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特表2024-525479細胞性フィブロネクチン組成物を作製及び使用するためのプロセス
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  • 特表-細胞性フィブロネクチン組成物を作製及び使用するためのプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】細胞性フィブロネクチン組成物を作製及び使用するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/39 20060101AFI20240705BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K38/39
A61K38/18
A61K38/19
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/14
A61K47/38
A61P27/02
A61P37/06
A61K47/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580719
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022036036
(87)【国際公開番号】W WO2023278883
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/235,605
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/217,952
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521445029
【氏名又は名称】コンバンジョ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Combangio, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】アルフォード,スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】スミス,オードリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076CC10
4C076CC41
4C076DD22
4C076DD23D
4C076DD26
4C076DD38D
4C076DD67D
4C076EE30D
4C076EE33
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084CA25
4C084DA01
4C084DA40
4C084DB52
4C084DB54
4C084DB55
4C084DB58
4C084DB62
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZB081
(57)【要約】
本出願は、フィブロネクチン組成物を作製及び使用するための方法及びプロセス、ならびに本明細書に記載の細胞性フィブロネクチン組成物を用いて眼の状態及び/または障害を治療するための方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィブロネクチン(FN)を含む組成物。
【請求項2】
前記FNが、間葉系幹細胞(MSC)由来のFNである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記FNが、MSCが分泌したFNである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記FNが、細胞性FNである、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記細胞性FNが、細胞由来のFNであり、前記FNが、1つ以上の成長因子に非共有結合で付加されている、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記細胞性FNが、EDA+及び/またはEDB+である、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
前記FNが、馴化培地から得られる、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記馴化培地が、間葉系幹細胞(MSC)から得られる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、MSCセクレトームを含む、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記MSCが、骨髄に由来する、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
FGF(FGF-2など)、PDGF、HGF、VEGF、TGFβ1、TGFβ2、IGF-1、IGF-2、NGF、ニューロトロフィン、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の成長因子をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記FNが、FGF(FGF-2など)、PDGF、HGF、VEGF、TGFβ1、TGFβ2、IGF-1、IGF-2、NGF、ニューロトロフィン、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の成長因子に非共有結合で付加されている、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記FNが、約0.5~50ng/mLの濃度にある、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記FNが、約25ng/mLの濃度にある、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも約0.1ng/mLのPDGFをさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、約0.3~4.5ng/mLのHGFをさらに含む、請求項1~15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、約1pg/mL~400pg/mLのVEGFをさらに含む、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
張性改変剤をさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記張性改変剤が、NaCl、KCl、マンニトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、及びグリセリンからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、0.5~50ng/mlのFN、2.28mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、10~12mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、11~13mg/mlのマンニトール、2~25mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.5~2mg/mlのヒプロメロースを含む、請求項1~19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、0.5~50ng/mlのFN、2.28mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、11.45mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、12.2mg/mlのマンニトール、24mg/mlのトレハロース二水和物、及び1mg/mlのヒプロメロースを含む、請求項1~19のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、0.5~50ng/mlのFN、1.31mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、4.5~7mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、5.5~7.5mg/mlのマンニトール、11~13mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.1~1.5mg/mlのヒプロメロースを含む、請求項1~19のいずれかに記載の組成物。いくつかの実施形態でが、前記FN組成物は、NaCl及び/またはMgClを含まない。
【請求項23】
前記組成物が、0.5~50ng/mlのFN、1.31mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、5.73mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、6.1mg/mlのマンニトール、12mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.5mg/mlのヒプロメロースを含む、請求項1~19のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、NaCl及び/またはMgClを含まない、請求項20~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
眼の状態の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、先行請求項のいずれかに記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
前記眼の状態が、網膜病状、慢性移植片対宿主病(GvHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼粘膜類天疱瘡、持続性角膜上皮欠損(PCED)、ドライアイ、眼神経組織損傷、及び眼への衝撃性損傷(衝撃性損傷、眼の挫傷、または化学熱傷など)からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項21または22に記載の方法に従って、眼の状態の治療を、それを必要とする対象において行うための、請求項1~26のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項28】
請求項1~27のいずれかに記載の組成物の作製方法であって、
(a)細胞培養培地において幹細胞を培養し、それによって、前記幹細胞によって分泌される因子を含む馴化培地を生成させることと、
(b)前記馴化培地を収穫し、それによって収穫馴化培地を得ることと、
(c)前記収穫馴化培地を濾過して、処理された馴化培地を得ることと、
を含む、前記方法。
【請求項29】
前記方法が、前記処理された馴化培地を濃縮することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記処理された馴化培地が、さらに、製剤緩衝液との緩衝液交換に供される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記製剤緩衝液が、リン酸二/一ナトリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、ホウ酸/クエン酸ナトリウム、ホウ酸/四ホウ酸ナトリウム、及びクエン酸/リン酸二ナトリウムのうちの1つ以上を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記幹細胞が、間葉系幹細胞(MSC)である、請求項28~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記細胞培養培地が、無血清である、請求項28~32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、ステップ(a)の前に、
(i)増殖培地において前記幹細胞を培養することと、
(ii)前記増殖培地をステップ(a)の前記細胞培養培地と交換することと、
を含む、請求項28~33のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月2日出願の米国仮出願第63/217,952号及び2021年8月20日出願の米国仮出願第63/235,605号に基づく優先権を主張し、これらはすべて、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
眼への爆風及び鈍的損傷は、網膜コモチオ、外傷性白内障、水晶体への小帯付着の破壊、角の後退、虹彩透析、及び瞳孔括約筋の破裂を含む、眼の内容物に対する一連の機械的破壊を引き起こす可能性がある。これらの損傷の治療は、虹彩の機械的修復(可能な場合)、水晶体のプラスチックレンズインプラントへの交換、及び網膜剥離の修復に限定されている。網膜または前房の細胞構造を修復する治療法がない。さらに、外傷性視神経障害と視神経剥離は、イラクの自由作戦中に専門的な眼のケアを必要とした6つの主要なタイプの眼の損傷の内の1つであり(Choand Savitsky,“Ocular Trauma Chapter7”,in Combat Casualty Care:Lessons learned from Oef and Oif,by Brian East bridgeand Eric Savitsky,pp.299-342,Ft.Detrick,Md.:BordenInstitute(US)Government Printing Office,2012)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。外傷性頭部損傷の60%は、神経眼科学的異常を引き起こす(VanStavern、et al、JNeuro-Ophthamol21(2):112-117、2001)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)その内の半分は視神経に関係する神経または視覚経路が関わっている。ニューロンの外傷性損傷は、軸索損傷及び不可逆的なニューロン喪失をもたらし、永久的な欠損をもたらす。多くの潜在的な神経保護療法が動物で確認されているが、これらの単剤は一般にヒトの臨床試験での療法に変換できなかった((Turner,et al.,JNeurosurg118(5):1072-1085,2013,その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ニューロンの損傷を防ぐために、いくつかの細胞標的に影響を与える併用療法が必要になる可能性がある。
【0003】
角膜は目の最も外側の組織として保護的な役割を果たすが、重度の怪我や病気に対して非常に脆弱である。血管がないため透明性があるが、治癒能力も制限される。角膜損傷は、不可逆的な失明を引き起こす可能性があるため、迅速な介入と積極的な治療が必要である。改善された眼表面治癒療法が極めて必要であることは、化学熱傷ならびに急性慢性移植片対宿主病(GvHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼粘膜類天疱瘡、及び持続性の角膜上皮欠損を引き起こすその他の状態の眼症状などの重度の角膜疾患において特に明白であり、これらは、合計で年間10万件超発生している。(Dietrich-Ntoukas et al.Cornea.2012,31(3):299-310;StevensonW,et al.,ClinOphthalmol.2013,7:2153-2158.
WhiteKD,et al.,JAllergyClinImmunolPract.2018;6(1):38-69;TauberJ.(2002)Autoimmune Diseases Affecting the Ocular Surface.In:Ocular Surface Disease Medicaland Surgical Management.Springer,NewYork,NY.;WirostkoB,et al.,OculSurf.2015Jul;13(3):204-21;Haring,RS.,et al.,JAMAOphthalmol.2016Oct1;134(10):1119-1124を参照)。
【0004】
局所点眼薬の開発は、涙液の代謝回転と希釈、鼻涙管ドレナージ、及び反射まばたきを含む、多くの解剖学的制約よって妨げられ、深い眼組織に到達するのは局所投与量の5%未満になることが多いにある(Gaudana et al、2009)。角膜創傷の場合、最初の外傷が角膜上皮に裂け目を引き起こし、それによって局所的に適用されたMSC-Sの通過が上皮層に浸透することを可能にする。
【0005】
したがって、当分野において、眼を標的とし、外傷に続発する炎症(例えば、火傷、急性炎症、年齢、及び/または酸化ストレス)により悪化する可能性のある届きにくい知覚細胞に治療用ペイロードを送達することのできるような眼の治療法に関するいまだ対処されていない大きな必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、そのような治療における使用のための、フィブロネクチンを含む組成物、任意選択で、フィブロネクチン(FN)に非共有結合で付加されている1つ以上の成長因子、及びそのような組成物の作製方法を提供することによってこのニーズを満たす。
【0007】
いくつかの実施形態では、FNは、MSC由来のFNである。
【0008】
いくつかの実施形態では、FNは、MSCが分泌したFNである。
【0009】
いくつかの実施形態では、FNは、細胞性FNである。
【0010】
いくつかの実施形態では、細胞性FNは、細胞由来のFNであり、FNは、1つ以上の成長因子に非共有結合で付加されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+及び/またはEDB+である。
【0012】
いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、馴化培地から得られる。
【0013】
いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、間葉系幹細胞(MSC)によって分泌される。
【0014】
いくつかの実施形態では、馴化培地は、MSCの培養物から得られる。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物は、MSCセクレトームを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、MSCは、骨髄に由来する。いくつかの実施形態では、MSCは、健康なヒトドナー由来の骨髄に由来する。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、FGF(FGF-2など)、PDGF、HGF、VEGF、TGFβ1、TGFβ2、IGF-1、IGF-2、NGF、ニューロトロフィン、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の成長因子をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、FGF(FGF-2など)、PDGF、HGF、VEGF、TGFβ1、TGFβ2、IGF-1、IGF-2、NGF、ニューロトロフィン、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の成長因子に結合されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞性フィブロネクチンは、約0.5~50ng/mLの濃度にある。
【0020】
いくつかの実施形態では、組成物中の細胞性フィブロネクチンは、約25ng/mLの濃度にある。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約0.1ng/mLのPDGFをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.3~4.5ng/mLのHGFをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1pg/mL~400pg/mLのVEGFをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物は、張性改変剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、張性改変剤は、NaCl、KCl、マンニトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、及びグリセリンからなる群から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~50ng/mlのFN、2.28mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、10~12mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、11~13mg/mlのマンニトール、2~25mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.5~2mg/mlのヒプロメロースを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~50ng/mlのFN、2.28mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、11.45mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、12.2mg/mlのマンニトール、24mg/mlのトレハロース二水和物、及び1mg/mlのヒプロメロースを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~50ng/mlのFN、1.31mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、4.5~7mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、5.5~7.5mg/mlのマンニトール、11~13mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.1~1.5mg/mlのヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、NaCl及び/またはMgClを含まない。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~50ng/mlのFN、1.31mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、5.73mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、6.1mg/mlのマンニトール、12mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.5mg/mlのヒプロメロースを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、NaCl及び/またはMgClを含まない。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書での本開示は、眼の状態の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、この方法は、本明細書で提供される組成物を対象に投与することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、眼の状態は、網膜病状、慢性移植片対宿主病(GvHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼粘膜類天疱瘡、持続性角膜上皮欠損(PCED)、ドライアイ、眼神経組織損傷、及び眼への衝撃性損傷(衝撃性損傷、眼の挫傷、または化学熱傷など)からなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書での本開示は、本明細書に開示の方法に従って、眼の状態の治療を、それを必要とする対象において行うための組成物の使用を提供する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書での本開示は、FN組成物の作製方法を提供し、この方法は、
(a)細胞培養培地において幹細胞を培養し、それによって、幹細胞によって分泌される因子を含む馴化培地を生成させることと、
(b)馴化培地を収穫し、それによって収穫馴化培地を得ることと、
(c)収穫馴化培地を濾過して、処理された馴化培地を得ることと、
を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、処理された馴化培地を濃縮することをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、処理された馴化培地は、さらに、製剤緩衝液との緩衝液交換に供される。
【0036】
いくつかの実施形態では、製剤緩衝液は、リン酸二/一ナトリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、ホウ酸/クエン酸ナトリウム、ホウ酸/四ホウ酸ナトリウム、及びクエン酸/リン酸二ナトリウムのうちの1つ以上を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、幹細胞は、間葉系幹細胞(MSC)である。
【0038】
いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、無血清である。
【0039】
いくつかの実施形態では、作製方法は、ステップ(a)の前に、
(i)増殖培地において幹細胞を培養することと、
(ii)増殖培地をステップ(a)の細胞培養培地と交換することと、
をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】フィブロネクチンの調製、処理、及び使用の実施形態の模式図。
図2】フィブロネクチンは、ヒト角膜上皮細胞の遊走を刺激する。
図3】フィブロネクチンを枯渇させると、ヒト角膜上皮細胞の遊走が損なわれる。
図4】フィブロネクチンを枯渇させると、ヒト角膜上皮細胞のインビトロ創傷閉鎖が損なわれる。
図5】免疫沈降させたフィブロネクチンが結合HGFを含むことを示すデータを提供する。
図6】セクレトーム中のフィブロネクチンの特徴付け。MSCから単離したセクレトームを、EDA配列、EDB+フィブロネクチン、及び一般的なフィブロネクチン(FN)に特異的な抗体を使用してイムノブロッティングによって評価した。抗EDA抗体及び抗EDB抗体は共に、フィブロネクチンと交差反応し、このことは、セクレトーム中に存在する種が細胞性フィブロネクチンであることを示している。
図7】サンドイッチELISAを使用する細胞性EDA+フィブロネクチンの検出。組換え細胞性フィブロネクチン及びEDA配列特異的捕捉抗体を使用してEDA+フィブロネクチンのELISA標準曲線(白抜きの丸印)を確立した。標準曲線の作成に使用する組換えフィブロネクチンに、免疫原として使用するEDA配列を含めることで、抗EDA抗体を生成させた。EDAサンドイッチELISAにおいてMSCセクレトームをアッセイし、細胞性フィブロネクチンが容易に検出された(青色のドット)。
【発明を実施するための形態】
【0041】
I.導入
フィブロネクチン(FN)は、糖質含量が約5%の巨大糖タンパク質である。特徴的な形態の血漿フィブロネクチンは、440,000ダルトンのジスルフィド結合型二量体であり、各サブユニットは、約220,000ダルトンの分子量を有する。フィブロネクチンは、通常、約300μg/mLの濃度で血漿中に見られ、Hynes,R.O.,Methods for identification of fibronectin(2章、12ページ),IN:Fibronectins New-York:Springer-Verlag,1990によって報告された方法を使用して抽出及び精製される。血漿フィブロネクチンは、寒冷不溶性グロブリン、抗ゼラチン因子、細胞付着タンパク質、細胞伸展因子、及びオプソニンα2表面結合糖タンパク質を含む、さまざまな他の名称によっても知られている。これらの名称は、フィブロネクチンの生物学的活性(細胞動員、微粒子デブリのオプソニン化、及び創傷収縮の促進など)を反映している。フィブロネクチンの構造及び活性についての説明は、Hynes,R.O.,Methods for identification of fibronectin(2章、12ページ),IN:Fibronectins New-York:Springer-Verlag,1990、ならびにHynes,R.O.,Methods for identification of fibronectin(2章、7~23ページ)及びWound healing,inflammation,and fibrosis(14章、349~64ページ),IN:Fibronectins New-York:Springer-Verlag,1990.3、ならびにBrotchie,H.,Wakefield,D.Australas J Dermatol 1990;31:47-56(すべて、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれる)において見つけることができる。
【0042】
創傷治癒は、通常、炎症期、増殖期、及び再構築期の3相に分けられる。フィブロネクチンは、特に浸潤細胞の接着が可能になるように足場を創出することによって、創傷治癒プロセスの各段階に関与することが報告されている。初期には、多くのメディエーター(フィブロネクチン及びフィブリノゲンなど)が創傷部位に放出される。フィブロネクチンは、創傷への炎症細胞の遊走、及び単球によるデブリの食作用を促進する。その後、血管新生及び再上皮化が生じる。この段階においては、フィブロネクチンは、内皮細胞に対して遊走活性を発揮すると共に、基底膜上への上皮細胞及び線維芽細胞の遊走を促進する。
【0043】
フィブロネクチンは、それがコラーゲンフィブリルの構造化において主な役割を果たす再構築期の必須成分であるようにも思われる。線維性コラーゲンは、組織の引張強度を大幅に増強する線維束を最終的に形成して、創傷閉鎖を生じさせる。血漿フィブロネクチンは、角膜創傷及び下腿潰瘍などにおいて創傷治癒の速度を上昇させる上で有用であると報告されている。
【0044】
フィブロネクチンには、血漿フィブロネクチン及び細胞性フィブロネクチンという2つの形態が存在する。血漿フィブロネクチンは肝細胞によって合成され、血漿に分泌される一方で、細胞性フィブロネクチンは、線維芽細胞、内皮細胞、幹細胞、筋細胞、及び軟骨細胞などの多くの細胞型によって産生される。
【0045】
創傷治癒においては、インビボでの創傷発生後に創傷中に血漿フィブロネクチンが顕著に蓄積することが報告されており、このことは、血小板、線維芽細胞、及び内皮細胞のさまざまな機能(接着、遊走、及び凝集など)に極めて重要であり、血漿フィブロネクチンがインビボでの創傷治癒の加速に適した基質として働く可能性があることを浮き彫りにしている。実際、動物モデルでは、血漿フィブロネクチンを含む暫定的なマトリックスが再上皮化プロセスにおける表皮細胞の接着及び遊走を顕著に支援し、このことは、ヒトの創傷治癒及び組織修復における血漿フィブロネクチンの臨床的な潜在力を示している。
【0046】
物理的及び免疫学的な類似点は多いものの、これら2つクラスのフィブロネクチンは電気泳動的な挙動、溶解性、及び生物学的活性が異なる。Tamkun et al.,J.Biol.Chem.258(7):4641-47(1983)、Yamada et al.,J.Cell Biol.80:492-98(1979)、Yamada et al.Biochemistry 16(25):2552-59(1977)。
【0047】
さらに、ペプチドマッピング(Hayashi et al.J.Biol.Chem.256(21):11,292-11,300(1981))及び免疫学的手法(Atherton et al.Cell 25:133-41(1981))によって、血漿フィブロネクチンと細胞性フィブロネクチンと間には一次構造的な相違が見つかっている。最近では、90アミノ酸のIII型構造リピートを正確に1つコードする相違領域がヒト線維芽細胞及び2つのヒト腫瘍細胞株由来のmRNAでは同定されたが、ヒト肝臓mRNAでは検出不可能であった。Kornblihtt et al.EMBO J.4(7):1755-59(1985)、Kornblihtt et al.,EMBO J.3(1):221-26(1984)、Kornblihtt et al.,Nucleic Acids Res.12(14):5853-68(1984)。血漿フィブロネクチンは肝細胞によって合成されることから、このエクストラIII型リピートは細胞性フィブロネクチンのユニークドメインである可能性がある。Schwarzbauer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,82:1424-28(1985)、Kornblihtt et al.,EMBO J.3(1):221-26(1984)、Kornblihtt et al.,Nucleic Acids Res.12(14):5853-68(1984)。血漿フィブロネクチンと細胞性フィブロネクチンとの間の相違についてのさらなる議論は、W.S.,et al.,Fibrogenesis Tissue Repair 4,21(2011)において提供されている。
【0048】
細胞性フィブロネクチンは、循環血漿フィブロネクチンプールには存在しないフィブロネクチンスプライスバリアントによって特徴付けられる。こうした選択的スプライスバリアントによって、フィブロネクチン配列がエクストラドメイン(III型ドメイン)(EIIIA及びEIIIB(またはEDA及びEDB)と呼ばれる)を有するようになる。White et al.The Journal of pathology.vol.216(1):1-14(2008)、White and Muro,IUBMB Life,63:538-546(2011)。したがって、いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、EDA+及び/またはEDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、EDA+、EDB+、及び/またはV+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、EDA+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、EDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、V+である。一方または両方のIII型ドメインが組み込まれ得る。細胞性フィブロネクチンは、これらのアイソフォームの混合物であり得る。
【0049】
創傷治癒の促進へのフィブロネクチンの治療応用には多大な関心が寄せられているにもかかわらず、現在までの臨床試験では血漿フィブロネクチンに焦点が当てられている。細胞性フィブロネクチンに関する臨床試験についてはこれまでのところ報告されておらず、血漿フィブロネクチンに関する臨床試験では、眼疾患患者の間で結果に一貫性がないことが示された。例えば、持続性角膜上皮欠損患者では残念なことに血漿フィブロネクチン治療が奏功しないことがMcCulley,JP.et al.によって報告された。McCulley JP,Horowitz B,Husseini ZM,Horowitz M.Trans Am Ophthalmol Soc.1993;91:367-86;考察386~90。
【0050】
さまざまな部位において成長因子がFNに結合し得ることを示す研究が増えてきている。したがって、FNは、成長因子を保持して生理学的微小環境中のそれらの局所濃度を上昇させる有効なリザーバーとして働き得る。例えば、HGFは、HGF受容体及びインテグリンならびにFNに結合することで、細胞遊走を促進する多量体複合体へと会合することが報告された。Rahman,Salman et al.,BMC cell biology vol.6,1 8.17 Feb.2005。FNは、そのC末端ヘパリン-IIドメイン(FN III)を介して、PDGF/VEGF及びFGFファミリーのさまざまな成長因子、ならびにトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)及びニューロトロフィンファミリーに由来にするいくつかの成長因子に結合することも明らかになった。FNによって隔離された成長因子は局所的、持続的、かつ増強されたGF活性を有すると推定されるが、内在性の生化学的特質及び生物物理学的特質を保持する組換えFN及び成長因子を用いる組換え併用療法を開発することは、依然として難易度の高いことである。
【0051】
A.定義
特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、特に明記しない限り、以下に記載されるように定義される。親仮特許出願で使用されている用語と直接矛盾する場合は、本明細書で使用されている用語が優先するものとする。
【0052】
本明細書で使用される場合、「分離された」とは、元の環境から除去され、したがって「人間の手によって」その自然の状態から変更された材料を指す。
【0053】
本明細書で使用する場合、「濃縮」とは、不要な材料を排除するか、混合物から望ましい材料を選択及び分離することによって、1つ以上の材料を選択的に濃縮または量を増やすことを意味する(例えば、集団内のすべての細胞がマーカーを発現するわけではない不均一な細胞から特定の細胞マーカーを用いて細胞を分離する)。
【0054】
本明細書で使用される場合、「実質的に精製された」という用語は、特定のマーカーまたはマーカーの組み合わせに対して実質的に均質な細胞の集団を意味する。実質的に均質とは、特定のマーカーまたはマーカーの組み合わせに対して少なくとも90%、好ましくは95%均質であることを意味する。本明細書で使用される場合、「多能性幹細胞」という用語は真の幹細胞であるが、限られた数のタイプにしか分化することができない。例えば、骨髄には多能性幹細胞が含まれており、血液のすべての細胞を生成するが、他の種類の細胞に分化できない場合がある。
【0055】
本明細書に記載の特定の組成物、増殖条件、培地などを指す場合の「動物を含まない」という用語は、ウシ血清、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸、ビタミンなどの非ヒト動物由来材料が、特定の組成物またはプロセスの調製、成長、培養、膨張、貯蔵または配合に使用されないことを意味する。「非ヒト動物由来材料がない」とは、物質が非ヒト動物の体内または物質内に存在または動物の体または物質に接触したことがなく、異種汚染されていないことを意味する。一般に、組換え生産されたヒトタンパク質などの臨床グレードの材料は、そのような組成物及び/またはプロセスの調製、成長、培養、膨張、貯蔵及び/または配合に使用される。
【0056】
細胞組成物に関して「拡張された」という用語は、細胞集団が、以前の方法を使用して得られるよりも有意に高い濃度の細胞を構成することを意味する。例えば、AMP細胞の拡張組成物中の羊膜組織の1グラムあたりの細胞レベルは、以前の方法を使用したそのような細胞の約20倍の倍増と比較して、5継代後の一次培養物中の細胞数よりも少なくとも50倍及び最大150倍高い。別の例では、AMP細胞の拡張組成物中の羊膜組織1グラムあたりの細胞のレベルは、3継代後の一次培養物中の細胞の数よりも少なくとも30倍、最大100倍高い。したがって、「拡張された」集団は、以前の方法と比較して、羊水組織の1グラムあたりの細胞数が少なくとも2倍、最大で10倍改善されている。「拡張された」という用語は、細胞の数を増やすために人が介入した状況のみを含むことを意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「馴化培地」は、特定の細胞または細胞集団が培養され、次いで除去された培地である。細胞を培地で培養すると、他の細胞をサポートしたり、他の細胞の挙動に影響を与えたりする可能性のある細胞因子を分泌する可能性がある。このような因子には、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)、タンパク質、小胞、抗体、ケモカイン、受容体、抑制剤、及び顆粒が含まれるが、これらに限定されない。細胞因子を含む培地は馴化培地である。馴化培地を調製する方法の例は、米国特許第6,372,494号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、馴化培地はまた、馴化培地または例えば、MSC細胞から回収及び/または精製されるタンパク質などの成分を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「間葉系幹細胞組成物」または「MSC組成物」という用語は、MSCに由来し、場合によってはさらなる処理を受けた馴化培地を意味する。いくつかの実施形態では、「MSCセクレトーム」は、MSCに由来する粗馴化培地を指すことができる。いくつかの実施形態では、「MSCセクレトーム」は、それが本明細書に記載されるようにさらなる処理に供された後に粗馴化培地から得られる組成物を指すことができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「懸濁液」という用語は、分散成分、例えば、サイトカインを含む液体を意味する。分散された成分は、完全に可溶化されるか、部分的に可溶化されるか、懸濁されるか、さもなければ液体中に分散され得る。適切な液体には、水、塩及び/または糖溶液などの浸透圧溶液、細胞培養培地、及び他の水溶液または非水溶液が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに後で修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合されたα炭素、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。アミノ酸は、本明細書では、それらの一般に知られている3文字記号またはIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される1文字記号のいずれかで呼ぶことができる。同様に、ヌクレオチドは、一般に受け入れられている1文字コードで呼ぶことができる。
【0061】
「アミノ酸置換」は、所定のアミノ酸配列(開始ポリペプチドのアミノ酸配列)における少なくとも1つの既存のアミノ酸残基の、第2の異なる「置換」アミノ酸残基による置換を指す。「アミノ酸挿入」は、所定のアミノ酸配列への少なくとも1つの追加のアミノ酸の組み込みを指す。挿入は通常、1つまたは2つのアミノ酸残基の挿入からなるが、現在のより大きな「ペプチド挿入」、例えば、約3~約5または最大で約10、15、または20のアミノ酸残基の挿入を行うことができる。挿入された残基は、上記に開示されているように、天然に存在する場合もあれば、天然に存在しない場合もある。「アミノ酸欠失」は、所定のアミノ酸配列からの少なくとも1つのアミノ酸残基の除去を指す。
【0062】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的類似体であるアミノ酸ポリマー、及び天然に存在するアミノ酸ポリマー、天然に存在しないアミノ酸ポリマーも含む。
【0063】
「核酸」は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド及びそれらのポリマーを指す。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で代謝される天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む核酸を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的に修飾された変異体(例えば、縮重コドン置換)及び相補的配列、ならびに明示的に示された配列も暗黙的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成することができる(Batzer et al、Nucleic Acid Res.19:5081、1991;Ohtsuka et al、Biol.Chem.260:2605-2608、1985;及びCassol et al、1992;Rossolini et al、Mol.Cell.プローブ8:91-98、1994)。アルギニンとロイシンの場合、2番目の塩基での修飾も保守的である可能性がある。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、及び遺伝子によってコードされるmRNAと互換的に使用される。本明細書で使用されるポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドから構成することができ、これらは、非修飾RNAまたはDNAまたは修飾RNAまたはDNAであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、及び一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖、またはより典型的には二本鎖、または一本鎖領域と二本鎖領域の混合物であり得るDNA及びRNAを含むハイブリッド分子から構成され得る。さらに、ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNA、あるいはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオチドはまた、安定性または他の理由のために修飾された1つ以上の修飾された塩基またはDNAまたはRNA骨格を含み得る。「修飾された」塩基には、例えば、トリチル化された塩基及びイノシンなどの異常な塩基が含まれる。DNAとRNAにはさまざまな変更を加えることができ、したがって、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態を包含する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「セクレトーム組成物」という用語は、細胞から分泌される1つ以上の物質を含む組成物を指す。特定の実施形態では、セクレトーム組成物は、1つ以上のサイトカイン、1つ以上のエクソソーム、及び/または1つ以上の微小胞を含み得る。セクレトーム組成物は、精製されていても、精製されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、セクレトーム組成物は、細胞から分泌されない1つ以上の物質(例えば、培養培地、添加物、栄養素など)をさらに含み得る。いくつかのセクレトーム組成物は、細胞から分泌されない微量の1つ以上の物質(例えば、培地、添加物、栄養素など)だけを含むか、または含まない。
【0065】
本明細書で使用される「治療(treatment)」、「治療(treat)」、または「治療する」などの用語は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、齧歯動物、猫、犬、馬、牛、羊、及び霊長類など)の任意の治療を含み、疾患または状態の素因がある可能性があるが、まだそれを有すると診断されていない対象において、疾患または状態が発生するのを防ぐことを含む。また、疾患、状態、及び/または関連する症状の抑制(発症の停止)、緩和または改善(退行の原因)、または疾患、状態及び/または任意の関連する症状の治癒(発症または進行の恒久的な停止)も含まれる。本明細書で使用される「治療」、「治療する」、または「治療する」という用語は、哺乳動物、特にヒトの疾患または状態の任意の治療を含み、(a)対象において病気や状態の素因があるかもしれないが、まだそれを持っていると診断されていない疾患または状態が発生するのを防ぐこと、(b)疾患または状態を抑制すること、例えば、その発症を阻止すること、(c)疾患または状態を緩和及び/または改善すること、例えば、疾患または状態の退行を引き起こすこと、または(d)疾患または状態を治癒すること、例えば、その発症または進行を停止することを含む。本発明の方法によって治療される対象の集団には、望ましくない状態または疾患に苦しむ対象、ならびに状態または疾患の発症のリスクがある対象が含まれる。いくつかの実施形態では、「治療(treatment)」(「治療(treat)」または「治療する」も)は、部分的または完全に緩和、改善、回復、抑制、発症の遅延、重症度の軽減、及び/または特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状、特徴、及び/または原因の発生率の低下をもたらす治療の任意の投与を指す。いくつかの実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の兆候を示さない対象、及び/または疾患、障害、及び/または状態の初期の兆候のみを示す対象のものであり得る。あるいは、及び/またはさらに、そのような治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態に罹患していると診断された対象のものであり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の発症のリスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象のものであり得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「創傷」は、機械的(例えば、挫傷、貫通)、熱的、化学的、電気的、放射線、衝撃及び切開による損傷などの外傷性障害、例えば外科手術及び結果的な切開創ヘルニア、瘻などの待機的創傷;急性創傷、慢性創傷、感染した創傷、及び無菌の創傷、ならびに病状(例えば、眼の挫傷)に関連する創傷を含むが、それらに限定されない、通常の組織(内部組織及び/または外部組織)を何らかの原因で崩壊するものである。創傷は動的であり、治癒のプロセスは、創傷時に始まり、最初の創傷閉鎖を超えて安定した創傷閉鎖に到達するまで進行する一連の、統合され相互に関連する細胞プロセスを必要とする連続的なものである。これらの細胞プロセスは、サイトカイン、リンホカイン、成長因子、及びホルモンを含むがこれらに限定されない体液性物質によって媒介または調節される。本発明によれば、「創傷治癒」は、何らかの形態の介入によって、治癒がより速くなるような、及び/または結果として生じる治癒領域がより少ない傷跡となるような、及び/または治癒領域が無傷の組織の強度に近い組織強度を有するような、及び/または創傷組織が、ある程度の機能回復を達成するような、組織修復の自然の細胞プロセス及び体液性物質を改善することを指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」という用語は、1つ以上または少なくとも1つを意味する。
【0068】
本明細書で使用される場合、組成物の「治療上有効な」または「有効な」投与量または量は、所与の病状にプラスの効果をもたらすのに十分な量である。即時ではない場合、治療上有効または有効な投与量または量は、ある期間にわたって、患者の健康及び幸福に顕著なまたは測定可能な効果をもたらす。
【0069】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、送達成分と組み合わせた本明細書に記載される組成物の有効量を指す。医薬組成物は、任意選択的に、組成物及び/またはその個々の成分の対象への投与を容易にし得る、薬学的に適切な担体及び賦形剤などの他の成分を含み得る。
【0070】
「薬学的に許容される担体」という用語は、対象に重大な刺激を引き起こさず、投与された化合物の生物学的活性及び特性を無効にしない担体または希釈剤を指す。
【0071】
「賦形剤」という用語は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「混合」、「混合する」などの用語は、成分の機械的プロセスまたは機械的処理を説明する。例えば、混合は、提供された疎水性マトリックスの強力な圧縮及び混合をもたらす、加圧及び折り畳みの繰り返しサイクルまたは同等の処理ステップを実行するという意味であり得る。
【0073】
成体幹細胞は、骨髄、脂肪、歯髄組織など、さまざまな成体組織から採取できる。すべての成体幹細胞は自己複製のケーブルであり、多能性であると考えられているが、それらの治療機能はそれらの起源によって異なる。その結果、成体幹細胞の種類ごとに、特定の病気に適した独自の特性がある。間葉系幹細胞(MSC)は典型的には中胚葉に由来し、多能性であり、様々な組織に分化することができるものから単離された(由来する)非造血性(非血液)幹細胞であり、骨芽細胞(例えば、骨細胞)、軟骨細胞(例えば、軟骨細胞)、筋細胞(例えば、筋肉細胞)及び脂肪細胞(例えば、骨髄脂肪組織を生じさせる脂肪細胞)を含む。本明細書で使用される場合、「単離された」とは、それらの元の環境から除去された細胞を指す。幹細胞は、成長因子など、複数の生物学的プロセスを調節する、または調節するために重要な因子を産生する。成長因子は、細胞の成長及び/または増殖及び/または細胞分化を刺激することができる天然に存在する物質などの薬剤である。一般的に、成長因子はタンパク質またはステロイドホルモンである。本明細書では、「成長因子」及び「因子」などの用語は交換可能に使用されるが、「生物学的因子」という用語は、成長因子に限定されない。
【0074】
ヒト間葉系幹細胞(MSC)は、CD45-/CD31-/CD73+/CD90+/CD105+/CD44+(またはその適切なサブセット)の表面マーカープロファイルによって特徴付けることができる。(Bourin et al、Cytotherapy15(6):641-648(2013)を参照)。さらに、適切な幹細胞は、単離時にCD34+陽性を示すが、培養中にこのマーカーを失う。したがって、本出願に従って使用され得る1つの幹細胞タイプの完全なマーカープロファイルは、CD45-/CD31-/CD73+/CD90+/CD105+を含む。マウス幹細胞を利用する別の実施形態では、幹細胞は、CD34の代わりにSca-1マーカーによって特徴付けられ、残りのマーカーは同じままで、上記のヒト細胞と相同であると思われるものを定義する。
【0075】
「馴化培地」または「CM」という句は、MSCによって分泌される生物学的因子を含む培地を指す。これは、本明細書では「セクレトーム」、「MSC-CM」、「MSCセクレトーム」及び/または「MSC由来セクレトーム」と呼ばれることもある。また、MSCによって分泌される生物学的因子を含み、例えば、濾過、精製、及び/または濃縮手順によってさらに処理された、処理された「馴化培地」も提供される。「馴化培地」は、本明細書に詳細に記載されるように、培地中で幹細胞を培養し、幹細胞及びそれらの分泌された幹細胞産物(セクレトーム)を含む得られた培地を、生物学的因子及び分離前に存在していた数よりも少ない幹細胞を含む馴化培地に分離することによって得られる。馴化培地は、本明細書に記載の方法で使用することができ、幹細胞を実質的に含まない(わずかな割合の幹細胞を含み得る)か、または幹細胞を含まない。馴化培地に存在し得る生物学的因子には、タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、酵素)、核酸(例えば、miRNA)、脂質(例えば、リン脂質)、多糖類、及び/またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。これらの生物学的因子の任意の組み合わせは、細胞外小胞(例えば、エクソソーム)の内部または表面に結合するか、または細胞外小胞から分離することができる。
【0076】
B.組成物及び配合物
本発明は、そのような治療における使用のための、フィブロネクチンを含む組成物、任意選択で、フィブロネクチン(FN)に非共有結合で付加されている1つ以上の成長因子、及びそのような組成物の作製方法を提供することによってこのニーズを満たす。
【0077】
いくつかの実施形態では、FNは、幹細胞由来である。
【0078】
いくつかの実施形態では、FNは、MSC由来のFNである。
【0079】
いくつかの実施形態では、FNは、MSCが分泌したFNである。
【0080】
いくつかの実施形態では、FNは、細胞性FNである。いくつかの実施形態では、本発明の細胞性FNは、選択的スプライシングバリアント/アイソフォーム(EDA、EDB、及びV+など)の混合物である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+及びEDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、V+である。
【0081】
いくつかの実施形態では、細胞性FNは、細胞由来のFNであり、FNは、1つ以上の成長因子に非共有結合で付加されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、馴化培地から得られる。いくつかの実施形態では、馴化培地は、間葉系幹細胞(MSC)の培養物から得られる。
【0083】
いくつかの実施形態では、FNの含む組成物は、MSCセクレトーム(処理されたMSCセクレトームを含む)に由来する。
【0084】
いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞(MSC)セクレトームを含む馴化培地及び/または間葉系幹細胞(MSC)セクレトーム(処理されたMSCセクレトームを含む)を含む組成物が本明細書で提供される。
【0085】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~90,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~8,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~7,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~6,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~5,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~4,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~3,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~90,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~8,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~7,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~6,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~5,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~4,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~3,000ng/MLのFNを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~90,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~8,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~7,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~6,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~5,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~4,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~3,000ng/MLのFNを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~90,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~8,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~7,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~6,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~5,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~4,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~3,000ng/MLのFNを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、50~5000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50~4000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、100~4000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、150~3500ng/mLのFNを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000~70,000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500~50,000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000~40,000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1500~35,000ng/mLのFNを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約0.5~50g/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、5~45ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、10~40ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、15~35ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、20~30ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、約25ng/mLのFNを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、1つ以上の成長因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の成長因子を含むFN組成物は、MSCセクレトームに由来する。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞性FNは、1つ以上の成長因子に付加されている。いくつかの実施形態では、FNは、1つ以上の成長因子に非共有結合で付加されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の成長因子は、FGF(FGF-2(線維芽細胞増殖因子-2とも称される)など)、PDGF(血小板由来増殖因子とも称される)、HGF(肝細胞増殖因子とも称される)、VEGF、TGFβ1(TGFベータ1またはトランスフォーミング増殖因子β1とも称される)、TGFβ2(TGFベータ2またはトランスフォーミング増殖因子β2とも称される)、IGF-1(インスリン増殖因子1とも称される)、IGF-2(インスリン増殖因子2とも称される)、NGF(神経成長因子とも称される)、ニューロトロフィン、及びEGF(上皮成長因子とも称される)からなる群から選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、FGFをさらに含む。いくつかの実施形態では、FGFは、FGF-2である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、FGF-2をさらに含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、PDGFをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約0.1ng/mLのPDGFをさらに含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、HGFをさらに含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1~10ng/mLまたは2.0+/-0.3ng/mLのHGFを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、VEGFをさらに含む。いくつかの実施形態では、VEGFは、約100~800pg/mLまたは304+/-44pg/mLの濃度にある。
【0096】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、TGFβ1をさらに含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、TGFβ2をさらに含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、IGF-1、IGF-2、及びEGFをさらに含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、IGF-2をさらに含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、NGFをさらに含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、ニューロトロフィンをさらに含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、EGFをさらに含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約pH4.5~約pH8のpHで配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約pH4.7~約pH7.8のpHで配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約pH5.0~約pH7.5のpHで配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約pH5.5~約pH7.5のpHで配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約pH6~約pH7.5のpHで配合される。
【0104】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約pH4.5、約pH5.0、約pH5.5、約pH6.0、約pH6.5、約pH7.0、約pH7.4、約pH8.0のpHで配合される。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、約pH4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0のpHで配合される。
【0105】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の成分を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞培地に見られる特定の成分を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、生体異物成分(例えば、動物血清);フェノールレッド;ペプチド及び生体分子<3kDa;抗生物質;タンパク質凝集体(例えば、タンパク質凝集体>200nm);細胞;細胞破片(細胞破片にはエクソソーム/細胞外小胞(EV)は含まれない;例えば、非エクソソーム、非EV細胞破片);ホルモン(例えば、ホルモンにはインスリン及び/またはヒドロコルチゾンが含まれるが、これらに限定されない);及び/またはL-グルタミンからなる群から選択される1つ以上の成分を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、生体異物成分を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物はフェノールレッドを含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、3kDa未満のペプチド及び生体分子を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は抗生物質を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、タンパク質凝集体(例えば、200nmを超えるタンパク質凝集体)を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は細胞を含まない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞破片を含まない(細胞破片は、エクソソーム/EVを含まない;例えば、非エクソソーム、非EV細胞破片)。いくつかの実施形態では、FN組成物は、ホルモンを含まない(例えば、ホルモンは、インスリン及び/またはヒドロコルチゾンを含むが、これらに限定されない)。いくつかの実施形態では、FN組成物は、L-グルタミンを含まない。
【0106】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、マンニトール、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、スクロース、トレハロース、マンノース、マルトース、ラクトース、グルコース、ラフィノース、セロビオース、ゲンチオビオース、イソマルトース、アラビノース、グルコサミン、フルクトース、デキストロース、及び/またはそれらの組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、リン酸塩をさらに含む。いくつかの実施形態では、リン酸塩源は、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムである。いくつかの実施形態では、リン酸塩源はリン酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、リン酸塩源はリン酸カリウムである。いくつかの実施形態では、FN組成物は、モノリン酸ナトリウム/ジリン酸ナトリウム、マンニトール、及びトレハロースをさらに含み、組成物は、約pH7.4のpHを有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、グリシン、グリセロール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び/またはデキストロースを含むがこれらに限定されない1つ以上の追加の薬剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、グリシン、グリセロール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びデキストロースからなる群から選択される1つ以上の追加の薬剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、グリシン及びグリセロール、ならびにデキストロースからなる群から選択される1つ以上の追加の薬剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、塩化ナトリウム及び塩化カリウムからなる群から選択される1つ以上の追加の薬剤を含むことができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、緩衝系において配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、リン酸二/一ナトリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、クエン酸/クエン酸ナトリウム、ホウ酸/四ホウ酸ナトリウム、及び/またはクエン酸/リン酸二ナトリウムを含むがこれらに限定されない緩衝系で配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、リン酸二/一ナトリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、ホウ酸/クエン酸ナトリウム、ホウ酸/四ホウ酸ナトリウム、及び/またはクエン酸/リン酸二ナトリウムからなる群から選択される緩衝系において配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、リン酸二/一ナトリウム緩衝液系で配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、クエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝液系で配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、ホウ酸/クエン酸ナトリウム緩衝系で配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、ホウ酸/四ホウ酸ナトリウム緩衝系で配合される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、クエン酸/リン酸二ナトリウム緩衝液系で配合される。
【0109】
いくつかの実施形態では、リン酸塩源は、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムである。いくつかの実施形態では、リン酸塩源はリン酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、リン酸塩源はリン酸カリウムである。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、リン酸二ナトリウム/クエン酸、マンニトール、及びトレハロースを含み、組成物は、約pH6.4のpHを有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、張性調整剤または張性改変剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、張性調整剤または張性改変剤は、NaCl、KCl、マンニトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、及び/またはグリセリンを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、張性調整剤または張性改変剤は、NaCl、KCl、マンニトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、及び/またはグリセリンからなる群から選択される。
【0111】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、接着剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、ヒプロメロース、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポロキソマー237、ポロキソマー338、ヒプロメロース(HPMC)、HEC,ポリカルボフィル、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリイミド、ヒアルロン酸ナトリウム、ジェランガム、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリシロキサン、ポリイミド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、フィブリン接着剤、ポリエチレングリコール、及びGelCOREを含むが、これらに限定されない接着剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、接着剤はヒプロメロースである。いくつかの実施形態では、接着剤はフィブリン接着剤である。いくつかの実施形態では、接着剤はポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、接着剤はGelCOREである(Sani,et al.,ScienceAdvances,Vol.5,no.3(2019)を参照)。
【0112】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、(a)本明細書に記載の方法のいずれか1つによって生成されるMSCセクレトームを含む処理された馴化培地、及び(b)ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、本明細書に記載されるように生成されるMSCセクレトームを含む馴化培地及びポリマーを含む。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、本明細書に記載されるように生成されるMSCセクレトームを含む処理された馴化培地及びポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、組成物成分が放出され得る生分解性ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、成分の持続的(遅い)放出を可能にする。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるFN組成物は、治療用包帯の形態である(例えば、細胞性FN組成物を含浸させたポリマー)。治療用包帯は、用途に応じて、必要に応じて構成することができる。いくつかの実施形態では、包帯は、形態またはパッチであるか、またはメッシュとして構成される。
【0114】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、生体浸透度、例えば、眼への浸透、角膜への浸透、及び/または角膜への浸透を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼によって吸収される能力を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、固有の生体浸透度を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、賦形剤対応の生体浸透度を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、より小さな因子のアップレギュレーションによる生体浸透度を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、生物保存剤の存在による生体浸透度を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、生物保存性塩化ベンザルコニウムの存在による生物浸透度を示す。
【0115】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、他の治療と比較して、長い半減期を示す、及び/または増加した安定性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞性FN組成物は、MSCセクレトームの安定性の増加を可能にするタンパク質のアップレギュレーションを可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞性FN組成物は、シャペロンタンパク質をアップレギュレートして、MSCセクレトーム内の他のタンパク質の安定性を改善することを可能にする。
【0116】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、それを必要とする対象に投与された場合、超効力を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1日1滴または1回の投与で治療効果を可能にする。
【0117】
C.生産/製造の方法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される細胞性FNは、細胞によって馴化培地に分泌される。いくつかの実施形態では、細胞は、幹細胞(間葉系幹細胞など)である。いくつかの実施形態では、馴化培地は、細胞性FN組成物を得る上で望ましくない構成要素を除去するためにさらに処理される。
【0118】
いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物(したがって、間葉系幹細胞分泌因子)の由来元である馴化培地は、治療される患者または個体(それを必要とする患者)または別の(ドナー)個体から採取された間葉系幹細胞、すなわち若いかつ/または健康なドナー及び/または商業的に得られた間葉系幹細胞から得ることができる。例えば、治療される個体(自家幹細胞)またはドナー(同種異系幹細胞)から得られたMSCを使用して、本明細書に記載の馴化培地を生成することができ、その後、本明細書に記載の細胞性FN組成物にさらに処理することができる。
【0119】
本発明によれば、間葉系幹細胞(MSC)セクレトームを作製する方法は、
i.最初の培地で間葉系幹細胞(MSC)を培養することと、
ii.ステップ(i)からの最初の培地をMSCから取り除くことと、
iii.ステップ(ii)のMSCを洗浄することと、
iv.2番目の培地を追加し、約1~5日間培養することと、
v.ステップ(iv)からの第2の培地を馴化培地として収穫することと、
vi.ステップ(v)の馴化培地を本明細書に記載のMSCセクレトーム組成物に処理することと、を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、培養は、細胞を培養するためのバイオリアクターシステムを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、培養は、幹細胞を培養するためのバイオリアクターシステムを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、培養は、間葉系幹細胞を培養するためのバイオリアクターシステムを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、培養は、培地混合技術を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、培養は、PBSVerticalWheel(商標)混合技術(PBS Biotech,Inc.から商業的に利用可能である)を使用して実施することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、ステップ(iv)において、ステップ(v)の馴化培地をセクレトーム組成物に処理することは、
a)ステップ(v)から採取した馴化培地を濾過して細胞粒子を除去することと、
b)ステップ(a)からの濾過された馴化培地を濃縮することと、
c)製剤緩衝液と緩衝液交換することと、
を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、ステップc)は、リン酸二/一ナトリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、ホウ酸/クエン酸ナトリウム、ホウ酸/四ホウ酸ナトリウム、及びクエン酸/リン酸二ナトリウムからなる群から選択される緩衝系と緩衝液交換することを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、濾過ステップ(a)は、0.45μmフィルター、0.22μmフィルター、0.8μmフィルター、及び0.65ミクロン、低タンパク質結合PVDF膜、及び/またはPES(ポリエーテルスルホン)の使用を含む。いくつかの実施形態では、濾過ステップ(a)は、0.45μmのフィルターの使用を含む。いくつかの実施形態では、濾過ステップ(a)は、0.22μmフィルターの使用を含む。いくつかの実施形態では、濾過ステップ(a)は、0.8μmフィルターの使用を含む。いくつかの実施形態では、フィルタリングステップ(a)は、0.65ミクロンの使用を含む。いくつかの実施形態では、濾過ステップ(a)は、低タンパク質結合PVDF膜の使用を含む。いくつかの実施形態では、濾過工程(a)は、PES(ポリエーテルスルホン)の使用を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、濃縮ステップ(b)は、中空繊維フィルター、接線流濾過システム、または遠心分離ベースのサイズ排除技術を使用することを含む。いくつかの実施形態では、濃縮ステップ(b)は、中空繊維フィルター技術を使用することを含む。いくつかの実施形態では、濃縮ステップ(b)は、タンジェンシャルフロー濾過システムを使用することを含む。いくつかの実施形態では、濃縮ステップ(b)は、遠心分離ベースのサイズ排除技術を使用することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、遠心分離ベースのサイズ排除技術は、3~10kDaのMWカットオフを使用する。いくつかの実施形態では、遠心分離ベースのサイズ排除技術は、少なくとも3kDaMWカットオフ、少なくとも4kDaMWカットオフ、少なくとも5kDaMWカットオフ、少なくとも6kDaMWカットオフ、少なくとも7kDaMWカットオフ、少なくとも8kDaMWカットオフ、少なくとも9kDaMWカットオフ、少なくとも10kDaMWカットオフ、少なくとも11kDaMWカットオフ、少なくとも12kDaMWカットオフ、少なくとも13kDaMWカットオフ少なくとも14kDaMWカットオフ、少なくとも15kDaMWカットオフ、少なくとも16kDaMWカットオフ、少なくとも17kDaMWカットオフ、少なくとも18kDaMWカットオフ、少なくとも19kDaMWカットオフ、少なくとも20kDaMWカットオフ、少なくとも21kDaMWカットオフ、少なくとも22kDaMWカットオフ、少なくとも23kDaMWカットオフ、少なくとも24kDaMWカットオフ、少なくとも25kDaMWカットオフ、少なくとも26kDaMWカットオフ、少なくとも27kDaMWカットオフ、少なくとも28kDaMWカットオフ、少なくとも29kDaMWカットオフ、及び/または少なくとも30kDaMWカットオフを使用する。
【0126】
いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書で上記に記載されるようなMSCセクレトーム組成物及び/または製剤を生成する。いくつかの実施形態では、第1及び/または第2の培養培地は、MSC培地及び/またはMSC-XFである。
【0127】
MSC、またはMSCから分化した細胞は、例えば、本明細書に記載の所望のサイトカイン及び/または所望の治療特性を含む、細胞性FN及び任意選択の他の所望のセクレトーム成分を含む馴化培地を生成するように作製することができる。例えば、セクレトームは、スーパードナー細胞株のMSCから産生することができる。セクレトームは、商業的に入手したMSCからも産生することができる。来たる実施形態では、同種異系MSC(及び/またはそれに由来する細胞)及び/または同種異系MSC由来のセクレトーム組成物は、個体の大きなグループのために調製及び保存され得る。同種異系MSC(及び/またはそれに由来する細胞)及び/またはMSC由来のセクレトーム組成物は、人々がそれらを必要とするときに準備ができるように、事前に作製することができる。特定の実施形態では、MSC(及び/またはそれに由来する細胞)及び/またはMSC由来のセクレトーム組成物を処理して、より濃縮された溶液または組成物(例えば、本明細書に記載の間葉系幹細胞由来のセクレトーム組成物またはMSCセクレトーム組成物)を製造することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、最初の培養培地及び第1の培養培地は異なる。いくつかの実施形態では、最初の培地及び第1の培地は同じである。本発明によるMSCセクレトームを含む馴化培地を産生するためにMSCを培養するのに有用な細胞培養培地または培地の非限定的な例には、hMSC Media Booster XFM、hMSC High Performance Basal Media、Minimum Essential Medium Eagle(MEME)、ADC-1,LPM(Bovine Serum Albumin非含有)、F10(HAM)、F12(HAM)、DCCM1、DCCM2、RPMI1640、BGJMedium(Fitton-JacksonModification有り及び無し)、StemPro、MSCGro、MesenCult、NutriStem、BasalMediumEagle(BME-Earle’ssaltbaseの追加有り)、Dulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM-血清有りまたは無し)、Yamane、IMEM-20、Glasgow Modification Eagle Medium(GMEM)、LeibovitzL-15 Medium、McCoy’s 5A Medium、Medium M199(M199E-Earle’ssalebase有り)、Medium M199(M199H-Hank’ssaltbase有り)、Minimum Essential Medium Alpha(MEM-アルファ)、Minimum Essential Medium Eagle(MEM-E-Earle’ssaltbase有り)、MinimumEssentialMediumEagle(MEM-H-Hank’ssaltbase有り)及びMinimumEssentialMediumEagle(MEM-NAA欠アミノ酸有り)が挙げられるが、とりわけ、培地199、CMRL1415、CMRL1969、CMRL1066、NCTC135、MB75261、MAB8713、DM145、Williams’G、Neuman&Tytell、Higuchi、MCDB301、MCDB202、MCDB501、MCDB401、MCDB411、MDBC153が挙げられる。本発明で使用するための好ましい媒体は、MEM-アルファである。これら及びその他の有用な培地は、とりわけGIBCO(GrandIsland,N.Y.,USA)及びBiologicalIndustries(BetHaEmek,Israelk)から入手することができる。これらの培地の多くは、Enzymology,VolumeLVIII,“CellCulture”,pp.6272,edited by William B.Jakoby and Ira H.Pastan,published by Academic Press,Inc.に要約されている。
【0129】
いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞のための細胞培養培地は、無血清培地であり得る。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞のための細胞培養培地は、血清で補充され得る。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞のための細胞培養培地は、補充されたヒト血小板溶解物であり得る。いくつかの実施形態では、血清は、ウシ胎児血清(FBS)を含み得る。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞のための細胞培養培地は、ウシまたは他の種の胎児血清などの血清を補充することができる。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞のための細胞培養培地は、細胞増殖を促進し、及び/または細胞の健康を促進するために、メルカプトエタノール及び/または抗生物質などの他の成分で補充することができる。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞のための細胞培養培地は、抗生物質が補充されていない。
【0130】
いくつかの実施形態では、酸素の割合は、細胞増殖を促進し、かつ/または細胞の健康を促進するために変動する。いくつかの実施形態では、酸素は、細胞増殖を促進し、かつ/または細胞の健康を促進するために、5%、10%、15%、20%、または25%の量である。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞は、細胞増殖を促進し、及び/または細胞の健康を促進するために、部分酸素圧下で増殖される。いくつかの実施形態では、間葉系幹細胞は、細胞増殖を促進し、及び/または細胞の健康を促進するために、低酸素分圧環境下で増殖される。
【0131】
一態様では、本発明は、間葉系幹細胞によって分泌される生物学的因子を含む馴化培地(CM)を対象とし、MSCセクレトームを含む馴化培地と呼ぶことができる。馴化培地は、本明細書に記載のように、培地中で間葉系幹細胞を培養し、間葉系幹細胞及びそれらの分泌された間葉系幹細胞産物(生物学的因子及び/またはセクレトームと呼ばれる)を含む得られた培地を、馴化培地で増殖したセクレトーム及び間葉系幹細胞を含有する馴化培地の成分部分に分離することによって得ることができる。分離された馴化培地は、間葉系幹細胞セクレトームを含み、本明細書に記載の方法に従ってさらに処理及び/または使用することができ、間葉系幹細胞を実質的に含まない(少量の幹細胞及び/または微量の幹細胞を含み得る)または間葉系幹細胞を含まない。MSCセクレトームは、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス、タンパク質、小胞、抗体、ケモカイン、受容体、抑制剤、顆粒など、さまざまな生物学的因子で構成されている。本明細書に記載されるように、MSCセクレトームを含む馴化培地または複数の培地(CMまたはMSCセクレトームを含む馴化培地)をさらに処理して、濃縮された馴化培地(pCMまたは濃縮MSCセクレトーム)を生成することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、MSCセクレトームまたは濃縮MSCセクレトームを含む馴化培地は、間葉系幹細胞が培養された培養培地に代わって、培養培地中で間葉系幹細胞を培養することによって生成される。いくつかの実施形態では、MSCセクレトームを含む得られた馴化培地は、収穫(回収)され、次いで、濃縮されたMSCセクレトームを生成するために処理される。特定の実施形態では、MSCセクレトームを含む収穫された馴化培地の処理は、培地のいくつか、ほとんど、または本質的にすべての除去、または馴化培地の選択された成分のいくつか、ほとんど、または本質的にすべての除去を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、MSCセクレトームを含む収穫された馴化培地は、濃縮されたMSCセクレトームを産生するために濾過される。いくつかの実施形態では、MSCセクレトームを含む収穫された馴化培地は、濃縮されたMSCセクレトームを産生するために限外濾過される。
【0134】
一態様では、本明細書で提供されるのは、細胞性FNを含む処理された馴化培地を生成する方法であり、本方法は、(a)細胞培養培地中で幹細胞を培養し、それにより間葉系幹細胞によって分泌される因子を含む馴化培地(例えば、間葉系幹細胞セクレトームを含む馴化培地)を生成することと、(b)馴化培地を収穫し、それによって収穫された馴化培地(例えば、収穫された間葉系幹細胞セクレトーム)を生成することと、(c)収穫された馴化培地(例えば、収穫された間葉系幹細胞セクレトーム)を濾過して、処理された馴化培地(間葉系幹細胞セクレトーム)を生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、(a)の幹細胞は、成長因子を含まない培地で培養される前に、増殖培地で培養される(培養されている)。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、(a)第1の増殖培地中で間葉系幹細胞を培養することと、(b)第1の増殖培地を第2の増殖培地と交換し、第2の増殖培地で幹細胞を培養し、それにより間葉系幹細胞セクレトームを含む馴化培地を生成することと、(c)間葉系幹細胞セクレトームを含む馴化培地を収穫し、それによって間葉系幹細胞セクレトームを含む収穫された馴化培地を生成することと、(d)収穫された馴化培地を濾過して、間葉系幹細胞セクレトームを含む処理された馴化培地を生成することと、を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、幹細胞は間葉系幹細胞である。間葉系幹細胞(MSC)は、骨髄や脂肪組織を含むさまざまな成人組織から単離された(由来する)多能性(全てではないが、複数の細胞系譜に分化することができる)非造血性(非血液)幹細胞である。特定の実施形態では、間葉系幹細胞は、骨髄から単離される。「分離される」とは、元の環境から移転された細胞を指す。MSCは、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞などの中胚葉系細胞に分化し得る。MSCは細胞プロセスがほとんどない長くて薄い小さな細胞体を有する。細胞体は、核小体が目立つ大きな丸い核を含み、それは細かく分散したクロマチン粒子に囲まれており、核に明確な外観を与えている。細胞体の残りの部分には、少量のゴルジ装置、粗面小胞体、ミトコンドリア、及びポリソームが含まれている。長くて薄い細胞は広く分散しており、隣接する細胞外マトリックスにはいくつかの網状フィブリルが存在するが、他のタイプのコラーゲンフィブリルがない[Brighton、et al。1991 The Journal of Bone and Joint Surgery 73(6):832-47]。本明細書に記載のMSCは、以下の分子マーカー(細胞または細胞型の原形質膜に特徴的なタンパク質分子)プロファイルを発現し得る:骨形態形成タンパク質受容体「1」(BMPR);CD34Scal;Lin;CD44;c-kit;Sca-1;Thy-1;NOTCH3;JAG1;ITGA11。MSCは、他の細胞型特異的マーカーを発現する(stemcells.nih.gov;Kaltz,et al.2010 Exp Cell Res Oct1;316(16):2609-17、参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載のMSCは、MSCの多能性分化能(MSCがどの細胞型に生じるか)を検出するためのコロニー形成単位アッセイに基づいて同定することができる。ただし、ある程度分化した細胞(前駆細胞)も使用することができる。
【0136】
i.FN組成物-処理
いくつかの実施形態では、FN組成物を得るために、本明細書に記載のMSCセクレトームを含む馴化培地は、いくつかの実施形態では、細胞粒子及び/または他の有害な成分を除去するために収集及び濾過及び/または精製することができる。例えば、上記のステップ(v)で説明したように、ステップ(iv)から第2の培養培地を馴化培地として収穫する。本明細書で使用される濾過膜は、細胞粒子及び/または他の有害な成分を通過させながら、所望のMSCセクレトーム成分を保持することができるように、適切な膜及び構成を有する当技術分野で知られているもののいずれかから選択され得る。したがって、有害な成分が除去のために通過することを可能にしながら、選択された流体力学的条件下で細胞の保持を可能にする任意の適切な膜を使用することができる。いくつかの実施形態では、約5ミクロンの細孔サイズの上限及び約0.1ミクロンの下限が適切であろう。いくつかの実施形態では、濾過は、ミクロ細孔フィルターを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、濾過は、0.5μm~0.2μmのフィルターを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、濾過は、0.5μm、0.45μm、0.4μm、0.35μm、0.3μm、0.25μm、0.22μm及び/または0.2μmフィルターを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、濾過は、0.45μmのフィルターを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、濾過は、0.22μmフィルターを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、濾過/精製は、低タンパク質結合ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、濾過/精製は、ポリエーテルスルホン(PES)を使用して実施することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、濾過は限外濾過による。いくつかの実施形態では、馴化培地は、3kDのフィルターサイズを使用して濾過される(フィルターサイズよりも大きい分子の処理された馴化培地における精製、脱塩、及び濃縮を達成するため)。いくつかの実施形態では、3kD未満のフィルターサイズが馴化培地を濾過するために使用され、他の実施形態では、処理された馴化培地が使用される用途に応じて、3kDを超えるフィルターサイズが使用される。他の実施形態では、収穫された馴化培地の限外濾過は、得られるMSCセクレトームを含む処理された馴化培地の成分のサイズを決定するために選択された異なる細孔サイズ(例えば、2kD、2kD未満または2kD超)のフィルターを使用して実施される。
【0138】
いくつかの実施形態では、成長支持培地中の有害な成分は、培地交換によって、好ましくは「クロスフロー濾過」を介して除去される。クロスフロー濾過とは、MSCセクレトーム細胞の懸濁液が、細胞以外の懸濁液の成分を透過するフィルターと実質的に平行に流れる濾過モードを指す。クロスフロー濾過プロセスは、Re=レイノルズ数、γw=壁せん断速度、ΔP=圧力損失、TMP=膜貫通圧力を含む一連の流体力学パラメータによって特徴付けられる。Re、γw、及びΔPは、濾過システムの構造、流れの状態、及び流体の特性に依存する。そのようなクロスフロープロセスは、いくつかの実施形態では、中空繊維濾過システムも含むことができる。例えば、米国特許第5053334を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、濾過の非存在下及び/または濾過後にさらに濃縮される可能性がある。いくつかの実施形態では、FN組成物は、中空繊維接線流技術を使用して濃縮することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、遠心分離ベースのサイズ排除技術を使用して濃縮することができ、例えば、アミコン及び/またはセントリコンを、濃縮ステップ中に使用することができる。いくつかの実施形態では、サイズカットオフは、3~10kDaのMWカットオフである。いくつかの実施形態では、遠心分離ベースのサイズ排除技術濃縮法中に使用するための分子量カットオフは、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約7kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約9kDa、または少なくとも約10kDa、または少なくとも約15kDa、または少なくとも約20kDa、または少なくとも約25kDa、または少なくとも約30kDaである。
【0141】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、または約100倍に濃縮される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、濃縮前の馴化培地と比較して、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、95倍、または約100倍に濃縮される。
【0142】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、濃縮ステップの後に、最終製剤緩衝液にさらに緩衝液交換される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、濃縮(centration)ステップの後に、接着剤なしで最終製剤緩衝液にさらに緩衝液交換される。いくつかの実施形態では、緩衝液交換は、FN組成物の緩衝液成分を変更することを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、緩衝液交換ステップ中に希釈されない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、緩衝液交換ステップ中に、1%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、または25%未満に希釈される。
【0143】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、微量の培養培地成分のすべてが除去されるように、濃縮ステップの後に緩衝液交換される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4未満%、約3%未満、約2%未満、または約1%未満、または約0%の培養培地成分が残っているように、濃縮ステップ後に緩衝液交換される。
【0144】
ii.FN組成物-配合
いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.1ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50~5000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、100~4000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、150~3500ng/mLのFNを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~90,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~8,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~7,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~6,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~5,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~4,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、50ng/mL~3,000ng/MLのFNを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~90,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~8,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~7,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~6,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~5,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~4,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500ng/mL~3,000ng/MLのFNを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~150,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~140,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~130,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約135,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~120,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~110,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~100,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~90,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~80,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~70,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~60,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~50,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~40,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~30,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~20,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~10,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~9,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~8,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~7,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~6,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~5,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~4,000ng/MLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000ng/mL~3,000ng/MLのFNを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000~70,000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、500~50,000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1000~40,000ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1500~35,000ng/mLのFNを含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約0.5~50g/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、5~45ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、10~40ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、15~35ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、20~30ng/mLのFNを含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、FNは、上に提供される範囲内の任意の適切な値の濃度にある。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約20ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約21ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約22ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約23ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約24ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約25ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約26ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約27ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約28ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約29ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約30ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約25ng/mLのFNを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約0.5~20ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約3~8ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約3ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約3.5ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、4ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約4.5ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、5ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約5.5ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、6ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約6.5ng/mLのFNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、7ng/mLの細胞性FNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約7.5ng/mLの細胞性FNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約8ng/mLの細胞性FNを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約2mg~3mg/mLの一塩基性リン酸ナトリウムを含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約4%~5%/mLの一塩基性リン酸ナトリウムを含む配合で調製される。
【0153】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約11mg~12mg/mLの二塩基性リン酸ナトリウムを含む配合物で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約21.5%~23%/mLの二塩基性リン酸ナトリウムを含む配合で調製される。
【0154】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約11.5mg~13mg/mLのマンニトールを含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約23%~25%/mLのマンニトールを含む配合で調製される。
【0155】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約23mg~25mg/mLのトレハロース二水和物を含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約46%~48%/mLのトレハロース二水和物を含む配合で調製される。
【0156】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、ヒプロメロースを含まない背後で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、必要に応じてヒプロメロースを含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約0.5mg~2mg/mLのヒプロメロースを含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約1%~3%/mLのヒプロメロースを含む配合で調製される。
【0157】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、塩酸及び/または水酸化ナトリウムを含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、塩酸を含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、水酸化ナトリウムを含む配合で調製される。いくつかの実施形態では、塩酸及び/または水酸化ナトリウムは、所望のpHを得るために使用される。
【0158】
いくつかの実施形態では、製剤は、NaClを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、NaClを含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、検出可能なレベルのNaClを含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、MgClを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、MgClを含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、検出可能なレベルのMgClを含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、NaClまたはMgClのいずれも含まない。いくつかの実施形態では、製剤は、検出可能なレベルのNaClまたはMgClのいずれも含まない。
【0159】
いくつかの実施形態では、FN製剤は、涙液(例えば、天然起源の涙液及び合成涙液または涙液様溶液を含む)と等張性である。
【0160】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、以下の表1に提供される成分を含む配合で調製される。
【表1】
【表2】
【0161】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、下記のものを含む。
【表3】
【0162】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、下記のものを含む。
【表4】
【0163】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、NaClを含まず、下記のものを含む。
【表5】
【0164】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、MgClを含まず、下記のものを含む。
【表6】
【0165】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、NaClまたはMgClを含まず、下記のものを含む。
【表7】
【0166】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.5~50ng/mlのFN、2.28mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、10~12mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、11~13mg/mlのマンニトール、2~25mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.5~2mg/mlのヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、NaCl及び/またはMgClを含まない。
【0167】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.5~50ng/mlのFN、2.28mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、11.45mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、12.2mg/mlのマンニトール、24mg/mlのトレハロース二水和物、及び1mg/mlのヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、NaCl及び/またはMgClを含まない。
【0168】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.5~50ng/mlのFN、1.31mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、4.5~7mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、5.5~7.5mg/mlのマンニトール、11~13mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.1~1.5mg/mlのヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、NaCl及び/またはMgClを含まない。
【0169】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、0.5~50ng/mlのFN、1.31mg/mlの一塩基性リン酸ナトリウム、5.73mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム、6.1mg/mlのマンニトール、12mg/mlのトレハロース二水和物、及び0.5mg/mlのヒプロメロースを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、NaCl及び/またはMgClを含まない。
【0170】
D.アッセイ方法/治療特性
本発明のいくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の成分比/濃度ならびにFN組成物の特性を達成するために処理される。
【0171】
本発明のいくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の効力性能基準を達成するために処理される。いくつかの実施形態では、緩衝液交換ステップは、FN組成物の効力を増強する。
【0172】
細胞外小胞は、上記の可溶性及び不溶性物質の積荷を運ぶ膜結合粒子である。「細胞外小胞」という用語は、様々な種の分泌または脱落した小胞のグループを指す。これらは一般に次のサブタイプに分類される:1)通常50~1500nmのサイズ範囲を示す微小胞またはShed微小胞、2)通常30~120nmのサイズ範囲を示すエクソソーム、3)典型的には500nm未満(すなわち、<500nm)のサイズ範囲を示す小胞。(例えば、WO2019016799を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、FN組成物は粒子計数のために及び/またはセクレトームに存在する細胞外小胞(EV)を定量するために分析することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、EVは、約2.5×10^5/uL、2.6×10^5/uL、2.7×10^5/uL、2.8×10^5/uL、2.9×10^5/uL、3.0x10^5/uL、3.1x10^5/uL、3.2x10^5/uL、3.3x10^5/uL、3.4x10^5/uL、3.5x10^5/uL、3.6x10^5/uL、3.7x10^5/uL、3.8x10^5/uL、3.9x10^5/uL、4.0x10^5/uL、4.1x10^5/uL、4.2x10^5/uL、4.3x10^5/uL、4.4x10^5/uL、4.5x10^5/uL、4.6x10^5/uL、4.7x10^5/uL、4.8x10^5/uL、4.9x10^5/uL、または約5.0x10^5/uLの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、EVは、約3.8x10^5/uL+/-0.8x10^5の濃度で存在する。
【0174】
いくつかの実施形態では、EVは、約2.5×10^5/uL、2.6×10^5/uL、2.7×10^5/uL、2.8×10^5/uL、2.9×10^5/uL、3.0x10^5/uL、3.1x10^5/uL、3.2x10^5/uL、3.3x10^5/uL、3.4x10^5/uL、3.5x10^5/uL、3.6x10^5/uL、3.7x10^5/uL、3.8x10^5/uL、3.9x10^5/uL、4.0x10^5/uL、4.1x10^5/uL、4.2x10^5/uL、4.3x10^5/uL、4.4x10^5/uL、4.5x10^5/uL、4.6x10^5/uL、4.7x10^5/uL、4.8x10^5/uL、4.9x10^5/uL、または約5.0x10^5/uLの濃度で存在し、直径は平均110~120nmである。いくつかの実施形態では、EVは、約2.5×10^5/uL、2.6×10^5/uL、2.7×10^5/uL、2.8×10^5/uL、2.9×10^5/uL、3.0x10^5/uL、3.1x10^5/uL、3.2x10^5/uL、3.3x10^5/uL、3.4x10^5/uL、3.5x10^5/uL、3.6x10^5/uL、3.7x10^5/uL、3.8x10^5/uL、3.9x10^5/uL、4.0x10^5/uL、4.1x10^5/uL、4.2x10^5/uL、4.3x10^5/uL、4.4x10^5/uL、4.5x10^5/uL、4.6x10^5/uL、4.7x10^5/uL、4.8x10^5/uL、4.9x10^5/uL、または約5.0x10^5/uLの濃度で存在し、直径は平均112~116nmである。いくつかの実施形態では、EVは、約2.5×10^5/uL、2.6×10^5/uL、2.7×10^5/uL、2.8×10^5/uL、2.9×10^5/uL、3.0x10^5/uL、3.1x10^5/uL、3.2x10^5/uL、3.3x10^5/uL、3.4x10^5/uL、3.5x10^5/uL、3.6x10^5/uL、3.7x10^5/uL、3.8x10^5/uL、3.9x10^5/uL、4.0x10^5/uL、4.1x10^5/uL、4.2x10^5/uL、4.3x10^5/uL、4.4x10^5/uL、4.5x10^5/uL、4.6x10^5/uL、4.7x10^5/uL、4.8x10^5/uL、4.9x10^5/uL、または約5.0x10^5/uLの濃度で存在し、直径は平均114nmである。いくつかの実施形態では、EVは、約3.8×10^5/uL+/-0.8×10^5の濃度で存在し、直径は平均114nmである。
【0175】
iii.FN組成物-治療特性
いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、細胞性FNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞性FNを含む。いくつかの実施形態では、本発明の細胞性FNは、選択的スプライシングバリアント/アイソフォーム(EDA、EDB、及びV+など)の混合物である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+及びEDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、V+である。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示のFN組成物は、1つ以上の成長因子をさらに含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示のFN組成物は、例えば、抗血管新生特性(血管及び/またはリンパ管)、抗線維化特性、抗炎症特性、細胞の遊走、増殖、細胞接着、伸展、生存、ならびに細胞外マトリックス(ECM)の構築及び構造を促進する特性、分裂促進特性、抗酸化ストレス/損傷特性を含む、様々な治療特性を示す。
【0178】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、抗線維化特性を示す。いくつかの実施形態では、そのような抗線維化特性は、標準的なアッセイを使用するためにアッセイされ得る。いくつかの実施形態では、FN組成物に関する様々な因子及び/または活性の存在は、抗線維化特性を示している。いくつかの実施形態では、抗線維化特性を示す因子には、FGF(FGF-2など)、PDGF、HGF、VEGF、TGFβ1、TGFβ2、IGF-1、IGF-2、NGF、ニューロトロフィン、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の成長因子が含まれる。
【0179】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、抗炎症特性を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は炎症を抑制する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%(例えば、炎症の完全な減少)抑制する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、肥満細胞の脱顆粒を防止する。
【0180】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、例えば、分裂促進及び運動促進活性を含む、細胞の遊走及び増殖を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物はマイトジェン活性を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、運動原性活性を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、FGF(FGF-2など)、PDGF、HGF、VEGF、TGFβ1、TGFβ2、IGF-1、IGF-2、NGF、ニューロトロフィン、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の成長因子をさらに含み、これらは、FN組成物の追加の細胞遊走活性及び細胞増殖活性を与える。
【0181】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、FGF(FGF-2など)をさらに含み、これは、FN組成物の追加の細胞遊走活性及び細胞増殖活性を与える。
【0182】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、HGFをさらに含み、これは、FN組成物の追加の細胞遊走活性及び細胞増殖活性を与える。
【0183】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、抗アポトーシス剤をさらに含み、これは、FN組成物の細胞遊走活性及び細胞増殖活性を与える。いくつかの実施形態では、FN組成物は、抗アポトーシス剤(限定されないが、FGF-2、HGF、及びIGF-1を含む)を含み、これは、FN組成物の追加の細胞遊走活性及び細胞増殖活性を与える。いくつかの実施形態では、FN組成物は、FGF-2、HGF、及びIGF-1からなる群から選択される抗アポトーシス剤を含み、これは、FN組成物の追加の細胞遊走活性及び細胞増殖活性を与える。
【0184】
iv.FN組成物-生物物理学的/生化学的特性
生化学的及び生物物理学的特徴付け:
いくつかの実施形態では、本発明は、FN組成物の特徴付けのための方法を提供する。いくつかの実施形態では、FN組成物の特徴付けには、1)FN組成物中の分子実体の包括的及び/または定量的マッピングすることと、2)生物活性に対する選択された要因の寄与を測定することと、3)生物物理学的パラメータを測定することと、を含む。いくつかの実施形態では、FN組成物の特性を決定するために、本明細書に記載されるように、FN組成物に対して様々な有効性アッセイを実施することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、FN組成物における分子実体の包括的及び/または定量的マッピング、2)生物活性に対する選択された要因の寄与の測定、3)生物物理学的パラメータの測定に供され得る。いくつかの実施形態では、特徴付けアッセイは、生物物理学的アッセイ、生化学的アッセイ、及びバイオアッセイを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、特徴付けアッセイは、物理的成分の特徴付け、酸化ストレスアッセイ、安全性分析、安定性アッセイ、増殖アッセイ、遊走アッセイ、血管新生アッセイ、分化/瘢痕化アッセイ、炎症アッセイ、及び/または上皮バリア完全性アッセイを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、特徴付けアッセイは、物理的成分の特徴付け、酸化ストレスアッセイ、安全性分析、安定性アッセイ、増殖アッセイ、遊走アッセイ、血管新生アッセイ、分化/瘢痕化アッセイ、炎症アッセイ、及び/または上皮バリア完全性アッセイからなる群から選択される。
【0185】
物理的成分の特徴付け:
いくつかの実施形態では、FN組成物の特徴付けは、生物分析技術の組み合わせを使用する方法を含む。いくつかの実施形態では、FN組成物の特徴付けは、FN組成物の物理的成分を決定することを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物の特徴付けは、タンパク質アレイ、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、質量分析、及びイムノブロッティングの使用を含む。いくつかの実施形態では、FN組成物の特徴付けを使用して、FN組成物内の分子を同定することができる。いくつかの実施形態では、タンパク質アレイは、FN組成物における因子を同定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、質量分析は、FN組成物における1つ以上の因子の存在を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の因子のレベルを測定するために定量的技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、ELISAなどの定量的技術を使用して、各因子のレベルを測定することができる。
【0186】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞性FNを含む。いくつかの実施形態では、本発明の細胞性FNは、選択的スプライシングバリアント/アイソフォーム(EDA、EDB、及びV+など)の混合物である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+及びEDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、V+である。
【0187】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、タンパク質因子及び細胞外小胞(EV)を含むMSCセクレトームを含む。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は栄養因子を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、30~200nmの範囲のサイズの細胞外小胞(EV)及び1mLあたり1x10~5x10のEVを含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、枯渇研究を実施して、重要な因子の個々の寄与を抽出することができる。いくつかの実施形態では、抗体ベースのプルダウン法を使用して、定義された因子をFN組成物から除去することができる。いくつかの実施形態では、枯渇は、ウエスタンブロットによって検証され得、次いで、以下に記載されるように、1つ以上のバイオアッセイによって評価され得る。いくつかの実施形態では、枯渇研究を実施して、タンパク質画分及びEV画分の寄与を評価することができる。
【0190】
酸化ストレス:
いくつかの実施形態では、酸化ストレス防止アッセイは、FN組成物に対して実施され得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、角膜上皮の損傷を防止する。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、炎症の存在を減少させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、抗炎症マーカーの存在の増加によって決定されるように、炎症の存在を減少させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、例えば、IL-8などの抗炎症マーカーの存在の増加によって決定されるように、炎症の存在を減少させる。
【0191】
安全性の特徴付け:
いくつかの実施形態では、FN組成物は、血液適合性について評価され、無菌性ならびにパイロジェン及びエンドトキシンレベルについての試験を実施することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血液適合性を評価することができる。いくつかの実施形態では、血液適合性の評価には、溶血及び血球凝集のアッセイが含まれる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、全身曝露で有害な影響を示さない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、重度の眼の火傷などの全身曝露で有害な影響を示さない。いくつかの実施形態では、FN組成物は血球凝集活性を示さない。いくつかの実施形態では、FN組成物は溶血を誘発しない。いくつかの実施形態では、FN組成物は溶血活性を誘発しない。
【0192】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、それが製剤の一部として投与することができるように無菌であり得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、エンドトキシンを含まないか、または実質的に含まないものであり得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、微生物を含まないか、または実質的に含まないものであり得る。
【0193】
安定性:
いくつかの実施形態では、FN組成物の生物物理学的特性を評価及び/または決定することができる。いくつかの実施形態では、蛍光、静的光散乱、及び動的光散乱が、タンパク質の安定性測定基準を特徴付ける。いくつかの実施形態では、セクレトームをさらに特徴付けるために、以下のパラメータを測定することができる:熱融解、熱凝集、デルタG、及び/または粘度。いくつかの実施形態では、熱融解アッセイを使用して、FN組成物の安定性を決定する。いくつかの実施形態では、熱凝集アッセイを使用して、FN組成物の安定性を決定する。いくつかの実施形態では、デルタGが、FN組成物の安定性を決定するための尺度として使用される。いくつかの実施形態では、粘度は、FN組成物特性として測定される。いくつかの実施形態では、粘度は、FN組成物の安定性を決定するものである。
【0194】
いくつかの実施形態では、生物物理学的測定基準を使用して、異なるFN組成物製剤を特徴付けるための安定性パラメータを確立することができる。
【0195】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、-20℃、4℃、及び室温(20℃)で、少なくとも7日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、-20℃、4℃、及び室温(20℃)で少なくとも14日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、少なくとも7日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも1ヶ月間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約-20℃で少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、または少なくとも3ヶ月間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約4℃で少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも1ヶ月間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約20℃(または室温)で少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも1ヶ月間安定である。
【0196】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約-20℃で少なくとも7日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約4℃で少なくとも7日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約20℃で少なくとも7日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約25℃(室温)で少なくとも7日間安定である。
【0197】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、約-20℃で少なくとも14日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約4℃で少なくとも14日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約20℃(または室温)で少なくとも14日間安定である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、約25℃(室温)で少なくとも14日間安定である。
【0198】
上皮バリア完全性アッセイ
角膜上皮、より正確には、上皮の頂端表面は、角膜の全体的なバリア特性に大きく貢献しており、角膜バリアへの変化は、生体適合性分析の敏感な要因となる。いくつかの実施形態では、FN組成物の生物物理学的特徴は、上皮バリア完全性アッセイなどによって評価及び/または決定され得る。いくつかの実施形態では、上皮バリア完全性アッセイは、経上皮電気抵抗(TEER)である。いくつかの実施形態では、経上皮電気抵抗(TEER)を評価して、全体的なバリア特性を測定することができる。いくつかの実施形態では、3D組織は、2mLのTEER緩衝液を含む24ウェルプレートに移され、10分間インキュベートされ得る。いくつかの実施形態では、TEERは、上皮ボルトオームメーターEVOMO及びEndOhm-12チャンバー(WorldPrecision,Sarasota,FL)を使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、手順の最後に、組織は、以下の式を使用して組織生存率評価に使用することができる。
%バリア完全性=100x[TEER(処理組織)/TEER(プラセボ対照)]
【0199】
いくつかの実施形態では、TEERを使用して、FN組成物の局所適用後のバリアの完全性に対する効果を評価することができる。いくつかの実施形態では、TEERは、EpiCorneal組織モデル(MatTekCorp)を利用して、ナイトロジェンマスタード(NM)への局所曝露によって引き起こされる角膜上皮損傷後のFN組成物の局所適用後のバリア完全性に対する効果を評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、実施例6に記載されるように、例えば、6μg/mL(プラセボ溶液で希釈された)で局所的に適用され得る。いくつかの実施形態では、EpiCorneal組織を5mlの培地で標準的な培養条件で24時間培養した。
【0200】
バイオアッセイ
いくつかの実施形態では、バイオアッセイが、FN組成物を特徴付けるために使用され得る。いくつかの実施形態では、バイオアッセイは、角膜創傷治癒に関連し得る:上皮細胞の遊走及び増殖、間質細胞の分化(例えば、瘢痕化)、血管新生、及び炎症。いくつかの実施形態では、バイオアッセイは、角膜創傷治癒を媒介するFN組成物の能力を評価するために使用され得る:上皮細胞の遊走及び増殖、間質細胞の分化(瘢痕化)、血管新生及び炎症。いくつかの実施形態では、本明細書で提供及びアッセイされるFN組成物は、細胞性FNを含む。いくつかの実施形態では、本発明の細胞性FNは、選択的スプライシングバリアント/アイソフォーム(EDA、EDB、及び/またはV+など)の混合物である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性FNは、EDA+及びEDB+である。いくつかの実施形態では、細胞性フィブロネクチンは、V+である。
【0201】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、創傷治癒(眼の創傷治癒など)を促進する能力について評価され得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、増殖及び遊走を促進する能力について評価され得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、増殖を促進する能力について評価され得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、遊走を促進する能力について評価され得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞性FNを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、増殖及び/または遊走を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼の創傷治癒を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、増殖を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、遊走を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞接着を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞伸展を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞の生存を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、細胞外マトリックス(ECM)の適切な構築及び/または構造を促進する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイを使用して評価することで、治癒促進能力が決定され得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェル遊走アッセイを使用して評価して、増殖促進能力を決定することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェル遊走アッセイを使用して評価することで、遊走促進能力が決定され得る。
【0203】
スクラッチアッセイ
いくつかの実施形態では、本発明のアッセイは、「スクラッチアッセイ」(「スクラッチ創傷アッセイ」、「スクラッチ創傷閉鎖アッセイ」、「創傷閉鎖アッセイ」、または「創傷治癒アッセイ」とも呼ばれる)を含み得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は遊走を促進し、この遊走の促進は、「スクラッチアッセイ」を利用して決定及び/または検査される。いくつかの実施形態では、FN組成物は増殖を促進し、この増殖の促進は、スクラッチアッセイを利用して決定及び/または検査される。一般に、スクラッチアッセイ法は、「スクラッチ」とも呼ばれる人工ギャップが集密的な細胞単層で発生することに基づく。「スクラッチ」は、新しく作成されたギャップの端にあるセルが開口部に向かって遊走して「スクラッチ」を閉じる/覆うかどうかを監視することができる。例えば、Liang,C.,Park,A.& Guan,J.In vitro scratch assay:a convenient and inexpensive method for analysis of cell migration in vitro.Nat Protoc 2,329-333(2007))を参照されたい。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、創傷治癒を誘導する能力を有する候補のスクリーニングに用いられる。
【0204】
一実施形態例では、本明細書で提供されるスクラッチアッセイは、
(a)細胞の層を提供するステップと、
(b)細胞の層に創傷ギャップ/スクラッチを導入するステップと、
(c)被検組成物の存在下で創傷ギャップが治癒/閉鎖するかどうかを決定するステップであって、ステップ(b)の前または後のいずれかに組成物を細胞に投与し、創傷ギャップの閉鎖が、被検組成物が眼の創傷治癒を誘導する能力を有することを示す、決定するステップと、
を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、角膜細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、アッセイされる細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、アッセイされる細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、網膜細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、角膜実質細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、線維芽細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、視神経細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、神経節細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、網膜色素上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、網膜色素上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、水晶体上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、虹彩色素上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、結膜線維芽細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、非色素毛様体上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、線維柱帯細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、眼球脈絡膜線維芽細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、スクラッチアッセイは、結膜上皮細胞に用いられる。
【0206】
いくつかの実施形態では、アッセイされる細胞は、1つ以上のスクラッチ(「ギャップ」または「創傷」とも称される)が導入される時点で集密的な層を形成している。いくつかの実施形態では、アッセイされる細胞の集密的な層は単層である。
【0207】
いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチが細胞に導入される。いくつかの実施形態では、単一のスクラッチが導入される。いくつかの実施形態では、複数のスクラッチが細胞に導入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチは、細胞に化学的に導入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチは、化学熱傷を介して細胞に導入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチは、既製薬または化合物を介して導入される。一実施形態例では、化学熱傷はアルカリ熱傷である。別の実施形態例では、化学熱傷はナイトロジェンマスタードガス熱傷である。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチは、細胞の層を機械的に破壊することによって細胞に導入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチは、熱ショックによって導入される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチは、レーザーパルスを介して導入される。
【0208】
いくつかの実施形態では、細胞に導入されるスクラッチは、直線状スクラッチを含む。いくつかの実施形態では、細胞に導入されるスクラッチは、クロスハッチ状スクラッチを含む。いくつかの実施形態では、細胞に導入されるスクラッチは、円形スクラッチを含む。いくつかの実施形態では、細胞に導入されるスクラッチは、ジグザグ状スクラッチを含む。いくつかの実施形態では、細胞に導入されるスクラッチは、上述の形状を1つ以上組み合わせたものを含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、導入されるスクラッチのサイズ(すなわち、創傷/スクラッチの両側に存在する遊走前線を分離する横断長)は約0.01mm~10mmである。いくつかの実施形態では、スクラッチのサイズは、約0.01mm~0.1mm、約0.1mm~1mm、約1mm~10mm、またはこれらの範囲内の任意の適切な値である。
【0210】
いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、1つ以上のスクラッチが導入された後に細胞に投与される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、1つ以上のスクラッチが導入される前に細胞に投与される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物はFN組成物である。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は馴化培地である。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物はバイオポリマー(タンパク質など)である。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は1つ以上の活性化合物の医薬組成物である。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、それが眼の創傷治癒を促進する能力についてスクリーニングされる。
【0211】
いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、細胞に投与される前に濃縮される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、細胞に投与される前に希釈される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、細胞に投与される前に精製(緩衝液交換など)される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、細胞に投与される前に凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約10~100μg/mLの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約10~100μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約10~90μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約20~80μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約30~70μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約40~60μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約45μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約50μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、細胞に投与される被検試薬/組成物は、約55μg/mLのタンパク質を含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、被検試薬が眼の創傷治癒を促進する能力を有することを示す。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、被検試薬が細胞増殖を促進する能力を有することを示す。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、被検試薬が細胞遊走を促進する能力を有することを示す。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、スクラッチに遊走した細胞の総数として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、スクラッチに遊走した細胞の総数は、染色(比色分析または蛍光分析)を行ってまたは行わずに物理的な計数(画像解析ソフトウェア)によって測定される。いくつかの実施形態では、スクラッチに遊走した細胞の総数を吸光度ベースまたは蛍光分析ベースの方法によって測定することで、スクラッチ中の細胞量が分光学的に定量化される。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、創傷閉鎖の割合またはそれとは別の数学的な値として特徴付けられ、すなわち、最初の創傷表面積から、ある特定の時点の残存スクラッチ表面積を引いたものを、最初のスクラッチ表面積によって割ったものとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、残存スクラッチ面積の割合として特徴付けられ、すなわち、全体割合から創傷閉鎖の割合を引いたものとして特徴付けられる。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、スクラッチのサイズ(すなわち、創傷の両側に存在する遊走前線を分離する横断長)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、画像解析ソフトウェアを用いることで、遊走するスクラッチ前線(または境界)を確立し、残存するスクラッチの距離(ピクセル、umなどで表されるものなど)が測定される。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、スクラッチの表面積として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、スクラッチの表面積(例えば、ピクセル^2またはμm^2)は、画像解析ソフトウェアによって決定される。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、時間的な関数として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、スクラッチのすべてまたは一定割合(例えば、50%)の閉鎖に要する時間として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、スクラッチの閉鎖は、時間の関数としての速度(スクラッチの細胞非含有表面積など)として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、測定される速度は、細胞遊走距離/遊走時間である。
【0213】
いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、約1~5日間測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、約2~4日間測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、約2~3日間測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、約2日間測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、約3日間測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、一定の間隔で測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、1日1回測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のスクラッチの閉鎖は、連続的に測定される。
【0214】
いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒を誘導する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれを超える倍数増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも1倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも2倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも3倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも4倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも5倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも6倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも7倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも8倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも9倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも10倍増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれを超える%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも60%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも70%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも80%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも90%増加させる。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも100%増加させる。
【0215】
いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒を誘導する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒を誘導する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれを超える倍数増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも1倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも2倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも3倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも4倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも5倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも6倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも7倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも8倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも9倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも10倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれを超える%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも60%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも70%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも80%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも90%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、スクラッチアッセイにおいて創傷閉鎖を少なくとも100%増加させる。
【0216】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒をもたらすには、少なくとも30μg/mLの被検試薬が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒をもたらすには、少なくとも35μg/mLの被検試薬が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒をもたらすには、少なくとも40μg/mLの被検試薬が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒をもたらすには、少なくとも45μg/mLの被検試薬が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるスクラッチアッセイにおいて眼の創傷治癒をもたらすには、少なくとも50μg/mLの被検試薬が必要である。
【0217】
いくつかの実施形態では、被検試薬は、FNである。いくつかの実施形態では、FNは、細胞性FNである。
【0218】
トランスウェル遊走アッセイ
いくつかの実施形態では、本発明のアッセイは、「トランスウェル遊走アッセイ」(「トランスウェル細胞浸潤アッセイ」または「トランスウェルアッセイ」とも称される)を含む。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイを利用することで、細胞の遊走及び/または増殖に対する候補試薬の能力が評価される。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイを利用することで、細胞遊走に対する候補試薬の能力が評価される。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイを利用することで、細胞増殖に対する候補試薬の能力が評価される。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイを利用することで、細胞の遊走/増殖を誘導する能力を有する候補がスクリーニングされる。
【0219】
一実施形態例では、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイは、
(a)孔を有する膜を含む上部チャンバーに細胞を添加するステップであって、被検試薬/組成物が存在しない基本培地を細胞に補給する、添加するステップと、
(b)被検試薬/組成物を含む容器内に上部チャンバーを設置するステップであって、孔を有する膜によって容器内の被検試薬/組成物から上部チャンバー内の角膜細胞が隔てられる、設置するステップと、
(c)細胞をインキュベートするステップと、
(d)膜を介して遊走する細胞を測定/定量化するステップであって、当該遊走が、被検試薬/組成物が細胞の遊走及び/または増殖を誘導する能力を有することを示す、測定/定量化するステップと、
を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、角膜細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、網膜細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、角膜実質細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、線維芽細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、視神経細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、神経節細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、網膜色素上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、網膜色素上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、水晶体上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、虹彩色素上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、結膜線維芽細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、非色素毛様体上皮細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、線維柱帯細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、眼球脈絡膜線維芽細胞に用いられる。いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイは、結膜上皮細胞に用いられる。
【0221】
いくつかの実施形態では、トランスウェル遊走アッセイの上部チャンバーは、孔を有する膜によって密封される。いくつかの実施形態では、上部チャンバーはガラスチャンバーである。いくつかの実施形態では、上部チャンバーはプラスチックチャンバーである。いくつかの実施形態では、上部チャンバーはボイデンチャンバーである。
【0222】
いくつかの実施形態では、上部チャンバーの膜は、規定された孔径を有するポリカーボネート膜である。いくつかの実施形態では、膜は、基底膜である。いくつかの実施形態では、膜の平均孔径は、アッセイされる細胞のサイズを下回る。いくつかの実施形態では、膜の平均孔径は約1~15μmである。いくつかの実施形態では、膜の平均孔径は約3μmである。いくつかの実施形態では、膜の平均孔径は約5μmである。いくつかの実施形態では、膜の平均孔径は約8μmである。いくつかの実施形態では、膜の平均孔径は約12μmである。
【0223】
いくつかの実施形態では、上部チャンバーの膜は、事前に処理される。いくつかの実施形態では、膜は、細胞接着及び/または増殖を増強する1つ以上の化合物またはバイオポリマーで事前にコーティングされる。いくつかの実施形態では、膜は、細胞外マトリックスで事前にコーティングされる。いくつかの実施形態では、膜は、コラーゲンで事前にコーティングされる。いくつかの実施形態では、膜は、フィブロネクチンで事前にコーティングされる。いくつかの実施形態では、膜は、ラミニンで事前にコーティングされる。
【0224】
いくつかの実施形態では、基本細胞培養培地を含む上部チャンバーに細胞が添加される。いくつかの実施形態では、上部チャンバー内の基本細胞培養培地は血清を含まない。細胞培養培地の例としては、限定されないが、hMSC Media Booster XFM、hMSC High Performance Basal Media、Minimum Essential Medium Eagle(MEME)、ADC-1、LPM(ウシ血清アルブミン非含有)、F10(HAM)、F12(HAM)、DCCM1、DCCM2、RPMI 1640、BGJ Medium(Fitton-Jackson改変あり及びなし)、StemPro、MSCGro、MesenCult、NutriStem、Basal Medium Eagle(BME-Earle’s salt baseの添加あり)、Dulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM-血清含有または血清非含有)、Yamane、IMEM-20、Glasgow Modification Eagle Medium(GMEM)、Leibovitz L-15 Medium、McCoy’s 5A Medium、Medium M199(M199E-Earle’s sale base含有)、Medium M199(M199H-Hank’s salt base含有)、Minimum Essential Medium Alpha(MEM-アルファ)、Minimum Essential Medium Eagle(MEM-E-Earle’s salt base含有)、Minimum Essential Medium Eagle(MEM-H-Hank’s salt base含有)、及びMinimum Essential Medium Eagle(必須アミノ酸を含むMEM-NAA)が挙げられ、その他多数あるが、とりわけ、medium199、CMRL1415、CMRL1969、CMRL1066、NCTC135、MB75261、MAB8713、DM145、Williams’G、Neuman & Tytell、Higuchi、MCDB301、MCDB202、MCDB501、MCDB401、MCDB411、MDBC153が挙げられる。本発明における使用のための培地の例はMEM-アルファである。いくつかの実施形態では、アッセイされる細胞は、ゲルを含む上部チャンバーに添加される。いくつかの実施形態では、ゲルは、生体マトリックス(細胞外マトリックスなど)を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、上部チャンバーは、1つ以上の被検試薬/組成物を含む容器内に浮遊される。いくつかの実施形態では、上部チャンバー及び容器は、1つ以上の被検試薬/組成物を除けば、同じ組成物を含む。他の実施形態では、上部チャンバー及び容器は、1つ以上の被検試薬/組成物以外にも、異なる組成物を含む。いくつかの実施形態では、容器は、1つ以上の成長因子を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、容器は反応容器である。いくつかの実施形態では、容器は、マルチウェルプレート中のウェルである。いくつかの実施形態では、容器は、マルチウェルプレート(6ウェルプレート、12ウェルプレート、24ウェルプレート、48ウェルプレート、または96ウェルプレートなど)中のウェルである。
【0227】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される被検試薬/組成物は、アッセイされる細胞の化学誘引物質を含む。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、FN組成物を含む。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、馴化培地を含む。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、バイオポリマー(タンパク質など)を含む。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、1つ以上の活性化合物の医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、それが細胞の遊走及び/または増殖を促進する能力についてスクリーニングされる。
【0228】
いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、容器内にのみ存在し、上部チャンバーからは排除されている。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、上部チャンバー内にも容器内にも存在する。一実施形態例では、上部チャンバーから容器へと被検試薬/組成物の濃度が上昇する濃度勾配が存在する。
【0229】
いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、添加前に濃縮される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、添加前に希釈される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、添加前に精製(緩衝液交換など)される。いくつかの実施形態では、被検試薬/組成物は、添加前に凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約10~100μg/mLの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約10~100μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約10~90μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約20~80μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約30~70μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約40~60μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約45μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約50μg/mLのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、容器内の被検試薬/組成物は、約55μg/mLのタンパク質を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、細胞は、上部チャンバーにおいて約6~72時間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約12時間~60時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約18時間~48時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は、これらの範囲内の任意の適切な値である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約6時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約18時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約24時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約30時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約36時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約42時間である。いくつかの実施形態では、インキュベート時間は約48時間である。
【0231】
いくつかの実施形態では、膜を介して遊走した細胞の総数は、染色(比色分析(例えば、カルセインAM)または蛍光分析(例えば、クリスタルバイオレット))を行ってまたは行わずに物理的な計数(画像解析ソフトウェア)によって測定される。いくつかの実施形態では、生細胞染色を使用して遊走細胞が定量化される。いくつかの実施形態では、膜を介して遊走した細胞の総数を吸光度ベースまたは蛍光分析ベースの方法によって測定することで、細胞量が分光学的に定量化される。いくつかの実施形態では、遊走細胞は、フローサイトメトリーによって定量化される。
【0232】
いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて眼の創傷治癒を誘導する能力を示す。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞遊走を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞増殖を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて眼の創傷治癒を誘導する能力を示す。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞遊走を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞増殖を誘導する。
【0233】
いくつかの実施形態では、本発明のFN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれを超える倍数増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも1倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも2倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも3倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも4倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも5倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも6倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも7倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも8倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも9倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも10倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれを超える%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも60%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも70%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも80%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも90%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも100%増加させる。
【0234】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれを超える倍数増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも1倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも2倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも3倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも4倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも5倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも6倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも7倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも8倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも9倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも10倍増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれを超える%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも10%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも20%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも30%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも40%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも50%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも60%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも70%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも80%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも90%増加させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、トランスウェルアッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を少なくとも100%増加させる。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を誘導するには、少なくとも30μg/mLの被検試薬/組成物が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を誘導するには、少なくとも35μg/mLの被検試薬/組成物が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を誘導するには、少なくとも40μg/mLの被検試薬/組成物が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を誘導するには、少なくとも45μg/mLの被検試薬/組成物が必要である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるトランスウェル遊走アッセイにおいて細胞の遊走及び/または増殖を誘導するには、少なくとも50μg/mLの被検試薬/組成物が必要である。
【0236】
いくつかの実施形態では、内皮細胞管形成アッセイは、FN組成物に対して実施され得る。いくつかの実施形態では、内皮細胞管形成アッセイは、FN組成物が血管新生促進性ではないことを示し得る。いくつかの実施形態では、内皮細胞管形成アッセイは、FN組成物の血管新生の可能性の尺度を提供する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、抗血管新生特性を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は抗血管新生特性である。いくつかの実施形態では、内皮細胞管形成アッセイは、抗血管新生シグナル及び血管新生促進シグナルの比を提供する。いくつかの実施形態では、内皮細胞管形成アッセイは、陰性の結果が、抗:促進比が高いことを確認し、FN組成物が血管新生を促進しないことを確実にするであろう。いくつかの実施形態では、内皮細胞管形成アッセイが陰性の結果は、抗:促進比が高いことを確認し、FN組成物がCNV(脈絡膜血管新生)または一般的な血管新生を促進しないことを確実にする。いくつかの実施形態では、TGFb(TGFベータまたはTGFβとも称される)誘導性筋線維芽細胞分化の抑制アッセイは、細胞性FN組成物に対して実施され得る。いくつかの実施形態では、TGFb誘導性筋線維芽細胞分化の抑制アッセイは、FN組成物が瘢痕化を抑制することを示すために、細胞性FN組成物に対して実施され得る。いくつかの実施形態では、FN組成物は瘢痕化を防ぐ。いくつかの実施形態では、FN組成物は、角膜混濁の瘢痕化を防ぐ。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、低い血管新生誘導を有する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、低下した血管新生反応を有する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、低下した血管新生能力を有する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を支持する培地の存在下で血管の正常な形成を損なう及び/または減少させる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、FN組成物が未処理の対照と比較した場合、低下した血管新生能力を有する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血清含有培地で処理された試料と比較して、低下した血管新生能力を有する。いくつかの実施形態では、FN組成物は血管新生反応を弱める。いくつかの実施形態では、FN組成物は、無血清培地によって誘発される血管新生反応を低下させる。いくつかの実施形態では、血管新生反応の低下は、セクレトームと血清含有培地(血管新生反応の低下またはなし)を血清含有培地(血管新生反応)と比較した場合、FN組成物によって誘導される。いくつかの実施形態では、血管新生応答は、細胞ベースのアッセイにおける管形成によって示される。いくつかの実施形態では、血管新生応答は、内皮細胞管形成アッセイにおける管形成によって示される。
【0237】
分化/瘢痕化:
いくつかの実施形態では、FN組成物は、分化を防止し、瘢痕化を防止する能力について評価することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、瘢痕化を防止及び/または阻害する。いくつかの実施形態では、FN組成物は瘢痕化を防止する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、他の標準的な治療と比較して、瘢痕化を低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、分化を防止及び/または阻害する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、筋線維芽細胞の分化を防止及び/または阻害する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、角膜の透明性の喪失を低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、筋線維芽細胞の分化を防止及び/または阻害することにより、角膜の透明性の喪失を低減する。
【0238】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、分化に関与する因子を調節するFN組成物の能力について評価することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、TGFB2、コラーゲンI、コラーゲンIII(通常、分化中に上方制御される)、TFGB3、MMP-2、及びMMP-9(通常、分化中にダウンレギュレーションされる)を含むがこれらに限定されない、分化に関与する因子を調節するFN組成物の能力を評価することができる。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、TGFB2、コラーゲンI、コラーゲンIII(通常、分化中に上方制御される)、TFGB3、MMP-2、及びMMP-9(通常、分化中に下方制御される)からなる群から選択される因子を調節する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、正常な分化の間に上方制御される因子の減少を誘導する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、正常な分化の間にダウンレギュレーションされる因子の増加を誘導する。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、SMAなどの因子の発現の減少を誘導する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、FN組成物効力を示すSMAなどの因子の発現の減少を誘導する。
【0239】
血管新生:
いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を防止する能力について評価することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を予防、阻害、抑制、及び/または低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を抑制するか、または促進しない。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を防止する能力について評価することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を防止、阻害、抑制、及び/または低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は血管新生を抑制する。
【0240】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、枯渇アッセイを使用してさらに評価することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の因子を枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、例えば、TIMP1及び/またはセルピンE1を含むがこれらに限定されない特定の因子を枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、TIMP1及び/またはセルピンE1を枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、TIMP1を枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、セルピンE1を枯渇させることができる。
【0241】
炎症:
いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を予防、阻害、抑制、及び/または低減する能力について評価することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を予防、阻害、抑制、及び/または低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は炎症を抑制する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を予防、阻害、抑制、及び/または低減する能力を決定するために、インビトロ及び/またはインビボで特徴付けられる。いくつかの実施形態では、FN組成物は、インビトロ及び/またはインビボでの炎症を予防、阻害、抑制、及び/または低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、インビトロで炎症を予防、阻害、抑制、及び/または低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症またはインビボでの炎症を予防、阻害、抑制、及び/または低減する。いくつかの実施形態では、組織モデルを使用して、インビトロでの炎症の予防、阻害、抑制、及び/または減少を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、3D組織モデルを使用して、インビトロでの炎症の予防、阻害、抑制、及び/または低減を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、ナイトロジェンマスタード(NM)ガス熱傷モデルを使用して、インビトロでの炎症の予防、阻害、抑制、及び/または軽減を評価することができる。いくつかの実施形態では、ナイトロジェンマスタード(NM)ガス熱傷モデルを使用して、インビトロでの炎症の予防、阻害、抑制、及び/または低減を評価し、インビボ条件の代理として使用することができる。いくつかの実施形態では、FN組成物による治療及び/または投与に応答するサイトカインプロファイルを決定することができる。いくつかの実施形態では、特定のサイトカインのレベルを決定することができる。いくつかの実施形態では、IL-8のレベルを決定することができる。いくつかの実施形態では、IL-8発現のレベルは、FN組成物で処理された組織において低下させることができる。いくつかの実施形態では、IL-8発現のレベルは、FN組成物で処理された組織において低下し、これは、炎症を予防、阻害、抑制、及び/または減少させることを示している。
【0242】
E.治療の方法
本開示は、FGF(FGF-2など)、PDGF、HGF、VEGF、TGFβ1、TGFβ2、IGF-1、IGF-2、NGF、ニューロトロフィン、及びEGFからなる群から選択される1つ以上の成長因子を任意選択で含むFN組成物(細胞性FN組成物など)を使用する治療方法も提供する。特に、FN組成物は眼の状態の治療に使用されている。特に、FN組成物は、眼疾患を含むがこれに限定されない眼の状態の治療に使用されている。いくつかの実施形態では、眼疾患は、眼の表面に関連している。いくつかの実施形態では、眼疾患は、損傷した眼組織及び/または損傷した眼組織の徴候に関連している。いくつかの実施形態では、FN組成物は、創傷治癒の加速を含む、眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、瘢痕化の減少を含む、眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症の軽減を含む、眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を軽減し、したがって成長を促進することを含む、眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼の表面での炎症を軽減するなどの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生の減少を含む、眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、角膜における血管新生の減少を含む、眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、ドライアイ治療(例えば、上皮細胞が損傷している場所を含む、重度のドライアイの治療を含む)を含む眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、損傷した眼組織への完全性の回復などの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、損傷した眼組織の治癒を加速することなどの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、損傷した眼神経組織の再生などの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、網膜病状などの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、PCEDに関連する損傷した眼神経組織の再生などの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、PCEDなどの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼表面への炎症性損傷などの眼の状態の治療において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、例えば、GvHD及び/またはシェーグレン症候群などの眼の状態の治療において使用を見出す。
【0243】
いくつかの実施形態では、眼の状態は、網膜病状、慢性移植片対宿主病(GvHD)、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼粘膜類天疱瘡、持続性角膜上皮欠損(PCED)、ドライアイ、眼神経組織損傷、及び眼への衝撃性損傷(衝撃性損傷、眼の挫傷、または化学熱傷など)からなる群から選択される。
【0244】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、創傷治癒を加速させるにおいて使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、瘢痕化を減少させることにおいて使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を軽減させることにおいて使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を軽減させる、したがって成長を促進させることにおいて使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼表面での炎症を軽減させることにおいて使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を減少させることにおいて使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、角膜における血管新生を減少させることにおいて使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、網膜上皮細胞及び網膜神経節細胞の保護及び修復において使用を見出す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、小柱網の再生の誘導及び眼圧の低減において使用を見出す。
【0245】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼疾患の治療のために投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような治療有効量のFN組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼の創傷治癒を促進または誘導するために、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を低減及び/または抑制し、瘢痕化を低減及び/または抑制し、視力を促進及び/または維持し、及び/または創傷閉鎖率を増加させる(例えば、創傷閉鎖時間を短縮)ために、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を予防、低減、及び/または抑制するために、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、瘢痕化の減少を予防、低減、及び/または抑制するために、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、視力を促進及び/または維持するために、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、創傷をより速く閉鎖することを促進及び/または誘導するために投与される(例えば、創傷閉鎖に必要な時間を短縮する)。いくつかの実施形態では、FN組成物は、視力の保存を促進するために、血管新生を防止、低減、及び/または抑制するか、または促進せず、瘢痕化を低減する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、血管新生を予防、低減、及び/または抑制するために、そして視力維持を促進するために瘢痕化を低減するために、それを必要とする患者に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を予防、軽減、及び/または抑制する。いくつかの実施形態では、FN組成物は、炎症を予防、軽減、及び/または抑制するために、それを必要とする患者に投与される。
【0246】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼の構造への外傷性損傷後の視覚機能障害の治療のために投与される。いくつかの実施形態では、治療は、本明細書に記載されるような治療有効量のFN組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、衝撃性損傷後の視神経変性の外傷性損傷の治療のために投与される。いくつかの実施形態では、眼への衝撃性損傷は、眼の挫傷及び眼への鈍的損傷からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、視神経の外傷性損傷の治療のために投与される。いくつかの実施形態では、治療は、それを必要とする患者に、本明細書に記載されるような治療有効量のFN組成物を投与することを含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、眼への衝撃性損傷に続く視神経変性を改善するために投与される。いくつかの実施形態では、視神経変性を改善するための方法は、本明細書に記載されるような治療有効量のFN組成物を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、眼への衝撃性損傷は、眼の挫傷及び眼への鈍的損傷からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、眼への衝撃性損傷は、眼の挫傷である。いくつかの実施形態では、眼への衝撃性損傷は、眼への鈍的損傷である。
【0249】
有効性の読み出しには、例えば、生活の質の向上を含む、症状の軽減及び/または病状の減少が含まれ得る。いくつかの実施形態では、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の症状の軽減及び/または病状の減少は、治療効果を示す。いくつかの実施形態では、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の炎症の軽減は、治療効果を示す。いくつかの実施形態では、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の瘢痕化の減少は、治療効果を示す。いくつかの実施形態では、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の血管新生の減少は、治療効果を示す。
【0250】
いくつかの実施形態では、疾患または状態は、眼の疾患または眼の状態である。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、眼の構造への外傷後の視覚機能障害である。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、眼への衝撃的な(例えば、鈍的または非鈍的)損傷である。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、眼への化学熱傷を含む火傷である。
【0251】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の標的領域に投与される。いくつかの実施形態では、特定の標的領域は目である。いくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の標的領域に投与され、他の周囲の領域に広がらないように配合される。
【0252】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の標的領域に投与され、他の周囲の領域に広がらないように配合される。
【0253】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、特定の標的領域に投与され、標的領域に少なくとも1分間、少なくとも約2分間、3つ少なくとも約1分間、少なくとも約4分間、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約40分、少なくとも約50分、少なくとも約60分、少なくとも約70分、少なくとも約80分、少なくとも約90分、または少なくとも約2時間留まるように配合される。
【0254】
いくつかの実施形態では、FN組成物は、創傷または損傷の直後に患部に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、15秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、または96時間以内に患部に投与される。
【0255】
いくつかの実施形態では、FN組成物は局所的に投与される。いくつかの実施形態では、細胞性FN組成物は、結膜下注射によって投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、それを必要とする対象に投与された場合、超効力を示す。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1日1回、2、3、4、5、及び/または最大6回局所的に投与される。いくつかの実施形態では、FN組成物は、1日1滴または1回の投与で治療効果を可能にする。いくつかの実施形態では、1滴は、1日1、2、3、4、5、または6回投与される。いくつかの実施形態では、1滴は、1時間、2時間、3時間、または4時間の間隔で投与される。いくつかの実施形態では、1滴は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、1滴は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施形態では、1滴は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間、少なくとも1日3回投与される。いくつかの実施形態では、1滴は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間、少なくとも1日4回投与される。いくつかの実施形態では、1滴は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間、少なくとも1日5回投与される。いくつかの実施形態では、1滴は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間、少なくとも1日6回投与される。
【0256】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、低レベルのVEGFをさらに含む。いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、1pg/mL~400pg/mLのVEGFをさらに含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、約4.7~約7.5のpHを有する。
【0258】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、リン酸二ナトリウム/一ナトリウム、クエン酸ナトリウム/クエン酸、ホウ酸/クエン酸ナトリウム、ホウ酸/四ホウ酸ナトリウム、及びクエン酸/リン酸二ナトリウムからなる群から選択される緩衝系で配合される。
【0259】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、張性改変剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、張性改変剤は、NaCl、KCl、マンニトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、及びグリセリンからなる群から選択される。
【0260】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、リン酸一ナトリウム/リン酸二ナトリウム、マンニトール、及びトレハロースをさらに含み、組成物は、約pH7.4のpHを有する。
【0261】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、二価カチオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、二価カチオンは、Mg2、Ca2、及びZn2からなる群から選択される。
【0262】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、リン酸二ナトリウム/クエン酸、マンニトール、及びトレハロースをさらに含み、組成物は、約pH6.4のpHを有する。
【0263】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、接着剤をさらに含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、生体異物成分、フェノールレッド、ペプチド及び生体分子<3kDa、抗生物質、タンパク質凝集体>200nm、細胞、非エクソソーム/非細胞外小胞細胞破片、ホルモン、及びL-グルタミンからなる群から選択される1つ以上の成分を含まない。
【0265】
いくつかの実施形態では、治療方法で使用するためのFN組成物は、抗血管新生因子または抗瘢痕化因子を含む。
【0266】
F.キット
キットは、本明細書に開示されるように、容器に入ったFN組成物または同じく容器に入ったFN組成物を調製する際に使用するための馴化培地、及び使用説明書を含むことができる。さらに、キットには、眼の治療に使用するための溶液を調製するための混合用の構成要素、及び混合及び使用のための説明書を含めることができる。
【0267】
容器は、少なくとも1つのバイアル、ウェル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器、または他の容器手段を含むことができ、そこに容器に入ったFN組成物またはFN組成物の調製に使用するための馴化培地を含み、場合によっては、適切に等分される。追加の構成要素が提供される場合、キットには、このコンポーネントを配置できる追加の容器を含めることができる。そのような容器は、所望のバイアルが保持される射出成形または吹込成形されたプラスチック容器を含み得る。容器及び/またはキットには、使用説明書及び/または警告を記載したラベルを含めることができる。
【0268】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明され、これは、さらなる限定として解釈されるべきではない。本出願を通して引用されたすべての図及びすべての参考文献、Genbank配列、特許、及び公開された特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0269】
本発明は、MSCセクレトームを特徴付けるための試験及び/またはアッセイのパネルを含むキットを提供することができ、パネルは、少なくとも2つの特徴付けアッセイを含み、特徴付けアッセイは、物理的成分の特徴付け、酸化ストレスアッセイ、安全性分析、安定性アッセイ、増殖アッセイ、遊走アッセイ、血管新生アッセイ、分化/瘢痕化アッセイ、炎症アッセイ、及び/または上皮バリア完全性アッセイからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、試験及び/またはアッセイのパネルは、本明細書に記載されるように、MSCセクレトームを同定する。
【0270】
本発明は、FNロット間の一貫性を決定するための試験及び/またはアッセイのパネルを含むキットを提供することができ、パネルは、1つ以上の特徴付けアッセイを含み、特徴付けアッセイは、物理的成分の特徴付け、酸化ストレスアッセイ、安全性分析、安定性アッセイ、増殖アッセイ、遊走アッセイ、血管新生アッセイ、分化/瘢痕化アッセイ、炎症アッセイ、及び/または上皮バリア完全性アッセイからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、試験及び/またはアッセイのパネルは、本明細書に記載されるように、細胞性FN組成物を同定する。
【実施例
【0271】
実施例1:フィブロネクチンの特徴付け
FNの同定は、最初に質量分析を行い、その後にELISAによる定量化を行うことによってMSCセクレトームにおいて実施した。
FNの検出は、約0.5~50ng/mLの濃度で馴化培地(すなわち、細胞を除去して直接的に収穫した培地)において実施した。
【0272】
細胞ベースのインビトロアッセイの結果から、以下のことが示された:
FNを枯渇させると、創傷閉鎖(スクラッチ創傷アッセイ)が顕著に損なわれた。
【0273】
MSCセクレトームを添加すると、HCECの接着及び伸展が促進され、FNを枯渇させると、HCECの接着及び伸展が損なわれ、FNを外来性に添加すると、HCECの接着及び伸展が促進された。
【0274】
フィブロネクチンを外来性に添加すると、HCECのトランスウェル遊走が促進され、FNを枯渇させると、HCECのトランスウェル遊走が損なわれる。
【0275】
フィブロネクチンはヒト角膜上皮細胞の遊走を刺激する。
組換えヒトフィブロネクチン(1ug/mL)を外来性に添加すると、36時間後のトランスウェル膜を介する細胞の遊走が、陰性対照(無血清培地)と比較して顕著に刺激される。ゲンチアナバイオレットで染色したトランスウェル遊走インサートの底部側が示されている(図2)。
【0276】
フィブロネクチンを枯渇させると、ヒト角膜上皮細胞の遊走が損なわれる。
フィブロネクチンを免疫枯渇させたMSCセクレトームでは、トランスウェル遊走アッセイにおいて、そのままのMSCセクレトームと比較して遊走が損なわれる。ゲンチアナバイオレットで染色したトランスウェル遊走インサートの底部側が示されている(図3)。
【0277】
フィブロネクチンを枯渇させると、ヒト角膜上皮細胞のインビトロ創傷閉鎖が損なわれる。
フィブロネクチンを免疫枯渇させたMSCセクレトームでは、トランスウェル遊走アッセイにおいて、そのままのMSCセクレトームと比較して創傷ギャップへの細胞の遊走が損なわれる。24時間後、FN枯渇MSCセクレトームで処理した創傷における閉鎖率が16±1.9%であったこととは対照的に、MSCセクレトームで処理した細胞での閉鎖率は30±1.2%であった(図4)。
【0278】
実施例2:フィブロネクチンは成長因子に結合する
抗フィブロネクチン捕捉抗体を使用してMSCセクレトームからフィブロネクチンを免疫枯渇させ、プロテインG結合型磁気ビーズを使用して単離した。
ELISAを介して溶解画分及びビーズ画分のHGFをアッセイした。ビーズをPBSで3回洗浄し、100uLのPBSに再懸濁させた後、80℃で10分間加熱した。その後、試料を希釈し、この試料を、組換えHGFを使用して標準曲線を作成してELISAによって測定した。pg/mLでのHGFアッセイ結果については図5を参照のこと。
【0279】
実施例3:MSCセクレトームは細胞性フィブロネクチンを含む
免疫学的アッセイを使用してMSCセクレトームを分析した。結果は、MSCセクレトームが細胞性フィブロネクチンを含んでいたことを実証するものであり、このことは、EDA+及びEDB+フィブロネクチンスプライシングバリアントの検出によって裏付けられた。
【0280】
セクレトーム中のフィブロネクチンの特徴付け
MSCから単離したセクレトームを、EDA配列、EDB+フィブロネクチン、及び一般的なフィブロネクチン(FN)に特異的な抗体を使用してイムノブロッティングによって評価した。抗EDA抗体及び抗EDB抗体は共に、フィブロネクチンと交差反応し、このことは、セクレトーム中に存在する種が細胞性フィブロネクチンであることを示している(図6)。
【0281】
サンドイッチELISAを使用する細胞性EDA+フィブロネクチンの検出
組換え細胞性フィブロネクチン及びEDA配列特異的捕捉抗体を使用してEDA+フィブロネクチンのELISA標準曲線(白抜きの丸印)を確立した。標準曲線の作成に使用する組換えフィブロネクチンに、免疫原として使用するEDA配列を含めることで、抗EDA抗体を生成させた。EDAサンドイッチELISAにおいてMSCセクレトームをアッセイし、細胞性フィブロネクチンが容易に検出された(青色のドット)(図7)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】