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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】内視鏡付属品制御部および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20240705BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20240705BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/94
A61B1/018 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580535
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022072920
(87)【国際公開番号】W WO2023278939
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,994
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ディーパック クマール
(72)【発明者】
【氏名】ワイツナー、バリー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160GG22
4C160GG30
4C160GG32
4C160MM32
4C160NN02
4C160NN09
4C160NN14
4C161FF11
4C161FF43
4C161HH22
4C161HH56
(57)【要約】
医療装置は、第1のスロットを含むハンドルと、近位方向および遠位方向に第1のスロット内で移動できる第1の制御装置と、ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシースであって、ハンドルからシースの遠位端まで延在する第1のルーメンを画定するシースとを含む。第1のチューブは、第1のルーメン内に延在し、第1のチューブは、第1の制御装置に連結され、第1のチューブの最遠位端がシースの最遠位端と同一平面上にあるかまたはシースの最遠位端の近位にある第1の位置と、第1のチューブの最遠位端がシースの最遠位端の遠位に位置付けられる第2の位置との間で移動する。第1スロットは、シースの長手方向に平行に延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスロットを含むハンドルと、
前記第1のスロット内で近位方向および遠位方向に移動するように構成された第1の制御装置と、
前記ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシースであって、前記ハンドルから前記シースの遠位端まで延在する第1のルーメンを画定するシースと、
前記第1のルーメン内に延在する第1のチューブであって、前記第1の制御装置に連結され、前記第1のチューブの最遠位端が前記シースの最遠位端と同一平面上にあるかまたは前記シースの前記最遠位端の近位にある第1の位置と、前記第1のチューブの前記最遠位端が前記シースの前記最遠位端の遠位に位置付けられる第2の位置との間で移動するように構成される第1のチューブと、を備え、
前記第1のスロットは、前記シースの長手方向に平行に延在する、医療装置。
【請求項2】
第1のチューブは、前記第1の制御装置が前記第1のスロットの近位端から遠位方向に移動するときに、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の制御装置は、前記第1の制御装置の移動を防止し、近位方向および遠位方向における前記ハンドルに対する前記第1の制御装置の位置を維持するように構成されるロック機構を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記第1のチューブから半径方向外側に延在する環状リングを含み、前記環状リングは、前記ハンドルの一部に接触し、前記ハンドルと前記第1のチューブとの間の摩擦力を増加させ、前記第1の制御装置は、前記環状リングの前記摩擦力に打ち勝つのに十分な力が前記第1の制御装置に印加されたときに、前記第1のスロット内で移動するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の制御装置は、ジョイスティックを含み、前記ジョイスティックの移動は、前記シースの前記長手方向軸線に対してある角度で前記第1のチューブの遠位端を屈曲させるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ジョイスティックから前記第1のチューブの前記遠位端まで延在する少なくとも3つの関節運動ワイヤをさらに含み、前記少なくとも3つの関節運動ワイヤの各々の遠位端は、前記第1のチューブに取り付けられている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のチューブは、前記少なくとも3つの関節運動ワイヤの各々に対応する関節運動ワイヤルーメンを含み、前記少なくとも3つの関節運動ワイヤの各々は、前記対応する関節運動ワイヤルーメン内に延在する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のチューブは、チューブルーメンを含み、前記装置は、前記チューブルーメンに挿入されるように構成される医療器具をさらに含み、前記医療器具の最遠位端は、前記シースの前記最遠位端の遠位に延在するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記チューブルーメンの近位端に回転可能なロック機構をさらに含み、前記回転可能なロック機構は、前記回転可能なロック機構がロック位置にあるときに前記チューブルーメン内で前記医療器具を流体シールするように構成され、前記医療器具は、前記回転可能なロック機構がロック解除位置にあるときに前記チューブルーメン内で移動するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記医療器具は、その遠位端にツールを含み、前記装置は、前記医療器具を作動させるように構成されるアクチュエータをさらに含む、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記ツールは、ヒンジによって連結された複数のジョーを含み、前記アクチュエータは、フットペダルを含み、前記複数のジョーは、前記フットペダルが押下されたときに、開位置から閉位置に移動するように構成され、前記複数のジョーは、前記フットペダルが解放されたときに、前記閉位置から前記開位置に移動するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記シース内にあり、前記ハンドルから前記シースの前記遠位端まで延在する第2のルーメンと、
前記第2のルーメン内に延在する第2のチューブであって、前記第2のチューブの最遠位端が前記シースの最遠位端と同一平面にあるかまたは前記シースの前記最遠位端の近位にある第1の位置と、前記第2のチューブの最遠位端が前記シースの前記最遠位端の遠位に位置付けられる第2の位置との間で移動するように構成される第2のチューブと、をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
第2のスロットと、
前記第2のスロット内で移動するように構成される第2の制御装置であって、前記第2のチューブの遠位端を屈曲させるように構成される第2のジョイスティックを含む、第2の制御装置と、をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の制御装置および前記第2の制御装置は、互いに独立して移動するように構成され、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブは、互いに独立して屈曲するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ハンドルが、前記シースの一部を偏向させるように構成された第1のハンドルアクチュエータおよび第2のハンドルアクチュエータを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、内視鏡医療装置および関連する使用方法に関する。より具体的には、いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の付属装置または医療器具を内視鏡とともに使用すること、ならびに内視鏡および1つ以上の付属装置または医療器具の各々の遠位端の独立した関節運動に関する。
【背景技術】
【0002】
体内の標的部位にアクセスするための医療ツールは、内視鏡の1つ以上のルーメンを通って前進させられてもよく、標的部位を操作するためにその遠位端から延在してもよい。これらの内視鏡システムの欠点としては、例えば、内視鏡の遠位端から突出するツールのアクセス性および操作性が制限されることが挙げられる。例えば、多くの内視鏡において、医療ツールは、内視鏡の遠位端面における1つ以上の開口部から延在し、遠位端面に垂直な方向におけるこれらの医療ツールのアクセスおよび操作性を制限する。これは、標的部位から組織を切断および除去する際、または他の治療を行う際に困難を生じ得る。さらに、複数のユーザ(例えば、医師および1人以上の技術者)が、内視鏡装置の複数のツールおよび/または付属品を操作することを要求され得る。これは、医療手術室内の人の数を増加させ得、それによって、事故、感染、または他の厄介な問題のリスクを増加させ得る。本開示は、当技術分野におけるこれらの課題または他の課題の1つ以上を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、特定の課題を解決する能力ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、医療装置は、第1のスロットを含むハンドルと、第1のスロット内で近位方向および遠位方向に移動するように構成された第1の制御装置と、ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシースであって、ハンドルからシースの遠位端まで延在する第1のルーメンを画定するシースと、第1のルーメン内で延在する第1のチューブであって、第1の制御装置に連結され、第1のチューブの最遠位端がシースの最遠位端と同一平面にあるかまたはシースの最遠位端の近位にある第1の位置と、第1のチューブの最遠位端がシースの最遠位端の遠位に位置付けられる第2の位置との間で移動するように構成される第1のチューブとを含み、第1のスロットがシースの長手方向に平行に延在する。
【0004】
第1のチューブは、第1の制御装置が第1のスロットの近位端から遠位方向に移動するときに、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成されてもよい。
第1の制御装置は、第1の制御装置の移動を防止し、近位方向および遠位方向におけるハンドルに対する第1の制御装置の位置を維持するように構成される、ロック機構を含んでもよい。
【0005】
ロック機構は、第1のチューブから半径方向外側に延在する環状リングを含んでもよく、環状リングは、ハンドルの一部に接触し、ハンドルと第1のチューブとの間の摩擦力を増加させ得、第1の制御装置は、環状リングの摩擦力に打ち勝つのに十分な力が第1の制御装置に印加されたときに、第1のスロット内で移動するように構成されてもよい。
【0006】
第1の制御装置は、ジョイスティックを含んでもよく、ジョイスティックの移動は、シースの長手方向軸線に対してある角度で第1のチューブの遠位端を屈曲させるように構成されてもよい。
【0007】
装置はさらに、ジョイスティックから第1のチューブの遠位端まで延在する少なくとも3つの関節運動ワイヤを含んでもよく、少なくとも3つの関節運動ワイヤの各々の遠位端は、第1のチューブに取り付けられてもよい。
【0008】
第1のチューブは、少なくとも3つの関節運動ワイヤの各々に対応する関節運動ワイヤルーメンを含んでもよく、少なくとも3つの関節運動ワイヤの各々は、対応する関節運動ワイヤルーメン内に延在してもよい。
【0009】
第1のチューブは、チューブルーメンを含んでもよく、装置は、チューブルーメンの中に挿入されるように構成される医療器具をさらに含んでもよく、医療器具の最遠位端は、シースの最遠位端の遠位に延在するように構成されてもよい。
【0010】
装置は、チューブルーメンの近位端に回転可能なロック機構をさらに含んでもよく、回転可能なロック機構は、回転可能なロック機構がロック位置にあるときにチューブルーメン内で医療器具を流体シールするように構成されてもよく、医療器具は、回転可能なロック機構がロック解除位置にあるときにチューブルーメン内で移動するように構成されてもよい。
【0011】
医療器具は、その遠位端にツールを含んでもよく、装置は、医療器具を作動させるように構成されるアクチュエータをさらに含んでもよい。
ツールは、ヒンジによって連結された複数のジョーを含んでもよく、アクチュエータは、フットペダルを含んでもよく、複数のジョーは、フットペダルが押下されたときに、開位置から閉位置に移動するように構成されてもよく、複数のジョーは、フットペダルが解放されたときに、閉位置から開位置に移動するように構成されてもよい。
【0012】
装置はさらに、シース内にあり、ハンドルからシースの遠位端まで延在する第2のルーメンと、第2のルーメン内に延在する第2のチューブとを含んでもよく、第2のチューブは、第2のチューブの最遠位端がシースの最遠位端と同一平面にあるかまたはシースの最遠位端の近位であってもよい第1の位置と、第2のチューブの最遠位端がシースの最遠位端の遠位に位置付けられる第2の位置との間で移動するように構成されてもよい。
【0013】
装置はさらに、第2のスロットと、第2のスロット内で移動するように構成される第2の制御装置とを含んでもよく、第2の制御装置は、第2のチューブの遠位端を屈曲させるように構成される第2のジョイスティックを含んでもよい。
【0014】
第1の制御装置および第2の制御装置は、互いに独立して移動するように構成されてもよく、第1のチューブおよび第2のチューブは、互いに独立して屈曲するように構成されてもよい。
【0015】
ハンドルは、シースの一部を偏向させるように構成される、第1のハンドルアクチュエータおよび第2のハンドルアクチュエータを含んでもよい。
別の態様によれば、医療装置は、ハンドルと、第1の制御装置および第2の制御装置と、ハンドルから延在し、長手方向軸線を有するシースであって、第1のルーメンおよび第2のルーメンを画定するシースと、第1の制御装置から第1のルーメン内に延在する第1のチューブと、第2の制御装置から第2のルーメン内に延在する第2のチューブとを含む。第1の制御装置は、第1のチューブの一部を屈曲させるように構成され、第2の制御装置は、第2のチューブの一部を屈曲させるように構成され、第1のチューブおよび第2のチューブは、互いに独立して屈曲されるように構成される。
【0016】
装置はさらに、第1の制御装置上の第1のロック機構と、第2の制御装置上の第2のロック機構とを含んでもよく、第1のロック機構および第2のロック機構は、ハンドルに対する第1の制御装置および第2の制御装置の移動を防止するように構成されてもよい。
【0017】
第1の制御装置および第2の制御装置は、ハンドルに対して長手方向に移動するように構成されてもよく、第1の制御装置は、第2の制御装置とは独立して移動するように構成されてもよい。
【0018】
さらに別の態様によれば、方法は、開口部を介して体内に挿入装置のシャフトを挿入するステップと、挿入装置の遠位端が標的部位に隣接するように挿入装置を前進させるステップと、第1のルーメンの遠位端の開口部を介して挿入装置のシャフトから第1のチューブを展開するステップと、第1のチューブのルーメンを通って第1のチューブの遠位端の開口部から外へ第1の医療器具を前進させるステップと、シャフトの長手方向軸線に対してある角度でシャフトから延在する第1のチューブの一部を屈曲させるステップとを含んでもよい。
【0019】
本方法は、シャフトの第2のルーメンの開口部を介して挿入装置のシャフトから第2のチューブを展開するステップと、第2の医療器具を第1のチューブのルーメンを通って第2の第1のチューブの遠位端の開口部から外へ前進させるステップと、シャフトから延在する第2のチューブの一部をシャフトの長手方向軸線に対してある角度で屈曲させるステップとをさらに含んでもよく、第1のチューブを屈曲させるステップは、シャフトの近位端から延在するハンドルに取り付けられた第1のジョイスティックを作動させるステップを含んでもよく、第2のチューブを屈曲させるステップは、ハンドルに取り付けられた第2のジョイスティックを作動させるステップを含んでもよく、第1のチューブおよび第2のチューブは、互いに独立して屈曲するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明と共に、開示される実施形態の趣旨を説明する役割を果たす。
図1】一実施形態による医療システムの概略図である。
図2】一実施形態による、図1の内視鏡システムの概略図である。
図3】一実施形態による、図2の内視鏡システムの近位端である。
図4】一実施形態による、図2の内視鏡システムの遠位端である。
図5A】一実施形態による、図2の内視鏡システムの近位端である。
図5B】一実施形態による、図2の内視鏡システムの遠位端の図である。
図5C】一実施形態による、図2の内視鏡システムの遠位端の図である。
図5D】一実施形態による、図1の医療システムのアクチュエータを示す。
図5E】一実施形態による、図2の内視鏡システムの遠位端の図である。
図5F】一実施形態による、図2の内視鏡システムの遠位端の図である。
図6】一実施形態による、図2の線6-6に沿った断面図である。
図7】一実施形態による、図2の内視鏡システムのハンドルの側面図である。
図8】一実施形態による、図2の内視鏡システムの制御装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、標的部位にアクセスするための、例えば、内視鏡の遠位端において様々な方向および/または様々な角度から標的部位にアクセスするための例示的な医療システムおよび医療ツールを参照して説明される。これは、改善された医療ツール機能性を提供し、および/または医療専門家が、医療処置を行うために標的部位への改善されたアクセスを得るのを支援し得る。しかしながら、任意の特定の装置および/または任意の特定の処置への言及は、便宜のためにのみ提供され、本開示を限定することを意図しないことに留意されたい。当業者は、開示される装置および適用方法の基礎をなす概念が、任意の好適な処置、医療または他のものにおいて利用され得ることを認識するであろう。本開示は、以下の説明および添付の図面を参照して理解することができ、同様の要素は同じ参照番号で参照される。
【0022】
説明を容易にするために、開示される装置および/またはそれらの構成要素の部分は、近位部分および遠位部分と称される。「近位」という用語は、装置のユーザにより近い部分を指すことが意図され、「遠位」という用語は、本明細書では、ユーザからより離れた部分を指すために使用されることに留意されたい。同様に、「遠位に」延在するとは、構成要素が遠位方向に延在することを示し、「近位に」延在するとは、構成要素が近位方向に延在することを示す。さらに、本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、述べられたまたは暗示された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。さらに、構成要素/表面の幾何学的形状を示す用語は、正確な形状および近似的な形状を指す。
【0023】
図1を参照すると、一実施形態による医療システム10が示されている。医療システム10は、患者1000(または患者1000の一部、例えば脚、腕など)を支持するための患者台20と、1つ以上の作動装置30a、30bを支持するための台30(または他の支持装置)と、内視鏡システム100(例えば挿入装置)を支持することができる支持装置40とを含んでもよい。作動装置30a、30bは、本明細書に説明されるように、例えば、内視鏡システム100を介して、患者1000の中の標的部位に送達され得る1つ以上の医療装置を受容してもよい。ユーザ1100は、アクチュエータ40a、40b(例えば、無線または有線(ワイヤは図示せず)であり得るフットペダル)を含む内視鏡システム100を操作して、本明細書に説明されるように、作動装置30a、30bを作動させるとともに、内視鏡システム100の1つ以上の部分を作動させ得る。
【0024】
図2に示されるように、内視鏡システム100はハンドル110を含む。ハンドル110は、クリップ、ストラップ(図示せず)、ハンドル110内のねじ山付き部材に取り付けられるねじ(図示せず)、または任意の他の取付機構を介して、図1の支持装置40によって支持されてもよい。支持装置40は、3脚支持部材(例えば、三脚)として示されているが、支持装置40は、4脚支持部材(台など)または任意の数の脚を有する任意の他の支持装置であってもよい。支持装置40は、本明細書に説明されるように、ユーザ1100が患者1000に対して1つ以上の医療処置を行うことを可能にするように、患者1000および/または台20に対して固定様式でハンドル110を支持してもよい。
【0025】
引き続き図1を参照すると、作動装置30a、30bは、テーブル30の上に支持されてもよい。2つの作動装置30a、30bが示されているが、任意の数のアクチュエータが設けられてもよい。作動装置30aは、図2に示される第1の医療器具150のハンドル150aを受容し得、作動装置30bは、図2に示される第2の医療器具152のハンドル150bを受容し得る。本明細書に説明されるように、作動装置30a、30bは、第1の医療器具150および/または第2の医療器具152(例えば、第1の医療器具150および/または第2の医療器具152の遠位端にある1つ以上のツールまたはエンドエフェクタ)を作動させるように作動され得る。作動装置30a、30bは台30によって支持されるが、作動装置30a、30bは、支持装置40、患者台20などを含む医療システム10の任意の他の装置に取り付けられてもよく、それによって支持されてもよいことが理解されるであろう。
【0026】
図2を参照すると、内視鏡システム100は、ハンドル110と、ハンドル110の遠位端に連結されたシャフト120(例えば、カテーテル)と、シャフト120の遠位端にある遠位エンドエフェクタ180とを含み得る。シャフト120は、可撓性であってもよく、体内の蛇行経路にアクセスするために好適な任意の医療グレード材料から形成されてもよいが、シャフト120の剛性/可撓性は、限定されない。内視鏡システム100は、内視鏡、結腸鏡、気管支鏡、尿管鏡、十二指腸鏡、または他の同様の装置(図示せず)であってもよい。
【0027】
図3に示されるように、ハンドル110、または内視鏡システム100および内視鏡システム100に関連する任意のツール、装置、または器具を作動または制御するための同様の装置は、第1および第2の作動装置42、43を含む。装置42、43は、シャフト20、および/またはシャフト120の遠位端180における、もしくはシャフト120の遠位端180に近位の関節運動継手の関節運動を複数の方向に制御する。装置42、43は、例えば、シャフト120の作動ルーメン124(図6)内に延在する作動要素126を押す/引くために、それらの軸を中心に回転する回転可能なノブであってもよい。医療処置に適したケーブルまたはワイヤ(例えば、医療グレードのプラスチックまたは金属)などの作動要素126は、内視鏡システム100の近位端から遠位に延在し、シャフト120に連結してその移動を制御する。代替的にまたは追加的に、ユーザは、ハンドル110から独立して作動要素126を操作してもよい。作動要素126の遠位端は、シャフト120の作動ルーメン124を通って延在し、シャフト120の作動継手および/または遠位端180で終端する。作動継手は遠位端180の一部であってもよく、または作動継手はシャフト120の遠位端および遠位端180の近位端に取り付けられてもよいことが理解されるであろう。例えば、1つ以上の作動要素126は、関節運動継手に連結されてもよく、作動要素126の作動は、複数の方向に移動するように、シャフト120の作動継手または遠位端180を制御してもよい。
【0028】
1つ以上の電気ケーブル(図6に示される、撮像ルーメン154aの中に配置される電気ケーブル154b、または光ルーメン182aの中に配置される電気ケーブル182bなど)は、シャフト120の近位端からシャフト120の遠位端180まで延在してもよい。ケーブル(例えば、ケーブル154bまたは182b)は、シャフト120の遠位端180における撮像装置、照明装置、および/または他の電気装置に電気制御を提供してもよく、シャフト120の遠位端180における撮像装置182(例えば、カメラまたは他の画像センサ)および/または発光装置184(図5F)から近位にまたはそれらへ遠位に撮像信号を搬送して、例えば、ユーザインターフェースから撮像装置182および/または発光装置184に信号を送信し、撮像装置182からの信号を搬送して、処理および/またはディスプレイ上に表示するなどしてもよい。
【0029】
ハンドル110はまた、図3に示され、以下に説明されるポート136a、136b、または図6に示される吸引/洗浄ルーメン186aに接続されるポート200などの1つ以上のポートを含んでもよい。これらの態様において、ポート136a、136b、および200は、ツール、流体、または他の物質を患者に導入および/または患者から除去するために使用され得る。本明細書に説明されるように、ポート136a、136bは、ツールまたは器具、例えば、それぞれ、第1および第2の医療器具150、152を導入するために使用されてもよい。吸引/洗浄ルーメン186aに接続されるポート200は、流体および/または吸引を導入するために、アンビリカス(umbilicus)に接続されてもよい。さらに、アンビリカスは、電子構成要素のための配線(例えば、ケーブル154bおよび/または182bに接続される配線)を含んでもよい。吸引ルーメン186aの遠位端の開口部186が図5Fに示されている。
【0030】
図2を参照すると、制御装置130a、130bは、ハンドル110に連結され、矢印B(図5A)によって示されるように、ハンドル110に対して近位-遠位方向に移動し得る。制御装置130a、130bは、ハンドル110の外面上に配置され、ハンドル110の外周の周りに互いから約180度に配向され得る。しかしながら、ハンドル110は、1つの制御装置130aのみを含んでもよく、または3つ、4つ、もしくはそれより多くの制御装置130a、130b、...130nを含んでもよく、制御装置130a、130bは、ハンドル110の外周の周りの任意の位置に配置されてもよいことが理解されるであろう。理解を容易にするために、制御装置130aが参照されるが、制御装置130aの説明は、別段の記載がない限り、制御装置130b(およびハンドル110上の任意の追加の制御装置)に等しく適用される。
【0031】
図2および図8を参照すると、制御装置130aは、一端にボールベアリング195が取り付けられたジョイスティック132aを含む。ボールベアリング195は、概ね球形であってもよく、ハウジング190のソケット191内の概ね球形の開口部内に配置されてもよい。ボールベアリング195は、ユーザ(例えば、図1の医師1100)が、図5Aの矢印Dによって示されるように、任意の方向にジョイスティック132aに力を印加すると、ソケット191内で、任意の方向、例えば、360度に移動するように構成される。ボールベアリング195は、ソケット191のハウジング190内に位置してもよく、ハウジング190の1つ以上の内壁によって支持されてもよく、および/またはそれに接触してもよい。ハウジング190の内壁は、ボールベアリング195の移動方向を規定し得る。
【0032】
ボールベアリング195は、ボールベアリング195から半径方向外側に延在する複数の突出部193を有してもよい。突出部193は、1つ以上の作動ワイヤ192をボールベアリング195に結合するための、ボールベアリング195内の任意の要素(例えば、スリット、孔、開口部など)であってもよい。突出部193は、ボールベアリング195が本明細書に説明される任意の方向に移動することを可能にするように、ソケット191のスロット(符号なし)内で移動し得る。各突出部193には、作動ワイヤ192が取り付けられている。3つの作動ワイヤ192が図8に示されているが、ボールベアリング195から延在する突出部193の数に基づいて、任意の数の作動ワイヤ192(例えば、2つ、4つ、5つなど)が使用され得ることが理解されるであろう。各作動ワイヤ192は、そのそれぞれの突出部191から遠位方向に延在し、第1のチューブ160(図4に示される第1のチューブ160)(例えば、作業チャネル)の遠位端に連結する。このようにして、以下に説明するように、ソケット191内でのボールベアリング195の移動は、作動ワイヤ192の1つ以上を押したり引いたりすることができ、したがって、第1のチューブ160の遠位端を操作することができる。追加のワイヤ192は、本明細書に説明されるように、第1のチューブ160の遠位端の制御装置の改善された操縦性を提供し得ることが理解されるであろう。第1のチューブ160は、約2.8mmの直径を有し得るが、任意のサイズであってもよく、それに限定されない。第1のチューブ160は、第1のルーメン122a内に嵌合するようにサイズ決定されてもよく、そのサイズも限定されないことが理解されるであろう。いくつかの例では、第1のチューブ160の直径は、約1.0mm~約10.0mmであってもよく、第1のルーメン122aの直径は、第1のチューブ160の直径よりも約0.254mm(約.010インチ)大きくてもよい。
【0033】
引き続き図8を参照すると、第1のチューブ160の近位端は、制御装置130aの遠位端の開口部を通り、制御装置130aのルーメン(符号なし)を通り、制御装置130aの側面の開口部を通って延在する。第1のチューブ160の近位端(図8において138aとして識別される)は、コレットを含み得る、ポート136aの中で終端する。ポート136aのコレットは、ロック部材139aを含んでもよい。ロック部材139aは、ロック部材139aと第1の医療器具150のシャフト170(図2)との間にシールを提供し得る(すなわち、流体シールを形成し得る)可動膜(図示せず)によって覆われた開口部を含んでもよい。例えば、ロック部材139aは、ねじ式装置であってもよく、ねじ山を介して軸線を中心に回転してもよい。第1の医療器具150のシャフト170がロック部材139aの開口部に挿入されるとき、ロック部材139aは、第1の方向に回転されて、シャフト170をロック部材139aに対してロックし、シャフト170とロック部材139aとの間にシールを形成してもよい。ロック部材139aは、ロック部材139aに対してシャフト170をロック解除するために、第1の方向と反対の第2の方向に回転させられてもよい。
【0034】
図3および図5Aを参照すると、スロット114は、内視鏡システム100の長手方向軸線Aに対して近位-遠位方向に延在してもよい(長手方向軸線Aについては図2を参照)。スロット114は、ハンドル110の両側に提供されてもよく、制御装置130a、130bがそれぞれのスロット114内で近位方向および遠位方向に移動することを可能にするように構成されてもよい。例えば、制御装置130aは、図5Aの矢印Bによって示されるように、スロット(図示せず)内で近位方向および遠位方向に移動させられ得る。制御装置130bはまた、スロット114内で、矢印Bによって示される近位方向および遠位方向に移動し得る。制御装置130aの移動は、第1のチューブ160の遠位端が、図5Bに示される矢印Cによって示される方向に近位および遠位に移動することを可能にし得る。例えば、制御装置130aの遠位移動は、第1のチューブ160の最遠位端をシース120(図4に示される)の最遠位端の遠位に延在させ得る。同様に、制御装置130aの近位移動は、第1のチューブ160の最遠位端をシース120の最遠位端と同一平面にさせるか、またはシース120の最遠位端に対して近位に延在させ得る。近位方向および遠位方向への制御装置130bの同様の移動は、制御装置130bに取り付けられる第2のチューブ162(例えば、作業チャネル)の同様の移動を引き起こし得る。第1のチューブ160と同様に、第2のチューブ162は、約2.8mmの直径を有し得るが、任意のサイズであってもよく、それに限定されない。第2のチューブ162は、第1のルーメン122b内に嵌合するようにサイズ決定されてもよく、そのサイズも限定されないことが理解されるであろう。いくつかの例では、第2のチューブ162の直径は、約1.0mm~約10.0mmであってもよく、第1のルーメン122bの直径は、第2のチューブ162の直径よりも約0.254mm(約.010インチ)大きくてもよい。場合によっては、第1のチューブ160および第2のチューブ162の直径は同じであってもよく、第1のルーメン122aおよび第1のルーメン122bの直径は同じであってもよい。しかしながら、これらの直径は異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0035】
図7を参照すると、ガスケット210、突出部、または同様の装置が、第1のチューブ160の近位端において第1のチューブ160の外面から延在してもよい。図示されていないが、第2のチューブ162もまた、ガスケット210または他の同様の装置を含んでもよい。ガスケット210は、スロット114内で摺動し得るとともに、ハンドル110の1つ以上の壁に接触し得、それによって、ガスケット210とハンドル110との間の摩擦が増加し得る。この増加した摩擦は、制御装置130a、130bを近位方向および遠位方向に移動させるために必要な力を増加させ得る。この状況では、ガスケット210は、ロック機構と同様に作用し得、摩擦力に打ち勝つのに十分な近位方向または遠位方向の力が印加されない限り、ハンドル110に対する制御装置130a、130bの近位移動または遠位移動を防止するのに役立ち得る。このようにして、シース120に対する第1のチューブ160および/または第2のチューブ162の遠位端の位置は、制御装置130a、130bに十分な力が印加されるまで、医療処置中に維持され得る。
【0036】
ガスケット210は、追加的または代替的に、追加のロック部材および/または追加の摩擦増加部材を含んでもよい。例えば、ラチェット装置が提供されて、ラチェット装置によって提供される力に打ち勝つのに十分な力が提供されない限り、近位方向および遠位方向への制御装置130a、130bの移動を防止してもよい。追加的または代替的に、複数の突出部が、スロット114の各々に隣接して、ハンドル110の外面に沿って提供されてもよい。ストラップまたは他の装置が、制御装置130a、130bに取り付けられてもよく、複数の突出部のうちの1つ以上に取り付けられてもよく、近位方向または遠位方向への制御装置130a、130bの移動を防止または低減してもよい。このようにして、近位/遠位方向における第1および第2のチューブ160、162の位置は、医療処置中に維持され得る。
【0037】
上述したように、図2の線6-6に沿ったシース120の断面が図6に示されている。シース120は、第1のルーメン122aおよび第2のルーメン122bを含む。第1のチューブ160は、第1のルーメン122a内でシース120の近位端からシース120の遠位端まで延在する。第2のチューブ162は、同様に、第2のルーメン122b内でシース120の近位端からシース120の遠位端まで延在する。第1のチューブ160および第2のチューブ162の各々は、複数の作動ワイヤ192をそれぞれ含む。本明細書に説明されるように、作動ワイヤ192の各セットは、任意の数のワイヤ(図6では4つであるが、数はそれに限定されず、例えば、2つ、3つ、またはそれより多い)を備える。第1のチューブ160は、作動ワイヤ192が第1のチューブ160の壁によって取り囲まれ、その全長に沿って第1のチューブ160に連結されるように、作動ワイヤ192の周囲に押出成形されてもよい。代替的に、作動ワイヤ192は、第1のチューブ160の壁内に形成されるそれぞれのルーメン160a内に配置されてもよく、作動ワイヤ192は、第1のチューブ160の遠位端のみに取り付けられてもよい。1つ以上の態様では、作動ワイヤ192は、第1のチューブ160に沿った特定の点のみに取り付けられてもよい。作動ワイヤ192は、同様に、第2のチューブ162のルーメン162a内に取り付けられ得る。このようにして、ジョイスティック132a、132bの移動により、本明細書に説明されるように、それぞれ第1のチューブ160および第2のチューブ162の遠位端の屈曲(例えば、関節運動)が引き起され得る。
【0038】
図4および図6を参照すると、第1のチューブ160は、ハンドル110からシャフト120の第1のルーメン122aを通って延在してもよく、第1のルーメン122a内で近位および遠位に移動してもよい。第2のチューブ162は、ハンドル110からシャフト120の第2のルーメン122bを通って延在してもよく、第2のルーメン122b内で近位および遠位に移動してもよい。第1のチューブ160および第2のチューブ162の移動は、それぞれ、制御装置130aおよび制御装置130bによって制御されてもよい。例えば、スロット114内での矢印Bによって示される(図5A)ような遠位方向への制御装置130aの移動は、第1のルーメン122a内で第1のチューブ160を遠位方向に移動させ得る。スロット114内での矢印Bによって示されるような近位方向への制御装置130aの移動は、第1のルーメン122a内で第1のチューブ160を近位方向に移動させ得る。スロット114内の制御装置130bの移動は、同様に、第2のルーメン122b内で第2のチューブ162を近位および遠位に移動させ得る。
【0039】
図5C、5D、および5Eを参照すると、第1のチューブ160および第2のチューブ162の一方または両方は、対応するジョイスティック132aまたはジョイスティック132bを移動させることによって、第1のチューブ160または第2のチューブ162の長手方向軸線に沿った所定の位置で屈曲させられ得る(例えば、関節接合されてもよい)。例えば、ジョイスティック132aまたはジョイスティック132bが、図5Aの矢印Dによって示される方向に移動されると、作動ワイヤ192は、対応するワイヤルーメン160aまたは162a内でそれぞれ押されるかまたは引かれる。ワイヤ192のこの移動は、第1のチューブ160または第2のチューブ162の遠位端を屈曲させ得る。例えば、第1のチューブ160または第2のチューブ162は、第1の位置(例えば、中立位置)において長手方向軸線Aに平行な軸線に沿って位置してもよい。ユーザがジョイスティック132aまたはジョイスティック132bを移動させたとき、対応する第1のチューブ160または第2のチューブ162の遠位端は、第1のチューブ160の一部または第2のチューブ162の一部が第1の位置から第2の位置に移行するように屈曲することができ、第2の位置は、長手方向軸線Aに対して非平行に延在する第1のチューブ160の一部または第2のチューブ162の一部を含む。言い換えれば、第1のチューブ160および第2のチューブ162は、1つ以上の平面内で互いに独立して屈曲することができ、例えば、全方向可動性である。
【0040】
引き続き図6を参照すると、第1のチューブ160はルーメン166を含んでもよく、第2のチューブ162はルーメン168を含んでもよい。図5C図5D、および図5Eを参照すると、第1の医療器具150(図2)のシャフト170は、第1のチューブ160のルーメン166内に延在し、その中で移動してもよく、第2の医療器具152(図2)のシャフト172は、第2のチューブ162のルーメン168内に延在し、その中で移動してもよい。図5C、5D、および5Eに示されるように、シャフト170および172の遠位端は、把持器、切断装置(鋏、ナイフ、組織切除装置、電極など)、アブレーションツール、鉗子(例えば、ヒンジによって連結される2つのジョーなど)、スネア、または任意の他の医療ツールなどの医療ツールを含んでもよく、またはそれに結合されてもよい。本明細書で説明されるように、シャフト170および172は、シャフト170、172の遠位端におけるツールが標的部位で露出され得るように、それぞれ、第1のチューブ160および第2のチューブ162の最遠位端から延在してもよい。これらのツールの動作、例えば、把持装置のジョーを開閉することが、本明細書で説明される。
【0041】
図2を参照すると、各第1の医療器具150はハンドル150aを含み、第2の医療器具152はハンドル152aを含む。図2ではプランジャ式ハンドルとして示されているが、ハンドル150a、152aは、それぞれシャフト170、172の遠位端におけるツールを作動させるための任意の医療用ハンドルであってもよい。各ハンドル150a、152aは、図1に示す作動装置30a、30bのうちの1つに取り付けられてもよい。例えば、ハンドル150aは作動装置30aに取り付けられてもよく、ハンドル150bは作動装置30bに取り付けられてもよい。各作動装置30a、30bは、固定部材および可動部材を含んでもよい。固定部材は、ハンドル150a、150bの本体の位置を固定することができ、一方、可動部材は、ハンドル150a、150bのプランジャ(または可動部分)を固定することができる。本明細書で説明されるように、作動装置30a、30bの作動は、可動部材を固定部材に対して移動させ得る。このようにして、ハンドル150a、150bのプランジャ(または可動部分)は、ハンドル150a、150bの本体に対して移動することができ、これにより、ハンドル150a、150bの遠位端でツールまたはエンドエフェクタを動作させることができる。
【0042】
作動装置30aは、アクチュエータ40aを介して(有線接続(図示せず)または無線接続のいずれかを介して)作動されてもよく、作動装置30bは、同様にアクチュエータ40bを介して作動されてもよい。アクチュエータ40a、40bは、図1ではフットペダルとして示されているが、本開示はそのように限定されず、アクチュエータ40a、40bは、例えば、ハンドル110上に位置付けられたボタン、レバー、ノブなど、別個のユーザインターフェースまたはディスプレイ、ロボットアクチュエータなどであってもよい。代替的または追加的に、アクチュエータ40a、40bは、音声作動式であってもよく、ユーザの動きまたは特定の点滅シーケンス(例えば、カメラによって取り込まれるユーザの動き)を介して作動されてもよく、または当該技術分野において既知の任意の他の方法であってもよい。
【0043】
一例として、ユーザは、アクチュエータ40aを足で押下してもよく、これにより、作動装置30aおよびハンドル150aのプランジャを移動させることができる。これにより、第1の医療器具150の遠位端にあるツールのジョーを開位置から閉位置に移動させることができる。アクチュエータ40aからユーザの足を取り除くことにより、ツールのジョーを開かせることができる。別の例として、ツールは、レーザファイバを含んでもよく、それによって、アクチュエータ40aを押下することにより、レーザエネルギーを発射させることができ、アクチュエータ40aを解放することにより、レーザエネルギーの発射を停止させることができる。いくつかの例では、アクチュエータ40aを押下することにより、電極を組織内に延在させ、かつ/または電極に通電することができる。アクチュエータ40bは、アクチュエータ40aと同様に操作されてもよく、ハンドル152aのプランジャを移動させて、第2の医療器具152の遠位端にあるツールを作動させてもよい。ツールは、任意の医療ツールであってもよく、ハンドル150a、152aは、プランジャ式ハンドルに限定されないことが理解されるであろう。例えば、ハンドル150a、150bは、第1および第2の医療器具150、152のノブまたは他の既知の作動部材または作動ツールまたはエンドエフェクタを含んでもよい。
【0044】
次に、医療システム10を操作する方法について説明する。シャフト120は、自然開口部、切開、または体内の任意の他の開口部を介して、体内、例えば、図1の患者1000の体内に挿入され、標的部位に前進させられてもよい。医療専門家は、シャフト120の遠位端における1つ以上の発光要素184および/または可視化装置182を使用して、標的部位を可視化してもよく、例えば、可視化装置182は、アンビリカスを介してユーザインターフェースまたはディスプレイに結合される。第1の医療器具150は、ポート136aのロック部材139aの開口部を介して、第1のチューブ160のルーメン166に、その近位端にて導入されてもよく、医療器具152は、対応する制御装置130bのロック部材の開口部を介して、第2のチューブ162のルーメン168に、その近位端にて導入されてもよい。第1の医療器具150および第2の医療器具152は、医療処置中の任意の時点で、例えばシャフト120が患者1000の体内に挿入される前または後に、それぞれルーメン166、168内に導入されてもよい。ロック部材139aは、ロック部材を時計回りまたは反時計回りに回転させることによって、ロックまたはロック解除され得る。ロック部材139aは、第1の医療器具150および第2の医療器具152がそれぞれルーメン166、168内で移動されることを可能にするように、処置中の任意の時点でロックまたはロック解除されてもよい。
【0045】
シャフト120の遠位端を標的部位に位置付けた後、ユーザは、第1のチューブ160の遠位端および/または第2のチューブ162の遠位端が、図5Bの矢印Cによって示されるように、シャフト120の最遠位端の遠位に延在するように、第1のチューブ160および第2のチューブ162の一方または両方を遠位方向に前進させてもよい。本明細書に説明されるように、シャフト120に対する第1のチューブ160および第2のチューブ162のこの遠位移動は、ユーザが制御装置130a、130bを図5Aの矢印Bによって示される遠位方向に移動させることによって引き起こされる。例えば、ユーザは、親指および人差し指を使用して、制御装置130a、130bの一方または両方を把持し、スロット114内で制御装置を遠位に移動させてもよい。このようにして、ユーザは、第1のチューブ160および/または第2のチューブ162の遠位端をシャフト120の最遠位端の遠位に移動させてもよい。
【0046】
第1のチューブ160または第2のチューブ162がシャフト120の最遠位端の遠位に延在すると、ユーザは、ジョイスティック132aまたはジョイスティック132bを使用して、それぞれ、第1のチューブ160または第2のチューブ162を関節運動させてもよい。例えば、ユーザは、図5Aのジョイスティック132aを親指および人差し指(または所望であれば任意の他の指)を使用して把持してもよく、ジョイスティック132aを図5Aの矢印Dによって示される任意の方向に移動させてもよい。例えば、ユーザの第1の手がハンドル110を把持しつつ、ユーザの第2の手がジョイスティック132aまたはジョイスティック132bを操作してもよい。代替的に、ハンドル110は、例えば、支持装置40によって固定されてもよく、それによって、ユーザが、第1の手を使用してジョイスティック130aを操作し、第2の手を使用してジョイスティック130bを操作することが可能となり得る。図5C、5E、および5Fに示されるように、ジョイスティック132aの任意の360度方向への移動は、第1のチューブ160の遠位端の対応する移動を引き起こし得る。ジョイスティック132aまたはジョイスティック132bの移動は、第1のチューブ160または第2のチューブ162の遠位端に同様の移動を与えることができる。例えば、ジョイスティック132aが1つの方向に30度動かされる場合、第1のチューブ160の遠位端は、対応する方向に30度屈曲させられ得る。第1のチューブ160および第2のチューブ162の遠位端の屈曲角度は、ジョイスティック132aまたはジョイスティック132bの移動の程度に限定されないことが理解されるであろう。ジョイスティック132aの関節運動の前、間、または後に、第1の医療器具150は、シース170の遠位端および対応するツールが第1のチューブ160の最遠位端の遠位に延在するように、遠位方向に前進させられ得る。ユーザは、シース170の遠位端にあるツール、例えば、把持器が標的組織と位置合わせされるように、ジョイスティック132aを移動させ、および/またはシース170を第1のチューブ160内でそれに対して移動させ続けてもよい。ユーザは、可視化装置182を介して伝送される画像を示すモニタ上で、例えば、ユーザインターフェースまたはディスプレイ上で、標的組織を可視化し得ることが理解されるであろう。
【0047】
組織がツールに対して適切に位置付けられると、ユーザは、ユーザの足でアクチュエータ40aを押下することによって、アクチュエータ40aを作動させてもよい。ツールが把持器である場合、アクチュエータ40aの作動は、第1の医療器具150のハンドル内のプランジャを第1の方向に移動させ、把持器のジョーを組織の周囲で閉じさせ得る。ユーザは、アクチュエータ40aからユーザの足を持ち上げてもよく、それによって、第1の医療器具150のハンドル内のプランジャ(または他の可動要素)が反対方向に移動され得、それにより、ツールのジョーを開放し得る。
【0048】
チューブ162の遠位端の同様の関節運動が、ジョイスティック132bを使用して行われ得ることが理解されるであろう。加えて、ユーザは、第2の医療器具152のシース172を第2のチューブ162内で、本明細書に説明されている(例えば、図5F)のと同様の方法で移動させてもよい。ユーザは、アクチュエータ40bを押下または解放して、医療器具152のハンドルを作動させてもよい。これは、シース172の遠位端にあるツールを動作させ得る(例えば、切断ツールを開閉する、別の把持要素を開閉する、ツールを使用して装置を展開する、または任意の類似動作)。
【0049】
ユーザが標的部位で作業を完了すると、ユーザは、シャフト120を体から除去してもよい。いくつかの例では、第1のチューブ160および第2のチューブ162の一方または両方、および/または第1の医療器具150および第2の医療器具152の一方または両方は、シャフト120の最遠位端の遠位に延在し得る。一例では、第1の医療器具150は、組織を把持するための把持要素を含んでもよく、第2の医療器具152は、体から組織を切断または切開するための切断要素を含んでもよい。例えば、標的部位から組織の一部を除去することが望ましい場合がある。この場合、ツールのうちの1つ以上は、シャフト120の最遠位端の遠位に組織を把持してもよく、この組織は、シャフト120を体から除去することによって、体から除去されてもよい。ユーザはまた、ノブ42、43を使用してシャフト120を屈曲または関節運動させてもよく、それによって、第1のチューブ160および第2のチューブ162、ならびにその中に延在する任意のツールが、シャフト120と同じ方向に屈曲させられるであろうことが理解されるであろう。
【0050】
様々な医療システムを説明してきたが、これらの医療システムにおける要素の特定の配置は限定されないことが理解されるであろう。さらに、医療システムのカテーテルもしくはシャフトのサイズおよび形状、または医療システムとともに使用される医療器具、および/またはシステムを展開する方法は、限定されない。本明細書の例に説明されるように、内視鏡シースのルーメン内のチューブは、内視鏡シースの最遠位端の遠位に延在されてもよく、チューブのルーメン内に延在する医療器具のための独立した関節運動を提供するように独立して屈曲または関節運動されてもよく、可視化および/または標的部位へのアクセスを改善する。例えば、特定の処置では、複数の異なる方向から標的部位にアクセスすることは、医療処置の結果を改善し得、医療処置の時間を短縮し得、医療処置後の患者の回復時間を改善し得る。加えて、個々の第1および第2のチューブ160、162は、高い操縦力、高い持ち上げ力、より短い関節運動半径、および高い解離力を付与し得る。さらに、ハンドル110上に制御部(例えば、制御装置130a、130b)を提供することは、1人のユーザが医療システム10を操作することを可能にし得る。例えば、ユーザは、一方のハンドルを使用してハンドル110を保持することができ、他方の手を(片足または両足と共に)使用して、医療ツールの独立したおよび/または同時の関節動作、並進、および/または作動を提供することができる。例えば助手が体内での医療システム10の誘導、位置決め、および/または操作を支援して、1人より多くのオペレータが、医療システム10を使用してもよいことが理解されるであろう。
【0051】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された装置に様々な修正および変形が行われ得ることが当業者には明らかであろう。例えば、最大屈曲角度、チューブの長手方向における屈曲の位置、および内視鏡シース内で延在および移動するチューブの数は、所望の医学的治療に基づいて修正される。本開示の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示される発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
【国際調査報告】