IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニベルシテ ドゥ カーン ノルマンディの特許一覧 ▶ セントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・サイエンティフィーク・セエヌアールエスの特許一覧 ▶ エコール ナシオナル シュペリウール ダンジェニユール ドゥ カーンの特許一覧

特表2024-525459自律システムの知識ベース推論のためのシステム及び方法
<>
  • 特表-自律システムの知識ベース推論のためのシステム及び方法 図1
  • 特表-自律システムの知識ベース推論のためのシステム及び方法 図2
  • 特表-自律システムの知識ベース推論のためのシステム及び方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】自律システムの知識ベース推論のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 5/04 20230101AFI20240705BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240705BHJP
   G06N 5/022 20230101ALI20240705BHJP
【FI】
G06N5/04
G06N20/00
G06N5/022
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580561
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2022056021
(87)【国際公開番号】W WO2023275763
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21305893.6
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21305894.4
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21305895.1
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21305896.9
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515334773
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ カーン ノルマンディ
(71)【出願人】
【識別番号】506310061
【氏名又は名称】セントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・サイエンティフィーク・セエヌアールエス
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE CNRS
(71)【出願人】
【識別番号】521366931
【氏名又は名称】エコール ナシオナル シュペリウール ダンジェニユール ドゥ カーン
【氏名又は名称原語表記】ECOLE NATIONALE SUPERIEURE D’INGENIEURS DE CAEN
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムアディブ,アブデル-イラーフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンピエール,ローラン
(57)【要約】
自律システムによるアクティブオブジェクティブのリストを確立するための知識ベース推論のための方法及びシステム。本方法は、アクティブオブジェクティブのリストにアクセスすることと、静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースにアクセスすることであって、静的環境プロパティはエンティティのプロパティを画定し、エンティティは、自律システムが動作するように構成される環境を画定する、アクセスすることと、自律システムによって観測されているイベントに基づいて自律システムによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含む動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースにアクセスすることと、を含む。新しいイベントを観測すると、新しい動的環境プロパティが新しいイベントに基づいて生成され、新しい動的環境プロパティが静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するかどうかを評価するためにコヒーレンスチェックが実行され、競合する場合、新しい動的環境プロパティはインコヒーレントとして識別される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律システムを動作させるためのコンピュータ実装方法であって、前記自律システムは、イベントを観測するように構成された1つ以上の検知デバイスであって、前記イベントは、エンティティの特性を記述し、前記エンティティは、前記自律システムが動作するように構成されている環境を画定する、1つ以上の検知デバイスと、前記コンピュータ実装方法を実行するように構成されたプロセッサと、を備え、
前記方法は、
アクティブオブジェクティブのリストにアクセスすることであって、前記アクティブオブジェクティブの各々は、パラメータのセットと、前記プロセッサによって実行されると、前記自律システムが前記パラメータのセットに従ってタスクを実施することをもたらす第1のコンピュータ可読命令と、を含む、アクセスすることと、
静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースにアクセスすることであって、前記静的環境プロパティは、エンティティの所定のプロパティ及び前記エンティティ間の関係を定義する第2のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、
動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースにアクセスすることであって、前記動的環境プロパティは、前記1つ以上の検知デバイスによって観測されたイベントに基づいて前記プロセッサによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、
前記1つ以上の検知デバイスによって、前記環境内の新しいイベントを観測すると、
前記新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを生成することと、
前記新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力することと、
前記新しい動的環境プロパティ及び前記静的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行することであって、前記コヒーレンスチェックは、前記新しい動的環境プロパティを全ての前記静的環境プロパティと比較して、前記新しい動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するかどうかを評価することを含み、競合は、前記新しい動的環境プロパティと前記静的環境プロパティのうちの前記少なくとも1つとの間の論理的非互換性を表す、実行することと、
前記新しい動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合する場合、前記新しい動的環境プロパティがインコヒーレントであると判定することと、
前記新しい動的環境プロパティがインコヒーレントであると判定したことに応答して、
候補オブジェクティブがポピュレートされた第3のデータベースにアクセスすることと、
前記候補オブジェクティブのうちの1つから、かつ前記新しいイベントに基づいて、新しいアクティブオブジェクティブを生成することであって、前記新しいアクティブオブジェクティブは、前記自律システムによって実施されるタスクについての情報を含む、生成することと、
前記新しいアクティブオブジェクティブを前記アクティブオブジェクティブのリストに入力することと、
前記アクティブオブジェクティブのリストのアクティブオブジェクティブに基づいて前記自律システムを動作させることと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記新しいイベントに基づいて前記候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することは、
前記第3のデータベースの前記候補オブジェクティブから候補オブジェクティブを選択することと、
前記新しいイベントに基づいて新しいアクティブオブジェクティブパラメータを生成することと、
前記新しいアクティブオブジェクティブパラメータを前記選択された候補オブジェクティブに関連付けることと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3のデータベースの各候補オブジェクティブは、アクティブ化条件を含み、前記アクティブ化条件は、1つ以上の動的環境プロパティに対応し、前記アクティブ化条件は、前記対応する1つ以上の動的環境プロパティが前記第2のデータベース内で見つかったという判定が行われた場合に満たされ、前記第3のデータベースの前記候補オブジェクティブからの候補オブジェクティブの選択は、前記候補オブジェクティブの前記アクティブ化条件に基づいている、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデータベースは、常識ルールを更に含み、各常識ルールは、前記エンティティの一般的プロパティ及び前記エンティティ間の一般的関係を定義する第5のコンピュータ可読命令を含み、各一般的プロパティは、エンティティのグループのプロパティであり、前記エンティティ間の各一般的関係は、エンティティのグループ間の関係である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記常識ルールは、前記自律システムのオペレータによってポピュレートされ、前記自律システムが動作するように構成されている前記環境の文化的コンテキストを記述する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記オペレータは、機械学習アルゴリズム(MLA)を用いて、前記常識ルールのうちの1つ以上を生成する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
新しいイベントに基づく新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力すると、前記新しい動的環境プロパティ及び前記常識ルールに対してコヒーレンスチェックが更に実行され、前記新しい動的環境プロパティが前記常識ルールのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、
候補オブジェクティブがポピュレートされた前記第3のデータベースにアクセスし、
前記新しいイベントに基づいて、前記候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成し、
前記新しいアクティブオブジェクティブを前記アクティブオブジェクティブのリストに入力する、
請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力すると、前記新しい動的環境プロパティ及び前記アクティブオブジェクティブのリストに対してコヒーレンスチェックが更に実行され、前記新しい動的環境プロパティが前記アクティブオブジェクティブのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、前記アクティブオブジェクティブのうちの前記少なくとも1つを前記アクティブオブジェクティブのリストから削除する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
動的環境プロパティの事前定義された組み合わせが前記第2のデータベース内で見つかったという判定が行われた場合、メタイベントを記述する1つ以上の動的環境プロパティが生成され、動的環境プロパティの各事前定義された組み合わせは、メタイベントに対応し、前記第2のデータベース内の対応する動的環境プロパティの生成を引き起こす、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
命令を含むコンピュータ可読サポートであって、前記命令が実行されると、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法のステップをコンピュータに実行させる、
コンピュータ可読サポート。
【請求項11】
アクティブオブジェクティブのリストを管理するように構成された自律システムであって、前記アクティブオブジェクティブの各々は、パラメータのセットと、前記自律システムによって実行されると、前記自律システムが前記パラメータのセットに従ってタスクを実施することをもたらす第1のコンピュータ可読命令と、を含み、前記システムは、
イベントを観測するように構成された1つ以上の検知デバイスであって、前記イベントは、エンティティの特性を記述し、前記エンティティは、前記自律システムが動作するように構成されている環境を画定する、1つ以上の検知デバイスと、
メモリであって、
静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースであって、前記静的環境プロパティは、エンティティの所定のプロパティ及び前記エンティティ間の関係を定義する第2のコンピュータ可読命令を含む、第1のデータベースと、
動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースであって、前記動的環境プロパティは、前記検出されたイベントに基づいて前記自律システムによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含む、第2のデータベースと、
候補オブジェクティブを含む第3のデータベースと、
を含む、メモリと、
前記メモリ及び前記1つ以上の検知デバイスに動作可能に結合され、命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記命令は、実行されると、
前記1つ以上の検知デバイスによって、前記環境内の新しいイベントを観測すると、
前記新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを生成することと、
前記新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力することと、
前記新しい動的環境プロパティ及び前記静的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行することであって、前記コヒーレンスチェックは、前記新しい動的環境プロパティを全ての前記静的環境プロパティと比較して、前記新しい動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するかどうかを評価することを含み、競合は、前記新しい動的環境プロパティと前記静的環境プロパティのうちの前記少なくとも1つとの間の論理的非互換性を表す、実行することと、
前記新しい動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合する場合、前記新しい動的環境プロパティがインコヒーレントであると判定することと、
前記環境プロパティがインコヒーレントであると判定したことに応答して、
候補オブジェクティブがポピュレートされた前記第3のデータベースにアクセスすることであって、前記候補オブジェクティブの各々は、前記自律システムによって実行されると、前記第1のコンピュータ可読命令を生成することをもたらす第5のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、
前記新しいイベントに基づいて、前記候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することと、
前記新しいアクティブオブジェクティブを前記アクティブオブジェクティブのリストに入力することと、を含む動作をもたらす、プロセッサと、を備える、
自律システム。
【請求項12】
前記第1のデータベースは、常識ルールを更に含み、各常識ルールは、前記エンティティの一般的プロパティ及び前記エンティティ間の一般的関係を定義する第4のコンピュータ可読命令を含み、各一般的プロパティは、エンティティのグループのプロパティであり、前記エンティティ間の各一般的関係は、エンティティのグループ間の関係である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
自律システムによってアクティブオブジェクティブのリストを確立するための知識ベース推論のためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
アクティブオブジェクティブのリストにアクセスすることであって、前記アクティブオブジェクティブの各々は、パラメータのセットと、前記自律システムによって実行されると、前記自律システムが前記パラメータのセットに従ってタスクを実施することをもたらす第1のコンピュータ可読命令と、を含む、アクセスすることと、
静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースにアクセスすることであって、前記静的環境プロパティは、エンティティのプロパティ及び前記エンティティ間の関係を定義する第2のコンピュータ可読命令を含み、前記エンティティ及び前記エンティティ間の前記関係は、前記自律システムが動作するように構成されている環境を画定する、アクセスすることと、
動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースにアクセスすることであって、前記動的環境プロパティは、前記自律システムによって観測されているイベントに基づいて前記自律システムによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含み、前記イベントは、前記環境内の前記自律システムの動作中に発生している、アクセスすることと、
前記自律システムによって、前記環境内の新しいイベントを観測すると、
前記新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを生成することと、
前記新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力することと、
前記新しい動的環境プロパティ及び前記静的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行することであって、前記コヒーレンスチェックは、前記新しい動的環境プロパティを前記静的環境プロパティと比較して、前記新しい動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するかどうかを評価することを含む、実行することと、
前記新しい動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、前記新しい動的環境プロパティをインコヒーレントとして識別することと、を含む、
方法。
【請求項14】
前記新たな動的環境プロパティがインコヒーレントであるか否かを判定することと、前記新たな動的環境プロパティがインコヒーレントである場合、
候補オブジェクティブがポピュレートされた第3のデータベースにアクセスすることであって、前記候補オブジェクティブの各々は、前記自律システムによって実行されると、前記第1のコンピュータ可読命令を生成することをもたらす第4のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、
前記新しいイベントに基づいて、前記候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することと、
前記新しいアクティブオブジェクティブを前記アクティブオブジェクティブのリストに入力することと、を更に含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コヒーレンスチェックの前記実行は、
前記新しい動的環境プロパティが前記第1のデータベースの少なくとも1つの静的環境プロパティと競合しているという判定が行われた場合、前記新しい動的環境プロパティをインコヒーレントとしてマークすることであって、前記新しい動的環境プロパティと少なくとも1つの静的環境プロパティとの間の競合は、それらのそれぞれのコンピュータ可読命令の反対によって引き起こされる、マークすることと、
そうでない場合、前記新しい動的環境プロパティをコヒーレントとして識別することと、を含む、
請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記新しいイベントに基づいて前記候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することは、
前記第3のデータベースの前記候補オブジェクティブから候補オブジェクティブを選択することと、
前記新しいイベントに基づいて新しいアクティブオブジェクティブパラメータを生成することと、
前記新しいアクティブオブジェクティブパラメータを前記選択された候補オブジェクティブに関連付けることと、を含む、
請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第3のデータベースの各候補オブジェクティブは、アクティブ化条件を含み、前記アクティブ化条件は、1つ以上の動的環境プロパティに対応し、前記アクティブ化条件は、前記対応する1つ以上の動的環境プロパティが前記第2のデータベース内で見つかったという判定が行われた場合に満たされ、前記第3のデータベースの前記候補オブジェクティブからの候補オブジェクティブの選択は、前記候補オブジェクティブの前記アクティブ化条件に基づいている、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のデータベースは、常識ルールを更に含み、各常識ルールは、前記エンティティの一般的プロパティ及び前記エンティティ間の一般的関係を定義する第5のコンピュータ可読命令を含み、各一般的プロパティは、エンティティのグループのプロパティであり、前記エンティティ間の各一般的関係は、エンティティのグループ間の関係である、
請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記常識ルールは、前記自律システムのオペレータによってポピュレートされ、前記自律システムが動作するように構成されている前記環境の文化的コンテキストを記述する、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記オペレータは、機械学習アルゴリズム(MLA)を用いて、前記常識ルールのうちの1つ以上を生成する、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
新しいイベントに基づく新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力すると、前記新しい動的環境プロパティ及び前記常識ルールに対してコヒーレンスチェックが更に実行され、前記新しい動的環境プロパティが前記常識ルールのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、
候補オブジェクティブがポピュレートされた前記第3のデータベースにアクセスし、
前記新しいイベントに基づいて、前記候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成し、
前記新しいアクティブオブジェクティブを前記アクティブオブジェクティブのリストに入力する、
請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力すると、前記新しい動的環境プロパティ及び前記アクティブオブジェクティブのリストに対してコヒーレンスチェックが更に実行され、前記新しい動的環境プロパティが前記アクティブオブジェクティブのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、前記アクティブオブジェクティブのうちの前記少なくとも1つを前記アクティブオブジェクティブのリストから削除する、
請求項13~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
動的環境プロパティの事前定義された組み合わせが前記第2のデータベース内で見つかったという判定が行われた場合、メタイベントを記述する1つ以上の動的環境プロパティが生成され、動的環境プロパティの各事前定義された組み合わせは、メタイベントに対応し、前記第2のデータベース内の対応する動的環境プロパティの生成を引き起こす、
請求項13~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
命令を含むコンピュータ可読サポートであって、前記命令が実行されると、請求項13~23のいずれか1項に記載の方法のステップをコンピュータに実行させる、
コンピュータ可読サポート。
【請求項25】
アクティブオブジェクティブのリストを管理するように構成された自律システムであって、前記アクティブオブジェクティブの各々は、パラメータのセットと、前記自律システムによって実行されると、前記自律システムが前記パラメータのセットに従ってタスクを実施することをもたらす第1のコンピュータ可読命令と、を含み、前記システムは、
イベントを検出するように構成された1つ以上の検知デバイスであって、前記イベントは、前記自律システムが動作するように構成されている環境内で発生しているか、又は発生していた、1つ以上の検知デバイスと、
メモリであって、
静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースであって、前記静的環境プロパティは、エンティティのプロパティ及び前記エンティティ間の関係を定義する第2のコンピュータ可読命令を含み、前記エンティティ及び前記エンティティ間の前記関係は、前記環境を画定する、第1のデータベースと、
動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースであって、前記動的環境プロパティは、前記検出されたイベントに基づいて前記自律システムによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含む、第2のデータベースと、
候補オブジェクティブを含む第3のデータベースと、
を含む、メモリと、
前記メモリに動作可能に結合され、命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記命令は、実行されると、
前記自律システムによって、前記環境内の新しいイベントを観測すると、
前記新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを生成することと、
前記新しい動的環境プロパティを前記第2のデータベースに入力することと、
前記新しい動的環境プロパティ及び前記静的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行することであって、前記コヒーレンスチェックは、前記新しい動的環境プロパティを前記静的環境プロパティと比較して、前記新しい動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するかどうかを評価することを含む、実行することと、
前記新たな動的環境プロパティが前記静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、
候補オブジェクティブがポピュレートされた前記第3のデータベースにアクセスすることであって、前記候補オブジェクティブの各々は、前記自律システムによって実行されると、前記第1のコンピュータ可読命令を生成することをもたらす第5のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、
前記新しいイベントに基づいて、前記候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することと、
前記新しいアクティブオブジェクティブを前記アクティブオブジェクティブのリストに入力することと、を含む動作をもたらす、プロセッサと、を備える、
自律システム。
【請求項26】
コヒーレンスチェックを実行すると、前記プロセッサは、
前記新しい動的環境プロパティが前記第1のデータベースの少なくとも1つの静的環境プロパティと競合しているという判定が行われた場合、前記新しい動的環境プロパティをインコヒーレントとしてマークすることであって、前記新しい動的環境プロパティと少なくとも1つの静的環境プロパティとの間の競合は、それらのそれぞれのコンピュータ可読命令の反対によって引き起こされる、マークすることと、
そうでない場合、前記新しい動的環境プロパティをコヒーレントとして識別することと、を行うように更に構成されている、
請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1のデータベースは、常識ルールを更に含み、各常識ルールは、前記エンティティの一般的プロパティ及び前記エンティティ間の一般的関係を定義する第4のコンピュータ可読命令を含み、各一般的プロパティは、エンティティのグループのプロパティであり、前記エンティティ間の各一般的関係は、エンティティのグループ間の関係である、
請求項25又は26に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2021年6月29日に出願された欧州特許出願第21305893.6号、2021年6月29日に出願された欧州特許出願第21305894.4号、2021年6月29日に出願された欧州特許出願第21305895.1号、及び2021年6月29日に出願された欧州特許出願第21305896.9号の優先権を主張するものであり、これらの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、自律システムの知識ベース推論のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、インテリジェント自律システムによる異常イベントの識別及びオブジェクティブ生成に関する。
【背景技術】
【0003】
自律意思決定プロセスにおける最近の開発は、自律システムの開発における大きな一歩である。潜在的な用途は、支援人間型ロボットシステム、又はネットワークフロー監視及び管理システムなどであるが、それらに限定されない、広範囲のドメインを網羅している。自律システムは、事前定義されたルール及び/又は変化するルールを遵守しながら、ユーザ、対話する人間、又は支援を必要とする任意の物体を満足させるタスクを実施することが期待されている。
【0004】
したがって、種々のアクティビティを処理するために開発されたかかる自律システムは、異常発生イベント又は異常状況を検出して、当該異常状況に対処するために満たされるオブジェクティブを更に識別することを可能とする必要があり得る。
【0005】
上記で特定された最近の開発が利益を提供し得るとしても、依然として改善が望まれている。
【0006】
背景技術の節で考察された主題は、単に背景技術の節で言及したことの結果として先行技術であると想定されるべきではない。同様に、背景技術の節で言及された問題、又は背景技術の節の主題に関連する問題は、従来技術において以前に認識されていたと想定されるべきではない。背景技術の節における主題は、単に異なる手法を表すものである。
【発明の概要】
【0007】
本技術の実施形態は、従来技術に関連する欠点についての開発者の認識に基づいて開発されている。
【0008】
特に、かかる欠点として、(1)異常イベントの定義の不適合性、(2)自律システムを動作させるように構成される所与の環境に応じた自律システムの挙動の不適合性、及び/又は(3)オブジェクティブ生成の不適合性が挙げられる。
【0009】
一態様では、本技術の種々の実装形態は、自律システムによるアクティブオブジェクティブのリストを確立するための知識ベース推論のためのコンピュータ実装方法を提供する。
【0010】
本方法は、アクティブオブジェクティブのリストにアクセスすることを含み、アクティブオブジェクティブの各々は、パラメータのセットと、自律システムによって実行されると、自律システムがパラメータのセットに従ってタスクを実施することをもたらす第1のコンピュータ可読命令と、を含む。
【0011】
本方法は、静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースにアクセスすることを含み、静的環境プロパティは、エンティティのプロパティ及びエンティティ間の関係を定義する第2のコンピュータ可読命令を含む。エンティティ及びエンティティ間の関係は、自律システムが動作するように構成される環境を画定する。
【0012】
本方法は、動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースにアクセスすることを含み、動的環境プロパティは、自律システムによって観測されているイベントに基づいて自律システムによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含み、イベントは、環境内の自律システムの動作中に発生していたものである。
【0013】
自律システムによって、環境内の新しいイベントを観測すると、本方法は、新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを生成することと、新しい動的環境プロパティを第2のデータベースに入力することと、新しい動的環境プロパティ及び静的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行することであって、コヒーレンスチェックは、新しい動的環境プロパティを静的環境プロパティと比較して、新しい動的環境プロパティが静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するかどうかを評価することを含む、実行することと、新しい動的環境プロパティが静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、新しい動的環境プロパティをインコヒーレントとして識別することと、を含む。
【0014】
本方法の一部の実施形態では、本方法は、新しい動的環境プロパティがインコヒーレントであるかどうかを判定することを更に含む。新しい動的環境プロパティがインコヒーレントである場合、本方法は、候補オブジェクティブがポピュレートされた第3のデータベースにアクセスすることであって、候補オブジェクティブの各々は、自律システムによって実行されると第1のコンピュータ可読命令を生成することをもたらす第4のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、新しいイベントに基づいて候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することと、新しいアクティブオブジェクティブをアクティブオブジェクティブのリストに入力することと、を含む。
【0015】
本方法の一部の実施形態では、コヒーレンスチェックの実行は、新しい動的環境プロパティが第1のデータベースの少なくとも1つの静的環境プロパティと競合しているという判定が行われた場合、新しい動的環境プロパティをインコヒーレントとしてマークすることであって、新しい動的環境プロパティと少なくとも1つの静的環境プロパティとの間の競合は、それらのそれぞれのコンピュータ可読命令の反対によって引き起こされる、マークすることと、そうでない場合、新しい動的環境プロパティをコヒーレントとして識別することと、を含む。
【0016】
本方法の一部の実施形態では、新しいイベントに基づいて候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することは、第3のデータベースの候補オブジェクティブから候補オブジェクティブを選択することと、新しいイベントに基づいて新しいアクティブオブジェクティブパラメータを生成することと、新しいアクティブオブジェクティブパラメータを選択された候補オブジェクティブに関連付けることと、を含む。
【0017】
本方法の一部の実施形態では、第3のデータベースの各候補オブジェクティブは、アクティブ化条件を含み、アクティブ化条件は、1つ以上の動的環境プロパティに対応し、アクティブ化条件は、対応する1つ以上の動的環境プロパティが第2のデータベース内で見つかったという判定が行われた場合に満たされ、第3のデータベースの候補オブジェクティブからの候補オブジェクティブの選択は、候補オブジェクティブのアクティブ化条件に基づく。
【0018】
本方法の一部の実施形態では、第1のデータベースは、常識ルールを更に含み、各常識ルールは、エンティティの一般的プロパティ及びエンティティ間の一般的関係を定義する第5のコンピュータ可読命令を含み、各一般的プロパティは、エンティティのグループのプロパティであり、エンティティ間の各一般的関係は、エンティティのグループ間の関係である。
【0019】
本方法の一部の実施形態では、常識ルールは、自律システムのオペレータによってポピュレートされ、自律システムが動作するように構成される環境の文化的コンテキストを記述する。
【0020】
本方法の一部の実施形態では、オペレータは、機械学習アルゴリズム(MLA)を使用して、常識ルールのうちの1つ以上を生成する。
【0021】
本方法の一部の実施形態では、第2のデータベース内の新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを入力すると、新しい動的環境プロパティ及び常識ルールに対してコヒーレンスチェックが更に実行され、新しい動的環境プロパティが常識ルールのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、候補オブジェクティブがポピュレートされた第3のデータベースにアクセスし、新しいイベントに基づいて、候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成し、新しいアクティブオブジェクティブをアクティブオブジェクティブのリストに入力する。
【0022】
本方法の一部の実施形態では、新しい動的環境プロパティを第2のデータベースに入力すると、新しい動的環境プロパティ及びアクティブオブジェクティブのリストに対してコヒーレンスチェックが更に実行され、新しい動的環境プロパティがアクティブオブジェクティブのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、アクティブオブジェクティブのうちの少なくとも1つをアクティブオブジェクティブのリストから削除する。
【0023】
本方法の一部の実施形態では、動的環境プロパティは、対応するイベントの1つ以上の特性に関連付けられ、特性は、イベントの1人以上のアクタ、イベントのロケーション、イベントの時間、及びイベントの1人以上のアクタによって実施されるアクションを含む特性のグループにおいて選択される。
【0024】
本方法の一部の実施形態では、動的環境プロパティの事前定義された組み合わせが第2のデータベース内で見つかったという判定が行われた場合、メタイベントを記述する1つ以上の動的環境プロパティが生成され、動的環境プロパティの各事前定義された組み合わせは、メタイベントに対応し、第2のデータベース内の対応する動的環境プロパティの生成を引き起こす。
【0025】
第2の態様では、本技術の種々の実装形態は、命令を実行すると、コンピュータに方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータ可読サポートを提供する。
【0026】
第3の態様では、本技術の種々の実装形態は、アクティブオブジェクティブのリストを管理するように構成された自律システムを提供する。アクティブオブジェクティブの各々は、パラメータのセットと、自律システムによって実行されると、自律システムがパラメータのセットに従ってタスクを実施することをもたらす第1のコンピュータ可読命令と、を含む。
【0027】
システムは、イベントを検出するように構成された1つ以上の検知デバイスを備え、イベントは、自律システムが動作するように構成される環境内で発生しているか、又は発生していたものである。システムは、静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースを含むメモリを備え、静的環境プロパティは、エンティティのプロパティ及びエンティティ間の関係を定義する第2のコンピュータ可読命令を含み、エンティティ及びエンティティ間の関係は、環境を画定する。
【0028】
メモリは、動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースであって、動的環境プロパティは、検出されたイベントに基づいて自律システムによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含む、第2のデータベースと、候補オブジェクティブを含む第3のデータベースと、を含む。システムは、メモリに動作可能に結合され、命令を実行するように構成されたプロセッサを備え、命令は、実行されると、自律システムによって環境内の新しいイベントを観測すると、新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを生成することを含む動作をもたらす。
【0029】
システムは、新しい動的環境プロパティを第2のデータベースに入力し、新しい動的環境プロパティ及び静的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行するように構成され、コヒーレンスチェックは、新しい動的環境プロパティを静的環境プロパティと比較して、新しい動的環境プロパティが静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するかどうかを評価することを含む。
【0030】
システムは、新しい動的環境プロパティが静的環境プロパティのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、候補オブジェクティブがポピュレートされた第3のデータベースにアクセスすることであって、候補オブジェクティブの各々は、自律システムによって実行されると、第1のコンピュータ可読命令を生成することをもたらす第5のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、新しいイベントに基づいて候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成することと、新しいアクティブオブジェクティブをアクティブオブジェクティブのリストに入力することと、を行うように構成される。
【0031】
システムの一部の実施形態では、コヒーレンスチェックを実行すると、プロセッサは、新しい動的環境プロパティが第1のデータベースの少なくとも1つの静的環境プロパティと競合しているという判定が行われた場合、新しい動的環境プロパティをインコヒーレントとしてマークすることであって、新しい動的環境プロパティと少なくとも1つの静的環境プロパティとの間の競合は、それらのそれぞれのコンピュータ可読命令の反対によって引き起こされる、マークすることと、そうでない場合、新しい動的環境プロパティをコヒーレントとして識別することと、を行うように更に構成される。
【0032】
システムの一部の実施形態では、第1のデータベースは、常識ルールを更に含み、各常識ルールは、エンティティの一般的プロパティ及びエンティティ間の一般的関係を定義する第4のコンピュータ可読命令を含み、各一般的プロパティは、エンティティのグループのプロパティであり、エンティティ間の各一般的関係は、エンティティのグループ間の関係である。
【0033】
システムの一部の実施形態では、第2のデータベースに新しい動的環境プロパティを入力すると、新しい動的環境プロパティは新しいイベントに基づき、コヒーレンスチェックが新しい動的環境プロパティ及び常識ルールに対して更に実行される。新しい動的環境プロパティが常識ルールのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、システムは、候補オブジェクティブがポピュレートされた第3のデータベースにアクセスし、新しいイベントに基づいて候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成し、新しいアクティブオブジェクティブをアクティブオブジェクティブのリストに入力するように構成される。
【0034】
システムの一部の実施形態では、システムは、第3のデータベースの候補オブジェクティブから候補オブジェクティブを選択し、新しいイベントに基づいて新しいアクティブオブジェクティブパラメータを生成し、新しいアクティブオブジェクティブパラメータを選択された候補オブジェクティブに関連付けて、新しいイベントに基づいて候補オブジェクティブから新しいアクティブオブジェクティブを生成するように構成される。
【0035】
システムの一部の実施形態では、第3のデータベースの各候補オブジェクティブは、アクティブ化条件を含み、アクティブ化条件は、1つ以上の動的環境プロパティに対応し、アクティブ化条件は、対応する1つ以上の動的環境プロパティが第2のデータベース内で見つかったという判定が行われた場合に満たされ、第3のデータベースの候補オブジェクティブからの候補オブジェクティブの選択は、候補オブジェクティブのアクティブ化条件に基づく。
【0036】
システムの一部の実施形態では、新しい動的環境プロパティを第2のデータベースに入力すると、新しい動的環境プロパティ及びアクティブオブジェクティブに対してコヒーレンスチェックが更に実行され、新しい動的環境プロパティがアクティブオブジェクティブのうちの少なくとも1つと競合するという判定が行われた場合、アクティブオブジェクティブのうちの少なくとも1つをアクティブオブジェクティブのリストから削除する。
【0037】
システムの一部の実施形態では、プロセッサは、第2のデータベース内の動的環境プロパティの発生回数を判定し、発生回数が第1の閾値よりも高いという判定が行われた場合、対応する動的環境プロパティのコンピュータ可読命令に基づいて静的環境プロパティを生成するように更に構成される。
【0038】
第4の態様では、本技術の種々の実装形態は、自律システムを動作させるためのコンピュータ実装方法を提供し、自律システムは、イベントを観測するように構成された1つ以上の検知デバイスと、コンピュータ実装方法を実行するように構成されたプロセッサと、を備え、イベントは、エンティティの特性を記述し、エンティティは、自律システムが動作するように構成される環境を画定する。
【0039】
本方法は、アクティブオブジェクティブのリストにアクセスすることであって、アクティブオブジェクティブの各々は、パラメータのセットと、プロセッサによって実行されると、自律システムがパラメータのセットに従ってタスクを実施することをもたらす第1のコンピュータ可読命令と、を含む、アクセスすることと、静的環境プロパティがポピュレートされた第1のデータベースにアクセスすることであって、静的環境プロパティは、エンティティの所定のプロパティ及びエンティティ間の関係を定義する第2のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、動的環境プロパティがポピュレートされた第2のデータベースにアクセスすることであって、動的環境プロパティは、1つ以上の検知デバイスによって観測されたイベントに基づいてプロセッサによって生成された第3のコンピュータ可読命令を含む、アクセスすることと、を含む。
【0040】
本方法は、1つ以上の検知デバイスによって、環境内の新しいイベントを観測すると、新しいイベントに基づいて新しい動的環境プロパティを生成することと、新しい動的環境プロパティを第2のデータベースに入力することと、新しい動的環境プロパティ及び静的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行することであって、コヒーレンスチェックは、新しい動的環境プロパティを全ての静的環境プロパティと比較して、新しい動的環境プロパティが静的環境プロパティの少なくとも1つと競合するかどうかを評価し、競合は、新しい動的環境プロパティと静的環境プロパティの少なくとも1つとの間の論理的非互換性を表す、実行することと、新しい動的環境プロパティが静的環境プロパティの少なくとも1つと競合する場合、新しい動的環境プロパティがインコヒーレントであると判定することと、を更に含む。
【0041】
新しい動的環境プロパティがインコヒーレントであると判定したことに応答して、本方法は、候補オブジェクティブがポピュレートされた第3のデータベースにアクセスすることと、候補オブジェクティブのうちの1つから、かつ新しいイベントに基づいて、新しいアクティブオブジェクティブを生成することであって、新しいアクティブオブジェクティブは、自律システムによって実施されるタスクに関する情報を含む、生成することと、新しいアクティブオブジェクティブをアクティブオブジェクティブのリストに入力することと、アクティブオブジェクティブのリストのアクティブオブジェクティブに基づいて自律システムを動作させることと、を更に含む。
【0042】
第5の態様では、本技術の種々の実装形態は、自律システムによって実行されるアクションストラテジを生成するためのシステムを提供し、システムは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、システムに方法を実施させる命令を記憶するように構成される、メモリと、を備える。
【0043】
第6の態様では、本技術の種々の実装形態は、命令を実行すると、コンピュータに方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータ可読サポートを提供する。
【0044】
本明細書の文脈では、明示的に別段の定めをした場合を除き、コンピュータシステムは、限定はしないが、「電子デバイス」、「オペレーティングシステム」、「システム」、「コンピュータベースのシステム」、「コントローラユニット」、「監視デバイス」、「制御デバイス」、及び/又は当面の関連タスクに適したそれらの任意の組み合わせを指すことができる。
【0045】
本明細書の文脈において、明示的に別段の定めをした場合を除き、「コンピュータ可読媒体」及び「メモリ」という表現は、任意の性質及び種類の媒体を含むことが意図されており、その非限定的な例には、RAM、ROM、ディスク(CD-ROM、DVD、フロッピーディスク、ハードディスクドライブなど)、USBキー、フラッシュメモリカード、ソリッドステートドライブ、及びテープドライブが含まれる。
【0046】
更に、本明細書の文脈において、「1つの(a)」コンピュータ可読媒体及び「その(the)」コンピュータ可読媒体は、同じコンピュータ可読媒体であると解釈されるべきでない。反対に、適切な場合にはいつでも、「1つの(a)」コンピュータ可読媒体及び「その(the)」コンピュータ可読媒体は、第1のコンピュータ可読媒体及び第2のコンピュータ可読媒体と解釈することもできる。
【0047】
本明細書の文脈では、明示的に別段の定めをした場合を除き、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの語は、それらが修飾する名詞を互いに区別することを可能にする目的のみのために形容詞として使用されており、それらの名詞間の任意の特定の関係を説明する目的のためではない。
【0048】
本技術の実装形態は、それぞれ、上述の目的及び/又は態様のうちの少なくとも1つを有するが、必ずしもそれらの全てを有するとは限らない。上述の目的を達成しようとする試みから生じた本技術の一部の態様は、この目的を満足させない場合があり、かつ/又は本明細書に具体的に列挙されていない他の目的を満足させる場合があることを理解されたい。
【0049】
本技術の実装形態の追加及び/又は代替の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本技術、並びに本技術の他の態様及び更なる特徴をよりよく理解するために、添付の図面と併せて使用される以下の説明を参照する。
【0051】
図1】本技術の一実施形態による、自律システムの高レベル概略図である。
図2】本技術の一実施形態による、コンピューティングシステムの図である。
図3】本技術の一実施形態による知識ベース推論モジュールの高レベル概略図である。
【0052】
また、本明細書で明示的に指定されない限り、図面は一定の縮尺ではないことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書に列挙される例及び条件付き言語は、主に、読者が本技術の原理を理解するのを助けることを意図しており、その範囲をかかる具体的に列挙された例及び条件に限定することを意図していない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は図示されているが、本技術の原理を具現化するにもかかわらず種々の配置を考案し得ることを理解するであろう。
【0054】
更に、理解を助けるものとして、以下の説明は、本技術の比較的簡略化された実装形態を説明し得る。当業者が理解するように、本技術の種々の実装形態は、より複雑であり得る。
【0055】
場合によっては、本技術に対する修正の有用な例であると考えられるものも記載され得る。これは、単に理解を助けるために行われるものであり、やはり、本技術の範囲を定義するものでも、本技術の境界を示すものでもない。これらの修正は網羅的なリストではなく、当業者は、それでもなお本技術の範囲内に留まりながら他の修正を行うことができる。更に、修正の例が記載されていない場合、修正が可能でないこと、及び/又は記載されているものが本技術のその要素を実装する唯一の様式であることを解釈すべきではない。
【0056】
更に、本技術の原理、態様、及び実装形態、並びにそれらの特定の例を列挙する本明細書の全ての記述は、それらが現在知られているか、又は将来開発されるかにかかわらず、それらの構造的均等物と機能的均等物の両方を包含するものとする。したがって、例えば、本明細書における任意のブロック図は、本技術の原理を具現化する例示的な回路の概念図を表すことが当業者によって理解されるであろう。
【0057】
同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、非一時的コンピュータ可読媒体において実質的に表され、したがって、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、かかるコンピュータ又はプロセッサによって実行され得る種々のプロセスを表すことが理解されよう。
【0058】
「プロセッサ」とラベル付けされた任意の機能ブロックを含む、図に示される種々の要素の機能は、専用ハードウェア、並びに適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はそのうちの一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。
【0059】
本技術の一部の実施形態では、プロセッサは、中央処理装置(CPU)などの汎用プロセッサ、又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの特定の目的に専用のプロセッサであってもよい。更に、「プロセッサ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、限定はしないが、特定用途向けIC(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び不揮発性ストレージを暗黙的に含み得る。従来型及び/又はカスタムの他のハードウェアも含まれ得る。
【0060】
ソフトウェアモジュール、又は単にソフトウェアであることが暗示されるモジュールは、本明細書では、プロセスステップ及び/又はテキスト記述の実施を示すフローチャート要素又は他の要素の任意の組み合わせとして表され得る。かかるモジュールは、明示的又は暗示的に示されるハードウェアによって実行され得る。更に、モジュールは、例えば、限定はしないが、必要とされる能力を提供する電算プログラム論理、電算プログラム命令、ソフトウェア、スタック、ファームウェア、ハードウェア回路、又はそれらの組み合わせを含み得ることを理解されたい。
【0061】
本技術は、かかるシステムが、インコヒーレントなイベント、又は「異常な」イベントを識別し、当該イベントに対処するために満たされるべきアクティブオブジェクティブのリストを生成することを可能にすることによって、自律システムの自立性を高める。したがって、システムは、周囲環境を検知し、それと相互作用することが可能であり得る。本技術による自律システムは、「常識的な」知識を使用することによって、検出されたイベントのコヒーレンスチェックを行ってもよい。例えば、モール内の地面に横たわっている人間は、「常識的な」知識に関してインコヒーレントであるとみなされるイベントであり得る。イベントがインコヒーレントであるとみなされた場合、自律システムは修正アクションを実施することができる。
【0062】
本開示の種々の態様は、概して、従来の自律システムに見られる問題のうちの1つ以上に対処する。この目的を達成するために、本開示は、他の態様の中でもとりわけ、支援アクションストラテジを生成及び実行するように構成されたインテリジェント自律システムを導入する。
【0063】
これらの基礎を適所に置いて、次に、本技術の態様の種々の実装形態を示すために、一部の非限定的な例を検討する。
【0064】
図1を参照すると、本技術の少なくとも一部の実施形態による使用に好適なコンピュータシステム100が示されている。コンピュータシステム100は、従来のパーソナルコンピュータ、ネットワークデバイス、及び/又は電子デバイス(モバイルデバイス、タブレットデバイス、サーバ、コントローラユニット、制御デバイスなどであるが、それらに限定されない)、及び/又は当面の関連タスクに適切なそれらの任意の組み合わせのうちのいずれかによって実装されてもよい。
【0065】
一部の実施形態では、コンピュータシステム100は、プロセッサ110によって集合的に表される1つ以上のシングル又はマルチコアプロセッサ、ソリッドステートドライブ120、ランダムアクセスメモリ130、及び入力/出力インターフェース150を含む、種々のハードウェア構成要素を備える。コンピュータシステム100は、機械学習アルゴリズム(MLA)を動作させるように特に設計されたコンピュータとすることができる。コンピュータシステム100は、汎用コンピュータシステムであり得る。コンピュータシステム100は、ロボット車両に統合されてもよく、かつ/又はロボット車両を制御するように構成されてもよい。
【0066】
一部の実施形態では、コンピュータシステム100は、上に列挙したシステムのうちの1つのサブシステムであり得る。一部の他の実施形態では、コンピュータシステム100は、「既製の(off-the-shelf)」汎用コンピュータシステムであり得る。一部の実施形態では、コンピュータシステム100はまた、複数のシステム間に分散されてもよい。コンピュータシステム100はまた、本技術の実装形態に特に専用であってもよい。本技術の当業者が理解し得るように、本技術の範囲から逸脱することなく、コンピュータシステム100がどのように実装されるかに関する複数の変形形態が想定され得る。
【0067】
当業者は、プロセッサ110が概して処理能力を表すことを理解するであろう。一部の実施形態では、1つ以上の従来の中央処理装置(CPU)の代わりに、又はそれに加えて、1つ以上の特殊処理コアが、提供されてもよい。例えば、1つ以上のグラフィック処理ユニット111(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、及び/又は他のいわゆる加速プロセッサ(又は処理アクセラレータ)が、1つ以上のCPUに加えて、又はその代わりに提供されてもよい。
【0068】
システムメモリは、典型的には、ランダムアクセスメモリ130を含むことになるが、より一般的には、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、又はそれらの組み合わせなど、任意のタイプの非一時的システムメモリを包含することが意図される。
【0069】
ソリッドステートドライブ120は、大容量ストレージデバイスの一例として示されているが、より一般的には、かかる大容量ストレージは、データ、プログラム、及び他の情報を記憶し、データ、プログラム、及び他の情報を、システムバス160を介してアクセス可能にするように構成された任意のタイプの非一時的ストレージデバイスを備え得る。例えば、大容量ストレージは、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、及び/又は光ディスクドライブのうちの1つ以上を備え得る。
【0070】
コンピュータシステム100の種々の構成要素間の通信は、種々のハードウェア構成要素が電子的に結合される1つ以上の内部バス及び/又は外部バス(例えば、PCIバス、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394「ファイアワイヤ」バス、SCSIバス、シリアルATAバス、ARINCバスなど)を備えるシステムバス接続160によって可能にされ得る。
【0071】
入力/出力インターフェース150は、有線又は無線アクセスなどのネットワーキング能力を提供することができる。一例として、入力/出力インターフェース150は、限定はしないが、ネットワークポート、ネットワークソケット、ネットワークインターフェースコントローラなどのネットワーキングインターフェースを含み得る。ネットワーキングインターフェースがどのように実装され得るかの複数の例が、本技術の当業者には明らかになるであろう。
【0072】
例えば、ネットワーキングインターフェースは、イーサネット、ファイバチャネル、Wi-Fi、トークンリング、又はシリアル通信プロトコルなどの特定の物理層及びデータリンク層標準を実装することができる。特定の物理層及びデータリンク層は、完全なネットワークプロトコルスタックのためのベースを提供することができ、同じローカルエリアネットワーク(LAN)上のコンピュータの小グループ間の通信、及びインターネットプロトコル(IP)などのルーティング可能なプロトコルを介した大規模ネットワーク通信を可能にする。
【0073】
入力/出力インターフェース150は、タッチスクリーン190に、並びに/あるいは1つ以上の内部及び/又は外部バス160に結合され得る。タッチスクリーン190は、ディスプレイの一部であり得る。
【0074】
一部の実施形態では、タッチスクリーン190はディスプレイである。タッチスクリーン190は、同様にスクリーン190と称されることがある。図1に示す実施形態では、タッチスクリーン190は、タッチハードウェア194(例えば、ユーザとディスプレイとの間の物理的相互作用の検出を可能にする、ディスプレイの層内に埋め込まれた感圧セル)と、ディスプレイインターフェース140並びに/又は1つ以上の内部及び/若しくは外部バス160との通信を可能にする、タッチ入力/出力コントローラ192と、を備える。
【0075】
一部の実施形態では、入力/出力インターフェース150は、タッチスクリーン190に加えて、又はその代わりに、ユーザがコンピュータシステム100と対話することを可能にするキーボード(図示せず)、マウス(図示せず)、又はトラックパッド(図示せず)に接続され得る。
【0076】
本技術の一部の実装形態によれば、ソリッドステートドライブ120は、本明細書で説明する1つ以上の方法の行為を実行するために、ランダムアクセスメモリ130にロードされ、プロセッサ110によって実行されるのに好適なプログラム命令を記憶する。例えば、プログラム命令の少なくとも一部は、ライブラリ又はアプリケーションの一部であってもよい。
【0077】
図2は、本技術の一実施形態による自律システム200の高レベル概略図を示している。自律システム200は、コンピュータシステム210を備え得る。コンピュータシステム210は、コンピュータシステム100であってもよく、かつ/又はコンピュータシステム100の構成要素の一部又は全部を含んでもよい。コンピュータシステム210は、自律システムに対して内部にあっても外部にあってもよく、自律システム200に通信可能に接続される。一実施形態では、コンピュータシステム210は、外部にあり、ネットワーク(図示せず)を介して複数の自律システム210に通信可能に接続されてもよい。自律システムは、コンピュータシステム210に通信可能に接続され、自律システム200の動作のための命令、動的環境プロパティ、又は任意の他の情報を受信する、ネットワーキングデバイス211を備え得る。
【0078】
自律システム200は、例えば支援タスクを動作させるために環境230内で動作することができる。環境230は、限定はしないが、ショッピングセンター、オフィスなどの物理的環境であってもよく、又はコンピューティングデバイスネットワーク、配電網などの論理的環境であってもよい。環境230は、限定はしないが、店舗、ドア、廊下、人々、又は物理環境230の場合に支援タスクを実施するためにその特徴が関連し得る任意の他のエンティティなどのエンティティと、論理環境230の場合に支援タスクを実施するためにその特徴が関連し得るプロセッサ、ネットワーキングデバイス、インターフェース、又は任意の他のエンティティと、を含み得る。したがって、エンティティ及びエンティティ間の関係を使用して、環境230を画定することができる。
【0079】
自律システム200は、アクティブオブジェクティブを実行することによって自律システム200に環境230内で対話させるように構成された対話ユニット220を備える。対話ユニット220は、ヒューマンマシンインターフェース、1つ以上のスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、物理アクチュエータ、駆動システム、又は環境230が物理環境である場合に物理環境内で対話するために使用され得る任意の好適なシステム、あるいは環境230が論理環境である場合に論理環境において使用され得る論理アクチュエータ、プロセッサ、又は任意の好適なシステムなどの対話要素を動作させることができる。
【0080】
自律システム200は、知覚ユニット212を介して環境230内の生データを取り込むように構成される。知覚ユニット212は、ヒューマンマシンインターフェース、カメラなどのセンサ、LiDARセンサ、又は物理的環境230に適合された任意のタイプの検知デバイスを備えてもよく、電流計、データフローセンサ、接続インジケータ、又は論理的環境230に適合された任意のタイプのセンサを備えてもよい。知覚ユニット212はまた、自律システム200及び/又は自律システム200の構成要素の状態に関する情報を与えるように構成された内部センサを備えてもよい。例えば、知覚ユニット212は、自律システム200のバッテリのレベルに関する情報を与えるセンサを備えてもよい。生データは、知覚ユニット212に通信可能に接続されたコンピュータシステム210によって処理することができる。
【0081】
コンピュータシステム210は、環境230内で発生するイベントを記述するためのコンピュータ可読命令の形態で動的環境プロパティ又は「ファクト」を生成し、生成された動的環境プロパティのコヒーレンスチェックを実行し、更に、1つ以上の動的環境プロパティがインコヒーレント又は「異常」であるという判定が行われた場合、環境230のエンティティと対話するように構成される。かかるコンピュータ可読命令は、イベントに関するステートメントを作成する述語表現であってもよい。コヒーレンスチェックの実行のプロセスは、以下でより詳細に説明される。
【0082】
コンピュータシステム210は、動的環境プロパティと、コンピュータシステム210によって使用され得る任意の情報とを、以下で説明する特定のコンピュータ可読フォーマットの下でメモリ216に記憶するように構成され得る。メモリ216は、自律システム200に組み込まれてもよく、又は外部の物理的なロケーションに位置してもよい。コンピュータシステム210は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワーク(図示せず)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)などのワイヤレス接続、及び/又は任意の非ローカル無線通信システム(すなわち、4G、5G、6G、SIGFOX(商標))を介して、メモリ216のコンテンツにアクセスするように構成され得る。
【0083】
メモリ216は、以下で説明する特定のコンピュータ可読フォーマットの下で候補オブジェクティブを含み得る。1つ以上の候補オブジェクティブは、異常イベントの検出時にコンピュータシステム210によってアクティブ化され、それによって1つ以上の対応する「アクティブオブジェクティブ」を定義することができる。アクティブオブジェクティブは、対応する異常イベントに対処するために、更に実行されてもよく、かつ/又は自律システム200のオペレータに伝送されてもよい。アクティブオブジェクティブは、メモリ216に記憶され得る。
【0084】
本開示を明確にするために、以下の例は、物理環境230に関する。これは、単に本開示の読解を容易にするために行われるものであり、やはり、本技術の範囲を定義するものでも、本技術の境界を示すものでもない。
【0085】
コンピュータシステム210は、環境230内のイベントを記述するために動的環境プロパティを使用するように構成される。各動的環境プロパティは、イベントベースのステートメントを含むコンピュータ可読命令とすることができる。イベントベースのステートメントは、1つ以上のパラメータを有する事前定義された記述関数であり、事前定義された記述関数は、対応するイベントの特性を表す。例えば、p1として識別され、走っているとして検出された人間は、コンピュータシステム210によって、イベントベースのステートメントrunning(p1)で記述することができ、ここでrunning()は事前定義された記述関数であり、p1はパラメータである。
【0086】
イベントは、
【数1】
などのイベントベースのステートメントの論理的な関連付けに対応することができ、p1runningとして識別される成人のイベントを表す。
【0087】
この例示的な例では、
【数2】
は、2つのイベントベースのステートメントrunning(p1)及びadult(p1)の論理積である動的環境プロパティである。当業者であれば理解するように、特定のコンピュータシステム210及び特定の知覚ユニット212が与えられると、自律システム200に対して有限数の検出可能なイベントが存在する可能性があり、したがって、それらの検出は少なくとも知覚ユニット212に含まれる検知デバイスの精度に依存するため、有限数の事前定義された記述関数が存在する。
【0088】
イベントベースのステートメントによる動的環境プロパティの前述の表現は、本技術の限定的な態様ではない。環境230内で発生するイベントの表現は、異なるコンピュータ可読実装形態を有し得るため、これはむしろ、他の可能な実施形態の中でも1つの例示的な実施形態である。動的環境プロパティは、他の形態の論理式によって表すことができる。上述のイベントベースのステートメントは、環境230において検出されたイベントの特性の記述に対応する任意の好適なコンピュータ可読命令の形態をとることができる。
【0089】
知覚ユニット212は、信号の処理及び/又はコンピュータビジョンソフトウェアアプリケーションを実行して、イベントの発生を検出するように構成され得る。イベントに対応する動的環境プロパティを提供するために、コンピュータシステム210は、イベントベースのステートメントのリスト内の1つ以上のイベントベースのステートメントを選択するように更に構成され、イベントベースのステートメントのリストは、知覚ユニット212によって検出され得るイベントの特性のリストである。
【0090】
一例として、知覚ユニット212は、成人がモール内で走っていることを検出することができる。コンピュータシステム210は、adult(p)、at(p,mall)、及びrunning(p)という3つのイベントベースのステートメントを選択することができ、ここでpは走っている人間を識別する。イベントベースのステートメントadult(p)は、人間が成人であるという検出可能な特性に対応し、イベントベースのステートメントat(p,mall)は、人間がモール内に位置するという検出可能な特性に対応し、イベントベースのステートメントrunning(p)は、人間が走っているという検出可能な特性に対応する。
【0091】
人間は、ヘッドホンで音楽を聴いている場合がある。しかしながら、知覚ユニット212がこの特性を検出するように構成されていない場合、この特性を表すために利用可能なイベントベースのステートメントはない。したがって、この特性は、コンピュータシステム210によって生成される動的環境プロパティの一部でなくてもよい。
【0092】
計算ユニットは、イベントベースのステートメントを論理積に関連付けることによって動的環境プロパティを生成する。
E1:adult(p)^at(p,mall)^running(p)
【0093】
追加的又は代替的に、コンピューティングユニットは、以下の形式でイベントの記述を生成してもよい。Event(id,location l,time t,agent p,semantic)、ここで、idは、イベントの識別子であり、location lは、イベントの発生ロケーションであり、time tは、イベントの発生時間であり、agent pは、イベントのアクタ又は主題であり、semanticは、イベントベースのステートメントに基づくイベントのセマンティック記述である。例えば、セマンティック記述は、以下の属性を含み得る。
At|In|In front of|motionless|running|rest area|request|…
【0094】
イベントの記述は、メモリ216に記憶され得る。この実施形態によれば、上記の例の説明は以下の通りである。
Event(1,mall,10:40,p,running(p);adult(p))
【0095】
動的環境プロパティと対応するイベントの記述との間の対応は、情報の表現の単なる選択であることに留意されたい。記述形式は、イベントベースのステートメントから生成することができ、その逆も可能である。
【0096】
ここで図3に目を向けると、知識ベース推論モジュール300の高レベルの概略図が例示されている。知識ベース推論モジュール300は、コンピュータシステム210に含まれてもよく、動的環境プロパティに対してコヒーレンスチェックを実行するように構成されてもよい。そのために、知識ベース推論モジュール300は、静的環境プロパティを記憶するように構成された第1のデータベース302と、動的環境プロパティを記憶するように構成された第2のデータベース304と、を備える。限定はしないが、動的環境プロパティ及び静的環境プロパティは、論理プログラミング言語PROLOGの下で表すことができる。
【0097】
静的環境プロパティは、環境230のエンティティのプロパティ及びエンティティ間の関係を定義するように構成されたコンピュータ可読命令を含む。例えば、ショッピングセンターの特定のエリアに関する情報を有するショッピングセンターのセマンティックマップが第1のデータベース302にポピュレートされ得、エンティティは、ショッピングセンターの店舗及び/又は関心のあるポイントを備える。この例では、第1のデータベース302は、ショッピングセンターのエリア及び/又は店舗の間の距離関係、位相関係、及び/又は定性的空間関係を含み得る。より一般的には、第1のデータベース302は、環境230内のエンティティの記述的特性及び属性を記憶するように構成される。同じ又は別の実施形態では、静的環境プロパティは、以下のような静的ステートメント又は静的ステートメントの論理的関連付けとして表される。
【0098】
P1:name(store1;abc);
P2:sells(abc;childrenClothes);
P3:sells(abc;toys);
P4:¬at(p,corridor1)。
【0099】
静的ステートメントは、同様に表現され、同様の事前定義された記述関数から構成されるため、イベントベースのステートメントと同様である。しかしながら、静的環境プロパティを画定する静的ステートメントは、最初にポピュレートされ、第1のデータベース302内の自律システム200のオペレータによって更に更新されてもよく、イベントを表さない。この実施形態では、オペレータは、人間のオペレータ、又は第1のデータベース302に通信可能に接続されたオペレーティングコンピュータシステムであってもよい。オペレーティングコンピュータシステムは、オペレーティングコンピュータシステムによって受信された情報に基づいて当該データベースを自動的にポピュレートするように構成されてもよい。
【0100】
更に、静的ステートメントの事前定義された記述関数は、同じパラメータに対応するあらゆるオブジェクトに適用することができる。一例として、誰もcorridor1にいるべきではないことを示すP4は、人間である全てのオブジェクトpに適用され、1人の人間だけに適用されるのではない。
【0101】
上記の例示的な静的環境プロパティでは、P1は、abcがstore1として識別されるストアの名前であることを示し、P2及びP3は、それぞれ、ストアabcが子供用の衣服及び玩具を販売することを示し、P4は、corridor1として識別される廊下が、誰もここで発見されるべきではないので閉じられていることを示す。
【0102】
第1のデータベース302内の静的環境プロパティを画定する静的ステートメントは、特定の情報を更新するためにオペレータによって最初に及び/又は更に更新されてもよい。一例として、オペレータは、P4を削除して、corridor1がもはや閉鎖されていないことを自律システム200に通知し、corridor2として識別された別の廊下が閉鎖されていることを示すために新しい静的環境プロパティを追加することができる。第1のデータベース302内の静的環境プロパティの更新は、オペレーティングコンピュータシステムからの情報に基づく定期的な自動更新とすることができる。例えば、第1のデータベース302は、オペレーティングコンピュータシステムから抽出された情報に基づいて、無線(OTA)更新で更新されてもよい。
【0103】
第1のデータベース302は、オペレータによってポピュレートされ、「子どもは玩具が好きである」など、全ての人間が知っていると予想される共通の事実に対応するコンピュータ可読命令である常識ルールをコンピュータ可読フォーマットで更に含む。一例として、第1のデータベース302は、コンピュータ可読フォーマットの下で、「人々は概してモール内で走っていない」又は「店内の火災は危険である」という情報を含み得る。常識ルールは、環境230の文化的コンテキストに適合するようにオペレータによって調整され、それによって自律システム200による常識推論を発展させることができる。
【0104】
一実施形態では、オペレータは、機械学習アルゴリズム(MLA)を使用して、訓練データセットに基づいて常識ルールを生成し、訓練データセットは、訓練常識ルールと、環境230の文化的コンテキストに関する情報とを含む。一例として、環境230の文化的コンテキストについての情報は、動的及び/又は静的環境プロパティから推論され得る。
【0105】
例えば、常識ルールは、自律システム200が博物館で動作する場合には人間が走るべきではなく、自律システム200がスポーツ施設で動作する場合には通常であることを示してもよい。
【0106】
常識ルールは、以下のような静的ステートメント又は静的ステートメントの論理的関連として表すことができる。
【数3】
【0107】
上記の例示的な静的環境プロパティでは、K1は、モール内の成人が通常は走っていないことを示し、K2は、モール内の子供が通常は玩具を買うことに関心があることを示し、K3は、成人であるモール内の人間が通常は衣服を買うこと又はレストランに行くことに関心があることを示す。
【0108】
別の例として、論理環境230において、常識ルールは、画像のデジタル伝送のためのフレームが通常はテキスト又は文字を含まないことを示すことができる。
【0109】
コンピュータシステム210は、イベントが複数回発生したという判定が行われた場合に、第1のデータベース302に新しい常識ルール又は静的環境プロパティをポピュレートするか、又は新しい常識ルール又は静的環境プロパティのポピュレートを提案するためにオペレータに信号、通知などを送信するように構成されてもよい。
【0110】
例えば、発生の閾値は、オペレータによって第1の動的環境プロパティに関連付けられてもよい。したがって、コンピュータシステム210は、第1の動的環境プロパティに対応するイベントの発生回数を超えたという判定が行われた場合に、第1の動的環境プロパティに基づいて常識ルール又は静的環境プロパティを生成するように構成されてもよい。
【0111】
一例として、セキュリティエージェントが7日間毎日特定の時間に特定の店舗の前にいるという判定が自律システム200によって行われた場合、知識ベースコンピュータシステム210は、セキュリティエージェントが毎日特定の時間に特定の店舗の前にいることを示す静的環境プロパティを第1のデータベース302に生成するように構成されてもよい。その場合、当該時間に当該店舗の前のセキュリティエージェントを検出しないことは「異常」であり得る。したがって、自律システムは、イベントの発生に基づいて「異常」イベントの定義を適合させることができる。
【0112】
第1のデータベース302は、常識ルールを含む第1のサブデータベースと、他の静的環境プロパティを含む第2のサブデータベースとに区分され得る。
【0113】
第2のデータベース304は、上述した動的環境プロパティを記憶するように構成され得る。第1のデータベース302とは異なり、第2のデータベース304は、環境230内で発生していた、又は発生しており、知覚ユニット212によって検出されたイベントに対応する動的環境プロパティを受信する。以下は、第2のデータベースに記憶された動的環境プロパティの例示的な例である。
【数4】
【0114】
上記の例示的な動的環境プロパティでは、E1は、p1として識別された人間が成人であり、モールにおり、走っていることを示し、E2は、p2として識別された人間がモールにおり、子供であり、玩具を買うことに関心がないことを示す。p2が玩具を買うことに関心がないという情報は、タッチスクリーンパッドなどのヒューマンマシンインターフェース、又はこの情報を決定するための任意の好適な様式を介して決定され得る。
【0115】
知覚ユニット212を用いて環境230内の新しいイベントを観測すると、コンピュータシステム210は、新しいイベントに基づいて第2のデータベース304内に新しい動的環境を生成する。生成は、イベントベースのステートメントのリスト内の1つ以上のイベントベースのステートメントを選択することによって実施され得、イベントベースのステートメントのリストは、知覚ユニット212によって検出され得るイベントの特性のリストである。
【0116】
したがって、コンピュータシステム210は、知覚ユニット212に従って新しいイベントに対応するできるだけ多くのイベントベースのステートメントを選択し、新しい動的環境プロパティを更に生成するように構成され得る。特徴の検出は、知覚ユニット212によって使用されるコンピュータビジョン方法及びアルゴリズムに依存し得る。したがって、イベントを記述するために使用され得るイベントベースのステートメントのリストは、知覚ユニット212によって検出され得る各特性がイベントベースのステートメントによって記述され得るように、好適な様式で少なくともポピュレートされるべきである。
【0117】
知識ベース推論モジュール300は、第2のデータベース304で見つかった動的環境プロパティの集合に基づいてメタ動的環境プロパティを生成するように構成され得る。メタ動的環境プロパティは、特定の動的環境プロパティの集合が第2のデータベース304に存在するという判定が知識ベース推論モジュール300によって行われた場合に生成される動的環境プロパティである。同じセットの動的環境プロパティは、共通のロケーション、共通の発生時間などの共通のイベントベースのステートメントを有することができる。
【0118】
メタイベントは、イベント集約演算子を使用することによって生成することができる。例えば、running(p1)は、他の動的環境プロパティに基づいて生成されるメタ動的環境プロパティである。実際、一連の動的環境プロパティは、以下のように表される。同じ人間とのEvent(id,location,time,person,at(person,location))は、これらのイベントのロケーション及び時間に応じて、この人間がゆっくり歩いているか、速く歩いているか、走っているかを検出するのに役立ち得る。実際には、持続時間にわたる2つのロケーション間の距離が速度を導出し、知識ベース推論モジュール300は、この速度を非常に高速、通常、又は低速として分類し、それによって、速度が非常に高速である場合、メタ動的環境プロパティrunning(p1)を生成するように構成され得る。
【0119】
第1のデータベース302及び第2のデータベース304は、エンティティの特性を記述するコンピュータ可読フォーマットの下で論理式を含むことができ、したがって環境230の知識を与えることができるため、「知識ベース」と称されることがある。したがって、第1及び第2のデータベース302及び304は、代替的な実施形態では、共通の「知識データベース」にマージされてもよい。
【0120】
第1のデータベース302及び第2のデータベース304の内容に基づいて、知識ベース推論モジュール300は、以下で説明されるように、インコヒーレントなイベント、又は「異常な」イベントを検出するように構成され得る。知識ベース推論モジュール300は、第2のデータベース304内の全ての新しいエントリ、すなわち全ての動的環境プロパティ及びメタ動的環境プロパティに対してコヒーレンスチェック手順を実行するように構成された論理推論サブモジュール310を備える。
【0121】
第2のデータベースに新たなエントリE0があると、論理推論サブモジュール310は、第1のデータベース302をブラウズするように構成される。新しいエントリE0は、第1のデータベース302の常識ルール及び静的環境プロパティの全ての組み合わせと比較される。一実施形態では、比較は論理積^にある。ルールベースの順方向推論を使用する動的環境プロパティのコヒーレンスチェックのための例示的で非限定的な擬似アルゴリズムを以下に提示する。
【表1】
【0122】
以下は、動的環境プロパティE1及びE2に対するコヒーレンスチェックの実行の例示的な例である。
【数5】
【0123】
動的環境プロパティE1に対するコヒーレンスチェックの実行は、論理式
【数6】
の一貫性を検査することにある。この場合、論理推論サブモジュール310は、式
【数7】
が不一致である(すなわち、
【数8】
は、K1とE1との間の不一致により真である)ため、E1の不一致を返す。その結果、E1は「異常」又は「インコヒーレント」とマークされる。同様に、論理推論サブモジュール310は、
【数9】
が不一致である(P2とE2との間の不一致による)ため、E2の不一致を返す。
【0124】
動的環境プロパティが、環境230内のインコヒーレントなイベントに対応する異常であると判定すると、論理推論サブモジュール310は、異常な動的環境プロパティを、異常な動的環境プロパティのリスト、すなわち「異常イベントのリスト」312に追加することができる。第2のデータベース304に新しい動的環境プロパティが継続的にポピュレートされると、異常な動的環境プロパティ312のリストは、論理推論サブモジュール310によって継続的に更新され得る。
【0125】
したがって、インコヒーレントなイベントの網羅的なリストは、自律システム200の動作に必要とされない。実際に、自律システム200は、動的環境プロパティと第1のデータベース302のエントリとの間の任意の論理的非互換性を考慮して異常イベントを決定し、これは、自律システム200によって検出され得るインコヒーレントなイベントの数を制限しない。
【0126】
自律システム200の役割は、環境230及び環境230のエンティティと対話して、インコヒーレントなイベントを修正及び解決することである。知識ベース推論モジュール300は、選択又は「アクティブ化」され、更に実行され、及び/又はオペレータに伝送されて、インコヒーレントイベントを訂正及び解決することができる候補オブジェクティブを含む候補オブジェクティブデータベース306を含む。アクティブ化及び実行されると、候補オブジェクティブは、自律システム200のためのアクティブなオブジェクティブになり、インコヒーレントなイベントを訂正及び解決するために自律システム200によって実施される1つのタスク又は複数のタスクを表す。候補オブジェクティブのアクティブ化は、以下でより詳細に説明される。
【0127】
各候補オブジェクティブは、コンピュータ可読命令を含むことができ、アクティブ化条件又は「選択条件」、識別子、オブジェクティブカテゴリ(例えば、監視、支援、ガイダンス、広告など)、ロケーション、時間、物体、人間などの可変状態を記述するパラメータ、及び漸進的タスクユニット構造、又はそれらの組み合わせによって、以下のように記述され得る。
Objective(activation_condition,identifier,objective category,parameters,progressive task unit structure)。
【0128】
漸進的タスクユニット構造は、一連のタスク、命令、アクションストラテジ、又は対応するオブジェクティブを満たすために実施されるアクションの任意の他の形態の指示を含み得る。
【0129】
この実施形態では、候補オブジェクティブのアクティブ化条件は、1つ以上の動的環境プロパティに対応することができる論理命題とすることができる。知識ベース推論モジュール300は、異常な動的環境プロパティ312のリストの動的特性を候補オブジェクティブのアクティブ化条件と比較するように構成された比較サブモジュール320を備え得る。
【0130】
比較モジュール320によって、対応する1つ以上の動的環境プロパティが異常な動的環境プロパティのリスト312内に見つかったという判定が行われた場合、アクティブ化条件が満たされる。アクティブ化条件は、事前定義された記述関数内の特定のパラメータ又は非特定のパラメータを有するイベントベースのステートメントを有する動的環境プロパティとすることができる。起動すべき候補オブジェクティブを決定するための例示的で非限定的な擬似アルゴリズムを以下に示す。
【表2】
【0131】
候補オブジェクティブがアクティブ化されると、比較サブモジュール320は、候補オブジェクティブからアクティブオブジェクティブを生成することによって候補オブジェクティブを実行するように構成される。比較サブモジュール320は、候補オブジェクティブのパラメータを、対応する候補オブジェクティブのアクティブ化条件を満たさせた動的環境プロパティのイベントベースのステートメントの事前定義された記述関数のパラメータで更新することによって、候補オブジェクティブからアクティブオブジェクティブを生成することができる。
【0132】
したがって、新しい異常イベントの検出によって引き起こされる新しいアクティブオブジェクティブの生成は、当該異常イベントのパラメータに基づく。比較サブモジュール320は、自律システム200によって遂行されるアクティブオブジェクティブ322のリストを確立するように構成される。一例として、候補オブジェクティブを以下に示す。
【数10】
【0133】
動的環境プロパティE1:
【数11】
が異常とマークされた場合、p1が人間を識別することができ、pが全ての人間を包含することができるため、前述の候補オブジェクティブをアクティブ化することができる。
【0134】
したがって、以下のアクティブオブジェクティブが、論理推論サブモジュール310によって生成される。
【数12】
【0135】
アクティブオブジェクティブ322のリストは、どのアクティブオブジェクティブが自律システム200に従って遂行され得るかに関する情報を提供するために、自律システム200のオペレータに伝送され得る。
【0136】
アクティブオブジェクティブ322のリストは、知識ベース推論モジュール300から自律システム200のオペレータに更に伝送されてもよく、かつ/又はコンピュータシステム210の別のモジュールに送信されて、自律システム200にアクティブオブジェクティブを実行させてもよい。より正確には、自律システム200は、アクティブオブジェクティブのリスト322に含まれるアクティブオブジェクティブの漸進的タスクユニット構造を実行するように構成されてもよい。
【0137】
アクティブオブジェクティブのリストは、知識ベース推論モジュール300によって更新されてもよい。第1のデータベース302又は第2のデータベース304に新しいエントリがあると、論理推論サブモジュール310は、前述のプロセスに従って新しいエントリを用いてアクティブオブジェクティブ322のリストの各アクティブオブジェクティブのコヒーレンスチェックを実行するように、換言すれば「アクティブオブジェクティブの一貫性のコヒーレンスチェック」を実行するように構成され得る。
【0138】
1つのアクティブオブジェクティブが新しいエントリに関してインコヒーレントであるという判定が行われた場合、当該アクティブオブジェクティブは、アクティブオブジェクティブ322のリストから除去され得る。
【0139】
本明細書で言及される全ての技術的効果が、本技術のありとあらゆる実施形態において享受される必要はないことが明確に理解されるべきである。
【0140】
本技術の上述の実装形態に対する修正及び改良は、当業者に明白となり得る。前述の説明は、限定ではなく例示を意図している。したがって、本技術の範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されることが意図される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】