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特表2024-525468埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/80 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
C04B35/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580636
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022071965
(87)【国際公開番号】W WO2023278905
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,092
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/267,118
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514185688
【氏名又は名称】フリー フォーム ファイバーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ペーニャ
(72)【発明者】
【氏名】カーク エル.ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】シェイ エル.ハリソン
(57)【要約】
セラミックマトリクスの形成方法だけでなく、セラミックマトリクスの形成を促進する繊維プリフォーム及び繊維プリフォームを形成する方法が提供される。方法は、セラミックマトリクスの形成を促進するための繊維プリフォームを得ることを含む。繊維プリフォームは、複数の繊維を有する繊維層と、繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素とを含む。方法はまた、繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素を介して繊維プリフォームを加熱することと、加熱要素による繊維プリフォームの加熱中にマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってマトリクス材料を繊維プリフォーム内に堆積させることとを含む。繊維プリフォーム内へのマトリクス材料の化学気相堆積は、セラミックマトリクスの形成を促進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックマトリクスを形成する方法であって、前記方法が、
前記セラミックマトリクスを形成することを促進するための繊維プリフォームを得ることであって、前記繊維プリフォームが、複数の繊維を有する繊維層と、前記繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素とを備えること、
前記繊維プリフォーム内に埋め込まれた前記加熱要素を介して前記繊維プリフォームを加熱すること、及び
そこに埋め込まれた前記加熱要素による前記繊維プリフォームの加熱中に、マトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)により前記マトリクス材料を前記繊維プリフォーム内に堆積させることであって、前記繊維プリフォーム内での前記マトリクス材料の前記化学気相堆積が前記セラミックマトリクスの形成を促進すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記繊維層の前記複数の繊維が、前記繊維層の全体に分散された複数の不織セラミック繊維を含み、前記複数の不織セラミック繊維が、前記繊維プリフォームの加熱中に、少なくとも部分的に、前記加熱要素からの熱を伝導している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維層の前記複数の繊維が、前記繊維層内の複数の織セラミック繊維を含み、前記複数の織セラミック繊維が、前記繊維プリフォームの加熱中に、少なくとも部分的に、前記加熱要素からの熱を伝導している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マトリクス材料の前記堆積中に形成される前記セラミックマトリクスが、セラミックマトリクス複合体シェルを備える、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記マトリクス材料の前記堆積中に形成される前記セラミックマトリクスが、閉じられた表面エンベロープを有するセラミックマトリクス複合体シェルを備える、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記加熱要素が抵抗要素を備え、前記抵抗要素が、ホウ素、炭素、ケイ素、アルミニウム、リン、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、窒素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される通常固体材料を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記繊維プリフォームの前記複数の繊維を有する前記繊維層が、第1の複数の繊維を有する第1の繊維層であり、前記繊維プリフォームを得ることが、前記第1の複数の繊維層及び前記加熱要素の上に第2の複数の繊維を有する第2の繊維層を有する前記繊維プリフォームを得ることを含み、前記加熱要素が前記第1の繊維層と前記第2の繊維層との間に埋め込まれ、前記第1の複数の繊維を有する前記第1の繊維層及び前記第2の複数の繊維を有する前記第2の繊維層が、前記マトリクス材料の前記堆積中に、前記セラミックマトリクスの形成を促進している、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1の繊維層の前記第1の複数の繊維が、第1の複数の不織セラミック繊維を含み、前記第2の繊維層の前記第2の複数の繊維が、第2の複数の不織セラミック繊維を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱及び前記堆積の前に、前記セラミックマトリクスを介したセラミック要素の接合を促進するために、前記繊維プリフォームを位置付けることをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記セラミック要素が、同じモノリス材料(複数可)で形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記セラミック要素が、異種のモノリス材料(複数可)で形成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記セラミック要素が、同じセラミックマトリクス複合体で形成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記セラミック要素が、異種のセラミックマトリクス複合体で形成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
セラミックマトリクスの形成を促進するための繊維プリフォームを形成する方法であって、前記方法が、
前記セラミックマトリクスを形成することを促進するために、複数の繊維で繊維層を形成すること、及び
前記繊維プリフォームを形成するために、前記繊維層に加熱要素を関連付けることであって、前記加熱要素が、前記セラミックマトリクスの形成を促進するために、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を介して前記繊維層内にマトリクス材料を堆積させるために、前記繊維プリフォームの加熱を促進すること、
を含む、方法。
【請求項15】
前記複数の繊維で前記繊維層を形成することが、前記繊維層の全体に分散された複数の不織セラミック繊維で前記繊維層を形成することを含み、前記複数の不織セラミック繊維が、前記繊維プリフォームの加熱中に、少なくとも部分的に、前記加熱要素からの熱を伝導している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の繊維で前記繊維層を形成することが、複数の織セラミック繊維で前記繊維層を形成することを含み、前記複数の織セラミック繊維は、前記繊維プリフォームの加熱中に、少なくとも部分的に、前記加熱要素からの熱を伝導している、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記繊維層を形成することが、第1の複数の繊維を有する第1の繊維層を形成することを含み、前記方法がさらに、前記第1の繊維層及び前記加熱要素の上に、第2の複数の繊維を有する第2の繊維層を形成することを含み、前記加熱要素が、前記第1の繊維層と前記第2の繊維層との間に埋め込まれ、前記第1の複数の繊維を有する前記第1の繊維層及び前記第2の複数の繊維を有する前記第2の繊維層が、前記マトリクス材料の堆積中に、前記セラミックマトリクスの形成を促進している、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の複数の繊維が、第1の複数の不織セラミック繊維を含み、前記第2の複数の繊維が、第2の複数の不織セラミック繊維を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
セラミックマトリクスの形成を促進 するための繊維プリフォームであって、前記繊維プリフォームが、
前記セラミックマトリクスを形成することを促進するための複数の繊維を有する繊維層、及び
前記繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素であって、前記加熱要素が、前記セラミックマトリクスの形成を促進するために、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を介して前記繊維プリフォーム内にマトリクス材料を堆積させるために、前記繊維プリフォームの加熱を促進している、加熱要素、
を含む、繊維プリフォーム。
【請求項20】
前記繊維層の前記複数の繊維が、複数の不織セラミック繊維を含み、前記複数の不織セラミック繊維が、前記繊維プリフォームの加熱中に、少なくとも部分的に、前記加熱要素からの熱を伝導している、請求項19に記載の繊維プリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利に関する声明
この発明のある側面は、米国エネルギー省賞DE-SC0019912及びDE-SC0021665の下での米国政府の支援でなされたものである。従って、米国政府は本発明において一定の権利を有することがある。
【0002】
関連出願との相互参照
本出願は、「強化されたセラミックマトリクス気相浸透及び堆積、並びに埋め込みワイヤ化学気相浸透及び堆積(EWCVD)」と題して2021年6月29日に出願された米国仮出願シリアル番号第63/216,092号の利益を主張し、埋め込みワイヤ化学気相堆積を使用するセラミック及びセラミックマトリクス複合体シェルの同質及び異質接合」と題して2022年1月25日に出願された米国仮出願シリアル番号第63/267,118号の利益を主張し、それぞれ参照によりその全体がここに組み込まれる。さらに、本出願は、以下の米国レターパテント及び/又は米国特許公開にも関連し、これらの各々は、参照によりその全体がここに組み込まれる:2020年1月28日に発行され、「原子炉燃料の製造と特性評価のための付加製造技術」と題して2018年6月28日に発行された米国特許レター特許第10,546,661B2号明細書、「機能的な高機能繊維構造」と題して2018年6月27日に出願された米国シリアル番号第16/019,839号、これは2018年12月27日に米国特許公開第2018/0370860号明細書として公開され、及び「不織マイクロトレリス織物及びそれで補強された複合材料又はハイブリッド複合材料」と題して2020年7月24日に出願された米国シリアル番号第16/938,072号、これは2021年3月25日に米国特許公開第2021/0087726号明細書として公開された。
【背景技術】
【0003】
背景
本発明は、一般に、繊維形態の原料、強化材料用繊維の分野に関し、より具体的には、例えば、セラミックマトリクス複合体(CMC)シェルの形成、又はモノリス(monolithic)材料セラミック要素及び/又はセラミックマトリクス複合体要素を含むセラミック要素などの要素の接合を促進するための、セラミックマトリクスの化学気相堆積(CVD)を促進する構造及び方法に関する。
【0004】
概要
1つ又は複数の側面によれば、セラミックマトリクスを形成する方法が提供される。この方法は、セラミックマトリクスを形成することを促進する繊維プリフォームを得ることを含む。繊維プリフォームは、複数の繊維を有する繊維層と、繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素とを含む。さらに、方法は、繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素を介して繊維要素を加熱することを含む。さらに、本方法は、マトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によって、そこに埋め込まれた加熱要素による繊維プリフォームの加熱中に、マトリクス材料を繊維プリフォーム内に堆積させることを含む。繊維プリフォーム内へのマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積は、セラミックマトリクスの形成を促進する。有利なことに、繊維プリフォーム内に加熱要素を埋め込み、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によりマトリクス材料を繊維プリフォーム内に堆積させて、セラミックマトリクスを形成することは、高温化学気相堆積(CVD)炉の使用なく、より効率的なマトリクスの浸透となり、セラミックマトリクス複合材料中の望ましくない空隙及びその他の欠陥のレベルを低減し、また、製造コスト及び製造時間を低減させる。
【0005】
1つ又は複数の実施形態において、繊維層の複数の繊維は、繊維層にわたって分散された複数の不織セラミック繊維を含み、複数の不織セラミック繊維は、繊維プリフォームの加熱中に、少なくとも部分的に、加熱要素からの熱を伝導する。有利には、複数の不織セラミック繊維から繊維層を得ることは、他の選択肢よりも製造が容易でありコストが低い。
【0006】
1つ又は複数の実施形態において、繊維層の複数の繊維は、繊維層内に複数の織られたセラミック繊維を含み、複数の織られたセラミック繊維は、繊維プリフォームの加熱中に加熱要素からの熱を少なくとも部分的に伝導する。
【0007】
1つ又は複数の実施態様において、マトリクス材料の堆積中に形成されるセラミックマトリクスは、セラミックマトリクス複合体シェルを含む。例えば、1つの実施態様において、セラミックマトリクスの堆積中に形成されるセラミックマトリクスは、閉じられた表面エンベロープを有するセラミックマトリクス複合体シェルを含む。
【0008】
1つ又は複数の実施形態において、加熱要素は抵抗要素を含み、抵抗要素は、ホウ素、炭素、ケイ素、アルミニウム、リン、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、窒素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される通常固体の材料を含む。
【0009】
1つ又は複数の実施形態において、複数の繊維を有する繊維層は、第1の複数の繊維を有する第1の繊維層であり、繊維プリフォームを得ることは、第1の複数の繊維と発熱要素との上に、第2の複数の繊維を有する第2の繊維層を有する繊維プリフォームを、発熱要素が第1の繊維層と第2の繊維層との間に埋め込まれた状態で得ることを含む。第1の複数の繊維を有する第1の繊維層と第2の複数の繊維を有する第2の繊維層は、マトリクス材料の堆積中に、セラミックマトリクスの形成を促進する。一実施形態では、第1の繊維層の第1の複数の繊維は、第1の複数の不織セラミック繊維を含み、第2の繊維層の第2の複数の繊維は、第2の複数の不織セラミック繊維を含む。
【0010】
1つ又は複数の実施態様において、方法は、加熱と堆積の前に、セラミックマトリクスを介したセラミック要素の接合を促進する繊維プリフォームを位置付けることをさらに含む。
【0011】
1つ又は複数の実施態様において、セラミック要素は、同じモノリス材料(複数可)で形成され、或いは1つ又は複数の他の実施態様において、異種のモノリス材料(複数可)で形成される。1つ又は複数の実施態様において、セラミック要素は、同じセラミックマトリクス複合体で形成され、或いは1つ又は複数の他の実施態様において、異種のセラミックマトリクス複合体で形成される。セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)は、様々なセラミック要素材料の接合を促進する。
【0012】
別の態様では、セラミックマトリクスの形成を促進するための繊維プリフォームを形成する方法が提供され、これは、セラミックマトリクスを形成することを促進する複数の繊維で繊維層を形成すること、及び繊維プリフォームを形成する繊維層に加熱要素を関連付けることを含む。加熱要素は、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を介して繊維層内にマトリクス材料を堆積させるために、繊維プリフォームの加熱を促進して、セラミックマトリクスの形成を促進する。
【0013】
さらなる態様において、セラミックマトリクスの形成を促進するための繊維プリフォームが提供される。繊維プリフォームは、セラミックマトリクスを形成することを促進する複数の繊維を有する繊維層、及び繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素を含む。加熱要素は、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を介して繊維プリフォーム内にマトリクス材料を堆積させるために、繊維プリフォームを加熱することを促進して、セラミックマトリクスの形成を促進する。
【0014】
さらなる特徴及び利点は、ここに記載される技術によって実現される。本発明の他の実施形態及び態様は、ここに詳細に説明され、特許請求される態様の一部とみなされる。
【0015】
図面の簡単な説明
本発明の1つ又は複数の態様は、明細書の結論にある請求項の実施例として特に指摘され、明確に請求されている。本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて得られる以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の1つ又は複数の態様による、繊維反応器の概略図であり、シード繊維基材、前駆体ガスが送り込まれる反応器、シード繊維に衝突する集束レーザービーム、及び入射レーザービーム波長に対して透明であり繊維製造プロセスの監視を可能にする1つ又は複数の反応器窓を示す。
図2図2は、本発明の1つ又は複数の態様による概略図であり、レーザー誘起化学気相堆積(LCVD)処理が、繊維構造体製造プロセスでの使用のためのレーザービームの多重化によってどのように並列化され得るかを示す。
図3図3は、本発明の1つ又は複数の態様による、炭素繊維の並列LCVD成長の例であり、これは繊維構造物作製プロセスの一実施形態においてスキャフォールド繊維として使用され得る。
図4図4は、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素を接合することを促進するための1つ又は複数の繊維プリフォームに含めるために形成された例示的な繊維のバッチの画像である。
図5図5は、本発明の1つ又は複数の態様による、マトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームを製造するためのプロセスの一実施形態を示す。
図6図6は、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための複数の繊維を有する繊維層を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図7A図7Aは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームの一実施形態を示す。
図7B図7Bは、本発明の1つ又は複数の態様による、図7Aの繊維プリフォームのその線7Bに沿って得られた部分拡大図である。
図8A図8Aは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素へのマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームを形成してセラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを形成する1つのプロセス実施形態を示す。
図8B図8Bは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素へのマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームを形成してセラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを形成する1つのプロセス実施形態を示す。
図8C図8Cは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素へのマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームを形成してセラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを形成する1つのプロセス実施形態を示す。
図8D図8Dは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素へのマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームを形成してセラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを形成する1つのプロセス実施形態を示す。
図8E図8Eは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素へのマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームを形成してセラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを形成する1つのプロセス実施形態を示す。
図8F図8Fは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素へのマトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)のための繊維プリフォームを形成してセラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを形成する1つのプロセス実施形態を示す。
図9図9は、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素を接合するための埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)プロセスの一実施形態を示す。
図10A図10Aは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図10B図10Bは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図10C図10Cは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図10D図10Dは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図10E図10Eは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図10F図10Fは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図10G図10Gは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。
図11図11は、本発明の1つ又は複数の側面による、セラミック要素上のセラミックマトリクス形成の部分走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図12A図12Aは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12B図12Bは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12C図12Cは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12D図12Dは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12E図12Eは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12F図12Fは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12G図12Gは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12H図12Hは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図12I図12Iは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を用いてセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。
図13A図13Aは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を使用して接合されたセラミック要素の代替実施形態を示す。
図13B図13Bは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を使用して接合されたセラミック要素の代替実施形態を示す。
図14A図14Aは、本発明の1つ又は複数の態様による、熱分解炭素層などの間相層で被覆された複数の不織セラミック繊維の光学顕微鏡写真を示す。
図14B図14Bは、本発明の1つ又は複数の態様による、研磨された断面(左側)における得られたセラミックマトリクス複合体(CMC)の走査型電子顕微鏡画像であり、拡大領域(右側)は、熱分解炭素間相を有する例示的な炭化ケイ素繊維を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本発明の態様及びその特定の特徴、利点及び詳細は、理解を容易にするために縮尺通りに描かれていない場合がある添付の図面に図示された非限定的な実施例(複数可)を参照して、以下により十分に説明される。周知のシステム、装置、製造及び処理技術などの説明は、本発明を不必要に詳細に曖昧にしないように省略されている。しかしながら、詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の態様を示すものではあるが、例示のためのものであり、限定を意味するものではないことを理解されたい。基礎となる発明概念の精神及び/又は範囲内で、様々な置換、変更、追加、及び/又は配置が、本開示から当業者には明らかであろう。さらに、多数の本発明の態様及び特徴がここに開示されており、矛盾しない限り、開示された各態様又は特徴は、例えば、セラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを形成するために、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)形成のための一体型加熱要素を有する繊維プリフォームを作製する、又はここに記載されているようなセラミック要素を接合する、といった特定の用途のために所望されるように、他の開示された態様又は特徴と組み合わせることが可能であることに留意されたい。
【0018】
本発明の態様は、付加製造(additive manufacturing)(AM)、微小電気機械システム(MEMS)設計及びナノ加工、セラミックマトリクス複合体(CMC)における分野横断的な進歩から着想を得て、先進的な製造パラダイムに基づいて構築されている。
【0019】
加熱要素が埋め込まれた特定の新規な繊維プリフォーム、及びセラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)形成の詳細な実施形態を説明する前に、特定の定義が説明を助けるために提供される。
【0020】
付加製造(AM)とは、通常はコンピュータ制御のもと、構成材料を接合して目的の物体を形成する技術である。構成材料は、元素分子、粉末などの点状要素、繊維、フィラメント、押し出しペーストなどの線状要素、テープ及びシートなどの面状要素、レンガなどの体積状要素の形となり得る。元素分子から進行する付加製造プロセスの例には、マイクロエレクトロニクスの製造に使用される化学気相堆積(CVD)又は物理気相堆積(PVD)が含まれる。多数の付加製造プロセスは、粉末の平坦な層から進行し、そこで個々の粒が選択的に結合されて下層に接着され、建設中の物体の漸増断面層を形成する。フィラメントワインディングと溶融堆積モデリングは、構成材料が線状要素として持ち込まれる付加製造プロセスの例である。テープレイアップ及び付加製造は、構成要素がシート状要素として持ち込まれる付加製造プロセスの例である。
【0021】
付加製造プロセスが材料オブジェクトを層状に積み上げる場合、その技術は通常、紙のシートに2次元印刷することになぞらえて、3次元印刷と呼ばれる。
【0022】
付加製造は、ここで特定の実施形態に開示されているように、繊維層構造及び繊維プリフォーム構造に大きな影響を与えることができる。繊維が構築され得る基本的なAM技術は、レーザー誘起化学気相堆積(LCVD)である。
【0023】
これまでの付加製造プロセスの大部分は、造形材料の特性に強く依存している。例えば、粉末を局所的に溶融させることによりそれを接合することは、融点の正確な把握と、造形中の局所温度の正確な制御を必要とする。材料の特性に依存せずに機能する付加製造プロセスはほとんどなく、そのようなプロセスは「材料非依存性(material agnostic)」と呼ばれる。
【0024】
LCVDは、ここに開示される実施形態において、AMプロセスには稀な特性である、ほぼ材料に依存しないことゆえに、基本的なAMツールとして使用される。LCVDは、マイクロエレクトロニクス製造産業(別名「チップファブ」)で集中的に使用されているCVDから派生した技術である。CVDは、適切なガス前駆体からエレクトロニクスグレードの高純度固体堆積物を形成する。その75年を超える歴史の中で、チップファブは幅広い材料用の化学前駆体の印象的なライブラリーを蓄積しており、その数は数万にのぼる。CVDとLCVDの主な違いは、寸法と質量スループットにある。CVDは2次元膜成長を目的としているのに対し、LCVDはここで開示されるような1次元フィラメント構造加工に適している。寸法の違いは、成膜メカニズムがLCVD対CVDで大きく高められ、堆積される質量流束(kg/m2s)が3~9桁大きくなることを意味する。例えば、ダイヤモンドライクカーボンフィラメントは13cm/s以上の直線成長速度で測定されており、これは同じ材料の薄膜CVDと比較して質量流束が9桁増加したことを表している。最後に、既存の製造と比較して、LCVDは本質的に無容器であり、これは容器又はツールによる材料汚染の機会を実質的に排除する。このように、ここに開示される実施形態によれば、LCVDと、さらに後述する1 1/2-D印刷が、繊維の材料と長さを厳密に制御することを可能にする。さらに、レーザーの焦点変更と無容器成長ゆえに、繊維の材料は、繊維構造の成長中など、その場で新しい材料系に置き換えられ又は完全に変化されることが可能であり、繊維の材料系をほぼ瞬時に変更することができる。
【0025】
本発明の側面の多くの応用は、材料非依存性である方式で繊維プリフォームの1つ又は複数の繊維層を作製する能力などの、材料非依存性AM処理によって実施され得る。
【0026】
ここで説明されるように、新しい設計空間が1つ又は複数の実施形態で使用され、そこから製造が公理に基づく科学として出現することができる。一実施形態では、ここで「1/2-D印刷」AM(3-D印刷との類推による)として正式に定義される基本的特性を利用して繊維を印刷する能力が、開示されるような繊維プリフォーム(埋め込まれた加熱要素を有する)のための繊維の形成に採用される。
【0027】
1 1/2-D印刷を実現するために、レーザー誘起化学気相堆積(LCVD)がここで基本的な付加製造(AM)ツールとして選択される。このようなプロセスは「材料非依存性」と言われている。
【0028】
この出願の目的上、「1 1/2-D印刷」という用語は、以下の定義的特性を示すAMプロセスを指す。
1.繊維又はフィラメントを成長させる材料非依存性の能力;
2.繊維又はフィラメントの長さに沿って直径と軸を変化させる能力;
3.繊維又はフィラメントの長さに沿って組成を変化させる材料非依存性の能力;及び
4.繊維又はフィラメントの特定の部分上に所望の形態と厚さで材料を堆積させる材料非依存性の能力。
【0029】
これら4つの公理的特性は、フィラメント構造の新しい範囲を定義する製造ツールのセットを構成し、新しい繊維設計と用途を解き放ち、それらの特定の例がここで議論される。
【0030】
例えば、ここに記載される実施形態を使用すると、材料非依存性の方法又は複数の方法で、フィラメントを成長させる能力があり、これはここに記載される実施形態による繊維、又はフィラメントの材料又は素材が、繊維、又はフィラメントの成長中に化学量論的に置き換えられ得るか、又は完全に変更され得ることを意味する。例えば、高性能繊維(HPF)は、軍事及び航空宇宙(ターボ機械、ロケット、高度構造物)、自動車、生物医学、エネルギー、及び卓越した強度、剛性、耐熱性、及び/又は化学耐性を有する高度な材料を必要とする他の用途などの、多くの特殊用途における用途拡大のために提供され得る。HPFは、既存の金属フィラメントにより若しくは炭素繊維、ガラス繊維、植物繊維、又は鉱物繊維に適合され得ない極端な材料特性の組み合わせが要求される場合に、求められる。ここで開示されるHPF複合体システムは、一般に、セラミックマトリクス複合体(CMC)などのマトリクス材料内に分散された複数の繊維構造を含む。
【0031】
従来、繊維形成は、液体前駆体を紡糸口金に通すことによりしばしば達成されている。例えば、紡糸口金は、典型的には小さな穴のパターンを持ちそこに液体前駆体が供給されるプレートである。出口で、流れのパターンは「グリーン繊維」と呼ばれるフィラメントにゲル化する。このプロセスは、繊維材料が液体、ゲル、プラスチックのいずれかの形態で存在して小さな開口を通って流れるのに適することが可能であることを前提としている。多くの場合、特に耐火性材料の場合、そのような液体又は液体に近い状態は存在しない。
【0032】
ここで開示されるより良いアプローチは、繊維が周囲の流体前駆体から生成されるレーザー焦点から、繊維(繊維プリフォームに含めるための)を取り出すことを伴う。一実施形態では、レーザーが繊維先端に集光され、それにより繊維を前駆体が解離する温度まで加熱し、化学気相堆積(CVD)が行われる。繊維は、その長さが成長し、成長速度で反応ゾーンから引き抜かれ、任意の長さのモノフィラメント繊維の生成となる。本発明の実施形態により使用されるこのプロセス技術が図1に示されている。
【0033】
図1は、(一実施形態において)反応器100を利用する例示的なプロセスの概略図であり、これは、部分断面図110において、内部反応器チャンバを含み、拡大図120において、チャンバ内の成長領域を含むように示されている。示されているように、セルフシード繊維140は、対向する同軸レーザー150に向けて成長し、押出マイクロチューブ130を通して取り出される。1つ又は複数の実施形態では、CVD前駆体は押出マイクロチューブから反応ゾーン内に注入され、反応ゾーンの周囲に小さな高濃度プルームを形成し、これが成長を与えて対流的に強化する。このプルームは、反応を遮蔽して希釈された副生成物を運び去る不活性ガスの同軸流の中に埋め込まれることができる。この反応器設計は、レーザー誘起化学気相堆積(LCVD)繊維成長の理解に基づいており、ここに開示されたような直径を持つ特殊フィラメントの迅速な開発に適している。
【0034】
さらに、一実施形態では、繊維成長と繊維加工の大規模な複製が有利に使用され得ることに留意する。繊維成長のための純粋な光学的並列化は、繊維の大量生産のための1つのアプローチである。例えば、図1に示されるプロセス技術の並列化が追求され得る。
【0035】
大規模製造の目標を追求する際、しかしながら、図1のアプローチのある特徴が維持されるべきである:
特徴1-対流を強化された高圧前駆体流-が、単繊維成長を最適化するために示されている。
特徴2-副生成物に特異的な波長でのイメージング(例:656nmでの水素)-が、繊維成長の直接観察をもたらし、プロセス制御に使用されている。
特徴3及び4-それぞれコンテナレス及び材料非依存性-が、さまざまな材料を処理できるプラットフォーム技術の基礎を形成している。
【0036】
本発明は、1つ又は複数の実施形態において、図2に示されるように、繊維220の大規模なアレイ200を並列に成長させるために、独立して制御されるレーザーの大規模なアレイを利用することができる。一実施形態では、繊維LCVD成長は、各繊維220の先端の周りにプラズマ240を含むレーザービーム230の乗算によって、フィラメント格子から大規模に並列化され得る。例として、繊維のアレイは、図2において、10倍の倍率201、及び50倍の倍率202で示されている。
【0037】
LCVDにコンピュータ トゥー プレート(CtP)(例えば、Quantum Well Intermixing(QWI))レーザーアレイを使用し、レーザー焦点の浅い深度の使用と組み合わせて、有益な結果を提供する。一実施形態では、レーザー焦点の浅い深度は、焦点深度の全直線長さで100ミクロン以下であり得る。例として、図3は、複数のレーザー、例えば64個以上のレーザーを有するユニットを使用した炭素繊維の並列LCVD成長の一実施形態を示す。左図は成長中の繊維を示し、右図は得られた粒状繊維を示す。レーザー誘起化学気相堆積(ここで議論されるような)を使用して成長された繊維の直径と長さは変化し得ることに留意する。1つ又は複数の実施形態において、成長された繊維の直径は100ミクロン以下、例えば50ミクロン以下、20~30ミクロンの範囲などである。
【0038】
100ミクロン以下の範囲の繊維直径は、ここに開示されるような繊維プリフォーム内へのマトリクス材料のEWCVD堆積中の利点を有する。有利には、このような繊維は小さい熱質量を有し、これは繊維プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素によって生成された熱が繊維層(複数可)全体に伝導されることを容易にし、ここに記載されるような、プリフォームの内側から外向きのマトリクス材料の堆積を容易にする。
【0039】
従来の使用では、レーザービームは長いレイリー範囲を持つ回折限界スポットに集光されていた。本発明によれば、焦点はCVDを維持するのに十分強いだけでなく、焦点の浅い深度であるため、繊維は画像平面の前及び後の小さな領域のみで成長できる。これは、成長領域を最大化するために長い被写界深度(depth of field)が好まれるLCVDにおいて一般的に受け入れられている慣行に反する。浅い被写界深度の利点は、それができる制御のレベルの点で重要である。例えば、ある繊維が何らかの理由で成長を止めた場合、焦点がその繊維の先端のもとに移動され得る。遅れている繊維がその他の繊維と同じレベルまで引き戻されると、他のすべての成長が止まり、そして再開するだろう。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態による浅い焦点深度の効果は、図3にも示されている。特に、重大な利点が図3において明らかであり、すなわち、繊維は、一体に、同じ高さまで成長する。これは、焦点深度が5から30倍(それぞれ垂直方向及び水平方向)同等の回折限界焦点のレイリー範囲よりも浅いため、回折限界光学系を超える光源結像の予期せぬ利点である。これは、繊維がフォーカスの内及び外で素早く成長するのに有利であることを明らかにした。これにより、繊維の成長を追跡することが可能になり、すでに成長した他の繊維に影響を与えることなく、成長が止まった繊維を後戻りして回収することさえできる。CTPレーザーバーのこのユニークな特徴は、将来、繊維アレイの並列LCVD成長を制御する上で大きな利点となることが期待される。
【0041】
例として、図4は、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)形成用に構成されたプリフォームの1つ又は複数の繊維層を形成する際に、1つ又は複数の実施形態において使用することができる、LCVD形成セラミック繊維(例えば、炭化ケイ素繊維)などの例示的なLCVD形成繊維のバッチの画像である。
【0042】
本発明の態様は、セラミックマトリクス複合体(CMC)製造の現状を改善するものである。従来、気相セラミックマトリクスの浸透及び堆積は、炉室内でセラミック又は炭素プリフォーム上に化学気相浸透(CVI)及び化学気相堆積(CVD)を介して行われる。このプロセスは、前駆体の分解温度を超えて加熱されると、炉内でマトリクスの堆積を熱的に促進する。プロセスチャンバ全体が加熱されるため、このプロセスは、目的の部品だけを製造するために実際に必要なエネルギーよりもはるかに多くのエネルギーを必要とする。炉室を使用する結果、熱勾配がプリフォームの外側から内向きに作用し、マトリクスを繊維プリフォームの外側に優先的に堆積させ、複合体内に望ましくない空隙を残す。有利には、本発明の態様は、熱勾配を逆にして内側から外へCVI/CVDを駆動し、浸透されるプリフォーム内から熱を発生させる。これは加熱炉が不要となるため、より経済的なプロセスという結果となり、必要なエネルギーが少なくなるため、これは環境プロセスのフットプリントを減少させ、CMC製造の経済性を向上させる。
【0043】
ここで詳細に説明されるように、セラミックマトリクス複合体の形成を改善するための新規なプロセスが開示されている。例えば、1つ又は複数の実施形態では、加熱要素がセラミック繊維プリフォームなどのプリフォーム内に埋め込まれる。熱が繊維プリフォームの内部から加熱要素によって生成されると、熱勾配がプリフォームの内側から外向きに生じる。セラミックマトリクスが埋め込まれたワイヤとその周囲の繊維上に形成されると、それは熱を伝導し、マトリクスの形成を高める。このプロセスは、結果として得られるCMCの望ましくない気孔及び他の欠陥のレベルを低減し、使用されるエネルギーだけでなく製造時間及び製造コストを低減ながら、従来のアプローチを有利に改善する。
【0044】
さらに説明すると、熱分解化学気相堆積(CVD)の堆積速度は、ある点までは熱的に駆動される。CVD成長は、温度の上昇に伴い、3つの領域、すなわち、運動領域、拡散制限領域、及び熱力学領域を示す。運動学的領域では、活性化温度Tを過ぎると、堆積速度は、前駆体ガスが拡散できて副生成物が反応ゾーンから拡散できる限り、アレニウスの法則に従って指数関数的に増加する。その時点で拡散限界が支配的になり、堆積速度は平坦化する。温度が上昇すると、材料はエッチングされてなくなる。これが熱力学的領域である。このパターンは、大量輸送の次元に関係なく同じである。
【0045】
モデリングは、3次元(及び2次元)の拡散限界が、誘導された異方性により大幅に増加され得ることを示している。例えば、レーザー誘起化学気相堆積(LCVD)繊維成長中の反応ゾーンの内及び外への拡散は等方的ではなく、プロセスの効率化に大きく貢献する偶然の出来事である。1次元繊維を成長させるとき、高温の反応副生成物が繊維先端から入射レーザーに対して高速で噴出される。このジェットは、繊維の根元から先端に向けて先行する新鮮な前駆体の軸方向の流れを巻き込む。このジェットの存在は、数値的と実験的との両方で確認されている。この発見は、ここで開示されるプロセスの重要な特徴につながった。特に、成長速度を高めるためには、強制対流がレーザー誘起拡散異方性を打ち消すべきではないことが発見された。したがって、前駆体の流れは、大量輸送の限界を上げるために、できるだけ軸方向に近い形で導入されるが、繊維を熱分解温度より下に対流的に冷却するほど大きくはならない。
【0046】
ここで開示される埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)は、大量輸送の次元性がCVD/CVIに大きな影響を与えるという認識に基づいている。LCVD(点への拡散)プロセスから繊維成長への大量輸送は、異方性の影響を考慮すると、薄膜堆積における1次元拡散の約10億倍である。線への2次元拡散も、面への1次元拡散よりはるかに効率的である。ここで開示される埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)は、この現象を利用したものである。
【0047】
1つ又は複数の実施形態では、EWCVDは、高温CVD炉の使用なくシェル繊維プリフォームの浸透を可能にし、また浸透されたプリフォームへの熱暴露を制限する。これは、一実施形態では、繊維プリフォーム内に抵抗性ワイヤを挿入し、前駆体ガスを含有する非加熱プロセスチャンバ内にプリフォームを挿入し、ワイヤを抵抗加熱することによって達成され得る。
【0048】
1つ又は複数の実施形態では、炭化ケイ素(SiC)繊維又は炭素繊維などのセラミック繊維が、プリフォーム内に含まれ、発生した熱を分散させるように動作し、プリフォームの内側から外向きの強い熱勾配とともに、繊維上に大量輸送CVDを生成する。これは、従来のホットウォールCVDとは大きく異なり、そこではマトリクスの形成がプリフォームの外周から内側に向かって進行し、浸透した表面には本質的に熱勾配がなく、通常、得られた複合体は閉じられた空隙だらけとなっている。
【0049】
図5は、ここに開示される1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスのEWCVD形成に使用するための埋め込まれた加熱要素を有する繊維プリフォームを製造するためのプロセス500の一実施形態を示す。最初に、繊維は、(一実施形態では)ここに記載されるような1つ又は複数の繊維前駆体材料502及びレーザー誘起化学気相堆積(LCVD)を使用して得られるか、又は作製される501。1つ又は複数の実施態様において、レーザー誘起化学気相堆積は、短いセラミック繊維、例えば、1インチ(2.54センチメートル)以下の長さの炭化ケイ素繊維を生産するために使用される。一実施態様では、繊維は連続的に、又はバッチで生産され及び収集され得る。特定の条件下(例えば、高レーザー出力)では、プロセスは、高純度粉末を生産するために粉砕される供給原料として使用され得るベータ-SiC繊維などの高純度化学量論的繊維を生産するために使用され得る。これらの粉末は、1つ又は複数の実施形態において、接合部のマトリクス充填材としても使用され得る。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、複数の不織セラミック繊維又は複数の織セラミック繊維などの複数の繊維が、ここに開示されるような繊維プリフォームのための繊維層形成503において使用される。例えば、1つの具体的な実施形態では、短い炭化ケイ素(SiC)不織繊維が、繊維から1つ又は複数の繊維層又はシートを生産するために形成されて使用され得る。これは一例に過ぎないが、このような繊維層又は織物は、ひいては、例えば、繊維が間相層(interphase layer)で被覆されて形成されるセラミックマトリクスの補強材として使用され得る。間相層は、セラミックマトリクス複合体に使用されて、複合体が脆いモノリスセラミック体として機械的に機能するのを防ぐ、所望の破壊靭性挙動を与える。間相層は、一実施形態では、図14Aに示されるような不織シートとして、繊維強化相上に堆積される。間相は、その層の結晶学的構造により、亀裂伝播の優先経路として作用する。間相材料は、層内強度よりもはるかに弱い傾向の特徴的な層間強度を有し、これは、亀裂が繊維を貫通するのとは対照的に、繊維の長さに沿って移動するためのエネルギー的に有利な経路をもたらす。このように、破壊エネルギーは亀裂が横切るより長い直線長さにより消費されるため、複合体の破壊靭性が向上する。図14Bは、炭化ケイ素マトリクスの実施形態を描いており、マトリクス内に埋め込まれた炭化ケイ素繊維上に堆積された熱分解炭素間相を例としてのみ描いている。
【0051】
1つ又は複数の実施態様において、繊維層は、複合体の靭性を最適化するために、短いLCVD繊維作製を繊維成形能力と組み合わせることによっても形成され得る。例えば、ティアドロップ又は細長いダイヤモンドなどの形状の短繊維は、著しく増強された強度を有することができる。さらに、繊維層内の直径の異なる繊維の使用は、靭性を高め、疲労寿命を桁違いに延ばすことができる。
【0052】
不織繊維層形成の一実施形態が、例としてのみ図6に描かれている。示されているように、複数のLCVD成長セラミック繊維(例えば、炭素繊維又は炭化ケイ素繊維)などの複数の不織繊維が提供され、湿式敷設(wet laying)プロセスで使用される適切な溶液と共にバット又は容器601内に置かれ、湿式敷設された不織繊維602が得られる(一例において)。この例では、形成される繊維層は、例えば50ミリメートル以下の範囲の短いLCVD生成繊維などの繊維の湿式敷設プロセスによって作成される不織シート又はベールであることに留意する。繊維層を生産する湿式敷設の方法は、製紙で使用される工程と同様とすることができる。
【0053】
具体的な一実施形態では、不織繊維ベース層は、水などの使用する液体の化学的性質及びpHを制御することにより、水溶液中に繊維を分散させることによって作製され得る。一旦繊維が液体媒体中に懸濁されると、不織繊維層は、穴を開けられた金属板又はスクリーンの上で溶液を通過させることによって形成され得、余分な溶液が排出される間、繊維が支持体上に沈降して相互に連結された網を形成することを可能にする。これは、単一のスクリーン上でバッチ式に、又は移動スクリーンベルトを介して連続的に達成され得る。1つ又は複数の実施形態において、湿式敷設の不織繊維は、繊維同士の絡み合いと摩擦によって一緒に保持され得る。追加の繊維層強度は、必要に応じて、比較的低温(例えば、約400℃)で焼き切られ得るポリビニルアルコールなどの結合剤の添加によって、達成され得る。繊維の最小密度が、繊維層がスクリーン上に形成されるために望ましく、これは、グラム/平方メートル(GSM)負荷の層又はベールの記述によって測定され得る。例えば、1つ又は複数の実施態様において、形成される繊維層は、結果として得られる複合体構造において望ましい機械的性能を達成するために、300~600グラム/平方メートルの繊維装填密度の範囲にある。湿式敷設不織繊維構造体602が得られたら、カウチング、プレス及び乾燥603が使用されて、ここに開示されるような繊維プリフォームでの使用のために、層全体に分散された所望の複数の繊維を有する繊維層605を得ることができる。同様の湿式敷設加工によって製造される他の製品には、バッテリーセパレーター、真空フィルターバッグ、及び多くの種類の医療用テープが含まれる。
【0054】
図5に戻ると、繊維プリフォームは、繊維層505を、例えば、1つ又は複数のセラミック要素の周囲など、所望の形状に繊維層をサイジング、成形、折り曲げなどのうちの1つ又は複数によって構成することによって、繊維層材料503を使用して形成される504。1つ又は複数の実施形態では、複数の繊維層が積層されて、繊維プリフォームの所望の繊維層の厚さを得ることができる。EWCVDのためのプリフォームの加熱を促進するように選択されてサイズ決めされた抵抗線などの加熱要素506が、本発明の1つ又は複数の態様による、繊維プリフォーム504の1つの実施形態を形成するために繊維層と関連付けられる。この点で、ここでは埋め込みワイヤ化学気相堆積プロセスと呼ばれるが、加熱要素506は、金属材料及び非金属材料を含む様々な抵抗材料で形成され得ることに留意する。例えば、1つ又は複数の実施形態において、加熱要素は、特定の用途に所望されるように、タングステン、モリブデン、炭素などで形成され得る。加熱要素506は、EWCVDプロセスの所望の温度範囲で動作するように選択され構成される。例えば、一実施形態では、所望の温度範囲は、例えば、堆積プロセスを促進するために600℃~2000℃の範囲とすることができる。
【0055】
任意選択で、1つ又は複数の追加繊維層507が、繊維プリフォーム内の繊維層(単数又は複数)505及び加熱要素506の上に追加されて、加熱要素が繊維層間に位置付けられるようにすることができる。1つ又は複数のさらなる実施形態では、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積が起こるまで層を適所に保持するために、不活性(又は受動的)ラップが1つ又は複数の追加の繊維層上に提供される。例えば、一実施形態では、炭素繊維ラップがプリフォームの長さに沿って使用され得る。この炭素繊維ラップは、プリフォームの加熱中に電気的に接続されることはないが、埋め込まれた加熱要素の上に追加の繊維層を所定の位置に機械的に固定する役割を果たす。有利には、このような不活性又は受動的なラップは、マトリクス形成プロセスの間、プリフォームの外側繊維層(単数又は複数)及び他の構成要素を適所に保持する働きをする。作製された繊維プリフォームは次に、一実施形態では、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミック要素などのセラミックマトリクスのEWCVD形成のために使用され得る510。
【0056】
一例として、図7A~7Bは、(例えば)セラミックマトリクスを要素に接着して要素の周囲にセラミックマトリクス複合体(CMC)シェルを画定するために、管などのセラミック要素の周囲に配置された、ここで説明されるような繊維プリフォーム700の一実施形態を示している。説明されたように、繊維プリフォーム700は、セラミック要素の周囲に巻かれた1層以上の複数の不織繊維701などの複数の繊維を有する繊維層と、繊維層701の周囲に巻かれて繊維層に物理的に接触し繊維層を管に対して所定位置に保持する抵抗線などの加熱要素702とを含む。例として、繊維層(複数可)701は、例えば、図5~6に関連して上述されたように、一実施形態において形成された複数の不織セラミック繊維などの複数のセラミック繊維を含む。任意の所望の数の繊維層が、所望の繊維層の厚さを達成するためにセラミック要素に巻き付けられ得る。セラミック繊維は、炭素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、二ホウ化チタンなど、任意の数の材料で形成され得る。実際には、セラミック繊維は、炭化物、窒化物、又はホウ化物、及び酸化物ベースの組成物の長いリストのいずれかとすることができる。さらに、繊維は、アルミノケイ酸塩組成物、例えばバリウムストロンチウムアルミノケイ酸塩、バリウムマグネシウムアルミノケイ酸塩、及びバリウムアルミノケイ酸塩をベースとする高温ガラスなどのガラス材料で形成され得る。さらに、所望により、ジルコニウム又はタングステンなどの耐火性金属も使用され得る。
【0057】
具体例として、図7A~7Bは、1つの実施態様において、モノリス炭化ケイ素チューブの周りに巻かれた炭化ケイ素繊維層を描いており、加熱要素は、1つの実施態様において、例えば、ねじ切り旋盤又は他のフィラメント巻線プロセスを使用して、繊維層の上に均一に間隔を空けられたコイルに巻かれたタングステンワイヤである。所望により、追加の炭化ケイ素織物層が加熱要素上に適用されて、不活性又は受動的なラップ(例えば、追加のコイル状繊維又はワイヤ)によって適所に保持され得る。図7A及び7Bの実施形態は、セラミック要素に結合されたセラミックマトリクスの形成を促進するために、加熱要素による繊維プリフォームの加熱中に、マトリクス材料がプリフォーム内に堆積される、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)プロセスによる繊維プリフォーム内へのマトリクス材料の堆積の準備が整った状態で示されている。有利には、図7A-7Bのアセンブリでは、マトリクス化学気相浸透(CVI)又は化学気相堆積(CVD)は、前駆体ガスが流され得て加熱要素用の電気貫通路を備えた非加熱チャンバ(アルミニウムチャンバなど)内で実施される。組み込まれた加熱エレメントによる加熱中、熱は繊維層によって伝導され又は運ばれ、加熱された構造に均一な輝きを与える。EWCVDがこのようなシンプルなプロセスチャンバで実施され得るという事実は、非常に有利である。
【0058】
図8A~8Fは、ここで開示されるようなセラミックマトリクスの繊維プリフォーム700(図7A~7B)形成及び埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)の一実施態様のさらなる詳細を示す。
【0059】
図8Aを参照すると、繊維層701は、ここで議論されるように、複数のセラミック繊維などの、織又は不織の複数の繊維で得られるか又は形成される。図7A~8Fの例では、繊維層は、複数の不織セラミック繊維、例えば複数の不織LCVD形成セラミック繊維を含むと仮定される。ある特定の実施態様において、繊維は炭化ケイ素繊維であり得る。一実施態様では、繊維は均一な長さで形成され得るが、別の実施態様では、繊維層内の繊維は異なる長さを有することができる。空間充填の観点から、分散されたサイズの集団は、有利には、均一な繊維集団よりも効率的に容積を充たすことができる。このような実施態様において、繊維長さの分布は、例えば、LCVD成長によって得ることができ、ここで説明されるレーザー印刷プロセスは、高品質のセラミック繊維を得ながら、この目的に独自に適している。所望により、高純度セラミック粉末(例えば、高純度SiC粉末)も、粉砕ステップとともに、LCVDプロセスから生産され得る。マトリクス形成のコストは、このようなセラミック粉末を繊維層内に供給し、繊維と混合してマトリクス用の高品質セラミック材料でより多くの空間を満たすことにより、さらに削減され得る。これは、反応焼結又はFAST焼結による複合体の形成にも使用され得る。
【0060】
図8Bでは、一例として、繊維層701が炭化ケイ素管などのセラミック要素800の周りに巻かれて示されている。有利には、ここで開示されるアプローチは、基材の熱曝露を制限しながら、既存の炭化ケイ素(SiC)管などのセラミック管の上にセラミックマトリクス複合体を生産する、より費用効果の高いアプローチである。さらに、一実施形態では、得られる材料は、モノリスSiCというよりはむしろ、SiC/SiC複合体である。これは、ここでさらに論じられるように、技術がSiC及びSiC/SiC複合体要素の接合に拡大され得ることを意味する。
【0061】
図8Cでは、抵抗性ワイヤなどの加熱要素702が、部分的に繊維層701を適所に保持するアセンブリの周りに巻き付けられている。図7A~7Bに示されるように、加熱要素702は、セラミックマトリクスが形成されることになるアセンブリの所望の長さに沿って、アセンブリの周りにきつく巻き付けられ得る。1つ又は複数の実施形態において、加熱要素702は、繊維層(複数可)701と直接物理的に接触して、埋め込みワイヤ化学気相堆積中に、加熱要素からの熱が、加熱要素と接触している繊維によって繊維プリフォーム内に熱伝導されるようになっている。これは、マトリクス材料の堆積中、プリフォーム内の熱のより均一な分布を促進する。
【0062】
図8Dでは、任意のさらなる繊維層810がアセンブリの周りに巻き付けられ、加熱要素702が繊維層701と繊維層810との間に位置付けられている。図8Eでは、構造ワイヤなどの不活性又は受動的な繊維又はワイヤラップ812が追加されていて、繊維層810の上でアセンブリの周りに巻き付いて、マトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)の間、繊維層810及びアセンブリの残りの部分を適所に保持する。
【0063】
例として、図8Fは、原子力用途の炭化ケイ素クラッド管などのセラミック要素800に結合されたEWCVD SiC/SiCセラミックマトリクス複合体820の結果を概略的に示している。図8Fに示されるように、一実施形態では、セラミック要素に結合されたセラミックマトリクスの形成後に、加熱要素702の残留ワイヤが残る。以下に説明されるように、1つ又は複数の実施形態では、これらの残留ワイヤは、例えば、最終構造を研磨又は研削することによって、最終構造から除去され得る。
【0064】
前述したように、ここに開示された繊維プリフォーム及び埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)プロセスは、さらに、シェルなどのセラミック及びセラミックマトリクス複合体要素の同質及び異質接合部で使用され得る。この文脈において、シェルは、その形状によって特徴付けられる構造要素であり、他の寸法と比較して厚さが小さい三次元固体である。1つ又は複数の実施形態において、シェルはシリンダ形状の管とすることができる。同質接合部とは、同様の材料構成要素を同様の材料を加えて接合する接合部をいい、異種接合部とは、異なる又は同様の材料構成要素を異なる材料で接合する接合部をいう。要素がエッジワイズに接合されて追加材料(複数可)が要素表面を通して各セラミック要素に別々に接合されるラップ接合部、セラミック要素がエッジワイズに接合部されるバット接合部など、様々な接合部が、ここで開示されるようなプロセスを使用して形成され得る。
【0065】
セラミックマトリクス複合体(CMC)材料を含む先進耐火セラミック材料は、その高温特性のために高く評価されている。先進セラミックを魅力的なものにした望ましい特性は、しかしながら、それらの設計及び製造を困難なものにしている。1つ又は複数の側面において、ここに開示される埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)プロセスは、接合又は結合作業において、先進セラミックを永久的に接合することをさらに促進する。
【0066】
例えば、1つの実施態様において、ここに開示される埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)処理は、先進核燃料のためのセラミックマトリクス複合体クラッド管を永久に接合するために使用され得る。当業者であれば、しかしながら、ここに記載された説明から、開示された概念はクラッド管での使用に限定されないことに留意することになる。むしろ、提示された概念は、類似の材料で作られているか否かにかかわらず、先進セラミックシェルを含む様々な異なるセラミック要素を永久に接合するために適用可能である。
【0067】
核燃料棒は、核燃料ペレットの崩壊熱(wrath)を環境から分離する管状の保護クラッドである。このクラッドから作られる材料は、体積がほとんどないほど目立たないほど薄く、なおかつ密閉性、核分裂副生成物の封じ込め、高い熱伝導性、化学的及び熱的安定性、並びに強力な機械的保護といった、ほぼ無尽蔵の望ましい特性を示すべきである。典型的には、この材料はジルコニウム基合金である。残念なことに、ジルコニウム基合金は急激な水蒸気酸化に弱く、これは燃料棒への冷却水が失われると水素の蓄積につながる。このため、炭化ケイ素(SiC)を含む、望ましい特性を示す代替材料が研究されている。
【0068】
炭化ケイ素(SiC)は高温セラミックであり、これは様々な温度範囲にわたって機械的に安定であり、酸化に耐性があり、低い中性子吸収を示し、単体、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素マトリクス(SiC/SiC)複合体、又は金属とSiC/SiC複合体のハイブリッドとして、核燃料クラッドの潜在的な候補である。SiC又はSiC/SiCをクラッドに使用することの難しさの1つは、燃料棒の端部をSiCエンドプラグで気密封止する製造プロセスにある。経済的に実現可能で、技術的な負担が少ない、バランスの取れた接合アプローチが望まれている。
【0069】
図9は、本発明の1つ又は複数の態様による、上述の要素又は燃料棒の構成要素などのセラミック要素を接合するためのプロセスの一実施形態を示す。ここで説明されるように、セラミック要素900の接合を促進するために、繊維プリフォームが得られる(例えば、作製され又は組み立てられる)。繊維プリフォームは、複数の繊維を有する1つ又は複数の繊維層と、繊維プリフォーム内に埋め込まれ、所望のマトリクス材料の化学気相堆積(CVD)に必要な温度、例えば600℃~2000℃の範囲の温度を発生するように選択及び構成された加熱要素とを含む。ここで説明されるように、複数の繊維は、特定の用途のために所望されるように、複数の不織繊維又は複数の織繊維とすることができ、又はそれを含むことができる。上述の不織繊維などの複数の不織繊維は、有利には、織繊維から作られたSiC/SiC複合体部品などの織繊維に残される可能性のある空隙(開放及び閉鎖)の問題に対処することができる。
【0070】
図9に示されるように、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)902は、一旦繊維プリフォームがセラミック要素の接合を促進するように位置付けられ、例えば、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)プロセスを促進するように構成されたチャンバ、すなわち、所望の前駆体ガスを導入するためのチャンバであり、プリフォーム内に埋め込まれた加熱要素に電気的接触を提供するか又は可能にするチャンバ内に配置されると、進行することができる。埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)は、埋め込まれた加熱要素903を介してチャンバ内で繊維プリフォームを加熱して、化学気相堆積(CVD)によって前駆体ガスから繊維プリフォーム内にマトリクス材料を堆積させ、それによって(例えば)セラミック要素904を接合するセラミックマトリクスを形成することを含む。
【0071】
前述のように、繊維プリフォーム内で使用される繊維層(複数可)は、不織繊維又は織繊維のいずれかで形成され得、特定の実施態様の選択は、潜在的に製造者の好みによるものである。図5~8Fに関連して上述されたような不織繊維形式の利点には、製造が容易でコストが低いこと(すなわち、同等のハイテク織布に対する湿式敷設加工)、及びマトリクスが空隙を充填するためのアクセスが容易であること(繊維織布における閉じられた、潜在的にアクセス不能な空隙のポケットと比較して、開放された空隙)が含まれる。1つ又は複数の実施態様において、不織繊維層は、複合体構造において所望されるタイプの機械的性能を達成するために、1平方メートル当たり300~600グラムの繊維負荷密度の範囲にある。
【0072】
図10A~10G及び図12A~12Iに描かれた例示的な実施態様において、繊維層は、例示のためにのみ、織繊維層として示されている。これらの図に示されたプロセスは、不織繊維層にも交互に採用され得ることに留意する。
【0073】
図10A~10Gは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間に接合部を形成するプロセスの一実施形態を示す。これらの図は、図10Aに示されるように、2つのセラミック要素1000、1001、例えば、要素間に最小限の隙間又は隙間なしで位置付けられた2つのセラミック管状要素にわたるラップ接合部の形成の一例を示している。図10Bでは、ここで説明されるような1つ又は複数の繊維層1010が、セラミック要素1000、1001が会合する領域の周りに巻き付けられている。一実施態様では、セラミック層1010の幅Wは任意の所望の幅とすることができ、図に示された幅はセラミック要素1000、1001の直径の約2倍である。一実施態様において、繊維層1010の厚さは200ミクロンから1ミリメートルの範囲とすることができ、製造プロセスによっては、複数の繊維層が積層されて所望の繊維層の厚さを達成することができる。例えば、1つの実施態様では、2つ又は3つの繊維層が、セラミックマトリクスが形成される領域に巻き付けられ得る。繊維層1010は、例としてのみ織繊維層として図に示されていることに再度留意する。
【0074】
図10Cにおいて、ここに記載されるような抵抗性繊維又はワイヤなどの加熱要素1020が、繊維層1010の周りに巻き付けられている。1つ又は複数の実施態様において、加熱要素1020は、例えば、約.5~3mm(タングステンワイヤの実施態様の場合、1mmなど)のピッチで間隔を空けて巻き付けられた抵抗性ワイヤであり得る。1つ又は複数の実施形態において、加熱要素1020は、例えば、フィラメント巻き付けプロセスを使用して、繊維層1010の上に、繊維層1010の周りで及びこれと接触するように巻き付けられた、均一に間隔を空けられたコイルである。接続リード(図10Fを参照)が加熱要素1020から延びていて、チャンバ内での要素の電力供給を可能にしてマトリクス材料の堆積に必要な熱をプリフォーム内に生成する。1つ又は複数の実施形態において、加熱要素は、例えば600℃~2000℃の範囲の、所望の堆積温度を発生することを促進するように選択されて大きさが決められる材料で作られる。例として、1つ又は複数の実施形態において、加熱要素1020は、タングステンワイヤなどの抵抗性ワイヤ、又は炭素繊維、或いは他の抵抗性材料であり得る。動作において、発生した熱は、加熱要素と接触している繊維に沿って加熱要素から離れて熱伝導され、従来の堆積アプローチと比較して高速で化学気相堆積(CVD)を促進する。例えば、ここで開示される埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)プロセスを使用すると、炉を使用する従来のCVDアプローチよりも桁違いに速い速度でマトリクス材料が堆積される。さらに、熱勾配は動作中のプリフォーム内で非常に高温であり、(1つ又は複数の実施形態において)堆積プロセス中にプリフォームが赤く光る原因となる。
【0075】
図10Dにおいて、別の繊維層1030(ここで開示されるような)が、任意選択で、マトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)の間に、繊維層1030及びアセンブリの残りの部分を適所に保持するために、繊維層1010及び加熱要素1020の上だけでなく、図10Dに図示されるアセンブリの周囲を包む不活性又は受動繊維又はワイヤラップ(図示せず)にも、追加される。前述のように、この外部の不活性繊維又はワイヤラップは、1つ又は複数の実施態様において本質的に構造的である。
【0076】
図10Eは、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を使用して繊維プリフォーム内にマトリクス材料を堆積させた後に形成されたセラミックマトリクス接合部の一実施形態を示している。1つ又は複数の実施態様において、EWCVDプロセスは、CVD前駆体を用いたチャンバ内で実行されて、最初に繊維上に間相層を堆積させ、次にSiCなどの所望のセラミックマトリクスを堆積させることができる。間相層は、破壊エネルギーを消費する亀裂伝播のための優先経路を提供することによって、複合体の破壊強靭化挙動を達成する役割を果たす。間相層は一般に層状の結晶学的性質を有し、亀裂経路はより弱い層間方向に沿うため、亀裂が移動する長い有効距離を生成させる。モノリスセラミック材料と比較して、破壊強靭性が改善された複合体は、亀裂の伝播を通じてより多くの破壊エネルギーを散逸させることになる。モノリスセラミック材料は、モノリスの本体を通る高速で直接的な亀裂の伝播のため、破壊エネルギーの散逸が少なく、脆性材料として機能する。使用され得る間相層の例には、熱分解炭素と窒化ホウ素が含まれ、これらの両方が層状の結晶構造を有している。例として、図14Aは、熱分解炭素のような間相材料で被覆された不織繊維層の光学顕微鏡写真である。図14Bは、左側が複合体研磨断面、右側が拡大した領域の走査型電子顕微鏡写真であり、熱分解炭素の間相コーティングを有する炭化ケイ素繊維の試料が、得られたセラミックマトリクス中に残存していることを示している。
【0077】
図10Fは、加熱要素1020が適所に示され、接合部及びセラミック要素が部分的に切り取られた、図10Eの結果としての接合部1040の部分切断斜視図である。加熱要素1020のための電気接点は、加熱要素に電力を供給するのを促進するために、任意の所望の位置にアセンブリから持ち込まれ得ることに留意する。図10Gは、セラミックマトリクス複合体接合部1040のプロファイルを低くし、接合部内の加熱要素の存在を低減又は除去するために、任意選択の研磨工程が行われた後の図10Fの構造を示している。アセンブリの用途によっては、この任意選択の研削工程は、例えば、外表面を横切る気体又は流体の流れに有利であってもよい。
【0078】
例として、図11は、ここで開示されるような埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)プロセスを用いてセラミック要素1101上に形成されたセラミックマトリクス1100の部分的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像を描いている。気孔の大きさは、マトリクス材料1100とその下のモノリスセラミック要素1101とで同様であることに留意する。元素分析は、組成が化学量論的に誤差の範囲内であることを示している。さらに、繊維は後方散乱画像(図示せず)でも明らかなままであり、EWCVDプロセスによって損傷を受けていないように見える。
【0079】
図12A~12Iは、本発明の1つ又は複数の態様による、セラミックマトリクスの埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によってセラミック要素間の接合部を形成するプロセスの別の実施形態を示す。これらの図は、2つのセラミック管状要素などの2つのセラミック要素1201、1202(図12B)を接合するための突き合わせ接合部の形成の一例を示している。
【0080】
図12Aに示されるように、プロセスは、マンドレル又はスリーブ1200を得ることを含み、これの周りに繊維プリフォームが組み立てられる。一実施形態では、マンドレル1200は、接合完了後に焼失されるグラファイトマンドレルなどの消耗型炭素マンドレルである。別の実施形態では、マンドレル1200は、炭化ケイ素スリーブなどのセラミックスリーブとすることができ、これは、密封されてもよく、結果として得られるアセンブリの一部として残る。
【0081】
図12Bでは、接合されるセラミック要素1201、1202がマンドレル1200の両側に挿入されている。この点で、マンドレル1200は、接合されるそれぞれのセラミック要素1201、1202の中に少なくとも部分的に延びる大きさの直径を有することに留意する。この実施形態では、セラミック要素は所望の距離の間隔を空けられたままであるが、これは変化し得る。例えば、1つ又は複数の実施形態において、セラミック要素間のマンドレル露出の幅は、セラミック開口部の直径の約半分とすることができ、より短い幅は有利には結果として得られる接合部の応力を最小にする。図12Bの例では、マンドレル1200の軸がセラミック要素1201、1202の軸と整列されていると仮定している。
【0082】
図12Cでは、ここに記載されるような繊維層1210が、露出したマンドレルの周りに巻き付けられる。一実施態様では、繊維層1210の厚さは200ミクロンから1ミリメートルの範囲とすることができ、製造プロセスによっては、複数の繊維層がマンドレルの周りに巻き付けられて所望の繊維層の厚さを達成することができる。例えば、一実施態様では、セラミックマトリクスが形成される領域に2つ又は3つの繊維層が巻き付けられ得る。一実施態様では、繊維層1210はセラミック管状要素の壁の厚さに近似した厚さを有することができる。繊維層1210は、例としてのみ、織繊維層として図に示されていることに再度留意する。
【0083】
図12Dにおいて、ここに記載される抵抗性繊維又はワイヤ加熱要素のような加熱要素1220が、繊維層1210の周りに巻き付けられている。1つ又は複数の実施態様において、加熱要素1220は、例えば、約.5~3mm(タングステンワイヤの実施態様の場合、1mmなど)のピッチの巻き付き間隔を有する抵抗性ワイヤであり得る。1つ又は複数の実施形態において、加熱要素1220は、例えば、フィラメント巻き付きプロセスを使用して、繊維層1210の上、周囲、及び繊維層1210と接触するように巻き付けられた均一に間隔を空けられたコイルである。接続リード(図12Gを参照)は、加熱要素1220から延びて、チャンバ内での要素の電力供給を可能にして、マトリクス材料の堆積に必要な熱をプリフォーム内に発生させる。1つ又は複数の実施形態において、加熱要素は、例えば600℃~2000℃の範囲の所望の堆積温度を発生することを促進するように選択され、かつ大きさが決められる材料で作られる。1つ又は複数の実施形態において、加熱要素1220は、タングステンワイヤなどの抵抗性ワイヤ、又は炭素繊維、又は他の抵抗性材料であり得る。動作において、生成された熱は、加熱要素と接触している繊維によって加熱要素から離れて熱伝導され、従来のアプローチと比較して高速でプリフォーム内の化学気相堆積(CVD)を促進する。
【0084】
図12Eにおいて、別の繊維層1230(ここに記載されるような)が、任意選択で、マトリクス材料の埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)の間、繊維層1230、及びアセンブリの残りの部分を適所に保持するために、繊維層1210及び加熱要素1220だけでなく、図12Eに図示されるアセンブリの周囲を包む不活性又は受動繊維又はワイヤラップ(図示せず)の上にも追加される。前述のように、この外部の不活性繊維又はワイヤラップは、1つ又は複数の実施態様において本質的に構造的である。
【0085】
図12Fは、埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を使用した繊維プリフォーム内のマトリクス材料の堆積後に形成されるセラミックマトリクス接合部1240の結果の一実施形態を示す。1つ又は複数の実施態様において、EWCVDプロセスは、CVD前駆体を備えたチャンバ内で、まず繊維上に界面層を堆積させ、次に一実施態様では炭化ケイ素などの所望のセラミックマトリクスを堆積させるために実行される。
【0086】
図12Gは、加熱要素1220が適所に示され、接合部及びセラミック要素が部分的に切り取られた、図12Fの結果としての接合部の部分切断図である。加熱要素1220のための電気接点は、加熱要素に電力を供給することを促進するために、任意の所望の位置にアセンブリからもたらされ得ることに留意する。図12Hは、セラミックマトリクス複合体接合部のプロフィールを低くし、接合部内の加熱要素の存在を低減又は除去するために、任意の研削工程が行われた後の図12Gの構造を示している。図12Iにおいて、マンドレル1200は、消耗型炭素系マンドレルの場合には焼き切られることなどによって、除去されている。例えば、炭素マンドレルの場合、マンドレルは、接合構造の中心に炎を向けることなどにより、空気中で焼き切られ得る。
【0087】
図13A及び13Bは、ここに記載されるような埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)を使用して形成されたセラミックマトリクスのさらなる例を示す。
【0088】
図13Aでは、円錐形炭化ケイ素プラグなどの円錐形セラミックプラグ1300が、セラミックマトリクス複合体クラッド管1301に接合されて示されており、これは炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素マトリクスセラミックマトリクス複合体管(SiC-SiCCMC)などによって具現化される。埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)接合部1310が、円錐形状のセラミックプラグ1300とセラミックマトリクス複合体管1301との間の界面に部分的に重なって示されている。1つ又は複数の実施態様において、形成されたセラミックマトリクスは、接合部の一部として示された残留加熱要素1311を有するSiC/SiCセラミックマトリクス複合体接合部1310であり得る。1つ又は複数の実施態様において、残留加熱要素は、ここに記載されるような残留タングステン、モリブデン又は炭素ワイヤとすることができる。
【0089】
図13Bでは、シリンダ形状のセラミックプラグ1300’が、ここに記載されているような埋め込みワイヤ化学気相堆積(EWCVD)によって形成されたセラミックマトリクス接合部1310’を介してセラミック管1301’に接合されていることが示されている。1つ又は複数の実施態様において、セラミックプラグ1300’は、炭化ケイ素プラグなどのシリンダ形状のプラグであり、セラミック要素1301’は、SiC-SiCCMC管などのセラミックマトリクス複合体管である。この構成では、オプションのTa圧縮ガスケットなどのオプションのガスケット1320が、セラミック要素1300’、1301’間に配置される。さらに、図示の実施形態では、セラミック接合部1310’は、例として、図12A~12Iに関連して上述されたように形成されて示されている。セラミック接合部は、(一実施形態では)SiC/SiCセラミックマトリクス複合体接合部である。
【0090】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。ここで使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、用語「備える」(及び「備える(単数)」、「備えている」などの「備える」の任意の形)、「有する」(及び「有する(単数)」、「有している」などの「有する」の任意の形)、「含む」(及び「含む(単数)」、「含んでいる」などの「含む」の任意の形)、及び「含有する」(及び「含有する(単数)」、「含有している」などの「含有する」の任意の形)は、オープンエンドの連結動詞であることが理解されるであろう。その結果、1つ又は複数のステップ又は要素を「備える」、「有する」、「含む」又は「含有する」方法又は装置は、それらの1つ又は複数のステップ又は要素を有するが、それらの1つ又は複数のステップ又は要素のみを有することに限定されない。同様に、1つ又は複数の特徴を「備える」、「有する」、「含む」又は「含有する」方法のステップ又は装置の要素は、それらの1つ又は複数の特徴を有するが、それらの1つ又は複数の特徴のみを有することに限定されない。さらに、ある方法で構成されている装置又は構造は、少なくともその方法で構成されているが、列挙されていない方法で構成されている場合もある。
【0091】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段又はステッププラスファンクション要素の対応する構造、材料、行為、及び等価物がある場合、具体的に請求されるように、他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、又は行為を含むことが意図される。本発明の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものであるが、網羅的であること、又は開示された形態の本発明に限定されることを意図するものではない。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の1つ又は複数の側面の原理及び実際的な適用を最もよく説明するために、また、当業者であれば、企図される特定の用途に適するように様々な変更を加えた様々な実施形態について本発明の1つ又は複数の側面を理解することができるように、選択され、説明されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
図12I
図13A
図13B
図14A
図14B
【国際調査報告】