(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】SCO-101の熱力学的に安定な型
(51)【国際特許分類】
C07D 257/04 20060101AFI20240705BHJP
A61K 31/41 20060101ALI20240705BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240705BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C07D257/04 E CSP
A61K31/41
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K45/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580674
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2022069240
(87)【国際公開番号】W WO2023285344
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518402004
【氏名又は名称】スカンジオン オンコロジー エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン,コーア,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】エゲブロ,レネ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,クラウス,スネイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート,キアラ
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,ロレイン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC032
4C084ZC202
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC62
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、SCO-101の改良結晶型、その調製および用途に関する。さらに、本発明は、SCO-101の改良結晶型に変換され得るSCO-101の中間体結晶型に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:19.0±0.2、21.2±0.2、および23.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す、SCO-101:
【化1】
のI型結晶。
【請求項2】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、および21.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項3】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、および23.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項4】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、および26.9±0.2で少なくともピークの最大値を示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項5】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、および26.9±0.2で少なくともピークの最大値を示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項6】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、26.9±0.2、および27.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項7】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、20.4±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、26.9±0.2、および27.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項8】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、20.4±0.2、21.2±0.2、23.2±0.2、23.4±0.2、26.9±0.2、および27.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項9】
CuKα照射を用いて測定される場合
図1AにしたがうXRPDディフラクトグラムを示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項10】
10℃/分の加熱速度を用いて218℃~226℃、219℃~224℃など、220℃~222℃など、例えば221℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項11】
10℃/分の加熱速度を用いて221℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項12】
速度10℃/分の加熱速度を用いて224℃~234℃、225℃~233℃など、226℃~232℃など、227℃~231℃など、228℃~230℃など、例えば229℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項13】
10℃/分の加熱速度を用いて229℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、前記請求項のいずれか1項にしたがうI型結晶。
【請求項14】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、21.7±0.2、および23.3±0.2で少なくともピークの最大値を示す、SCO-101:
【化2】
のIII型結晶。
【請求項15】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、21.7±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項14にしたがうIII型結晶。
【請求項16】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項14~15のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項17】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項14~16のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項18】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項14~17のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項19】
CuKα照射を用される測定した場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、22.5±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項14~18のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項20】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、19.2±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、22.5±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項14~19のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項21】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、18.0±0.2,19.2±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、22.5±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項14~20のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項22】
CuKα照射を用いて測定される場合
図1CにしたがうXRPDディフラクトグラムを示す、請求項14~21のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項23】
10℃/分の加熱速度を用いて220℃~228℃、221℃~226℃など、222℃~224℃など、例えば223℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項14~22のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項24】
10℃/分の加熱速度を用いて223℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項14~23のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項25】
10℃/分の加熱速度を用いて225℃~235℃、226℃~234℃など、226℃~234℃など、227℃~233℃など、228℃~232℃など、229℃~231℃など、例えば230℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項14~24のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項26】
10℃/分の加熱速度を用いて230℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項14~25のいずれか1項にしたがうIII型結晶。
【請求項27】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:22.6±0.2、23.4±0.2、および23.7±0.2で少なくともピークの最大値を示す、SCO-101:
【化3】
のIV型結晶。
【請求項28】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、および24.1±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項27にしたがうIV型結晶。
【請求項29】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、および24.1±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項27~28のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項30】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項27~29のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項31】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:21.6±0.2、20.1±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項27~30のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項32】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:21.6±0.2、20.1±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、25.6±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項27~31のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項33】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:13.5±0.2、21.6±0.2、20.1±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、25.6±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項27~32のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項34】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:13.5±0.2、20.1±0.2、21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、25.6±0.2、27.4±0.2、および30.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項27~33のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項35】
CuKα照射を用いて測定される場合
図1DにしたがうXRPDディフラクトグラムを示す、請求項27~34のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項36】
10℃/分の加熱速度を用いて222℃~230℃、223℃~228℃など、224℃~226℃など、例えば225℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項27~35のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項37】
10℃/分の加熱速度を用いて225℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項27~36のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項38】
10℃/分の加熱速度を用いて226℃~236℃、227℃~235℃など、228℃~234℃など、229℃~233℃など、230℃~232℃など、例えば231℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項27~37のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項39】
10℃/分の加熱速度を用いて231℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項27~38のいずれか1項にしたがうIV型結晶。
【請求項40】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて0と40の間の2シータ角でピークの最大値を示さない、SCO-101:
【化4】
の不定形型。
【請求項41】
CuKα照射を用いて測定される場合
図1EにしたがうXRPDディフラクトグラムを示す、請求項40にしたがう不定形型。
【請求項42】
10℃/分の加熱速度を用いて211℃~219℃、212℃~218℃など、213℃~217℃など、214℃~216℃など、例えば215℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項40~41のいずれか1項にしたがう不定形型。
【請求項43】
10℃/分の加熱速度を用いて215℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項40~42のいずれか1項にしたがう不定形型。
【請求項44】
10℃/分の加熱速度を用いて218℃~228℃、219℃~227℃など、220℃~226℃など、221℃~225℃など、222℃~224℃など、例えば223℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項40~43のいずれか1項にしたがう不定形型。
【請求項45】
10℃/分の加熱速度を用いて223℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項40~44のいずれか1項にしたがう不定形型。
【請求項46】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:9.4±0.2、21.1±0.2、および22.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、SCO-101のイソプロパノール溶媒和物:
【化5】
のV型結晶。
【請求項47】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、21.1±0.2、および22.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項46にしたがうV型結晶。
【請求項48】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、および22.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項46~47のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項49】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、および24.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項46~48のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項50】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、24.2±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項46~49のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項51】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、24.2±0.2、25.5±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項46~50のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項52】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、24.2±0.2、24.6±0.2、25.5±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項46~51のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項53】
CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、23.7±0.2、24.2±0.2、24.6±0.2、25.5±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す、請求項46~52のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項54】
CuKα照射を用いて測定される場合
図1FにしたがうXRPDディフラクトグラムを示す、請求項46~53のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項55】
10℃/分の加熱速度を用いて216℃~224℃、217℃~223℃など、218℃~222℃など、219℃~221℃など、例えば220℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項46~54のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項56】
10℃/分を用いた場合に、220℃の開始温度を示す、請求項46~55のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項57】
10℃/分の加熱速度を用いて224℃~234℃、225℃~233℃など、226℃~232℃など、227℃~231℃など、228℃~230℃など、例えば229℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項46~56のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項58】
10℃/分の加熱速度を用いて229℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す、請求項46~57のいずれか1項にしたがうV型結晶。
【請求項59】
請求項1~13のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のI型結晶を調製するためのプロセスであって、
(a)第1の既定される温度にて1種類以上の極性非プロトン性溶媒中にSCO-101を溶解する工程;
(b)SCO-101のI型結晶を提供するために第1の既定された期間にわたり1種類以上の極性非プロトン性溶媒に1種類以上の極性プロトン性溶媒を加える工程;および
(c)SCO-101のI型結晶を単離する工程、
の連続工程を含む、プロセス。
【請求項60】
1種類以上の極性非プロトン性溶媒が、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルプロピレン尿素、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、2-MeTHF、およびテトラヒドロフランから成る群から選択される、請求項59にしたがうプロセス。
【請求項61】
極性非プロトン性溶媒が、アセトンである、請求項59~60のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項62】
1種類以上の極性プロトン性溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、および酢酸から成る群から選択される、請求項59~61のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項63】
極性プロトン性溶媒が、水である、請求項59~62のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項64】
第1の既定される温度が、10℃±5℃などの、0℃~20℃である、請求項59~63のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項65】
第1の既定される期間が、70分~90分などの、10分~360分である、請求項59~64のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項66】
工程(a)に先立つ事前の結晶化工程をさらに含み、事前の結晶化工程が:
(i)混合物を提供するためにSCO-101および1種類以上の不純物を含む組成物を2-プロパノールと混合すること;
(ii)第1の既定される温度よりも高い第2の既定される温度にあるいは第2の既定される温度で混合物を加熱すること;
(iii)第2の既定される期間にわたり混合物に水を加えること;および
(iv)固体としてSCO-101を提供するために第2の既定される温度よりも低い第3の既定される温度に混合物を冷却すること、任意選択的に濾過により固体をさらに単離すること、
を含む、請求項59~65のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項67】
1種類以上の不純物が、4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラアゾール-5-イル)アニリン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-イソシアン酸フェニル、およびトルエンから成る群から選択される、請求項66にしたがうプロセス。
【請求項68】
第2の既定される温度が、50℃などの、31℃~80℃である、請求項66~67のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項69】
第2の既定される期間が、30分などの、1分~120分である、請求項66~68のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項70】
第3の既定される温度が、20℃などの、10℃~30℃である、請求項66~69のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項71】
請求項1~13のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のI型結晶の1つ以上の種晶を添加することを含む、請求項59~70のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項72】
種晶が、添加されない、請求項59~70のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項73】
請求項14~26のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のIII型結晶を調製するためのプロセスであって:
(a)混合物を提供するために、メタノールなどの、1種類以上の極性プロトン性溶媒とSCO-101を混合する工程;
(b)1以上の温度サイクルを実施する工程であって、温度が、第4の既定される温度と第5の既定される温度の間で循環され、第4の既定される温度が、第5の既定される温度より高い、工程;
(c)混合物から請求項14~26のずれか1項に定義されるようなSCO-101のIII型結晶を単離する工程、
の連続工程を含む、プロセス。
【請求項74】
工程(a)中のSCO-101が、請求項40~45のいずれか1項に定義されるようなSCO-101の不定形型である、請求項73にしたがうプロセス。
【請求項75】
1以上の温度サイクルが、2~3サイクルなど、3~4サイクルなど、4~5サイクルなど、5~6サイクルなどの、2~6サイクルである、請求項73~74のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項76】
SCO-101が、工程(c)の前に、任意選択的に真空で、乾燥される、請求項73~75のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項77】
SCO-101が、工程(c)の前に少なくとも6時間30℃~60℃で、任意選択的に真空で、乾燥される、請求項73~76のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項78】
SCO-101が、工程(c)の前に6時間~72時間30℃~60℃で、任意選択的に真空で、乾燥される、請求項73~77のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項79】
第4の既定される温度が、31℃~35℃など、35℃~40℃など、40℃~45℃など、45℃~50℃など、50℃~55℃など、55℃~60℃などの、31℃~60℃である、請求項73~78のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項80】
第5の既定される温度が、15℃~20℃など、20℃~25℃など、25℃~30℃などの、15℃~30℃である、請求項73~79のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項81】
請求項27~39のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のIV型結晶を調製するためのプロセスであって、
(a)請求項14~26のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のIII型結晶を提供する工程;
(b)少なくとも24時間30℃~60℃でSCO-101のIII型結晶を保存しそれによりSCO-101のIV型結晶を調製する工程、
の連続工程を含む、プロセス。
【請求項82】
SCO-101のIII型結晶が、1日以上、2日以上など、3日以上など、4日以上など、5日以上など、6日以上など、7日以上などの間保存される、請求項81にしたがうプロセス。
【請求項83】
(a)SCO-101の結晶型または不定形型である準安定型を提供すること;
(b)
(i)1種類以上の極性非プロトン性溶媒および(ii)1種類以上の極性プロトン性溶媒または1種類以上の非極性溶媒:の溶媒混合物中で請求項1~13のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のI型結晶と準安定型を混合すること;
(c)少なくとも1時間第6の既定される温度において溶媒混合物を撹拌しそれによりSCO-101のI型結晶を提供すること、
を含む、準安定型から請求項1~13のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のI型結晶を調製するためのプロセス。
【請求項84】
SCO-101の結晶型が、
(i)CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:18.8±0.2、23.2±0.2、および20.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す、SCO-101:
【化6】
のII型結晶;
(ii)請求項14~26のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のIII型結晶;
(iii)請求項27~39のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のIV型結晶;および
(iv)請求項46~58のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のV型結晶、
から成る群から選択される、請求項83にしたがうプロセス。
【請求項85】
SCO-101の不定形型が、請求項40~45のいずれか1項に定義されるようである、請求項83にしたがうプロセス。
【請求項86】
第6の既定される温度が、30℃~32℃など、32℃~34℃など、34℃~36℃など、36℃~38℃など、38℃~40℃など、40℃~42℃など、42℃~44℃など、44℃~46℃など、46℃~48℃など、48℃~50℃など、50℃~52℃など、52℃~54℃など、54℃~56℃など、56℃~58℃など、58℃~60℃など、例えば40℃の、30℃~60℃である、請求項83~84のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項87】
第6の既定される温度が、31℃~58℃など、32℃~56℃など、33℃~54℃など、34℃~52℃など、35℃~50℃など、36℃~48℃など、37℃~46℃など、38℃~44℃など、39℃~42℃など、例えば40℃の、30℃~60℃である、請求項83~86のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項88】
工程(c)中の溶媒混合物が、2時間以上、3時間以上など、4時間以上など、5時間以上など、6時間以上など、7時間以上など、8時間以上など、9時間以上など、10時間以上など、11時間以上など、12時間以上など、1日以上など、2日以上など、3日以上など、4日以上など、5日以上など、6日以上など、7日以上などの間撹拌される、請求項83~87のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項89】
工程(c)中の溶媒混合物が、6時間以上、12時間以上など、1日以上など、2日以上など、3日以上など、4日以上など、5日以上など、6日以上など、7日以上などの間撹拌される、請求項83~88のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項90】
工程(c)において得られたSCO-101のI型結晶が、任意選択的に濾過により、溶媒混合物から分離される、請求項83~89のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項91】
1種類以上の極性非プロトン性溶媒が、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルプロピレン尿素、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、2-MeTHF、およびテトラヒドロフランから成る群から選択される、請求項83~90のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項92】
1種類以上の極性プロトン性溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、および酢酸から成る群から選択される、請求項83~91のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項93】
1種類以上の非極性溶媒が、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、トルエン、およびジエチルエーテルから成る群から選択される、請求項83~92のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項94】
極性非プロトン性溶媒が、アセトンでありかつ極性プロトン性溶媒が、水である、請求項83~93のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項95】
極性非プロトン性溶媒が、アセトンでありかつ非極性溶媒が、ヘプタンである、請求項83~93のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項96】
請求項46~58のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のV型結晶を調製するためのプロセスであって、
(a)混合物を提供するためにSCO-101を含む組成物をイソプロパノールと混合する工程;
(b)第7の既定される温度であるいは温度に混合物を加熱する工程;
(c)第3の既定される期間にわたり混合物に水を加える工程;
(d)固形組成物を提供するために第4の既定される期間にわたり第8の既定される温度に混合物の温度を調整する工程;
(e)SCO-101のV型結晶を提供するために、固形組成物を単離する、および任意選択的に固形組成物を乾燥する工程、
の連続工程を含む、プロセス。
【請求項97】
第7の既定される温度が、30℃~82℃、31℃~80℃など、32℃~78℃など、33℃~76℃など、34℃~74℃など、35℃~72℃など、36℃~70℃など、38℃~68℃など、39℃~66℃など、40℃~64℃など、41℃~62℃など、42℃~60℃など、43℃~58℃など、44℃~56℃など、45℃~55℃など、46℃~54℃など、47℃~52℃など、48℃~52℃など、49℃~51℃など、例えば50℃である、請求項96にしたがうプロセス。
【請求項98】
第8の既定される温度が、2℃~29℃、4℃~28℃など、6℃~27℃など、8℃~26℃など、10℃~25℃など、12℃~24℃など、14℃~24℃など、16℃~24℃など、17℃~23℃など、18℃~22℃など、19℃~21℃など、例えば20℃である、請求項96~97のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項99】
第3の既定される期間が、50分以内など、40分以内など、30分以内などの、1時間以内である、請求項96~98のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項100】
第3の既定される期間が、1分~60分、5分~55分など、10分~50分など、15分~45分など、20分~40分など、25分~35分など、例えば30分間である、請求項96~98のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項101】
第4の既定される期間が、1分以上、10分以上など、20分以上など、30分以上など、40分以上など、50分以上など、60分以上などである、請求項96~100のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項102】
第4の既定される期間が、1分~12時間、5分~10時間など、10分~8時間など、20分~6時間など、20分~4時間など、30分~2時間など、例えば1時間である、請求項96~100のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項103】
請求項40~45のいずれか1項に定義されるようなSCO-101の不定形型を調製するためのプロセスであって、
(a)組成物の完全溶解を示唆する目に見える固形物のない透明な溶液を得るためにSCO-101を含む組成物を1種類以上の極性非プロトン性溶媒と混合する工程;
(b)固形組成物を提供するために、任意選択的に真空で、第9の既定される温度において1種類以上の極性非プロトン性溶媒を蒸発させる工程;
(c)任意選択的に固形組成物をさらに乾燥し、SCO-101の不定形型を提供する工程、
の連続工程を含む、プロセス。
【請求項104】
1種類以上の極性非プロトン性溶媒が、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルプロピレン尿素、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、2-MeTHF、およびテトラヒドロフランから成る群から選択される、請求項103にしたがうプロセス。
【請求項105】
極性非プロトン性溶媒が、アセトンである、請求項103~104のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項106】
第9の既定される温度が、1種類以上の極性非プロトン性溶媒の沸点である、請求項103~105のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項107】
第9の既定される温度が、30℃~60℃、31℃~58℃など、32℃~56℃など、33℃~54℃など、34℃~52℃など、35℃~50℃など、36℃~48℃など、37℃~46℃など、38℃~44℃など、39℃~42℃など、例えば40℃である、請求項103~106のいずれか1項にしたがうプロセス。
【請求項108】
請求項59~72のいずれか1項に定義されるようなプロセスまたは請求項83~95のいずれか1項に定義されるようなプロセスにより取得可能な、SCO-101:
【化7】
のI型結晶。
【請求項109】
保存下であるいは請求項59~72のいずれか1項に定義されるプロセスまたは請求項83~95のいずれか1項に定義されるプロセスによりI型結晶へと変換する、SCO-101:
【化8】
の準安定型であって、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:18.8±0.2、23.2±0.2、および20.5±0.2で少なくともピークの最大値を示すSCO-101のII型結晶ではない、準安定型。
【請求項110】
請求項1~13または108のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のI型結晶;および1種類以上の薬学的に許容可能なアジュバント、添加剤、担体、緩衝液および/または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項111】
患者に請求項1~13または108のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のI型結晶、または請求項110に定義されるような医薬組成物;および1種類以上の抗癌剤を投与することを含む癌を有する患者を治療する方法。
【請求項112】
請求項1~13または108のいずれか1項に定義されるようなSCO-101のI型結晶、または請求項110に定義されるような医薬組成物が、毎日患者に投与される、請求項111にしたがう方法。
【請求項113】
1種類以上の抗癌剤が、トポイソメラーゼ阻害剤、抗ホルモン剤、アルキル化薬、分裂抑制剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、コルチコステロイド類、標的抗癌療法、分化誘導薬および免疫療法から成る群から選択される、請求項111~112のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項114】
抗癌剤が、1種類以上のさらなる抗癌剤と組み合わせて投与される、請求項111~113のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項115】
癌が、固形腫瘍または白血病である、請求項111~114のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項116】
癌が、肉腫、癌およびリンパ腫から選択される固形腫瘍などの、固形腫瘍である、請求項111~115のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項117】
癌が、結腸直腸癌、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌および小細胞肺癌)、膠芽細胞腫、頭頚部癌、悪性黒色腫、基底細胞皮膚癌、扁平上皮細胞皮膚癌、肝臓癌、膵臓癌、前立腺癌、肛門癌、子宮頚癌、膀胱癌、子宮体癌、卵巣癌、胆嚢癌、肉腫、白血病(骨髄およびリンパ)、リンパ腫、骨髄腫症、および胆管癌から成る群から選択される、請求項111~116のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項118】
癌が、転移性癌である、請求項111~117のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項119】
癌が、転移性結腸直腸癌などの、結腸直腸癌である、請求項111~117のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項120】
癌が、転移性膵癌などの、膵癌である、請求項111~117のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項121】
癌が、転移性乳癌などの、乳癌である、請求項111~117のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項122】
癌が、単独で投与される場合の抗癌剤に対し耐性である耐性癌である、請求項111~121のいずれか1項にしたがう方法。
【請求項123】
耐性が、デノボ耐性である、請求項122にしたがう方法。
【請求項124】
耐性が、獲得耐性である、請求項122にしたがう方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SCO-101の改良結晶型、その調製および用途に関する。さらに、本発明は、SCO-101の改良結晶型に変換され得るSCO-101の中間体結晶型に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、社会にとって圧倒的負荷であり、2019年にはおおよそ1千8百万症例が新規に癌と診断された。新規治療法/選択肢が数多く導入されているにもかかわらず、適用される治療に対するデノボ耐性または獲得耐性が今もなお癌死の主要原因である。
【0003】
化合物SCO-101は、NS3728としても知られ、WO2000/24707において初めて記載された。SCO-101は、様々な抗癌剤の有効な増強剤であることが後に示され、現在は併用癌療法、特に耐性癌の治療のための併用癌療法として開発されている。WO2017/198700は、SCO-101および癌治療の併用療法におけるその用途を説明する。
【0004】
SCO-101を含む様々な置換ジフェニル尿素は、トルエン中で可溶な好適な出発材料を混合することによりWO2000/24707に記載されるように調製でき、混合によりSCO-101は形成されると沈殿する。WO2000/24707の条件を用いてトルエン中で調製されるSCO-101は、結晶質である。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、WO2000/24707の方法で調製した多形体型SCO-101が熱力学的に安定な形態ではなくむしろ吸湿性の準安定な多形体型であることを発見した。WO2000/24707でのように調製した多形体型SCO-101は、本明細書でII型結晶とよばれる。さらに、SCO-101は溶媒和物を容易に形成することが示されており、かつ複数の多形体が存在する。したがって、医薬開発および患者の安全性の観点から、溶媒和していない(無水の)より安定な結晶型を取得することが望ましい。さらに、本明細書でI型結晶とよばれる、所望の熱力学的に安定な型に変換可能な、準安定型を提供することが望ましい。本発明者らは、熱力学的に安定な型であるI型結晶が予想外に非吸湿性であり、I型SCO-101結晶を臨床開発にとってより魅力的な結晶型にすることを、さらに実証した。
【0006】
第1の局面においては、SCO-101:
【化1】
のI型結晶を提供し、これは、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:19.0±0.2、21.2±0.2、および23.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0007】
第2の局面においては、SCO-101:
【化2】
のIII型結晶を提供し、これは、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、21.7±0.2、および23.3±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0008】
第3の局面においては、SCO-101:
【化3】
のIV型結晶を提供し、これは、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:22.6±0.2、23.4±0.2、および23.7±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0009】
第4の局面においては、SCO-101:
【化4】
の不定形型を提供し、これは、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて0と40の間の2シータ角でピーク最大値を示さない。
【0010】
第5の局面においては、SCO-101のイソプロパノール溶媒和物:
【化5】
のV型結晶を提供し、これは、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:9.4±0.2、21.1±0.2、および22.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0011】
第6の局面においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)第1の既定温度で1種類以上の極性非プロトン性溶媒にSCO-101を溶解する工程;
(b)SCO-101のI型結晶を得るために、第1の既定期間の経過中を通じて1種類以上の極性プロトン性溶媒を1種類以上の極性非プロトン性溶媒に加える工程;
および
(c)SCO-101のI型結晶を単離する工程
の連続工程を含む。
【0012】
第7の局面においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のIII型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)SCO-101をメタノールなどの1種類以上の極性プロトン性溶媒と混合して混合物を提供する工程;
(b)1サイクル以上の温度サイクルを実施する工程であって、温度が、第4の既定温度と第5の既定温度の温度の間で循環され第4の既定温度が、第5の既定温度より高い、工程;
(c)混合物から本明細書中で定義されるようなSCO-101のIII型結晶を単離する工程
の連続工程を含む。
【0013】
第8の局面においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のIV型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)本明細書中で定義されるようなSCO-101のIII型結晶を提供する工程;
(b)30℃~60℃で少なくとも24時間、SCO-101のIII型結晶を保存し、それによりSCO-101のIV型結晶を調製する工程
の連続工程を含む。
【0014】
第9の局面においては、SCO-101の準安定型から本明細書中で定義されるようなI型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)SCO-101の結晶型または不定形型である準安定型を提供する工程;
(b)(i)1種類以上の極性非プロトン性溶媒と(ii)1種類以上の極性プロトン性溶媒または1種類以上の非極性溶媒:の溶媒混合物中で準安定型を本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶と混合する工程;
(c)第6の既定温度で少なくとも1時間、溶媒混合物を撹拌し、それによりSCO-101のI型結晶を取得する工程
を含む。
【0015】
第10の局面においては、SCO-101のI型結晶を調製するための本明細書中で定義されるようなプロセスにより取得可能な、SCO-101:
【化6】
のI型結晶を提供する。
【0016】
第11の局面においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶および1種類以上の薬学的に許容可能なアジュバント、添加剤、担体、緩衝液および/または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
第12の局面においては、癌を有する患者を治療する方法を提供し、方法は、患者に本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶、または本明細書中で定義されるような医薬組成物、および抗癌剤を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体I型のXRPDディフラクトグラムを示す。
【
図1B】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体II型のXRPDディフラクトグラムを示す。
【
図1C】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体III型のXRPDディフラクトグラムを示す。
【
図1D】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体IV型のXRPDディフラクトグラムを示す。
【
図1E】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の不定形型のXRPDディフラクトグラムを示す。2シータ角ピークは、不定形化合物について認められない。
【
図1F】V型またはパターン5(同義的に用いられる)とよばれる、化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の2-プロパノール溶媒和物のXRPDディフラクトグラムを示す。
【
図2A】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体I型のTG/DSCサーモグラムを示す。2段階の質量損失が、TGトレースにおいて観察された:211℃と250℃の間の48wt%質量損失(C9H7F6N)、および250℃と300℃の間の16wt%(CH2N4)質量損失。さらなる質量損失は認められなかったので、I型は非溶媒和の無水多形体であると結論付けられる。DSCトレースにおいて、221℃(融点)で開始する吸熱事象が、48wt%質量損失と同時に観察され、これに、16wt%質量損失と同時に270℃で開始する発熱分解事象が続いた。(a)エンタルピー(正規化された):121.68J/g;ピーク温度:228.92℃;開始温度:221.30℃。(b)エンタルピー(正規化された):238.68J/g;ピーク温度:278.42℃;開始温度:269.84℃。
【
図2B】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体II型のTG/DSCサーモグラムを示す。2段階の質量損失が、TGトレースにおいて観察された:189℃と248℃の間の54wt%質量損失、および248℃と300℃の間の20wt%質量損失。さらなる質量損失は認められなかったので、II型は非溶媒和の無水多形体であると結論付けられる。DSCトレースにおいて、214℃(融点)で開始する吸熱事象が、54wt%質量損失と同時に観察された;これに、20wt%質量損失と同時に273℃で開始する発熱分解事象が観察された。(a)エンタルピー(正規化された):67.701J/g;ピーク温度:222.81℃;開始温度:213.99℃。(b)エンタルピー(正規化された):333.24J/g;ピーク温度:283.20℃;開始温度:272.94℃。
【
図2C】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体III型のTG/DSCサーモグラムを示す。TGトレースにおいて、APIの分解による2段階の質量損失が観察された:185℃と250℃の間の52.0wt%、および250℃と300℃の間の17.4wt%。さらなる質量損失は認められなかった。DSCトレースでは、162℃で開始されたI型には存在しなかった別の発熱事象が観察された。VT-XRPD(温度可変XRPD)によるさらなる分析は、この発熱事象がIII型のIV型への変換に起因することを明らかにし、150℃でのIII型およびIV型の混合物、ならびに155℃でのIV型への完全変換を示している。これに、223℃(融点)で開始する吸熱事象が続き、その後にAPIの分解に起因する272℃で開始する発熱事象が続いた。(a)エンタルピー(正規化された):15.517J/g;ピーク温度:171.12℃;開始温度:161.86℃。(b)エンタルピー(正規化された):71.642J/g;ピーク温度:229.90℃;開始温度:223.10℃。(c)エンタルピー(正規化された):162.97J/g;ピーク温度:280.15℃;開始温度:271.68℃。
【
図2D】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体IV型のTG/DSCサーモグラムを示す。TGトレースにおいて、質量損失は、APIの分解に起因する2段階の質量損失までは認められなかった。これらは、190℃と255℃の間の54.3wt%、ならびに255℃と300℃の間の16.7wt%であった。さらなる質量損失は認められなかったので、IV型は非溶媒和の無水多形体であると結論付けられる。225℃で開始する吸熱事象が観察され、それにAPIの分解に起因する271℃で開始する発熱事象が続いた。(a)エンタルピー(正規化された):68.722J/g;ピーク温度:231.40℃;開始温度:225.20℃。(b)エンタルピー(正規化された):116.26J/g;ピーク温度:278.52℃;開始温度:270.65℃。
【
図2E】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の不定形型のTG/DSCサーモグラムを示す。TGトレースにおいて、3.4wt%(0.3当量のアセトンまたは0.97当量の水)質量損失が、90℃と155℃の間で観察された。これに、180℃と247℃の間の49wt%および247℃と305℃の間の18wt%のAPIの分解に起因する2段階の質量損失が続いた。DSCトレースにおいて、小発熱事象が、アセトン質量損失と同時に141℃で開始して観察された。さらに、215℃で開始する吸熱事象およびその後の273℃で開始する発熱事象が、分解による質量損失と同時に観察された。(a)エンタルピー(正規化された):16.389J/g;ピーク温度:147.62℃;開始温度:141.31℃。(b)エンタルピー(正規化された):46.123J/g;ピーク温度:223.34℃;開始温度:215.33℃。(c)エンタルピー(正規化された):192.48J/g;ピーク温度:280.08℃;開始温度:273.03℃。
【
図2F】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)すなわちV型の2-プロパノール(イソプロパノール)溶媒和型のTG/DSCサーモグラムを示す。TGトレースにおいて、受け取った原材料には存在しなかった1段階の質量損失が、観察された。100℃と150℃の間における11.2wt%(1.0当量の2-プロパノールまたは3.5当量の水)の質量損失。これに、180℃と250℃の間の46.6wt%、ならびに250℃と305℃の間の15.6wt%のAPIの分解に起因する2段階の質量損失が続いた。DSCトレースにおいて、I型には認められなかった別の一吸熱事象が観察され、2-プロパノール質量損失と同時に124℃で起こった。これに、220℃で開始する吸熱事象、その後のAPIの分解に起因し271℃で開始する発熱事象が続いた。これらのデータは、V型がイソプロパノール溶媒和物であることを支持する。(a)エンタルピー(正規化された):81.609J/g;ピーク温度:132.09℃;開始温度:123.79℃。(b)エンタルピー(正規化された):67.328J/g;ピーク温度:228.55℃;開始温度:220.37℃。(c)エンタルピー(正規化された):175.03J/g;ピーク温度:278.52℃;開始温度:270.72℃。
【
図3A】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体I型のDVS(動的蒸気収着)図を示す。この図は、相対湿度を90%に増加させた場合にI型の試料の質量になんらの増加も観察されないので、I型が非吸湿性であることを示す。
【
図3B】化合物N-[4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラゾール-5-イル)フェニル]-N′-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(SCO-101)の多形体II型のDVS図を示す。おおよそ6%の質量増加が、90%相対湿度において観察される。RHを70%から80%へと増加させた場合の3%の重量増加は、一水和物の形成に対応し、全体で6%の重量増加は、二水和物に対応する。この図は、II型が吸湿性であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
本明細書で用いられる用語「多形体」または「多形体型」は、SCO-101の多形体型を指す。不定形または結晶形態のいずれかで存在する固体を、本明細書では結晶型ともよぶ。結晶型の場合、結晶の分子は、3次元格子部位に配列される。化合物が溶液またはスラリーから再結晶化する場合、それは、異なる空間的格子配列で結晶化することもある;この特性を「多型性」とよび、個別に「多形体」とよばれる異なる結晶型を含む。所定の物質の異なる多形体型は、1種類以上の物理的特性(溶解度および解離、真の密度、結晶型、圧密挙動、流動特性、および/または固体状態安定性など)に関して互いに異なってよい。2種類の(またはそれより多い)多形体型で存在する化学物質の場合には、その非安定型は一般的に、所定の温度で充分な期間経た後に熱力学的により安定な型に変換する。この変換が急速でない場合に、熱力学的に不安定な型を「準安定な」型とよぶ。
【0020】
特に指定のない限り、2シータ角の単位は、度(°)である。2シータ角が多形体の異なるXRPD最大ピーク値を特徴付けるために用いられる場合、各2シータ角は、誤差マージンとして±0.2°を含む。したがって、2シータ角10.0により規定されるXRPDピークの最大は、10.0±0.2で表される、9.8および10.2、ならびにそれらの間の任意の値を含む。
【0021】
本明細書で使用される用語「開始温度」は、DSC/TG実験における融解の開始時での外挿されたベースラインと屈折接線の設計された交点を指す。
【0022】
本明細書で使用される用語「ピーク温度」は、当業者には公知の示差走査熱量測定法(DSC)によって測定可能な、極大温度または極小温度を指す。
【0023】
本明細書で使用される用語「シーディング」は、結晶の形成を促進するために結晶化溶液に1つ以上の「種」結晶を加える技術を指す。
【0024】
本明細書で使用される用語「不定形型」は、X線粉末回折(XRPD)によって決定されるような物質の非結晶型を指す。用語「不定形」型は、分子の無秩序な配列の、かつ区別可能な結晶格子を有しない固体を含む。
【0025】
用語「多形体型」は、例えば結晶の硬度、形態およびサイズにおいて結晶性材料の違いを提供する異なる結晶格子を有する異なる結晶型として存在する、SCO-101の特性を指す。異なる結晶形態または結晶型は、結晶学的技術(XRPDおよびDSC/TGなど)により、または各特定の多形体に関連する物理的および/または化学的な特性における差異の評価により間接的に、同定されかつ調べられ得る。異なる多形体は、物理的特性(溶解度、溶解、固体状態安定性など)ならびに粉体流および打錠中の圧縮に関する加工挙動において異なる。
【0026】
本明細書で使用される用語「抗癌剤」」は、感受性腫瘍に対する活性を有する化学療法剤を含むが、これらに限定されない。
【0027】
用語「極性プロトン性溶媒」は、試薬とプロトンを交換できる、かつ分極可能なプロトンを含む、極性溶媒を指す。
【0028】
用語「極性非プロトン性溶媒」は、酸性水素を含まずかつ水素結合ドナーとして作用しない、極性溶媒を指す。
【0029】
用語「非極性溶媒」は、好ましくは9.5未満の、低い誘電率(ε)を有し、かつ水と混和しない、溶媒を指す。
【0030】
用語「相対湿度」または「RH」は、所定の温度における水の平衡蒸気圧に対する水蒸気分圧の%の比率を指す。
【0031】
用語「吸湿性」は、吸収、吸着、またはこれらの2種類のプロセスの組み合わせのいずれかにより水を吸収する、化合物または多形体型を説明するために本明細書で用いられる。
【0032】
用語「I型」および「I型結晶」は、同義で本明細書にて用いられる。I型、II型、III型、IV型、およびV型についても同様である。
【0033】
SCO-101の結晶型
I型結晶
I型SCO-101は、非吸湿性であり熱力学的に最も安定なSCO-101多形体であることが示されている。さらに、I型は、SCO-101の他の非溶媒和型および溶媒和型(II型など)と比較して優れた特性を示している。I型は、II型よりも高い融点を有する(
図2Aと
図2B);かつ競争的スラリー実験の結果(実施例7)と共に、I型が、同定された他の型と比較してSCO-101のより熱力学的に安定な多形体であると結論付けることができる。さらに、I型(
図3A)およびII型(
図3B)のDVS分析は、I型は本質的に非吸湿性であり、他方II型は90%RHにおいておおよそ6%(w/w)の水を吸収することを示した。これらの実験的観察は、SCO-101のI型結晶が、安定性および非吸湿性の観点から臨床開発のために最も魅力的な結晶型であることを支持する。
【0034】
したがって、一実施態様においては、SCO-101:
【化7】
のI型結晶を提供し、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:19.0±0.2、21.2±0.2、および23.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0035】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、13.9±0.2、19.9±0.2、および26.9±0.2から成る群から選択される2シータ角で1つ以上のピークの最大値をさらに示す。
【0036】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、および21.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0037】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される
場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、および23.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0038】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、および26.9±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0039】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、および26.9±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0040】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、26.9±0.2、および27.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0041】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、20.4±0.2、21.2±0.2、23.4±0.2、26.9±0.2、および27.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0042】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:12.0±0.2、13.9±0.2、19.0±0.2、19.9±0.2、20.4±0.2、21.2±0.2、23.2±0.2、23.4±0.2、26.9±0.2、および27.4±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0043】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムで、表1による2シータ角において少なくともピークの最大値を示す。
【0044】
【0045】
一実施態様においては、I型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合
図1AによるXRPDディフラクトグラムを示す。
【0046】
I型結晶:融点(吸熱事象)
XRPDディフラクトグラムに加えて、多形体は、それらの融点によっても規定される。融点は、質量喪失と関連しない、示差走査熱量測定法(DSC)により観察される吸熱事象として測定できる。融点は、吸熱事象の開始温度またはピーク温度、あるいはその両方のいずれかにより定義される。
【0047】
一実施態様においては、I型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて218℃~226℃(219℃~224℃など、220℃~222℃など、例えば221℃)の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0048】
一実施態様においては、I型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて224℃~234℃(225℃~233℃など、226℃~232℃など、227℃~231℃など、228℃~230℃など、例えば229℃)のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。一実施態様においては、I型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて229℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0049】
II型結晶
WO2000/24707でのように調製されるSCO-101の多形体型は、II型である。SCO-101:
【化8】
のII型結晶は、CuKα照射を用いて測定した場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:18.8±0.2、23.2±0.2、および20.5±0.2で少なくともピークの最大値を示すことを特徴とする。
【0050】
SCO-101のII型結晶は、表IIに示す2シータ値を用いて同定できる。
【0051】
【0052】
III型結晶
SCO-101(III型)の非溶媒和結晶型は、実施例5により示されるようにメタノール中で不定形SCO-101のスラリーを温度サイクリングすることにより、取得可能である。SCO-101の非溶媒和結晶型(III型)は次いで、実施例7により示されるようにI型結晶に変換できる。
【0053】
したがって、一実施態様においては、SCO-101:
【化9】
のIII型結晶を提供し、結晶はCuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、21.7±0.2、および23.3±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0054】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、19.9±0.2、22.2±0.2、および26.2±0.2から成る群から選択される2シータ角で1つ以上のピークの最大値をさらに示す。
【0055】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、21.7±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0056】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0057】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0058】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0059】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、22.5±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0060】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、19.2±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、22.5±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0061】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:11.1±0.2、16.6±0.2、18.0±0.2、19.2±0.2、19.9±0.2、21.7±0.2、22.2±0.2、22.5±0.2、23.3±0.2、および26.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0062】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、表IIIによる2シータ角で少なくともピークの最大値値を示す。
【0063】
【0064】
一実施態様においては、III型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合
図1CによるXRPDディフラクトグラムを示す。
【0065】
III型結晶:融点(吸熱事象)
XRPDディフラクトグラムに加えて、多形体は、それらの融点によっても規定される。融点は、質量喪失と関連しない、示差走査熱量測定法(DSC)により観察される吸熱事象として測定できる。融点は、吸熱事象の開始温度またはピーク温度、あるいはその両方のいずれかにより定義される。
【0066】
一実施態様においては、III型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて220℃~228℃(221℃~226℃など、222℃~224℃など、例えば223℃)の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。一実施態様においては、III型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて223℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0067】
一実施態様においては、III型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて225℃~235℃(226℃~234℃など、226℃~234℃など、227℃~233℃など、228℃~232℃など、229℃~231℃、例えば230℃)のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0068】
一実施態様においては、III型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて230℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0069】
IV型結晶
SCO-101(IV型)の非溶媒和結晶型は、実施例5により示されるように3日間40℃/75%相対湿度(RH)において開放バイアル中でIII型結晶を保存することにより、取得可能である。SCO-101の非溶媒和結晶型(IV型)は次いで、実施例7により示されるようにI型結晶に変換できる。
【0070】
したがって、一実施態様においては、SCO-101:
【化10】
のIV型結晶を提供し、結晶はCuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:22.6±0.2、23.4±0.2、および23.7±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0071】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、および24.1±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0072】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、21.6±0.2、24.1±0.2、および27.2±0.2から成る群から選択される2シータ角で1つ以上のピークの最大値をさらに示す。
【0073】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0074】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:21.6±0.2、20.1±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0075】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:21.6±0.2、20.1±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、25.6±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0076】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:13.5±0.2、21.6±0.2、20.1±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、25.6±0.2、および27.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0077】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、および24.1±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0078】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:13.5±0.2、20.1±0.2、21.6±0.2、22.6±0.2、23.4±0.2、23.7±0.2、24.1±0.2、25.6±0.2、27.4±0.2、および30.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0079】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、表IVによる2シータ角で少なくともピークの最大値を示す。
【0080】
【0081】
一実施態様においては、IV型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合
図1DによるXRPDディフラクトグラムを示す。
【0082】
IV型結晶:融点(吸熱事象)
XRPDディフラクトグラムに加えて、多形体は、それらの融点によっても規定される。融点は、質量喪失と関連しない、示差走査熱量測定法(DSC)により観察される吸熱事象として測定できる。融点は、吸熱事象の開始温度またはピーク温度、あるいはその両方のいずれかにより定義される。
【0083】
一実施態様においては、IV型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて222℃~230℃(223℃~228℃など、224℃~226℃など、例えば225℃)の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。一実施態様においては、IV型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて225℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0084】
一実施態様においては、IV型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて226℃~236℃(227℃~235℃など、228℃~234℃など、229℃~233℃など、230℃~232℃など、例えば231℃)のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。一実施態様においては、IV型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて231℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0085】
V型結晶
SCO-101の結晶性イソプロパノール溶媒和物は、V型結晶と同定された。V型結晶は、実施例7で示されるようにすI型結晶に変換できる。
【0086】
一実施態様においては、SCO-101のイソプロパノール溶媒和物:
【化11】
のV型結晶を提供し、結晶はCuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:9.4±0.2、21.1±0.2、および22.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0087】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、8.2±0.2、10.5± 0.2、および24.2±0.2から成る群から選択される2シータ角で1つ以上のピークの最大値をさらに示す。
【0088】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、21.1±0.2、および22.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0089】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、および22.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0090】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、および24.2±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0091】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、24.2±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0092】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、24.2±0.2、25.5±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0093】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、24.2±0.2、24.6±0.2、25.5±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0094】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:8.2±0.2、9.4±0.2、10.5±0.2、21.1±0.2、22.2±0.2、23.7±0.2、24.2±0.2、24.6±0.2、25.5±0.2、および28.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す。
【0095】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムで、表Vによる2シータ角において少なくともピークの最大値を示す。
【0096】
【0097】
一実施態様においては、V型結晶は、CuKα照射を用いて測定される場合
図1FによるXRPDディフラクトグラムを示す。
【0098】
V型結晶:融点(吸熱事象)
XRPDディフラクトグラムに加えて、多形体は、それらの融点によっても規定される。融点は、質量喪失と関連しない、示差走査熱量測定法(DSC)により観察される吸熱事象として測定できる。融点は、吸熱事象の開始温度またはピーク温度、あるいはその両方のいずれかにより定義される。
【0099】
一実施態様においては、V型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて216℃~224℃(217℃~223℃など、218℃~222℃など、219℃~221℃など、例えば220℃)の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。一実施態様においては、V型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて220℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0100】
一実施態様においては、V型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて224℃~234℃(225℃~233℃など、226℃~232℃など、227℃~231℃など、228℃~230℃など、例えば229℃)のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。一実施態様においては、V型結晶は、10℃/分の加熱速度を用いて229℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0101】
不定形SCO-101
不定形SCO-101は、実施例2に示す方法により調製できる。
【0102】
一実施態様においては、SCO-101:
【化12】
の不定形型を提供し、不定形型はCuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、0~40の2シータ角でピーク最大値を示さない。
【0103】
SCO-101の不定形型などの不定形材料のXRPDディフラクトグラムは、厳密に水平ではないが、当業者であれば
図1E中のような凸ベースラインはピーク最大値を表さないことを理解するであろう。
【0104】
一実施態様においては、不定形型は、CuKα照射を用いて測定される場合
図1EによるXRPDディフラクトグラムを示す。
【0105】
一実施態様においては、不定形型は、10℃/分の加熱速度を用いて211℃~219℃(212℃~218℃など、213℃~217℃など、214℃~216℃など、例えば215℃)の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。一実施態様においては、不定形型は、10℃/分の加熱速度を用いて215℃の開始温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0106】
一実施態様においては、不定形型は、10℃/分の加熱速度を用いて218℃~228℃(219℃~227℃など、220℃~226℃など、221℃~225℃など、222℃~224℃、例えば223℃)のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0107】
一実施態様においては、不定形型は、10℃/分の加熱速度を用いて223℃のピーク温度を示差走査熱量測定法(DSC)において示す。
【0108】
SCO-101の準安定型
一実施態様においては、SCO-101:
【化13】
の準安定型を提供し、それは、保存下でまたはI型結晶の調製に関して本明細書中で定義されるようなプロセスによりI型結晶に変換し;準安定型は、CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて、2シータ角:18.8±0.2、23.2±0.2、および20.5±0.2で少なくともピークの最大値を示すSCO-101のII型結晶ではない。
【0109】
一実施態様においては、保存下は、室温(20℃~25℃など)での保存を指す。一実施態様においては、保存下は、35℃~50℃での保存を指す。一実施態様においては、保存下は、2℃~8℃での保存を指す。
【0110】
一実施態様においては、保存下は、準安定型の製造後1か月間の保存を指す。一実施態様においては、保存下は、準安定型の製造後1か月以上(2か月以上など、3か月以上など、4ヶ月以上など、5か月以上など、6か月以上など)の保存を指す。
【0111】
I型結晶の調製
I型結晶:調製
SCO-101は、実施例1に記載の方法を用いて調製できる。実施例1の方法を用いて取得したSCO-101産物は、II型結晶であり、それは、例えば、実施例4に記載の方法または実施例7に記載の方法を用いてI型結晶に変換できる。一実施態様においては、I型結晶の調製に用いられるSCO-101は、工程(a)の前に、任意選択的に真空で、乾燥される。
【0112】
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)第1の既定温度において1種類以上の極性非プロトン性溶媒中にSCO-101を溶解する工程;
(b)SCO-101のI型結晶を提供するために、第1の既定期間にわたり1種類以上の極性非プロトン性溶媒に1種類以上の極性プロトン性溶媒を加える工程;
および
(c)SCO-101のI型結晶を単離する工程
の連続工程を含む。
【0113】
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)第1の既定温度において1種類以上の極性プロトン性溶媒中にSCO-101を溶解する工程;
(b)SCO-101のI型結晶を提供するために、第1の既定期間にわたり1種類以上の極性プロトン性溶媒に1種類以上の極性非プロトン性溶媒を加える工程;
および
(c)SCO-101のI型結晶を単離する工程
の連続工程を含む。
【0114】
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスはむ:
(a)第1の既定温度において1種類以上の極性非プロトン性溶媒中にSCO-101を溶解する工程;
(b)SCO-101のI型結晶を提供するために、第1の既定期間にわたり1種類以上の極性非プロトン性溶媒に1種類以上の非極性溶媒を加える工程;
および
(c)SCO-101のI型結晶を単離する工程
の連続工程を含む。
【0115】
一実施態様においては、プロセスは、工程(a)の前に事前の結晶化工程をさらに含み、事前の結晶化工程は、
(i)SCO-101および1種類以上の不純物を含む組成物を2-プロパノールと混合して混合物を提供する工程;
(ii)第1の既定温度よりも高い第2の既定温度で、あるいは第2の既定温度に混合物を加熱する工程;
(iii)第2の既定期間にわたり混合物に水を加える工程;
(iv)固体としてSCO-101を提供するために、第2の既定温度よりも低い第3の既定温度に混合物を冷却する工程、および任意選択的に濾過により固体をさらに単離する工程
を含む。
【0116】
溶媒
一実施態様においては、1種類以上の極性非プロトン性溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルプロピレン尿素、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、2-MeTHF、およびテトラヒドロフランから成る群から選択される。一実施態様においては、極性非プロトン性溶媒は、アセトンである。
【0117】
一実施態様においては、1種類以上の極性プロトン性溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、および酢酸から成る群から選択される。一実施態様においては、極性プロトン性溶媒は、水である。
【0118】
一実施態様においては、1種類以上の非極性溶媒は、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンから成る群から選択される。
【0119】
温度
一実施態様においては、第1の既定温度は、0℃~20℃(10℃±5℃など)である。
【0120】
一実施態様においては、第2の既定温度は、31℃~80℃(31℃~35℃など、35℃~40℃など、40℃~45℃など、45℃~50℃など、50℃~55℃など、55℃~60℃など、60℃~65℃など、65℃~70℃など、70℃~75℃など、75℃~80℃など、例えば50℃)である。
【0121】
一実施態様においては、第3の既定温度は、10℃~30℃(10℃~12℃など、12℃~14℃など、14℃~16℃など、16℃~18℃など、18℃~20℃など、20℃~22℃など、22℃~24℃など、24℃~26℃など、26℃~28℃など、28℃~30℃など、例えば20℃)である。
【0122】
時間
一実施態様においては、第1の既定期間は、10分~360分(70分~90分など)である。
【0123】
一実施態様においては、第2の既定期間は、1分~120分(1分~10分など、10分~20分など、20分~30分など、30分~40分など、40分~50分など、50分~60分など、60分~70分など、70分~80分など、80分~90分など、90分~100分など、100分~110分など、110分~120分など)である。一実施態様においては、第2の既定期間は、30分である。
【0124】
不純物
一実施態様においては、1種類以上の不純物は、4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラアゾール-5-イル)アニリン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-イソシアン酸フェニル、およびトルエンから成る群から選択される。これらの不純物の1種類以上または全部は、本明細書に開示されるプロセスにより、例えば実施例4により示されるように、有効に除去できる。
【0125】
シーディング(Seeding)
一実施態様においては、本明細書に開示のプロセスは、SCO-101のI型結晶の1つ以上の種晶を添加することを含む。1つ以上の種晶は、SCO-101のI型結晶の調製において、本明細書で開示される工程のいずれかの前に、経過中または後で添加できる。一実施態様においては、1つ以上の種晶は、本明細書で開示されるプロセスの工程(a)の前に添加される。
【0126】
一実施態様においては、種晶が添加されないプロセスを提供する。
【0127】
準安定型からのI型結晶の調製
実施例7のスラリー実験は、SCO-101の結晶質非溶媒和I型結晶は熱力学的に安定な多形体であることを示した。さらに、これらの方法/プロセスは、準安定型をI型結晶に変換するためにも利用可能である。
【0128】
一実施態様においては、準安定型から本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは、
(a)SCO-101の結晶型または不定形型である準安定型を提供する工程;
(b)
(i)1種類以上の極性非プロトン性溶媒および(ii)1種類以上の極性プロトン性溶媒または1種類以上の非極性溶媒:の溶媒混合物中で、準安定型を本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶と混合する工程:;
(c)少なくとも1時間第6の既定温度において溶媒混合物を撹拌し、それによりSCO-101のI型結晶を提供する工程
を含む。
【0129】
一実施態様においては、工程(c)中の溶媒混合物を、6時間以上(12時間以上など、1日間以上など、2日間以上など、3日間以上など、4日間以上など、5日間以上など、6日間以上など、7日間以上など)撹拌する。
【0130】
一実施態様においては、工程(c)において取得したSCO-101のI型結晶を、任意選択的に濾過により、溶媒混合物から分離する。
【0131】
準安定型
一実施態様においては、SCO-101の準安定型は、
(i)CuKα照射を用いて測定される場合X線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムにおいて2シータ角:18.8±0.2、23.2±0.2、および20.5±0.2で少なくともピークの最大値を示す、SCO-101:
【化14】
のII型結晶;
(ii)本明細書中で定義されるようなSCO-101のIII型結晶;
(iii)本明細書中で定義されるようなSCO-101のIV型結晶;
および
(iv)本明細書中で定義されるようなSCO-101のV型結晶
から成る群から選択される。
【0132】
温度
一実施態様においては、第6の既定温度は、30℃~60℃(30℃~32℃など、32℃~34℃など、34℃~36℃など、36℃~38℃など、38℃~40℃など、40℃~42℃など、42℃~44℃など、44℃~46℃など、46℃~48℃など、48℃~50℃など、50℃~52℃など、52℃~54℃など、54℃~56℃など、56℃~58℃など、58℃~60℃など、例えば40℃)である。
【0133】
一実施態様においては、第6の既定温度は、30℃~60℃(31℃~58℃など、32℃~56℃など、33℃~54℃など、34℃~52℃など、35℃~50℃など、36℃~48℃など、37℃~46℃など、38℃~44℃など、39℃~42℃など、例えば40℃)である。
【0134】
一実施態様においては、工程(c)の溶媒混合物は、6時間以上(12時間以上など、1日間以上など、2日間以上など、3日間以上など、4日間以上など、5日間以上など、6日間以上など、7日間以上など)撹拌される。
【0135】
溶媒
一実施態様においては、1種類以上の極性非プロトン性溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルプロピレン尿素、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、2-MeTHF、およびテトラヒドロフランから成る群から選択される。
【0136】
一実施態様においては、1種類以上の極性プロトン性溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、および酢酸から成る群から選択される。
【0137】
一実施態様においては、1種類以上の非極性溶媒は、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、トルエン、およびジエチルエーテルから成る群から選択される。
【0138】
一実施態様においては、極性非プロトン性溶媒は、アセトンであり、極性プロトン性溶媒は、水である。一実施態様においては、極性非プロトン性溶媒は、アセトンであり、非極性溶媒は、ヘプタンである。
【0139】
一実施態様においては、SCO-101のI型結晶を調製するための本明細書中で定義されるようなプロセスにより取得可能な、SCO-101:
【化15】
のI型結晶を提供する。
【0140】
III型結晶:調製
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のIII型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)SCO-101をメタノールなどの1種類以上の極性プロトン性溶媒と混合して、混合物を提供する工程;
(b)1以上の温度サイクルを実施する工程であって、温度が、第4の既定温度と第5の既定温度の間で循環され、第4の既定温度が、第5の既定温度より高い、工程;
(c)混合物から本明細書中で定義されるようなSCO-101のIII型結晶を単離する工程
の連続工程を含む。
【0141】
一実施態様においては、工程(a)中のSCO-101は、本明細書中で定義されるようなSCO-101の不定形型である。
【0142】
温度サイクル
一実施態様においては、1以上の温度サイクルは、2~6サイクル(2~3サイクルなど、3~4サイクルなど、4~5サイクルなど、5~6サイクルなど)である。
【0143】
温度
一実施態様においては、第4の既定温度は、31℃~60℃(31℃~35℃など、35℃~40℃など、40℃~45℃など、45℃~50℃など、50℃~55℃など、55℃~60℃など)である。
【0144】
一実施態様においては、第5の既定温度は、15℃~30℃(15℃~20℃など、20℃~25℃など、25℃~30℃など)である。
【0145】
乾燥
一実施態様においては、SCO-101は、工程(c)の前に、任意選択的に真空で、乾燥される。一実施態様においては、SCO-101は、工程(c)の後で、任意選択的に真空で、乾燥される。
【0146】
一実施態様においては、SCO-101は、工程(c)の前に少なくとも6時間30℃~60℃で、任意選択的に真空で、乾燥される。一実施態様においては、SCO-101は、工程(c)の後で少なくとも6時間30℃~60℃で、任意選択的に真空で、乾燥される。
【0147】
一実施態様においては、SCO-101は、工程(c)の前にS6時間~72時間30℃~60℃で、任意選択的に真空で、乾燥される。一実施態様においては、SCO-101は、工程(c)の後で6時間~72時間30℃~60℃で、任意選択的に真空で、乾燥される。
【0148】
IV型結晶:調製
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のIV型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは、
(a)本明細書中で定義されるようなSCO-101のIII型結晶を提供する工程;
および
(b)少なくとも24時間30℃~60℃でSCO-101のIII型結晶を保存しそれによりSCO-101のIV型結晶を調製する工程
の連続工程を含む。
【0149】
一実施態様においては、SCO-101のIII型結晶は、1日以上(2日以上など、3日以上など、4日以上など、5日以上など、6日以上など、7日以上など)の間保存される。
【0150】
V型結晶:調製
V型結晶は、I型結晶に対する中間段階の結晶型として提供され得る。特に、SCO-101のアセトン中の溶媒和前の実施例4に記載されるような方法の最初の部分を用いて、V型結晶を提供できる。V型結晶は、本明細書に記載の方法を用いておよび特に実施例4に例示されるように、改良型であるI型結晶へとさらに変換できる。V型結晶はまた、実施例7により例示されるようにI型結晶に変換され得る。
【0151】
一実施態様においては、本明細書で定義されるようなSCO-101のV型結晶を調製するプロセスを提供し、プロセスは:
(a)SCO-101を含む組成物をイソプロパノールと混合して混合物を提供する工程;
(b)混合物を第7の既定温度にあるいは温度で加熱する工程;
(c)第3の既定期間を通じて混合物に水を加える工程;
(d)第4の既定期間を通じて混合物の温度を第8の既定温度に調整して固形組成物を提供する工程;
(e)固形組成物を単離し、かつ任意選択的に固形組成物を乾燥して、SCO-101のV型結晶を提供する工程
の連続工程を含む。
【0152】
温度
一実施態様においては、第7の既定温度は、30℃~82℃(31℃~80℃など、32℃~78℃など、33℃~76℃など、34℃~74℃など、35℃~72℃など、36℃~70℃など、38℃~68℃など、39℃~66℃など、40℃~64℃など、41℃~62℃など、42℃~60℃など、43℃~58℃など、44℃~56℃など、45℃~55℃など、46℃~54℃など、47℃~52℃など、48℃~52℃など、49℃~51℃など、例えば50℃)である。
【0153】
一実施態様においては、第8の既定温度は、2℃~29℃(4℃~28℃など、6℃~27℃など、8℃~26℃など、10℃~25℃など、12℃~24℃など、14℃~24℃など、16℃~24℃など、17℃~23℃など、18℃~22℃など、19℃~21℃など、例えば20℃)である。
【0154】
時間
一実施態様においては、第3の既定期間は、1時間以内(50分以内など、40分以内など、30分以内など)である。
【0155】
一実施態様においては、第3の既定期間は、1分~60分(5分~55分以内など、10分~50分以内など、15分~45分以内など、20分~40分以内など、25分~35分以内など、例えば30分間)である。
【0156】
一実施態様においては、第4の既定期間は、1分以上(10分以上など、20分以上など、30分以上など、40分以上など、50分以上など、60分以上など)である。
【0157】
一実施態様においては、第4の既定期間は、1分~12時間(5分~10時間など、10分~8時間など、20分~6時間など、20分~4時間など、30分~2時間など、例えば1時間)である。
【0158】
不定形SCO-101:調製
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101の不定形型を調製するプロセスを提供し、プロセスは、
(a)SCO-101を含む組成物を1種類以上の極性非プロトン性溶媒と混合して、組成物の完全溶解を示唆する目視で固形物のない透明溶液を取得する工程;
(b)任意選択的に真空で、第9の既定温度において1種類以上の極性非プロトン性溶媒を蒸発させて固形組成物を提供する工程;
(c)任意選択的に固形組成物をさらに乾燥して、SCO-101の不定形型を提供する工程
の連続工程を含む。
【0159】
溶媒
一実施態様においては、1種類以上の極性非プロトン性溶媒は、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルプロピレン尿素、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、2-MeTHF、およびテトラヒドロフランから成る群から選択される。一実施態様においては、極性非プロトン性溶媒は、アセトンである。
【0160】
温度
一実施態様においては、第9の既定温度は、1種類以上の極性非プロトン性溶媒の沸点である。
【0161】
一実施態様においては、第9の既定温度は、30℃~60℃(31℃~58℃など、32℃~56℃など、33℃~54℃など、34℃~52℃など、35℃~50℃など、36℃~48℃など、37℃~46℃など、38℃~44℃など、39℃~42℃など、例えば40℃)である。
【0162】
医薬組成物
一実施態様においては、本明細書に開示されるような医薬組成物を提供し、医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。そのような組成物は、錠剤またはカプセルの形態であってよい。
【0163】
一実施態様においては、医薬組成物を提供し、医薬組成物は、本明細書中で定義されるようなSCO-101の結晶型または不定形型のいずれか1種類ならびに1種類以上の薬学的に許容可能なアジュバント、添加剤、担体、緩衝液および/または希釈剤を含む。
【0164】
一実施態様においては、医薬組成物を提供し、医薬組成物は、本明細書中で定義されるようなSCO-101の結晶型または不定形型のいずれか1種類(ただし結晶型はSCO-101のII型結晶ではない)、ならびに1種類以上の薬学的に許容可能なアジュバント、添加剤、担体、緩衝液および/または希釈剤を含む。
【0165】
一実施態様においては、医薬組成物を提供し、医薬組成物は、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶、III型結晶、IV型結晶、V型結晶または不定形型のいずれか1種類、ならびに1種類以上の薬学的に許容可能なアジュバント、添加剤、担体、緩衝液および/または希釈剤を含む。
【0166】
一実施態様においては、医薬組成物を提供し、医薬組成物は、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶ならびに1種類以上の薬学的に許容可能なアジュバント、添加剤、担体、緩衝液および/または希釈剤を含む。
【0167】
癌治療におけるI型結晶
一実施態様においては、本明細書中で定義されるような医薬組成物ならびに1種類以上の抗癌剤を患者に投与することを含む癌を有する患者を治療する方法を提供する。治療効果は、本明細書に開示の抗癌剤の1種類以上と組み合わせてSCO-101のいずれかの結晶型または不定形型を含む医薬組成物を投与することにより得ることができる。
【0168】
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶または本明細書中で定義されるような医薬組成物、ならびに1種類以上の抗癌剤を患者に投与することを含む癌を有する患者を治療する方法を提供する。
【0169】
一実施態様においては、本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶または本明細書中で定義されるような医薬組成物は、患者に毎日投与される。
【0170】
一実施態様においては、本開示は、癌の治療における使用のための本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶を提供し、ここでSCO-101のI型結晶は、1種類以上の抗癌剤と組み合わせて投与される。
【0171】
一実施態様においては、本開示は癌の治療のための治療薬剤の調製のための本明細書中で定義されるようなSCO-101のI型結晶の用途を提供し、ここでSCO-101のI型結晶は、1種類以上の抗癌剤と組み合わせて投与される。
【0172】
1種類以上の抗癌剤は、SCO-101と同時に、逐次的に、または別個に投与されてもよい。
【0173】
一実施態様においては、1種類以上の抗癌剤は、トポイソメラーゼ阻害剤、抗ホルモン剤、アルキル化薬、分裂抑制剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、コルチコステロイド類、標的抗癌療法、分化誘導薬および免疫療法から成る群から選択される。
【0174】
トポイソメラーゼ阻害剤
一実施態様においては、抗癌剤は、トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤である。
【0175】
一実施態様においては、抗癌剤は、イリノテカン、その活性代謝産物SN-38、およびトポテカンから成る群から選択されるトポイソメラーゼI阻害剤である。
【0176】
抗ホルモン剤
一実施態様においては、抗癌剤は、
(a)フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン、およびクロミフェンから成る群から選択される抗エストロゲン;または
(b)ミフェプリストン(mifepristone)、ウリプリスタル酢酸エステル、アグレプリストン、リロプリストンおよびオナプリストン(onapristone)から成る群から選択される抗プロゲストゲン
である、抗ホルモン剤である。
【0177】
一実施態様においては、抗エストロゲンは、フルベストラントまたはタモキシフェンである。
【0178】
一実施態様においては、抗プロゲストゲンは、オナプリストン(onapristone)である。
【0179】
アルキル化薬
【0180】
一実施態様においては、抗癌剤は、
(a)メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド(ifosfamide)、およびメルファラン(melphalan)から成る群から選択されるナイトロジェンマスタード;
(b)ストレプトゾシン(streptozocin)、カルムスチン、およびロムスチンから成る群から選択されるニトロソ尿素;
(c)ブスルファンから成る群から選択されるスルホン酸アルキル;
(d)ダカルバジン(DTIC)およびテモゾロミド(temozolomide)から成る群から選択されるトリアジン;または
(e)チオテパおよびアルトレタミン(altretamine)(ヘキサメチルメラミン)から成る群から選択されるエチレンイミン
である、アルキル化薬である。
【0181】
一実施態様においては、アルキル化薬は、テモゾロミド(temozolomide)である。
【0182】
代謝拮抗剤
一実施態様においては、抗癌剤は、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、およびペメトレキセドから成る群から選択される代謝拮抗剤である。
【0183】
一実施態様においては、代謝拮抗剤は、5-フルオロウラシルまたはゲムシタビンである。
【0184】
分裂抑制剤
一実施態様においては、抗癌剤は、
(a)パクリタキセルおよびドセタキセルから成る群から選択されるタキサン;
(b)イキサベピロン;
(c)ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンから成る群から選択されるビンカアルカロイド;または
(d)エストラムスチン(estramustine)
である、分裂抑制剤である。
【0185】
一実施態様においては、分裂抑制剤は、パクリタキセルまたはドセタキセルである。
【0186】
さらなる抗癌剤
一実施態様においては、抗癌剤は、1種類以上のさらなる抗癌剤と組み合わせて投与される。
【0187】
一実施態様においては、抗癌剤は、さらなる抗癌剤(5-フルオロウラシル)と組み合わせて投与される。一実施態様においては、抗癌剤は、5-フルオロウラシルおよびフォリン酸と組み合わせて投与される。一実施態様においては、抗癌剤は、イリノテカンであり、5-フルオロウラシルおよびフォリン酸と組み合わせて投与される。
【0188】
免疫療法
一実施態様においては、抗癌剤は、免疫療法剤である。免疫療法薬は、免疫系が癌を認識し癌細胞を攻撃するのを支援するために、癌を有する個体に与えられる。
【0189】
異なる種類の免疫療法が存在する。能動免疫療法は、疾患と戦う身体自体の免疫系を刺激する。受動免疫療法は、疾患と戦う身体に依拠せず、それらは身体の外部で創られる免疫系成分(抗体など)であり、癌と戦うために身体に投与される。
【0190】
有効免疫治療剤の例は、
・ モノクローナル抗体療法(リツキシマブ(Rituxan(登録商標))およびアレムツズマブ(Campath(登録商標))など)
・ 非特異的免疫療法およびアジュバント(免疫応答を強化する他の物質または細胞)(BCG、インターロイキン-2(IL-2)、およびインターフェロンαなど)
・ 免疫調整剤(サリドマイドおよびレナリドミド(Revlimid(登録商標))など)
を含む。
【0191】
一実施態様においては、抗癌剤は、PD-1阻害剤(またはPD-L1阻害剤(PD-1またはPD-L1を阻害可能な抗体など)である。
【0192】
癌ワクチンは、特異的能動免疫療法の一種である。
【0193】
癌
一実施態様においては、癌は、固形腫瘍または白血病である。
【0194】
一実施態様においては、癌は、固形腫瘍(肉腫、癌およびリンパ腫から選択される固形腫瘍など)である。
【0195】
一実施態様においては、癌は、結腸直腸癌、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌および小細胞肺癌)、膠芽細胞腫、頭頚部癌、悪性黒色腫、基底細胞皮膚癌、扁平上皮細胞皮膚癌、肝臓癌、膵臓癌、前立腺癌、肛門癌、子宮頚癌、膀胱癌、子宮体癌、卵巣癌、胆嚢癌、肉腫、白血病(骨髄およびリンパ)、リンパ腫、骨髄腫症、および胆管癌から成る群から選択される。
【0196】
一実施態様においては、癌は、転移性癌である。一実施態様においては、癌は、結腸直腸癌(転移性結腸直腸癌など)である。一実施態様においては、癌は、膵癌(転移性膵癌など)である。一実施態様においては、癌は、乳癌(転移性乳癌など)である。
【0197】
一実施態様においては、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。
【0198】
一実施態様においては、癌は、単独で投与される場合抗癌剤に対して耐性である、耐性癌である。一実施態様においては、耐性は、デノボ耐性または獲得耐性である。
【0199】
実施例
実施例1:粗SCO-101(II型)の調製
材料
以下の材料を用いた。4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラアゾール-5-イル)アニリンを自社製造した;3,5-ビス(トリフルオロメチル)-イソシアン酸フェニルをDONA FINE CHEMICALS S.J.から購入した。
【0200】
方法
トルエン(62L)中の4-ブロモ-2-(1H-1,2,3,4-テトラアゾール-5-イル)アニリン(3.2kg)の撹拌される溶液に、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-イソシアン酸フェニル(3.5kg)を、添加した。3,5-ビス(トリフルオロメチル)-イソシアン酸フェニルの添加に用いた管類を、トルエン(3.8L)で洗い、それを反応槽に加えた。反応混合物を、55℃に加熱し、11時間撹拌した。工程内管理(IPC)は、出発材料の変換を確認し、反応混合物を、2時間30分かけて23℃に冷却した。得られた懸濁液を、濾過し、濾過ケーキを、トルエン(17L)で洗浄し、45℃で16時間乾燥して固形組成物を与えた。
【0201】
結果
6.5kgのSCO-101を、結晶性物質として取得し、それを、XRPD(
図1B)、DVS(
図3B)、およびDSC-TGA(
図2B)により分析した。取得した結晶型は、準安定型の、II型である。
【0202】
結論
SCO-101は、本実施例に記載の方法を用いて準安定型のII型で調製できる。II型は、SCO-101の最も安定な結晶型ではなく、70%RH以上などの、増加された相対湿度(RH)にて水を吸収して水和物を形成する。これは、熱安定型であるI型と比較して、SCO-101のII型を臨床開発の観点から劣った形態にする。
【0203】
実施例2:不定形SCO-101の調製
材料
以下の材料を用いた。I型SCO-101を、実施例4に記載のプロセスを用いて3Lスケールで製造した。268gのバッチを得た。
【0204】
方法
3gのI型SCO-101を、溶解を促進するために超音波処理を用いて30mLのアセトンに溶解した。この透明溶液を、50mLの丸底フラスコ中にシリンジ濾過し、溶媒を、40℃の水浴上でたロータリーエバポレーションにより除去し、さらに1時間ロータリーエバポレーターで放置して、材料が完全に乾燥されたことを確実にした。固体を得た。固体を、結晶化ディッシュに慎重に移し、ティッシュペーパーで覆い、一晩(約17時間)真空下で40℃で真空オーブン中にて乾燥させた。乾燥した固体を、XRPDにより分析し、それは、アモルファス化が良好であることを確認した(
図1Eを参照のこと)。
【0205】
結果
不定形SCO-101は、本実施例の方法を用いて調製できる。
【0206】
実施例3:SCO-101の多型体スクリーニング
方法A:溶解度試験および蒸発処理
約10mgの不定形SCO-101に、列挙される溶媒の一部量を、溶解が認められるまで添加し、それにより透明溶液(方法A2に続く)を得た、あるいは1mLを加えてスラリーを形成した(方法A1に続く)。試料を、用手的に撹拌し、各溶解作業間で水浴に連結したブロック中でおおよそ40℃に加熱した。
【0207】
方法A1:スラリーを、室温で一晩保存し、次いで遠心により濾過した。
【0208】
方法A2:透明溶液の蓋を開け、室温で蒸発させた。
【0209】
スラリー(方法A1)からまたは蒸発処理(方法A2)から得た固形物を、XRPDにより分析した。
【0210】
方法B:溶媒滴下粉砕
10μlの適当な飽和溶液(利用可能な場合)または溶媒を、2個のスチール鋼片ボールと共に2mLのビーズ式粉砕バイアル中の20mgの不定形SCO-101に加えた。
【0211】
バイアルを、以下のプログラムを用いてビーズ粉砕した:
・ 速度:6000rpm
・ サイクル:40 x 90秒
・ 休止:10秒
【0212】
方法C:温度サイクリング
不定形SCO-101のスラリーを、バイアル中で調製した。全バイアルに蓋をしパラフィルムで密閉し、温度を、振盪しながら恒温振盪機で室温と40℃の間で4時間サイクルにわたり循環させた。3日後に、すべてのスラリーおよび湿潤固形物を、遠心により濾過し、XRPDにより分析した。
【0213】
結果
不定形SCO-101から出発して、以下の結晶型を、用いた溶媒および結晶化技術に応じて取得した(表1を参照のこと)。
【0214】
【0215】
結論
SCO-101の無水非溶媒和結晶型は、それぞれ、I型、III型、およびIV型を与える表1の項目1、13、および14の条件を用いて調製され得る。
【0216】
さらに、本実施例は、多様な溶媒和物が形成されSCO-101の異なる結晶型(パターン)をもたらし得ることを示す。表1に記載の条件を選択することにより、所望の結晶型を提供し得る。
【0217】
実施例4:I型結晶の調製
材料
粗SCO-101を、実施例1に記載の方法を用いて製造した。
【0218】
方法
粗SCO-101(50g、1.0当量、101mmol)を、1Lの反応槽中で2-プロパノール(257g)に溶解した。この反応混合物を、透明溶液が得られるまで50℃で加熱した。この溶液に、水(326g)を、30分間かけて少量ずつ加えた。得られたスラリーを1時間かけて20℃に冷却後、粗SCO-101を、濾過により単離した。濾過ケーキを、2-プロパノール/水(50/50%w/w、39g)の混合液で洗浄し、その後粗SCO-101を、10±5℃でアセトン(154g)に再溶解した。この溶液に次いで、水(195g)を、70分間~90分間かけて加えた。結晶化されたSCO-101を、単離しアセトン/水(45:55%w/w、180g)の混合液で洗浄した。産物を、45℃にて低圧力下のオーブン中で乾燥させた。
【0219】
結果
上記の方法により調製したI型SCO-101を、XRPD(
図1A)、TG/DSC(
図2A)およびDVS(
図3A)により分析した;ならびにさらに実施例7に記載される競争的スラリー実験に供した。
【0220】
結論
I型SCO-101は、SCO-101の非吸湿性で熱力学的に最も安定な多形体であると示された。さらに、I型は、SCO-101の他の非溶媒和型および溶媒和型と比較して、優れた特性を示した。I型は、最も高い融点を有し、競争的スラリー実験の結果と合わせて、I型はSCO-101の熱力学的に最も安定な多形体であると結論付けることができる。さらに、I型およびII型のDVS分析は、I型は本質的に非吸湿性であり、一方でII型は90%RHにおいておおよそ6%(w/w)の水を吸収することを示した。
【0221】
実施例5:III型結晶(パターン24)の調製
材料
不定形SCO-101を、実施例2に記載されるように調製した。
【0222】
方法
メタノール中の不定形SCO-101のスラリーを、シンチレーションバイアル中で調製した。このバイアルに蓋をし、パラフィルムで密閉し、温度を、恒温振盪機中で4時間サイクルにわたり室温と40℃の間で循環させた。
【0223】
24時間後に、湿潤試料はパターン38の形成を示した。固体を、遠心分離により回収し、40℃で24時間乾燥させた。
【0224】
結果
固体を、XRPDにより分析し、パターン24の形成を、確認した(
図1C)。TG/DSC分析(
図2C)は、SCO-101の非溶媒和結晶型の形成を確認する。DSC分析は、162℃で開始する発熱事象を示す。VT-XRPDにより、この発熱事象がパターン29(IV型)への変換に起因することが確認された。
【0225】
結論
SCO-101の非溶媒和結晶型(III型、パターン24)は、メタノール中の不定形SCO-101のスラリーの温度サイクリングにより得られる。
【0226】
実施例6:IV型結晶(パターン29)の調製
材料
III型SCO-101を、実施例5に記載されるように調製した。
【0227】
方法
200mgのSCO-101、III型(パターン24)を、3日間ティッシュで覆った開放バイアル中にて40℃/75%RHで静置した。
【0228】
結果
3日後に、固体を、XRPDにより分析し、パターン29(IV型)の形成を、確認した(
図1D)。TG/DSC分析(
図2D)は、SCO-101の非溶媒和結晶型の形成を確認した。
【0229】
結論
SCO-101の非溶媒和結晶型(IV型、パターン29)は、3日間開放バイアル中40℃/75%相対湿度(RH)でのIII型の保存により得られる。
【0230】
実施例7:熱力学的安定型I型への準安定結晶型の変換
材料
以下の材料を、SCO-101の熱力学的に安定な多形体を提供することを目的とした競争的スラリー実験のために用いた:
非溶媒和物:I型、(実施例1)、II型(実施例1)、III型(実施例5)、およびIV型(実施例6)。
溶媒和物:パターン5、パターン22、およびパターン23(実施例3)
【0231】
方法
アセトン:水(50:50%v/v)およびアセトン:ヘプタン(50:50%v/v)中のSCO-101飽和溶液を、40℃で15分間これらの溶媒系でSCO-101のスラリーを撹拌することおよび次いで予め暖めた注射筒を用いて予め暖めたバイアル中にスラリーを濾過することにより調製した。各実験では、表2に列挙されるSCO-101の関連する型/パターンの量を、示される容積の飽和溶液に添加してスラリーを形成した。スラリーを、40℃で3日撹拌した。3日後に、固形物を、遠心により濾過しXRPDにより分析した。
【0232】
結果
競争的スラリー実験の結果を、表2に列挙する。
【0233】
【表7】
表2に記載される全ての型/パターンを良好に、I型に変換できた。パターン5は、本明細書でV型とも記載される。
【0234】
結論
スラリー実験は、SCO-101の結晶質非溶媒和I型が熱力学的に安定な多形体であることを示す。試験した溶媒系での全ての実験は、I型の形成をもたらした。
【0235】
実施例8:分析の方法
粉末X線回折(XRPD)
XRPD分析を、3°~50°の2θで試料を走査する、PIXcel検出器(128チャンネル)を備えたPANalytical X’pert proで実施した。材料を、穏やかに粉砕してあらゆる凝集体を放出させ、マイラーポリマーフィルムを有する多穴プレート上に載せて試料を支持した。多穴プレートを次いで、回折計に配置し、40kV/40mAのジェネレーター設定を用いて転送方式(刻み幅=0.0130°2θ、ステップ時間=18.87秒)で行うCuK放射(α1λ=1.54060Å;α2=1.54443Å;β=1.39225Å;α1:α2比=0.5)を用いて分析した。HighScore Plus 4.7デスクトップアプリケーション(PANalytical、2017)を用いて、データを視覚化し画像を生成した。
【0236】
偏光顕微鏡法(PLM)
結晶化度の存在(複屈折性)を、Olympus交差偏波レンズおよびMoticカメラを備えたBX53顕微鏡を用いて決定した。画像を、Motic Images Plus3.0を用いて捉えた。全ての画像を、特に指定のない限り、対物倍率20倍を用いて記録した。
【0237】
熱重量分析/示差走査熱量測定法(TGA/DSC)
おおよそ5~10mgの材料を、予め風袋測定した開放アルミ皿中に加え、TA Instruments Discovery SDT 650 Auto-Simultaneous DSC中に装填し室温で保持した。試料を次いで、30℃から400℃に10℃/分の速度で加熱し、その時間中に、試料重量の変化を、熱流応答(DSC)と共に記録した。窒素を、200cm3/分の流速で、試料パージガスとして用いた。
【0238】
示差走査熱量測定法(DSC)
おおよそ1~5mgの材料を、DSC用アルミ皿中に秤量し、アルミ蓋で非密封的に蓋をした。試料皿を次いで、RC90冷却器を備えた示差走査熱量計TA Instruments Discovery DSC 2500中に装填した。試料およびリファレンスを、10℃/分の走査速度で200℃に加熱し、得られる熱流応答を、監視した。試料を、-80℃に再冷却し、その後10℃/分で200℃に再び加熱した。窒素を、50cm3/分の流速で、試料パージガスとして用いた。
【0239】
赤外線分光法(IR)
赤外線分光法を、Bruker ALPHA P分光器で実施した。充分な材料を、分光器のプレートの中央に配置し、スペクトルを、以下のパラメーターを用いて取得した:
分解能:4cm-1
バックグラウンド走査回数:16走査
試料走査回数:16走査
データ収集:4000~400cm-1
得られたスペクトル:透過法
ソフトウエア:OPUSバージョン6
【0240】
核磁気共鳴(NMR)
NMR実験を、陽子について500.23MHzで動作するPRODIGY凍結探針を備えたBruker AVIIIHD分光器で、または陽子について500.12MHzで動作するDCH凍結探針を備えたBruker AVIIIHD分光器で実施した。実験を、重水素化ジメチルスルホキシド中で実施し、各試料を、約10mMの濃度に調製した。
【0241】
動的蒸気収着(DVS)
おおよそ10~20mgの試料を、蒸気収着メッシュ天秤皿中に置き、Surface Measurement SystemsによるDVS IntrinsicまたはAdvantage動的蒸気収着天秤中に装填した。試料を、増分10%で40%~90%の相対湿度(RH)のランピングプロファイルに供し、各ステップで試料を、25℃で安定な重量が達成されるまで維持した(dm/dt=0.004%、最短のステップ長=30分間、最長のステップ長=120分間)。収着サイクルの完了後に、試料を、同じ手順を用いて0%RHに乾燥させ、次いで、第2の収着サイクルで40%RHに戻した。2サイクルを、実施した。収着/脱離サイクル経過中の重量変化を、プロットし、試料の吸湿性の特質が決定されることを可能にした。XRPD分析を次いで、保持された何らかの固体について実施した。
【国際調査報告】