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特表2024-525470活性炭を製造する方法で使用するための炭素質材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】活性炭を製造する方法で使用するための炭素質材料
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/00 20170101AFI20240705BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20240705BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240705BHJP
   C01B 32/312 20170101ALI20240705BHJP
【FI】
C01B32/00
B01J20/20 A
B01J20/30
C01B32/312
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580658
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022035480
(87)【国際公開番号】W WO2023278545
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,641
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518261401
【氏名又は名称】エイアールキュー・アイピー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ARQ IP LIMITED
【住所又は居所原語表記】64 NEW CAVENDISH STREET, LONDON W1G 8TB, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パスペク, スティーブン・カール
(72)【発明者】
【氏名】アンスワース, ジョン・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】アダムス, ジェラミー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】バッシャム, セス・テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス, レジーナ
(72)【発明者】
【氏名】マーズィック, デイビッド
【テーマコード(参考)】
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4G066AA05B
4G066AA80A
4G066BA26
4G066CA43
4G066CA46
4G066CA47
4G066CA50
4G066FA18
4G066FA21
4G066FA34
4G146AA01
4G146AA06
4G146AB01
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC08A
4G146AC08B
4G146AC09A
4G146AC09B
4G146AC27A
4G146AC27B
4G146AD31
4G146BA01
4G146BA25
4G146BB12
4G146BC03
4G146BD03
4G146BD06
4G146BD07
4G146CB19
4G146CB35
(57)【要約】
凝集された精製炭素質生成物(PCP)から製造された活性炭(AC)が提供される。PCPは、粒状形態であり、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、PCPは、約5%m未満の灰分及び最大で約60%mの含水量を有する。PCPは、ACを作るために使用され得るか、又は他の炭素質供給原料からのACの製造のための添加剤として利用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭(AC)を製造するプロセスであって、
(i)凝集された精製炭素質生成物(PCP)を提供するステップであって、前記PCPは、粒状形態であり、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、前記PCPは、約5%m未満の灰分及び最大で約60%mの含水量を有する、ステップ、
(ii)前記凝集PCPを少なくとも1つの熱処理に供し、それにより熱処理された凝集PCPを形成するステップ、及び
(iii)前記ACを製造するために、前記熱処理された凝集PCPを少なくとも1つの賦活プロセスに供するステップ、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記PCP粒子の少なくとも約95%vは、約25μm以下の直径である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記PCPの平均粒度は、10μm以下である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記PCPは、約3%m未満、典型的には約2%m未満、適切には1%m未満の灰分を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記PCPは、最大で約50%m、典型的には最大で30%m、適切には最大で20%m、任意選択的に最大で10%mの含水量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの熱処理は、予備酸化及び/又は熱分解段階を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱処理は、脱揮発段階を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱処理は、約500℃以下の温度で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの熱処理は、約450℃以下の温度で行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記賦活プロセスは、物理的賦活及び化学的賦活からなる群から選択される賦活を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記PCPは、ウェットケーキ中に含まれ、前記ウェットケーキは、最大で約60%mの水を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記PCPは、部分的に乾燥されたウェットケーキ中に含まれ、前記部分的に乾燥されたウェットケーキは、最大で約30%mの水を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
PCP粒子の前記凝集は、有機又は無機バインダー材料のさらなる添加を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
PCP粒子の前記凝集は、あらゆる追加のバインダー材料の非存在下で行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記PCPは、廃棄微粉石炭のフロス浮選から得られる、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された活性炭であって、少なくとも500m/gのBET表面積を有する活性炭。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された活性炭であって、少なくとも800m/g、適切には900m/g、任意選択的に1000m/gのBET表面積を有する活性炭。
【請求項18】
活性炭(AC)製品を製造するプロセスであって、
(i)粒状形態の炭素質供給原材料を提供するステップ、
(ii)前記炭素質供給原材料をバインダーと凝集させ、それにより凝集供給原料を形成するステップであって、前記バインダーは、精製炭素質生成物(PCP)を含み、前記PCPは、粒状形態であり、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、前記PCPは、約5%m未満の灰分を有する、ステップ、
(iii)前記凝集供給原料を少なくとも1つの熱処理に供し、それにより熱処理された凝集供給原料を形成するステップ、及び
(iv)AC組成物を製造するために、前記熱処理された凝集供給原料を少なくとも1つの賦活プロセスに供するステップ、
を含むプロセス。
【請求項19】
前記炭素質供給原材料は、天然石炭、バイオ炭及び木炭から選択される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの熱処理は、500℃以下の温度で行われる、請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの熱処理は、450℃以下の温度で行われる、請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項22】
前記賦活プロセスは、物理的賦活及び化学的賦活からなる群から選択される賦活を含む、請求項18~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記PCPは、ウェットケーキ中に含まれ、前記ウェットケーキは、最大で60%mの水を含む、請求項18~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記PCPは、部分的に乾燥されたウェットケーキ中に含まれ、前記部分的に乾燥されたウェットケーキは、最大で30%mの水を含む、請求項18~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記バインダーは、無機バインダー材料をさらに含む、請求項18~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
請求項18~25のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された活性炭製品であって、少なくとも500m/gのBET表面積及び約5%m未満の灰の灰分を有する活性炭製品。
【請求項27】
約2%m未満の灰の灰分を有する、請求項26に記載の活性炭製品。
【請求項28】
流体ストリーム中に含まれる物質を吸着するプロセスであって、前記流体ストリームを、請求項1~15又は18~25のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された活性炭製品に曝露することを含むプロセス。
【請求項29】
前記流体ストリームは、水を含む、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記物質は、有機化合物、任意選択的に医薬品又は農薬分子、過フッ素化化合物及び銅、鉄、鉛、水銀、クロメート又はアルセネートから任意選択的に選択される金属又は半金属イオンからなる群の1つ以上から選択される、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記活性炭製品は、フィルター/清浄器、床又は充填カラム内に含まれる、請求項28~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
バイオ炭由来の活性炭製品のBET表面積を増加させるための添加供給原料としての、凝集された精製炭素質生成物(PCP)の使用であって、前記PCPは、粒状形態であり、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、前記PCPは、約5%m未満の灰分及び最大で約60%mの含水量を有する、使用。
【請求項33】
前記PCPは、最大で約50%mの量で存在する、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記PCPは、バイオ炭由来の活性炭製品のBET表面積を、バイオ炭由来の活性炭製品単独のBET表面積と比較して少なくとも2倍増加させる、請求項32又は33に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に石炭供給原料からの活性炭材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭(AC)は、石炭ベースの材料の大きい市場となっており、2018年に約140万トンが販売されている。ACのための供給原料は、農業材料、例えばヤシ殻、バイオマス、おがくず及び石炭からのものであり得る。石炭は、固有の微細孔を既に含み、微細孔を形成するために最初に炭化する必要がないため、他の供給原料と異なる。一般に、非可融性のより低ランクの石炭(亜炭及び亜歴青炭)は、より高ランクの石炭よりも大きい多孔度及び広い表面積を有し、ACの製造に使用される。石炭からのACは、一般に、溶融又は可塑相転移が起こらない低流動性石炭から製造され、なぜなら、これにより多孔質構造が閉鎖されるためである。揮発分の除去及びさらなる賦活前に酸化によって構造が安定化される場合、ACは、これらの材料から製造することができる。
【0003】
微粉を含む石炭粉及び超微粉は、採掘及び選炭プロセス中の石炭のより大きい固まりから得られる石炭の小さい粒子である。石炭微粉は、石炭と同じエネルギーポテンシャルを維持するが、これらは、製品の粒子状の性質のために販売及び輸送が困難となることから、一般に廃棄物と見なされている。鉱業により、廃棄副生成物として毎年7000万~9000万トンもの石炭微粉が米国単独で生産されており(Baruva,P.,Losses in the coal supply chain,IEA Clean Coal Centre Rep.CCC/212,p.26,December 2012,ISBN 978-92-9029-532-7)、その大部分が使用されないままとなる。したがって、石炭微粉は、一般に、炭鉱の近くにぼたとして廃棄されて大きい廃棄物の山を形成するか、又は環境汚染を回避するために慎重な将来の管理が必要となる大きい池中に入れられる。
【0004】
高灰分の炭層は、多くの地質学的埋蔵量から、場合により広い地理的領域にわたって維持される厚い炭層として世界中に豊富であるが、多くは、吸着効率を低下させる高灰分(>20%m乾燥基準)のため、ACの製造における使用のために経済的に利用可能ではない。
【0005】
精炭技術により、国際特許出願の国際公開第2020/065341号パンフレットに記載されるようなアップグレードされた精炭ブレンド又は米国特許第9,777,235号明細書に記載されるような複合液体-固体混合物を含む、より高いエネルギー密度及びより少ない排出レベルの新しい種類の特殊な燃料が開発されている。拡大する世界的なグリーン経済の改善に寄与することができる、廃棄物及び低グレードの固体炭化水素に由来する精炭組成物のさらなる使用を認識することがさらに必要である。したがって、非燃料技術のための高品質供給原料の代替となる経済的な供給源が提供することが望ましく、これにより経済的な幸福のために石炭産業に依存している社会に対して、より長期間のより持続可能でよりグリーンな未来がもたらされる。
【0006】
石炭からのACの従来の製造は、図1に示される従来技術のプロセスに簡単にまとめられている。石炭供給原料は、酸化及び脱揮発ステップ前に、典型的には10メッシュの米国規格サイズ(すなわち2mm未満の粒径)に合格するまで粉砕及び破砕される。ふるい分け及び除塵段階により、粒度<75ミクロン(例えば、微粉)の除去が保証され、なぜなら、これらのサイズ範囲は、通常、賦活中に取り扱うには小さすぎると考えられるためである。粒状石炭は、化学的手段又は物理的手段のいずれかによって賦活される。図1では、賦活は、高温の蒸気を使用することによって行われる。AC製品は、さらに分級され、特定の用途のためにより微細な粒状ACが必要な場合、さらなる粉砕ステップに供され得る。例えば、米国特許第10,029,235 B1号明細書では、煙道ガスからの水銀の除去における収着剤としての使用に適切であるように、ACの粒度を<28ミクロンまで減少させるために、AC調製物は、ジェットミル粉砕及び別のより微細な粉砕ステップに供される。したがって、より微粉砕されたACの従来の製造プロセスでは、より微細なグレードまで粉砕する前により大きい粒度の組成物が賦活される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ACの製造に使用するための改善された供給原料を提供することが望ましい。起源のより大きい多様性を含むが、医薬品の製造、化学合成プロセス及び他の高度に専門化した産業で使用される厳密な仕様のAC製品の規格に適合する、改善された供給原料を提供することも望ましい。さらに、他に廃棄として分類されるか又はこれまで不適当であると考えられていた材料に由来する供給原料を利用することが望ましく、それにより産業廃棄物のアップサイクリングが可能となり、採炭活動の副生成物としての廃棄微粉のさらなる蓄積を減少させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、極微小な石炭供給原料から高表面積のACを製造するプロセスにおける改善に関する。
【0009】
本発明者らは、ACの製造に望ましくないとこれまで考えられていた非常に高品質(低い灰、硫黄及び水の含有量)の精製炭素質生成物の利用を提供するプロセスを開発した。これらの精製炭素質生成物は、典型的には、石炭尾鉱池、貯水池又は投棄場からの廃棄物及びこれまで経済的に利用できなかった現在の石炭生産加工(例えば、より濃厚なアンダーフロー又は尾鉱のアンダーフローの廃棄物流)、高灰分の下位層の石炭からの不良材料からアップグレードされたものである。
【0010】
本発明の第1の態様によると、活性炭(AC)を製造するプロセスであって、
(i)凝集された精製炭素質生成物(PCP)を提供するステップであって、PCPは、粒状形態であり、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、PCPは、約5%m未満の灰分及び最大で60%mの含水量を有する、ステップ、
(ii)凝集PCPを少なくとも1つの熱処理に供し、それにより熱処理された凝集PCPを形成するステップ、及び
(iii)ACを製造するために、熱処理された凝集PCPを少なくとも1つの賦活プロセスに供するステップ、
を含むプロセスが提供される。
【0011】
本発明の第2の態様は、本明細書に記載のプロセスによって調製された活性炭組成物であって、少なくとも500m/gのBET表面積を有する活性炭組成物を提供する。
【0012】
第3の態様では、本発明は、本明細書に記載のプロセスによって調製された活性炭組成物であって、少なくとも1000m/gのBET表面積を有する活性炭組成物を提供する。
【0013】
本発明の第4の態様は、AC製品を製造するプロセスであって、
(i)粒状形態の炭素質供給原材料を提供するステップ、
(ii)炭素質供給原材料をバインダーと凝集させ、それにより凝集供給原料を形成するステップであって、バインダーは、精製炭素質生成物(PCP)を含み、PCPは、粒状形態であり、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、PCPは、約5%m未満の灰分を有する、ステップ、
(iii)凝集供給原料を少なくとも1つの熱処理に供し、それにより熱処理された凝集供給原料を形成するステップ、及び
(iv)AC組成物を製造するために、熱処理された凝集供給原料を少なくとも1つの賦活プロセスに供するステップ、
を含むプロセスを提供する。
【0014】
本発明の第5の態様は、本明細書に記載のプロセスによって調製された活性炭組成物であって、少なくとも500m/gのBET表面積及び5%m未満の灰の灰分を有する活性炭組成物を提供する。
【0015】
本発明の第6の態様は、流体ストリーム中に含まれる物質を吸着するプロセスであって、流体ストリームを、本明細書に記載のプロセスによって調製された活性炭製品に曝露することを含むプロセスを提供する。
【0016】
本発明の第7の態様は、バイオ炭由来の活性炭製品のBET表面積を増加させるための添加供給原料としての、凝集された精製炭素質生成物(PCP)の使用であって、PCPは、粒状形態であり、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、PCPは、約5%m未満の灰分及び最大で約60%mの含水量を有する、使用を提供する。
【0017】
本発明は、本明細書に開示されるが、上記に明記されていない特徴のさらなる組み合わせを対象とし得ることが認識されるであろう。
【0018】
添付の図面を参照することにより、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】瀝青炭供給原料から活性炭材料を製造するための従来技術の方法を示すプロセスフロー図である。
図2】本発明の実施形態により4つの種類のPCP試料から調製した活性炭について、賦活時間の増加とともにどのようにBET表面積が増加するかを示すグラフである。
図3】種々の賦活時間での、本発明の実施形態により様々な種類のPCP試料から調製した活性炭の収率を示すグラフである。
図4】PCP由来の活性炭及び市販の基準活性炭について比較される、飲用水からの汚染物質2-メチルイソボルネオール(MIB)の除去効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により援用される。特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0021】
より詳細に本発明を説明する前に、本発明の理解に役立つ幾つかの定義が提供される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、記載のいずれかの要素が必然的に含まれ、任意選択的に別の要素も含まれ得ることを意味する。「から本質的になる」は、記載のいずれかの要素が必然的に含まれ、列挙される要素の基本的及び新規な特性に実質的に影響を与える要素が排除され、任意選択的に他の要素が含まれ得ることを意味する。「からなる」は、列挙されるもの以外のすべての要素が排除されることを意味する。これらの用語のそれぞれによって規定される実施形態は、本発明の範囲内となる。
【0023】
本明細書で使用される場合、ある絶対値との組み合わせで使用される場合、「約」という用語は、記載される絶対値をその値の1%だけ上回るか又は下回る許容範囲を意味する。
【0024】
「石炭」という用語は、限定するものではないが、硬質炭、例えば無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭及び褐炭、例えば亜炭(ISO 11760:2005で規定される)など、容易に燃焼可能な堆積鉱物由来の固体炭化水素質材料を表すために本明細書で用いられる。「天然の」又は「供給原料」の石炭は、広範な処理に供されていない石炭を意味し、採掘時点から実質的に変化していない物理組成(例えば、マセラル含有量)を含む。対照的に、「石炭由来製品」、「石炭代替製品」及び「精製石炭組成物」という用語は、採掘時点、すなわち天然状態から実質的に変化するように石炭の物理及び/又は化学組成を変化させる1つ以上のプロセスに供されている種々の石炭を意味するために本明細書で用いられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「炭化水素質材料」という用語は、炭化水素を含有する材料を意味し、炭化水素は、元素の水素及び炭素から実質的になる有機化合物である。炭化水素質材料は、脂肪族及び芳香族の炭化水素を含み得る。炭素質材料は、大部分が炭素を含む傾向にあり、より少ない水素含有量、例えば<5%mの水素、典型的には2%m未満の水素を有する。炭素質材料及び炭化水素質材料は、活性炭を製造するための供給原料として使用することができる。例えば、瀝青炭は、炭化水素質由来の代表的な天然の供給原料である一方、両方ともバイオマスの熱分解から誘導されるバイオ炭又は木炭は、排他的ではないが、大部分が炭素質供給原材料を表す。したがって、炭化水素質材料は、それらの炭素含有量に加えて水素も含有する点で炭素質材料の下位分類の1つであることが理解されるであろう。
【0026】
本明細書で使用される場合、「精製炭素質生成物」又は「PCP」という用語は、地質学的又は生物学的起源の炭素質物質で構成される材料を意味し、例えば石炭、コークス、石油コークス及び/又はバイオ炭である。PCPは、典型的には、灰又は硫黄などの存在する非炭素質物質を最小限まで減少させる種々のプロセスステップに供される。前述のように、精製石炭組成物は、それらの天然又は未精製状態の石炭と異なる。同様に、炭素質物質は、コークス、石油コークス又はバイオ炭の出発供給原料から精製することができ、灰、硫黄及び/又は水などの非炭素質含有量を減少させるためのプロセスに供される。典型的には、本発明の実施形態による地質学的又は生物学的起源のPCPは、5%m未満、適切には4%m未満、任意選択的に3%m未満、ある場合には2%m未満、特定の実施形態では1%m以下の灰分を含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「灰」という用語は、ほとんどの種類の化石燃料中に見られ、特に石炭中に見られる無機、例えば非炭化水素の鉱物成分を意味する。灰は、石炭の燃焼後に残存する固体残留物中に含まれ、場合によりフライアッシュと呼ばれる。石炭の供給源及び種類は、非常に多様であるため、灰の組成及び化学的性質も多様である。しかしながら、典型的な灰分としては、幾つかの酸化物、例えば二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化鉄(III)及び酸化アルミニウムが挙げられる。その供給源に応じて、石炭は、ヒ素、ベリリウム、ホウ素、カドミウム、クロム、コバルト、鉛、マンガン、水銀、モリブデン、セレン、ストロンチウム、タリウム及びバナジウムなど、後の灰中に含まれ得る1つ以上の物質を微量でさらに含み得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「低灰石炭」という用語は、別の業界標準の石炭よりも灰形成成分の比率が低い天然石炭を意味する。典型的には、低灰の天然又は供給原料の石炭は、約12%m未満の灰を含む。「脱灰石炭」という用語又は「脱鉱物質石炭」という関連する用語は、その天然状態よりも無機鉱物質の比率が低い石炭を意味するために本明細書で用いられる。灰分は、ASTM D3174-12 Standard Test Method for Ash in the Analysis Sample of Coal and Coke from Coalに記載されるような石炭組成物の近似分析によって求めることができる。本発明の実施形態では、主に石炭に由来する精製炭素質生成物中の灰分は、5%m未満、3%m未満、2%m未満及び1.5%m未満であるか、又はさらに1%m未満が得られる。実際、本発明者らは、極めて予期しないことに、約1%m又は1%m未満の非常に低灰分の製品を、プロセスが非商業的になる歩留まりレベルを代償とする必要なしに、50%mまでの灰の出発物質から得ることが可能であることを見出した。
【0029】
低品位炭は、炭層の品質の地質調査に用いられる用語であり(例えば、UK coal survey,1937)、15.1%m超及び40.0%m未満の石炭帯又は炭層中の固有の灰を意味する。低品位炭からなる石炭帯又は炭層は、石炭自体の中に密接に混合された鉱物質を含み、その結果、従来の石炭処理技術を用いた精製が非常に困難である。
【0030】
本明細書で使用される場合、「石炭微粉」という用語は、典型的には、1.0mm未満の最大粒度を有する粒状形態の石炭を意味する。「石炭超微粉」、又は「超微粉石炭」、又は「超微粉」という用語は、典型的には、0.5mm(500ミクロン(μm)、約0.02インチ)未満の最大粒度を有する石炭を意味する。「石炭微粉」、又は「微粉石炭」、又は「微粉」という用語は、典型的には、20μm未満の最大粒度を有する石炭を意味する。
【0031】
最も適切には、PCPの最大平均粒度は、石炭又は他の供給源のいずれに由来する場合でも最大で75μm、50μm、40μm、30μm、20μm、25μm、20μm、15μm、10μm又は5μmであり得る。最小平均粒度は、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1μm、2μm又は5μmであり得る。
【0032】
粒度の別の尺度は、ある最大粒度と、その粒度未満となる試料中の粒子の体積基準の比率のパーセント値、すなわち「d」値とを示すことである。適切には、PCP材料の粒度は、超微粉の範囲内である。最も適切には、PCPの粒度は、微粉の範囲内である。特に、最大粒度は、最大で500μmであり得る。より適切には、最大粒度は、最大で300μm、250μm、200μm、150μm又は100μmであり得る。しかしながら、最も典型的には、最大粒度は、最大で75μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm又は5μmであり得る。最小粒度は、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1μm、2μm又は5μmであり得る。あらゆる「d」値をこれらの粒度のいずれか1つと関連させることができる。適切には、上記の最大粒度のいずれかと関連する「d」値は、d99、d98、d95、d90、d80、d70、d60又はd50であり得る。例えば、本発明の特定の一実施形態では、PCPは、<70μm、<50μm、任意選択的に<20μm、適切には<10μmのd90を有する。適切には、PCPは、<25μm、<20μm、<15μm、<12μm、任意選択的に<10μmのd95を有する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「含水量」という用語は、試料中の水の総量を意味し、濃度又は質量パーセント値(%m)として表される。この用語がPCP試料中の含水量を意味する場合、これは、材料の固有の又は残留する含水量及び例えばPCP精製プロセスの結果として環境から吸収されたあらゆる水又は水分を含む。本明細書で使用される場合、「脱水石炭」という用語は、水の絶対比率がその自然状態よりも低い石炭を意味する。「脱水石炭」という用語は、自然発生的な水の比率が低い石炭を意味するためにも使用され得る。含水量は、ASTM D3302/D3302M-17 Standard Test Method for Total Moisture in Coalに記載されるような天然又は精製石炭組成物の分析によって求めることができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「熱処理」という用語は、後の賦活中の高表面積材料を得るための能力に影響を与えることなく、600℃の通常の熱分解温度未満、適切には550℃未満、典型的には500℃未満、任意選択的に約450℃で行うことができる熱前処理を意味する。熱処理により、PCPの脱揮発が行われ、その時点において、得られた材料は、AC組成物を製造するために化学的又は物理的賦活に供され得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「賦活」という用語及びその派生語は、炭化水素質材料又は炭素質材料、例えばPCPが物理的処理若しくは化学的処理又は両方の結果としてより多孔質となるプロセスを意味する。したがって、本明細書で使用される場合、「活性炭」(AC)又は「活性炭粒子」という用語及びそれらの派生語は、賦活プロセスに供された炭素粒子であって、その結果として多孔度が増加し、対応して粒子の有効表面積(SA)が増加している炭素粒子を意味することを意図している。
【0036】
ACは、炭素の形態の1つであり、目に見える亀裂及び裂け目から、分子寸法の亀裂及び裂け目までの広範囲の孔径にわたって非常に多孔質であり、その結果として非常に広い内部表面積が得られ、そのため、吸着への使用に理想的となる。ACは、石炭、コークス及びバイオ炭から製造される炭素材料の最大市場の1つである。これは、水、食品、化学物質、医薬品、血液及びガスの精製のための種々の用途に使用される。それぞれの用途には、異なる表面積特性、細孔形態、純度レベル及び表面機能化を有するACが必要となる。最も基本的なレベルでは、ACの用途及び価値は、特定の炭素原により実現可能な表面積によって大きく決定される。ACは、適切には、ASTM D2652-11(Reapproved 2020)Standard Terminology Relating to Activated Carbonにより、「吸着特性を生じさせるプロセスによって製造される一連の炭素質物質」と定義されている。賦活は、適切には、ASTM D2652-11(Reapproved 2020)により、「それにより吸着特性が生じるように物質が処理されるあらゆるプロセス」と定義されている。
【0037】
本明細書で使用される場合、「活性炭製品」という用語は、炭素質材料の2つ以上の供給原料から製造される活性炭を規定するために使用される。例えば、活性炭製品は、PCP、特にPCPバインダーと組み合わせて、天然石炭、バイオ炭又は木炭を含む炭素質供給原料から製造され得る。
【0038】
粉末活性炭(PAC)は、適切には、ASTM D2652-11(Reapproved 2020)Standard Terminology Relating to Activated Carbonにより、「45μm未満の平均粒径を有する活性炭」と定義されている。PACは、典型的には、より大きい粒子の活性炭から作られ、次により小さいサイズ範囲まで破砕、粉砕又は摩砕される。活性炭の吸着反応速度は、粒度が減少すると増加する。PACは、多くの場合、水及びガスの処理に使用される。
【0039】
顆粒状活性炭(GAC)は、適切には、ASTM D2652-11(Reapproved 2020)Standard Terminology Relating to Activated Carbonにより、「大部分が80メッシュ(175ミクロン)を超える粒度の活性炭」と定義されている。したがって、GACは、粉末活性炭よりも比較的大きい粒度を有し、したがって吸着のための外部表面がより小さい。GACは、急速に拡散するため、ガス及び蒸気の吸着に適している。GACは、水処理、脱臭及び流動系の成分の分離に使用される。
【0040】
AC組成物を製造するための直接供給原料として又は別の供給原料と併用されるバインダーとして使用することができるPCPを製造するための石炭微粉などの炭素質材料の脱鉱物質及び脱水は、超微粉及び微粉粒子のために特に設計されたフロス浮選分離と、機械的及び熱的脱水技術との組み合わせによって実現され得る。典型的には、PCPは、粒度減少と、鉱物質除去と、脱水と、任意選択的に乾燥とを含むプロセスにより、粒状石炭の供給原料から製造することができる。これらのステップの一部又はすべては、出発物質又は所望の最終製品の仕様に適合するように変更又は修正され得る。重要なプロセスステップは、貯水池、尾鉱池又は生産尾鉱のアンダーフローに由来する典型的な出発石炭材料と関連して以下にまとめられる。
【0041】
粒度減少
出発物質は、5~8%mの目標鉱物質(灰)含有量への効率的な分離を実現するために、d80=30~50ミクロンの(又は一部の石炭ではより微細な)粒度まで減少される。これを実現するため、出発物質を含む供給材料を水で希釈して、20~40%mの範囲内の固体含有量を達成し、次に供給原料の最大サイズによってボールミル又はビーズミル内で粉砕する。生成物を約100ミクロのサイズ範囲でふるい分けして、このサイズを超える粒子を排除する。サイズ減少中のエネルギーの使用を最適化するために分散添加剤が含まれ得る(例えば、リグニンをベースとする分散剤、例えばBorregaard,1701 Sarpsborg,Norwayにより製造されるBorresperse、Ultrazine及びVanisperse)。サイズ減少に適切な装置は、Metso Corporation,Fabianinkatu 9 A,PO Box 1220,FI-00130 Helsinki,FIN-00101,Finland、Glencore Technology Pty.Ltd.,Level 10,160 Ann St,Brisbane QLD 4000,Australia及びFLSmidth,Vigerslev Alle 77,2500 Valby,Denmarkによって製造されている。
【0042】
灰除去
取り込まれた鉱物含有量を目標レベルまで減少させるために、1つ又は一連のフロス浮選段階が行われる。主にサブ10ミクロンサイズの領域内に鉱物質が分布する一部の石炭の場合、さらなる粉砕に続いて、浮選の2つ以上の段階が低灰レベルを実現するために必要となり得る。
【0043】
フロス浮選中、石炭スラリーは、典型的には、5~20%mの固形分の範囲まで水でさらに希釈され、次にタンク内に収集され、気泡剤として知られるフロス浮選剤(例えば、メチルイソブチルカルビノール及びパイン油)及び捕収剤(例えば、ディーゼル燃料又は別の炭化水素油及びNasaco International Co.,Petite Rue 3、1304 Cossonay,SwitzerlandのNasmin AP7)が、制御された使用量を用いて加えられる。プロセス水及び密閉された空気圧縮機からの濾過空気が満たされたマイクロ粒子分離機(例えば、Eriez Manufacturing Co.,2200 Asbury Road,Erie,Pa.16505,USA、FLSmidth,Vigerslev Alle 77,2500 Valby,Denmark、Metso Corporation,Fabianinkatu 9 A,PO Box 1220,FI-00130 Helsinki,Finland及びGTEK Mineral Technologies Co.Ltd.によって製造される浮選試験機)は、疎水性炭素材料を親水性鉱物材料から選別するために用いられる。炭化水素質粒子を含むフロスは、タンクから溢れ出し、このフロスは、開放された上部の樋内に集められる。鉱物パルプは、排出されるまで分離タンク内に維持される一方、脱鉱物質石炭スラリーは、脱気された後にさらなる処理に供される。
【0044】
脱水
フロス浮選からの濃縮物は、押出機への供給材料を生成するために、加圧下又は減圧下において、場合により送風を使用し、フィルタープレス又はチューブプレスを用いて、実際の粒度に応じて20~50%mの目標範囲まで脱水されて、機械的手段により水が除去される。適切なフィルタープレス装置は、Metso,FI-00130 Helsinki,Finland、FLSmidth,Valby,Denmark及びOutotec.Rauhalanpuisto 9,02230 Espoo,Finlandによって製造されている。
【0045】
幾つかの場合、沈降特性及びアンダーフロー密度を最適化するために、凝集剤(又は増粘剤、例えばNalco Champion,1 Ecolab Place,St.Paul,MN 55102-2233,USAによって製造されるアニオン性ポリアクリルアミド添加剤)が加えられる。手順を最適化するため、沈降速度を測定し、沈降曲線を作成して、経時的にアンダーフロー密度を追跡するための沈降試験が行われる。
【0046】
濾過速度及び結果として得られるケーキの水分に応じて、濾過も必要となり得る。手順を最適化するため、供給%固形分(濃縮あり/濃縮なし)、供給粘度、pH及び濾過圧力が測定される。ケーキの排出及び目詰まり性能を評価した後に濾布が選択される。適切な濾布は、Clear Edge Filtration,11607 E 43rd Street North,Tulsa,Oklahoma 74116 USAによって製造されている。
【0047】
幾つかの状況では、フィルタープレス前に固形分を濃縮するために、プロセス設計にデカンタ型遠心分離機を組み込むことができる。適切な装置は、Alfa Laval Corporate AB,Rudeboksvaegen 1,SE-226 55 Lund,Swedenによって製造されている。
【0048】
この段階での生成物は、PCPウェットケーキと呼ばれ、典型的には50~60%mの水分を含む。約50%mの水分量において、この材料は、凝集し、乾燥した感触になる。
【0049】
乾燥
PCP生成物は、含水量を10%m未満まで減少させるために熱乾燥させることができる。これは、PCPに対して直接実現され得るか、又は最初に取り扱いを容易にするためにペレット化し、それをベルト乾燥機まで運び、そこで酸素欠乏高温プロセス空気を微粉石炭上に直接吹き付けることによって実現され得る。適切な装置は、STELA Laxhuber GmbH,Oettingerstr.2,D-84323 Massing,Germany又はGEA Group Aktiengesellschaft,Peter-Mueller-Str.12,40468 Duesseldorf,Germanyによって製造されている。
【0050】
本発明のさらなる特定の実施形態によると、少なくとも約90体積%(%v)のPCP粒子は、約25μm以下の直径であり、任意選択的に約15μm以下の直径であり、任意選択的に約5μm以下の直径である。適切には、PCPは、約2%m未満、適切には約1.5%m未満、任意選択的に1%m以下の灰分を有する。任意選択的に、PCPは、約2%m以下、任意選択的に約1%以下、任意選択的に0.5%以下の硫黄含有量を有する。
【0051】
凝集
本発明の実施形態によると、予備酸化、脱揮発及び/又は物理的若しくは化学的賦活に必要な熱プロセスステップ前に、微粉粒子を凝集させるために、乾式又は湿式混合物のいずれかとして(例えば、ウェットケーキ又は部分的なウェットケーキとして)、PCPの固体粒状物質を有機又は無機バインダー物質あり又はなしでブレンドするプロセスが提供される。湿式混合物は、前述の脱水段階から直接得られ、PCPの含水量が約50%m~60%mであるいわゆる「ウェットケーキ」の形態のPCPを含み得る。PCP粒子の微粉特性の利点の1つは、乾燥又は種々の含水量のいずれかでPCP材料を製造できることである。より高い含水量が好ましい場合、ウェットケーキ中などの表面に維持される水により、別のAC供給原料とともに少量成分としてPCPが加えられるとき、有用に活用されるさらなる固有のバインダー特性を有するPCPが得られる。より少ない含水量では、PCPの少なくとも10%m、PCPの最大で40%m、適切にはPCPの約30%mの含水量を有する部分的に乾燥されたウェットケーキを使用することができる。
【0052】
PCPの凝集は、一次粒子が付着(弱い物理的相互作用)によって互いにゆるく結合して、より大きい凝集物を形成するときに生じる。これらの凝集物は、機械的な力によって破壊することができる。凝集物は、周囲の媒体の条件(圧力、温度、粘度など)のためにサイズ及び形状が変化し得るより小さい一次粒子の集合体である。より大きい凝集物は、破壊されてより小さい凝集物になるか又は逆であり得、より小さい凝集物は、より大きい凝集物を再び形成し得る。押出成形は、一定の断面プロファイルの物体を形成するために用いられるプロセスであり、適切には材料に圧縮力を加えて、それがオリフィス又はダイを通過して流れるようにすることによって微粒子を凝集させるために用いることができる技術である。25ミクロン未満の平均粒度を有するPCPの凝集により、改善された賦活表面積及び本来賦活できないバインダー材料もないことなど、予期しない性質を有するAC製品が得られる。
【0053】
しかしながら、表面に維持される水に加えて、ある状況ではPCP粒状組成物の凝集のために適切なバインダー材料を利用することができ、それらは、有機由来若しくは無機由来又は両方の組み合わせであり得る。無機バインダーは、石灰、水酸化カルシウム、消石灰、アルミナ、クレイ、酸化鉄、酸化カルシウム、シリカ及びシリケートを含み得る。有機バインダーは、炭水化物、例えば精糖又は未精製の糖、糖蜜及びでんぷん;アルギネート;セルロース、リグノセルロース、おがくず及びセルロース誘導体;コールタールピッチ、石油ピッチ、エチレンクラッカーボトム、ギルソナイト、石炭ガス化ボトム、エポキシ樹脂;植物油又は脂肪酸;グリセロール及びグリセロールエステル;天然ガム(例えば、キサンタンガム、シェラック);バイオマス熱分解生成物;ラテックス;リグノスルホネート;ポリアクリレート及びポリアクリルアミド;ポリアルキレングリコール;ポリエステル樹脂;ポリウレタン;並びにスチレンポリマーを含み得る。典型的には、無機バインダーの使用は、凝集したPCP組成物及びそれから賦活後に得られるACの灰分の増加に寄与する。しかしながら、本発明の別の利点は、この灰分の増加がPCP自体の本来の低灰によって部分的に相殺され得ることである。したがって、これにより、ペレット強度などの所望の物理化学的特性のためにその使用が特に必要な場合、使用可能な潜在的な無機バインダーの範囲が拡張され得る。
【0054】
本発明の特定の一実施形態では、供給原料は、50ミクロン超、適切には70ミクロン超、任意選択的に少なくとも75ミクロンの平均粒度を有する瀝青炭などの粒状石炭を含む。瀝青炭供給原料は、バインダー成分としてのPCPと、最大で50%mにおいて、すなわち質量基準で1:1の混合物で混合することができる。一実施形態では、PCPは、混合物中の少量成分、すなわち50%m未満であり得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、凝集した共混合固体-固体ブレンド中のd90粒度<20ミクロンのPCPと、より大きいサイズの石炭粒子との組み合わせにより、最適な体積充填が可能となり、賦活後のAC組成物の単位質量当たりの利用可能な表面積をさらに増加させることができる。別の一実施形態では、バインダーとしての最大で50%mのPCPと、>50ミクロンの平均粒度を有する残部の粒状バイオ炭供給原料とを含有する組成物が提供される。一実施形態では、PCPは、混合物中の少量成分、すなわち50%m未満であり得る。前述のものと同様に、最適な体積充填により、より大きいバイオ炭粒子と、より小さいPCPとの組み合わせから、賦活後のAC組成物の単位質量当たりの利用可能な表面積を大きくすることができる。
【0055】
本発明の一実施形態によると、AC組成物を製造するプロセスは、PCPをバインダーと混ぜ合わせて、PCP粒子を凝集させ、それにより凝集PCPを形成することを含み得る。
【0056】
バインダーを用いる又は用いない凝集ステップは、実質的に又は部分的に乾燥している(例えば、最大で10%m以下の含水量を有する)PCPを用いて、又はウェットケーキ(例えば、<60%mの含水量を有する)中に構成されるPCPを用いて、又は約20%m若しくは30%mの水間の複合混合物を用いて開始することができる。凝集段階は、押出プロセスなどによるPCPのペレット化が行われるペレット化プロセス中に組み込むことができる。凝集した組成物に対して、次に、化学的又は物理的賦活前の予備酸化及び脱揮発を含み得る、熱分解とも呼ばれる1つ以上の熱処理段階が行われる。熱分解は、不活性雰囲気中での高温における材料の熱的な分解であり、これにより化学組成が変化する。PCPなどの炭素質材料の場合、典型的には400℃~900℃の温度範囲内で行われる熱分解中、揮発性の液体及び気体化合物が発生し、主に炭素である固体残留物が残る。予備酸化は、化学的又は物理的賦活前に行われる酸化プロセスである。
【0057】
本発明の一実施形態では、熱的前処理は、有利には、PCPが比較的小さい粒度のため、予想よりも低い温度で行うことができ、それによってより効率的な炭の形成が可能となる。
【0058】
本発明の実施形態により製造されるAC組成物は、驚くべきことに、広い表面積、適切には500m/g超、適切には>700m/g、典型的には>800m/g、任意選択的に約1000m/g、通常、少なくとも>1300m/gまでの広さとなることを特徴とする。
【0059】
したがって、特定の実施形態では、前述のように、別の炭素質源から得られるPAC又はGACと組み合わせて、PCPは、それ自体を有機結合剤として(すなわち「バインダー」として)利用することができる。PCPバインダーは、天然石炭に由来する炭素質材料(例えば、瀝青炭)又はバイオマスに由来する炭素質材料(例えば、バイオ炭)で構成される組成物中に存在し得る。PCPバインダーは、約1%m以上、2%m以上、5%m以上、10%m以上、15%m以上、20%m以上及び最大で約25%mの量で存在し得る。PCPバインダーは、約50%m以下、30%m以下、25%m以下、20%m以下、15%m以下及び10%m以下の量で存在し得る。特定の一実施形態では、炭素質供給原料は、最大で25%mのPCPと混合することができ、すなわち炭素質供給原料対PCPバインダーの質量基準で3:1の混合物で混合することができる。PCPで実現可能な高い賦活レベルにより、いずれも賦活が行われない有機バインダー(ポリマーなど)又は無機バインダー(クレイ又はシリカなど)と比較して非常に有利となる。したがって、活性炭組成物の製造におけるバインダーとして使用する場合、PCPは、最終AC製品中の吸着に全体的に利用可能な賦活表面に寄与する。
【0060】
本発明の特定の実施形態では、特にバイオ炭由来の活性炭製品のBET表面積を増加させるために、PCPは、添加供給原料又は「バインダー」などの添加剤として存在し得る。このような実施形態では、PCPは、粒状形態で存在し、典型的には、粒子の少なくとも約90体積%(%v)は、約25μm以下の直径であり、約5%m未満の灰分及び最大で約60%mの含水量を有する。以下の実施例に示されるように、PCPをバイオ炭由来の活性炭に加えることで、BET表面の増加は、少なくとも2倍、任意選択的に2倍超、さらに最大で3倍の増加となり得る。
【0061】
本明細書に記載の組成物及び材料で構成される活性炭は、ある範囲の用途に有用性を見出すことができる。例えば、活性炭は、不適切に廃棄されている、工業プラント及び化学プロセス施設からの廃水、農業地域上で使用された肥料及び農薬を含有する表面流出、洗浄用洗剤並びに消火活動の泡中に使用される難燃剤におけるものなど、環境を破壊する汚染物質の多様な発生源の改善に使用することができる。多くの工業化学汚染物質は、分解するまでに数十年間にわたって自然界に残り続けることが知られており、特に移動式給水に存在する場合に非常に低濃度でも植物、動物及び人間に対して非常に有害であり得る。したがって、本明細書に記載の活性炭組成物は、水を含むものなどの流体ストリームから「汚染物質」又は「汚染要因物質」を除去する方法に使用することができる。本発明に関連して、「汚染物質」は、人間若しくは動物の健康又は環境に対して有害であり得る物質を含むことが意図される。その結果、これに応じて派生語が定義され、例えば、汚染された流体は、汚染要因物質を含む流体である。幾つかの実施形態では、汚染物質は、有機化合物を含み、任意選択的にジクロフェナク、エリスロマイシン、エストロゲン、オキサジアゾン及びチアメトキサムからなる群から選択される1つ以上を含む医薬品又は農薬分子を含む。ある実施形態では、汚染物質は、パーフルオロアルキル及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)などの過フッ素化化合物である。幾つかの実施形態では、汚染物質は、任意選択的に、銅、鉄、鉛、水銀、クロメート又はアルセネートから選択される金属又は半金属イオンであり得る。
【0062】
本明細書に記載の活性炭組成物は、汚染物質を含む流体ストリームとの接触に適しており、それにより活性炭によって流体ストリームからの物質が吸着するか又は別の方法で取り込まれて、分離される。特定の実施形態では、活性炭材料は、フィルター/清浄器及び/又は床又は充填カラム(例えば、複数の積層されたフィルターを含む)内に配置され、流体ストリームをフィルター、床又は充填カラムに通過又は横断させる。活性炭は、イオン交換樹脂などの別の吸着材料と組み合わせた混合床中に配置することができる。一実施形態では、活性炭は、フィルターカートリッジなどの準備された部品内に含まれ、それにより、使用される場合、活性炭と、吸着した汚染物質とを好都合に閉じ込めることができ、同様に必要に応じて新しい活性炭材料との交換又は活性炭材料の補充が可能である。代わりに、活性炭は、分散物として流体ストリームに加えることができる。活性炭は、粒状、すなわち顆粒、フレーク、ビーズ、ペレット又は錠剤の形態であり得る。活性炭材料は、より広い接触可能な表面積を有利に提供することができる粉末の形態であり得る。活性炭材料は、膜又は膜状のフィルター内に組み込むことができる。典型的には、流体の改善のために組成物中に使用される場合の活性炭材料は、粒状又は顆粒状の形態であり、適切には、粒子又は顆粒の平均直径サイズ(粒子の最大直径によって測定される)は、約0.01mm超、適切には約0.1mm超及び典型的には約5mm未満、約3mm未満、任意選択的に約1mm未満又はさらに約500μm未満である。
【0063】
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【実施例
【0064】
実施例1:粉末PCPの賦活
この研究に使用したPCP試料は、主にHarlan Countyに起源を有する米国の瀝青炭(East Kentucky)から生じる池尾鉱廃棄物に由来するものであった。製造された状態のPCPは、粒度がd80<5ミクロン、d98<10ミクロンであり、灰分が1%mであった。
【0065】
Micromeritics instrumentのTristar 3000を用いた標準的な窒素吸着により、PCP及び別の試料の表面積(SA)及びメソ細孔(1.7~300nm)特性を調べた。SA及び細孔容積は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法により、平均細孔直径は、BJH(Barrett、Joyner及びHalenda)法により、脱着等温線を用いて測定した(R.Bardestani,G.S.Patience&S.Kaliaguine,Experimental methods in chemical engineering:specific surface area and pore size distribution measurements-BET,BJH,and DFT,Can.J.Chem.Eng.2019,Vol 97,pp 2781-2791)。
【0066】
例えば、未処理のPCPの場合、20.6m/gのBET SA及び同様の大きさのBJH SA値(21.6m/g)が細孔容積(0.091cm/g)及び平均孔径(16.0nm)の値とともに測定された(表1(試験番号1))。
【0067】
予備酸化及び脱揮発の影響
PCP粉末の試料を250℃のプリセット温度のオーブン内の開放るつぼ中で6時間酸化させ、次に500℃で1時間熱分解させて、揮発分を除去した(例えば、試験番号3及び4)。脱揮発のみの試験番号2は、BET SAが20.6m/gから8.3m/gまで減少し、細孔容積が0.091cm/gから0.021cm/gまで減少したのみであった。これは、瀝青炭の膨潤が起こったと予想され、なぜなら、それらの可塑相転移が起こり、石炭材料が流動し、その結果、細孔が崩壊し得るためである。
【0068】
瀝青炭の膨潤及び流動挙動の減少又は解消のために酸化を用いることができる。驚くべきことに、予備酸化と脱揮発ステップとの単純な組み合わせにより、289m/g~293m/g(試験3及び4)の範囲内の値まで10倍を超えてBET SAが増加する。細孔容積は、ほぼ同じであるが、平均孔径は、16.0nmから9.5nmまで大幅に減少している。酸化ステップによって重量が40%減少し、脱揮発からの収率が84%であり、正味の収率が約50%となる。
【0069】
【表1】
【0070】
PCPの予備酸化は、オートクレーブ中でも0.3リットル/分の気流下において250℃で6時間行い、続いて同じ流量の窒素下において500℃で1時間の脱揮発を行った。この手順でも、BET SAが20.6m/gから208m/gまで10倍に増加した(試験番号5)。この手順により、最も大きい細孔容積、すなわち0.45cm/gが実現された。
【0071】
したがって、上記の予備酸化及び脱揮発技術により、PCP粉末のBET SAは、200m/g~300m/gの範囲まで増加させることができた。これは、市販の活性炭のSA範囲の下端の範囲内であるが、ほとんどの製品は、BET SAが500~1500m/gの範囲である。そのため、BET SAを増加させるために、3つの賦活方法の影響についてさらに試験を行った。
【0072】
化学的賦活の影響
オーブンで予備酸化させ、脱揮発したPCPの試料にKOH水溶液を含浸させ、管材料及びSwagelokの部品を用いて作製された注文制作の316ステンレス鋼反応器中に配置し、約0.5ミクロンの細孔を有するステンレス鋼フリットを用いて反応器中に維持した。この反応器を、試験6では窒素及び試験7ではCOガスを供給するマニホールド中に配管した。賦活前に試料及び反応器に所望のガスをパージし、賦活のために、ガス流下の予熱したオーブン内に反応器を入れた。反応器の出口に、オーブン内まで延在する熱電対を取り付け、そのため、反応器から流出するガスの温度を監視することができた。流量計を用いてガスの流量を制御した。賦活温度は、850℃であり、流量は、0.3リットル/分であった。
【0073】
これらの条件下において、1266m/gの高BET SAを有する粉末AC(最終収率17%)が窒素下で調製された(試験6)。二酸化炭素を用いると、1368m/gのさらに高いBET SA(最終収率27%)が得られた。これらのSA値は、市販のACの非常に高い範囲内にある。細孔容積は、いずれもこれらのAC製品と同様であった(それぞれ窒素及びCOの場合にそれぞれ0.29及び0.25cm/gであった)。窒素試験から得られた平均孔径は、CO試験から得られたもの(8.7nm)よりもはるかに大きく(21.3nm)、出発PCP自体よりも大きい。対照的に、CO試験からの平均孔径は、すべての試験の中で最小であった。
【0074】
実施例2.押出成形されたPCP含有ペレットの賦活
代わりに、PCPは、賦活前に凝集させることができ、これにより最終ACの取り扱いを改善することができ、バイオ炭などの別の炭素質物質のためのバインダー成分としてのPCPの使用も容易になる。この実施例では、PCPウェットケーキ(>50%含水量)に焦点を当てる。
【0075】
PCPウェットケーキ及びPCP粉末の試料を使用した。これらの間の主な違いは、含水量であり、ウェットケーキの場合には59%m、粉末の場合には2%mである。2つの試料の分析を表2に示し、バイオ炭及び低灰US瀝青炭試料(それぞれ実施例4及び5を参照されたい)の利用可能な分析データも一緒に示す。含水量は、ASTM D2867により、灰分は、ASTM D2866により、揮発性物質含有量は、ASTM D5832又は熱重量分析(t.g.a.)により、発火温度は、空気中のt.g.a.により、BET表面積及び細孔構造は、NOVA表面分析装置を用いて求めた。
【0076】
PCPウェットケーキのかさ密度を、従来のオーブン乾燥により凝集生成物を得て、次にそれを粉末まで粉砕することによって求めると、430kg/mであった。粉末PCPは、個別の微粉粒子をばらばらに維持するリング乾燥技術によって製造され、この結果、はるかに低い250kg/mのかさ密度を有する。
【0077】
ペレットを1Lのメスシリンダー中に1回で約250mL入れ、シリンダーを硬い表面上で穏やかにたたいて、ペレットを沈降させ、充填を改善することにより、未処理のペレットの密度を測定した。50mLのシリンダーに試料全体を満たし、シリンダーをたたいて充填を最適化させることにより、賦活後の最終ペレット密度を求めた。次に、質量及び体積を記録した。
【0078】
【表2】
【0079】
凝集
凝集及び直接の2つの形態の物理的賦活が存在する。凝集賦活では、PCPの微細石炭粒子と、粒子全体及び粒子内で賦活を均一にするためのバインダーとが併用される一方、実施例1と異なり、直接賦活では、典型的には、ベース原材料として粗い顆粒状材料(>175ミクロン)が使用される。
【0080】
種々の凝集配合物を、4インチ(10.2cm)のオーガーを有するBonnet押出機(https://www.thebonnotco.com/extruders/)を用いる標準的な押出方法によって調製し、これにより4mmの直径のペレットが製造され、4~6mmの長さに切断した。これらのペレットを60℃のオーブン中で乾燥するまで少なくとも24時間乾燥させた:
1.入手した状態のPCPウェットケーキをより小さいアリコートに分解し、次に凝集させた - 試料P1、
2.90%mのPCPウェットケーキを10%mの無機バインダー(粒度<44ミクロンの標準的なベントナイトクレイ)と混合した - 試料P2、
3.PCPウェットケーキを小さいコインサイズの断片に分割し、次に60℃でオーブン乾燥して、含水量を10%mに減少させた - 試料P3、
4.PCP粉末をバインダーとして使用し、揮発性物質含有量が35%m(乾燥基準)であり、含水量が1~5%mである高揮発性瀝青炭の供給原料と1:1で混合した - 試料P4。
【0081】
ペレットP1及びP2は、問題なく製造されたが、これらは、高含水量のために非常に粘着性であり、互いに凝集した。P2中の無機バインダーにもかかわらず、両方の配合物は、外観の差がなく、同様に凝集した。乾燥後、ペレットは、容易に分離したが、これらは、脆く、軽く触ると破壊された。P3及びP4の両方の配合物は、十分に加工され、P1又はP2よりも良好な初期ペレット品質が得られた。ペレットの性質を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
すべての配合物は、比較的類似する発火温度及び揮発性物質含有量を有したが、灰分及び密度の差が大きかった。P2中に使用した無機バインダーにより、P1よりも密度が50kg/mだけ増加したが、灰分も大幅に増加した。P1中の59%mと比較してはるかに少ないP3中の含水量(10%m)は、P3のかさ密度の550kg/mへの増加に寄与した。PCPと瀝青炭とのブレンドであるP4では、これらの凝集ペレットで最大のかさ密度の580kg/mが得られた。
【0084】
熱処理 - 熱分解及び蒸気賦活
凝集ペレットP1~P4は、最初に熱分解され、次に蒸気賦活された。熱分解中、揮発分を除去するために、試料を窒素ガス下の炉内で加熱する。賦活後、ペレットは、2~3mmの直径に収縮している。
【0085】
それぞれの熱分解試験の場合において、すべての粒子が4メッシュ(>4.7mm)より大きくなるように、20グラムの乾燥試料を最初にふるい分けした。これにより、ペレットのより均一なサイズ分布を得ることができた。炉が所望の温度に到達した後、ペレットを直径1インチ(2.54cm)の石英反応器中に投入した。試料を20分間熱分解させた後、炉を停止し、試料を150℃まで冷却した。その後、これを炉から取り出し、重量を測定し、水平圧縮強度及び揮発性物質含有量の分析を行った。
【0086】
試料は、450℃~750℃のある範囲の異なる熱分解温度で調製したが、すべては、不活性環境を維持するために3L/分の窒素ガス下で20分間加熱した。
【0087】
熱処理の第2のステップは、炭を蒸気に導入する蒸気賦活である。賦活炉のパラメーターは、850℃で30~90分であった。それぞれの蒸気賦活の場合に約10グラムの熱分解炭を使用した。熱分解と同様に、4mL/分の平衡蒸気流量で炉が850℃の内部温度に到達してから、試料を反応器中に投入し、計画された時間の賦活を行った。賦活後、各試料を窒素流下で冷却し、次に150℃未満の温度で炉から取り出した。
【0088】
熱分解後、質量減少を記録し、熱分解ペレットの密度及び揮発性物質含有量を測定した。低い揮発性物質含有量は、試料が十分に炭化していることを示している。賦活後、再び質量減少を記録し、直径の収縮(パーセント値として)及び全収率も一緒に記録した。表4は、種々の条件下でのPCP試料P1~P4のこれらの熱分解及び賦活の結果と、熱分解及び賦活条件の同じ組からの生成物の主要活性炭特性(BET表面積、全細孔容積、平均孔径、灰分及び揮発性物質含有量)とを示す。
【0089】
温度の効果(試験1~4)
比較試験のため、理想温度条件を求めるために450℃~750℃でP1(最高水分の供給材料)の温度の影響を調べた(表4の試験1~4)。驚くべき広い表面積及び異常な低灰分の顆粒状活性炭が製造され、550℃の最適温度が特定された。
【0090】
BET表面積:677m/g~1103m/gの値が得られ、2つのより低い温度(450℃及び550℃)でより大きい値が得られた。これらの値は、市販グレードのCalgon 400及びCalgon 600と同等である。
【0091】
孔径及び細孔容積:より低い温度でのより広い表面積と同時に、2つのより低い温度(450℃及び550℃)で0.62cm/g及び0.60cm/gのより大きい細孔容積及びより大きい平均孔径(22.5Å)が得られた。これらの細孔容積及び孔径は、2つのCalgonの商業グレードと同等である(表4)。
【0092】
収率:熱分解中の質量減少は、温度の上昇とともに22%m(450℃)から33%m(750℃)まで増加したが、この傾向は、賦活中、温度の上昇とともに質量減少が62%m(450℃)から42%m(750℃)まで減少する場合に逆転した。結果として、活性炭の全収率は、より類似したが、実際の収率は、温度の上昇とともに30%m(450℃)から42%m(750℃)まで増加し、これは、石炭ベースの熱分解/蒸気賦活炭素プロセスの場合に高収率であり、Calgon F400の約20%mの収率を参照されたい(表4)。
【0093】
灰分:灰分は、より高い温度で5.1%mから4.2%mまで減少し、これは、温度の上昇とともに収率が増加することと整合性がある。これらの灰分は、8~9%mの灰を有する典型的な市販グレードよりもはるかに少ない。PCPは、0.3%m(乾燥基準)までの少ない灰分の廃棄石炭から調製されている。したがって、この方法では、1.0%又はさらに少ない灰分で活性炭を製造することができる。
【0094】
揮発性物質含有量:熱分解中、高い温度でより少ない揮発性物質含有量が得られ、実際、450℃における試験1は、20分の終了時に揮発が起こったため、完全には熱分解しなかった。賦活中、試験1~4の揮発性物質含有量がすべて非常に類似して2.0m~2.6%m(乾燥基準)であったため、これらの差は、解消された。
【0095】
ペレットの種類及び含水量の効果
60%の水分を含んだP1(試験1~6)では、驚くべきことに、ペレット化できなかっただけでなく、3つの試験(番号1、2及び6)で>1000m/gの非常に広い表面積も得られた。活性炭の場合、灰分は、4.2%m~7.1%mの範囲内で非常に少なかった。ここで、P1(PCPウェットケーキ)中に存在する表面に維持される水は、毛管力のために、PCPの結合能力に寄与している(Sastry,K.V.S,Pelletization of fine coals,DOE Grant No.DE-FG-22-89PC89766,Univ.of California,1995,https://www.osti.gov/servlets/purl/171245)。
【0096】
無機バインダーを含んだP2(試験7)では、最も小さい表面積の活性炭(わずか537m/g)が得られたが、ほぼ37%mの容認できない高灰分も有した。この配合物のさらなる試験は行わなかった。
【0097】
10%の水分のPCPウェットケーキを含んだP3(試験8~10)では、最も広い表面積を有する活性炭が得られ(試験9における1349m/g)、最も大きい平均孔径(27.9Å)及び細孔容積(0.94cm/g)が得られた。広いBET表面積は、大きい全細孔容積、より大きい孔径及びより大きいBJH細孔容積によって得られる。試料8及び9は、約20%の出発含水量で熱処理した。試料10は、熱分解前に約1%の水分まで乾燥させた。熱処理前の試料の乾燥により、高い収率、密度(試験10の場合には0.44g/cm)及び賦活後の硬度並びに少ない直径収縮を有するペレットが得られることが確認された。灰分は、活性炭の場合に非常に少なく、3.0%m~5.9%mの範囲内であった。
【0098】
Ruppert,L.F.et al,,Chapter G,A Digital Resource Model of the Middle Pennsylvanian Pond Creek Coal Zone,Central Appalachian Basin Coal Region,U.S.Geological Survey Paper 1625-C,2000,(https://pubs.usgs.gov/pp/p1625c/CHAPTER_G/CHAPTER_G.pdf)から得られるHarlan Countyの石炭のデータに基づくと、このPCPが得られる典型的な層の石炭の場合、約3%mの水分は、細孔に保持される固有の水分である。この等級のビトリナイトに富む石炭の場合、J.F.Unsworth,C.S.Fowler&L.F.Jones,Moisture in Coal.2,Maceral effects on pore structure.,Fuel,68,18(1989)のデータから、粉砕中に破壊されるマクロ多孔は、1%mと見積もられる。残りの8%は、表面に維持される水であり、それにより得られる毛管力は、PCPの結合傾向に寄与する。一部のPCP粒子は、静電力又はファンデルワールス力から得られる粒子-粒子インターロッキングにより、それら自体も互いに結合する。このバインダーの性質は、PCPの微粉の粒度分布から得られ、これにより非常に多数の粒子-粒子インターロッキングが生じる。
【0099】
60%の水分の50%のPCPウェットケーキと、50%の乾燥瀝青炭とを含んだP4(試験11~18)では、5つの試験(番号13、14、15、17及び18)で>1000m/gの広い表面積が得られた。試験11~15では、約15%の初期含水量で試料を熱分解させる一方、試験16~18では、熱処理前に約1%溶液の水分まで乾燥させた。この予備乾燥の差により、より高い密度(試験16の場合0.51g/cm)が得られた。すべての試験を比較すると、予備乾燥試験によって0.42g/cm~0.51g/cmの範囲内の密度を有する活性炭が得られた(試験10~18)一方、予備乾燥なしのもの(試験1~9)の密度は、0.26g/cm~0.39g/cmの範囲であることが示されている。より多い灰を含有する瀝青炭が存在するにもかかわらず、活性炭の場合の灰分は、非常に少なく、4.6%m~6.6%mの範囲内であった。
【0100】
PCPは、賦活に適したバインダーのないペレットの製造が可能であるだけではく、PCPは、より粗いサイズの瀝青炭粒子のバインダーとしても機能する。この場合にも、このバインダーの性質は、PCPの微粉の粒度分布から得られ、これによりPCPと瀝青炭との間及びPCPとPCPとの間の粒子-粒子インターロッキングが生じる。
【0101】
P5(試験20~22)は、PCP-Bウェットケーキを含み、これは、PCPと同じ廃棄石炭源から調製されたが、灰除去段階が1つ少なかった。PCP-Bウェットケーキは、以下の性質を有した:
・PCPウェットケーキ(1.3%m)よりも多い灰分(2.7%m)、
・PCPウェットケーキ(59%m)よりも少ない含水量(18.1%m)、
・PCPウェットケーキ(d80=5μm)よりも粗い粒度分布(d80=9.5μm)。
【0102】
より小さい表面積(512~611m/g)及びより高い活性炭収率(45~41%)のそれぞれがP5試料で確認された。試験22により、120分の賦活時間後、最も広い表面積(611m/g)が得られた。これらの表面積は、PCPで得られたものよりも小さいが、多くの市販の活性炭、例えばNorit Darco(商標)は、この仕様で製造され、それにより、PCPの製造に必要な処理の程度と、AC最終製品に必要な性質との間のトレードオフが可能となる。
【0103】
【表4】
【0104】
表4から明らかなように、無機バインダーを含む唯一の試料であるP2では、賦活後に試験したすべての試料の中で最も小さい表面積が得られている。
【0105】
賦活時間
図2は、4つの種類のPCP試料から調製した活性炭で賦活時間の増加とともにBET表面積がどのように増加するかを示す:
・P1(30分における試験5、60分における試験2及び90分における試験6)、
・P3(60分における試験8及び90分における試験9)、
・P4 wet(60分における2回の試験11及び12の平均並びに90分における3回の試験13、14及び15の平均)
・P4 dry(60分における試験16並びに90分における試験17及び18の平均)。
【0106】
ほとんどの場合、細孔容積は、より長い賦活時間で表面積がより大きい値にある同様の傾向を示し、例えば、
・P1:30分における0.32cm/gから60分における0.60cm/g及び90分における0.60cm/gまで、
・P3:60分における0.38cm/g及び90分における0.92cm/g、
・P4 wet:60分における0.41cm/g及び90分における0.57cm/g、
・P4 dry 60分における0.37cm/g及び90分における0.51cm/g。
【0107】
賦活時間の増加とともに平均孔径が増加する同様の傾向が存在する。
【0108】
図3は、同じ4つの種類のPCP試料から調製された活性炭で賦活時間の増加とともに収率がどのように低下するかを示す。接触時間が長いと質量減少が大きくなるため、これは、予想されるはずである。90分後の収率が60分における収率よりもわずかに高く見られるP1は、1つの小さい例外である。
【0109】
したがって、賦活時間の増加に関して、より低い収率と、より広い表面積、より大きい細孔容積及びより大きい平均孔径との間でトレードオフが存在する。
【0110】
実施例3.液圧圧縮したPCPディスクの賦活
乾燥PCP粉末を直径約25mm及び高さ8mmの3つの小さい円筒形ディスクに液圧プレスすることにより、別の材料(D1)を調製した。これらのディスクの個別の計算体積及び測定質量から895kg/mの平均かさ密度が測定され(表3)、これは、押出成形されたペレットP1~P4のいずれよりも高かった。
【0111】
熱分解及び賦活のために、これらのディスクをより小さい断片に破壊し、これらの結果を表4に示す。得られた活性炭は、930m/gの広い表面積並びに0.46cm/gの細孔容積、19.9Å(オングストローム)の平均孔径及び0.43g/cmの密度を有し、すなわちバインダーとして水分を含むペレットから調製した活性炭と同様の特性を有した。
【0112】
D1では、乾燥PCP粒子は、静電力又はファンデルワールス力から得られる粒子-粒子インターロッキングにより、互いに効果的に結合している(Sastry,K.V.S.,1995)。このバインダーの性質は、PCPの微粉粒度分布の関数となる。
【0113】
実施例4.PCPとバイオ炭とのブレンドから調製した押出成形ペレットの賦活
製材所の破片、特におがくずから得られたバイオ炭の固まりを垂直空気掃引ハンマーミル(Raymondミル)で粉末まで粉砕した。得られたバイオ炭粉末は、356m/gのBET表面積を有し、別の性質については、表2(前出)も参照されたい。以下の表5に示すA、B及びCの3つの異なる比率でバイオ炭粉末をPCPとブレンドした。ブレンドA、B及びCの50gの乾燥試料に対して、3L/分の窒素流量を用いて550℃で30分間の熱分解を行い、続いて4mL/分の蒸気流量を用いて850℃で120分間の蒸気賦活を行った。各ブレンドで試験を2回行い、計算した平均結果を表5に示す。
【0114】
【表5】
【0115】
これらの驚くべき結果は、PCPをバイオ炭に加えることで、得られる活性炭のBET表面積が356m/gから916~982m/gの範囲内の値まで大幅に増加し得ることを示している。バイオ炭は、主にメソ細孔を含む一方、PCPからの炭は、主にミクロ細孔である。表4は、PCPから調製した活性炭の場合、主に18~22Å範囲の平均孔径値及び0.3~0.6cm/gの範囲内の全細孔容積を示す。したがって、平均孔径及び全細孔容積の両方は、バイオ炭をPCPに加えることによってそれぞれ28~29まで増加している。これにより、個別の用途で最良の性能が得られるように活性炭の細孔構造の調節が可能となる。
【0116】
実施例5.PCPと低灰瀝青炭とのブレンドから調製した押出成形ペレットの賦活。
表2に性質が示される低灰瀝青炭を、以下の表6に示されるD、E及びFの3つの異なる比率でPCPとブレンドした。実施例4と同じ条件下において、ブレンドD、E及びFの50gの乾燥試料に対して熱分解及び賦活を行い、試験を2回繰り返し、その平均結果を表6に示す。
【0117】
【表6】
【0118】
これらの結果は、PCPを低灰瀝青炭と種々の比率で混合して、845~977m/gの範囲内のBET表面積を有する活性炭を得ることができることを示している。実施例3で前述したように、より高い収率は、わずかにより小さい表面積と関連しているが、これらの結果は、このブレンドの場合、より高い収率がより小さい細孔容積及びより大きい平均孔径にも関連することも示している。
【0119】
実施例6.水処理用途におけるPCP由来の活性炭の性能
飲用水から2-メチルイソボルネオール(MIB)を除去するためのPCP由来の活性炭の性質は、味、色及び臭いを形成する化合物並びに別の微量汚染要因物質の除去など、飲用水用途に使用するための活性炭の有効性の評価に使用される標準的な測定である(水供給サービス用途のための不純物の吸着に使用するための粉末活性炭(PAC)が記載されるAWWA B600-2016 Standard For Powdered Activated Carbon)。この方法は、撹拌ジャー装置中で種々の濃度の活性炭を使用することを含む。合成水を調製した(US EPA method 600/4-90/027F)。使用した中程度の硬度の合成淡水は、現実世界の用途で一般に見られる有機炭素競争をシミュレートするために、1mg/Lのフミン酸ナトリウムを含んだ。これらの水は、50ng/LのMIBを流入水中に含んだ。図4は、PCP由来の活性炭及び市販の活性炭の両方の場合の、活性炭使用量の増加に関する%MIB除去効率を示す。PCP由来の活性炭により、すべての使用レベルでMIBがより高い比率で除去されることが明らかである。例えば、70%のMIBの除去には、20mg/LのPCP使用量が必要である一方、市販の選択肢では、同じレベルのMIB除去を実現するために、26mg/Lのはるかに多い使用量を必要とする。このため、PCP由来の活性炭は、水の品質を改善するための非常に有効な方法となる。
【0120】
全体的な結論
1)PCP及びPCPウェットケーキの微粉粒度により、活性炭を製造するための後の熱分解及び賦活に適している、密度が350g/cm~895g/cmの範囲の凝集性ペレットを調製することができる。PCPにより、賦活に適したバインダーなしの凝集ペレットを製造できるだけでなく、PCPは、より粗いサイズの瀝青炭粒子のバインダーとしても機能する。この凝集性は、PCPの微粉粒度分布から得られる。
【0121】
2)PCPウェットケーキ及び部分的に乾燥されたPCPウェットケーキ中に存在する表面に維持される水は、毛管力のために、PCP粒子を凝集させるためのバインダーとして機能する。水がない場合、乾燥PCP粒子は、静電力又はファンデルワールス力から得られる粒子-粒子インターロッキングによって互いに凝集する。
【0122】
3)粉末としてのPCPの予備酸化後の水酸化カリウム化学的賦活により、最大で1369m/gの非常に広い表面積の活性炭が得られた。
【0123】
4)PCP由来の押出ペレット又は液圧プレスされたディスクの熱分解及び蒸気賦活処理により、最大で1349m/gの非常に広い表面積が得られ、3%の少ない灰分を有した。
【0124】
5)したがって、本発明の方法により、以下の新規な性質を有する高表面積活性炭を製造する手段が得られる:
・灰分は、実施例2では3%未満であるが、場合により1%m未満となり、PCP調製物から0.3%mの灰分まで精製される。
・活性炭は、その中の一次粒子も小さいため、粒子の中心を通過して賦活が実現される。これは、賦活試薬が浸透していない非賦活表面が不可避的に露出するはるかに大きい活性粒子を粉砕することによって製造された微粉活性炭とは対照的である。
【0125】
6)無機又は有機のバインダーがないため、PCPのバインダーなしの凝集ペレット及び水分で結合したペレットは、より大きい表面積を有するより高い収率(乾燥基準)の活性炭のために有利となる。活性炭を製造するために、炭素質粉末を凝集形態に結合させるために添加剤が常に使用され、典型的には数パーセント~30%m又はさらに50%mの範囲の量で加えられる(例えば、米国特許第5332426A号明細書、米国特許第3544507A号明細書、米国特許第3901823A号明細書、中国特許出願公開第102674341A号明細書、中国特許出願公開第103011158A号明細書、中国特許第103787329B号明細書、中国特許出願公開第103060053A号明細書及び米国特許第5389325A号明細書を参照されたい)。無機バインダーは、それらが活性炭構造内に残存するときに収率に影響しないが、無機バインダーに由来する灰は、賦活されず、比例して製品の表面積が減少する。有機バインダーは、揮発性物質として処理中に失われ、結果として収率が低下する。バインダーの使用を回避することで、潜在的な活性炭の収率及び表面積が最大化される。無機バインダーの影響と同様に、PCPの低灰分は、不活性材料のパーセント値を最小化し、活性炭の収率及び表面積の改善にさらに寄与する。
【0126】
本発明の特定の実施形態が本明細書に詳細に開示されたが、これは、例として、説明のみを目的として行われている。上記の実施形態は、本発明の範囲に関する限定であると意図されるものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に対する種々の置換形態、変更形態及び修正形態がなされ得ることが本発明者らによって想定されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】