNF-アルファmRNAレベルに対する代表的な組成物の効果は、
図13および
図14の例示的な結果に示されている(いずれも*p<0.05, **p<0.01,*p<0.001)。容易に明らかとなるように、代表的な組成物は、10μg/mlの用量から、強力かつ用量依存的にIL-6およびTNF-アルファmRNAレベルを低下させた。したがって、代表的な組成物は、選択されたサイトカインの合成と分泌に大きな影響を及ぼすことが理解されるであろう。
NFκB:
【0115】
以下の実験において、本発明者はNF-κBが炎症促進性遺伝子発現の最も重要な調節因子の一つであるため、代表的な組成物がNFκBに及ぼす影響を調べるために一連の実験を行った。例えば、TNF-アルファ、IL-1ベータ、IL-6、IL-8などの様々なサイトカインの合成は、シクロオキシゲナーゼ2(Cox-2)の発現と同様に、NF-κBによってメディエートされる。
【0116】
NF-カッパB転写活性を測定するために、本発明者は、NF-κB(活性化B細胞の核因子カッパ-軽鎖エンハンサ)を発現し、上流のNF-κB遺伝的応答要素に機能的に連結されたルシフェラーゼレポーター遺伝子を含むHEK293t細胞を用いたアッセイキットを使用した。このように、ルシフェラーゼ発現の変化を定量化することで、NF-κB活性化レベルの変化を高感度に代用することができる。NF-κBはシグナル伝達依存性の転写因子である。このNF-κBレポータ細胞株は、TNFα、あるいはタンパク質キナーゼC活性化物質であるホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)で処理すると、用量依存的な強固な活性化反応を示すことが検証された。そのため、このアッセイは、被験試料がNF-κB活性を誘導または抑制する可能性のある機能的活性を定量化するための被験試料のスクリーニングに特に適している。ここで、NF-カッパB転写活性検査は、メーカの指示に従って行った(INDIGO Biosciences(Biomol)から市販されているアッセイ)。
【0117】
代表的な組成の効果は、上述のアッセイ法を用いて観察した。
図15(*p<0.05,**p<0.01,*p<0.001。)のデータから明らかなように、NF-カッパBのPMA誘導活性化は低用量(1および10μg/ml、試験系のアーチファクトと思われる)で増強されるが、高用量では、50μg/mlの用量から始まり、100μg/mlと250μg/mlの抽出物を用いて、NF-カッパBの活性化を強く、用量依存的にほぼ完全に阻害した。特に、この阻害は既知のNF-カッパB阻害物質QNZよりも強力であった。このNF-カッパBの阻害は、上で示したように、様々な炎症性サイトカインや経路にわたって観察された阻害とも一致していた。
ブドウ糖の取り込み:
【0118】
以下の実験において、本発明者は、エネルギ代謝、特にブドウ糖取り込みに対する代表的な組成物の効果を判定するために、一連のアッセイを行った。
【0119】
この目的で、C2C12細胞(5x104)を96ウェルブラックプレートに播種し、24時間培養した。その後、培地を除去し、細胞をOptiMEMで培養し、50μMの2-NBDG(2-[N-(7-ニトロベンズ-2-オクサ-1,3-ジアゾル-4-イル)アミノ]-2-デオキシ-D-グルーコス)で標識し、代表的な組成物または陽性対照ロシグリタゾンで24時間処理した。培地を除去し、ウェルをPBSで丁寧に洗浄し、PBS(100μl/ウェル)で培養した。最終的に、製造元の指示に従って蛍光を測定した。
【0120】
図16は、マウスC2C12筋肉細胞におけるブドウ糖取り込みに対する代表的な組成物の効果に関する例示的な結果を示している(*p<0.05,**p<0.01,*p<0.001)。グラフのデータから容易にわかるように、代表的な組成物のブドウ糖取り込みに対する効果は非常に高く、実際、既知の抗糖尿病化合物であるロシグリタゾンに匹敵する効力があった。このように、代表的な組成物は顕著な抗糖尿病治療効果を有し、細胞エネルギを実質的に促進したことが理解されるであろう。
ミトコンドリア生合成:
【0121】
利用可能なエネルギ基質が大幅に増加したことから、本発明者は一連の実験を行い、増加したエネルギ代謝産物が解糖および細胞呼吸で有効に利用できるかどうかを調べた。細胞呼吸にはミトコンドリアの活性が必要であるため、本発明者は、神経細胞におけるミトコンドリア生合成に対する代表的な組成物の効果を調べようとした。
【0122】
この目的で、Neuro-2a(N2a)(ATCC、米国バージニア州マナサス)細胞を、10%のFBS、2mMのl-グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したDMEMで培養した。細胞は5%のCO2を含む加湿雰囲気中、37℃に維持された。
【0123】
ミトコンドリア生合成の判定。N2a細胞を96ウェルプレートに播種し(1ウェルあたり3.5×103細胞)、24時間後、代表的な組成物(5用量)の濃度を増加させた3連ウェルで72時間刺激した。その後、Mitotracker Green(100nM;Thermo Fisher Scientific社、米国マサチューセッツ州ウォルサム)を30分間培地に加えた。細胞をPBSで洗浄し、新しい培地を加えた。画像を撮影し、細胞イメージングシステムIncuCyte HD(Essen BioScience社、英国ハートフォードシャー)を使用して蛍光を測定した。陽性対照としてロシグリタゾンを用いた。
【0124】
図17の結果から容易にわかるように、代表的な組成物はミトコンドリア生合成を有意に増加させた。意外なことに、代表的な組成物を用いたミトコンドリア生合成は、このアッセイにおける陽性対照であるロシグリタゾンを上回った。
ATP:
【0125】
以下の実験において、本発明者は代表的な組成物が様々な細胞内ATPレベルに及ぼす影響を調べるために一連の試験を行った。この目的で、本発明者はRAW264.1マウスのマクロファージとC2C12マウスの筋肉細胞(ドイツ、フライブルク大学から取得)を使用した。
【0126】
細胞は、10%のFBSと1%の抗生物質ペニシリン/ストレプトマイシンを含む添加後のDMEM培地(DMEM完全培地)中で、37℃で、5%のCO2の加湿雰囲気で維持した。ATPアッセイでは、RAW細胞とC2C12を96ウェルプレートに2x104細胞/ウェルの密度で播種し、DMEM培地中、37℃で、5%のCO2の加湿雰囲気で一晩培養した。次に、選択した濃度(5用量、n=4)の代表的な組成物で細胞培養を刺激した。細胞中のATPはCellTiter-Glo(R)2.0 Cell Viability/ATP Assayで測定した。
【0127】
特に、マクロファージでは、代表的な組成物の低用量1μg/mlのみが、
図18に見られるように、ATPレベルに対する中程度の増加効果を示した(*p<0.05,**p<0.01,*p<0.001)。それ以外の用量では効果がなかった。C2C12細胞では、代表的な組成物はATPレベルを弱いながらも用量依存的に阻害した(
図19参照:*p<0.05,**p<0.01,*p<0.001)。
活性酸素種(ROS):
【0128】
以下の実験において、本発明者は、マクロファージモデル系における活性酸素種(ROS)を判定することによって、細胞の抗酸化力に対する代表的な組成物の効果を判定するために一連の実験を行った。
【0129】
この目的で、本発明者はドイツのUniklinik Freiburg社から入手したRAW264.1マウスのマクロファージを使用した。細胞は、10%のFBSと1%の抗生物質ペニシリン/ストレプトマイシンを含む添加後のDMEM培地(DMEM完全培地)中で、37℃で、5%のCO2の加湿雰囲気で維持した。代表的な組成物および制御(陰性対照として化合物なし、陽性対照としてトロロックスとビタミンC)の存在下で細胞反応を調べた。
図19の結果から明らかなように、H
2O
2によって誘導されたROSレベルは、1μg/mlという比較的低用量から、代表的な組成物によって強力に減少した。注目すべきことに、最大ROS抑制は50μg/mlのDCで達成され、これは最も強力で一般的に使用されている抗酸化剤のひとつであるトロロックスCに匹敵する効力である。
アディポカイン:
【0130】
以下の実験において、本発明者は、肥満や代謝性疾患に関連する様々なアディポカインに対する代表的な組成物の効果を調べるために一連の実験を行った。より具体的には、本発明者は標準的な細胞培養モデルで3T3-L1細胞(前駆脂肪細胞線維芽細胞)を用い、プロテオーム・プロファイラー・キットを用いてアディポカインの拡張セットの発現レベルを測定した。
【0131】
低継代数3T3-L1細胞(ATCC)は、25mMのブドウ糖、4mMのL-グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウムに10%の(v/v)ウシ胎仔血清を添加したDMEM(DMEM/FBSと呼ぶ)で培養した。細胞は12ウェルプレートで、5%(v/v)のCO2を添加した37℃の加湿培養器で培養した。コンフルエンスから二日後、DMEM/FBS中、2μg/mLのインスリン、0.5mMのイソブチルメチルキサンチン、0.25μMのデキサメタゾン、2μMのロシグリタゾン(すべてシグマ社から購入)という刺激物質のカクテルで脂肪細胞への分化を誘導した。三日後、分化培地を除去し、細胞を分化後培地(DMEM/FBSに2μg mL-1のインスリンを加えたもの)でさらに6~9日間維持し、培地交換は二日ごと、あるいは必要に応じて行った。分化は毎日顕微鏡で観察した。
【0132】
分化後、細胞をPBSで洗浄し、完全DMEM培地で培養し、代表的な組成物の非存在下および存在下(10μg/mlおよび100μg/ml、水に溶解)で、TNFα(50ng/ml)で24時間処理した。上清を回収し、アディポカインおよびその他の関連可溶性メディエータを検出するためにアッセイした。アディポカインおよびその他の肥満関連タンパク質は、半定量的プロテオームプロファイラマウスのアディポカインアレイキット(R&D System社、米国ミネソタ州ミネアポリス)を用いて検出した。現像したX線フィルムの画素密度をスキャナーで収集し、処理・解析プログラムImageJ(NIH社、米国メリーランド州ベセスダ)を用いて解析した。
【0133】
以下のアディポカインと可溶性メディエータを同時にモニタリングした。アディポネクチン、AgRP、ANGPT-L3、C反応性タンパク質、DPPIV、エンドカン、フェチュインA、酸性FGF、FGF-21、HGF、ICAM-1、IGF-I、IGF-II、IGFBP-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGFBP-5、IGFBP-6、IL-6IL-10、IL-11、レプチン、LIF、リポカリン-2、MCP-1、M-CSF、オンコスタチンM、ペントラキシン2、ペントラキシン3、Pref-1、RAGE、RANTES、RBP4、レジスチン、セルピンE1、TIMP-1、TNF-アルファ、VEGF。
【0134】
図19~
図22は、分化した3T3-L1細胞における肥満関連タンパク質の分泌に対する代表的な組成物の選択した効果示すものである。最も特筆すべきは、TNFαがIGFBP-1、レプチン、オンコスタチンMおよびレジスチンの分泌を誘導したことであり、この分泌は、
図21に示されるように代表的な組成物によって完全に阻害された。一方、
図22および
図23に示すように、ANGPT-L3、C反応性タンパク質、エンドカン、FGF-21、HGF、IGFBP-2、IL-11、RBP4およびペントラキシン2は、明らかにTNFα+代表組成物によって誘導されたが、TNFα単独では誘導されなかったことから、これらのタンパク質の合成が代表組成物によって誘導されたことが示唆された。
老化:
【0135】
以下の実験において、本発明者は、正常なヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)における選択された老化マーカの遺伝子発現に対する代表的な組成物の効果を調べるために一連の実験を行った。
【0136】
NHDF細胞はドイツのATCC社から購入した。NHDF細胞は、10%のウシ胎仔血清(FBS)、4,5mMのL-グルタミン、1%のペニシリンとストレプトマイシン抗生物質を含むダルベッコ変法イーグル培地で培養維持された。NHDF細胞は5%のCO2加湿下で、37℃で培養した。すべての実験において、細胞は24ウェルプレートで80~90%のコンフルエンスまで増殖させた。細胞培養の24時間後に培地を交換し、老化させるためにNHDF細胞を6日間保存する。
【0137】
老化正常ヒト皮膚線維芽細胞を用いて定量的リアルタイムPCR(qPCR)を行った。培養した老化NHDF細胞を、水(1~100μg/ml)に溶解した様々な濃度の代表的組成物とともに4時間培養した。その後Universal RNA Kit(roboklon社)を用いて全RNAを抽出した。cDNA合成は、Moloney Murine Leukemia Virus(M-MLV)逆転写酵素(Promega社、ドイツ、マンハイム)、RNase Inhibitor rRNasin(登録商標)(Promega社、ドイツ、マンハイム)、dNTPマスターミックス(Promega社、ドイツ、マンハイム)、およびランダム六量体プライマ(Biomers、ドイツ)を用いて、1μgの全RNAから逆転写した。リアルタイムでのPCR増幅は、highQu社(ドイツ、クライヒタル)のORATMqPCR Green ROX H Mix,2Xを用いて、Analytik Jena社のqTOWER 2.0/2.2 Quantitative Real-Time PCR Thermal Cyclersで行った。HGF、c-fos、p16INK、p21をコードする遺伝子を増幅するプライマを設計した。反応条件は、95℃で3分、95℃で15秒、50℃で30秒、72℃で45秒のサイクルを40回行い、サイクルごとにプレート読み取りを行った。その後、95°Cで1分、55°Cで1分、65°C、95°Cで、0.5°C刻みで5秒のメルトカーブ条件で行い、最終プレートの読み取りを行った。グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は、サンプルの正規化のための内部対照として機能し、データの定量化には比較サイクル閾値Ct法が用いられた。
【0138】
特筆すべきは、
図24からわかるように、代表的な組成物は、非常に低い投与量でも、老化関連遺伝子HGF、c-fos、p16
INK、p21の発現を強く阻害したことである。
アセチルコリンエステラーゼ(AChE):
【0139】
以下の実験において、本発明者は、神経機能に関する潜在的な標的としてのAChEに対する代表的な組成物の効果を調べるために一連の実験を行った。
【0140】
この目的で、本発明者はAmpliteTM Colorimetric assay(AAT Bioquest社製)をメーカの指示に従って使用した。NIC(阻害制御無添加)用のアッセイ緩衝剤40μl、AHE溶液40μl、陰性対照としてアッセイ緩衝剤で希釈したドネペジル原液40μlを96ウェルプレートの別々のウェルにピペッティングした。陰性対照、NICs、被験試料溶液について、各ウェルにアセチルコリンエステラーゼ溶液(4mU/10μl)10μlを添加した。制御試料と代表的な組成の試料を、室温で15分間、ゆっくりと振盪培養した。50μLのAChE作業溶液を各ウェルに加え、アセチルコリンエステラーゼの総アッセイ量を100μl/ウェルとした(t=0min)。遮光し、室温で60分間反応物を培養した(t=60 min)。吸光度は、時点t=0分およびt=60分で、PerkinElmer社 (ドイツ、ロートガウ)のPerkinElmer Victor X5 2030-0050 Multimode Plate Readerを用いて405nmで測定した。
【0141】
代表的な組成物のアセチルコリンエステラーゼ活性への影響を示す
図25において、例示的な試験結果を示す。結果は相対単位±SDで表した(*p<0.05,**p<0.01,*p<0.001)。容易にわかるように、代表的な組成物は、高濃度で有意なAChE阻害効果を示した。
生存率:
【0142】
以下の実験において、本発明者は代表的な組成物がマクロファージの細胞生存率に及ぼす影響を調べるために一連の実験を行った。ここで、RAW264.1マウスのマクロファージをフライブルグのUniklinikから取得し、10%のFBSと1%の抗生物質ペニシリン/ストレプトマイシンを含む添加後のDMEM培地(DMEM完全培地)中で、37℃で、5%のCO2の加湿雰囲気で維持した。
【0143】
細胞毒性アッセイは、96ウェルプレートにRAW細胞を2x10
4個/ウェルの密度で播種し、DMEM培地中、37℃、5%のCO
2の加湿雰囲気で一晩培養して行った。次に、選択した濃度(7用量、n=4)の代表的な組成物で細胞培養を刺激し、NaFを毒性対照としてアラマー青色染色により細胞生存率を測定した。例示的な結果を
図26に示す。結果から容易にわかるように、500μg/ml以上の高用量のみが細胞生存率や細胞代謝に何らかの影響を示したのに対し、低濃度では細胞生存率や細胞代謝に統計的に有意な影響は見られなかった。
【0144】
本明細書での使用に適したさらなる側面、考察、および企図は、米国特許第11065295号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
いくつかの実施の形態では、本発明の特定の実施の形態の説明および主張に使用される原料の量を表す数値、濃度や反応条件などの特性は、「約」という用語によって一部の場合に修飾されると理解されるものとする。したがって、一部の実施の形態では、記載および添付された請求項に記載された数値パラメータは、特定の実施の形態によって得られる特性によって異なることがある近似値である。ここに記載する値の範囲の列挙は、単に、その範囲内に入る各別個の値を個々に言及する簡潔な方法として機能することが意図される。ここに別段の指示がない限り、個別の値はそれぞれ、ここに個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0146】
本明細書で使用される場合、医薬組成物または栄養補助食品組成物を「投与する」という用語は、医薬組成物または栄養補助食品組成物の直接投与および間接投与の両方を指し、医薬組成物または栄養補助食品組成物の直接投与は、一般的には医療専門家(例えば、医師、看護師、栄養士など)によって行われ、間接投与は、直接投与のために、医療専門家またはそれを必要とする個人に医薬組成物または栄養補助食品組成物を提供または利用可能にするステップ(例えば、注射、輸液、経口投与、局所投与など)を含む。さらに、病態、感受性、または意図された治療に対する反応を「予後する」または「予測する」という用語は、被検者における疾患の進行、改善、および/または持続の速度を含む、病態、感受性、および/または反応を予測する行為または予測(但し、治療または診断ではない)を含むことを意味することに留意すべきである。
【0147】
ここに記載される全ての方法は、ここに別段の指示がない限り、または状況によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。ここに提供される任意のおよび全ての例、または特定の実施の形態に対する例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図しており、別途請求される発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書のいかなる文言も、発明の実施に不可欠な、請求されていない素子を示すものとして解釈されるべきではない。
【0148】
本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、および「the」の意味は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の参照を含む。また、本明細書で使用される”in”の意味は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、”in”および”on”を含む。本明細書でも使用されるように、また文脈から別段の指示がない限り、用語”coupled to”は、直接的なcoupling(互いに結合される二つの要素が互いに接触する)および間接的なcoupling(少なくとも一つの追加要素が二つの要素の間に位置する)の両方を含むことが意図される。したがって、”coupled to”と”coupled with”は同義語として使用される。
【0149】
当業者であれば、本明細書の発明概念を逸脱することなく、既に説明した例以外にも多くの変形例が可能であることは明らかであろう。従って、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲以外に限定されない。さらに、明細書と特許請求の範囲の両方の解釈において、すべての用語は、文脈と一致する可能な限り広義に解釈されるべきである。特に、”comprises”および”comprising”という用語は、非排他的な態様で要素、構成要素、またはステップを指すものとして解釈されるべきであり、言及された要素、構成要素、またはステップが、明示的に言及されていない他の要素、構成要素、またはステップと存在し、利用され、または組み合わされてもよいことを示す。明細書または特許請求の範囲において、A、B、C......およびNからなる群から選択される少なくとも一つと言及している場合、当該テキストはAプラスN、BプラスNなどではなく、群から一つの要素のみを要求していると解釈すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせた栄養学的に許容される担体を含み、
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、ヒト白血球における炎症性サイトカイン放出を減少させることに関して相乗作用のある量で存在する、ことを特徴とする、栄養組成物。
【請求項2】
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)およびイソプロスタンのうちの少なくとも一つの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)およびイソプロスタンのうちの少なくとも二つの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)およびイソプロスタンのうちの少なくとも三つの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)およびイソプロスタンの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がさらにNFκBの発現を低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、細胞へのブドウ糖取り込みをさらに増加させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、細胞におけるミトコンドリア生合成をさらに増加させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、活性酸素種による酸化的損傷をさらに低減する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、炎症性アディポカインの発現をさらに減少させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、老化関連遺伝子の発現をさらに低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が経口投与用に処方される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が単回投与単位で処方される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記単回投与単位が50~1000mgの組成物を含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記単回投与単位が、カプセル、グミ、または粉末として製剤化される、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
ビタミン、食物中の微量元素またはミネラル、プロバイオティクス、および/またはプレバイオティクスをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を治療または軽減することに有効である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
被験者の健康をサポートする方法であって、請求項1に記載の組成物を個体に投与する、ことを含む方法。
【請求項21】
前記組成物は、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を処置または軽減することに有効な量で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、少なくとも30日間にわたって、および/または一日量50~1000mgの間で投与される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
組成物の経口投与により被験者の健康をサポートする請求項1に記載の組成物の使用方法。
【請求項24】
前記組成物は、炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を処置または軽減することに有効な量で投与される、請求項23に記載の使用方法。
【請求項25】
前記組成物が、少なくとも30日間にわたって、および/または一日量50~1000mgの間で投与される、請求項24または25に記載の使用方法。
【請求項26】
被験者の炎症老化を軽減する方法であって、
被験者に、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせた栄養学的に許容される担体を投与することを含み、
前記植物素材の組み合わせがヒト細胞における少なくとも一つの炎症性サイトカインの放出を
相乗的に減少させ、ヒト細胞における少なくとも一つの老化関連遺伝子の発現を減少させる、ことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、地中海食の一部である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
最も典型的には、前記炎症性サイトカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE2(PGE2)、およびイソプロスタンからなる群より選択される、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、ヒト細胞における炎症性サイトカイン放出を減少させることに関して相乗作用のある量で存在する、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記老化関連遺伝子が、HGF、c-fos、p16INK、およびp21からなる群より選択される、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記炎症老化の軽減は、加齢に伴う免疫の低下の軽減、加齢に伴うエネルギ代謝の低下の軽減、加齢に伴うミトコンドリア生合成の低下の軽減、炎症に関連した少なくとも一つの症状の軽減、および/またはメタボリックシンドロームに関連した少なくとも一つの症状の軽減からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物の投与はさらに、NFκBの発現を減少させ、細胞へのブドウ糖取り込みを増加させ、細胞内のミトコンドリア生合成を増加させ、活性酸素種による酸化的損傷を減少させ、炎症性アディポカインの発現を減少させ、および/または細胞内ATPを増加させる、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記被験者への投与は、前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材の経口投与からなる、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を約50~1000mgの用量で投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材が、錠剤、ドリンク剤、またはグミとして処方される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
植物素材の組み合わせが、ビタミン、食物中の微量元素またはミネラル、プロバイオティクス、および/またはプレバイオティクスをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記植物素材の組み合わせは、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材を、少なくとも30日間にわたって少なくとも一日一回投与する、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
被験者の炎症を軽減する方法であって、
被験者に、赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせた栄養学的に許容される担体を投与することを含み、
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、
前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、
橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、およびニンジン粉末からなり、
紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、およびエルダーベリー粉末からなり、且つ、
前記植物素材の組み合わせは、投与時に、前記被験者において、少なくとも一つの炎症性サイトカインを
相乗的に減少させ、NFκFシグナル伝達を減少させ、および/または少なくとも一つの炎症性アディポカインを減少させる、ことを特徴とする方法。
【請求項41】
前記植物素材の組み合わせは、少なくとも一つのサイトカインの減少に関して相乗的な組み合わせである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記植物素材の組み合わせは、投与時に、前記被験者において、少なくとも一つの炎症性サイトカインを減少させ、NFκFシグナル伝達を減少させる、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記植物素材の組み合わせは、投与時に、前記被験者において、少なくとも一つの炎症性サイトカインを減少させ、NFκFシグナル伝達を減少させ、少なくとも一つの炎症性アディポカインを減少させる、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
細胞内のブドウ糖取り込みを増加させる方法であって、
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせた栄養学的に許容される担体を細胞に接触させることを含み、
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、
前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、
橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、およびニンジン粉末からなり、
紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、およびエルダーベリー粉末からなり、且つ、
前記植物素材の組み合わせが接触すると、前記細胞へのブドウ糖取り込みが増加する、ことを特徴とする方法。
【請求項45】
細胞内へのブドウ糖取り込みの増加は、チアゾリンジオン系薬剤を用いた場合のブドウ糖取り込みの増加と同等かそれ以上である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
細胞内のATPレベルを増加させる方法であって、
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材と組み合わせた栄養学的に許容される担体を細胞に接触させることを含み、
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、
前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、
橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、およびニンジン粉末からなり、
紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、およびエルダーベリー粉末からなり、且つ、
前記植物素材の組み合わせが接触すると、前記細胞内のATPレベルが増加する、ことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記細胞が筋肉細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材であって、前記植物素材を摂取する個体における炎症老化の少なくとも一つの症状を軽減するために使用される植物素材。
【請求項49】
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる、請求項48に記載の使用方法。
【請求項50】
ヒト白血球における炎症性サイトカイン放出を減少させ、NFκBシグナル伝達を減少させ、細胞へのブドウ糖取り込みを増加させ、細胞におけるミトコンドリア生合成を増加させ、活性酸素種による酸化的損傷を減少させ、炎症性アディポカインの発現を減少させ、および/または少なくとも一つの老化関連遺伝子の発現を減少させる、請求項1に記載の栄養組成物の使用方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色、緑色、橙黄色、および紫青色を有する複数の化学的に異なるポリフェノール含有植物素材
と組み合わせた栄養学的に許容される担体を含み、
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、ヒト白血球における炎症性サイトカイン放出を減少させることに関して相乗作用のある量で存在する、ことを特徴とする、
炎症状態、代謝異常、神経学的状態、心血管状態、老化、および/または酸化ストレスに関連する症状を治療または軽減するための栄養組成物。
【請求項2】
前記赤色植物素材は、リンゴ抽出物、ザクロ抽出物、トマト粉末、およびビート根粉末からなり、前記緑色植物素材は、オリーブ抽出物、ローズマリー抽出物、未焙煎コーヒー豆抽出物、およびケール粉末からなり、前記橙黄色植物素材は、タマネギ抽出物、ショウガ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ニンジン粉末からなり、および/または前記紫青色植物素材は、ブドウ抽出物、ブルーベリー抽出物、スグリ粉末、エルダーベリー粉末からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炎症性サイトカイン放出が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-6(IL-6)、プロスタグランジンE
2(PGE
2)およびイソプロスタンのうちの少なくとも一つの放出である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、さらにNFκBの発現を低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、
さらに細胞へのブドウ糖取り込みを増加させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、
さらに細胞におけるミトコンドリア生合成を増加させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、
さらに活性酸素種による酸化的損傷を低減する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、
さらに炎症性アディポカインの発現を減少させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、
さらに老化関連遺伝子の発現を低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が経口投与用に処方される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が単回投与単位で処方される、請求項
10に記載の組成物。
【請求項12】
前記単回投与単位が50~1000mgの組成物を含有する、請求項
11に記載の組成物。
【請求項13】
前記単回投与単位が、カプセル、グミ、または粉末として製剤化される、請求項
11に記載の組成物。
【請求項14】
ビタミン、食物中の微量元素またはミネラル、プロバイオティクス、および/またはプレバイオティクスをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミドリボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および/または栄養学的に許容されるCD38阻害物質をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、少なくとも30日間にわたって、および/または一日量50~1000mgの間で投与される、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項17】
前記赤色植物素材、前記緑色植物素材、前記橙黄色植物素材、および前記紫青色植物素材は、地中海食の一部である、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項18】
前記老化関連遺伝子が、HGF、c-fos、p16
INK、およびp21からなる群より選択される、請求項
9に記載の
組成物。
【請求項19】
前記炎症
状態の軽減は、加齢に伴う免疫の低下の軽減、加齢に伴うエネルギ代謝の低下の軽減、加齢に伴うミトコンドリア生合成の低下の軽減、炎症に関連した少なくとも一つの症状の軽減、および/またはメタボリックシンドロームに関連した少なくとも一つの症状の軽減からなる、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項20】
さらに細胞内ATPを増加させる、請求項
1に記載の
組成物。
【請求項21】
細胞内へのブドウ糖取り込みの増加は、チアゾリンジオン系薬剤を用いた場合のブドウ糖取り込みの増加と同等かそれ以上である、請求項
5に記載の
組成物。
【請求項22】
前記細胞が筋肉細胞である、請求項
20に記載の
組成物。
【国際調査報告】