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特表2024-525487混合プラスチック廃熱分解油の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】混合プラスチック廃熱分解油の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 25/00 20060101AFI20240705BHJP
   B01J 47/014 20170101ALI20240705BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20240705BHJP
   C10G 25/02 20060101ALI20240705BHJP
   C10G 45/32 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C10G25/00
B01J47/014
B01D15/00 K
C10G25/02
C10G45/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580781
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022073256
(87)【国際公開番号】W WO2023279022
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/202,891
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308027031
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フエンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】シュッカー ロバート チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】クォク ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】スンペナ カデ ユリア ケスマ ワドハニ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ケイ
【テーマコード(参考)】
4D017
4H129
【Fターム(参考)】
4D017AA05
4D017BA04
4D017BA05
4D017CA03
4D017CA04
4D017CA05
4D017CA06
4D017CA17
4D017CB01
4D017CB10
4D017DA01
4D017EB10
4H129AA02
4H129CA22
4H129DA07
4H129DA15
4H129DA19
4H129KA06
4H129KA10
4H129KA19
4H129KC01X
4H129KC02Y
4H129KC04X
4H129KC04Y
4H129KC13Y
4H129KC23X
4H129KC23Y
4H129KC28Y
4H129KC30X
4H129KC30Y
4H129NA04
4H129NA14
4H129NA50
(57)【要約】
固体吸着剤、固体酸、固体塩基及び/又はイオン交換樹脂を用いて、未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理し、及び次いで、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を水素化処理工程により処理するためのシステム及び方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理する方法であって、以下の工程:
少なくとも1つの汚染物質を含む未加工の混合プラスチック熱分解油を、反応容器に提供する工程であって、前記汚染物質が、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、又は塩素化合物のうちの1つ以上である、工程;
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を、固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つと、前記反応容器内で接触させる工程;
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油からの少なくとも1つの汚染物質の一部を、前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つに堆積させる工程;及び
前記少なくとも1つの汚染物質の一部の堆積を含む固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つを、前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油から分離し、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を製造する工程、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの汚染物質の一部の堆積を含む固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つを、前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油から分離することが、ろ過、遠心分離、沈降、又はハイドロサイクロン化のうちの1つ以上によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方が、ペレットの形態で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方が、アニオン性イオン交換樹脂又はカチオン性イオン交換樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アニオン性イオン交換樹脂又はカチオン性イオン交換樹脂を再生することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つを、少なくとも1つの汚染物質と共に再生ユニットに供給する工程;
前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つを、前記再生ユニットにおいて、前記少なくとも1つの汚染物質と共に焼成する工程;及び
焼成された固体酸又は焼成された固体アルカリの少なくとも1つを、前記反応容器に戻す工程を、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応容器中の固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つが、固定床配置に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応容器が、流動床ユニットである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記流動床ユニットが、沸騰床ユニットである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
未加工の混合プラスチック廃熱分解油を処理する方法であって、以下の工程:
少なくとも1つの汚染物質を含む未加工の混合プラスチック熱分解油を、反応容器に供給する工程であって、前記汚染物質が、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、又は塩素化合物のうちの1つ以上である、工程;
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を、固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つと、前記反応容器内で接触させる工程;
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油からの少なくとも1つの汚染物質を、前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つに堆積させる工程;
前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つを、少なくとも1つの汚染物質と共に前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油から分離し、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成する工程;
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、水素化処理装置に導入する工程;
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、前記水素化処理装置中で水素化処理触媒を用いて処理する工程;及び
前記水素化処理装置から水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油を得る工程を、含む、方法。
【請求項11】
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、前記水素化処理装置において水素化処理触媒で処理することが、以下の変換:
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中のジオレフィン化合物の少なくとも一部から、1つ以上の飽和炭化水素化合物への変換;
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の少なくとも一部から、1つ以上のアンモニア含有化合物への変換;及び
酸素化合物の少なくとも一部から、水、一酸化炭素、又は二酸化炭素への変換を、含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
未加工の混合プラスチック熱分解油から汚染物質を除去する方法であって、以下の工程:
ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上を含む未加工の混合プラスチック熱分解油を得る工程;
前記未加工の混合プラスチック熱分解油を、固体吸着剤と接触させる工程であって、前記固体吸着剤が、活性炭、アルミノケイ酸塩、及びシリカの1つ以上である工程;
前記未加工の混合プラスチック熱分解油からの1つ以上のジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の一部を、前記固体吸着剤中の複数の細孔上に吸着させ、それにより、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成し、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油は、当該未加工の混合プラスチック熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の1つ以上の量を低減させる工程;
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、前記固体吸着剤から分離する工程;
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、水素化処理装置に導入する工程;
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、前記水素化処理装置において水素化処理触媒で処理する工程;及び
前記水素化処理装置から水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油を、得る工程であって、前記水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油は、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の1つ以上の量を低減させる工程を、含む、方法。
【請求項13】
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を前記固体吸着剤から分離することを、遠心分離、ろ過、沈降、又はハイドロサイクロン化によって行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記未加工の混合プラスチック熱分解油が、固定床ユニット内で固体吸着剤と接触している、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記未加工の混合プラスチック熱分解油が、流動床ユニット内で固体吸着剤と接触している、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記流動床ユニットが、沸騰床ユニットである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記固体吸着剤は、液体成分に対する固体成分が約20~約30体積%の割合で存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記固体吸着剤が、活性炭である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の量が、前記未加工の混合プラスチック熱分解油中の窒素化物の量と比較して、少なくとも約40%減少する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物の量が、前記未加工の混合プラスチック熱分解油中の酸素化合物の量と比較して、少なくとも約40%減少する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月29日に出願された米国仮特許出願第63/202,891号の利益及び優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、混合プラスチック廃熱分解油(mixed plastic waste pyrolysis oil)を処理するためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、混合プラスチック廃熱分解油を処理して、水素化処理装置、水素化分解装置、又はそれらの組み合わせなどの精製所に使用可能な供給原料を製造するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
前記混合プラスチック廃棄物からの熱分解油(pyoil)は、ケミカルリサイクルによる代替原料として浮上している。熱分解油は、ジオレフィン、重質物(heavies)、塩化物、窒素化物(nitrogenates)、及び酸素化物(oxygenates)などのいくつかの汚染物質を含む。スチームクラッカーでの熱分解油のさらなる処理は、これらの汚染物質を除去するために原料の前処理が必要である。前記熱分解油を処理する1つの方法は、熱分解油を水素化処理装置に送り、ジオレフィンを飽和成分に、窒素化物をアンモニアに、酸素化物を水、一酸化炭素又は二酸化炭素に、有機塩素化成分を塩化水素に変換する。次いで、アンモニア、水、及び塩化水素を、水素化処理装置の後に、これらの流れをストリッパー又は苛性抽出カラムを通すことにより除去することができる。飽和成分は、スチームクラッカーにとって有害ではなく、及びさらに除去されることはない。精製された流れは、次に分解にかけられる。このプロセスの欠点の1つは、水素分解触媒が、重質成分のために急速にコークス化する傾向があることである。別の欠点は、そのようなプロセスは、高レベルの汚染が原料の熱分解油に存在するため、大量の水素及び大型の反応器を必要とすることである。
【発明の概要】
【0004】
当技術分野においてこれらの欠点に対処するために、出願人は、未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理するためのシステム及び方法を開発した。また、本明細書では、前処理した混合プラスチック廃熱分解油を水素化処理によって処理するためのシステム及び方法が提供される。前処理される混合プラスチック廃熱分解油の水素化処理から形成される生成物を、さらに水素化分解及び蒸留を行うこともできる。
【0005】
特定の実施態様において、未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理する方法は、以下の工程:少なくとも1つの汚染物質を含む未加工の混合プラスチック熱分解油を反応容器に供給する工程と、前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を、前記反応容器中の固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つと接触させる工程と、未加工の混合プラスチック廃熱分解油から少なくとも1つの汚染物質の一部を、前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つの上に堆積させる工程と、前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油からの少なくとも1つの汚染物質の一部の堆積を含む固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つを分離し、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成する工程と、を含む。未加工の混合プラスチック熱分解油中の前記汚染物質は、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、又は塩素化合物のうちの1つ以上であり得る。前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油からの少なくとも1つの汚染物質の一部の堆積を含む固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つを分離する工程は、ろ過、遠心分離、沈降、ハイドロサイクロン化(hydrocyclonization)のうちの1つ以上によって行われる。前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方は、ペレットの形態で存在することができる。前記反応容器中の固体酸又は固体アルカリは、固体床配置に位置することができる。特定の実施態様において、前記反応容器は、流動床ユニットを含む。前記流動床は、沸騰床ユニット(ebullated bed unit)であり得る。
【0006】
実施態様において、前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理するためのシステム及び方法は、アニオン性イオン交換樹脂若しくはカチオン性イオン交換樹脂又は両方の形態での固体酸、固体アルカリ、又は両方の使用を含む。実施態様は、アニオン性イオン交換樹脂又はカチオン性イオン交換樹脂の再生をさらに含むことができる。一態様において、前記方法は、前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つを、少なくとも1つの汚染物質と共に、再生ユニットに供給すること、再生ユニットにおいて前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つを、少なくとも1つの汚染物質と共に焼成すること、及び前記焼成した固体酸又は焼成した固体アルカリの少なくとも一方を、反応容器に戻すことを含む。
【0007】
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を処理するための方法の特定の実施態様は、以下の工程:少なくとも1つの汚染物質を含む未加工の混合プラスチック熱分解油を提供する工程と、前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を、反応容器内で固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つと接触させる工程と、未加工の混合プラスチック廃熱分解油からの少なくとも1つの汚染物質を、固体酸又は固体アルカリの少なくとも1つに堆積させる工程と、前記固体酸又は前記固体アルカリの少なくとも1つを、少なくとも1つの汚染物質と共に前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油から分離し、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成する工程と、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を水素化処理装置に導入する工程と、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、前記水素化処理装置において水素化処理触媒を用いて処理する工程と、前記水素化処理装置から水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油を得る工程とを含む。前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油中の汚染物質は、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、又は塩素化合物のうちの1つ以上である。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を水素化処理装置中で水素化処理触媒を用いて処理することは、前処理された混合プラスチック廃熱分解油中のジオレフィン化合物の少なくとも一部を、1つ以上の飽和炭化水素化合物に変換することを含む。一態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、前記水素化処理装置中で水素化処理触媒を用いて処理することは、当該処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の少なくとも一部を、1つ以上のアンモニア含有化合物に、前記酸素化合物の少なくとも一部を水、一酸化炭素若しくは二酸化炭素、又はその両方に変換することを含む。
【0008】
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を処理するための方法の特定の実施態様は、以下の工程:ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上を含む未加工の混合プラスチック熱分解油を得る工程と、前記未加工の混合プラスチック熱分解油を、固体吸着剤と接触させる工程と、未加工の混合プラスチック熱分解油からのジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の部分を固体吸着剤中の複数の細孔に吸着させ、それにより、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成する工程を含む。前記固体吸着剤は、活性炭、アルミノケイ酸塩、及びシリカのうちの1つ以上であり得る。この前処理された混合プラスチック廃熱分解油は、未加工の混合プラスチック熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の量が低減されている。前記方法は、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を前記固体吸着剤から分離する工程と、当該前処理された混合プラスチック廃熱分解油を水素化処理装置に導入する工程と、当該前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、水素化処理装置において水素化処理触媒で処理する工程と、水素化処理装置から水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油を手に入れる工程とを、さらに含む。この水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油は、前処理された混合プラスチック廃熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、及び窒素化合物のうちの1つ以上の量が低減されている。
【0009】
特定の実施態様において、前記方法は、遠心分離、ろ過、沈降、又はハイドロサイクロン化を通して、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を前記固体吸着剤から分離する工程を含む。特定の実施態様において、前記未加工の混合プラスチック熱分解油は、固定床ユニット内で前記固体吸着剤と接触する。特定の実施態様において、前記未加工の混合プラスチック熱分解油は、流動床ユニット内で前記固体吸着剤と接触する。前記流動床ユニットは、沸騰床ユニットであり得る。
システムの実施態様は、固体吸着材は、液体成分に対する固体成分の比率が約0.2~約90体積%の範囲の比率で存在する反応容器を含む。前記反応容器が、前記固体吸着剤が約20~約30体積%を占める、沸騰床ユニットなどの流動床ユニットであり得る。
【0010】
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理するための方法の特定の実施態様は、以下の工程:ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上を含有する未加工の混合プラスチック熱分解油を得る工程と、前記未加工の混合プラスチック熱分解油を活性炭と接触させる工程と、未加工の混合プラスチック熱分解油からジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物及び塩化物化合物のうちの1つ以上の部分を活性炭の複数の細孔に吸着させ、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成する工程と、前記前処理されたプラスチック廃熱分解油を、活性炭から分離する工程と、を含む。この前処理された混合プラスチック廃熱分解油は、前記未加工の混合プラスチック熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の量が低減されている。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の窒素化合物の量と比較して、少なくとも約40%減少する。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の窒素化合物の量と比較して、少なくとも約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約95%減少する。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の酸素化合物の量と比較して、少なくとも約20%減少する。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の酸素化合物の量と比較して、少なくとも約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約95%減少する。
【0011】
方法の特定の実施態様は、以下の工程:前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、水素化処理装置に導入する工程と、前記水素化処理装置において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を水素化処理触媒で処理する工程と、水素化処理装置から水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油を得る工程とを、さらに含む。この水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油が、前処理された混合プラスチック廃熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、及び窒素化合物のうちの1つ以上の化合物の量が低減されている。
【0012】
これらの例示的な実施態様及び他の実施態様のさらなる他の態様及び利点を、本明細書において詳細に説明する。さらに、前述の情報及び以下の詳細な説明の両方が、様々な態様及び実施態様の単なる例示的な例を提供し、並びに特許請求される態様及び実施態様の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供すること意図していることを理解されたい。従って、本開示の利点及び特徴とともに、これら及び他の目的は、以下の説明及び添付の図面を参照することを通して明らかになるだろう。さらに、本明細書に記載される様々な実施態様の特徴は、互いに排他的ではなく、及び様々な組み合わせ及び順列で存在し得ることを理解されたい。
【0013】
特許又は出願は、少なくとも1つのカラーで作成された図面を含む。カラー図面を有する本特許又は特許出願公開公報の写しは、請求及び必要な手数料の支払いにより、国内官庁から提供される。
添付の図面は、本開示の実施態様のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、及び本明細書の一部を構成し、本開示の実施態様を例示し、詳細な説明と共に本明細書で議論される実施態様の原理を説明するのに役立つ。本開示の構造的な詳細を、本明細書で論じられる実施態様及びそれらが実施される様々な方法の基本的な理解に必要とされ得る以上に詳細に示そうとしない。一般的な慣行に従って、口述する図面の様々な特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図面の様々な特徴及び要素の寸法は、本開示の実施態様をより明確に説明するために拡大又は縮小されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施態様による、混合プラスチック廃熱分解油の処理の方法の概略のフローチャートである。
図2図2は、実施態様による、混合プラスチック廃熱分解油を処理するための沸騰床ユニットの説明図である。
図3図3は、実施態様による、混合プラスチック廃熱分解油を処理する方法の概略のフローチャートである。
図4図4は、実施態様による、異なる固体吸着材を使用した、混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物、窒素化物、及び塩素化合物の減少のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(詳細な説明)
本開示は、未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理するためのプロセス、装置、及びシステムに関する様々な実施態様を記載する。また、本明細書は、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、さらなる水素化処理プロセスに供することによって処理するためのシステム及び方法を提供する。さらなる実施態様を、記載及び開示することができる。
以下の説明では、様々な実施態様を完全な理解を提供するために、多数の詳細が記載される。他の例では、周知のプロセス、装置、及びシステムは、様々な実施態様を不必要に不明瞭にしないために、特に詳細に記載されない場合もある。さらに、様々な実施態様の図示は、様々な実施態様を不明瞭にしないために、特定の特徴又は詳細を省略し得る。
【0016】
本明細書は、“いくつかの実施態様において(in some embodiments)”、“様々な実施態様において(in various embodiments)”、“実施態様において(in an embodiment)”、又は“実施態様において(in embodiments)”という語句を使用することがあり、これらは、1つ以上の同じ又は異なる実施態様を指し得る。さらに、本開示の実施態様に関して使用される“含む(comprising)”、“含む(including)”、“有する(having)”などの用語は、同義である。
用語“約(about)”又は“およそ(approximately)”は、当業者によって理解されるように近いものとして定義される。1つの非限定的な実施態様において、前記用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、及び最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
特許請求の範囲及び/又は明細書で使用される場合、用語“低減する(reducing)”、“低減された(reduced)”、又はそれらの任意の変形は、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0017】
特許請求の範囲又は明細書において、“含む(comprising)”、“含む(including)”、“含有する(containing)”、又は“有する(having)"という用語のいずれかと共に使用される場合の“a”又は“an”という語の使用は、“1つ(one)”を意味する場合もあるが、“1つ以上(one or more)”、“少なくとも1つ(at least one)”、及び“1又は1より大きい(one or more than one)"の意味とも一致する。用語“質量%(wt.%)”、“体積%(vol.%)”、又は“モル%(mol.%)”は、それぞれ、成分を含む総質量、物質の総体積、又は総モルに基づく、成分の質量、体積、又はモル%を意味する。非限定的な実施例において、物質の100g中の成分の10gは、成分の10質量%である。
【0018】
“含む(comprising)”(並びに“comprise”及び“comprises”などのcomprisingの任意の形態)、“有する(having)”(並びに“have”及び“has”などの任意のhavingの形態)、“含む(including)”(並びに“includes”及び“include”などのincludingの任意の形態)、又は“含有する(containing)”(並びに“contains”及び“contain”などのcontainingの任意の形態)という語は、包括的又は非限定的であり、及び追加の、再現されていない要素又は方法ステップを除外するものではない。
【0019】
本明細書は、混合プラスチック廃熱分解油を前処理するためのシステム及び方法を開示する。熱分解油の前処理は、水素化処理装置流中の汚染物質のレベルを低減する。前処理のこの工程は、水素化処理装置における水素消費量の削減を支援する。また、前処理のこの工程は、下流の処理装置におけるジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、又は塩素化合物のうちの1つ以上を低減する。
【0020】
図1は、実施態様に応じる、混合プラスチック廃熱分解油を処理する方法100の概略のフローチャートである。未加工の混合プラスチック熱分解油流102を、反応容器104に供給する。この未加工の混合プラスチック熱分解油102は、1つ以上の汚染物質を含む。前記未加工の混合プラスチック熱分解油中の汚染物質は、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、又は塩素化合物のうちの1つ以上であり得る。塩素化合物は、塩化物塩及び有機塩素化合物、例えば、クロロエタノール又はクロロベンゾニトリルのような塩素化炭化水素が含まれる。酸素化合物は、ヘキサン酸又はフェノールのような有機炭化水素を含む。窒素化合物は、窒化物、硝酸塩、及び窒素化炭化水素、トリデカンニトリル、又はインドールなどの有機化合物を含む。
【0021】
前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油流102は、反応容器104内で固体酸又は固体アルカリと接触させられ、前記未加工の混合プラスチック熱分解油からの汚染物質の一部を固体酸又は固体アルカリ上に堆積させる。前記固体アルカリは、1族化合物又は2族化合物のいずれかであることができる。前記固体アルカリは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、又は水酸化マグネシウムなどの1族又は2族元素の水酸化物であることができる。前記固体アルカリは、臭化ナトリウム、臭化カリウム、塩化カルシウム、又は塩化マグネシウムなどの1族又は2族元素のハロゲン化物であることができる。前記固体アルカリは、酸化カリウム、酸化カルシウム、又は酸化マグネシウムなどの1族又は2族元素の酸化物であることができる。固体酸は、特定のシリカアルミナ及び硫酸化ジルコニアを含むことができる。前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方は、押出成形、成形、又は他の成形された固体ペレット、ブロック、錠剤、粉末、顆粒、又はフレークの形態をとることができるが、これらに限定されない。前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方は、担体に担持して、及び反応容器に存在することもできる。実施態様において、前記固体酸、前記固体アルカリ、又は両方は、前記反応容器中でペレットの形態で存在する。
【0022】
特定の実施態様において、混合プラスチック廃熱分解油からの汚染物質のアルカリ抽出は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、若しくは水酸化アンモニウム、又は他の強塩基を用いて行うことができ、及び液体/液体、液体/気体、又は固体/液体の形態で行うことができる。特定の実施態様において、混合プラスチック廃熱分解油からの汚染物質の酸抽出は、塩酸、硫酸、又は他の強酸を用いて行うことができ、及び液体/液体の相又は液体/気体の相で行うことができる。
【0023】
前記反応容器は、固定床、移動床、固定撹拌ユニット、又は流動床ユニットのうちの1つ以上であることができ、単一のユニットとして配置するか、又は複数のユニットを直列又は並列に配置し、前記未加工の混合プラスチック廃熱分解油流102を前処理する。流動床ユニットは、沸騰床ユニットであることができる。本明細書に開示された方法のための複数のユニットの例を、図2に示す。
【0024】
汚染物質の一部の堆積を含む固体酸又は固体アルカリ並びに前処理された混合プラスチック廃熱分解油を含有する流れ106を、分離機108に供給する。少なくとも1つの汚染物質の一部の堆積を含む前記固体酸又は前記固体アルカリを、ろ過、遠心分離、沈降、又はハイドロサイクロン化のうちの1つ以上によって、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油から分離する。前処理された混合プラスチック廃熱分解油流110を、次いで、他の下流の処理装置に供給する。
【0025】
実施態様において、未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理するための前記システム及び方法は、前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方を、例えば、それぞれ第4級基又はスルホン化基を有するアニオン性イオン交換樹脂又はカチオン性イオン交換樹脂の形態で使用することを含む。この方法100の実施態様は、アニオン性イオン交換樹脂又はカチオン性イオン交換樹脂を再生する工程を任意に含むことができる。この方法100において、汚染物質の一部を有する固体酸、固体アルカリ、又はその両方を含む流れ112が、分離機108を出て、及び再生ユニット114に供給される。汚染物質を有する前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方は、再生ユニット114において、焼成される。前記焼成温度は、約350℃~約1000℃、又は約450℃~約800℃の範囲である。前記焼成は、比較的均一な温度及び汚染物質の堆積物の均一な除去を保証するのに十分な条件下で行われる。この焼成プロセスは、大気圧下で行うことができる。再生ユニット114での処理後、焼成された固体酸又は焼成された固体アルカリ116は、前記反応容器に戻されるか、又はリサイクルされる。任意に、前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方は、THF又はメタノール又はアセトンのような溶媒によって洗浄され、焼成前及び/又は焼成後に、前記固体酸、前記固体アルカリ、又はその両方から任意の可溶性物質を除去する。アニオン性イオン交換樹脂又はカチオン性イオン交換樹脂を用いた特定の実施態様において、前記樹脂は、強塩基(苛性ソーダのような)又は強酸(塩酸のような)で洗浄され、及び再生される。
【0026】
未加工の混合プラスチック廃熱分解油を処理する方法の特定の実施態様は、前処理された混合プラスチック廃熱分解油流110を水素化処理装置に供給することを含む。ここで、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、水素化処理装置内で水素化処理触媒と接触させる。前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、水素化処理装置内において水素化触媒で処理することは、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中のジオレフィン化合物の少なくとも一部を1つ以上の飽和炭化水素化合物に変換することを含む。一態様において、水素化処理装置内で水素化処理触媒を用いて前処理された混合プラスチック廃熱分解油を処理することは、前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の少なくとも一部を、1つ以上のアンモニア含有化合物に変換すること、又は酸素化合物の少なくとも一部を、水、一酸化炭素あるいは二酸化炭素、若しくはその両方に変換することを含む。次いで、前記水素化処理装置からの水素化処理された混合プラスチック熱分解油を、水素化分解及び/又は蒸留に供し得る。
【0027】
図2は、実施態様による、混合プラスチック廃熱分解油を処理するための流動床ユニット200の説明図である。それは、未加工の混合プラスチック熱分解油流及び固体吸着剤組成物を連続的に混合する流動床多相ユニットである。固体吸着剤組成物の例は、活性炭素、固体アルカリ、固体酸、粘土、シリカ、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0028】
前記固体吸着剤組成物を、吸着剤入口202を介して沸騰床ユニット200に供給する。前記未加工の混合プラスチック熱分解油流を、供給入口204を介して、沸騰床ユニット202に供給する。前記固体吸着剤組成物は、液相成分(供給入口204を介して供給される未加工の混合プラスチック熱分解油流及びリサイクル入口220を介するリサイクルストリーム)の上方へのリフトを通して流動状態に維持される。これらの液相成分を、分配器及びグリッドプレート206を介して固体吸着剤床の全体に分配する。沸騰床ユニット200内の吸着剤の高さは、液相成分の流速によって制御される、沈降した吸着領域210及び膨張した吸着領域208の高さによって決定される。前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、前記膨張した吸着領域208の上方の吸着剤非含有領域に位置する製品出口212を介して、沸騰床ユニット200から除去する。フレッシュな固体吸着剤を、吸着剤入口202から添加し、及び使用済み固体吸着剤の一部を、吸着剤出口222を介して引き出すことができる。前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油の一部を、リサイクル導管216を通ってリサイクルポンプ218に送られる前に、リサイクル出口214を通って取り出す。前記リサイクルされた混合プラスチック熱分解油流は、リサイクル入口220を介して沸騰床ユニット200に戻される。作動条件は、通常、供給及び所望の生成物に基づいて最適化される。滞留時間は、1時間~24時間で変化し、並びに圧力は、大気圧で維持され、温度は5℃~50℃の範囲であり、及び負荷は20~30体積%の範囲である。
【0029】
未加工の混合プラスチック廃熱分解油を前処理するためのシステムの実施態様は、分離機と流体連結する反応容器を含む。前記反応容器は、固体吸着剤組成物と、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上を含む未加工の混合プラスチック廃熱分解油とを受けるように構成される。この反応容器は、前記未加工の混合プラスチック熱分解油からの1つ以上のジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の一部を、前記固体吸着剤中の複数の細孔に堆積させ、それによって前処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成するように構成される。前記反応容器は、固定床、移動床、固定撹拌ユニット、又は流動床ユニットのうちの1つ以上であることができ、単一ユニットとして配置するか、又は複数のユニットを直列若しくは並列に配置し、未加工の混合プラスチック廃熱分解油流を前処理する。前記流動床ユニットは、沸騰床ユニットであることができる。本明細書に開示された方法のための沸騰床ユニットの例を、図2に示す。システムの実施態様は、前記固体吸着材が、液体成分に対して固体の割合が、約0.2~約90体積%で存在する反応容器を含む。前記反応容器は、固体吸着剤が約20~約30体積%を占める沸騰床ユニットなどの流動床ユニットとすることができる。前記固体吸着剤は、活性炭、アルミノケイ酸塩、及びシリカのうちの1つ以上であることができる。この前処理された混合プラスチック廃熱分解油は、未加工の混合プラスチック熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の量が低減されている。
【0030】
前記分離機は、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、使用済み固体吸着剤から分離するように構成される。特定の実施態様において、前記分離機は、遠心分離装置、ろ過装置、沈降容器、又はハイドロサイクロン装置のうちの1つ以上である。特定の実施態様において、前記分離機は、水素化処理装置と流体連通している。前記水素化処理装置は、水素化処理触媒の存在下で前処理された混合プラスチック熱分解油を処理し、水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油を生成するように構成される。この水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油は、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の量が低減されている。
【0031】
固体吸着剤組成物に基づく吸着プロセスの間、前記反応容器は、固定床又はバッチプロセスで操作することができる。固定床操作の実施態様において、前記未加工の混合プラスチック熱分解油は、粒状吸着剤の固定床の上を流れるようにされる。粒状吸着剤が、汚染物質で飽和したら、外部で再生するか、又は経済状態に応じて廃棄することができる。バッチプロセスの実施態様において、前記固体吸着剤を、反応容器として撹拌タンク内で未加工の混合プラスチック熱分解油に添加する。また、反応終了後、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、遠心分離、ろ過、ハイドロサイクロン、又は他の分離方法を介して、固体吸着剤から分離する。
【0032】
気体/液体抽出に基づく吸収プロセスの間、気体のHCl又はNH3を、未加工の混合プラスチック熱分解油を含む反応容器に通す。これは、酸成分及び窒素化物成分のそれぞれの固体析出を導く。次いで、固体を、遠心分離、ろ過、ハイドロサイクロン、又は他の分離方法を介して、前処理された混合プラスチック廃熱分解油から機械的に除去する。
【0033】
液体/液体抽出に基づく吸着プロセスの間、非混和性の抽出溶媒を、フィードに添加し、及び混合物を、よく撹拌し、例えば境界層で、未加工の混合プラスチック熱分解油から抽出相への汚染物質の移動を促進する。ラフィネート相は、前処理された混合プラスチック廃熱分解油である。抽出溶媒は、有機溶媒又は水であり得る。分離を、遠心分離又は沈降(エマルジョン容器を用いるとより効果的)により実施する。
【0034】
図3は、実施態様による、混合プラスチック廃熱分解油を処理する方法300の概略のフローチャートである。ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上を含有する未加工の混合プラスチック熱分解油流302を、未加工の混合プラスチック熱分解油と活性炭304と共に接触させ、未加工の混合プラスチック熱分解油からのジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の部分を活性炭の複数の細孔上に堆積させる。得られた前処理された混合プラスチック廃熱分解油流306を、分離機308に供給し、前処理された混合プラスチック廃熱分解油を、1つ以上のジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の吸着部分を含む活性炭から分離する。1つ以上のジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の吸収部分を含む活性炭の流れ312は、分離機から出て、及び再生ユニットで処理され得る。この前処理された混合プラスチック廃熱分解油流310は、未加工の混合プラスチック熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の量が低減されている。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の窒素化合物の量と比較して、少なくとも約40%減少する。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の窒素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の窒素化合物の量と比較して、少なくとも約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約95%減少する。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の酸素化合物の量と比較して、少なくとも約20%減少する。特定の実施態様において、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物の量は、未加工の混合プラスチック熱分解油中の酸素化合物の量と比較して、少なくとも約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約95%減少する。
【0035】
方法の特定の実施態様は、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油流310を水素化処理装置314に導入すること、当該前処理された混合プラスチック廃熱分解油を前記水素化処理装置中で水素化処理触媒を用いて処理すること、及び当該水素化処理装置から水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油316を得ることをさらに含む。この水素化処理された混合プラスチック廃熱分解油は、前記前処理された混合プラスチック廃熱分解油と比較して、ジオレフィン化合物、酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物のうちの1つ以上の量が低減されている。
【実施例
【0036】
以下に提供される様々な実施例は、混合プラスチック廃熱分解油を前処理するために固体吸着剤を使用する様々な方法の選択された態様を示す。
【0037】
(実施例1)
約50mLの混合プラスチック熱分解油を、1L当たり0.78g(g/L)の熱分解油の密度を用いて、120gの活性炭の吸着剤床に通した。熱分解油と吸着剤との質量比は、1対3であった。塩素化合物、酸素化合物、及び窒素化合物の減少量を質量百万分率(ppmw)で測定した結果を、表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
(実施例2)
図4は、一実施態様による、選択された固体吸着剤を使用した、混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の減少のグラフ表示である。これらの結果は、これらの固体吸着剤を約1.9質量%及び20℃で24時間の接触時間を使用したバッチプロセスで得られた。混合後、熱分解油を、0.2umシリンジフィルターでろ過し、及びさらに分析した。選択した吸着剤は、シリカ製品1(図4に1と表示)、クレー製品1(図4に2と表示)、イオン交換樹脂(図4に3と表示)、ゼオライト(図4に4と表示)、クレー製品2(図4に5と表示)、活性炭製品1(図4に6と表示)、活性炭製品2(図4に7と表示)、シリカ製品2(図4に8と表示)、洗浄された活性炭(図4に9と表示)、クレー製品3(図4に10と表示)、及び酸化カルシウム(図4に11と表示)を含む。
【0040】
(実施例3)
表2は、酸化カルシウムを900℃で8時間、異なる質量%でバッチ反応器プロセスにおいて吸着剤として使用した場合の、混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の減少を示す。除去率は、特異吸着等温線のため吸着剤の量を増やしても増加せず、汚染物質の圧力が高い場合には、吸着剤への汚染物質の負荷が高くなるが、汚染物質の圧力が低い場合には吸着剤への汚染物質の負荷は低くなる。
【0041】
【表2】

【0042】
(実施例4)
表3は、クラスIの強イオン交換樹脂を、異なる質量%でバッチ反応器プロセスにおいて吸着剤として使用した場合の、混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化後物の減少を示す。
【0043】
【表3】

【0044】
(実施例5)
表4は、クラスI(固体酸)の強カチオン交換樹脂を、異なる質量%でバッチ反応器プロセスにおいて吸着剤として使用した場合の、混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の減少を示す。塩素及び酸素の除去は、これらの有機汚染物質がこの基質との相互作用に乏しいため、強カチオン交換樹脂の影響を受けにくい。
【0045】
【表4】

【0046】
(実施例6)
表5は、ポリスチレン製マクロポーラス吸着樹脂を、異なる質量%でバッチ反応器プロセスにおいて吸着剤として使用した場合の、混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の減少を示す。
【0047】
【表5】

【0048】
(実施例7)
表6は、活性炭を、異なる質量%でバッチ反応器プロセスにおいて吸着剤として使用した場合の、混合プラスチック廃熱分解油中の酸素化合物、窒素化合物、及び塩素化合物の減少を示す。
【0049】
【表6】

【0050】
範囲が、本明細書で開示された場合、任意の下限値からの範囲を、任意の上限値と組み合わせ、明示的に記載されていない範囲を記載することができ、同様に、任意の下限値からの範囲を、他の任意の下限値と組み合わせ、明示的に記載されていない範囲を記載することができ、同様に、任意の上限値からの範囲を、他の任意の上限値と組み合わせて、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。さらに、範囲に記載された値への言及は、たとえ明示的に記載されていなくても、その範囲内の各値及び全ての値を含む。従って、全ての点又は個々の値を、任意の他の点若しくは個々の値又は任意の他の下限値若しくは上限値と組み合わせ、それ自体の下限値若しくは上限値として機能し、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。
【0051】
本開示の他の目的、特徴、及び利点は、前述の図、詳細な説明、及び実施例から明らかになるであろう。しかしながら、前記図、詳細な説明、及び実施例は、本開示の具体的な実施態様を示す一方で、例示のためにのみ与えられており、及び限定を意味するものではないことを理解されたい。さらなる実施態様において、特定の実施態様からの特徴を、他の実施態様からの特徴と組み合わせることができる。例えば、一実施態様からの特徴を、任意の他の実施態様からの特徴と組み合わせることができる。さらなる実施態様において、追加の特徴を、本明細書に記載される特定の実施態様に追加し得る。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】