(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】コンクリート要素及びその生産方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/26 20060101AFI20240705BHJP
C04B 12/04 20060101ALI20240705BHJP
C04B 20/00 20060101ALI20240705BHJP
C04B 14/06 20060101ALI20240705BHJP
C04B 14/18 20060101ALI20240705BHJP
C04B 14/20 20060101ALI20240705BHJP
C04B 14/04 20060101ALI20240705BHJP
C04B 14/08 20060101ALI20240705BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C04B28/26
C04B12/04
C04B20/00 B
C04B14/06
C04B14/18
C04B14/20 Z
C04B14/04 Z
C04B14/08
B28B1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580675
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022068093
(87)【国際公開番号】W WO2023275267
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102021116928.3
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522099238
【氏名又は名称】メッテン テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】METTEN Technologies GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Hammermuehle 24,51491 Overath,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボォルマー ギード
(72)【発明者】
【氏名】メッテン マイケル ドクター
【テーマコード(参考)】
4G052
4G112
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DA08
4G052DB12
4G052DC06
4G112PA03
4G112PA04
4G112PA05
4G112PA08
(57)【要約】
本発明はコアコンクリート層とフェイスコンクリート層とを含むコンクリート要素であって、前記コンクリート要素は、コアコンクリート層混合物をフェイスコンクリート層混合物に接触させて圧縮及び硬化させることにより得られ、前記コアコンクリート層は、潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材、水、粒状コア材料、並びに、アルカリ性コア硬化剤を含有し、前記フェイスコンクリート層混合物は、潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材、水、粒状フェイス材料、並びに、アルカリ性フェイス硬化剤を含有し、前記コンクリート要素のDIN EN 12390-3、特にDIN EN 12390-3:2019-10に準拠して28日後に測定された圧縮強度は120N/mm2未満である、コンクリート要素に関する。また、本発明のコンクリート要素を生産する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアコンクリート層とフェイスコンクリート層とを含むコンクリート要素であって、前記コンクリート要素は、コアコンクリート層混合物をフェイスコンクリート層混合物に接触させて圧縮及び硬化させることにより得られ、
前記コアコンクリート層混合物は、潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材、水、粒状コア材料、並びに、アルカリ性コア硬化剤を含有し、
前記フェイスコンクリート層混合物は、潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材、水、粒状フェイス材料、並びに、アルカリ性フェイス硬化剤を含有し、
前記粒状フェイス材料の通過画分は、前記粒状フェイス材料の総重量に対し、スクリーン孔幅2mmで35.5重量%~99.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.25mmで2.5重量%~33.5重量%であり、
前記コンクリート要素のDIN EN 12390-3、特にDIN EN 12390-3:2019-10に準拠して28日後に測定された圧縮強度は120N/mm
2未満である、コンクリート要素。
【請求項2】
前記粒状フェイス材料の通過画分は、前記粒状フェイス材料の総重量に対し、スクリーン孔幅2mmで42.5重量%~99.5重量%、より好ましくは56.5重量%~98.5重量%、特に好ましくは72.5重量%~97.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.25mmで2.5重量%~27.5重量%、より好ましくは2.5重量%~22.5重量%、さらにより好ましくは2.5重量%~21.5重量%、特に好ましくは2.5重量%~8重量%若しくは11.5重量%~21.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.125mmで0.1重量%~12.5重量%、より好ましくは0.3重量%~10.0重量%、さらにより好ましくは0.3重量%~7.5重量%、特に好ましくは0.3重量%~5.0重量%であり、並びに/又は、
前記粒状コア材料の通過画分は、前記粒状コア材料の総重量に対し、スクリーン孔幅8mmで42.5重量%~99.5重量%、好ましくは56.5重量%~98.5重量%、より好ましくは72.5重量%~97.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.5mmで7.5重量%~39.5重量%、好ましくは13.5重量%~37.5重量%、特に好ましくは25.5重量%~37重量%若しくは14.5重量%~24.5重量%あることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート要素。
【請求項3】
前記粒状フェイス材料の粒度数は1.59~3.62、好ましくは1.61~3.17、特に好ましくは1.61~2.55であり、及び/又は、
前記粒状コア材料の粒度数は1.97~4.61、好ましくは2.27~3.82であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート要素。
【請求項4】
前記フェイスコンクリート層混合物は、前記フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、前記粒状フェイス材料を55重量%~80重量%、好ましくは60重量%~75重量%、より好ましくは60重量%~72重量%、特に好ましくは60重量%~65重量%特に60~64重量%若しくは67重量%~72重量%含有し、及び/又は、
前記コアコンクリート層混合物は、前記コアコンクリート層混合物の総重量に対し、前記粒状コア材料を60重量%~95重量%、好ましくは65重量%~92.5重量%、より好ましくは70重量%~90重量%、特に好ましくは74重量%~79重量%含有することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項5】
前記フェイスコンクリート層混合物は、前記フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、フェイス充填材を1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~20重量%、より好ましくは5重量%~18重量%、なおより好ましくは5重量%~15重量%、さらにより好ましくは5重量%~10重量%、特に好ましくは6重量%~8重量%含有し、及び/又は、
前記コアコンクリート層混合物は、前記コアコンクリート層混合物の総重量に対し、コア充填材を1重量%~40重量%、好ましくは10重量%~30重量%、より好ましくは12.5重量%~30重量%、特に好ましくは15重量%~27.5重量%含有することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項6】
前記フェイス充填材の通過画分は、前記フェイス充填材の総重量に対し、スクリーン孔幅0.025mmで63重量%~99重量%、好ましくは68重量%~99重量%、より好ましくは90重量%~99重量%、特に好ましくは95重量%~99重量%、及び、スクリーン孔幅0.015mmで38重量%~73重量%、好ましくは58重量%~67重量%、特に好ましくは61重量%~66重量%であり、並びに/又は、
前記コア充填材の通過画分は、前記コア充填材の総重量に対し、スクリーン孔幅0.025mmで63重量%~99重量%、好ましくは68重量%~99重量%、より好ましくは90重量%~99重量%、特に好ましくは95重量%~99重量%、及び、スクリーン孔幅0.015mmで38重量%~73重量%、好ましくは58重量%~67重量%、特に好ましくは61重量%~66重量%であることを特徴とする、請求項5に記載のコンクリート要素。
【請求項7】
前記フェイス充填材は、岩石粉末、好ましくは分級された岩石粉末、石灰石粉末、好ましくは分級された石灰石粉末、及び、これらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は、
前記コア充填材は、岩石粉末、好ましくは分級された岩石粉末、石灰石粉末、好ましくは分級された石灰石粉末、及び、これらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載のコンクリート要素。
【請求項8】
前記フェイスコンクリート層混合物は、前記フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、前記潜在水硬性フェイス結合材及び/若しくは前記ポゾランフェイス結合材を15重量%~40重量%、好ましくは20重量%~30重量%、さらに好ましくは20重量%~24重量%若しくは26重量%~29重量%、より好ましくは22重量%~24重量%含有し、並びに/又は、
前記コアコンクリート層混合物は、前記コアコンクリート層混合物の総重量に対し、前記潜在水硬性コア結合材及び/若しくは前記ポゾランコア結合材を10重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%含有することを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項9】
前記潜在水硬性フェイス結合材は、スラグ、高炉スラグ、好ましくはスラグ砂、特に粉砕スラグ砂、電熱リンスラグ、鉄鋼スラグ、及び、これらの混合物からなる群から選択され、並びに/若しくは、前記潜在水硬性フェイス結合材中の(CaO+MgO):SiO
2のモル比は、0.8~2.5、好ましくは1.0~2.0の範囲であり、並びに/又は、
前記潜在水硬性コア結合材は、スラグ、高炉スラグ、好ましくはスラグ砂、特に粉砕スラグ砂、電熱リンスラグ、鉄鋼スラグ、及び、これらの混合物からなる群から選択され、並びに/若しくは、前記潜在水硬性コア結合材中の(CaO+MgO):SiO
2のモル比は、0.8~2.5、好ましくは1.0~2.0の範囲であることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項10】
前記ポゾランフェイス結合材は、好ましくは、アモルファス二酸化ケイ素;沈殿二酸化ケイ素;発熱性二酸化ケイ素;マイクロシリカ;ガラス粉末;褐炭フライアッシュ若しくは無煙炭フライアッシュ等のフライアッシュ;メタカオリン;凝灰岩、トラス若しくは火山灰等の天然ポゾラン;天然及び合成ゼオライト並びにこれらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は、
前記ポゾランコア結合材は、アモルファス二酸化ケイ素;沈殿二酸化ケイ素;発熱性二酸化ケイ素;マイクロシリカ;ガラス粉末;褐炭フライアッシュ若しくは無煙炭フライアッシュ等のフライアッシュ;メタカオリン;凝灰岩、トラス若しくは火山灰等の天然ポゾラン;天然及び合成ゼオライト並びにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項11】
前記アルカリ性フェイス硬化剤は、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩及びこれらの混合物からなる群、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は、
前記アルカリ性コア硬化剤は、有機塩基及び/若しくは無機塩基を含むことを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項12】
前記フェイスコンクリート層混合物は、前記フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、前記アルカリ性フェイス硬化剤を1重量%~15重量%、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは3重量%~5重量%、さらにより好ましくは3.15重量%~4.85重量%、さらにより好ましくは3.25重量%~3.65重量%若しくは4.0重量%~4.75重量%、特に好ましくは4.25重量%~4.75重量%、非常に特に好ましくは4.25重量%~4.45重量%含有し、並びに/又は、
前記コアコンクリート層混合物は、前記コアコンクリート層混合物の総重量に対し、前記アルカリ性コア硬化剤を0.1重量%~15重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%含有することを特徴とする、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項13】
前記フェイスコンクリート層混合物は、前記フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、水を1重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%、より好ましくは3重量%~7重量%、さらにより好ましくは3.5重量%~6.5重量%、さらにより好ましくは4.0重量%~6.2重量%、特に好ましくは4.2重量%~4.9重量%若しくは5.2重量%~6.2重量%、非常に特に好ましくは4.2重量%~4.8重量%含有し、並びに/又は、
前記コアコンクリート層混合物は、前記コアコンクリート層混合物の総重量に対し、水を1重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%、より好ましくは3重量%~10重量%含有することを特徴とする、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項14】
前記フェイスコンクリート層混合物は、硬化調整剤、特に凝結遅延剤及び/若しくは凝結促進剤を含み、並びに/又は、
前記コアコンクリート層混合物は、硬化調整剤、特に凝結遅延剤及び/若しくは凝結促進剤を含むことを特徴とする、請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項15】
前記フェイスコンクリート層混合物は、セメント、特に5重量%まで若しくは10重量%までのセメント、並びに/又は、砂利、グリット、砂、パーライト、珪藻土若しくはバーミキュライト等の1つ若しくは複数の骨材、並びに/又は、可塑剤、消泡剤、保水剤、分散剤、顔料、繊維、再分散性粉末、湿潤剤、含浸剤、錯化剤及びレオロジー添加剤からなる群から選択される1つ若しくは複数の添加剤を含有し、並びに/又は、
前記コアコンクリート層混合物は、セメント、特に5重量%まで若しくは10重量%までのセメント、並びに/又は、砂利、グリット、砂、パーライト、珪藻土若しくはバーミキュライト等の1つ若しくは複数の骨材、並びに/又は、可塑剤、消泡剤、保水剤、分散剤、顔料、繊維、再分散性粉末、湿潤剤、含浸剤、錯化剤及びレオロジー添加剤からなる群から選択される1つ若しくは複数の添加剤を含有することを特徴とする、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項16】
前記コンクリート要素のDIN EN 12390-3、特にDIN EN 12390-3:2019-10に準拠して28日後に測定された圧縮強度は、110N/mm
2未満、好ましくは100N/mm
2未満、より好ましくは85N/mm
2未満、特に好ましくは82.5N/mm
2未満であることを特徴とする、請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項17】
前記コンクリート要素の前記コアコンクリート層のDAfStb(ドイツ強化コンクリート委員会)指令「コンクリート構成要素の保護及び修復」、第4部、セクション5.5.11、2001年(独:DAfSt Richtlinie "Schutz und instandsetzungen von Betonbauteilen"、英:DAfStb (German Committee for Reinforced Concrete) directive "Protection and repair of concrete components", Part 4, Section 5.5.11, 2001)に準拠して生産後28日に測定された付着引張強度は、1.0MPa以上、好ましくは1.3MPa以上、より好ましくは1.5MPa以上、特に好ましくは2.0MPa以上であることを特徴とする、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項18】
前記コンクリート要素のDAfStb(ドイツ強化コンクリート委員会)指令「コンクリート構成要素の保護及び修復」、第4部、セクション5.5.11、2001年に準拠して生産後28日に測定された結合付着引張強度は、0.75MPa以上、好ましくは1.0MPa以上、より好ましくは1.15MPa以上、さらにより好ましくは1.3MPa以上、特に好ましくは1.5MPa以上であることを特徴とする、請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項19】
前記コアコンクリート層は、オパール、フリント、玉髄及び/又は硬砂岩を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは17.5重量%以上含有することを特徴とする、請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項20】
前記コンクリート要素は、コンクリートブロック、コンクリートスラブ、コンクリート壁要素又はコンクリートステップであることを特徴とする、請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載のコンクリート要素。
【請求項21】
請求項1から請求項20までのいずれか1項に記載のコンクリート要素を生産する方法であって、
a.フェイス組成物を調製するステップと、
前記フェイス組成物は、構成成分として、
i.粒状フェイス材料、
ii.任意選択で顔料、
iii.任意選択で充填材、
iv.水、
v.潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材、並びに
vi.アルカリ性フェイス硬化剤を含有し、
b.前記フェイス組成物を混合してフェイスコンクリート層混合物を得るステップと、
c.コア組成物を調製するステップと、
前記コア組成物は、構成成分として、
i.粒状コア材料、
ii.水、
iii.潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材、並びに
iv.アルカリ性コア硬化剤を含有し、
d.前記コア組成物を混合してコアコンクリート層混合物を得るステップと、
e.前記コアコンクリート層混合物及び前記フェイスコンクリート層混合物を少なくとも1つの型枠内に充填するステップと、
f.前記コアコンクリート層混合物と前記フェイスコンクリート層混合物を前記型枠内で締め固めて少なくとも1つのグリーンコンクリート要素を得るステップと、を含む方法。
【請求項22】
前記フェイス組成物の前記構成成分は、請求項21に記載の順に計量されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コアコンクリート層混合物は、前記フェイスコンクリート層混合物よりも先に前記少なくとも1つの型枠内に充填されることを特徴とする、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コアコンクリート層混合物は、前記フェイスコンクリート層混合物が追加される前に締め固められることを特徴とする、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
粒状材料であって、前記粒状材料の全組成に対し、(a)平均粒径0.1~5mmのリター成分を65~95重量%、及び、(b)結合材を5~35重量%の量で含有する粒状材料の1の分量単位を、締固めの前に前記少なくとも1つの型枠内の前記フェイスコンクリート層混合物に付与することを特徴とする、請求項21から請求項24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記粒状材料に含有される前記結合材は、好ましくは、セメント、水硬性石灰、石膏若しくはケイ酸ナトリウム等の無機結合材であり、又は、前記粒状材料に含有される前記結合材は、プラスチック分散液、アクリレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ゾルゲル樹脂若しくはシリコーン樹脂エマルジョン等の有機結合材であり、並びに/又は、前記リター成分として、平均粒径0.1~1.8mm若しくは1.2~5mmのリター成分が使用され、並びに/又は、前記リター成分は岩石混合物である若しくは岩石混合物を含有する、又は、前記リター成分は、半貴石、貴石、雲母、金属チップ、ガラス粒子及びプラスチック粒子からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記粒状材料は、散布若しくは投入によって付与され、及び/又は、前記粒状材料は、付与装置によって前記フェイスコンクリート層混合物に付与され、前記付与装置は少なくとも1つのパイプソケットを備え、前記パイプソケットに粒状材料の1の又は複数の分量単位が供給され並びに前記パイプソケットを介して前記コンクリート層上に散布、投入、噴射及び/又は落下されることを特徴とする、請求項25又は請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのグリーンコンクリート要素の表面及び/又は縁部は刷毛で処理され、それにより、構造化及び/又は粗面化及び/又は平滑化及び/又は前記端部の突起の低減化がなされることを特徴とする、請求項21から請求項27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
シーリング剤及び/又は防水剤を前記少なくとも1つのグリーンコンクリート要素の表面に塗布することを特徴とする、請求項21から請求項28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記グリーンコンクリート要素はコンクリート要素を得るために硬化され、前記コンクリート要素は、好ましくは、硬化後、研摩、ブラスト、刷毛引き及び/又は構造化することにより処理されることを特徴とする、請求項21から請求項29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
コアコンクリート層と前記コアコンクリート層に接合されるフェイスコンクリート層とを含むコンクリート要素の前記コアコンクリート層を生産するための、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材の、特に結合材としての使用であって、アルカリ性硬化剤と共になされる使用。
【請求項32】
前記潜在水硬性結合材は、請求項9において前記潜在水硬性コア結合材について定義されたとおりであり、並びに/又は、前記ポゾラン結合材は、請求項10において前記ポゾランコア結合材について定義されたとおりであり、並びに/又は、前記コアコンクリート層は、請求項1から請求項4に定義される粒状コア材料を含有し、並びに/又は、前記フェイスコンクリート層は、請求項1から請求項4に定義される粒状フェイス材料を含有し、並びに/又は、前記コアコンクリート層は、請求項6及び請求項7に定義されるコア充填材を含有し、並びに/又は、前記フェイスコンクリート層は、請求項6及び請求項7に定義されるフェイス充填材を含有し、並びに/又は、前記アルカリ性硬化剤は、請求項11において定義されたとおりであり、並びに/又は、前記コンクリート要素は、請求項16、請求項18若しくは請求項20の少なくとも1つの特徴によって定義され、並びに/又は、前記コアコンクリート層は、オパール、フリント、玉髄及び/若しくは硬砂岩を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは17.5重量%以上含有することを特徴とする、請求項31に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアコンクリート層とフェイスコンクリート層とを含むコンクリート要素であって、前記コンクリート要素は、コアコンクリート層混合物をフェイスコンクリート層混合物に接触させて圧縮及び硬化させることにより得られ、前記コアコンクリート層混合物及び前記表面コンクリート層混合物はそれぞれ、潜在水硬性結合剤及び/又はポゾラン結合剤、水、粒状コア材料及びアルカリ性硬化剤を含有するコンクリート要素に関する。本発明はまた、本発明によるコンクリート要素を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートブロック、コンクリートスラブ、コンクリート壁要素又はコンクリートステップなどのコンクリート要素は、耐久性があり低価格であるため、天然石で作られたプレート又はステップよりも好まれることが多い。コンクリート要素は通常、セメントを結合剤として使用して生産される。
【0003】
コンクリート要素を装飾的に見せるために、様々な方法が開発されてきた。この目的のために、通常、特に顔料及び/又は天然石骨材及び/又は砂を添加して、コンクリート要素に色を施し、洗練されたものとしている。
【0004】
セメント含有コンクリート要素は、時間の経過とともに表面に白っぽい斑点、いわゆる白華が発生するという問題を有することがある。また、着色されたコンクリートブロックは退色することがある。どちらの影響も石灰の形成によって引き起こされると思われる。表面の白っぽい斑点は、表面に運ばれた水酸化カルシウムと二酸化炭素の反応によって形成される石灰白華によるものと考えられる。退色は、とりわけ、着色のためセメント粒子上に沈着した顔料が、生成される炭酸カルシウムでゆっくりとコーティングされるという事実によって引き起こされると考えられている。
【0005】
セメントの代替となる結合材が知られている。そのような代替結合材の一例は、化学ビルディングブロックであるSiO2とAl2O3との組合せに基づく。このような結合材としては、例えば、潜在水硬性結合材及びポゾラン結合材が挙げられる。これらは、しばしば「ジオポリマー」と呼ばれる。例えば、欧州特許出願公開第1 236 702A1号には、ケイ酸ナトリウム及び潜在水硬性結合材を含む建築材料混合物が記載されている。欧州特許出願公開第1 236 702A1号は、この建築材料混合物をモルタル又は充填剤として使用することを示している。
【0006】
コンクリートブロック、コンクリートスラブ、コンクリート壁要素又はコンクリートステップ等のコンクリート要素の生産では、特に生コンクリートと比較した場合、使用するコンクリートミックスは特別な要件を満たすことが必要となる。コンクリート要素を生産する場合、まだ硬化していないコンクリートブロックの安定性をできるだけ短時間後に可能な限り高くして、できるだけ迅速に固めることができるようにすることが望ましい。さらなる要件として、フェイスコンクリート層及びコアコンクリート層を含む生産物では、荷重や風化でフェイスコンクリート層がコアから剥離するのを防止するため、結合強度が高いことが必要である。結合付着引張強度は、コンクリート要素のコアコンクリートからの剥離に対するフェイスコンクリート層の耐性を測定するために使用することができる。コンクリート要素が必要な結合付着引張強度を有さない場合、型枠が取り除かれた時に、フェイスコンクリート層及びコアコンクリートが荷重を受けて分離する(剥離)又は分裂する可能性がある。したがって、コンクリート要素が十分に高い結合接着剤引張強度を備えるように設計されれば、より広範な用途に使用することが可能となる。
【0007】
国際出願公開第2021/047875A1号には、コアコンクリート層及びフェイスコンクリート層を含むコンクリート要素であって、前記フェイスコンクリート層は、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を含むコンクリート要素が記載されている。しかしながら、国際出願公開第2021/047875A1号は、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材がコアコンクリート層にも使用されることは示していない。
【0008】
コンクリート要素は、その耐用年数にわたって、コンクリート要素の腐食を引き起こす様々な攻撃にさらされる。例えば霜や凍結防止塩による物理的腐食に加えて、誘発要因となる攻撃であるアルカリシリカ反応を含む化学的腐食も、腐食の重要な形態である。アルカリシリカの反応は、特に、アルカリに富む結合材と、硬砂岩等のアルカリ反応性骨材との組合せで起こる。これらのアルカリ反応性骨材は、通常、より高品質の骨材が使用されるフェイスコンクリート層ではほとんど見られないが、主にコアコンクリート層に使用される。したがって、アルカリに富む結合材、例えばジオポリマーをコアコンクリート層に使用する試みは、アルカリ反応性骨材によるアルカリシリカ反応の問題を引き起こす可能性があるため、これまでなされていなかった。さらに、潜在水硬性結合材及びポゾラン結合材と、これに必要な硬化剤との組合せは、セメント系結合材よりも高価である。このため、従来の、つまり、セメント系コアコンクリート層が通常、コアコンクリート層として使用されている。
【0009】
本発明の開発の過程で、セメント系のコアコンクリート層と、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を含むフェイスコンクリート層とを有するコンクリート要素は、両方の層がセメント系であるコンクリート要素よりも、その他の点では同等の生産条件及び成分としても、結合付着引張強度が低くなることがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 236 702A1号
【特許文献2】国際出願公開第2021/047875A1号
【特許文献3】国際出願公開第2008/012438A2号
【特許文献4】欧州特許出願公開第2 910 354A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、時間の経過による外観の変化が少なく、化学的腐食、特にアルカリシリカ反応の影響を受けにくく、経済的に生産できる、美観を備えたコンクリート要素を提供することであった。特に、表面の汚れ及び/若しくは汚れやすさが少なく、並びに/又は退色が少なく、並びに/又は十分に高い付着引張強度、特に十分に高い結合付着引張強度を有するコンクリートブロックが提供されるべきである。本発明の別の目的は、CO2フットプリントが低減されたコンクリート要素を提供することである。
【0012】
さらなる目的は、その一部を以下に列挙するが、後述する実施形態から得られる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、請求項1に記載のコンクリート要素及び請求項22に記載の方法により、これらの目的のすべて又は一部を達成する。
【0014】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されており、以下で詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、コアコンクリート層とフェイスコンクリート層とを含むコンクリート要素であって、前記コンクリート要素は、コアコンクリート層混合物をフェイスコンクリート層混合物に接触させて圧縮及び硬化させることにより得られ、
前記コアコンクリート層は、潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材、水、粒状コア材料、並びに、アルカリ性コア硬化剤を含有し、
前記フェイスコンクリート層混合物は、潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材、水、粒状フェイス材料、並びに、アルカリ性フェイス硬化剤を含有し、前記粒状フェイス材料の通過画分は、前記粒状フェイス材料の総重量に対し、スクリーン孔幅2mmで35.5重量%~99.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.25mmで2.5重量%~33.5重量%であり、前記コンクリート要素のDIN EN 12390-3、特にDIN EN 12390-3:2019-10に準拠して28日後に測定された圧縮強度は120N/mm2未満である、コンクリート要素を提供する。
【0016】
驚くべきことに、コアコンクリート層とフェイスコンクリート層とを含むコンクリート要素であって、前記コンクリート要素は、コアコンクリート層混合物をフェイスコンクリート層混合物に接触させて圧縮及び硬化させることにより得られ、前記コアコンクリート層は、潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材、水、粒状コア材料、並びに、アルカリ性コア硬化剤を含有し、前記フェイスコンクリート層混合物は、潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材、水、粒状フェイス材料、並びに、アルカリ性フェイス硬化剤を含有し、前記粒状フェイス材料の通過画分は、前記粒状フェイス材料の総重量に対し、スクリーン孔幅2mmで35.5重量%~99.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.25mmで2.5重量%~33.5重量%であるコンクリート要素は、その装飾特性は、変化するとしてもゆっくりとしか変化せず、経済的に生産できることがわかった。上述のコンクリート要素は、特に、十分に高い結合付着引張強度を有する。これにより、コンクリート要素は幅広い用途を有することができる。さらに、これらのコンクリートブロックは、退色するとしても色がゆっくりと薄くなるだけであり、表面の汚れはほとんど又は全く見られない。さらに、本発明によるコンクリートブロックは、アルカリシリカ反応に対して良好な耐性を示す。最後に、これらのコンクリート要素は、CO2フットプリントも良好である。
【0017】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、これは、コアコンクリート層及びフェイスコンクリート層に潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を使用するとコアコンクリート層とフェイスコンクリート層との間の結合付着引張強度が増加するが、しかし、特にコアコンクリート層において化学的腐食に対する感受性を大幅に増加させることはないという事実によるものと思われる。おそらく、フェイスコンクリート層とコアコンクリート層の両方に潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を使用することによって、これらの2つの層の間の結合付着引張強度が向上すると思われる。さらに、コンクリート要素は、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を使用することにより、その装飾特性はゆっくりとしか失われない又は全く失わないように見える。これは、本発明によるコンクリート要素が、通常多量のセメントを含むコンクリート要素よりもCaOの含有量が少ないことに起因すると思われる。また、スクリーン孔幅2mmで35.5重量%~99.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.25mmで2.5重量%~33.5重量%の通過画分を有する粒状材料を使用することにより、フェイスコンクリート層の付着引張強度そのものも、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を使用すると良好となることがわかった。より大きな径を有する粒状材料を使用してコンクリート要素を生産することも可能であったが、その場合のフェイスコンクリート層の付着引張強度はそれほど良好ではなかった。いかなる理論にも縛られることを望むものではないが、付着引張強度が向上したのは、かなり小さな径を有する粒状材料は、その成分同士の平均距離が小さいという事実によるかもしれない。これは、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材の鎖がより短くても、粒状材料の成分を互いに結合させることができ、それにより、まだ硬化していないコンクリート要素の機械的特性、特に付着引張強度が向上することを意味する。
【0018】
コアコンクリート層混合物は、コアコンクリート混合物とも呼ばれる。フェイスコンクリート層混合物は、フェイスコンクリート混合物とも呼ばれる。
【0019】
コアコンクリート層は、コア層とも呼ばれる。フェイスコンクリート層は、フェイス層とも呼ばれる。
【0020】
粒状材料は、骨材とも呼ばれる。
【0021】
まだ硬化していないコンクリート要素は、グリーンコンクリート要素とも呼ばれる。
【0022】
結合付着引張強度は、特定の試験材齢、例えば28日のコンクリートブロックで測定できる。本発明によるコンクリート要素は、28日後に1MPa以上の結合付着引張強度を有することが好ましい。結合付着引張強度は、特に、DAfStb(ドイツ強化コンクリート委員会)指令「コンクリート構成要素の保護及び修復」、第4部、セクション5.5.11、2001年(独:DAfSt Richtlinie "Schutz und instandsetzungen von Betonbauteilen"、英:DAfStb (German Committee for Reinforced Concrete) directive "Protection and repair of concrete components", Part 4, Section 5.5.11, 2001)に準拠して測定することができる。
【0023】
好ましくは、粒状フェイス材料の通過画分は、粒状フェイス材料の総重量に対し、スクリーン孔幅2mmで42.5重量%~99.5重量%、より好ましくは56.5重量%~98.5重量%、特に好ましくは72.5重量%~97.5重量%、及び、ススクリーン孔幅0.25mmで2.5重量%~27.5重量%、より好ましくは2.5重量%~22.5重量%、さらにより好ましくは2.5重量%~21.5重量%、特に好ましくは2.5重量%~8重量%又は11.5重量%~21.5重量%、及び、スクリーン孔幅0.125mmで0.1重量%~12.5重量%、より好ましくは0.3重量%~10.0重量%、さらにより好ましくは0.3重量%~7.5重量%、特に好ましくは0.3重量%~5.0重量%である。上述のスクリーン孔幅で上述の通過画分を有する粒状フェイス材料により、フェイス層において良好な付着引張強度を有するコンクリート要素が得られることがわかった。
【0024】
便宜上、粒状コア材料の通過画分は、粒状コア材料の総重量に対し、スクリーン孔幅8mmで42.5重量%~99.5重量%、好ましくは56.5重量%~98.5重量%、より好ましくは72.5重量%~97.5重量%であり、スクリーン孔幅0.5mmで、7.5重量%~39.5重量%、好ましくは13.5重量%~37.5重量%、特に好ましくは25.5重量%~37重量%又は14.5重量%~24.5重量%である。
【0025】
一実施形態によれば、粒度分布に関して、粒状コア材料は、等級曲線A16より細かくかつ等級曲線C16より粗く、好ましくは等級曲線B16より細かくかつ等級曲線C16より粗い分布を示す。別の実施形態によれば、粒度分布に関して、粒状コア材料は、等級曲線A8より細かくかつ等級曲線C8より粗く、好ましくは等級曲線A8より細かくかつ等級曲線B8より粗い分布を示す。上記の等級曲線は、DIN 1045の仕様を満たす。
【0026】
上述のスクリーン孔幅で上述の通過画分を有する粒状コア材料により、コアコンクリート層において良好な付着引張強度を有するコンクリート要素が得られることがわかった。
【0027】
上述の粒状フェイス材料の2つのスクリーン孔幅での通過画分を、必要に応じて互いに組み合わせることができる。上述の粒状コア材料の2つのスクリーン孔幅での通過画分を、必要に応じて互いに組み合わせることができる。
【0028】
粒状フェイス材料の粒度数は、1.59~3.62、好ましくは1.61~3.17、特に好ましくは1.61~2.55とすることもできる。粒状コア材料の粒度数はまた、1.97~4.61、好ましくは2.27~3.82とすることもできる。粒度数は骨材の粒子組成の特性値であり、標準試験スクリーニングセットのスクリーンに残った残渣の合計(%)を100で割ったものとして求められる。粒子組成は、DIN EN 12620:2008-07、段落4.3.に準拠して決定される。試験スクリーニングセットはDIN EN 933-2:2020-09に準拠したスクリーニングセットであり、スクリーンは、DIN ISO 3310-1:2017-11の要件を満たす。
【0029】
粒状フェイス材料は、好ましくは、分級された粒子組成を有する。粒状コア材料は、好ましくは、分級された粒子組成を有する。分級された粒子組成は、様々な粒子サイズの成分を含む。
【0030】
フェイスコンクリート層混合物中の粒状フェイス材料の含有量は、特に限定されない。フェイスコンクリート層混合物は、有利には、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、粒状フェイス材料を55重量%~80重量%、好ましくは60重量%~75重量%、より好ましくは60重量%~72重量%含有する。フェイスコンクリート層混合物は、特に好ましくは、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、粒状フェイス材料を60重量%~65重量%、特に60~64重量%含有することができる。フェイスコンクリート層混合物はまた、特に好ましくは、フェイスコンクリート層混合物の総質量に対し、粒状フェイス材料を67質量%~72質量%含有することもできる。
【0031】
コアコンクリート層混合物中の粒状コア材料の含有量は、特に限定されない。コアコンクリート層混合物は、有利には、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、粒状コア材料を60重量%~95重量%、好ましくは65重量%~92.5重量%、より好ましくは70重量%~90重量%、特に好ましくは74重量%~79重量%含有する。
【0032】
上述の成分に加えて、フェイスコンクリート層混合物は、他の成分、例えばフェイス充填材を含有することもできる。フェイスコンクリート層混合物は、好ましくは、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、フェイス充填材を1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~20重量%、より好ましくは5重量%~18重量%、さらにより好ましくは5重量%~15重量%、一層より好ましくは5重量%~10重量%、特に好ましくは6重量%~8重量%含有する。
【0033】
フェイス充填材の通過画分は、好ましくは、フェイス充填材の総重量に対し、スクリーン孔幅0.025mmで63重量%~99重量%、好ましくは68重量%~99重量%、より好ましくは90重量%~99重量%、特に好ましくは95重量%~99重量%、及び、スクリーン孔幅0.015mmで38重量%~73重量%、好ましくは58重量%~67重量%、特に好ましくは61重量%~66重量%である。
【0034】
上述の成分に加えて、コアコンクリート層混合物は、他の成分、例えばコア充填材を含有することもできる。コアコンクリート層混合物は、有利には、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、コア充填材を1重量%~40重量%、好ましくは10重量%~30重量%、より好ましくは12.5重量%~30重量%、特に好ましくは15重量%~27.5重量%含有する。
【0035】
コア充填材の通過画分は、好ましくは、コア充填材の総重量に対し、スクリーン孔幅0.025mmで63重量%~99重量%、好ましくは68重量%~99重量%、より好ましくは90重量%~99重量%、特に好ましくは95重量%~99重量%、及び、スクリーン孔幅0.015mmで38重量%~73重量%、好ましくは58重量%~67重量%、特に好ましくは61重量%~66重量%である。
【0036】
上述の粒状フェイス材料の2つのスクリーン孔幅での通過画分を、必要に応じて互いに組み合わせることができる。上述のコア充填材の2つのスクリーン孔幅での通過画分を、必要に応じて互いに組み合わせることができる。
【0037】
上述のスクリーン孔幅で上述の通過画分を有するフェイス充填材及び/又はコア充填材を使用することにより、フェイスコンクリート層及び/又はコアコンクリート層、特にまだ硬化していないコンクリート要素の付着引張強度をさらに一層向上させることができるとわかった。
【0038】
特に、粒状フェイス材料及び/又は粒状コア材料と、フェイス充填材及び/又はコア充填材との組合せを、上述のスクリーン孔幅の上述の各通過画分で使用することにより、フェイスコンクリート層及び/又はコアコンクリート層の付着引張強度に関して最適な結果が達成される。さらには、これにより、コンクリート要素の装飾特性がほとんど変更しない又は全く変更しないように、フェイスコンクリート層混合物を調整することが可能になる。
【0039】
フェイス充填材として、様々な材料を使用することができる。フェイス充填材は、好ましくは、岩石粉末、好ましくは分級された岩石粉末、石灰石粉末、好ましくは分級された石灰石粉末、及び、これらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
フェイス充填材についての上記の記述は、コア充填材にも同様に適用される。
【0041】
上述のフェイス充填材及びコア充填材を使用することにより、広範な用途を持ち、装飾特性が退色しない又はゆっくりとしか退色しない装飾コンクリート要素を経済的に生産することができる。
【0042】
フェイスコンクリート層混合物中の潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材の含有量は、特に限定されない。好ましくは、フェイスコンクリート層混合物は、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材を15重量%~40重量%、好ましくは20重量%~30重量%、より好ましくは20重量%~24重量%又は26重量%~29重量%、特に好ましくは22重量%~24重量%含有する。
【0043】
したがって、フェイスコンクリート層混合物は、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、15重量%~40重量%、好ましくは20重量%~30重量%、さらに好ましくは20重量%~24重量%、又は26重量%~29重量%、より好ましくは22重量%~24重量%の潜在水硬性フェイス結合材のみを含有し、ポゾランフェイス結合材を含有しないことも可能である。フェイスコンクリート層混合物はまた、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、15重量%~40重量%、好ましくは20重量%~30重量%、より好ましくは20重量%~24重量%又は26重量%~29重量%、特に好ましくは22重量%~24重量%のポゾランフェイス結合材のみを含有し、潜在水硬性フェイス結合材を含有しないことも可能である。
【0044】
コアコンクリート層混合物中の潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材の含有量は、特に限定されない。好ましくは、コアコンクリート層混合物は、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材を10重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%含有する。
【0045】
したがって、コアコンクリート層混合物もまた、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、10重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%の潜在水硬性コア結合材のみを含有し、ポゾランコア結合材を含有しなくてもよい。コアコンクリート層混合物はまた、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、10重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%のポゾランコア結合材のみを含有し、潜在水硬性コア結合材を含有しなくてもよい。
【0046】
得られるコンクリート要素は、10重量%未満の潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を使用する場合、フェイスコンクリート層又はコアコンクリート層において十分な強度を有さないことがわかった。一方、50重量%を超える潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材を使用することは不経済である。
【0047】
潜在水硬性フェイス結合材として、様々な材料を使用することができる。潜在水硬性フェイス結合材中の(CaO+MgO):SiO2のモル比は、好ましくは0.8~2.5、より好ましくは1.0~2.0である。(CaO+MgO):SiO2のモル比がこれらの範囲にある潜在水硬性フェイス結合材の硬化は良好である。
【0048】
潜在水硬性フェイス結合材は、有利には、スラグ、高炉スラグ、好ましくは高炉砂、特に粉砕高炉砂、電熱リンスラグ、鉄鋼スラグ、及び、これらの混合物からなる群から選択される。潜在水硬性フェイス結合材は、より好ましくはスラグ砂、特に粉砕スラグ砂である。
【0049】
スラグは、産業スラグ、すなわち、工業プロセスで生じる廃棄物、又は、合成的に生成されたスラグのいずれであってもよい。産業スラグは常に一定の量及び等級で入手できるとは限らないため、合成的に生成されたスラグが好ましい。高炉スラグ、とりわけスラグ砂は、スラグの一例である。
【0050】
粉砕スラグ砂は、産地や処理の種類によって、細度及び粒度分布が異なる。細度は反応性に影響を及ぼす。ブレーン値は特に、細度の尺度として使用することができる。粉砕スラグ砂のブレーン値は、好ましくは200~1000m2kg-1、より好ましくは450~650m2kg-1である。
【0051】
電熱リンスラグは、電熱リンの生産から生じる廃棄物である。電熱リンスラグは、高炉スラグよりも反応性が低く、CaOを約45~50重量%、MgOを約0.5~3重量%、SiO2を約38~43重量%、Al2O3を約2~5重量%及びFe2O3を約0.2~3重量%、並びに、フッ化物及びリン酸塩を含有する。
【0052】
鉄鋼スラグは鉄鋼の生産から生じる廃棄物であり、その組成は多様である。
【0053】
潜在水硬性結合材中の(CaO+MgO):SiO2のモル比は、特に好ましくは0.8~2.5であり、潜在水硬性結合材は上記の材料から選択される。
【0054】
潜在水硬性フェイス結合材についての上記の記述は、潜在水硬性コア結合材にも同様に適用される。
【0055】
ポゾランフェイス結合材として、様々な材料を使用することができる。ポゾランフェイス結合材は、好ましくは、アモルファス二酸化ケイ素;沈殿二酸化ケイ素;発熱性二酸化ケイ素;マイクロシリカ;ガラス粉末;褐炭フライアッシュ若しくは無煙炭フライアッシュ等のフライアッシュ;メタカオリン;凝灰岩、トラス若しくは火山灰等の天然ポゾラン;天然及び合成ゼオライト、並びに、これらの混合物からなる群から選択される。特に、ポゾランフェイス結合材は、好ましくは、アモルファス二酸化ケイ素である。
【0056】
アモルファス二酸化ケイ素は、粉末ディフラクトグラムにおいて結晶性を示さないことが好ましい。ガラス粉末もまた、好ましくは、アモルファス二酸化ケイ素とみなされる。アモルファス二酸化ケイ素のSiO2含有量は、有利には、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%である。好ましくは、沈殿二酸化ケイ素は、ケイ酸ナトリウムを沈殿させることによって工業的に得られる。生産の種類に応じて、沈殿二酸化ケイ素をシリカゲルと呼ぶこともできる。発熱性二酸化ケイ素は、四塩化ケイ素等のクロロシランを酸水素炎中で反応させることによって生成される。発熱性二酸化ケイ素は、粒径5~50nm、比表面積50~600m2g-1のアモルファスSiO2粉体である。
【0057】
マイクロシリカは、シリコン又はフェロシリコンの生産から生じる副産物であり、大量のアモルファスSiO2粉体を含有する。粒子の直径は約0.1μmである。比表面積は15~30m2g-1の範囲である。
【0058】
フライアッシュは、例えば石炭火力発電所での燃焼中に生成される。国際出願公開第2008/012438A2号によれば、Fクラスのフライアッシュは、8重量%未満、好ましくは5重量%未満のCaOを含有する。
【0059】
メタカオリンは、カオリンを脱水することによって生成される。カオリンは温度100~200℃の物理的に結合した水を放出するが、格子構造の破壊とメタカオリン(Al2Si2O7)の生成は500~800℃の範囲の温度で起こる。純メタカオリンは、好ましくは、SiO2を約54重量%及びAl2O3を約46重量%含有する。
【0060】
ポゾランフェイス結合材についての上記の記述は、ポゾランコア結合材にも同様に適用される。
【0061】
上述の潜在水硬性の及びポゾランのフェイス結合材及びコア結合材を使用すると、装飾特性が退色しない又はゆっくりとしか退色せず、良好な結合付着引張強度と良好なCO2フットプリントを備えたコンクリート要素を生産できることがわかった。
【0062】
アルカリ性フェイス硬化剤として、様々な材料を使用することができる。アルカリ性フェイス硬化剤は、好ましくは、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩及びこれらの混合物からなる群、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0063】
アルカリ金属酸化物としては、例えば、Li2O、Na2O、K2O、(NH4)2O及びこれらの混合物が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、LiOH、NaOH、KOH、NH4OH及びこれらの混合物が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、(NH4)2CO3及びこれらの混合物が挙げられる。アルカリ金属イオンと類似しているため、アンモニウムイオンも挙げられる。
【0064】
アルカリ金属ケイ酸塩は、便宜上、実験式m SiO2・n M2O(式中、MはLi、Na、K若しくはNH4又はこれらの混合物、好ましくはNa又はKである)を有する化合物から選択される。m:nのモル比は0.5~3.6、好ましくは0.6~3.0、特に好ましくは0.7~2.0の範囲である。ケイ酸ナトリウム、特に液体ケイ酸ナトリウム、さらに好ましくは液体ケイ酸ナトリウム及び/又は液体ケイ酸カリウムは、特に有用なアルカリ金属ケイ酸塩であることが実証されている。シリカ、特に水溶液シリカもまた、有用なアルカリ金属ケイ酸塩である。
【0065】
上述のアルカリ性フェイス硬化剤は、水溶液として用いることが好ましい。これにより、計量が容易になる。
【0066】
フェイスコンクリート層の硬化は、上述のアルカリ性フェイス硬化剤で容易に調整することができる。さらに、これらのアルカリ性フェイス硬化剤は、フェイスコンクリート層混合物中の他の成分との相溶性が良好である。
【0067】
フェイスコンクリート層混合物中のアルカリ性フェイス硬化剤の含有量は、特に限定されない。好ましくは、フェイスコンクリート層混合物は、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、アルカリ性フェイス硬化剤を1重量%~15重量%、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは3重量%~5重量%、さらにより好ましくは3.15重量%~4.85重量%、さらにより好ましくは3.25重量%~3.65重量%又は4.0重量%~4.75重量%、特に好ましくは4.25重量%~4.75重量%、非常に特に好ましくは4.25重量%~4.45重量%含有する。フェイスコンクリート層混合物が、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、アルカリ性フェイス硬化剤を3.25質量%~3.65質量%含有する場合にも、良好な結果が得られる。1重量%未満のアルカリ性硬化剤を使用した場合、フェイスコンクリート層の硬化が遅すぎることがわかった。15重量%を超えるアルカリ性硬化剤を使用した場合、硬化の開始が早すぎる可能性があり、その結果、得られるフェイスコンクリート層をもはや適切に締め固めることはできなくなる。
【0068】
アルカリ性コア硬化剤として、様々な物質を使用することができる。アルカリ性コア硬化剤は、好ましくは、少なくとも1つの有機塩基及び/又は少なくとも1つの無機塩基を含む。
【0069】
無機塩基としては、例えば、上述したアルカリ性フェイス硬化剤が挙げられる。有機塩基としては、特に、アンモニアなどのアミン塩基、並びにモノアルキルアミン、ジアルキルアミン及びトリアルキルアミンが挙げられる。
【0070】
コアコンクリート層の硬化は、上述のアルカリ性コア硬化剤で容易に調整することができる。
【0071】
コアコンクリート層混合物中のアルカリ性コア硬化剤の含有量は、特に限定されない。コアコンクリート層混合物は、好ましくは、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、アルカリ性コア硬化剤を0.1重量%~15重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%含有する。
【0072】
本発明によれば、フェイスコンクリート層混合物は水を含有する。好ましくは、フェイスコンクリート層混合物は、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、水を1重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%、より好ましくは3重量%~7重量%、さらにより好ましくは3.5重量%~6.5重量%、さらにより好ましくは4.0重量%~6.2重量%、さらにより好ましくは4.2重量%~4.9重量%、非常に特に好ましくは4.2重量%~4.8重量%含有する。フェイスコンクリート層混合物が、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、水を5.2重量%~6.2重量%含有する場合にも、良好な結果が得られる。
【0073】
コアコンクリート層混合物は、好ましくは、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、水を1重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%、より好ましくは3重量%~10重量%含有する。
【0074】
上述の成分に加えて、フェイスコンクリート層混合物はさらなる成分を含有することもできる。フェイスコンクリート層混合物はまた、例えば、砂利、グリット、砂、パーライト、珪藻土又はバーミキュライト等の1つ又は複数の骨材を含有してもよい。さらに、フェイスコンクリート層混合物は、セメント、並びに/又は、砂利、グリット、砂、パーライト、珪藻土若しくはバーミキュライト等の1つ又は複数の骨材、並びに/又は、可塑剤、消泡剤、保水剤、分散剤、顔料、繊維、再分散性粉末、湿潤剤、含浸剤、錯化剤及びレオロジー添加剤からなる群から選択される1つ又は複数の添加剤を含有することができる。
【0075】
フェイスコンクリート層混合物は、特に、5重量%まで又は10重量%までのセメントを含有することができる。あるいは、フェイスコンクリート層混合物は、特に、セメントを含有しなくてもよい。フェイスコンクリート層混合物がセメントを含まない場合、特に、有利な二酸化炭素フットプリントを備えたコンクリート要素を生産することができる。
【0076】
フェイスコンクリート層混合物は、有利には、硬化調整剤を含有する。特に、凝結遅延剤及び/又は凝結促進剤は、硬化調整剤とみなしてもよい。
【0077】
コアコンクリート層混合物はまた、砂利、グリット、砂、パーライト、珪藻土又はバーミキュライト等の1つ又は複数の骨材を含有してもよい。さらに、コアコンクリート層混合物は、セメント、並びに/又は、砂利、グリット、砂、パーライト、珪藻土若しくはバーミキュライト等の1つ又は複数の骨材、並びに/又は、可塑剤、消泡剤、保水剤、分散剤、顔料、繊維、再分散性粉末、湿潤剤、含浸剤、錯化剤及びレオロジー添加剤からなる群から選択される1つ又は複数の添加剤を含有することができる。
【0078】
さらに、コアコンクリート層は、他の骨材を含むこともできる。コアコンクリート層は、好ましくは、オパール、フリント、玉髄及び/又は硬砂岩を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは17.5重量%以上含有する。好ましい一実施形態によれば、コアコンクリート層は、オパール、フリント、玉髄及び/又は硬砂岩を5重量%~30重量%、特に5重量%~20重量%含有する。これらの添加剤をこのような量で使用することにより、コンクリート要素を経済的に生産することができるが、アルカリシリカ反応は依然としてあまり顕著ではないことがわかった。
【0079】
一実施形態によれば、コアコンクリート層の遊離アルカリ含有量は、1500g/m3以上である。
【0080】
コアコンクリート層混合物は、特に、5重量%まで又は10重量%までのセメントを含有することができる。あるいは、コアコンクリート層混合物は、特に、セメントを含有しなくてもよい。コアコンクリート層混合物がセメントを含まない場合、特に、有利な二酸化炭素フットプリントを備えたコンクリート要素を生産することができる。
【0081】
コアコンクリート層混合物は、有利には、硬化調整剤を含有する。特に、凝結遅延剤及び/又は凝結促進剤は、硬化調整剤とみなしてもよい。
【0082】
フェイスコンクリート層混合物及び/又はコアコンクリート層混合物の特性は、上述の添加剤を用いて良好に制御することができる。特に、硬化挙動もまた、上述の添加剤を用いて良好に制御することができる。
【0083】
フェイスコンクリート層混合物は、好ましくは、フェイスコンクリート層混合物の総重量に対し、添加剤を0.1重量%~2重量%、より好ましくは0.4重量%~1.5重量%含有する。フェイスコンクリート層混合物は、便宜上、凝結遅延剤及び/又は凝結促進剤を0.025重量%~0.097重量%又は1.5重量%~2重量%含有する。
【0084】
コアコンクリート層混合物は、好ましくは、コアコンクリート層混合物の総重量に対し、添加剤を0.1重量%~1重量%、より好ましくは0.3重量%~0.9重量%含有する。コア混合物は、便宜上、凝結遅延剤及び/又は凝結促進剤を0.0225重量%~0.0975重量%又は1.0重量%~1.9重量%含有する。
【0085】
コンクリート要素は、好ましくは、DIN 1045-2 C0又はC01標準に準拠した締固めクラスを有する。コンクリート要素は、好ましくは、コンクリートブロック、コンクリートスラブ、コンクリート壁要素又はコンクリートステップである。
【0086】
さらに、好ましくは、コンクリート要素のDIN EN 12390-3、特にDIN EN 12390-3:2019-10に準拠して28日後に測定された圧縮強度は、110N/mm2未満、好ましくは100N/mm2未満、より好ましくは85N/mm2未満、特に好ましくは82.5N/mm2未満である。
【0087】
さらに、好ましくは、コンクリート要素のコアコンクリート層のDAfStb(ドイツ強化コンクリート委員会)指令「コンクリート構成要素の保護及び修復」、第4部、セクション5.5.11、2001年に準拠して生産後28日に測定された付着引張強度は、1.0MPa以上、好ましくは1.3MPa以上、より好ましくは1.5MPa以上、特に好ましくは2.0MPa以上である。
【0088】
本発明によるコンクリート要素は、良好な結合付着引張強度を特徴とする。好ましくは、コンクリート要素のDAfStb指令「コンクリート構成要素の保護及び修復」、第4部、セクション5.5.11、2001年に準拠して生産後28日に測定された結合付着引張強度は、0.75MPa以上、好ましくは1.0MPa以上、より好ましくは1.15MPa以上、さらに好ましくは1.3MPa、特に好ましくは1.5MPa以上である。
【0089】
付着引張強度は、特に、コンクリート要素の生産後最初の3~4か月の間に変化することがあり、特に、この期間中に増加する可能性がある。
【0090】
本発明はまた、本発明によるコンクリート要素を生産する方法であって、
a.フェイス組成物を調製するステップと、
前記フェイス組成物は、構成成分として、
i.粒状フェイス材料、
ii.任意選択で顔料、
iii.任意選択で充填材、
iv.水、
v.潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材、並びに
vi.アルカリ性フェイス硬化剤を含有し、
b.前記フェイス組成物を混合してフェイスコンクリート層混合物を得るステップと、
c.コア組成物を調製するステップと、
前記コア組成物は、構成成分として、
i.粒状コア材料、
ii.水、
iii.潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材、並びに
iv.アルカリ性コア硬化剤を含有し、
d.前記コア組成物を混合してコアコンクリート層混合物を得るステップと、
e.前記コアコンクリート層混合物及び前記フェイスコンクリート層混合物を少なくとも1つの型枠内に充填するステップと、
f.前記コアコンクリート層混合物と前記フェイスコンクリート層混合物を前記型枠内で締め固めて少なくとも1つのグリーンコンクリート要素を得るステップと、を含む方法を提供する。
【0091】
好ましくは、コアコンクリート層混合物及びフェイスコンクリート層混合物は、少なくとも1つの型枠内で締め固められる。締固めは、突き、押し及び/又は振動によって行うことができる。
【0092】
突き固めの間に、コンクリートは、好ましくは、1~20秒間、好ましくは2.5~4.5秒間の振動によって型枠内で締め固められる。突き固めの間に、コンクリートは、1.0MPa以下の圧力で型枠内で締め固められることができる。
【0093】
押し固めの間に、コンクリートは、好ましくは、125MPa以上、より好ましくは125MPa~250MPaの圧力で型枠内で締め固められる。押し固めの間に、コンクリートは、好ましくは、5~20秒間、より好ましくは5~10秒間、実質的に振動なしで型枠内で締め固められる。本発明の方法の各ステップは、好ましくは、上記で指定した順序で実施される。
【0094】
一実施形態によれば、ステップeにおいて、最初にフェイスコンクリート層混合物が型枠に流し込まれ、次いでコアコンクリート層混合物が型枠内のフェイスコンクリート層混合物上に流し込まれて、その後、フェイスコンクリート層混合物は型枠内のコアコンクリート層混合物と接触した状態で締め固められる。
【0095】
別の実施形態によれば、ステップeにおいて、最初にコアコンクリート層混合物が型枠に流し込まれ、次いでフェイスコンクリート層混合物が型枠内のコアコンクリート層混合物上に流し込まれて、その後、コアコンクリート層混合物は型枠内のフェイスコンクリート層混合物と接触した状態で締め固められる。
【0096】
代替の実施形態によれば、ステップeにおいて、コアコンクリート層混合物は型枠に流し込まれるのではなく、ストランドに押し込まれ、同時に又は続いて、フェイスコンクリート層混合物が当該ストランドに押し込まれる。その後、ステップfにおいて、コアコンクリート層混合物は、当該ストランド中のフェイスコンクリート層混合物と接触した状態で締め固められる。コンクリート要素は、所定のサイズに切断し、型枠パネル上に配置することによってストランドから得られる。
【0097】
さらに、フェイス組成物の構成成分は、有利には、上記列挙した順に計量される。便宜上、コア組成物の構成成分は、上記列挙した順に計量される。上記列挙した順に構成成分を加えると、フェイス組成物及び/又はコア組成物の加工性を良好にできることがわかった。また、フェイス組成物の構成成分が計量中にすでに混合されていると便宜であることが実証されている。コア組成物についても同様である。
【0098】
粒状フェイス材料、粒状コア材料、フェイス充填材、コア充填材、水、潜在水硬性フェイス結合材及び/又はポゾランフェイス結合材、潜在水硬性コア結合材及び/又はポゾランコア結合材、アルカリ性フェイス硬化剤、並びに、アルカリ性コア硬化剤について、本発明によるコンクリート要素についての上記の記述が同様に適用され、特に、使用される構成成分の量に関しても適用される。
【0099】
さらに、フェイス組成物及び/又はコア組成物はまた、上記列挙された追加の構成要素、例えば、セメント、骨材、添加剤、凝結遅延剤及び/又は凝結促進剤を含んでもよい。骨材、添加剤、凝結遅延剤及び/又は凝結促進剤は、有利には、水又は任意選択の顔料と共に、好ましくは水と共に計量供給される。
【0100】
本発明による方法を用いれば、コンクリート要素の表面をデザインすることができる。一実施形態によれば、粒状物質の全組成に対し、(a)平均粒径0.1~5mmのリター成分を65~95重量%、好ましくは75~85重量%、及び、(b)結合材を5~35重量%、好ましくは15~25重量%の量で含有する粒状材料の1の分量単位を、締固めの前に少なくとも1つの型枠内のフェイスコンクリート層混合物に付与する。
【0101】
このような濃度範囲でリター成分及び結合材を使用することにより、粒状材料をコンクリート要素の表面に良好に固定することができる。
【0102】
平均粒径は、当業者により、直径がより大きい粒子とより小さい粒子が同数存在する直径を意味すると理解される。平均粒径は、例えばふるい分けにより決定することができる。
【0103】
本発明による方法の本実施形態により、特に美観を備えたコンクリート要素を生産するためには、フェイスコンクリート層が色又は光沢度などの光学的特性を有すること、そして、粒状材料がそれとは別の光学的特性を有することが有利であると実証されている。これにより、例えば、天然石の自然な構造に似た、火炎、縞又は斑点模様のある表面を製作することが可能になる。
【0104】
本実施形態によれば、粒状材料は、好ましくは、付与装置により混合物に付与される。付与装置は、少なくとも1つの滴下装置、遠心ディスク、パドルホイール、リム及び/又はカタパルトを備えることができ、これに粒状材料の少なくとも1の分量単位が供給される。これらの装置は型枠の上を又は隣を移動でき、異なる間隔で異なる分量単位を供給することもできる。このように、粒状材料を混合物に均一に付与することができる。本発明による方法は、このように特に経済的に実施できることもわかった。
【0105】
付与装置は、有利には、粒状材料を収容する少なくとも1つの計量容器と計量ストリップを有し、計量容器は、均一な又は不均一な速度で型枠上をガイドされる。
【0106】
均一に及び/又は不規則に及び/又は断続的に行われる振動又は振動衝撃は、好ましくは、計量ストリップに加えられる。
【0107】
異なる仕上げ材料及び/又は仕上げ材料の異なる分量単位を、計量ストリップにその延長部に沿って供給できることが好ましい。
【0108】
さらに、計量容器が、コンクリート、好ましくはフェイスコンクリートのための計量キャリッジの先端部に取り付けられると有利であることも実証されている。
【0109】
計量ストリップを有する少なくとも1つの計量容器を備えた付与装置として可能な構成は、例えば欧州特許出願公開第2 910 354A1号に記載されている。計量ストリップを有する少なくとも1つの計量容器を備えた付与装置の一例として、少なくとも1つのチャンバを備えた充填キャリッジがある。粒状材料は、このチャンバ内に収容されてもよい。充填キャリッジはまた、仕切りによって分離された2つ以上のチャンバを有してもよい。その場合、本発明による混合物は、有利には、充填キャリッジの第1のチャンバに収容される。粒状材料は、好ましくは、第2のチャンバに収容される。さらなる区画には、異なる特性、例えば異なる色を有する他の粒状材料を収容してもよい。充填キャリッジは、ガイドレールに沿って型枠上を移動してもよい。
【0110】
粒状材料を収容するチャンバは、付与要素を備えていてもよい。チャンバから付与要素を取り外すことが可能である。チャンバは、1つ又は複数の付与要素を備えることができる。
【0111】
付与要素は、少なくとも1つの、好ましくはいくつかの孔と、1つの計量要素を備えた穿孔計量プレートを有することが好ましい。孔は、計量プレートに均一に又はパターン状に配置することができる。孔は、同一の又は異なる直径を有することができる。計量プレートは、平坦であっても湾曲していてもよい。計量プレートはまた、円筒形であってもよい。計量プレートは、特に計量ストリップを形成することができる。
【0112】
計量要素は、異なる設計とすることができる。計量要素は、例えば、シャフトを備え、このシャフトに、シャフトの長手方向軸周りに回転可能なブレードを取り付けることができる。粒状材料は、好ましくは、シャフトの2つのブレードと、計量プレートの関連する部分とによって形成される空間内に配置される。シャフトをその長手方向軸周りに回転させることによって、ブレードは粒状材料を計量プレートの孔に通し、それにより、粒状材料が混合物に付与される。そのような計量要素は、好ましくは、湾曲した計量プレートと組み合わせて使用される。
【0113】
計量要素は、櫛状に設計することもできる。その場合、櫛状の計量要素は、好ましくは、平坦な計量プレート上に移動可能に載置される。粒状材料は、好ましくは、計量プレート上の櫛の歯の間に配置される。櫛を計量プレート上で動かすことによって、粒状材料は計量プレートの孔に通され、それにより、粒状材料が混合物に付与される。
【0114】
計量要素は、穿孔プレートとすることもできる。穿孔プレートは、好ましくは、平坦な計量プレート上に載置される。粒状材料は、好ましくは、計量プレート上の穿孔プレートの孔の中に配置される。穿孔プレートを計量プレート上で動かすことによって、粒状材料は計量プレートの孔に通され、それにより、粒状材料が混合物に付与される。
【0115】
最後に、計量要素は自由に移動可能な要素とすることもでき、好ましくは円筒状の計量プレートの内側に配置される。粒状材料はまた、好ましくは、円筒状の計量プレート内に配置される。自由に移動可能な要素は、その重さにより、粒状材料を計量プレートの孔に通すことができる。円筒状の計量プレートを動かす、特に回転させることによって、粒状材料を計量プレートの孔に通し、それにより、粒状材料が混合物に付与される。
【0116】
付与要素はまた、有利には、計量要素を動かすことができるアクチュエータなどのさらなる構成要素も備える。アクチュエータは電気モータに接続することができ、これは、好ましくは電子制御手段によって制御することができる。付与要素はまた、アクチュエータロッド、カムと係合するカムフォロア、及び/又は、歯車を有することができる。
【0117】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、付与装置は少なくとも1つのパイプソケットを備え、このパイプソケットに粒状材料の1の又は複数の分量が供給され、並びに、パイプソケットを介してフェイスコンクリート層上に散布、投入、噴射及び/又は落下される。パイプソケットの端部がノズルのように設計されている場合、型枠全体に特に良好な分布が得られる。
【0118】
実際の試験は、ロックが瞬時に解除されて粒状材料を投入するプレストレスを与えたばね荷重ピストンによって放出が行われる場合に、良好な分布となることを示している。
【0119】
付与装置は、好ましくは、型枠の上方及び/又は型枠の隣を移動させることができる。付与装置は、様々な移動速度を有する又は達成することができ、カクカクとしたぎこちない動きもまた、有利である。型枠のサイズや付与装置内の粒状材料の色に応じて、1つの型枠に対して複数の異なる装置を使用することもでき、これにより、粒状材料の付与を均一にし、又は、付与に特別な特徴ある外観を持たせることができる。
【0120】
付与装置において、バッフルプレートを使用することが好ましい。そのようなディスクホイール又はリム、さらにはパイプソケットは、より広範囲への散布を可能にする。
【0121】
粒状材料のいくつかの分量単位を、複数の付与装置によって次々に放出してもよく、上述したように、それぞれ異なった粒状材料であってもよい。
【0122】
好ましくは、粒状材料に含有される結合材は、無機結合材、例えば、セメント、水硬性石灰、石膏、スラグ、高炉スラグ、好ましくはスラグ砂、特に粉砕スラグ砂、電熱リンスラグ、鉄鋼スラグ、アモルファス二酸化ケイ素、沈殿二酸化ケイ素、発熱性二酸化ケイ素、マイクロシリカ、ガラス粉末、例えば褐炭フライアッシュ若しくは無煙炭フライアッシュ等のフライアッシュ、メタカオリン、例えば凝灰岩、トラス若しくは火山灰等の天然ポゾラン、
天然及び合成ゼオライト、若しくは、水ガラスであり、又は、粒状材料に含まれる結合材は、有機結合材、例えば、プラスチック分散液、アクリレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ゾルゲル樹脂若しくはシリコーン樹脂エマルジョンである。このような結合材は、コンクリート要素に関して取り扱いが特に容易である。また、これらの結合材は、本方法において、追加の要件が必要とはならない。さらに、これらの結合材により、粒状材料をコンクリート要素上にしっかりと固定することができる。
【0123】
コンクリート要素にどのような視覚的外観を求めるかに応じて、様々な平均粒径のリター成分を使用できる。リター成分としては、平均粒径0.1~1.8mmのリター成分を用いることができる。あるいは、平均粒径1.2~5mmのリター成分を用いることができる。
【0124】
好ましくは、平均粒径0.1~1.2mmのリター成分が用いられる。
【0125】
粒状材料はまた、小さな骨材を含有することもできるため、半貴石、貴石、雲母、金属チップ、プラスチック粒子又はガラス粒子等の粒体を含む、様々な色の様々な種類の材料を、表面又はフェイスコンクリート層に埋め込むことができる。粒状材料はまた、いずれの岩石混合物であってもよい。
【0126】
リター成分が岩石混合物である又は岩石混合物を含有すると、本発明による方法にとって特に実用的であることが実証されている。これにより、天然石の外観に非常に近いコンクリート要素を生産することができる。
【0127】
本発明による方法において、リター成分は、半貴石、貴石、雲母、金属チップ、ガラス粒子及びプラスチック粒子からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含有することが好ましい。これらの材料を使用することにより、非常に経済的な方法とすることができる。
【0128】
本発明による方法において、粒状材料は、特に、粒径2mm以下の分級された粒子組成物を有することができる。
【0129】
少なくとも1つのグリーンコンクリート要素の表面及び/又は端部は、本発明による方法において、刷毛で処理することができ、それにより、構造化及び/又は粗面化及び/又は平滑化及び/又は端部の突起の低減化がなされる。これにより、装飾的な視覚的外観をさらに向上させることができる。
【0130】
締固めのステップの前、しかし好ましくはその後に、好ましくは無色の有機剤又は無機剤を、硬化前又は硬化後のコンクリート要素の表面に塗布することができる。これは、コンクリート要素の防水、シーリング又はコーティングのために行われる。特に、シーリング剤及び/又は防水剤を少なくとも1つのグリーンコンクリート要素の表面に塗布することができる。このような手順により、コンクリート要素にさらなる保護層が追加され、コンクリート要素の耐久性と耐用年数がさらにいっそう増加する。この層はまた、汚れから保護する機能も果たし、加えて、石灰の白華を予防することができる。
【0131】
グリーンコンクリート要素は、本発明による方法において、硬化してコンクリート要素を得ることが好ましい。硬化後、コンクリート要素は、好ましくは、研摩、ブラスト、刷毛引き及び/又は構造化することにより処理される。
【0132】
本発明はまた、コアコンクリート層と前記コアコンクリート層に接合されるフェイスコンクリート層とを含むコンクリート要素の前記コアコンクリート層を生産するための、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材の、特に結合材としての使用であって、アルカリ性硬化剤と共になされる使用に関する。
【0133】
好ましくは、本発明によるコンクリート要素についての上記の記述は、当該使用におけるコンクリート要素にも同様に適用される。
【0134】
好ましくは、潜在水硬性コア結合材についての上記の記述は、当該使用における潜在水硬性結合材にも同様に適用される。これはまた、上述した含有量についても同様である。
【0135】
好ましくは、ポゾランコア結合材についての上記の記述は、当該使用におけるポゾラン結合材にも同様に適用される。これはまた、上述した含有量についても同様である。
【0136】
好ましくは、アルカリ性フェイス硬化剤及び/又はアルカリ性コア硬化剤についての上記の記述は、当該使用におけるアルカリ性硬化剤にも同様に適用される。
【0137】
一実施形態によれば、コアコンクリート層は、粒状コア材料を含有し、これには粒状コア材料についての上記の記述が同様に適用される。これはまた、上述した含有量についても同様である。
【0138】
さらなる実施形態によれば、フェイスコンクリート層は、粒状フェイス材料を含有し、これには粒状フェイス材料についての上記の記述が同様に適用される。これはまた、上述した含有量についても同様である。
【0139】
さらなる実施形態によれば、フェイスコンクリート層は、フェイス充填材を含有し、これにはフェイス充填材についての上記の記述が同様に適用される。これはまた、上述した含有量にも当てはまる。
【0140】
さらなる実施形態によれば、コアコンクリート層は、コア充填材を含有し、これにはコア充填材についての上記の記述が同様に適用される。これはまた、上述した含有量についても同様である。
【0141】
さらなる実施形態によれば、コアコンクリート層は、オパール、フリント、玉髄及び/又は硬砂岩を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは17.5重量%以上含有する。
【0142】
さらなる実施形態によれば、コアコンクリート層は、オパール、フリント、玉髄及び/又は硬砂岩を5重量%~30重量%、特に5重量%~20重量%含有する。
【0143】
本発明による使用におけるコンクリート要素は、好ましくは、本発明によるコンクリート要素である。
【実施例】
【0144】
さらなる説明のために、非限定的な例を以下に列挙する。
材料
ジオポリマー層
【0145】
フェイス結合材混合物:潜在水硬性結合材とポゾラン結合材を主成分とする。
【0146】
コア結合材混合物:潜在水硬性結合材とポゾラン結合材を主成分とする。
【0147】
粒状フェイス材料:スクリーン孔幅2mmで72.5重量%の通過画分及びスクリーン孔幅0.25mmで7.5重量%の通過画分を有する骨材
【0148】
粒状コア材料:スクリーン孔幅8mmで98.8重量%の通過画分及びスクリーン孔幅0.5mmで18.0重量%の通過画分を有する骨材
【0149】
フェイス充填材:スクリーン孔幅0.025mmで97重量%の通過画分及びスクリーン孔幅0.015mmで63重量%の通過画分を有する岩石粉末
【0150】
アルカリ性フェイス硬化剤:75%シリカ
【0151】
アルカリ性コア硬化剤:無機塩基の40%水溶液
【0152】
顔料:金属酸化物顔料
【0153】
フェイス混合物の添加剤:凝結遅延剤/凝結促進剤
セメント(任意選択):ポルトランドセメントCEM I 42.5R
【0154】
粒状材料:平均粒径0.7mmの小骨材80重量%及び無機結合材20重量%を含む。
従来の層
コア結合材混合物:ポルトランドセメントCEM I 52.5N
【0155】
粒状コア材料:スクリーン孔幅8mmで98.8重量%の通過画分及びスクリーン孔幅0.5mmで18.0重量%の通過画分を有する骨材
【0156】
コア充填材:スクリーン孔幅0.025mmで97重量%の通過画分及びスクリーン孔幅0.015mmで63重量%の通過画分を有する岩石粉末
方法
【0157】
付着引張強度は、DAfStb指令「コンクリート構成要素の保護及び修復」、第4部、セクション5.5.11、2001年に準拠して決定される。これから逸脱して、穿孔深さは30mmと5mmが選択される。コア層の付着引張強度は、下側を試験することによって決定した。フェイス又は結合付着引張強度は、亀裂深さ(亀裂位置)を評価することによって得られる。
実施例1
【0158】
76.0重量%の粒状コア材料、5.3重量%の水、17.0重量%のコア結合材混合物及び1.7重量%のアルカリ性コア硬化剤を混合容器に連続して注入して、コア組成物を得た。上記の数値はコア組成物の総質量を基準としている。次いで、コア組成物を混合容器中で混合して、コアコンクリート層混合物を得た。このようにして得られたコアコンクリート層混合物を、コアコンクリート層として、モールドボードの型枠に流し込んだ。
【0159】
66.6重量%の粒状フェイス材料、1.1重量%の顔料、6.4重量%の水、21.6重量%のフェイス結合材混合物、4.26重量%のアルカリ性フェイス硬化剤及び0.04重量%の添加剤をさらなる混合容器に連続して加えて、フェイス組成物を得た。上記の情報はフェイス組成物の総質量に関連する。次いで、フェイス組成物を混合容器中で混合して、フェイスコンクリート層混合物を得た。このようにして得られたフェイスコンクリート層混合物を、フェイスコンクリート層として、上記モールドボードの型枠に流し込んだ。フェイスコンクリート層は基本色であった。次いで、コアコンクリート層混合物とフェイスコンクリート層混合物を型枠内で突き固めによって締め固め、それにより、グリーンコンクリート要素を得た。型枠を外した時の観察に基づくと、グリーンコンクリート要素は分裂しなかった。離型及び硬化後、コンクリート要素の付着引張強度は、少なくとも0.77MPa(試験材齢7日)及び少なくとも1.15MPa(試験材齢28日)と測定された。亀裂はフェイス中に生じた。したがって、結合付着引張強度は、少なくとも測定された0.77MPa(試験材齢7日)及び少なくとも1.15MPa(試験材齢28日)である。さらに、コンクリート要素のDIN EN 12390-3:2019-10による圧縮強度は、56.9N/mm2(試験材齢7日)及び60.8N/mm2(試験材齢28日)であった。
【0160】
また、コンクリート要素のコア層の付着引張強度は、1.89MPa(試験材齢10日)であった。硬化後、得られたコンクリート要素は視覚的魅力を備えていた。コンクリート要素は、6か月間にわたって、その装飾特性において識別可能な退色又はその他の劣化を示さなかった。さらに、6か月間にわたって、アルカリシリカ反応から生じ得るコンクリート要素への化学的攻撃の兆候はなかった。
実施例2(比較例)
【0161】
実施例2では、従来の、すなわちセメントベースのコアをコアとして生産した。この目的のために、79.6重量%の粒状コア材料、11.0重量%のセメント、5.2重量%の水及び4.2重量%のコア充填材を混合容器に注入して混合した。このようにして得られたコアコンクリート層混合物を、コアコンクリート層として、モールドボードの型枠に流し込んだ。
【0162】
次いで、実施例1のフェイスコンクリート層混合物を、上記モールドボードの型枠内のコアコンクリート層混合物上に流し込んだ。フェイスコンクリート層は基本色であった。次いで、コアコンクリート層混合物とフェイスコンクリート層混合物を型枠内で突き固めによって締め固め、それにより、グリーンコンクリート要素を得た。型枠を外した時の観察に基づくと、グリーンコンクリート要素は分裂しなかった。離型及び硬化後、コンクリート要素の付着引張強度は、少なくとも0.41MPa(試験材齢7日)及び少なくとも0.75MPa(試験材齢28日)と測定された。亀裂は複合層中に生じた。したがって、測定された付着引張強度は結合付着引張強度である。さらに、コンクリート要素のDIN EN 12390-3:2019-10による圧縮強度は、61.1N/mm2であった。
実施例3(比較例)
【0163】
まず、実施例2と同様に従来のコアコンクリート層混合物を生産し、モールドボードの型枠に流し込んだ。次に、フェイス結合材を15.3重量%のみ使用し、6.3重量%のセメントをさらに追加した以外は実施例1と同様にしてフェイスコンクリート層混合物を生産した。次いで、フェイス組成物を混合容器中で混合して、フェイスコンクリート層混合物を得た。このようにして得られたフェイスコンクリート層混合物を、フェイスコンクリート層として、上記モールドボードの型枠に流し込んだ。フェイスコンクリート層は基本色であった。次いで、コアコンクリート層混合物とフェイスコンクリート層混合物を型枠内で突き固めによって締め固め、それにより、グリーンコンクリート要素を得た。型枠を外した時の観察に基づくと、グリーンコンクリート要素は分裂しなかった。離型及び硬化後、コンクリート要素の付着引張強度は、少なくとも0.26MPa(試験材齢7日)及び少なくとも0.28MPa(試験材齢28日)と測定された。亀裂は複合層中に生じた。したがって、測定された付着引張強度は結合付着引張強度である。
実施例4
【0164】
実施例4は、74.8重量%の粒状コア材料、5.5重量%の水、17.9重量%のコア結合材混合物及び1.8重量%のアルカリ性コア硬化剤を注入してコア組成物とした以外は実施例1と同一である。突き固めの前に、粒状材料の所望の分量単位を、実施例1と同一の、型枠に流し込まれたフェイスコンクリート層上に、ノズル状に設計されたパイプソケットを使用して散布、投入、噴射及び/又は落下させた。付与装置はモールドボード全面を移動することができるため、型枠のすべてのフェイスコンクリート層に所望通りに到達することができた。粒状物質が注入される漏斗をパイプソケットの上に設置した。粒状材料の任意の分量単位は、ホッパの開口部の上部に配置された開閉装置によってパイプソケットに注入してもよい。原則として、異なる粒状材料を含むいくつかのホッパを遠心ディスク上に配置して、異なる粒状材料を異なる投与量でフェイスコンクリート層の表面に散布、投入、噴射及び/又は落下させることができる。パイプソケットは、カクカクとしたぎこちない動きを含め、様々な移動速度で動かすことができる。モールドボードに対する高さ位置もまた、粒状材料の付与中であっても、必要に応じて調整及び変更することができる。型枠を外した時の観察に基づくと、グリーンコンクリート要素は分裂しなかった。離型及び硬化後、コンクリート要素の付着引張強度は、少なくとも0.83MPa(試験材齢7日)及び少なくとも1.17MPa(試験材齢28日)と測定された。亀裂はフェイス中に生じた。したがって、結合付着引張強度は、少なくとも測定された0.77MPa(試験材齢7日)及び1.15MPa(試験材齢28日)である。さらに、コンクリート要素のDIN EN 12390-3:2019-10による圧縮強度は、67.0N/mm2(試験材齢7日)及び74.4N/mm2(試験材齢28日)であった。また、コンクリート要素のコア層の付着引張強度は、2.18MPa(試験材齢10日)であった。
【0165】
上記実施例からわかるように、ジオポリマーベースのコアとジオポリマーベースのフェイスとの組合せは、非常に優れた結合付着引張強度をもたらす(実施例1及び4)。同時に、これらのジオポリマーのみをベースにしたコンクリート要素は、化学的腐食に対して非常に優れた耐性を示した。
【0166】
従来のコアとジオポリマーベースのフェイス層との組合せ(実施例2)及び従来のコアとジオポリマーとセメントのハイブリッドなフェイス層との組合せ(実施例3)は、より不良な結合接着剤引張強度を示した。
【国際調査報告】