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特表2024-525471拡張可能な電解セルおよびスタックならびにそれを高速に製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】拡張可能な電解セルおよびスタックならびにそれを高速に製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 15/08 20060101AFI20240705BHJP
   C25B 9/07 20210101ALI20240705BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240705BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240705BHJP
   C25B 15/021 20210101ALI20240705BHJP
【FI】
C25B15/08 302
C25B9/07
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B15/021
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580660
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022036085
(87)【国際公開番号】W WO2023283170
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,446
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/311,773
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523039031
【氏名又は名称】エヴォロー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ブランシェ スコット
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC03
4K021CA10
4K021DB04
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
電解槽スタックは、複数の拡張可能電解セルの高速製造および組み立てのために構成される。各セルは、圧力損失、温度上昇、および/または酸素出口体積分率を所定の閾値未満に維持するように構成された複数の水ウィンドウを備える。セルの反復部材は、製造のための所望のロールウェブ幅に基づいて構成され、スタック圧縮システムは単一のスタック内の繰り返しセルの可変量および可変領域を可能にするように構成される。高速製造システムは、拡張可能セルを製造し、拡張可能スタックを年間1,000MWクラスのスタックを超える速度で組み立てるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜、アノード電極、カソード電極、アノード流れ場、カソード流れ場、および双極プレートアセンブリを含む電解セル:
ここで、双極プレートアセンブリは、y軸に整列したアノード流れ場の前縁部に隣接して配置された複数の反復水送達ウィンドウを備え、
各水送達ウィンドウは、アノード流れ場のy軸に沿ったウィンドウ長に関連付けられ、
電解セルは、水送達ウィンドウの数、有効直径またはウィンドウ長が、電解槽セルの目標閾値未満の水流抵抗、水温上昇、またはセル出口酸素体積分率を維持するように選択されるように、構成される。
【請求項2】
双極プレートアセンブリは、1つ以上の酸素収集ウィンドウおよび水素収集ウィンドウを備え、
水送達ウィンドウおよび酸素収集ウィンドウの合計の数は、水素収集ウィンドウの数に等しいかまたはそれよりも多い、請求項1に記載の電解セル。
【請求項3】
各水送達ウィンドウの有効直径が、その関連するウィンドウ長の5%~110%である、請求項1に記載の電解セル。
【請求項4】
アノード流れ場の前縁部に垂直なx軸に沿ったアノード流れ場の寸法が、各水送達ウィンドウについて同じである、請求項1に記載の電解セル。
【請求項5】
各水送達ウィンドウに関連するウィンドウ長が、アノード流れ場の厚さに基づいて選択されて、(a)定格水素生成出力で100cm/s未満のアノード流れ場の前縁部における水の平均速度を維持する、または(b)定格水素生成出力で5bar未満の水圧降下を維持する、請求項1に記載の電解セル。
【請求項6】
電解セルが、寿命の終わりにおけるセル温度上昇を50℃未満に維持するように、またはアノード流れ場の後縁部における酸素体積分率を95%未満に維持するように、選択された水ストイキを使用するように構成されている、請求項1に記載の電解セル。
【請求項7】
カソード流れ場が、カソード流れ場内の水素流速ベクトルがアノード流れ場の前縁部と概ね平行になるように配置される、請求項1に記載の電解セル。
【請求項8】
双極プレートアセンブリが、双極プレートおよび流体分配フレームを備え、
双極プレートアセンブリの中央領域が流体分配フレームおよび2つの双極プレートによって少なくとも部分的に境界付けられ、カソード流れ場、カソード電極、上記膜、アノード電極またはアノード流れ場のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電解セル。
【請求項9】
フレームと、アノード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水シールをさらに備える、請求項8に記載の電解セル。
【請求項10】
流体分配フレームまたは水シールのうちの少なくとも1つが、1つ以上の水送達ウィンドウからアノード流れ場の前縁部へのx-y平面内の水流の広がりを可能にするように構成され、それによって、アノード流れ場の平均速度の±50%以内の前縁水速度分布を提供する、請求項9に記載の電解セル。
【請求項11】
流体分配フレームまたは水シールのうちの少なくとも1つが、アノード流れ場の後縁部から水および酸素の流れを収集し、アノード流れ場についての後縁速度分布の±50%以下の変更を課すように構成される、請求項9に記載の電解セル。
【請求項12】
流体分配フレームと、カソード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水素シールをさらに備える、請求項8に記載の電解セル。
【請求項13】
流体分配フレームが、可視光または紫外光透明材料を含む、請求項8に記載の電解セル。
【請求項14】
双極プレートアセンブリが、カソード流れ場の1つ以上の後縁部から水素流れを収集し、上記流れを1つ以上の水素収集ウィンドウに送達するように構成される、請求項8に記載の電解セル。
【請求項15】
流体分配フレームが、アノード流れ場とカソード流れ場との間の内部シールと嵌合するように構成され、
内部シールが、膜、触媒コーティング膜、電極、膜-電極アセンブリのサブガスケット境界、または流体分配フレーム自体のうちの少なくとも1つに適用される、請求項8に記載の電解セル。
【請求項16】
上記フレームと、アノード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水シールと、流体分配フレームと、カソード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水素シールとをさらに備え、
流体分配フレーム、水シールおよび水素シールが、z軸に沿った投影視点において、支持されていないシール領域が50%未満となるように配置される、請求項8に記載の電解セル。
【請求項17】
アノード流れ場がカソード流れ場よりも大きく、アノード流れ場が内部シールへの圧縮荷重の適用を容易にする、請求項1に記載の電解セル。
【請求項18】
双極プレートアセンブリが双極プレートを含み、双極プレートが、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、炭素、クロム、鉄およびそれらの合金からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の電解セル。
【請求項19】
5.0mm以下、3.0mm以下、または2.0mm以下の圧縮セルピッチを有する、請求項5に記載の電解セル。
【請求項20】
アノード流れ場またはカソード流れ場のうちの少なくとも1つが、発泡体、フェルト、織物スクリーン、エキスパンドメタルまたは焼結金属フリットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電解セル。
【請求項21】
カソード流れ場が、双極プレート内にy軸およびx軸に垂直なz軸に沿って突出する幾何学的特徴を備える、請求項1に記載の電解セル。
【請求項22】
電解セルのための双極プレートアセンブリを製造する方法であって、
双極プレート、水素シール、水シール、および流体分配フレーム用の材料を選択すること、
双極プレートまたは流体分配フレームへ水素シールを適用すること、
流体分配フレームを双極プレートに対して位置合わせし、流体分配フレームを押圧してそれらの間に水素シールを嵌合させること、
流体分配フレームに水シールを適用すること、および
紫外線硬化法、マイクロ波硬化法、熱硬化法、溶媒硬化法、二液型エポキシ硬化法または湿気硬化法を用いて、水素シールまたは水シールの少なくとも1つを硬化させること、
を含む製造方法:ここで、
双極プレート、水素シール、水シールおよび流体分配フレームは、打ち抜き、レーザ切断、ウォータージェット切断、ロボット分配、および/またはスクリーン印刷法を用いた製造に適した二次元パターンを含む。
【請求項23】
水素シールおよび水シールの両方が同時に硬化される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
水シールが、流体分配フレームの製造中に、水素シールと嵌合する前に形成される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
流体分配フレームが、双極プレートと流体分配フレームとの間に連続的で破断しないシールが形成されることを確実にするのに十分な力で、双極プレートと共に押圧される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
流体分配フレームが、双極プレートと一緒に押圧されて、変化が±25%以下である双極プレートアセンブリの目標厚さを達成する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
水素シールが、ワイヤメッシュ、連続気泡発泡体、エキスパンドメタルシート、または焼結金属フリットのうちの1つで強化される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
水素シールまたは水シールが、ロボット分配またはスクリーンもしくはステンシル印刷プロセスを使用して適用され、水素シールまたは水シールのうちの少なくとも1つが、10~1000μmの厚さおよび0.5~15mmの幅を有する未硬化状態で適用される、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
電解槽セルスタック用の圧縮システムであって、
複数のセルを含む電解槽セルスタックの少なくとも一部を円周方向に囲む1つ以上のラップ層を含む構造ラップと、
電解槽セルスタックの対向する端部におけるエンドユニットと、
1つ以上のエンドユニットに近接する1つ以上の可調要素と、
を含む圧縮システム:ここで、
構造ラップは、セルスタックの対向する側部への自由なアクセスを可能にし、
構造ラップは、圧縮システムの引張要素として機能し、
1つ以上のラップ層は、本質的に均一な厚さを有する材料の実質的に平坦なシートであり、
1つ以上のラップ層の合計厚は、セルスタックのx軸寸法、および電解槽セルスタックの最大許容作動圧力によって決定される。
【請求項30】
積層構成でz軸に沿って整列された複数の電解セルを備える電解槽スタック:ここで、
各セルは、膜と、アノード電極と、カソード電極と、アノード流れ場と、カソード流れ場と、双極プレートアセンブリとを備え、
隣接する双極プレートアセンブリは、アノード流れ場の縁部に沿って配置された1つ以上の水送達プレナムを少なくとも部分的に結合し、
各水送達プレナムは、z軸に沿ってプレナムを通る水速度を目標閾値未満に維持するようにサイズ決定され、
各水送達プレナムは、アノード流れ場のy軸に沿った長さに関連付けられ、
水送達プレナムの数またはサイズは、水流抵抗または水温上昇またはセル出口酸素体積分率の1つを電解槽スタックの目標閾値未満に維持するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の参照による組み込み
本出願は、2021年7月5日に出願された米国特許仮出願第63/218,446号、および2022年2月18日に出願された米国特許仮出願第63/311,773号に基づき、35U.S.C119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、そのすべての内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の属する分野
本開示は、電気化学セルに関し、より詳細には、拡張可能で高速な製造のために設計された電気化学セルおよびスタックに関する。
【背景技術】
【0003】
電気化学セルは、電気を使用して化学反応を誘導するか、または化学反応を使用して電気を生成するための装置である。電気が出力である場合、セルは、化学製品に応じて、燃料電池またはエキスパンダ電池とみなすことができる。電気が入力である場合、セルは、化学製品に応じて、電解槽セル、コンプレッサセル、または浄化セルとみなされ得る。例えば、電解槽は電気エネルギーを取り込み、水をその構成要素に分解することによって、水素などの燃料に電気エネルギーを貯蔵する。対照的に、燃料電池は本質的に、逆方向に動く電解槽として考えられ得、水素および酸素がセルに提供され、次いで、これらの分子を組み合わせて水を形成し、プロセスにおいて電気エネルギーを放出する。これらの装置の基本的な要素は2つの電極、イオン伝導性電解質、および2つの電極を分離するイオン透過性層であるが、電解槽または燃料電池を膜レス構成で動作させることも可能である。電気化学セルはまた、電極間にセパレータを含み、製品がセルの内部で混合するのを防ぐことができる。固体電解セルの場合、膜およびセパレータは、一体化された固体のイオン伝導層に組み合わされてもよい。完全な電気化学セルはまた、反応物質を電極に送達するための流れ場、反応物質を互いにおよび環境から隔離するためのシール、ならびに、双極プレートとも呼ばれる1つ以上の不透過性セパレータプレートを含むことができ、不透過性セパレータプレートは、スタック中の隣接するセルから1つのセルを隔離するための、およびある実施形態ではセルの熱管理のための別個の冷却流体を収容するためのものである。
【0004】
プロトン交換膜、アニオン交換膜、固体酸化物セラミック膜、ならびに水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムなどの液体アルカリ溶液を含む、様々な電解質を電気化学セルに使用することができる。異なる電解質は異なる動作条件を必要とし、それぞれが、それ自体の利点および制限を有する。プロトンおよびアニオン交換膜電解質の利点としては、比較的低い動作温度と、ユニット化層電解質/膜を使用して構成することができるセルとを挙げることができる。そのような膜を使用する電解槽は、苛性溶液または水蒸気ではなく、供給原料として純粋な液体の水を使用して動作することができる他の電解槽セルと比較して明確な利点を有し、それによって、実際にシステムのバランスを大幅に単純化する。そのような電解槽はまた、カソード上で液状水なしで操作することができ、低蒸気相水分含有量を有する水素ガスの生成を可能にする。
【0005】
地球規模の気候変動に対する二酸化炭素の影響は、十分に実証されている。地球規模の気候変動に対処するための社会の努力が加速することにつれて、人間のエネルギー使用の大部分またはすべてを深く非炭素化する必要性が明らかになり、緊急になっている。炭素を含まないエネルギー担体として水素を使用することは、電気で直接脱炭素することが困難または不可能な人間産業の一定のセグメントに到達するために不可欠である。そのようなセグメントの例としては、鉄鋼生産、肥料製造、建設、ならびにトラック輸送、海上輸送および航空輸送などの重量輸送が挙げられる。これらのセグメントに加えて、水素のエネルギー密度と安定した貯蔵特性は、季節規模のエネルギー貯蔵の最も有望な候補となり、再生可能な電力のみを使用する送電網の回復力の確立をもたらした。これは、エネルギー使用を無炭素源に完全に変換するために必要となるであろう。これらの利点および他の利点は、「グリーン水素」の製造に高いレベルの関心を引き寄せた。
【0006】
水素は、再生可能な電気(風力、太陽光、水力など)からの電気分解によって生成される場合、「グリーン」のラベルが与えられる。将来の世界的なエネルギーシステムにおいて、グリーン水素の潜在的な需要を満たすために必要な規模は、大変なものである。電解槽の生産能力はそのような需要を満たすために、次の10年間で何桁も増加し、それらの費用は10倍以上減少する必要がある。これまで、水素電解槽の製造は、小さなシステムと、研究開発のために設計されたセルおよびスタックに基づく限られた展開とを有する、ニッチ産業であった。社会の最終的な必要性に見合った速度でセルおよびスタックを製造し、組み立てるために必要な製造速度については、わずかな考慮しか払われていない。
【発明の概要】
【0007】
革新的な電解槽技術の緊急の必要性を認識し、本出願の発明者らは拡張可能なスタック圧縮システムとともに、拡張可能な電解セルおよびスタック、ならびに高速製造方法を開発した。本出願の実施形態は、広範囲の電気化学セルスタックサイズを製造するための資本コストを最小限に抑え、水電解槽を含む電気化学セルの迅速な製造を可能にする。
【0008】
水電解の基本プロセスは、正に帯電したアノードに水を供給し、アノードと負に帯電したカソードとの間にイオンを伝導することを含む。酸素ガスはアノードで生成され、水素ガスは海抜0Mでの室温でカソードで生成される。アノードとカソードとの間で伝導される特定のイオンは、使用される電解質に依存する。酸性セルでは、正に帯電したヒドロニウムイオンがアノードからカソードに伝導される。アルカリセルでは、負に帯電した水酸化物イオンがカソードからアノードに伝導される。両方の系において、全反応は同じである:(2)HO(l) → (2)H(g)+O(g)。反応を駆動するために電気を供給しなければならない。液状水への水素の塩基性反応のための開回路または熱中性の電圧は1.481であり、したがって、反応を進行させるために、液状水を供給された水素電解セルに1.481より高い電圧を印加しなければならない(以下で論じるように、反応が許容可能な速度で進行するためには、通常、過電圧が必要である)。セルのサイズ(すなわち、活性領域)は、所与の印加電圧における1つのセルからの水素/酸素生成の速度を決定する。特定の印加電圧に必要とされる総電流はセルのサイズ(すなわち、活性領域)に比例し得る。実際のシステムでは、複数のセルを互いの上に「スタック」して、生産能力を増加させることができる。このセルのスタックは、反応を駆動するために、より高い電圧(セル数の整数倍)を印加する必要性をもたらす。例えば、1000cmの単セルは500cmの2つのスタックセルと同じ水素フローを生成することができるが、500cmスタックは2倍の電圧と1/2倍の電流を必要とする。必要な電圧および電流を選択する際の柔軟性は、総電解システムの設計および費用において重要な考慮事項であり得る。例えば、高電流および低電圧用の電源は、必要とされる導電体のサイズおよびそれらの構成に必要とされる追加材料のために、高電圧および低電流用の電源よりも高価であり得る。
【0009】
反応が進行することにつれて、水が消費され、水素+酸素ガスが生成されるので、反応を供給するために、水がセルに連続的に供給されなければならない。化学量論は、化学反応の「バランス」に関する用語である。電気化学セルにおいて、用語「化学量論」または「ストイキ(stoich)」は、全反応を正確にバランスさせるのに必要な量に対する、セルに供給される反応物の比率を指す。例えば、2の水ストイキで動作する電解セルは、セルから出る水素および酸素を生成するために必要とされる水の量の2倍の量をその投入量として有する。1ストイキでシステムの質量を保存すると、1時間当たり1kgの水素生成は、1時間当たり約8kgの酸素生成および1時間当たり約9kgの水消費に関連することを示す。電解槽は、典型的にはセル内のあらゆる場所で適切な反応物を確実にするために、1を超える最小水ストイキで運転することができる。例えば、水流ストイキが1のとき、セルに提供された水の全てがアノード上で酸素に変換され、セル出口での酸素分率は100%になる(すなわち、セルから出る水がない)。この状態は、不安定であり得、出口付近のセルのアノード欠乏に起因する損傷をもたらし得る。また、それは、セルを出るすべてが気相であるので、出口での高い流体速度および圧力損失をもたらし得る。したがって、プロセス条件は、セル出口における酸素蒸気分率を所与の閾値未満に維持するように選択することができる。例えば、40%未満の出口酸素分率により、水の入口から出口への流れ場速度は2倍未満増加し得る。40%未満の酸素分率を維持するためには、100以上の水ストイキが必要とされ得る。
【0010】
電気分解プロセスは100%の効率ではなく、結果として、入力電気の一部は水素として貯蔵される化学エネルギーではなく、セル内の熱に変換される。これは、実用的な水素出力流量のために必要とされる熱中性電圧(1.481)より大きい電圧をもたらす。この系の省エネルギーは、熱くなるセルに供給される電力の割合(電圧×電流)が[1-(1.481/Vcell)]に等しくなり得ることを示すことができる。実用的な電解セルは1.8Vで動作することができ、その結果、[1-(1.481/1.8)]=~18%の電力はセルに送られ、水素ではなく熱に変換される。したがって、実際の電解セルは、動作中に冷却を必要とし、この冷却を達成するための効率的な方法は、セルを冷却するためにプロセス水自体を利用することであり得る。セルの動作条件に応じて、セルのピーク温度が許容可能な閾値未満に維持され、セル内の温度勾配も許容可能であることを確実にするために、比較的高い流量の水が必要とされ得る。この流量はまた、1よりもはるかに大きい水ストイキを表し得る。例えば、1.8Vで動作し、投入エネルギーの18%を熱に放出し、2.7W/cmで動作するセルでは、セル全体で10℃未満の昇温を維持するために、約160の水ストイキが必要とされ得る。上述した設計上の考慮点から、セルへの水の流量は、適切な反応物の必要性、または適切な温度制御の必要性のいずれか高い方によって決定される。
【0011】
水素電解セル/スタックに提供される水を管理することは、全体的な水素生成システムのための主要な考慮事項であり得る。流量、圧力、温度、および組成はすべて、セル/スタックの要件を満たすように調整されなければならない。典型的なシステムは、セル/スタックのアノード側とループ状に接続された、液体-気体セパレータ、熱交換器、ポンプ、および脱イオンシステムを含み、必要な流量で水を再循環することができる。システムが水素および酸素を生成することにつれて、1「ストイキ」の水が消費される。消費された水は、許容可能な品質の供給源(例えば、脱鉱化水、脱塩水、または都市水)から、1ストイキの新しい水をシステムループに注入することによって補うことができる。電解プラントの規模を考慮すると、セル/スタックによって消費される必要な水流は、プラント容量に比例し得る。規模にかかわらず、他のプロセスパラメータ(圧力、温度、組成)を均一に保つことが望ましい場合があるが、それはシステム部材の選択、全体的なシステム制御、ならびに配備部位におけるエンジニアリング、調達、および建設(EPC)のコストを大幅に単純化し得るからである。例えば、水ポンプは一般に、所与の圧力能力のための流量の広範囲の規模で市販されていることがある。したがって、水流抵抗がセルまたはスタックのサイズに依存しない基本的なセル/スタックを有することが有利であり得る。次いで、より大きなシステムは、より多くのセルおよび/またはより多くのスタックからモジュール方式で構築することができ、システムおよびプラントのための水ポンプ技術および基本圧力定格を変更する必要はない。
【0012】
水素電解槽スタックの要素は、反復部材のスタックと、非反復部材のシステムとを含むことができる。その名が示すように、反復部材は、スタック高さに応じてその量が増加するものであり、典型的には、膜/電解質、アノードおよびカソード電極、水および水素の流れ場、水シールおよび水素シール、ならびに双極セルセパレータプレートを含み得る。非反復部材は、典型的にはスタック圧縮を維持するためのエンドユニットおよび機械システムを含み得る。エンドユニットはまた、電力端子、電気アイソレータ、流体分配および/またはドレイン/パージマニホールド、ならびに構造的エンドプレートを含むことができる。スタック圧縮システムは、引張要素、バネ要素、および、反復部材のスタックコア内の機械的力(圧縮)に引張要素およびバネ要素内の機械的力(張力)を伝達するために使用される可調要素を含むことができる。スタックコアのこの圧縮は、個々のセルとエンドユニットとの間の電気的接触および流体密封の両方を確実にするために不可欠であり得る。便宜上、垂直なx-y-z軸を有するデカルト座標系を定義することができ、ここで、「x」はスタックを通る水流の一般的な方向に平行であり、「y」はxに垂直で単一のセルによって画定される同じ平面内にあり、「z」はセルの積層方向に概ね平行である。この文章において、圧縮システムは一般に、z軸に沿って圧縮荷重を加えるように機能する。
【0013】
電解槽スタックのための作動条件の予想される範囲にわたって適切に機能するために、圧縮システムは、熱膨張および収縮を考慮して、ある温度範囲にわたってスタックに対し適切な圧縮を維持することができる。このシステムはまた、セル内の動作圧力の予想される範囲にわたってセルが分離するのを防止するのに十分に高い圧縮荷重を加えることができる。圧力が増加することにつれて分離すると、セル間の接触の損失、流体の漏れ、またはその両方により、性能が低下することがある。電解セルおよびスタックは、セルの水素側および水側の両方で最大許容作動圧力(MAWP)に設計され得る。MAWP、所望のセル間接触圧力、コアの機械的剛性、全体の動作温度範囲、および反復部材の厚さの予想される変更は、スタック圧縮システムの設計のための主要な原動力であり得る。
【0014】
典型的な電解セルは他の形状も可能であるが、概して円形または長方形の形状であってもよい。歴史的には、円形のセルが選択されており、セルのMAWPを確立する際に円形のセル圧力境界を可能にした。近年、製造中の材料廃棄物の低減における主要な利点のために、矩形セルが導入されている。矩形セルは、セルフレームと双極プレートとの間の摩擦および/または結合に依存するセル圧力境界を維持することができる。両方の場合において、使用される典型的な圧縮システムは2つの厚いエンドプレート(スタックコアの各端部に1つずつ)と、プレート間に延在し、概して、エンドプレートの変形を最小限に抑えるためにスタックのx-y平面の周囲に均等に分布された多数のばね荷重タイロッドとを含み得る。タイロッドは、圧縮システムの引張要素および可調要素の両方として作用することができる。調整可能なロッドにおいて引張荷重が増加すると、エンドプレートは、ダイヤフラムのように機能して、曲がってスタックコアに圧縮荷重を伝達することができる。基本的な構造力学では、荷重が増加することにつれて(MAWPが大きくなり、接触または封止のためにより多くの予荷重が必要とされる)、エンドプレートの厚さまたは材料剛性も増加して、セルの中央領域付近での過度の曲げおよび接触の損失を防止することができる。また、基本的な構造力学では、セルの面積がx-y平面内で増加することにつれて、エンドプレートの厚さまたは材料剛性も増加して、セルの中央領域付近での過度の曲げおよび接触の損失を防ぐことができる。面積が増加することにつれて、ロッド/ばねの総数も増加し、ロッド間の間隔、ならびに周辺曲げおよび接触/封止の問題を最小限に抑えることができる。これらの変更は、より大きなセルが望まれるときに、基本レベルからのスタックおよびシステムの再設計、再組立て、および再検証を必要とし得る。その結果、部材の多次元的なばらつき、取り扱いのための要件の変更、および組立手順における他の矛盾や変更に起因して、製造に困難が生じる可能性がある。
【0015】
上述したように、電解槽セルの基本要素には、2つの電極、ユニット化された固体のイオン伝導性分離膜、反応物を電極に送達するための流れ場、反応物を相互におよび環境から隔離するためのシール、ならびに不透過性の双極プレートが含まれる。セル設計はまた、セルのスタックおよびスタックされたセル間の封止を容易にするための特徴を含んでもよい。これらは、水および/または水素のためのシール、水、酸素および水素を分配および収集するためのセル周辺部のウィンドウおよびポート、ならびに、スタックコアの圧縮からの負荷が個々のセルの活性領域および周辺シールに適切な割合で向けられることを確実にするための様々な他の詳細な特徴を含むことができる。セルがスタックされるにつれて、セル周辺部のウィンドウは整列され、連続的なプレナムを形成することができ、このプレナムを通して、水、酸素、および水素がセル内/外に、およびスタックの端部に向かって方向付けられ得る。典型的な電解スタックでは、x-y境界の周りの利用可能な領域が限られているため、これらのプレナムはエンドプレートの一方または両方に設けられた孔と整列させることができ、それによって、システムからスタックへの外部プロセス流体接続を容易にする。エンドプレートの貫通孔特徴部は、それらの構造を弱め、エンドプレートをさらに厚くするか、またはより剛性にすることを必要とし得る。z軸に沿ってスタックを出るパイプは、x-y平面の周囲に配置されたプレナムから流体を分配および収集するために、エンドユニットにおいて追加のz方向高さを必要とし得る。このスペースはまた、エンドプレートの厚さに追加され得る。十分なスペースが割り当てられていない場合、スタックへの流体の不十分な分配またはスタックを通る高い圧力損失が生じ、それによって性能または耐久性に影響を及ぼす可能性がある。z軸に沿ってスタックから出るパイプはまた、システムへの配管接続のための不便な設置および位置合わせの問題を生じさせる可能性がある。プレナムを一方または両方のエンドユニット内で共にマニホールドし、スタックへのプロセス接続をxおよび/またはy方向においてzに対して垂直にすることは有利であり得る。しかしながら、x-y平面の全体を取り囲む引張要素では、プロセス接続部が、引張部材と干渉することなく、z軸に沿う以外にスタック境界を出ることは困難であり得る。
【0016】
したがって、本開示の一実施形態は、選択された活性領域にかかわらず、所与の動作電圧で、水流に対する実質的に等しい抵抗、等しい温度上昇、および等しい出口酸素分率を有する拡張可能電解槽セルを提供する。いくつかの実施形態では、セルは、実質的に長方形であってよく、膜、電極、および/またはその製造に使用される流れ場材料のロールウェブ幅(w)に従って選択されるx軸に沿った寸法を特徴とする。いくつかの実施形態では、所望のロールウェブ幅(w)は、動作セルのためのプロセスパラメータを目標閾値内に維持することに基づいて選択され得る。例えば、セルの水圧降下を、セルが設置され得るシステムのポンピング圧力限界未満に保つことが望ましい場合がある。あるいは、許容可能な性能および寿命を保証するために、水流温度をスタック温度勾配制限よりも低く保つことが望ましい場合がある。あるいは、セルの安定した性能および寿命を保証する限界未満にセル出口酸素体積分率を維持することが望ましい場合がある。あるいは、所望のロールウェブ幅(w)は、セルを構築するための利用可能なソース材料に基づいて選択されてもよい。例えば、組み立て中にロールを部品に変換する際にスクラップ材料を最小限に抑えるロールウェブ幅を選択することが望ましい場合がある。この場合、膜、電極および流れ場のための所望のロールウェブ幅は、同じであっても異なっていてもよい。それらが異なる場合、選択されたロールウェブ幅は、膜、電極および流れ場のうち最も高価なものに基づいて選択されてもよく、他の材料ロールは、他のものと一致するウェブ幅(w)で選択されてもよく、ここで一致するとは、製造速度および/または全体的コストを最適化するロールウェブ幅(w)を意味する。
【0017】
いくつかの実施形態では、y軸に沿ってセルの長さを調整することにより、拡張可能セルから可変セル面積を達成することができる。アノード流れ場の前縁部に沿って、y軸に平行に水分配ウィンドウを配置してもよく、各ウィンドウをアノード流れ場の単位長さに関連付けてもよい。アノード流れ場の前縁部は、水がアノード流れ場に流入する縁部として定義することができる。各水分配ウィンドウの面積または有効直径(ウィンドウの面積と等しい面積を有する円の直径)は、セルの温度上昇または酸素出口体積分率の1つ以上を目標閾値未満に維持するように選択された水流ストイキで、ウィンドウを通るz軸に沿った水速度を所定の閾値未満に維持するように選択されてもよい。各水分配ウィンドウに関連する単位長さは、アノード流れ場の前縁部におけるx軸に沿った水速度を所定の閾値未満に保つように選択されてもよい。次いで、水流圧力損失、水温上昇および酸素出口体積分率を目標閾値未満に維持しながら、セルの全体的な目標水素生成速度を達成するように、水分配ウィンドウの数を選択することができる。
【0018】
別の実施形態では、双極プレート、水素シール、水シール、および流体分配フレームを備える、拡張可能電解セルのための双極プレートアセンブリが提供される。流体分配フレームは、2つの隣接する双極プレートの間にカソード流れ場、カソード電極、膜、アノード電極、およびアノード流れ場を配置し、結合し、収容するように構成されてもよい。流体分配フレームはまた、1つ以上の水送達ウィンドウからアノード流れ場の前縁部まで水流を均一に分配するように構成されてもよい。流体分配フレームは、アノード流れ場の後縁部から水および酸素の流れを均一に収集し、この流れを1つ以上の酸素収集ウィンドウに分配するようにさらに構成されてもよい。後縁部は、水および/または酸素が流れ場から流出するアノード流れ場の縁部として定義することができる。不均一な分配または収集は、流れ場の前縁部および/または後縁部における±50%未満の速度変化として定義することができる。流体分配フレームは、フレームと、カソード流れ場に隣接する双極プレートとの間に水素シールが嵌合するようにさらに構成されてもよい。流体分配フレームは、フレームと、アノード流れ場に隣接する双極プレートとの間に水シールを受容するようにさらに構成されてもよい。流体分配フレームは、紫外線、マイクロ波、磁気硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化および/または湿気硬化による、水素または水シールの少なくとも1つの硬化を可能にするようにさらに構成されてもよい。これを達成するために、フレームは、UV透明材料またはマイクロ波透明材料で構成することができ、これにより、紫外線は、フレームと双極プレートとの間に配置された水素シールにアクセスすることが可能になる。紫外線およびマイクロ波による硬化シールの利点は、非常に速い硬化および短いサイクル時間の可能性であり、これにより、双極プレートアセンブリの高速かつ低コストの製造がもたらされる。あるいは、流体分配フレームは、シールとして機能する材料から構成されてもよく、それによって、硬化の必要性が排除される。例えば、フレーム自体は、シリコーンゴムもしくはポリウレタン、または圧縮下で変形し、水素シール、水シールまたはその両方を形成するのに適した特性および幾何学的形状を有する様々な他のポリマーのいずれかから作製されてもよい。例えば、フレームは、単一の一体成分としての2ショット射出成形プロセスと、水素シール、水シールまたは両方のためのオーバーモールドされたエラストマーパターンを有する剛性ベースフレームとを組み合わせて製造されてもよい。別の例では、流体分配フレームは、ロールツーロールプロセスにおいて、プラスチックフィルムの片面または両面に水素および/または水シールをスクリーン印刷することによって構築されてもよい。流体分配フレームは、カソード流れ場の1つ以上の後縁部から水素の流れを収集し、1つ以上の水素収集ウィンドウにこの流れを送達するようにさらに構成されてもよい。流体分配フレームは、アノード流れ場とカソード流れ場との間の内部シールに嵌合するようにさらに構成されることができ、シールは、膜、触媒コーティング膜、電極、膜-電極アセンブリのサブガスケット境界、またはフレーム自体のうちの少なくとも1つに適用される。アノード流れ場は、セルスタックが圧縮されるときに、アノード流れ場が内部シールへの圧縮荷重の適用を容易にするように、カソード流れ場よりも大きくなるようにさらに構成されてもよい。流体分配フレーム、水シールおよび水素シールは、さらに、z軸に沿った投影図において、支持されていないシール領域を最小化するように配置されてもよく、ここで、支持されていないシール領域は、z軸に沿って部材間で圧縮荷重が伝達できない任意の領域として定義される。例えば、z軸に沿ったプロジェクトシールの50%未満が支持されないままであることを確実にすることが、シール性能および信頼性にとって有利になる場合がある。
【0019】
いくつかの実施形態では、拡張可能電解セルのための双極プレートアセンブリを製造する方法が説明される。いくつかの実施形態では、本方法は、高速組み立て用に設計された連続生産ラインにおける一連の製造工程を含む。第1に、双極プレート、水素シール、水シールおよび流体分配フレームのための材料は、製造される電解槽の生産、動作、性能および寿命の期待に適合する適切な候補材料から選択され得る。第2に、双極プレートは、スタンピング、レーザ切断、ウォータージェット切断、または他の適切な金属形成技術によって、選択された材料のコイルから製造され得る。性能または耐久性のために必要とされる場合、双極プレートは、適切な材料の層でコーティングされ得る。例えば、PEM電解槽には金の薄層が必要とされ、AEM電解槽にはニッケルの薄層が必要とされる。あるいは、コーティングは必要とされなくてもよく、生成された双極プレートは、コンタミを排除し、適用される水素シールの接着を促進するために、形成後に不動態化および/または洗浄されるだけでよい。双極プレート表面の遊離金属や疎水性コンタミを確実に最小化するために、様々な標準的な不動態化および洗浄方法を使用することができる。第3に、水素シールは、未硬化状態で双極プレートに適用されてもよい。方法としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、ロボット分配、射出成形、圧縮成形またはスタンプ印刷が挙げられ、プロセス速度、サイクル時間、材料廃棄物および機械コストなど、これらに限定されない要因に基づいて選択され得る。例えば、スクリーン印刷は非常に速い方法であり得るが、厚すぎるシール、または設計上平面ではないシールには適切ではない場合がある。別の例では、複数のスクリーン印刷を実行して、シールに必要な厚さを構築することができる。第4に、別個のプロセスで製造された流体分配フレームを、x-y平面内で双極プレートおよび水素シールと位置合わせし、未硬化水素シール上に押し付けることができ、この際、セルのカソード流れ場と、水分配ウィンドウおよびセルの外側周囲の両方との間に、破断しないシールが生成され得ることを確実にするのに適切な力で押し付ける。流体分配フレームはまた、双極プレートアセンブリのための特定の目標厚さを達成するために、水素シール上に押し付けられてもよい。この方法により、水素シールの最終的な厚さを変化させることができ、それによって、双極プレート厚さ、流体分配フレーム厚さまたはその両方のいずれかのばらつきに起因する、公差スタックアップおよび全体的な双極プレート厚さのばらつきを低減することができる。この時点で、水素シールは、適切なプロセス(本明細書で論じられるように)によって硬化され得るか、または未硬化のままであり得る。第5に、未硬化状態で流体分配フレームに水シールを適用することができる。方法としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、ロボット分配、射出成形、圧縮成形またはスタンプ印刷が挙げられ、プロセス速度、サイクル時間、材料廃棄物および機械コストなど、これらに限定されない要因に基づいて選択され得る。第6に、予め硬化されていない場合、水シールおよび水素シールは、プロセス速度、サイクル時間および機械コストを含む要因に基づいて、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化または湿気硬化などの適切な処理を使用して硬化され得る。例えば、紫外線硬化は非常に速い方法であり得るが、未硬化のシール材料に対して見通し線を有する光源を必要とする。光に対して不透明である部材からなる双極プレートと流体分配フレームとの間の水素シールの硬化については、紫外光硬化が機能しない場合がある。流体分配フレームまたは双極プレートが紫外線に対して透明である場合、この技術を用いた迅速な硬化が可能であり得る。流体分配フレーム用に透明材料を選択することの利点は、水素シールおよび水シールの両方を同時に硬化させることができ、別個の硬化工程に伴う費用およびプロセス時間を排除できることであり得る。
【0020】
別の実施形態では、x軸に沿ったほぼ固定された寸法およびy軸に沿った可変寸法を有する複数の拡張可能電解槽セルを受け入れ、圧縮するように適合された拡張可能電解槽スタック圧縮システムが説明される。圧縮システムは、概ね矩形のセルスタックの2つの対向する側面に沿って引張部材を備えることができ、それらの側面は、引張部材の応力領域がセルの可変のy軸寸法(例えばy軸長さ)に比例して大きくなるようにy軸に平行にできる。引張部材に隣接する2つの側部は、高速スタック組み立ておよびスタックへの効率的なプロセス接続を容易にするために開いたままであってもよく、または任意選択でさらなる引張部材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、引張部材は、スタックの端部および2つの可変長側部を囲むフレーム構造にラップされた、ほぼ平坦な材料シートから構築されるものとしてさらに特徴付けられてもよい。ラップは、スタックの各端部で半円筒形状に形成されてもよく、y軸に沿って見ると、概ね楕円形のレーストラック形状を生成する。この形状には、ラップ内の機械的応力が実質的に引張応力であり得、半円筒エンドユニットの曲げが最小化され得るように、ラップ材料を構成できるという利点があり得る。ラップは、セルスタックの関連する半円筒エンドユニットとラップとの間のスリップ面を可能にするように構成されてもよい。このラップは、x軸に沿って概ね固定された寸法と、y軸(セル面積)およびz軸(セルの数)の両方に沿って拡張可能な寸法という特徴を有し、セルの活性領域またはスタック高さにかかわらず、同じ材料および厚さを使用することができる。y軸に沿って長さが増加することでセル面積が大きくなるにつれて、y軸に沿ったラップ深さは、任意に比例して成長し得る。付加された活性領域は、組み立てのために圧縮荷重の追加を必要とする場合があるので、ラップのy軸深さを増加させるために当然追加される材料は、同じラップ厚さでこの荷重を正比例して担持する構造を提供し得る。この幾何学的な拡張可能性は、異なるスタックのためのラップの簡略化された一貫した製造、および原材料調達のための規模経済における利点を提供することができる。その場合、ラップの厚さは、セルの固定x軸寸法、組み立て時にスタックコアに加えられる所望の予荷重、および/または電解槽の定格最大許容作動圧力の関数であるだけとなり得る。ラップの厚さは、x軸に沿ったカソード流れ場の寸法に、選択されたラップ材料の引張強度に対する電解槽の最大許容作動圧力の比を乗じたもの以上とすることができる。
【0021】
別の実施形態では、ラップは、単一の継ぎ目で接続された1つの材料片、またはいくつかの継ぎ目で接続された1つより多い材料片から構築されてもよい。例えば、楕円形のレーストラック形状の平らな側面にヒンジピンのようなジョイントで接続された、2つの対向する半体からラップを構成するのが有利な場合がある。この構造により、ラップの一方または両方の開口面を通して、ラップの一方の半分内において高速での直接スタック組み立てが容易になる。また、それによって、スタックが完了した後にセルのスタックを効率的に事前圧縮する際に、ラップの第2の半分を使用することが可能になる。また、それによって、各ラップ半体に形成され整列したヒンジループにヒンジピンをy軸に沿って挿入することによって、2つのラップ半体を連続的な構造的境界に効率的に接続することが可能になる。接続方法は、重ね溶接、重ねボルト、フランジ溶接、フランジボルト、ヘムフックおよび/または留め具付きヘムフックなどの代替の接続設計を使用して形成されてもよい。ラップは、y軸に沿って概ね連続するように設計されてもよく、または平らな側部に沿ってストリップを有するように設計されてもよい。ストリップの幅および長さは、選択された接続設計の形成を容易にするように選択することができる。ストリップの幅および長さは、荷重下で所望の強度および/または所望の弾性を達成するように選択することができる。ストリップは、一方または両方のラップ半体の周りに部分的に延びてもよく、または2つの半体を別々のバンドに完全に分割してもよい。ストリップは、z軸に沿って均一なy軸寸法を有してもよく、または変化してもよい。y-z平面におけるストリップ形状の変化は、所望の強度、所望の弾性、またはその両方を達成するように選択され得る。
【0022】
別の実施形態では、半円筒エンドユニットは、圧縮システムの可調要素を収容するように構成されてもよい。可調要素は、円筒エンドユニットの一方または両方の中に完全に収容されてもよく、それによって、引張要素境界の外側に可調要素を有するスタックと比較して、全体積を低減する。可調要素としては、スクリュー、ナット、ばね、パッド、シュー、およびスタックコア内の圧縮応力にラップから引張応力を伝達するために必要な他の構造部材を挙げることができる。可調要素の部材は、ラップ境界内からセルスタックとz軸に沿って整列した2つ以上の部材の分離を促進し、それによって、セルスタックが圧縮されている間にラップを伸張させるように構成され得る。可調要素は、より多くのセルのセルスタックが圧縮されるとき、より長い調整可能長さで構成され得る。可調要素はまた、外部システムが初期組み立て中にセルスタックを圧縮できるようにする特徴を備えてもよい。例えば、高速製造機の一部として油圧シリンダまたは空気圧シリンダを使用して、組み立て中にセルスタックを所望の正確な荷重に圧縮できるようにするために、穴および接触パッドを設けることができる。次いで、可調要素を嵌合して、製造システムからラップに荷重を伝達し、セルスタック上の所望の最終的かつ正確な荷重を達成することができる。円筒エンドユニット内には、1つまたは多数の可調要素が取り付けられていてもよい。可調要素の数は、セルスタックのy軸寸法および/または圧縮される拡張可能セルのために選択された流体分配ウィンドウの数に比例して拡張するように設計され得る。
【0023】
別の実施形態では、ラップは、セルスタック整列および圧縮固定具との嵌合を容易にする特徴を備えてもよい。例えば、ラップは、1つまたは両方の平坦な側面に沿って穴またはスロットを備えることができ、これにより、組み立て中にセルがスタック上に配置されるときに、セルの1つ以上の縁部と位置合わせレールを接触させることが可能になる。穴またはスロットは、必ずしも長方形または円形である必要はないことを理解されたい。これらの特徴は、z軸に沿って正確な基準点を確立できるように設計することができ、これにより、セルスタック内の全セルが互いに対してかつセルスタック圧縮システムに対して正確に整列されることを確保することができる。ラップはまた、圧縮を容易にするために、一方または両方の半円筒エンドユニット内の可調要素へのアクセスを可能にする特徴を備えてもよい。例えば、ラップに穴を設けて、油圧駆動ポストがセルスタックを所望の第1の荷重に圧縮することを可能にすることができる。圧縮機からラップへ荷重を伝達する目的で、調整可能なスクリューまたはナットへのアクセスを可能にするために、追加の穴が設けられてもよい。また、穴は必ずしも長方形または円形である必要はないことを理解されたい。
【0024】
別の実施形態では、拡張可能電解槽セルのセルスタックと、拡張可能セルスタックエンドユニットと、拡張可能セルスタック圧縮システムとを備える、拡張可能電解槽スタックが説明される。電解槽スタックは、z軸に沿って配置された多数の個々のセルを含む。これらのセルをセルスタックに整列させる際に、各セルに存在する水分配ウィンドウおよび水素分配ウィンドウは、z軸に沿って整列し、セルスタック内の個々のセルへおよび個々のセルからプロセス流体を分配し収集するための水プレナムおよび水素プレナムを形成する。
【0025】
電解槽スタックはまた、圧縮システムの自由にアクセス可能な側面を通して、x-z平面によって画定される面上のスタック圧縮システム境界に入るおよび/またはそこから出るプロセスポートを含むことができる。スタックは、スタックの一方のエンドユニットにプロセスマニホールドを備え、反対側のエンドユニットにドレイン/パージマニホールドを備えてもよい。これらのマニホールドは、スタックプロセスポートをセルスタック内の適切な流体プレナムと流体的に接続するように構成することができる。このようにして、単一の水流が、スタックの水入口ポートに送達され、多数の水入口プレナムの間で細分化され、さらに個々の水分配ウィンドウに細分化され送達され、およびアノード流れ場の前縁部の長さに関連付けられる。アノード流れ場の前縁部のそれぞれの関連する長さは、質量流量および速度でアノード電極に水流を送達して、圧力損失、温度上昇、および酸素体積分率の増加がアノード流れ場のx軸に沿った流れの長さにわたる各パラメータについての標的閾値未満であることを保証することができる。アノード流れ場の後縁部では、関連する長さの後縁部は水/酸素流れを関連する水収集ウィンドウに送達し、これらは組み合わさって水収集プレナムを形成し、これは水および酸素を共通のマニホールドに送達し、最終的には電解システムへの接続のための単一の水出口ポートに送達することができる。
【0026】
電力端子は、スタックに電気を供給するために、1つは正極で、1つは負極で、両エンドユニットに設けられてもよい。セルスタックの個々のセルへのアクセスは、個々のセル電圧をプロービングするために、セルスタックの自由にアクセス可能な側の一方または両方に備えることができる。ある場合には、z軸が実質的に重力ベクトルに配置されるとき、スタックの正極は上部にあり、負極は底部にあることが有利であり得る。この構成では、セルのアノード側に形成された気泡が重力によって電極から離れるように動機付けることができ、それによって、水がさらに反応するためのアクセスを解放し、セルスタックの性能を潜在的に改善する。z軸が実質的に重力ベクトルに配置されていない他の構成でも、同様の理由で、スタックの正極が負極に対して高い位置にあることが依然として有利であり得る。
【0027】
場合によっては、水の流入、水/酸素の流出、水素の流出といったプロセス接続が、上部エンドユニットにあることが有利になることもある。この構成では、酸素気泡が、アノード側での出口流体のかなりの体積パーセントを占めるので、水出口プレナム内において重力のために上昇する傾向がある。上端部にプロセスマニホールドがある場合、上昇する酸素気泡は所望の一般的な方向に流れることができ、重力に対して気泡を流すことによって潜在的に引き起こされる液体スラッギング、気相ロック、および/または他の流れの不安定を防止するのを助けることができる。ある場合には、ドレイン/パージマニホールドが下部エンドユニット内にあることが有利である。電解槽スタックの始動およびサービス中、スタックをシステムと接続または切断する前に、電解槽スタックから定置水を排出する必要があり得る。運転中または作動中に、凝縮水の水素収集プレナムをパージする必要がある場合がある。重力に対して最も低い点に配置されたドレイン/パージマニホールドは、スタックからの水の完全な排出を最も容易にすることができる。使用中、水素が最初にカソード上に生成される前に、窒素などの不活性ガスでカソードをパージすることも必要であり得る。ドレイン/パージマニホールドはまた、スタックのカソード側の不活性ガスパージのためのプロセス接続を受け入れるように構成されてもよい。
【0028】
別の実施形態では、セル組み立てラインの端部に配置されたスタック組立ステーションを備える、拡張可能電解槽スタックを製造する方法が説明される。スタックステーションは、複数のオペレータが同時に動作を実行することを可能にし、それによって、完成したスタックのスループットを加速し、セルおよびスタックの両方の高速製造を可能にするように構成され得る。例えば、フルスケールスタックは300個のセルを含むことができ、1年に1,000メガワットの電解槽スタックを製造するように構成された製造施設は、毎年最大1,000個のそのようなスタックおよび300,000個の対応するセルを処理する必要が生じる場合がある。年間1,750労働時間稼働の1生産シフトの場合、この生産能力では、1セル当たり約20秒のタックタイムが必要となる。1スタックあたり300個のセルを用いると、各スタックステーションでは、最大1.8時間が必要となる場合がある。いくつかの実施形態では、ステーションは、1)アセンブリ固定具内で非反復スタック部材の準備およびロード、2)セルの配置および位置合わせ、3)セルスタックの圧縮、リークチェックおよびロック、ならびに4)スタックの仕上げおよびアンロード、を含むことができる。これらのステーションは、セル製造ラインの端部の回転テーブル上に好都合に配置することができる。これらのステーションは、互いに対して90度の角度であってもよく、それによって、非反復ステーションは最初であってもよく、セル配置ステーションは2番目であってもよく、セルスタック圧縮およびリークステーションは3番目であってもよく、スタック仕上げおよびアンロードステーションは最後であってもよい。各ステーションはタスクを容易にするために、特定のツール、固定具、および装置を含むことができる。例えば、セル配置および位置合わせステーションは、z軸に沿って真っ直ぐで正確な位置合わせを保証するために個々のセルを配置することができる1つ以上のセル整列レールを含むことができる。このレールの機能は、スタック圧縮ラップ内の穴および/またはスロットなどの特徴によって促進され得る。このテーブルは、スタック内の最終セルが第2のステーションに配置され、整列された後、1.8時間毎に90度回転するように制御されてもよい。あるステーションは、他のステーションよりも多くの労働時間を必要とし、単一の労働者が2つ以上のステーションで職務を遂行する場合がある。
【0029】
システムは前述のように、x軸に沿った固定ロールウェブ幅(w)に基づいて、拡張可能セルおよびスタックの組み立てを促進することができる。セル組み立てラインは、概ねy軸に沿った方向に部材を運ぶことができる。そのようなコンベヤは、より大きいまたはより小さいセルのための変化するセル寸法が搬送方向にあり、より広いセル組み立てベルト、機械およびハンドリング装置が必要とされないので、種々の分野のセルを柔軟に取り扱うことができる。セル組み立てラインの端部には、異なるサイズのセル用に構成されたスタック圧縮システムがセルを受け入れることができるように、回転スタック組み立てステーションを配置することができる。同じ固定ロールウェブ幅(w)にも基づく拡張可能圧縮システムにより、ピックアンドプレース動作のためのy軸に沿った距離のみを変化させて、異なる面積のセルのスタックの組み立てを取り扱うことが可能になる。
【0030】
また、このシステムにより、年間1,000スタックを超える生産速度が可能になる。例えば、回転テーブルのオペレータは、作業を完了するのに30分しか必要としない場合がある。これにより、セル生産速度が4倍に増加する可能性があり、その結果、1セル当たり約5秒のタックタイムが得られる。紫外線硬化のような高速硬化技術は、そのようなサイクル時間を促進することができ、それによって、単一のスタック製造ラインは、単一のシフトで年間最大4,000メガワットクラスのスタックを製造することが可能になる。拡張可能セル、スタックおよび製造プロセス設計の柔軟性により、技術が向上し、異なるサイズのスタックが販売によって必要とされ得るので、そのようなラインへの投資を早期陳腐化から保護することができる。
【0031】
記載された製造システムはまた、電解技術の観点から柔軟であり得る。このシステムは、PEM部材および材料がセル組み立てラインで使用される限り、PEM電解槽を製造することができる。このシステムは、AEM部材および材料がセル組み立てラインで使用される限り、AEM電解槽を製造することができる。
【0032】
別の実施形態では、拡張可能電解セルのための内部シールの高速製造方法が説明される。x軸に沿った所望のロールウェブ幅の膜または触媒コーティング膜を選択することができる。ロールからの材料は、y軸に沿ってシール適用機を通って方向付けられてもよく、未硬化内部シールはスクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、またはロボット分配方法のうちの1つを使用して、材料の片側に適用されてもよい。方法の選択は、必要とされる生産速度(すなわち、プロセスサイクルおよび/またはタックタイム)に基づいて行うことができ、シール上で機能するために必要とされる厚さを構築するために、複数の適用サイクルを使用することができる。適用された内部シールは、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化または湿気硬化などの高速硬化システムを用いて硬化させることができる。次いで、膜-ガスケットアセンブリまたは触媒コーティング膜-ガスケットアセンブリロールを、フラットナイフダイ、ローリングナイフダイ、レーザ、または任意の他の一般的な切断方法を使用して、個別の部品片に切断することができる。得られた個々の部品片は、完全な拡張可能電解セルへの統合のために、セル組み立て機に搬送することができる。
【0033】
別の実施形態では、拡張可能電解セルのためのユニット化電極流れ場を製造する方法が説明される。x軸に沿った所望のロールウェブ幅の電極基材は、発泡体、フェルト、織物スクリーン、エキスパンドメタル、または焼結金属フリットのうちの1つから選択され得る。x軸に沿った所望のロールウェブ幅の流れ場基材は、発泡体、フェルト、織物スクリーン、エキスパンドメタル、または焼結金属フリットのうちの1つから選択され得る。ロールからの電極基材材料は、電極基材の各縁の所望の厚さおよび表面特性を達成するように構成されたカレンダーローラを通してy軸に沿って方向付けられてもよい。例えば、基材ウェブのいずれかの縁に配置された圧延ローラは、同じ直径であっても異なる直径であってもよく、同じ材料であっても異なる材料であってもよい。活性電極に変換されるべき電極基材の縁に、より硬いおよび/またはより小さいロールを使用して、変換のためのより緻密なおよび/またはより滑らかな表面を達成することが有利であり得る。また、流れ場基材に積層されるべき電極基材の縁に、より軟質および/またはより大きいロールを使用して、積層のためのより多孔質および/またはより粗い表面を維持することが有利であり得る。
【0034】
電極基材は、適切な処理によって活性電極に変換されてもよい。例えば、電極材料は、スプレーコーティング、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ドクターブレードコーティング、スロットダイコーティング、カーテンコーティング、スキージコーティング、または加熱および/または圧力を用いて電極基材の適切な表面上に積層することができる。電極変換プロセスはまた、後コーティング工程を含んでもよい。例えば、コーティングは、基材への結合および/またはセルの機能的性能を促進するために、乾燥、熱処理、アニール、または物理的もしくは化学的に処理されてもよい。ロールからの流れ場基材材料は、y軸に沿って方向付けられ、活性電極ウェブに隣接して配置されてもよく、積層プロセスを通して、電極と流れ場ウェブとを一緒に接着させてもよい。積層プロセスは、ローラ圧延を含むことができ、電極ウェブと流れ場ウェブの合わせ面が機械的に圧縮されて、基材の中実繊維および/または靭帯が絡み合い、一緒にロックされる。次いで、積層された電極流れ場ロールは、別個の部品片に切断することができ、これは、完全な拡張可能電解セルへの統合のためにセル組み立て機に搬送される。
【0035】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載の本開示を限定するものではないことを理解されたい。本出願のさらなる目的、特徴、および利点は、図面とともに考慮されるとき、以下に記載される好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は本開示の特定の実施形態のみを示し、前述および以下の説明と共に、本開示の原理を説明する。可能な限り、同じ識別番号は、異なる図にわたって共通または同様の成分を示すために使用されている。
【0037】
図1図1は、主要な部材と、定義されたデカルト座標系とを含む、拡張可能電解槽スタックの好ましい実施形態の等角図を示す。
【0038】
図2ab図2aおよび図2bは、主要な部材およびそのデザインの拡張性を制限し得る特徴を含む、例示的な従来技術の電解槽スタックを示す。
【0039】
図3図3は、プロトンおよびアニオンの交換膜電解技術のためのイオン、電子および流体の流れを示す典型的なセルの活性領域における電解セル部材の断面を示す。
【0040】
図4図4は、図3の電解セル部材の等角図を示し、プロセス流体の例示的なクロスフロー配向と、セルのスタックを形成するためのz軸に沿ったセル部材の繰り返しとを示す。
【0041】
図5a図5aは、セル活性領域を拡張する際に存在するトレードオフを示すアノード流れ場部材の等角図を示す。
【0042】
図5b図5bは、水および水素の流れの例示的な流れ場を通る圧力損失対速度および例示的な圧力損失目標閾値についての数学的モデル出力を示す。
【0043】
図5c図5cは、2つの例示的なセル動作電圧値および例示的な水温上昇閾値についての、水温上昇対水ストイキ値の数学的モデル出力を示す。
【0044】
図5d図5dは、例示的なセル動作圧力および例示的な酸素体積分率閾値についての、出口における酸素体積分率対水ストイキ値の数学的モデル出力を示す。
【0045】
図5e図5eは、様々な流れ場候補についての水流抵抗についての試験結果を示し、水流圧力損失についての図5bのモデル結果を確認し、代替の例示的な圧力損失目標閾値を示す。
【0046】
図6図6は、水送達ウィンドウおよび水収集ウィンドウを含む特徴と、水ウィンドウの複製によるセル活性領域の拡張性と、所望のロールウェブ幅(w)に基づいてx軸に沿って固定されかつy軸に沿った関連するアノード流れ場長とを示す、例示的なセルの平面図を示す。
【0047】
図7a図7aは、高速製造を可能にするように設計された双極プレートアセンブリの例示的な部材の分解図を示す。
【0048】
図7b図7bは、図7aの双極プレートアセンブリの断面図を示し、双極プレートアセンブリに追加されたときに、本発明の好ましい実施形態による拡張可能電解セルを備える、膜、電極および流れ場部材のための配置および内部シールの特徴を図示する。
【0049】
図7c図7cは、カソード流れ場が別個の部材としてではなく、双極プレートと一体の三次元構造として形成される、図7bの断面図を示す。
【0050】
図8図8は、z軸に沿って下方に見た図7aの双極プレートアセンブリの平面図を示し、例示的な水シールおよび水素シールの投影された位置合わせを示す。
【0051】
図9図9は、典型的な水分配ウィンドウの等角図を示し、アノード流れ場の関連する長さに均一な水流を提供するために、フレームに含まれ得る分配およびシールの特徴を示す。
【0052】
図10図10は、z軸に沿って上向きに見た、図7aの双極プレートアセンブリの平面図を示し、例示的な水シールおよび水素シールの投影された位置合わせを図示する。
【0053】
図11図11は、典型的な水素収集ウィンドウの等角図を示し、セルによって生成された水素を均一に収集し、それを1つ以上の収集ウィンドウに送達するために、フレームに含まれ得る分配およびシールの特徴を図示する。
【0054】
図12図12は、双極プレートアセンブリのための高速製造プロセスに含まれ得る基本工程を示す。
【0055】
図13図13は、セル内部シールを膜または触媒コーティング膜に適用するための高速製造プロセスに含まれ得る基本工程を示す。
【0056】
図14a図14aは、統合電極流れ場部材を作製するための高速製造プロセスに含まれ得る基本工程を示す。
【0057】
図14b図14bは、積層中の結合を促進するための、電極および/または流れ場基材の表面のエンボス加工またはパターニングのいくつかの例示的な例を示す。
【0058】
図15図15は、ユニット化電解セルを組み立てるための高速製造プロセスに含まれ得る基本工程を示す。
【0059】
図16図16は、コアセルスタックおよびエンドユニットを取り囲む引張ラップを図示する例示的なスタック圧縮システムのy軸図を示し、それによって、ラップ内の機械的張力は、セルスタック内の機械的圧縮力によって平衡化される。
【0060】
図17a図17aは、図1のスタックの断面図を示し、圧縮システムラップおよびセルのy軸に沿った拡張可能性の関連性を示す。
【0061】
図17b図17bは、図17aの断面を示し、ラップ内に設けられたギャップを通るスタック整列固定具の嵌合、およびセルの対抗側面に沿った可動セル位置決めアクチュエータの嵌合を示す。
【0062】
図18a図18aは、完全に圧縮されロックされた電解槽スタックとともに、圧縮プロセス中の終盤の3段階における例示的なスタック圧縮システムのy軸図を示す。
【0063】
図18b図18bは、図18aに記載されたラップの下側部分と上側部分とを接続するための例示的な接続を示す。
【0064】
図19図19は、下部半円筒エンドユニット内にパッケージングされた圧縮システムの可調要素の例示的な構成を示し、システムをロックすることによって生成された内部分離力を示し、その結果、セルスタックの圧縮およびラップ内の張力がもたらされる。
【0065】
図20図20は、対象スタック圧縮システムによって提供され、図17bに示されるように整列された自由にアクセス可能な面を通して、セルスタックに個々の電解セルを配置するための高速製造プロセスに含まれ得る基本工程を示す。
【0066】
図21図21は、図20の高速ラインの端部に含まれ得る回転テーブルスタック組み立てステーションを示す。
【0067】
図22図22は、双極プレートアセンブリ、膜ガスケットアセンブリ、カソード電極流れ場アセンブリ、アノード電極流れ場アセンブリ、拡張可能電解セルアセンブリ、および拡張可能電解槽スタックアセンブリのための、上述のプロセスを組み合わせた例示的な高速製造プロセスの統合図を示す。
【0068】
図23a-d】図24a、24b、24c、および24dは、圧縮システムの代替実施形態を示す。
【0069】
図24図25は、機械的曝露応力の関数として厚さの永続的変化を示す、候補流れ場材料のサンプルの強度測定データを示す。
【0070】
図25図26は、本明細書に開示される要素を含む完全なメガワットクラスの電解スタックの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
ここで、いくつかの好ましい実施形態の詳細な説明が、添付の図面を参照して与えられる。明細書は電気分解に関連するが、明細書された特徴、部材および方法は当業者によって、水素圧縮機および水素精製器を含む他の電気化学技術に適用可能であり、適応可能であることが理解される。
【0072】
図1は、主要な部材、すなわち、下部ラップ(103)、上部ラップ(104)、セルスタック(105)、下部エンドユニット(106)、上部エンドユニット(107)、および定義されたデカルト座標系(102)を含む、拡張可能電解槽スタック(101)の実施形態の等角図を示す。スタック(101)は、y軸およびz軸に沿った可変寸法と、図1のx軸に沿った相対的に固定された寸法とを有することを特徴とすることができる。セルスタック(105)内のセルの活性領域の変化は、y軸に沿ってスタックの寸法を増減させることができる。セルスタックに使用されるセル数の変化は、z軸に沿ってセルスタックの寸法を増減させることができる。製造(詳細は後述)の便宜上、スタックアセンブリの圧縮システムは、y軸に沿って見た場合、セルスタック(105)およびエンドユニット(106)および(107)の周りに連続的な張力境界を形成するために、ジョイント(109)で接続された2つのピース、すなわち、下部ラップ(103)および上部ラップ(104)を備えてもよい。このラップ構成はまた、x-z平面(102)に対して整列されたスタックの2つの対向側面への自由なアクセスを提供し得る。下部ラップ(103)および/または上部ラップ(104)はまた、以下のプロセス(1801)に記載されるように、高速スタック組み立てを容易にするために、穴、スロットまたは他のギャップ特徴(108)を備えてもよい。下部エンドユニット(106)および上部エンドユニット(107)は、それぞれがエンドブロック、ガスケット、マニホールド、電気絶縁および/または電力端子を含むいくつかの部材を備えてもよい。さらに、一方または両方のエンドユニットは、セルスタックを圧縮するための可調要素を含むように構成されてもよい。
【0073】
図2aおよび2bは、主要な部材およびそのデザインの拡張性を制限し得る特徴を含む例示的な従来技術の電解槽スタック、ならびに基準座標系(202)を示す。従来技術の電解槽スタックにおいて、セル形状は円形(201a)または矩形(201b)であり得る。両方の形状は、エンドプレート(203a/b)および(204a/b)、引張要素-タイロッド(206)、可調要素-スクリュー、ナット、ばね(205)、セルスタック(208a/b)、およびプロセス流体をスタックの内外に運ぶためのポート(207a/b)を含む共通の要素を具現化することができる。電解スタックの必須の要素は、セルスタック(208a/b)に対する圧縮荷重を維持することであり得る。これは示されるように、歴史的には、タイロッド(206)を用いて、セルスタックの両端にある構造プレート(203a/b)および(204a/b)を結ぶことによって達成されてきた。タイロッドは、セルスタックの高さを変化させるための調整を可能にし、セルスタックコアのための圧縮力の源として使用されるロッドに張力を生成するようにねじ山が切られてもよい。全体的な圧縮荷重は、セル活性領域によって必要とされる圧力、各セル間のシールによって必要とされる圧力、およびセルを互いに分離するように作用するセルのプロセス流体内の動作圧力の関数であり得る。セルスタックの活性領域がより大きくなると(例えば、より高容量のシステムの場合)、セル全体によって必要とされる全圧は固定されたままであり得、それによって、その領域に比例して圧縮システムに必要とされる総力が増加する。したがって、スタック(201a/b)内のセルがx-y平面内で成長することにつれて、エンドプレート(203a/b)および(204a/b)は、非常に重く、厚くなり得る。また、タイロッド(206)の数は、エンドプレートの構造的曲げを最小限に抑えるために増加してもよい。タイロッド(206)はセルスタック(208a/b)周囲全体を取り囲むことができるので、プロセス流体ポート(207a/b)を接続するために利用可能な空間はエンドプレート(203a/b)および/または(204a/b)を通ることのみであり得る。従来の電解槽セルスタックのサイズ、重量、および引張要素量の全体的なバリエーションは、このように設計されたセルおよびスタックのための設計および製造システムを拡張する能力を制限し得る。
【0074】
図3は、プロトン(312)およびアニオン(313)の交換膜電解技術のための典型的なイオン、電子、および流体の流れを示す、セルの活性領域における例示的なコア電解セル部材(301)の実施形態の断面を示す。ここで、(308)は不透過性分離機、すなわち双極プレートであり、(305)はカソード流れ場であり、(307)はカソード電極であり、(304)はイオン伝導膜であり、(306)はアノード電極であり、(303)はアノード流れ場である。底部に負極(309)を有し、上端部に正極(310)を有するセルに電源を取り付けると、電子(311)がセルを通って上方に流れることができる。セルが酸性のプロトン伝導型(312)である場合、正電荷のヒドロニウムイオンは膜(304)を通って下方に移動するように、結果として生じる電場によって導かれ得る。セルがアルカリ性の水酸化物伝導型(313)である場合、負電荷の水酸化物イオンは膜(304)を通って上方に移動するように、結果として生じる電場によって導かれ得る。両方のタイプにおいて、水素はカソード(307)上に形成され、カソード流れ場(305)に流れ込むことができ、一方、酸素は、アノード(306)上に形成され、アノード流れ場(303)に流れ込むことができる。乾燥カソードシステムでは、水は、水素および酸素を形成するための反応物としてアノード流れ場(303)のみに提供されてもよい。化学量論は、化学反応の「バランス」に関する用語である。電気化学セルにおいて、用語「化学量論」または「ストイキ」は、全反応を正確にバランスさせるのに必要な量に対する、セルに供給される反応物の比率を指す。本明細書で前述したように、アノード流れ場(303)に供給される水ストイキは、1よりもはるかに高くてもよい。また、アノード流れ場(303)内の流体はほとんど液体であり得るので、この区画は、カソード流れ場と比較して著しい流れ抵抗を表し得る。カソードの流れ場の厚さ(314)およびアノードの流れ場の厚さ(315)は、セル内の流速、温度分布、および圧力損失に影響を及ぼし得る。セルの全体のセルピッチ(316)は、完全なセルを構成する部材(303)~(308)の各々の厚さによって決定され得る。小さなセルピッチ(316)は、所与の水素生成速度[kg/hr]に対して、高い出力密度および小さなサイズを有する電解槽スタックを生成するために望ましい場合がある。したがって、x軸に沿った水流方向の長さ、y軸に沿った幅、およびz軸に沿った厚さ、アノード流れ場の幾何学的形状を最適化することは、電解槽のための重要な設計目標であり得る。例えば、アノードの流れ場(303)および/またはカソードの流れ場(305)は、0.1~5.0mm、0.2~3.0mm、0.3~2mm、0.5~2mmまたは0.6~2mmの厚さで構成され得る。それらは比較的等しい厚さを有するものとして図3に示されているが、流れ場(303)および(305)は、セルプロセス条件、性能、および製造を最適化するための要因に基づいて、同じまたは異なる厚さで選択され得る。
【0075】
図4は、スタックコア(301)の実施形態の等角図(401)を示し、さらに、プロセス流体の例示的なクロスフロー配向(408)および(409)、ならびにセルのスタックを生成するためのz軸に沿ったセル部材(410)の繰り返しを図示する。ここで、双極プレート(308)は、厚さ(316)の1つのセルを隣接するセル410(下)から分離することが分かる。別の隣接するセルの双極プレート(308)は、セル(401)の上方に見ることができる。水および酸素(408)は、厚さ(404)の複合アノード電極流れ場(403)内でx軸に沿って流れることができる。水素(409)は、厚さ(406)の複合カソード電極流れ場(405)内をy軸に沿って流れることができる。重力ベクトルが下向きかつz軸に平行となるようにセルが配向すると仮定すると、示されるように膜の上にアノードを配置することによって、浮力が、アノード電極上に形成される酸素気泡の、アノード電極上のアノード流れ場を通って流れる水中への移動を助けることが可能となり、有利であり得る。
【0076】
図5aは、セル面積を拡張する際に存在し得るトレードオフを示す、アノード流れ場部材(506)の実施形態の等角図(501)を示す。アノード流れ場のベースユニットは、x軸に沿った幅「w」(505)と、y軸に沿った長さ「l」(504)と、z軸に沿った厚さ「t」(503)とを備え得る。ベースユニットのx軸に沿った幅「w」(505)は、5~1000cm、5~500cm、5~100cm、または10~50cmとすることができる。ベースユニットのy軸に沿った長さ「l」(504)は、0.5~100cm、1~50cm、2~25cm、または2~10cmとすることができる。このベースユニットの面積(507)は、幅「w」(505)に長さ「l」(504)を乗算することによって求めることができる。このベースユニットの前縁部(508)における水流面積は、厚さ「t」(503)に長さ「l」(504)を乗算することによって求めることができる。この水流領域(508)への固定されたストイキおよび効率(509)のための水流は、領域(507)によって決定され得る。一定の効率および水ストイキでより高い水素生成[kg/hr]を達成するには、追加の面積「dA」(511a)および/または(511b)が必要となり得る。「w」(505)に「dw」(510b)を追加して「dA」(511b)が作られる場合、固定前縁流れ領域(508)に流入するために、追加の水(513b)が必要とされ得る。追加された水流はそれによって、セルを通る水流速度を増加させる場合があり、その結果、圧力降下(514)の増加をもたらす場合がある。「l」(504)に「dl」(510a)を追加して「dA」(511a)が作られる場合、追加の水(513a)は、固定された前縁流れ面積(512a)に比例した増加をもたらし得る。追加の水は、圧力降下(514)を増加させることなく、増分比例流量領域(512a)を通って流れることができる。したがって、y軸に沿った拡張領域により、セル内のすべてのプロセス条件(圧力、温度、および酸素体積分率)を一定に維持することができる。総水流量は必然的に水素/酸素生成速度に比例し得るが、他のシステムパラメータは、y軸のみに沿ったセルの拡張によっては不変であり得る。これは、このように設計されたセルおよびセルスタックから作製される、結果として生じる電解槽システムを大幅に単純化することができる。例えば、圧力定格、温度定格および/または流体組成定格を含む電解槽製造プラントの仕様は、異なる水流および水素/酸素容量のプラントに対しても一貫している場合がある。これは、次に、エンジニアリング調達および建設活動を単純化し、システム部材の利用可能な供給を拡大し、全体的な水素製造コストを低減することができる。
【0077】
図5bは、アノードおよび/またはカソードの流れ場に使用され得る典型的な多孔質媒体を通って流れる水素ガス(532)および液状水(533)の流速(509)[cm/s]の関数として、単位流れ長さ(514)[mbar/cm]当たりの圧力損失に関する数学的モデルの結果(531)を示す。また、電解槽スタック全体およびシステム設計に基づいて選択され得る例示的な目標圧力損失閾値(534)も示されている。閾値(534)は水圧損失の上限を表し、それによって、アノード流れ場(535)における水速度の目標閾値を定義することができる。結果(531)から明らかなように、水素についての単位長さ当たりの圧力損失は、所与の速度での水についての圧力損失の数分の一未満であり得る。したがって、セル面積を増加する際には、水の速度および流れ長さに基づいてセル拡張を優先することが有利であり得る。例えば、電解セルに水を供給するための水ポンプは、最大10バールの圧力能力を有することができる。アノード流れ場(501)は、水速度(509)が100cm/s未満、50cm/s未満、20cm/s未満、10cm/s未満または5cm/s未満の一般に利用可能なおよび/または経済的に有用なシステム水ポンプの能力の範囲内にとどまるように、構成することが有利であり得る。
【0078】
図5cは、供給された水のストイキ値の関数としての水温上昇(515)[℃]に関する数学的モデルの結果(541)を示す。電解槽動作中に放出される熱は、効率の関数であってもよく、効率は次に、セル電圧を動作させる関数であってもよい。セルのためのエネルギーを節約することは、下記式5c-1で特定されるような水温上昇の式をもたらし得る。ここで、Vは作動セル電圧、Vは熱中性セル電圧[1.481V]、HHVは水素のより高い発熱量[141.79MJ/kg]、cは水の比熱量[4.182kJ/kg℃]、Stはセルに送達される水のストイキである。プロット(542)および(543)は、電解セルの寿命の開始[BoL]および終了[EoL]についての例示的な値を表す2つの可能な動作電圧におけるこのモデルの結果を示す。また、例示的な水温上昇目標閾値(544)も示されており、この閾値を超えると、電解セルは安定してまたは耐久的に動作することができず、またはこれを超えると、電解システムは効率的に動作することができない。温度上昇閾値は、EoL電圧限界と共に使用されて、水ストイキの下限閾値を定義することができる(545)。電解セルの安定かつ耐久性のある動作を維持するために、耐用期間の終わりの水温上昇を100℃未満、50℃未満、25℃未満、15℃未満、または10℃未満に維持する水ストイキを選択することが有利であり得る。
【0079】
【数1】
【0080】
図5dは、送達された水のストイキ値の関数として、アノード流れ場出口(552)における酸素体積分率についての数学的モデルの結果(551)を示す。電気分解のプロセスは、水を、カソード側では水素に、アノード側では酸素に分割する。酸素がアノード上に形成されると、酸素は、送達された液状水とガスとして混合し、アノード流れ場において二相流をもたらすことができる。アノード出口における酸素の体積分率は、電解セルの動作安定性、性能、および/または耐久性を示すことができ、このパラメータの目標閾値は設計者によって設定され得る。セルのための質量を保存することは、式5d-1において特定されるような酸素出口体積分率の式をもたらすことができる。ここで、rO2はアノード出口における酸素気体の密度であり、rH2Oはアノード出口における液状水の密度であり、Stは、セルに送達される水のストイキである。プロット(552)は、例示的な酸素体積分率閾値(554)とともに、電解セルのアノードの10baraの圧力でのこのモデルの結果を示し、この閾値を超えると、セルは安定にまたは耐久的に動作し得ず、またはそれを超えると、電解システムは効率的に動作し得ない。酸素体積分率閾値を使用して、水ストイキの下限閾値(555)を指定することができる。電解セルの安定かつ耐久性のある動作を維持するために、酸素体積分率を80%未満、60%未満、50%未満、40%未満または30%未満に維持する水ストイキを選択することが有利であり得る。
【0081】
【数2】
【0082】
図5eは、アノードおよび/またはカソードの流れ場に使用され得るいくつかの多孔質媒体候補を通って流れる液状水の流速(509)[cm/s]の関数として、単位流れ長さ(514)[mbar/cm]当たりの圧力損失についての試験結果(561)を示す。図5b(533)からの数学的モデル結果は、全体的な電解槽スタックおよびシステム設計に基づいて選択され得る例示的な目標圧力損失閾値(534)に関して、再び参照される。閾値(534)は、水圧損失の上限を表すことができ、それによって、これらの実際の潜在的な流れ場候補(試料1~8)のためのアノード流れ場(535)における水速度の目標閾値を定義する。
【0083】
図6は、水送達ウィンドウ(603)および水収集ウィンドウ(604)を含む特徴と、水ウィンドウの複製によるセル活性領域の拡張性と、所望のロールウェブ幅(w)(609)に基づいてx軸に沿って一般に固定されかつy軸に沿った関連する単位アノード流れ場長(608)を示す、例示的セル(601)の実施形態の平面図を示す。各水分配ウィンドウ(603)の面積または有効直径(ウィンドウの面積と等しい面積を有する円の直径)は、セルの温度上昇または酸素出口体積分率の1つ以上を目標閾値未満に維持するように選択された水流ストイキで、ウィンドウを通るz軸に沿った水速度を所定の閾値未満に維持するように選択されてもよい。例えば、圧力損失を最小限に抑えるために、各ウィンドウ(603)を通るz軸に沿った水速度は、10m/s未満、4m/s未満、または2m/s未満に維持され得る。各水分配ウィンドウに関連付けられた単位長さ(504)の選択によって、アノード流れ場の前縁部における水の流れ領域(508)(図5aに示す)は、前縁部(509)におけるx軸に沿った水速度が所定の閾値未満に保たれるように形成することができる。次いで、水流圧力損失(514)(図5aに示す)、水温上昇(515)(図5aに示す)、および標的閾値未満の酸素出口体積分率を維持しながら、セルの全体的な標的水素生成速度を達成するように、水分配ウィンドウの数を選択することができる。セル(601)は、活性領域(611)および輪郭領域(610)を備えることができる。輪郭領域は、水送達(603)、水および酸素の収集(604)、ならびに水素の収集(606)のためのいくつかの流体流れウィンドウを画定することができる。説明されるように、水ウィンドウ(603)の数は活性領域に合わせて拡張することができ、一方、水素ウィンドウ(606)の数は拡張することができず、これにより、1つのセルの任意の単一構成として水素ウィンドウよりも多数の水ウィンドウを有するセルがもたらされる。水送達ウィンドウおよび/または水収集ウィンドウは、セル(601)の低コストで高速の製造を可能にする円形、矩形または別の形状であってもよい。円形以外のウィンドウ形状の場合、「有効直径」は、ウィンドウと同等の面積の円形孔の直径を決定することによって見出すことができる。各水ウィンドウ(603)は、アノード流れ場(504)のy軸に沿った単位長さに関連付けられてもよい。ウィンドウ(603)の有効直径は、単位長さ(504)の1%~110%、単位長さの5%~75%、単位長さの10%~50%、または単位長さの25%~50%であるように構成することができる。水流は、経路(605)に沿って、送達ウィンドウ(603)から活性領域(611)の関連するセクションを横切って収集ウィンドウ(604)に進むことができる。セルを動作させる際に、経路(605)に沿ってカソード側で水素を生成することができ、これは流線(607)に沿って1つ以上の水素収集ウィンドウ(606)に流れることができる。これらの収集ウィンドウ(606)は、セルの一方または両方の端部にあってもよく、各端部に1つ以上のウィンドウ(606)からなってもよい。追加の水素/酸素容量が必要とされるので、増分の水ウィンドウおよび関連する流れ場の長さ(608)をy軸に沿って加えて、セル内の一定の動作条件-圧力、温度および流体組成-を維持しながら、水素/酸素の生成を増加させることができる。特定のセル(601)のために選択されたウィンドウの総数は、セル全体の活性領域を決定することができ、1~100、2~50、2~25または2~20の数とすることができる。y軸に沿ったセルの長さの増加は、水素の収集のための流線(607)の流れの長さの増加をもたらし得るが、カソード流れ場における水素ガスに対する流れ抵抗は(図5bに示されるように)アノード流れ場における液状水の場合よりもはるかに小さく、それによって、セル、スタックまたはシステムの条件および性能に対する影響を無視できる程度にすることができる。したがって、セルのサイズが拡張されても、追加の水素ウィンドウは必要とされない。セルはまた、セル性能を測定および/または制御するための機器接続を容易にするために、輪郭領域(610)に沿った1つ以上の位置に特徴(612)を含み得る。拡張可能電解セルは、膜、アノード電極、カソード電極、アノード流れ場、カソード流れ場および双極プレートアセンブリを備えることができ、双極プレートアセンブリはy軸に整列されたアノード流れ場の1つの縁部に沿って配置された1つ以上の水送達ウィンドウを画定することができ、各水送達ウィンドウはアノード流れ場のy軸に沿った長さに関連付けることができ、水送達ウィンドウのアノード流れ場の数、有効直径および/または関連付けられた長さは水流抵抗または水温上昇またはセル出口酸素体積分率を電解槽セルの目標閾値未満に維持するように選択することができる。水送達ウィンドウと酸素収集ウィンドウとを合わせた数は、電解セルの水素収集ウィンドウの数以上であってもよい。各水送達ウィンドウの有効直径は、電解セルのアノード流れ場のy軸に沿った関連する長さの5%~110%であってもよい。x軸に沿ったアノード流れ場の寸法は、電解セルの各水送達ウィンドウと同じであってもよい。各水送達ウィンドウに関連するy軸に沿った長さは、アノード流れ場の前縁部における水の平均速度を電解セルについて100cm/s未満に保つために、アノード流れ場の厚さに基づいて選択され得る。水ストイキは、寿命の終わりにおけるセル温度上昇を50℃未満に維持するか、または電解セルにおいてアノード流れ場の後縁部における酸素体積分率を80%未満に維持するように選択され得る。カソード流れ場における水素流速ベクトルは、電解セルのy軸に概ね平行であってもよい。本明細書で議論されるように、いくつかの実施形態では、拡張可能電解槽スタックは、積層構成でz軸に沿って整列された多数の拡張可能電解セルを備えることができ、各セルは膜、アノード電極、カソード電極、アノード流れ場、カソード流れ場および双極プレートアセンブリを備えることができ、スタック双極プレートアセンブリは、アノード流れ場の1つの縁部に沿って配置された1つ以上の水送達プレナムを画定することができ、各水送達プレナムはz軸に沿ってプレナムを通る水速度を目標閾値未満に維持するようなサイズにすることができ、各水送達プレナムはアノード流れ場のy軸に沿った長さに関連付けることができ、水送達プレナムの数および/またはサイズは水流抵抗または水温上昇またはセル出口酸素体積分率のうちの1つを電解槽スタックの目標閾値未満に維持するように選択することができる。水送達プレナムと酸素収集プレナムとを組み合わせた数は、水素収集プレナムの数以上であってもよい。スタックは、さらに、セルスタックのいずれかの端部にエンドユニットと、拡張可能な構造的ラップ圧縮システムと、1つのエンドユニットに含まれる少なくとも1つの流体マニホールドとを備えることができ、マニホールドは、y軸に沿って、圧縮システムの自由にアクセス可能な面を通してスタックへの水の送達を容易にすることができる。流体マニホールドは、z軸に沿った重力ベクトルに対してスタックの上端に配置されてもよい。スタックは、z軸に沿った重力ベクトルに対してスタックの下端に配置されたドレインおよび/またはパージマニホールドをさらに備えることができる。個々のセルスタックプレナムを接続する水流ポートおよびマニホールドのサイズは、±25%未満の変動を有する個々のプレナムへの流れ分配を提供するように選択され得る。
【0084】
図7aは、高速製造を可能にするように設計された双極プレートアセンブリ(BPA)の例示的な部材の実施形態の分解図(701)を示す。BPA(701)は、双極プレート(308)と、水素シール(705)と、流体分配フレーム(704)と、水シール(703)とを備える。双極プレート(308)は、電解セルの環境に適した基材で構成することができる。例えば、セルが酸性プロトン伝導型である場合、(308)は、チタン、ステンレス鋼、インコネル、ニッケル-クロム、またはこれらの組み合わせの合金を含んでもよい。酸性セルのためのそのような双極プレートはまた、白金、金、スズ、炭素、窒化チタン、またはこれらの組み合わせなどの適切な耐腐食性コーティングで覆われてもよい。セルがアルカリ性水酸化物伝導型である場合、(308)は、鉄、鋼、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル-クロム、インコネル、フェクラロイ、またはこれらの組み合わせの合金を含んでもよい。アルカリセル用のそのような双極プレートはまた、白金、金、スズ、ニッケル、炭素、またはこれらの組み合わせなどの適切なコーティングで覆われてもよい。水素シール(705)は、高速製造プロセスを使用して双極プレート(308)に適用されるように構成することができる。適切に速い方法としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、ロボット分配、圧縮成形、射出成形、スタンプ印刷、またはポリエステル、ウレタン、ナイロン、エチレンまたは他の化学的および機械的に適切なポリマー化合物から作製されたホットメルト接着剤フィルムの打ち抜きおよび積層によるものが挙げられる。シール(705)の厚さは、1つ以上の適用工程で製造することができる。フレーム(704)とプレート(308)との間の結合を容易にするために、未硬化状態でガスケット(705)を適用することが有利であり得る。シール(705)は、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化もしくは湿気硬化またはこれらの方法の組み合わせなどの高速硬化法によって硬化可能であることも有利であり得る。シール(705)が複数の適用工程で作られる場合、硬化は、上記工程の間に必要とされてもされなくてもよい。シール(705)は、シリコーン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ウレタン、アクリレート、ビニル、ブチル、EPDM、ニトリル、SBR、SEBS、SIBSまたはEVAなどの相溶性エラストマーまたはポリマー材料を含んでもよい。シール(705)は、ワイヤメッシュ、連続気泡発泡体、エキスパンドメタル、または焼結金属フリットなどの、シールに埋め込まれた補強材料で構築されてもよい。この補強は、ポリマー/エラストマーシール材料を強化することによって、高圧流体をシールする際の機能的利点を提供することができる。それはまた、プレート(308)/シール(705)/フレーム(704)を組み立て、圧縮し、硬化させる際にハードストップを提供することによって、BPAの正確な厚さを設定する際の組み立て上の利点を提供することができる。硬化したシール材料の硬度またはデュロメータは、比較的軟質または中デュロメータであってもよい。例えば、シール(705)が、双極プレート(308)および/またはフレーム(704)と比較して比較的圧縮可能な弾性率を示すことで、セルスタックが圧縮されたときに、セルの輪郭領域(610)に弾性を提供することができ、有利であり得る。例えば、硬化水素シール(705)は、0.01MPa~100MPa、0.1~50MPa、1.0~25MPa、または5~20MPaの弾性率の範囲で構成することができる。あるいは、シール(705)の幾何学的形状は、所望の弾性を達成するように調整することができる。シール(705)の厚さは増減することができる。例えば、シール(705)の厚さは、10~500、20~250、25~250、または25~100μmの範囲とすることができる。シール(705)の幅はまた増減することができる。例えば、シール(705)の幅は、0.5~15mm、1~10mm、または2~5mmの範囲とすることができる。シール(705)のために選択される材料および特性は、酸性またはアルカリ性セルの設計のために異なっていてもよい。流体分配フレーム(704)は、比較的剛性のプラスチック材料から構成することができる。例えば、それは、ポリカーボネート、ウレタン、ポリスルホン、ポリアミド、ポリアミドイミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、高密度ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ウレタン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドもしくはアクリレートまたは別の適切な機械的、電気的、化学的および熱的特性のポリマーもしくはエラストマーの射出成形、圧縮成形、押出成形、鋳造またはスリップキャスティングによって作製することができる。フレーム(704)は、材料の連続フィルムから作製され、その後、ダイ、ナイフダイ、ロータリーダイ、レーザまたはウォータージェット切断によって成形される。フレーム(704)は、1.0MPa~100,000MPa、10~50,000MPa、100~10,000MPa、または1,000~10,000MPaの弾性率の範囲で構成することができる。フレーム(704)を可視、紫外線透過性またはマイクロ波透過性材料から作製することで、水素シールを接着剤として使用して双極プレート308と結合した後に水素シール(705)の紫外線硬化またはマイクロ波硬化が容易になり、有利である。フレーム(704)は、セルの流れ場、電極、および膜を位置付けるための特定の幾何学的特徴を備えることができる。フレーム(704)はまた、セルにプロセス流体を均一に分配し、セルからプロセス流体を収集するために必要とされる幾何学的形状、ならびにセルのアノード流れ場とカソード流れ場との間の内部シールを嵌合し、圧縮するための特徴を含むことができる。フレーム(704)はまた、セルスタックに組み立てられた後のセル電圧測定を容易にするように意図された特徴(612)(図6に示される)を備えてもよい。水シール(703)は、高速製造プロセスを使用して流体分配フレーム(704)に適用されるように構成することができる。適切に迅速な方法としては、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、ロボット分配、圧縮成形、射出成形、スタンプ印刷、または打ち抜きおよび積層によるものが挙げられる。シール(703)の厚さは、1つ以上の適用工程で製造することができる。シール(703)は、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化もしくは湿気硬化またはこれらの方法の組み合わせなどの高速硬化法によって硬化可能であることも有利であり得る。シール(703)が複数の適用工程で作られる場合、硬化は、上記工程の間に必要とされてもされなくてもよい。シール(703)は、シリコーン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ウレタン、アクリレート、ビニル、ブチル、EPDM、ニトリル、SBR、SEBS、SIBSまたはEVAなどのエラストマーまたはポリマー材料を含んでもよい。硬化したシール材料の硬度またはデュロメータは、比較的軟質または中デュロメータであってもよい。例えば、シール(703)が、双極プレート(308)および/またはフレーム(704)と比較して比較的圧縮可能な弾性率を示すことで、セルスタックが圧縮されたときに、セルの輪郭領域(610)に弾性を提供することができ、有利であり得る。例えば、硬化水シール(703)は、0.01MPa~100MPa、0.1~50MPa、1.0~25MPa、または5~20MPaの弾性率の範囲で構成することができる。あるいは、シール(703)の幾何学的形状は、所望の弾性を達成するように調整することができる。シール(703)の厚さは増減することができる。例えば、シール(703)の厚さは、10~500、20~250、25~250、または25~100μmの範囲とすることができる。シール(703)の幅はまた増減することができる。例えば、シール(703)の幅は、0.5~15mm、1~10mm、または2~5mmの範囲とすることができる。シール(703)のために選択される材料および特性は、酸性またはアルカリ性セルの設計のために異なっていてもよい。シール(703)はまた、材料および幾何学的形状の適切な選択によってフレーム(704)の幾何学的形状に組み込まれてもよく、それによって、別工程においてシール(703)を適用する必要がなくなる。例えば、フレーム(704)は、シール(703)の幾何学的形状を有するように構成され、適切な弾性率の材料から製造されて、単一の部材に水シール機能を提供することができる。代替として、フレーム(704)は2段階プロセスで製造されてもよく、それによって、シール(703)は予め射出成形された硬質プラスチック基材上に直接射出成形または圧縮成形することができる。別の例では、シール(703)は、ロールツーロールプロセスでプラスチックフィルムの片面にスクリーン印刷することによって、流体分配フレーム(704)に適用されてもよい。双極プレート(308)は、平板として示されているが、カソードおよびアノード用の流れ場またはセルの両側として機能するように意図された特徴部を中央領域(706)内に形成することができる。これらの特徴は、z軸に沿って突出するチャネル、ディンプル、または他の幾何学的形状を備えることができ、これは、双極プレート(308)に3次元の形状を与え、流れ場、電極および/または膜のための構造的支持を作り出し、同時に、水素、水/酸素またはその両方の流体のための流れ誘導経路も作り出す。
【0085】
図7bは、図7aの双極プレートアセンブリ(701)の実施形態の断面図(711)を示し、膜(304)、電極/および流れ場部材(403)および(405)のための位置および内部シール特徴を示しており、双極プレートアセンブリに追加されたときに、本発明の好ましい実施形態による拡張可能電解セル(601)を構成する。フレーム(704)の断面は、アノード電極流れ場(403)をカソード電極流れ場(405)から分離するために内部シール(713)が嵌合することができるステップ(714)を有するように配置することができる。ステップ(714)は、カソード電極流れ場(405)を取り囲み、アノード電極流れ場(403)および膜(304)の外縁を完全に支持するように構成することができる。このようにして、アノード流れ場(403)は、x-y平面(712)内のカソード流れ場(405)よりも大きくなり得る。圧縮時に、電極流れ場(403)および(405)は、変形するように構成することができ、内部シール(713)が膜(304)とフレーム(704)のステップ(714)との間で圧縮することを可能にする。製造セル(601)において予想される熱膨張、内部ガス圧力および部材の厚さの変動の範囲にわたって膜(304)と接触するように、カソード電極流れ場(405)は弾性を有することが有利であり得る。同様に、セル(601)の製造および動作において予想される熱膨張、内部ガス圧力および部材の厚さの変動の範囲にわたってシール機能を提供するための必要な弾性を達成するように、シール(703)、(705)および(713)の厚さ、幅および弾性率は調整することができる。
【0086】
図7cは、双極プレート(308)の代替的な幾何学的形状を示す図7bの断面図および実施形態を示し、それによって、カソード電極流れ場(405)は、プレート(308)に直接形成された特徴部(723)と置き換えることができる。これらの特徴(723)は、z軸に沿って突出するチャネル、ディンプルまたは他の幾何学的形状を備えることができ、これは、双極プレート(308)に3次元の形状を与え、流れ場、電極および/または膜のための構造的支持を作り出し、同時に、水素、水/酸素またはその両方の流体のための流れ誘導経路も作り出す。これらの特徴は、機械的スタンピング、機械加工、ハイドロフォーミングまたは他の適切な製造方法によって作り出すことができる。アノード流れ場および/またはカソード流れ場は、発泡体、フェルト、織物スクリーン、エキスパンドメタル、または焼結金属フリットの1つ以上から選択され、形成することができる。アノード流れ場および/またはカソード流れ場は、スタンピングまたはハイドロフォーミングプロセスによって双極プレートに形成することができる。
【0087】
図7dは、双極プレートアセンブリが多孔性シート(732)を含み、その中に、スクリーン印刷、液体分配、射出もしくは圧縮成形または他の適切なプロセスを使用して水素シール(705)が埋め込まれ得る、代替の実施形態の等角図を示す。この構成では、多孔性シート(732)が図7bからのカソード電極流れ場(405)の機能を提供することができ、水素シール(705)のための機械的補強と、セルの活性領域から水素ガスウィンドウ(606)への水素ガス流れのための開放空間との両方を提供する。多孔性シート(732)はまた、水素シール(705)およびフレーム(704)のプレスおよび硬化中に、双極プレートアセンブリの正確な厚さ制御を提供することができる。
【0088】
図7eは、カソード電極(722)、膜(304)、アノード電極流れ場(403)および内部シール(714)が追加された、図7dの断面図の実施形態を図示する。組み立ておよび硬化後、水素シール(705)は多孔質シート(732)の多孔質構造内に完全に埋め込まれて、カソード内の水素ガスの気密シールを形成し、同時に、双極プレート(308)を多孔質シート(732)およびフレーム(704)に物理的に接着することができる。多孔性シート(732)は、発泡体、フェルト、織物スクリーン、エキスパンドメタル、または焼結金属フリットの1つ以上から選択することができる。多孔質シートは鉄、鋼、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル-クロム、インコネル、フェクラロイ、またはこれらの組み合わせの合金を含むことができ、また、白金、金、スズ、ニッケル、炭素、またはこれらの組み合わせなどの適切なコーティングで覆うことができる。
【0089】
図8は、z軸(802)に沿って下方に見た図7aの双極プレートアセンブリ(701)の実施形態の平面図を示し、水シール(703)および水素シール(705)の投影された位置合わせを示す。流体分配フレームの局所的な曲がり、およびシールの潜在的な損失を最小限に抑えるために、水シール(703)は、フレーム(704)および水素シール(705)によって均一に支持されることが重要となる場合がある。フレーム(704)および/または水素シール(705)のための全材料厚さの任意のギャップは、水シール(703)がセルスタック内の隣接するセルによって圧縮されるとき、フレームの曲げをもたらす可能性がある。過度の曲げは、次に、水シール(703)の不適切な圧縮およびその後の漏れをもたらす可能性がある。例えば、ある区間におけるフレームの厚さの2倍を超える間隙は、過度の曲げをもたらす可能性がある。均一な支持は、フレーム(704)および水素シール(705)の全厚セクションによって支持されていない水シール(703)の全投影面積のパーセンテージを評価することによって決定することができる。適切な支持を提供するために、支持されていない投影面積の割合は、10%未満、20%未満、30%未満または50%未満であってもよい。また、フレーム(704)のステップ(714)も示されており、これは、セル(601)の開いた活性領域(611)を完全に囲み、境界を定める。ステップ(714)は、内部シール(713)がカソード流れ場(405)の外に落ちることを可能にする一方で、アノード流れ場(403)が配置され得るポケットを提供するような幅を有するように構成することができる。また、セル(601)の拡張可能性に従って上述した所望のロールウェブ幅を表す基準寸法「w」(609)も示されている。詳細図(803)は、図9で説明される。
【0090】
図9は、典型的な水分配ウィンドウ(803)の実施形態の等角図を示し、アノード電極流れ場(403)の関連する長さに均一な水流(908)を提供するために、フレーム(704)に含まれる分配(905)およびシール(713)の特徴を示す。1つの水送達ウィンドウ(603)の一部が示されており、水速度ベクトル(907)はウィンドウ(603)に概ねz軸に沿って入り、x-y平面に転向して広がり、アノード流れ場(403)の前縁部に向かう。送達ウィンドウ(603)は、1つ以上の分配特徴(905)により構成することができ、ベクトル(908)によって示されるように、y軸に沿って均一な様式で(403)の前縁部に入るように、x-y平面における流れ(907)の拡散を容易にすることができる。分配機構(905)は、フレーム(704)に一体化されてもよく、または水シール(703)(図7a~eおよび8に示す)の幾何学的特徴の一部として形成されてもよい。フレームはまた、図7bに示されるように、フレーム(704)と双極プレート(308)との間の水素シール(705)に十分な圧縮荷重が伝達されることを確実にするために、機械的支持機構(906)を備えて構成されてもよい。機械的支持機構(906)はまた、水シール(703)の幾何学的特徴の一部として形成されてもよい。カソード電極流れ場(405)は、カソード流れ場(405)およびアノード流れ場(403)流れ場を分離する膜(304)を有するフレーム(704)のステップ(714)の内側に配置されて示されている。内部シール(713)は、膜(304)とフレーム(704)のステップ(714)との間に示されており、アノード電極流れ場(403)との重なりが見える。この構成では、アノード電極流れ場(403)が活性領域の全周囲でシールステップ(714)と重なるようにカソード電極流れ場より大きくてもよい。ステップ(714)は、カソード電極流れ場(405)およびアノード電極流れ場(403)が適切に配置されたままであること、および内部シール(713)がステップ(714)上に適切に配置されていることを確実にするように作用することができる。これらの特徴の保証は、セルおよびスタックの信頼性のある高速組み立てに不可欠であり得る。
【0091】
図10は、z軸(1002)に沿って上向きに見た図7aの双極プレートアセンブリ(701)の実施形態の平面図を示し、水シール(703)および水素シール(705)の投影された位置合わせを示す。下から見た図は、水素シール(705)の要素が水シール(703)を支持する目的でどのように含まれているかをより明確に示している。例えば、シール(705)は、水シール(703)の対応する幾何学的形状に適合するように、(1004)に示されるような特徴を備えてもよい。シール(705)はまた、カソード電極流れ場の水素後縁部に沿ってステップ(714)(図7b、7c、7e、8、および9に示される)を支持するために、(1005)に示されるものなどの特徴を備えることができる。水素ガスが収集ウィンドウ(606)内に出ることを可能にするために、ブリッジ機構(1105)および(1106)は、図11の図(1003)に詳述されるようにフレーム(705)内に含まれることができる。
【0092】
図11は、典型的な水素収集ウィンドウ(606)の一実施形態の等角図を示しており、これは、ブリッジ(1105)および(1106)と、フレーム内に含まれる内部シール(713)の特徴を示し、セルによって生成された水素(1108)を均一に収集し、それ(1107)を1つ以上の収集ウィンドウ(606)に送達する。1つの水素収集ウィンドウ(606)のセクションは、水素速度ベクトル(1107)とともに示されており、これは、カソード電極流れ場(405)の後縁部からでてきたx-y平面から回転しながら、一般にz軸に沿ってウィンドウ(606)を出てくる。収集ウィンドウ(606)は、x-y平面からの流れ(1108)の均一な収集を容易にするために、ならびに内部シール(713)および水シール(705)の両方に機械的支持を提供するために、1つ以上のブリッジ特徴(1105)および(1106)を用いて構成されてもよい。ブリッジ機構(1105、1106)は、フレーム(704)に一体化されてもよく、または水素シール(705)(図7a~e、8、10に示す)の幾何学的特徴の一部として形成されてもよい。水素シール(705)の幾何学的形状の一部として、ブリッジ特徴は、ワイヤメッシュ、連続気泡発泡体、エキスパンドメタル、または焼結金属フリットなどの多孔質補強材料を使用して作製することができる。この多孔質補強材は、図7dおよび図7eに示すように、カソード電極流れ場(405)の全部または一部の延長部、多孔質シート(732)として形成することができる。カソード電極流れ場(405)は、カソード流れ場(405)およびアノード流れ場(403)流れ場を分離する膜(304)を有するフレーム(704)のステップ(714)の内側に配置されて示されている。内部シール(713)は、膜(304)とフレーム(704)のステップ(714)との間に示されており、アノード流れ場(403)との重なりが見える。双極プレートアセンブリは、2つの隣接する双極プレートの間に、カソード流れ場、カソード電極、膜、内部シール、アノード電極、またはアノード流れ場のうちの少なくとも1つを配置し、収容するように構成された流体分配フレームを備えることができる。流体分配フレームは、1つ以上の水送達ウィンドウからアノード流れ場の前縁部へのx-y平面内の水流の拡散を可能にして、流れ場の平均速度のプラスまたはマイナス50%以内の前縁速度分布を提供するように構成することができる。流体分配フレームは、アノード流れ場の後縁部から水および酸素の流れを収集し、後縁速度分布のプラスまたはマイナス50%以下の変更を課すように構成することができる。水素シールは、フレームと、カソード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置されてもよく、一方、水シールはフレームと、アノード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置されてもよい。流体分配フレームは、可視光または紫外光透明材料またはマイクロ波透明材料を含むことができる。双極プレートアセンブリは、カソード流れ場の1つ以上の後縁部から水素流れを収集し、1つ以上の水素収集ウィンドウにその流れを送達するように構成することができる。流体分配フレームは、アノード流れ場とカソード流れ場との間の内部シールと嵌合するように構成することができ、シールは、膜、触媒コーティング膜、電極、膜-電極アセンブリのサブガスケット境界、またはフレーム自体のうちの少なくとも1つに適用される。流体分配フレーム、水シール、および水素シールは、z軸に沿った投影視点において、支持されていないシール領域が50%未満となるように配置することができる。アノード流れ場は、流体分配フレーム内のカソード流れ場よりも大きくてもよく、アノード流れ場は、内部シールへの圧縮荷重の適用を容易にすることができる。双極プレートアセンブリは、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、炭素、クロム、鉄、またはそれらの合金の1つ以上から選択される双極プレート材料を含むことができる。双極プレートアセンブリは、プラチナ、金、スズ、パラジウム、ロジウム、窒化チタン、ニッケル、炭素、またはクロムの1つ以上でコーティングされ得る双極プレートを含むことができる。記載された流体分配フレームを使用する電解セルは、2.5mm以下の圧縮セルピッチを有することができる。
【0093】
図12は、双極プレートアセンブリのための高速製造プロセス(1201)における基本工程の実施形態を示す。双極プレート(308)は、組み立てラインにロードすることができる。次いで、水素シール(705)は、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、またはロボット分配などの適切な高速適用方法を使用して、未硬化状態(1203)で双極プレート(308)に適用することができる。次いで、流体分配フレーム(704)は、双極プレート(308)に対して位置決めされ、シール(705)上に押し付けることができる(1204)。形成された流れ場特徴(723)を備える双極プレート(308)の場合、プロセス工程(1204)の前に、双極プレートではなく、フレーム(704)にシール(705)を適用することが有利であり得る。例えば、スクリーンまたはステンシル印刷プロセス(1203)は、平坦な部材に対してより良好に実行することができる。したがって、双極プレート(308)が平坦でない場合、フレーム(704)にシール(705)を適用し、その後、双極プレート(308)と一緒に押圧することが、好ましい操作の順序であり得る。未硬化シール(705)の材料特性、幾何学的形状および厚さは、双極プレート(308)およびフレーム(704)の両方への適切な接着を確実にするように選択することができる。厚さおよび幾何学的形状は、得られる未硬化シールがプレス(1204)後に双極プレート(308)とフレーム(704)との間に確実に連続したガスケットを形成することを確実にするようにさらに選択することができる。プレス工程(1204)は、機械式、空気式または液圧式のプレスおよびフラットツールを使用して、または真空システムを利用して、封止されたバッグまたは膜を介してアセンブリに均一な真空圧力を加えることによって、固定された圧縮荷重で部材を組み立てることを含むことができる。プレス工程(1204)は、未硬化状態で一定の厚さを達成するために部材を組み立てることを含むことができる。プレス後、水素シール(705)は、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化または湿気硬化などの適切な高速硬化法を用いて硬化させることができる。あるいは、水素シールはこの段階で未硬化のままであってもよい。次に、水シール(703)は、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、またはロボット分配などの適切な高速適用方法を使用して、未硬化状態(1205)でフレーム(704)の上部に適用することができる。未硬化シール(703)の材料特性、幾何学的形状および厚さは、フレーム(704)への適切な接着を確実にするように選択することができる。図7aについて説明したように、シール(703)の厚さおよび幾何学的形状は、高速製造におけるセル部材の予想される厚さ公差の範囲にわたって信頼性のある水シールを形成するために、適切な弾性コンプライアンスを保証するようにさらに選択することができる。例えば、より厚い水シール(703)は、より広い範囲のシールを提供し、電極流れ場に対するより大きな厚さ許容差に対応することができる。より狭い水シール(703)は、所与の圧縮のために輪郭領域(610)においてより低い全体的な荷重を提供し、それによって、シールによって占められるスタック圧縮荷重のパーセンテージを最小限にし、セルの活性部分における適切な接触圧力を確実にすることができる。最終工程(1206)は、予め硬化されていない場合、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化または湿気硬化の1つ以上を使用して、シール(複数可)(703)および(705)を硬化させることであってもよい。特定の実施形態では、未硬化状態または硬化状態のいずれかで工程(1204)をプレスする前に、水シール(703)をフレーム(704)に適用すること、またはその製造中に水シール(703)が一体化されたフレーム(704)を設計することが有利であり得る。最終双極プレートアセンブリ(1207)は、硬化工程(1206)後に品質を保証するために試験されてもよい。例えば、硬化工程(1206)に続いて、双極プレートアセンブリの製造に合わせて、圧力試験のための、および硬化されたシールが漏れ止めであることを検証するための固定具および機械を使用することができる。拡張可能電解セルのための双極プレートアセンブリを製造する方法は、双極プレート、水素シール、水シールおよび流体分配フレームのための材料を選択すること、未硬化状態で双極プレートまたは流体分配フレームのうちの1つに水素シールを適用すること、双極プレートに対して流体分配フレームを位置合わせすること、プレートとフレームとの間に未硬化水素シールを嵌合するように圧縮すること、流体分配フレームに水シールを適用することを含むことができる。水素シールまたは水シールの少なくとも一方は、紫外線硬化法、マイクロ波硬化法、熱硬化法、溶媒硬化法、二液型エポキシ硬化法または湿気硬化法を用いて硬化することができる。水素シールおよび水シールは、同時に硬化されてもよい。水シールは未硬化水素シールと嵌合する前に、流体分配フレームの製造中に形成されてもよい。流体分配フレームは、双極プレートと流体分配フレームとの間に連続的で破断しないシールが形成されることを確実にするのに十分な力で双極プレートと共に押圧することができ、および/または変化が±25%以下である双極プレートアセンブリの目標厚さを達成することができる。水素および/または水のシールは、スクリーンまたはステンシル印刷プロセスを使用して適用することができる。水素シールまたは水シールの一方または両方は、10~1000μmの厚さおよび0.5~15mmの幅を有する未硬化状態で適用することができる。
【0094】
図13は、セル内部シール(713)を膜(1305)に適用するための高速製造プロセスにおける基本工程(1301)の実施形態を示す。膜または触媒コーティング膜「CCM」(1304)は、所望のロールウェブ幅(w)(609)から選択される。膜は、酸性、プロトン伝導型またはアルカリ性、水酸化物伝導型であってもよい。膜は、裸であってもよく、または片側もしくは両側に適用される電極触媒を有することができる。片面または両面の触媒コーティングは、連続的であってもよく、または各パッチの縁部で露出された裸の膜を有するパッチでコーティングされてもよい。ウェブ幅(w)(609)のロールは、既知の表面張力下でウェブ(1305)を平坦に保持し、y軸(1302)に沿って移動することができるように設計された巻き出しステーション上にロードされてもよい。次いで、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ステンシル印刷、またはロボット分配などの適切な高速適用方法(1307)を使用して、内部シール(713)を膜またはCCMに直接適用することができる。次いで、内部シール(713)は、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化または湿気硬化の1つ以上を使用して硬化することができる(1307)。次いで、ウェブを前進させることができ、ここで、離散的な膜-ガスケットアセンブリピース(1309)を、打ち抜き、回転翼カットまたはレーザ切断などの適切な方法を使用してロール(1308)から切断し、別個のセル組み立てプロセス(1501)(図15に示す)に提供することができる。膜またはCCMロールからの廃棄物は、再生および/またはリサイクルのためにラインの終端(1310)に収集されてもよい。拡張可能電解セル用の内部シールの製造方法は、x軸に沿って所望のロールウェブ幅の膜または触媒コーティング膜のうちの1つを選択すること、y軸に沿ってシール適用機に通してロールのウェブを方向付けること、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法またはロボット分配法のうちの1つを使用して未硬化内部シールをウェブの片側に適用すること、紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化または湿気硬化のうちの1つを使用して、適用された内部シールを硬化すること、膜ガスケットアセンブリまたは触媒コーティング膜ガスケットアセンブリのロールを別個の部品片に切断すること、および、得られた個々の部品片をセル組み立て機に搬送すること、を含むことができる。膜材料は、酸性、プロトン伝導型またはアルカリ性、水酸化物伝導型とすることができ、片面または両面にCCMとして、コーティングされていなくても、連続コーティングされていても、またはパッチコーティングされていてもよい。内部シールは、ウェブのアノード側および/またはカソード側に適用することができる。
【0095】
図14aは、統合電極流れ場部材(1413)を作製するための高速製造プロセス(1401)における基本工程の実施形態を示す。多孔質基材(1403a)の1つ以上のロールは、前述のように、所望のロールウェブ幅(w)(609)に基づいて選択することができる。基材は、発泡体、フェルト、織物スクリーン、エキスパンドメタル、焼結フリットまたは繊維布もしくは紙を含むことができる。選択された基材は、98%までの多孔度を有することができ、ここで、多孔度は、流体の貫流に利用可能な基材の体積パーセントとして定義される。例えば、多孔度は、98%~40%、95%~50%、90%~60%、または95%~80%とすることができる。基材の組成は、鉄、ニッケル、クロム、鋼、ステンレス鋼、インコネル、アルミニウム、チタン、炭素またはこれらの組み合わせを含むことができる。基材は、他の材料、例えば、白金、金、スズ、炭素、窒化チタンもしくはPTFE、または導電性金属もしくは炭素経路を有する高分子材料もしくは酸化物材料の加工層を含む別の腐食抑制層などで、めっきまたは被覆することができる。ロール(1403a)は、既知の表面張力下でウェブを平らに保持し、y軸(1402)に沿って移動することができるように設計された巻き出しステーション上にロードされてもよい。ロール(1403a)は、1組のローラ(1404)および(1405)を通してカレンダー加工されて、2つ以上の層を一緒に積層し、ウェブの多孔性を低減し、その厚さを低減または増大し、その強度を増大し、その剛性を増大し、および/またはウェブ(1406)の片面または両面に所望の表面特性を作り出すことができる。例えば、基材は、プロセスの後の工程を容易にするために、一方の側が比較的滑らかであり、他方の側が粗いことが有利であり得る。また、基材の厚さを通して多孔度勾配を達成することが有利であり得る。例えば、カレンダー加工された基材(1406)の一方の側が電極への変換を受け入れるために比較的低い多孔度である一方で、(1406)の反対側が第2の基材との結合を促進するために比較的高い多孔度であることが、下流工程に有益であり得る。ウェブ(1406)の各側で異なる特性を達成するために、ローラ(1404)および(1405)は同じまたは異なる直径であってもよく、および/または同じまたは異なる材料で作製されてもよく、および/または異なる表面仕上げまたはコーティングで構築されてもよく、および/またはロールウェブ(1403a)の片側または両側にエンボス加工されてもよい比表面積パターンが提供されてもよい。次いで、カレンダー処理された基材(1406)は、工程(1407)において電極(1408)に変換され得る。例えば、電極材料は、電極基材(1406)の適切な表面上に加熱および/または圧力を使用して、スプレーコーティング、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、ドクターブレードコーティング、スロットダイコーティング、カーテンコーティング、スキージコーティングによって被覆でき、またはフィルム、転写紙または固体層として積層することができる。工程(1407)で適用される電極は、電極適用を容易にするために、適切な溶媒とともに、適切な触媒材料、導電性支持材料、イオン伝導性バインダー材料、および不活性バインダー材料を含んでもよい。インク用に一次、二次、三次などの複数のバインダー材料を選択することで、基材(1406)への電極の適切な接着、および電解槽の動作中の電極の層間剥離および/または洗い流しを防止するための最終電極層自体の適切な構造的完全性を保証することができる。使用されるバインダーは、電極の接着性およびイオン伝導性機能を最適化するように、イオン伝導性ポリマー単独から構成することができ、イオン伝導性および非伝導性のポリマーの両方の組み合わせから構成することもできる。イオン伝導性バインダーは、適切な溶媒に完全に溶解したアイオノマー(液体アイオノマー溶液)から、または適切な流体担体中の非可溶性アイオノマーの分散液(アイオノマー分散液)から選択することができる。好ましい実施形態では、電極バインダーとして液体アイオノマー溶液を使用して、塗布後および電解槽動作中に、最終電極の構造内に連続的なイオン伝導膜を形成することができるようにすることが有利であり得る。別の好ましい実施形態では、ウォッシュアウトに対する最適な耐性および低いイオン耐性を達成するために、一次不活性バインダーを二次イオン伝導バインダーと組み合わせて使用することが有利であり得る。別の好ましい実施形態では、電極内に液体アイオノマー溶液とアイオノマー分散体の両方を組み合わせて、ウォッシュアウトに対する最適な抵抗および低いイオン抵抗を達成することが有利であり得る。電極変換工程(1407)はまた、コーティング後工程を含んでもよい。例えば、コーティングを乾燥、熱処理、アニール、および/または物理的もしくは化学的に処理して、基材への結合を促進し、および/またはセルの電気化学的性能を高めることができる。変換工程(1407)はまた、活性電極(1408)への変換のための化学的または物理的な気相堆積プロセスを含んでもよい。変換工程(1407)は、基材(1406)上に電極材料を堆積させるため、または基材(1406)を化学的に反応させおよび/もしくは活性電極に変換するためのプラズマまたはフレームスプレー方法を含むこともできる。工程(1407)に続いて、電極ウェブ(1408)は、多孔質基材(1403b)の第2のロールに隣接して配置されてもよい。この基材は、(1403a)と同一であっても異なっていてもよく、(1403a)と同様の範囲の可能な材料および特性に基づいて選択されてもよいが、電極ではなく、流体流れ場のための機能的要件を満たすように選択されてもよい。例えば、(1403b)を(1403a)と同一にすることは、最も高い購入量および最も低い供給コストをもたらし得る。(1403a)とは異なる基材から(1403b)を選択することは、電池性能(電気抵抗、流動抵抗、熱伝導率、機械的弾性または機械的強度)にとって有利であり得る。プロセス工程(1410)において、電極ウェブ(1408)は、適切な積層工程によって流れ場ウェブ(1409)に積層されてもよい。積層工程(1410)は、ウェブ(1408)からウェブ(1409)への固体繊維、靭帯またはワイヤの同時浸透を促進するために、(1404)および(1405)と同様のローラを通る機械的圧延またはカレンダリングを含んでもよい。この機械的結合を達成するために、類似のローラ(1404)および(1405)は、同じまたは異なる直径であってもよく、および/または同じまたは異なる材料で作製されてもよく、および/または異なる表面仕上げもしくはコーティングで構成されてもよく、および/または比表面積パターンを備えてもよい。同じ供給材料から(1403a)および(1403b)を選択するが、積層工程(1410)の少し前にプレカレンダー(1403b)を実施することが有利であり得る。プレカレンダリング工程は、機械的結合を促進するために、(1408)と共浸透される(1409)側にパターンをエンボス加工することを含んでもよい。積層工程(1410)は、ウェブ(1408)および(1409)の1つ以上への、接着剤、ポリマー懸濁液、液体アイオノマー溶液またはアイオノマー分散液などの結合促進剤の熱処理または適用を含む他の工程を含んでもよい。工程(1407)および(1410)の順序は、ウェブ(1406)の電極(1408)への変換がウェブ(1409)への積層後に実施できるように、逆にされてもよい。特定の電極材料および/または方法は、最終ウェブ(1411)内で十分な接着が維持されることを確実にするために、カレンダー加工および積層の後にのみ形成されることが有利であり得る。場合によっては、電極は膜上にコーティングされてもよく、その場合、変換工程(1407)はプロセス(1401)において省略されてもよい。積層工程(1410)に続いて、ユニット化された電極流れ場ウェブ(1411)を処理して(1412)、電気分解セル(601)に一体化するための適切なサイズの個別の部品片(1413)を作製することができる。例えば、ウェブ(1411)は、工程(1412)において、部品片の正確なサイジングを確実にするために、ナイフまたは他の切断ダイで打ち抜くことによって処理することができる。部品(1413)の正確なサイズは、アノード電極流れ場が生成されるかカソード電極流れ場が生成されるかに依存し得る。サイズはまた、双極プレートアセンブリ(1201)との信頼性の高い高速集積に必要な設計公差に依存し得る。全体的なプロセス(1401)は必要に応じて、アノード電極またはカソード電極の流れ場のいずれかを生成するように適合されてもよく、ラインの特定の材料、コーティング、工程および設定はそれぞれについて同じであってもよく、または異なっていてもよい。製造において、完全な電解セルの高速製造を可能にするために、2つの独立したラインを使用して、1つのアノード電極流れ場および1つのカソード電極流れ場を同時に製造することができる。拡張可能電解セル用の一体型電極流れ場の製造方法は、発泡体、フェルト、織物スクリーニング、エキスパンド金属または焼結金属フリットのうちの1つからx軸に沿った所望のロールウェブ幅の電極基材を選択すること、発泡体、フェルト、織物スクリーニング、エキスパンド金属または焼結金属フリットのうちの1つからx軸に沿った所望のロールウェブ幅の流れ場基材を選択すること、電極基材の各側面の所望の厚さおよび表面特性を達成するように構成されたカレンダリングローラを通して電極基材ウェブをy軸に沿って方向付けること、電極基材を活性電極に変換すること、流れ場基材ウェブを電極基材ウェブに隣接し、積層プロセスに通しながらy軸に沿って方向付けて、電極および流れ場を一緒に接着すること、積層された電極流れ場ロールを個別の部品片に切断すること、得られた個々の部品片をセル組み立て機に搬送すること、を含むことができる。電極および流れ場の基材材料は、炭素、ニッケル、チタン、鉄、クロム、ステンレス鋼またはインコネルのうちの少なくとも1つを含むことができる。電極ウェブおよび流れ場ウェブの1つ以上は、積層を促進するために、粗い、パターン化された、またはエンボス加工された表面を備えることができる。積層工程は、接着剤、ポリマー分散液、液体アイオノマー溶液またはアイオノマー分散液のうちの1つから選択される結合プロモーターを含んでもよい。電極流れ場ウェブは、発泡体電極と、積層後の織物スクリーン流れ場とを備えてもよい。電極の変換は、積層前または積層後に行うことができる。
【0096】
図14bは、積層工程(1410)中の結合の強化を促進するための、電極および/または流れ場基材のパターニングまたはエンボス加工のいくつかの例示的な実施形態を示す。パターンは、(1421)および(1422)に示されるようにy軸に沿って、x軸(図示せず)に沿って、またはクロスハッチスタイル(1423)および(1424)のx軸およびy軸の両方に沿って、線形とすることができる。輪郭形状(三角形(1421)、長方形(1422)または他の形状(図示せず))の深さおよび間隔は、積層される基材の材料および他の特性に基づいて最適化することができる。
【0097】
図15は、ユニット化電解セル(601)を組み立てるための高速製造プロセスにおける基本工程(1501)の実施形態を示す。双極プレートアセンブリ(1207)は、y軸(1502)に沿って移動する組み立てライン上にロードすることができる。カソード電極流れ場(1413a)は、適切なハンドリング方法(1503)を使用して、双極プレートアセンブリ(1207)のキャビティ内に配置され得る。結果として生じるサブアセンブリは、適切なハンドリング方法(1504)を使用してy軸に沿って前進することができ、そこで、膜ガスケットアセンブリ(1309)は双極プレート(1207)のキャビティ内に配置することができる。結果として生じるサブアセンブリは、適切なハンドリング方法(1505)を使用してy軸に沿って前進することができ、そこで、アノード電極流れ場(1413b)は双極プレート(1207)のキャビティ内に配置することができる。例えば、適切なハンドリング方法(1503)、(1504)および(1505)は、ロボットハンドラおよび/または自動直線運動機械を含むことができ、位置決め部材の精度を保証するために視覚または他の測定システムを含むことができる。双極プレートアセンブリ(1207)の設計特徴は、部材(1413a)、(1309)および(1413b)の正確な配置に役立ち得る。例えば、フレーム(704)のステップ付きポケット(714)は、自己位置決め部材(1413a)、(1309)および(1413b)を補助することができる。結果として生じるユニット化セルアセンブリ(601)は、部材(1413a)、(1309)および(1413b)が双極プレートアセンブリ(1206)内に適切に配置されることを確実にするために、さらに処理することができる。例えば、プレスプロセスは、工程(1505)の後に実行されてもよく、それによって、概して平坦なプラテンがz軸に沿って部品(1413b)に概して均一な圧力を印加するために使用されてもよい。このようにして印加される圧力は、部材(1413a)、(1309)および(1413b)を平坦化し、それらが双極プレートアセンブリ(1207)内にしっかりと位置決めされ、着座されることを確実にするように作用することができる。そのようなプレスプロセスは、ハンドリング方法(1505)に統合され、配置工程(1505)と同時に実行されてもよい。プレス工程はまた、部材(1413a)、(1309)および(1413b)が双極プレート(1207)内に適切に配置され、シールされることを確実にするための漏れチェックを含んでもよい。
【0098】
図16は、スタック圧縮システム(1601)の例示的な実施形態のy軸図を示し、コアセルスタック(1604)と、エンドユニット(1605)および(1606)とを取り囲む引張ラップ(1603)を図示し、それによって、ラップ(1609)内の機械的張力は、セルスタック(1607)および(1608)内の機械的圧縮力によってバランスされ得る。ラップ(1603)とエンドユニット(1605)および(1606)との間のスリップ面(1610)も示されている。スリップ面(1610)は、ラップ(1609)内の応力が主に引張応力として維持され得ることを保証することができ、一方、ラップ(1603)からエンドユニット(1605)および(1606)への荷重は概して、スリップ面に対して垂直に方向付けられ、エンドユニットを通って半径方向内向きに方向付けることができる。この力の配置は、エンドユニットにおける最小の曲げ、およびエンドユニット(1605)および(1606)によるセルスタック(1604)への均一な圧力の適用を確実にすることができる。エンドユニットの半円筒形の断面形状は、この力の配置を助けることができる。ラップ(1603)は、コアセルスタック上の圧縮荷重を適切に維持するのに十分な強度および弾性の材料で構成されてもよい。例えば、ラップは、鋼、ステンレス鋼、アルミニウムまたはチタンの様々な合金から作製されてもよく、または適切に強いプラスチックもしくは強化プラスチック、または複合材料、例えば炭素、ガラスおよびアラミド繊維など、を含んでもよい。ラップ「h」(1705)の厚さは、応力(1609)がラップ(1603)用に選択された材料に基づいて応力(1609)が破損閾値未満であり、かつラップ(1603)が露出され得る最大張力(1609)を確実にするように、選択することができる。厚さ「h」(1705)はまた、圧縮システム(1601)の組み立ておよび/または使用中にラップの所望の延伸、伸縮またはばね定数を達成するように選択することができる。例えば、ラップ(1603)は、セルスタック(1604)に印加される荷重を実質的に変化させることなく、スタックの熱膨張および収縮に対応するために、セルスタック(1604)のばね定数[N/m]よりも低いばね定数[N/m]を有することが有利であり得る。例えば、ラップばね定数は、セルスタックばね定数の0.1%~25%、0.5%~10%、1%~5%、または2%~5%の間で選択することができる。
【0099】
図17aは、圧縮システムラップ(1603)のy軸(1702)に沿ったセル(601)への拡張可能性の関連付けを示す、図1のスタック(101)の実施形態の例示的なx-y平面断面図(1701)を示す。ストリップ(1703)は、図1(103)および(104)に示されるようなラップ(1603)の特徴とすることができ、これらのストリップ(1703)は全体として、圧縮システム(1601)の張力(1609)を担持することができる。セルスタック(1604)内の総圧縮力(1607)および(1608)は、ラップ(1603)内の総最大引張力(1609)に等しくてもよく、完全ラップ(1603)を構成する多数のストリップ(1703)の間で分割されてもよい。任意の1つのストリップにおける引張応力は、ストリップの断面積で割ったストリップにおける引張力に等しくてもよい。セル(601)が活性領域内で拡張されると、水ウィンドウおよび関連するアノード流れ場長(608)が追加され、y軸に沿ってセル(601)の寸法が増加する。セルのy軸寸法のこの増加は、y軸に沿ったラップ(1603)寸法の比例的増加を伴う場合がある。新しいストリップ(1704)が追加されてもよく、および/またはストリップ長さ「m」(1706)は、増加したセル(601)長さとy軸に沿ったラップ(1603)長さとの間の比例性を確実にするように調整されてもよい。このようにして、増分セル領域(608)によって必要とされる付加された総圧縮力は、ラップ厚さ「h」(1705)の変化を必要とすることなく、付加されたストリップ(1704)において同じ引張応力で伝達することができる。厚さ「h」(1705)を、異なるサイズのセルのために構成されたラップと同じに保つことが有利であり得る。例えば、比較的大きなセルのためのラップを製造するために開発された製造方法は、より小さなセルのためのラップを製造するために直接使用されてもよく、逆もまた同様である。ラップの必要な厚さ「h」(1705)は、スタック圧縮要件の関数に過ぎず、セル(601)の活性領域ではないことも示すことができる。厚さ「h」(1705)は、ラップ内の引張応力がラップ材料の所定の破壊閾値「Su」(1707)を超えないことを確実にするように選択することができることが示され得る。この閾値は、ストリップ(1703)が製造される材料の降伏強度または引張強度であってもよい。いくつかの実施形態では、厚さ「h」(1705)および/またはラップの材料がラップにおける引張応力が降伏強度または引張強度の10%、20%、30%、50%、75%、80%または90%を超えないことを確実にするように選択することができる。ラップ内の引張応力が「Su」(1707)を超えないようにするために、寸法「h」(1705)は以下の式17a-1によって説明されるように、ラップ材料の破損閾値「Su」(1707)に対する、セルのカソード流れ場内の水素ガスに対する選択された最大許容作動圧力「MAWP」(1709)の比に、x軸に沿ったカソード流れ場の寸法「wc」(1708)を乗じたもの以上とすることができることもまた示され得る。
【0100】
【数3】
【0101】
図17bは、図1のスタック(101)の実施形態の例示的なx-y平面断面図(1710)を示し、この目的のために構成されたラップ(108)に設けられたギャップを通るスタック整列固定具(1713)および(1715)ならびにスタックの1つの自由にアクセス可能な面上の固定具(1712)の嵌合を示す。また、セルの両側に沿った可動セル位置決めアクチュエータ(1716)および(1717)の嵌合も示されている。積層および圧縮中のセルの互いに対する、およびスタック圧縮システムに対する正確な位置合わせは、電解槽スタックの信頼性のあるシール、性能および耐久性にとって重要であり得る。厳密な機械的拘束とは、セル(601)の6つの基本自由度(3つの並進および3つの回転)が、位置決め基準点のシステムによって拘束される組立プロセスである。実際には、これはセル(601)を平坦な表面(すなわち、以前に積層されたセルまたはエンドユニット)上に配置し、セルの2つの隣接する縁部を3つの固定点に当接させること、すなわち、1つの側(1713)および(1715)上に2つ、隣接する側(1712)上に1つを当接させることを含む。この位置決め方法は、セルを過剰に拘束することなく、セルを完全に拘束する。ラップ(1603)は、セル(601)の2つの対向する側部に沿って延びる。厳密な拘束組み立てプロセスを容易にするために、ラップ壁を通してギャップ(108)を設けて、整列固定具(1713)および(1715)がラップを通過し、前述の位置決め基準点を確立することを可能にすることができる。第3の基準(1712)は、ラップ構造によって妨げられることなく、スタックの自由にアクセス可能な面上に確立され得る。セル(601)が3つの確立された基準点(1712)、(1713)および(1714)と接触することを確実にするために、セル(601)は、セルを製造ラインからラップ内に移動させるために使用されるセルハンドリングシステムによって、基準点と接触することができる。例えば、セルをスタック上に配置するときに接触を確実にするために、ロボットアームを使用することができる。代替的に、セル(601)の配置中に、可動アクチュエータ(1716)および(1717)を別々に設けることができ、これらは、スタック上に配置した後に、セル(601)を長くx軸およびy軸に押し、それによって、セル(601)が指定された基準点(1712)、(1713)および(1714)に接触することを確実にするように作用する。ラップ(1603)はさらに、必要な可動アクチュエータ(1716)がラップを通過し、セルを所定の位置に押し込むことを可能にする特徴を備えて構成されてもよい。
【0102】
図18aは、圧縮プロセス(1801)中の3つの段階における例示的なスタック圧縮システムの実施形態のy軸図を示し、完全に圧縮されロックされた電解槽スタック(1820)で終わる。段階1(一番左の図)では、セルスタック(1504)は、寸法(1809)によって示されるように、セルおよび上端単位の重量によって決定され得る、z軸に沿った自由高さを伴って、圧縮されない。下部ラップ要素(1803)は、半円筒(1505)およびブロック(1807)からなる下部エンドユニットを含むことができる。ブロック(1807)は、ドレインマニホールド、ガスケット、スペーサ、電気絶縁および電力端子要素を備えることができる。上部ラップ要素(1804)は、半円筒(1506)およびブロック(1808)からなる上部エンドユニットを含むことができる。ブロック(1808)は、プロセスマニホールド、ガスケット、スペーサ、電気絶縁および電力端子要素を備えることができる。ブロック(1808)は、上部ラップ(1805)に嵌合して、z軸に沿った重力によって上部ラップ(1804)から分離することから上部エンドユニットの部材を保持するようにさらに構成されてもよい。下部(1803)および上部(1804)ラップセクションは、位置合わせされたときに下部および上部ラップセクションが接続されることを可能にし得る、接続要素(1805)および(1806)をさらに備えることができる。段階2(中図)において、上部ラップ(1804)およびエンドユニットアセンブリ(1506)および(1808)は、z軸(1810)に沿って下げられ、セルスタック(1504)を寸法(1811)によって示される予め圧縮された高さに圧縮する。この動きは、油圧、空気圧、機械的スクリューまたはセルスタックを寸法(1811)に圧縮することができる任意の他の手段の力によって動力を供給するプレスを使用して達成することができる。上部のラップおよびエンドユニットは、接続要素(1805)および(1806)が整列している点まで下げられて、ラップセクション間に固定接続(1812)が完成することを可能にすることができる。この段階で、ラップは、設計された引張荷重を維持することができる連続的な一体構造として作用することができる。段階3(最右図)では、可調要素(1815)、(1816)および(1817)を嵌合させて、セルスタック(1504)を最終寸法(1814)に圧縮することができる。この最終段階は、複数のサブ工程で達成することができる。可調要素(1816)は、所望のセルスタック荷重を達成するために、油圧、空気圧または他の機械的システムを一時的に使用することによって、z軸に沿って上方に駆動することができる。この仮荷重は、荷重または圧力測定機器を仮システムに組み込むことによって、正確な荷重を加えるのに有利であり得る。仮システムはまた、圧縮中に固定または可変荷重プロファイルが適用されることを可能にする点で有利であり得る。例えば、セルスタックは、セルとセル部材との間の接触抵抗を最小限に抑えるために、ラップのために計画された最終荷重を超えて圧縮されてもよい。次いで、セルスタック内の荷重は、ラップのために計画された最終荷重まで下げられ、それによって、圧縮システムのための構造的要件を最小限にすることができる。仮荷重は、セルスタックが段階3で圧縮されるときに、数回上下に循環し、および/または振動し、すべての部材が密接に接触し、かつ/またはシールが良好に嵌合されることを確実にすることができる。仮荷重プロファイルが完了した後、可調要素(1815)および(1817)を嵌合させて、セルスタック(1504)の反作用荷重を仮システムから統合ラップ(1603)に伝達することができる。例えば、スクリュー(1817)を回転させて、パッド(1816)を下部半円筒(1505)内のシュー(1815)から分離させ、さらに一体化ラップ(1603)を延伸させる(1818)ことができる。スクリュー(1817)が回転されると、仮システムによって担持される反作用荷重が減少し得る一方で、ラップ(1818)内の引張荷重は、ラップ(1603)が延伸することにつれて増加し得る。仮システム内の荷重がゼロに落ちたとき、スタックアセンブリは、その最終圧縮状態になり得る。圧縮スタック(1820)の漏れおよび他の品質管理試験は、プロセス(1801)に組み込まれてもよい。例えば、適切な圧力に対するスタックのアノード、カソードまたは両側の漏れ試験は、スクリュー(1817)を嵌合させる前に、仮荷重の適用中に実施され、スクリュー(1817)を嵌合させる前にスタック品質が許容可能であることを確実にすることができる。漏れ試験は、スクリュー(1817)が嵌合された後に実施されてもよく、またはスクリュー(1817)が嵌合される前後に実施されてもよい。圧縮スタック高さ(1814)、事前圧縮高さ(1811)、自由スタック高さ(1809)、またはこれらのすべての高さの寸法測定など、他の尺度を導入することができる。ラップ(1803)の延伸(1818)は、可調要素(1815)、(1816)および(1817)の適切な嵌合を確実にするために、第3段階の前、間および/または後に測定されてもよい。例えば、延伸(1818)は、ラップ(1803)に取り付けられた線形可変変位トランスデューサまたは変位ダイヤルインジケータまたは歪みゲージを用いて測定することができる。これらの測定値は、ハウジングの法則を用いてラップ(1803)および(1804)のばね定数を決定することによって、延伸(1818)を力に変換することによって、セルスタック(1504)上の最終荷重を決定するために使用することができる。
【0103】
図18bは、ラップの下部および上部のセクションを接続するための様々な潜在的接続(1812)の実施形態を示す。ヒンジピンAは、図示のように、一連の交互のストリップとして構成された下部ラップ(1803)および上部ラップ(1804)を備え、ストリップが整列されたときに、ピン(1820)がy軸(1802)に沿って形成された共通の穴を通過できるように形成されている。下部および上部のラップ(1821)の厚さの中心線は、ヒンジの幾何学的形状によって、互いにz軸に沿って、ピン(1820)の中心線に沿って整列されるように構成することができる。この構成は、一体化されたラップが張力をかけられたときに、ピンの周りのストリップの曲げおよび局所的な応力を最小限に抑えるのに有利であり得る。各ストリップ(1803)および(1804)の屈曲フランジは、接続強度を高めるために、点(1822)または他の場所で溶接または他の方法で接合されてもよい。ピンは、鉄、鋼、アルミニウム、チタン、プラスチック、強化プラスチックもしくはこれらの材料の組み合わせまたは合金などの適切な強度の任意の適切な材料から作製することができる。ヒンジピンBは、ヒンジピンAの代替的な幾何学的形状であり、上部ラップおよび下部ラップの材料厚さを最小限に抑えるのに有利であり得る。ヒンジピンBのためのストリップ(1803)および(1805)における屈曲の半径は、より大きくてもよく、それによって、接続部の周りの局所的な応力を低減する。ヘムフックは、下部ラップ(1803)および上部ラップ(1804)に形成された、相互係止する対向するヘム屈曲部を備える。このスタイルの接続は、一連の交互のストリップではなく、y軸に沿って連続シートとして構成された下部ラップと上部ラップとを接続するのに役立ち得る。留め具付きヘムフックは、ラップ(1803)および(1804)の中心線の不整合によって引き起こされる可能性のあるモーメントに起因して、荷重を受けて接続部が回転する自然な傾向を打ち消すために、接続部をカプセル化することができる、改良ヘムフック接続を備える。カプセル化は、エンドブロック(1808)の設計に組み込まれてもよい。
【0104】
図19は、下部半円筒エンドユニット(1505)内にパッケージングされた圧縮システム(1901)の可調要素の例示的な構成の実施形態を示し、システムをロックすることによって生成され、セルスタック内の圧縮およびラップ内の張力をもたらす内部分離力(1909)および(1910)を示す。セルスタック(105)は、ドレインポート(1906)を有するドレインマニホールド(1904)にセットされ得る電力端子プレート(1905)によって当接することができる。圧縮プレート(1903)は、ドレインマニホールド(1904)の下にあってもよく、セルに設けられた水ウィンドウの数に比例してy軸(1902)に沿って分配され得る1つ以上の圧縮パッド(1816)の上に位置してもよい。圧縮パッド(1816)は、z軸(1902)に沿って作用して、プレート(1903)に上向きの力を加えることができる。シュー(1815)は、下部半円筒(1505)内にセットされ、ロードされたときに半円筒に力(1910)のほぼ半径方向の分布を加えるように構成されてもよい。スクリュー(1817)は、シュー(1815)および当接パッド(1816)に通されてもよい。スクリュー(1817)は回されると、パッド(1816)をシュー(1815)から分離するように作用し、力(1909)および(1910)を増加させる。下部ラップ(1803)は、下部半円筒(1505)を含み、上述のように可調要素の作用によって張力をかけられて配置されてもよい。また、貫通孔(1907)も示されており、これは、スタック組み立て機構が前述の仮圧縮手段を達成するために、パッド(1816)を直接的に圧縮することを可能にすることができる。仮の力(1908)は、プロセス(1801)の第3段階を達成するために、油圧または他のタイプの機械的荷重機に接続された支柱またはロッドを使用して達成することができる。圧縮プレート(1903)、パッド(1816)およびシュー(1815)は、システムの設計荷重および結果として生じる応力に基づいて、任意の適切な構造材料から構築することができる。例えば、プレート、パッドおよび/またはシューは、それぞれ、鉄、鋼、アルミニウムおよびステンレス鋼の合金、(様々な構造グレードの)プラスチック、繊維もしくはビーズ強化プラスチックまたは複合材料(例えば炭素繊維、ガラス繊維もしくはアラミド繊維)から選択することができる。下部半円筒1505は、前述の材料のいずれか、ならびに、いくつかの典型的に低強度のプラスチックから作製することができ、例えばポリカーボネート、高密度ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン、または、この部材において予想される比較的均一な応力の点で類似する材料などが挙げられる。半円筒(1505)は、境界(1610)において、それとラップ(1803)との間の低摩擦を促進する材料から選択することができる。半円筒(1505)は、境界(1610)における低摩擦をさらに促進するために外側にコーティングされてもよい。低摩擦を促進するために、ラップ(1803)と半円筒(1505)との間に、ポリテトラフルオロエチレンなどの薄膜の層を配置することができる。ラップ(1803)は、仮圧縮手段(1907)および(1908)ならびにスクリュー(1817)を容易にするために、孔または他の特徴を備えてもよい。圧縮システム(1901)の全てまたはほとんどの可調要素は、下部エンドユニット(106)内にパッケージングされ、それによって、スペースを節約し、電解槽スタック(101)の設置のための抵抗タンパー性を提供することができる。電解槽スタックのための拡張可能な圧縮システムは、セルスタック、エンドユニット、および1つ以上の可調要素を含むように構成された構造ラップを備えることができ、ラップはセルスタックの2つの対向する側面への自由なアクセスを可能にするように構成されてもよく、ラップは圧縮システムの引張要素として機能するように構成されてもよく、ラップは概して均一な厚さを有する材料の概して平坦なシートから形成されてもよく、ラップの厚さはセルスタックのx軸寸法および電解槽スタックの最大許容作動圧力によって決定されてもよい。ラップ厚さは、x軸に沿ったカソード流れ場の寸法に、ラップ材料の引張強度に対する電解槽の最大許容作動圧力の比を乗じたもの以上であってもよい。ラップは、y軸に沿って見たとき、概して楕円形のレーストラック形状を有することができ、半円筒セルスタックエンドユニットと接続するように構成することができる。ラップおよび半円筒エンドユニットは、圧縮システムがロードされると、互いに対して滑るように構成され得る。半円筒エンドユニットの直径は、x軸に沿った電解セル寸法の100%~150%の寸法であってもよい。圧縮システムの可調要素は、半円筒エンドユニットの一方または両方の中に少なくとも部分的に含まれてもよい。可調要素は、±25%以内のz軸に沿ったセルスタックの最終寸法を達成するように構成されてもよい。ラップおよび半円筒エンドユニットは、可調要素と機械的に平行な一時的スタック組み立てシステムによるセルスタックの直接圧縮を可能にするように構成されてもよい。ラップおよび半円筒エンドユニットは、可調要素へのアクセスおよび可調要素の操作を可能にするように構成することができる。可調要素は、ねじ、ナット、ばね、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、圧力パッドまたは圧力シューの1つ以上を備えることができる。スタック内の可調要素の総量は、セルスタックを構成するセル内に設けられた水送達ウィンドウの数に比例し得る。ラップは、ラップの2つの平らな側面のそれぞれにおいて、ヒンジピン接続、ヘムフック接続、または留め具付きヘムフック接続のうちの1つとして、接続された2つの部品から構成されてもよい。この接続は、セルスタックを予め圧縮しながら、z軸に沿って2つのラップ部品が嵌合されることを可能にし、予圧縮状態のセルスタックにおけるラップ接続の組み立てを完了するように構成されてもよい。ラップは、1つ以上のセルスタック整列固定具がラップ境界を貫通し、組み立て中にセルスタックの1つ以上の縁部に接触することを可能にするように構成することができる。ラップは、最終セルスタック圧縮荷重でセルスタックの最終長さの2%以下だけz軸に沿って延伸するように構成されてもよい。ラップは、目標セルスタック圧縮荷重におけるセルスタックのばね定数の0.1%~25%のz軸に沿ったばね定数を提供するように構成されてもよい。
【0105】
図20は、対象スタック圧縮システム(2008)および(2009)によって与えられ、プロセス(1701)に示されるように整列された自由にアクセス可能な面を通して、セルスタック(1801)上に個々の電解セル(601)を配置するための高速製造プロセス(2001)における基本工程の実施形態を示す。ユニット化された電解セルアセンブリ(601)は、セル組み立てプロセス(1501)からy軸に沿って搬送することができる。セル(601)は、ロボットによって取り上げられ、ベルト(2005)の端部の下部スタックラップアセンブリ(2008)の位置(2007)に配置され得る。あるいは、セル(601)は、各セルをピックアンドプレースする必要なしに、コンベヤベルト(2005)によって、y軸に沿って位置(2007)に直接移動されてもよい。重力ベクトルに対してある角度でスタックラップアセンブリ(2008)のz軸を整列させて、重力が、スタックプロセス全体を通してプロセス(1701)に記載される位置決め基準点と接触するセル(601)を補助することを可能にすることが有利であり得る。スタックラップアセンブリ(2008)をz軸に沿って下方に移動させて、ベルト(2005)の固定されたz軸高さから位置(2007)へのセル(601)のロボットまたはコンベヤのいずれかの配置を容易にすることが有利であり得る。スタックコンベヤおよび組み立てシステム(2001)は、ベルト(2005)がそのような異なるサイズのセルを受け入れるために幅(1303)を変える必要がないように、本明細書に記載されるように、活性領域において拡張可能なセルを受け入れるように柔軟性を有することができる。
【0106】
図21は、高速ライン(2001)の端部における配置を示す回転テーブルスタック組み立てステーション(2104)の実施形態を示す。スタックステーション(2104)は、複数のオペレータが同時に動作を実行することを可能にし、それによって、完成したスタックのスループットを加速し、セルおよびスタックの両方の高速製造を可能にするように構成され得る。例えば、フルスケールスタックは300個以上のセルを含むことができ、1年に1,000メガワットの電解槽スタックを製造するように構成された製造施設は、毎年最大1,000個以上のそのようなスタックおよび300,000個以上の対応するセルを処理する必要が生じる場合がある。年間1750労働時間稼働の1生産シフトの場合、この生産能力では、1セル当たり約20秒のタックタイムが必要となり、これはベルト(2005)上のセル(601)の必要な搬送速度を規定することができる。1スタックあたり300個のセルを用いる場合、回転テーブル2104上の各スタックステーション1~4は、そのタスクを完了するために最大1.8時間を必要とする場合がある。回転テーブル(2104)のステーション1~4は、1)テーブル(2104)上に設けられた組み立て固定具において、ボトムラップおよびエンドユニット(1803/1505/1807)およびトップラップおよびエンドユニット(1804/1506/1808)などの非反復スタック部材を準備し、ロードすること、2)スタックプロセス(2001)で指定されたセル配置および位置合わせ、3)プロセス(1801/1901)で指定されたセルスタック圧縮、リークチェック、およびロック、ならびに4)テーブル(2104)からのスタック仕上げおよびアンロードを含むことができる。これらのステーションは、セル製造ラインの端部の回転テーブル上に好都合に配置することができる。これらのステーションは、互いに対して90度の角度であってもよく、それによって、非反復ステーションは最初であってもよく、セル配置ステーションは2番目であってもよく、セルスタック圧縮およびリークステーションは3番目であってもよく、スタック仕上げおよびアンロードステーションは最後であってもよい。各ステーションはタスクを容易にするために、特定のツール、固定具、および装置を含むことができる。例えば、セル配置および位置合わせステーションは、プロセス(1710)で特定されるように、z軸に沿って真っ直ぐで正確な位置合わせを保証するために個々のセルを配置することができる1つ以上のセル整列レールを含むことができる。このレールの機能は、スタック圧縮ラップ(1603)内の穴および/またはスロットなどの特徴によって促進され得る。このテーブルは、スタック内の最終セルが第2のステーションに配置され、整列された後、毎回90度回転するように制御されてもよい。あるステーションは、他のステーションよりも多くの労働時間を必要とし、単一の労働者が2つ以上のステーションで職務を遂行する場合があるか、またはステーションが組み合わされ得る。例えば、ステーション1および4で必要とされる期間によっては、これらの活動を一連に実行することが可能となり、回転テーブル(2104)において、90度に配置された4つのステーションではなく、120度に配置された3つのステーションに低減することが可能となる。セル組み立てライン(2001)は、概ねy軸(2103)に沿った方向にセル(601)を運ぶことができる。そのようなコンベヤは、より大きいまたはより小さいセルのための変化するセル寸法が搬送方向(y軸)にあり、より広いセル組み立てベルト、機械およびハンドリング装置が必要とされないので、種々の分野のセルを柔軟に取り扱うことができる。セル組み立てライン(2001)の終盤において、回転スタック組み立てステーション(2104)は、異なるサイズのセルのために構成されたスタック圧縮システムが異なる量のセルを受け入れることを可能にするように配置されてもよく、その結果、システムは、同じ線上に可変活性領域および可変セル数の電解槽スタックを製造することが可能になる。固定ロールウェブ幅「w」(1303)にも基づく拡張可能圧縮システム(1801)により、テーブル(2104)上の工程2におけるピックアンドプレース動作のためのy軸に沿った距離のみを変化させて、異なる面積のセルのスタックの組み立てを取り扱うことが可能になる。また、このシステム(2101)により、年間1,000スタックを超える生産速度が可能になる。例えば、回転テーブル(2104)のオペレータは、ステーション1~4でタスクを完了するのに30分しか必要としない場合がある。これにより、セル生産速度が4倍に増加する可能性があり、その結果、1セル当たり約5秒のタックタイムと、ベルト(2005)のy軸に沿った速度の対応する増加とが得られる。紫外線硬化などの高速硬化技術は、双極プレートアセンブリ(1206)および膜ガスケットアセンブリ(1309)を製造する際のそのようなサイクル時間を促進することができ、それによって、単一のスタック製造ラインは、単一のシフトで年間最大4,000メガワットクラスのスタックを製造することが可能になる。拡張可能セル、スタックおよび製造プロセスの統合された設計および柔軟性により、技術が向上し、異なるサイズのスタックが販売によって必要とされ得るので、そのようなラインへの投資を早期陳腐化から保護することができる。記載された製造システムはまた、電解技術に関して柔軟であり、PEMまたはAEMタイプのセルおよびスタックを製造するように構成することができる。拡張可能電解槽スタックを製造する方法は、下部のラップ要素およびエンドユニットアセンブリをスタック固定具に配置すること、上部のラップ要素およびエンドユニットアセンブリをスタック固定具に配置すること、拡張可能電解セルを製造する製造ラインにおいて部品片フローの方向に下部ラップの自由にアクセス可能な面を整列させること、個々のセルを自由にアクセス可能な面を通して下部ラップに配置すること、z軸に沿って上部のラップおよびエンドユニットアセンブリを下降させて、セルスタックを予圧縮すること、ラップスタイル圧縮システムの接続要素を嵌合させて下部ラップおよび上部ラップを一体構造に接続すること、所望の圧縮プロファイルに従ってセルスタックをさらに圧縮すること、および、圧縮システムの可調要素を使用して圧縮荷重下でスタックをロックすること、を含むことができる。スタックアセンブリは、セル製造ラインの端部で回転テーブルを使用して達成することができる。回転テーブルは、非反復部材をロードし、セルを配置し、整列させ、アセンブリを圧縮し、品質チェックし、最終スタックをアンロードするためのステーションを備えることができる。セル整列固定具は、セルスタックの少なくとも2つの隣接する縁部に設けることができる。セルは、ロボット配置、直線運動アクチュエータ、または重力のうちの1つを使用して、セル製造ラインの端部から下部ラップの内側に自動的に移動することができる。セルは、セル製造ラインのコンベヤシステムによって、下部ラップの自由にアクセス可能な面を通って直接移動することができる。下部ラップおよびエンドユニットアセンブリは、各セルが所定の位置に移動された後、z軸に沿って下方に移動することができる。スタックアセンブリのz軸は、下部ラップ内に配置されたセルがセルスタックの1つ以上の縁部上のセル整列固定具に向かって重力によって方向付けられるように、重力ベクトルに対して角度を付けることができる。可動セル整列アクチュエータは、下部ラップ内に配置されたセルがセルスタックの1つ以上の対向する縁部上のセル整列固定具に向けられるように、セルスタックの1つ以上の縁部上で関与することができる。
【0107】
図22は、双極プレートアセンブリ(1201)、膜ガスケットアセンブリ(1301)、カソード電極流れ場アセンブリ(1401h)、アノード電極流れ場アセンブリ(1401x)、拡張可能電解セルアセンブリ(1501)、および拡張可能電解槽スタックアセンブリ(1801)のための上述のプロセスを組み合わせた高速製造システムの一実施形態を示す。システムは、プロセス(2104)へのセル(601)の連続流を達成するために、各プロセスの速度を同期させるように構成することができる。システム内の任意の場所での律速工程は、セル(601)およびスタック(1801)を生成することができる最大速度を規定する可能性がある。例えば、プロセス(1201)における水素シール(705)および水シール(703)の硬化は、システム(2201)における最も長いサイクル時間となる場合があり、30秒かかる可能性がある。このサイクルタイムでは、年間1750労働時間で稼働する1生産シフトで年間210,000セルしか生産できない。代わりに、サイクル時間を5秒に短縮する硬化方法であれば、シール硬化がシステム(2201)における律速プロセスのままであると仮定すると、120万個を超えるセルを同じ単一シフトで製造することができる。例えば、プロセス(1201)の工程(1206)に示されるような水素(705)および水(703)シールの両方の同時紫外線硬化は、30秒、20秒、10秒、5秒またはそれ以下のサイクル時間を構成することができる。プロセス(1201)が5秒サイクル時間ではなく30秒サイクル時間を構成する場合、同じ単一シフト能力を達成するために、プロセス(1201)の6つの並列ラインが必要となる可能性があり、これは、装置および生産スペースのためのコストの6倍を必要とし、電解槽スタック(101)のコストに著しく影響する場合がある。このシステム(2201)は、PEM部材および材料がプロセス(1201)、(1301)および(1401)に入れられる限り、PEM電解槽を製造することができる。このシステムは、AEM部材および材料がプロセス(1201)、(1301)および(1401)に入れられる限り、AEM電解槽を製造することができる。
【0108】
図24a、24b、24c、および24dは、圧縮システム1901の代替実施形態を示す。圧縮システム(2401)は、1つの半円筒エンドユニット(2404)と1つのエンドブロック(2405)とを備え、詳細な図24dに示すように、穴(2408)を通るクロスピン(2409)を使用してラップ要素(2403)を接続することができる。同じ圧縮ハードウェアを使用して、様々な高さまたは様々な数のセルのスタックの圧縮を容易にするために、複数の組の穴(2408)が、ラップ(2403)内に提供され得る。スロット(2406)および(2407)をラップ(2403)内に設けて、ショルダーボルト(2406)または類似の手段(一時的または永久的のいずれか)を使用して、組み立ておよび圧縮中に内部スタック部材の位置合わせを容易にすることができる。図19に示されるものと類似の内部部材は、明確にするために、図24b上で同じ識別番号でラベル付けされる。図24cに示されるように、ラップ(2403)は、半円筒エンドユニット(2404)の周りに巻き付けられた材料の1つ以上の独立した層を備えてもよい。これらの層は、組み立て前に層を塑性的に曲げることによって、または組み立て中に層を弾性的に曲げることによって形成することができる。組み立て中の層の弾性曲げは、曲げ公差を考慮することなく、単一の2次元切断パターンからラップ(2403)の各層を製造することができ、それによって、構造を単純化し、コストを低減するという製造上の利点を有し得る。さらに、塑性変形した材料は、弾性変形した材料と比較して異なる応力/歪み関係を示す場合があり、これはセルスタックに加えられる力に影響を及ぼす可能性がある。より大きな活性領域のセルスタック(105)の場合、ラップ(2403)は、厚さまたは層の数を変更する必要なく、y軸に沿って拡張することができる。同様に、エンドユニット(2404)は、本明細書で説明される拡張可能セルに従って、大面積セルを収容するために、y軸に沿って拡張することができる。エンドユニット(2405)は、y軸に沿って拡張されてもよく、またはより大きな面積のセルを収容するために、その量がy軸に沿って変化するモジュール式ユニットから作製されてもよい。ラップ(2403)、エンドユニット(2404)およびエンドユニット(2405)の他の設計および製作特徴は、そのような大面積セルのために変更されないままであり、それによって、複数のスタック製品のために部品を再利用することによって、設計および製造を簡略化し、コストを低減することができる。
【0109】
図25は、機械的曝露応力(2514)の機能としての厚さ(2509)の永続的変化を示す、候補流れ場材料のいくつかのサンプルの測定強度データ(2561)を示す。代表的なサンプルを様々なレベルの機械的応力に曝露し、各レベルの後に無荷重の厚さを測定した結果、図25に示す曲線が得られた。次いで、この曲線は、カレンダー加工された厚さの機能としての材料降伏強度を表す。電解スタックの組み立て中、セル内の層間およびスタック内の個々のセル間の十分な接触および低い接触抵抗を維持するために、圧縮荷重が活性領域に印加される。組み立て時に加えられる圧縮荷重は、セルまたはセル部材が動作中に分離しないことを確実にするために、スタックの予想される内部流体圧力よりも大きくすることができる。この接触が維持されることを確実にするために、組み立ておよび動作中にセルおよびセル部材の弾性挙動を維持することが望ましい。限界(2534)および(2535)によって示されるように、次いで、流れ場の製造中(例えば、カレンダー加工および/または積層中)に流れ場材料をその初期厚さのX%未満の値にカレンダー加工して、スタックの組み立ておよび動作中に材料が弾性のままであることを確実にすることが有利であり得る。試験された候補材料についてはx=40%であるが、多孔度、坪量(x-y平面における単位面積当たりの質量として定義される)、構造材料、および多孔質形状(例えば、発泡体、メッシュ、エキスパンドメタル、フェルトまたはその他)を含む候補の特定の特性および材料物性に基づいて、任意の候補流れ場材料についての具体的な値は、40%より大きくなったり小さくなったりする場合がある。
【0110】
図26は、本明細書に開示される本発明の要素を含む完全なメガワットクラスの電解スタック(2601)の好ましい実施形態を示す。拡張可能セル(105)のスタックは、拡張可能な膜、電極、流れ場、シール、フレームおよび双極プレートを含み、以前に開示されたように設計および製作され、ラップ(2403)およびエンドブロック(2605aおよび2605b)によって、ラップおよびエンドブロックを一緒に保持するためのクロスピン(2409)を使用して、ラップ(2403)およびエンドブロック(2605aおよび2605b)内に収容され、圧縮される。図示のメガワットクラススタックでは、図示のように、20cm/s未満の水流速度および2bard未満の圧力降下および20℃未満の温度上昇を有する1.6mmのセルピッチを達成するために、8個の水流ウィンドウを含む最大400個のそのようなセルが好ましい場合がある。ステンレス鋼ワイヤメッシュからカソード流れ場を構築し、厚さに合わせて積層およびカレンダー加工された複数(2または3)のニッケル発泡体層からアノード流れ場を構築することが好ましい場合がある。カレンダー処理されたニッケル発泡体で、電極を補強することが好ましい場合がある。スタックは、y軸に沿った選択されたセル長に応じて、1つ以上のエンドブロック(2605b)を含むことができる。図示のメガワットクラスのスタックでは、2つのエンドブロック(2605a)および4つのエンドブロック(2605b)が好ましい場合がある。各エンドブロック(2605b)は、図18aのプロセス(1801)に記載されているように、組み立て後にスタックユニットに最終圧縮を適用するために、図19および24に記載されているような可調要素を含むことができる。ラップ(2403)は、1つ以上の層から構成されてもよく、図17a(変数「h」)および24について説明したように、x軸に沿った選択されたセルの幅が増加することにつれて、より多くの層が好ましい。図示されるメガワットクラスのスタックの場合、層の総数は、各層に使用される材料の強度、セルスタックのx軸寸法、および電解槽スタックの最大許容作動圧力に応じて、3つまたは4つとすることができる。最大30bargの水素MAWPで動作する図示のメガワットクラスのスタックでは、各層について140ksiの降伏強度および0.5mmの厚さを有する完全硬質304ステンレス鋼の3つの層が好ましい場合があり、これは、合計厚さ「h」が、セルのカソード流れ場のx軸寸法に、ラップ材料の降伏強度に対するMAWPの比を乗じたもの以上であるという要件を満たすことができる。クロスピン(2409)の総数は、エンドブロック(2605aおよび2605b)の総数に比例し得る。スロット(2406および2407)は、組み立て中にマニホールド(1904および2604)の位置合わせ、案内および取り付けを容易にするように示されている。スロット(2407)はまた、正確な拘束組み立てを容易にし、図17bに記載される「ギャップ(108)」の機能を果たすことができる。また、最終組み立て後のスタックの持ち上げおよび移動を容易にするために、ラップ(2403)およびクラウン(2404)に一体化された例示的な持ち上げシステム(2603)も示されている。このシステムは図示されるように、標準的なリフティングアイまたはスイベル(2603)を受け入れるためのねじ穴を有するラップ(2403)内の、クラウン(2404)の頂部に配置されたクロスバーから構成されてもよい。2つのそのようなスイベルは、図26に示されるメガワットクラスのスタックに好ましい場合がある。
【0111】
さらなる実施形態:
【0112】
A-1.
膜、アノード電極、カソード電極、アノード流れ場、カソード流れ場、および双極プレートアセンブリを含む電解セル:ここで、双極プレートアセンブリは、y軸に整列したアノード流れ場の前縁部に隣接して配置された複数の反復水送達ウィンドウを備え、各水送達ウィンドウは、アノード流れ場のy軸に沿ったウィンドウ長に関連付けられ、電解セルは、水送達ウィンドウの数、有効直径またはウィンドウ長が、電解槽セルの目標閾値未満の水流抵抗、水温上昇、またはセル出口酸素体積分率を維持するように選択されるように、構成される。
【0113】
A-2.
双極プレートアセンブリは、1つ以上の酸素収集ウィンドウおよび水素収集ウィンドウを備え、水送達ウィンドウおよび酸素収集ウィンドウの合計の数は、水素収集ウィンドウの数に等しいかまたはそれよりも多い、A-1に記載の電解セル。
【0114】
A-3.
各水送達ウィンドウの有効直径が、その関連するウィンドウ長の5%~110%である、A-1に記載の電解セル。
【0115】
A-4.
アノード流れ場の前縁部に垂直なx軸に沿ったアノード流れ場の寸法が、各水送達ウィンドウについて同じである、A-1に記載の電解セル。
【0116】
A-5.
各水送達ウィンドウに関連するウィンドウ長が、アノード流れ場の厚さに基づいて選択されて、(a)定格水素生成出力で100cm/s未満のアノード流れ場の前縁部における水の平均速度を維持する、または(b)定格水素生成出力で5bar未満の水圧降下を維持する、A-1に記載の電解セル。
【0117】
A-6.
電解セルが、寿命の終わりにおけるセル温度上昇を50℃未満に維持するように、またはアノード流れ場の後縁部における酸素体積分率を95%未満に維持するように、選択された水ストイキを使用するように構成されている、A-1に記載の電解セル。
【0118】
A-7.
カソード流れ場が、カソード流れ場内の水素流速ベクトルがアノード流れ場の前縁部と概ね平行になるように配置される、A-1に記載の電解セル。
【0119】
A-8.
双極プレートアセンブリが、双極プレートおよび流体分配フレームを備え、双極プレートアセンブリの中央領域が流体分配フレームおよび2つの双極プレートによって少なくとも部分的に境界付けられ、カソード流れ場、カソード電極、上記膜、アノード電極またはアノード流れ場のうちの少なくとも1つを含む、A-1に記載の電解セル。
【0120】
A-9.
フレームと、アノード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水シールをさらに備える、A-8に記載の電解セル。
【0121】
A-10.
流体分配フレームまたは水シールのうちの少なくとも1つが、1つ以上の水送達ウィンドウからアノード流れ場の前縁部へのx-y平面内の水流の広がりを可能にするように構成され、それによって、アノード流れ場の平均速度の±50%以内の前縁水速度分布を提供する、A-9に記載の電解セル。
【0122】
A-11.
流体分配フレームまたは水シールのうちの少なくとも1つが、アノード流れ場の後縁部から水および酸素の流れを収集し、アノード流れ場についての後縁速度分布の±50%以下の変更を課すように構成される、A-9に記載の電解セル。
【0123】
A-12.
流体分配フレームと、カソード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水素シールをさらに備える、A-8に記載の電解セル。
【0124】
A-13.
流体分配フレームが、可視光または紫外光透明材料を含む、A-8に記載の電解セル。
【0125】
A-14.
双極プレートアセンブリが、カソード流れ場の1つ以上の後縁部から水素流れを収集し、上記流れを1つ以上の水素収集ウィンドウに送達するように構成される、A-8に記載の電解セル。
【0126】
A-15.
流体分配フレームが、アノード流れ場とカソード流れ場との間の内部シールと嵌合するように構成され、内部シールが、膜、触媒コーティング膜、電極、膜-電極アセンブリのサブガスケット境界、または流体分配フレーム自体のうちの少なくとも1つに適用される、A-8に記載の電解セル。
【0127】
A-16.
上記フレームと、アノード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水シールと、流体分配フレームと、カソード流れ場に隣接する双極プレートとの間に配置された水素シールとをさらに備え、流体分配フレーム、水シールおよび水素シールが、z軸に沿った投影視点において、支持されていないシール領域が50%未満となるように配置される、A-8に記載の電解セル。
【0128】
A-17.
アノード流れ場がカソード流れ場よりも大きく、アノード流れ場が内部シールへの圧縮荷重の適用を容易にする、A-1に記載の電解セル。
【0129】
A-18.
双極プレートアセンブリが双極プレートを含み、双極プレートが、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、炭素、クロム、鉄およびそれらの合金からなる群から選択される材料を含む、A-1に記載の電解セル。
【0130】
A-19.
5.0mm以下、3.0mm以下、または2.0mm以下の圧縮セルピッチを有する、A-5に記載の電解セル。
【0131】
A-20.
アノード流れ場またはカソード流れ場のうちの少なくとも1つが、発泡体、フェルト、織物スクリーン、エキスパンドメタルまたは焼結金属フリットのうちの少なくとも1つを含む、A-1に記載の電解セル。
【0132】
A-21.
カソード流れ場が、双極プレート内にy軸およびx軸に垂直なz軸に沿って突出する幾何学的特徴を備える、A-1に記載の電解セル。
【0133】
B-1.
電解セルのための双極プレートアセンブリを製造する方法であって、
双極プレート、水素シール、水シール、および流体分配フレーム用の材料を選択すること、
双極プレートまたは流体分配フレームへ水素シールを適用すること、
流体分配フレームを双極プレートに対して位置合わせし、流体分配フレームを押圧してそれらの間に水素シールを嵌合させること、
流体分配フレームに水シールを適用すること、および
紫外線硬化法、マイクロ波硬化法、熱硬化法、溶媒硬化法、二液型エポキシ硬化法または湿気硬化法を用いて、水素シールまたは水シールの少なくとも1つを硬化させること、
を含む製造方法:ここで、
双極プレート、水素シール、水シールおよび流体分配フレームは、打ち抜き、レーザ切断、ウォータージェット切断、ロボット分配および/またはスクリーン印刷法を用いた製造に適した二次元パターンを含む。
【0134】
B-2.
水素シールおよび水シールの両方が同時に硬化される、B-1に記載の方法。
【0135】
B-3.
水シールが、流体分配フレームの製造中に、水素シールと嵌合する前に形成される、B-1に記載の方法。
【0136】
B-4.
流体分配フレームが、双極プレートと流体分配フレームとの間に連続的で破断しないシールが形成されることを確実にするのに十分な力で、双極プレートと共に押圧される、B-1に記載の方法。
【0137】
B-5.
流体分配フレームが、双極プレートと一緒に押圧されて、変化が±25%以下である双極プレートアセンブリの目標厚さを達成する、B-1に記載の方法。
【0138】
B-6.
水素シールが、ワイヤメッシュ、連続気泡発泡体、エキスパンドメタルシート、または焼結金属フリットのうちの1つで強化される、B-5に記載の方法。
【0139】
B-7.
水素シールまたは水シールが、スクリーンまたはステンシル印刷プロセスを使用して適用され、水素シールまたは水シールのうちの少なくとも1つが、10~1000μmの厚さおよび0.5~15mmの幅を有する未硬化状態で適用される、B-1に記載の方法。
【0140】
C-1.
電解槽セルスタック用の圧縮システムであって、
複数のセルを含む電解槽セルスタックの少なくとも一部を円周方向に囲む1つ以上のラップ層を含む構造ラップと、
電解槽セルスタックの対向する端部におけるエンドユニットと、
1つ以上のエンドユニットに近接する1つ以上の可調要素と、
を含む圧縮システム:ここで、
構造ラップは、セルスタックの対向する側部への自由なアクセスを可能にし、
構造ラップは、圧縮システムの引張要素として機能し、
1つ以上のラップ層は、本質的に均一な厚さを有する材料の実質的に平坦なシートであり、
1つ以上のラップ層の合計厚は、セルスタックのx軸寸法、および電解槽セルスタックの最大許容作動圧力によって決定される。
【0141】
C-2.
総ラップ厚さが、セルスタック内のセルのカソード流れ場のx軸に沿った寸法に、ラップ材料の引張強度に対する電解槽の最大許容作動圧力の比を乗じたもの以上である、C-1に記載の圧縮システム。
【0142】
C-3.
ラップが、y軸に沿って見たとき、略楕円形のレーストラック形状を有し、エンドユニットと接続するように構成され、1つ以上のエンドユニットが、y軸に沿って見たとき、半円筒形状を有する、C-1に記載の圧縮システム。
【0143】
C-4.
ラップが、圧縮システムがロードされるときに、1つ以上の半円筒エンドユニットに対して滑るように構成される、C-3に記載の圧縮システム。
【0144】
C-5.
1つ以上の半円筒エンドユニットの直径は、x軸に沿った電解セル寸法の100%~150%の寸法である、C-3に記載の圧縮システム。
【0145】
C-6.
圧縮システムの可調要素は、エンドユニットの一方または両方の中に少なくとも部分的に含まれる、C-3に記載の圧縮システム。
【0146】
C-7.
可調要素は、±25%以内のz軸に沿ったセルスタックの最終寸法を達成するように構成される、C-6に記載の圧縮システム。
【0147】
C-8.
ラップおよび半円筒エンドユニットの少なくとも1つは、可調要素と機械的に平行な一時的スタック組み立てシステムによるセルスタックの直接圧縮を可能にするように構成される、C-6に記載の圧縮システム。
【0148】
C-9.
少なくとも1つのラップまたはエンドユニットは、可調要素へのアクセスおよび可調要素の操作を可能にするように構成される、C-6に記載の圧縮システム。
【0149】
C-10.
可調要素は、ねじ、ナット、ばね、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、圧力パッドまたは圧力シューの1つ以上を備える、C-6に記載の圧縮システム。
【0150】
C-11.
スタック内の可調要素の総量は、セルスタックを構成するセル内に設けられた水送達ウィンドウの数に比例する、C-3に記載の圧縮システム。
【0151】
C-12.
ラップが、ラップの2つの平坦側面のそれぞれにおいてクロスピン接続、ヒンジピン接続、ヘムフック接続または留め具付きヘムフック接続の1つ以上を用いてセルスタックを連続的に包囲するように接続された1つ以上の部品を備え、または
ラップが、1つの半円筒エンドユニットを包含し、1つ以上のクロスピンで第2のエンドユニットと嵌合および接続するように構成された可撓性シート材料の1つ以上の層から構成され、または
ラップの1つ以上の層が、1つ以上のエンドユニットを包含するときに弾性を維持するのに十分な降伏強度および厚さの材料から構成される、C-1に記載の圧縮システム。
【0152】
C-13.
上記接続が、セルスタックを予め圧縮しながら、z軸に沿ってラップが嵌合されることを可能にし、予圧縮状態のセルスタックにおけるラップ接続の組み立てを完了するように構成される、C-12に記載の圧縮システム。
【0153】
C-14a.
セルスタックが、ラップの開放端部からの完全に拘束された整列固定を可能にする六角形の形状を有するセルを備える、C-1に記載の圧縮システム。
【0154】
C-14b.
ラップが、1つ以上のセルスタック整列固定具がラップ境界を貫通し、組み立て中にセルスタックの1つ以上の縁部に接触することを可能にするように構成される、C-1に記載の圧縮システム。
【0155】
C-15.
ラップが、最終セルスタック圧縮荷重でセルスタックの最終長さの2%以下、z軸に沿って延伸するように構成される、C-1記載の圧縮システム。
【0156】
C-16.
ラップが、目標セルスタック圧縮荷重におけるセルスタックのばね定数の0.1%~25%のz軸に沿ったばね定数を提供するように構成される、C-1に記載の圧縮システム。
【0157】
D-1.
積層構成でz軸に沿って整列された複数の電解セルを備える電解槽スタック:ここで、
各セルは、膜と、アノード電極と、カソード電極と、アノード流れ場と、カソード流れ場と、双極プレートアセンブリとを備え、
隣接する双極プレートアセンブリは、アノード流れ場の縁部に沿って配置された1つ以上の水送達プレナムを少なくとも部分的に結合し、
各水送達プレナムは、z軸に沿ってプレナムを通る水速度を目標閾値未満に維持するようにサイズ決定され、
各水送達プレナムは、アノード流れ場のy軸に沿った長さに関連付けられ、
水送達プレナムの数またはサイズは、水流抵抗または水温上昇またはセル出口酸素体積分率の1つを電解槽スタックの目標閾値未満に維持するように構成される。
【0158】
D-2.
酸素送達プレナムおよび水素収集プレナムをさらに備え、水送達プレナムおよび酸素収集プレナムの合計数が、水素収集プレナムの数以上である、D-1に記載のスタック。
【0159】
D-3.
電解セルのスタック構成の対向する端部にエンドユニットと、拡張可能な構造的ラップ圧縮システムと、一方のエンドユニットに含まれる少なくとも1つの流体マニホールドとをさらに備え、流体マニホールドが、y軸に沿って、圧縮システムの自由にアクセス可能な面を通してスタックへの水の送達を容易にする、D-2に記載のスタック。
【0160】
D-4.
流体マニホールドが、z軸に沿った重力ベクトルに対して電解セルの積層構成の上端に配置される、D-3に記載のスタック。
【0161】
D-5.
z軸に沿った重力ベクトルに対して電解セルの積層構成の下端に配置されたドレインまたはパージマニホールドをさらに備える、D-3に記載のスタック。
【0162】
D-6.
個々のセルスタックプレナムを接続する水流港内およびマニホールドのサイズは、±25%未満の変動を有する個々のプレナムへの流れ分配を提供するように選択される、D-3に記載のスタック。
【0163】
E-1.
下部のラップ要素およびエンドユニットアセンブリをスタック固定具へ配置すること、
上部のラップ要素およびエンドユニットアセンブリをスタック固定具へ配置すること、
拡張可能電解セルを製造する製造ラインにおいて部品片フローの方向に下部ラップの自由にアクセス可能な面を整列させること、
個々のセルを自由にアクセス可能な面を通して下部ラップに配置すること、
z軸に沿って上部のラップおよびエンドユニットアセンブリを下降させて、セルスタックを予圧縮すること、
ラップスタイル圧縮システムの接続要素を嵌合させて下部ラップおよび上部ラップを一体構造に接続すること、
所望の圧縮プロファイルに従ってセルスタックをさらに圧縮すること、および
圧縮システムの可調要素を使用して圧縮荷重下でスタックをロックすること、
を含む電解槽スタックの製造方法。
【0164】
E-2.
スタックアセンブリが、セル製造ラインの端部で回転テーブルを使用して達成される、E-1に記載の方法。
【0165】
E-3.
回転テーブルが、非反復部材をロードし、セルを配置し、整列させ、アセンブリを圧縮し、品質チェックし、最終スタックをアンロードするためのステーションを備える、E-2に記載の方法。
【0166】
E-4.
セル整列固定具が、セルスタックの少なくとも2つの隣接する縁部に設けられる、E-1に記載の方法。
【0167】
E-5.
セルが、ロボット配置、直線運動アクチュエータまたは重力のうちの1つを使用して、セル製造ラインの端部から下部ラップの内側に自動的に移動する、E-1に記載の方法。
【0168】
E-6.
セルが、セル製造ラインのコンベヤシステムによって、下部ラップの自由にアクセス可能な面を通って直接移動する、E-1に記載の方法。
【0169】
E-7.
下部ラップおよびエンドユニットアセンブリが、各セルが所定の位置に移動された後、z軸に沿って下方に移動する、E-1に記載の方法。
【0170】
E-8.
スタックアセンブリのz軸が、下部ラップ内に配置されたセルがセルスタックの1つ以上の縁部上のセル整列固定具に向かって重力によって方向付けられるように、重力ベクトルに対して角度を付けている、E-1に記載の方法。
【0171】
E-9.
可動セル整列アクチュエータが、下部ラップ内に配置されたセルがセルスタックの1つ以上の対向する縁部上のセル整列固定具に向けられるように、セルスタックの1つ以上の縁部上で関与する、E-1に記載の方法。
【0172】
F-1.
膜または触媒コーティング膜として使用するための、x軸に沿った所望のロールウェブ幅の材料のロールを選択すること、
y軸に沿ってシール適用機に通してロールのウェブを方向付けること、
スクリーン印刷法、ステンシル印刷法またはロボット分配法のうちの1つを使用して、未硬化内部シールをウェブの片側に適用すること、
紫外線硬化、マイクロ波硬化、熱硬化、溶媒硬化、二液型エポキシ硬化または湿気硬化のいずれかを用いて、適用された内部シールを硬化すること、
膜ガスケットアセンブリまたは触媒コーティング膜ガスケットアセンブリのロールを別個の部品片に切断すること、および
得られた個々の部品片をセル組み立て機に搬送すること、
を含む、電解セル用の内部シールの製造方法。
【0173】
F-2.
ウェブ材料が、酸性プロトン伝導型の膜である、F-1に記載の方法。
【0174】
F-3.
ウェブ材料が、アルカリ性水酸化物導電型の膜である、F-1に記載の方法。
【0175】
F-4.
ウェブ材料が、1面連続コーティングされたCCMまたは1面パッチコーティングされたCCMのうちの1つから選択される、F-1に記載の方法。
【0176】
F-5.
内部シールが、ウェブのカソード側に適用される、F-4に記載の方法。
【0177】
G-1.
発泡体、フェルト、織物スクリーニング、エキスパンド金属または焼結金属フリットのうちの1つからx軸に沿った所望のロールウェブ幅の電極基材を選択すること、
発泡体、フェルト、織物スクリーニング、エキスパンド金属または焼結金属フリットのうちの1つからx軸に沿った所望のロールウェブ幅の1つ以上の流れ場基材を選択すること、
電極基材の各側面の所望の厚さおよび表面特性を達成するように構成されたカレンダリングローラを通して電極基材ウェブをy軸に沿って方向付けること、
電極基材を活性電極へ変換すること、
1つ以上の流れ場基材ウェブを電極基材ウェブに隣接し、積層プロセスに通しながらy軸に沿って方向付けて、電極および流れ場を一緒に接着すること、
積層された電極流れ場ロールを個別の部品片に切断すること、および
得られた個々の部品片をセル組み立て機に搬送すること、
を含む、電解セル用の一体型電極流れ場の製造方法。
【0178】
G-2.
電極基材および流れ場基材がそれぞれ独立して、炭素、ニッケル、チタン、鉄、クロム、ステンレス鋼もしくはインコネル、またはそれらの混合物もしくは合金のうちの少なくとも1つを含む、G-1に記載の方法。
【0179】
G-3.
電極ウェブおよび流れ場ウェブの1つ以上が、積層を促進するために、粗い、パターン化された、またはエンボス加工された表面を備える、G-1に記載の方法。
【0180】
G-4.
積層工程が、接着剤、ポリマー分散液、液体アイオノマー溶液、またはアイオノマー分散液のうちの1つから選択される結合プロモーターを含む、G-1に記載の方法。
【0181】
G-5.
電極流れ場ウェブが、積層後の発泡体電極および織物スクリーン流れ場を含む、G-1に記載の方法。
【0182】
G-6.
電極変換が積層の前に行われる、G-1に記載の方法。
【0183】
G-7.
電極変換が積層の後に行われる、G-1に記載の方法。
【0184】
G-8.
流れ場の多孔度、坪量、層の数および最終積層厚さが、セルの組み立て、圧縮および動作中の降伏を防止するように選択される、G-1に記載の方法。
【0185】
G-9.
活性電極が、液体アイオノマー溶液、アイオノマー分散液、および不活性ポリマーから選択される1つ以上のバインダーを含む、G-1に記載の方法。
【符号の説明】
【0186】
101 電解槽スタック
103 下部ラップ
104 上部ラップ
105 セルスタック
107 上部エンドユニット
106 下部エンドユニット
109 ジョイント
301 コア電解セル部材
303 アノード流れ場
304 イオン伝導膜
305 カソード流れ場
306 アノード電極
307 カソード電極
308 双極プレート
403 アノード流れ場
405 カソード流れ場
601 セル
603 水送達ウィンドウ
604 水収集ウィンドウ
606 水素収集ウィンドウ
610 輪郭領域
611 活性領域
701 双極プレートアセンブリ
703 水シール
704 流体分配フレーム
705 水素シール
713 内部シール
714 ステップ
732 多孔性シート
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図15
図16
図17a
図17b
図18a
図18b
図19
図20
図21
図22
図23a
図23b
図23cd
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
図7c-e】図7cは、カソード流れ場が別個の部材としてではなく、双極プレートと一体の三次元構造として形成される、図7bの断面図を示す。図7dは、双極プレートアセンブリの代替実施形態の等角図である。図7eは、図7dの実施形態の断面図を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
図23a-d】 図23a、23b、23c、および23dは、圧縮システムの代替実施形態を示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
図24図24は、機械的曝露応力の関数として厚さの永続的変化を示す、候補流れ場材料のサンプルの強度測定データを示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
図25図25は、本明細書に開示される要素を含む完全なメガワットクラスの電解スタックの実施形態を示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
図23a、23b、23c、および23dは、圧縮システム1901の代替実施形態を示す。圧縮システム(2401)は、1つの半円筒エンドユニット(2404)と1つのエンドブロック(2405)とを備え、詳細な図23に示すように、穴(2408)を通るクロスピン(2409)を使用してラップ要素(2403)を接続することができる。同じ圧縮ハードウェアを使用して、様々な高さまたは様々な数のセルのスタックの圧縮を容易にするために、複数の組の穴(2408)が、ラップ(2403)内に提供され得る。スロット(2406)および(2407)をラップ(2403)内に設けて、ショルダーボルト(2406)または類似の手段(一時的または永久的のいずれか)を使用して、組み立ておよび圧縮中に内部スタック部材の位置合わせを容易にすることができる。図19に示されるものと類似の内部部材は、明確にするために、図23上で同じ識別番号でラベル付けされる。図23に示されるように、ラップ(2403)は、半円筒エンドユニット(2404)の周りに巻き付けられた材料の1つ以上の独立した層を備えてもよい。これらの層は、組み立て前に層を塑性的に曲げることによって、または組み立て中に層を弾性的に曲げることによって形成することができる。組み立て中の層の弾性曲げは、曲げ公差を考慮することなく、単一の2次元切断パターンからラップ(2403)の各層を製造することができ、それによって、構造を単純化し、コストを低減するという製造上の利点を有し得る。さらに、塑性変形した材料は、弾性変形した材料と比較して異なる応力/歪み関係を示す場合があり、これはセルスタックに加えられる力に影響を及ぼす可能性がある。より大きな活性領域のセルスタック(105)の場合、ラップ(2403)は、厚さまたは層の数を変更する必要なく、y軸に沿って拡張することができる。同様に、エンドユニット(2404)は、本明細書で説明される拡張可能セルに従って、大面積セルを収容するために、y軸に沿って拡張することができる。エンドユニット(2405)は、y軸に沿って拡張されてもよく、またはより大きな面積のセルを収容するために、その量がy軸に沿って変化するモジュール式ユニットから作製されてもよい。ラップ(2403)、エンドユニット(2404)およびエンドユニット(2405)の他の設計および製作特徴は、そのような大面積セルのために変更されないままであり、それによって、複数のスタック製品のために部品を再利用することによって、設計および製造を簡略化し、コストを低減することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
図24は、機械的曝露応力(2514)の機能としての厚さ(2509)の永続的変化を示す、候補流れ場材料のいくつかのサンプルの測定強度データ(2561)を示す。代表的なサンプルを様々なレベルの機械的応力に曝露し、各レベルの後に無荷重の厚さを測定した結果、図24に示す曲線が得られた。次いで、この曲線は、カレンダー加工された厚さの機能としての材料降伏強度を表す。電解スタックの組み立て中、セル内の層間およびスタック内の個々のセル間の十分な接触および低い接触抵抗を維持するために、圧縮荷重が活性領域に印加される。組み立て時に加えられる圧縮荷重は、セルまたはセル部材が動作中に分離しないことを確実にするために、スタックの予想される内部流体圧力よりも大きくすることができる。この接触が維持されることを確実にするために、組み立ておよび動作中にセルおよびセル部材の弾性挙動を維持することが望ましい。限界(2534)および(2535)によって示されるように、次いで、流れ場の製造中(例えば、カレンダー加工および/または積層中)に流れ場材料をその初期厚さのX%未満の値にカレンダー加工して、スタックの組み立ておよび動作中に材料が弾性のままであることを確実にすることが有利であり得る。試験された候補材料についてはx=40%であるが、多孔度、坪量(x-y平面における単位面積当たりの質量として定義される)、構造材料、および多孔質形状(例えば、発泡体、メッシュ、エキスパンドメタル、フェルトまたはその他)を含む候補の特定の特性および材料物性に基づいて、任意の候補流れ場材料についての具体的な値は、40%より大きくなったり小さくなったりする場合がある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
図25は、本明細書に開示される本発明の要素を含む完全なメガワットクラスの電解スタック(2601)の好ましい実施形態を示す。拡張可能セル(105)のスタックは、拡張可能な膜、電極、流れ場、シール、フレームおよび双極プレートを含み、以前に開示されたように設計および製作され、ラップ(2403)およびエンドブロック(2605aおよび2605b)によって、ラップおよびエンドブロックを一緒に保持するためのクロスピン(2409)を使用して、ラップ(2403)およびエンドブロック(2605aおよび2605b)内に収容され、圧縮される。図示のメガワットクラススタックでは、図示のように、20cm/s未満の水流速度および2bard未満の圧力降下および20℃未満の温度上昇を有する1.6mmのセルピッチを達成するために、8個の水流ウィンドウを含む最大400個のそのようなセルが好ましい場合がある。ステンレス鋼ワイヤメッシュからカソード流れ場を構築し、厚さに合わせて積層およびカレンダー加工された複数(2または3)のニッケル発泡体層からアノード流れ場を構築することが好ましい場合がある。カレンダー処理されたニッケル発泡体で、電極を補強することが好ましい場合がある。スタックは、y軸に沿った選択されたセル長に応じて、1つ以上のエンドブロック(2605b)を含むことができる。図示のメガワットクラスのスタックでは、2つのエンドブロック(2605a)および4つのエンドブロック(2605b)が好ましい場合がある。各エンドブロック(2605b)は、図18aのプロセス(1801)に記載されているように、組み立て後にスタックユニットに最終圧縮を適用するために、図19および23に記載されているような可調要素を含むことができる。ラップ(2403)は、1つ以上の層から構成されてもよく、図17a(変数「h」)および23について説明したように、x軸に沿った選択されたセルの幅が増加することにつれて、より多くの層が好ましい。図示されるメガワットクラスのスタックの場合、層の総数は、各層に使用される材料の強度、セルスタックのx軸寸法、および電解槽スタックの最大許容作動圧力に応じて、3つまたは4つとすることができる。最大30bargの水素MAWPで動作する図示のメガワットクラスのスタックでは、各層について140ksiの降伏強度および0.5mmの厚さを有する完全硬質304ステンレス鋼の3つの層が好ましい場合があり、これは、合計厚さ「h」が、セルのカソード流れ場のx軸寸法に、ラップ材料の降伏強度に対するMAWPの比を乗じたもの以上であるという要件を満たすことができる。クロスピン(2409)の総数は、エンドブロック(2605aおよび2605b)の総数に比例し得る。スロット(2406および2407)は、組み立て中にマニホールド(1904および2604)の位置合わせ、案内および取り付けを容易にするように示されている。スロット(2407)はまた、正確な拘束組み立てを容易にし、図17bに記載される「ギャップ(108)」の機能を果たすことができる。また、最終組み立て後のスタックの持ち上げおよび移動を容易にするために、ラップ(2403)およびクラウン(2404)に一体化された例示的な持ち上げシステム(2603)も示されている。このシステムは図示されるように、標準的なリフティングアイまたはスイベル(2603)を受け入れるためのねじ穴を有するラップ(2403)内の、クラウン(2404)の頂部に配置されたクロスバーから構成されてもよい。2つのそのようなスイベルは、図25に示されるメガワットクラスのスタックに好ましい場合がある。
【国際調査報告】